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特許7652272採用支援装置、採用支援方法、及び採用支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】採用支援装置、採用支援方法、及び採用支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1053 20230101AFI20250319BHJP
【FI】
G06Q10/1053
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023547989
(86)(22)【出願日】2021-09-15
(86)【国際出願番号】 JP2021033835
(87)【国際公開番号】W WO2023042287
(87)【国際公開日】2023-03-23
【審査請求日】2024-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】森 洋治
(72)【発明者】
【氏名】星野 綾子
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 雄也
(72)【発明者】
【氏名】渡部 悠紀
(72)【発明者】
【氏名】矢島 成人
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-077361(JP,A)
【文献】特開2020-038599(JP,A)
【文献】特許第6917664(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける受付手段と、
複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する推定手段と、
前記推定手段が推定する前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力する出力手段と、
を備え
前記学習済みモデルは、前記対象人材を受け入れる可能性のある受入先、前記複数の人物のそれぞれのスキル又は職務経歴に関する複数のノードと、当該ノード間の関係性を示すリンクとを含む受入先グラフである、採用支援装置。
【請求項2】
前記推定の根拠として、前記対象人材の属性と前記推定手段が推定した前記配属先候補に所属する人物の属性との類似度を含む根拠情報を生成する根拠情報生成手段を備え、
前記出力手段は、前記根拠情報をさらに出力する
請求項1に記載の採用支援装置。
【請求項3】
前記対象人材に関する複数のノードを含む対象人材グラフと、前記受入先グラフとを用いて、前記対象人材グラフ及び前記受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測により、前記受入先グラフに含まれる、前記受入先に所属する人材を示す人材ノードの中から、前記対象人材のグラフに含まれるノードにリンクする人材ノードを予測するリンク予測手段を備え、
前記推定手段は、前記リンク予測手段が予測した前記人材ノードに基づき、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する、請求項に記載の採用支援装置。
【請求項4】
前記対象人材グラフは、前記対象人材のスキル又は職務経歴に関する複数のノードと、当該ノード間の関係性を示すリンクとを含む、請求項に記載の採用支援装置。
【請求項5】
前記リンク予測手段は、前記リンク予測により、前記受入先に所属する人材のうち、前記対象人材と類似する類似人材を予測し、
前記受入先に所属する人材の中から、前記受入先グラフに含まれる前記ノードおよび前記リンクが、前記類似人材と相性がよいことを示す人材である好相性人材を特定する特定手段を備える、請求項又はに記載の採用支援装置。
【請求項6】
前記受入先に所属する各人材と、前記好相性人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、前記対象人材と前記受入先との相性を判定する相性判定手段を備える、請求項に記載の採用支援装置。
【請求項7】
前記受入先に含まれる複数の部門のうち、前記好相性人材が所属する部門を特定し、当該部門に所属する各人材と、前記好相性人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、当該部門と前記対象人材との相性を判定する相性判定手段を備える、請求項に記載の採用支援装置。
【請求項8】
前記相性判定手段は、複数の前記対象人材のそれぞれと、複数の前記部門のそれぞれとの相性を判定し、
前記相性の判定結果に基づき、複数の前記対象人材のそれぞれについて、当該対象人材の受入先として推奨される部門を決定する推奨手段を備える、請求項に記載の採用支援装置。
【請求項9】
対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける受付手段と、
複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する推定手段と、
前記推定手段が推定する前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力する出力手段と、
前記対象人材を受け入れる可能性のある受入先、前記複数の人物のそれぞれのスキル又は職務経歴に関する複数のノード及び当該ノード間の関係性を示すリンクを含む受入先グラフと、前記対象人材に関する複数のノードを含む対象人材グラフとを用いて、前記対象人材グラフ及び前記受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測により、前記対象人材と所定の関係性を有する前記受入先の人材または部門を特定するリンク予測手段と、を備え、
前記推定手段は、前記リンク予測手段が特定した前記受入先の人材または部門に基づき、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する、採用支援装置。
【請求項10】
対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける受付手段と、
複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する推定手段と、
前記推定手段が推定する前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力する出力手段と、
前記対象人材を受け入れる可能性のある受入先、前記複数の人物のそれぞれのスキル又は職務経歴に関する複数のノード及び当該ノード間の関係性を示すリンクを含む受入先グラフと、前記対象人材に関する複数のノードを含む対象人材グラフとを用いて、前記対象人材グラフ及び前記受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測により、前記対象人材グラフに含まれるノードに所定の性状を示すノードがリンクする確率を算出するリンク予測手段と、を備え、
前記推定手段は、前記リンク予測手段が算出した前記確率に基づいて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する、採用支援装置。
【請求項11】
コンピュータが、
対象人材の配属先に関するリクエストを受け付け、
複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定し、
推定された前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力する採用支援方法であって、
前記学習済みモデルは、前記対象人材を受け入れる可能性のある受入先、前記複数の人物のそれぞれのスキル又は職務経歴に関する複数のノードと、当該ノード間の関係性を示すリンクとを含む受入先グラフである、
採用支援方法。
【請求項12】
コンピュータに対して、
対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける処理と、
複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する処理と、
推定した前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力する処理と、
を実行させる採用支援プログラムであって、
前記学習済みモデルは、前記対象人材を受け入れる可能性のある受入先、前記複数の人物のそれぞれのスキル又は職務経歴に関する複数のノードと、当該ノード間の関係性を示すリンクとを含む受入先グラフである、採用支援プログラム。
【請求項13】
コンピュータが、
対象人材の配属先に関するリクエストを受け付け、
複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定し、
推定された前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力し、
前記対象人材を受け入れる可能性のある受入先、前記複数の人物のそれぞれのスキル又は職務経歴に関する複数のノード及び当該ノード間の関係性を示すリンクを含む受入先グラフと、前記対象人材に関する複数のノードを含む対象人材グラフとを用いて、前記対象人材グラフ及び前記受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測により、前記対象人材と所定の関係性を有する前記受入先の人材または部門を特定する採用支援方法であって、
前記対象人材の配属先候補の推定において、前記コンピュータは、リンク予測により特定された前記受入先の人材または部門に基づき、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する、採用支援方法。
【請求項14】
コンピュータに対して、
対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける処理と、
複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する処理と、
推定された前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力する処理と、
前記対象人材を受け入れる可能性のある受入先、前記複数の人物のそれぞれのスキル又は職務経歴に関する複数のノード及び当該ノード間の関係性を示すリンクを含む受入先グラフと、前記対象人材に関する複数のノードを含む対象人材グラフとを用いて、前記対象人材グラフ及び前記受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測により、前記対象人材と所定の関係性を有する前記受入先の人材または部門を特定する処理と、を実行させる採用支援プログラムであって、
前記対象人材の配属先候補を推定する処理では、前記コンピュータに、リンク予測により特定された前記受入先の人材または部門に基づき、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定させる、採用支援プログラム。
【請求項15】
コンピュータが、
対象人材の配属先に関するリクエストを受け付け、
複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定し、
推定された前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力し、
前記対象人材を受け入れる可能性のある受入先、前記複数の人物のそれぞれのスキル又は職務経歴に関する複数のノード及び当該ノード間の関係性を示すリンクを含む受入先グラフと、前記対象人材に関する複数のノードを含む対象人材グラフとを用いて、前記対象人材グラフ及び前記受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測により、前記対象人材グラフに含まれるノードに所定の性状を示すノードがリンクする確率を算出する採用支援方法であって、
前記対象人材の配属先候補の推定において、前記コンピュータは、リンク予測により算出された前記確率に基づいて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する、採用支援方法。
【請求項16】
コンピュータに対して、
対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける処理と、
複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する処理と、
推定された前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力する処理と、
前記対象人材を受け入れる可能性のある受入先、前記複数の人物のそれぞれのスキル又は職務経歴に関する複数のノード及び当該ノード間の関係性を示すリンクを含む受入先グラフと、前記対象人材に関する複数のノードを含む対象人材グラフとを用いて、前記対象人材グラフ及び前記受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測により、前記対象人材グラフに含まれるノードに所定の性状を示すノードがリンクする確率を算出する処理と、を実行させる採用支援プログラムであって、
前記対象人材の配属先候補を推定する処理では、前記コンピュータに、リンク予測により算出された前記確率に基づいて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定させる、採用支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人事業務を支援する採用支援装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、情報処理装置により人事業務を支援する技術が研究されている。例えば、下記の特許文献1には、勤務者の写真データを出力し、出力した写真データの中から選定された対象者をモデルとして、人物評価のための基準モデルを生成する情報処理装置が開示されている。
【0003】
特許文献1の技術によれば、例えば好業績な勤務者を分析するハイパフォーマー分析、低業績な勤務者を分析するローパフォーマー分析、休職する勤務者を分析する休職者分析、退職する退職者分析等を行うことができる。これを利用して採用候補者を評価すれば、好業績な勤務者となる可能性が高い者を採用することも可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-39777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、たとえ優れた能力を有する人物であっても、採用先の部署や、業務内容、上司や同僚等と相性が合わず、その実力を発揮することなく休職・退職してしまう事例も多い。また、特許文献1の技術では、休職者分析や退職者分析を行うこともできるが、休職や退職には、個人の資質の他にも上述したような受け入れ先との相性の影響も大きい。このため、特許文献1の休職者分析や退職者分析で休職/退職しにくいと評価された者が継続的に勤務できるとは限らない。これは、人材採用に限られず、組織内での配置転換やチーム編成等においても同様である。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、人材の受け入れ先に関する様々な情報を考慮して人事支援を好適に行うことのできる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る採用支援装置は、対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける受付手段と、複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する推定手段と、前記推定手段が推定する前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力する出力手段と、を備える。
【0008】
本発明の一側面に係る採用支援方法は、少なくとも1つのプロセッサが、対象人材の配属先に関するリクエストを受け付けること、複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定すること、及び、推定された前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力すること、を含む。
【0009】
本発明の一側面に係る採用支援プログラムは、コンピュータを、対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける受付手段と、複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する推定手段と、前記推定手段が推定する前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力する出力手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、人材の受け入れ先に関する様々な情報を考慮して人事支援を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の例示的実施形態に係る採用支援装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の例示的実施形態に係る採用支援方法の流れを示すフローチャートである。
図3】グラフベース関係性学習における特徴量の学習を説明する図である。
図4】本発明の第2の例示的実施形態に係る採用支援装置の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の第2の例示的実施形態に係るグラフ生成部による対象人材グラフの生成方法例を示す模式図である。
図6】本発明の第2の例示的実施形態に係るリンク予測部による予測方法例を示す模式図である。
図7】本発明の第2の例示的実施形態に係るリンク予測部、特定部、及び相性判定部による予測方法例を示す模式図である。
図8】本発明の第2の例示的実施形態に係る採用支援装置が実行する第1の処理例を示すフロー図である。
図9】本発明の第2の例示的実施形態に係るリンク予測部、特定部、及び相性判定部による他の予測方法例を示す模式図である。
図10】本発明の第2の例示的実施形態に係る推奨部による推奨方法例を説明するための図である。
図11】本発明の第2の例示的実施形態に係る採用支援装置が実行する第2の処理例を示すフロー図である。
図12】本発明の第2の例示的実施形態に係る出力部による提示例を示す図である。
図13】本発明の第3の例示的実施形態に係るリンク予測部による予測方法例を示す模式図である。
図14】本発明の第3の例示的実施形態に係るリンク予測部による他の予測方法例を示す模式図である。
図15】本発明の第4の例示的実施形態に係る採用支援方法の概要を示す図である。
図16】本発明の第4の例示的実施形態に係る採用支援装置の構成を示すブロック図である。
図17】本発明の第4の例示的実施形態に係る採用支援装置が実行する処理の流れを示すフロー図である。
図18】対象人材グラフと受入先グラフから算出した特徴量に基づいて対象人材の性状を予測する例を説明する図である。
図19】ソフトウェアによって採用支援装置を実現するための構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0013】
(採用支援装置)
本例示的実施形態に係る採用支援装置1の構成について、図面を参照して説明する。図1は、本例示的実施形態に係る採用支援装置1の構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、採用支援装置1は、受付部(受付手段)11、推定部(推定手段)12及び出力部(出力手段)13を備えている。
【0015】
受付部11は、対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける。なお、対象人材のスキルや職務経歴等の対象人材に関する情報は、その対象人材の配属先を決める上で考慮すべき情報であるから、このような情報を含むリクエストも、「対象人材の配属先に関する」リクエストの範疇に含まれる。推定部12は、複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、受付部11が受け付けたリクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する。出力部13は、推定部12が推定する前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力する。
【0016】
ここで、ある人物の職務履歴には、当該人物の所属する部署、所属したことのある部署、それぞれの部署への所属年数、及び所属した部署の順序など(これらを総称して所属履歴とも呼ぶ)が含まれ得るがこれらに限定されない。また、部署には、一例として、部、課、及びグループ等が含まれるがこれらに限定されない。
【0017】
上記の構成を備える採用支援装置1によれば、複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係から、リクエストに適合するといえる対象人材の配属先候補をユーザに提示することができる。したがって、上記の構成によれば、受入先に関する様々な情報を考慮して対象人材の人事支援を好適に行うことが可能になるという効果が得られる。
【0018】
(採用支援プログラム)
上述の採用支援装置1の機能は、プログラムによって実現することもできる。本例示的実施形態に係る採用支援プログラムは、コンピュータに対して、対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける処理と、複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する処理と、推定した前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力する出力処理と、を実行させる。この採用支援プログラムによれば、受入先に関する様々な情報を考慮して対象人材の人事支援を好適に行うことが可能になるという効果が得られる。
【0019】
(採用支援方法)
本例示的実施形態に係る採用支援方法について図2を参照して説明する。図2は、本発明の第1の例示的実施形態に係る採用支援方法の流れを示すフロー図である。
【0020】
S11では、コンピュータが、対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける。リクエストは任意の入力装置を介して受け付ければよい。例えば、マウスやキーボード、あるいはタッチパネルや音声入力装置を介してリクエストを受け付けてもよい。
【0021】
S12では、コンピュータが、複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する。
【0022】
S13では、コンピュータが、推定された前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力する。出力先の装置は任意であり、例えば表示装置に出力して当該情報を表示出力させてもよいし、音声出力装置に出力して当該情報を音声出力させてもよい。
【0023】
以上のように、本例示的実施形態に係る採用支援方法は、コンピュータが、少なくとも1つのプロセッサが、対象人材の配属先に関するリクエストを受け付けること(S11)、複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定すること(S12)、及び、S12で推定された前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力すること(S13)、を含む。この採用支援方法によれば、受入先に関する様々な情報を考慮して対象人材の人事支援を好適に行うことが可能になるという効果が得られる。
【0024】
なお、上記の採用支援方法における各ステップの実行主体は、1つのコンピュータ(例えば採用支援装置1)であってもよいし、各ステップの実行主体がそれぞれ異なるコンピュータであってもよい。これは例示的実施形態2以降で説明するフローについても同様である。
【0025】
〔グラフと学習について〕
以下では、例示的実施形態1及び後述の例示的実施形態(以下各例示的実施形態と呼ぶ)において、採用支援に利用することが可能な情報の一例であるグラフについて説明する。また、そのグラフの学習と、グラフを用いた予測についてもあわせて説明する。
【0026】
(グラフ)
ここでいうグラフとは、複数のノードと、ノード間を結ぶリンクとからなる構造を有するデータのことを指す。ノード間の関係を表すリンクの種類を「関係(リレーション)」とも呼ぶ。また、リンクのことをエッジと呼ぶこともある。グラフには、大別して各リンクが方向性を有する有向グラフ、及び各リンクが方向性を有しない無向グラフが存在する。有向グラフと無向グラフの何れを利用することも可能であり、それらを組み合わせて利用することも可能である。
【0027】
各例示的実施形態においてグラフを利用する場合、そのノードは、人物に関する有体又は無体の要素を表すものとすればよい。例えば、
・氏名、人物ID等の人物の識別情報
・年齢
・性格
・現在の職種、又は希望職種
・現在の所属先、又は希望配属先
・スキル
といった各種の要素を表すノードを含むグラフを利用することができる。より詳しくは、
・氏名、人物ID等の人物の識別情報
・基本属性(職種、性別、所属、役職、等級等)
・実績及び履歴(職務履歴(所属履歴を含む)、学歴、評価履歴、研修受講履歴、上司及び部下に関する履歴、成果、受領歴、表彰歴、勤怠履歴)
・能力、スキル及び資格(スキルレベル、語学力、保有資格等)
・マインド(性格、適性検査結果、性格診断結果、キャリア志向、満足度調査結果、面談履歴、上司メモ等)
・職務内容(ミッション、目標、業務内容等)
・業務特性(新規事業に貢献したか又は貢献し得るか、即戦力型か大器晩成型か、海外勤務に適正か又は国内勤務に適正か等)
・行動データ(位置情報、主なコミュニケーション相手等)
といった各種の要素を表すノードを含むグラフを利用することができる。ここで、主なコミュニケーション相手に関する情報は、社内SNS(Social Networking Service)等のツール利用状況から特定することが可能である。なお、上述した基本属性、能力、スキル、資格、及びマインドのことを性状と表現することもある。性状には上述した他の要素が含まれていてもよい。また、上述した各要素のことを属性と称することもある。
【0028】
また、グラフには、1つの要素に対応するノードが複数含まれていてもよい。例えば、スキルを示すノードとして、第1のスキルを示すノード、第2のスキルを示すノード、第3のスキルを示すノード、のように人物が有する各スキルをそれぞれ個別のノードで表してもよい。他の要素についても同様である。
【0029】
上記のような要素としてのノードが存在する場合、リンクが表す関係は、
・ある要素と人物との関係
・ある要素と年齢との関係
・ある要素と性格との関係
・ある要素と希望職種との関係
・ある要素とスキルとの関係
等を表すことになる。例えば、性格を示すノードと、成果を示すノードとを繋ぐリンクは、その性格がその成果の要因となっているという関係を表すものであってもよい。
【0030】
(学習及び予測)
上述のようなグラフについては、機械学習手法を適用して、グラフベース関係性学習を行うことができる。このような学習により、グラフを用いた分類処理や予測処理を行うことが可能になる。なお、各例示的実施形態においては、採用支援の一環としてこのような学習を行ってもよいし、このような学習が既になされた学習済みのグラフを用いてもよい。
【0031】
グラフベース関係性学習では、まず、各ノードの特徴量を算出する。特徴量は、例えば特徴量ベクトルという形で算出してもよい。各ノードの特徴量を特徴量ベクトルで表すことにより、様々な形式のノードが混在するグラフについても学習を行うことができる。例えば、上述したような各種要素を示す画像や数値等を含むグラフについてもグラフベース関係性学習を行うことができる。一例を挙げれば、人材の写真をノードとすることもできる。
【0032】
次に、各ノードに接続されたリンクとそのリンクの接続先のノードに基づいて、各ノードの特徴量を更新する。この処理は、畳み込みニューラルネットワークにおける畳み込み処理と類似した処理となる。これについて図3に基づいて説明する。図3は、グラフベース関係性学習における特徴量の学習を説明する図である。
【0033】
図3に示すグラフには、ノードA~Dの4つが含まれている。ノードAにはノードBとCが接続しており、ノードCにはノードDが接続している。これら4つのノードの初期の特徴量を算出した後、以下説明するように複数回の畳み込みを行って、各ノードの特徴量を更新する。
【0034】
1回目の畳み込みでは、ノードAの初期の特徴量に、ノードAに接続されているノードBとCの特徴量が所定の重みを乗じた上で加算される。また、ノードCについては、ノードCの初期の特徴量に、ノードDの特徴量が所定の重みを乗じた上で加算される。なお、有効グラフであれば、リンクの方向に応じて重みが調整される。
【0035】
2回目の畳み込みにおいても、1回目の畳み込みと同様に、各ノードの特徴量に、そのノードにリンクされているノードの特徴量が所定の重みを乗じた上で加算される。ここで、ノードCの特徴量には、1回目の畳み込みによりノードDの特徴量が反映されている。このため、2回目の畳み込みにより、ノードAにはノードCの特徴量のみならずノードDの特徴量も反映される。
【0036】
以上のような処理をノードの階層に応じた回数だけ繰り返すことにより、リンクで直接または間接的に接続された各ノードの特徴量が相互に反映される。グラフベース関係性学習では、ノード間の既知の関係性に基づいて、上述の重み付けに用いる重み値を最適化する。学習済みのグラフを用いることにより、以下説明するようなノード間関係予測やリンク先のノード予測を行うことも可能になる。
【0037】
(ノード間関係予測)
上述した学習を行うことにより、元のグラフでは明示されていないノード間の関係を予測することが可能になる。ノード間関係予測を行う場合、ユーザは、2つのノードを指定して、それらのノードの間の関係を返すようにリクエストすればよい。例えば、ユーザから「人物A」のノードと、「人物B」のノードとの関係を問うリクエストが入力された場合、ノード間関係予測によりこれらのノードを繋ぐ関係すなわちリンクが「信頼関係」であると予測することが可能である。また、ノード間関係予測では、予測結果の確率(確からしさ)についても算出することができる。以下説明するノード予測についても同様である。
【0038】
(ノード予測)
また、上述した学習を行うことにより、あるノードと所定のリンクで接続されるノードを予測することも可能になる。ノード予測を行う場合、ユーザは、1つのノードとそのノードを始点とするリンクとを指定して、リンク先のノードを返すようにリクエストすればよい。例えば、ユーザから「人物A」のノードに「性格」のリンクで接続されるノードを問うリクエストが入力されたとする。この場合、ノード予測により、「人物A」のノードに「性格」のリンクで接続されるノードが、「責任感強い」であるか、「好奇心旺盛」であるか、等を予測することが可能である。
【0039】
〔例示的実施形態2〕
本発明の第2の例示的実施形態に係る採用支援装置2の構成を図4に基づいて説明する。図4は、本例示的実施形態に係る採用支援装置2の構成を示すブロック図である。
【0040】
図示のように、採用支援装置2は、受付部201、グラフ生成部202、リンク予測部203、特定部204、相性判定部205、推奨部206、学習部207、推定部208、根拠生成部209、および出力部210を備えている。なお、採用支援装置2は、これらの構成要素に加え、ユーザの入力操作を受け付ける入力装置、採用支援装置2が出力するデータの出力装置、採用支援装置2が他の装置と通信するための通信装置等を備えていてもよい。出力装置の出力態様は任意であり、例えば表示出力であってもよいし、音声出力であってもよい。
【0041】
受付部201は、対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける。ここで、当該リクエストには、ユーザが配属先を決定したい対象人材に関する情報が含まれている。一例として、当該リクエストには、対象人材の氏名(又は人物ID)、年齢、性格、希望職種、又は希望配属先、及びスキル等が含まれるがこれに限定されない。例えば、当該リクエストには、対象人材の現在の職種及び現在の所属先が含まれる構成としてもよい。また、第1の例示的実施形態において例示した各種の要素が含まれていてもよい。
【0042】
グラフ生成部202は、受付部201が受け付けたリクエストを参照し、当該リクエストが示す、ユーザが配属先を決定したい対象人材に関する情報に基づいて、その対象人材をグラフで表した対象人材グラフを生成する。具体的には、グラフ生成部202は、対象人材のスキル又は職務経歴に関する複数のノードと、当該ノード間の関係性を示すリンクとを含む対象人材グラフを生成する。当該構成によれば、対象人材のスキルや職務経歴のみならず、それらの関係性についても考慮して、後述する推定部208によって配属先候補を推定することができる。なおグラフ生成部202による具体的な処理については後述する。
【0043】
リンク予測部203は、グラフ生成部202が生成した対象人材に関する複数のノードを含む対象人材グラフと、受入先グラフとを用いて、前記対象人材グラフ及び前記受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測により、前記受入先グラフに含まれる、前記受入先に所属する人材を示す人材ノードの中から、前記対象人材のグラフに含まれるノードにリンクする人材ノードを予測する。
【0044】
ここで、前記受入先グラフは、一例として、前記対象人材を受け入れる可能性のある受入先、前記複数の人物のそれぞれのスキル又は職務経歴に関する複数のノードと、当該ノード間の関係性を示すリンクとを含むグラフのことである。換言すれば、受入先グラフは、一又は複数の人物を、当該人物の所属先、スキル、職務履歴を表すノードと、ノード間の関係性を表すエッジで表したグラフである。受入先グラフは、ノードとノード間の関係性について学習済みのグラフであり、学習済みモデルである。受入先グラフを知識グラフと呼ぶこともできる。なお、一人の人物に対応するグラフを受入先グラフと呼んでもよいし、複数の人物に対応するグラフを受入先グラフと呼んでもよい。
【0045】
上記の構成によれば、受入先グラフの人材ノードの中から対象人材グラフに含まれるノードにリンクする人材ノードを予測し、予測した人材ノードに基づいて配属先候補を推定する。対象人材が受入先の何れの人材とどのように関連するかは対象人材の人事において有用であるから、上記の構成によれば、対象人材と関連する、受入先の人材を考慮した人事支援が実現される。
【0046】
特定部204は、受入先グラフに含まれる人材の中から、特定の人材と相性がよい人材である好相性人材を特定する。
【0047】
ここで、上述したリンク予測部203は、前記リンク予測により、受入先に所属する人材のうち、前記対象人材と類似する類似人材を予測する構成としてもよい。この構成の場合、特定部204は、一例として、受入先に所属する人材の中から、前記受入先グラフに含まれるノードおよびリンクが、前記類似人材と相性がよいことを示す人材である好相性人材を特定する。
【0048】
上記の構成によれば、対象人材と類似する類似人材を示す人材ノードを予測し、受入先グラフに含まれるノードおよびリンクが、類似人材と相性がよいことを示す好相性人材を特定する。類似人材と相性がよい好相性人材は、対象人材との相性もよい可能性が高い。
【0049】
つまり、上記の構成によれば、受入先に所属する人材の中から、対象人材との相性がよい可能性が高い好相性人材を特定することができる。したがって、上記の構成によれば、対象人材と受入先との相性を判断するために有用な判断材料を提供することが可能になる。
【0050】
或いは特定部204は、受入先グラフに含まれる人材の中から、特定の人材と相性が悪い人材を特定してもよい。
【0051】
上記の構成によれば、対象人材と類似する類似人材を示す人材ノードを予測し、受入先グラフに含まれるノードおよびリンクが、類似人材と相性が悪い人材を特定する。類似人材と相性が悪い人材は、対象人材との相性も悪い可能性が高い。
【0052】
つまり、上記の構成によれば、受入先に所属する人材の中から、対象人材との相性が悪い可能性が高い人材を特定することができる。したがって、上記の構成によれば、対象人材と受入先との相性を判断するために有用な判断材料を提供することが可能になる。
【0053】
相性判定部205は、受入先に所属する各人材と、特定部204が特定した好相性人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、前記対象人材と前記受入先との相性を判定する。
【0054】
好相性人材と類似した人材が所属している受入先は、対象人材と相性がよい可能性が高い。そこで、上記の構成によれば、受入先に所属する各人材と好相性人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、対象人材と受入先との相性を判定する。これにより、対象人材と受入先との相性を的確に判定することができる。
【0055】
或いは相性判定部205は、受入先に所属する各人材と、特定部204が特定した相性が悪い人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、前記対象人材と前記受入先との相性を判定してもよい。
【0056】
前記相性が悪い人材と類似した人材が所属している受入先は、対象人材と相性が悪い可能性が高い。そこで、上記の構成によれば、受入先に所属する各人材と、前記相性が悪い人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、対象人材と受入先との相性を判定する。これにより、対象人材と受入先との相性を的確に判定することができる。
【0057】
また、相性判定部205は、受入先に含まれる複数の部門のうち、特定部204が特定した好相性人材が所属する部門を特定し、当該部門に所属する各人材と、前記好相性人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、当該部門と前記対象人材との相性を判定する構成としてもよい。
【0058】
好相性人材が所属している部門は対象人材と相性がよい可能性が高く、その部門に好相性人材と類似した人材が所属していれば、なお相性がよい可能性が高い。そこで、上記の構成によれば、好相性人材が所属する部門を特定し、その部門に所属する各人材と、好相性人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、その部門と対象人材との相性を判定する。これにより、対象人材と受入先の部門との相性を的確に判定することができる。
【0059】
或いは相性判定部205は、受入先に含まれる複数の部門のうち、特定部204が特定した相性の悪い人材が所属する部門を特定し、当該部門に所属する各人材と、前記相性が悪い人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、当該部門と前記対象人材との相性を判定する構成としてもよい。
【0060】
前記相性が悪い人材が所属している部門は対象人材と相性が悪い可能性が高く、その部門に前記相性が悪い人材と類似した人材が所属していれば、なお相性が悪い可能性が高い。そこで、上記の構成によれば、前記相性が悪い人材が所属する部門を特定し、その部門に所属する各人材と、前記相性が悪い人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、その部門と対象人材との相性を判定する。これにより、対象人材と受入先の部門との相性を的確に判定することができる。
【0061】
推奨部206は、リンク予測部203、特定部204、及び相性判定部205の少なくとも何れかによる処理の結果を参照し、複数の対象人材のそれぞれについて、当該対象人材の受入先として推奨される部門を決定する。
【0062】
ここで、上述の相性判定部205は、複数の前記対象人材のそれぞれと、複数の前記部門のそれぞれとの相性を判定する構成としてもよい。この構成の場合、推奨部206は、一例として、相性判定部205による相性の判定結果に基づき、複数の前記対象人材のそれぞれについて、当該対象人材の受入先として推奨される部門を決定する。
【0063】
上記の構成によれば、複数の対象人材のそれぞれと、複数の部門のそれぞれとの相性を判定し、その判定結果に基づいて、複数の対象人材のそれぞれについて受入先として推奨される部門を決定する。これにより、各部門と各対象人材との相性を考慮した受入先部門を推奨することができる。
【0064】
なお、推奨部206による処理は上記の例に限られない。例えば、推奨部206は、特定部204が特定した好相性人材の所属先を、対象人材の受入先として推奨する構成としてもよい。
【0065】
学習部207は、既存社員である複数の人物に関する各種情報を基に、受入先グラフに含まれる各ノード間の関係性を学習して、学習済みの受入先グラフを生成する。なお、特に断らない場合、受入先グラフは学習部207による学習済みのものを指す。また、学習済みの受入先グラフを採用支援装置2に読み込ませてもよく、この場合、学習部207を省略してもよい。
【0066】
推定部208は、学習済モデルと、受付部201が受け付けた対象人材の配属先に関するリクエストとに基づき、当該対象人材リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する構成である。ここで、当該学習済モデルは、複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルである。
【0067】
本例示的実施形態では、一例として、前記学習済みモデルは、前記対象人材を受け入れる可能性のある受入先、前記複数の人物のそれぞれのスキル又は職務経歴に関する複数のノードと、当該ノード間の関係性を示すリンクとを含むグラフ、すなわち、上述した受入先グラフである。
【0068】
上記の構成によれば、受入先に関する様々な情報を考慮して、受付部201が受け付けたリクエストに適合する対象人材の配属先候補を推定することが可能になる。したがって、上記の構成によれば、受入先に関する様々な情報を考慮して対象人材の人事支援を行うことが可能になるという効果が得られる。
【0069】
また、推定部208は、上述した処理によりリンク予測部203が予測したノードに基づき、受付部201が受け付けたリクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定してもよい。また、推定部208は、推奨部206による判定結果を参照して、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先を推定してもよい。
【0070】
根拠生成部209は、推定部208による推定の根拠を示す根拠情報を生成する。根拠情報の生成方法としては様々な手法を適用することができる。根拠情報の生成方法については後述する。
【0071】
出力部210は、上述のように、推定部208が推定する配属先候補を示す情報等、採用支援装置2が生成する様々な情報を出力する。情報の出力先は任意であり、例えば上述のように採用支援装置2が出力装置を備えている場合にはその出力装置に出力すればよい。また、例えば、採用支援装置2の外部の出力装置に出力してもよい。
【0072】
(対象人材グラフの生成方法)
図5は、グラフ生成部202による対象人材グラフの生成方法例を示す模式図である。グラフ生成部202は、まず、受付部201が受け付けたリクエストを参照し、当該リクエストが示す、ユーザが配属先を決定したい対象人材(応募者)に関する情報を特定する。
【0073】
図5は、当該リクエストに、
・性格:責任感が強い
・年齢:30代
・スキル:プロジェクト管理
・希望職種:事業企画
という情報が含まれていた場合に、グラフ生成部202が生成する対象人材グラフを示ししている。グラフ生成部202が生成する対象人材グラフに含まれるノードの種類は、図示したものに限られず、上述した様々は種類のノードを含むことができる。
【0074】
(類似人材の特定、好相性人材の特定、部門と対象人材との相性の判定に関する処理例1)
図6及び図7は、リンク予測部203による類似人材の特定方法、特定部204による好相性人材の特定方法、相性判定部205による相性判定方法に関する第1の処理例を説明するための図である。
【0075】
図6には、既存社員A~Cを、当該既存社員の性格、年齢、スキル、所属先、職務履歴を表すノードと、ノード間の関係性を表すリンクで表した受入先グラフを示している。例えば、「既存社員A」のノードと「責任感強い」のノードは「性格」を示すエッジで結ばれており、これにより、既存社員Aが責任感強いという性格を有していることが表現されている。
【0076】
なお、図6に示す受入先グラフには、既存社員A~Cという複数の既存社員のノードが含まれているが、1つの既存社員に関するノードのみからなるグラフを受入先グラフと呼んでもよい。この場合、リンク予測部203は、数の既存社員のそれぞれに対応する複数の受入先グラフを用いて類似人材を特定する。
【0077】
このような受入先グラフは、各既存社員の性格、年齢、スキル、所属先、職務履歴から生成することができる。また、受入先グラフに示される性格、年齢、スキル、及び職務履歴と、所属先との関係を学習しておくことにより、対象人材の性格、年齢、スキル、及び希望職種等から、その対象人材に適した所属先を推論することが可能になる。
【0078】
また、図6には、対象人材(応募者)を、当該対象人材の性格、年齢、スキル、又は希望職種を表すノードと、ノード間の関係性を表すエッジ(リンク)で表した対象人材グラフについても示している。より詳細には、図6に示す対象人材グラフには、図5と同様に、対象人材が「責任感強い」という性格を有することを示すノード及びリンクと、対象人材が「30代」という年齢を有することを示すノード及びリンクと、対象人材が「プロジェクト管理」というスキルを有することを示すノード及びリンクと、対象人材が「事業企画」という希望職種を有していることを示すノード及びリンクとが含まれている。上述のように、対象人材グラフは、グラフ生成部202によって生成される。
【0079】
リンク予測部203は、このようにして生成された対象人材グラフと受入先グラフとを用いることにより、対象人材グラフ及び受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測を実行する。リンク予測部203は、当該リンク予測を実行することによって、一例として、受入先グラフに含まれる、前記受入先に所属する人材を示す人材ノードの中から、前記対象人材のグラフに含まれるノードにリンクする人材ノードを予測する。
【0080】
例えば、図6に破線で示すように、対象人材グラフにおける「責任感強い」のノードと、既存社員Aにおける「責任感強い」のノードとの間は、リンクで繋がっていない。リンク予測部203は、リンク予測を行うことにより、これらのノード間の関係性が「同一」である確率を予測することができる。そして、リンク予測部203は、予測した確率に基づいて、対象人材グラフに含まれるノードにリンクする既存社員グラフのノードを特定することができる。例えば、リンク予測部203は、予測した確率値が閾値以上となった、既存社員グラフのノードを、対象人材グラフのノードにリンクするノードであると特定してもよい。
【0081】
また、リンク予測部203は、予め設定された条件、あるいはユーザが設定した条件に適合するノードを含む既存社員グラフに含まれるノードの中から、対象人材グラフに含まれるノードにリンクするノードを予測することも可能である。
【0082】
例えば、リンク予測部203は、所定の性格やスキルに適合するノードを含む既存社員グラフに含まれるノードの中から、前記対象人材のグラフに含まれるノードにリンクするノードを予測することも可能である。
【0083】
また、リンク予測部203は、対象人材グラフと受入先グラフとを用いることにより、対象人材と所定の関係性を有する既存社員を特定することもできる。例えば、対象人材と類似した既存社員を特定することが可能である他、対象人材と非類似の既存社員、対象人材と同じ分類に属する既存社員、対象人材と性格に共通性がある既存社員等を特定することも可能である。
【0084】
上記の特定は、対象人材グラフ及び受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測により実現できる。図7は、当該リンク予測を説明するための図である。図7には、図6と同様に、対象人材(応募者)グラフ、及び、既存社員A~Cのグラフを含む受入先グラフが示されている。図7に破線で示すように、対象人材グラフにおける「応募者」のノードと、受入先グラフにおける「既存社員A」のノードとの間はリンクで繋がっていない。
【0085】
リンク予測部203は、リンク予測を行うことにより、これらのノード間の関係性が「類似」である確率を予測することができる。また、リンク予測部203は、同様にして「応募者」のノードと、受入先グラフに含まれる既存社員BやCのノードとの間の関係性が「類似」である確率を予測することができる。そして、リンク予測部203は、予測した確率に基づいて類似人材を特定することができる。例えば、リンク予測部203は、予測した確率値が閾値以上となった既存社員を類似人材と特定してもよい。図7に示す例では、リンク予測部203は、既存社員Aを、応募者と類似した類似人材として特定している。
【0086】
また、リンク予測部203は、予め設定された条件、あるいはユーザが設定した条件に適合する既存社員を、対象人材と所定の関係性を有する既存社員として特定することもできる。例えば、性格が少なくとも部分的に対象人材と共通する既存社員を類似人材として特定することや、スキルが少なくとも部分的に対象人材と共通する既存社員を類似人材として特定することも可能である。
【0087】
特定部204は、上記のようにして特定された類似人材のグラフを参照し、受入先に所属する人材の中から、受入先グラフに含まれるノードおよびリンクが、類似人材と相性がよいことを示す人材である好相性人材を特定する。
【0088】
図7に示す例では、特定部204は、類似人材である既存社員Aと既存社員Bとが親和性が高いことを特定している。この場合、特定部204は、既存社員Bを好相性人材として特定する。ここで、特定部204による親和度の算出処理は、一例として、各人物の行動データを参照して行うことができる。例えば、既存社員Aの位置情報の履歴と既存社員Bの位置情報の履歴との類似度が所定の値以上である場合に、既存社員Aと既存社員Bとは親和性が高いと判断してもよい。あるいは、既存社員Aと既存社員Bの行動データが、両者が互いに主なコミュニケーション相手であることを示している場合には、既存社員Aと既存社員Bとは親和性が高いと判断してもよい。
【0089】
相性判定部205は、受入先に所属する各人材と、前記好相性人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、前記対象人材と前記受入先との相性を判定する。
【0090】
リンク予測部203は、受入先グラフに含まれるある既存社員のノードと他の既存社員のノードとの間の関係性が「類似」である確率(類似度)を予測することができる。図7に示す例では、相性判定部205は、好相性人材である既存社員Bと既存社員Cとの類似度がxであると算出し、好相性人材である既存社員Bと既存社員Dとの類似度がyであると算出している。
【0091】
相性判定部205は、リンク予測部203が予測した類似度に基づいて、対象人材と受入先との相性を判定する。例えば、好相性人材である既存社員Bとの類似度が閾値以上である既存社員が属する所属先を、相性のよい受入先であると判定し、好相性人材である既存社員Bとの類似度が閾値未満である既存社員が属する所属先を、相性の悪い受入先であると判定してもよい。
【0092】
好相性人材と類似した人材が所属している受入先は、対象人材と相性がよい可能性が高い。そこで、上記の構成によれば、受入先に所属する各人材と好相性人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、対象人材と受入先との相性を判定する。これにより、対象人材と受入先との相性を的確に判定することができる。
【0093】
(処理例1に係る処理の流れ)
採用支援装置2が実行する処理(採用支援方法)の流れを図8に基づいて説明する。図8は、採用支援装置2が実行する処理であって、上述した処理例1に係る処理の流れを示すフロー図である。
【0094】
S201では、受付部201が、対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける。S201では、例えば、対象人材の年齢、性格、希望職種、及びスキル等を含むリクエストが受け付けられる。つまり、当該リクエストには、上述したように、一例として、対象人材の年齢、性格、希望職種、及びスキル等の少なくとも何れかが含まれる。
【0095】
S202では、グラフ生成部202が、S201で受け付けたリクエストを参照し、当該リクエストが示す、対象人材に関する情報に基づいて、その対象人材をグラフで表した対象人材グラフを生成する。例えば、S202では、対象人材の年齢、性格、希望職種、又はスキルを示すノードと、当該ノード間の関係性を示すリンクとを含む対象人材グラフを生成すればよい。
【0096】
S203では、リンク予測部203が、S202で生成された対象人材グラフに含まれるノードにリンクするノードを予測する。上述のように、このノードは、学習済みの受入先グラフと上記の対象人材グラフとを用いたリンク予測により予測する。
【0097】
S203では、リンク予測部203は、一例として、「対象人材」のノードに「性格」又は「スキル」のリンクで繋がるノードを予測すればよい。また、性格又はスキルを示すノードに繋がるノードを予測してもよい。例えば、スキルを示すノードに「資格」のリンクで繋がるノードを予測してもよい。これにより、対象人材の性格、スキルに関するより詳細なノードに繋がるノードを予測することもできる。
【0098】
S204では、特定部204が、受入先に所属する人材の中から、前記受入先グラフに含まれるノードおよびリンクが、前記類似人材と相性がよいことを示す人材である好相性人材を特定する。
【0099】
S205では、相性判定部205が、受入先に所属する各人材と、S204で特定された好相性人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、前記対象人材と前記受入先との相性を判定する。
【0100】
S206では、推定部208が、学習済モデルと、S201で受け付けられた対象人材の配属先に関するリクエストとに基づき、当該リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する。
【0101】
本S206において、推定部208は、S205における相性判定部205による判定結果を参照し、相性の度合いが所定以上である受入先を、前記リクエストに適合する配属先候補として推定してもよい。
【0102】
S207おいて、根拠生成部209は、推定部208による推定の根拠を示す根拠情報を生成する。具体的には、対象人材の属性とS206で推定部208が推定した配属先候補に所属する人物の属性との類似度を含む根拠情報を生成してもよい。
【0103】
S208おいて、出力部210は、S206で推定された配属先候補を出力する。出力部210は、S206で推定された配属先候補と共に、S207で生成された根拠情報を出力する構成としてもよい。これにより、図8の処理は終了する。
【0104】
なお、S205の処理を省略し、S204で特定した好相性人物の所属先を、対象人材の配属先候補と推定してもよい。また、リンク予測部203は、対象人材グラフと受入先グラフとを用いたリンク予測により、対象人材の配属先候補を直接予測することも可能である。これは、類似人材や好相性人材を特定する工程を経なくとも、受入先グラフの学習時に、人材間の類似性や相性を考慮して、人材とその人材と相性のよい受入先との関係が学習されるためである。この場合、S204~S205は省略される。
【0105】
(類似人材の特定、好相性人材の特定、部門と対象人材との相性の判定、及び推奨される部門の決定に関する処理例2)
図9は、リンク予測部203による類似人材の特定方法、特定部204による好相性人材の特定方法、相性判定部205による相性判定方法に関する第2の処理例を説明するための図である。
【0106】
図9には、既存社員A1~A3、既存社員B1~B3、既存社員C1~C3について、所属先を示すノードと、ノード間の関係性を表すリンクとを含む受入先グラフを示している。また、図9に示す受入先グラフには、既存社員Aを示すノードも示されている。図9に示す例では、既存社員A1~A3は、営業部に所属しており、既存社員B1~B3は企画部に所属しており、既存社員C1~C3は製造部に所属していることが表現されている。
【0107】
なお、図9に示す既存社員A、既存社員A1~A3、既存社員B1~B3、既存社員C1~C3は、その他のノードの間にもリンクが存在しているが、図9では図示を省略している。
【0108】
また、図9に示す受入先グラフには、既存社員A1~C3という複数の既存社員のノードが含まれているが、1つの既存社員に関するノードのみからなるグラフを受入先グラフと呼んでもよい。この場合、リンク予測部203は、複数の既存社員のそれぞれに対応する複数の受入先グラフを用いて類似人材を特定する。
【0109】
また、図9には、対象人材(応募者)を、図5及び図7と同様に、当該対象人材の性格、年齢、スキル、又は希望職種を表すノードと、ノード間の関係性を表すエッジ(リンク)で表した対象人材グラフについても示している。
【0110】
リンク予測部203は、図9に示す例においても、対象人材グラフと受入先グラフとを用いることにより、対象人材と所定の関係性を有する既存社員を特定することができる。また、上記の特定は、対象人材グラフ及び受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測により実現できる。例えば、図9に破線で示すように、対象人材グラフにおける「応募者」のノードと、受入先グラフにおける「既存社員A」のノードとの間はリンクで繋がっていない。
【0111】
リンク予測部203は、リンク予測を行うことにより、これらのノード間の関係性が「類似」である確率を予測することができる。また、リンク予測部203は、同様にして「応募者」のノードと、受入先グラフに含まれる既存社員A1~A3、B1~B3及びC1~C3のノードとの間の関係性が「類似」である確率を予測することができる。そして、リンク予測部203は、予測した確率に基づいて類似人材を特定することができる。例えば、リンク予測部203は、予測した確率値が閾値以上となった既存社員を類似人材と特定してもよい。
【0112】
また、リンク予測部203は、図9に示す例においても、予め設定された条件、あるいはユーザが設定した条件に適合する既存社員を、対象人材と所定の関係性を有する既存社員として特定することもできる。例えば、性格が少なくとも部分的に対象人材と共通する既存社員を類似人材として特定することや、スキルが少なくとも部分的に対象人材と共通する既存社員を類似人材として特定することも可能である。
【0113】
特定部204は、上記のようにして特定された類似人材のグラフを参照し、受入先に所属する人材の中から、受入先グラフに含まれるノードおよびリンクが、類似人材と相性がよいことを示す人材である好相性人材を特定する。
【0114】
図9に示す例では、特定部204は、類似人材である既存社員Aと、既存社員A1~A3とが親和性が高いことを特定している。この場合、特定部204は、既存社員A1~A3を好相性人材として特定する。ここで、特定部204による親和度の算出処理は、一例として、処理例1で説明したように各人物の行動データを参照して行うことができる。
【0115】
相性判定部205は、受入先に含まれる複数の部門のうち、特定部204が特定した好相性人材が所属する部門を特定し、当該部門に所属する各人材と、前記好相性人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、当該部門と前記対象人材との相性を判定する。
【0116】
図9に示す例では、リンク予測部203は、好相性人材である既存社員A1と、所属先が同じ(営業部)である既存社員A2及びA3との類似度を算出する。そして、相性判定部205は、既存社員A1とA2との類似度、及び既存社員A1とA3との類似度に応じて当該部門(営業部)と前記対象人材との相性を判定する。
【0117】
例えば、既存社員A1とA2との類似度及び既存社員A1とA3との類似度の双方が所定の閾値以上である場合に、営業部と対象人材との相性がよいと判定すればよい。既存社員B1~B3、及び既存社員C1~C3についても同様の処理を行うことによって、企画部と対象人材との相性、及び製造部と対象人材との相性を判定することができる。
【0118】
なお、図9に示す例では、対象人材を1人のみ示しているが、リンク予測部203、特定部204、及び相性判定部205は、上述した処理と同様の処理により、複数の対象人材と、複数の部門との相性を判定することができる。
【0119】
好相性人材が所属している部門は対象人材と相性がよい可能性が高く、その部門に好相性人材と類似した人材が所属していれば、なお相性がよい可能性が高い。そこで、上記の構成によれば、好相性人材が所属する部門を特定し、その部門に所属する各人材と、好相性人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、その部門と対象人材との相性を判定する。これにより、対象人材と受入先の部門との相性を的確に判定することができる。
【0120】
推奨部206は、相性判定部205による相性の判定結果に基づき、複数の対象人材のそれぞれについて、当該対象人材の受入先として推奨される部門を決定する。図10は、推奨部206による処理を説明するための図である。
【0121】
図10に示す例では、リンク予測部203、特定部204、及び相性判定部205による処理によって、応募者1と営業部との相性の度合いが0.8であり、応募者1と企画部との相性の度合いが0.7であり、応募者1と製造部との相性の度合いが0.5であると推定されている。また、図10では省略しているが、他の応募者と各部門との間の相性の度合いについても推定されている。
【0122】
このような相性の推定結果を参照して、推奨部206は、応募者1~3のそれぞれについて、当該応募者の受入先として推奨される部門を決定する。例えば、応募者1については、最も相性の度合いの大きい部門である営業部を、推奨される部門として決定する。
【0123】
なお、推奨部206は、ユーザによって指定された制約(各部門に配属する人数等)を満たしつつ、合計の親和度(相性の度合い)が最大となる配属先を決定してもよい。この際には、MaxSAT(Maximum SATisfiability)等の最適化ソルバを用いてもよい。
【0124】
上記の構成によれば、複数の対象人材のそれぞれと、複数の部門のそれぞれとの相性を判定し、その判定結果に基づいて、複数の対象人材のそれぞれについて受入先として推奨される部門を決定する。これにより、各部門と各対象人材との相性を考慮した受入先部門を推奨することができる。
【0125】
(処理例2に係る処理の流れ)
採用支援装置2が実行する処理(採用支援方法)の流れを図11に基づいて説明する。図11は、採用支援装置2が実行する処理であって、上述した処理例2に係る処理の流れを示すフロー図である。
【0126】
S201~S204は、図8に示したS201~S204と同様であるため説明を省略する。
【0127】
S201の後、S205aにおいて、相性判定部205は、受入先に含まれる複数の部門のうち、特定部204がS204で特定した好相性人材が所属する部門を特定し、当該部門に所属する各人材と、前記好相性人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、当該部門と前記対象人材との相性を判定する。
【0128】
S205aの後、S205bでは、推奨部206は、S205aにおける相性判定部205による相性の判定結果に基づき、複数の前記対象人材のそれぞれについて、当該対象人材の受入先として推奨される部門を決定する。
【0129】
S209の後、S206では、推定部208が、学習済モデルと、S201で受け付けられた対象人材の配属先に関するリクエストとに基づき、当該対象人材リクエストに適合する前記対象人材の配属先を推定する。
【0130】
本S206において、推定部208は、一例として、S205bで推奨部206が決定した推奨される部門を、受付部201が受け付けたリクエストに適合する前記対象人材の配属先候補として推定してもよい。
【0131】
S207おいて、根拠生成部209は、推定部208による推定の根拠を示す根拠情報を生成する。具体的には、対象人材の属性とS206で推定部208が推定した配属先候補に所属する人物の属性との類似度を含む根拠情報を生成してもよい。
【0132】
S208おいて、出力部210は、S206で推定された配属先候補を出力する。出力部210は、S206で推定された配属先候補と共に、S207で生成された根拠情報と共に出力する構成としてもよい。これにより、図11の処理は終了する。
【0133】
図12は、本処理例に係る出力部210が出力する推定結果の例を示す図である。図12に示すように、出力部210は、一例として、推定部208による推定結果である配属先候補と共に、相性判定部205の判定結果に基づいて算出した推奨度を提示する。
【0134】
(根拠情報の生成方法)
根拠生成部209による根拠情報の生成方法について説明する。上述のように、根拠情報の生成方法としては様々な手法を適用することができる。根拠生成部209は、一例として、対象人材の属性と前記推定手段が推定した前記配属先候補に所属する人物の属性との類似度を含む根拠情報を生成する。生成された根拠情報は、出力部210によって出力される。
【0135】
ここで、対象人材の属性には、年齢、性格、スキル等が含まれ得るが、これに限られない。一例として、対象人材の属性には、〔グラフと学習について〕において説明したノードの各要素の何れかが含まれる構成としてもよい。
【0136】
根拠生成部209は、一例として、「対象人材の性格と、営業部に所属する既存社員Aの性格との類似度が0.8です。」のような根拠情報を生成することができる。
【0137】
上記の構成によれば、前記対象人材の属性と推定した配属先候補に所属する人物の属性との類似度を含む根拠情報を生成する。これにより、ユーザは、その根拠を踏まえて配属先候補を参照することができる。特に、人事においては透明性の担保が重要であるから、根拠情報を生成することができる点は大きな利点である。
【0138】
また、根拠生成部209は、リンク予測部203によるリンク予測の結果に基づいて根拠情報を生成してもよい。この場合、リンク予測部203は、対象人材が有する属性を示すノードを含む受入先グラフと対象人材グラフとを用いて、対象人材グラフに含まれるノードに、当該属性を示すノードがリンクする確率を予測する。そして、根拠生成部209は、予測された上記確率に応じた根拠情報を生成する。
【0139】
根拠生成部209は、一例として、「対象人材のスキルと、営業部に所属する既存社員Aのスキルとがリンクする確率が0.9です。」のような根拠情報を生成することができる。
【0140】
上記のような構成によってもユーザは、その根拠を踏まえて配属先候補を参照することができる。
【0141】
(リンク予測の結果に対する根拠生成について)
根拠生成部209は、対象人材グラフと受入先グラフとを解析することにより根拠情報を生成することもできる。以下では、対象人材グラフと受入先グラフとを解析することにより根拠情報を生成する方法を説明する。
【0142】
例えば、根拠生成部209は、OWA(Open-world assumption:開世界仮説)に基づくPCA(Principal Component Analysis:主成分分析)信頼度を利用して、対象人材グラフと受入先グラフから、1又は複数のルールをマイニングしてもよい。そして、根拠生成部209は、マイニングした1又は複数のルールを用いて根拠情報を生成してもよい。ルールのマイニングには、例えば下記の文献に記載されている手法を適用することもできる。
【0143】
Luis Galarraga et. al, “Fast rule mining in ontological knowledge bases with AMIE +”, The VLDB Journal (2015) 24:707-730
一例として、根拠生成部209による処理の対象となるルールを、Head r(x, y)、及びBody { B1 , . . . , Bn }を用いて、
【数1】
によって表現する。当該ルールは、ベクトル表現を用いて
【数2】
と表記することもある。ここで、Head r(x, y)のことをatomとも呼ぶ。
【0144】
根拠生成部209は、マイニング処理の条件として、
・Connected:ルール内の全ての値(変数、エンティティ)が異なるatom間で共有されていること
・Closed:ルール内の全ての変数は、2回以上出てくること
・Not reflexive:r(x, x)のような、再帰的(reflective)なatomを含むルールは、マイニングしない
という条件を課したうえでマイニング処理を行う。
【0145】
また、根拠生成部209は、
【数3】
によって定義されるhc(head coverage)を用いると共に、
【数4】
によって定義されるPCA信頼度を用いてマイニング処理を実行してもよい。PCA信頼度を用いることによって、標準的な信頼度を用いる場合に比べて、精度の高いルールをマイニングすることが可能である。したがって、上記の構成を用いることによって、根拠生成部209は、信頼性の高い根拠情報を生成することが可能である。
【0146】
例えば、根拠生成部209が、「性格が共通する」又は「スキルが共通する」という条件を満たす2つの人物において、「一方の人物に含まれる要素は、他方の人物に適用できる」というルールをマイニングしていたとする。この場合、リンク予測部203が、ある既存社員に含まれる要素を、対象人材に含まれる要素として予測したときには、根拠生成部209は、この予測の根拠として、ある既存社員と対象人材とは「性格が共通する」又は「スキルが共通する」ことを示す根拠情報を生成すればよい。
【0147】
上記のような根拠情報を提示することにより、ユーザは、その根拠を踏まえて配属先候補を参照することができる。
【0148】
〔例示的実施形態3〕
本発明の第3の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態に係る採用支援装置の構成は、例示的実施形態2に係る採用支援装置2の構成と同様の構成である。ただし、本例示的実施形態に係る採用支援装置では、リンク予測部203及び推定部208による処理が、例示的実施形態2に係る採用支援装置2とは異なる。
【0149】
本例示的実施形態に係るリンク予測部203は、前記対象人材を受け入れる可能性のある受入先、前記複数の人物のそれぞれのスキル又は職務経歴に関する複数のノード及び当該ノード間の関係性を示すリンクを含む受入先グラフと、対象人材に関する複数のノードを含む対象人材グラフとを用いて、前記対象人材グラフ及び前記受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測により、前記対象人材と所定の関係性を有する前記受入先の人材または部門を特定する。
【0150】
そして、推定部208は、リンク予測部203が特定した前記受入先の人材または部門に基づき、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する。
【0151】
上記の構成によれば、対象人材と所定の関係性を有する受入先の人材または部門を特定し、その人材または部門に基づき、受付部201が受け付けたリクエストに適合する対象人材の配属先候補を推定する。対象人材と所定の関係性を有する人材や部門に関する情報は対象人材の人事において有用な情報であるから、上記の構成によれば、対象人材の人事支援を的確に行うことができる。
【0152】
以下では、本例示的実施形態に係るリンク予測部203及び推定部208による処理について、図13及び図14を参照して説明する。
【0153】
(関係性の推定、及び配属先候補の推定に関する処理例1)
図13は、本例示的実施形態に係るリンク予測部203及び推定部208による、対象人材と既存社員との関係性の推定、及び当該推定された関係性に基づく配属先候補の推定に関する処理例1を説明するための図である。
【0154】
図13には、既存社員A~Cを当該既存社員の性格、年齢、スキル、所属先、職務履歴を表すノードと、ノード間の関係性を表すエッジ(リンク)で表した受入先グラフを示している。
【0155】
なお、図13に示す受入先グラフには、既存社員A~Cという複数の既存社員のノードが含まれているが、1つの既存社員に関するノードのみからなるグラフを受入先グラフと呼んでもよい。
【0156】
このような受入先グラフは、例示的実施形態2と同様に、各既存社員の性格、年齢、スキル、所属先、職務履歴から生成することができる。また、受入先グラフに示される性格、年齢、スキル、及び職務履歴と、所属先との関係を学習しておくことにより、対象人材の性格、年齢、スキル、及び希望職種と、既存社員の所属先との関係を推論することが可能になる。
【0157】
更に、本例示的実施形態では、受入先グラフに含まれる既存社員のノード間の関係についても学習しておくことにより、人物間の関係性についても推論することが可能である。一例として、図13に示す例では、既存社員Aのノードと、既存社員Bのノードとが、「既存社員Bが既存社員Aにとってよい部下である」ことを示すリンクで繋がれており、既存社員Aのノードと既存社員Cのノードとが、「既存社員Aは既存社員Cのことを尊敬している」ことを示すリンクで繋がれている。
【0158】
受入先グラフにおいてこのような既存社員間の関係性を学習しておくことは、一例として、各既存社員の評価履歴、面談履歴、及び行動データ等を示すノードを参照した学習によって可能となるがこれは本例示的実施形態を限定するものではない。
【0159】
また、図6には、対象人材(応募者)を、当該対象人材の性格、年齢、スキル、又は希望職種を表すノードと、ノード間の関係性を表すエッジ(リンク)で表した対象人材グラフについても示している。
【0160】
リンク予測部203は、このようにして生成された対象人材グラフと受入先グラフとを用いることにより、対象人材グラフ及び受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測を実行する。そして、リンク予測部203は、当該リンク予測を実行することによって、一例として、前記対象人材と所定の関係性を有する前記受入先の人材を特定する。
【0161】
例えば、図13に示すように、対象人材(応募者)のノードと、既存社員Aのノードとの間は、リンクで繋がっていない。リンク予測部203は、リンク予測を行うことにより、これらのノード間の関係性が所定の関係性である確率を予測することができる。例えば、リンク予測部203は、これらノード間の関係性が「応募者が既存社員Aにとってよい部下である」確率や、「応募者は既存社員Aのことを尊敬している」確率を予測することができる。
【0162】
そして、リンク予測部203は、ある関係性に関して予測した確率値が閾値以上となった、既存社員のノードを、対象人材のノードに当該関係性でリンクするノードであると特定してもよい。
【0163】
推定部208は、このようにしてリンク予測部203が特定した受入先の人材に基づき、受付部201が受け付けたリクエストに適合する対象人材の配属先候補を推定する。一例として、推定部208は、対象人材との関係性が良好である(例えば、「応募者が既存社員Aにとってよい部下である」や「応募者は既存社員Aのことを尊敬している」)と予測された既存社員の属する所属先を、前記リクエストに適合する対象人材の配属先候補として推定してもよい。
【0164】
なお、リンク予測部203は、予め設定された条件、あるいはユーザが設定した条件に適合するノードを含む既存社員グラフに含まれるノードの中から、対象人材のノードに所定の関係性でリンクする既存社員を予測することも可能である。
【0165】
また、「所定の関係性」は、上述の例に限られない。リンク予測部203は、対象人材グラフと受入先グラフとを用いることにより、対象人材と類似した既存社員を特定することもできるし、対象人材と非類似の既存社員、対象人材と同じ分類に属する既存社員、対象人材と性格に共通性がある既存社員等を特定することも可能である。
【0166】
(関係性の推定、及び配属先候補の推定に関する処理例1)
図14は、本例示的実施形態に係るリンク予測部203及び推定部208による、対象人材と既存社員との関係性の推定、及び当該推定された関係性に基づく配属先候補の推定に関する処理例1を説明するための図である。
【0167】
図14には、既存社員A~Cを当該既存社員の性格、年齢、スキル、所属先、職務履歴を表すノードと、ノード間の関係性を表すエッジ(リンク)で表した受入先グラフを示している。
【0168】
なお、図14に示す受入先グラフには、既存社員A~Cという複数の既存社員のノードが含まれているが、1つの既存社員に関するノードのみからなるグラフを受入先グラフと呼んでもよい。
【0169】
このような受入先グラフは、例示的実施形態2と同様に、各既存社員の性格、年齢、スキル、所属先、職務履歴から生成することができる。また、受入先グラフに示される性格、年齢、スキル、及び職務履歴と、所属先との関係を学習しておくことにより、対象人材の性格、年齢、スキル、及び希望職種に応じた、対象人材に適した所属先を推論することが可能になる。
【0170】
更に、本例示的実施形態では、受入先グラフに含まれる既存社員のノードと、所属先との関係を学習しておくことにより、人物と所属先との関係を推論することが可能である。
【0171】
また、図14には、対象人材(応募者)を、当該対象人材の性格、年齢、スキル、又は希望職種を表すノードと、ノード間の関係性を表すエッジ(リンク)で表した対象人材グラフについても示している。
【0172】
リンク予測部203は、このようにして生成された対象人材グラフと受入先グラフとを用いることにより、対象人材グラフ及び受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測を実行する。そして、リンク予測部203は、当該リンク予測を実行することによって、一例として、前記対象人材と所定の関係性を有する受入先の部門を特定する。
【0173】
例えば、図14に示すように、対象人材(応募者)のノードと、既存社員グラフA~Cにおける「所属先」のノードとの間は、リンクで繋がっていない。リンク予測部203は、リンク予測を行うことにより、これらのノード間の関係性が所定の関係性である確率を予測することができる。例えば、リンク予測部203は、これらノード間の関係性が良好である確率を予測することができる。
【0174】
そして、リンク予測部203は、ある関係性に関して予測した確率値が閾値以上となった、既存社員のノードを、対象人材のノードに当該関係性でリンクするノードであると特定してもよい。
【0175】
推定部208は、このようにしてリンク予測203が特定した受入先の部門に基づき、受付部201が受け付けたリクエストに適合する対象人材の配属先候補を推定する。一例として、推定部208は、対象人材との関係性が良好であると予測された受入先の部門を、前記リクエストに適合する対象人材の配属先候補として推定してもよい。
【0176】
〔例示的実施形態4〕
本発明の第4の例示的実施形態に係る採用支援装置4について、図面を参照して説明する。採用支援装置4は、対象人材の人事支援を行う。人事支援方法として、ユーザが望んでいる業務特性を対象人材が有しているか否かを判定する場合がある。採用支援装置4は、このような場合の人事支援を行う。
【0177】
(概要)
図15は、本例示的実施形態に係る採用支援方法の概要を示す図である。本例示的実施形態においては、例示的実施形態2と同様に、対象人材グラフと受入先グラフとを用いてリンク予測を行う。図15の上段左端に示す対象人材グラフには、対象人材が、「責任感強い」という性格を有すること等を示すノード及びリンクが含まれている。
【0178】
また、図15の上段右端に示す受入先グラフには、既存社員Aが「責任感強い」という性格を有し、その業務特性に「新規事業に貢献」が含まることを示すノード及びリンクが含まれている。同様に、図14の下段右端に示す受入先グラフには、既存社員Bが「好奇心旺盛」という性格を有し、その業務特性に「海外勤務に適正」が含まれることを示すノード及びリンクが含まれている。
【0179】
上記のような各種の既存社員についての受入先グラフを学習することにより、どのような人物がどのような業務特性を有しそうか、をリンク予測することが可能になる。つまり、本例示的実施形態に係る採用支援方法では、対象人材グラフを生成し、その対象人材グラフに示される対象人材が、リクエストされた業務特定を有する確率をリンク予測する。
【0180】
例えば、図15の例では、上段左端に示す対象人材グラフの「応募者」のノードに「業務特性」のリンクで「新規事業に貢献」のノードが繋がる確率が70%と予測されている。このことから、この応募者は「新規事業に貢献」しそうな人材であるといえる。
【0181】
このように、本例示的実施形態に係る採用支援方法によれば、対象人材が所望の業務特性を有する確率を、ユーザに提示し、これにより人材の採用を支援することができる。
【0182】
(装置構成)
本発明の第4の例示的実施形態に係る採用支援装置4の構成を図16に基づいて説明する。図16は、本例示的実施形態に係る採用支援装置4の構成を示すブロック図である。
【0183】
図示のように、採用支援装置4は、受付部401、グラフ生成部402、リンク予測部403、推定部405、根拠生成部406、および出力部407を備えている。また、例示的実施形態2の採用支援装置2と同様に、採用支援装置4は、これらの構成要素に加え、ユーザの入力操作を受け付ける入力装置、採用支援装置4が出力するデータの出力装置、採用支援装置4が他の装置と通信するための通信装置等を備えていてもよい。
【0184】
受付部401は、対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける。ここで、当該リクエストには、ユーザが配属先を決定したい対象人材に関する情報が含まれている。一例として、当該リクエストには、対象人材の氏名(又は人物ID)、年齢、性格、希望職種、又は希望配属先、及び性状等が含まれるがこれに限定されない。
【0185】
グラフ生成部402は、受付部401が受け付けたリクエストを参照し、当該リクエストが示す、ユーザが配属先を決定したい対象人材に関する情報に基づいて、その対象人材をグラフで表した対象人材グラフを生成する。具体的には、グラフ生成部402は、対象人材のスキル、性状、又は職務経歴に関する複数のノードと、当該ノード間の関係性を示すリンクとを含む対象人材グラフを生成する。
【0186】
リンク予測部403は、グラフ生成部202が生成した対象人材に関する複数のノードを含む対象人材グラフと、受入先グラフとを用いて、前記対象人材グラフ及び前記受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測により、対象人材グラフに含まれるノードに所定の性状を示すノードがリンクする確率を算出する。ここで、所定の性状とは、受付部401が受け付けたリクエストに適合する性状のことであり、一例として、上述した業務特性を含む。
【0187】
推定部405は、リンク予測部403が算出した確率に基づいて、リクエストに適合する対象人材の配属先を推定する。つまり、推定部405は、学習済モデルと、受付部401が受け付けた対象人材の配属先に関するリクエストとに基づき、当該対象人材リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する。ここで、当該学習済モデルは、複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルである。推定部405は、リンク予測部403によるリンク予測の結果に基づいて上記の推定を行うことにより、学習済みモデルに基づく推定を行うことになる。
【0188】
根拠生成部406は、推定部405による推定の根拠を示す根拠情報を生成する。根拠生成部406は、例示的実施形態2の根拠生成部209と同様であるから、詳細な説明は繰り返さない。
【0189】
出力部407は、推定部405が推定する配属先候補を示す情報等、採用支援装置4が生成する様々な情報を出力する。例示的実施形態2の出力部210と同様、出力部407が出力する情報の出力先は特に限定されない。
【0190】
以上のように、採用支援装置4は、対象人材を受け入れる可能性のある受入先、複数の人物のそれぞれのスキル又は職務経歴に関する複数のノード及び当該ノード間の関係性を示すリンクを含む受入先グラフと、対象人材に関する複数のノードを含む対象人材グラフとを用いて、対象人材グラフ及び受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測により、対象人材グラフに含まれるノードに所定の性状を示すノードがリンクする確率を算出するリンク予測部403を備え、推定部405は、リンク予測部403が算出した前記確率に基づいて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する。
【0191】
上記の構成によれば、対象人材グラフに含まれるノードに所定の性状を示すノードがリンクする確率に基づいて応答情報を生成する。対象人材グラフに含まれるノードに所定の性状を示すノードがリンクする確率は、対象人材が所定の性状を有する可能性を示すものである。よって、上記の構成によれば、対象人材がどのような性状を有しそうか、という人事支援に有用な情報を提供ことができる。
【0192】
(処理の流れ)
次に、採用支援装置4が実行する処理(採用支援方法)の流れを図17に基づいて説明する。図17は、採用支援装置4が実行する処理の流れを示すフロー図である。
【0193】
S401では、受付部401が、対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける。ここで、当該リクエストには、ユーザが配属先を決定したい対象人材に関する情報が含まれている。一例として、当該リクエストには、対象人材の氏名(又は人物ID)、年齢、性格、希望職種、又は希望配属先、及び性状等が含まれるがこれに限定されない。
【0194】
S402では、グラフ生成部402が、S401で入力された情報に基づいて対象人材グラフを生成する。例えば、S401において、対象人材の性状を受け付けた場合、グラフ生成部402は、その性状を示す各ノードとリンクを含む対象人材グラフを生成すればよい。
【0195】
S403では、リンク予測部403が、S402で生成された対象人材に関する複数のノードを含む対象人材グラフと、受入先グラフとを用いて、前記対象人材グラフ及び前記受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測により、対象人材グラフに含まれるノードに所定の性状を示すノードがリンクする確率を算出する。
【0196】
S406では、推定部405が、S401で受け付けたリクエストに適合する対象人材の配属先候補を推定する。具体的には、推定部405は、S403で算出された確率に基づいて、リクエストに適合する対象人材の配属先を推定する。例えば、S403において対象人材が「新規事業に貢献」する確率が算出され、その確率が閾値以上であった場合には、推定部405は、新規事業に関連する配属先を、対象人材の配属先候補と推定してもよい。
【0197】
S407では、根拠生成部406が、S406における推定の根拠を示す根拠情報を生成する。具体的には、根拠生成部406は、対象人材の属性とS406で推定部405が推定した配属先候補に所属する人物の属性との類似度を含む根拠情報を生成してもよい。
【0198】
S408では、出力部407が、S406で推定された配属先を示す情報を出力する。また、この際に、出力部407は、S407で生成された根拠情報についても出力してもよい。これにより、図17に示す処理は終了する。
【0199】
なお、S402では、対象人材の所属先を含む対象人材グラフを生成してもよい。これにより、S406のリンク予測では、対象人材をその所属先に配属したときに、その対象人材が有するであろう性状を予測することができる。言い換えれば、対象人材を様々な所属先に配属した結果をシミュレートすることができる。この場合、所望の性状が得られる確率が最も高かった配属先を、対象人材の配属先候補として推定すればよい。
【0200】
〔変形例〕
上述のように、対象人材グラフと受入先グラフを用いれば、リンク予測によりその対処人材グラフにリンクし得る性状を予測することができる。また、対象人材の性状予測は、リンク予測以外の方法で行うこともできる。これについて図18に基づいて説明する。図18は、対象人材グラフと受入先グラフから算出した特徴量に基づいて対象人材の性状を予測する例を説明する図である。図18には、既存社員(人材)A~Cの既存社員グラフと、対象人材の対象人材グラフを示している。なお、これらのグラフに含まれるノード及びリンクは図示を省略している。
【0201】
ここで、既存社員グラフに含まれる各ノードの特徴量をそのノードに繋がるリンクに応じた重みを乗じて加算していくことにより、既存社員ごとの特徴量を算出することができる。したがって、算出した特徴量がその既存社員の性状に応じたものとなるように重みを更新するという学習を行っておけば、その重みを適用して算出した対象人材グラフの特徴量から対象人材の性状を予測することが可能になる。
【0202】
例えば、図18の例では、営業職に適正があることが分かっている人材Aの既存社員グラフから算出した特徴量が、特徴空間において「営業職に適正」という性状に対応する範囲内になるように学習されている。また、技術職に適正があることが分かっている人材B及び人材Cの既存社員グラフから算出した特徴量が、特徴空間において「技術職に適正」という性状に対応する範囲内になるように学習されている。
【0203】
この場合、図示のように、対象人材グラフから算出した特徴量が、「営業職に適正」という性状に対応する範囲内に含まれていれば、対象人材が「営業職に適正」という性状を有していると予測することができる。このような性状予測方法は、上述の各例示的実施形態における性状予測の方法の代替手法として適用することができる。
【0204】
〔ソフトウェアによる実現例〕
採用支援装置1,2,4(以下、「採用支援装置1等」という)の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0205】
後者の場合、採用支援装置1等は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図19に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを採用支援装置1等として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、採用支援装置1等の各機能が実現される。
【0206】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0207】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0208】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0209】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0210】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0211】
(付記1)
対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける受付手段と、複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する推定手段と、前記推定手段が推定する前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力する出力手段と、を備える採用支援装置。
【0212】
上記の構成によれば、対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける。そして、複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する。これにより、受入先に関する様々な情報を考慮して、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定することが可能になる。したがって、上記の構成によれば、受入先に関する様々な情報を考慮して対象人材の人事支援を好適に行うことが可能になる。
【0213】
(付記2)
前記推定の根拠として、前記対象人材の属性と前記推定手段が推定した前記配属先候補に所属する人物の属性との類似度を含む根拠情報を生成する根拠情報生成手段を備え、前記出力手段は、前記根拠情報をさらに出力する付記1に記載の採用支援装置。
【0214】
上記の構成によれば、前記対象人材の属性と推定した配属先候補に所属する人物の属性との類似度を含む根拠情報を生成する。これにより、ユーザは、その根拠を踏まえて配属先候補を参照することができる。特に、人事においては透明性の担保が重要であるから、根拠情報を生成することができる点は大きな利点である。
【0215】
(付記3)
前記学習済みモデルは、前記対象人材を受け入れる可能性のある受入先、前記複数の人物のそれぞれのスキル又は職務経歴に関する複数のノードと、当該ノード間の関係性を示すリンクとを含む受入先グラフである付記1または2に記載の採用支援装置。
【0216】
上記の構成によれば、受入先グラフの人材ノードの中から対象人材グラフに含まれるノードにリンクする人材ノードを予測し、予測した人材ノードに基づいて配属先候補を推定する。対象人材が受入先の何れの人材とどのように関連するかは対象人材の人事において有用であるから、上記の構成によれば、対象人材と関連する、受入先の人材を考慮した人事支援が実現される。
【0217】
(付記4)
前記対象人材に関する複数のノードを含む対象人材グラフと、前記受入先グラフとを用いて、前記対象人材グラフ及び前記受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測により、前記受入先グラフに含まれる、前記受入先に所属する人材を示す人材ノードの中から、前記対象人材のグラフに含まれるノードにリンクする人材ノードを予測するリンク予測手段を備え、前記推定手段は、前記リンク予測手段が予測した前記人材ノードに基づき、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する、付記3に記載の採用支援装置。
【0218】
上記の構成によれば、受入先グラフの人材ノードの中から対象人材グラフに含まれるノードにリンクする人材ノードを予測し、予測した人材ノードに基づいて配属先候補を推定する。対象人材が受入先の何れの人材とどのように関連するかは対象人材の人事において有用であるから、上記の構成によれば、対象人材と関連する、受入先の人材を考慮した人事支援が実現される。
【0219】
(付記5)
前記対象人材グラフは、前記対象人材のスキル又は職務経歴に関する複数のノードと、当該ノード間の関係性を示すリンクとを含む、付記4に記載の採用支援装置。
【0220】
上記の構成によれば、対象人材のスキルや職務経歴のみならず、それらの関係性についても考慮して配属先候補を推定することができる。
【0221】
(付記6)
前記リンク予測手段は、前記リンク予測により、前記受入先に所属する人材のうち、前記対象人材と類似する類似人材を予測し、前記受入先に所属する人材の中から、前記受入先グラフに含まれる前記ノードおよび前記リンクが、前記類似人材と相性がよいことを示す人材である好相性人材を特定する特定手段を備える、付記4又は5に記載の採用支援装置。
【0222】
上記の構成によれば、対象人材と類似する類似人材を示す人材ノードを予測し、受入先グラフに含まれるノードおよびリンクが、類似人材と相性がよいことを示す好相性人材を特定する。類似人材と相性がよい好相性人材は、対象人材との相性もよい可能性が高い。つまり、上記の構成によれば、受入先に所属する人材の中から、対象人材との相性がよい可能性が高い好相性人材を特定することができる。したがって、上記の構成によれば、対象人材と受入先との相性を判断するために有用な判断材料を提供することが可能になる。
【0223】
(付記7)
前記受入先に所属する各人材と、前記好相性人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、前記対象人材と前記受入先との相性を判定する相性判定手段を備える、付記6に記載の採用支援装置。
【0224】
好相性人材と類似した人材が所属している受入先は、対象人材と相性がよい可能性が高い。そこで、上記の構成によれば、受入先に所属する各人材と好相性人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、対象人材と受入先との相性を判定する。これにより、対象人材と受入先との相性を的確に判定することができる。
【0225】
(付記8)
前記受入先に含まれる複数の部門のうち、前記好相性人材が所属する部門を特定し、当該部門に所属する各人材と、前記好相性人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、当該部門と前記対象人材との相性を判定する相性判定手段を備える、付記6に記載の採用支援装置。
【0226】
好相性人材が所属している部門は対象人材と相性がよい可能性が高く、その部門に好相性人材と類似した人材が所属していれば、なお相性がよい可能性が高い。そこで、上記の構成によれば、好相性人材が所属する部門を特定し、その部門に所属する各人材と、好相性人材とが類似している程度を示す類似度に基づいて、その部門と対象人材との相性を判定する。これにより、対象人材と受入先の部門との相性を的確に判定することができる。
【0227】
(付記9)
前記相性判定手段は、複数の前記対象人材のそれぞれと、複数の前記部門のそれぞれとの相性を判定し、前記相性の判定結果に基づき、複数の前記対象人材のそれぞれについて、当該対象人材の受入先として推奨される部門を決定する推奨手段を備える、付記8に記載の採用支援装置。
【0228】
上記の構成によれば、複数の対象人材のそれぞれと、複数の部門のそれぞれとの相性を判定し、その判定結果に基づいて、複数の対象人材のそれぞれについて受入先として推奨される部門を決定する。これにより、各部門と各対象人材との相性を考慮した受入先部門を推奨することができる。
【0229】
(付記10)
前記対象人材を受け入れる可能性のある受入先、前記複数の人物のそれぞれのスキル又は職務経歴に関する複数のノード及び当該ノード間の関係性を示すリンクを含む受入先グラフと前記対象人材に関する複数のノードを含む対象人材グラフとを用いて、前記対象人材グラフ及び前記受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測により、前記対象人材と所定の関係性を有する前記受入先の人材または部門を特定するリンク予測手段を備え、前記推定手段は、前記リンク予測手段が特定した前記受入先の人材または部門に基づき、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する、付記1または2に記載の採用支援装置。
【0230】
上記の構成によれば、対象人材と所定の関係性を有する受入先の人材または部門を特定し、その人材または部門に基づき、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する。対象人材と所定の関係性を有する人材や部門に関する情報は対象人材の人事において有用な情報であるから、上記の構成によれば、対象人材の人事支援を的確に行うことができる。
【0231】
(付記11)
前記対象人材を受け入れる可能性のある受入先、前記複数の人物のそれぞれのスキル又は職務経歴に関する複数のノード及び当該ノード間の関係性を示すリンクを含む受入先グラフと、前記対象人材に関する複数のノードを含む対象人材グラフとを用いて、前記対象人材グラフ及び前記受入先グラフにおいてリンクで繋がっていないノード間の関係性を予測するためのリンク予測により、前記対象人材グラフに含まれるノードに所定の性状を示すノードがリンクする確率を算出するリンク予測手段を備え、前記推定手段は、前記リンク予測手段が算出した前記確率に基づいて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する、付記1または2に記載の採用支援装置。
【0232】
上記の構成によれば、対象人材グラフに含まれるノードに所定の性状を示すノードがリンクする確率に基づいて応答情報を生成する。対象人材グラフに含まれるノードに所定の性状を示すノードがリンクする確率は、対象人材が所定の性状を有する可能性を示すものである。よって、上記の構成によれば、対象人材がどのような性状を有しそうか、という人事支援に有用な情報を提供ことができる。
【0233】
(付記12)
コンピュータが、対象人材の配属先に関するリクエストを受け付け、複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定し、推定された前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力する、採用支援方法。
【0234】
上記の構成によれば、付記1により得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0235】
(付記13)
コンピュータに対して、対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける処理と、複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する処理と、推定された前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力する処理と、を実行させる採用支援プログラム。
【0236】
〔付記事項3〕
上述した実施形態の一部又は全部は、更に、以下のように表現することもできる。
【0237】
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、対象人材の配属先に関するリクエストを受け付ける受付処理と、複数の人物のそれぞれのスキル及び職務経歴の少なくとも何れかと、前記複数の人物それぞれの所属先との関係を学習した学習済みモデルを用いて、前記リクエストに適合する前記対象人材の配属先候補を推定する推定処理と、推定された前記対象人材の配属先候補を示す情報を出力する出力処理と、を実行する採用支援装置。
【0238】
なお、この採用支援装置は、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記受付処理と、前記推定処理と、前記出力処理とを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0239】
1,2,4…採用支援装置
11…受付部
12…推定部
13…出力部
201,401…受付部
202,402…グラフ生成部
203,403…リンク予測部
204…特定部
205…相性判定部
206…推奨部
207…学習部
208,405…推定部
209,406…根拠生成部
210,407…出力部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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