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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】エレベータードアの制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/14 20060101AFI20250319BHJP
【FI】
B66B13/14 Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024084712
(22)【出願日】2024-05-24
【審査請求日】2024-05-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 篤志
(72)【発明者】
【氏名】大塚 康司
(72)【発明者】
【氏名】濱田 朗充
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-214952(JP,A)
【文献】国際公開第2016/113769(WO,A1)
【文献】特開2009-220997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/00 - 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのドアの開閉を駆動するモータと、
前記モータの回転速度を検出する速度検出器と、
前記モータの電流値を検出する電流検出器と、
前記ドアの開閉速度に関連する前記モータの回転速度指令値を出力する速度指令部と、
前記モータの回転速度が前記速度指令部から出力された前記回転速度指令値に一致するようにトルク指令値を計算する速度制御部と、
前記ドアの質量を同定するドア質量同定部と、
前記ドア質量同定部により同定された前記ドアの質量の同定値を記憶するドア質量同定値記憶部と、を備え、
前記速度指令部は、第1加減速度の第1速度パターンと、前記第1加減速度より大きい第2加減速度の第2速度パターンとにより、前記回転速度指令値を出力可能であり、
前記ドア質量同定部は、前記速度指令部が前記第2速度パターンにより前記回転速度指令値を出力しているときの、前記モータの前記電流値にトルク定数を乗じて算出されたトルク値と、前記モータの角加速度と、前記ドア質量同定値記憶部に記憶されている前回の同定時における前記ドアの質量の同定値と、を用いて、前記ドアの質量の同定値を逐次的に更新するエレベータードアの制御装置。
【請求項2】
前記ドア質量同定部は、前記モータの前記電流値にトルク定数を乗じて算出されたトルク値、及び、前記モータの角加速度の一方又は両方にフィルタ処理を施したものを用いて、前記ドアの質量の同定値を算出する請求項1に記載のエレベータードアの制御装置。
【請求項3】
エレベーターのドアの開閉を駆動するモータと、
前記モータの回転速度を検出する速度検出器と、
前記ドアの開閉速度に関連する前記モータの回転速度指令値を出力する速度指令部と、
前記モータの回転速度が前記速度指令部から出力された前記回転速度指令値に一致するようにトルク指令値を計算する速度制御部と、
前記ドアの質量を同定するドア質量同定部と、
前記ドア質量同定部により同定された前記ドアの質量の同定値を記憶するドア質量同定値記憶部と、を備え、
前記速度指令部は、第1加減速度の第1速度パターンと、前記第1加減速度より大きい第2加減速度の第2速度パターンとにより、前記回転速度指令値を出力可能であり、
前記ドア質量同定部は、前記速度指令部が前記第2速度パターンにより前記回転速度指令値を出力しているときの、前記モータの前記トルク指令値と、前記モータの角加速度と、前記ドア質量同定値記憶部に記憶されている前回の同定時における前記ドアの質量の同定値と、を用いて、前記ドアの質量の同定値を逐次的に更新するエレベータードアの制御装置。
【請求項4】
前記ドア質量同定部は、前記モータの前記トルク指令値、及び、前記モータの角加速度の一方又は両方にフィルタ処理を施したものを用いて、前記ドアの質量の同定値を算出する請求項に記載のエレベータードアの制御装置。
【請求項5】
前記ドア質量同定部は、複数の階床のそれぞれについて、前記ドアの質量の同定値を算出し、
前記ドア質量同定値記憶部は、複数の前記階床のそれぞれについて、前記ドア質量同定部により同定された前記ドアの質量の同定値を記憶する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベータードアの制御装置。
【請求項6】
前記速度制御部は、前記ドア質量同定値記憶部に記憶されている前記ドアの質量の同定値を用いて前記トルク指令値を算出する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベータードアの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベータードアの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トルクを安定化させることを目的として設定されている同定用の開閉パターンでドアが開閉しているときの加速度とトルクとに基づいて当該階床のドア重量をドア重量同定部によって算出し、各階床毎にドア重量記憶部に記憶するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-220997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エレベーターでは同一建物内においても、施された意匠の違い等に起因してそれぞれの階床ごとに乗場のドアの質量が均一でない場合がある。また、近年では、ドアを含むエレベーターの仕様が多様化しており、乗場のドアに、自社製のものだけでなく、サードパーティ等の他社製のものや、特別仕様のもの等が使用されるケースが増えている。このため、実際のドア質量が当初に想定される範囲から外れており、ドア質量の同定前に設定されたドア質量初期値が実際のドア質量と大きく乖離する場合がある。特許文献1に示されるような技術においては、このような実際のドア質量が当初に想定される範囲から外れている場合等には、ドア質量の同定精度が著しく低下してしまうおそれがある。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものである。その目的は、多様なエレベーターのドアについて、ドア質量の同定精度の向上を図ることができるエレベータードアの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベータードアの制御装置は、エレベーターのドアの開閉を駆動するモータと、前記モータの回転速度を検出する速度検出器と、前記モータの電流値を検出する電流検出器と、前記ドアの開閉速度に関連する前記モータの回転速度指令値を出力する速度指令部と、前記モータの回転速度が前記速度指令部から出力された前記回転速度指令値に一致するようにトルク指令値を計算する速度制御部と、前記ドアの質量を同定するドア質量同定部と、前記ドア質量同定部により同定された前記ドアの質量の同定値を記憶するドア質量同定値記憶部と、を備え、前記速度指令部は、第1加減速度の第1速度パターンと、前記第1加減速度より大きい第2加減速度の第2速度パターンとにより、前記回転速度指令値を出力可能であり、前記ドア質量同定部は、前記速度指令部が前記第2速度パターンにより前記回転速度指令値を出力しているときの、前記モータの前記電流値にトルク定数を乗じて算出されたトルク値と、前記モータの角加速度と、前記ドア質量同定値記憶部に記憶されている前回の同定時における前記ドアの質量の同定値と、を用いて、前記ドアの質量の同定値を逐次的に更新する。
【0007】
あるいは、本開示に係るエレベータードアの制御装置は、エレベーターのドアの開閉を駆動するモータと、前記モータの回転速度を検出する速度検出器と、前記ドアの開閉速度に関連する前記モータの回転速度指令値を出力する速度指令部と、前記モータの回転速度が前記速度指令部から出力された前記回転速度指令値に一致するようにトルク指令値を計算する速度制御部と、前記ドアの質量を同定するドア質量同定部と、前記ドア質量同定部により同定された前記ドアの質量の同定値を記憶するドア質量同定値記憶部と、を備え、前記速度指令部は、第1加減速度の第1速度パターンと、前記第1加減速度より大きい第2加減速度の第2速度パターンとにより、前記回転速度指令値を出力可能であり、前記ドア質量同定部は、前記速度指令部が前記第2速度パターンにより前記回転速度指令値を出力しているときの、前記モータの前記トルク指令値と、前記モータの角加速度と、前記ドア質量同定値記憶部に記憶されている前回の同定時における前記ドアの質量の同定値と、を用いて、前記ドアの質量の同定値を逐次的に更新する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るエレベータードアの制御装置によれば、多様なエレベーターのドアについて、ドア質量の同定精度の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るエレベーターのドア装置及びエレベータードアの制御装置の全体構成を模式的に示す図である。
図2】実施の形態1に係るエレベータードアの制御装置における速度パターンの例を説明する図である。
図3】実施の形態1に係るエレベータードアの制御装置における速度パターンの例を説明する図である。
図4】実施の形態1に係るエレベータードアの制御装置における速度パターンの例を説明する図である。
図5】実施の形態1に係るエレベータードアの制御装置のドア質量同定部の構成例を示すブロック図である。
図6】実施の形態1に係るエレベータードアの制御装置によるドア質量同定結果の一例を説明する図である。
図7】実施の形態1に係るエレベーターのドア装置及びエレベータードアの制御装置の変形例の全体構成を模式的に示す図である。
図8】実施の形態1に係るエレベータードアの制御装置の変形例におけるドア質量同定部の構成例を示すブロック図である。
図9】実施の形態1に係るエレベータードアの制御装置の制御装置の機能を実現する構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示に係るエレベータードアの制御装置を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。なお、本開示は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0011】
実施の形態1.
図1から図9を参照しながら、本開示の実施の形態1について説明する。図1はエレベーターのドア装置及びエレベータードアの制御装置の全体構成を模式的に示す図である。図2から図4のそれぞれはエレベータードアの制御装置における速度パターンの例を説明する図である。図5はエレベータードアの制御装置のドア質量同定部の構成例を示すブロック図である。図6はエレベータードアの制御装置によるドア質量同定結果の一例を説明する図である。図7はエレベーターのドア装置及びエレベータードアの制御装置の変形例の全体構成を模式的に示す図である。図8はエレベータードアの制御装置の変形例におけるドア質量同定部の構成例を示すブロック図である。図9はエレベータードアの制御装置の制御装置の機能を実現する構成の一例を示す図である。
【0012】
この実施の形態に係るエレベータードアの制御装置は、エレベーターの乗りかご及び乗場に設置されたドア装置の開閉動作を制御するものである。エレベーターの乗りかごには、図1に示すようなドア装置が設けられている。
【0013】
乗りかごの正面部には、開口部である出入口が設けられている。この乗りかごの出入口には、左右一対のかご戸を構成するドアパネル3が略水平方向に沿って開閉自在に設けられている。ドアパネル3の上端部には、ドアハンガーが取り付けられている。これらのドアハンガーの上部には、ドアローラが取り付けられている。乗りかごの出入口の上方には、ドアレールが取り付けられている。このドアレールは、ドアパネルの開閉方向に沿って略水平に取り付けられる。このドアレール上にはドアローラが転動可能に係合される。なお、図1においては、これらのドアハンガー、ドアローラ及びドアレールの図示を省略している。
【0014】
こうして、左右一対のドアパネル3は、ドアハンガー及びドアローラを介してドアレールにより吊持される。そして、ドアローラがドアレールに案内されてドアレール上を転動することにより、左右のドアパネル3が乗りかごの出入口を開閉する。
【0015】
乗りかごの前面下部には、乗りかごの出入口の下縁部を形成するかご敷居が取り付けられている。このかご敷居は、ドアパネル3の開閉方向に沿って略水平に取り付けられる。このかご敷居には長手方向にわたって案内溝が設けられている。左右一対のドアパネルの下端部には、図示しないドアガイドシューが取り付けられている。これらのドアガイドシューは、かご敷居の案内溝内に摺動自在に係合されている。
【0016】
乗りかごにおけるドアレールの上方には、ドアモータ1が配設されている。ドアモータ1は、エレベーターのドアの開閉を駆動するモータである。このドアモータ1は、ドアレールの上方における、ドアパネル3の開閉方向に沿った一側に配置される。ドアモータ1の駆動軸には、左右一対のプーリー6のうちの一方が固定されている。また、ドアレールの上方における、ドアパネル3の開閉方向に沿った他側には、左右一対のプーリー6のうちの他方が取り付けられている。左右一対のプーリー6のうち、ドアモータ1の駆動軸に固定されたものは駆動プーリーである。また、他方のプーリー6は、従動プーリーである。
【0017】
これらの一対のプーリー6の間には無端状のベルト2が巻き掛けられている。こうして、ドアモータ1の回転駆動がベルト2の循環移動へと伝達される巻掛伝動機構が構成されている。
【0018】
ドアパネル3の上端には、連結部5が取り付けられている。これらの連結部5のうち、左右一対のうちの一方のドアパネル3に設けられた連結部5は、プーリー6の間に巻き掛けられたベルト2の上下の一方に係止されている。また、左右一対のうちの他方のドアパネル3に設けられた連結部5は、プーリー6の間に巻き掛けられたベルト2の上下の他方に係止されている。このような構成により、ドアモータ1の正逆両方向の回転駆動がベルト2の両方向への循環移動へと変換され、左右一対のドアパネル3が互いに逆方向に移動して乗りかごの出入口が開閉される。
【0019】
乗りかごが停止する階床には、乗場が設けられている。この乗場における昇降路との間の壁部には、開口部である出入口が設けられている。この乗場の出入口は、当該乗場の階床に停止した乗りかごの出入口と対向する位置に設けられる。この乗場の出入口には、左右一対の乗場戸が略水平方向に沿って開閉自在に設けられている。
【0020】
各ドアパネル3の昇降路側の面と乗場戸のドアパネルの昇降路側の面とには、図示しない連結装置が設けられている。この連結装置は、例えば、かご側ローラと乗場側プレートとから構成されている。かご側ローラは、ドアパネルの昇降路側の面に昇降路側へと突出して設けられた棒状部材の先端に取り付けられたローラである。乗場側プレートは、乗場戸のドアパネルの昇降路側の面に昇降路側へと突出して設けられた一対のプレートである。かご側ローラと乗場側プレートとは、乗りかごが階床に停止した際に、互いに対向する位置に配置されている。
【0021】
乗りかごが階床に停止した際に、連結装置のかご側ローラと乗場側プレートとが係合し、ドアパネル3と乗場戸のドアパネルとが機械的に連結される。そして、ドアモータ1の動力によりドアパネル3が開閉されると、ドアパネルと乗場戸のドアパネルとが連動し一体となって開閉される。
【0022】
図1に示すように、制御装置は、速度パラメータ記憶部7、速度指令部8、速度制御部9、電流制御部10、電流検出器11、ドア質量同定部12及びドア質量同定値記憶部13を備えている。ドアモータ1には回転検出器4が取り付けられている。回転検出器4は、ドアモータ1の回転角度を検出するセンサである。回転検出器4によりドアモータ1の回転角度を検出することで、ドアパネル3の速度、位置を把握することが可能である。また、回転検出器4によりドアモータ1の回転速度も検出可能である。この意味で、回転検出器4は、ドアモータ1の回転速度を検出する速度検出器でもある。
【0023】
速度パラメータ記憶部7は、ドアパネル3の開閉制御時に使用する各種のパラメータを予め記憶している。具体的に例えば、速度パラメータ記憶部7には、ドアパネル3の開閉時における、ドアパネル3の最高速度、加速度、減速度等のパラメータが記憶されている。この実施の形態においては、速度パラメータ記憶部7に記憶されるパラメータには、第1速度パターンに係るものと、第2速度パターンに係るものとが少なくとも存在する。第1速度パターンとは、通常の戸開閉動作におけるドアパネル3の速度パターンである。また、第2速度パターンとは、第1速度パターンよりもドアパネル3の加速度及び減速度の一方又は両方が大きいドアパネル3の速度パターンである。
【0024】
すなわち、例えば、第1速度パターンにおいては、ドアパネル3の加減速度が第1加減速度に設定されている。また、第2速度パターンにおいては、ドアパネル3の加減速度が第2加減速度に設定されている。そして、第2加減速度の値は、第1加減速度の値よりも大きい。
【0025】
図2から図4を参照しながら、第1速度パターン及び第2速度パターンの具体例について説明する。これらの図において、破線で示しているのが第1速度パターンである。また、実線で示しているのが第2速度パターンである。図2に示すのは、戸開動作時における第1速度パターン及び第2速度パターンである。図3に示すのは、戸閉動作時における第1速度パターン及び第2速度パターンである。そして、図4に示すのは、戸閉動作時の第1速度パターンと、戸閉中に戸開に反転させた第2速度パターンである。なお、第2速度パターンはこれらの例に限られない。他に例えば、図4の戸開閉方向の反転を複数回繰り返すような速度パターンであってもよい。また、これらを組み合わせた速度パターンであってもよい。
【0026】
速度指令部8は、速度パラメータ記憶部7に記憶されているパラメータを取得し、ドアパネル3の速度指令値を生成する。速度指令部8により生成された速度指令値は、速度制御部9へ出力される。このようにして、速度指令部8は、ドアの開閉速度に関連するドアモータ1の回転速度指令値を出力する。
【0027】
速度制御部9には、速度指令部8から出力されたドアパネル3の速度指令値と、回転検出器4から得られたドアモータ1の回転速度を元に計算されたドアパネル3の実速度との差分値が入力される。速度制御部9は、回転検出器4の検出結果に基づくドアパネル3の実速度が、ドアパネル3の速度指令値に一致するように、トルク指令値を算出する。換言すれば、速度制御部9は、ドアモータ1の回転速度が速度指令部8から出力された回転速度指令値に一致するようにトルク指令値を計算する。速度制御部9により生成されたトルク指令値は、電流制御部10へ出力される。
【0028】
電流検出器11は、ドアモータ1に流れる電流値を検出するセンサである。電流制御部10は、速度制御部9から出力された指令値と、電流検出器11で検出したドアモータ1の電流値とに基づいて、ドアモータ1の駆動電圧を決定し、ドアモータ1を駆動する。例えば、電流制御部10は、電流検出器11で検出したドアモータ1の電流値にトルク定数を乗じてトルク値を算出する。そして、電流制御部10は、速度制御部9から出力されたトルク指令値と、検出された電流値にトルク定数を乗じて算出したトルク値との差分に基づいて、検出された電流値から算出されたトルク値がトルク指令値に一致するように、ドアモータ1の駆動電圧を決定する。
【0029】
あるいは、他に例えば、電流制御部10は、速度制御部9から出力されたトルク指令値を電流指令値に変換する。この変換は、トルク指令値が示すトルクを発生させるために必要な電流値を求めることで行うことができる。そして、電流制御部10は、トルク指令値から変換された電流指令値と、電流検出器11で検出された電流値との差分に基づいて、検出された電流値が電流指令値に一致するように、ドアモータ1の駆動電圧を決定する。
【0030】
ドア質量同定部12は、エレベーターのドアの質量を同定する。そして、ドア質量同定部12により同定されたドアの質量の同定値は、ドア質量同定値記憶部13に記憶される。ここで同定されるエレベーターのドアの質量は、乗りかごのドアパネル3の質量と、乗場のドアパネルの質量とを合わせたものである。ドア質量の同定は、ドアモータ1の回転軸換算イナーシャを算出することで可能である。ドア質量同定イナーシャをJ(k)、ドアモータ1の回転角加速度をa(k)、ドアモータ1のトルクをτ(k)、ドアパネル3にかかる摩擦等による外乱トルクをTf、ドアパネル3にかかる機械的戸閉力等による既知のトルクをTwとすると、次の式(1)が成立する。なお、kはセンサによる検出値のk番目のサンプリング値であることを示している。
【0031】
τ(k)=J(k)・a(k)+Tf+Tw ・・・ (1)
【0032】
ここで、前述した第2速度パターンでドアの開閉動作を行った場合、ドアモータ1の回転角加速度a(k)は十分に大きいとみなすことができる。この場合、式(1)におけるJ(k)・a(k)の項が、Tfの項及びTwの項に対して支配的となる。すなわち、式(1)におけるTfの項及びTwの項を無視できるほどに、J(k)・a(k)の項が十分に大きいとみなすことができる。この場合、式(1)は、次の式(2)のように表わすことができる。
【0033】
τ(k)≒J(k)・a(k) ・・・ (2)
【0034】
そして、このとき学習的同定法(例えばLMS法)のアルゴリズムを用いてJ(k)を求めると、次の式(3)のようになる。
【0035】
J(k)=J(k-1)+μ・a(k)・(τ(k)-J(k-1)・a(k)) ・・・ (3)
【0036】
ここで、J(k-1)は、ドア質量同定イナーシャJ(k)の前回の同定値である。ドア質量同定イナーシャの前回の同定値J(k-1)は、前述したように、ドア質量同定値記憶部13に記憶されている。ドアモータ1のトルクτ(k)は、電流検出器11により検出されたドアモータ1の電流値にトルク定数を乗じて算出できる。ドアモータ1の回転角加速度a(k)は、回転検出器4すなわち速度検出器により検出した値を用いることができる。また、μは、ステップ幅パラメータと呼ばれるゲインであり、μを適切な値に設定することで同定値を安定収束させることができる。このようにして、ドア質量同定部12は、ドアモータ1の電流値にトルク定数を乗じて算出されたトルク値と、ドアモータ1の角加速度と、ドア質量同定値記憶部13に記憶されている前回の同定時におけるドアの質量の同定値と、を用いて、ドアの質量の同定値を逐次的に更新する。
【0037】
図5は、式(3)のアルゴリズムを用いた際のドア質量同定部12の構成例を示したものである。より詳しくは、図示の例では、次の式(4)により、ドア質量同定イナーシャJ(k)を求めている。式(4)では、式(3)のドアモータ1のトルクτ(k)に代えて、τf(k)を用いている。τf(k)は、電流検出器11から得られたドアモータ1の電流値にトルク定数乗算器17によりトルク定数を掛けてトルク信号とした後に、フィルタ18で整形したものである。また、式(4)では、式(3)のドアモータ1の回転角加速度a(k)に代えて、af(k)を用いている。af(k)は、回転検出器4から得られたドアモータ1の角速度を微分器16で微分し角加速度信号とした後に、フィルタ18で整形したものである。
【0038】
J(k)=J(k-1)+μ・af(k)・(τf(k)-J(k-1)・af(k)) ・・・ (4)
【0039】
フィルタ18は、ローパスフィルタであってもよいし、ハイパスフィルタであってもよい。フィルタ18に、ローパスフィルタを用いることで、微分器16により微分処理を行うことで生じるノイズを除去することができる。また、フィルタ18に、ハイパスフィルタを用いることで、式(1)におけるTf、Twの影響を排除することができる。さらに、フィルタ18にバンドパスフィルタを用いることで、これらの両方の効果を得ることも可能である。このように、ドア質量同定部12は、ドアモータ1の電流値にトルク定数を乗じて算出されたトルク値、及び、ドアモータ1の角加速度の一方又は両方にフィルタ処理を施したものを用いて、ドアの質量の同定値を算出してもよい。ゲイン乗算器19は、前述したステップ幅パラメータμを乗じる乗算器である。
【0040】
記憶手段20は、ドア質量同定イナーシャの前回の同定値J(k-1)を記憶している。前述したように、ドア質量同定イナーシャの前回の同定値J(k-1)は、ドア質量同定値記憶部13に記憶されている。このため、記憶手段20は、ドア質量同定値記憶部13に記憶されているドア質量同定イナーシャの前回の同定値J(k-1)を取得して用いてもよい。あるいは、記憶手段20が、ドア質量同定値記憶部13そのものであってもよい。このようにして、図5に示す構成例では、ドア質量同定部12は、フィルタ18により整形されたトルクτf(k)と、フィルタ18により整形された回転角加速度af(k)と、記憶手段20により記憶されているドア質量同定イナーシャJ(k)の1ステップ前の値であるJ(k-1)を入力として、式(4)を用いてドア質量同定イナーシャJ(k)を計算する。そして、計算されたドア質量同定イナーシャJ(k)の値は、ドア質量同定値記憶部13に記憶される。
【0041】
図6に、この実施の形態に係るエレベータードアの制御装置によるドア質量同定結果の一例を示す。同図の3つのグラフは、上からドアパネル3の戸速、ドアモータ1のトルク、ドア質量同定値記憶部13に更新されたドア質量同定値のそれぞれの時系列変化を示している。同図に示すように、前述した第2速度パターンで、すなわち、ドアパネル3を大きい加減速度で戸開、戸閉、反転させるたびに、ドア質量同定値が更新されて収束していく。このように、この実施の形態に係るエレベータードアの制御装置によれば、前回の同定時におけるドアの質量の同定値を用いて、ドアの質量の同定値を逐次的に更新することで、多様なエレベーターのドアについて、ドア質量の同定精度の向上を図ることが可能である。
【0042】
なお、速度指令部8は、前述した第1加減速度の第1速度パターンと、第1加減速度より大きい第2加減速度の第2速度パターンとにより、速度指令値を出力可能である。通常の戸開閉時には、速度指令部8は、第1速度パターンにより速度指令値を出力する。一方、ドア質量の同定を行う場合には、速度指令部8は、第2速度パターンにより速度指令値を出力するとよい。そして、ドア質量同定部12は、速度指令部8が第2速度パターンにより速度指令値を出力しているときの、ドアモータ1の電流値にトルク定数を乗じて算出されたトルク値と、ドアモータ1の角加速度と、ドア質量同定値記憶部13に記憶されている前回の同定時におけるドアの質量の同定値と、を用いて、ドアの質量の同定値を逐次的に更新する。この場合、第2速度パターンによる戸開閉とドア質量の同定は、乗りかごに乗客がいないときに行うとよい。
【0043】
このように、比較的に大きい加減速度で戸開、戸閉、反転する際にドア質量同定を行うことで、通常の速度でドアを開閉する際にドア質量同定を行う場合と比較して短時間で同定を完了することができる。なお、図6に示す例では、ドアパネル3の戸速として、戸開、戸閉及び反転を第2速度パターンで連続して行った場合を示しているが、この例に限られない。他に例えば、戸開を第2速度パターンで行い、戸閉を第1速度パターンで行ったり、また、逆に戸開を第1速度パターンで行い、戸閉を第2速度パターンで行ったりしてもよい。あるいは、第2速度パターンでの反転のみを連続して繰り返してもよい。
【0044】
ドア質量同定部12は、複数の階床のそれぞれごとに、エレベーターのドアの質量を同定するとよい。この場合、ドア質量同定値記憶部13は、複数の階床のそれぞれごとに、ドア質量同定部12により同定されたドアの質量の同定値を記憶する。このようにすることで、複数の階床ごとに異なる仕様の乗場の戸であっても、それぞれの階床についてドア質量の同定精度の向上を図ることができる。
【0045】
ドア質量同定部12によるエレベーターのドアの質量の同定値を用いて、すなわち、ドア質量同定値記憶部13に記憶されているドアの質量の同定値を用いて、速度パラメータ記憶部7に記憶されているパラメータ(第1速度パターン及び第2速度パターンの一方又は両方の最高速度、第1加減速度、第2加減速度等)を更新してもよい。また、速度制御部9は、ドア質量同定部12によるエレベーターのドアの質量の同定値を用いて、すなわち、ドア質量同定値記憶部13に記憶されているドアの質量の同定値を用いて、トルク指令値を算出してもよい。このようにすることで、同定したドア質量に応じて、制御パラメータを自動的に調整でき、ドア質量の同定結果をドア開閉制御に反映可能である。
【0046】
次に、図7及び図8を参照しながら、この実施の形態に係るエレベータードアの制御装置の変形例について説明する。これまでに説明した構成例では、ドア質量同定部12は、ドアモータ1の電流値にトルク定数を乗じて算出されたトルク値を用いて、ドアの質量の同定値を逐次的に更新していた。これに対し、この変形例では、ドア質量同定部12は、ドアモータ1の電流値にトルク定数を乗じて算出されたトルク値に代えて、速度制御部9から出力されたトルク指令値を用いている。この場合、ドア質量同定部12は、図8に示すように、トルク定数乗算器17を備える必要はない。
【0047】
このようにして、この実施の形態に係るエレベータードアの制御装置の変形例においては、ドア質量同定部12は、ドアモータ1のトルク指令値と、モータの角加速度と、ドア質量同定値記憶部13に記憶されている前回の同定時におけるドアの質量の同定値と、を用いて、ドアの質量の同定値を逐次的に更新する。このような変形例によれば、ドアモータ1のトルク定数が不明な場合でもドア質量同定を実施することが可能となる。
【0048】
なお、この変形例においても、図8からも明らかなように、ドア質量同定部12は、ドアモータ1のトルク指令値、及び、ドアモータ1の角加速度の一方又は両方にフィルタ処理を施したものを用いて、ドアの質量の同定値を算出してもよい。また、ドア質量同定部12は、速度指令部8が前述した第2速度パターンにより速度指令値を出力しているときの、ドアモータ1のトルク指令値と、ドアモータ1の角加速度と、ドア質量同定値記憶部に記憶されている前回の同定時におけるドアの質量の同定値と、を用いて、ドアの質量の同定値を逐次的に更新してもよい。
【0049】
図9は、この実施の形態におけるエレベータードアの制御装置の機能を実現する構成の一例を示す図である。エレベータードアの制御装置の機能は、例えば、処理回路により実現される。処理回路は、プロセッサ101及びメモリ102を備えていてもよい。処理回路は、専用ハードウェア103であってもよい。処理回路の一部が専用ハードウェア103として形成され、かつ、当該処理回路はさらにプロセッサ101及びメモリ102を備えていてもよい。同図に示す例においては、処理回路の一部は専用ハードウェア103として形成されている。また、同図に示す例において、処理回路は、プロセッサ101及びメモリ102をさらに備えている。
【0050】
一部が少なくとも1つの専用ハードウェア103である処理回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものが該当する。処理回路が少なくとも1つのプロセッサ101及び少なくとも1つのメモリ102を備える場合、エレベータードアの制御装置の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0051】
ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ102に格納される。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ102には、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM及びEEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、又は磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク及びDVD等が該当する。
【0052】
このようにして、エレベータードアの制御装置の処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、エレベータードアの制御装置の各機能を実現することができる。エレベータードアの制御装置の処理回路が少なくともプロセッサ101及びメモリ102を備える場合、エレベータードアの制御装置においてメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行し、エレベータードアの制御装置のハードウェアとソフトウェアとが協働することによって、エレベータードアの制御装置が備える各部の機能が実現される。
【0053】
なお、本開示においては、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態、構成例、変形例等を任意に組み合わせてもよい。以下に、本開示の諸態様の例を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
エレベーターのドアの開閉を駆動するモータと、
前記モータの回転速度を検出する速度検出器と、
前記モータの電流値を検出する電流検出器と、
前記ドアの開閉速度に関連する前記モータの回転速度指令値を出力する速度指令部と、
前記モータの回転速度が前記速度指令部から出力された前記回転速度指令値に一致するようにトルク指令値を計算する速度制御部と、
前記ドアの質量を同定するドア質量同定部と、
前記ドア質量同定部により同定された前記ドアの質量の同定値を記憶するドア質量同定値記憶部と、を備え、
前記ドア質量同定部は、前記モータの前記電流値にトルク定数を乗じて算出されたトルク値と、前記モータの角加速度と、前記ドア質量同定値記憶部に記憶されている前回の同定時における前記ドアの質量の同定値と、を用いて、前記ドアの質量の同定値を逐次的に更新するエレベータードアの制御装置。
(付記2)
前記速度指令部は、第1加減速度の第1速度パターンと、前記第1加減速度より大きい第2加減速度の第2速度パターンとにより、前記回転速度指令値を出力可能であり、
前記ドア質量同定部は、前記速度指令部が前記第2速度パターンにより前記回転速度指令値を出力しているときの、前記モータの前記電流値にトルク定数を乗じて算出されたトルク値と、前記モータの角加速度と、前記ドア質量同定値記憶部に記憶されている前回の同定時における前記ドアの質量の同定値と、を用いて、前記ドアの質量の同定値を逐次的に更新する付記1に記載のエレベータードアの制御装置。
(付記3)
前記ドア質量同定部は、前記モータの前記電流値にトルク定数を乗じて算出されたトルク値、及び、前記モータの角加速度の一方又は両方にフィルタ処理を施したものを用いて、前記ドアの質量の同定値を算出する付記1又は付記2に記載のエレベータードアの制御装置。
(付記4)
エレベーターのドアの開閉を駆動するモータと、
前記モータの回転速度を検出する速度検出器と、
前記ドアの開閉速度に関連する前記モータの回転速度指令値を出力する速度指令部と、
前記モータの回転速度が前記速度指令部から出力された前記回転速度指令値に一致するようにトルク指令値を計算する速度制御部と、
前記ドアの質量を同定するドア質量同定部と、
前記ドア質量同定部により同定された前記ドアの質量の同定値を記憶するドア質量同定値記憶部と、を備え、
前記ドア質量同定部は、前記モータの前記トルク指令値と、前記モータの角加速度と、前記ドア質量同定値記憶部に記憶されている前回の同定時における前記ドアの質量の同定値と、を用いて、前記ドアの質量の同定値を逐次的に更新するエレベータードアの制御装置。
(付記5)
前記速度指令部は、第1加減速度の第1速度パターンと、前記第1加減速度より大きい第2加減速度の第2速度パターンとにより、前記回転速度指令値を出力可能であり、
前記ドア質量同定部は、前記速度指令部が前記第2速度パターンにより前記回転速度指令値を出力しているときの、前記モータの前記トルク指令値と、前記モータの角加速度と、前記ドア質量同定値記憶部に記憶されている前回の同定時における前記ドアの質量の同定値と、を用いて、前記ドアの質量の同定値を逐次的に更新する付記4に記載のエレベータードアの制御装置。
(付記6)
前記ドア質量同定部は、前記モータの前記トルク指令値、及び、前記モータの角加速度の一方又は両方にフィルタ処理を施したものを用いて、前記ドアの質量の同定値を算出する付記4又は付記5に記載のエレベータードアの制御装置。
(付記7)
前記ドア質量同定部は、複数の階床のそれぞれについて、前記ドアの質量の同定値を算出し、
前記ドア質量同定値記憶部は、複数の前記階床のそれぞれについて、前記ドア質量同定部により同定された前記ドアの質量の同定値を記憶する付記1から付記6のいずれか一項に記載のエレベータードアの制御装置。
(付記8)
前記速度制御部は、前記ドア質量同定値記憶部に記憶されている前記ドアの質量の同定値を用いて前記トルク指令値を算出する付記1から付記7のいずれか一項に記載のエレベータードアの制御装置。
【符号の説明】
【0054】
1 ドアモータ
2 ベルト
3 ドアパネル
4 回転検出器
5 連結部
6 プーリー
7 速度パラメータ記憶部
8 速度指令部
9 速度制御部
10 電流制御部
11 電流検出器
12 ドア質量同定部
13 ドア質量同定値記憶部
16 微分器
17 トルク定数乗算器
18 フィルタ
19 ゲイン乗算器
20 記憶手段
100 制御装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 専用ハードウェア
【要約】
【課題】多様なエレベーターのドアについて、ドア質量の同定精度の向上を図ることができるエレベータードアの制御装置を提供する。
【解決手段】エレベータードアの制御装置は、エレベーターのドアの開閉を駆動するモータと、モータの回転速度指令値を出力する速度指令部8と、モータの回転速度が速度指令部から出力された回転速度指令値に一致するようにトルク指令値を計算する速度制御部9と、ドアの質量を同定するドア質量同定部12と、ドア質量同定部12により同定されたドアの質量の同定値を記憶するドア質量同定値記憶部13とを備える。ドア質量同定部12は、モータの電流値にトルク定数を乗じて算出されたトルク値と、モータの角加速度と、ドア質量同定値記憶部13に記憶されている前回の同定時におけるドアの質量の同定値とを用いて、ドアの質量の同定値を逐次的に更新する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9