IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特許-電動圧縮機 図1
  • 特許-電動圧縮機 図2
  • 特許-電動圧縮機 図3
  • 特許-電動圧縮機 図4
  • 特許-電動圧縮機 図5
  • 特許-電動圧縮機 図6
  • 特許-電動圧縮機 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/06 20060101AFI20250319BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20250319BHJP
   F04B 39/12 20060101ALI20250319BHJP
【FI】
F04B39/06 Q
F04B39/00 106Z
F04B39/12 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021213071
(22)【出願日】2021-12-27
(65)【公開番号】P2023096978
(43)【公開日】2023-07-07
【審査請求日】2024-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩▲瀬▼ 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】浦辺 祥吾
【審査官】森 秀太
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-165324(JP,A)
【文献】特開2018-107965(JP,A)
【文献】特開2017-008910(JP,A)
【文献】特開2019-173656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/06
F04B 39/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部を駆動する電動モータと、
前記電動モータを駆動するインバータと、
前記電動モータを収容するとともに前記冷媒が吸入される吸入室を形成する筒状のモータハウジングと前記モータハウジングに熱的に接続されて前記インバータを収容するインバータ収容室を形成するインバータハウジングとを有するハウジングと、
を備え、
前記インバータは、円筒面を有した複数の電解コンデンサ、及び前記電解コンデンサを保持するホルダを有し、
前記電解コンデンサは、長手方向となる中心軸が各々平行となるように前記ホルダに取付けられ、
前記インバータ収容室の内壁は、末広がり形状に凹設された溝部を有し、
前記ホルダは、各段に複数の前記電解コンデンサが配置され、各段における前記電解コンデンサの間隔が段毎に順次広がるように前記電解コンデンサを段積み状態で保持し、
前記電解コンデンサは、前記円筒面が前記溝部と熱的に接続され、前記溝部の末広がり方向に向けて前記間隔が広くなるように前記溝部内に収容され
前記インバータハウジングは、前記モータハウジングの軸方向の一端を閉塞するとともに前記内壁の一部を構成する壁部を有し、
前記溝部は、前記壁部に設けられ、
前記ホルダは、前記溝部の開口に近い段にある複数の前記電解コンデンサが、前記溝部の底に近い段にある前記電解コンデンサを前記モータハウジングの径方向に挟むよう前記電解コンデンサを保持する電動圧縮機。
【請求項2】
前記インバータは、前記電解コンデンサとともにLC回路を構成するコイルとスイッチング素子とを有し、前記スイッチング素子、前記コイル、及び前記複数の電解コンデンサは、前記モータハウジングの軸方向において前記吸入室と並びつつ前記壁部と熱的に接続されるよう前記インバータ収容室内に固定されている請求項に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記電解コンデンサは、一端を前記スイッチング素子に向けつつ前記インバータ収容室内に固定されており、前記電解コンデンサの一対のリード線は前記一端から延びている請求項に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動圧縮機は、圧縮部と、電動モータと、インバータと、ハウジングとを備えている。圧縮部は、冷媒を圧縮する。電動モータは、圧縮部を駆動する。インバータは、電動モータを駆動する。ハウジングは、筒状のモータハウジングと、インバータハウジングとを有している。モータハウジングは、電動モータを収容するとともに冷媒が吸入される吸入室を形成している。インバータハウジングは、インバータを収容するインバータ収容室を形成している。
【0003】
インバータは、スイッチング素子と、コイル及び円柱状の複数の電解コンデンサを有するLC回路とを有している。特許文献1に記載された電動圧縮機では、各電解コンデンサは、電解コンデンサの長手方向となる中心軸がモータハウジングの軸方向に沿って延びるように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-173656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スイッチング素子、コイル、及び電解コンデンサは、インバータの動作時に発熱する発熱素子の一例である。発熱素子は、例えば、次のように冷却される。発熱素子の熱は、ハウジングに伝わる。ハウジングは、吸入室に吸入された冷媒によって冷却される。すなわち、発熱素子は、吸入室に吸入された冷媒によって冷却される。したがって、発熱素子は、吸入室と熱交換しやすいようモータハウジングの軸方向において吸入室と並ぶように配置されるのが好ましい。
【0006】
特許文献1のように、電解コンデンサの中心軸がモータハウジングの軸方向に沿って延びている場合には、吸入室から見たときの電解コンデンサの面積は大きくなりにくい。このため、発熱素子をモータハウジングの軸方向において吸入室と並ぶよう配置しやすい。しかしながら、例えば、電解コンデンサの周面が、ハウジングにおける吸入室とインバータ収容室とを隔てる壁に沿うよう配置されている場合、すなわち電解コンデンサの軸方向がモータハウジングの軸方向と直交するように配置されている場合には、吸入室から見たときの電解コンデンサの面積は大きくなりやすい。このため、発熱素子をモータハウジングの軸方向において吸入室と並ぶように配置することが困難になることがある。モータハウジングの軸方向において吸入室と並んでいない発熱素子は、モータハウジングの軸方向において吸入室と並んでいる発熱素子と比べて冷却されにくい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための電動圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、前記電動モータを駆動するインバータと、前記電動モータを収容するとともに前記冷媒が吸入される吸入室を形成する筒状のモータハウジングと前記モータハウジングに熱的に接続されて前記インバータを収容するインバータ収容室を形成するインバータハウジングとを有するハウジングと、を備え、前記インバータは、円筒面を有した複数の電解コンデンサ、及び前記電解コンデンサを保持するホルダを有し、前記電解コンデンサは、長手方向となる中心軸が各々平行となるように前記ホルダに取付けられ、前記インバータ収容室の内壁は、末広がり形状に凹設された溝部を有し、前記ホルダは、各段に複数の前記電解コンデンサが配置され、各段における前記電解コンデンサの間隔が段毎に順次広がるように前記電解コンデンサを段積み状態で保持し、前記電解コンデンサは、前記円筒面が前記溝部と熱的に接続され、前記溝部の末広がり方向に向けて前記間隔が広くなるように前記溝部内に収容されていることを要旨とする。
【0008】
ホルダが複数の電解コンデンサを保持することにより、電解コンデンサは複数段に配置されている。このため、全ての電解コンデンサが一列に並んでいる場合と比較して、吸入室から見たときの複数の電解コンデンサの面積が減少する。よって、電解コンデンサ以外の発熱素子について吸入室と熱交換しやすいようインバータ収容室内に配置しやすくすることができる。その結果、全ての電解コンデンサが一列に並んでいる場合と比較して、電解コンデンサ以外の発熱素子の冷却効果を増大させることができる。また、電解コンデンサは、溝部内に収容されることにより、溝部ひいてはインバータ収容室の内壁と熱的に接続されている。このため、電解コンデンサが溝部内に収容されていない場合と比較して、内壁に対する電解コンデンサの接触面積を増大させることができる。よって、電解コンデンサの冷却効果を増大できる。その結果、インバータの冷却効果を増大できる。
【0009】
上記電動圧縮機において、前記インバータハウジングは、前記モータハウジングの軸方向の一端を閉塞するとともに前記内壁の一部を構成する壁部を有し、前記溝部は、前記壁部に設けられ、前記ホルダは、前記溝部の開口に近い段にある複数の前記電解コンデンサが、前記溝部の底に近い段にある前記電解コンデンサを前記モータハウジングの径方向に挟むよう前記電解コンデンサを保持してもよい。
【0010】
この構成では、溝部の開口に近い段にある複数の電解コンデンサの一部と、溝部の底に近い段にある電解コンデンサの一部とが、モータハウジングの径方向において重なる。よって、溝部の開口に近い段にある複数の電解コンデンサと溝部の底に近い段にある電解コンデンサとが、モータハウジングの径方向において重ならないように配置されている場合と比較して、モータハウジングの軸方向において複数のコンデンサを小型化できる。
【0011】
上記電動圧縮機において、前記インバータは、前記電解コンデンサとともにLC回路を構成するコイルとスイッチング素子とを有し、前記スイッチング素子、前記コイル、及び前記複数の電解コンデンサは、前記モータハウジングの軸方向において前記吸入室と並びつつ前記壁部と熱的に接続されるよう前記インバータ収容室内に固定されていてもよい。
【0012】
この構成は、電解コンデンサに加え、コイル及びスイッチング素子を吸入室と熱交換しやすいようインバータ収容室内に配置しているため、コイル及びスイッチング素子を冷却させやすい。
【0013】
上記電動圧縮機において、前記電解コンデンサは、一端を前記スイッチング素子に向けつつ前記インバータ収容室内に固定されており、前記電解コンデンサの一対のリード線は前記一端から延びていてもよい。
【0014】
この構成は、電解コンデンサのリード線及びスイッチング素子間の距離を短くすることができる。よって、電解コンデンサ及びスイッチング素子間のインピーダンスを低減できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、インバータの冷却効果を増大できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】電動圧縮機の図5の1-1線に沿う断面図である。
図2】第1構成体及びコンデンサユニットの斜視図である。
図3】電動圧縮機の図5の3-3線に沿う断面図である。
図4】第1構成体、インバータ、及び第3構成体の斜視図である。
図5】インバータの正面図である。
図6】コンデンサユニットの側面図である。
図7】コンデンサユニットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、電動圧縮機を具体化した一実施形態を図1図7にしたがって説明する。本実施形態の電動圧縮機は、例えば、車両空調装置に用いられる。
<<電動圧縮機>>
図1に示すように、電動圧縮機10は、ハウジング11と、軸支部材12と、回転軸13と、圧縮部14と、電動モータ15と、インバータ16とを備えている。ハウジング11は、軸支部材12と、回転軸13と、圧縮部14と、電動モータ15と、インバータ16とを収容している。圧縮部14は、流体としての冷媒を圧縮する。電動モータ15は、回転軸13を回転させることにより、圧縮部14を駆動する。インバータ16は、電動モータ15を駆動する。
【0018】
<ハウジング>
ハウジング11は、第1構成体21と、第2構成体22と、第3構成体23とを有している。第1構成体21、第2構成体22、及び第3構成体23は、金属製である。したがって、ハウジング11は、金属製である。本実施形態では、第1構成体21、第2構成体22、及び第3構成体23は、アルミニウム製である。
【0019】
第1構成体21は、円筒状のモータハウジング24と、有底筒状のインバータハウジング25とを有している。インバータハウジング25は、モータハウジング24の軸方向の第1端と連なっている。インバータハウジング25は、モータハウジング24と熱的に接続されている。
【0020】
図2に示すように、インバータハウジング25は、底壁26と、底壁26の外周縁から底壁26の厚み方向に延びる周壁27とを有している。底壁26の厚み方向は、モータハウジング24の軸方向と一致している。底壁26の外形は、モータハウジング24の外形よりも大きい。底壁26は、閉塞部26aと延出部26bとを有している。閉塞部26aは、モータハウジング24の軸方向の第1端に位置する開口を閉塞する部分であり、本発明におけるモータハウジング24の一端を閉塞する壁部に相当する。延出部26bは、モータハウジング24の径方向においてモータハウジング24の外周面24aよりも外側に位置する部分である。延出部26bは、第1面261及び第2面262を有している。第1面261及び第2面262は、モータハウジング24の軸方向と直交する面である。第1面261は、インバータハウジング25の内面の一部である。第2面262は、第1面261の反対に位置する面である。第2面262は、インバータハウジング25の外面の一部である。
【0021】
図1及び図2に示すように、インバータハウジング25は、凹部28を有している。凹部28は、延出部26bの第1面261よりも凹んだ部分である。凹部28は、閉塞部26aに設けられている。凹部28の深さは、延出部26bの厚みよりも長い。凹部28の底部28aは、延出部26bの第2面262よりもモータハウジング24側に突出している。底部28aは、第1面281及び第2面282を有している。第1面281及び第2面282は、モータハウジング24の軸方向と直交する面である。第1面281は、インバータハウジング25の内面の一部である。第2面282は、第1面281の反対に位置する面である。
【0022】
図1に示すように、インバータハウジング25は、ボス29を有している。ボス29は、閉塞部26aからモータハウジング24に向かって突出した部分である。ボス29は、軸受収容部29aを有している。軸受収容部29aは、ボス29の先端面から凹んだ部分である。軸受収容部29aは、第1軸受17を収容している。
【0023】
図2及び図3に示すように、インバータハウジング25は、突出部30を有している。突出部30は、底部28aの第1面281からモータハウジング24の軸方向に突出した部分である。突出部30の先端面は、延出部26bの第1面261と面一である。突出部30は、末広がり形状に凹設された溝部30aを有している。溝部30aは、2つの第1溝31と、2つの第2溝32とから構成されている。
【0024】
ここで、モータハウジング24の軸方向を第1方向とする。第1方向と直交する方向を第2方向とする。第1方向及び第2方向の両方と直交する方向を第3方向とする。第2方向及び第3方向はそれぞれ、モータハウジング24の径方向と一致している。
【0025】
各第1溝31及び各第2溝32は、第2方向に沿って延びている。各溝31,32は、第1方向において2段に配置されている。2つの第1溝31は、第1方向において2つの第2溝32とは異なる段に設けられている。2つの第1溝31は、突出部30の基端側に位置している。2つの第2溝32は、突出部30の先端側に位置している。言い換えると、2つの第1溝31は、凹部28の底部28a側に位置している。2つの第2溝32は、凹部28の開口側に位置している。2つの第1溝31は、第3方向に並んでいる。2つの第2溝32は、第3方向に並んでいる。本実施形態では、2つの第1溝31は、第3方向において2つの第2溝32の間に位置している。つまり、本実施形態の溝部30aは、溝部30aの底から開口に向かうにつれて、第3方向における溝部30aの幅が広がる末広がり形状である。
【0026】
図1に示すように、第2構成体22は、モータハウジング24の軸方向の第2端に連結されている。モータハウジング24の軸方向の第2端とは、モータハウジング24の軸方向において第1端とは反対に位置する端である。第2構成体22は、モータハウジング24の軸方向の第2端に位置する開口を閉塞している。
【0027】
図4に示すように、第3構成体23は、インバータハウジング25の周壁27に対応する形状である。第3構成体23は、インバータハウジング25の周壁27に連結されている。第3構成体23は、インバータハウジング25の開口を閉塞している。第3構成体23は、第2構成体22と熱的に接続されている。第3構成体23の内面23aは、モータハウジング24の軸方向と直交する面である。
【0028】
図1及び図3に示すように、インバータハウジング25の内面と第3構成体23の内面23aとによって、インバータ収容室S1が区画されている。言い換えると、インバータハウジング25の内面及び第3構成体23の内面23aは、インバータ収容室S1の内壁である。
【0029】
図1に示すように、ハウジング11は、吸入口11aと吐出口11bとを有している。吸入口11aは、モータハウジング24に設けられている。吸入口11aは、モータハウジング24の軸方向においてインバータハウジング25に近い部分に設けられている。吸入口11aには、外部冷媒回路の第1端が接続されている。吐出口11bは、第2構成体22に設けられている。吐出口11bには、外部冷媒回路の第1端とは反対の端である第2端が接続されている。
【0030】
<軸支部材>
軸支部材12は、モータハウジング24内に収容されている。軸支部材12は、軸挿通孔12aと、連通孔12bとを有している。軸挿通孔12aには、第2軸受18が収容されている。
【0031】
モータハウジング24の内周面と、軸支部材12と、インバータハウジング25の閉塞部26aとによって、吸入室S2が区画されている。閉塞部26aは、インバータ収容室S1と吸入室S2とを隔てている。閉塞部26aは、吸入室S2に露出している。閉塞部26aは、吸入室S2と熱的に接続されている。閉塞部26a及び第3構成体23の一部は、モータハウジング24の軸方向において吸入室S2と並んでいる。
【0032】
<回転軸>
回転軸13は、モータハウジング24内に収容されている。回転軸13は、モータハウジング24の軸方向に沿って延びている。回転軸13の一端部は、軸受収容部29aに挿入されている。回転軸13の一端部は、第1軸受17を介してボス29に回転可能に支持されている。回転軸13の他端部は、軸支部材12の軸挿通孔12aに挿通されている。回転軸13の他端部は、第2軸受18を介して軸支部材12に回転可能に支持されている。
【0033】
<圧縮部>
圧縮部14は、モータハウジング24内に収容されている。圧縮部14は、回転軸13の軸方向において軸支部材12と第2構成体22との間に配置されている。本実施形態の圧縮部14は、スクロール式である。圧縮部14は、固定スクロール14aと可動スクロール14bとを有している。固定スクロール14aは、モータハウジング24の内周面に固定されている。可動スクロール14bは、固定スクロール14aと対向するように配置されている。固定スクロール14aと可動スクロール14bとの間には容積変更可能な圧縮室S3が区画されている。圧縮室S3は、連通孔12bを介して吸入室S2と連通している。固定スクロール14aと第2構成体22の内面とによって吐出室S4が区画されている。圧縮室S3と吐出室S4とは連通している。
【0034】
<電動モータ>
電動モータ15は、吸入室S2に収容されている。つまり、吸入室S2は、電動モータ15を収容するモータ収容室でもある。電動モータ15は、ロータ41と、ステータ42とを有している。ロータ41は、円筒状のロータコア41aと、複数の永久磁石41bとを有している。ロータコア41aは、回転軸13に固定されている。複数の永久磁石41bは、ロータコア41aに埋設されている。各永久磁石41bは、ロータコア41aの周方向に等ピッチに設けられている。ステータ42は、ロータ41を取り囲んでいる。ステータ42は、円筒状のステータコア42aと、モータコイル42bとを有している。ステータコア42aは、モータハウジング24の内周面に固定されている。モータコイル42bは、ステータコア42aに巻回されている。ロータ41は、モータコイル42bに電流が流れることにより回転する。回転軸13は、ロータ41と一体的に回転する。
【0035】
<インバータ>
図4及び図5に示すように、インバータ16は、3相のスイッチング素子61と、コイル62と、コンデンサユニット63と、3相の導電部材64と、樹脂製のプレート65と、回路基板66とを有している。
【0036】
3相のスイッチング素子61は、電動モータ15を駆動するためにスイッチング動作を行う。コンデンサユニット63は、複数の電解コンデンサ71と、樹脂製のホルダ72とを有している。本実施形態のコンデンサユニット63は、複数の電解コンデンサ71として、4つの電解コンデンサ71を有している。ホルダ72は、複数の電解コンデンサ71を保持している。複数の電解コンデンサ71及びコイル62は、LC回路を構成している。LC回路は、外部からの入力電流に含まれるノイズを低減するためのフィルタ回路である。3相のスイッチング素子61、コイル62、及び電解コンデンサ71は、インバータ16の動作時に発熱する発熱素子である。3相の導電部材64はそれぞれ、金属製である。3相の導電部材64は、電動モータ15とインバータ16とを電気的に接続する。
【0037】
コンデンサユニット63の構成について詳述する。
図6及び図7に示すように、各電解コンデンサ71は、円柱状である。各電解コンデンサ71は、外周面として円筒面710を有している。電解コンデンサ71の外径及び軸方向の寸法は、全ての電解コンデンサ71で同じである。電解コンデンサ71の軸方向の寸法は、電解コンデンサ71の外径よりも大きい。つまり、電解コンデンサ71の中心軸Oが延びる方向が電解コンデンサ71の長手方向である。各電解コンデンサ71の軸方向の一端からは、2本のリード線73が延びている。
【0038】
ホルダ72は、2つの第1コンデンサ収容部74と、2つの第2コンデンサ収容部75とを有している。各第1コンデンサ収容部74及び各第2コンデンサ収容部75は、略円柱状の空間である。各第1コンデンサ収容部74の軸方向及び各第2コンデンサ収容部75の軸方向は一致している。各第1コンデンサ収容部74及び各第2コンデンサ収容部75の軸方向の一端部は閉塞されており、かつ他端部は開放されている。
【0039】
各コンデンサ収容部74,75は、各コンデンサ収容部74,75の軸方向と直交する方向において2段に配置されている。2つの第1コンデンサ収容部74は、各コンデンサ収容部74,75の軸方向と直交する方向において、2つの第2コンデンサ収容部75とは異なる段に配置されている。
【0040】
コンデンサ収容部74,75が2段に配置される方向を、ホルダ72の厚み方向とする。ホルダ72の厚み方向は、コンデンサ収容部74,75の軸方向と直交する方向である。また、コンデンサ収容部74,75の軸方向及びホルダ72の厚み方向の両方と直交する方向を、ホルダ72の幅方向とする。
【0041】
2つの第1コンデンサ収容部74は、ホルダ72の幅方向に並んでいる。2つの第2コンデンサ収容部75は、ホルダ72の幅方向に並んでいる。本実施形態では、2つの第1コンデンサ収容部74は、ホルダ72の幅方向において、2つの第2コンデンサ収容部75の間に位置している。2つの第2コンデンサ収容部75同士の間隔は、2つの第1コンデンサ収容部74同士の間隔よりも広い。
【0042】
ホルダ72は、窓76を有している。窓76は、各コンデンサ収容部74,75と、ホルダ72の外部とを連通させている。
各電解コンデンサ71は、第1コンデンサ収容部74又は第2コンデンサ収容部75に収容されている。詳しくは、4つの電解コンデンサ71のうち、2つの電解コンデンサ71は、第1コンデンサ収容部74に収容されているとともに、他の2つの電解コンデンサ71は、第2コンデンサ収容部75に収容されている。4つの電解コンデンサ71を区別する必要がある場合には、第1コンデンサ収容部74に収容された電解コンデンサ71を第1電解コンデンサ71aという。また、第2コンデンサ収容部75に収容された電解コンデンサ71を第2電解コンデンサ71bという。
【0043】
各電解コンデンサ71は、コンデンサ収容部74,75に収容された第1部位711と、ホルダ72から突出した第2部位712とを有している。リード線73は、第1部位711から延びている。リード線73は、ホルダ72の外部に引き出されている。
【0044】
4つの電解コンデンサ71がホルダ72に保持された状態において、電解コンデンサ71の軸方向は、全ての電解コンデンサ71で一致している。電解コンデンサ71の中心軸Oは各々平行である。各電解コンデンサ71の軸方向は、コンデンサ収容部74,75の軸方向と一致している。2つの第1電解コンデンサ71aと2つの第2電解コンデンサ71bとは、ホルダ72の厚さ方向において2段に配置されている。2つの第1電解コンデンサ71aは、ホルダ72の幅方向に並んでいる。2つの第2電解コンデンサ71bは、ホルダ72の幅方向に並んでいる。本実施形態では、2つの第1電解コンデンサ71aは、ホルダ72の幅方向において、2つの第2電解コンデンサ71bの間に配置されている。2つの第2電解コンデンサ71b同士の間隔は、2つの第1電解コンデンサ71a同士の間隔よりも広い。すなわち、ホルダ72は、各段に複数の電解コンデンサ71が配置され、各段における電解コンデンサ71の間隔が順次広がるよう電解コンデンサ71を段積み状態で保持している。
【0045】
図7に示すように、第1電解コンデンサ71aと第2電解コンデンサ71bとは、電解コンデンサ71の軸方向において部分的に重なるように配置されている。詳しくは、第1電解コンデンサ71aの第1部位711は、第2電解コンデンサ71bの第1部位711よりも電解コンデンサ71の軸方向に突出している。第2電解コンデンサ71bの第2部位712は、第1電解コンデンサ71aの第2部位712よりも電解コンデンサ71の軸方向に突出している。
【0046】
図6に示すように、第1電解コンデンサ71aと第2電解コンデンサ71bとは、ホルダ72の厚み方向において部分的に重なるように配置されている。詳しくは、ホルダ72の厚み方向における第1電解コンデンサ71aの一端部は、ホルダ72の厚み方向における第2電解コンデンサ71bの一端部と他端部との間に位置している。
【0047】
第1電解コンデンサ71aと第2電解コンデンサ71bとは、ホルダ72の幅方向において部分的に重なるように配置されている。詳しくは、ホルダ72の幅方向における第1電解コンデンサ71aの一端部は、ホルダ72の幅方向における第2電解コンデンサ71bの一端部と他端部との間に位置している。
【0048】
図4に示すように、プレート65は、第1面65a及び第2面65bを有している。第1面65a及び第2面65bは、プレート65の板厚方向と直交する面である。第2面65bは、第1面65aの反対に位置する面である。プレート65は、第1面65aに、3相のスイッチング素子61と、コイル62と、コンデンサユニット63と、3相の導電部材64とを保持している。
【0049】
図5に示すように、プレート65は、プレート65を板厚方向に貫通する貫通孔65cを有している。
3相のスイッチング素子61と、コイル62と、コンデンサユニット63と、3相の導電部材64とがプレート65に保持された状態において、3相のスイッチング素子61とコンデンサユニット63とは、電解コンデンサ71の軸方向に並んでいる。各電解コンデンサ71は、電解コンデンサ71の軸方向の一端が3相のスイッチング素子61に向けられた状態で配置されている。上述したように、一対のリード線73は、電解コンデンサ71の軸方向の一端から延びている。このため、各電解コンデンサ71から延びるリード線73は、電解コンデンサ71の軸方向において電解コンデンサ71と3相のスイッチング素子61との間に配置されている。また、コンデンサユニット63及び3相のスイッチング素子61は、ホルダ72の幅方向においてコイル62と3相の導電部材64との間に配置されている。
【0050】
図4に示すように、プレート65は、回路基板66に重ねて配置されている。プレート65の板厚方向と回路基板66の板厚方向は一致している。回路基板66の外形は、プレート65の外形よりも大きい。回路基板66は、プレート65と重なる部分と、プレート65よりもはみ出した部分とを有している。
【0051】
プレート65の第2面65bは、回路基板66と対向している。ホルダ72における窓76が形成された部分は、プレート65の貫通孔65cを介して回路基板66と対向している。各電解コンデンサ71の第1部位711の一部は、窓76及び貫通孔65cを介して回路基板66と対向している。
【0052】
プレート65は、3相のスイッチング素子61、コイル62、コンデンサユニット63、及び3相の導電部材64と、回路基板66との間に配置されている。3相のスイッチング素子61、コイル62、電解コンデンサ71、及び3相の導電部材64は、プレート65に形成された図示しない挿通孔を介して回路基板66に実装されている。
【0053】
図1及び図3に示すように、インバータ16は、インバータ収容室S1に収容されている。インバータ16は、インバータ収容室S1内に固定されている。3相のスイッチング素子61、コイル62、コンデンサユニット63の大部分、及び3相の導電部材64は、インバータ収容室S1における凹部28の内部に収容されている。プレート65及び回路基板66は、インバータ収容室S1における凹部28の外部に収容されている。3相のスイッチング素子61、コイル62、コンデンサユニット63、及び3相の導電部材64と、プレート65と、回路基板66とは、モータハウジング24の軸方向においてこの順で並んでいる。
【0054】
図5に二点鎖線で示すように、モータハウジング24の外周面24aをモータハウジング24の軸方向に投影した領域を投影領域Aとする。本実施形態のモータハウジング24は円筒状であるため、投影領域Aは円形状である。3相のスイッチング素子61、コイル62、コンデンサユニット63、及び3相の導電部材64は、投影領域A内に位置している。したがって、3相のスイッチング素子61、コイル62、コンデンサユニット63、及び3相の導電部材64は、モータハウジング24の軸方向において吸入室S2と並んでいる。
【0055】
図1に示すように、3相のスイッチング素子61は、絶縁部材67を介して閉塞部26aと熱的に接続されている。コイル62は、閉塞部26aと接触した状態で配置されている。コイル62は、閉塞部26aと熱的に接続されている。
【0056】
図3及び図5に示すように、電解コンデンサ71は、溝部30a内に収容されている。詳しくは、第1電解コンデンサ71aの第2部位712は、第1溝31内に収容されている。第2電解コンデンサ71bの第2部位712は、第2溝32内に収容されている。各電解コンデンサ71が溝部30a内に収容されることにより、第2部位712における円筒面710は、溝部30aと熱的に接続されている。上述したように、溝部30aは、突出部30に形成されている。突出部30は、閉塞部26aと熱的に接続されている。つまり、各電解コンデンサ71は、溝部30a及び突出部30を介して閉塞部26aと熱的に接続されている。
【0057】
ホルダ72の厚み方向は、第1方向と一致している。電解コンデンサ71の軸方向は、第2方向と一致している。ホルダ72の幅方向は、第3方向と一致している。すなわち、電解コンデンサ71は、第1方向において2段に配置されている。第1電解コンデンサ71aは、溝部30aの底に近い段にある電解コンデンサ71である。第2電解コンデンサ71bは、溝部30aの開口に近い段にある電解コンデンサ71である。電解コンデンサ71は、溝部30aの末広がり方向に向けて、各段における電解コンデンサ71同士の間隔が広くなるように配置されている。なお、溝部30aの末広がり方向とは、溝部30aの第3方向における幅が広がる方向である。溝部30aの末広がり方向は、第1方向と一致している。本実施形態では、溝部30aにおける幅が広い部分に配置された第2電解コンデンサ71b同士の間隔は、溝部30aにおける幅が狭い部分に配置された第1電解コンデンサ71a同士の間隔よりも広くなっている。
【0058】
ホルダ72は、2つの第2電解コンデンサ71bが、2つの第1電解コンデンサ71aを第2方向に挟むように、電解コンデンサ71を保持している。言い換えると、ホルダ72は、2つの第2電解コンデンサ71bが、2つの第1電解コンデンサ71aをモータハウジング24の径方向に挟むように、電解コンデンサ71を保持している。このため、第1方向における第1電解コンデンサ71aの一部と第1方向における第2電解コンデンサ71bの一部とは、第3方向において重なっている。また、第2方向における第1電解コンデンサ71aの一部と第2方向における第2電解コンデンサ71bの一部とは、第1方向において部分的に重なっている。さらに、第3方向における第1電解コンデンサ71aの一部と第3方向における第2電解コンデンサ71bの一部とは、第1方向において部分的に重なっている。
【0059】
回路基板66におけるプレート65よりもはみ出した部分は、モータハウジング24の軸方向においてインバータハウジング25の延出部26bと第3構成体23との間に収容されている。プレート65及び回路基板66は、ボルトBによってインバータハウジング25に固定されている。
【0060】
<<電動圧縮機の動作>>
冷媒は、吸入口11aから吸入室S2内に吸入される。吸入室S2に吸入された冷媒は、連通孔12bを介して圧縮室S3に流入する。圧縮室S3に流入した冷媒は、圧縮室S3の容積変更により圧縮される。圧縮された冷媒は、吐出室S4に吐出される。吐出室S4に吐出された冷媒は、吐出口11bから外部冷媒回路へ流出する。外部冷媒回路に流出した冷媒は、外部冷媒回路の熱交換器や膨張弁を経て、吸入口11aから吸入室S2内に還流する。電動圧縮機10及び外部冷媒回路は、車両用空調装置を構成している。
【0061】
本実施形態の作用について説明する。
3相のスイッチング素子61、コイル62、及び電解コンデンサ71は、インバータ16の動作時に発熱する。各スイッチング素子61の熱は、絶縁部材67を介して閉塞部26aに伝わる。コイル62の熱は、閉塞部26aに直接伝わる。各電解コンデンサ71の熱は、突出部30を介して閉塞部26aに伝わる。閉塞部26aは、吸入室S2と熱的に接続されている。このため、閉塞部26aは、吸入室S2に吸入された冷媒によって冷却される。このように、各スイッチング素子61、コイル62、及び各電解コンデンサ71は、閉塞部26aを介して吸入室S2に吸入された冷媒によって冷却される。
【0062】
本実施形態の効果について説明する。
(1)ホルダ72が複数の電解コンデンサ71を保持することにより、電解コンデンサ71は第1方向において2段に配置されている。このため、全ての電解コンデンサ71が一列に並んでいる場合と比較して、吸入室S2から見たときのコンデンサユニット63の面積が減少する。よって、電解コンデンサ71以外の発熱素子について吸入室S2と熱交換しやすいようインバータ収容室S1内に配置しやすくすることができる。その結果、全ての電解コンデンサ71が一列に並んでいる場合と比較して、電解コンデンサ71以外の発熱素子の冷却効果を増大させることができる。また、各電解コンデンサ71は、溝部30a内に収容されることにより、溝部30aひいてはインバータ収容室S1の内壁と熱的に接続されている。このため、各電解コンデンサ71が溝部30a内に収容されていない場合と比較して、インバータ収容室S1の内壁に対する電解コンデンサ71の接触面積を増大させることができる。よって、電解コンデンサ71の冷却効果を増大できる。その結果、インバータ16の冷却効果を増大できる。
【0063】
(2)ホルダ72は、溝部30aの開口に近い段にある2つの第2電解コンデンサ71bが、溝部30aの底に近い段にある第1電解コンデンサ71aをモータハウジング24の径方向に挟むよう電解コンデンサ71を保持している。このため、第1電解コンデンサ71aの一部と第2電解コンデンサ71bの一部とが、モータハウジング24の径方向において重なる。よって、第1電解コンデンサ71aと第2電解コンデンサ71bとがモータハウジング24の径方向において重ならない場合と比較して、モータハウジング24の軸方向においてコンデンサユニット63を小型化できる。
【0064】
(3)スイッチング素子61、コイル62、及び複数の電解コンデンサ71は、モータハウジング24の軸方向において吸入室S2と並びつつ閉塞部26aと熱的に接続されるようインバータ収容室S1内に固定されている。この場合、電解コンデンサ71に加え、スイッチング素子61及びコイル62を吸入室S2と熱交換しやすいようインバータ収容室S1内に配置している。よって、スイッチング素子61及びコイル62を冷却させやすい。
【0065】
(4)電解コンデンサ71は、一端をスイッチング素子61に向けつつインバータ収容室S1内に固定されている。電解コンデンサ71の一対のリード線73は、電解コンデンサ71の一端から延びている。このため、電解コンデンサ71のリード線73及びスイッチング素子61間の距離を短くすることができる。よって、電解コンデンサ71及びスイッチング素子61間のインピーダンスを低減できる。
【0066】
(5)閉塞部26aは、吸入室S2に露出している。このため、閉塞部26aが吸入室S2に露出せず、かつ吸入室S2に露出する他の壁部と熱的に接続されている場合と比較して、インバータ16の冷却効果が増大する。
【0067】
(6)ホルダ72は、第2方向における第1電解コンデンサ71aの一部と第2方向における第2電解コンデンサ71bの一部とが第1方向において重なるように、複数の電解コンデンサ71を保持している。このため、第2方向における第1電解コンデンサ71a全体と第2方向における第2電解コンデンサ71b全体とが第1方向において重なっている場合と比較して、第1電解コンデンサ71aから延びるリード線73と第2電解コンデンサ71bから延びるリード線73との絶縁を確保しやすい。
【0068】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ ハウジング11の構成は適宜変更されてもよい。例えば、モータハウジング24とインバータハウジング25とは別体であってもよい。モータハウジング24とインバータハウジング25とが別体である場合、モータハウジング24は、次のような構成でもよい。
【0069】
モータハウジング24は、周壁と、周壁の軸方向の一端に位置する開口を閉塞する端壁とを有する。モータハウジング24の端壁は、吸入室S2に露出することで、吸入室S2と熱的に接続されている。インバータハウジング25は、閉塞部26aがモータハウジング24の端壁と隣り合うように配置される。閉塞部26aは、モータハウジング24の端壁と熱的に接続されている。すなわち、閉塞部26aは、モータハウジング24の端壁を介して吸入室S2と熱的に接続されている。
【0070】
なお、上記構成の場合、溝部30aを有する突出部30は、モータハウジング24の端壁からインバータハウジング25に向かって突出するように形成されていてもよい。突出部30は、閉塞部26aを貫通する貫通孔を介してインバータ収容室S1内に配置される。この場合、溝31,32を有する壁部であるモータハウジング24の端壁は吸入室S2に露出しているため、インバータ16の冷却効果がより増大する。
【0071】
○ 溝部30aは、閉塞部26aの代わりに、第3構成体23の内面23aにおける吸入室S2とモータハウジング24の軸方向に並ぶ面に、末広がり形状に凹設されていてもよい。
【0072】
○ インバータ収容室S1の内壁において溝部30aが設けられる面は、モータハウジング24の軸方向と交差していれば、直交していなくてもよい。
○ モータハウジング24は、筒状であれば、円筒状でなくてもよい。モータハウジング24は、例えば、四角筒状でもよい。
【0073】
○ インバータハウジング25は、凹部28を有していなくてもよい。すなわち、閉塞部26aは、延出部26bの第1面261と面一の面を有していてもよい。この場合、例えば、突出部30は、閉塞部26aにおける延出部26bの第1面261と面一の面に形成されてもよい。また、突出部30を形成せずに、閉塞部26aにおける延出部26bの第1面261と面一の面に溝部30aを形成してもよい。
【0074】
○ 凹部28は、第1軸受17の周囲に設けられていてもよい。すなわち、インバータ16の一部は、第1軸受17の周囲に配置されていてもよい。この場合、吸入室S2のデッドスペースがインバータ収容室として利用されるため、モータハウジング24の軸方向において電動圧縮機10を小型化できる。
【0075】
○ ホルダ72は、電解コンデンサ71の数に応じて、電解コンデンサ71が3段以上に段積みされるように、複数の電解コンデンサ71を保持してもよい。この場合も、ホルダ72は、各段に複数の電解コンデンサ71が配置され、各段における電解コンデンサ71の間隔が段毎に順次広がるように電解コンデンサ71を保持する。
【0076】
○ ホルダ72は、第3方向において3つ以上の第1電解コンデンサ71aを保持してもよい。このように、一段に3つ以上の電解コンデンサ71が並ぶ場合は、両端に位置する電解コンデンサ71の中心軸O間の距離が本発明における電解コンデンサ71の間隔として定義される。
【0077】
○ ホルダ72は、異なる段に位置する電解コンデンサ71がモータハウジング24の径方向において重ならないように、複数の電解コンデンサ71を保持してもよい。
○ ホルダ72は、異なる段に位置する電解コンデンサ71の第2方向における全体が第1方向において重なるように、複数の電解コンデンサ71を保持してもよい。この場合、ホルダ72は、異なる段に位置する電解コンデンサ71のリード線73同士の絶縁が確保されるように、複数の電解コンデンサ71を保持する。例えば、ホルダ72は、第2電解コンデンサ71bのリード線73が電解コンデンサ71を挟んで第1電解コンデンサ71aのリード線73とは反対側に位置するように、複数の電解コンデンサ71を保持する。
【0078】
○ 電解コンデンサ71は、リード線73が延びる軸方向の一端がスイッチング素子61に向くように配置されていなくてもよい。すなわち、電解コンデンサ71から延びるリード線73は、電解コンデンサ71とスイッチング素子61との間に位置していなくてもよい。
【0079】
○ 圧縮部14は、スクロール式に限定されない。圧縮部14は、例えば、ピストン式やベーン式等であってもよい。
○ 電動圧縮機10は、車両用空調装置以外の用途に用いられてもよい。例えば、電動圧縮機10は、燃料電池車に搭載されてもよい。電動圧縮機10は、燃料電池に供給される流体としての空気を圧縮部14により圧縮するために用いられる。
【符号の説明】
【0080】
10…電動圧縮機、11…ハウジング、14…圧縮部、15…電動モータ、16…インバータ、24…モータハウジング、25…インバータハウジング、26a…壁部としての閉塞部、30a…溝部、61…スイッチング素子、62…コイル、71…電解コンデンサ、72…ホルダ、73…リード線、710…円筒面、O…中心軸、S1…インバータ収容室、S2…吸入室。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7