(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、方法、プログラム、及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 28/16 20090101AFI20250319BHJP
H04W 92/20 20090101ALI20250319BHJP
H04W 16/26 20090101ALI20250319BHJP
H04W 72/23 20230101ALI20250319BHJP
【FI】
H04W28/16
H04W92/20 110
H04W16/26
H04W72/23
(21)【出願番号】P 2023529691
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 JP2022020365
(87)【国際公開番号】W WO2022264730
(87)【国際公開日】2022-12-22
【審査請求日】2023-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2021100001
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】神谷 典史
(72)【発明者】
【氏名】佐和橋 衛
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/098228(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/045555(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基地局と第2基地局とのバックホールリンクの無線通信に関する情報と、
前記第2基地局とユーザ端末とのアクセスリンクの無線通信に関する情報と、を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づいて、前記バックホールリンクの第1無線通信方法と、前記アクセスリンクの第2無線通信方法と、を決定する制御手段と、
前記制御手段により決定された前記第1無線通信方法を示す情報を、前記第1基地局と前記第2基地局との少なくとも一方へ送信し、前記第2無線通信方法を示す情報を前記第2基地局と前記ユーザ端末との少なくとも一方に送信する送信手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記取得手段により取得された情報に基づいて、前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとの少なくとも一方の、参照信号の多重方法、制御信号の多重方法、送信信号のシンボル間隔、及びルートレイズドコサインフィルタのロールオフ率の少なくとも一つを決定する
、
情報処理装置。
【請求項2】
第1基地局と第2基地局とのバックホールリンクの無線通信に関する情報と、
前記第2基地局とユーザ端末とのアクセスリンクの無線通信に関する情報と、を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づいて、前記バックホールリンクの第1無線通信方法と、前記アクセスリンクの第2無線通信方法と、を決定する制御手段と、
前記制御手段により決定された前記第1無線通信方法を示す情報を、前記第1基地局と前記第2基地局との少なくとも一方へ送信し、前記第2無線通信方法を示す情報を前記第2基地局と前記ユーザ端末との少なくとも一方に送信する送信手段と、
を有し、
前記制御手段は、
前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとが同一の周波数スペクトルを用い、且つ、複数の小セル基地局がマルチホップ通信を行う場合に、前記ユーザ端末からの無線信号と各基地局から送信される指向性ビームのパターンとに応じた、前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとの干渉度に基づいて、前記アクセスリンクの接続の許否を判定し、
前記アクセスリンクの接続を許可した場合、前記アクセスリンクのアップリンクのデータを、一時間スロットの前記バックホールリンクに対して空間分割多重または周波数分割多重で、前記アクセスリンクを形成する前記ユーザ端末から基地局へ送信させる
、
情報処理装置。
【請求項3】
第1基地局と第2基地局とのバックホールリンクの無線通信に関する情報と、
前記第2基地局とユーザ端末とのアクセスリンクの無線通信に関する情報と、を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づいて、前記バックホールリンクの第1無線通信方法と、前記アクセスリンクの第2無線通信方法と、を決定する制御手段と、
前記制御手段により決定された前記第1無線通信方法を示す情報を、前記第1基地局と前記第2基地局との少なくとも一方へ送信し、前記第2無線通信方法を示す情報を前記第2基地局と前記ユーザ端末との少なくとも一方に送信する送信手段と、
を有し、
前記制御手段は、
前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとが同一の周波数スペクトルを用い、且つ、複数の小セル基地局がマルチホップ通信を行う場合に、各小セル基地局から送信される指向性ビームのパターンに応じた、前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとの干渉度に基づいて、前記アクセスリンクの接続の許否を判定し、
前記アクセスリンクの接続を許可した場合、前記アクセスリンクのアップリンクのデータを、一時間スロットの前記バックホールリンクに対して空間分割多重または周波数分割多重で、前記アクセスリンクを形成する基地局から前記ユーザ端末に送信する
、
情報処理装置。
【請求項4】
前記バックホールリンクの無線通信に関する情報には、前記第1基地局と前記第2基地局のそれぞれの、無線通信で使用できる周波数スペクトル、各カバレッジエリアの広さ、各基地局間の距離、各カバレッジエリアのトラフィックの分布、送信信号のピーク対平均電力比、位相雑音、及び電力遅延プロファイルの少なくとも一つを示す情報が含まれる、
請求項
1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記アクセスリンクの無線通信に関する情報には、前記第2基地局の、無線通信で使用できる周波数スペクトル、各カバレッジエリアの広さ、送信信号のピーク対平均電力比、位相雑音、電力遅延プロファイル、及び前記ユーザ端末の移動速度の少なくとも一つを示す情報が含まれる、
請求項
1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記取得手段により取得された情報に基づいて、前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとの少なくとも一方の、物理チャネル多重方式、チャネル符号化の符号化率のセット、及びチャネル符号化後のビットをマッピングする信号空間配置のセットの少なくとも一つを決定する、
請求項
1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
第1基地局と第2基地局とのバックホールリンクの無線通信に関する第1の情報を取得し、
前記第2基地局とユーザ端末とのアクセスリンクの無線通信に関する第2の情報を取得し、
前記第1の情報と前記第2の情報とに基づいて、前記バックホールリンクの第1無線通信方法と、前記アクセスリンクの第2無線通信方法と、を決定し、
前記第1無線通信方法を示す情報を前記第1基地局と前記第2基地局との少なくとも一方に送信し、
前記第2無線通信方法を示す情報を前記第2基地局と前記ユーザ端末との少なくとも一方に送信し、
前記決定する処理では、
前記第1の情報と前記第2の情報とに情報に基づいて、前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとの少なくとも一方の、参照信号の多重方法、制御信号の多重方法、送信信号のシンボル間隔、及びルートレイズドコサインフィルタのロールオフ率の少なくとも一つを決定する
、
情報処理方法。
【請求項8】
第1基地局と第2基地局とのバックホールリンクの無線通信に関する第1の情報を取得し、
前記第2基地局とユーザ端末とのアクセスリンクの無線通信に関する第2の情報を取得し、
前記第1の情報と前記第2の情報とに基づいて、前記バックホールリンクの第1無線通信方法と、前記アクセスリンクの第2無線通信方法と、を決定し、
前記第1無線通信方法を示す情報を前記第1基地局と前記第2基地局との少なくとも一方に送信し、
前記第2無線通信方法を示す情報を前記第2基地局と前記ユーザ端末との少なくとも一方に送信し、
前記決定する処理では、
前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとが同一の周波数スペクトルを用い、且つ、複数の小セル基地局がマルチホップ通信を行う場合に、前記ユーザ端末からの無線信号と各基地局から送信される指向性ビームのパターンとに応じた、前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとの干渉度に基づいて、前記アクセスリンクの接続の許否を判定し、
前記アクセスリンクの接続を許可した場合、前記アクセスリンクのアップリンクのデータを、一時間スロットの前記バックホールリンクに対して空間分割多重または周波数分割多重で、前記アクセスリンクを形成する前記ユーザ端末から基地局へ送信させる、
情報処理方法。
【請求項9】
第1基地局と第2基地局とのバックホールリンクの無線通信に関する第1の情報を取得し、
前記第2基地局とユーザ端末とのアクセスリンクの無線通信に関する第2の情報を取得し、
前記第1の情報と前記第2の情報とに基づいて、前記バックホールリンクの第1無線通信方法と、前記アクセスリンクの第2無線通信方法と、を決定し、
前記第1無線通信方法を示す情報を前記第1基地局と前記第2基地局との少なくとも一方に送信し、
前記第2無線通信方法を示す情報を前記第2基地局と前記ユーザ端末との少なくとも一方に送信し、
前記決定する処理では、
前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとが同一の周波数スペクトルを用い、且つ、複数の小セル基地局がマルチホップ通信を行う場合に、各小セル基地局から送信される指向性ビームのパターンに応じた、前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとの干渉度に基づいて、前記アクセスリンクの接続の許否を判定し、
前記アクセスリンクの接続を許可した場合、前記アクセスリンクのアップリンクのデータを、一時間スロットの前記バックホールリンクに対して空間分割多重または周波数分割多重で、前記アクセスリンクを形成する基地局から前記ユーザ端末に送信する、
情報処理方法。
【請求項10】
前記バックホールリンクの無線通信に関する第1の情報には、前記第1基地局と前記第2基地局のそれぞれの、無線通信で使用できる周波数スペクトル、カバレッジエリアの広さ、基地局間の距離、カバレッジエリアのトラフィックの分布、送信信号のピーク対平均電力比、位相雑音、及び電力遅延プロファイルの少なくとも一つを示す情報が含まれる、
請求項
7から9のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記アクセスリンクの無線通信に関する第2の情報には、前記第2基地局の、無線通信で使用できる周波数スペクトル、カバレッジエリアの広さ、送信信号のピーク対平均電力比、位相雑音、電力遅延プロファイル、及び前記ユーザ端末の移動速度の少なくとも一つを示す情報が含まれる、
請求項
7から9のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記第1の情報と前記第2の情報とに基づいて、前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとの少なくとも一方の、物理チャネル多重方式、チャネル符号化の符号化率のセット、及びチャネル符号化後のビットをマッピングする信号空間配置のセットの少なくとも一つを決定する、
請求項
7から9のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項13】
第1基地局と第2基地局とのバックホールリンクの無線通信に関する第1の情報を取得する処理と、
前記第2基地局とユーザ端末とのアクセスリンクの無線通信に関する第2の情報を取得する処理と、
前記第1の情報と前記第2の情報とに基づいて、前記バックホールリンクの第1無線通信方法と、前記アクセスリンクの第2無線通信方法と、を決定する処理と、
前記第1無線通信方法を示す情報を前記第1基地局と前記第2基地局との少なくとも一方に送信する処理と、
前記第2無線通信方法を示す情報を前記第2基地局と前記ユーザ端末との少なくとも一方に送信する処理と、
を情報処理装置に実行させ
、
前記決定する処理では、
前記第1の情報と前記第2の情報とに情報に基づいて、前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとの少なくとも一方の、参照信号の多重方法、制御信号の多重方法、送信信号のシンボル間隔、及びルートレイズドコサインフィルタのロールオフ率の少なくとも一つを決定する、
プログラム。
【請求項14】
第1基地局と、第2基地局と、ユーザ端末とを有し、
前記第1基地局と前記第2基地局とのバックホールリンクの無線通信に関する情報と、
前記第2基地局とユーザ端末とのアクセスリンクの無線通信に関する情報と、を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づいて、前記バックホールリンクの第1無線通信方法と、前記アクセスリンクの第2無線通信方法と、を決定する制御手段と、
前記制御手段により決定された前記第1無線通信方法を示す情報を前記第1基地局と前記第2基地局との少なくとも一方に送信し、前記第2無線通信方法を示す情報を前記第2基地局と前記ユーザ端末との少なくとも一方に送信する送信手段と、
を有
し、
前記制御手段は、前記取得手段により取得された情報に基づいて、前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとの少なくとも一方の、参照信号の多重方法、制御信号の多重方法、送信信号のシンボル間隔、及びルートレイズドコサインフィルタのロールオフ率の少なくとも一つを決定する、
無線通信システム。
【請求項15】
前記バックホールリンクの無線通信に関する情報には、前記第1基地局と前記第2基地局のそれぞれの、無線通信で使用できる周波数スペクトル、各カバレッジエリアの広さ、各基地局間の距離、各カバレッジエリアのトラフィックの分布、送信信号のピーク対平均電力比、位相雑音、及び電力遅延プロファイルの少なくとも一つを示す情報が含まれる、
請求項14に記載の無線通信システム。
【請求項16】
ユーザ端末が、
第1基地局とアクセスリンクを介して接続し、
前記第1基地局とバックホールリンクを介して接続された第2基地局との無線通信に関する第1の情報と、前記第1基地局と前記アクセスリンクを介して接続されたユーザ端末との無線通信に関する第2の情報とに基づいて決定された、
前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとの少なくとも一方の、参照信号の多重方法、制御信号の多重方法、送信信号のシンボル間隔、及びルートレイズドコサインフィルタのロールオフ率の少なくとも一つを含む、前記アクセスリンクの無線通信方法を示す情報を受信する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
Long Term Evolution(LTE)及びLTE-Advancedの急速な普及に伴い、本格的なモバイルブロードバンドサービスの提供が実現可能になっている。セルラネットワークにおける急増するトラヒックに対応するため、第5世代移動通信方式(5G)では、LTEと比較して一層の超高速・大容量化、及び周波数利用効率の増大が求められる。ユーザ端末(UE:User Equipment)にギガビット級のサービスを実現する超高速・大容量の無線アクセスネットワークに加えて、基地局とEvolved Packet Core(EPC)ネットワークのServing-Gateway(S-GW)間のバックホールの一層の超高速・大容量化が求められる。バックホールリンクは、E1/T1専用線、光ファイバネットワーク、マイクロ波の無線バックホールなどで構成される。無線バックホールは、有線のバックホールに比較してネットワークコストを低くできるメリットがある。
【0003】
図1には、HetNet(「無線通信システム1」の一例)の構成例が示されている。
図1の例では、HetNet1には、マクロセル基地局(集中基地局)20A、小セル基地局(リレー基地局)20B、小セル基地局20Cが含まれている。なお、以下で、マクロセル基地局20A、小セル基地局20B、小セル基地局20C等の基地局を区別する必要がない場合は、単に、「基地局20」とも称する。マクロセル基地局20Aのカバレッジエリアはマクロセルと称されている。また、小セル基地局20B、小セル基地局20Cのカバレッジエリアは小セル(スモールセル)と称されている。マクロセルの中の不均一なトラヒックを効率的に収容する小セルをオーバーレイするヘテロジーニアスネットワーク(HetNet:Heterogeneous Network)は、広いカバレッジエリアを保証しつつ、マクロセル内の不均一なトラヒックを高効率にネットワークに収容することができる。
【0004】
また、
図1の例では、HetNet1には、ユーザ端末30A、ユーザ端末30B、ユーザ端末30C(以下で、区別する必要がない場合には、単に、「ユーザ端末30」とも称する。)が含まれている。なお、基地局20、及びユーザ端末30の数は、
図1の例に限定されない。マクロセル基地局20Aと小セル基地局20Bとは、無線バックホールN1で接続されている。小セル基地局20Bと小セル基地局20Cとは、無線バックホールN2で接続されている。マクロセル基地局20Aは、上位局(コアネットワーク)40と通信できるように接続されている。
【0005】
マクロセルはセル内の各ユーザ端末30に対してカバレッジエリアを保証する。マクロセル内のトラヒックが高い等のエリアには、小セルが配置され、トラヒックを収容する。マクロセルと小セルで、同一の周波数スペクトルを用いる方法と異なる周波数スペクトルを用いる方法が提案されている。マクロセルと小セルで異なる周波数スペクトルを用いる場合は、マクロセルと小セルの周波数スペクトルが互いに干渉することが無いように、異なる周波数スペクトルを割り当てられる。
【0006】
実用のHetNetでは、マクロセルと小セルで異なる周波数スペクトルを用いる方法が採用されている。一方、マクロセルと小セルで同一の周波数スペクトルを用いる方法は、周波数効率の観点からは有効であるものの、マクロセルと小セル間、あるいは隣接する小セル間の干渉回避が求められる。マクロセルの送信電力は、小セルよりも高いため、ユーザ端末30A~Cが無線リンクを接続するセルサイト(基地局)を探索するセルサーチでは、近傍に位置する小セルのセルサイトからの受信電力よりもマクロセル基地局20Aからの受信電力が高くなる。そこで、ユーザ端末30A~Cで測定した近傍に位置する小セル基地局20Bまたは20Cからの参照信号受信電力(RSRP: Reference Signal Received Power)にオフセットを与えて、小セル基地局をサーチして、無線リンクを接続するようにするCell Range Expansion(CRE)が採用されている。また、マクロセル基地局20Aに、同期信号、制御情報、セル固有の参照信号(CRS:Cell-specific Reference Signal)のみを送信するAlmost Blank Subframe(ABS)と呼ばれるサブフレームを設けることにより、小セルからの送信信号に与える干渉を低減する方法も採用されている。
【0007】
HetNetにおいて、マクロセルと小セル間、マクロセル内の小セル間のセル間干渉回避を含む効率的なリソース制御を行うためには、マクロセルサイトにはマクロセル基地局20Aを設置し、小セルサイトには遠隔無線機(RRE:Remote Radio Equipment、あるいはRRH:Remote Radio Head)を設置する構成が有効である。マクロセル基地局20AとRRE間は、送信信号は変調後のベースバンド信号、受信信号は復調前のベースバンド信号を高速の光ファイバ、あるいは無線リンクで接続される。小セルの物理レイヤ及び上位レイヤの処理はマクロセル基地局20Aで行われるため、マクロセル基地局20Aにおける小セルを含めた一元的なリソース割り当てが実現される。また、設置コスト及び運用コストの観点から、マクロセル基地局20AとRRE間を無線リンクで実現する方法が有効である。
【0008】
3GPP(登録商標)(Third Generation Partnership Project)では、同一の周波数スペクトルを用いた5G NR(New Radio)無線インタフェースを、アクセスリンクに加えて、バックホールリンクにも用いるIntegrated Access and Backhaul(IAB)の規格が策定されている。
図2には、IABのレイヤ構成とインタフェースの例が示されている。IABドナー(donor)のマクロセル基地局20A、及びIABノード(node)の各小セル基地局20B、20Cは、バックホールリンクで接続される。IABノードの基地局とユーザ端末30間はアクセスリンクで接続される。IABドナー基地局は、Central Unit(CU)で構成される。IABノードは、Distributed Unit(DU)で構成される。ここで、
図2に示すAdaptationは、Backhaul Adaptation Protocol (BAP)とも称される場合がある。
【0009】
図3には、IABにおける各ノードとリンクの関係が示されている。中央のIAB nodeを中心として、上位のIAB parent nodeはIAB donorであり、下位のIAB nodeはIAB child nodeである。また、中央のIAB nodeはユーザ端末30とアクセスリンクを接続している。DL BHはダウンリンクのバックホールリンク、UL BHはアップリンクのバックホールリンクを示す。IABノードは、ULのアクセス機能とchild IABノードに対するバックホールリンク機能を有する。IABノードのダウンリンク送信のリソース割り当て、すなわちスケジューリングはIABノードで行われる。ダウンリンクの送信には、IABノードからchild IABノードへのバックホールリンク、及びIABノードからユーザ端末30へのアクセスリンクが用いられる。
【0010】
一方、IABノードのアップリンク送信(IABノードから、parent IABノードあるいはIABドナーへのバックホールリンク)のリソース割り当てのスケジューリングは、parent IABノードあるいはIABドナーで行われる。3GPPのIABでは、アクセスリンクとバックホールリンクの多重には時間分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)、周波数分割多重(FDM:Frequency Division Multiplexing)、空間分割多重(SDM:Space Division Multiplexing)を用いるハーフデュープレクス(HD:Half Duplex)がサポートされている。すなわち、IABノードが、同一時間スロットの同一リソースブロックで送信と受信を行うフルデュープレクス(FD:Full Duplex)は適用されない。
【0011】
バックホールリンクは、光ファイバが主流であるが、マイクロ波無線バックホールは、設置コスト、運用コストの観点から、有線バックホールに比較して有利である。3GPPでは、NR無線インタフェースをバックホールリンクに拡張したIntegrated Access and Backhaul (IAB)無線インタフェースが策定されている。IAB無線インタフェースは、同一の周波数スペクトルにおいてアクセスリンクとバックホールリンクを実現できるため、HetNetに適用した場合、効率的なサービス提供できる。しかしながら、IABは、Release 15仕様のアクセスリンクを対象とした無線インタフェースをベースに、基地局間のバックホールリンクに拡張した無線インタフェースである。マルチアンテナ(マルチレイヤ)送信の場合には、アップリンク及びダウンリンクにOFDMA(Orthogonal frequency Division Multiple Access)が採用されている。また、変調方式はRectangular 信号空間配置の256値までのQAM(Quadrature Amplitude Modulation)が採用されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【文献】3GPP TR 38.874 Study on Integrated Access and Backhaul, V16.0.0 (2018-12).
【文献】M.Polese, M.Giordani, T.Zugno, A.Roy, S.Goyal, D.Castor; and M.Zorzi, “Integrated Access and Backhaul in 5G mmWave Networks: Potential and Challenges,” IEEE Communications Magazine, vol.58, no.3, pp.62-68, March 2020.
【文献】C.Madapatha, B.Makki, C.Fang, O.Teyeb, E.Dahlman, M.-S.Alouini, and T.Svensson, “On Integrated Access and Backhaul Networks: Current Status and Potentials,” IEEE Open Journal of the Communications Society, Vol.1, pp.1374-1389, Sept.2020.
【文献】M.Schnell and I.De Broeck, “Interleaved FDMA: equalization and coded performance in mobile radio applications,” 1999 IEEE International Conference on Communications, 1999.
【文献】N.Maeda, Y.Kishiyama, H.Atarashi, and M.Sawahashi, “Variable Spreading Factor-OFCDM with Two Dimensional Spreading that Prioritizes Time Domain Spreading for Forward Link Broadband Wireless Access,” IEICE Trans. Commun., vol.E88-B, no.2, pp.487-498, Feb.2005.
【文献】J.E.Mazo, “Faster-than-nyquist signaling,” The Bell System Technical Journal, vol.54, no.8, 1975.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
IAB無線インタフェースは、アクセスリンク用のNR無線インタフェースをバックホールリンクに拡張したものであり、見通し内(LOS:Line-of-Sight)環境である場合が多いと考えられるバックホールリンクに最適化されていない。
【0014】
本開示はかかる点に鑑みてなされたものであり、無線通信をより適切に行わせることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示に係る第1の態様では、情報処理装置が、第1基地局と第2基地局とのバックホールリンクの無線通信に関する情報と、前記第2基地局とユーザ端末とのアクセスリンクの無線通信に関する情報と、を取得する取得部と、前記取得部により取得された情報に基づいて、前記バックホールリンクの第1無線通信方法と、前記アクセスリンクの第2無線通信方法と、を決定する制御部と、前記制御部により決定された前記第1無線通信方法を示す情報を、前記第1基地局と前記第2基地局との少なくとも一方へ送信し、前記第2無線通信方法を示す情報を前記第2基地局と前記ユーザ端末との少なくとも一方に送信する送信部と、を有する。
【0016】
また、本開示に係る第2の態様では、第1基地局と第2基地局とのバックホールリンクの無線通信に関する情報と、前記第2基地局とユーザ端末とのアクセスリンクの無線通信に関する情報と、を取得し、取得した情報に基づいて、前記バックホールリンクの第1無線通信方法と、前記アクセスリンクの第2無線通信方法と、を決定し、決定した前記第1無線通信方法を示す情報を前記第1基地局と前記第2基地局との少なくとも一方に送信し、前記第2無線通信方法を示す情報を前記第2基地局と前記ユーザ端末との少なくとも一方に送信する、情報処理方法が提供される。
【0017】
また、本開示に係る第3の態様では、第1基地局と第2基地局とのバックホールリンクの無線通信に関する情報と、前記第2基地局とユーザ端末とのアクセスリンクの無線通信に関する情報と、を取得する処理と、取得した情報に基づいて、前記バックホールリンクの第1無線通信方法と、前記アクセスリンクの第2無線通信方法と、を決定する処理と、決定した前記第1無線通信方法を示す情報を前記第1基地局と前記第2基地局との少なくとも一方に送信し、前記第2無線通信方法を示す情報を前記第2基地局と前記ユーザ端末との少なくとも一方に送信する処理と、を情報処理装置に実行させるプログラムが提供される。
【0018】
また、本開示に係る第4の態様では、第1基地局と、第2基地局と、ユーザ端末とを有する無線通信システムが提供される。この無線通信システムは、前記第1基地局と前記第2基地局とのバックホールリンクの無線通信に関する情報と、前記第2基地局とユーザ端末とのアクセスリンクの無線通信に関する情報と、を取得する取得部と、前記取得部により取得された情報に基づいて、前記バックホールリンクの第1無線通信方法と、前記アクセスリンクの第2無線通信方法と、を決定する制御部と、前記制御部により決定された前記第1無線通信方法を示す情報を前記第1基地局と前記第2基地局との少なくとも一方に送信し、前記第2無線通信方法を示す情報を前記第2基地局と前記ユーザ端末との少なくとも一方に送信する送信部と、を有する。
【発明の効果】
【0019】
一側面によれば、無線通信をより適切に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】ヘテロジーニアスネットワーク(HetNet)の構成例を示す図である。
【
図2】IABのレイヤ構成とインタフェースの例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る情報処理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態に係るシングルキャリアFDMAとOFDMAと選択する処理の一例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る符号化率及び信号空間配置を適応的に制御する処理の一例を示す図である。
【
図8】実施形態に係るOFDMAにおける参照信号の多重法の一実施例を示す図である。
【
図9】実施形態に係るシングルキャリアFDMAにおける参照信号の多重法の一実施例を示す図である。
【
図10】実施形態に係るOFDMAが用いられる場合の制御情報の多重法を適応的に制御する処理の一実施例を示す図である。
【
図11】実施形態に係るDFT-spreadOFDMが用いられる場合の制御情報の多重法を適応的に制御する処理の一実施例を示す図である。
【
図12】実施形態に係るDFT-spreadOFDMが用いられる場合の制御情報の多重法を適応的に制御する処理の一実施例を示す図である。
【
図13】実施形態に係るFaster-than-Nyquist(FTN)を用いる場合の送信フレーム構成の一例を示す図である。
【
図14】実施形態に係るアクセスリンクのアップリンクのリソース割り当て処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】実施形態に係るアクセスリンクのダウンリンクのリソース割り当て処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の原理は、いくつかの例示的な実施形態を参照して説明される。これらの実施形態は、例示のみを目的として記載されており、本開示の範囲に関する制限を示唆することなく、当業者が本開示を理解および実施するのを助けることを理解されたい。本明細書で説明される開示は、以下で説明されるもの以外の様々な方法で実装される。
【0022】
以下の説明および特許請求の範囲において、他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
<構成>
図4は、実施形態に係る情報処理装置10の構成例を示す図である。
図4において、情報処理装置10は、取得部11、制御部12、及び送信部13を有する。なお、
図4に示す構成は一例に過ぎない。本開示の処理を実行できるのであれば、各部の名称はどのような名称でもよい。
【0024】
取得部11は、情報処理装置10の内部の記憶装置、及び外部装置から各種の情報を取得する。取得部11は、例えば、マクロセル基地局と、マクロセル基地局のマクロセル内にオーバーレイされる小セル基地局とのバックホールリンクの無線通信に関する情報を取得する。また、取得部11は、例えば、マクロセル基地局及び小セル基地局の少なくとも一方と、ユーザ端末とのアクセスリンクの無線通信に関する情報と、を取得する。
【0025】
制御部12は、各種の制御を行う。制御部12は、例えば、取得部11により取得された情報に基づいて、バックホールリンクの第1無線通信方法と、アクセスリンクの第2無線通信方法と、を決定する。
【0026】
送信部13は、制御部12の指示に従い、各種の情報を送信(出力)させる。送信部13は、例えば、制御部12により決定された第1無線通信方法を示す情報をマクロセル基地局と、小セル基地局との少なくとも一方へ送信させ、第2無線通信方法を示す情報をマクロセル基地局と、小セル基地局と、ユーザ端末の少なくとも一つへ送信する。これにより、無線通信をより適切に行わせることができる。
【0027】
<システム構成>
実施形態に係る無線通信システム1のシステム構成は、
図1のヘテロジーニアスネットワーク(HetNet)と同様でもよい。この場合、情報処理装置10は、例えば、
図1に示すヘテロジーニアスネットワーク(HetNet)を形成するマクロセル基地局20A、小セル基地局20B、小セル基地局20C等の装置の内部、或いは上位局40に設けられてもよい。また、実施形態に係る情報処理装置10は、例えば、
図1に示す上位局40、マクロセル基地局20A、小セル基地局等の装置の外部に別体の装置として設けられてもよい。なお、基地局20及びユーザ端末30の数は
図1の例に限定されない。
【0028】
なお、実施形態に係るヘテロジーニアスネットワークでは、マクロセル基地局20Aのカバレッジエリア内に小セル基地局20B等が配置されてもよい。この場合、小セル基地局20B等は、マクロセル基地局20Aのカバレッジエリア内で無線通信のトラヒックが比較的高い領域をカバレッジエリアとする位置に設置されてもよい。また、実施形態に係るヘテロジーニアスネットワークでは、基地局間のバックホールリンクと、基地局とユーザ端末間のアクセスリンクとが、同一または異なる周波数スペクトルを用いて無線通信を行ってもよい。
【0029】
基地局20とユーザ端末30は、例えば、第5世代移動通信システム(5G)、Beyond 5G、第4世代移動通信システム(4G)、または無線LAN(Local Area Network)等の無線通信によって通信できるように接続される。
【0030】
なお、本開示で使用される「基地局」(BS:Base Station)という用語は、ユーザ端末30が通信できるカバレッジエリア(セル)を提供(ホスト)できるデバイスを指す。基地局20の例には、ノードB(NodeBまたはNB)、EvolvedノードB(eNodeBまたはeNB)、次世代ノードB(gNB)、リモート無線ユニット(RRU:Remote Radio Unit)、無線ヘッド(RH:Radio Head)、リモート無線ヘッド(RRH:Remote Radio Head)、及び低電力ノード(例えば、フェムトノード、ピコノード)等を含むが、これには限定されない。
【0031】
本開示で使用される「ユーザ端末」(UE:User Equipment)という用語は、無線または有線の通信機能を有する任意のデバイスを指す。ユーザ端末30の例には、スマートフォン、セルラー電話、携帯電話、IoT(Internet of Things)デバイス、パーソナルコンピュータ、デスクトップ、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、ポータブルコンピュータ、デジタルカメラなどの画像キャプチャデバイス、ゲームデバイス、音楽ストレージおよび再生機器、またはインターネットアクセスおよびブラウジングなどを可能にするインターネット機器、が含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
本開示で説明する通信は、Beyond 5G、5G(NR:New Radio)、4G(LTEアドバンスト、WiMAX2)、ロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)、広帯域符号分割多重アクセス(W-CDMA:Wideband Code Division Multiple Access)、符号分割多重アクセス(CDMA:Code Division Multiple Access)、および移動体通信用グローバルシステム(GSM:Global System for Mobile)など、を含むがこれらに限定されない任意の適切な規格に準拠してもよい。さらに、通信は、現在知られているか、将来開発されるいずれかの世代の通信プロトコルに従って実行されてもよい。
【0033】
基地局20は、通常のデータ通信に加えて、ユーザ端末30にブロードキャスト、マルチキャスト、及びユニキャスト方式でダウンリンクの参照信号(RS:Reference Signal)を送信してもよい。同様に、ユーザ端末30は、アップリンクでRSを基地局20に送信してもよい。本明細書で使用する「ダウンリンク」は、マクロセル基地局20Aからユーザ端末30方向へのリンクを指し、「アップリンク」は、ユーザ端末30からマクロセル基地局20A方向へのリンクを指す。
【0034】
例えば、ダウンリンクのRSは、ビーム掃引、チャネル推定、復調、及び通信のための他の動作のためにユーザ端末30によって使用される。一般的に、RSは、基地局20とユーザ端末30の両方によって知られている信号シーケンス(「RSシーケンス」とも呼ばれる)である。例えば、基地局20によって、ある規則に基づいてRSシーケンスが生成および送信され、ユーザ端末30が同じ規則に基づいてRSシーケンスを推定する。RSの例には、ダウンリンクまたはアップリンクの受信側で復調を行うための参照用信号である復調参照信号(DM-RS:De-Modulation Reference Signal)、受信側で無線チャネルの状態を測定するために送信される参照信号であるチャネル状態情報参照信号(CSI-RS:Channel State Information-Reference Signal)、サウンディング参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)、位相追跡参照信号(PTRS:Phase Tracking Reference Signal)、ファイン時間(fine time)および周波数追跡参照信号(TRS:Tracking Reference Signal)などを含むが、これらには限定されない。
【0035】
<処理>
次に、
図5を参照し、実施形態に係る情報処理装置10の処理の一例について説明する。
図5は、実施形態に係る情報処理装置10の処理の一例を示すフローチャートである。
【0036】
ステップS1において、情報処理装置10の取得部11は、各基地局20に固有の情報(以下で、適宜、「セルサイト固有情報」とも称する。)を、情報処理装置10の内部または外部の記憶部、または各基地局20から取得する。なお、セルサイト固有情報は、基地局20が設置される際に測定されてもよい。また、新規の基地局20が設置される際に再度測定(更新)されてもよい。
【0037】
以下の処理は、例えば、ユーザ端末30が通信を開始するために無線リンクがセットアップされる際に実行されてもよい。また、各基地局20、及び各ユーザ端末30で測定された無線通信に関する情報の変化の度合いが閾値以上である際にも実行されてもよい。
【0038】
セルサイト固有情報には、例えば、リンクの種別毎に、基地局20が無線通信で使用できる1以上の各周波数スペクトル、基地局20のカバレッジエリアの広さ(範囲、大きさ)を示す情報のうち少なくとも一つが含まれてもよい。また、セルサイト固有情報には、例えば、一の基地局20と周辺の他の基地局20との間の距離(例えば、セルサイト間距離、各セルの中心間の距離)を示す情報(例えば、各基地局間の伝搬損失)が含まれてもよい。また、セルサイト固有情報には、例えば、リンクの種別毎の、一の基地局20のセルと周辺の他の基地局20のセルとのトラフィックの分布を示す情報が含まれてもよい。また、セルサイト固有情報には、例えば、リンクの種別毎の送信信号のPAPR(ピーク対平均電力比:Peak to Average Power Ratio)等を示す情報が含まれてもよい。
【0039】
リンクの種別は、基地局20が無線通信のリソースを割り当てるリンクの種別である。リンクの種別には、バックホールリンクのアップリンク、バックホールリンクのダウンリンク、アクセスリンクのアップリンク、及びアクセスリンクのダウンリンクが含まれてもよい。なお、基地局20には、周辺の他の基地局20の物理セルの識別子(PCID)とリンクの種別とが関連付けて設定されている。
【0040】
基地局20が無線通信で使用できる1以上の各周波数スペクトルは、当該基地局20に予め設定されていてもよい。なお、基地局20が無線通信で使用できる各周波数スペクトルに基づいて、距離減衰式より距離減衰(長区間変動)を推定できる。
【0041】
基地局20のカバレッジエリアの広さ(セル半径)の情報は、当該基地局20に予め記憶されていてもよい。一の基地局20と周辺の他の基地局20との間の距離の情報は、当該一の基地局20に予め記憶されていてもよい。
【0042】
送信信号のサブキャリア数に対する各変調方式に対するPAPRは、OFDMの送信帯域幅から算出できる。また、ルートレイズドコサインフィルタを用いる波形整形フィルタのロールオフ率に応じてもPAPRは異なる。そのため、情報処理装置10は、シングルキャリアFDMA、送信帯域のサブキャリア数が異なるOFDMに対して、変調方式、波形整形フィルタのロールオフ率に対するPAPRを予め計算してテーブル化(記憶)しておいてもよい。
【0043】
続いて、情報処理装置10の取得部11は、各基地局20、及び各ユーザ端末30で測定された無線通信に関する情報を取得する(ステップS2)。なお、各基地局20、及び各ユーザ端末30は、無線通信が接続されている際(オンラインである際)に、例えば、所定の周期で、参照信号を用いて無線通信に関する情報を測定し、測定した情報を情報処理装置10に送信する。当該無線通信に関する情報には、例えば、送信機及び受信機の位相雑音、電力遅延プロファイル(LOS/NLOS)、ユーザ端末30の移動速度の情報が含まれてもよい。
【0044】
なお、送信機及び受信機の位相雑音について、ミリ波帯の高い周波数スペクトルでは、位相ロックドループ(PLL:Phase Locked Loop)を用いるローカル発振器の周波数揺らぎに起因する位相雑音が主な特性劣化要因の1つになる。ローカル発振器の位相雑音は、参照クロック信号(reference clock)、PLL素子の雑音、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)に起因して生じる。参照クロック信号に起因する位相雑音の電力スペクトル密度(PSD:Power Spectrum Density)は、周波数fの2次で減衰する(1/f2。なお、ここでの「/」は割り算を表す。)20dB/decade(周波数が10倍になる毎に、通過する信号の振幅が20dB減衰)の周波数特性を有する。
【0045】
PLLの素子に起因する位相雑音のPSDは、周波数fの1次で減衰する(1/f。なお、ここでの「/」は割り算を表す。)10dB/decadeの周波数特性を有する。VCOに起因する位相雑音のPSDは、周波数の2次で減衰する(1/f2。なお、ここでの「/」は割り算を表す。)20dB/decadeの周波数特性を有する位相雑音と、3次で減衰する(1/f3。なお、ここでの「/」は割り算を表す。)30dB/decadesの周波数特性を有する位相雑音とを含む。PLLのループ帯域よりも低い周波数では、参照クロック信号、PLLの素子に起因する位相雑音が、PLLのループ帯域よりも高い周波数では、2種類のVCOに起因する位相雑音が支配的であることが報告されている。
【0046】
なお、各基地局20、及び各ユーザ端末30は、参照信号を用いて位相雑音の電力を算出してもよい。また、各基地局20、及び各ユーザ端末30は、PLL周波数シンセサイザを用いるローカル発振器の位相雑音の電力スペクトル密度(PSD:Power Spectrum Density)に基づいて、位相雑音の電力を算出してもよい。
【0047】
電力遅延プロファイル(LOS/NLOS)は、例えば、参照信号を用いて測定されてもよい。なお、電力遅延プロファイルに基づいて、直接波の受信電力、ライスファクタ、rms(root mean square)遅延スプレッド、最大パスの遅延時間等が測定できる。直接波の受信電力により、LOSチャネル、NLOSチャネル、LOS/NLOS混在チャネルかを識別できる。ユーザ端末30の移動速度は、例えば、参照信号を用いて測定したドップラ周波数に基づいて算出されてもよい。
【0048】
続いて、情報処理装置10の制御部12は、取得部11により取得された情報に基づいて、バックホールリンク及びアクセスリンクの無線通信の物理レイヤの各種パラメータを決定する(ステップS3)。ここで、情報処理装置10は、例えば、ステップS1で取得したセルサイト固有情報と、ステップS2で取得した無線通信に関する情報と、トラヒックの要求条件と、に基づいて、各基地局20及び各ユーザ端末30のそれぞれに適用させる無線通信の各種パラメータを決定してもよい。トラヒックの要求条件には、例えば、遅延(伝送遅延)、誤り率、及びデータレート等の要求条件が含まれてもよい。トラヒックの要求条件は、例えば、ユーザ端末30から指定されてもよい。また、トラヒックの要求条件は、例えば、各基地局20に設定されていてもよい。
【0049】
続いて、情報処理装置10の送信部13は、決定したパラメータを、各基地局20、及び各ユーザ端末30へ送信する(ステップS4)。これにより、より適切な無線通信の各種パラメータを各装置に適用させることができる。
【0050】
以下に、ステップS3の無線通信の各種パラメータを決定する処理の例について説明する。なお、以下の各処理は、適宜組み合わせて実行させることができる。
【0051】
(適応的に物理チャネル多重方式(Waveform)を制御する例)
情報処理装置10は、取得した情報に基づいて、適応的に物理チャネル多重方式(Waveform)を決定してもよい。この場合、情報処理装置10は、バックホールリンクについて、使用される周波数スペクトルが閾値よりも高く、各基地局間の距離が閾値よりも長い場合、物理チャネル多重方式としてDFT(Discrete Fourier transform)-spreadOFDM(シングルキャリアFDMAの一例)を選択してもよい。これにより、例えば、伝搬損失が比較的大きいLOS環境のバックホールリンクの無線通信を適切に実行させることができる。
【0052】
また、情報処理装置10は、バックホールリンクについて、マクロセル基地局20と小セル基地局20間の距離が閾値よりも短く、直接波に加えて周辺地物及び建物からの反射及び散乱に起因するマルチパス信号の電力が閾値よりも高い場合には、物理チャネル多重方式としてOFDMAを選択してもよい。
【0053】
また、情報処理装置10は、アクセスリンクにおいて、適用周波数スペクトルが閾値よりも高く、カバレッジエリアの広さ閾値よりも大きい(セル半径が閾値よりも大きい)場合には、物理チャネル多重方式としてDFT-spreadOFDMを選択してもよい。また、それ以外の場合、情報処理装置10は、アクセスリンクにおいて、OFDMAを選択してもよい。
【0054】
なお、無線バックホールの典型的な伝搬環境は、見通し内(LOS:Line-of-Sight)伝搬である。実用システムの無線バックホールリンクでは、高速化及び大容量化のために、超多値変調、偏波MIMO(Multi Input Multi Output)、LOS-MIMOが適用されている。一方、NR無線インタフェースでは、マルチアンテナのMIMOを用いた場合には、アップリンク及びダウンリンクともにOFDMAが採用されている。従って、IAB無線インタフェースでは、バックホールリンクを含めてアップリンク及びダウンリンクともにOFDMAが用いられる。しかしながら、OFDMAはシングルキャリアFDMAに比較してPAPRが高く、位相雑音に対する耐性が弱い欠点がある。従って、送信機の電力増幅器の送信バックオフによって、サービスを提供できる基地局間距離が限定されてしまう。一方、本開示によれば、サービスを提供できる基地局間距離の限定を低減できる。そのため、無線通信をより適切に行うことができる。
【0055】
図6は、実施形態に係るシングルキャリアFDMAとOFDMAと選択する処理の一例を示す図である。
図6の例では、情報処理装置10は、まず、シングルキャリアFDMA信号をDFT(Discrete Fourier transform)により周波数領域に変換する。そして、情報処理装置10は、周波数領域で各周波数成分(OFDMAのサブキャリアに相当)を、割り当てられた周波数成分にマッピングするDFT-spreadOFDMを用いて生成する。OFDMAの直列/並列(S/P)変換処理をDFTに置き換えることにより、シングルキャリアFDMA信号とOFDMA信号の生成は容易に切り替えられる。
【0056】
情報処理装置10は、OFDMAを選択した場合に、遅延スプレッドが大きい場合、すなわち周波数選択性が大きい場合には、周波数領域の拡散を用いてもよい。また、情報処理装置10は、ユーザ端末30で測定されたドップラ周波数が閾値よりも高い場合、時間領域の拡散を用いてもよい。これにより、例えば、ユーザ端末30の移動速度が比較的速いため、複数のOFDMシンボルで構成されるスロット区間における振幅、移動変動が大きい場合に、時間ダイバーシチ効果を得ることができる。この場合、情報処理装置10は、非特許文献5で提案されている、2次元のWalsh-Hadamard符号割り当て法を用いて、周波数及び時間領域の2次元拡散を行ってもよい。
【0057】
(チャネル符号化の符号化率、チャネル符号化後のビットをマッピングする信号空間配置を制御する例)
図7は、実施形態に係る符号化率及び信号空間配置を適応的に制御する処理の一例を示す図である。情報処理装置10は、取得した情報に基づいて、チャネル符号化の符号化率のセット、及びチャネル符号化後のビットをマッピングする信号空間配置のセットの少なくとも一方を決定してもよい。この場合、情報処理装置10は、
図7に示すように、異なる信号空間配置に対して、複数の変調多値数(信号空間配置における信号点数)を有する信号空間配置セットを予め設定していてもよい。この場合、情報処理装置10は、一例としてBPSK(Binary Phase-Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM、64QAM、256QAM、1024QAM等の変調多値数を用意してもよい。ユーザ端末30は、信号空間配置の種類として、実用のセルラシステムで採用されているRectangular/CrossQAM信号空間配置、半径の異なる複数の同心円から構成されるCircularQAM信号空間配置等を用いてもよい。そして、情報処理装置10は、各信号空間配置に対して、前述した各種の信号多値数分の信号空間配置を設定しておいてもよい。なお、CircularQAM信号空間配置は、リング数、リング上の信号点数に応じて、PAPR、位相雑音に対する耐性が異なる。そのため、情報処理装置10は、同一の変調多値数に応じて、異なるCircularQAM信号空間配置を設定していてもよい。
【0058】
情報処理装置10は、セルサイト固有情報と、送信機及び受信機の位相雑音とに基づいて、複数の信号空間配置セットの中から信号空間配置セットを選択してもよい。そして、情報処理装置10は、選択した信号空間配置セットに対して、TTI(Transmission Time Interval)毎に、受信SNRに応じて変調方式(変調多値数)及びチャネル符号化の符号化率(MCS、Modulation and Coding Scheme)をダイナミック(適応的)に選択することにより、適応レート制御を行う。
【0059】
なお、NR無線インタフェースでは、RecuangularQAM信号空間配置が採用されている。熱雑音、干渉に対しては、信号点間のユークリッド距離を最大にできるRectangularQAM信号空間配置が最も良好な誤り率を実現できる。しかし、5G、及びBeyond 5G方式では、100GHz程度までの周波数スペクトルの適用が想定されている。将来的には、100GHz以上の周波数スペクトルも対象になっている。
【0060】
ミリ波帯の高い周波数スペクトルでは、伝搬損失が大きいため、PAPRの高いRectangularQAM信号空間配置は、送信機の電力増幅器の送信バックオフを大きくしなければならない。また、ミリ波帯の周波数スペクトルにおいて、最も主要な誤り率劣化要因はローカル発振器の周波数揺らぎに起因する位相雑音である。RectangularQAM信号空間配置は、位相雑音に対する耐性は低い。一方、本開示によれば、位相雑音に対する耐性を向上できる。そのため、無線通信をより適切に行うことができる。
【0061】
なお、ガウス雑音、及び干渉に対しては信号点間のユークリッドが最も大きなRectangular信号空間配置が最も所要受信SNRを低減できる。信号点数が22k+1(kは1以上の整数)の場合には、信号空間配置は正方形にならず、十字状になるためCrossQAMと呼ばれる。RectangularQAMはグレイマッピングが可能であるが、CrossQAMは、角の信号点が欠けているため、全ての信号点に対してグレイマッピングを行うことはできず、疑似グレイマッピングになる。Rectangular/CrossQAM信号空間配置は信号点間の位相角が小さいため、位相変動のみを生じる位相雑音に対する耐性は強くない。また、Rectangular/CrossQAMは、最小振幅と最大振幅の差が大きいため、ルートレイズドコサインフィルタで帯域制限した場合に、高いピーク電力を生じる。一方、同心円状の信号空間配置を有するCircularQAMは、同一リング上の隣接信号点間の位相角をRectangular/CrossQAMに比較して大きくできるため、位相雑音に対する耐性が高い。また、CircularQAMでは振幅成分、及び位相成分を表すビットを独立にマッピングできる。同心円の振幅比を位相角と独立に設定できる。特に、異なる同心円上に同一の位相を有する同一数の信号点を配置する信号空間配置は、隣接する同心円上の同一の位相を有する信号点に誤って復号した場合、振幅情報のみを誤るため誤り訂正符号化(チャネル符号化)の符号化利得により、誤りを生じた振幅ビットを訂正できる場合が多い。そのため、隣接する同心円間隔を短くすることができ、最も内側の同心円と最も外側の同心円の間隔を狭めることができる。その結果、PAPRをRectangular/CrossQAMに比較して低く抑えることができる。また、複数の異なる同心円における信号点の位相を揃えることにより、位相マージンを大きくすることができる。従って、位相雑音に対する耐性をRectangular/CrossQAMに比較して増大できる。
【0062】
また、位相雑音は時間領域の情報シンボルに一定間隔で多重した参照信号シンボルを用いて推定する。参照信号の送信信号をs(l)で表わすと(lは参照信号シンボルのインデックスを表す)、受信信号r(l)は以下の式(1)で表される。ここで、θは位相雑音、wは熱雑音を表す。
【数1】
【0063】
そのため、情報処理装置10は、受信信号に参照信号の複素共役を乗算することにより位相雑音項を以下の式(2)により推定できる。ここで、*は複素共役を表す。
【数2】
【0064】
しかし、推定した位相雑音には、受信機雑音、背景雑音等の雑音成分が加わる。そのため、情報処理装置10は、雑音成分を除去するために、複数の参照信号シンボルで推定した位相雑音を平均化してもよい。この場合、時間領域の位相雑音の相関が高い範囲の参照信号シンボルの位相雑音推定値を平均化することが求められる。そのため、情報処理装置10は、予め設定した時間区間の位相雑音の推定値に対して移動平均で推定する方法、またはWienerフィルタを用いる方法等を用いてもよい。
【0065】
また、情報処理装置10は、参照信号シンボルに加えて、判定した情報シンボルを用いることにより、高精度に位相雑音を推定することができる。具体的には、誤り訂正符号化(チャネル符号化)の復号前、あるいは復号後の判定ビットを用いた位相ロックループ(PLL:Phase Locked Loop)位相雑音推定により位相雑音を推定してもよい。この場合、情報処理装置10は、誤り訂正復号後の判定ビットを用いることにより、誤り訂正符号の符号化利得による高精度な判定帰還シンボルを生成することができる。
【0066】
(適応的に参照信号(パイロット信号)の多重法を制御する例)
参照信号は、マルチパスフェージングチャネルの等化ウエイト生成のためのチャネル応答の推定用、位相雑音推定用、チャネル品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)推定用、チャネル状態情報(CSI:Channel State Information)推定用に必要である。NR無線インタフェースでは、復調用の参照信号(DM-RS:Demodulation Reference Signal)、CSI測定用参照信号(CSI-RS)、位相雑音測定用参照信号(PT-RS:Phase Tracking RS)が採用されている。NR無線インタフェースの参照信号は、OFDMAのWaveformを前提とした構成であり、送信アンテナ数に応じた参照信号の多重法が規定されているのみである。
【0067】
上述したように、本開示の実施形態に係る情報処理装置10は、物理チャネル多重方式(Waveform)として、OFDMAまたはDFT-spreadOFDM等を適応的に選択してもよい。この場合、情報処理装置10は、選択した物理チャネル多重方式に応じて、受信品質の測定のためのCSI(Channel State Information)-RS、及び同期検波に用いる復調用DM(Demodulation)-RSの多重法を制御してもよい。
【0068】
また、情報処理装置10は、各基地局20、及び各ユーザ端末30で測定された位相雑音、及び電力遅延プロファイル(周波数オフセット)を示す情報に基づいて、位相トラッキング参照信号(PT-RS:Phase Tracking RS)の多重法と多重間隔とを適応的に制御してもよい。
【0069】
図8は、実施形態に係るOFDMAにおける参照信号の多重法の一実施例を示す図である。
図8に示す参照信号多重法は、NR無線規格の参照信号多重法に基づいている。本開示のOFDMAを用いる場合のCSI-RS及びDM-RSの多重法は、NR無線インタフェースと同様でもよい。なお、NR無線インタフェースでは、CSI-RS、DM-RSに加えて、位相雑音及び周波数オフセット推定用のPT(Phase Tracking)-RSが採用されている。DM-RSはMIMO多重に用いる送信アンテナ数に応じた周波数分割多重(FDM)、及び符号分割多重(CDM)を用いる直交参照信号が規定されている。PT-RSは、周波数領域は疎に多重されている。時間領域はMCSに応じて、4、2、及び1OFDMシンボル毎に多重される。QPSK等の低いMCSでは位相雑音の影響が小さいため4OFDMシンボル毎にPT-RSを多重することにより、参照信号の挿入損失を低く抑えることができる。一方、256QAM等の多値変調は位相マージンが小さいため、1OFDMシンボル毎、すなわち連続するOFDMシンボルにPT-RSが多重される。
【0070】
情報処理装置10は、WaveformがOFDMAかDFT-spreadOFDMかに応じて、CSI-RS、DM-RSの多重法を制御する。また、情報処理装置10は、測定された位相雑音、及び変調方式(MCS)に応じて、PT-RSの時間領域の多重間隔を適応制御してもよい。
【0071】
図9は、実施形態に係るシングルキャリアFDMAにおける参照信号の多重法の一実施例を示す図である。NR無線インタフェースのアップリンクでは、マルチアンテナ送信(MIMO)の場合には、OFDMAが採用されている。従って、NR無線インタフェースのアップリンクでは、OFDMAに対するDM-RS及びSounding Reference Signal(SRS)が規定されている。シングルキャリアFDMAであるDFT-spreadofdmは、1ストリーム送信(SIMO)のみで3GPP Release15仕様で採用されている。従って、LTEのアップリンクのDFT-spreadOFDMのDM-RS及びSRS多重法が適用される。そのため、Release15仕様のNR無線インタフェースでは、DFT-spreadOFDMの新規の参照信号は規定されていない。
【0072】
情報処理装置10は、DM-RSをスロット先頭部のNDMシンボル(シングルキャリアシンボル)区間に多重する。CSI-RSは数スロット毎にスロットの末尾に、あるいは、スロット先頭部のDM-RSに後続シンボル区間にNCSIシンボルに多重する。一方、情報処理装置10は、PT-RSを、情報シンボル区間に連続するNPTシンボルに多重する。NPTは1あるいは小数(数シンボル)である。PT-RSのNPTシンボルブロック間隔は、適用する周波数スペクトル、MCSに応じて適用制御する。前述のように、本開示のDM-RSの多重法は、LTEアップリンクのDFT-spreadOFDMのDM-RSの多重法と異なる。一方、LTEのSRSはサブフレームの末尾のFFT(Fast Fourier Transformation)ブロックに多重されている。そのため、本開示の実施例において、CSI-RSを数スロット毎にスロットの末尾に多重する場合は、LTEのSRSの多重法と同じ構成になる。
【0073】
LTEの無線インタフェースでは、PT-RSは規定されていない。シングルキャリアのDFT-spreadOFDMでは、マルチパス干渉に起因する波形歪みを補償するために等化器が必須である。時間領域等化(TDE:Time Domain Equalization)を用いる場合、NDMはトランスバーサル等化器の数倍の長さが必要である。周波数領域等化(FDE:Frequency Domain Equalization)を用いる場合は、NDMはFFTの段数の長さになる。複数の送信アンテナを用いるMIMO多重の場合、アンテナ固有の直交CSI-RS、DM-RSが必要になる。CSI-RSの場合は、一般には、送信アンテナ数分のシンボル数を用意して直交参照信号を生成する。あるいは、送信アンテナ数に相当するシンボル数の参照信号に対して直交符号を用いて時間領域の拡散を行い、コード領域で多重する方法もある。DM-RSは送信アンテナ当たりNDMシンボル数のDM-RSを送信アンテナ数分用意して、TDM多重により直交DM-RSを生成する。しかしながら、送信アンテナ数分のDM-RSをTDMで生成する場合には、必要なリソースが送信アンテナ数分に増大してしまう。そこで、周波数領域でDistributedFDM多重することにより、周波数領域での直交DM-RSが生成できる。DistributedFDMは、周波数領域における一定周期の周波数成分に割り当てる方法であり、ピーク電力の増大は招かない。時間領域でシンボルブロックを繰り返し多重することにより、周波数領域のDistributedFDM信号を生成する方法はInterleaved FDMA(IFDMA)として提案されている。また、DFTにより時間領域のNDMシンボルのDM-RSを周波数領域信号に変換し、周波数領域において一定間隔で離散的に周波数成分(サブキャリア)位置にマッピングする方法を用いてDistributedFDM信号を生成できる。
【0074】
(適応的に制御情報の多重法を制御する例)
情報処理装置10は、取得した情報に基づいて、適応的に制御情報の多重法を制御してもよい。制御情報は、例えば、リソース割り当て(grant)情報、変調方式、トランスポートブロックサイズ、再送の確認応答(Ack:Acknowledgement)、確認非応答(Nack:Non acknowledgement)等のレイヤ1またはレイヤ2の制御情報でもよい。レイヤ1及びレイヤ2の制御情報は、ユーザ情報を送信する共有チャネルの復調及び復号に必要である。そのため、制御信号は、OFDMA、DFT-spreadOFDM(シングルキャリア)の双方において、スロットの先頭にTDM多重されてもよい。
【0075】
なお、LTE及びNR無線インタフェースでは、制御情報は、リソース割り当て(grant)情報、変調方式、トランスポートブロックサイズ、再送の確認応答(Ack:Acknowledgement)/確認非応答(Nack:Non acknowledgement)のレイヤ1及びレイヤ2の制御情報の多重方法は送信アンテナ数によって決められている。
【0076】
図10は、実施形態に係るOFDMAが用いられる場合の制御情報の多重法を適応的に制御する処理の一実施例を示す図である。情報処理装置10は、OFDMAが用いられる場合、情報処理装置10は、例えば、無線通信で使用される周波数スペクトル、各カバレッジエリアの広さ、各基地局間の距離、指向性ビーム利得、制御情報に対して要求される品質(例えば、誤り率)等に応じて、制御情報の多重法を決定してもよい。
【0077】
この場合、情報処理装置10は、例えば、以下の3つのモードの多重法から、一のモードを選択してもよい。第1モードでは、スロットの先頭の1あるいは数OFDMシンボルの区間に制御信号が多重されるTDM多重が用いられる。なお、OFDMAを用いるLTEのダウンリンクの無線インタフェースでは、スロットの先頭のOFDMシンボルから最大3OFDMシンボル位置まで制御チャネルが多重される。従って、本開示のTDM多重の実施例は、LTEあるいはNR無線インタフェースと同様である。
【0078】
第2モードでは、予め設定されたサブキャリア位置にFDM多重される。FDM多重では、例えば、リソースブロック内の1あるいは数サブキャリアに制御情報が多重される。FDM多重は基地局20またはユーザ端末30の一定の送信電力に対して、サブキャリア間の電力配分を変えることにより特定のサブキャリアの送信電力を増大することができる。制御情報を多重したサブキャリアの電力を増大することにより、電波の到達距離を増大、あるいは高品質受信を実現できる。FDM多重の場合は、上述したTDM多重に比較して処理遅延は長くなる。なお、LTE及びNR無線インタフェースでは、OFDMAの制御情報はTDM多重であり、制御情報のFDM多重は規定されていない。
【0079】
第3モードでは、制御情報の到達距離を増大、あるいは高品質受信を実現するため、1スロットのリソースブロック全体に制御情報が多重されるリソースブロック多重が用いられる。ビットレベルあるいはシンボルレベルの繰り返し(repetition)を行うことにより、要求の誤り率を満たすための所要受信SNRを低くできる。あるいは、同一の受信SNRに対して低い誤り率を実現できる。ビットあるいはシンボル繰り返しの代わりに、超低レートの誤り訂正符号化(チャネル符号化)を用いてもよい。なお、NR無線インタフェースのアップリンクの制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)では、最低のチャネル符号化率として0.08(約1/12。なお、ここでの「/」は割り算を表す。)が採用されている。また、受信SNRの向上のためのシンボル繰り返し(Repetition)も採用されている。いずれの方法にしても、無線区間のリソースが増大するため、リソースブロック全体のリソースを制御情報に割り当てる点が、NR無線インタフェースと異なる。
【0080】
図11及び
図12は、実施形態に係るDFT-spreadOFDMが用いられる場合の制御情報の多重法を適応的に制御する処理の一実施例を示す図である。DFT-spreadOFDMが用いられる場合、情報処理装置10は、例えば、無線通信で使用される周波数スペクトル、各カバレッジエリアの広さ、各基地局間の距離、指向性ビーム利得、制御情報に対して要求される品質(例えば、誤り率)等に応じて、制御情報の多重法を決定してもよい。
【0081】
この場合、情報処理装置10は、例えば、以下の2つのモードの多重法から、一のモードを選択してもよい。第1モードでは、TDM多重により、
図11に示すように、スロットの先頭の1あるいは数シンボル位置に多重される。第2モードでは、リソースブロック多重により、
図12に示すように、制御情報の到達距離を増大、あるいは高品質受信を実現するため、1スロットのリソースブロック全体に制御情報が多重される。OFDMAの場合と同様に、ビットレベルあるいはシンボルレベルの繰り返し(repetition)、あるいは超低レートの誤り訂正符号化(チャネル符号化)を用いることにより、要求の誤り率を満たすための所要受信SNRを低くできる。あるいは、同一の受信SNRに対して低い誤り率を実現できる。なお、前述のように、NR無線インタフェースでは、アップリンクの1ストリーム送信(MIMO無しで、SIMO)の場合にのみ、DFT-spreadOFDMが採用されている。従って、DFT-spreadOFDMの制御情報多重は、LTEのPUCCHの制御情報多重の規定に従って行われる。LTEのPUCCHは、狭帯域であるため1サブフレーム内の2スロット間で周波数ホッピングを行う構成になっている。また、サブフレーム長が1msと長いために、複数ユーザからの制御情報は、巡回シフトZadoff-Chu系列を用いてCDMA多重される。異なるユーザからの制御情報は、異なる巡回シフト量のZadoff-Chu系列で多重されている。一方、本開示の実施例では、制御情報はユーザ情報を送信する共有チャネルの中にTDM多重される。ダウンリンクにDFT-spreadOFDMを適用する場合は、このように共有チャネルの中にTDM多重される。アップリンクに適用する場合も同様であるが、ダウンリンクの共有チャネル(PDSCH)のAck/Nack情報をアップリンクで送信する場合に、ユーザ端末30のバッファに送信するユーザ情報が無い場合には、スロット全体にわたり制御情報が多重される。この場合、シンボル繰り返し(Repetition)、あるいは低レートのチャネル符号化率が用いられる。スロット全体に制御情報リソースを多重することにより送信電力を低減することができる。
【0082】
(適応的にシンボル間隔、及びレイズドコサインロールオフフィルタのロールオフ率を制御する例)
情報処理装置10は、取得した情報に基づいて、適応的にシンボル間隔、及びレイズドコサインロールオフフィルタのロールオフ率を制御してもよい。
図13は、実施形態に係るFaster-than-Nyquist(FTN)を用いる場合の送信フレーム構成の一例を示す図である。
図13において、N
Symbolは、シンボルのサンプル数であり、N
OLは、オーバラップ区間のサンプル数である。Faster-than-Nyquist(FTN)を用いる場合の送信フレーム131は、DFT-spreadOFDMの場合はシングルキャリアのシンボルに相当する。また、送信フレーム131は、OFDMAの場合は、サブキャリア当たりのOFDMシンボルに相当する。FTNを用いることにより、時間領域のシンボルをナイキスト間隔よりも短い間隔でオーバラップして多重できる。そのため、スロット当たりの多重シンボル数が増大するため、周波数利用効率を増大できる。
【0083】
なお、非特許文献6には、ナイキスト間隔をTとして、シンボル間間隔を0.802Tまで短くしても信号点間のユークリッド距離は変わらないことが示されている。シンボル間間隔を0.802Tまで短くした場合、周波数利用効率は約25%増大できる。一方、PAPRはWaveform、変調方式、波形整形フィルタの帯域制限ファクタ等に依存する。セルラシステム等の無線通信の実用システムでは、波形整形フィルタには、一般にルートレイズドコサインフィルタ(RRCF:Root Raised Cosine Filter)が用いられる。RRCFはロールオフ率を小さくする(0に近づける)に従って、理想低域フィルタに近づくため、周波数領域で急峻な減衰特性を実現できる。従って、システム帯域(割り当て帯域)内の占有信号帯域を増大できる。一方、時間領域波形は、振幅変動が大きくなり、シンボル間干渉を及ぼす時間範囲が増大する。従って、ロールオフ率を小さくするに従って、送信信号のPAPRは増大する。
【0084】
情報処理装置10は、FTNを使用させることにより、スロット当たりのシンボル数は変えずにシンボル長を長くする。シンボル長が長くなった分、サブキャリア間隔(周波数成分の間隔)は短くなる。従って、サブキャリア数(周波数成分数)が同じ場合には、信号占有帯域を狭くできる。従って、システム帯域内に周波数スペクトルを収容するためのロールオフ率を大きくできるため、PAPRを低減することができる。情報処理装置10は、例えば、無線通信で使用される周波数スペクトル、各カバレッジエリアの広さ、各基地局間の距離、指向性ビーム利得、制御情報に対して要求される品質(例えば、誤り率)等に応じて、シンボル間隔及びRRCFのロールオフ率を適応制御してもよい。情報処理装置10は、バックホールリンクについて、各基地局間の距離が閾値よりも長い場合には、FTNを使用させて、ロールオフ率を増大させてもよい。これにより、例えば、低PAPRが実現される。一方、情報処理装置10は、バックホールリンクについて、各基地局間の距離が閾値よりも長くない場合には、FTNを適用せずに、ナイキスト間隔でシンボルを多重させてもよい。これにより、例えば、基地局20での処理負荷を低減できる。
【0085】
(バックホールリンクとアクセスリンクとが同一の周波数スペクトルを用い、IABノードがマルチホップ通信を行う場合の、アクセスリンクのリソース割り当てについて)
IABでは、マルチホップが採用されている。従って、マルチホップの場合の複数IABノードにおけるリソース割り当てを検討することが求められる。TDMで異なるリンクを多重する場合には、ホップ数の増大に伴い、遅延が増大してしまう。例えば、IABノードとユーザ端末30間のアクセスリンクに着目すると、ダウンリンクとアップリンクの割り当てスロットの間隔が長くなってしまうとRTT(Round Trip Time)が増大し、リソース割り当て、再送制御の遅延が増大してしまう。バックホールリンクについても同様である。従って、遅延を考慮して、各アクセスリンク、バックホールリンクにおける上り及びダウンリンクのスロット割り当てを考えることが求められる。
【0086】
また、TDMを適用した場合、マルチホップの場合、各IABノードでのリンクの直交性は保証されるものの、ホップ数の離れたIABノードのリンク間のクロスリンク干渉(cross-link interference)を低減するリソース割り当て、送信電力制御も考慮することが求められる。
【0087】
図14を参照し、バックホールリンクとアクセスリンクとが同一の周波数スペクトルを用い、IABノード(例えば、小セル基地局20B、20C)がマルチホップ通信を行う場合の、アクセスリンクのアップリンクのリソース割り当て処理の例について説明する。
図14は、実施形態に係るアクセスリンクのアップリンクのリソース割り当て処理の一例を示すフローチャートである。
【0088】
図14に示すように、バックホールリンクとアクセスリンクとが同一の周波数スペクトルを用い、複数の小セル基地局がマルチホップ通信を行う場合、情報処理装置10は、バックホールリンクとアクセスリンクとの干渉度に基づいて、アクセスリンクの接続の許否を判定してもよい。この場合、情報処理装置10は、ユーザ端末30からの無線信号と各基地局20から送信される指向性ビームのパターンとに応じて、当該干渉度を算出してもよい。そして、アクセスリンクの接続を許可した場合、情報処理装置10は、アクセスリンクのアップリンクのデータを、一時間スロットのバックホールリンクに対してSDMまたはFDMで、ユーザ端末30から基地局20へ送信させてもよい。
【0089】
以下で、
図14を参照し、より具体的な処理例について説明する。なお、IABノードは、上位局のIABドナーまたはIABノード、及び下位局のIABノードとのバックホールリンクを優先的に接続する。上位局とのバックホールリンクのリソースは上位局により割り当てられる。下位局とのバックホールリンクに用いるリソースは当該IABノードが下位局に割り当てる。各IABノードには、複数の上位局、下位局のIABノードの位置が記憶されている。そして、各IABノードは、複数の上位局及び下位局のIABノードが指向性ビーム送信を行った場合のビームのパターン(例えば、ビームの進行方向等)を、基地局設置時の試験、あるいは運用中の学習により判別できる。この場合、各IABノードには、2次元(2D)のアンテナ配置を用いることにより、位相角(Azimuth)に加えて、仰角(Elevation)を制御する3次元(3D)の指向性ビーム制御が用いられる。
【0090】
ステップS101において、情報処理装置10は、アップリンクのユーザ端末30からの無線信号の受信電力及び受信ビームのパターンと、複数の上位局及び下位局のIABノードが指向性ビーム送信を行った場合の受信ビームのパターンとをIABノードから取得する。ここで、当該無線信号は、例えば、スケジューリング要求信号、またはサウンディング参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)等でもよい。
【0091】
続いて、情報処理装置10は、アクセスリンクがバックホールリンクに与える干渉電力(「干渉度」の一例。)を算出する(ステップS102)。ここで、情報処理装置10は、ステップS101で取得した各受信ビームの相関を算出してもよい。そして、情報処理装置10は、各受信ビームの相関と、ユーザ端末30からの無線信号の受信電力とに基づいて、当該干渉電力を算出してもよい。
【0092】
続いて、情報処理装置10は、アクセスリンクがバックホールリンクに与える干渉電力に応じた、バックホールリンクの実現スループットを算出する(ステップS103)。そして、情報処理装置10は、アクセスリンクのアップリンクでユーザ端末30が接続を要求した場合の、バックホールリンクの実現スループットの低減量(劣化量)に応じて、以下のいずれかのモードでアクセスリンクの接続を許容する。情報処理装置10は、まず、実現スループットが第1の目標スループットよりも高いか否かを判定する(ステップS104)。実現スループットが第1の目標スループットよりも高い場合(ステップS104でYES)、情報処理装置10は、アクセスリンクのアップリンクを、バックホールリンクとSDMで多重させ(ステップS105)、処理を終了する。ここで、情報処理装置10は、アクセスリンクの接続、すなわちアクセスリンクのアップリンクにリソースの割り当てを行う。そして、情報処理装置10は、リソース割り当て情報(grant)をIABノードからユーザ端末30へ送信させる。これは、例えば、アクセスリンクがビームフォーミングにより、バックホールリンクとSDMにより直交化できている状況等である。
【0093】
一方、実現スループットが第1の目標スループットよりも高くない場合(ステップS104でNO)、情報処理装置10は、第1の目標スループットより低い第2の目標スループットよりも実現スループットが高いか否かを判定する(ステップS106)。実現スループットが第2の目標スループットよりも高い場合(ステップS106でYES)、情報処理装置10は、アクセスリンクのアップリンクを、バックホールリンクとSDMで多重させ(ステップS107)、処理を終了する。ここで、情報処理装置10は、例えば、取得部11により取得された情報に基づいて、ユーザ端末30の送信電力、Waveform、変調方式等を含む各種のパラメータを決定してもよい。この場合、情報処理装置10は、例えば、IABノードとユーザ端末30間の距離、位相雑音の推定値、及びPAPR等に基づいて、各種のパラメータを決定してもよい。この場合、情報処理装置10は、例えば実現スループットが第1の目標スループットを実現できるユーザ端末30の送信電力の低減量を計算してもよい。そして、情報処理装置10は、決定した各種のパラメータを、ダウンリンクの制御チャネルでIABノードからユーザ端末30へ通知させてもよい。これにより、例えば、ユーザ端末30のアクセスリンクのアップリンクに、最も高い実質的なスループットを実現させることができる。
【0094】
一方、実現スループットが第2の目標スループットよりも高くない場合(ステップS106でNO)、情報処理装置10は、バックホールリンクのスループットを第2の目標スループットより低い第3の目標スループットまで低減できるか否かを判定する(ステップS108)。第3の目標スループットまで低減できる場合(ステップS108でYES)、情報処理装置10は、バックホールリンクのスループットを低減させ、アクセスリンクのアップリンクをバックホールリンクと同一スロットにFDM多重させ(ステップS109)、処理を終了する。ここで、情報処理装置10は、例えば、取得部11により取得された情報に基づいて、ユーザ端末30の送信電力、Waveform、変調方式、ユーザ端末30からの送信信号の送信タイミング等を含む各種のパラメータを決定してもよい。この場合、情報処理装置10は、例えば、IABノードとユーザ端末30間の距離、位相雑音の推定値、及びPAPR等に基づいて、各種のパラメータを決定してもよい。そして、情報処理装置10は、決定した各種のパラメータを、ダウンリンクの制御チャネルでIABノードからユーザ端末30へ通知させてもよい。これにより、例えば、ユーザ端末30のアクセスリンクに、最も高い実質的なスループットを実現させることができる。
【0095】
一方、バックホールリンクのスループットを第3の目標スループットまで低減できない場合(ステップS108でNO)、情報処理装置10は、ユーザ端末30によるアクセスリンクの接続をIABノードに拒否させ(許容させず)(ステップS110)、処理を終了する。ここで、情報処理装置10は、バックホールリンクとは異なる時間スロットを、アクセスリンクのアップリンクに割り当てさせてもよい。これにより、アクセスリンクのアップリンクをバックホールリンクとTDM多重させる。
【0096】
次に、
図15を参照し、バックホールリンクとアクセスリンクとが同一の周波数スペクトルを用い、IABノード(例えば、小セル基地局20B、20C)がマルチホップ通信を行う場合の、アクセスリンクのダウンリンクのリソース割り当て処理の例について説明する。
図15は、実施形態に係るアクセスリンクのダウンリンクのリソース割り当て処理の一例を示すフローチャートである。
【0097】
図15に示すように、バックホールリンクとアクセスリンクとが同一の周波数スペクトルを用い、複数の小セル基地局がマルチホップ通信を行う場合、情報処理装置10は、バックホールリンクとアクセスリンクとの干渉度を算出してもよい。この場合、情報処理装置10は、例えば、各基地局20から送信される指向性ビームのパターンに基づいて、干渉度を算出してもよい。そして、情報処理装置10は、算出した干渉度に基づいて、ユーザ端末30のアクセスリンクの接続の許否を判定してもよい。
【0098】
そして、ユーザ端末30によるアクセスリンクの接続を許可した場合、情報処理装置10は、アクセスリンクのアップリンクのデータを、一時間スロットのバックホールリンクに対してSDMまたはFDMで、基地局20からユーザ端末30へ送信させてもよい。
【0099】
以下で、
図15を参照し、より具体的な処理例について説明する。なお、上述したように、IABノードは、上位局のIABドナーまたはIABノード、及び下位局のIABノードとのバックホールリンクを優先的に接続する。なお、上位局のIABノード、下位局のIABノードへの送信は、同一のスロットで行われる場合と、異なるスロットで行われる場合の双方の場合がある。
【0100】
ステップS201において、情報処理装置10は、バックホールリンクとアクセスリンクの指向性ビームパターン、及び送信電力を取得する。続いて、情報処理装置10は、ステップS201で取得した情報に基づき、アクセスリンクがバックホールリンクに与えるビーム間の干渉電力を算出する(ステップS202)。続いて、情報処理装置10は、アクセスリンクがバックホールリンクに与える干渉電力に応じた、バックホールリンクの実現スループットを算出する(ステップS203)。
【0101】
そして、情報処理装置10は、アクセスリンクをユーザ端末30に接続した場合の、バックホールリンクの実現スループットの低減量(劣化量)に応じて、以下のいずれかのモードでアクセスリンクの接続を許容する。情報処理装置10は、まず、実現スループットが第1の目標スループットよりも高いか否かを判定する(ステップS204)。実現スループットが第1の目標スループットよりも高い場合(ステップS204でYES)、情報処理装置10は、アクセスリンクのダウンリンクを、バックホールリンクとSDMで多重させ(ステップS205)、処理を終了する。ここで、情報処理装置10は、アクセスリンクのダウンリンクの送信、すなわちユーザ端末30へのアクセスリンクにリソースの割り当てを行う。これは、例えば、アクセスリンクがビームフォーミングにより、バックホールリンクとSDMにより直交化できている状況等である。
【0102】
一方、実現スループットが第1の目標スループットよりも高くない場合(ステップS204でNO)、情報処理装置10は、第1の目標スループットより低い第2の目標スループットよりも実現スループットが高いか否かを判定する(ステップS206)。実現スループットが第2の目標スループットよりも高い場合(ステップS206でYES)、情報処理装置10は、アクセスリンクのダウンリンクを、バックホールリンクとSDMで多重させ(ステップS207)、処理を終了する。ここで、情報処理装置10は、例えば、取得部11により取得された情報に基づいて、IABノードからユーザ端末30への送信電力、Waveform、変調方式等を含む各種のパラメータを決定してもよい。この場合、情報処理装置10は、例えば、IABノードとユーザ端末30間の距離、PAPR、位相雑音の推定値、及びPAPR等に基づいて、各種のパラメータを決定してもよい。この場合、情報処理装置10は、例えば実現スループットが第1の目標スループットを実現できるIABノードからユーザ端末30への送信電力を計算してもよい。そして、情報処理装置10は、決定した各種のパラメータをIABノードに通知して設定させてもよい。これにより、例えば、アクセスリンクのダウンリンクに、最も高い実質的なスループットを実現させることができる。
【0103】
一方、実現スループットが第2の目標スループットよりも高くない場合(ステップS206でNO)、情報処理装置10は、バックホールリンクのスループットを第2の目標スループットより低い第3の目標スループットまで低減できるか否かを判定する(ステップS208)。第3の目標スループットまで低減できる場合(ステップS208でYES)、情報処理装置10は、バックホールリンクのスループットを低減させ、アクセスリンクをバックホールリンクと同一スロットにFDM多重させ(ステップS209)、処理を終了する。ここで、情報処理装置10は、例えば、取得部11により取得された情報に基づいて、IABノードからユーザ端末30への送信電力、Waveform、変調方式、ユーザ端末30からの送信信号の送信タイミング等を含む各種のパラメータを決定してもよい。この場合、情報処理装置10は、例えば、IABノードとユーザ端末30間の距離、位相雑音の推定値、及びPAPR等に基づいて、各種のパラメータを決定してもよい。そして、情報処理装置10は、決定した各種のパラメータを、ダウンリンクの制御チャネルでIABノードからユーザ端末30へ通知させてもよい。これにより、例えば、ユーザ端末30のアクセスリンクのダウンリンクに、最も高い実質的なスループットを実現させることができる。
【0104】
一方、バックホールリンクのスループットを第3の目標スループットまで低減できない場合(ステップS208でNO)、情報処理装置10は、ユーザ端末30によるアクセスリンクのダウンリンクをIABノードに送信させず(ステップS210)、処理を終了する。ここで、情報処理装置10は、バックホールリンクとは異なる時間スロットを、アクセスリンクのダウンリンクに割り当てさせてもよい。これにより、アクセスリンクのダウンリンクをバックホールリンクとTDM多重させる。
【0105】
以下で、本開示の実施形態の変形例について説明する。以下の各変形例は、本開示の実施形態に適宜組み合わせて実施されてもよい。
<変形例1>
情報処理装置10は、一つの筐体に含まれる装置でもよいが、本開示の情報処理装置10はこれに限定されない。情報処理装置10の各部は、例えば1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。また、情報処理装置10は、ネットワーク仮想化(Network Functions Virtualization、NFV)を実現するサーバまたはエッジサーバでもよい。また、情報処理装置10の各部の少なくとも一部の処理を、基地局20またはユーザ端末30が実行するようにしてもよい。これらのような情報処理装置10についても、本開示の「情報処理装置」の一例に含まれる。
【0106】
<変形例2>
図16は、情報処理装置10をコンピュータとプログラムで実現する場合の構成の一例を示す図である。
図16の例では、情報処理装置10(コンピュータ100)は、プロセッサ101、メモリ102、通信インタフェース103を含む。これら各部は、バス等により接続されてもよい。メモリ102は、プログラム104の少なくとも一部を格納する。通信インタフェース103は、他のネットワーク要素との通信に必要なインタフェースを含む。基地局20の場合、通信インタフェース103には、例えば、1以上のアンテナを介したユーザ端末30との通信用のインタフェース、基地局間の通信用のインタフェース、コアネット側の各種サーバとの通信用のインタフェースなどが含まれる。
【0107】
プログラム104が、プロセッサ101及びメモリ102等の協働により実行されると、コンピュータ100により本開示の実施形態の少なくとも一部の処理が行われる。メモリ102は、ローカル技術ネットワークに適した任意のタイプのものであってもよい。メモリ102は、非限定的な例として、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体でもよい。また、メモリ102は、半導体ベースのメモリデバイス、磁気メモリデバイスおよびシステム、光学メモリデバイスおよびシステム、固定メモリおよびリムーバブルメモリなどの任意の適切なデータストレージ技術を使用して実装されてもよい。コンピュータ100には1つのメモリ102のみが示されているが、コンピュータ100にはいくつかの物理的に異なるメモリモジュールが存在してもよい。プロセッサ101は、任意のタイプのものであってよい。プロセッサ101は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、および非限定的な例としてマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づくプロセッサの1つ以上を含んでよい。コンピュータ100は、メインプロセッサを同期させるクロックに時間的に従属する特定用途向け集積回路チップなどの複数のプロセッサを有してもよい。
【0108】
本開示の実施形態は、ハードウェアまたは専用回路、ソフトウェア、ロジックまたはそれらの任意の組み合わせで実装され得る。いくつかの態様はハードウェアで実装されてもよく、一方、他の態様はコントローラ、マイクロプロセッサまたは他のコンピューティングデバイスによって実行され得るファームウェアまたはソフトウェアで実装されてもよい。
【0109】
本開示はまた、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に有形に記憶された少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品は、プログラムモジュールに含まれる命令などのコンピュータ実行可能命令を含み、対象の実プロセッサまたは仮想プロセッサ上のデバイスで実行され、本開示のプロセスまたは方法を実行する。プログラムモジュールには、特定のタスクを実行したり、特定の抽象データ型を実装したりするルーチン、プログラム、ライブラリ、オブジェクト、クラス、コンポーネント、データ構造などが含まれる。プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態で望まれるようにプログラムモジュール間で結合または分割されてもよい。プログラムモジュールのマシン実行可能命令は、ローカルまたは分散デバイス内で実行できる。分散デバイスでは、プログラムモジュールはローカルとリモートの両方のストレージメディアに配置できる。
【0110】
本開示の方法を実行するためのプログラムコードは、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれてもよい。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、またはその他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはコントローラに提供される。プログラムコードがプロセッサまたはコントローラによって実行されると、フローチャートおよび/または実装するブロック図内の機能/動作が実行される。プログラムコードは、完全にマシン上で実行され、一部はマシン上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、一部はマシン上で、一部はリモートマシン上で、または完全にリモートマシンまたはサーバ上で実行される。
【0111】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例には、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光ディスク媒体、半導体メモリ等が含まれる。磁気記録媒体には、例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ等が含まれる。光磁気記録媒体には、例えば、光磁気ディスク等が含まれる。光ディスク媒体には、例えば、ブルーレイディスク、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、CD-R(Recordable)、CD-RW(ReWritable)等が含まれる。半導体メモリには、例えば、ソリッドステートドライブ、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等が含まれる。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0112】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0113】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
第1基地局と第2基地局とのバックホールリンクの無線通信に関する情報と、
前記第2基地局とユーザ端末とのアクセスリンクの無線通信に関する情報と、を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づいて、前記バックホールリンクの第1無線通信方法と、前記アクセスリンクの第2無線通信方法と、を決定する制御手段と、
前記制御手段により決定された前記第1無線通信方法を示す情報を、前記第1基地局と前記第2基地局との少なくとも一方へ送信し、前記第2無線通信方法を示す情報を前記第2基地局と前記ユーザ端末との少なくとも一方に送信する送信手段と、
を有する情報処理装置。
(付記2)
前記バックホールリンクの無線通信に関する情報には、前記第1基地局と前記第2基地局のそれぞれの、無線通信で使用できる周波数スペクトル、各カバレッジエリアの広さ、各基地局間の距離、各カバレッジエリアのトラフィックの分布、送信信号のピーク対平均電力比、位相雑音、及び電力遅延プロファイルの少なくとも一つを示す情報が含まれる、
付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記アクセスリンクの無線通信に関する情報には、前記第2基地局の、無線通信で使用できる周波数スペクトル、各カバレッジエリアの広さ、送信信号のピーク対平均電力比、位相雑音、電力遅延プロファイル、及び前記ユーザ端末の移動速度の少なくとも一つを示す情報が含まれる、
付記1または2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記制御手段は、前記取得手段により取得された情報に基づいて、前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとの少なくとも一方の、物理チャネル多重方式、チャネル符号化の符号化率のセット、及びチャネル符号化後のビットをマッピングする信号空間配置のセットの少なくとも一つを決定する、
付記1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記5)
前記制御手段は、前記取得手段により取得された情報に基づいて、前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとの少なくとも一方の、参照信号の多重方法、制御信号の多重方法、送信信号のシンボル間隔、及びルートレイズドコサインフィルタのロールオフ率の少なくとも一つを決定する、
付記1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記6)
前記制御手段は、
前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとが同一の周波数スペクトルを用い、且つ、複数の小セル基地局がマルチホップ通信を行う場合に、前記ユーザ端末からの無線信号と各基地局から送信される指向性ビームのパターンとに応じた、前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとの干渉度に基づいて、前記アクセスリンクの接続の許否を判定し、
前記アクセスリンクの接続を許可した場合、前記アクセスリンクのアップリンクのデータを、一時間スロットの前記バックホールリンクに対して空間分割多重または周波数分割多重で、前記アクセスリンクを形成する前記ユーザ端末から基地局へ送信させる、
付記1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記7)
前記制御手段は、
前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとが同一の周波数スペクトルを用い、且つ、複数の小セル基地局がマルチホップ通信を行う場合に、各小セル基地局から送信される指向性ビームのパターンに応じた、前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとの干渉度に基づいて、前記アクセスリンクの接続の許否を判定し、
前記アクセスリンクの接続を許可した場合、前記アクセスリンクのアップリンクのデータを、一時間スロットの前記バックホールリンクに対して空間分割多重または周波数分割多重で、前記アクセスリンクを形成する基地局から前記ユーザ端末に送信する、
付記1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記8)
第1基地局と第2基地局とのバックホールリンクの無線通信に関する第1の情報を取得し、
前記第2基地局とユーザ端末とのアクセスリンクの無線通信に関する第2の情報を取得し、
前記第1の情報と前記第2の情報とに基づいて、前記バックホールリンクの第1無線通信方法と、前記アクセスリンクの第2無線通信方法と、を決定し、
前記第1無線通信方法を示す情報を前記第1基地局と前記第2基地局との少なくとも一方に送信し、
前記第2無線通信方法を示す情報を前記第2基地局と前記ユーザ端末との少なくとも一方に送信する、
情報処理方法。
(付記9)
前記バックホールリンクの無線通信に関する第1の情報には、前記第1基地局と前記第2基地局のそれぞれの、無線通信で使用できる周波数スペクトル、カバレッジエリアの広さ、基地局間の距離、カバレッジエリアのトラフィックの分布、送信信号のピーク対平均電力比、位相雑音、及び電力遅延プロファイルの少なくとも一つを示す情報が含まれる、
付記8に記載の情報処理方法。
(付記10)
前記アクセスリンクの無線通信に関する第2の情報には、前記第2基地局の、無線通信で使用できる周波数スペクトル、カバレッジエリアの広さ、送信信号のピーク対平均電力比、位相雑音、電力遅延プロファイル、及び前記ユーザ端末の移動速度の少なくとも一つを示す情報が含まれる、
付記8または9に記載の情報処理方法。
(付記11)
前記第1の情報と前記第2の情報とに基づいて、前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとの少なくとも一方の、物理チャネル多重方式、チャネル符号化の符号化率のセット、及びチャネル符号化後のビットをマッピングする信号空間配置のセットの少なくとも一つを決定する、
付記8から10のいずれか一項に記載の情報処理方法。
(付記12)
前記第1の情報と前記第2の情報とに情報に基づいて、前記バックホールリンクと前記アクセスリンクとの少なくとも一方の、参照信号の多重方法、制御信号の多重方法、送信信号のシンボル間隔、及びルートレイズドコサインフィルタのロールオフ率の少なくとも一つを決定する、
付記8から11のいずれか一項に記載の情報処理方法。
(付記13)
第1基地局と第2基地局とのバックホールリンクの無線通信に関する第1の情報を取得する処理と、
前記第2基地局とユーザ端末とのアクセスリンクの無線通信に関する第2の情報を取得する処理と、
前記第1の情報と前記第2の情報とに基づいて、前記バックホールリンクの第1無線通信方法と、前記アクセスリンクの第2無線通信方法と、を決定する処理と、
前記第1無線通信方法を示す情報を前記第1基地局と前記第2基地局との少なくとも一方に送信する処理と、
前記第2無線通信方法を示す情報を前記第2基地局と前記ユーザ端末との少なくとも一方に送信する処理と、
を情報処理装置に実行させるプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記14)
第1基地局と、第2基地局と、ユーザ端末とを有し、
前記第1基地局と前記第2基地局とのバックホールリンクの無線通信に関する情報と、
前記第2基地局とユーザ端末とのアクセスリンクの無線通信に関する情報と、を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づいて、前記バックホールリンクの第1無線通信方法と、前記アクセスリンクの第2無線通信方法と、を決定する制御手段と、
前記制御手段により決定された前記第1無線通信方法を示す情報を前記第1基地局と前記第2基地局との少なくとも一方に送信し、前記第2無線通信方法を示す情報を前記第2基地局と前記ユーザ端末との少なくとも一方に送信する送信手段と、
を有する無線通信システム。
(付記15)
前記バックホールリンクの無線通信に関する情報には、前記第1基地局と前記第2基地局のそれぞれの、無線通信で使用できる周波数スペクトル、各カバレッジエリアの広さ、各基地局間の距離、各カバレッジエリアのトラフィックの分布、送信信号のピーク対平均電力比、位相雑音、及び電力遅延プロファイルの少なくとも一つを示す情報が含まれる、
付記14に記載の無線通信システム。
【0114】
この出願は、2021年6月16日に出願された日本出願特願2021-100001を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0115】
1 無線通信システム
10 情報処理装置
11 取得部
12 制御部
13 送信部
20 基地局
30 ユーザ端末