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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】トナー
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/097 20060101AFI20250319BHJP
【FI】
G03G9/097 371
G03G9/097 372
G03G9/097 374
G03G9/097 375
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021128067
(22)【出願日】2021-08-04
(65)【公開番号】P2023022946
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2024-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】菅原 正倫
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-129031(JP,A)
【文献】特開2020-112649(JP,A)
【文献】特開2020-129029(JP,A)
【文献】特開平03-068957(JP,A)
【文献】特開平09-249820(JP,A)
【文献】特開2019-191484(JP,A)
【文献】特開2007-047607(JP,A)
【文献】特開2013-200382(JP,A)
【文献】特開2001-013712(JP,A)
【文献】特開2009-128778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/08-9/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー粒子を含むトナーであって、
前記トナー粒子は、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを備え、
前記外添剤は、第1外添剤粒子と、フッ素含有粒子とを含み、
前記第1外添剤粒子は、酸化アルミニウム粒子と、前記酸化アルミニウム粒子を被覆する導電層と、前記導電層を被覆する単層又は多層の保護層とを備え、
前記導電層は、アンチモンドープ酸化スズを含有し、
前記保護層は、
チタネートカップリング剤に由来する成分を含有する層を有するか、又は
メチロールメラミン、ウレタン樹脂又は水酸化アルミニウムを含有する内層と、シランカップリング剤に由来する成分を含有する外層とを有し、
前記第1外添剤粒子の粉体比抵抗は、50Ω・cm以下であり、
前記第1外添剤粒子の個数平均1次粒子径は、60nm以上600nm以下である、トナー。
【請求項2】
前記保護層は、
チタネートカップリング剤に由来する成分を含有する層を含む単層構造、
チタネートカップリング剤に由来する成分を含有する内層と、シランカップリング剤に由来する成分又はシリコーンオイルを含有する外層とを含む2層構造、及び
メチロールメラミン、ウレタン樹脂又は水酸化アルミニウムを含有する内層と、シランカップリング剤に由来する成分を含有する外層とを含む2層構造のうち何れか1つを有する、請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記フッ素含有粒子の個数平均1次粒子径は、50nm以上300nm以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項4】
前記フッ素含有粒子は、フッ素樹脂粒子、又は第2外添剤粒子を含み、
前記第2外添剤粒子は、基体と、前記基体を被覆するフッ素成分層とを含み、
前記フッ素成分層は、フッ素含有シランカップリング剤に由来する成分又はフッ素変性シリコーンオイルを含有する、請求項1~3の何れか一項に記載のトナー。
【請求項5】
前記フッ素樹脂粒子は、ポリテトラフルオロエチレン、又はパーフルオロアルコキシフッ素樹脂を含有する、請求項4の何れか一項に記載のトナー。
【請求項6】
前記基体は、シリカ粒子である、請求項4又は5に記載のトナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法による画像形成においては、例えば、非磁性一成分現像剤が用いられる。非磁性一成分現像剤は、トナー粒子を含むトナーを有する。トナーは、所望の画像濃度の画像を安定して形成し続ける性能(画像濃度安定性)、及び帯電安定性に優れることが要求される。また、電子写真法による画像形成においては、感光体ドラムの表面にトナー成分が付着することでフィルミングと呼ばれる画像不良が発生することがある。そのため、トナーは、フィルミングの発生を抑制できる性能(耐フィルミング性)に優れることが要求される。
【0003】
画像濃度安定性及び帯電安定性に優れるトナーとして、例えば、フッ素樹脂粒子を含むトナーが検討されている。フッ素樹脂粒子は、表面の接着性が低い。そのため、フッ素樹脂粒子を含むトナーは、流動性に優れ、帯電安定性に優れる傾向がある。フッ素樹脂粒子を用いたトナーとして、例えば、結着樹脂及び着色剤を含むトナー粒子と、トナー粒子表面に付着されたポリテトラフルオロエチレン粒子と、単分散球状シリカ粒子とを含むトナーが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-197732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のトナーによっても、画像濃度安定性、帯電安定性及び耐フィルミング性の全てを満足できるわけではない。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像濃度安定性、帯電安定性及び耐フィルミング性に優れるトナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のトナーは、トナー粒子を含む。前記トナー粒子は、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを備える。前記外添剤は、第1外添剤粒子と、フッ素含有粒子とを含む。前記第1外添剤粒子は、酸化アルミニウム粒子と、前記酸化アルミニウム粒子を被覆する導電層と、前記導電層を被覆する単層又は多層の保護層とを備える。前記導電層は、アンチモンドープ酸化スズを含有する。前記保護層は、チタネートカップリング剤に由来する成分を含有する層を有するか、又はメチロールメラミン、ウレタン樹脂又は水酸化アルミニウムを含有する内層と、シランカップリング剤に由来する成分を含有する外層とを有する。前記第1外添剤粒子の粉体比抵抗は、50Ω・cm以下である。前記第1外添剤粒子の個数平均1次粒子径は、60nm以上600nm以下である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のトナーは、画像濃度安定性、帯電安定性及び耐フィルミング性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のトナーが含むトナー粒子の一例を示す図である。
図2】第1外添剤粒子の一例を示す図である。
図3】第1外添剤粒子の図2とは別の一例を示す図である。
図4】フッ素含有粒子の一例を示す図である。
図5】フッ素含有粒子の図4とは別の一例を示す図である。
図6】実施例でトナー回収性の評価において形成した評価画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、トナーは、トナー粒子の集合体(例えば粉体)である。外添剤は、外添剤粒子の集合体(例えば粉体)である。粉体(より具体的には、トナー粒子の粉体、外添剤粒子の粉体等)に関する評価結果(形状、物性等を示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から粒子を相当数選び取って、それら粒子の各々について測定した値の個数平均である。
【0011】
粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、ベックマン・コールター株式会社製「コールターカウンターマルチサイザー3」を用いてコールター原理(細孔電気抵抗法)に基づき測定した値である。
【0012】
粉体の個数平均1次粒子径は、何ら規定していなければ、走査型電子顕微鏡を用いて測定した1次粒子の円相当径(ヘイウッド径:1次粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。粉体の個数平均1次粒子径は、例えば100個の1次粒子の円相当径の個数平均値である。なお、粒子の個数平均1次粒子径は、特に断りがない限り、粉体中の粒子の個数平均1次粒子径を指す。
【0013】
帯電性は、何ら規定していなければ、摩擦帯電における帯電性を意味する。摩擦帯電における正帯電性の強さ(又は負帯電性の強さ)は、公知の帯電列などで確認できる。例えばトナーは、日本画像学会から提供される標準キャリア(負帯電性トナー用標準キャリア:N-01、正帯電性トナー用標準キャリア:P-01)と混ぜて攪拌することで、測定対象を摩擦帯電させる。摩擦帯電させる前と後とでそれぞれ、例えば帯電量測定装置(Q/mメーター)で測定対象の帯電量を測定し、摩擦帯電の前後での帯電量の変化が大きい測定対象ほど帯電性が強いことを示す。
【0014】
材料の「主成分」は、何ら規定していなければ、質量基準で、その材料に最も多く含まれる成分を意味する。
【0015】
疎水性の強さ(又は親水性の強さ)は、例えば水滴の接触角(水の濡れ易さ)で表すことができる。水滴の接触角が大きいほど疎水性が強い。
【0016】
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰り返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
【0017】
<トナー>
本発明の実施形態に係るトナーは、トナー粒子を含む。トナー粒子は、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを備える。外添剤は、第1外添剤粒子と、フッ素含有粒子とを含む。第1外添剤粒子は、酸化アルミニウム粒子と、酸化アルミニウム粒子を被覆する導電層と、導電層を被覆する単層又は多層の保護層とを備える。導電層は、アンチモンドープ酸化スズを含有する。保護層は、チタネートカップリング剤に由来する成分を含有する層を有するか、又はメチロールメラミン、ウレタン樹脂又は水酸化アルミニウムを含有する内層と、シランカップリング剤に由来する成分を含有する外層とを有する。第1外添剤粒子の粉体比抵抗は、50Ω・cm以下である。第1外添剤粒子の個数平均1次粒子径は、60nm以上600nm以下である。
【0018】
本発明のトナーは、例えば正帯電性トナーとして、静電潜像の現像に好適に用いることができる。トナーは、1成分現像剤として使用できる。トナーは、1成分現像剤として使用する場合、現像装置内において現像剤担持体又はトナー帯電部材と摩擦することで例えば正に帯電する。トナー帯電部材としては、例えば、現像剤規制ブレードが挙げられる。以下、トナーの詳細について、適宜図面を参照しながら説明する。
【0019】
本発明のトナーは、上述の構成を備えることにより、画像濃度安定性、帯電安定性及び耐フィルミング性に優れる。その理由を以下に説明する。本発明のトナーは、表面の接着性が低い粒子であるフッ素含有粒子を外添剤として含むため、流動性に優れる。そのため、本発明のトナーは、現像装置内において安定して帯電することができる。一方、フッ素含有粒子を含むトナーは、連続印刷を行った際に、現像剤担持体及びトナー帯電部材と、トナーとの間の電位差が過剰に大きくなることがある。詳しくは、フッ素含有粒子を含むトナーを用いて連続印刷を行うと、フッ素含有粒子の一部がトナーから脱離し、現像装置内の現像剤担持体及びトナー帯電部材に付着する。フッ素含有粒子は、負帯電性を有するため、フッ素含有粒子が付着した現像剤担持体及びトナー帯電部材は、負に帯電する。その結果、現像剤担持体及びトナー帯電部材と、トナーとの間の電位差が過剰に大きくなる。これにより、連続印刷の際に、現像剤担持体がトナーを搬送する量が次第に増加し、形成される画像の画像濃度が次第に増大する。
【0020】
これに対して、本発明のトナーは、外添剤として、フッ素含有粒子に加え、第1外添剤粒子を含む。第1外添剤粒子は、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)を含有する導電層を備えるため、導電性に優れる(粉体比抵抗が50Ω・cm以下)。本発明のトナーは、第1外添剤粒子を含むことで、現像剤担持体及びトナー帯電部材が負に帯電している場合においても、現像剤担持体及びトナー帯電部材とトナーとの間の電位差が過剰に大きくなることを抑制できる。その結果、本発明のトナーは、連続印刷した場合においても、形成される画像の画像濃度を一定に保つことができる。また、第1外添剤粒子が備える保護層は、疎水性が高く、強度に優れる。これにより、第1外添剤粒子は、長期に渡って上述の効果を発揮できる。そのため、本発明のトナーは、画像濃度安定性に優れる。更に、酸化アルミニウム粒子は、硬度が比較的高く、優れた研磨作用を有する。本発明のトナーは、酸化アルミニウム粒子を基体とする第1外添剤粒子を含むことで、感光体ドラムの表面を効率的にクリーニングできる。これにより、本発明のトナーは、感光体ドラムの表面に付着したトナー成分をクリーニングできるため、耐フィルミング性に優れる。更に、第1外添剤粒子は、適度な個数平均1次粒子径を有するため、上述の効果を安定して発揮することができる。
【0021】
以下、本発明のトナーの詳細を更に説明する。なお、以下に記載する各成分については、特に断りのない限り、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
[トナー粒子]
図1は、トナーに含まれるトナー粒子1の一例を示す。図1に示すトナー粒子1は、トナー母粒子2と、トナー母粒子2の表面に付着した外添剤3とを備える。外添剤3は、第1外添剤粒子3a、フッ素含有粒子3b及びシリカ粒子3cを含む。
【0023】
但し、本発明のトナーの含むトナー粒子は、図1に示すトナー粒子1とは異なる構造であってもよい。具体的には、トナー粒子は、外添剤として、少なくとも第1外添剤粒子及びフッ素含有粒子を含んでいればよい。また、トナー粒子は、外添剤として、第1外添剤粒子、フッ素含有粒子及びシリカ粒子以外の外添剤粒子(以下、その他の外添剤粒子と記載することがある)を更に含んでいてもよい。更に、トナー粒子は、シェル層を備えるトナー粒子(以下、カプセルトナー粒子と記載することがある)であってもよい。カプセルトナー粒子では、トナー母粒子が、例えば結着樹脂を含有するトナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを備える。以上、本発明のトナーに含まれるトナー粒子の詳細について、図1を基に説明した。
【0024】
[第1外添剤粒子]
図2は、第1外添剤粒子3aの一例を示す。図2に示す第1外添剤粒子3aは、酸化アルミニウム粒子4と、酸化アルミニウム粒子4を被覆する導電層5と、導電層5を被覆する多層の保護層6とを備える。多層の保護層6は、導電層5を直接被覆する内層6aと、内層6aを被覆する外層6bとを備える。
【0025】
図3は、第1外添剤粒子3aの図2とは別の一例を示す。図3に示す第1外添剤粒子3aは、酸化アルミニウム粒子4と、酸化アルミニウム粒子4を被覆する導電層5と、導電層5を被覆する単層の保護層7とを備える。図3に示す第1外添剤粒子3aは、図2に示す第1外添剤粒子3aと比較して、多層の保護層6の代わりに単層の保護層7を備えるという点で相違する。
【0026】
以上、第1外添剤粒子の例について、図2及び図3に沿って説明した。但し、第1外添剤粒子の構造は、図2及び図3に限定されない。具体的には、第1外添剤粒子は、導電層及び保護層に加え、他の層を更に備えていてもよい。また、導電層は、単層であることが好ましいが、多層であってもよい。更に、保護層は、単層又は2層であることが好ましいが、3層以上であってもよい。以下、第1外添剤粒子の詳細を更に説明する。
【0027】
第1外添剤粒子の粉体比抵抗としては、50Ω・cm以下であり、30Ω・cm以下が好ましい。第1外添剤粒子の粉体比抵抗を50Ω・cm以下とすることで、本発明のトナーは、画像濃度安定性に優れる。第1外添剤粒子の粉体比抵抗は実施例に記載の方法又はこれに準拠した方法より測定される。
【0028】
第1外添剤粒子の個数平均1次粒子径としては、60nm以上600nm以下が好ましく、150nm以上250nm以下がより好ましい。第1外添剤粒子の個数平均1次粒子径を60nm以上とすることで、トナー母粒子に第1外添剤粒子が埋没することを抑制できる。第1外添剤粒子の個数平均1次粒子径を600nm以下とすることで、トナー母粒子から第1外添剤粒子が脱離することを抑制できる。
【0029】
トナー粒子における第1外添剤粒子の含有量としては、トナー母粒子からの脱離を抑制しながらその機能を十分に発揮させる観点から、トナー母粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.3質量部以上2.0質量部以下がより好ましい。
【0030】
(酸化アルミニウム粒子)
酸化アルミニウム粒子は、第1外添剤粒子の基体である。酸化アルミニウム粒子は、酸化アルミニウム(詳しくは、Al23)を含有する。酸化アルミニウム粒子における酸化アルミニウムの含有割合としては、80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
【0031】
酸化アルミニウム粒子は、例えば、水酸化アルミニウムを焼成した後に、粉砕機を用いて粉砕することにより得ることができる。
【0032】
(導電層)
導電層は、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)を含有する。導電層におけるATOの含有割合としては、80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
【0033】
アンチモンドープ酸化スズを含有する導電層で酸化アルミニウム粒子を被覆する方法について説明する。まず、酸化アルミニウム粒子を水系溶媒(例えば、水)に分散させる。次いで、酸化アルミニウム粒子を含む懸濁液に、塩化第二スズ(SnCl4)と三塩化アンチモン(SbCl3)とを塩酸に溶解させた酸水溶液と、アルカリ水溶液(例えば、アンモニア水溶液)とを添加する。これにより、酸化アルミニウム粒子の表面上に被覆層が形成される。その後、被覆層が形成された酸化アルミニウム粒子を焼成(例えば、加熱温度600℃以上800℃以下、加熱時間1時間以上4時間以下)することにより、アンチモンドープ酸化スズを含有する導電層で被覆された酸化アルミニウム粒子が得られる。上述の酸水溶液及びアルカリ水溶液の添加時には、懸濁液のpH及び温度を一定範囲(例えば、pH6.5以上9.0以下、かつ60℃以上80℃以下)に維持するとよい。
【0034】
(保護層)
保護層は、導電層の剥離を抑制する。保護層は、単層構造又は多層構造(例えば、2層構造)を有する。具体的には、保護層は、チタネートカップリング剤に由来する成分を含有する層を有するか、又はメチロールメラミン、ウレタン樹脂又は水酸化アルミニウムを含有する内層と、シランカップリング剤に由来する成分を含有する外層とを有する。保護層は、上述の層構造を有するため、疎水性が高く、強度に優れる。詳しくは、チタネートカップリング剤に由来する成分を含有する層は、疎水性が高く、強度に優れるため、単独で保護層としての機能を発揮する。メチロールメラミン、ウレタン樹脂又は水酸化アルミニウムを含有する内層は、強度に優れる。シランカップリング剤に由来する成分を含有する外層は、疎水性が高い。そのため、上述の内層及び外層を組み合わせることで、保護層としての機能を発揮する。
【0035】
保護層は、上述した各層に加え、他の層を更に有していてもよい。他の層としては、例えば、シリコーンオイルを含有する層が挙げられる。シリコーンオイルを含有する層は、シランカップリング剤に由来する成分を含有する外層と同様に、疎水性が高いため、外層として適している。
【0036】
(チタネートカップリング剤)
チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、又はイソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネートが挙げられる。チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートが好ましい。
【0037】
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤としては、アルキルアルコキシシランが挙げられる。アルキルアルコキシシランが有するアルキル基としては、炭素原子数3以上8以下のアルキル基が好ましい。
【0038】
アルキルアルコキシシランとしては、例えば、プロピルトリメトキシシラン(より具体的には、n-プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン等)、プロピルトリエトキシシラン(より具体的には、n-プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン等)、ブチルトリメトキシシラン(より具体的には、n-ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン等)、ブチルトリエトキシシラン(より具体的には、n-ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン等)、ヘキシルトリメトキシシラン(より具体的には、n-ヘキシルトリメトキシシラン等)、ヘキシルトリエトキシシラン(より具体的には、n-ヘキシルトリエトキシシラン等)、オクチルトリメトキシシラン(より具体的には、n-オクチルトリメトキシシラン等)、及びオクチルトリエトキシシラン(より具体的には、n-オクチルトリエトキシシラン等)が挙げられる。
【0039】
シランカップリング剤としては、アルキルアルコキシシランが好ましく、モノアルキルトリアルコキシシランがより好ましく、イソブチルトリエトキシシランが更に好ましい。
【0040】
(シリコーンオイル)
シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイル(より具体的には、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、及びメチルハイドロジェンシリコーンオイル等)、反応性の変性シリコーンオイル(より具体的には、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、メタクリル酸変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、及びアルコール変性シリコーンオイル等)、及び非反応性の変性シリコーンオイル(より具体的には、アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、及びメチルスチリル変性シリコーンオイル等)が挙げられる。シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルが好ましく、メチルハイドロジェンシリコーンオイルがより好ましい。
【0041】
保護層を形成する方法としては、例えば、導電層で被覆された酸化アルミニウム粒子を含む溶液を攪拌しながら保護層の原料成分を滴下又は噴霧した後に加熱する方法、及び保護層の原料成分の溶液を攪拌しながらその溶液中に導電層で被覆された酸化アルミニウム粒子を添加した後に加熱する方法が挙げられる。
【0042】
保護層の原料成分としては、ポリ塩化アルミニウムと塩基性溶液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)との組み合わせ、チタネートカップリング剤、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シランカップリング剤及びシリコーンオイルが挙げられる。なお、保護層の原料成分としてポリ塩化アルミニウム及び塩基性溶液の組み合わせを用いた場合、水酸化アルミニウムを含有する保護層が形成される。
【0043】
第1外添剤粒子における保護層の層構造としては、下記(A)~(C)が好ましい。
(A)チタネートカップリング剤に由来する成分を含有する層を含む単層構造。
(B)チタネートカップリング剤に由来する成分を含有する内層と、シランカップリング剤に由来する成分又はシリコーンオイルを含有する外層とを含む2層構造。
(C)メチロールメラミン、ウレタン樹脂又は水酸化アルミニウムを含有する内層と、シランカップリング剤に由来する成分を含有する外層とを含む2層構造。
【0044】
第1外添剤粒子は、酸化アルミニウム粒子に対し、導電層及び保護層を上述の方法により順次被覆することにより調製できる。
【0045】
[フッ素含有粒子]
フッ素含有粒子は、フッ素成分を含有する粒子である。フッ素成分としては、例えば、フッ素樹脂、フッ素含有シランカップリング剤に由来する成分、及びフッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。
【0046】
フッ素含有粒子としては、フッ素樹脂粒子、又は第2外添剤粒子が好ましい。第2外添剤粒子は、基体と、基体を被覆するフッ素成分層とを含む。フッ素成分層は、フッ素含有シランカップリング剤に由来する成分又はフッ素変性シリコーンオイルを含有する。
【0047】
図4は、フッ素含有粒子3bの一例を示す。図4に示すフッ素含有粒子3bは、フッ素樹脂粒子8である。図5は、フッ素含有粒子3bの図4とは別の一例を示す。図5に示すフッ素含有粒子3bは、基体9と、基体9を被覆するフッ素成分層10とを備える第2外添剤粒子である。
【0048】
以上、フッ素含有粒子の例について、図面に沿って説明した。但し、フッ素含有粒子の構造は、図4及び図5に限定されない。具体的には、第2外添剤粒子は、フッ素成分層以外の他の層を更に備えていてもよい。また、フッ素成分層は、単層であることが好ましいが、多層であってもよい。以下、フッ素含有粒子の詳細を更に説明する。
【0049】
(フッ素樹脂粒子)
フッ素樹脂粒子は、フッ素樹脂を含有する。フッ素樹脂粒子におけるフッ素樹脂の含有割合としては、80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
【0050】
フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレn-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体が挙げられる。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン又はパーフルオロアルコキシフッ素樹脂が好ましい。
【0051】
(第2外添剤粒子)
第2外添剤粒子は、基体と、基体を被覆するフッ素成分層とを含む。フッ素成分層は、フッ素含有シランカップリング剤に由来する成分又はフッ素変性シリコーンオイルを含有する。
【0052】
第2外添剤粒子において、基体100質量部に対するフッ素成分層の質量としては、1質量部以上40質量部以下が好ましく、5質量部以上20質量部以下がより好ましい。
【0053】
フッ素成分層を形成する方法としては、例えば、基体を含む溶液を攪拌しながらフッ素成分層の原料成分を滴下又は噴霧した後に加熱する方法、及びフッ素成分層の原料成分の溶液を攪拌しながらその溶液中に基体を添加した後に加熱する方法が挙げられる。
【0054】
(基体)
第2外添剤粒子の基体としては、例えば、シリカ粒子、金属酸化物粒子(例えば、酸化アルミニウム粒子及び酸化チタン粒子)及び樹脂粒子が挙げられる。第2外添剤粒子の基体としては、シリカ粒子が好ましい。
【0055】
(フッ素含有シランカップリング剤)
フッ素含有シランカップリング剤としては、例えば、CF3(CH22Si(OCH33、C49CH2CH2Si(OCH33、C817CH2CH2Si(OCH33、C715COOCH2CH2CH2Si(OCH33、C715COSCH2CH2CH2Si(OCH33、C715CONHCH2CH2CH2Si(OC253、C715CONHCH2CH2CH2Si(OCH33、C817SO2NHCH2CH2CH2Si(OC253、C817CH2CH2SCH2CH2Si(OCH33、C1021CH2CH2SCH2CH2Si(OCH33、C817CH2CH2SiCH3(OCH32、C817SO2N(CH2CH2CH3)CH2CH2CH2Si(OCH33、及びC817SO2NHCH2CH2N(SO2817)CH2CH2CH2Si(OCH33が挙げられる。フッ素含有シランカップリング剤としては、CF3(CH22Si(OCH33が好ましい。
【0056】
(フッ素変性シリコーンオイル)
フッ素変性シリコーンオイルとしては、例えば、フルオロアルキル基を有するシリコーンオイル(例えば、信越化学工業株式会社製「FL-100」)が挙げられる。
【0057】
フッ素含有粒子の個数平均1次粒子径としては、50nm以上300nm以下が好ましく、75nm以上150nm以下がより好ましい。フッ素含有粒子の個数平均1次粒子径を50nm以上とすることで、トナー母粒子にフッ素含有粒子が埋没することを抑制できる。フッ素含有粒子の個数平均1次粒子径を300nm以下とすることで、トナー母粒子からフッ素含有粒子が脱離することを抑制できる。
【0058】
トナー粒子におけるフッ素含有粒子の含有量としては、トナー母粒子からの脱離を抑制しながらその機能を十分に発揮させる観点から、トナー母粒子100質量部に対して、0.05質量部以上3.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上1.0質量部以下がより好ましい。
【0059】
[シリカ粒子]
外添剤粒子として用いるシリカ粒子としては、正帯電性を付与する表面処理が施されたシリカ粒子が好ましい。シリカ粒子の個数平均1次粒子径としては、10nm以上300nm以下が好ましく、15nm以上80nm以下がより好ましい。シリカ粒子の個数平均1次粒子径を10nm以上とすることで、トナー母粒子への埋没を抑制できる。シリカ粒子の個数平均1次粒子径を300nm以下とすることで、トナー母粒子からの脱離を抑制できる。
【0060】
トナー母粒子からの脱離を抑制しながらシリカ粒子の機能を十分に発揮させる観点から、トナー粒子におけるシリカ粒子の含有量としては、トナー母粒子100質量部に対して、0.1質量部以上15.0質量部以下が好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下がより好ましい。
【0061】
(その他の外添剤粒子)
その他の外添剤粒子としては、例えば、金属酸化物(具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等)の粒子、脂肪酸金属塩(具体的には、ステアリン酸亜鉛等)のような有機酸化合物の粒子、及び樹脂粒子が挙げられる。
【0062】
[トナー母粒子]
トナー母粒子としては、特に限定されず、公知のトナーにおけるトナー母粒子を用いることができる。トナー母粒子は、例えば主成分として結着樹脂を含有する。トナー母粒子は、必要に応じて、内添剤(例えば、着色剤、離型剤及び電荷制御剤の少なくとも1つ)を更に含有してもよい。トナー母粒子の製造方法としては、粉砕法及び凝集法が挙げられ、粉砕法が好ましい。
【0063】
良好な画像を形成する観点から、トナー母粒子の体積中位径(D50)としては、4μm以上9μm以下が好ましい。
【0064】
(結着樹脂)
低温定着性に優れたトナーを提供する観点から、トナー母粒子は、結着樹脂として熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、結着樹脂全体の85質量%以上の割合で熱可塑性樹脂を含有することがより好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、N-ビニル樹脂等)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰り返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン-アクリル酸エステル系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂等)も、結着樹脂として使用できる。結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましい。
【0065】
トナー母粒子における結着樹脂の含有割合としては、60質量%以上95質量%以下が好ましく、75質量%以上90質量%以下がより好ましい。
【0066】
(着色剤)
トナー母粒子は、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質な画像を形成する観点から、着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましい。
【0067】
トナー母粒子は、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
【0068】
トナー母粒子は、カラー着色剤を含有していてもよい。カラー着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤が挙げられる。
【0069】
(離型剤)
トナー母粒子は、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、トナーに耐オフセット性を付与する目的で使用される。トナーに充分な耐オフセット性を付与させる観点から、離型剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましい。
【0070】
離型剤としては、例えば、脂肪族炭化水素系ワックス、脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックス、及び脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスが挙げられる。脂肪族炭化水素系ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス及びフィッシャートロプシュワックスが挙げられる。脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物としては、例えば、酸化ポリエチレンワックス、及び酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体が挙げられる。植物系ワックスとしては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、及びライスワックスが挙げられる。動物系ワックスとしては、例えば、みつろう、ラノリン及び鯨ろうが挙げられる。鉱物系ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セレシン、及びペトロラタムが挙げられる。脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックスとしては、例えば、モンタン酸エステルワックス及びカスターワックスが挙げられる。脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスとしては、例えば、脱酸カルナバワックスが挙げられる。離型剤としては、カルナバワックスが好ましい。
【0071】
トナー母粒子が離型剤を含有する場合、結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナー母粒子に添加してもよい。
【0072】
(電荷制御剤)
トナー母粒子は、電荷制御剤を含有してもよい。電荷制御剤は、例えば、優れた帯電安定性又は優れた帯電立ち上がり特性を有するトナーを提供する目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電させることができるか否かの指標になる。トナー母粒子に正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナー母粒子のカチオン性を強めることができる。
【0073】
正帯電性の電荷制御剤としては、例えば、アジン化合物、直接染料、酸性染料、アルコキシル化アミン、アルキルアミド、4級アンモニウム塩、及び4級アンモニウムカチオン基を含む樹脂が挙げられる。電荷制御剤としては、4級アンモニウム塩、又は4級アンモニウムカチオン基を含む樹脂が好ましい。
【0074】
帯電安定性に優れるトナーを得る観点から、電荷制御剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、3質量部以上10質量部以下がより好ましい。
【0075】
[トナーの製造方法]
トナーは、例えば、トナー母粒子の調製工程と、外添工程とを備える製造方法により製造できる。
【0076】
(トナー母粒子の調製工程)
トナー母粒子の調製工程では、例えば、凝集法又は粉砕法によりトナー母粒子を調製する。
【0077】
凝集法は、例えば、凝集工程及び合一化工程を含む。凝集工程では、トナー母粒子を構成する成分を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて、凝集粒子を形成する。合一化工程では、凝集粒子に含まれる成分を水性媒体中で合一化させてトナー母粒子を形成する。
【0078】
次に粉砕法を説明する。粉砕法によれば、比較的容易にトナー母粒子を調製できる上、製造コストの低減が可能である。粉砕法でトナー母粒子を調製する場合、トナー母粒子の調製工程は、例えば溶融混練工程と、粉砕工程とを備える。トナー母粒子の調製工程は、溶融混練工程の前に混合工程を更に備えてもよい。また、トナー母粒子の調製工程は、粉砕工程後に、微粉砕工程及び分級工程の少なくとも一方を更に備えてもよい。
【0079】
混合工程では、結着樹脂と、必要に応じて添加する内添剤とを混合して、混合物を得る。溶融混練工程では、トナー材料を溶融及び混練して、溶融混練物を得る。トナー材料としては、例えば混合工程で得られる混合物が用いられる。粉砕工程では、得られた溶融混練物を、例えば室温(25℃)まで冷却した後、粉砕して粉砕物を得る。粉砕工程で得られた粉砕物の小径化が必要な場合は、粉砕物を更に粉砕する工程(微粉砕工程)を実施してもよい。また、粉砕物の粒径を揃える場合は、得られた粉砕物を分級する工程(分級工程)を実施してもよい。以上の工程により、粉砕物であるトナー母粒子が得られる。
【0080】
(外添工程)
本工程では、トナー母粒子の表面に第1外添剤粒子及びフッ素樹脂粒子を含む外添剤を付着させることでトナー粒子を得る。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる方法としては、特に限定されないが、例えば、トナー母粒子及び外添剤をミキサー等で攪拌する方法が挙げられる。
【実施例
【0081】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
【0082】
(個数平均1次粒子径の測定)
外添剤粒子の個数平均1次粒子径は、以下の方法で測定した。まず、透過電子顕微鏡(TEM)(株式会社日立ハイテクノロジーズ製「H-7100FA」)を用いて、測定対象となる外添剤粒子を倍率1000000倍で観察して、100個以上の外添剤粒子のTEM写真を撮影した。得られたTEM写真の中から、100個の外添剤粒子のTEM写真を任意に選択した。任意に選択されたTEM写真について、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、円相当径を測定した。測定された円相当径の個数平均値を算出した。算出された個数平均値を外添剤粒子の個数平均1次粒子径とした。
【0083】
(粉体比抵抗の測定)
電気抵抗計(株式会社アドバンテスト製「R6561」)の円筒状の測定セルに測定対象(第1外添剤粒子)5gを投入した。なお、測定セルは、底面が金属製の電極であり、筒部がフッ素樹脂製であった。続けて、測定セルに充填した測定対象に電気抵抗計の電極(superscript:2、長さ25.4mm)を繋いだ。この電極に1kgの荷重をかけた。続けて、両電極間にDC電圧10Vを印加し、印加開始から1分後における測定対象の電気抵抗を測定した。なお、印加開始から測定終了までの間は1kgの荷重を電極にかけ続けた。測定は、温度25℃、湿度50%RHの環境下で行った。そして、測定された電気抵抗の値と、電気抵抗測定時における測定対象(詳しくは、測定セルに充填された測定対象)の寸法とに基づき、下記式に基づいて測定対象の粉体比抵抗(体積固有抵抗値)を求めた。
粉体比抵抗[Ω・cm]=電気抵抗値×電流路の断面積/電流路の長さ
【0084】
(脱離Sn強度の測定)
ガラス瓶に、測定対象(第1外添剤粒子)5gと、エタノール25gとを投入し、沈殿物がなくなるまでハンドシェイクし、混合物を得た。次に、混合物に対して、卓上超音波分散機(株式会社エスエヌディ製「US-2KS」、出力:100W、発振周波数:28kHz)を用いて、超音波処理を1分間施した。次に、混合物に対して、エタノール10gを更に添加し、沈殿物がなくなるまでハンドシェイクした。次に、混合物に対して、超音波分散機(超音波工業株式会社製「ミニウェルダーUPW0128A1H」、出力:100W、発振周波数:28kHz)を用いて、超音波処理を5分間施した。次に、混合物を遠心管に移し、8000rpmで1分間の遠心分離処理を行った。次に、遠心分離後の混合物から上澄みを回収した。上述の上澄み1000μLを、X線測定用の微量粉末用容器(株式会社リガク製「3399O053」、外径20mm)に添加し、上澄みを乾燥させた。上澄みが添加された微量粉末用容器を用いて、以下の条件で蛍光X線分析を行った。これにより、測定対象にストレス(超音波処理)を加えた際にエタノールに脱離するSnの強度を測定した。
【0085】
(蛍光X線分析)
・分析装置:走査型蛍光X線分析装置(株式会社リガク製「ZSX」)
・X線管球(X線源):Rh(ロジウム)
・励起条件:管電圧50kV、管電流50mA
・測定領域(X線照射範囲):直径30mm
・測定元素:Sn
【0086】
<トナーの調製>
以下の方法により、実施例1~19及び比較例1~12のトナーを調製した。以下の説明において、「粉砕機」とは、日本ニューマチック工業株式会社製「ジェットミル(登録商標)I-2型」を示す。この粉砕機は、衝突板としてセラミック製の平板を使用した。「攪拌装置」とは、モーター(アズワン株式会社販売「アズワントルネードモーター1-5472-04」)に攪拌羽根(アズワン株式会社販売「アズワン攪拌羽根R-1345型」)を取り付けた装置を示す。
【0087】
[フッ素含有粒子の調製]
まず、フッ素含有粒子(F-1)~(F-6)を調製した。フッ素含有粒子(F-1)~(F-6)の詳細を下記表1に示す。
【0088】
(フッ素含有粒子(F-1)の調製)
ステンレス製アンカー型攪拌翼と、温度調節用ジャケットとを備えたオートクレーブを反応容器として用いた。反応容器に、脱イオン水(3.5L)、パーフルオロオクタン酸アンモニウム(5g)、及びパラフィンワックス(日本精蝋株式会社製「Paraffin Wax-115」、35g)を投入した。窒素ガス及びテトラフルオロエチレン(TFE)で反応容器内を置換した後に、TFEを反応容器に更に圧入し、攪拌速度250rpmで反応容器の内容物を攪拌しつつ、反応容器の内容物の温度が45℃となるように反応容器を加熱し、この温度を保持した。過硫酸アンモニム水溶液(濃度:1.6質量%)及びジコハク酸パーオキサイド水溶液(濃度:2.4質量%)を圧入しながら、反応容器内の圧力が一定(0.75MPa)になるようにTFEを供給し続けた。これにより、60分間の重合反応を行った。重合開始から60分後、TFEの供給及び反応容器の内容物の攪拌を停止し、重合反応を終了させた。重合反応により得られたラテックス状の反応生成物に、ハイドロパーフルオロノナン酸アンモニム水溶液(濃度:10質量%)(200g)を投入した。次に、反応生成物に温水を投入し、温度50℃に調整した。次に、反応生成物に硝酸(濃度:60質量%)(20mL)を添加すると同時に、反応生成物を攪拌速度600rpmで攪拌した。その結果、反応生成物からフッ素樹脂粒子が凝析し始めた。次に、反応生成物を1.5時間攪拌(攪拌時間X)し続けることにより、フッ素樹脂粒子と溶媒とを十分に分離させた。次に、フッ素樹脂粒子から溶媒を除去し、乾燥させた。得られたフッ素樹脂粒子(ポリテトラフルオロエチレン粒子、個数平均1次粒子径98nm)を、フッ素含有粒子(F-1)とした。
【0089】
(フッ素含有粒子(F-2)~(F-3)の調製)
攪拌時間Xを下記表1に示す通りに変更した以外は、フッ素含有粒子(F-1)の調製と同様の方法により、フッ素含有粒子(F-2)~(F-3)を調製した。
【0090】
(フッ素含有粒子(F-4)の準備)
パーフルオロアルコキシフッ素樹脂粒子(三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社製「PFA-945HP PLUS」)を用意し、これをフッ素含有粒子(F-4)とした。
【0091】
(フッ素含有粒子(F-5)の調製)
反応容器に、トルエン100mLを投入した後、フッ素含有シランカップリング剤(CF3(CH22Si(OCH33)15gを更に投入し、フッ素含有シランカップリング剤をトルエンに溶解させた。次に、反応容器に、シリカ粒子(扶桑化学工業株式会社製「クォートロン(登録商標)PL-10H」、個数平均1次粒子径90nm)100gを更に投入した。次に、反応容器の内容物を十分に攪拌した後、130℃で120分間加熱した。次に、反応容器の内容物をピンミル(株式会社奈良機械製作所製「サンプルミルSAM-0型」)で解砕した。これにより、フッ素含有粒子(F-5)(個数平均1次粒子径98nm)を得た。フッ素含有粒子(F-5)は、シリカ粒子と、フッ素含有シランカップリング剤に由来する成分を含有するフッ素成分層とを含んでいた。
【0092】
(フッ素含有粒子(F-6)の調製)
ステンレス製の反応容器に、シリカ粒子(扶桑化学工業株式会社製「クォートロン(登録商標)PL-10H」、個数平均1次粒子径90nm)100gを投入した。反応容器内を窒素雰囲気にした後、室温にて反応容器の内容物を攪拌しながら、フッ素変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製「FL-100」)15gと、n-ヘキサン10mLとを反応容器の内容物に噴霧した。噴霧終了後、窒素雰囲気を維持したまま、反応容器の内容物を更に室温で30分間攪拌した。次に、反応容器の内容物を100℃で50分間攪拌した後、更に200℃で1.5時間攪拌した。次に、反応容器の内容物を放冷することにより、フッ素含有粒子(F-6)(個数平均1次粒子径98nm)を得た。フッ素含有粒子(F-6)は、シリカ粒子と、フッ素変性シリコーンオイルを含有するフッ素成分層とを含んでいた。
【0093】
【表1】
【0094】
[第1外添剤粒子の調製]
以下の方法により、第1外添剤粒子(A)~(T)を調製した。まず、調製において行った各保護層の形成処理についてまとめて説明する。なお、以下においては、各保護層の形成処理に供した粒子を「処理対象粒子」と記載する。
【0095】
(保護層(TTS)の形成処理)
処理対象粒子300gと、下記表2の「量A」で示される量のチタネートカップリング剤(味の素株式会社製「プレンアクト(登録商標)TTS」、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート)とを、混合装置(株式会社カワタ製「ナノパージョンピッコロ」)に投入し、80℃、1時間、6000rpmの条件で混合した。その後、得られた混合物を110℃で12時間乾燥させた。その後、乾燥後の混合物を、粉砕機を用いて粉砕圧0.6MPaで粉砕した。これにより、チタネートカップリング剤に由来する成分を含有する保護層で被覆された処理対象粒子を得た。
【0096】
(保護層(MM)の形成処理)
混合装置(プライミクス社製「T.K.ハイビスディスパーミックスHM-3D-5型」)を用い、イオン交換水1.5Lと、処理対象粒子300gとを、常温にて30分間、30rpmの条件で攪拌することで分散液を調製した。得られた分散液に、下記表2の「量A」で示される量のメチロールメラミン(日本カーバイド工業株式会社製「ニカレジン(登録商標)S-260」)を投入し、常温にて5分間、30rpmの条件で攪拌して混合した。混合後、混合装置の内容物を、温度計及び攪拌羽根を備えたセパラブルフラスコに移した。セパラブルフラスコの内容物を、攪拌装置を用いて200rpmの条件で攪拌しながら35℃から70℃まで5℃/15分の速度で昇温させた。次いで、温度を70℃に維持しつつ、30分間、回転数90rpmの条件で、セパラブルフラスコの内容物を攪拌した。これにより、処理対象粒子の表面に保護層を形成した。その後、セパラブルフラスコの内容物を、常温まで冷却した後、ブフナーロートを用いてろ取した。得られたウェットケーキ状のろ物をエタノール水溶液(エタノール50質量%)に分散させることでスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)に供給し、スラリーを乾燥させることで粗粉体を得た。連続式表面改質装置を用いた乾燥条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分とした。得られた粗粉体を、粉砕機を用いて粉砕圧0.6MPaで粉砕した。これにより、メチロールメラミン樹脂を含有する保護層で被覆された処理対象粒子を得た。
【0097】
(保護層(sUR)の形成処理)
混合装置(プライミクス社製「T.K.ハイビスディスパーミックスHM-3D-5型」)を用い、イオン交換水1.5Lと、処理対象粒子300gとを、常温にて30分間、30rpmの条件で攪拌することで分散液を調製した。得られた分散液に、下記表2の「量A」で示される量の水溶性ウレタン樹脂(第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス(登録商標)170」、固形分濃度30質量%の水溶液)を投入し、常温にて5分間、30rpmの条件で攪拌して混合した。混合後、混合装置の内容物を、温度計及び攪拌羽根を備えたセパラブルフラスコに移した。セパラブルフラスコの内容物を、攪拌装置を用いて200rpmの条件で攪拌しながら35℃から70℃まで5℃/15分の速度で昇温させた。次いで、温度を70℃に維持しつつ、30分間、回転数90rpmの条件で、セパラブルフラスコの内容物を攪拌した。その後、セパラブルフラスコの内容物を、常温まで冷却した後、ブフナーロートを用いてろ取した。得られたウェットケーキ状のろ物をエタノール水溶液(エタノール50質量%)に分散させることでスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)に供給し、スラリーを乾燥させることで粗粉体を得た。連続式表面改質装置を用いた乾燥条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分とした。得られた粗粉体を、粉砕機を用いて粉砕圧0.6MPaで粉砕した。これにより、ウレタン樹脂を含有する保護層で被覆された処理対象粒子を得た。
【0098】
(保護層(pAl)の形成処理)
混合装置(プライミクス社製「T.K.ハイビスディスパーミックスHM-3D-5型」)を用い、イオン交換水1.5Lと、処理対象粒子300gとを、常温にて30分間、30rpmの条件で攪拌することで分散液を調製した。得られた分散液を45℃に加熱した後、ポリ塩化アルミニウム水溶液(高杉製薬株式会社製、濃度61.3g/L)と、5N水酸化ナトリウム水溶液とを同時に滴下した。ポリ塩化アルミニウム水溶液の添加量は、有効成分(ポリ塩化アルミニウム)が下記表2の「量A」で示される量となるように調整した。滴下においては、分散液を45℃に保ち、かつ分散液のpHが6.0に保たれるように滴下量を調節した。滴下後の分散液を30℃に冷却した後、ブフナーロートを用いてろ取した。得られたウェットケーキ状のろ物を、エタノール水溶液(エタノール50質量%)に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)に供給し、スラリーを乾燥させることで粗粉体を得た。連続式表面改質装置を用いた乾燥条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分とした。得られた粗粉体を、粉砕機を用いて粉砕圧0.6MPaで粉砕した。これにより、水酸化アルミニウムを含有する保護層で被覆された処理対象粒子を得た。
【0099】
(保護層(iBTMS)の形成処理)
処理対象粒子300gと、下記表2の「量A」で示される量のシランカップリング剤(東京化成工業株式会社製「イソブチルトリエトキシシラン」)と、エタノール水溶液(エタノール90質量%)50gとを混合した。得られた混合液を、混合装置(株式会社カワタ製「ナノパージョンピッコロ」)に投入し、80℃、1時間、6000rpmの条件で混合した。その後、得られた混合物を110℃で12時間乾燥させた。その後、乾燥後の混合物を、粉砕機を用いて粉砕圧0.6MPaで粉砕した。これにより、シランカップリング剤に由来する成分を含有する保護層で被覆された処理対象粒子を得た。
【0100】
(保護層(SiO)の形成処理)
混合装置(プライミクス社製「T.K.ハイビスディスパーミックスHM-3D-5型」)に、n-ヘキサン(和光純薬工業株式会社製「n-ヘキサン一級」)1.5Lと、下記表2の「量A」で示される量のメチルハイドロジェンシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製「KF-99」)とを投入して、メチルハイドロジェンシリコーンオイルをn-ヘキサンに溶解させた。次いで、混合装置内のn-ヘキサン溶液に、処理対象粒子300gを加えた。その後、常温にて30分間、30rpmの条件で、混合装置の内容物を攪拌した。攪拌後、混合装置の内容物を、温度計及び攪拌羽根を備えたセパラブルフラスコに移した。セパラブルフラスコの内容物を、攪拌装置を用いて200rpmの条件で攪拌しながら35℃から70℃まで5℃/15分の速度で昇温した。その後、セパラブルフラスコの内容物の温度を70℃に維持しつつ、減圧乾燥機にて乾燥させた(減圧乾燥処理)。減圧乾燥処理は、フラスコの内容物が完全に乾燥して質量が一定になるまで続けた。減圧乾燥処理後の内容物を電気炉に投入し、窒素雰囲気下、200℃で3時間の焼成を行った。焼成により得られた粗粉体を、粉砕機を用いて粉砕圧0.6MPaで粉砕した。これにより、シリコーンオイルを含有する保護層で被覆された処理対象粒子を得た。
【0101】
(第1外添剤粒子(A)の調製)
(酸化アルミニウム粒子の調製)
耐圧容器に、高速回転剪断攪拌機(エム・テクニック株式会社製「クレアミックス(登録商標)CLM-2.2S」、使用ローターの最長径57mm、最短径25mm、クリアランス0.3mm)を設置し、これを反応容器とした。反応容器に、アルミニウムイソプロポキシド及びイソプロピルアルコールの混合液A(アルミニウムイソプロポキシドの濃度:60質量%)と、水及びイソプロピルアルコールの混合液B(水の濃度:30質量%)とを用意した。反応容器に混合液A及びBを連続的に投入しながら反応容器の内容物を70℃で攪拌した。混合液A及びBの投入量は、アルミニウムイソプロポキシドに対する水のモル比(水/アルミニウムイソプロポキシド)が2.5となる量とした。攪拌においては、速度勾配を100000/秒に設定し、攪拌帯域の滞留時間を下記表2の「攪拌時間B」で示される時間とした。これにより、反応容器の内容物に対して加水分解反応を発生させ、水酸化アルミニウムを得た。得られた水酸化アルミニウムを800℃で3時間焼成することにより、酸化アルミニウムを得た。その後、粉砕機を用いて、粉砕圧0.9MPaで粉砕した。これにより、個数平均1次粒子径200nmの酸化アルミニウム粒子を得た。
【0102】
(導電層の形成処理)
得られた酸化アルミニウム粒子300gをプライミクス株式会社製「ホモミクサーMARK II 2.5型」を用いて純水に分散させることにより、2Lの懸濁液を調製した。得られた懸濁液を70℃に加熱し、この温度を保持した。別途用意した2.4N塩酸750mLに、下記表2の「量C」に示す量の塩化第二スズ・5水和物(SnCl4・5H2O)と、下記表2の「量D」に示す量の三塩化アンチモン(SbCl3)とを溶解させ、酸溶液を調製した。上述の懸濁液に、5Nアンモニア水溶液及び上述の酸溶液を1.5時間かけて並行滴下した。並行滴下においては、懸濁液を70℃に保持し、かつ懸濁液のpHが7~8に保持されるように滴下量を調節した。その後、懸濁液をろ過した。得られたろ物に純水を添加した後、再度ろ過した(洗浄処理)。洗浄処理は、ろ液の導電率が50μS/cm以下になるまで繰り返し行った。洗浄後のろ物を110℃で15時間乾燥させた後、700℃の電気炉にて2時間焼成した。得られた焼成物を、粉砕機を用いて粉砕圧0.8MPaで粉砕した。これにより、酸化アルミニウム粒子と、ATOを含有する導電層とを備える第1粒子を得た。
【0103】
(保護層の形成処理)
第1粒子に対して、上述の保護層(TTS)の形成処理を行った。これにより、酸化アルミニウム粒子と、ATOを含有する導電層と、保護層とを備える第1外添剤粒子(A)(個数平均1次粒子径204nm)を得た。保護層は、チタネートカップリング剤に由来する成分を含有する層を含む単層構造を有していた。
【0104】
(第1外添剤粒子(T)の調製)
塩素法によって得た四塩化チタンと、酸素ガスとの混合物を気相酸化反応器に導入し、気相にて温度1000℃で3時間反応させることによってバルク状の酸化チタンを得た。このバルク状の酸化チタンをハンマーミルで粉砕し、得られた粉砕物を洗浄した後に110℃で乾燥させた。乾燥後の粉砕物を、超音速ジェット粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製「ジェットミルIDS-2」)を用いて解砕(圧力1.0MPa)することで、酸化チタン粒子(個数平均1次粒子径:204nm、結晶型:ルチル型)を得た。なお、酸化チタン粒子の個数平均1次粒子径は、ハンマーミルの設定によって調整した。
【0105】
酸化アルミニウム粒子300gの代わりに酸化チタン粒子300gを用いた以外は、第1外添剤粒子(A)における導電層の形成処理と同様の方法により、酸化チタン粒子に対する導電層の形成処理を行った。これにより、酸化チタン粒子と、ATOを含有する導電層とを備える第1粒子を得た。次に、この第1粒子に対して、上述の保護層(TTS)の形成処理を行った。これにより、酸化チタン粒子と、ATOを含有する導電層と、保護層とを備える第1外添剤粒子(T)を得た。保護層は、チタネートカップリング剤に由来する成分を含有する層を含む単層構造であった。
【0106】
(第1外添剤粒子(B)~(S)の調製)
酸化アルミニウム粒子の調製における攪拌時間Bと、導電層の形成処理における塩化第二スズ・5水和物(SnCl4・5H2O)の量C及び三塩化アンチモン(SbCl3)の量Dと、保護層の形成処理とを下記表2に示す通りに変更した以外は、第1外添剤粒子(A)の調製と同様の方法により、第1外添剤粒子(B)~(S)を調製した。
【0107】
なお、下記表2において、「径」は、個数平均1次粒子径を示す。基体の「Al」及び「Ti」は、酸化アルミニウム粒子及び酸化チタン粒子を示す。保護層の「TTS」、「iBTMS」、「MM」、「sUR」、「pAl」及び「SiO」は、それぞれ、上述の「保護層(TTS)の形成処理」、「保護層(iBTMS)の形成処理」、「保護層(MM)の形成処理」、「保護層(sUR)の形成処理」、「保護層(pAl)の形成処理」及び「保護層(SiO)の形成処理」を行ったことを示す。
【0108】
例えば、下記表2において、第1外添剤粒子(D)は、酸化アルミニウム粒子に対して導電層形成処理を行った後、保護層(TTS)の形成処理及び保護層(iBTMS)の形成処理をこの順番で行ったことを示す。また、第1外添剤粒子(P)は、酸化アルミニウム粒子に対して、導電層形成処理を行わずに、保護層(TTS)の形成処理を行ったことを示す。
【0109】
【表2】
【0110】
[トナー母粒子の調製]
ポリエステル樹脂(日本合成化学工業株式会社製「ポリエスター(登録商標)HP-313」)87.0質量部と、カーボンブラック(三菱化学株式会社製「MA100」)3.0質量部と、カルナバワックス(東亜化成株式会社製)4.0質量部と、電荷制御剤としてのアジン系化合物(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)N-71」)2.0質量部及びポリマー型正帯電性電荷制御剤(藤倉化成株式会社製「アクリベ-ス(登録商標)FCA-201-PS」)4.0質量部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-10B」)を用いて混合した。
【0111】
得られた混合物を、2軸押出機(東芝機械株式会社製「TEM-26SS」)を用いて、得られた混合物を溶融しながら混練して、混練物を得た。粉砕機(旧東亜機械製作所製「ロートプレックス(登録商標)16/8型」)を用いて、混練物が2mm程度の大きさになるまで、混練物を粗粉砕し、粗粉砕物を得た。粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミルRS型」)を用いて、粗粉砕物を更に粉砕して、微粉砕物を得た。微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ-LABO型」)を用いて分級した。その結果、トナー母粒子が得られた。トナー母粒子のD50は8.0μmであった。
【0112】
[外添処理]
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-10B」)を用いて、100.0質量部のトナー母粒子と、1.5質量部のシリカ粒子(表面が疎水化処理されたフュームドシリカ粒子、キャボット社製「CAB-O-SIL(登録商標)TG-308F」)と、下記表3に示す種類及び量の外添剤粒子(詳しくは、フッ素含有粒子(F-1)~(F-6)の何れか、及び第1外添剤粒子(A)~(T)の何れか)を3500rpmで5分間混合した。これにより、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させて、実施例1~19及び比較例1~12のトナーを得た。
【0113】
実施例1~19及び比較例1~12のトナーについて、第1外添剤粒子の脱離Sn強度及び粉体比抵抗を測定した。測定結果を下記表3に示す。
【0114】
【表3】
【0115】
<評価>
以下の方法により、実施例1~19及び比較例1~12のトナーについて、温度32.5℃、湿度80%RHの高温高湿環境下(HH環境下)でのかぶりの発生の有無、帯電量、及び耐フィルミング性と、温度10.0℃、湿度10%RHの低温低湿環境下(LL環境下)での帯電量、トナー搬送量、画像濃度安定性及びトナー回収性とを評価した。結果を下記表4~6に示す。なお、各評価は、各環境(HH環境下又はLL環境下)で下記の評価機を24時間静置後に行った。
【0116】
[評価機]
評価機として、非磁性一成分画像形成装置(ブラザー工業株式会社製「HL-1040」の改造機)を用いた。評価機の現像装置に評価対象(実施例1~19及び比較例1~12のトナーの何れか)を投入した。記録媒体として、A4サイズの普通紙(モンディ社製「ColorCopy(登録商標)」)を用いた。
【0117】
[HH環境下でのかぶり]
HH環境下において、評価機を用いて、1枚のパターン画像(印字率5%)を記録媒体に形成した。反射濃度計(X-Rite社製「RD918」)を用いて、パターン画像を形成した記録媒体の白紙部の画像濃度を測定した。別途、未使用の記録媒体の画像濃度を測定した。下記式に基づいて、かぶり濃度(FD)を算出した。得られたかぶり濃度を、かぶりの評価値とした。かぶりは、以下の基準に沿って評価した。
FD=(白紙部の画像濃度)-(未使用の記録媒体の画像濃度)
【0118】
(HH環境下でのかぶりの基準)
A(良好):かぶり濃度が0.010以下
B(不良):かぶり濃度が0.010超
【0119】
[HH環境下での帯電量]
HH環境下でのかぶりの評価後、評価機から現像装置を取り出した。Q/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS-1」)を用い、現像装置の現像スリーブにおいて現像ニップ部の直前に相当する領域のトナー層からトナーを吸引してその帯電量[μC/g]を測定した。帯電量は、以下の基準に沿って評価した。
【0120】
(HH環境下での帯電量の基準)
A(良好):帯電量が10μC/g以上30μC/g以下
B(不良):帯電量が10μC/g未満、又は30μC/g超
【0121】
[HH環境下での耐フィルミング性]
HH環境下において、評価機を用いて、2000枚のパターン画像(印字率5%)を記録媒体に形成した。次に、評価機から感光体ドラムを取り出し、感光体ドラムの表面をデジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VHX-6000」)で観察した。観察においては、感光体ドラムの表面におけるトナー由来の固着物の有無を確認した。耐フィルミング性は、以下の基準に沿って評価した。
【0122】
(HH環境下での耐フィルミング性の基準)
A(良好):固着物が観察されない
B(不良):固着物が観察される
【0123】
[LL環境下での帯電量]
LL環境下において、評価機を用いて、1枚のパターン画像(印字率5%)を記録媒体に形成した。次に、評価機から現像装置を取り出した。上述のQ/mメーターを用い、現像装置の現像スリーブにおいて現像ニップ部の直前に相当する領域のトナー層からトナーを吸引してその帯電量[μC/g]を測定した。得られた値を初期帯電量とした。
【0124】
次に、評価機を用いて、2000枚のパターン画像(印字率5%)を記録媒体に形成した。上述のQ/mメーターを用い、現像装置の現像スリーブにおいて現像ニップ部の直前に相当する領域のトナー層からトナーを吸引してその帯電量[μC/g]を測定した。得られた値を耐刷後帯電量とした。初期帯電量及び耐刷後帯電量は、以下の基準に沿って評価した。
【0125】
(LL環境下での帯電量の基準)
A(良好):帯電量が10μC/g以上30μC/g以下
B(不良):帯電量が10μC/g未満、又は30μC/g超
【0126】
[LL環境下でのトナー搬送量]
上述の「LL環境下での初期帯電量」の測定において、吸引されたトナーの質量[g]と、Q/mメーターによってトナーが吸引された現像スリーブの表面の面積[m2]とから、トナー搬送量を算出した。詳しくは、式「トナー搬送量=吸引されたトナーの質量/トナーが吸引された現像スリーブの表面の面積」から、初期トナー搬送量[g/m2]を算出した。同様に、上述の「LL環境下での耐刷後帯電量」の測定に基づいて、耐刷後トナー搬送量を算出した。初期トナー搬送量、及び耐刷後トナー搬送量は、以下の基準に沿って評価した。
【0127】
(LL環境下でのトナー搬送量の基準)
A(良好):トナー搬送量が3.5g/m2以上7.5g/m2以下
B(不良):トナー搬送量が3.5g/m2未満7.5g/m2
【0128】
[LL環境下での画像濃度安定性]
LL環境下において、評価機を用いて、2000枚のソリッド画像を記録媒体に形成した。上述の反射濃度計を用いて、1枚目に形成したソリッド画像の画像濃度(初期画像濃度)と、2000枚目に形成したソリッド画像の画像濃度(耐刷後画像濃度)とを測定した。初期画像濃度及び耐刷後画像濃度の差の絶対値(ΔID)を算出した。初期画像濃度、耐刷後画像濃度及びΔIDは、以下の基準に沿って評価した。
【0129】
(初期画像濃度及び耐刷後画像濃度の基準)
A(良好):1.3以上1.5以下
B(やや良好):1.2以上1.3未満
C(不良):1.2未満、又は1.5超
【0130】
(ΔIDの基準)
A(良好):0.1以下
B(やや良好):0.1超0.2以下
C(不良):0.2超
【0131】
[トナー回収性]
トナー回収性の評価では、以下に説明する図6の評価画像を形成した。図6に示す評価画像Iは、評価機の感光体ドラムが2回転することで形成される。便宜上、評価画像Iにおいて、感光体ドラムの1回転目に形成される領域を第1領域X、感光体ドラムの2回転目に形成される領域を第2領域Yとする。第1領域Xは、幅方向中央に位置するソリッド画像Sと、幅方向両端部に位置する第1非印字部B1とを含む。ソリッド画像S及び第1非印字部B1の幅は同一である。第2領域Yは、幅方向中央に位置する第2非印字部B2と、幅方向両端部に位置する第3非印字部B3とを含む。ソリッド画像S及び第2非印字部B2は、感光体ドラムの表面の同一領域により形成される。つまり、感光体ドラムの幅方向中央付近の領域は、感光体ドラムの1回転目に第1領域Xを形成した後、感光体ドラムの2回転目に第2非印字部B2を形成する。同様に、第1非印字部B1及び第3非印字部B3は、感光体ドラムの表面の同一領域により形成される。つまり、感光体ドラムの幅方向両端部付近の領域は、感光体ドラムの1回転目に第1非印字部B1を形成した後、感光体ドラムの2回転目に第3非印字部B3を形成する。
【0132】
画像形成装置において、トナーの搬送量が過剰である場合、感光体ドラムに現像されたトナーの回収不良に起因してかぶりが発生することがある。詳しくは、画像形成装置においてトナーの搬送量が過剰であると、感光体ドラムの静電潜像上にトナーが過剰に現像される。感光体ドラムに過剰に現像されたトナーは、感光体の1回転目では記録媒体に全部が転写されず、一部が残余トナーとして感光体ドラムに残留する。感光体ドラムに残留した残余トナーの量が多い場合、画像形成装置のクリーニング部材によっても完全に残余トナーが回収されず、感光体ドラムの2回転目に残余トナーが記録媒体に転写される。これにより、残余トナーに起因するかぶりが発生する。
【0133】
トナー回収性の評価では、残余トナーに起因するかぶりの発生の有無に基づいて、トナーの回収性を評価した。詳しくは、残余トナーに起因するかぶりが発生すると、第2非印字部B2において、ソリッド画像Sの形成時の残余トナーに起因するかぶりが発生する。そこで、第2非印字部B2におけるかぶり濃度を測定した。具体的には、上述の反射濃度計を用いて、第2非印字部B2における画像濃度と、未使用の記録媒体の画像濃度とを測定した。そして、下記式(1)に基づいて、第2非印字部B2におけるかぶり濃度(FDA)を算出した。なお、残余トナー以外に起因するかぶりの影響を排除するため、第3非印字部B3におけるかぶり濃度(FDB)も測定した。具体的には、上述の反射濃度計を用いて、第3非印字部B3における画像濃度と、未使用の記録媒体の画像濃度とを測定した。次に、下記式(2)に基づいて、第3非印字部B3におけるかぶり濃度(FDB)を算出した。そして、下記式(3)に基づいて、第2非印字部B2におけるかぶり濃度(FDA)から、残余トナー以外に起因するかぶり濃度(FDB)の影響を排除し、得られた値をトナー回収性の評価値とした。
FDA=(第2非印字部B2の画像濃度)-(未使用の記録媒体の画像濃度)・・・(1)
FDB=(第3非印字部B3の画像濃度)-(未使用の記録媒体の画像濃度)・・・(2)
評価値=FDA-FDB・・・(3)
【0134】
【表4】
【0135】
【表5】
【0136】
【表6】
【0137】
実施例1~19のトナーは、各々、トナー粒子を含んでいた。トナー粒子は、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを備えていた。外添剤は、第1外添剤粒子と、フッ素含有粒子とを含んでいた。第1外添剤粒子は、酸化アルミニウム粒子と、酸化アルミニウム粒子を被覆する導電層と、導電層を被覆する単層又は多層の保護層とを備えていた。導電層は、アンチモンドープ酸化スズを含有していた。保護層は、チタネートカップリング剤に由来する成分を含有する層を有するか、又はメチロールメラミン、ウレタン樹脂又は水酸化アルミニウムを含有する内層と、シランカップリング剤に由来する成分を含有する外層とを有していた。第1外添剤粒子の粉体比抵抗は、50Ω・cm以下であった。第1外添剤粒子の個数平均1次粒子径は、60nm以上600nm以下であった。表4~6に示すように、実施例1~19のトナーは、各々、画像濃度安定性、帯電安定性及び耐フィルミング性に優れていた。また、実施例1~19のトナーは、残余トナーに起因するかぶりの発生も抑制できた。
【0138】
一方、比較例1~12のトナーは、各々、上述の構成を備えていなかったため、画像濃度安定性、帯電安定性及び耐フィルミング性のうち少なくとも1つが不良であった。
【0139】
詳しくは、比較例1のトナーは、フッ素含有粒子を含まないため、画像濃度安定性が不良であった。
【0140】
比較例2のトナーは、第1外添剤粒子を含まないため、画像濃度安定性、帯電安定性及び耐フィルミング性が不良であった。
【0141】
比較例3、4、9、10及び11のトナーは、第1外添剤粒子が所定の保護層を備えなかったため、帯電安定性又は画像濃度安定性が不良であった。
【0142】
比較例5及び6のトナーは、第1外添剤粒子の個数平均1次粒子径が過度に小さいか、又は過度に大きかった。その結果、比較例5及び6のトナーは、画像濃度安定性、帯電安定性又は耐フィルミング性が不良であった。
【0143】
比較例7のトナーは、第1外添剤粒子の粉体比抵抗が大きかったため、帯電安定性及び画像濃度安定性が不良であった。
【0144】
比較例8のトナーは、第1外添剤粒子が導電層を備えなかったため、画像濃度安定性及び帯電安定性が不良であった。
【0145】
比較例12のトナーは、第1外添剤粒子の基体が酸化アルミニウム粒子ではなく酸化チタン粒子であったため、帯電安定性が不良であった。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明のトナーは、例えば複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる。
【符号の説明】
【0147】
1 トナー粒子
2 トナー母粒子
3 外添剤粒子
3a 第1外添剤粒子
3b フッ素含有粒子
3c シリカ粒子
4 酸化アルミニウム粒子
5 導電層
6 多層の保護層
6a 内層
6b 外層
7 単層の保護層
8 フッ素樹脂粒子
9 基体
10 フッ素成分層
図1
図2
図3
図4
図5
図6