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特許7652051車両クオータウインドウ開口部用収納ボックス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】車両クオータウインドウ開口部用収納ボックス
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/06 20060101AFI20250319BHJP
   B60J 1/10 20060101ALI20250319BHJP
【FI】
B60R7/06 Z
B60J1/10 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021187078
(22)【出願日】2021-11-17
(65)【公開番号】P2023074234
(43)【公開日】2023-05-29
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 誠
(72)【発明者】
【氏名】寺井 英晃
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-133940(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第101531166(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/10
B60R 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両クオータウインドウ開口部用収納ボックスであって、
車両のクオータウインドウ開口部を覆う外板体と、
前記外板体の外周領域を前記クオータウインドウ開口部の外周外面に接合する接合手段と、
前記外板体の内面から前記クオータウインドウ開口部を貫通する筒体と、
前記筒体の先端を覆う内板体を有し、
(1)前記外板体が、前記外周領域を備えかつ外入口が形成された板状の外枠と、前記外入口を開閉するように前記外枠に回転可能に連結されて前記外枠の外面に重ねられる板状の外蓋を有し、または(2)前記内板体が、内入口が形成された内枠と、前記内入口を開閉するように前記内枠に回転可能に連結された内蓋を有し、
前記内板体は、前記筒体より外周へ張り出して前記外枠と前記筒体の境目を覆う遮蔽部材を有する、収納ボックス。
【請求項2】
請求項1に記載の収納ボックスであって、
前記筒体は、前記内板体から前記外板体に向けて径が広がり、
前記筒体に前記遮蔽部材が取付けられる、収納ボックス。
【請求項3】
車両クオータウインドウ開口部用収納ボックスであって、
車両のクオータウインドウ開口部を覆う外板体と、
前記外板体の外周領域を前記クオータウインドウ開口部の外周外面に接合する接合手段と、
前記外板体の内面から前記クオータウインドウ開口部を貫通する筒体と、
前記筒体の先端を覆う内板体を有し、
(1)前記外板体が、前記外周領域を備えかつ外入口が形成された板状の外枠と、前記外入口を開閉するように前記外枠に回転可能に連結されて前記外枠の外面に重ねられる板状の外蓋を有し、または、(2)前記内板体が、内入口が形成された内枠と、前記内入口を開閉するように前記内枠に回転可能に連結された内蓋を有し、
前記外板体は、前記筒体と接合する接合部材を有し、
前記筒体は、前記外板体から前記内板体に向けて径が広がる、収納ボックス。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一つに記載の収納ボックスであって、
前記外板体は、前記(1)の前記外枠と前記外蓋を有し、
前記外枠は、前記クオータウインドウ開口部の前記外周外面に対面する端領域と、前記端領域の内周縁に隣接しかつ前記端領域よりも前記クオータウインドウ開口部の前記外周外面に近接する主領域と、前記端領域と前記主領域の段差に形成されかつ前記外蓋が回転可能に連結されるヒンジを有する、収納ボックス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車両のクオータウインドウ開口部には、一般にガラスが設けられる。本発明は、クオータウインドウガラスに代えてクオータウインドウ開口部に設けられる収納ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両は、後扉の後方にクオータウインドウ開口部を有し、一般にクオータウインドウ開口部にガラスが固定して取り付けられている。特許文献1には、ガラスに代えてクオータウインドウ開口部に取り付けられる収納ボックスが開示されている。この収納ボックスは、箱状のトランク本体と、トランク本体の外側開口部を開閉する外蓋と、トランク本体の車両内側開口部を開閉する内蓋を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実全平02-133940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の収納ボックスは、クオータウインドウ意匠から車両外側に突出している。そのため収納ボックスによって空気抵抗が高くなるという問題などがあった。そのためクオータウインドウ意匠から突出しない収納ボックスが従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの特徴によると、車両クオータウインドウ開口部用収納ボックスは、車両のクオータウインドウ開口部を覆う外板体を有する。外板体の外周領域がクオータウインドウ開口部の外周外面に接合手段としての接着剤で接着される。外板体の内面からクオータウインドウ開口部を筒体が貫通する。筒体の先端を内板体が覆う。(1)外板体は、外周領域を備えかつ外入口が形成された板状の外枠と、外入口を開閉するように外枠に回転可能に連結されて外枠の外面に重ねられる板状の外蓋を有する。あるいは(2)内板体は、内入口が形成された内枠と、内入口を開閉するように内枠に回転可能に連結された内蓋を有する。
【0006】
したがって外板体は、板状でかつ外周領域がクオータウインドウ開口部の外周外面に接着される。そのため外板体は、クオータウインドウ意匠から突出する量が小さい。これにより収納ボックスによって車両の空気抵抗が高くなることを抑制できる。あるいは収納ボックスを設けつつ、スライドドアを車両に設定することができる。
【0007】
本開示の他の特徴によると、内板体は、筒体より外周へ張り出して外枠と筒体の境目を覆う遮蔽部材を有する。したがって収納ボックスの筒体からクオータウインドウ開口部周囲の内装トリムの間に隙間があって見栄えが良くないが、その部分を遮蔽部材で隠すことができる。これにより収納ボックスによって車室内からの見栄えが悪くなることが抑制できる。
【0008】
本開示の他の特徴によると、筒体は、内板体から外板体に向けて径が広がる。筒体には遮蔽部材が取付けられる。したがって筒体と外板体の境目が車室内から容易に見え得る構造になっている。これに対して遮蔽部材が設けられている。そのため収納ボックスによって車室内からの見栄えが悪くなることが抑制できる。
【0009】
本開示の他の特徴によると、外板体は、筒体と接合する接合部材を有する。筒体は、外板体から内板体に向けて径が広がる。したがって筒体は、車室内側からクオータウインドウ開口部を通して外板体に接合される。そのため筒体は、外板体から内板体に向けて径が広がる形状であっても外板体に接合される。そして筒体が外板体から内板体に向けて径が広がっているため、収納ボックスの収納容量を大きくすることができる。また、筒体が内板体から外板体に向けて広がる場合と比較して、収納ボックスの筒体を、クオータウインドウ開口部周囲の内装トリムと隙間なく隣接させることができる。その結果、車室内からは筒体と外板体の境目も見えなくなるので、車室内からの見栄え悪化抑制のための遮蔽部材が不要となる。
【0010】
本開示の他の特徴によると、外板体は、(1)の外枠と外蓋を有する。外枠は、クオータウインドウ開口部の外周外面に対面する端領域を有する。外枠は、端領域の内周縁に隣接しかつ端領域よりもクオータウインドウ開口部の外周外面に近接する主領域を有する。外枠は、端領域と主領域の段差に形成されかつ外蓋が回転可能に連結されるヒンジを有する。
【0011】
したがって端領域と主領域の段差に外蓋のヒンジが設けられる。そのためヒンジによって外板体が車両外側に突出することが抑制される。しかも端領域と主領域の段差を利用してヒンジを容易に設けることができる。ヒンジに連結される外蓋も車両外側に突出することが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】収納ボックスが取り付けられた車両後部の左側面図である。
図2】収納ボックスおよび車両後部の分解斜視図である。
図3】本体ユニットの斜視図である。
図4図1のA-A線断面矢視図である。
図5図1のB-B線断面矢視図である。
図6】他の実施形態にかかる収納ボックスおよび車両後部の分解斜視図である。
図7図1の車両において他の実施形態にかかる収納ボックスを取り付けた場合のA-A線断面矢視図である。
図8】他の実施形態にかかる収納ボックスが取り付けられた車両後部の左側面図である。
図9図8のA-A線断面矢視図である。
図10図8のB-B線断面矢視図である。
図11図8の車両において別の他の実施形態にかかる収納ボックスを取り付けた場合のA-A線断面矢視図である。
図12図8の車両において別の他の実施形態にかかる収納ボックスを取り付けた場合のA-A線断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1および図2に示すように収納ボックス1は、車両20のクオータウインドウ開口部21に取り付けられて使用される。車両20の後部側面には、リアドア22が開閉可能に取り付けられる開口部26と、開口部26の後方に位置するクオータウインドウ開口部21が形成されている。クオータウインドウ開口部21とリアドア22用の開口部26は、Cピラー23で仕切られている。Cピラー23は、直線形状に延びている。Cピラー23の後方には、Dピラー24が設けられている。クオータウインドウ開口部21は、略D字状の外周外面27を有している。車両20の車室内側には、内装トリム25が設けられる。内装トリム25は、クオータウインドウ開口部21に向けて傾斜する傾斜面28を有している。内装トリム25のクオータウインドウ開口部21の周囲の他の大部分は略平坦面である。
【0014】
図2に示すように収納ボックス1は、本体ユニット2を有している。本体ユニット2の車室外側に外蓋3aが取り付けられる。本体ユニット2の車室内側に内蓋4aと遮蔽部材5が取り付けられる。図3に示すように本体ユニット2は、筒体2a、外枠3d、内枠4cを一体に有している。
【0015】
図3~5に示すように筒体2aの外側端は、クオータウインドウ開口部21の輪郭とほぼ同じ形状の環状である。筒体2aは、筒型で、クオータウインドウ開口部21を貫通している。筒体2aは、車室内側から車室外側に向けて径が広がっている。筒体2aの外周面には、遮蔽部材5の爪5aを掛けるための凹部2bが形成されている。
【0016】
図3~5に示すように外枠3dは、筒体2aの外側端から径方向に延びている。外枠3dは、環状であって、外枠3dの内側面は、クオータウインドウ開口部21の外周外面27に対向する。外枠3dの内側面は、接着剤6によってクオータウインドウ開口部21の外周外面27に接着される。接着剤6は、外周外面27の全周に渡って設けられる。なお接着剤6は、外周外面27に沿って点在して設けられてもよい。
【0017】
図3、4に示すように外枠3dは、主領域3fと前端領域3eを有している。主領域3fは、略D字状でかつ板状である。主領域3fは、外入口3hと隔壁3jを有している。隔壁3jは、筒体2aの車室外端から内周側に張り出して、筒体2aの内周下領域を覆う。外入口3hは、筒体2aの内周上領域を開口している。すなわち隔壁3jに覆われない筒体2aの内周領域が外入口3hになっている。隔壁3jには、挿入穴7aが設けられおり、挿入穴7aにキーシリンダ3cの先端が挿入される。挿入穴7aは、例えば楕円形である。
【0018】
図3、4に示すように前端領域3eは、主領域3fの前側に位置する。前端領域3eは、外周外面27の一部であるCピラー23に沿って上下に延設される。前端領域3eは、主領域3fよりも外側に位置する。前端領域3eの後縁と主領域3fの前縁は、立壁3gによって連結される。したがって前端領域3eは、主領域3fに対して立壁3gの高さだけ段差を有している。段差、すなわち立壁3gには、外蓋3aを回転可能に連結するためのヒンジ3iが形成されている。前端領域3eは、外周外面27から距離D1だけ外側に位置する。主領域3fは、外周外面27から距離D1より小さい距離D2だけ離れている。
【0019】
図3に示すようにヒンジ3iは、立壁3gに形成された開口部と、開口部の上下壁から突出する突部を有する。立壁3gに例えば2つのヒンジ3iが形成されている。なおヒンジ3iは、1つだけでも良いし3つ以上でも良い。ヒンジ3iには、外蓋3aの連結部材3bが嵌め込まれる。
【0020】
図3~5に示すように内枠4cは、筒体2aの内側端から内周側に張り出す。これにより内枠4cは、筒体2aの内側開口を覆う。内枠4cの下領域には、内入口4dが形成されている。内枠4cには、遮蔽部材5の爪5aが掛け止められる穴4eが形成されている。
【0021】
図2に示すように外蓋3aは、クオータウインドウ開口部21に対して別の仕様として取付くクオータウインドウガラスの輪郭とほぼ同じ輪郭を有し、板状である。外蓋3aは、外枠3d(主領域3f)の外面に重ねられる。したがって、外蓋3aは、本体ユニット2の外枠3dとともに、外板体3として車両20のクオータウインドウ開口部21を覆う。外蓋3aは、ヒンジ3iに嵌め込まれる連結部材3bを有している。外蓋3aにキーシリンダ3cが設けられている。キーシリンダ3cは、先端が挿入穴7aと同様、楕円型になっている。キーシリンダ3cの先端が挿入穴7aに挿入され、回転することでキーシリンダ3cの先端の外周一部が挿入穴7aの孔縁を超える。これにより外蓋3aが閉じた位置で保持される。この状態がキーシリンダ3cに挿入された鍵の回転によって保持される。すなわちキーシリンダ3cは、外蓋3aを閉じた位置でロックする。
【0022】
図2に示すように内蓋4aは、内入口4dの輪郭とほぼ同じ輪郭を有し、板状である。内蓋4aは、本体ユニット2の内枠4cとともに、内板体4として筒体2aを覆う。内蓋4aは、取っ手部材4bを有している。取っ手部材4bは、図5に示すように内蓋4aの下部に設けられ、内側に突出しかつ下方に開口する。あるいは内蓋4aの下端を切り欠くことで形成される。これにより取っ手部材4bは、下方から指によって摘まむことができる。内蓋4aの上部は、蝶番9によって内枠4cに回転可能に取り付けられている。したがって内蓋4aは、蝶番9によって上下方向に回転し、内入口4dを開閉する。
【0023】
図2に示すように遮蔽部材5は、内装トリム25の傾斜面28の稜線とほぼ同じ輪郭を有している。遮蔽部材5は、本体ユニット2に取り付けられる爪5aを有している。遮蔽部材5は、内枠4cの内入口4dとほぼ同じ大きさの開口部5bを有している。
【0024】
図2を参照するように収納ボックス1をクオータウインドウ開口部21に取り付ける場合は、先ずヒンジ3i(図3参照)に外蓋3aの連結部材3bを嵌め込み、本体ユニット2に外蓋3aを取り付ける。次に、本体ユニット2における外枠3dの主領域3fに接合手段としての接着剤6を一様に塗布する。接着剤6は、例えばウレタン系接着剤である。なお、接合手段は接合能力が担保される手段であればよいため、接着剤に限定されず、両面テープや溶着等により接合されていてもよい。
【0025】
次に、図2を参照するように本体ユニット2の筒体2aをクオータウインドウ開口部21に挿入する。前端領域3eおよび主領域3fをクオータウインドウ開口部21の外周外面27に押し付ける。これにより主領域3fと外周外面27が接着剤6にて接着される。筒体2aが車室内側(内板体4)から車室外側(外板体3)に向けて径が広がっているため、筒体2aから内装トリム25の傾斜面28の間に隙間が空くこととなる。また、車室内側からは、外枠3dと筒体2aの境目が見えている。
【0026】
次に、図5を参照するように内蓋4aを蝶番9によって内枠4cに取り付ける。図4を参照するように本体ユニット2に遮蔽部材5を取り付ける。遮蔽部材5の取付によって筒体2aから内装トリム25の傾斜面28の間の隙間が隠される。この時遮蔽部材5の爪5aを、内枠4cの穴4eに差し込むとともに、筒体2aにおける外周面の凹部2bに引っ掛ける。
【0027】
以上のように収納ボックス1が形成される。図4に示すように収納ボックス1は、車両20のクオータウインドウ開口部21を覆う外板体3を有する。外板体3の外周領域(主領域3f)がクオータウインドウ開口部21の外周外面27に接着剤6で接着される。外板体3の内面からクオータウインドウ開口部21を筒体2aが貫通する。筒体2aの先端を内板体4が覆う。(1)外板体3は、外周領域(前端領域3eおよび主領域3f)を備えかつ外入口3hが形成された板状の外枠3dと、外入口3hを開閉するように外枠3dに回転可能に連結されて外枠3dの外面に重ねられる板状の外蓋3aを有する。あるいは(2)内板体4は、内入口4dが形成された内枠4cと、内入口4dを開閉するように内枠4cに回転可能に連結された内蓋4aを有する。
【0028】
したがって図4、5に示すように外板体3は、板状でかつ外周領域(主領域3f)がクオータウインドウ開口部21の外周外面27に接着される。そのため外板体3は、クオータウインドウ意匠から突出する量が小さい。これにより収納ボックス1によって車両20の空気抵抗が高くなることを抑制できる。あるいは収納ボックス1を設けつつ、スライドドアを車両20に設定することができる。
【0029】
図4、5に示すように内板体4(内枠4c)は、筒体2aより外周へ張り出して外枠3dと筒体2aの境目を覆う遮蔽部材5を有する。したがって筒体2aから内装トリム25の傾斜面28の間に隙間があって見栄えが良くないが、その部分を遮蔽部材5で隠すことができる。これにより収納ボックス1によって車室内からの見栄えが悪くなることが抑制できる。
【0030】
図4、5に示すように筒体2aは、内板体4から外板体3に向けて径が広がる。筒体2aには遮蔽部材5が取付けられる。したがって筒体2aと外板体3の境目が車室内から容易に見え得る構造になっている。これに対して遮蔽部材5が設けられている。そのため収納ボックス1によって車室内からの見栄えが悪くなることが抑制できる。
【0031】
図4、5に示すように外板体3は、(1)の外枠3dと外蓋3aを有する。外枠3dは、クオータウインドウ開口部21の外周外面27に対面する前端領域3eを有する。外枠3dは、前端領域3eの内周縁に隣接しかつ前端領域3eよりもクオータウインドウ開口部21の外周外面27に近接する主領域3fを有する。外枠3dは、前端領域3eと主領域3fを繋ぎ段差を生じせしめる立壁3gに形成されかつ外蓋3aが回転可能に連結されるヒンジ3iを有する。
【0032】
したがって立壁3gに外蓋3aのヒンジ3iが設けられる。そのためヒンジ3iによって外板体3が車両外側に突出することが抑制される。しかも前端領域3eと主領域3fの段差を利用してヒンジ3iを容易に設けることができる。ヒンジ3iに連結される外蓋3aも車両外側に突出することが抑制される。
【0033】
実施形態2について図6図7を用いて説明する。実施形態2は、上述の実施形態1とほぼ同様に形成されている。実施形態2の収納ボックス31は、図1に示す本体ユニット2から外枠3dの部分が分離した本体ユニット32を有している。したがって、収納ボックス31は、独立した外枠33d(本体ユニット2の外枠3dに対応する)を有している。
【0034】
図7に示すように本体ユニット32は、筒体32a、内枠4cを有している。筒体32aの外側端は、クオータウインドウ開口部21の輪郭とほぼ同じ形状の環状である。筒体32aは、車室外側の先端に、外枠33dと接合する接合部材32cを有している。接合部材32cの先端には、爪32dが複数設けられている。筒体32aは、車室外側から車室内側に向けて径が広がっている。筒体32aの外周面は、内装トリム25の傾斜面28に沿うように形成されている。したがって、収納ボックス31をクオータウインドウ開口部21に取り付ける場合は、本体ユニット32を車両20の内側から挿入する必要がある。しかし、筒体2aは、クオータウインドウ開口部21周囲の内装トリム25(傾斜面28)と隙間なく隣接する。その結果、車室内からは筒体2aと外板体3の境目も見えなくなる。
【0035】
外枠33dは、本体ユニット32の筒体32aと接合する接合部材8を有する。接合部材8は、接合部材32cの爪32dが引っ掛けられる穴8aを有する。
【0036】
収納ボックス31をクオータウインドウ開口部21に取り付ける場合は、先ず前端領域3eのヒンジ3iに対し、外蓋3aを連結部材3bにて取り付ける。内枠4cの内入口4dに対し、内蓋4aを蝶番9にて取り付ける。次に、外枠33d(主領域3f)に接着剤6を一様に塗布する。そして、外枠33dの前端領域3eおよび主領域3fをクオータウインドウ開口部21の外周外面27に対面させ、外枠33dをクオータウインドウ開口部21に固定する。
【0037】
次に、本体ユニット32を車両20の内側から挿入し、接合部材32cの爪32dを接合部材8の穴8aに引っ掛けて本体ユニット32と外枠33dを接合する。
【0038】
以上のように収納ボックス31が形成される。図6、7に示すように外板体(外枠33d)は、筒体32aと接合する接合部材8を有する。筒体32aは、外板体(外枠33d)から内板体4に向けて径が広がる。したがって筒体32aは、車室内側からクオータウインドウ開口部21を通して外板体(外枠33d)に接合される。そのため筒体32aは、外板体(外枠33d)から内板体4に向けて径が広がる形状であっても外板体(外枠33d)に接合される。そして筒体32aが内板体4から外板体(外枠33d)に向けて径が広がっているため、収納ボックス31の収納容量を大きくすることができる。また、筒体32aが内板体4から外板体3に向けて広がる場合と比較して、筒体2aを、クオータウインドウ開口部21周囲の内装トリム25(傾斜面28)と隙間なく隣接させることができる。その結果、車室内からは筒体2aと外板体3の境目も見えなくなるので、車室内からの見栄え悪化抑制のための遮蔽部材5が不要となる。
【0039】
実施形態3について図8~10を用いて説明する。実施形態3は、図6、7に示す実施形態2とほぼ同様に形成されている。実施形態3の収納ボックス41は、図6、7に示す外蓋3a、内蓋4aに代えて、図9、10に示す外蓋43a、内蓋44aを有している。また、実施形態3の収納ボックス41は、図6、7に示す外枠33dに代えて、図9、10に示す外枠43dを有している。また、実施形態3の収納ボックス41における本体ユニット42は、図6、7に示す内枠4cに代えて、図9、10に示す内枠44cを有している。
【0040】
図9、10に示すように外枠43dは、段差を持たない単一の外周領域43fを有している。外枠43dの外周領域43fが、クオータウインドウ開口部21の外周外面27に対して接着剤6にて接着されている。実施形態3の収納ボックス41と閉扉状態のリアドア22の後方端部との間には、リアクオータパネル(Cピラー23)が配置されている。したがって車両20は、Cピラー23が積極的に意匠として表れている。
【0041】
図9、10に示すように内枠44cは、周縁を残し、ほぼ全ての領域に内入口4dが形成されている。
【0042】
図10に示すように外蓋43aは、連結部材3bを有していない。したがって、外蓋43aは、外枠43dの上縁に対して、独立の蝶番45にて取り付けられる。内蓋44aは、内枠44cの上縁に対して、独立の蝶番46にて取り付けられる。内蓋44aは、下縁に例えば鉄片47を有しており、内枠44cに固定された磁石48とくっついて閉扉状態となる。
【0043】
実施形態4について図11を用いて説明する。実施形態4は、図9、10に示す実施形態3とほぼ同様に形成されている。実施形態4の収納ボックス51は、図9、10に示す外蓋43aと外枠33dに代えて、図11に示す外板体50を有している。外板体50は、樹脂ガラスにて形成されている。外板体50は、クオータウインドウ開口部21を覆うのみで、図10に示されるような外入口3hは形成されていない。
【0044】
図11に示すように外板体50は、段差を持たない単一の外周領域53fを有している。外板体50の外周領域53fが、クオータウインドウ開口部21の外周外面27に対して接着剤6にて接着されている。外板体50は、本体ユニット32の筒体32aと接合する接合部材50aを有する。接合部材50aは、外板体50に対してインサート成形しても良いし、接着剤で固定しても良い。なお、外板体50を無機ガラスにて形成し、接合部材50aをインサート成形する、あるいは、接着材で固定するようにしても良い。
【0045】
実施形態5について図12を用いて説明する。実施形態5は、図8~10に示す実施形態3とほぼ同様に形成されている。実施形態5の収納ボックス61は、図9、10に示す内装トリム25、本体ユニット42に代えて、図12に示す本体ユニット付内装トリム65を有している。本体ユニット付内装トリム65は、内装トリム25と本体ユニット42が一体に形成されている。
【0046】
本体ユニット付内装トリム65は、内入口4dに対応する開口部を有していない。したがって、収納ボックス61の収納空間には外蓋43aを開けてアクセスする。
【0047】
上述する形態に代えて、下記の形態であっても良い。例えば各実施形態における収納ボックス1、31、41、51、61は、車両20の左側面に取り付けられることを想定して説明しているが、右側面に取り付けられるものであってもよい。
【0048】
クオータウインドウ開口部21の外周外面27を略D字状として説明したが、これに限らず任意の形状であってよい。これに伴い収納ボックス1、31、41、51、61の形状も任意の形状であって良い(収納ボックス1、31、41、51、61の形状は、クオータウインドウ開口部21の形状に影響される)。
【0049】
図4に示す収納ボックス1は、遮蔽部材5が本体ユニット2(図2参照)に取り付けられている。これに代えて、本体ユニット2における内枠4cを、内装トリム25に届くように筒体2aより外周へ張り出しても良い。つまり、本体ユニット2に遮蔽部材5を一体化させてもよい。
【0050】
図5に示す収納ボックス1は、内枠4cの内入口4dに対して、蝶番9にて内蓋4aが取り付けられている。これに代えて、外枠3dにおける立壁3gにヒンジ3iを設けたように、内枠4cの内入口4dにヒンジを一体に設けても良い。その場合、内蓋4aには、ヒンジに取り付け可能な連結部材を設けるようにしても良い。
【0051】
図9、10に示す収納ボックス41は、外蓋43aが外枠43dの上縁に、内蓋44aが内枠44cの上縁に対して取り付けられている。これに代えて、外蓋43aが外枠43dの例えば左縁に、内蓋44a内枠44cの例えば左縁に対して取り付けられる等、任意の縁に取り付けて良い。
【0052】
図12に示す本体ユニット付内装トリム65は、内入口4dに対応する開口部を有していない。これに代えて、本体ユニット付内装トリム65に開口部を設けて、内蓋を取り付けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0053】
1、31、41、51、61 収納ボックス
2、32、42 本体ユニット
2a、32a 筒体
2b 凹部
3、50 外板体
3a、43a 外蓋
3b 連結部材
3c キーシリンダ
3d、33d、43d 外枠
3e 前端領域
3f 主領域
3g 立壁
3h 外入口
3i ヒンジ
3j 隔壁
4 内板体
4a、44a 内蓋
4b 取っ手部材
4c、44c 内枠
4d 内入口
4e 穴
5 遮蔽部材
5a 爪
5b 開口部
6 接着剤
7a 挿入穴
8 接合部材
8a 穴
9 蝶番
20 車両
21 クオータウインドウ
22 リアドア
23 Cピラー
24 Dピラー
25 内装トリム
26 開口部
27 外周外面
28 傾斜面
32c 接合部材
32d 爪
43f、53f 外周領域
45 蝶番
46 蝶番
47 鉄片
48 磁石
50a 接合部材
65 本体ユニット付内装トリム
D1 距離
D2 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12