(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】移動装置の障害物回避経路を計画する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20250319BHJP
B60W 30/09 20120101ALI20250319BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20250319BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W30/09
B60W40/04
(21)【出願番号】P 2023504056
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(86)【国際出願番号】 CN2021090523
(87)【国際公開番号】W WO2022016941
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】202010699919.X
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チュヨン,スーユエン
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,チャオ
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,シンユイ
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-203034(JP,A)
【文献】特開2011-253302(JP,A)
【文献】特開2019-006143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G05D 1/43
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動装置の障害物回避経路を計画する方法であって:
距離マップを取得することであって、前記距離マップは複数の第1のグリッドを含み、前記複数の第1のグリッドのそれぞれは、前記第1のグリッドから障害物によって占有される最も近い第1のグリッドまでの距離を記録するために使用される、取得すること;
前記距離マップに基づいて近接場範囲の第1の横背景コストポテンシャル場を決定することであって、前記近接場範囲は、前記移動装置からの縦方向距離が第1のしきい値以下である範囲であり、前記第1の横背景コストポテンシャル場は、前記移動装置の横位置の障害物によって形成される第1の斥力場であり、前記第1の横背景コストポテンシャル場は目標最小値ポイントを含み、前記目標最小値ポイントの2つの横側部の背景コストは単調性を特徴とし、前記背景コストは、前記移動装置に対する前記近接場範囲の前記横位置にある前記障害物によって生じる近接場横衝突コストを表す、決定すること;および
前記第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて、現在の障害物回避経路を決定すること;を含み、
前記距離マップに基づいて近接場範囲の第1の横背景コストポテンシャル場を決定することは:
前記距離マップに基づいて前記近接場範囲の第2の横背景コストポテンシャル場を決定することであって、前記第2の横背景コストポテンシャル場は、前記移動装置の前記横位置の前記障害物によって形成される第2の斥力場であり、前記第2の横背景コストポテンシャル場は、少なくとも1つの最小値ポイントを含む、決定すること;
前記少なくとも1つの最小値ポイントから前記目標最小値ポイントを決定することであって、前記少なくとも1つの最小値ポイントは複数の局所的な最小値ポイントを含み、前記移動装置とそれぞれの前記複数の局所的な最小値ポイントとの間に前記障害物が存在しない前記複数の局所的な最小値ポイントのうちの最低の局所的な最小値ポイントを前記目標最小値ポイントとして決定する、決定すること;および
前記第1の横背景コストポテンシャル場を生成するように、前記目標最小値ポイントの前記2つの横側部の前記背景コストに単調性処理を実行することであって、前記単調性処理の傾きが第2のしきい値以上である、実行すること;を含む、
方法。
【請求項2】
前記目標最小値ポイントと前記移動装置との間に障害物がない、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記距離マップを取得する前に、前記方法はさらに:
占有マップを取得することであって、前記占有マップは、複数の第2のグリッドを含み、前記複数の第2のグリッドのそれぞれは、前記第2のグリッドに障害物がある確率を記録するために使用される、取得することを含み;
前記距離マップを取得することは:
前記占有マップに基づいて前記距離マップを取得すること、を含む、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記占有マップに基づいて前記距離マップを取得することは:
前記占有マップの第1のゾーンに位置する前記第2のグリッドをフィルタ除去することであって、前記第1のゾーンは前記移動装置の前方に位置し、前記第1のゾーンに障害物がある場合、前記移動装置は前記第1のゾーンの前記障害物を回避することができない、フィルタ除去すること;および
前記フィルタ除去が実行された後に取得される前記占有マップに基づいて前記距離マップを取得すること;を含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記距離マップに基づいて前記近接場範囲の第2の横背景コストポテンシャル場を決定する前に、前記方法はさらに:
特徴ベクトルを生成することであって、前記特徴ベクトルは経路スタートポイントおよびサンプリングゴールポイントを含む、生成すること;および
基準経路、履歴経路、および前記特徴ベクトルに基づいて複数の候補経路を生成すること;を含み、
前記距離マップに基づいて前記近接場範囲の第2の横背景コストポテンシャル場を決定することは:
複数の仮想並行経路を生成するために、前記サンプリングゴールポイントに基づいて前記基準経路を横にシフトすること;
前記距離マップに基づいて、前記近接場範囲の前記複数の仮想並行経路上の各道路ポイントから最も近い障害物までの距離を計算すること;
前記仮想並行経路上の前記距離の最小値に基づいて各前記仮想並行経路の背景コストを計算すること;および
前記近接場範囲の前記複数の仮想並行経路の前記背景コストに基づいて、前記近接場範囲の前記第2の横背景コストポテンシャル場を生成すること;を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて現在の障害物回避経路を決定する前に、前記方法はさらに:
前記距離マップに基づいて、前記複数の候補経路のそれぞれについて、衝突コスト、制約コスト、切り替えコスト、横シフトコスト、または滑らかさコストのうちの1つ以上を計算することを含み、
前記衝突コストは、前記移動装置が前記候補経路を移動するときに衝突するかどうかを評価するために使用され、前記制約コストは、前記候補経路上の各道路ポイントが障害物回避可能範囲内にあるかどうかを評価するために使用され、前記切り替えコストは、前記候補経路と前記履歴経路との間の偏差を評価するために使用され、前記横シフトコストは、前記候補経路の道路中心線からの横シフトの程度を評価するために使用され、前記滑らかさコストは、前記候補経路の滑らかさを評価するために使用され;
前記第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて現在の障害物回避経路を決定することは:
前記第1の横背景コストポテンシャル場の背景コストに基づいて、または前記第1の横背景コストポテンシャル場の背景コストと、前記衝突コスト、前記制約コスト、前記切り替えコスト、前記横シフトコスト、または前記滑らかさコストのうちの1つ以上とに基づいて、各候補経路上の最終コストを計算すること;および
前記最終コストに基づいて前記現在の障害物回避経路を決定すること;を含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記方法はさらに:
前記履歴経路と前記現在の障害物回避経路との間の調停結果に基づいて、最終障害物回避経路を決定することを含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記履歴経路と前記現在の障害物回避経路との間の調停結果に基づいて最終障害物回避経路を決定することは:
前記履歴経路上で衝突が発生するが前記現在の障害物回避経路上で衝突が発生しない場合、前記現在の障害物回避経路を前記最終障害物回避経路として使用すること;または
前記履歴経路と前記現在の障害物回避経路の両方で衝突が発生し、前記現在の障害物回避経路の衝突距離と前記履歴経路の衝突距離路との間の差の絶対値が第3のしきい値以上である場合、前記現在の障害物回避経路および前記履歴経路のうちの大きい衝突距離を持つ経路を前記最終障害物回避経路として使用すること;または
前記履歴経路と前記現在の障害物回避経路の両方で衝突が発生し、前記現在の障害物回避経路の衝突距離と前記履歴経路の衝突距離との間の差の絶対値が第3のしきい値未満である場合、前記履歴経路を前記最終障害物回避経路として使用すること;または
前記履歴経路で衝突が発生せず、前記現在の障害物回避経路の前記最終コストの前記履歴経路の前記コストに対する比率が第4のしきい値以下である場合、前記現在の障害物回避経路を前記最終障害物回避経路として使用すること;または
前記履歴経路で衝突が発生せず、前記現在の障害物回避経路の前記最終コストの前記履歴経路の前記コストに対する比率が第4のしきい値よりも大きい場合、前記履歴経路を前記最終障害物回避経路として使用すること;を含み、
前記衝突距離は、各候補経路上の衝突状態にあるすべての道路ポイントの縦方向距離の最短の縦方向距離である、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
移動装置の障害物回避経路を計画する装置であって、前記装置は、取得モジュールおよび処理モジュールを有し、
前記取得モジュールは距離マップを取得するように構成され、前記距離マップは複数の第1のグリッドを含み、前記複数の第1のグリッドのそれぞれは、前記第1のグリッドから障害物によって占有される最も近い第1のグリッドまでの距離を記録するために使用され;
前記処理モジュールは:前記距離マップに基づいて近接場範囲の第1の横背景コストポテンシャル場を決定するように構成され、前記近接場範囲は前記移動装置からの縦方向距離が第1のしきい値以下の範囲であり、前記第1の横背景コストポテンシャル場は前記移動装置の横位置の障害物によって形成される第1の斥力場であり、前記第1の横背景コストポテンシャル場は目標最小値ポイントを含み、前記目標最小値ポイントの2つの横側部の背景コストは単調性を特徴とし、前記背景コストは前記移動装置に対する前記近接場範囲の前記横位置の前記障害物によって生じる近接場横衝突コストを表し;前記第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて現在の障害物回避経路を決定するように構成され、
前記距離マップに基づいて近接場範囲の第1の横背景コストポテンシャル場を決定することは:前記距離マップに基づいて前記近接場範囲の第2の横背景コストポテンシャル場を決定することを含み、前記第2の横背景コストポテンシャル場は、前記移動装置の前記横位置にある前記障害物によって形成される第2の斥力場であり、前記第2の横背景コストポテンシャル場は、少なくとも1つの最小値ポイントを含む、決定すること;前記少なくとも1つの最小値ポイントから前記目標最小値ポイントを決定することであって、前記少なくとも1つの最小値ポイントは複数の局所的な最小値ポイントを含み、前記移動装置とそれぞれの前記複数の局所的な最小値ポイントとの間に前記障害物が存在しない前記複数の局所的な最小値ポイントのうちの最低の局所的な最小値ポイントを前記目標最小値ポイントとして決定する、決定すること;および、前記第1の横背景コストポテンシャル場を生成するために、前記目標最小値ポイントの前記2つの横側部の前記背景コストに対して単調性処理を実行することであって、前記単調性処理の傾きが第2のしきい値以上である、実行すること;を含む、
装置。
【請求項10】
前記目標最小値ポイントと前記移動装置との間に障害物がない、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記距離マップを取得する前に、前記取得モジュールはさらに:
占有マップを取得するように構成され、前記占有マップは複数の第2のグリッドを含み、前記複数の第2のグリッドのそれぞれは、前記第2のグリッドに障害物がある確率を記録するために使用され;
前記処理モジュールはさらに:
前記占有マップに基づいて前記距離マップを取得するように構成される、
請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記占有マップに基づいて前記距離マップを取得することは:
前記占有マップの第1のゾーンに位置する前記第2のグリッドをフィルタ除去することであって、前記第1のゾーンは前記移動装置の前方に位置し、前記第1のゾーンに障害物がある場合、前記移動装置は前記第1のゾーンの前記障害物を回避することができない、フィルタ除去すること;および、前記フィルタ除去することが実行された後に取得される前記占有マップに基づいて前記距離マップを取得すること、を含む、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記距離マップに基づいて前記近接場範囲の第2の横背景コストポテンシャル場を決定する前に、前記処理モジュールはさらに:
特徴ベクトルを生成し、前記特徴ベクトルは経路スタートポイントおよびサンプリングゴールポイントを含み;
基準経路、履歴経路、および前記特徴ベクトルに基づいて複数の候補経路を生成する;
ように構成され;
前記距離マップに基づいて前記近接場範囲の第2の横背景コストポテンシャル場を決定することは:
複数の仮想並行経路を生成するために、前記サンプリングゴールポイントに基づいて前記基準経路を横にシフトすること;前記距離マップに基づいて、前記近接場範囲の前記複数の仮想並行経路上の各道路ポイントから最も近い障害物までの距離を計算すること;前記仮想並行経路上の前記距離の最小値に基づいて各前記仮想並行経路の背景コストを計算すること;および、前記近接場範囲の前記複数の仮想並行経路の前記背景コストに基づいて、前記近接場範囲の前記第2の横背景コストポテンシャル場を生成すること、を含む、
請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて現在の障害物回避経路を決定する前に、前記処理モジュールはさらに:
前記距離マップに基づいて、前記複数の候補経路のそれぞれについて、衝突コスト、制約コスト、切り替えコスト、横シフトコスト、または滑らかさコストのうちの1つ以上を計算するように構成され、前記衝突コストは、前記移動装置が前記候補経路を移動する際に前記移動装置が衝突するかどうかを評価するために使用され、前記制約コストは、前記候補経路上の各道路ポイントが障害物回避可能範囲内にあるかどうかを評価するために使用され、前記切り替えコストは、前記候補経路と前記履歴経路との間の偏差を評価するために使用され、前記横シフトコストは、前記候補経路の道路中心線からの横シフトの程度を評価するために使用され、前記滑らかさコストは、前記候補経路の滑らかさを評価するために使用され;
前記第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて現在の障害物回避経路を決定することは:
前記第1の横背景コストポテンシャル場の背景コストに基づいて、または前記第1の横背景コストポテンシャル場の背景コストと、前記衝突コスト、前記制約コスト、前記切り替えコスト、前記横シフトコスト、または前記滑らかさコストのうちの1つ以上とに基づいて、各候補経路上の最終コストを計算すること;および、前記最終コストに基づいて前記現在の障害物回避経路を決定すること、を含む、
請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記処理モジュールはさらに:
前記履歴経路と前記現在の障害物回避経路との間の調停結果に基づいて、最終障害物回避経路を決定するように構成される、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記履歴経路と前記現在の障害物回避経路との間の調停結果に基づいて最終障害物回避経路を決定することは:
衝突が前記履歴経路で発生するが前記現在の障害物回避経路で発生しない場合、前記現在の障害物回避経路を前記最終障害物回避経路として使用すること;または
前記履歴経路と前記現在の障害物回避経路の両方で衝突が発生し、前記現在の障害物回避経路の衝突距離と前記履歴経路の衝突距離との間の差の絶対値が第3のしきい値以上である場合、前記現在の障害物回避経路および前記履歴経路のうちの大きい衝突距離を持つ経路を前記最終障害物回避経路として使用すること;または
前記履歴経路と前記現在の障害物回避経路の両方で衝突が発生し、前記現在の障害物回避経路の衝突距離と前記履歴経路の衝突距離との間の差の絶対値が第3のしきい値未満の場合、前記履歴経路を前記最終障害物回避経路として使用すること;または
前記履歴経路で衝突が発生せず、前記現在の障害物回避経路の前記最終コストの前記履歴経路のコストに対する比率が第4のしきい値以下の場合、前記現在の障害物回避経路を前記最終障害物回避経路として使用すること;または
前記履歴経路で衝突が発生せず、前記現在の障害物回避経路の前記最終コストの前記履歴経路のコストに対する比率が第4のしきい値よりも大きい場合、前記履歴経路を前記最終障害物回避経路として使用すること、を含み、
前記衝突距離は、各候補経路上の衝突状態にあるすべての道路ポイントの縦方向距離の最短の縦方向距離である、
請求項15に記載の装置。
【請求項17】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されたモジュールを有する車両。
【請求項18】
コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読媒体はプログラムコードを格納し;前記プログラムコードがコンピュータで実行されると、前記コンピュータは請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法を実行することを可能にされる、コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
チップであって、前記チップは、
メモリ、プロセッサおよびデータインターフェースを含み、
前記メモリは、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法を前記プロセッサが実行するための命令を格納し、前記プロセッサが、
前記メモリに格納された命令を、前記データインターフェースを介して読み取っ
て実行す
る、チップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年7月20日に中国国家知識産権局に出願された「METHOD AND APPARATUS FOR PLANNING OBSTACLE AVOIDANCE PATH OF TRAVELING APPARATUS」と題する中国特許出願第2010699919.X号に対する優先権を主張しており、その全体が参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本出願は、自動運転技術の分野に関し、より具体的には、移動装置(traveling apparatus)の障害物回避経路を計画するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
自動運転技術では、ナビゲーション情報が地図および位置決めモジュールを用いて取得され、周囲環境がセンシング装置を用いて感知され、自動運転車のナビゲーションは、意思決定、計画、および制御モジュールと組み合わせて実現される。近年、コンピュータビジョン、人工知能、およびセンシング装置の急速な発展に伴い、自動運転技術は急速に発展し、軍事および民生分野の両方で広く利用されている。自動運転装置では、経路計画モジュールは、自動運転装置の正しい運転を導くために、上層のナビゲーション情報、決定指示、および環境知覚結果に基づいて、正確で効果的な移動経路を出力する役割を担う。加えて、経路計画モジュールは、さらに、障害物情報に基づいて障害物回避経路の計画を実行して、自動運転装置が動的な環境で安全に移動することを可能にすることができる。これはまた、経路計画の作業の焦点である。
【0004】
障害物回避経路を計画する既存の方法は、主に、サンプリング、最適化、探索、ポテンシャル場(potential fields)、特徴点などにそれぞれ基づく方法を含む。これらの障害物回避経路を計画する方法は、通常、単純なシナリオでは比較的良い計画効果を持つが、実際の動的な交通シナリオ、特に複雑で狭いシナリオでは経路の揺れ(path shaking)に遭遇し、したがって、車両の安全で安定した移動を確実にすることはできない。
【0005】
したがって、複雑で狭い交通シナリオの場合、同じ計画方法を使用することによって安全で安定した障害物回避経路をどのように出力するかは、現時点で早急に解決される必要がある問題である。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、複雑で狭い交通シナリオにおいて、移動装置が安全かつ安定して障害物を回避することを可能にする、移動装置の障害物回避経路を計画するための方法および装置を提供する。
【0007】
第1の態様によれば、移動装置の障害物回避経路を計画するための方法が提供され:距離マップを取得することであって、距離マップは複数の第1のグリッドを含み、複数の第1のグリッドのそれぞれは、第1のグリッドから障害物によって占有される最も近い第1のグリッドまでの距離を記録するために使用される、取得すること;距離マップに基づいて、近接場範囲の第1の横(horizontal)背景コストポテンシャル場(background cost potential field)を決定することであって、近接場範囲は移動装置からの縦方向距離(longitudinal distance)が第1のしきい値以下である範囲であり、第1の横背景コストポテンシャル場は移動装置の横位置の障害物によって形成される第1の斥力場(repulsion field)であり、第1の横背景コストポテンシャル場は、目標最小値ポイントを含み、目標最小値ポイントの2つの横側部の背景コストは単調性(monotonicity)を特徴とし、背景コストは、移動装置に対する近接場範囲の横位置にある障害物によって生じる近接場横衝突コストを表す、決定すること;および第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて現在の障害物回避経路を決定すること;を含む。
【0008】
オプションで、上記の移動装置は、自動運転車両、ロボット、または別の自律移動装置であり得る。
【0009】
斥力場は、移動装置の横位置における障害物によって形成され、移動装置との障害物による衝突の傾向を示すことができ、障害物を回避するように移動装置を誘導することができ、また、衝突場またはリスク場と呼ばれることがあることが理解されるべきである。第1の横背景コストポテンシャル場は、目標最小値ポイントを含む。目標最小値ポイントの2つの横側部の背景コストは単調性を特徴とする。具体的には、これは、第1斥力場の目標最小値ポイントの2つの横背景コストが単調性を特徴とすることを意味する。
【0010】
目標最小値ポイントの2つの側部の背景コストが単調性を特徴とすることが理解されるべきである。具体的には、目標最小値ポイントの左側のポテンシャル場は単調に減少し、目標最小値ポイントの右側のポテンシャル場は単調に増加する。
【0011】
目標最小値ポイントの2つの横側部の背景コストが単調性を特徴とすることが理解されるべきである。これは、目標最小値ポイントの2つの横側部の背景コストそれぞれが、目標最小値ポイントにおける背景コストよりも大きいことを意味する。
【0012】
オプションで、第1の横背景コストポテンシャル場はV形状であり得る。
【0013】
オプションで、第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて現在の障害物回避経路を決定することは、第1の横背景コストポテンシャル場の目標最小値ポイントの横位置に基づいて現在の障害物回避経路を決定することであり得る。
【0014】
本出願の本実施形態では、まず距離マップが取得され、次に近接場範囲の第1の横背景コストポテンシャル場が距離マップに基づいて構築され、第1の横背景コストポテンシャル場は目標最小値ポイントを含み、目標最小値ポイントの2つの横側部上の背景コストは単調性を特徴とし;次いで、現在の障害物回避経路は、第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて決定される。このように、障害物回避経路を計画する間、近距離障害物に関する情報が、遠くの障害物が計画された経路に影響を与えることを防止するために、十分に考慮される。加えて、近接場範囲の第1の横背景コストポテンシャル場が、移動装置と障害物との間の横衝突の傾向を効果的に反映するために構築される。これに基づいて計画された障害物回避経路は、複雑で狭い環境において、移動装置が障害物から最適な横距離を保つことを可能にし、それによって障害物回避経路の安定性を向上させる。
【0015】
第1の態様に関して、第1の態様のいくつかの実装では、距離マップに基づいて、近接場範囲内の第1の横背景コストポテンシャル場を決定することは:距離マップに基づいて、近接場範囲内の第2の横背景コストポテンシャル場を決定することであって、第2の横背景コストポテンシャル場は、移動装置の横位置にある障害物によって形成される第2の斥力場であり、第2の横背景コストポテンシャル場は、少なくとも1つの最小値ポイントを含む、決定すること;少なくとも1つの最小値ポイントから目標最小値ポイントを決定すること;および、第1の横背景コストポテンシャル場を生成するように、目標最小値ポイントの2つの横側部の背景コストに単調性処理(monotonicity processing)を実行することであって、単調性処理の傾き(slope)が第2のしきい値以上である、実行すること;を含む。
【0016】
第2の斥力場は、単調性処理が実行される前に、移動装置との障害物による衝突の傾向を示すことができることが理解されるべきである。言い換えれば、単調性処理が第2の斥力場に対して実行された後に第1の斥力場が取得される。
【0017】
本出願の本実施形態では、近接場範囲の第2の横背景コストポテンシャル場がまず距離マップに基づいて構築され、次いで、1つの目標最小値ポイントが第2の横背景コストポテンシャル場の少なくとも1つの最小値ポイントから決定され、単調性処理が、第1の横背景コストポテンシャル場を生成するために、目標最小値ポイントの2つの横側部の背景コストに対して実行され、単調性処理の傾きが第2のしきい値以上である。このようにして、目標最小値ポイントの横位置の背景コストポテンシャル場は、他の横位置の背景コストポテンシャル場よりも明らかに低い。移動装置の側部にある障害物が横方向においてわずかに接近するとき、移動装置の横位置の背景コストポテンシャル場が大幅に増加するため、移動装置は、障害物をゆっくりと安定して回避し、安全な距離が障害物から保たれることを確実にするために、最低の背景コストポテンシャル場を持つ横位置に移動する。
【0018】
第1の態様に関して、第1の態様のいくつかの実装では、目標最小値ポイントと移動装置との間に障害物がない。
【0019】
言い換えれば、近接場範囲では、目標最小値ポイントの横位置と移動装置の横位置との間に障害物がない。
【0020】
オプションで、目標最小値ポイントは、最小値ポイントの中の最低の最小値ポイントであって、移動装置との間で、近接場範囲で障害物がない、最低の最小値ポイントであり得る。
【0021】
本出願の本実施形態では、目標最小値ポイントと移動装置との間に障害物がないため、エゴ車両(ego vehicle)が、移動装置と目標最小値ポイントの横位置との間の障害物によって引き起こされるエゴ車両の目標最小値ポイントの横位置への移動の失敗を回避するように、目標最小値ポイントの横位置に安定して移動でき、それによって、経路の安定性を向上させる。
【0022】
第1の態様に関して、第1の態様のいくつかの実装では、距離マップを取得する前に、本方法はさらに:占有マップを取得することであって、占有マップは複数の第2のグリッドを含み、複数の第2のグリッドのそれぞれは、第2のグリッドに障害物がある確率を記録するために使用される、取得すること;を含み、距離マップを取得することは:占有マップに基づいて距離マップを取得することを含む。
【0023】
オプションで、第2のグリッドに障害物がある確率が特定のしきい値以上である場合、第2のグリッドに障害物があるとみなされ得る;または、第2のグリッドに障害物がある確率が特定のしきい値未満である場合、第2のグリッドに障害物がないとみなされ得る。
【0024】
オプションで、複数の第2のグリッドのそれぞれはさらに、第2のグリッドに障害物があるかどうかを記録するために直接使用され得る。
【0025】
第1の態様に関して、第1の態様のいくつかの実装では、占有マップに基づいて距離マップを取得することは:占有マップ内の第1のゾーンに位置する第2のグリッドをフィルタリングすることであって、第1のゾーンは移動装置の前に位置し、第1のゾーンに障害物がある場合、移動装置は第1のゾーンの障害物を回避することができない、フィルタリングすること;およびフィルタリングすることが実行された後に取得された占有マップに基づいて距離マップを取得すること;を含む。
【0026】
「第1のゾーンに障害物がある場合、移動装置は第1のゾーンの障害物を回避することができない」とは:第1のゾーンに障害物がある場合、どの障害物回避経路が移動装置によって選択されても、移動装置は第1のゾーンの障害物を回避することができないと記載され得ることが理解されるべきである。
【0027】
車両の前方の特定のゾーン範囲では、どの障害物回避経路が移動装置によって選択されても、移動装置はゾーン内の障害物を回避することができない。加えて、障害物回避経路の計画は、上流モジュールによって提供される占有マップ情報に基づいて実行され、上流モジュールから提供される障害物情報は、動的または静的な障害物の実際の姿勢(pose)および障害物の予測軌道投影を含むだけでなく、エゴ車両のヘッド部分(head part)での誤検出によってしょうじうる障害物占有状況、または地面の凹凸が、占有マップにこのゾーンの障害物情報を持たせる状況を含み得る。したがって、この場合、このゾーンの障害物がまだ考慮される場合、経路計画は影響を受ける。そのため、このゾーンの障害物は、移動プロセスにおいて常に回避される必要があり、経路の急激な振動(sharp oscillation)を引き起こす。したがって、本出願の本実施形態では、距離マップが取得される前に、占有マップ内のこのゾーンに位置するグリッドは、最初にフィルタ除去され(filtered out)得る。これにより、移動装置は、障害物の誤検出による不合理な回避を実行することを効果的に防止することができる。これは、残りの占有グリッドが、障害物回避アルゴリズムによって必要とされる必要な情報のみを含むことを確実にし、それによって障害物回避経路の安定性を確保する。
【0028】
第1の態様に関しては、第1の態様のいくつかの実装では、距離マップに基づいて近接場範囲内の第2の横背景コストポテンシャル場を決定する前に、本方法はさらに、特徴ベクトルを生成することであって、特徴ベクトルは、経路のスタートポイントとサンプリングゴールポイントを含む、生成すること;および基準経路、履歴経路、および特徴ベクトルに基づいて複数の候補経路を生成すること;を含み;距離マップに基づいて近接場範囲の第2の横背景コストポテンシャル場を決定することは:複数の仮想並行経路を生成するために、サンプリングゴールポイントに基づいて基準経路を横にシフトすること;距離マップに基づいて、近接場範囲の複数の仮想並行経路のそれぞれの各道路ポイントから最も近い障害物までの距離を計算すること;仮想並行経路上の距離の最小値に基づいて、各仮想並行経路の背景コストを計算すること;および近接場範囲内の複数の仮想並行経路の背景コストに基づいて、近接場範囲内の第2の横背景コストポテンシャル場を生成すること;を含む。
【0029】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実装では、第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて現在の障害物回避経路を決定する前に、本方法はさらに:距離マップに基づいて、複数の候補経路のそれぞれについて、衝突コスト、制約コスト、切り替えコスト、横シフト(horizontal shift)コスト、または滑らかさ(smoothness)コストのうちの1つまたは複数を計算することであって、衝突コストは、移動装置が、候補経路を移動するときに衝突するかどうかを評価するために使用され、制約コストは、候補経路上の各道路ポイントが障害物回避可能範囲にあるかどうかを評価するために使用され、切り替えコストは、候補経路と履歴経路との間の偏差を評価するために使用され、横シフトコストは、道路中心線からの候補経路の横シフトの程度を評価するために使用され、滑らかさコストは、候補経路の滑らかさを評価するために使用される、計算すること;を含み、第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて現在の障害物回避経路を決定することは:第1の横背景コストポテンシャル場の背景コストに基づいて、または第1の横背景コストポテンシャル場の背景コストと、衝突コスト、制約コスト、切り替えコスト、横シフトコスト、または滑らかさコストのうちの1つまたは複数とに基づいて、各候補経路の最終コストを計算すること;および最終コストに基づいて現在の障害物回避経路を決定すること;を含む。
【0030】
本出願の本実施形態では、現在の障害物回避経路を決定する場合、背景コストに加えて、衝突コスト、制約コスト、切り替えコスト、横シフトコスト、または滑らかさコストのうちの1つまたは複数がさらに考慮され得、その結果、決定された障害物回避経路は、より多くの要素をカバーすることができ、それによって、障害物回避経路の安定性および安全性をさらに向上させる。
【0031】
第1の態様に関して、第1の態様のいくつかの実装では、本方法はさらに:履歴経路と現在の障害物回避経路との間の調停結果(arbitration result)に基づいて最終障害物回避経路を決定することを含む。
【0032】
本出願の本実施形態では、現在の障害物回避経路が決定されると、最終障害物回避経路は現在の障害物回避経路と履歴経路との間の差に基づいて決定される。これは、複雑で狭い環境での運用中にコスト関数または純粋なロジックのみに基づいて得られた障害物回避経路がフレーム間ホッピング(interframe hopping)を発生させるケースを回避し、コスト関数に対する計画方法の依存性を効果的に緩和し、それによって経路の安定性を確保する。
【0033】
第1の態様を参照すると、第1の態様のいくつかの実装では、履歴経路と現在の障害物回避経路との間の調停結果に基づいて最終障害物回避経路を決定することは:衝突が履歴経路上で発生するが現在の障害物回避経路上で発生しない場合に、現在の障害物回避経路を最終障害物回避経路として使用すること;または衝突が履歴経路と現在の障害物回避経路の両方で発生し、現在の障害物回避経路の衝突距離と履歴経路の衝突距離との間の差の絶対値が第3のしきい値以上である場合に、現在の障害物回避経路および履歴経路におけるより大きい衝突距離を持つ経路を最終障害物回避経路として使用すること;または、衝突が履歴経路と現在の障害物回避経路の両方で発生し、現在の障害物回避経路の衝突距離と履歴経路の衝突距離との間の差の絶対値が第3のしきい値未満である場合に、履歴経路を最終障害物回避経路として使用すること;または、衝突が履歴経路で発生せず、現在の障害物回避経路の最終コストと履歴経路のコストの比が第4のしきい値以下である場合に、現在の障害物回避経路を最終障害物回避経路として使用すること;または、衝突が履歴経路で発生せず、現在の障害物回避経路の最終コストと履歴経路のコストの比が第4のしきい値を超える場合に、履歴経路を最終障害物回避経路として使用すること、を含み、衝突距離は、各候補経路上の衝突状態にあるすべての道路ポイントの縦方向距離における最短の縦方向距離となる。
【0034】
本出願の本実施形態では、現在の障害物回避経路が履歴経路よりも明らかに優れている場合、現在の障害物回避経路は切り替えられる;または現在の障害物回避経路が履歴経路よりも明らかに優れていない場合、履歴経路が引き続き使用される。これは、複雑で狭い環境での運用中にコスト関数または純粋なロジックのみに基づいて得られた障害物回避経路がフレーム間ホッピングを生成するケースを回避し、それによって経路の安定性を確保する。
【0035】
第1の態様を参照すると、第1の態様のいくつかの実装では、本方法はさらに:履歴経路と最終障害物回避経路に基づいて時間領域スムージング(time-domain smoothing)を実行することを含む。
【0036】
本出願の本実施形態では、最終障害物回避経路が得られた場合、時間領域スムージングが、履歴経路および最終障害物回避経路に基づいてさらに実行され得る。この場合、最終障害物回避経路が依然として履歴経路である場合、時間領域スムージングの後に得られた障害物回避経路は、依然として履歴経路である;または、最終障害物回避経路が現在の障害物回避経路である場合、時間領域スムージングが現在の障害物回避経路および履歴経路に基づいて実行される。これは、複雑で狭い環境で障害物回避経路の切り替え中にフレーム間ホッピングが発生するケースを効果的に回避し、経路の安定性を確保する。
【0037】
第1の態様を参照すると、第1の態様のいくつかの実装では、本方法はさらに:最終障害物回避経路を速度プランナー(speed planner)に出力することを含み、速度プランナーは、最終障害物回避経路および最終障害物回避経路上の障害物情報に基づいて速度計画を実行するように構成される。
【0038】
本出願の本実施形態では、最終障害物回避経路が出力された後、速度プランナーは、最終障害物回避経路上の障害物情報に基づいて速度計画を実行し、衝突を引き起こし得る障害物が経路上に発見された場合は減速計画を実行し、それによって経路の安全性を向上させる。
【0039】
第2の態様では、移動装置の障害物回避経路を計画する装置が提供される。この装置は、取得モジュールおよび処理モジュールを含む。取得モジュールは、距離マップを取得するように構成され、距離マップは複数の第1のグリッドを含み、複数の第1のグリッドのそれぞれは、第1のグリッドから障害物によって占有される最も近い第1のグリッドまでの距離を記録するために使用され;処理モジュールは:距離マップに基づいて、近接場範囲の第1の横背景コストポテンシャル場を決定するように構成され、近接場範囲は、移動装置からの縦方向の距離が第1しきい値以下の範囲であり、第1の横背景コストポテンシャル場は、移動装置上の横位置にある障害物によって形成される第1の斥力場であり、第1の横背景コストポテンシャル場は、目標最小値ポイントを含み、目標最小値ポイントの2つの横側部の背景コストは単調性を特徴とし、背景コストは、移動装置への近接場範囲の横位置にある障害物によって生じる近接場横衝突コストを表し;第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて、現在の障害物回避経路を決定する;ように構成される。
【0040】
第2の態様に関して、第2の態様のいくつかの実装では、距離マップに基づいて、近接場範囲の第1の横背景コストポテンシャル場を決定することは:距離マップに基づいて、近接場範囲の第2の横背景コストポテンシャル場を決定することであって、第2の横背景コストポテンシャル場は、移動装置上の横位置にある障害物によって形成される第2の斥力場であり、第2の横背景コストポテンシャル場は、少なくとも1つの最小値ポイントを含む、決定すること;少なくとも1つの最小値ポイントから目標最小値ポイントを決定すること;および第1の横背景コストポテンシャル場を生成するために、目標最小値ポイントの2つの横側部の背景コストに対して単調性処理を実行することであって、単調性処理の傾きが第2のしきい値以上である、実行すること;を含む。
【0041】
第2の態様に関して、第2の態様のいくつかの実装では、目標最小値ポイントと移動装置との間に障害物がない。
【0042】
第2の態様に関して、第2の態様のいくつかの実装では、距離マップを取得する前に、取得モジュールはさらに:占有マップを取得するように構成され、占有マップは複数の第2のグリッドを含み、複数の第2のグリッドのそれぞれは、第2のグリッドに障害物がある確率を記録するために使用され;処理モジュールはさらに:占有マップに基づいて距離マップを取得するように構成される。
【0043】
第2の態様を参照して、第2の態様のいくつかの実装では、占有マップに基づいて距離マップを取得することは:占有マップ内の第1のゾーンに位置する第2のグリッドをフィルタ除去する(filtering out)ことであって、第1のゾーンは移動装置の前に位置し、第1のゾーンに障害物がある場合、移動装置は第1のゾーンの障害物を回避することができない、フィルタ除去すること;およびフィルタ除去することを実行した後に取得した占有マップに基づいて距離マップを取得すること;を含む。
【0044】
第2の態様を参照すると、第2の態様のいくつかの実装では、距離マップに基づいて近接場範囲内の第2の横背景コストポテンシャル場を決定する前に、処理モジュールはさらに:特徴ベクトルを生成し、特徴ベクトルは経路のスタートポイントとサンプリングゴールポイントを含み;基準経路、履歴経路、および特徴ベクトルに基づいて複数の候補経路を生成する;ように構成され;距離マップに基づいて近接場範囲の第2の横背景コストポテンシャル場を決定することは:複数の仮想並行経路を生成するために、サンプリングゴールポイントに基づいて基準経路を横方向にシフトすること;距離マップに基づいて、近接場範囲の複数の仮想並行経路のそれぞれの各道路ポイントから最も近い障害物までの距離を計算すること;仮想並行経路上の距離の最小値に基づいて、各仮想並行経路の背景コストを計算すること;および近接場範囲内の複数の仮想並行経路の背景コストに基づいて、近接場範囲内の第2の横背景コストポテンシャル場を生成すること;を含む。
【0045】
第2の態様を参照して、第2の態様のいくつかの実装では、第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて現在の障害物回避経路を決定する前に、処理モジュールはさらに:距離マップに基づいて、複数の候補経路のそれぞれについて、衝突コスト、制約コスト、切り替えコスト、横シフトコスト、または滑らかさコストのうちの1つまたは複数を計算するように構成され、衝突コストは、候補経路を移動するときに移動装置が衝突するかどうかを評価するために使用され、制約コストは、候補経路上の各道路ポイントが障害物回避可能範囲にあるかどうかを評価するために使用され、切り替えコストは、候補経路と履歴経路との間の偏差を評価するために使用され、横シフトコストは、道路中心線からの候補経路の横シフトの程度を評価するために使用され、滑らかさコストは、候補経路の滑らかさを評価するために使用される;第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて現在の障害物回避経路を決定することは:第1の横背景コストポテンシャル場の背景コストに基づいて、または第1の横背景コストポテンシャル場の背景コストと、衝突コスト、制約コスト、切り替えコスト、横シフトコスト、または滑らかさコストのうちの1つ以上とに基づいて、各候補経路の最終コストを計算すること;および最終コストに基づいて現在の障害物回避経路を決定すること;を含む。
【0046】
第2の態様を参照して、第2の態様のいくつかの実装では、処理モジュールはさらに:履歴経路と現在の障害物回避経路との間の調停結果に基づいて最終障害物回避経路を決定するように構成される。
【0047】
第2の態様を参照して、第2の態様のいくつかの実装では、履歴経路と現在の障害物回避経路との間の調停結果に基づいて最終障害物回避経路を決定することは:衝突が履歴経路上で発生するが現在の障害物回避経路上では発生しない場合に、現在の障害物回避経路を最終障害物回避経路として使用すること;または、衝突が履歴経路と現在の障害物回避経路の両方で発生し、現在の障害物回避経路の衝突距離と履歴経路の衝突距離との間の差の絶対値が第3のしきい値以上である場合に、現在の障害物回避経路および履歴経路においてより大きい衝突距離を持つ経路を最終障害物回避経路として使用すること;または、衝突が履歴経路と現在の障害物回避経路の両方で発生し、現在の障害物回避経路の衝突距離と履歴経路の衝突距離との間の差の絶対値が第3のしきい値未満である場合に、履歴経路を最終障害物回避経路として使用すること;または、衝突が履歴経路で発生せず、現在の障害物回避経路の最終コストと履歴経路のコストの比が第4のしきい値以下である場合に、現在の障害物回避経路を最終障害物回避経路として使用すること;または、衝突が履歴経路で発生せず、現在の障害物回避経路の最終コストと履歴経路のコストの比が第4のしきい値を超える場合に、履歴経路を最終障害物回避経路として使用すること、を含み、衝突距離は、各候補経路上の衝突状態にあるすべての道路ポイントの縦方向距離において最短の縦方向距離である。
【0048】
第2の態様を参照して、第2の態様のいくつかの実装では、処理モジュールはさらに、履歴経路および最終障害物回避経路に基づいて時間領域スムージングを実行するように構成される。
【0049】
第2の態様に関して、第2の態様のいくつかの実装では、装置はさらに、最終障害物回避経路を速度プランナーに出力するように構成された出力モジュールを含み得、速度プランナーは、最終障害物回避経路および最終障害物回避経路上の障害物情報に基づいて速度計画を実行するように構成される。
【0050】
第3の態様によると、入出力インターフェース、プロセッサ、およびメモリを含む計画装置が提供される。プロセッサは、信号または情報を送受信するために入出力インターフェースを制御するように構成される。メモリは、コンピュータプログラムを格納するように構成される。プロセッサは:メモリからコンピュータプログラムを呼び出し、計画装置が第1の態様の方法を実行することを可能にするように、コンピュータプログラムを実行する。
【0051】
第4の態様によると、第1の態様の方法を実行するように構成されたさまざまなモジュールを含む車両が提供される。
【0052】
第5の態様によると、コンピュータ可読媒体が提供される。コンピュータ可読媒体はプログラムコードを格納する。コンピュータ上で実行される場合、コンピュータプログラムコードは、コンピュータが第1の態様の方法を実行することを可能にする。
【0053】
第6の態様によると、チップが提供される。チップはプロセッサとデータインターフェースを含む。プロセッサは、第1の態様の方法を実行するために、データインターフェースを通して、メモリに格納された命令を読み取る。
【0054】
オプションで、実装では、チップはさらにメモリを含み得る。メモリは命令を格納する。プロセッサは、メモリに格納された命令を実行するように構成される。命令が実行されると、プロセッサは第1の態様の方法を実行するように構成される。
【0055】
チップは、具体的にはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路ASICであり得る。
【0056】
本出願では、第1の態様の方法は、具体的には、第1の態様または第1の態様の実装のいずれか1つの方法であり得ることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】本出願の一実施形態によるフレネ座標系の例図である。
【0058】
【
図2】本出願の一実施形態による複雑で狭い都市道路シナリオの例図である。
【0059】
【
図3】本出願の一実施形態による障害物回避経路を計画するためのシステムアーキテクチャの例図である。
【0060】
【
図4】本出願の一実施形態による移動装置の障害物回避経路を計画するための方法の例図である。
【0061】
【
図5】本出願の一実施形態による障害物回避経路を計画するための方法のコアプロセスの例図である。
【0062】
【
図6】本出願の一実施形態による候補経路生成シナリオの例図である。
【0063】
【
図7】本出願の一実施形態による別の候補経路生成シナリオの例図である。
【0064】
【
図8】本出願の一実施形態による無効占有グリッドの例図である。
【0065】
【
図9】本出願の一実施形態による全衝突三角形ゾーンの例図である。
【0066】
【
図10】本出願の一実施形態による占有マップから距離マップへの変換の例図である。
【0067】
【
図11】本出願の一実施形態によるV形状近接場横背景コストポテンシャル場を生成する方法の例図である。
【0068】
【
図12】本出願の一実施形態による仮想背景線を生成することの例図である。
【0069】
【
図13】本出願の一実施形態による近接場横背景コストポテンシャル場の単調性処理原理の例図である。
【0070】
【
図14】本出願の一実施形態による車体の多円衝突モデルの例図である。
【0071】
【
図15】本出願の一実施形態による正確な障害物距離を計算するための原理の図である。
【0072】
【
図16】本出願の一実施形態による横分割の例図である。
【0073】
【
図17】本出願の一実施形態による障害物回避経路を出力するための調停方法の例図である。
【0074】
【
図18】本出願の一実施形態による候補経路の全衝突時にも履歴経路が使用されるシナリオの例図である。
【0075】
【
図19】本出願の一実施形態による候補経路の全衝突時に現在の最適経路に切り替えるシナリオの例図である。
【0076】
【
図20】本出願の一実施形態による時間領域スムージングの例図である。
【0077】
【
図21】本出願の一実施形態による複雑で狭いシナリオにおける障害物回避経路生成結果の例図である。
【0078】
【
図22】本出願の一実施形態による単純な都市道路シナリオの例図である。
【0079】
【
図23】本出願の一実施形態による別の候補道路生成シナリオの例図である。
【0080】
【
図24】本出願の一実施形態による単純な都市道路シナリオにおける障害物回避経路生成結果の例図である。
【0081】
【
図25】本出願の一実施形態による移動装置の障害物回避経路を計画する装置の例図である。
【0082】
【
図26】本出願の一実施形態による障害物回避経路を計画する装置のハードウェア構造の例示的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
わかりやすくするために、本出願の実施形態におけるいくつかの技術用語を最初に説明する。
【0084】
経路計画:自律移動プロセスでは、自動運転装置が、上位層のナビゲーション情報、決定指示、環境知覚結果に基づいて正確で効果的な走行経路を出力し、その移動経路は、車両の正しい移動を案内するために、下位層のコントローラの主な入力として使用され、それによって、車線維持、車線変更、障害物回避などの複数の動作を完了させる。経路を生成するプロセスを経路計画という。本出願の実施形態では、説明を容易にするために、自動運転装置を表すためにエゴ車両が使用されることを理解すべきである。
【0085】
占有マップ:グリッドを含み、占有グリッドマップとも呼ばれる。占有マップは、エゴ車両の近くの所与のゾーンの障害物情報を含む。グリッド値が、占有、非占有、不明、および別の状態を表し得る。
【0086】
基準経路(Reference path):現在の道路の中心線など、経路計画のためにエゴ車両によって使用される基準の基礎。この経路は主に、現実の地図情報を反映し、エゴ車両の移動方向を案内することができるが、障害物回避機能はない。
【0087】
障害物回避可能範囲:基準経路の周りの移動範囲。障害物回避のためにエゴ車両によって使用され、障害物回避経路計画のための空間制約を提供する。
【0088】
回避経路:障害物を回避することができ、障害物情報に基づき、基準経路と障害物回避可能範囲に基づいてエゴ車両によって経路計画を通じて取得される経路。
【0089】
フレネ座標系(SL系):
図1は、本出願の一実施形態によるフレネ座標系の例示図である。
図1に示すように、エゴ車両のリアアクスルの中間点がSL系の原点として使用される。基準経路に沿った方向を縦方向(S方向)という。経路に垂直な方向を横方向(L方向)という。基準経路は道路の中心線である。
【0090】
わかりやすくするために、本出願の実施形態の背景をさらに詳しく説明する。
【0091】
自動運転技術では、ナビゲーション情報が地図および位置決めモジュールを使用することによって取得され、周囲環境がセンシング装置を使用することによって感知され、自動運転車のナビゲーションは、意思決定、計画、制御モジュールと組み合わせて実現される。近年、コンピュータビジョン、人工知能、およびセンシング装置の急速な発展に伴い、自動運転技術は急速に発展し、軍事および民生分野で広く利用されている。
【0092】
自動運転車のモジュールでは、計画モジュールが、車線維持、車線変更、障害物回避などのアクションを実行するために、ナビゲーション情報、決定指示、および環境知覚結果に基づいて正確で効果的な移動経路を出力する役割を担っている。通常、経路計画モジュールには基準経路がある。基準経路は、現在の道路の中心線に基づいて生成され得るまたは手動取得の方法で取得され得、主に自動運転車の経路計画のための基準を提供する。障害物情報と組み合わせて基準経路に基づいて、車両の障害物回避経路計画が、動的な環境での車両の安全な走行を実現するためにさらに実装される必要がある。これは、経路計画の作業の焦点でもある。
【0093】
現在、障害物回避経路を計画する一般的な方法は、それぞれサンプリング、最適化、検索、ポテンシャル場、特徴点などに基づく方法を含む。方法の主な特徴は次の通りである:サンプリングベースの障害物回避方法は、計算効率が高く、工学的変換に便利であるが、通常は最適解を達成できず、複雑なシナリオでジッター(jitter)が発生する可能性がある。最適化ベースの方法は、理論的な近似最適解を得るために入力情報を十分に考慮することができるが、計算リソースを消費し、環境の影響を受けやすくなる。例えば、エゴ車両から離れた障害物の変化は、エゴ車両の近くの経路に直接影響を与えるため、エゴ車両は、動的な環境を移動するときにジッターや振動に遭遇する。検索ベースの方法は、複雑なシナリオに対処できるが、大量の計算リソースを消費し、スムーズでない計画された経路を簡単に生成する。この方法は通常、低速のシナリオにのみ適しており、動的なシナリオを十分にサポートしていない。潜在的なフィールドベースの方法は、環境内の障害物情報を包括的に考慮できるが、局所的な曲げと振動に遭遇する。特徴点ベースの方法は、単純な低速シナリオでは安定した効果的な障害物回避経路を生成するが、複雑な動的シナリオでは明らかな振動に遭遇する。
【0094】
結論として、障害物回避経路を計画する既存の方法は、通常、単純なシナリオでは比較的良い計画効果を持つが、実際の動的な交通シナリオ、特に複雑で狭いシナリオでは経路の揺れに遭遇するため、車両の安全で安定した移動を保証することはできない。
【0095】
従来技術における問題に対して、本出願の実施形態では、近接場範囲における第1の横背景コストポテンシャル場が構築され、第1の横背景コストポテンシャル場における目標最小値ポイントの2つの横側部の背景コストは単調性を特徴とする。これは、エゴ車両と障害物との間の横衝突の傾向を効果的に反映する。これに基づいて計画された障害物回避経路は、複雑で狭い環境において、移動装置が障害物から最適な横距離を保つことを可能にすることができるとともに、計画された障害物回避経路が比較的離れた環境の変化によって影響を受けることを防止することができ、それによって、障害物回避経路の安定性が向上する。
【0096】
本出願の実施形態における解決策をよりよく理解するために、方法を説明する前に、本出願の実施形態を適用できるシナリオおよびシステムアーキテクチャを、最初に添付の図面を参照して簡単に説明する。
【0097】
図2は、本出願の一実施形態による複雑で狭い市道シナリオの例図である。
図2に示すように、エゴ車両が道路を移動すると、障害物回避可能範囲内に大量の動的障害物(番号1~5)および/または静止障害物(番号6)が発生する。これは、狭く混雑した交通シナリオを構成する。静止障害物は、道路の両側に駐車している車両または道路の両側に設置されている他の障害物である場合もあれば、道路に一時的に設置されている他の障害物である場合もある。動的障害物は、エゴ車両の障害物回避可能範囲内を移動する他の車両である場合もある。上記の障害物の影響を受けると、エゴ車両の移動空間は狭くなり、移動経路は複雑になる。このシナリオでは、基準経路、すべての障害物の横障害物回避可能範囲、サイズ、位置、速度、および予測された軌道投影を含む占有マップがすべて既知であることが理解されるべきである。
【0098】
図3は、本出願の一実施形態による障害物回避経路を計画するためのシステムアーキテクチャの例図である。システムアーキテクチャ300は、基準経路プランナー310、障害物決定器(obstacle decision maker)320、障害物回避経路プランナー330、および速度プランナー340を含む。
【0099】
基準経路プランナー310は、障害物回避経路プランナー330のために基準経路および横障害物回避可能範囲を提供するように構成される。本出願の本実施形態では、基準経路は道路の中心線である。基準経路は別の形式でも提示され得ることが理解されるべきである。これはここでは限定されない。横障害物回避可能範囲は、エゴ車両の移動過程において、経路に垂直な方向に障害物回避を行うことができる範囲である。例えば、横障害物回避可能範囲は、エゴ車両が現在移動している道路の幅であり得る。
【0100】
障害物決定器320は、障害物およびと障害物の予測軌道投影を含む占有マップを障害物回避経路プランナー330に提供するように構成される。障害物決定器320が障害物を含む占有マップおよび障害物の予測軌道投影を取得する方法は、本出願では限定されないことが理解されるべきである。
【0101】
障害物回避経路プランナー330は、基準経路プランナー310によって提供される基準経路および横障害物回避可能範囲、ならびに障害物決定器320によって提供される障害物および障害物の予測軌道投影を含む占有マップに基づいて障害物回避経路を計画するように構成される。
【0102】
本出願の本実施形態では、障害物回避経路プランナー330は、候補経路生成モジュール331および候補経路評価モジュール332を含む。候補経路生成モジュール331は、基準経路および横障害物回避可能範囲に基づいて候補経路のクラスタを生成するように構成される。候補経路の生成方法については後述し、ここでは詳述しない。候補経路評価モジュール332は:候補経路それ自体と障害物の占有情報に基づいて候補経路を評価し、現在のフレームの最適経路を現在の障害物回避経路として選択する。
【0103】
実装では、候補経路評価モジュール332によって選択された現在のフレームの最適経路は、現在出力障害物回避経路として使用され得る。別の実装では、障害物回避経路プランナー330は、さらに、現在のフレームの最適経路と(前のフレームの)履歴経路に基づいて最終出力障害物回避経路を決定するように構成された出力経路調停モジュール433を含み得る。
【0104】
オプションで、障害物回避経路プランナー330は、さらに、最終出力障害物回避経路に時間領域スムージングを実行するように構成された経路時間領域スムージングモジュール334を含み得る。
【0105】
障害物回避経路プランナー330は、計画された障害物回避経路をバックエンド速度プランナー340に出力する。エゴ車両と障害物回避経路上の障害物との間の衝突の可能性がある場合、速度プランナーはエゴ車両に対する衝突障害物の位置および速度に基づいて減速を計画する。
【0106】
図4は、本出願の一実施形態による移動装置の障害物回避経路を計画する方法の例図である。方法400は、前述のシナリオ200に適用することも、前述のシステムアーキテクチャ300に適用することもできることが理解されるべきである。
図4に示すように、方法400はステップS410からS430を含む。以下、これらのステップについて詳細に説明する。
【0107】
S410:距離マップを取得する。
【0108】
距離マップは複数の第1のグリッドを含み、複数の第1のグリッドのそれぞれは、第1のグリッドから障害物が占める最も近い第1のグリッドまでの距離を記録するために使用される。
【0109】
オプションで、距離マップを取得する前に、方法400はさらに:占有マップを取得するであって、占有マップは複数の第2のグリッドを含み、複数の第2のグリッドのそれぞれは、第2のグリッドに障害物がある確率を記録するために使用される、取得することと;占有マップに基づいて距離マップを取得することと;を含む。
【0110】
オプションで、第2のグリッドに障害物がある確率が特定のしきい値以上の場合、第2のグリッドに障害物があるとみなされ得る;または、第2のグリッドに障害物がある確率が特定のしきい値未満の場合、第2のグリッドに障害物がないとみなされ得る。
【0111】
オプションで、複数の第2のグリッドのそれぞれはさらに、第2のグリッドに障害物があるかどうかを記録するために使用され得る。例えば、第2のグリッドに記録された値が1の場合、障害物があることを示す;または、第2のグリッドに記録された値が0の場合、障害物がないことを示す。
【0112】
占有マップは、上流モジュール、例えば、前述の障害物決定器320によって提供されることが理解されるべきである。占有マップは、エゴ車両の近くの所与のゾーン内の障害物情報を含む。障害物情報は、障害物または障害物の予測軌道に関する情報であり、障害物によって占有されるグリッドは、障害物によってまたは障害物の予測軌道投影によって占有されるグリッドであることがさらに理解されるべきである。
【0113】
占有マップが取得された後、占有マップは、距離マップに変換される必要があることが理解されるべきである。変換方法は、以下の具体的な実装で詳しく説明し、ここでは詳細については説明しない。
【0114】
車両前方の特定のゾーン範囲では、どの障害物回避経路が移動装置によって選択されても、移動装置はゾーン内の障害物を回避できない。加えて、障害物回避経路計画は、上流モジュールによって提供される占有マップ情報に基づいて実行され、上流モジュールによって提供される障害物情報は、動的または静止障害物の実際の姿勢(pose)および障害物の予測軌道投影を含むだけでなく、エゴ車両のヘッド部分での誤検出によって生じる障害物占有状況、または地面の凹凸が占有マップにこのゾーンに障害物情報を持たせる状況を含む場合もある。したがって、この場合、このゾーンの障害物が依然として考慮されると、経路計画に影響を与える。そのため、移動プロセスではこのゾーンの障害物を常に回避する必要があり、経路の急激な振動を引き起こす。
【0115】
したがって、本出願の本実施形態では、占有マップの第1のゾーンに位置する第2のグリッドがフィルタ除去され得る。
【0116】
第1のゾーンは、移動装置の前に位置する。第1のゾーンに障害物がある場合、移動装置は第1のゾーンの障害物を回避できない;次いで、フィルタ除去が実行された後に取得された占有マップに基づいて距離マップを取得する。これにより、移動装置は、障害物の誤検出による不合理な回避を実行することを効果的に防止する。これは、残りの占有グリッドが障害物回避アルゴリズムによって必要とされる情報のみを含むことを確実にし、それによって、障害物回避経路の安定性を確保する。グリッドをフィルタ除去する方法は、次の具体的な実装で詳細に説明されており、ここでは詳細は説明しない。
【0117】
S420:距離マップに基づいて、近接場範囲の第1の横背景コストポテンシャル場を決定する。
【0118】
近接場範囲は、移動装置からの縦方向距離が第1のしきい値以下の範囲であり、第1の横背景コストポテンシャル場は、移動装置の横位置にある障害物によって形成される第1の斥力場であり、第1の横背景コストポテンシャル場は、目標最小値ポイントを含み、目標最小値ポイントの2つの横側部の背景コストは単調性を特徴とし、背景コストは、近接場範囲の横位置の障害物によって移動装置にもたらされる近接場横衝突コストを表す。
【0119】
オプションで、前述の移動装置は、自律車両、ロボット、または別の自律移動装置であり得る。これは本出願では限定されない。説明を簡単にするために、本出願では、エゴ車両が移動装置を表すために使用される。
【0120】
近接場範囲は、フレネ座標系の原点から経路方向に沿って縦に5m延長した範囲であり得ることが理解されるべきである。本出願の本実施形態では、原点はエゴ車両のリアアクスルの中心であり得る。エゴ車両の長さは通常3mから6mであり得、したがって、近接場範囲の横位置にある障害物は、エゴ車両の2つの横側部のそれぞれにある障害物として理解され得ることが理解されるべきである。近接場範囲は、エゴ車両の長さおよび移動速度ならびにシナリオの複雑さに基づいて決定され得る。これは、本出願では限定されない。
【0121】
第1の横背景コストポテンシャル場は、エゴ車両の横位置にある障害物によって形成される第1の斥力場であることが理解されるべきである。斥力場は、移動装置の横位置にある障害物によって形成され、障害物による移動装置との衝突の傾向を示すことができ、障害物を回避するように移動装置を案内することができ、衝突場またはリスク場と呼ばれることもある。第1の斥力場は、単調性処理が実行された後に、障害物による移動装置との衝突の傾向を示すことができることが理解されるべきである。
【0122】
具体的には、第1の横背景コストポテンシャル場は、横位置にあるエゴ車両と障害物との衝突の傾向を示すことができる。通常、背景コストが高いほど、エゴ車両と障害物との間の距離が小さくなり、衝突の可能性が高くなる。背景コストが低いほど、エゴ車両と障害物との間の距離が大きくなり、背景コストに対応する横位置を移動中に障害物から安全な距離を保つことができる。
【0123】
目標最小値ポイントの2つの横側部の背景コストは単調性を特徴とすることが理解されるべきである。具体的には、目標最小値ポイントの左側のポテンシャル場は単調に減少し、目標最小値ポイントの右側のポテンシャル場は単調に増加している。これは、目標最小値ポイントの2つの側部の背景コストが、それぞれ目標最小値ポイントの背景コストよりも大きいことを意味する。言い換えれば、目標最小値ポイントの横位置のポテンシャル場が最も低く、エゴ車両は横位置がある経路に沿って安定して移動できる。
【0124】
オプションで、第1の横背景コストポテンシャル場は、"V"形、"/"形、または"¥"形のものであり得る。さらに、単調関数の傾きは、固定値の場合もあれば、横位置によって連続的に変化する値の場合もあることを理解されるべきである。これは、本出願では限定されない。説明を簡単にするために、以下の特定の実施形態では、V形の第1の横背景コストポテンシャル場を使用する。
【0125】
S430:現在の障害物回避経路を第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて決定する。
【0126】
オプションで、第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて現在の障害物回避経路を決定することは、第1の横背景コストポテンシャル場内の目標最小値ポイントの横位置に基づいて現在の障害物回避経路を決定することであり得る。言い換えれば、現在の障害物回避経路は、最も低いポテンシャル場を持つ横位置に基づいて決定されるため、エゴ車両は最も低いポテンシャル場を持つ位置に沿って安定して移動することができる。
【0127】
本出願の本実施形態では、現在の障害物回避経路を計画するとき、近接場範囲の第1の横背景コストポテンシャル場が考慮される。1つの態様では、障害物回避経路を計画するとき、近接場範囲の障害物情報のみが考慮されて、次のような場合を回避する:既存の障害物回避経路の計画方法を使用する場合、遠くの障害物が変化すると、エゴ車両の近くの経路が変化し、移動を不安定にする。別の態様では、近接場範囲の第1の横背景コストポテンシャル場が構築されて、エゴ車両と障害物との間の横衝突の傾向を効果的に反映する。これに基づいて計画された障害物回避経路は、複雑で狭い環境において、エゴ車両が障害物から最適な横距離を保つことを可能にし、それによって障害物回避経路の安定性を向上させる。
【0128】
オプションで、近接場範囲内の第2の横背景コストポテンシャル場が、距離マップに基づいて最初に決定され得る。第2の横背景コストポテンシャル場は、移動装置の横位置の障害物によって形成される第2の斥力場であり、第2の横背景コストポテンシャル場は少なくとも1つの最小値ポイントを含む。目標最小値ポイントは、少なくとも1つの最小値ポイントから決定される。単調性処理が、目標最小値ポイントの2つの横側部の背景コストに対して実行されて、第1の横背景コストポテンシャル場を生成し、単調性処理の傾きは第2のしきい値以上である。例えば、傾きの値は10/1m以上の任意の値であり得、具体的な値は実際の状況を参照して決定する必要がある。これはここでは限定されない。
【0129】
単調性処理が実行される前に、第2の斥力場は障害物による移動装置との衝突の傾向を示すことができることが理解されるべきである。言い換えれば、単調性処理が第2の斥力場に対して示一宏された後に、第1の斥力場が取得される。
【0130】
本出願の本実施形態では、第1の横背景コストポテンシャル場を構築する方法は次の様になり得る:接場範囲の第2の横背景コストポテンシャル場が距離マップに基づいて最初に構築され、次に1つの目標最小値ポイントが第2の横背景コストポテンシャル場の少なくとも1つの最小値ポイントから決定され、単調性処理が目標最小値ポイントの2つの横側部の背景コストに対して実行されて、第1の横背景コストポテンシャル場を生成する。加えて、単調性処理の傾きは、第2のしきい値以上になるように設定され、その結果、目標最小値ポイントの横位置の背景コストポテンシャル場は、他の横位置の背景コストポテンシャル場よりも明らかに低くなり、エゴ車両が最も低いポテンシャル場を持つ経路を安定して移動することを確実にすることができる。言い換えれば、エゴ車両の側部の障害物が横方向にわずかに近づくと、エゴ車両の横位置の背景コストポテンシャル場が大幅に増加するため、エゴ車両は、障害物をゆっくりと安定して回避し、最も低い背景コストポテンシャル場を持つ横位置に移動し、障害物から安全な距離を保つ。
【0131】
オプションで、目標最小値ポイントと移動装置との間に障害物がない。
【0132】
言い換えれば、近接場範囲では、目標最小値ポイントによって表される横位置と移動装置の横位置との間に障害物がない。
【0133】
オプションで、目標最小値ポイントは、近接場範囲で障害物がない移動装置との間のすべての最小値ポイントの中の最低の最小値ポイントであり得る。
【0134】
実際のシナリオでは、複数の最小値ポイントの横位置とエゴ車両の横位置との間に障害物がない場合があることが理解されるべきである。この場合、これらの最小値ポイントの中の最低の最小値ポイントが目標最小値ポイントとして使用され得る;または、これらの最小値ポイントの1つが実際の状況に基づいて目標最小値ポイントとして選択され得る。例えば、最低の最小値ポイントの背景コストは、2番目に小さい最小値ポイントの背景コストに近く、2番目に小さい最小値ポイントの横位置は、エゴ車両に近い。この場合、2番目に小さい最小値ポイントは目標最小値ポイントとして使用され得る。説明を簡単にするために、以下に説明する実施形態では、近接場範囲内に障害物がない移動装置の横位置との間のすべての最小値ポイントのうちの最低の最小値ポイントが目標最小値ポイントとして使用される。
【0135】
本出願の本実施形態では、目標最小値ポイントと近接場範囲内の移動装置との間に障害物がないため、エゴ車両は、移動装置の横位置と目標最小値ポイントの横位置との間の障害物によって引き起こされるエゴ車両の目標最小値ポイントの横位置への移動の失敗を回避するように、目標最小値ポイントの横位置に安定して移動することができ、それによって、経路の安定性を向上させる。加えて、目標最小値ポイントが、近接場範囲内に障害物がない移動装置の横位置との間のすべての最小値ポイントの中の最低の最小値ポイントであり得る場合、最適な安全距離をエゴ車両の動作過程において障害物から保つことができる。
【0136】
オプションで、距離マップに基づいて近接場範囲内の第2の横背景コストポテンシャル場を決定する前に、方法400はさらに以下を含み得る:特徴ベクトルを生成することであって、特徴ベクトルは経路スタートポイントとサンプリングゴールポイントを含む、生成すること;および、基準経路、履歴経路、および特徴ベクトルに基づいて複数の候補経路を生成すること。
【0137】
本出願の本実施形態における経路計画の間、複数の候補経路がエゴ車両の位置に基づいて最初に生成され、その後、最適な候補経路が、複数の候補経路を評価することによって現在の障害物回避経路として選択されることが理解されるべきである。以下の実施形態では、候補経路を生成する方法が詳細に説明され、ここでは詳細については説明しない。
【0138】
オプションで、基準経路は、サンプリングゴールポイントに基づいて横方向にシフトされて、複数の仮想並行経路を生成し得る;近接場範囲内の複数の仮想並行経路のそれぞれの各道路ポイントから最も近い障害物までの距離は、距離マップに基づいて計算される;各仮想並行経路の背景コストは、仮想並行経路上の距離の最小値に基づいて計算される;
近接場範囲の第2の横背景コストポテンシャル場は、近接場範囲の複数の仮想並行経路の背景コストに基づいて生成される。第1の横背景コストポテンシャル場および第2の横背景コストポテンシャル場を構築する方法については、以下の具体的な実装において詳細に記述されており、ここでは詳細については説明しない。
【0139】
オプションで、本出願の本実施形態では、候補経路が評価される場合、評価は、背景コストだけでなく、衝突コスト、制約コスト、切り替えコスト、横シフトコスト、滑らかさコストのうちの1つ以上に基づいて評価を実行され、そのため、決定された障害物回避経路は、より多くの要素をカバーすることができ、それによって障害物回避経路の安定性と安全性をさらに向上させる。
【0140】
したがって、本出願の本実施形態では、現在の障害物回避経路が第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて決定される前に、複数の候補経路のそれぞれについての衝突コスト、制約コスト、切り替えコスト、横シフトコスト、滑らかさコストのうちの1つ以上が、距離マップに基づいてさらに計算され得る。
【0141】
衝突コストは、候補経路を走行する際に移動装置が衝突するかどうかを評価するために使用され、制約コストは、候補経路上の各道路ポイントが障害物回避可能範囲にあるかどうかを評価するために使用され、切り替えコストは、候補経路と履歴経路との間の偏差を評価するために使用され、横シフトコストは、道路中心線からの候補経路の横シフトの程度を評価するために使用され、滑らかさコストは、候補経路の滑らかさを評価するために使用される。
【0142】
候補経路が評価される場合、各候補経路の最終コストは、第1の横背景コストポテンシャル場の背景コストに基づいて、或いは、第1の横背景コストポテンシャル場の背景コストと、衝突コスト、制約コスト、切り替えコスト、横シフトコスト、または滑らかさコストの1つ以上とに基づいて計算され得;次いで、現在の障害物回避経路は最終コストに基づいて決定される。
【0143】
本出願の本実施形態では、最終コストは、コストの加重和に基づいて計算され得ることが理解されるべきである。エゴ車両が障害物から安全な距離を保つことを可能にするために、背景コストと衝突コストの重みが比較的大きく設定され得ることが理解されるべきである。上記のコストの獲得と具体的な評価方法については、以下の具体的な実装に詳述されており、ここには詳細が記載されていないことが理解されるべきである。
【0144】
オプションで、方法400はさらに:履歴経路と現在の障害物回避経路との間の調停結果に基づいて最終障害物回避経路を決定することを含む。
【0145】
履歴経路はエゴ車両が前のフレームを移動する経路であり、現在の障害物回避経路は現在計画されている経路であることが理解されるべきである。最終障害物回避経路は、履歴経路と現在の障害物回避経路との間の調停結果に基づいて決定される。言い換えれば、1つの経路が、最終出力障害物回避経路として、履歴経路および現在の障害物回避経路から選択される。
【0146】
本出願の本実施形態では、現在の障害物回避経路が決定されるとき、最終障害物回避経路が現在の障害物回避経路と履歴経路との間の差に基づいて決定される。これは、複雑で狭い環境での動作中にコスト関数または純粋な論理のみに基づいて取得された障害物回避経路がフレーム間ホッピングを発生させるケースを回避し、コスト関数に対する計画方法の依存性を効果的に緩和し、それによって経路の安定性を確保する。
【0147】
オプションで、現在の障害物回避経路が履歴経路よりも明らかに優れている場合、現在の障害物回避経路が切り替えられる;または、現在の障害物回避経路が履歴経路よりも明らかに優れていない場合は、履歴経路が引き続き使用される。これは、複雑で狭い環境での動作中にコスト関数または純粋な論理のみに基づいて取得された障害物回避経路がフレーム間ホッピングを発生させることを回避し、それによって経路の安定性を確保する。具体的な調停条件については、以下の具体的な実装で詳述し、ここでは詳述しない。
【0148】
オプションで、方法400は、さらに:履歴経路と最終障害物回避経路に基づいて時間領域スムージングを実行することを含み得る。本出願の本実施形態では、最終障害物回避経路が取得されると、時間領域スムージングが履歴経路と最終障害物回避経路に基づいてさらに実行され得る。この場合、最終障害物回避経路が依然として履歴経路である場合、時間領域スムージング後に取得された障害物回避経路は依然として履歴経路である;または、最終障害物回避経路が現在の障害物回避経路である場合、時間領域スムージングが現在の障害物回避経路と履歴経路に基づいて実行される。これは、複雑で狭い環境での障害物回避経路切り替えの間にフレーム間ホッピングが発生するケースを効果的に回避し、それによって経路の安定性を確保する。
【0149】
オプションで、方法400は、さらに:最終障害物回避経路を速度プランナーに出力することを含み得、速度プランナーは、最終障害物回避経路および最終障害物回避経路上の障害物情報に基づいて速度計画を実行するように構成される。本出願の本実施形態では、最終障害物回避経路が出力された後、速度プランナーは、最終障害物回避経路上の障害物情報に基づいて速度計画を実行し、衝突をもたらし得る障害物が経路上に発見された場合に減速計画を実行し、それによって、経路の安全性を向上させる。
【0150】
以下は、本出願の一実施形態による障害物回避経路を計画する方法を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0151】
好ましい方法で、
図5は、本出願の一実施形態による障害物回避経路を計画する方法のコアプロセスの例図である。
図5に示した計画方法は、
図2に示した複雑で狭いシナリオに適用され得ることが理解されるべきである。
図5に示すように、コアプロセス500は、ステップS510、S520、S530、およびS540を含む。以下では、これらのステップについて詳細に説明する。
【0152】
S510:候補経路を生成する。
【0153】
候補経路の生成は、ステップS511、S512、およびS513を含む。
図6は、本出願の一実施形態による候補経路生成シナリオの例図である。以下、
図6を参照してこれらのステップを詳細に説明する。
【0154】
S511:特徴ベクトルを生成する。
【0155】
具体的には、経路スタートポイント(スタートポイント)とサンプリングゴールポイント(ゴールポイント、略してサンプリングポイント)を含む特徴ベクトルが、履歴経路と、
図6の矢印で示すように、基準経路プランナーによって入力された基準経路および障害物回避可能範囲に基づいて生成される。
【0156】
スタートポイントは履歴経路に見つけられ得ることが理解されるべきである。本出願の本実施形態では、エゴ車両のリアアクスルの中心が前のフレームを通る経路が履歴経路として使用される。したがって、エゴ車両のリアアクスルの中心点に最も近い道路ポイントが履歴経路に見つけられ得る。この場合、ポイントの実際の位置および向きが、スタートポイント特徴ベクトルを構成し得る。各経路は大量の道路ポイントを含み、道路ポイント間の距離が実際の状況に基づいて決定され得ることが理解されるべきである。例えば、1つの道路ポイントが0.1mおきに設定され得る、または1つの道路ポイントが0.1*vego vehicleおきに設定され得、vego vehicleはエゴ車両の移動速度である。
【0157】
ゴールポイントは、車体前方の障害物回避可能範囲内にあり、基準経路を基準として使用してサンプリングすることを通じて取得される。1つの候補経路は複数のゴールポイントを含み得るが、スタートポイントは1つだけであることがさらに理解されるべきである。スタートポイントとゴールポイントの両方がベクトル形式で表される。
【0158】
S512:継ぎ合わせること(splicing)により候補経路を取得する。
【0159】
具体的には、
図6に示すように、マルチセグメント候補経路が、基準経路、履歴経路、および特徴ベクトルを接続することによって生成される。第1のセグメントは、スタートポイントの後ろの履歴経路を区切ること(intercepting)によって取得される。第2のセグメントは、滑らかな曲線を使用してスタートポイントとゴールポイントを接続することによって取得され、その結果曲線はベクトル制約を満たして経路を生成する。第3のセグメントは、基準経路を第2のセグメントに対応するゴールポイントの後ろに移動することによって取得される。経路の3つのセグメントは順番に接続され、候補経路全体が継ぎ合わせする方法で取得される。
【0160】
S513:経路に空間領域スムージングを実行する。
【0161】
空間スムージングが各候補経路に実行されて、経路のセグメントがスムーズに接続されることを可能にする。オプションで、滑らかな制御点(smooth control point)が測地デカルト座標系の複数の道路ポイントの1つおきに生成され得、制御点セットと3次Bスプラインに基づいて滑らかな候補経路が生成される。オプションで、1つの滑らかな制御点は、3つの道路ポイントに基づいて生成され得る、または、4つ、5つ、6つの道路ポイントなどに基づいて生成され得る。これは本出願では限定されない。
【0162】
例えば、
図2のシナリオでは、複数の候補経路が、
図7に示される方法で生成され得る。具体的には、基準経路は現在の車線の中心線であり、車線幅、すなわち障害物回避可能範囲は、3.5m、車線中心線の左右側の幅がともに1.75mであるとする。この場合、エゴ車両のリアアクスルの中心点に最も近い道路ポイントを履歴経路で見つけることができ、そのポイントの実際の位置および向きはスタートポイント特徴ベクトルを構成する。そして、3列のゴールポイントが生成され、ゴールポイントの列のs座標はそれぞれ1.2*max(車速、4.17m/s)、2.0*max(車速、4.17m/s)、および3.5*max(車速、4.17m/s)である。各列には合計11のゴールポイントがあり、基準経路と同じ向きのゴールポイントは、対応する縦位置の障害物回避可能範囲に等間隔に分布する。max(車速、4.17m/s)は、現在の車速と4.17m/sのうちのより大きい値を使用することを指し;1.2*max(車速、4.17m/s)は、現在の車速と4.17m/sのうちのより大きい値に1.2を掛けて、ゴールポイントの第1列のs座標を得ることを指す。上記のデータは単なる例として使用され、本出願の限定として解釈することはできないことが理解されるべきである。
【0163】
特徴ベクトルが決定された後、3セグメント候補経路は、基準経路、履歴経路、および特徴ベクトルを接続することによって生成される。3セグメント候補経路は、履歴セグメント、多項式セグメント、および拡張セグメントを含む。履歴セグメントは、スタートポイントの後ろにある履歴経路を区切ることによって取得される。多項式セグメントは、経路が、スタートポイントのベクトル制約と複数列のゴールポイントを使用して生成される。特定の方法では、フレネ系の三次多項式方程式が、任意のゴールポイントのベクトル制約をスタートポイントのベクトル制約を組み合わせて使用することによって計算され、次いで、道路ポイントに離散化されて、経路の第2のセグメントを取得する。拡張セグメントは、基準経路を第2のセグメントに対応するゴールポイントの後ろに移動することによって取得される。経路の3つのセグメントが順に接続され、候補経路全体が継ぎ合わせる方法で取得される。経路はゴールポイントと1対1で対応する。この例では、合計33個の候補経路が生成される。
【0164】
最後に、各候補経路に対して空間スムージングが実行される。具体的には、滑らかな制御点は測地デカルト座標系の4つの道路ポイントごとに生成され、滑らかな候補経路は制御点セットと3次Bスプラインに基づいて生成される。
【0165】
候補経路が生成された後、候補経路は評価される必要がある。具体的には、適切な候補経路が、これらの候補経路から現在の障害物回避経路として選択される。以下は、候補経路の評価プロセスについて詳しく説明する。
【0166】
S520:候補経路を評価する。
【0167】
本実施形態では、候補経路の評価は主にステップS521、S522、およびS523を含む。これらのステップについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0168】
S521:無効な占有グリッドをフィルタ出力する。
【0169】
上記の生成された候補経路のクラスタとエゴ車両の姿勢に基づいて、車両前方の特定のゾーン範囲では、どの候補経路がエゴ車両によって選択されてもゾーン内の障害物を回避できないことを容易に学習できる。加えて、障害物回避経路計画は、上流モジュールによって提供される占有マップ情報に基づいて実行され、上流モジュールによって提供される障害物情報は、動的または静止障害物の実際の姿勢と障害物の予測軌道投影だけでなく、エゴ車両のヘッド部分での誤検出によってもたらされる障害物占有状況、または地面の凹凸が占有マップにこのゾーンに障害物情報を持たせる状況も含まれ得る。この場合、このゾーンの障害物が依然として考慮される場合、経路計画は影響を受ける。したがって、誤検出に関連する障害物は移動プロセスにおいて常に回避される必要があり、経路計画に大きな変化をもたらし、経路の振動につながる。
【0170】
したがって、近接場横衝突ポテンシャル場が障害物回避経路計画において構築される前に、このゾーンの障害物は考慮されなくてもよく、このゾーンのグリッドは無効なグリッドとして占有マップにおいてフィルタ除去されることがある。
図8は、本出願の一実施形態による無効な占有グリッドの例図である。以下、添付図面を参照して無効な占有グリッドをフィルタ除去する方法を詳細に説明する。
【0171】
オプションで、無効な占有グリッドをフィルタ除去するために全衝突三角形ゾーンが構築され得る。
図9は、本出願の一実施形態による全衝突三角形ゾーンの例図である。オプションで、占有マップのカバレッジは、車体前方50m、車体後方10m、車体左右20mとすることができ、解像度(すなわち、各グリッドが占める面積)は0.2m*0.2mであり、占有マップの占有グリッドの値は1、非占有グリッドの値は0である。全衝突三角形ゾーンは、特定の三角形ゾーンにおいて、どの経路がエゴ車両によって選択されても、エゴ車両はこのゾーン内の障害物を回避できないことを意味することが理解されるべきである。三角形ゾーンの頂点は候補経路のスタートポイントの位置であり、三角形ゾーンの下端はエゴ車両の幅に等しく、三角形ゾーンの下端の2つの頂点は最も外側の候補経路上に位置する。全衝突三角形ゾーンの占有グリッドは直接フィルタ除去される。
【0172】
オプションで、無効な占有グリッドがフィルタ除去された後に取得された占有マップが取得された後、占有マップは距離マップに変換され得る。
図10は、本出願の一実施形態による占有マップから距離マップへの変換の例図である。オプションで、OpenCVの距離変換DistanceTransform関数を使用して占有マップは距離マップに変換され得る。
図10に示すように、占有マップでは、グリッド値が1の部分は、グリッドが占有されている、すなわち障害物が存在することを示し;グリッド値が0の部分は、グリッドが占有されていない、すなわち障害物が存在しないことを示す。占有マップが変換される距離マップのグリッドのサイズは、占有マップのグリッドのサイズと等しく、距離マップの各グリッドの値は、グリッドから最も近い占有グリッドポイントまでの距離である。距離マップでは、グリッド値が0の部分は、グリッドから障害物までの距離が0、すなわちグリッドが占有されていることを示し;距離マップでグリッド値が0.2の部分は、グリッドから最も近い障害物までの距離が0.2mであることを示すことがわかる。「距離マップの各グリッドの値は、グリッドから最も近い占有グリッドポイントまでの距離である」とは、通常グリッドの周囲に複数の障害物がある場合、グリッドから最も近い障害物までの距離のみがグリッドに記録されることを意味することが理解されるべきである。オプションで、距離は直線距離であり得る。
【0173】
本出願の本実施形態では、車両前方の無効グリッドがフィルタ除去され、その結果、エゴ車両は、障害物の誤検出による不合理な回避を効果的に防止する。これは、残りの占有グリッドが障害物回避アルゴリズムによって必要とされる情報のみが含まれ、それによって、障害物回避経路の安定性を確保する。
【0174】
さらに、障害物回避経路計画で無効グリッドをフィルタ除去することは、障害物回避経路計画においてこのゾーンの障害物が考慮されないことを意味することが理解されるべきである。しかし、実際のシナリオでは、このゾーンに実際の障害物がある場合、速度計画モジュールは衝突を回避するために対応する減速処理を実行する。
【0175】
S522:V形状近接場横背景コストポテンシャル場を生成する。
【0176】
この実施形態では、V形状近接場横背景コストポテンシャル場、すなわち、前述の近接場範囲における第1の横背景コストポテンシャル場は、無効グリッドがフィルタ除去された後に取得された距離マップ情報に基づいて構築され得る。V形状近接場横背景コストポテンシャル場を構築するプロセスについて、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0177】
図11は、本出願の一実施形態による、V形状近接場横背景コストポテンシャル場を生成する方法の例図である。この方法は、以下に詳細に説明するステップS5221、S5222、およびS5223を含むステップS522である。
【0178】
S5221:距離マップに基づいて、近接場横位置における背景コストを計算する。
【0179】
距離マップに基づいて近接場横位置における背景コストが計算される前に、基準経路が、複数の仮想平行経路を生成するために、
図6または
図7で生成された複数の候補経路上のサンプリングゴールポイントに基づいて、まず横にシフトされる必要がある。生成された仮想平行経路を
図12に示す。具体的には、基準経路は、サンプリングゴールポイントの横位置に横に平行移動される。本出願の本実施形態では、仮想並行経路は、背景コスト仮想線とも呼ばれ、各背景コスト仮想線上のエゴ車両の衝突傾向が、背景コスト仮想線の背景コストを使用して表され得る。高い背景コストは高い衝突の可能性を示し、低い背景コストは低い衝突の可能性を示す。
【0180】
背景コスト仮想線が生成された後、各背景コスト仮想線の背景コストが計算される。
【0181】
具体的には、近接場範囲の各背景コスト仮想線のすべての道路ポイントから道路ポイントに最も近い障害物までの距離が、距離マップ情報を使用することによって計算され、背景コスト仮想線の背景コストは、距離の最小値を使用することによって計算される。
【0182】
例えば、距離の最小値に基づいて背景コストを計算する式は次のようになり得る:
【数1】
【0183】
costbackは背景コストであり;dmin.iは、近接場範囲の特定の背景コスト仮想ラインのすべての道路ポイントから道路ポイントに最も近い障害物までの距離の最小値であり、距離の最小値を有する道路ポイントは道路ポイントiとして示される;widthは、車両の幅である。上記の式(1)でが、臨界値(critical value)がwidth/2+1.0である。さらに、上記の式(1)における臨界値は単なる一例として使用され、実際に適用する際には、エゴ車両が障害物から横方向に特定の安全な距離にあることが保証できる限り、臨界値は代替的にwidth/2+(0.3~1.2)の任意の値であり得ることが理解されるべきである。
【0184】
例えば、特定の背景コスト仮想線は、近接場範囲内の合計4つの道路ポイントを有し、4つの道路ポイントから最も近い障害物までの距離は、それぞれ0.6、0.5、0.7、および1.2である。この場合、最小値0.5が背景コスト仮想線の背景コストを計算するために使用される。加えて、0.5≦width/2+1.0であるため、背景コスト仮想線の背景コストは1/(4*d4
min.i)=4である。
【0185】
仮想並行経路、は複数の道路ポイントを含み、道路ポイント間の距離は実際の状況に基づいて決定される場合があることがさらに理解されるべきである。例えば、1つの道路ポイントが0.1mおきに設定され得る、または1つの道路ポイントが0.1*vego vehicleおきに設定され得、vego vehicleはエゴ車両の移動速度である。これは本出願では限定されない。
【0186】
オプションで、近接場範囲内の各仮想平行経路上の特定の道路ポイントから最も近い障害物までの距離を計算するために、道路ポイントが位置するグリッドの距離値が直接使用され得る、または、距離は道路ポイント周辺の4つのグリッドの距離情報に基づいてバイリニア補間法を使用することによって計算され得る。これは、本出願では限定されない。
【0187】
S 5222:近接場横位置における背景コストに基づいて、初期近接場横背景コストポテンシャル場を生成する。
【0188】
具体的には、初期近接場横背景コストポテンシャル場、すなわち、近接場範囲における前述の第2の横背景コストポテンシャル場は、近接場範囲における複数の背景コスト仮想線の背景コストに基づいて生成される。
【0189】
S5223:初期近接場横背景コストポテンシャル場に基づいて、V形状近接場横背景コストポテンシャル場を構築する。
【0190】
具体的には、
図13は、本出願の一実施形態による、近接場横背景コストポテンシャル場の単調性処理原理の例図である。
【0191】
実際の交通シナリオでは、複数の背景コスト仮想線の背景コストによって形成される初期近接場横背景コストポテンシャル場は、通常、横分布(L方向)において複数の最小値を持つことが理解されるべきである。初期近接場横背景コストポテンシャル場の複数の最小値ポイントを最初に見つける必要があり、横位置とそれに対応する背景コスト値を記録する必要がある。例えば、
図13の左図に示すように、背景コストの横分布に3つの最小値ポイントがある。そして、エゴ車両の現在の横位置と3つの最小値の位置が別々に見つけ出される。例えば、エゴ車両の現在の横位置はL=-0.5である;ポイント1の座標は:L=1.3、cost
back=0.13である;ポイント2の座標はL=-1.2、cost
back=0.53である;ポイント3の座標はL=-0.2、cost
back=1.7である。加えて、
図13から、実際の交通シナリオの近接場範囲にはさらに最大背景コストがあることがさらにわかる。近接場範囲の最大背景コストに対応する横位置の背景コスト仮想線上の特定の道路ポイントから障害物までの距離は0であることが理解されるべきである。具体的には、道路ポイント上に障害物がある。この実施形態では、障害物からの距離が0の場合、背景コストは式(1)に基づいて計算することはできない。したがって、最大背景コストをカスタマイズする方法が使用されることができ、例えば、最大背景コストは10
9である。
【0192】
上記の3つの最小値ポイントでは、ポイント1の背景コストが最も低いことがわかる。これは、エゴ車両がこの背景コスト仮想線を移動する場合、最適な横距離が障害物から保たれることができることを意味する。従来の最適化アルゴリズムに基づいて経路を選択した場合、ポイント1の横位置がある背景コスト仮想ラインが最適経路として選択される。しかし、実際の交通シナリオでは、
図13の左図に示すように、ポイント1とエゴ車両との間に障害物が存在する。加えて、近接場範囲(0m~5m)では、エゴ車両の長さは通常3m~6mに達する。したがって、実際のシナリオでは、中間障害物の存在により、エゴ車両は最低の背景コストを持つ経路に正常に移動できない。言い換えれば、近接場横背景コストポテンシャル場における最低の背景コストを持つポイントは必ずしも最も適したポイントとは限らない。
【0193】
したがって、上記の問題に基づいて、本出願の実施形態では、目標最小値が複数の最小値からさらに決定される必要がある。目標最小値は、近接場範囲の障害物が存在しないエゴ車両の横位置との間のすべての最小値ポイントの中の最低の最小値ポイントである。
【0194】
具体的には、最小値ポイントは、背景コスト値の昇順でソートされる。最小値から始めて、障害物があるかどうか、具体的には、最大の背景コストを持つポイント(障害物からの距離が0であるポイント)が、そのポイントとエゴ車両の横位置との間に存在するかどうかが順次チェックされる。障害物が存在する場合は、対応する最小値ポイントは、無効ポイントとみなされ、破棄される。障害物が存在しない場合、そのポイントは基準として使用され、そのポイントの2つの側部の背景コストが、固定ステップを使用することによって単調関数に処理されて、V形状近接場横衝突ポテンシャル場を形成する。簡単に言うと、最小値が最初に昇順にソートされ、次にチェックが現在の最小値から開始して実行される。現在の最小値とエゴ車両との間に障害物がある場合、そのポイントは破棄され、次に最低の最小値ポイントがチェックされる。現在の最小値とエゴ車両との間に障害物がない場合、そのポイントは基準として使用され、ポイントの2つの側部の背景コストは、特定の傾きを使用することによって単調関数に構築され、2つの側部の以前の背景コストは考慮される必要はない。加えて、各背景コスト仮想線の背景コストは、勾配に基づいて対応する横位置で直接計算されることができる。
【0195】
例えば、
図13の左図に示すように、ポイント1とエゴ車両の横位置の間に最大背景コストがあるため、このポイントは破棄される;ポイント2とエゴ車両との間には最大背景コストがないため、このポイントは有効な最小値ポイントである。このポイントに基づいて、単調性処理がポイントの2つの側部の背景コストに対して実行されてV形状近接場横衝突ポテンシャル場が取得され、
図13の右図に示すように、単調関数の傾きは10/1mである。
【0196】
単調性処理における関数の傾きは、特定のしきい値以上であるべきであることが理解されるべきである。例えば、傾きは10/1m以上の任意の値であり得る。具体的な値は、実際の状況を参照して決定される必要があり、ここでは限定されない。このように、最適な横位置での背景コストは、他の経路の背景コストよりもはるかに小さく、実際の移動プロセスでエゴ車両が最適な横位置からわずかに逸脱すると、最終コストは明らかに増加する。したがって、エゴ車両は最低の背景コストを持つ横位置を安定して移動することができ、それによってエゴ車両の移動の安定性と安全性が向上する。
【0197】
S523:経路コストを計算する。
【0198】
好ましくは、この実施形態では、衝突コスト、制約コスト、切り替えコスト、横シフトコスト、および滑らかさコストと組み合わせた背景コストを使用することによって、候補経路の評価が実行され得る。以下は、これらのコストを式と添付の図面を参照して1つずつ説明する。
【0199】
衝突コストは、エゴ車両が候補経路を移動するときに障害物との衝突の可能性を評価するために使用される。具体的には、すべての候補経路内の各候補経路上の各道路ポイントの衝突コストが計算され、次に各候補経路上のすべての道路ポイントの衝突コストは候補経路の最終コストを取得するために合計される。各道路ポイントの衝突コストは、道路ポイントからその道路ポイントに最も近い障害物までの距離に基づいて計算され、距離が短いほど衝突コストが高いことを示す。
【0200】
例えば、式(2)は、本出願の本実施形態で提供される衝突コスト計算方法である:
【数2】
【0201】
costobjは衝突コストであり;dmin.iは、候補経路上のi番目の道路ポイントから障害物までの距離であり;max(dmin.i/0.7,0.2)は、dmin.i/0.7と0.2のうちの大きい値を使用することを示し;pti.sは、候補経路上のi番目の道路ポイントの縦座標であり;widthは車両の幅である。
【0202】
上記式(2)において、臨界値はwidth/2+0.7である。dmin.iが臨界値より大きい場合、衝突は発生しないとみなされる;またはdmin.iが臨界値以下の場合、衝突が発生するとみなされる。上記の式の臨界値は単に一例として使用されており、実際に適用する際には、エゴ車両がこの経路を移動する際に衝突しないことを保証できる限り、臨界値は代替的にはwidth/2+(0.3~1.2)の中の任意の値であり得ることが理解されるべきである。
【0203】
上記の各道路ポイントの衝突コストは、道路ポイントからの距離と道路ポイントに最も近い障害物に基づいて計算される。したがって、衝突コストを計算する前に、各道路ポイントから道路ポイントに最も近い障害物までの距離は最初に計算される必要がある。道路ポイントから最も近い障害物までの距離の計算方法について、
図14および
図15を参照して詳しく説明する。
【0204】
図14は、本出願の一実施形態による車体の多円衝突モデルの例図である。本実施形態では、車体は多円モデルに相当し、車体の多円衝突モデルのリアアクスルの中間点が位置する円中心は、候補経路上の各道路ポイントに重なり(エゴ車両の移動経路は、エゴ車両のリアアクスルの中心が通る経路であることが理解されるべきである)、車両のヘッドの向きは道路ポイントの向きと一致する。この場合、対応する候補経路上の道路ポイントから障害物までの距離は、多円モデルにおける複数の円中心から障害物までの距離の最短距離である。任意の円中心から障害物までの距離が特定の距離未満である場合、道路ポイントの状態は衝突したとみなされ、このポイントの衝突コストは距離によって定義される。
【0205】
例えば、
図14の道路ポイントiから障害物までの距離は、道路ポイントiを例として使用することによって詳細に記述される。
図14に示すように、候補経路上の道路ポイントiは、四円モデル(C1~C4)のリアアクスルの中間点に重なる。この場合、道路ポイントiから障害物までの距離d
min.iは、四円モデルの4つの円中心から障害物までの距離の最短距離、すなわち、円C4の円中心から障害物までの距離である。距離が特定のしきい値未満の場合、道路ポイントiの状態は衝突が発生しているとみなされる;または距離が特定のしきい値より大きい場合、道路ポイントiの状態は衝突が発生していないとみなされる。
【0206】
さらに、前述の方法に基づいて、特定の候補経路上のすべての道路ポイントが詳しく検討される。任意の道路ポイントの状態が衝突した場合、経路全体の状態が衝突する。本出願の本実施形態では、各候補経路上の衝突状態にあるすべての道路ポイントの縦方向距離の最小値が、候補経路の衝突距離として表される。上記の説明に基づいて、衝突距離および道路ポイントから障害物までの距離dmin.iが異なることが分かる。
【0207】
オプションで、本出願の本実施形態では、複数円モデルにおける複数の円の中心から最も近い障害物までの距離は、距離マップを使用することによって計算され得る。加えて、距離計算中、グリッドマップによって生じる精度の損失を避けるために、
図15に示すように、円の中心の特定の位置と最も近い障害物との間の正確な距離を計算するために、バイリニア補間法が使用され得る。点Pが多円モデルでは円の中心であり得、点A、B、C、およびDはそれぞれ距離マップの4つのグリッドの中心の道路ポイントに対応し、4つのグリッドの値はA、B、C、およびDから最も近い障害物までの距離を表していることが理解されるべきである。したがって、点Pの距離値は、4つの点A、B、C、およびDの距離情報に基づいてバイリニア補間法を使用することによって計算されることができる。上記の方法で複数の円中心から障害物までの距離を個別に計算した後、最短距離が道路ポイントiから障害物までの距離d
min.iとして使用される。
【0208】
制約コストは、候補経路上の各道路ポイントが障害物回避可能範囲の制約内にあるかどうかを決定するために使用される。道路ポイントが障害物回避可能範囲を超える場合、そのポイントの制約コストが計算される;または、それ以外の場合、制約コストは0である。
具体的には、各候補経路の全体的な制約コストは、式(3)に示すように、すべての道路ポイントの制約コストを合計することによって、取得され得る:
【数3】
【0209】
costmarginは制約コストであり;pti.sは、候補経路上のi番目の道路ポイントの縦座標値であり;pti.lは、i番目の道路ポイントの横座標値であり;LMは、左の制約、すなわち、障害物回避可能範囲の左境界線の横座標値であり;RMは、右の制約、すなわち、障害物回避可能範囲の右境界線の横座標値である。したがって、障害物回避可能範囲外の特定の候補経路上の道路ポイントの量が多く、障害物回避可能範囲外の道路ポイントの縦座標値が小さいほど、経路の制約コストが高くなることを示す。または、候補経路上のすべての道路ポイントが障害物回避可能範囲内にある場合、制約コストは0である。したがって、制約コストが0の候補経路を走行することは、エゴ車両が障害物回避可能範囲内を移動することを保証することができる。
【0210】
切り替えコストは、候補経路と履歴経路との間の偏差を記述するために使用される。切り替えコストは、シフト切り替えコストとゾーン切り替えコストに分けられ得る。
【0211】
シフト切り替えコストは、履歴経路に対する候補経路の横経路の変更を表す。この実施形態では、現在の候補経路のゴールポイントの横シフトと前のフレームの履歴出力経路のゴールポイントの横シフトとの間の差の絶対値がシフト切り替えコストとして使用され得る。式は次のとおりである:
【数4】
【0212】
costichangeはシフト切り替えコストである;goaloldは履歴経路のゴールポイントの横シフト、具体的には履歴経路のゴールポイントの横座標である;goalnowは現在の候補経路のゴールポイントの横シフト、具体的には現在の候補経路のゴールポイントの横座標である。
【0213】
横シフトは道路の中心線から離れてシフトする程度であることが理解されるべきである。
【0214】
ゾーン切り替えコストは、候補経路の大きな横範囲の変化の程度を記述する。ゾーン切り替えコストは、経路が隣接するゾーンにジャンプする場合は比較的低く、経路が左右のゾーン間をジャンプする場合は非常に高い。この場合、ゾーン切り替えコストを経路の大幅な変更を評価するために使用することができる。
【0215】
例えば、横距離に基づいて、障害物回避可能範囲は、3つのゾーン:
図16に示す左Z1、中央Z2、および右Z3に分けられ得る。横障害物回避可能範囲が3mであり、道路中心線の横座標が0の場合、3つのゾーンは次のように分けられ得る。具体的には、ゴールポイントの横座標が-0.5未満の場合、ゴールポイントはゾーン1(Z1)に位置する;ゴールポイントの横座標が-0.5より大きく0.5未満の場合、ゴールポイントはゾーン2(Z2)に位置する;ゴールポイントの横座標が0.5より大きい場合、ゴールポイントはゾーン3(Z3)に位置する。
【数5】
【0216】
zoneはゾーンを表し、goal.lはゴールポイントの横座標値である。
【0217】
上記の説明に基づいて、候補経路と履歴経路との間のゾーン切り替えコスト値が、次の式(6)に基づいて計算され得る:
【数6】
【0218】
costzoneはゾーン切り替えコストであり、zoneoldは履歴経路のゴールポイントが位置するゾーンであり、zonenowは候補経路のゴールポイントが位置するゾーンである。
【0219】
実際の動作では、障害物回避可能範囲は4つのゾーン、5つのゾーン、6つのゾーンなどに分けられ得ることが理解されるべきである。分割されるゾーンの数量は本出願では限定されない。説明を簡単にするため、本出願の本実施形態では、障害物回避可能範囲を3つのゾーンに分割される。ゾーンの分割は、等長分割でも、不等長分割でもよいことがさらに理解されるべきである。これは、本出願では限定されない。
【0220】
横経路をより多くのゾーン、例えば4つのゾーンに分割される場合は、1または2が臨界値として使用され得る。例えば、履歴経路のゴールポイントが位置するゾーンと候補経路のゴールポイントが位置するゾーンとの間の差の絶対値が1より大きい場合、ゾーン切り替えコストは1である;または、絶対値が1以下の場合、ゾーン切り替えコストは0である。代替的には、履歴経路のゴールポイントが位置するゾーンと候補経路のゴールポイントが位置するゾーンとの間の差の絶対値が2より大きい場合、ゾーン切り替えコストは1である;または、絶対値が2以下の場合、ゾーン切り替えコストは0である。具体的なゾーン分割と臨界値の決定は、実際の道路状況に基づいて決定されるべきである。これは限定されない。
【0221】
横シフトコストは、候補経路が道路の中心線から離れる横シフトの程度を記述するために使用される。具体的には、コストは、式(7)に示すように、候補経路のゴールポイントの横シフトを使用することによって表され得る:
【数7】
【0222】
costoffsetは横シフトコストであり;goalnow.lは現在の候補経路のゴールポイントの横シフトである。
【0223】
滑らかさコストは、候補経路の滑らかさの度合いを記述するために使用され、候補経路の曲率によって表される。具体的には、コストは、式(8)に示すように、候補経路上の各道路ポイントの曲率の2乗の積分を使用することによって記述され得る:
【数8】
【0224】
costsmoothは滑らかさコストである;pti.curveは候補経路上のi番目の道路ポイントにおける曲率である;pti.sは候補経路上のi番目の道路ポイントの縦座標値である。曲率が大きいほどコストが高いことを示すことが理解されるべきである。
【0225】
好ましくは、本出願の本実施形態では、各候補経路のコストが計算された後、各候補経路のコストの加重合計結果が候補経路の最終コストとして使用され得る。次に、すべての候補経路の最終コスト値に基づいて、最低の最終コストを持つ候補経路が、現在のフレームの最適経路として使用され、現在のフレームの最適経路は上の現在の障害物回避経路である。
【0226】
具体的には、各候補経路の最終コストは、式(9)に基づいて計算され得る。
【数9】
【0227】
costtotalは、候補経路の最終コストである;costbackは、背景コストである;wbackは、背景コストの重みである;costobjは、衝突コストである;wobjは、衝突コストの重みである;costmarginは、制約コストである;wmarginは、制約コストの重みである;costlchangeは、シフト切り替えコストである;wlchangeは、シフト切り替えコストの重みである;costzoneは、ゾーン切り替えコストである;wzoneは、ゾーン切り替えコストの重みである;costoffsetは、横シフトコストである;woffsetは、横シフトコストの重みである;costsmoothは、滑らかさコストである;wsmoothは、滑らかさコストの重みである。
【0228】
最終コストが本出願の本実施形態の解決策に基づいて計算される場合、複数のコストの影響を統合することで、現在のフレームの最適な経路が様々な側面の要件を満たすことができることが理解されるべきである。
【0229】
さらに、計算処理では、背景コストの重みと衝突コストの重みは、比較的大きく設定されることがある。ある態様では、最適経路の最終コストは、別の候補経路のコストよりもはるかに低い。エゴ車両が実際の移動プロセスにおいて最適経路からわずかに逸脱すると、最終コストは明らかに増加する。したがって、エゴ車両は最低のコストを持つ経路を安定して移動できる。別の態様では、最低のコストを持つ経路はまた最適な衝突コストと最適な背景コストを持つため、エゴ車両の移動プロセスでは、エゴ車両の側部の障害物が徐々に近づくときに、エゴ車両はゆっくりと障害物を回避することができ、それによって障害物から安全な距離を保つ。
【0230】
例えば、本出願の本実施形態におけるコストの重みは、次のように設定され得る:
wback=1.0×106
wobj=1.0×106
wmargin=1.0×10-1
wlchange=1.0×10-6
wzone=1.0×10-3
woffset=1.0×10-3
wsmooth=1.0×10-6
【0231】
本出願の本実施形態では、候補経路は、実際の状況に基づいて、前述のコストの1つ以上を参照して評価され得ることが理解されるべきである。コストの重みの値は、実際の状況に基づいて設定され得ることがさらに理解されるべきである。これは、ここでは限定されない。
【0232】
S530.経路調停結果を出力する。
【0233】
現在のフレームの最適経路、すなわち前述の現在の障害物回避経路が取得された場合、
調停が、履歴経路および現在のフレームの最適経路に基づいて実行され得、最終障害物回避経路が出力される。具体的な調停方法を
図17に示す。現在のフレームの最適経路は、前述の現在の障害物回避経路であることが理解されるべきである。
【0234】
図17は、本出願の一実施形態による障害物回避経路を出力するための調停方法の例図である。
図17に示すように、調停方法は、ステップS531からS536までを含むステップS530である。以下では、これらのステップについて詳しく説明する。
【0235】
S531:履歴経路で現在衝突が発生しているかどうかを決定する。衝突が発生した場合、S532に進む。または、衝突が発生しなかった場合、S533に進む。
【0236】
S532:現在の最適経路で衝突が発生したかどうかを決定する。衝突が発生した場合、ステップS534に進む;または衝突が発生しなかった場合、ステップS535に進む。
【0237】
S533:現在の最適経路のコストが履歴コストより明らかに優れているかどうかを決定する。現在の最適経路のコストが履歴コストより明らかに優れている場合は、ステップS535に進む。または現在の最適経路のコストが履歴コストより明らかに優れていない場合は、ステップS536に進む。
【0238】
S534:現在の最適経路の衝突距離が履歴衝突距離より明らかに優れているかどうかを決定する。現在の最適経路の衝突距離が履歴衝突距離より明らかに優れている場合、ステップS535に進む。または現在の最適経路の衝突距離が履歴衝突距離より明らかに優れていない場合は、ステップS536に進む。
【0239】
S535:現在の最適経路を出力する。
【0240】
S536:履歴経路を出力する。
【0241】
具体的には、調停が実行される前に、まず、履歴経路は、前のフレームで履歴経路を生成するために使用されたゴールポイントの情報に基づいて、現在のフレームで再生成される必要があり、履歴経路の最終コストと衝突状態が計算される。
【0242】
履歴経路で現在衝突が発生していない場合は、出力される障害物回避経路が、現在の最適経路の最終コストと履歴経路の最終コストに基づいて決定される。現在の最適経路の最終コストが、履歴経路の最終コストよりも明らかに優れている場合、現在の最適経路が出力障害物回避経路として使用される;それ以外の場合、履歴経路が引き続き使用される。現在の最適経路の最終コストが履歴経路の最終コストよりも優れているということは、現在の最適経路の最終コストが履歴経路の最終コストよりも小さいことを意味することが理解されるべきである。
【0243】
履歴経路で現在衝突が発生するが、現在のフレームの最適経路では衝突が発生しない場合、現在のフレームの最適経路が現在出力される最終経路として使用される。
さらに、現在のフレームの最適経路で衝突が発生する場合は、現在のフレームのすべての経路で衝突が発生することを示していることが理解されるべきである。この場合、
図18に示すように、現在のフレームの最適経路の衝突距離が履歴衝突距離に近い場合は、前のフレームの履歴経路が依然として使用される。
図19に示すように、現在のフレームの最適経路の衝突距離が履歴衝突距離より明らかに優れている場合、現在の最適経路が出力最終障害物回避経路として使用される。
【0244】
現在のフレームの最適経路の衝突距離が履歴衝突距離より明らかに優れているということは、現在のフレームの最適経路の衝突距離から履歴衝突距離を引くことによって取得された差が特定のしきい値、例えば5m以上であることを意味することが理解されるべきである。
【0245】
現在の最適経路の最終コストが履歴経路の最終コストよりも優れているということは、履歴経路の最終コストに対する現在の最適経路の最終コストの比率が特定のしきい値、例えば60%以下であることを意味する。
【0246】
S540:経路に時間領域スムージングを実行する。
【0247】
本実施形態では、最終障害物回避経路が調停によって取得された後、時間領域スムージングが障害物回避経路にさらに実行され得る。
【0248】
加えて、本実施形態では、各経路はユニークなゴールポイントに対応している。したがって、時間領域スムージングは、ゴールポイントを使用することによって障害物回避経路に実行され得る。具体的には、前のフレームのスムージングサンプリングゴールポイントgoalold(すなわち、前のフレームの履歴経路のサンプリングゴールポイントgoalold)と、現在のフレームで選択された最終サンプリングゴールポイントgoalfinal(すなわち、調停によって選択された最終障害物回避経路のサンプリングゴールポイントgoalfinal)に基づいて、時間領域スムージングサンプリングゴールポイントgoalfilterが慣性フィルタリング(inertia filtering)によって生成される。
【0249】
最終障害物回避経路が履歴経路の場合、現在のフレームで選択された最終サンプリングゴールポイントは、履歴経路のサンプリングゴールポイントであることが理解されるべきである。この場合、時間領域スムージング後に取得された結果と、時間領域スムージングなしで取得された結果の両方が、履歴経路のサンプリングゴールポイントである。最終障害物回避経路が現在のフレームの最適経路である場合、現在のフレームで選択された最終サンプリングゴールポイントは、現在の最適サンプリングゴールポイントである。
図20は、この場合の時間領域スムージングの例図である。時間領域スムージングサンプリングゴールポイントgoal
filterが生成された後、3セグメント経路が、最終的な出力経路を取得するために、スムージングサンプリングゴールポイントgoal
filterに基づいて再生成される。
【0250】
スムージングゴールポイントgoal
filterの特定の位置は、式(10)および(11)に基づいて計算され得る:
【数10】
【数11】
【0251】
goalfilter.lは、スムージングサンプリングゴールポイントの横位置である;goalfilter.sは、スムージングサンプリングゴールポイントの縦位置である;goalold.lは、前のフレームのスムージングサンプリングゴールポイントの横位置である;goalold.sは、前のフレームのスムージングサンプリングゴールポイントの縦位置である;goalfinal.lは、現在のフレームで選択された最終サンプリングゴールポイントの横位置である;goalold.sは、現在のフレームで選択された最終サンプリングゴールポイントの縦位置である;wlは、横方向におけるスムージングするための重みであり、wsは、縦方向におけるスムージングするための重みである。
【0252】
この実施形態では、横方向と縦方向にスムージングするための重みは、実際の状況に基づいて設定され得ることが理解されるべきである。例えば、横方向と縦方向にスムージングするための重みは1であり得る。具体的には、スムージングサンプリングゴールポイントgoalfilterの位置は、前のフレームのスムージングサンプリングゴールポイントgoaloldの位置と同じである、すなわち、履歴経路が依然として使用される。横方向および縦方向におけるスムージングのための重みは0であり得る。具体的には、スムージングサンプリングゴールポイントgoalfilterの位置は、現在のフレームで選択された最終サンプリングゴールポイントgoalfinalの位置と同じである、すなわち、経路調停に基づいて選択された最終的な経路のサンプリングゴールポイントがスムージングサンプリングゴールポイントgoalfilterとして使用される。経路調停の結果が、現在のフレームの最適な経路が使用されることである場合、すなわち、現在のフレームで選択された最終経路が現在のフレームの最適な経路である場合、重みは、代替的に、実際の道路状況に基づいて0から1の任意の値であり得るため、エゴ車両は、最適な経路への直接操作の場合に発生するフレーム間ホッピングを防ぐために、履歴経路の条件と現在のフレームの最適な経路を包括的に考慮することができる。横方向および縦方向における重みは同じ場合もあれば、異なる場合もあることが理解されるべきである。例えば、この実施形態では、次のように設定され得る:wl=0.92、およびws=0.85。
【0253】
この実施形態では、一態様では、近接場範囲の横背景コストポテンシャル場が生成されるため、エゴ車両の側部の障害物が徐々に横に近づくときに、エゴ車両はゆっくりと障害物を回避することができ、障害物から安全な距離を保つことができる。別の態様では、無効なグリッドがフィルタ除去されるため、エゴ車両は、ここでの占有グリッドによって引き起こされる不合理な回避を実行することを効果的に防止する。さらに別の態様では、経路調停ポリシーと組み合わせた背景コストが、エゴ車両の安定した障害物回避を確実にすることができる。
【0254】
例えば、
図2に示すシナリオでは、車両4および5が図に示す位置にある場合、エゴ車両は2つの車両の中間を移動し得る。右の車両5がゆっくりとエゴ車両に近づくとき、背景コストによって形成されるV形状ポテンシャル場の最低値が徐々に左に移動するため、エゴ車両は回避可能な障害物範囲の制約内で左の候補経路を選択し、エゴ車両の安全性を確保するために障害物から1mの横距離を保つ。加えて、背景コストの重みが非常に高い、例えば10
6であるため、障害物がわずかに近づくとき、背景コストは急激に変化する。その結果、最終コストも明らかに変化する。このように、各フレームで取得される最適経路コストは、確実に履歴最適経路コストの60%未満であり、履歴経路から現在の最適経路への経路の切り替えは、継続的にトリガーされて、エゴ車両が障害物を時間内に回避することを可能にする。加えて、衝突コストは候補経路全体の評価時にも使用される。例えば、障害物1の存在は、障害物1の近くの候補経路が衝突に遭遇することを可能にし、その衝突コストも非常に高くなる。したがって、背景コストおよび衝突コストなどの複数のコストの加重和に基づいて、このシナリオにおける最終出力障害物回避経路は、
図21に示すように左にシフトして、回避される必要のある障害物を効果的に回避する。
【0255】
上記は、本出願の本実施形態を複雑で狭い交通シナリオに適用される具体例である。近接場範囲の横背景コストポテンシャル場(すなわち、第1の横背景コストポテンシャル場)と衝突コストを参照して、本出願の本実施形態は、迅速な障害物回避のための単純で高速なシナリオにさらに適用され得ることが理解されるべきである。
【0256】
図22は、本出願の一実施形態による単純な都市道路シナリオの例図である。
図22に示すように、エゴ車両が構造道路を高速で移動する場合、障害物回避可能範囲内に少量の動的および静止障害物(番号1および2)が存在する。しかし、これらの障害物はエゴ車両の前の道路上に交差配置されており、エゴ車両は小さいS字カーブに沿って障害物を素早く回避する必要がある。このシナリオでは、基準経路、すべての障害物の横障害物回避可能範囲、サイズ、位置、および速度、並びに予測された軌道を含む占有マップがすべて既知であることが理解されるべきである。
【0257】
説明しやすいように、複雑で狭いシナリオをシナリオ1、単純で高速なシナリオをシナリオ2と表記する。
【0258】
オプションで、シナリオ2に対して、経路計画が、前述の横背景コストポテンシャル場(すなわち、第1の横背景コストポテンシャル場)および近接場範囲の衝突コストを参照して実行され得る。加えて、経路計画はまた、次の1つ以上を参照して実行され得る:無効なグリッドのフィルタ除去、最終コストを取得するための複数の他のコストの考慮、経路調停、時間領域のスムージングなど。
【0259】
以下は、シナリオ2の経路計画方法を好適な方法で簡単に説明する。
【0260】
望ましい実装では、
図5に示す計画方法はまた、
図22に示すシナリオ2にも適用され得る。しかし、計画方法がシナリオ2に適用される場合に使用される特定の候補経路生成方法は、計画方法がシナリオ1に適用される場合に使用されるもの(ステップS510)とは異なる。
図23は、本出願の一実施形態による別の候補経路生成シナリオの例図である。以下は、シナリオ2の候補経路生成を、具体例を使用して詳細に説明する。
【0261】
具体的には、シナリオ2では、基準経路は現車線の中心線であり、車線幅すなわち障害物回避可能範囲は3.5mであり、車線中心線の左右の幅はともに1.75mであることも考えられ得る。シナリオ2では、スタートポイントとゴールポイントの生成方法は、基本的にシナリオ1のものと一致しており、シナリオ1では各列に11のゴールポイントを生成できるのに対し、シナリオ2では各列に3つのゴールポイントが生成される点が主な違いである。
【0262】
特徴ベクトルが決定された後、完全接続候補経路が、基準経路、履歴経路、および特徴ベクトルを接続することによって生成される。経路は、履歴セグメント、完全接続セグメント、および拡張セグメントを含む3つのセグメントに分割される。履歴セグメントは、スタートポイントの後ろにある履歴経路を区切ることによって取得される。完全接続セグメントは、スタートポイントとサンプリングポイントの複数の列を接続することによって生成される。具体的な方法では、スタートポイントは、サンプリングポイントの第1の列に個別に接続され、次にサンプリングポイントの第1の列はサンプリングポイントの第2の列に個別に接続される。類推によって、サンプリングポイントの複数の列の間の接続関係を取得することができる。例えば、各列に3つのサンプリングポイントがあり、合計3列のサンプリングポイントがある。この場合、3*(3*3)*(3*3)=243の候補軌道を取得することができる。完全接続セグメントのセグメントは、三次多項式方程式を使用することによってリンクされ、ゴールポイントのベクトル制約がリンク中に満たされる必要がある。拡張セグメントは、完全接続セグメントに対応するサンプリングポイントの後ろにあるように基準経路を平行移動することによって取得される。経路の3つのセグメントが順に接続され、候補経路全体が継ぎ合わせする方法で取得される。本実施形態では、合計243個の候補経路が生成される。
【0263】
最後に、各候補経路に対して空間スムージングが実行される。スムージングする方法については、シナリオ1の説明を参照されたい。詳細については再度説明しない。
【0264】
上記は単に一例として使用され、シナリオ1とシナリオ2の候補経路生成方法の間の違いを明確に記述するためだけに使用され、本出願の限定として解釈されることができないことが理解されるべきである。各列のゴールポイントの数、ゴールポイントの列の数、および生成される候補経路の数は、実際の状況を参照して決定され得、限定されないことが理解されるべきである。
【0265】
シナリオ2では、候補経路の評価(ステップS520)および出力経路の調停(ステップS530)については、シナリオ1の具体的な実装の説明を参照されたい。
【0266】
加えて、候補経路接続方法が異なるため、シナリオ2とシナリオ1の経路計画における経路時間領域スムージング(ステップS540)はわずかに異なる。
【0267】
具体的には、シナリオ2では、前のフレームのスムージングサンプリングゴールポイントクラスタgoaloldが記録され、goaloldはここでは3つのゴールポイントを含む。サンプリングポイントの各列は、1つのゴールポイントに対応する。現在のフレームで選択された最終的なサンプリングゴールポイント(3つのポイント)に基づいて、時間領域スムージングサンプリングゴールポイントクラスタが慣性フィルタリングによって生成される。3セグメント経路が、最終出力経路を取得するために、スムージングサンプリングゴールポイントクラスタに基づいて再生成される。対応するゴールポイントの時間領域スムージングの式およびパラメータは、式(10)および(11)と同じである。
【0268】
シナリオ2では、エゴ車両が、2つの障害物が交差配置されたシナリオにある場合、エゴ車両は、横回避に十分高い自由度を有する。したがって、十分に長い無衝突移動軌道が、上記の方法で計画することで、取得され得るため、エゴ車両は、交通シナリオを通過する障害物を素早く回避することができる。加えて、障害物を素早く回避する過程で、エゴ車両は、障害物から十分な横距離を保ち、経路の安定性を確保することができる。
【0269】
具体的には、
図24に示す障害物回避経路が本実施形態では生成され得る。候補経路が、本実施形態では完全接続方法を使用することによって生成されるため、経路の候補形態が大量に存在し、解空間が十分に拡張され、その結果、複数の物体を回避する無衝突軌道を取得することができる。さらに、経路は衝突コストに基づいて評価されるため、現在計画されている障害物回避経路(最適候補経路)は、経路全体で障害物1および2から0.7mの安全な距離を保つことができる。加えて、移動プロセスでは、障害物の側部を通過するとき、エゴ車両は背景コストに基づいて移動経路を調整するため、エゴ車両は障害物から1mの安全距離を保つことができる。このように、無衝突経路が障害物1と2が位置する縦範囲に形成され、エゴ車両は2つの障害物を素早く通過する。さらに、図示された位置でエゴ車両によって計画された経路が、エゴ車両が障害物1と2の側部に移動するときにエゴ車両が1mの安全距離を保つことを可能にする場合、出力経路調停ポリシーが、履歴経路と移動プロセスで再計画された経路との間を調停する。このように、履歴経路が依然として使用され、経路が切り替わることはなく、したがって、障害物を迅速に回避する。
【0270】
しかし、シナリオ2では、シナリオ1で使用した経路プランニング方法を使用する場合、生成される候補経路が、比較的少量の形式になる(
図7に示すように)。この場合、選択が複数の候補経路の中から実行されると、無衝突移動経路を直接取得することはできない。移動プロセスでは、エゴ車両は障害物1と2を別々に回避することしかできない。したがって、計画された経路は、初めに障害物1を回避できるが、障害物2との衝突が経路の前方セグメントで発生する(具体的には、障害物2は
図7の最も下の経路の第3のセグメントに位置している)。この場合、衝突を伴う移動経路はバックエンド速度プランナーに影響を与え、エゴ車両を減速させ、エゴ車両はこのシナリオでは低速でしか走行できない。
【0271】
図25は、本出願の一実施形態による移動装置の障害物回避経路を計画する装置の例図である。
図25に示すように、計画装置2500は、取得モジュール2510および処理モジュール2520を含む。
【0272】
取得モジュール2510は、距離マップを取得するように構成され、距離マップは複数の第1のグリッドを含み、複数の第1のグリッドのそれぞれは、第1のグリッドから障害物によって占有される最も近い第1のグリッドまでの距離を記録するために使用される;処理モジュール2520は:距離マップに基づいて、近接場範囲の第1の横背景コストポテンシャル場を決定するように構成され、近接場範囲は、移動装置からの縦方向距離が第1の閾値以下である範囲であり、第1の横背景コストポテンシャル場は、移動装置の横位置にある障害物によって形成された第1の斥力場であり、第1の横背景コストポテンシャル場は、目標最小値ポイントを含み、目標最小値ポイントの2つの横側部の背景コストは単調性を特徴とし、背景コストは、移動装置に対して近接場範囲の横位置にある障害物によって生じる近接場横衝突コストを表し;第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて、現在の障害物回避経路を決定するように構成される。
【0273】
オプションで、距離マップに基づいて、近接場範囲の第1の横背景コストポテンシャル場を決定することは:距離マップに基づいて、近接場範囲の第2の横背景コストポテンシャル場を決定することであって、第2の横背景コストポテンシャル場は、移動装置の横位置にある障害物によって形成される第2の斥力場であり、第2の横背景コストポテンシャル場は、少なくとも1つの最小値ポイントを含む、決定することと;少なくとも1つの最小値ポイントから目標最小値ポイントを決定することと;第1の横背景コストポテンシャル場を生成するために、目標最小値ポイントの2つの横側部の背景コストに対して単調性処理を実行することであって、単調性処理の傾きが第2のしきい値以上である、実行することと、を含む。
【0274】
オプションで、目標最小値ポイントと移動装置との間に障害物がない。
【0275】
オプションで、距離マップを取得する前に、取得モジュール2510をさらに:占有マップを取得し、占有マップは複数の第2のグリッドを含み、複数の第2のグリッドのそれぞれ、第2のグリッドに障害物がある確率を記録するために使用されるように構成され得;処理モジュール2520はさらに:占有マップに基づいて距離マップを取得するように構成され得る。
【0276】
オプションで、占有マップに基づいて距離マップを取得することは:占有マップ内の第1のゾーンに位置する第2のグリッドをフィルタ除去することであって、第1のゾーンは移動装置の前に位置し、第1のゾーンに障害物がある場合、移動装置は第1のゾーンの障害物を回避することができない、フィルタ除去することと;フィルタ除去が実行された後に取得した占有マップに基づいて距離マップを取得することと、を含む。
【0277】
オプションで、距離マップに基づいて近接場範囲内の第2の横背景コストポテンシャル場を決定する前に、処理モジュール2520はさらに:特徴ベクトルを生成し、特徴ベクトルは経路スタートポイントとサンプリングゴールポイントを含み;基準経路、履歴経路、および特徴ベクトルに基づいて複数の候補経路を生成する、ように構成され得;距離マップに基づいて近接場範囲の第2の横背景コストポテンシャル場を決定することは:複数の仮想並行経路を生成するために、サンプリングゴールポイントに基づいて基準経路を横にシフトすることと;距離マップに基づいて、近接場範囲の複数の仮想並行経路のそれぞれの各道路ポイントから最も近い障害物までの距離を計算することと;仮想並行経路上の距離の最小値に基づいて、各仮想並行経路の背景コストを計算することと;近接場範囲内の複数の仮想並行経路の背景コストに基づいて、近接場範囲内の第2の横背景コストポテンシャル場を生成することと、を含む。
【0278】
オプションで、第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて現在の障害物回避経路を決定する前に、処理モジュール2520は、さらに:距離マップに基づいて、複数の候補経路のそれぞれについて、衝突コスト、制約コスト、切り替えコスト、横シフトコスト、または滑らかさコストのうちの1つ以上を計算するように構成され、衝突コストは、移動装置が候補経路上を移動するときに衝突するかどうかを評価するために使用され、制約コストは、候補経路上の各道路ポイントが障害物回避可能範囲にあるかどうかを評価するために使用され、切り替えコストは、候補経路と履歴経路との間の偏差を評価するために使用され、横シフトコストは、道路中心線からの候補経路の横シフトの程度を評価するために使用され、滑らかさコストは、候補経路の滑らかさを評価するために使用され;第1の横背景コストポテンシャル場に基づいて現在の障害物回避経路を決定することは:第1の横背景コストポテンシャル場の背景コストに基づいて各候補経路の最終コストを計算すること、または第1の横背景コストポテンシャル場の背景コストと、衝突コスト、制約コスト、切り替えコスト、横シフトコスト、または滑らかさコストのうちの1つ以上とに基づいて各候補経路の最終コストを計算することと;最終コストに基づいて現在の障害物回避経路を決定することと、を含む。
【0279】
オプションで、処理モジュール2520はさらに:履歴経路と現在の障害物回避経路との間の調停結果に基づいて最終障害物回避経路を決定するように構成される。
【0280】
オプションで、履歴経路と現在の障害物回避経路との間の調停結果に基づいて最終障害物回避経路を決定することは:履歴経路上で衝突が発生するが現在の障害物回避経路上で発生しない場合に、現在の障害物回避経路を最終障害物回避経路として使用すること;または、履歴経路と現在の障害物回避経路の両方で衝突が発生し、現在の障害物回避経路の衝突距離と履歴経路の衝突距離との差の絶対値が第3のしきい値以上である場合に、現在の障害物回避経路および履歴経路の大きい衝突距離を持つ経路を最終障害物回避経路として使用すること;または、履歴経路と現在の障害物回避経路の両方で衝突が発生し、現在の障害物回避経路の衝突距離と履歴経路の衝突距離との差の絶対値が第3のしきい値未満である場合に、履歴経路を最終障害物回避経路として使用すること;または、履歴経路で衝突が発生せず、現在の障害物回避経路の最終コストの履歴経路のコストに対する比率が第4のしきい値以下である場合に、現在の障害物回避経路を最終障害物回避経路として使用すること;または、履歴経路で衝突が発生せず、現在の障害物回避経路の最終コストの履歴経路のコストに対する比率が第4のしきい値を超える場合に、履歴経路を最終障害物回避経路として使用すること、を含み、衝突距離は、各候補経路上の衝突状態にあるすべての道路ポイントの縦方向距離における最短の縦方向距離である。
【0281】
オプションで、処理モジュール2520は、履歴経路と最終障害物回避経路に基づいて時間領域スムージングを実行するようにさらに構成され得る。
【0282】
オプションで、計画装置2500は、最終障害物回避経路を速度プランナーに出力するように構成された出力モジュールをさらに含む得、速度プランナーは、最終障害物回避経路と最終障害物回避経路上の障害物情報に基づいて速度計画を実行するように構成される。
【0283】
図26は、本出願の一実施形態による障害物回避経路を計画するための装置のハードウェア構造の例示的なブロック図である。装置2600(装置2600は具体的にはコンピュータ装置であり得る)は、メモリ2610、プロセッサ2620、通信インターフェース2630、およびバス2640を含む。メモリ2610、プロセッサ2620、および通信インターフェース2630間の通信接続は、バス2640を介して実装される。
【0284】
メモリ2610は、読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、静的ストレージデバイス、動的ストレージデバイス、またはランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)である。メモリ2610は、プログラムを格納し得る。メモリ2610に格納されたプログラムがプロセッサ2620によって実行されると、プロセッサ2620は、本出願の実施形態の計画方法のステップを実行するように構成される。
【0285】
プロセッサ2620は、汎用中央処理装置(central processing unit、CPU)、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit、GPU)、または1つ以上の集積回路を使用し得、関連するプログラムを実行するように構成されて、本出願の方法の実施形態における計画方法を実装する。
【0286】
プロセッサ2620は、代替的に、集積回路チップであってもよく、信号処理能力を有する。実装プロセスでは、本出願における計画方法のステップは、ハードウェア集積論理回路またはプロセッサ2620内のソフトウェア形式の命令を使用することによって完了し得る。
【0287】
プロセッサ2620は、代替的に、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(digital signal processor、DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)または別のプログラマブル論理デバイス、離散ゲートまたはトランジスタ論理デバイス、または離散ハードウェアコンポーネントであり得る。プロセッサ2620は、本出願の実施形態で開示されている方法、ステップ、および論理ブロック図を実装または実行し得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得る、または、プロセッサは、任意の従来のプロセッサなどであり得る。本出願の実施形態を参照して開示された方法のステップは、ハードウェアデコードプロセッサによって直接実行され完了し得る、またはデコードプロセッサ内のハードウェアモジュールとソフトウェアモジュールの組み合わせを使用して実行され完了し得る。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ、プログラム可能読み取り専用メモリ、電気的に消去可能なプログラム可能なメモリ、またはレジスタなどの、当技術分野で成熟した記憶媒体に配置され得る。記憶媒体はメモリ2610に配置される。プロセッサ2620は、メモリ2610の情報を読み取り、プロセッサ2620のハードウェアと組み合わせて、本出願の実施形態では計画装置に含まれるモジュールによって実行される必要のある機能を完成させる、または本出願の方法の実施形態では計画方法を実行する。
【0288】
通信インターフェース2630は、装置1000と他の装置または通信ネットワークとの間の通信を実現するために、例えば、取得モジュール2510および出力モジュールの機能を実現するために、トランシーバ装置、例えば、限定ではなく、トランシーバを使用する。
【0289】
バス2640は、装置2600の様々なコンポーネント(例えば、メモリ2610、プロセッサ2620、および通信インターフェース2630)間の情報伝送のための経路を含み得る。
【0290】
本出願の一実施形態は、障害物回避経路を計画するための前述の装置2500または2600を含む車両をさらに提供する。装置2500または2600は、複雑で狭いシナリオにおいて、車両が安定して走行し、横方向において車両からの安全距離を保つことを可能にするように、前述の計画方法のいずれかを実行することができる。車両は、電気自動車、例えば、純電気自動車、航続距離延長型電気自動車、ハイブリッド電気自動車、燃料電池自動車、または新エネルギー自動車であり得ることが理解されるべきである。これは本出願において特に限定されない。
【0291】
本出願の一実施形態は、さらにコンピュータシステムを提供する。上記の計画方法(アルゴリズム)のいずれか1つをコンピュータシステム上で実行することができる。コンピュータの計算能力は、上記の計画アルゴリズムのいずれか1つを更新する速度が、特定の値、例えば30Hzに達することを保証すべきである。これにより、リアルタイムの環境条件に基づいて経路計画を実行することができ、移動装置の安全かつ安定した動作を保証する。
【0292】
特に定義されていない限り、本明細書で使用されているすべての技術的および科学的用語は、本出願の当業者が通常理解しているものと同じ意味を持つ。本出願の明細書で使用されている用語は、特定の実施形態を説明する目的でのみ使用されており、本出願を限定することを意図していない。
【0293】
本明細書の第1、第2、第3、第4、およびさまざまなデジタル数字は、単に説明を容易にするための区別のために使用されているだけであり、本出願の実施形態の範囲を限定することを意図していないことが理解されるべきである。
【0294】
当業者は、本明細書に開示されている実施形態に記載されている例と組み合わせて、ユニットおよびアルゴリズムステップが電子ハードウェアまたはコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアの組み合わせによって実装され得ることを認識することができる。機能がハードウェアによって実行されるかソフトウェアによって実行されるかは、技術的解決策の特定の用途および設計上の制約に依存する。当業者は、各特定の用途に記述された機能を実装するために異なる方法を使用し得るが、その実装が本出願の範囲を超えるとみなされるべきではない。
【0295】
簡便かつ簡潔な説明のために、上記のシステム、装置、およびユニットの詳細な作動プロセスについては、上記の方法の実施形態における対応するプロセスを参照することは、当業者には明確に理解され得る。詳細については、ここでは再度説明しない。
【0296】
本出願で提供されるいくつかの実施形態では、開示されたシステム、装置、および方法が他の方法で実装され得ることが理解されるべきである。例えば、記載されている装置の実施形態は単なる例である。例えば、ユニットへの分割は単なる論理機能の分割であり、実際の実装時には他の分割であってもよい。例えば、複数のユニットまたはコンポーネントは、組み合わされるまたは他のシステムに統合されることがあり、一部の機能は、無視され得るまたは実行されないことがある。加えて、表示または議論されている相互結合や直接的な結合または通信接続は、いくつかのインターフェースを介して実装されることがある。装置またはユニットの間の間接的な結合または通信接続は、電気的、機械的、または別の形式で実装されることがある。
【0297】
別々の部品として記載されるユニットは、物理的に分離されている場合とされない場合があり、ユニットとして表示される部品は、物理的なユニットである場合とそうでない場合、1つの場所に配置されている場合、または複数のネットワークユニットに分散されている場合がある。ユニットの一部またはすべては、実施形態の解決策の目的を達成するために、実際の要件に基づいて選択される場合がある。
【0298】
加えて、本出願の実施形態における機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合されている場合もあれば、ユニットのそれぞれが物理的に単独で存在している場合もあり、2つ以上のユニットが1つのユニットに統合されている場合もある。
【0299】
機能がソフトウェア機能ユニットの形で実装され、独立した製品として販売または使用される場合、機能はコンピュータ可読記憶媒体に格納されることがある。このような理解に基づいて、本質的に本出願の技術的解決策、先行技術に寄与する部分、または技術的解決策の一部は、ソフトウェア製品の形で実装されることがある。コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に格納され、コンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、ネットワークデバイスなどであり得る)に本出願の実施形態で説明されている方法のすべてまたは一部のステップを実行するよう指示するためのいくつかの命令を含む。前述の記憶媒体は、プログラムコードを格納できる様々な媒体、例えば、USBフラッシュドライブ、リムーバブルハードディスク、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、磁気ディスク、および光ディスクを含む。
【0300】
上記の説明は、本出願の単なる特定の実装であり、本出願の保護範囲を限定することを意図していない。本出願で開示されている技術的範囲内で当業者が容易に理解できる変形または置換は、本出願の保護範囲内にあるものとする。したがって、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。