(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】認証システム、認証装置、認証方法、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06V 40/18 20220101AFI20250319BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20250319BHJP
【FI】
G06V40/18
G06T7/00 510D
(21)【出願番号】P 2023549290
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2021035343
(87)【国際公開番号】W WO2023047572
(87)【国際公開日】2023-03-30
【審査請求日】2024-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】大網 亮磨
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/044943(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/088415(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 40/18
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色コンタクトレンズを装着している対象の目が複数の角度から撮像された複数の画像を取得する画像取得手段と、
虹彩全体に対する、前記着色コンタクトレンズに隠れていない虹彩領域の割合に基づいて、前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行うか否かを決定する第1決定手段と、
前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行う虹彩認証手段と、
を備える認証システム。
【請求項2】
前記対象が前記着色コンタクトレンズを装着していることを検出する検出手段を更に備え、
前記虹彩認証手段は、前記対象が前記着色コンタクトレンズを装着している場合に前記複数の画像を用いて虹彩認証を行い、前記対象が前記着色コンタクトレンズを装着していない場合に前記複数の画像よりも少ない画像を用いて虹彩認証を行う、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記複数の画像における前記着色コンタクトレンズに隠れていない虹彩領域を合成して合成画像を生成する画像合成手段を更に備え、
前記虹彩認証手段は、前記合成画像を用いて前記対象の虹彩認証を行う、
請求項1又は2に記載の認証システム。
【請求項4】
前記画像合成手段は、前記複数の画像の各々の瞳孔の大きさを揃える補正を行ったうえで、前記合成画像を生成する、請求項3に記載の認証システム。
【請求項5】
前記複数の画像における前記着色コンタクトレンズに隠れていない虹彩領域の特徴量を合成して合成特徴量を生成する特徴量合成手段を更に備え、
前記虹彩認証手段は、前記合成特徴量を用いて前記対象の虹彩認証を行う、
請求項1又は2に記載の認証システム。
【請求項6】
前記特徴量合成手段は、前記複数の画像の各々から抽出した複数の特徴量について、共通する領域の特徴量の一致度が高くなるように位置補正を行ってから、前記合成特徴量を生成する、請求項5に記載の認証システム。
【請求項7】
前記着色コンタクトレンズの内円の半径から前記対象の瞳孔の半径を引いた値と、前記対象の虹彩の半径から前記対象の瞳孔の半径を引いた値とに基づいて、前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行うか否かを決定する第2決定手段を更に備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項8】
少なくとも1つのコンピュータが実行する認証方法であって、
着色コンタクトレンズを装着している対象の目が複数の角度から撮像された複数の画像を取得し、
虹彩全体に対する、前記着色コンタクトレンズに隠れていない虹彩領域の割合に基づいて、前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行うか否かを決定し、
前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行う、
認証方法。
【請求項9】
少なくとも1つのコンピュータに、
着色コンタクトレンズを装着している対象の目が複数の角度から撮像された複数の画像を取得し、
虹彩全体に対する、前記着色コンタクトレンズに隠れていない虹彩領域の割合に基づいて、前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行うか否かを決定し、
前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行う、
認証方法を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、認証システム、認証装置、認証方法、及び記録媒体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシステムとして、対象の虹彩画像を用いた生体認証(即ち、虹彩認証)を実行するものが知られている。例えば特許文献1では、ユーザが着色コンタクトレンズを装用していると判定された場合に、虹彩の外周付近を除外して特徴量を抽出する技術が開示されている。特許文献2では、ユーザがコンタクトレンズを装着している場合に、瞳孔を中心とした全周に係る画像を撮像する技術が開示されている。特許文献3では、カラーコンタクトの着色パターン等を特定し、特定した着色パターンの領域を除外して認証処理を実行する技術が開示されている。
【0003】
その他の関連する技術として、特許文献4では、異なる方向から観察された虹彩画像同士を縫い合わせることが開示されている。特許文献5では、虹彩画像を合成する際に、虹彩画像が有する構造的特徴を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019/044943号
【文献】国際公開第2017/010305号
【文献】国際公開第2020/065935号
【文献】特表2017-526079号公報
【文献】特表2012-519927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この開示は、先行技術文献に開示された技術を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の認証システムの一の態様は、着色コンタクトレンズを装着している対象の目が複数の角度から撮像された複数の画像を取得する画像取得手段と、前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行う虹彩認証手段と、を備える。
【0007】
この開示の認証装置の一の態様は、着色コンタクトレンズを装着している対象の目が複数の角度から撮像された複数の画像を取得する画像取得手段と、前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行う虹彩認証手段と、を備える。
【0008】
この開示の認証方法の一の態様は、少なくとも1つのコンピュータが実行する認証方法であって、着色コンタクトレンズを装着している対象の目が複数の角度から撮像された複数の画像を取得し、前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行う。
【0009】
この開示の記録媒体の一の態様は、少なくとも1つのコンピュータに、着色コンタクトレンズを装着している対象の目が複数の角度から撮像された複数の画像を取得し、前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行う、認証方法を実行させるコンピュータプログラムが記録されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る認証システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】斜め画像を撮像する際の、撮像方向及び視線方向の一例を示す上面図である。
【
図4】斜め画像を撮像する際の、撮像方向及び視線方向の一例を示す側面図である。
【
図5】第1実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。
【
図6】着色コンタクトレンズを着用している際の虹彩可視領域の一例を示す平面図である。
【
図7】視線方向による虹彩可視領域の変化を示す平面図である。
【
図8】第2実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図9】第2実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。
【
図10】第3実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図11】第3実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。
【
図12】第4実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。
【
図13】第5実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図14】第5実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。
【
図15】第6実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。
【
図16】第7実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図17】第7実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。
【
図18】第8実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図19】第8実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。
【
図20】第9実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図21】第9実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。
【
図22】第10実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図23】第10実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。
【
図24】視線方向を誘導する誘導表示の一例を示す平面図(その1)である。
【
図25】視線方向を誘導する誘導表示の一例を示す平面図(その2)である。
【
図26】第11実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図27】第11実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。
【
図28】第12実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図29】第12実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。
【
図30】第13実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図31】第13実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。
【
図32】第14実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図33】第14実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。
【
図34】第15実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図35】第15実施形態に係る認証システムによる記憶動作の流れを示すフローチャートである。
【
図36】第15実施形態に係る認証システムによる認証動作の流れを示すフローチャートである。
【
図37】第16実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図38】第16実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。
【
図39】第17実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図40】第17実施形態に係る認証システムによって制御される複数のカメラの位置関係を示す平面図である。
【
図41】第18実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図42】第18実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、認証システム、認証装置、認証方法、及び記録媒体の実施形態について説明する。
【0012】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る認証システムについて、
図1から
図7を参照して説明する。
【0013】
(ハードウェア構成)
まず、
図1を参照しながら、第1実施形態に係る認証システムのハードウェア構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る認証システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、第1実施形態に係る認証システム10は、プロセッサ11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、記憶装置14とを備えている。認証システム10は更に、入力装置15と、出力装置16と、を備えていてもよい。また、認証システム10は、カメラ18を備えていてもよい。上述したプロセッサ11と、RAM12と、ROM13と、記憶装置14と、入力装置15と、出力装置16と、カメラ18とは、データバス17を介して接続されている。
【0015】
プロセッサ11は、コンピュータプログラムを読み込む。例えば、プロセッサ11は、RAM12、ROM13及び記憶装置14のうちの少なくとも一つが記憶しているコンピュータプログラムを読み込むように構成されている。或いは、プロセッサ11は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体が記憶しているコンピュータプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。プロセッサ11は、ネットワークインタフェースを介して、認証システム10の外部に配置される不図示の装置からコンピュータプログラムを取得してもよい(つまり、読み込んでもよい)。プロセッサ11は、読み込んだコンピュータプログラムを実行することで、RAM12、記憶装置14、入力装置15及び出力装置16を制御する。本実施形態では特に、プロセッサ11が読み込んだコンピュータプログラムを実行すると、プロセッサ11内には、対象の画像を撮像して虹彩認証を行うための機能ブロックが実現される。
【0016】
プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成されてよい。プロセッサ11は、これらのうち一つで構成されてもよいし、複数を並列で用いるように構成されてもよい。
【0017】
RAM12は、プロセッサ11が実行するコンピュータプログラムを一時的に記憶する。RAM12は、プロセッサ11がコンピュータプログラムを実行している際にプロセッサ11が一時的に使用するデータを一時的に記憶する。RAM12は、例えば、D-RAM(Dynamic RAM)であってもよい。
【0018】
ROM13は、プロセッサ11が実行するコンピュータプログラムを記憶する。ROM13は、その他に固定的なデータを記憶していてもよい。ROM13は、例えば、P-ROM(Programmable ROM)であってもよい。
【0019】
記憶装置14は、認証システム10が長期的に保存するデータを記憶する。記憶装置14は、プロセッサ11の一時記憶装置として動作してもよい。記憶装置14は、例えば、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)及びディスクアレイ装置のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0020】
入力装置15は、認証システム10のユーザからの入力指示を受け取る装置である。入力装置15は、例えば、キーボード、マウス及びタッチパネルのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。入力装置15は、スマートフォンやタブレット等の携帯端末として構成されていてもよい。
【0021】
出力装置16は、認証システム10に関する情報を外部に対して出力する装置である。例えば、出力装置16は、認証システム10に関する情報を表示可能な表示装置(例えば、ディスプレイ)であってもよい。また、出力装置16は、認証システム10に関する情報を音声出力可能なスピーカ等であってもよい。出力装置16は、スマートフォンやタブレット等の携帯端末として構成されていてもよい。
【0022】
カメラ18は、対象の画像(具体的には、対象の虹彩を含む目周辺の画像)を撮像可能な箇所に設置されたカメラである。カメラ18は、複数台設置されていてもよい。カメラ18は、対象が有する端末(例えば、スマートフォン)に搭載されたカメラであってもよい。また、カメラ18は、USBカメラ、IPカメラ、Webカメラ等であってもよい。カメラ18は、静止画を撮像するカメラであってもよいし、動画を撮像するカメラであってもよい。カメラ18は、可視光カメラとして構成されてもよいし、近赤外線カメラとして構成されてよい。なお、カメラ18の撮像対象は、人間だけに限られず、犬や蛇等の動物、ロボット等を含むものであってよい。
【0023】
なお、
図1では、複数の装置を含んで構成される認証システム10の例を挙げたが、これらの全部又は一部の機能を、1つの装置(認証装置)で実現してもよい。この認証装置は、例えば、上述したプロセッサ11、RAM12、ROM13のみを備えて構成され、その他の構成要素(即ち、記憶装置14、入力装置15、出力装置16、カメラ18)については、例えば認証装置に接続される外部の装置が備えるようにしてもよい。また、認証装置は、一部の演算機能を外部の装置(例えば、外部サーバやクラウド等)によって実現するものであってもよい。
【0024】
(機能的構成)
次に、
図2を参照しながら、第1実施形態に係る認証システム10の機能的構成について説明する。
図2は、第1実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、第1実施形態に係る認証システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像取得部110と、虹彩認証部120と、を備えて構成されている。画像取得部110及び虹彩認証部120の各々は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現される処理ブロックであってよい。また、画像取得部110は、上述したカメラ18を用いて画像を取得するものであってよい。
【0026】
画像取得部110は、対象の虹彩画像(即ち、対象の虹彩を含む画像)を取得可能に構成されている。虹彩画像は、例えば近赤外線画像として取得されてよい。この場合、画像取得部110は、対象に対して近赤外線を照射可能に構成されてよい。本実施形態に係る画像取得部110は特に、着色コンタクトレンズを装着している対象の目が複数の角度から撮像された複数の虹彩画像を取得可能に構成されている。なお、ここでの「着色レンズ」とは、着色されたり、表面に模様が描かれたりしたコンタクトレンズであり、例えばカラコン、コスメティックコンタクトレンズなどと呼ばれるレンズである。なお、着色コンタクトレンズは、通常、中心部分は模様がなく、中心を避けたドーナツ状の領域に模様が印刷されているものが多い。このため、着色コンタクトの模様領域の内側の境界を以下では内円(実際に円が描かれているわけではなく、模様境界を表す仮想的な円)と呼ぶことがある。複数の虹彩画像は、対象の虹彩に対する撮像角度が異なるものであればよい。例えば、複数の虹彩画像は、対象の顔を正面から撮像した正面画像と、対象の顔を斜めから撮像した斜め画像を含んでいればよい。なお、ここでの「正面」は対象の顔がまっすぐ前を向いた際の方向であり、「斜め」は正面以外の方向である(後述の
図3及び
図4を参照)。例えば、複数の虹彩画像は、対象の顔の正面から視線方向(言い換えれば、眼球の向き)を変化させつつ撮像されるものであってよい。或いは、複数の虹彩画像は、カメラ18に対する対象の顔全体の向きを変化させつつ撮像されるものであってよい。また、複数の虹彩画像は、対象の視線や顔向きを固定したまま、カメラ18の撮像角度を変化させつつ撮像されるものであってよい。また、複数の虹彩画像は、視線方向や顔向きと撮像角度との両方を変化させつつ撮像されるものであってもよい。画像取得部110で取得された複数の虹彩画像は、虹彩認証部120に出力される構成となっている。
【0027】
ここで、
図3及び
図4を参照しながら、複数の虹彩画像(特に、斜め画像)を撮像する際の撮像方向及び視線方向について具体例を挙げて説明する。
図3は、斜め画像を撮像する際の、撮像方向及び視線方向の一例を示す上面図である。
図4は、斜め画像を撮像する際の、撮像方向及び視線方向の一例を示す側面図である。
【0028】
図3(a)に示すように、カメラ18を対象の顔の正面に配置した状態で、対象の視線方向を向かって左側に向けるようにすれば、対象の目の斜め画像を撮像することができる。また、
図3(b)に示すように、カメラ18を対象の顔の正面よりも向かって右側に配置すれば、対象の視線方向が正面であっても、対象の目の斜め画像を撮像することができる。更に、
図3(c)に示すように、カメラ18を対象の顔の正面から向かって右側に配置し、対象の視線方向をカメラ18とは逆方向である向かって左側に向けるようにすれば、より斜めの角度から対象の目の画像を撮像できる。
【0029】
図4(a)に示すように、カメラ18を対象の顔の正面に配置した状態で、対象の視線方向を上側に向けるようにすれば、対象の目の斜め画像を撮像することができる。また、
図4(b)に示すように、カメラ18を対象の顔の正面よりも上側に配置すれば、対象の視線方向が正面であっても、対象の目の斜め画像を撮像することができる。更に、
図4(c)に示すように、カメラ18を対象の顔の正面の上側に配置し、対象の視線方向をカメラ18とは逆方向である下側に向けるようにすれば、より斜めの角度から対象の目の画像を撮像できる。
【0030】
図2に戻り、虹彩認証部120は、画像取得部110で取得された複数の虹彩画像を用いて、虹彩認証(即ち、虹彩に関する情報を用いた生体認証)を実行可能に構成されている。虹彩認証部120は、複数の虹彩画像から特徴量を抽出する機能を有していてもよい。虹彩認証部120は、虹彩画像における認証に利用しない部分(例えば、虹彩以外の部分)にマスクを施す処理を実行可能に構成されてもよい。虹彩認証部120は、複数の虹彩画像から1つの情報(例えば、1つの画像や1つの特徴量)を生成して、その1つの情報を用いた虹彩認証を実行してよい。虹彩認証部120による具体的な認証手法については、後述する他の実施形態で詳しく説明する。虹彩認証部120は、例えば出力装置16(
図1参照)を用いて、虹彩認証の認証結果を出力可能に構成されてよい。
【0031】
(動作の流れ)
次に、
図5を参照しながら、第1実施形態に係る認証システム10による動作の流れについて説明する。
図5は、第1実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。
【0032】
図5に示すように、第1実施形態に係る認証システム10が動作する際には、まず画像取得部110が、着色コンタクトレンズを装着している対象から複数の虹彩画像を取得する(ステップS101)。なお、ここで取得される虹彩画像の枚数は、予め設定されたものであってもよいし、対象の状態や撮像された虹彩画像の状態等に応じて適宜変更されるものであってもよい。
【0033】
続いて、虹彩認証部120が、画像取得部110で取得された複数の虹彩画像を用いて虹彩認証を行う(ステップS102)。そして、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。認証結果は、1:N認証の場合には、例えば照合スコアが最も高い人物のIDとして出力されてよい。また、照合スコアが所定の閾値に到達しなかった場合には、登録されているいずれのユーザとも一致しないことを出力してもよい。また、1:1認証の場合には、別途指定された人物の登録情報と照合し、照合スコアが所定の閾値に到達した場合は認証成功,そうでない場合は、認証失敗として結果を出力するようになっていてもよい。認証結果は、ユーザ(例えば、対象やシステム管理者等)に対して提示されてもよい。或いは、認証結果は、他の装置に出力され、他の装置における各種処理(例えば、決済処理やゲート解錠処理等)に用いられてもよい。
【0034】
(虹彩可視領域)
次に、
図6及び
図7を参照しながら、着色コンタクトレンズを装着している場合の虹彩可視領域(即ち、カメラ18から視認可能な虹彩領域)について具体的に説明する。
図6は、着色コンタクトレンズを着用している際の虹彩可視領域の一例を示す平面図である。
図7は、視線方向による虹彩可視領域の変化を示す平面図である。
【0035】
図6に示すように、対象が着色コンタクトレンズ50を装着している場合であっても、瞳孔21と着色コンタクトレンズ50との間には隙間が生じ、その隙間から虹彩22が見える(この場合に、隙間から見える虹彩22の領域が虹彩可視領域である)。ただし、この虹彩可視領域の大きさは、着色コンタクトレンズ50の大きさや、瞳孔の大きさ(言い換えれば、収縮度合い)等に応じて変化する。例えば、
図6(a)に示すように、瞳孔21の大きさが比較的小さい場合には、虹彩可視領域は大きくなる。一方、
図6(b)に示すように、瞳孔21の大きさが比較的大きい場合には、虹彩可視領域は小さくなる。
【0036】
ここで、虹彩22は平面状であるのに対し、着色コンタクトレンズは、角膜の上に覆い被さっているため球面状である。このため、目を正面から少し角度を変えて斜めから撮像すると、着色コンタクトレンズ50と虹彩22との奥行き差に起因して、虹彩可視領域が変化する。具体的には、着色コンタクトレンズ50と瞳孔21との間の隙間が均等ではなくなり、正面からは見えなかった虹彩22の領域が見えるようになる。
【0037】
図7(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ視線を右、左、上、下に向けた場合の虹彩22の見え方を表している。上述のように、虹彩22は平面状であり、着色コンタクトレンズ50よりも目の奥側にあるため、虹彩可視領域は視線の向きによって変化する。このため、目に対する角度を変えて撮影することで、虹彩22の異なる領域の情報が取得でき、例えば正面から1枚のみ撮像する場合と比べて、虹彩22に関する情報をより多く取得することができる。
【0038】
(技術的効果)
次に、第1実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0039】
図1から
図7で説明したように、第1実施形態に係る認証システム10では、着色コンタクトレンズを着用している対象の目を複数の角度から撮像することで、複数の虹彩画像が取得される。このようにすれば、虹彩22に関する情報を多く取得できるため、虹彩認証に利用可能な情報が増える。よって、複数の虹彩画像から得られた情報を統合することによって、虹彩認証の精度を向上できる。
【0040】
なお、虹彩可視領域は、瞳孔に可視光を照射する方式でも変化させることができる。即ち、瞳孔の大きさを強制的に収縮させることで、虹彩可視領域が大きくなるようにすることもできる。しかしながら、瞳孔を収縮させる方式の場合、周囲が明るいときは瞳孔の大きさが変化しにくく、人によっては瞳孔があまり収縮しない場合もある。また、人によっては眩しさを不快に感じてしまうことがある。しかるに本実施形態に係る認証システム10によれば、上述した不都合を回避しつつ、適切に虹彩22に関する情報を取得することが可能である。
【0041】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る認証システム10について、
図8及び
図9を参照して説明する。なお、第2実施形態は、上述した第1実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0042】
(機能的構成)
まず、
図8を参照しながら、第2実施形態に係る認証システム10の機能的構成について説明する。
図8は、第2実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図8では、
図2で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0043】
図8に示すように、第2実施形態に係る認証システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像取得部110と、虹彩認証部120と、着色コンタクト検出部130と、を備えている。即ち、第2実施形態に係る認証システム10は、第1実施形態の構成(
図2参照)に加えて、着色コンタクト検出部130を更に備えて構成されている。着色コンタクト検出部130は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現される処理ブロックであってよい。
【0044】
着色コンタクト検出部130は、画像取得部110が画像を取得する対象が着色コンタクトレンズ50を装着していることを検出可能に構成されている。着色コンタクト検出部130は、画像取得部110で取得した対象の画像を用いて、対象が着色コンタクトレンズ50を装着していることを検出する。なお、着色コンタクトレンズ50の検出に用いる画像は、虹彩認証部120による虹彩認証に用いる画像であってもよいし、虹彩認証に用いる画像とは別の画像であってもよい。例えば、虹彩認証に用いる前に、カメラの焦点を合わせる際に取得した画像を用いて検出を行うようになっていてもよい。着色コンタクト検出部130による着色コンタクトレンズ50の検出方法については特に限定されないが、例えば深層学習により生成された識別器を用いて着色コンタクトレンズ50の有無を識別するようにしてもよい。着色コンタクト検出部130は、対象が着色コンタクトレンズ50を装着していることを検出した場合に、その着色コンタクトレンズ50に関する情報を取得するようにしてもよい。例えば、着色コンタクト検出部130は、着色コンタクトレンズ50の内側の円(模様が描かれた領域の内側の境界)と外側の円(即ち、強膜(白目)との境界)に関する情報を取得してもよい。
【0045】
第2実施形態に係る虹彩認証部120は、上述した着色コンタクト検出部130による検出結果に応じて、虹彩認証のモードを変更可能に構成されている。具体的には、虹彩認証部120は、対象が着色コンタクトレンズ50を装着していることが検出された場合に、複数の虹彩画像を用いて虹彩認証を実行するモードを選択する。一方、虹彩認証部120は、対象が着色コンタクトレンズ50を装着していることが検出されない場合に、検出された場合よりも少ない枚数の虹彩画像を用いて虹彩認証を実行するモードを選択する。例えば、虹彩認証部120は、複数の虹彩画像を用いて虹彩認証を実行する「複数枚認証モード」と、1枚の虹彩画像を用いて虹彩認証を実行する「通常認証モード」と、を切替え可能に構成されている。この場合、対象が着色コンタクトレンズ50を装着していることが検出されると、虹彩認証部120は複数枚認証モードで虹彩認証を実行する。一方、対象が着色コンタクトレンズ50を装着していることが検出されないと、虹彩認証部120は通常認証モードで虹彩認証を実行する。なお、着色コンタクトレンズが検出されても虹彩可視領域が大きく、十分虹彩が見えていると判定された場合には、「通常認証モード」で認証を実行するようになっていてもよい。以下では、この複数枚認証モードと通常認証モードとを切り替える構成を例にとり説明を進める。
【0046】
(動作の流れ)
次に、
図9を参照しながら、第2実施形態に係る認証システム10による動作の流れについて説明する。
図9は、第2実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図9では、
図5に示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0047】
図9に示すように、第2実施形態に係る認証システム10が動作する際には、まず画像取得部110が、対象から着色コンタクトレンズ50を検出するための画像を取得する(ステップS201)。そして、着色コンタクト検出部130は、画像取得部110で取得された対象の画像に基づいて、着色コンタクトレンズ50の有無を検出する(ステップS202)。
【0048】
着色コンタクトレンズ50が検出された場合(ステップS202:YES)、画像取得部110が追加で画像を取得し(ステップS203)、虹彩認証部120が複数枚認証モードで虹彩認証を実行する(ステップS204)。即ち、第1実施形態で説明したように、複数の角度から撮像された複数の虹彩画像を用いて虹彩認証が行われる。その後、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。
【0049】
一方、着色コンタクトレンズ50が検出されない場合(ステップS202:NO)、画像虹彩認証部120が通常認証モードで虹彩認証を実行する(ステップS205)。即ち、複数の角度から虹彩画像は撮像されず、1枚の画像のみを用いて撮像された複数の虹彩画像を用いて虹彩認証が行われる。なお、通常認証モードでは、着色コンタクトレンズ50を検出するために用いた画像(即ち、ステップS201で取得した画像)に基づいて虹彩認証を行ってもよいし、別途虹彩認証用の画像を1枚取得してから虹彩認証を行ってもよい。その後、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。
【0050】
(技術的効果)
次に、第2実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0051】
図8及び
図9で説明したように、第2実施形態に係る認証システム10では、着色コンタクトレンズ50の有無によって異なる認証モードで虹彩認証が実行される。このようにすれば、対象が着色コンタクトレンズ50を装着している場合には、複数の虹彩画像を用いて認証精度を高めることができる。その一方で、対象が着色コンタクトレンズ50を装着している場合には、比較的少ない枚数を用いて虹彩認証が行われるため、認証の手間や処理負荷を低減することができる。
【0052】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る認証システム10について、
図10及び
図11を参照して説明する。なお、第3実施形態は、上述した第1及び第2実施形態と一部の構成や動作が異なるものであり、その他の部分については第1及び第2実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0053】
(機能的構成)
まず、
図10を参照しながら、第3実施形態に係る認証システム10の機能的構成について説明する。
図10は、第3実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図10では、
図2で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0054】
図10に示すように、第3実施形態に係る認証システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像取得部110と、虹彩認証部120と、合成画像生成部140と、を備えている。即ち、第3実施形態に係る認証システム10は、第1実施形態の構成(
図2参照)に加えて、合成画像生成部140を更に備えて構成されている。合成画像生成部140は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現される処理ブロックであってよい。
【0055】
合成画像生成部140は、画像取得部110で取得された複数の画像(即ち、複数の角度で撮像された虹彩画像)を合成することで、合成画像を生成可能に構成されている。より具体的には、合成画像生成部140は、複数の画像の虹彩可視領域を合成する。このため、合成画像は、複数の画像の各々と比べて、より多くの虹彩可視領域を有する画像となる。合成画像生成部140は、複数の画像の各々に対して、虹彩可視領域以外の部分をマスクする処理を行ってから、残りの虹彩可視領域の部分のみを合成してもよい。合成画像生成部140で生成された合成画像は、虹彩認証部120に出力される構成となっている。
【0056】
第3実施形態に係る虹彩認証部120は、合成画像生成部140で生成された合成画像を用いて虹彩認証を行う。合成画像は、上述したように複数の画像を合成したものであるため、虹彩認証部120では実質的に複数の画像を用いた虹彩認証が実行されることになる。
【0057】
(動作の流れ)
次に、
図11を参照しながら、第3実施形態に係る認証システム10による動作の流れについて説明する。
図11は、第3実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図11では、
図5に示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0058】
図11に示すように、第3実施形態に係る認証システム10が動作する際には、まず画像取得部110が、着色コンタクトレンズを装着している対象から複数の虹彩画像を取得する(ステップS101)。そして、合成画像生成部140が、画像取得部110で取得された複数の虹彩画像を合成して、合成画像を生成する(ステップS301)。なお、合成画像生成部140は、画像取得部110が画像を取得する度に画像を1枚ずつ合成してもよいし、画像取得部110が複数の画像全てを取得してから、全ての画像をまとめて合成してもよい。
【0059】
続いて、虹彩認証部120が、合成画像生成部140で生成された合成画像を用いて虹彩認証を行う(ステップS302)。そして、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。なお、上述した第2実施形態で説明したように、対象が着色コンタクトレンズ50を装着していない場合には、複数の画像を用いずに(例えば、合成画像ではなく、合成前の1枚の画像を用いて)虹彩認証を行うようにしてもよい。
【0060】
(技術的効果)
次に、第3実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0061】
図10及び
図11で説明したように、第3実施形態に係る認証システム10では、複数の画像を合成した合成画像を用いて虹彩認証が行われる。合成画像は、複数の画像における虹彩可視領域を含んでいるため、1枚の虹彩画像よりも虹彩22に関する情報が多く得られ、その結果、高い精度で虹彩認証を行うことが可能となる。なお、後述する第5実施形態のように、特徴量を合成する手法も考えられるが、本実施形態のように画像を合成すれば、特徴量を合成する場合と比べて、画像全体の特徴量が把握しやすくなる。このため、第3実施形態で生成される合成画像は、例えば深層学習をベースとした認証方式に利用しやすいという効果を有している。
【0062】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る認証システム10について、
図12を参照して説明する。なお、第4実施形態は、上述した第3実施形態と一部の動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第3実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0063】
(動作の流れ)
まず、
図12を参照しながら、第4実施形態に係る認証システム10による動作の流れについて説明する。
図12は、第4実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図12では、
図11で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0064】
図12に示すように、第4実施形態に係る認証システム10が動作する際には、まず画像取得部110が、着色コンタクトレンズを装着している対象から複数の虹彩画像を取得する(ステップS101)。そして、第4実施形態では特に、合成画像生成部140が、画像取得部110で取得された複数の虹彩画像について、瞳孔21のサイズを揃える補正を行い、虹彩の模様を半径方向に伸縮させる(ステップS501)。合成画像生成部140は、例えば1枚の画像を基準画像として、他の画像の瞳孔21のサイズが基準となる画像の瞳孔21のサイズと同じになるように補正を行う。或いは、合成画像生成部140は、複数の画像の瞳孔21のサイズを、予め定められた基準サイズとなるように補正してもよい。もし、複数の虹彩画像間で、周囲の明るさで大きさが変化しない着色コンタクトレンズの大きさも変化している場合には、着色コンタクトレンズのサイズも揃える。より具体的には、合成画像生成部140は、着色コンタクトレンズの内円を揃える補正、着色コンタクトレンズの内円の直径を揃える補正、着色コンタクトレンズの外円を揃える補正、着色コンタクトレンズの外円の直径を揃える補正、及び着色コンタクトレンズの面積を揃える補正等を行い、虹彩模様を半径方向に伸縮させるようにしてもよい。
【0065】
続いて、合成画像生成部140が、画像取得部110で取得された複数の虹彩画像を合成して、合成画像を生成する(ステップS301)。そして、虹彩認証部120が、合成画像生成部140で生成された合成画像を用いて虹彩認証を行う(ステップS302)。その後、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。
【0066】
(技術的効果)
次に、第4実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0067】
図12で説明したように、第4実施形態に係る認証システム10では、合成画像を生成する際に、複数の画像の瞳孔21のサイズを揃える補正が行われる。このようにすれば、画像ごとのサイズのばらつきが小さくなるように補正されるため、より適切に合成画像を生成することができる。
【0068】
<第5実施形態>
第5実施形態に係る認証システム10について、
図13及び
図14を参照して説明する。なお、第5実施形態は、上述した第1から第4実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第4実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0069】
(機能的構成)
まず、
図13を参照しながら、第5実施形態に係る認証システム10の機能的構成について説明する。
図13は、第5実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図13では、
図2で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0070】
図13に示すように、第5実施形態に係る認証システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像取得部110と、虹彩認証部120と、特徴量抽出部150と、合成特徴量生成部160と、を備えている。即ち、第5実施形態に係る認証システム10は、第1実施形態の構成(
図2参照)に加えて、特徴量抽出部150と、合成特徴量生成部160と、を更に備えて構成されている。特徴量抽出部150及び合成特徴量生成部160の各々は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現される処理ブロックであってよい。
【0071】
特徴量抽出部150は、画像取得部110で取得された画像から特徴量(即ち、画像の特徴を示す値)を抽出可能に構成されている。特徴量の具体的な抽出方法については、既存の技術を適宜採用することができるため、ここでの詳細な説明は省略する。特徴量抽出部150は、複数の画像の各々に対して、虹彩可視領域以外の部分をマスクする処理を行ってから、残りの虹彩可視領域の部分から特徴量を抽出するようにしてもよい。特徴量抽出部150で抽出された特徴量は、虹彩認証部120及び合成特徴量生成部160の各々に出力される構成となっている。
【0072】
合成特徴量生成部160は、特徴量抽出部150で抽出された複数の特徴量(即ち、複数の画像の各々から抽出された特徴量)を合成することで、合成特徴量を生成可能に構成されている。より具体的には、合成特徴量生成部160は、複数の画像の虹彩可視領域に対応する特徴量を合成する。このため、合成画像は、複数の画像の各々から抽出された1つ1つの特徴量と比べて、虹彩可視領域に関する情報をより多く含む画像となる。合成特徴量生成部160で生成された合成特徴量は、虹彩認証部120に出力される構成となっている。
【0073】
第5実施形態に係る虹彩認証部120は、合成特徴量生成部160で生成された合成特徴量を用いて虹彩認証を行う。合成特徴量は、上述したように複数の画像の各々から抽出した特徴量を合成したものであるため、虹彩認証部120では実質的に複数の画像の特徴量を用いた虹彩認証が実行されることになる。
【0074】
(動作の流れ)
次に、
図14を参照しながら、第5実施形態に係る認証システム10による動作の流れについて説明する。
図14は、第5実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図14では、
図5で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0075】
図14に示すように、第5実施形態に係る認証システム10が動作する際には、まず画像取得部110が、着色コンタクトレンズを装着している対象から複数の虹彩画像を取得する(ステップS101)。そして、特徴量抽出部150が、画像取得部110で取得された複数の虹彩画像の各々から、特徴量を抽出する(ステップS501)。
【0076】
続いて、合成特徴量生成部160が、特徴量抽出部150で抽出された複数の特徴量を合成して、合成特徴量を生成する(ステップS502)。なお、合成画像生成部140は、画像取得部110が画像を取得する度に、特徴量を1つずつ合成してもよいし、画像取得部110が複数の画像全てを取得してから、全ての特徴量をまとめて合成してもよい。
【0077】
続いて、虹彩認証部120が、合成特徴量生成部160で生成された合成特徴量を用いて虹彩認証を行う(ステップS503)。そして、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。なお、上述した第2実施形態で説明したように、対象が着色コンタクトレンズ50を装着していない場合には、複数の画像を用いずに(例えば、合成特徴量ではなく、合成前の1つの特徴量を用いて)虹彩認証を行うようにしてもよい。
【0078】
(技術的効果)
次に、第5実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0079】
図13及び
図14で説明したように、第5実施形態に係る認証システム10では、複数の画像の各々から特徴量が抽出され、それら複数の特徴量を合成した合成特徴量を用いて虹彩認証が行われる。合成特徴量は、複数の画像における虹彩可視領域に対応する特徴量を含んでいるため、1つの特徴量よりも虹彩22に関する情報が多く得られ、その結果、高い精度で虹彩認証を行うことが可能となる。なお、上述した第3実施形態のように、画像を合成する手法も考えられるが、本実施形態のように特徴量を合成する場合、画像を合成する場合と比べて、合成する際の位置合わせが容易である。
【0080】
<第6実施形態>
第6実施形態に係る認証システム10について、
図15を参照して説明する。なお、第6実施形態は、上述した第5実施形態と一部の動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第5実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0081】
(動作の流れ)
まず、
図15を参照しながら、第6実施形態に係る認証システム10による動作の流れについて説明する。
図15は、第6実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図15では、
図14で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0082】
図15に示すように、第4実施形態に係る認証システム10が動作する際には、まず画像取得部110が、着色コンタクトレンズを装着している対象から複数の虹彩画像を取得する(ステップS101)。そして、特徴量抽出部150が、画像取得部110で取得された複数の虹彩画像の各々から、特徴量を抽出する(ステップS501)。
【0083】
ここで第6実施形態では特に、合成特徴量生成部160が、特徴量抽出部150で抽出された複数の特徴量について位置補正を行う(ステップS601)。具体的には、合成特徴量生成部160は、複数の特徴量のうち共通する領域の特徴量の一致度が高くなるように位置補正を行う。位置補正は、例えば、回転や並進等の移動処理を含むものであってよい。
【0084】
続いて、合成特徴量生成部160は、位置補正した複数の特徴量を合成して、合成特徴量を生成する(ステップS502)。そして、虹彩認証部120が、合成特徴量生成部160で生成された合成特徴量を用いて虹彩認証を行う(ステップS503)。その後、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。
【0085】
(技術的効果)
次に、第6実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0086】
図15で説明したように、第6実施形態に係る認証システム10では、合成特徴量を生成する際に、複数の特徴量同士の位置補正が行われる。このようにすれば、複数の特徴量の位置合わせを適切に行うことができるため、より適切に合成特徴量を生成することができる。
【0087】
<第7実施形態>
第7実施形態に係る認証システム10について、
図16及び
図17を参照して説明する。なお、第7実施形態は、上述した第1から第6実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第6実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0088】
(機能的構成)
まず、
図16を参照しながら、第7実施形態に係る認証システム10の機能的構成について説明する。
図16は、第7実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図16では、
図13で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0089】
図16に示すように、第7実施形態に係る認証システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像取得部110と、虹彩認証部120と、特徴量抽出部150と、認証結果統合部125と、を備えている。即ち、第7実施形態に係る認証システム10は、第5実施形態(
図13参照)の合成特徴量生成部160に代えて、認証結果統合部125を備えて構成されている。認証結果統合部125は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現される処理ブロックであってよい。
【0090】
第7実施形態に係る虹彩認証部120は、特徴量抽出部150で複数の画像から抽出された特徴量の各々を用いて虹彩認証を実行するように構成されている。即ち、第7実施形態に係る虹彩認証部120は、複数の特徴量を用いて、複数回の虹彩認証を実行するように構成されている。虹彩認証部120による認証結果は、認証結果統合部125に出力される構成となっている。この際、各認証処理において、虹彩の特徴量を抽出した領域(以後特徴量領域情報と呼ぶ)も求め、認証処理では、特徴量領域情報を使って照合処理を行うようになっていてもよい。そして、認証結果とともに、特徴量領域情報も認証結果統合部125に出力されるようになっていてもよい。
【0091】
認証結果統合部125は、虹彩認証部120による複数回の認証結果を統合して、1つの統合された認証結果(統合認証結果)として出力可能に構成されている。認証結果の具体的な統合方法については、既存の技術を適宜採用することができる。この際、特徴量領域情報も利用できる場合には、特徴量領域情報も用いて統合を行う。すなわち、各認証結果が虹彩のどの領域に基づいて求めたものかによって、例えば、その領域間の重なり度合いを考慮して統合を行う。
【0092】
(動作の流れ)
次に、
図17を参照しながら、第7実施形態に係る認証システム10による動作の流れについて説明する。
図17は、第7実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図17では、
図14で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0093】
図17に示すように、第7実施形態に係る認証システム10が動作する際には、まず画像取得部110が、着色コンタクトレンズを装着している対象から複数の虹彩画像を取得する(ステップS101)。そして、特徴量抽出部150が、画像取得部110で取得された複数の虹彩画像の各々から、特徴量を抽出する(ステップS501)。
【0094】
続いて、虹彩認証部120が、複数の虹彩画像の各々から抽出された複数の特徴量を用いて、複数回の虹彩認証を実行する(ステップS605)。その後、認証結果統合部125は、虹彩認証部120による複数回の虹彩認証の結果を統合する(ステップS606)そして、認証結果統合部125は、統合した認証結果を出力する(ステップS607)。
【0095】
(技術的効果)
次に、第7実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0096】
図16及び
図17で説明したように、第7実施形態に係る認証システム10では、複数の画像の各々から特徴量が抽出され、それら複数の特徴量を用いた複数回の認証結果が統合して出力される。このようにすれば、複数回の認証結果(即ち、複数の画像を用いた認証結果)を統合した認証結果を得ることができるため、虹彩認証の精度を向上できる。
【0097】
<第8実施形態>
第8実施形態に係る認証システム10について、
図18及び
図19を参照して説明する。なお、第8実施形態は、上述した第1から第7実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第7実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0098】
(機能的構成)
まず、
図18を参照しながら、第8実施形態に係る認証システム10の機能的構成について説明する。
図18は、第8実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図18では、
図2で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0099】
図18に示すように、第8実施形態に係る認証システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像取得部110と、虹彩認証部120と、第1決定部170と、を備えている。即ち、第8実施形態に係る認証システム10は、第1実施形態の構成(
図2参照)に加えて、第1決定部170を更に備えて構成されている。第1決定部170は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現される処理ブロックであってよい。
【0100】
第1決定部170は、虹彩22全体に対する虹彩可視領域の割合を算出可能に構成されている。例えば、第1決定部170は、対象の画像から虹彩22の面積と、虹彩可視領域の面積とを算出し、それらの値から割合を算出してよい。なお、虹彩22の面積は、例えば着色コンタクトレンズ50の外円を虹彩22の外円とみなして算出してもよい。虹彩22の外円が着色コンタクトレンズ50の外円の外側に露出している(即ち、虹彩22が着色コンタクトレンズ50の外側にはみ出ている)場合には、着色コンタクトレンズ50ではなく、虹彩22の外円に基づいて虹彩22の面積を算出してもよい。
【0101】
第1決定部170は更に、算出した割合に基づいて、虹彩認証のモードを決定可能に構成されている。具体的には、第1決定部170は、算出した割合が第1閾値未満である場合に複数の虹彩画像を用いて虹彩認証を実行するモードを選択し、算出した割合が第1閾値以上である場合により少ない虹彩画像を用いて虹彩認証を実行するモードを選択してよい。なお、ここでの「第1閾値」は、複数の虹彩画像を用いなければ虹彩認証が適切に行えない状況であるか否か(例えば、1枚の画像だけでは、虹彩可視領域が不足している状況であるか否か)を判定するための閾値である。以下では、第2実施形態で説明した複数枚認証モードと通常認証モードとを切り替える構成を例にとり説明を進める。
【0102】
(動作の流れ)
次に、
図19を参照しながら、第8実施形態に係る認証システム10による動作の流れについて説明する。
図19は、第8実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図19では、
図9で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0103】
図19に示すように、第8実施形態に係る認証システム10が動作する際には、まず画像取得部110が、第1決定部170が割合を算出する際に用いる画像を取得する(ステップS701)。そして、第1決定部170は、画像取得部110で取得された対象の画像に基づいて、虹彩22全体に対する虹彩可視領域の割合を算出する(ステップS702)。
【0104】
続いて、第1決定部170は、算出した割合が第1閾値未満であるか否かを判定する(ステップS703)。算出した割合が第1閾値未満である場合(ステップS703:YES)、画像取得部110が追加で画像を取得し(ステップS203)、虹彩認証部120が複数枚認証モードで虹彩認証を実行する(ステップS204)。即ち、第1実施形態で説明したように、複数の角度から撮像された複数の虹彩画像を用いて虹彩認証が行われる。その後、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。
【0105】
一方、算出した割合が第1閾値未満でない場合(ステップS703:NO)、画像虹彩認証部120が通常認証モードで虹彩認証を実行する(ステップS205)。即ち、複数の角度から虹彩画像は撮像されず、1枚の画像のみを用いて撮像された複数の虹彩画像を用いて虹彩認証が行われる。その後、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。
【0106】
(技術的効果)
次に、第8実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0107】
図18及び
図19で説明したように、第8実施形態に係る認証システム10では、虹彩22全体に対する虹彩可視領域の割合に基づいて、異なる認証モードで虹彩認証が実行される。このようにすれば、虹彩可視領域が小さい場合には、複数の虹彩画像を用いて認証精度を高めることができる。その一方で、虹彩可視領域が大きい場合には、比較的少ない枚数を用いて虹彩認証が行われるため、認証の手間や処理負荷を低減することができる。
【0108】
<第9実施形態>
第9実施形態に係る認証システム10について、
図20及び
図21を参照して説明する。なお、第9実施形態は、上述した第1から第8実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第8実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0109】
(機能的構成)
まず、
図20を参照しながら、第9実施形態に係る認証システム10の機能的構成について説明する。
図20は、第9実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図20では、
図2で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0110】
図20に示すように、第9実施形態に係る認証システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像取得部110と、虹彩認証部120と、第2決定部180と、を備えている。即ち、第9実施形態に係る認証システム10は、第1実施形態の構成(
図2参照)に加えて、第2決定部180を更に備えて構成されている。第2決定部180は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現される処理ブロックであってよい。
【0111】
第2決定部180は、着色コンタクトレンズ50の内円(模様領域の内側の境界を表す円)の半径から対象の瞳孔21の半径を引いた値と、対象の虹彩22の半径から対象の瞳孔21の半径を引いた値と、の割合を算出可能に構成されている。例えば、第2決定部170は、対象の画像から着色コンタクトレンズ50の内円の半径、対象の瞳孔21の半径、及び対象の虹彩22の半径を算出し、それらの値から割合を算出してよい。すなわち、内円半径と瞳孔半径の差が、虹彩半径と瞳孔半径の差に対してどの程度の割合になっているかを算出する。このようにして算出される割合は、第8実施形態で算出した割合と同様に、虹彩可視領域の大きさを示す値となる。なお、虹彩と強膜(白目)の境界が着色コンタクトによって隠れている場合は、虹彩半径の代わりに着色コンタクトの模様領域の外側の円を虹彩円とみなして虹彩円の半径を求めてもよい。
【0112】
第2決定部180は更に、算出した割合に基づいて、虹彩認証のモードを決定可能に構成されている。具体的には、第2決定部180は、算出した割合が第2閾値未満である場合に複数の虹彩画像を用いて虹彩認証を実行するモードを選択し、算出した割合が第2閾値以上である場合により少ない虹彩画像を用いて虹彩認証を実行するモードを選択してよい。なお、ここでの「第2閾値」は、複数の虹彩画像を用いなければ虹彩認証が適切に行えない状況であるか否か(例えば、1枚の画像だけでは、虹彩可視領域が不足している状況であるか否か)を判定するための閾値である。以下では、第2実施形態で説明した複数枚認証モードと通常認証モードとを切り替える構成を例にとり説明を進める。
【0113】
(動作の流れ)
次に、
図21を参照しながら、第9実施形態に係る認証システム10による動作の流れについて説明する。
図21は、第9実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図21では、
図9で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0114】
図21に示すように、第9実施形態に係る認証システム10が動作する際には、まず画像取得部110が、第2決定部180が割合を算出する際に用いる画像を取得する(ステップS801)。そして、第2決定部180は、着色コンタクトレンズ50の内円の半径から対象の瞳孔21の半径を引いた値を算出する(ステップS802)。また、第2決定部180は、対象の虹彩22の半径から対象の瞳孔21の半径を引いた値を算出する(ステップS803)。そして更に、第2決定部180は、ステップS802で算出した差と、ステップS803で算出した差との割合を算出する(ステップS804)。
【0115】
続いて、第2決定部180は、算出した割合が第2閾値未満であるか否かを判定する(ステップS805)。算出した割合が第2閾値未満である場合(ステップS805:YES)、画像取得部110が追加で画像を取得し(ステップS203)、虹彩認証部120が複数枚認証モードで虹彩認証を実行する(ステップS204)。即ち、第1実施形態で説明したように、複数の角度から撮像された複数の虹彩画像を用いて虹彩認証が行われる。その後、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。
【0116】
一方、算出した割合が第2閾値未満でない場合(ステップS805:NO)、画像虹彩認証部120が通常認証モードで虹彩認証を実行する(ステップS205)。即ち、複数の角度から虹彩画像は撮像されず、1枚の画像のみを用いて撮像された複数の虹彩画像を用いて虹彩認証が行われる。その後、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。
【0117】
(技術的効果)
次に、第9実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0118】
図20及び
図21で説明したように、第9実施形態に係る認証システム10では、着色コンタクトレンズ50の内円の半径から対象の瞳孔21の半径を引いた値と、対象の虹彩22の半径から対象の瞳孔21の半径を引いた値と、の割合に基づいて、異なる認証モードで虹彩認証が実行される。このようにすれば、第8実施形態と同様に、虹彩可視領域が小さい場合には、複数の虹彩画像を用いて認証精度を高めることができる。その一方で、虹彩可視領域が大きい場合には、比較的少ない枚数を用いて虹彩認証が行われるため、認証の手間や処理負荷を低減することができる。
【0119】
<第10実施形態>
第10実施形態に係る認証システム10について、
図22から
図25を参照して説明する。なお、第10実施形態は、上述した第1から第9実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第9実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0120】
(機能的構成)
まず、
図22を参照しながら、第10実施形態に係る認証システム10の機能的構成について説明する。
図22は、第10実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図22では、
図2で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0121】
図22に示すように、第10実施形態に係る認証システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像取得部110と、虹彩認証部120と、視線誘導部200と、を備えている。即ち、第10実施形態に係る認証システム10は、第1実施形態の構成(
図2参照)に加えて、視線誘導部200を更に備えて構成されている。視線誘導部200は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現される処理ブロックであってよい。また、視線誘導部200は、上述した出力装置16(
図1参照)によって誘導情報を出力可能に構成されてよい。
【0122】
視線誘導部200は、対象の目を複数の角度から撮像するために、対象の視線を誘導することが可能に構成されている。具体的には、視線誘導部200は、対象に対して誘導情報を出力することで、対象の視線を誘導する。誘導情報は、例えばディスプレイに画像やメッセージとして表示されてもよい。或いは、誘導情報は、スピーカ等を用いて音声情報や音響情報として出力されてもよい。誘導情報の具体例については後述する。
【0123】
(動作の流れ)
次に、
図23を参照しながら、第10実施形態に係る認証システム10による動作の流れについて説明する。
図23は、第10実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図23では、
図5で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0124】
図23に示すように、第10実施形態に係る認証システム10が動作する際には、視線誘導部200が誘導情報を出力して対象の視線を誘導しつつ、画像取得部110が対象から複数の虹彩画像を取得する(ステップS901)。例えば、視線方向を右方向に誘導する誘導情報が出力された状態で、対象が右を向いた画像が取得される。そして。視線方向を左方向に誘導する誘導情報が出力された状態で、対象が左を向いた画像が取得される。
【0125】
続いて、虹彩認証部120が、画像取得部110で取得された複数の虹彩画像(即ち、視線の誘導によって取得された複数角度の虹彩画像)を用いて虹彩認証を行う(ステップS102)。そして、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。
【0126】
(誘導表示の例)
次に、
図24及び
図25を参照しながら、第10実施形態に係る認証システム10(具体的には、視線誘導部200)による誘導情報の出力例について説明する。
図24は、視線方向を誘導する誘導表示の一例を示す平面図(その1)である。
図25は、視線方向を誘導する誘導表示の一例を示す平面図(その2)である。
【0127】
図24に示すように、誘導情報は、画面上に表示した点を対象に注視させ、視線を誘導したい方向に点を移動させるようなものであってよい。例えば、
図24(a)に示す例では、点が画面中心を起点として上、下、左、右に順次移動する。このようにすれば、対象の目が上、下、左、右を向いた画像を取得することができる。また、
図24(b)に示す例では、点が画面上を一周するように移動する。このようにすれば、ユーザの目が様々な方向を向いた画像を取得することができる。なお、上述した表示に加えて、例えば「画面上で移動する点を目で追ってください」等のメッセージが表示されてもよい。また、目と一緒に顔を動かさないように、「顔は固定したまま、画面上で移動する点を目で追ってください」等のメッセージが表示されてもよい。このようなメッセージは、音声で出力されてもよい。
【0128】
図25に示すように、誘導情報は、画面上に表示した対象の顔の周りに、誘導したい方向を示す複数の矢印を表示するものであってよい。例えば、
図25(a)に示すように、対象の顔の周りには、上、右上、右、右下、下、左下、左、左上の8方向の矢印が表示される。このようにすれば、対象の目が上、右上、右、右下、下、左下、左、左上を向いた画像を取得することができる。なお、
図25(b)に示すように、対象が現在向いている方向に対応する矢印を強調表示してもよい。この例では、対象が向かって右を向いているため、右方向の矢印が強調表示されている(例えば、他の矢印とは異なる色で表示されている)。また、すでに誘導が終了した方向については、矢印が消えるようにしてもよい。この例では、上及び右上の誘導が終了しているため、上及び右上を向く矢印が消えている。なお、上述した表示に加えて、例えば「視線を右に向けてください」等のメッセージが表示されてもよい。このようなメッセージは、音声で出力されてもよい。
【0129】
なお、誘導情報は、具体的にどの程度視線を動かせばよいかを示す情報を表示してもよい。例えば、「30度動かしてください」や「5cm動かしてください」等のメッセージが出力されてもよい。また、視線推定技術により、視線を動かした程度を推定して、動かす量が足りない場合には、「もっと大きく動かしてください」というメッセージを表示したり、逆に大きく動かしすぎる場合には、「動かす量を減らして下さい」といったメッセージを表示したりしてもよい。あるいは、表示する代わりに、音声で出力するようにしてもよい。
【0130】
上述した誘導はあくまで一例であり、その他の構成によって誘導を行ってもよい。例えば、画面の周囲にLEDライトを設けておき、誘導したい方向のLEDライトを点灯又は点滅させるようにしてもよい。あるいは、画像は表示せずに「視線を右に動かしてください」といったメッセージを表示したり、単に音声で「視線を右に動かしてください」といったメッセージが出力されるようになっていたりしてもよい。
【0131】
(技術的効果)
次に、第10実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0132】
図22から
図25で説明したように、第10実施形態に係る認証システム10では、対象の視線方向を誘導する誘導情報が出力される。このようにすれば、対象の視線方向を誘導したい方向に変化させることができるため、対象の目を複数の角度で撮像することが容易となる。なお、上述した実施形態では、対象の視線方向を誘導する構成について説明したが、対象の顔の向きを誘導するようにしても同様の効果が得られる。
【0133】
<第11実施形態>
第11実施形態に係る認証システム10について、
図26及び
図27を参照して説明する。なお、第11実施形態は、上述した第10実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第10実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0134】
(機能的構成)
まず、
図26を参照しながら、第11実施形態に係る認証システム10の機能的構成について説明する。
図26は、第11実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図26では、
図22で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0135】
図26に示すように、第11実施形態に係る認証システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像取得部110と、虹彩認証部120と、視線誘導部200と、誘導制御部210と、を備えている。即ち、第11実施形態に係る認証システム10は、第10実施形態の構成(
図22参照)に加えて、誘導制御部210を更に備えて構成されている。誘導制御部210は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現される処理ブロックであってよい。
【0136】
誘導制御部210は、視線誘導部200による視線の誘導に関するパラメータ(以下、適宜「誘導パラメータ」と称する)を設定可能に構成されている。誘導パラメータは、視線誘導部200による誘導回数(言い換えれば、誘導する方向の数)、誘導する角度の大きさ(即ち、どれだけ大きく視線を向けてもらうか)、及び誘導する方向等に関するパラメータの少なくとも1つを含んでいてよい。また、本実施形態に係る誘導制御部210は、領域判定部211を備えている。誘導制御部210は、領域判定部211の判定結果に基づいて、上述した誘導パラメータを設定する。
【0137】
領域判定部211は、対象の虹彩可視領域の大きさを判定可能に構成されている。領域判定部211は、例えば対象の画像から虹彩可視領域を特定し、特定した虹彩可視領域の大きさと、予め記憶していた所定閾値とを比較することで、虹彩可視領域の大きさを判定してよい。そして、誘導制御部210は、領域判定部211で判定された虹彩可視領域の大きさに基づいて誘導パラメータを設定する。例えば、誘導制御部210は、領域判定部211で判定された虹彩可視領域が小さいほど、誘導回数を多く、誘導する角度を大きくするように設定してよい。言い換えれば、誘導制御部210は、領域判定部211で判定された虹彩可視領域が大きいほど、誘導回数を少なく、誘導する角度を小さくするように設定してよい。なお、誘導制御部210は、誘導回数のみを設定してもよいし、誘導する角度のみを設定してもよいし、誘導回数及び誘導する角度の両方を設定してもよい。
【0138】
(動作の流れ)
次に、
図27を参照しながら、第11実施形態に係る認証システム10による動作の流れについて説明する。
図27は、第11実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図27では、
図23で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0139】
図27に示すように、第11実施形態に係る認証システム10が動作する際には、まず画像取得部110が、虹彩可視領域を判定する際に用いる画像を取得する(ステップS1001)。そして、領域判定部211が、画像取得部110で取得された画像から虹彩可視領域を特定する(ステップS1002)。その後、誘導制御部210が、特定した虹彩可視領域の大きさに基づいて、誘導パラメータを設定する(ステップS1003)。
【0140】
続いて、視線誘導部200が誘導情報(具体的には、誘導制御部210で設定された誘導パラメータに基づく誘導情報)を出力して対象の視線を誘導しつつ、画像取得部110が対象から複数の虹彩画像を取得する(ステップS901)。そして、虹彩認証部120が、画像取得部110で取得された複数の虹彩画像を用いて虹彩認証を行う(ステップS102)。そして、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。
【0141】
(技術的効果)
次に、第11実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0142】
図26及び
図27で説明したように、第11実施形態に係る認証システム10では、虹彩可視領域の大きさに基づいて誘導パラメータが設定される。このようにすれば、虹彩可視領域が比較的小さい場合には、回数の多い誘導又は角度の大きな誘導が行われることになり、複数の虹彩画像から虹彩に関する情報をより多く取得可能となる。よって、虹彩可視領域が小さい場合であっても、高精度な虹彩認証が行える。一方で、虹彩可視領域が比較的大きい場合には、回数の少ない誘導又は角度の小さな誘導が行われることになり、ユーザの負担を増加させることなく虹彩認証が行える。
【0143】
<第12実施形態>
第12実施形態に係る認証システム10について、
図28及び
図29を参照して説明する。なお、第12実施形態は、上述した第9及び第11実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第11実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0144】
(機能的構成)
まず、
図28を参照しながら、第12実施形態に係る認証システム10の機能的構成について説明する。
図28は、第12実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図28では、
図26で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0145】
図28に示すように、第12実施形態に係る認証システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像取得部110と、虹彩認証部120と、視線誘導部200と、誘導制御部210と、を備えている。そして特に、第12実施形態に係る誘導制御部210は、中心判定部212を備えて構成されている。
【0146】
中心判定部212は、対象が装着している着色コンタクトレンズ50の中心位置と、対象の瞳孔21の中心位置と、を判定可能に構成されている。中心判定部212は、例えば対象の画像から着色コンタクトレンズ50及び瞳孔21の領域を特定し、特定した着色コンタクトレンズ20及び瞳孔21の各々の中心位置を判定してよい。そして、誘導制御部210は、中心判定部212で判定された各中心位置に基づいて誘導パラメータを設定する。例えば、誘導制御部210は、着色コンタクトレンズ50の中心位置と、瞳孔21との中心位置とが一致せず、特定の方向にずれている場合には、その逆方向に視線を誘導するように誘導パラメータを設定してよい。
【0147】
(動作の流れ)
次に、
図29を参照しながら、第12実施形態に係る認証システム10による動作の流れについて説明する。
図29は、第12実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図29では、
図23で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0148】
図29に示すように、第12実施形態に係る認証システム10が動作する際には、まず画像取得部110が、着色コンタクトレンズ50及び瞳孔21の中心位置を判定する際に用いる画像を取得する(ステップS1101)。そして、中心判定部212が、画像取得部110で取得された画像から着色コンタクトレンズ50の中心位置を特定する(ステップS1102)。また、中心判定部212は、画像取得部110で取得された画像から瞳孔21の中心位置を特定する(ステップS1103)。その後、誘導制御部210が、特定した着色コンタクトレンズ50及び瞳孔21の中心位置に基づいて、誘導パラメータを設定する(ステップS1104)。
【0149】
続いて、視線誘導部200が誘導情報(具体的には、誘導制御部210で設定された誘導パラメータに基づく誘導情報)を出力して対象の視線を誘導しつつ、画像取得部110が対象から複数の虹彩画像を取得する(ステップS901)。そして、虹彩認証部120が、画像取得部110で取得された複数の虹彩画像を用いて虹彩認証を行う(ステップS102)。そして、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。
【0150】
(技術的効果)
次に、第12実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0151】
図28及び
図29で説明したように、第12実施形態に係る認証システム10では、着色コンタクトレンズ50及び瞳孔21の中心位置に基づいて誘導パラメータが設定される。このようにすれば、対象の視線が適切な方向に誘導されることになり、少ない回数で効率的に虹彩22に関する情報を取得できる。よって、ユーザの負担を増加させることなく、高精度な虹彩認証を実現することが可能である。
【0152】
<第13実施形態>
第13実施形態に係る認証システム10について、
図30及び
図31を参照して説明する。なお、第13実施形態は、上述した第9から第12実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第12実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0153】
(機能的構成)
まず、
図30を参照しながら、第13実施形態に係る認証システム10の機能的構成について説明する。
図30は、第13実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図30では、
図26で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0154】
図30に示すように、第12実施形態に係る認証システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像取得部110と、虹彩認証部120と、視線誘導部200と、誘導制御部210と、を備えている。そして特に、第13実施形態に係る誘導制御部210は、眼鏡検出部213を備えて構成されている。
【0155】
眼鏡検出部213は、対象が眼鏡を装着しているか否かを検出可能に構成されている。眼鏡検出部213、例えば対象の画像から眼鏡を検出してよい。眼鏡を検出する手法については、既存の技術を適宜採用することができるため、ここでの詳細な説明は省略する。そして、誘導制御部210は、眼鏡検出部213による検出結果に基づいて誘導パラメータを設定する。例えば、誘導制御部210は、眼鏡検出部213で眼鏡が検出された場合に、誘導回数を多く、誘導する角度を大きくするように設定してよい。また、誘導制御部210は、眼鏡検出部213で眼鏡が検出されない場合に、誘導回数を少なく、誘導する角度を小さくするように設定してよい。また、誘導制御部210は、眼鏡に加えて着色コンタクトレンズ50が検出された場合には、眼鏡のみが検出された場合よりも、誘導回数を多く、誘導する角度を大きくするように設定してもよい。なお、誘導制御部210は、誘導回数のみを設定してもよいし、誘導する角度のみを設定してもよいし、誘導回数及び誘導する角度の両方を設定してもよい。
【0156】
(動作の流れ)
次に、
図31を参照しながら、第13実施形態に係る認証システム10による動作の流れについて説明する。
図31は、第13実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図31では、
図23で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0157】
図31に示すように、第13実施形態に係る認証システム10が動作する際には、まず画像取得部110が、眼鏡の検出に用いる画像を取得する(ステップS1201)。そして、眼鏡検出部213が、画像取得部110で取得された画像から眼鏡の有無を検出する(ステップS1202)。その後、誘導制御部210が、眼鏡の検出結果に基づいて、誘導パラメータを設定する(ステップS1203)。
【0158】
続いて、視線誘導部200が誘導情報(具体的には、誘導制御部210で設定された誘導パラメータに基づく誘導情報)を出力して対象の視線を誘導しつつ、画像取得部110が対象から複数の虹彩画像を取得する(ステップS901)。そして、虹彩認証部120が、画像取得部110で取得された複数の虹彩画像を用いて虹彩認証を行う(ステップS102)。そして、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。
【0159】
(技術的効果)
次に、第13実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0160】
図30及び
図31で説明したように、第13実施形態に係る認証システム10では、対象が眼鏡を装着しているか否かによって誘導パラメータが設定される。このようにすれば、眼鏡が検出されている場合に、回数の多い誘導又は角度の大きな誘導が行われることになり、複数の虹彩画像から虹彩に関する情報をより多く取得可能となる。よって、眼鏡の存在に起因して虹彩22の情報が取得しにくい場合であっても、高精度な虹彩認証が行える。一方で、眼鏡が検出されていない場合には、回数の少ない誘導又は角度の小さな誘導が行われることになり、ユーザの負担を増加させることなく虹彩認証が行える。
【0161】
<第14実施形態>
第14実施形態に係る認証システム10について、
図32及び
図33を参照して説明する。なお、第14実施形態は、上述した第9から第13実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第13実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0162】
(機能的構成)
まず、
図32を参照しながら、第14実施形態に係る認証システム10の機能的構成について説明する。
図32は、第14実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図32では、
図22で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0163】
図32に示すように、第14実施形態に係る認証システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像取得部110と、虹彩認証部120と、視線誘導部200と、認証可否判定部220と、を備えている。即ち、第14実施形態に係る認証システム10は、第10実施形態の構成(
図22参照)に加えて、認証可否判定部220を更に備えて構成されている。認証可否判定部220は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現される処理ブロックであってよい。
【0164】
認証可否判定部220は、複数の画像における虹彩可視領域の合計(言い換えれば、複数の画像から取得可能な虹彩22に関する情報の合計)が、虹彩認証において要求される値に達しているか否かを判定可能に構成されている。認証可否判定部220は、例えば複数の画像を合成した合成画像(第3実施形態参照)に基づいて判定を行ってよい。或いは、認証可否判定部220は、複数の画像から抽出した特徴量を合成した合成特徴量(第5実施形態参照)に基づいて判定を行ってもよい。
【0165】
第14実施形態に係る視線誘導部200は、認証可否判定部220の判定結果に応じて誘導情報を出力可能に構成されている。具体的には、視線誘導部200は、虹彩可視領域の合計が、虹彩認証において要求される値に達していない場合に、新たな誘導情報を出力するように構成されている。
【0166】
(動作の流れ)
次に、
図33を参照しながら、第14実施形態に係る認証システム10による動作の流れについて説明する。
図33は、第14実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図33では、
図23で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0167】
図33に示すように、第14実施形態に係る認証システム10が動作する際には、まず視線誘導部200が誘導情報を出力して対象の視線を誘導しつつ、画像取得部110が対象から虹彩画像を取得する(ステップS1301)。そして、認証可否判定部220が、ここまでに撮像された画像から虹彩可視領域の合計を算出する(ステップS1302)。
【0168】
続いて、認証可否判定部220は、算出した虹彩可視領域の合計が虹彩認証において要求される値に達しているか(言い換えれば、ここまで撮像した画像だけで適切な虹彩認証を実行できるか)を判定する(ステップS1303)。そして、虹彩可視領域の合計が虹彩認証において要求される値に達していない場合(ステップS1303:NO)、再びステップS1301から処理が開始される。即ち、視線誘導部200から新たな誘導情報が出力され、画像取得部110が対象から新たな虹彩画像を取得する。この結果、虹彩可視領域の合計が虹彩認証において要求される値に達するまで、誘導及び画像の取得が繰り返されることになる。
【0169】
なお、新たに出力される誘導情報は、現時点で不足している虹彩領域に対応するものであってもよい。例えば、対象が右を向いた場合の虹彩可視領域が不足している場合には、対象に右を向くような誘導情報が出力されてよい。このような動作を実現するために、認証可否判定部220は、不足している虹彩可視領域を特定するための機能を有するように構成されてよい。
【0170】
他方で、虹彩可視領域の合計が虹彩認証において要求される値に達している場合(ステップS1303:YES)、虹彩認証部120が、画像取得部110で取得された複数の虹彩画像を用いて虹彩認証を行う(ステップS102)。そして、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。
【0171】
(技術的効果)
次に、第14実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0172】
図32及び
図33で説明したように、第14実施形態に係る認証システム10では、虹彩可視領域の合計が虹彩認証において要求される値に達していない場合に、新たな誘導情報が出力される。このようにすれば、虹彩認証に適した枚数の画像を確実に取得することができる。よって、高精度の虹彩認証を実現することができる。また、要求される値に達した時点で誘導情報の出力が停止するようにすれば、虹彩認証に不必要な枚数の画像が取得されてしまうこと(即ち、無駄に多い画像が取得されてしまうこと)を防止することができる。
【0173】
<第15実施形態>
第15実施形態に係る認証システム10について、
図34から
図36を参照して説明する。なお、第15実施形態は、上述した第9から第14実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第14実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0174】
(機能的構成)
まず、
図34を参照しながら、第15実施形態に係る認証システム10の機能的構成について説明する。
図34は、第15実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図34では、
図22で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0175】
図34に示すように、第15実施形態に係る認証システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像取得部110と、虹彩認証部120と、視線誘導部200と、誘導情報取得部230と、対象情報取得部240と、コンタクト情報取得部250と、記憶部260と、対象判定部270と、を備えている。即ち、第15実施形態に係る認証システム10は、第10実施形態の構成(
図22参照)に加えて、誘導情報取得部230と、対象情報取得部240と、コンタクト情報取得部250と、記憶部260と、対象判定部270と、を更に備えて構成されている。なお、誘導情報取得部230、対象情報取得部240、コンタクト情報取得部250、及び対象判定部270の各々は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現される処理ブロックであってよい。また、記憶部260は、例えば上述した記憶装置14(
図1参照)によって実現されるデータベースであってよい。
【0176】
誘導情報取得部230は、視線誘導部200が出力した過去の誘導情報を取得可能に構成されている。誘導情報は、誘導する回数、誘導する角度の大きさ、及び誘導する方向等に関する情報を含んでいてよい。誘導情報取得部230で取得された誘導情報は、記憶部260に出力される構成となっている。
【0177】
対象情報取得部240は、対象を特定するための情報(以下、適宜「対象情報」と称する)を取得可能に構成されている。対象情報は、例えば対象の氏名、住所、性別、年齢等の個人情報や、生体情報(例えば、顔や虹彩の特徴量等)を含んでいてよい。対象情報取得部240は、画像取得部110で取得された対象の画像から対象情報を取得してもよい。また、対象情報取得部240は、対象が保有する端末やカード等から対象情報を取得してもよい。対象情報取得部240で取得された対象情報は、記憶部260に出力される構成となっている。
【0178】
コンタクト情報取得部250は、対象が装着していた着色コンタクトレンズ50を特定するための情報(以下、適宜「コンタクト情報」と称する)を取得可能に構成されている。コンタクト情報は、コンタクトの大きさや模様に関する情報を含んでいてよい。コンタクト情報取得部250は、画像取得部110で取得された対象の画像からコンタクト情報を取得してもよい。コンタクト情報取得部250で取得されたコンタクト情報は、記憶部260に出力される構成となっている。
【0179】
記憶部260は、誘導情報取得部230で取得された誘導情報と、対象情報取得部240で取得された対象情報と、コンタクト情報取得部250で取得されたコンタクト情報と、を紐付けて記憶可能に構成されている。記憶部260に記憶された各情報は、対象判定部270によって適宜読み出し可能に構成されている。
【0180】
対象判定部270は、画像取得部110で取得された画像から対象及び対象が装着している着色コンタクトレンズ50を特定し、その対象と着色コンタクトレンズ50との組み合わせが、記憶部260に記憶されているか否かを判定可能に構成されている。また、対象判定部270は、対象と着色コンタクトレンズ50との組み合わせが記憶部260に記憶されている場合に、それらと紐付いて記憶されている誘導情報を読み出し、その誘導情報に基づく誘導を行うように、視線誘導部200を制御可能に構成されている。なお、着色コンタクトレンズを特定するというのは、同一の着色コンタクトレンズであるかどうかだけでなく、同様の性質をもった同種類のコンタクトレンズかどうかを判定してもよい。例えば、模様は異なるが、内円の半径が同じかどうかといった点を判定し、模様は異なっていても、内円の半径がほぼ同じであれば、同種類の着色コンタクトレンズとみなしてもよい。あるいは、模様の濃さの類似度で同種類かどうかを判定してもよい。
【0181】
(記憶動作)
次に、
図35を参照しながら、第15実施形態に係る認証システム10による記憶動作(即ち、記憶部260に情報を蓄積する際の動作)の流れについて説明する。
図35は、第15実施形態に係る認証システムによる記憶動作の流れを示すフローチャートである。
【0182】
図35に示すように、第15実施形態に係る認証システム10による記憶動作では、まず誘導情報取得部230が誘導情報を取得する(ステップS1401)。また、対象情報取得部240が対象情報を取得する(ステップS1402)。また、コンタクト情報取得部250がコンタクト情報を取得する(ステップS1403)。なお、ステップS1401からS1403の処理は相前後して実行されてもよいし、同時に並行して実行されてもよい。
【0183】
続いて、記憶部260が、誘導情報取得部230で取得された誘導情報と、対象情報取得部240で取得された対象情報と、コンタクト情報取得部250で取得されたコンタクト情報と、を紐付けて記憶する(ステップS1404)。
【0184】
(認証動作)
次に、
図36を参照しながら、第15実施形態に係る認証システム10による認証動作(即ち、対象の画像を取得して虹彩認証を行う際の動作)の流れについて説明する。
図36は、第15実施形態に係る認証システムによる認証動作の流れを示すフローチャートである。
【0185】
図36に示すように、第15実施形態に係る認証システム10による認証動作では、まず画像取得部110が、対象及び着色コンタクトレンズ50を特定するための画像を取得する(ステップS1411)。そして、対象判定部270が、対象及び着色コンタクトレンズ50を特定する(ステップS1412)。
【0186】
続いて、対象判定部270は、特定した対象と着色コンタクトレンズ50との組み合わせが、記憶部260に記憶されているかを判定する(ステップS1413)。言い換えれば、対象判定部270は、その対象が過去に同じ着色コンタクトレンズ50を装着して虹彩認証を行ったことがあるか否かを判定する。
【0187】
対象と着色コンタクトレンズ50との組み合わせが、記憶部260に記憶されている場合(ステップS1413:YES)、対象判定部270は、その組み合わせに紐付いて記憶されている誘導情報を読み出す(ステップS1414)。そして、対象判定部270は、読み出した誘導情報に基づく誘導を行うように視線誘導部200を制御し、それに合わせて画像取得部110が複数の対象の画像を取得する(ステップS1415)。
【0188】
一方、対象と着色コンタクトレンズ50との組み合わせが、記憶部260に記憶されていない場合(ステップS1413:NO)、対象判定部270は、上述した誘導情報の読み出しや視線誘導部200の制御は行わない。この場合、視線誘導部200が通常通り誘導を行いつつ、画像取得部110が複数の対象の画像を取得する(ステップS1416)。
【0189】
その後、虹彩認証部120が、画像取得部110で取得された複数の虹彩画像を用いて虹彩認証を行う(ステップS102)。そして、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。
【0190】
(技術的効果)
次に、第15実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0191】
図34から
図36で説明したように、第15実施形態に係る認証システム10では、対象が過去に同じ、あるいは同種類の着色コンタクトレンズ50を装着して虹彩認証を行ったことがある場合に、過去の誘導情報を用いて視線の誘導が行われる。このようにすれば、過去の誘導情報を利用してより効率的な誘導を行うことが可能となる。
【0192】
<第16実施形態>
第16実施形態に係る認証システム10について、
図37及び
図38を参照して説明する。なお、第16実施形態は、上述した第1から第15実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第15実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0193】
(機能的構成)
まず、
図37を参照しながら、第16実施形態に係る認証システム10の機能的構成について説明する。
図37は、第16実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図37では、
図2で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0194】
図37に示すように、第16実施形態に係る認証システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像取得部110と、虹彩認証部120と、カメラ位置制御部300と、備えている。即ち、第16実施形態に係る認証システム10は、第1実施形態の構成(
図2参照)に加えて、カメラ位置制御部300を更に備えて構成されている。カメラ位置制御部300は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現される処理ブロックであってよい。
【0195】
カメラ位置制御部300は、対象の目を複数の角度から撮像するために、カメラ18の位置を制御可能に構成されている。具体的には、カメラ位置制御部300は、対象に対するカメラ18の相対的な位置を変化させることで、対象の目の画像を複数の角度から撮像可能に構成されている。
【0196】
(動作の流れ)
次に、
図38を参照しながら、第16実施形態に係る認証システム10による動作の流れについて説明する。
図38は、第16実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図38では、
図5で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0197】
図38に示すように、第16実施形態に係る認証システム10が動作する際には、まずカメラ位置制御部300がカメラ18の位置を移動させつつ、画像取得部110が対象から複数の虹彩画像を取得する(ステップS1501)。例えば、カメラ位置制御部300は、まずカメラ18を対象の正面に配置して対象の画像を撮像する。その後、カメラ位置制御部300は、カメラ18を対象の右側に移動させて対象の画像を撮像する。なお、カメラ18の移動に加えて、上述した実施形態で説明した視線誘導を行ってもよい。即ち、視線誘導とカメラ18の移動との両方を実行することで、異なる角度から撮像された複数の画像を取得するようにしてもよい。
【0198】
続いて、虹彩認証部120が、画像取得部110で取得された複数の虹彩画像(即ち、カメラ18の移動によって取得された複数角度の虹彩画像)を用いて虹彩認証を行う(ステップS102)。そして、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。
【0199】
(技術的効果)
次に、第16実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0200】
図37及び
図38で説明したように、第16実施形態に係る認証システム10では、カメラ18の位置を制御して複数の画像が撮像される。このようにすれば、対象自身が目を動かすことなく、複数の角度から対象の目を撮像することが可能となる。或いは、対象自身が目を動かす距離(角度)を小さくすることができる。よって、対象の負担を増加させることなく、高精度の虹彩認証を行うことができる。
【0201】
<第17実施形態>
第17実施形態に係る認証システム10について、
図39及び
図40を参照して説明する。なお、第17実施形態は、上述した第1から第16実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第16実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0202】
(機能的構成)
まず、
図39を参照しながら、第17実施形態に係る認証システム10の機能的構成について説明する。
図39は、第17実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図39では、
図2で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0203】
図39に示すように、第17実施形態に係る認証システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像取得部110と、虹彩認証部120と、複数カメラ制御部310と、備えている。即ち、第17実施形態に係る認証システム10は、第1実施形態の構成(
図2参照)に加えて、複数カメラ制御部310を更に備えて構成されている。複数カメラ制御部310は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現される処理ブロックであってよい。
【0204】
複数カメラ制御部310は、複数のカメラ18を制御可能に構成されている。複数カメラ制御部310によって制御される複数のカメラは、対象の目に対して互いに異なる角度に設置されている。即ち、複数カメラ制御部310は、複数のカメラ18の各々を制御することで、対象の目を複数の角度から撮像させる。
【0205】
(複数カメラの配置及び制御動作)
次に、
図40を参照しながら、第17実施形態に係る認証システム10(具体的には、複数カメラ制御部310)によって制御される複数のカメラ配置位置、及びそれらの制御動作について説明する。
図40は、第17実施形態に係る認証システムによって制御される複数のカメラの位置関係を示す平面図である。
【0206】
図40に示すように、第17実施形態に係る認証システム10が制御するカメラ18は、対象の目を上側から撮像するように配置されたカメラ18a、下側から撮像するように配置されたカメラ18b、左側から撮像するように配置されたカメラ18c、右側から撮像するように配置されたカメラ18dであってよい。この場合、複数カメラ制御部310は、カメラ18a、18b、18c、及び18dによる撮像を順次行うように制御してよい。例えば、複数カメラ制御部310は、カメラ18aでの撮像が終了した後にカメラ18bによる撮像を行い、カメラ18bでの撮像が終了した後にカメラ18cによる撮像を行い、カメラ18cでの撮像が終了した後にカメラ18dの撮像を行うようにしてもよい。或いは、複数カメラ制御部310は、カメラ18a、18b、18c、及び18dの少なくとも2つによる撮像を同時に行うように制御してよい。例えば、複数カメラ制御部310は、カメラ18a、18b、18c、及び18dの全てで同時に撮像を行ってもよいし、カメラ18a及び18bで同時に撮像を行った後に、カメラ18c及び18dで同時に撮像を行うようにしてもよい。
【0207】
(技術的効果)
次に、第17実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0208】
図39及び
図40で説明したように、第17実施形態に係る認証システム10では、複数のカメラ18を制御することで複数の画像が撮像される。このようにすれば、対象自身が目を動かさすことなく、複数の角度から対象の目を撮像することが可能となる。よって、対象の負担を増加させることなく、高精度の虹彩認証を行うことができる。
【0209】
<第18実施形態>
第18実施形態に係る認証システム10について、
図41及び
図42を参照して説明する。なお、第18実施形態は、上述した第1から第16実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第16実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0210】
(機能的構成)
まず、
図41を参照しながら、第18実施形態に係る認証システム10の機能的構成について説明する。
図41は、第18実施形態に係る認証システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図41では、
図2で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0211】
図41に示すように、第18実施形態に係る認証システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像取得部110と、虹彩認証部120と、虹彩可視領域特定部410と、生体情報取得部420と、生体認証部430と、備えている。即ち、第18実施形態に係る認証システム10は、第1実施形態の構成(
図2参照)に加えて、虹彩可視領域特定部410と、生体情報取得部420と、生体認証部430と、を更に備えて構成されている。虹彩可視領域特定部410、生体情報取得部420、及び生体認証部430の各々は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現される処理ブロックであってよい。
【0212】
虹彩可視領域特定部410は、対象の虹彩可視領域を特定可能に構成されている。虹彩可視領域特定部410は、例えば対象の画像から虹彩可視領域を特定する。また、虹彩可視領域特定部410は、特定した虹彩可視領域が所定値よりも小さいか否かを判定可能に構成されている。ここでの「所定値」は、虹彩認証を適切に実行するために要求される虹彩可視領域の大きさに対応する値である。虹彩可視領域特定部410は、虹彩可視領域が所定値よりも小さい場合に、後述する生体認証部430による生体認証を実行するように制御する。
【0213】
生体情報取得部420は、生体認証部430による生体認証に用いられる生体情報を対象から取得可能に構成されている。生体情報取得部420は、画像取得部110で取得された対象の画像(例えば、虹彩画像)から生体情報を取得可能に構成されてよい。ただし、生体情報取得部420が取得する生体情報は、虹彩認証部120が用いる生体情報(即ち、虹彩に関する情報)とは異なる情報である。生体情報取得部420が取得する生体情報の一例としては、網膜情報、目周辺情報(ペリオキュラー情報)等が挙げられる。
【0214】
生体認証部430は、生体情報取得部420で取得された生体情報を用いて生体認証を実行可能に構成されている。生体認証部430は、虹彩認証部120が用いる生体情報とは異なる情報を用いて生体認証を行う。生体認証部430における認証結果は、虹彩認証120における認証結果と統合して出力されてよい。
【0215】
(動作の流れ)
次に、
図42を参照しながら、第18実施形態に係る認証システム10による動作の流れについて説明する。
図42は、第18実施形態に係る認証システムによる動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図42では、
図5で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0216】
図42に示すように、第18実施形態に係る認証システム10が動作する際には、まず画像取得部110が、虹彩可視領域を特定するための画像を取得する(ステップS1601)。そして、虹彩可視領域特定部410が、画像取得部110で取得された画像に基づいて虹彩可視領域を特定する(ステップS1602)。
【0217】
続いて、虹彩可視領域特定部410は、特定した虹彩可視領域が所定値よりも小さいか否かを判定する(ステップS1603)。虹彩可視領域が所定位置より小さい場合(ステップS1603:YES)、生体情報取得部420が、対象の画像から虹彩以外の生体情報を取得する(ステップS1604)。そして、虹彩認証部120による虹彩認証と、生体認証部430による生体認証が行われる(ステップS1605)。その後、虹彩認証部120による認証結果と、生体認証部430による認証結果が統合して出力される(ステップS1606)。
【0218】
他方虹彩可視領域が所定位置より大きい場合(ステップS1603:NO)、画像取得部110で取得された複数の虹彩画像を用いて虹彩認証を行う(ステップS102)。即ち、この場合は、生体認証部430による生体認証は行われない。そして、虹彩認証部120は、虹彩認証の結果を出力する(ステップS103)。
【0219】
(技術的効果)
次に、第18実施形態に係る認証システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0220】
図41及び
図42で説明したように、第18実施形態に係る認証システム10では、虹彩可視領域が所定値よりも小さい場合に、虹彩以外の生体情報を用いた生体認証が行われる。このようにすれば、虹彩可視領域が小さいことに起因して虹彩認証の精度が低下するおそれがあるような状況であっても、虹彩以外の生体情報を用いた生体認証によって、全体としての認証精度を補償することができる。
【0221】
上述した各実施形態の機能を実現するように該実施形態の構成を動作させるプログラムを記録媒体に記録させ、該記録媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記録媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記録媒体はもちろん、そのプログラム自体も各実施形態に含まれる。更に、プログラム自体がサーバに記憶され、ユーザ端末にサーバからプログラムの一部または全てをダウンロード可能としてもよい。
【0222】
記録媒体としては例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。また該記録媒体に記録されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作して処理を実行するものも各実施形態の範疇に含まれる。
【0223】
<付記>
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0224】
(付記1)
付記1に記載の認証システムは、着色コンタクトレンズを装着している対象の目が複数の角度から撮像された複数の画像を取得する画像取得手段と、前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行う虹彩認証手段と、を備える認証システムである。
【0225】
(付記2)
付記2に記載の認証システムは、前記対象が前記着色コンタクトレンズを装着していることを検出する検出手段を更に備え、前記虹彩認証手段は、前記対象が前記着色コンタクトレンズを装着している場合に前記複数の画像を用いて虹彩認証を行い、前記対象が前記着色コンタクトレンズを装着していない場合に前記複数の画像よりも少ない画像を用いて虹彩認証を行う、付記1に記載の認証システムである。
【0226】
(付記3)
付記3に記載の認証システムは、前記複数の画像における前記着色コンタクトレンズに隠れていない虹彩領域を合成して合成画像を生成する画像合成手段を更に備え、前記虹彩認証手段は、前記合成画像を用いて前記対象の虹彩認証を行う、付記1又は2に記載の認証システムである。
【0227】
(付記4)
付記4に記載の認証システムは、前記画像合成手段は、前記複数の画像の各々の瞳孔の大きさを揃える補正を行ったうえで、前記合成画像を生成する、付記3に記載の認証システムである。
【0228】
(付記5)
付記5に記載の認証システムは、前記複数の画像における前記着色コンタクトレンズに隠れていない虹彩領域の特徴量を合成して合成特徴量を生成する特徴量合成手段を更に備え、前記虹彩認証手段は、前記合成特徴量を用いて前記対象の虹彩認証を行う、付記1又は2に記載の認証システムである。
【0229】
(付記6)
付記6に記載の認証システムは、前記特徴量合成手段は、前記複数の画像の各々から抽出した複数の特徴量について、共通する領域の特徴量の一致度が高くなるように位置補正を行ってから、前記合成特徴量を生成する、付記5に記載の認証システムである。
【0230】
(付記7)
付記7に記載の認証システムは、虹彩全体に対する、前記着色コンタクトレンズに隠れていない虹彩領域の割合に基づいて、前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行うか否かを決定する第1決定手段を更に備える、付記1から6のいずれか一項に記載の認証システムである。
【0231】
(付記8)
付記8に記載の認証システムは、前記着色コンタクトレンズの内円の半径から前記対象の瞳孔の半径を引いた値と、前記対象の虹彩の半径から前記対象の瞳孔の半径を引いた値とに基づいて、前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行うか否かを決定する第2決定手段を更に備える、付記1から6のいずれか一項に記載の認証システムである。
【0232】
(付記9)
付記9に記載の認証システムは、前記対象の目を複数の角度から撮像するために、前記対象の視線を誘導する視線誘導手段を更に備える、付記1から8のいずれか一項に記載の認証システムである。
【0233】
(付記10)
付記10に記載の認証システムは、前記視線誘導手段は、前記着色コンタクトレンズに隠れていない虹彩領域の大きさに基づいて、前記対象の視線を誘導する回数及び誘導する視線角度の大きさの少なくとも一方を変更する、付記9に記載の認証システムである。
【0234】
(付記11)
付記11に記載の認証システムは、前記視線誘導手段は、前記着色コンタクトレンズの中心位置と、前記対象の瞳孔の中心位置とに基づいて、前記対象の視線を誘導する方向を変更する、付記9又は10に記載の認証システムである。
【0235】
(付記12)
付記12に記載の認証システムは、前記視線誘導手段は、前記対象が眼鏡をかけているか否かに基づいて、前記対象の視線を誘導する回数及び誘導する視線角度の大きさの少なくとも一方を変更する、付記9から11のいずれか一項に記載の認証システムである。
【0236】
(付記13)
付記13に記載の認証システムは、前記視線誘導手段は、前記複数の画像における前記着色コンタクトレンズに隠れていない虹彩領域の合計を示す値が虹彩認証において要求される値に達していない場合に、更に前記対象の視線を誘導する、付記9から12のいずれか一項に記載の認証システムである。
【0237】
(付記14)
付記14に記載の認証システムは、前記対象と、前記対象が装着している前記着色コンタクトレンズと、前記視線誘導手段による前記対象の視線の誘導に関する誘導情報と、を紐付けて記憶する記憶手段を更に備え、前記視線誘導手段は、前記対象が紐付けて記憶された前記着色コンタクトレンズを装着している場合に、前記対象及び前記着色コンタクトレンズに紐付いて記憶された前記誘導情報に基づいて視線を誘導する、付記9から13のいずれか一項に記載の認証システムである。
【0238】
(付記15)
付記15に記載の認証システムは、前記対象の目を複数の角度から撮像するために、前記対象の目を撮像する撮像手段の位置を変更する位置変更手段を更に備える、付記1から14のいずれか一項に記載の認証システムである。
【0239】
(付記16)
付記16に記載の認証システムは、前記画像取得手段は、前記対象の目を互いに異なる角度で撮像するように設置された複数の撮像手段から、前記複数の画像を取得する、付記1から15のいずれか一項に記載の認証システムである。
【0240】
(付記17)
付記17に記載の認証システムは、前記着色コンタクトレンズに隠れていない虹彩領域が所定値よりも小さい場合に、前記複数の画像から取得可能な前記虹彩とは異なる生体情報を用いる認証処理を実行する生体認証手段を更に備える、付記1から16のいずれか一項に記載の認証システムである。
【0241】
(付記18)
付記18に記載の認証装置は、着色コンタクトレンズを装着している対象の目が複数の角度から撮像された複数の画像を取得する画像取得手段と、前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行う虹彩認証手段と、を備える認証装置である。
【0242】
(付記19)
付記19に記載の認証方法は、少なくとも1つのコンピュータが実行する認証方法であって、着色コンタクトレンズを装着している対象の目が複数の角度から撮像された複数の画像を取得し、前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行う、認証方法である。
【0243】
(付記20)
付記20に記載の記録媒体は、少なくとも1つのコンピュータに、着色コンタクトレンズを装着している対象の目が複数の角度から撮像された複数の画像を取得し、前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行う、認証方法を実行させるコンピュータプログラムが記録された記録媒体である。
【0244】
(付記21)
付記21に記載のコンピュータプログラムは、少なくとも1つのコンピュータに、着色コンタクトレンズを装着している対象の目が複数の角度から撮像された複数の画像を取得し、前記複数の画像を用いて前記対象の虹彩認証を行う、認証方法を実行させるコンピュータプログラムである。
【0245】
この開示は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う認証システム、認証装置、認証方法、及び記録媒体もまたこの開示の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0246】
10 認証システム
11 プロセッサ
18 カメラ
21 瞳孔
22 虹彩
50 着色コンタクトレンズ
110 画像取得部
120 虹彩認証部
125 認証結果統合部
130 着色コンタクト検出部
140 合成画像生成部
150 特徴量抽出部
160 合成特徴量生成部
170 第1決定部
180 第2決定部
200 視線誘導部
210 誘導制御部
211 領域判定部
212 中心判定部
213 眼鏡検出部
220 認証可否判定部
230 誘導情報取得部
240 対象情報取得部
250 コンタクト情報取得部
260 記憶部
270 対象判定部
300 カメラ位置制御部
310 複数カメラ制御部
410 虹彩可視領域特定部
420 生体情報取得部
430 生体認証部