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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20250319BHJP
【FI】
F04B39/00 101U
F04B39/00 101T
F04B39/00 105
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022036084
(22)【出願日】2022-03-09
(65)【公開番号】P2023131370
(43)【公開日】2023-09-22
【審査請求日】2024-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】粟 俊治
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇行
(72)【発明者】
【氏名】宮野 俊行
(72)【発明者】
【氏名】西森 規貴
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊之
(72)【発明者】
【氏名】中野 泰明
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-30473(JP,A)
【文献】特開平4-358777(JP,A)
【文献】特開2013-124783(JP,A)
【文献】特開2003-293957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 1/00-53/22
F04C 2/00-29/12
F04D 1/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部を駆動する電動モータと、
前記圧縮部及び前記電動モータを収容するハウジングと、
前記ハウジングを覆う防音カバーと、
前記ハウジングに取り付けられており、所定の情報を含む銘板と、を備える電動圧縮機であって、
前記ハウジングは、当該ハウジングの一部であり、前記防音カバーに形成された孔から前記防音カバーの外部に突出する突出部を有しており、
前記銘板は、前記突出部に設けられている
電動圧縮機。
【請求項2】
前記突出部は、前記電動圧縮機を取付対象に取り付ける取付足である
請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記突出部は、前記圧縮部に対して前記流体が吸入又は吐出されるポートを形成する壁部である
請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記ハウジングは、
前記圧縮部で圧縮される前記流体が吸入される吸入ポートと、
前記圧縮部で圧縮された前記流体が吐出される吐出ポートと、を有しており、
前記ハウジングは、前記取付足を複数有しており、
前記銘板は、全ての前記取付足のうち前記吐出ポートから最も遠くに位置する前記取付足に対して設けられている
請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記ポートは、
前記圧縮部で圧縮される前記流体が吸入される吸入ポートと、
前記圧縮部で圧縮された前記流体が吐出される吐出ポートと、を有しており、
前記銘板は、前記吸入ポートを形成する前記壁部に対して設けられている
請求項3に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷凍機用圧縮機の防音構造が記載されている。
上記の圧縮機は、圧縮機構と、駆動用モータと、ケーシングと、防音カバーと、銘板とを備えている。圧縮機構は、冷媒を圧縮する。駆動用モータは、圧縮機構を駆動させる。ケーシングは、圧縮機構及び駆動用モータを内蔵している。銘板は、圧縮機の機種名等の情報が表示されている。銘板は、ケーシングの外周面に設けられている。防音カバーは、ケーシングの外周面を覆っている。防音カバーは、圧縮機の騒音を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-321839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、防音カバーがケーシングの外周面を覆うことにより銘板が圧縮機の外部から確認できなくなる。このため、例えば、圧縮機の外部から銘板を確認するために防音カバーの外面に銘板を取り付けることが考えられる。しかし、通常、防音カバーはケーシングとは異なる素材(例えば、ウレタン材のような樹脂材)により形成されているため、その材質に適した接着剤を使用する必要があり、ケーシングに用いる接着剤では銘板が防音カバーに適切に接着しない。すなわち、防音カバーへの銘板の取り付けが安定しないため、銘板の取り付けの信頼性を向上させたいとの要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、前記圧縮部及び前記電動モータを収容するハウジングと、前記ハウジングを覆う防音カバーと、前記ハウジングに取り付けられており、所定の情報を含む銘板と、を備える電動圧縮機であって、前記ハウジングは、当該ハウジングの一部であり、前記防音カバーに形成された孔から前記防音カバーの外部に突出する突出部を有しており、前記銘板は、前記突出部に設けられている。
【0006】
上記構成によれば、銘板がハウジングの突出部に設けられるため、電動圧縮機の外部から突出部を見たとき、銘板を目視できる。また、銘板がハウジングに取り付けられるため、ハウジングと同様の接着剤等で防音カバーに銘板を取り付ける場合と比較すると、銘板を安定的に取り付けることができる。よって、銘板の取り付けの信頼性が向上する。したがって、電動圧縮機の外部から銘板を確認できるうえ、銘板の取り付けの信頼性を向上させることができる。
【0007】
上記の電動圧縮機において、前記突出部は、前記電動圧縮機を取付対象に取り付ける取付足であるとよい。
上記構成によれば、防音カバーから突出する必要がある部位である取付足、すなわち、ハウジングの既存の突出部に対して銘板を設けることができる。よって、ハウジングに新たに突出部を追加する場合と比較すると、突出部を挿通するために防音カバーに形成される孔を少なくできる。よって、電動圧縮機の騒音抑制効果を維持できる。
【0008】
上記の電動圧縮機において、前記突出部は、前記圧縮部に対して前記流体が吸入又は吐出されるポートを形成する壁部であるとよい。
上記構成によれば、防音カバーから突出する必要がある部位であるポートを形成する壁部、すなわち、ハウジングの既存の突出部に対して銘板を設けることができる。よって、ハウジングに新たに突出部を追加する場合と比較すると、突出部を挿通するために防音カバーに形成される孔を少なくできる。よって、電動圧縮機の騒音抑制効果を維持できる。
【0009】
上記の電動圧縮機において、前記ハウジングは、前記圧縮部で圧縮される前記流体が吸入される吸入ポートと、前記圧縮部で圧縮された前記流体が吐出される吐出ポートと、を有しており、前記ハウジングは、前記取付足を複数有しており、前記銘板は、全ての前記取付足のうち前記吐出ポートから最も遠くに位置する前記取付足に対して設けられているとよい。
【0010】
銘板を、例えば接着剤により構成された接着層を介してハウジングに取り付ける場合、銘板が設けられる箇所の温度が高いと、接着層が劣化する。このため、接着層を安定的に保持しにくい。
【0011】
その点、上記構成によれば、ハウジングのなかでも比較的温度が高い吐出ポートから最も遠い位置の取付足に銘板が設けられている。よって、ハウジングのなかでも比較的に温度が低い位置に銘板が取り付けられるため、銘板を接着層によりハウジングに取り付ける場合、接着層を比較的に安定的に保持できる。よって、取付足に対する銘板の取り付けの信頼性をより向上できる。
【0012】
上記の電動圧縮機において、前記ポートは、前記圧縮部で圧縮される前記流体が吸入される吸入ポートと、前記圧縮部で圧縮された前記流体が吐出される吐出ポートと、を有しており、前記銘板は、前記吸入ポートを形成する前記壁部に対して設けられているとよい。
【0013】
銘板を、例えば接着剤により構成された接着層を介してハウジングに取り付ける場合、銘板が設けられる箇所の温度が高いと、接着層が劣化する。このため、接着層を安定的に保持しにくい。
【0014】
その点、上記構成によれば、ハウジングにおける吸入ポートを形成する壁部の温度は、吐出ポートを形成する壁部の温度よりも低い。そして、銘板が吸入ポートを形成する壁部に設けられている。よって、ハウジングのなかでも比較的に温度が低い位置に銘板が取り付けられるため、銘板を接着層によりハウジングと取り付ける場合、接着層を比較的に安定的に保持できる。よって、吸入ポートを形成する壁部に対する銘板の取り付けの信頼性をより向上できる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、電動圧縮機の外部から銘板を確認できるうえ、銘板の取り付けの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】電動圧縮機から防音カバーを外した構成を示す概略図である。
図2】防音カバーによりハウジングを覆った状態の電動圧縮機の第1実施形態を示す概略図である。
図3】防音カバーの構成を示す概略図である。
図4】電動圧縮機の第2実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、電動圧縮機を具体化した第1実施形態を図1図3にしたがって説明する。なお、本実施形態の電動圧縮機は、例えば、車両空調装置に用いられる。
【0018】
<電動圧縮機の基本構成>
図1及び図2に示すように、電動圧縮機10は、ハウジング20と、防音カバー70とを備えている。図1に示すように、ハウジング20は、円筒状である。ハウジング20は、金属製である。ハウジング20は、例えば、アルミニウム製である。ハウジング20の軸線mが延びる方向を軸方向Aとする。ハウジング20の軸線mに直交する方向を径方向Bとする。ハウジング20の軸線mを中心として描く円が延びる方向を周方向Cとする。なお、ハウジング20は、軸方向Aに分割可能とした複数のハウジング構成体により構成されている。
【0019】
電動圧縮機10は、流体としての冷媒を圧縮する圧縮部30と、圧縮部30を駆動する電動モータ40と、電動モータ40を駆動するインバータ50と、銘板60と、を備えている。ハウジング20は、圧縮部30、電動モータ40、及びインバータ50を収容している。圧縮部30、電動モータ40、及びインバータ50は、この順序でハウジング20の軸方向Aに並んでいる。電動モータ40は、インバータ50から電力が供給されることにより駆動する。圧縮部30は、図示しない固定スクロール及び可動スクロールから構成されるスクロール式である。圧縮部30は、電動モータ40の駆動に伴い、ハウジング20内に吸入された冷媒を圧縮する。
【0020】
<ハウジングの構成>
ハウジング20は、第1収容部21と、第2収容部22とを有している。第1収容部21は、ハウジング20の概略形状をなす円筒状であり、その軸線はハウジング20の軸線mに一致している。第1収容部21には、圧縮部30及び電動モータ40が収容されている。第2収容部22には、インバータ50が収容されている。第1収容部21は、軸方向Aにおいて第2収容部22と連続している。
【0021】
ハウジング20は、円筒状の吸入壁部23と、円筒状の吐出壁部24と、複数の取付足25と、を有している。吸入壁部23は、第1収容部21の外周面21aに設けられている。
【0022】
<吸入壁部の構成>
吸入壁部23は、第1収容部21の外周面21aから突出している。吸入壁部23は、ハウジング20の一部である。吸入壁部23は、軸方向Aにおいて電動モータ40とインバータ50との間に配置されている。吸入壁部23には、第1収容部21の内部と連通する吸入ポートPinが設けられている。電動モータ40の駆動に伴い、圧縮部30で圧縮される冷媒が吸入ポートPinから第1収容部21の内部に吸入される。なお、吸入ポートPinは、吸入壁部23が形成するポートである。よって、吸入壁部23は、吸入ポートPinを形成する壁部である。
【0023】
<吐出壁部の構成>
吐出壁部24は、第1収容部21の外周面21aから突出している。吐出壁部24は、ハウジング20の一部である。吐出壁部24は、外周面21aから吸入壁部23と同じ方向に突出している。吐出壁部24は、軸方向Aにおいて圧縮部30とほぼ同じ位置に配置されている。吐出壁部24には、第1収容部21の内部と連通する吐出ポートPoutが設けられている。吐出ポートPoutは、圧縮部30に連通している。圧縮部30で圧縮された冷媒は、吐出ポートPoutから第1収容部21の外部に吐出される。なお、吐出ポートPoutは、吐出壁部24が形成するポートである。よって、吐出壁部24は、吐出ポートPoutを形成する壁部である。したがって、本実施形態の電動圧縮機10は、冷媒が吸入又は吐出されるポートを有している。
【0024】
<取付足の構成>
本実施形態においては、取付足25は、4つ配置されている。全ての取付足25は、ハウジング20の一部である。全ての取付足25は、第1収容部21の外周面21aから突出している。全ての取付足25は、例えば、吸入壁部23及び吐出壁部24が外周面21aから突出する方向に直交する方向に延びている。取付足25が突出する方向を突出方向Dとする。
【0025】
さらに詳細な例示として、取付足25のうちの2つは、突出方向Dのうちの一方向である第1方向D1に突出している。取付足25のうち残りの2つは、第1方向D1とは反対の方向である第2方向D2に突出している。
【0026】
第1方向D1に突出している2つの取付足25は、軸方向Aにおいて並んでいる。第2方向D2に突出している2つの取付足25は、軸方向Aに並んでいる。第1方向D1に突出している2つの取付足25のうち第2収容部22に最も近い取付足25を、銘板取付足26とする。
【0027】
銘板取付足26は、全ての取付足25のうちで吸入壁部23の最も近くに位置している。銘板取付足26は、全ての取付足25のうち吸入ポートPinの最も近くに位置している。
【0028】
銘板取付足26は、軸方向Aにおいて吸入壁部23とほぼ同じ位置にある。第2方向D2に突出している2つの取付足25のうち吸入壁部23に近い取付足25は、軸方向Aにおいて吸入壁部23とほぼ同じ位置にある。銘板取付足26は、全ての取付足25のうち吐出ポートPoutから最も遠くに位置している。第2方向D2に突出している2つの取付足25のうち吸入壁部23に近い取付足25は、全ての取付足25のうち吐出ポートPoutから最も遠くに位置している。
【0029】
銘板取付足26には、平板部26aが一体形成されている。平板部26aは、銘板取付足26のうち周方向Cにおいて吸入壁部23に対向する部位に設けられている。平板部26aは、平面S1を有している。平面S1は、平板部26aにおける吸入壁部23及び吐出壁部24が外周面21aから突出する方向に位置する面である。
【0030】
第1方向D1に突出している2つの取付足25は、取付対象としての車体100から突出した取付部101に取り付けられる。第2方向D2に突出している2つの取付足25は、図示していないが、同様に車体100の取付部101に取り付けられる。よって、全ての取付足25は、電動圧縮機10を車体100に取り付けるための取付足である。
【0031】
<銘板の構成>
本実施形態において、銘板60は、矩形状をなすとともに柔軟性のある材料で構成されるシールである。銘板60の大きさは、銘板取付足26の平面S1の大きさよりも小さい。銘板60は、銘板取付足26の平板部26aの平面S1に対して接着剤により構成された接着層61を介して接着されている。このようにして、銘板60は、ハウジング20に取り付けられている。
【0032】
銘板60は、所定の情報を含んでいる。詳細には、銘板60の接着層61とは反対側の面には、所定の情報が記載されている。所定の情報は、例えば、電動圧縮機10の製品番号、電動圧縮機10の製造時のロットナンバー、電動圧縮機10の使用上の注意事項等である。所定の情報は、例えば、上述した情報をまとめたQRコード(登録商標)でもよい。
【0033】
<防音カバーの構成>
図2及び図3に示すように、防音カバー70は、弾性変形可能な樹脂材等により形成されている。防音カバー70は、例えば、ウレタン材や不織布により形成されている。
【0034】
図3に示すように、防音カバー70は、第1カバー71と第2カバー72とを有している。第1カバー71及び第2カバー72は、ハウジング20の外形に沿った収容凹部70aをそれぞれ有している。さらに第1カバー71は、第1挿通部71aと第2挿通部71bとを有していて、これらにより第1カバー71には、第1孔H71aと第2孔H71bとが形成されている。すなわち、第1挿通部71aは、第1孔H71aを形成する面であり、第2挿通部71bは、第2孔H71bを形成する面である。第1孔H71a及び第2孔H71bは、防音カバー70に形成された孔である。
【0035】
図2及び図3に示すように、第1孔H71a及び第2孔H71bには、第2方向D2に突出する2つの取付足25が挿通される。
第2カバー72は、吸入壁部挿通部72aと、第3挿通部72bと、第4挿通部72cとを有していて、これらにより第2カバー72には、吸入壁部挿通孔H72aと、第3孔H72bと、第4孔H72cとが形成されている。すなわち、吸入壁部挿通部72aは、吸入壁部挿通孔H72aを形成する面であり、第3挿通部72bは、第3孔H72bを形成する面であり、第4挿通部72cは、第4孔H72cを形成する面である。吸入壁部挿通孔H72a、第3孔H72b、及び第4孔H72cは、防音カバー70に形成された孔である。
【0036】
図2に示すように、吸入壁部挿通孔H72aには、吸入壁部23が挿通される。第3孔H72b及び第4孔H72cには、第1方向D1に突出する2つの取付足25が挿通される。吸入壁部23は、吸入壁部挿通孔H72aから防音カバー70の外部に突出している。
【0037】
防音カバー70は、吐出壁部挿通部70bを有していて、これにより防音カバー70には、吐出壁部挿通孔H70bが形成されている。すなわち吐出壁部挿通部70bは、吐出壁部挿通孔H70bを形成する面である。吐出壁部挿通孔H70bには、吐出壁部24が挿通される。吐出壁部挿通孔H70bは、防音カバー70に形成された孔である。
【0038】
図2及び図3に示すように、吐出壁部挿通部70bは、第1カバー71に形成されたU字状の第1形成面71cと、第2カバー72に形成されたU字状の第2形成面72dとにより構成されている。
【0039】
図2に示すように、防音カバー70によりハウジング20を覆った状態において、吸入壁部23、吐出壁部24、及び全ての取付足25が防音カバー70に形成された第1孔H71a、第2孔H71b、吸入壁部挿通孔H72a、第3孔H72b、第4孔H72c、及び吐出壁部挿通孔H70bから突出している。そして、第3孔H72bから突出している銘板取付足26の平面S1に設けられた銘板60は、防音カバー70の外部に露出している。本実施形態において、取付足25、及び銘板取付足26は、防音カバー70から突出する突出部である。そして、銘板60は、突出部である銘板取付足26に設けられている。
【0040】
<本実施形態の作用>
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態では、圧縮部30及び電動モータ40が駆動すると、ハウジング20を介して騒音が発生する。しかし、ハウジング20が防音カバー70により覆われているため、電動圧縮機10の騒音が低減される。
【0041】
本実施形態では、銘板60がハウジング20の銘板取付足26に設けられるため、電動圧縮機10の外部から銘板取付足26を見たとき、銘板60を目視できる。また、金属製の銘板取付足26の平面S1に銘板60が設けられている。銘板60がハウジング20に取り付けられるため、銘板60をハウジング20に取り付けるときに使用する接着剤等で防音カバー70に銘板60を取り付ける場合と比較すると、銘板60を安定的に取り付けることができる。よって、銘板60の取り付けの信頼性が向上する。
【0042】
<本実施形態の効果>
本実施形態の効果を説明する。
(1-1)銘板60がハウジング20の銘板取付足26に設けられるため、銘板60を目視できる。また、金属製の銘板取付足26の平面S1に銘板60が設けられているため、銘板60の取り付けの信頼性が向上する。したがって、電動圧縮機10の外部から銘板60を確認できるうえ、銘板60の取り付けの信頼性を向上させることができる。
【0043】
(1-2)本実施形態では、防音カバー70から突出する必要がある部位である取付足25、すなわち、ハウジング20の既存の突出部に対して銘板60を設けることができる。よって、ハウジング20に新たに突出部を追加する場合と比較すると、防音カバー70に形成される孔を少なくできる。よって、電動圧縮機10の騒音抑制効果を維持できる。
【0044】
(1-3)銘板60を接着層61によりハウジング20に取り付ける場合、銘板60が設けられる箇所の温度が高いと、接着層61が劣化する。このため、接着層61を安定的に保持しにくい。
【0045】
その点、本実施形態では、ハウジング20のなかでも比較的に温度が高い吐出ポートPoutから最も離れた位置の取付足25に銘板60が設けられている。よって、ハウジング20のなかでも比較的に温度が低い位置に銘板60が取り付けられるため、接着層61を比較的に安定的に保持できる。よって、銘板取付足26に対する銘板60の取り付けの信頼性をより向上できる。
【0046】
また、銘板取付足26は、吐出ポートPoutから最も離れた位置の取付足25のうち、吸入ポートPinの最も近くに位置している。よって、比較的低温の冷媒が吸入される吸入ポートPinに最も近い位置に銘板60が取り付けられるため、より一層接着層61を安定的に保持でき、銘板取付足26に対する銘板60の取り付けの信頼性を向上できる。
【0047】
[第2実施形態]
以下、電動圧縮機を具体化した第2実施形態を図4にしたがって説明する。なお、本実施形態の第1実施形態との主な相違点は、銘板の取り付け位置を変更した点である。その点について詳しく説明し、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を割愛する。
【0048】
<吸入壁部の壁部の構成>
図4に示すように、吸入壁部23は、台座部23bを有している。台座部23bは、吸入壁部23の一部の厚さを厚くすることにより形成されている。台座部23bは、吸入壁部23のうち周方向Cにおいて銘板取付足26に対向する部位に設けられている。
【0049】
台座部23bは、平面S2を有している。平面S2は、台座部23bにおける第1方向D1側に位置する面である。平面S2の大きさは、銘板60よりも大きい。銘板60は、吸入壁部23の平面S2に対して接着層61を介して接着されている。本実施形態における吸入壁部23は、防音カバー70から突出する突出部である。
【0050】
<本実施形態の作用及び効果>
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(2-1)本実施形態では、防音カバー70から突出する必要がある部位である吸入壁部23、すなわち、ハウジング20の既存の突出部に対して銘板60を設けることができる。よって、ハウジング20に新たに突出部を追加する場合と比較すると、防音カバー70に形成される孔を少なくできる。よって、電動圧縮機10の騒音抑制効果を維持できる。
【0051】
(2-2)銘板60を接着層61によりハウジング20に取り付ける場合、銘板60が設けられる箇所の温度が高いと、接着層61が劣化する。このため、接着層61を安定的に保持しにくい。
【0052】
その点、本実施形態では、ハウジング20における吸入ポートPinを形成する吸入壁部23の温度は、吐出ポートPoutを形成する吐出壁部の温度よりも低い。そして、銘板60が吸入ポートPinを形成する吸入壁部23に設けられている。よって、ハウジング20のなかでも比較的に温度が低い位置に銘板60が取り付けられるため、接着層61を比較的に安定的に保持できる。よって、吸入壁部23に対する銘板60の取り付けの信頼性をより向上できる。
【0053】
[変更例]
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0054】
○ 上記各実施形態において、銘板60は、シールであったが、例えば金属板であってもよい。銘板60が金属板である場合、銘板60を銘板取付足26、又は吸入壁部23に対してボルト等の固定部材を使用して固定してもよい。固定部材により銘板60を固定する場合、接着層61は省略してもよい。
【0055】
○ 上記各実施形態において、銘板60は、矩形状に限らず、形状は適宜変更してもよい。
○ 第2実施形態において、台座部23bを省略してもよい。銘板60を吸入壁部23の円筒面に接着層61を介して接着してもよい。
【0056】
○ 第1実施形態において、平板部26aを省略してもよい。銘板60を銘板取付足26の任意の箇所に接着層61を介して接着してもよい。
○ 第2実施形態において、銘板60は、吐出ポートPoutを形成する吐出壁部24に設けられていてもよい。吐出壁部24は、防音カバー70から突出する突出部である。そして、吐出壁部24に台座部23bを設けてもよい。また、吐出壁部24の任意の位置に接着層61を介して銘板60を接着してもよい。
【0057】
○ 第1実施形態において、銘板60は、銘板取付足26を除く取付足25に取り付けられていてもよい。取付足25は、防音カバー70から突出する突出部である。そして、銘板取付足26を除く取付足25に平板部26aを設けてもよい。また、銘板取付足26を除く取付足25の任意の箇所に銘板60を接着層61を介して接着してもよい。
【0058】
○ 上記各実施形態において、銘板60を2つ以上配置してもよい。例えば、2つの銘板60が配置されたとすると、2つの銘板60を取付足25にまとめて取り付けてもよいし、吸入壁部23又は吐出壁部24にまとめて取り付けてもよい。また、2つの銘板60の1つを取付足25に取り付け、残りの1つを吸入壁部23に取り付けてもよい。3つ以上の銘板60が配置されても同様に変更してもよい。
【0059】
○ 上記各実施形態において、取付足25の数及び配置は適宜変更してもよい。
○ 上記各実施形態において、圧縮部30は、スクロール式に限らず、例えば、ピストン式やベーン式等であってもよい。
【0060】
○ 上記各実施形態において、防音カバー70は、第1カバー71及び第2カバー72を有していたが、3つ以上のカバーにより構成されてもよい。
○ 上記各実施形態において、電動圧縮機10が取り付けられる取付対象としては、例えば、エンジン等であってもよい。要は、電動圧縮機10が取り付けられる取付対象としては特に限定されるものではない。
【0061】
○ 電動圧縮機10は、燃料電池車に搭載されており、燃料電池に供給される流体としての空気を圧縮部30により圧縮するものであってもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…電動圧縮機、20…ハウジング、23…壁部としての吸入壁部、24…壁部としての吐出壁部、25…取付足、26…取付足としての銘板取付足、30…圧縮部、40…電動モータ、60…銘板、61…接着層、70…防音カバー、H70b…防音カバーに形成された孔としての吐出壁部挿通孔、H71a…防音カバーに形成された孔としての第1孔、H71b…防音カバーに形成された孔としての第2孔、H72a…防音カバーに形成された孔としての吸入壁部挿通孔、H72b…防音カバーに形成された孔としての第3孔、H72c…防音カバーに形成された孔としての第4孔、Pin…吸入ポート、Pout…吐出ポート。
図1
図2
図3
図4