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特許7651978嗜好情報収集装置、及び嗜好情報収集方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】嗜好情報収集装置、及び嗜好情報収集方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20250319BHJP
【FI】
G06F3/01 510
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021105436
(22)【出願日】2021-06-25
(65)【公開番号】P2023003994
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2024-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 薫
(72)【発明者】
【氏名】武井 宙之
(72)【発明者】
【氏名】門馬 悠生
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 禎也
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-204882(JP,A)
【文献】特開2017-146942(JP,A)
【文献】国際公開第2019/220751(WO,A1)
【文献】特開2009-042956(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0324087(US,A1)
【文献】特開2015-052879(JP,A)
【文献】特開2020-038562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
G06F3/048-3/04895
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた複数の領域に、それぞれ画像を表示する画像表示部と、
前記画像表示部に表示された複数の前記画像からユーザが選択した選択画像について選択操作を入力する入力部と、
前記ユーザが前記画像表示部を注視した際に、該ユーザの視線を検出する視線検出部と、
前記画像表示部の前記領域のうち、所定時間に前記ユーザの視線が最も長く存在した領域を判定し、この領域の画像を注目画像として出力する注視領域判定部と、
前記選択画像と前記注目画像とが一致するか否かを判定する判定部と、
前記選択画像と前記注目画像とが一致したと判定された場合、該選択画像を前記ユーザの興味がある代表画像としてカウントする集計部と、
を備える嗜好情報収集装置。
【請求項2】
前記画像には、それぞれ予め特徴的な形状である特徴点が複数設定されており、
前記選択画像と前記注目画像とが一致しないと判定された場合、
前記選択画像の特徴点と前記注目画像の特徴点とを比較して一致する特徴点を抽出し、抽出された前記特徴点と同様の特徴点を有する新たな画像を選択して前記画像表示部に表示されていた画像と置き換えて表示させる画像制御部を備える請求項1に記載の嗜好情報収集装置。
【請求項3】
前記集計部は、前記ユーザごとに前記代表画像をカウントし、
複数の前記ユーザの前記代表画像の中で、最も数の多い前記代表画像を、複数の前記ユーザが最も好ましく感じる推奨画像とする解析部を備える請求項1または2に記載の嗜好情報収集装置。
【請求項4】
前記集計部は、前記ユーザごとに前記選択画像のうち前記注目画像と一致しないと判定された画像を論理画像としてカウントし、
前記解析部は、同一の前記ユーザについてカウントされた前記論理画像の数が閾値を超え、且つ同一の前記ユーザについて出力されたすべての前記注目画像に対応するすべての前記所定時間が経過するまでの間に、複数の前記領域の中に該ユーザの視線が検出されない領域があった場合、そのユーザの前記代表画像を、前記推奨画像の把握に使用しない請求項3に記載の嗜好情報収集装置。
【請求項5】
嗜好情報収集装置が実行する嗜好情報収集方法であって、
予め定められた複数の領域に、それぞれ画像を表示するステップと、
表示された複数の前記画像からユーザが選択した選択画像について選択操作を入力するステップと、
前記ユーザが画像表示部を注視した際に、該ユーザの視線を検出するステップと、
前記画像が表示された前記領域のうち、所定時間に前記ユーザの視線が最も長く存在した領域を判定し、この領域の画像を注目画像として出力するステップと、
前記選択画像と前記注目画像とが一致するか否かを判定するステップと、
前記選択画像と前記注目画像とが一致したと判定された場合、該選択画像を前記ユーザの興味がある代表画像としてカウントするステップと、
を備える嗜好情報収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嗜好情報収集装置、及び嗜好情報収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテンツに関するリストやアイコンを画面上に表示し、これらリストやアイコンを含む画像に対するユーザの選択状況を検出することで、ユーザの特徴的な行動を抽出してユーザの嗜好情報を収集する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-191702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、ユーザの思考の結果に基づいて選択された嗜好情報を収集できるものの、ユーザが直感的に選択した嗜好情報を入手することはできない。このため、多くのユーザが最も好ましいと感じる嗜好情報をより正確に把握することが難しかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、多くのユーザが最も好ましいと感じる嗜好情報をより正確に把握することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる嗜好情報収集装置は、予め定められた複数の領域に、それぞれ画像を表示する画像表示部と、画像表示部に表示された複数の画像からユーザが選択した選択画像について選択操作を入力する入力部と、ユーザが画像表示部を注視した際に、該ユーザの視線を検出する視線検出部と、画像表示部の領域のうち、所定時間にユーザの視線が最も長く存在した領域を判定し、この領域の画像を注目画像として出力する注視領域判定部と、選択画像と注目画像とが一致するか否かを判定する判定部と、選択画像と注目画像とが一致したと判定された場合、該選択画像をユーザの興味がある代表画像としてカウントする集計部と、を備える。
【0007】
また、本発明にかかる嗜好情報収集方法は、嗜好情報収集装置が実行する嗜好情報収集方法であって、予め定められた複数の領域に、それぞれ画像を表示するステップと、表示された複数の画像からユーザが選択した選択画像について選択操作を入力するステップと、ユーザが画像表示部を注視した際に、該ユーザの視線を検出するステップと、画像が表示された領域のうち、所定時間にユーザの視線が最も長く存在した領域を判定し、この領域の画像を注目画像として出力するステップと、選択画像と注目画像とが一致するか否かを判定するステップと、選択画像と注目画像とが一致したと判定された場合、該選択画像をユーザの興味がある代表画像としてカウントするステップと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多くのユーザが最も好ましいと感じる嗜好情報を、より正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る嗜好情報収集装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、本実施形態にかかる嗜好情報収集装置におけるユーザの嗜好調査の処理の流れを示すフローチャートである。
図3図3は、選択画像と注目画像とに共通する特徴点を説明するための図である。
図4図4は、本実施形態にかかる嗜好情報収集装置における多くのユーザが最も好ましいと感じる画像を把握する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る嗜好情報収集装置、及び嗜好情報収集方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
図1は、本実施形態に係る嗜好情報収集装置の構成例を示すブロック図である。嗜好情報収集装置10は、画面に表示された複数の比較画像の中からユーザが実際に選択した画像(選択画像)と、ユーザの視線の動きによりユーザが注目した画像(注目画像)とから、このユーザの好みの画像(嗜好)を調査し、多くのユーザが最も好ましいと感じる嗜好情報をより正確に把握するものである。
【0012】
嗜好情報収集装置10は、例えばパーソナルコンピュータのような情報処理装置であり、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置(制御装置)を含む。嗜好情報収集装置10は、記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。嗜好情報収集装置10には、図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリは嗜好情報収集装置10におけるプログラム等のデータの一時記憶などに用いられる。嗜好情報収集装置10は、図1に示すように、画像表示部11と、視線検出部12と、入力部13と、注視領域判定部14と、ユーザ情報部15と、判定部16と、集計部17と、解析部18と、画像制御部19と、画像記憶部20とを備える。
【0013】
画像表示部11は、嗜好情報収集装置10に備えられた表示装置である。画像表示部11は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。画像表示部11は、画像制御部19を経由して入力された複数の比較画像を予め定められたそれぞれの領域に表示する。図1の例では、画像表示部11には、4つの領域30A~30Dが区画されており、各領域30A~30Dにそれぞれ所定の製品(例えば乗用車)の比較画像(画像)31A~31Dが表示される。この比較画像31A~31Dは静止画であるが動画であってもよい。比較画像31A~31Dは、製品のイメージを示すものであり、製品全体または部分の色や形状などの特徴点をそれぞれ含んでいる。この特徴点は、ユーザが比較画像31A~31Dの選択にあたり、ユーザが興味を持って注目する部分である。この特徴点については後述する。図1には、製品の一例として乗用車を挙げたが、形状や色の特徴点を表現したものであれば、これに限るものではない。
【0014】
視線検出部12は、画像表示部11に隣接して配置され、ユーザが画像表示部11を注視した際にユーザの視線を検出する。視線検出部12は、複数(例えば2つ)のカメラ12Aを有し、このカメラ12Aでユーザの目を撮影することにより、ユーザの視線の方向(動き)を検出する。検出された視線方向に関する情報は注視領域判定部14に出力される。
【0015】
入力部13は、嗜好情報収集装置10に各種の情報を入力する入力装置である。入力部13は、例えば、キーボードやマウスなどを用いることができる。本実施形態では、画像表示部11に設けられた各領域30A~30Dに重畳してボタンスイッチ(不図示)が形成されている。そして、ユーザがマウスを使用して、比較画像31A~31Dからユーザが最も好ましいと思われる画像について、入力操作することにより該画像(例えば画像31B)が選択画像として選択される。選択された選択画像に関する情報は判定部16に出力される。
【0016】
注視領域判定部14は、視線検出部12によって検出されたユーザの視線に基づき、画像表示部11の各領域30A~30Dに視線がそれぞれ存在した時間を計測する。そして、注視領域判定部14は、画像表示部11の領域30A~30Dのうち、所定時間にユーザの視線が最も長く存在した領域(例えば領域30C)を判定する。注視領域判定部14は、判定された領域30Cに表示される画像31Cを注目画像として取得し、この注目画像に関する情報が判定部16に出力される。また、注視領域判定部14は、各領域30A~30Dに視線がそれぞれ存在した時間に関する情報を解析部18に出力する。ここで、所定時間は、例えば、画像表示部11の領域30A~30Dに比較画像31A~31Dが表示された時点からユーザによる選択画像の入力操作が行われた時点までの時間をいう。ユーザの視線が最も長く存在した領域とは、上記した所定時間内において、ユーザが注視した時間の総和が最も長い領域をいい、例えば、2つの領域の画像を交互に見比べるような不連続な時間であってもよい。また、その領域にユーザの視線が存在するとは、ユーザの視線が連続して一定時間(例えば0.1秒)以上、該領域で確認されることをいう。これにより、ユーザの意図に関係なく、たまたま領域が目に入った状態を排除することができ、ユーザの注視した領域(画像)を正確に判定できる。
【0017】
ユーザ情報部15は、ユーザの性別や、年齢、嗜好(興味のある分野)等のユーザの属性に関する情報(属性情報)を取得する。ユーザの属性に関する情報は、上記した複数の比較画像から選択画像を選択する一連の操作を行う際に、例えば入力部13を介して入力されるものとする。取得したユーザの属性情報は解析部18に出力される。
【0018】
判定部16は、入力部13を介して選択された選択画像と、注視領域判定部14により出力された注目画像とが一致するか否かを判定する。判定部16は、判定結果に関する情報を集計部17に出力する。
【0019】
集計部17は、入力された判定結果に基づいて画像のカウント(集計)を行う。例えば、選択画像と注目画像とが一致したと判定された場合、集計部17は、この選択画像をユーザの興味がある代表画像としてカウントする。また、選択画像と注目画像とが一致しないと判定された場合、集計部17は、注目画像のうち選択画像と一致しない画像を感覚画像としてカウントし、選択画像のうち注目画像と一致しない画像を論理画像としてカウントする。また、集計部17は、ユーザごとに代表画像、感覚画像、論理画像の数を集計し、その集計結果を解析部18に出力する。ここで、代表画像は、複数の比較画像の中からユーザの興味がある画像として選択されたものであり、複数のユーザから最も多く選択された代表画像が後述する推奨画像として取り扱われる。
【0020】
解析部18は、集計部17にてカウントされた代表画像、感覚画像及び論理画像を含む各画像の集計数に関する情報と、ユーザ情報部15から取得したユーザの属性に関する情報とに基づき、ユーザ属性に合わせた統計情報を生成する。この統計情報には、ユーザの嗜好調査における各種の代表画像、これら代表画像の管理番号、代表画像の数、論理画像の数、及び、各領域30A~30Dに視線がそれぞれ存在した時間を少なくとも含む。生成された統計情報は、画像制御部19に出力される。また、解析部18は、複数のユーザの統計情報に基づいて、最もカウント数の多い代表画像を推奨画像とする。この推奨画像は、多くのユーザが最も好ましいと感じる画像(嗜好情報)を示すものである。本実施形態では、複数の比較画像の中からユーザの興味がある画像として選択されたものを代表画像と判定しているため、所定のユーザ属性によってカテゴライズされた範囲において、複数のユーザから最も多く選択された代表画像は、これらユーザが最も好ましいと感じる推奨画像として把握することができる。
【0021】
画像制御部19は、対象となる製品の複数の比較画像を画像表示部11の所定の領域30A~30Dに表示するよう制御を行う。これらの比較画像は、製品ごとに予め組として設定されている。また、ユーザの画像選択の様子によって、比較画像の組を新たに設定してもよい。具体的には、画像制御部19は、選択画像と注目画像とが一致しないと判定された場合に、選択画像と注目画像とに予め設定された特徴点を抽出し、一致する特徴点を有する新たな比較画像を選択して、これら新たに選択した画像を画像表示部11に表示されていた画像と置き換えて画像表示部11に表示する。
【0022】
画像記憶部20は、対象となる製品について複数の比較画像を記憶しており、画像制御部19の制御により選択された画像を出力する。また、画像記憶部20は、画像制御部19の制御により、ユーザ属性に合わせた統計情報を記憶する。
【0023】
次に、嗜好情報収集装置10の処理の流れについて説明する。図2は、本実施形態にかかる嗜好情報収集装置10におけるユーザの嗜好調査の処理の流れを示すフローチャートである。図3は、選択画像と注目画像とに共通する特徴点を説明するための図である。
【0024】
嗜好情報収集装置10は、嗜好調査の対象となる比較画像を画像表示部11の各領域に表示する(ステップS1)。具体的には、嗜好情報収集装置10は、画像制御部19によって、画像記憶部20から対象の製品に関する複数の比較画像を読み出し、これら比較画像を画像表示部11の各領域に表示する。
【0025】
次に、嗜好情報収集装置10は、ユーザが選択した選択画像を入力する(ステップS2)。具体的には、嗜好情報収集装置10は、入力部13によるユーザの操作に基づいて、複数の比較画像の中からユーザが最も好ましいと思う画像を選択画像として選択し、この選択画像を入力する。この選択画像に関する情報は、判定部16に出力される。
【0026】
次に、嗜好情報収集装置10は、ユーザの属性情報を取得する(ステップS3)。嗜好情報収集装置10のユーザ情報部15は、入力部13によるユーザの操作に基づいて、ユーザの性別や、年齢、嗜好(趣味または興味のある分野)等のユーザの属性情報を取得する。図2の例では、選択画像が入力された後に、ユーザの属性情報を取得する構成としているが、ユーザの属性情報を取得するタイミングは、選択画像が入力される前であってもよい。
【0027】
次に、嗜好情報収集装置10は、視線検出に基づき、ユーザの注目画像を取得する(ステップS4)。具体的には、嗜好情報収集装置10は、注視領域判定部14により、ユーザの視線に基づき、画像表示部11の領域30A~30Dのうち、所定時間にユーザの視線が最も長く存在した領域(例えば領域30C)を判定する。そして、判定された領域30Cに表示される画像31Cを注目画像として取得する。この場合、所定時間は、画像表示部11の領域30A~30Dに比較画像31A~31Dが表示された時点からユーザによる選択画像の入力操作が行われた時点までの時間とする。また、取得された注目画像に関する情報は判定部16に出力される。
【0028】
次に、嗜好情報収集装置10は、選択画像と注目画像とが一致するか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、嗜好情報収集装置10は、判定部16に入力された情報に基づき、ユーザ自身が選択した選択画像と、ユーザが最も長い時間注目した注目画像とが一致するか否かを判定する。この判定において、選択画像と注目画像とが一致する場合(ステップS5;Yes)には、嗜好情報収集装置10は処理をステップS6へ移行する。
【0029】
これに対して、選択画像と注目画像とが一致しない場合(ステップS5;No)には、嗜好情報収集装置10は、一致しなかった選択画像を論理画像として集計する(ステップS9)。嗜好情報収集装置10は、集計部17により、論理画像の数を集計する。ここで、論理画像は、選択画像のうち注目画像と一致しない画像をいう。また、注目画像のうち選択画像と一致しない画像を感覚画像として集計してもよい。
【0030】
次に、嗜好情報収集装置10は、選択画像と注目画像の一致する特徴点を抽出する(ステップS10)。具体的には、図3において領域30Bに表示された画像31Bを選択画像とし、領域30Cに表示された画像31Cを注目画像として説明する。本実施形態では、これら画像31B、31Cには、製品(乗用車)の特徴点が予め設定されている。例えば乗用車であれば、車体全体の形状、車体の色、ヘッドライトの形状、リアランプの形状、ドアの形状、窓(サイドウインドウ)の形状、タイヤホイールの形状などが特徴点として設定されている。これらの特徴点は一例であり、これ以外の箇所に特徴点を設定してもよいし、特徴点の数を増減してもよい。嗜好情報収集装置10は、画像制御部19により、選択画像と注目画像の一致する特徴点を抽出する。画像制御部19は、選択画像と注目画像との画像解析を行うことにより、窓(サイドウインドウ)の形状32B、32Cを一致する特徴点として抽出する。
【0031】
次に、嗜好情報収集装置10は、抽出された特徴点と一致する特徴点を有する画像を選択する(ステップS11)。すなわち、嗜好情報収集装置10は、画像制御部19により、画像記憶部20に記憶された製品(乗用車)に関する画像の中から、選択画像及び注目画像の特徴点である窓の形状32B、32Cと同一の形状の窓(一致する特徴点)を有する画像を2つ選択する。そして、嗜好情報収集装置10は、選択画像と注目画像及び選択された2つの画像を加えて新たな比較画像を、画像表示部11に表示されていた画像と置き換えて表示させるとともに、処理をステップS1に戻して繰り返し処理を実行する。なお、嗜好情報収集装置10は、抽出された特徴点と一致する特徴点を有する画像を4つ選択し、これら選択された4つの画像を新たな比較画像としてもよい。
【0032】
上記したステップS5の判定において、選択画像と注目画像とが一致する場合(ステップS5;Yes)、嗜好情報収集装置10は、一致した選択画像をユーザの興味がある画像である代表画像として集計する(ステップS6)。代表画像は、複数(4つ)の比較画像の中で最もユーザが興味を持った画像である。本実施形態では、ユーザが実際に選択した選択画像とユーザが最も長く注目した注目画像とが一致した場合に、選択画像を代表画像とするため、選択画像を誤操作によって選択したケースを排除することができ、ユーザの興味がある代表画像を正確に集計することができる。
【0033】
次に、嗜好情報収集装置10は、追加調査があるか否かを判定する(ステップS7)。ここで、追加調査は、上記した嗜好調査において、同一製品(乗用車)における別の比較画像や、他の製品(例えばオートバイなど)の比較画像を用いてなされる。この判定において、追加調査がある場合(ステップS7;Yes)には、処理をステップS1に戻して繰り返し処理を実行する。
【0034】
また、追加調査がない場合(ステップS7;No)には、嗜好情報収集装置10は、ユーザ属性に合わせた統計情報を出力して(ステップS8)終了する。嗜好情報収集装置10は、解析部18により、ユーザの属性情報と該ユーザの調査結果とを対応づけて、ユーザ属性に合わせた統計情報を生成して、この統計情報を画像制御部19に出力する。画像制御部19は、この統計情報を画像記憶部20に記憶して処理を終了する。この統計情報には、ユーザの嗜好調査における各種の代表画像、代表画像の管理番号、代表画像の数、論理画像の数、及び、各領域30A~30Dに視線がそれぞれ存在した時間を少なくとも含む。
【0035】
次に、複数のユーザの統計情報から多くのユーザが最も好ましいと感じる画像(嗜好情報)を把握する処理の流れについて説明する。図4は、本実施形態にかかる嗜好情報収集装置における多くのユーザが最も好ましいと感じる画像を把握する処理の流れを示すフローチャートである。
【0036】
まず、嗜好情報収集装置10は、各ユーザの統計情報を入力する(ステップS21)。具体的には、画像制御部19は、ユーザごとに画像記憶部20に記憶された統計情報を読み出し、各ユーザの統計情報を解析部18に入力する。
【0037】
次に、嗜好情報収集装置10は、入力された各ユーザの統計情報に基づき、論理画像の数が所定の閾値を超えたユーザがいたか否かを判定する(ステップS22)。言い換えると、同一のユーザについてカウントされた論理画像の数が所定の閾値を超えたか否かを判定する。この所定の閾値は、適宜設定されるものであるが、例えば、ユーザへの一連の調査の数量の1/3~1/2に設定されることが好ましい。この判定において、嗜好情報収集装置10は、解析部18により、論理画像の数が、所定の閾値を超えたユーザがいないと判定した場合(ステップS22;No)には、処理をステップS25に移行する。
【0038】
一方、嗜好情報収集装置10は、論理画像の数が所定の閾値を超えたユーザがいたと判定した場合(ステップS22;Yes)には、解析部18により、この同一のユーザに関する統計情報の生成が終了するまでの間に、該ユーザの視線が検出されていない領域があったか否かを判定する(ステップS23)。同一のユーザに関する統計情報の生成が終了するまでの間とは、同一のユーザについて出力されたすべての注目画像に対応するすべての所定時間が経過するまでの間をいう。この場合、解析部18は、各領域30A~30Dに視線がそれぞれ存在した時間に基づき、視線が検出されていない領域があったか否かを判定する。この判定において、嗜好情報収集装置10は、同一のユーザに関する統計情報の生成が終了するまでの間に、該ユーザの視線が検出されていない領域はなかったと判定した場合(ステップS23;No)には、処理をステップS25に移行する。
【0039】
一方、嗜好情報収集装置10は、同一のユーザに関する統計情報の生成が終了するまでの間に、該ユーザの視線が検出されていない領域があったと判定した場合(ステップS23;Yes)には、該当するユーザの統計情報の使用を中止する(ステップS24)。すなわち、同一のユーザについてカウントされた論理画像の数が所定の閾値を超え、且つ同一のユーザについて出力されたすべての注目画像に対応するすべての所定時間が経過するまでの間に該ユーザの視線が検出されていない領域がある場合には、ユーザがこれらの嗜好調査をいいかげん(不正)に行っていると判断することができる。この種のユーザの統計情報は、ユーザの嗜好を正確に反映したものではないため、このユーザの統計情報を、複数のユーザが最も好ましいと感じる推奨画像の把握のために使用すると却ってノイズとなってしまうおそれがある。このため、本実施形態では、嗜好調査を正しく行っていないと思われるユーザの統計情報の使用を中止することで、複数のユーザの嗜好情報を正確に把握することができる。
【0040】
次に、嗜好情報収集装置10は、ユーザごとに代表画像を集計し(ステップS25)、ユーザ属性に対応して最も数の多い代表画像を推奨画像として、この推奨画像情報を出力する(ステップS26)。上記したように、代表画像は、比較画像の中で最もユーザが興味を持った画像である。嗜好情報収集装置10は、解析部18により、多数のユーザの代表画像をユーザの属性(性別や年齢ごと)に集計することで、カテゴライズされたユーザ属性において、多数のユーザが最も興味を持った画像である推奨画像を正確に解析(把握)することができる。嗜好情報収集装置10の解析部18は、ユーザ属性に対応した推奨画像情報を、例えば、外部の管理装置(不図示)に出力することより、多数のユーザが最も興味を持った最適な製品(商品)のデザインイメージとして提案することができる。
【0041】
以上、本実施形態にかかる嗜好情報収集装置10は、複数の画像31A~31Dを予め定められたそれぞれの領域30A~30Dに表示する画像表示部11と、画像表示部11に表示された複数の画像31A~31Dからユーザが選択した選択画像について選択操作を入力する入力部13と、ユーザが画像表示部11を注視した際に、該ユーザの視線を検出する視線検出部12と、画像表示部11の領域30A~30Dのうち、所定時間にユーザの視線が最も長く存在した領域を判定し、この領域の画像を注目画像として出力する注視領域判定部14と、選択画像と注目画像とが一致するか否かを判定する判定部16と、選択画像と注目画像とが一致したと判定された場合、該選択画像をユーザの興味がある代表画像としてカウントする集計部17と、を備える。このため、ユーザが実際に選択した選択画像とユーザが最も長く注目した注目画像とが一致した場合に、選択画像を代表画像とすることにより、選択画像を誤操作によって選択したケースを排除することができ、ユーザの興味がある代表画像を正確に集計することができる。従って、多くのユーザが最も好ましいと感じる画像(嗜好情報)をより正確に把握することができる。
【0042】
また、画像31A~31Dには、それぞれ予め特徴的な形状である特徴点が複数設定されており、選択画像と注目画像とが一致しないと判定された場合、選択画像の特徴点と注目画像の特徴点とを比較して一致する特徴点を抽出し、抽出された特徴点と同様の特徴点を有する新たな画像を選択して画像表示部11に表示されていた画像と置き換えて表示させる画像制御部19を備えるため、ユーザが注目した特徴点を有する画像をユーザに提供することができ、ユーザの興味がある代表画像を正確に集計することができる。
【0043】
また、集計部17は、ユーザごとに代表画像をカウントする。また、複数のユーザの代表画像の中で最も数の多い代表画像を、複数のユーザが最も好ましく感じる推奨画像とする解析部18を備えるため、カテゴライズされたユーザ属性において、多数のユーザが最も興味を持った推奨画像を正確に把握することができ、この推奨画像を、多数のユーザが最も興味を持った最適な製品のデザインイメージとして提案することができる。
【0044】
また、集計部17は、ユーザごとに選択画像のうち注目画像と一致しないと判定された画像を論理画像としてカウントし、解析部18は、同一のユーザについてカウントされた論理画像の数が閾値を超え、且つ同一のユーザについて出力されたすべての注目画像に対応するすべての所定時間が経過するまでの間に、複数の領域の中に該ユーザの視線が検出されない領域があった場合、そのユーザの統計情報(代表画像)を、推奨画像の把握に使用しないため、ユーザの嗜好を正確に反映していない情報を排除することができ、多くのユーザの嗜好情報を正確に把握することができる。
【0045】
以上、本実施形態に係る嗜好情報収集装置10について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。図示した嗜好情報収集装置10の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0046】
嗜好情報収集装置10の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0047】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 嗜好情報収集装置
11 画像表示部
12 視線検出部
12A カメラ
13 入力部
14 注視領域判定部
15 ユーザ情報部
16 判定部
17 集計部
18 解析部
19 画像制御部
20 画像記憶部
30A、30B、30C、30D 領域
31A、31B、31C、31D 画像
32B、32C 窓の形状(特徴点)
図1
図2
図3
図4