(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】筐体
(51)【国際特許分類】
A62C 35/20 20060101AFI20250319BHJP
A62C 3/00 20060101ALI20250319BHJP
E02D 29/12 20060101ALI20250319BHJP
E02D 29/14 20060101ALI20250319BHJP
【FI】
A62C35/20
A62C3/00 J
E02D29/12 C
E02D29/14 Z
(21)【出願番号】P 2021140037
(22)【出願日】2021-08-30
【審査請求日】2024-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅裕
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-196110(JP,A)
【文献】特開2008-133714(JP,A)
【文献】実開平02-112737(JP,U)
【文献】特開2017-020249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
E02D 29/12,29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通路と前記第1の通路と高低差を有する第2の通路とにより形成される段差構造に埋め込まれて設置される筐体であって、
前記第1の通路の路側に設置される筐体下部と、
前記筐体下部の上端を覆う蓋部と、
前記蓋部の高さを前記第2の通路の高さに応じて調節可能に設けられる調節部と、
を備
え、
前記筐体下部は、前記調節部を固定するための固定板を備え、
前記調節部は、
前記固定板に形成される取付開孔を貫通する棒状部材と、
前記棒状部材の上端に接続され前記蓋部の下面と接触する支持台と、
前記棒状部材を前記固定板に固定する固定部材と、
を備え、
前記固定板に対する前記棒状部材の固定高を調節することにより、前記蓋部の高さを調節可能とする、
筐体。
【請求項2】
前記調節部は、前記棒状部材と前記支持台との間に配置され前記棒状部材に対する前記支持台の角度を調節可能とする角度調節部材をさらに備える、
請求項
1に記載の筐体。
【請求項3】
前記取付開孔は、前記取付開孔に対する前記棒状部材の固定位置をスライド調節可能な大きさで形成される、
請求項
1または
2に記載の筐体。
【請求項4】
前記蓋部の四隅の高さをそれぞれ独立に調節可能な4つの前記調節部を備える、
請求項1~
3のいずれかに記載の筐体。
【請求項5】
前記第1の通路は、車道であり、
前記第2の通路は、監視員通路であり、
前記車道と前記監視員通路とを有するトンネル内に設置される道路用消火栓である、
請求項1~
4のいずれかに記載の筐体。
【請求項6】
第1の通路と前記第1の通路と高低差を有する第2の通路とにより形成される段差構造に埋め込まれて設置される筐体であって、
前記第1の通路の路側に設置される筐体下部と、
前記筐体下部の上端を覆う蓋部と、
前記筐体下部に対する前記蓋部の高さを前記第2の通路の高さに応じて調節可能に設けられる調節部と、
を備える、
筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通路に設置される種々の装置や構造物が開発されている。また、上記の装置や構造物の利便性を高める技術も多く提案されている。例えば、特許文献1には、道路に対するマンホール蓋の高さおよび傾きを調節可能とする支持装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示される技術は、1つの通路に対して蓋の高さおよび傾きを調節するに留まっている。このため、2つの通路により形成される段差に応じて対象物の高さを調節する構成としては十分な考慮がなされていない。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、段差に応じた容易な高さ調節が可能な、新規かつ改良された筐体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1の通路と前記第1の通路と高低差を有する第2の通路とにより形成される段差構造に埋め込まれて設置される筐体であって、前記第1の通路の路側に設置される筐体下部と、前記筐体下部の上端を覆う蓋部と、前記蓋部の高さを前記第2の通路の高さに応じて調節可能に設けられる調節部と、を備える、筐体が提供される。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように本発明によれば、段差に応じた容易な高さ調節が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る道路用消火栓10の正面、上面、側面から見た外部構成が示されている。
【
図2】同実施形態に係る道路用消火栓10の内部構成について説明するための図である。
【
図3】同実施形態に係る調節部130の構成例、および調節部130による蓋部120の高さ調節の概要について説明するための図である。
【
図4】同実施形態に係る蓋部120の四隅の高さを均一に調節する場合における調節部130と取付開孔113の位置関係を示す図である。
【
図5】同実施形態に係る監視員通路PWが道路用消火栓10の幅方向に傾斜を有する場合の例を示す図である。
【
図6】同実施形態に係る監視員通路PWが道路用消火栓10の幅方向に傾斜を有する場合における調節について説明するための図である。
【
図7】同実施形態に係る監視員通路PWが道路用消火栓10の奥行方向に傾斜を有する場合の例を示す図である。
【
図8】同実施形態に係る監視員通路PWが道路用消火栓10の奥行方向に傾斜を有する場合における調節について説明するための図である。
【
図9】同実施形態に係る筐体高の調節後の道路用消火栓10の利用イメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
<1.1.概要>
上述したように、本発明の目的とするところは、2つの通路により形成される段差に応じた対象物の高さ調節を容易に実現することにある。
【0011】
近年、通路に付帯して設置される種々の装置や構造物が存在する。また、上記のような装置には、2つの通路により形成される段差構造に埋め込まれて配置されるものがある。
【0012】
段差構造に埋め込まれて配置される装置の一例としては、トンネル内に配置される道路用消火栓が挙げられる。
【0013】
高速道路等において形成されるトンネルには、車両が通行するための車道に加え、監視員や保守員が通行および作業を行うための監視員通路を備えるものがある。
【0014】
上記のような監視員通路は、一般的に車道から900~1000mmほどの高さを以って設けられる。このため、上記トンネル内には車道と監視員通路とにより段差構造が形成される。
【0015】
道路用消火栓には、上記のような段差構造に埋め込まれて配置されるものがある。
【0016】
また、車道と監視員通路とにより形成される段差構造は、車道および監視員通路の傾斜等に応じて様々な高さおよび傾斜を有する。
【0017】
しかし、一般的な道路用消火栓は、筐体高が固定で形成されるため、道路用消火栓の上面の高さと監視員通路の高さとを合わせるためには、道路用消火栓の架台下に金物を追加する、あるいは車道や監視員通路の高さを増減するなどの調節が求められる。
【0018】
しかし、段差構造に比べて筐体高が高い場合には、上記のような調節は困難である。
【0019】
また、段差構造に比べて筐体高が低い場合であっても、調節には、段差構造の計測、調節のための作業が高い精度で求められる。
【0020】
さらには、道路用消火栓は、一般的にトンネル内において50m程度の間隔で設置されるため、トンネル内に配置されるすべての道路用消火栓に関し高さの調節を行う場合、施工工数の増大が予想される。
【0021】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、段差に応じた容易な高さ調節が可能な、新規かつ改良された筐体を提供することにある。
【0022】
このために、本発明の一実施形態に係る第1の通路と前記第1の通路と高低差を有する第2の通路とにより形成される段差構造に埋め込まれて設置される筐体は、第1の通路の路側に配置される筐体下部110と、筐体下部110の上端を覆う蓋部120と、蓋部120の高さを第2の通路の高さに合わせて調節可能に設けられる調節部130を備える。
【0023】
上記のような構成によれば、2つの通路により形成される段差に応じた筐体高の調節を容易に実現し、当該調節に要する工数を大幅に低減することが可能となる。
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る筐体の構成について詳細に説明する。なお、以下においては、本実施形態に係る筐体が道路用消火栓10である場合を主な例として述べる。
【0025】
一方、本実施形態に係る筐体はかかる例に限定されるものではなく、段差構造に配置される各種の装置に適用が可能である。
【0026】
例えば本実施形態に係る筐体は、線路とホームとにより形成される段差構造に配置される装置に適用されてもよい。
【0027】
<<1.2.道路用消火栓10の構成例>>
まず、
図1および
図2を参照して、本実施形態に係る道路用消火栓10の構成の概要について説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る道路用消火栓10の外部構成について説明するための図である。
図1には、本実施形態に係る道路用消火栓10の正面、上面、側面から見た外部構成が示されている。
【0029】
また、
図2は、本実施形態に係る道路用消火栓10の内部構成について説明するための図である。
図2には、本実施形態に係る道路用消火栓10の正面、上面、側面に係る内部構成が示されている。
【0030】
本実施形態に係る道路用消火栓10は、分離可能な筐体下部110および蓋部120を備える。
【0031】
本実施形態に係る筐体下部110は、車道RW(第1の通路の一例)の路側に配置され、車道RW側から開扉可能な車道側消火栓扉111を備える。
【0032】
ユーザは、車道側消火栓扉111を開扉することにより、筐体下部110の内部に配置されるホース150と接続される消火栓ノズル152および消火栓レバー154にアクセス可能である。
【0033】
本実施形態に係る車道側消火栓扉111は、例えば、左右方向にスライドするスライド式の扉であってもよい。この場合、車道側消火栓扉111が車道RW側に突出することがないため、車道RW側で行われる消火活動を妨害する可能性を排除できる。
【0034】
また、本実施形態に係る蓋部120は、筐体下部110の上端を覆う構成であり、監視員通路PW(第2の通路の一例)の高さに応じて調節可能に設けられる。
【0035】
本実施形態に係る蓋部120は、上方に向けて回動しながら開扉する第1の保守用扉121、第2の保守用扉122、および監視員通路側消火栓扉123を備える。
【0036】
本実施形態に係る第1の保守用扉121および第2の保守用扉122は、保守員が道路用消火栓10の保守作業を行う場合に、各種の内部構造にアクセスするために用いる扉である。
【0037】
一方、本実施形態に係る監視員通路側消火栓扉123は、監視員通路PW側から消火栓ノズル152および消火栓レバー154にアクセスにするための扉である。
【0038】
監視員通路側消火栓扉123によれば、ユーザが監視員通路PW上に避難したうえでより安全に消火活動を行うことが可能となる。
【0039】
また、本実施形態に係る道路用消火栓10は、蓋部120の高さを監視員通路PWの高さに応じて調節可能に設けられる調節部130を備えることを特徴の一つとする。
【0040】
本実施形態に係る道路用消火栓10は、蓋部120の四隅の高さをそれぞれ独立に調節可能な4つの調節部130a~130dを備えてもよい。
【0041】
以下、本実施形態に係る調節部130による蓋部120の高さ調節について詳細に説明する。
【0042】
まず、車道RWと監視員通路PWが略平行である場合における調節について述べる。
【0043】
図3は、本実施形態に係る調節部130の構成例、および調節部130による蓋部120の高さ調節の概要について説明するための図である。
【0044】
本実施形態に係る調節部130は、筐体下部110に設けられる固定板112に固定される。
【0045】
このために、本実施形態に係る調節部130は、
図3に示すように、固定板112に形成される取付開孔を貫通する棒状部材131と、棒状部材131の上端に接続され蓋部120の下面と接触する支持台132、棒状部材131を固定板112に固定する固定部材134等を備える。
【0046】
また、本実施形態に係る調節部130は、棒状部材131と支持台132との間に配置され棒状部材131に対する支持台132の角度を調節可能とする角度調節部材133をさらに備えてもよい。本実施形態に係る角度調節部材133が有する機能の詳細については別途説明する。
【0047】
なお、本実施形態に係る棒状部材131は、例えば、ボルト等であってもよい。また、本実施形態に係る固定部材134は、例えば、ナットなどであってもよい。
【0048】
また、調節部130は、スプリングワッシャー135、ワッシャー136をさらに備えてもよい。
【0049】
本実施形態に係る調節部130は、棒状部材131の固定高を調節することにより、蓋部120の高さを調節可能とする。
【0050】
以下、道路用消火栓10の未調節時における筐体高(筐体下部110の下面から蓋部120の上面までの高さ)が900mmであるものとする。
【0051】
ここで、道路用消火栓10の車道RWと監視員通路PWとの高低差が920mmであり、かつ車道RWと監視員通路PWとが略平行である場合、道路用消火栓10の筐体高を全体的に20mm高くすることが求められる。
【0052】
この場合、
図3の右側に示すように、調節部130a~130dのすべてを
図3の中央に示す初期状態と比較して上方にさらに20mm突出するように固定板112a~112dにそれぞれ固定すればよい。
【0053】
上記のような調節によれば、蓋部120の四隅の高さを均一に20mm増やすことができ、道路用消火栓10の筐体高を監視員通路PWの高さと合わせることが可能となる。
【0054】
一方、道路用消火栓10の車道RWと監視員通路PWとの高低差が880mmであり、かつ車道RWと監視員通路PWとが略平行である場合、道路用消火栓10の筐体高を全体的に20mm低くすることが求められる。
【0055】
この場合、
図3の左側に示すように、調節部130a~130dのすべてを
図3の中央に示す初期状態と比較して下方にさらに20mm突出するように固定板112a~112dにそれぞれ固定すればよい。
【0056】
上記のような調節によれば、蓋部120の四隅の高さを均一に20mm減らすことができ、道路用消火栓10の筐体高を監視員通路PWの高さと合わせることが可能となる。
【0057】
以上、車道RWと監視員通路PWとが略平行である場合における調節について説明した。
【0058】
なお、上記のような調節では、蓋部120の四隅の高さが均一に上下に調節されるため、固定板112a~112dに各々設けられる取付開孔113a~113bに対する調節部130a~130dの固定位置は、
図4に示すように、同様の位置関係となる。
【0059】
続いて、車道RWと監視員通路PWとが略平行ではない場合の調節について説明する。
【0060】
まず、監視員通路PWが道路用消火栓10の幅方向に傾斜を有する場合について述べる。
【0061】
図5は、監視員通路PWが道路用消火栓10の幅方向に傾斜を有する場合の例を示す図である。
【0062】
図5に示す一例の場合、監視員通路PWは、道路用消火栓10の右肩方向(図中左方向)から左肩方向(図中右方向)にかけて徐々に高くなる傾斜を有する。
【0063】
この場合、道路用消火栓10の左肩が右肩と比較して高くなるように調節部130a~130dを調節し、蓋部120の傾斜を監視員通路PWの傾斜と合わせることが求められる。
【0064】
図6は、監視員通路PWが道路用消火栓10の幅方向に傾斜を有する場合における調節について説明するための図である。
【0065】
ここでは、道路用消火栓10の未調節時における筐体高が900mmであり、かつ道路用消火栓10の右肩の高さを880mmに、左肩の高さを920mmに調節する場合を例に挙げて説明する。
【0066】
上記の場合、道路用消火栓10の右肩に配置される調節部130aおよび130bは、
図6の左側に示すように、初期状態と比較して下方にさらに20mm突出するように固定板112aおよび112bにそれぞれ固定される。
【0067】
一方、道路用消火栓10の左肩に配置される調節部130cおよび130dは、
図6の右側に示すように、初期状態と比較して上方にさらに20mm突出するように固定板112cおよび112dにそれぞれ固定される。
【0068】
この場合、蓋部120は、2°程度の傾斜を有することとなり、蓋部120の下面と接触する支持台132a~132dもそれぞれ棒状部材131a~131dに対して2°程度傾斜する。
【0069】
上記のような傾斜を実現するために、本実施形態に係る調節部130は、棒状部材131と支持台132との間に配置され棒状部材131に対する支持台132の角度を調節可能とする角度調節部材133を備えてよい。
【0070】
本実施形態に係る角度調節部材133は、例えば、棒状部材131の上端において支持台132とともに自由回転が可能な球形状であってもよい。
【0071】
上記のような調節によれば、道路用消火栓10の右肩と左肩の筐体高をそれぞれ異なる高さとすることができ、道路用消火栓10の幅方向に傾斜を有する監視員通路PWの高さに合わせることが可能となる。
【0072】
なお、上記のような調節を行う場合、調節部130aと130cとの間の水平距離、および調節部130bと130dとの間の水平距離は、初期状態と比較して多少短くなる。
【0073】
また、蓋部120と筐体下部110の接触を回避するために、調節部130a~130dは、取付開孔113a~113dに対する位置が調節されて固定される。
【0074】
図6の下側に示す一例の場合、棒状部材131cおよび131dの各々は、取付開孔113cまたは113dにおいて、筐体下部110の幅方向の中心に近づくようにスライド調節されて固定されている。
【0075】
続いて、監視員通路PWが道路用消火栓10の奥行方向に傾斜を有する場合の調節について述べる。
【0076】
図7は、監視員通路PWが道路用消火栓10の奥行方向に傾斜を有する場合の例を示す図である。
【0077】
図7に示す一例の場合、監視員通路PWは、道路用消火栓10の正面方向(図中右方向)から後面方向(図中右方向)にかけて徐々に高くなる傾斜を有する。
【0078】
この場合、道路用消火栓10の後面が正面と比較して高くなるように調節部130a~130dを調節し、蓋部120の傾斜を監視員通路PWの傾斜と合わせることが求められる。
【0079】
図8は、監視員通路PWが道路用消火栓10の奥行方向に傾斜を有する場合における調節について説明するための図である。
【0080】
ここでは、道路用消火栓10の未調節時における筐体高が900mmであり、かつ道路用消火栓10の正面の高さを880mmに、後面の高さを900mmに調節する場合を例に挙げて説明する。
【0081】
上記の場合、道路用消火栓10の正面側に配置される調節部130bおよび130dは、
図8の左側に示すように、初期状態と比較して下方にさらに20mm突出するように固定板112bおよび112dにそれぞれ固定される。
【0082】
一方、道路用消火栓10の後面側に配置される調節部130aおよび130cは、
図8の右側に示すように、初期状態と同じ高さで固定板112aおよび112cにそれぞれ固定される。
【0083】
この場合、蓋部120は、5°程度の傾斜を有することとなり、蓋部120の下面と接触する支持台132a~132dもそれぞれ棒状部材131a~131dに対して5°程度傾斜する。
【0084】
また、上記のような調節を行う場合、調節部130aと130bとの間の水平距離、および調節部130cと130dとの間の水平距離は、初期状態と比較して短くなる。
【0085】
また、蓋部120と筐体下部110の接触を回避するために、調節部130a~130dは、取付開孔113a~113dに対する位置が調節されて固定される。
【0086】
図8の下側に示す一例の場合、棒状部材131a~131dの各々は、取付開孔113a~113dにおいて、筐体下部110の正面側に近づくようにスライド調節されて固定されている。
【0087】
このために、本実施形態に係る取付開孔113は、上記のようなスライド調節が可能な大きさおよび形状で形成される。
【0088】
上記の調節によれば、道路用消火栓10の正面と後面の筐体高をそれぞれ異なる高さとすることができ、道路用消火栓10の奥行方向に傾斜を有する監視員通路PWの高さに合わせることが可能となる。
【0089】
以上、本実施形態係る調節部130による道路用消火栓10の筐体高の調節について具体例を挙げて説明した。
【0090】
なお、本実施形態に係る調節部130a~130dによれば、上記で挙げた例の他、四隅の筐体高がそれぞれ異なるように調節することも可能である。
【0091】
調節部130a~130dをそれぞれ独立して調節することにより、例えば、後面右肩>正面右肩>後面左肩>正面左肩の順に筐体高が低くなるように調節したり、後面左肩>後面右肩>正面左肩>正面右肩の順に筐体高が低くなるように調節したりすることができる。
【0092】
次に、
図9を参照して、筐体高の調節後の道路用消火栓10の利用イメージについて説明する。
【0093】
図9には、道路用消火栓10の右肩方向(図中左方向)から左肩方向(図中右方向)にかけて徐々に高くなる傾斜を有する監視員通路PWと、監視員通路PWに合わせて筐体高が調節された道路用消火栓10が示されている。
【0094】
図9に示すような調節によれば、例えば、保守員は、道路用消火栓10とフラットな監視員通路PW上において、第1の保守用扉121および第2の保守用扉122を開き、各種の保守作業をより安全に行うことができる。
【0095】
また、例えば、消火活動を行うユーザは、道路用消火栓10とフラットな監視員通路PW上において、監視員通路側消火栓扉123を開いて消火栓ノズル152および消火栓レバー154にアクセスし、より安全に消火活動を行うことができる。
【0096】
なお、ユーザによる消火活動をより迅速に実現するために、本実施形態に係る消火栓ノズル152および消火栓レバー154は、監視員通路側消火栓扉123の内側に固定されてもよい。
【0097】
これによれば、道路用消火栓10の筐体高を調節した場合であっても消火栓ノズル152および消火栓レバー154がホース150を収納する収納部よりも上方に位置するため、ホース150の引き出しを妨害する可能性を排除できる。
【0098】
<2.まとめ>
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る筐体は、第1の通路と第1の通路と高低差を有する第2の通路とにより形成される段差構造に埋め込まれて設置される。また、本発明の一実施形態に係る筐体は、第1の通路の路側に設置される筐体下部110と、筐体下部110の上端を覆う蓋部120と、蓋部120の高さを第2の通路の高さに応じて調節可能に設けられる調節部130と、を備える。
【0099】
上記のような構成によれば、段差に応じた容易な高さ調節が可能となる。
【0100】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0101】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【符号の説明】
【0102】
RW 車道
PW 監視員通路
10 道路用消火栓
110 筐体下部
112 固定板
113 取付開孔
120 蓋部
130 調節部
131 棒状部材
132 支持台
133 角度調節部材
134 固定部材