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7652362バイオマスからオイルに富む画分を生成する方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】バイオマスからオイルに富む画分を生成する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C10G 3/00 20060101AFI20250319BHJP
   C10L 1/02 20060101ALI20250319BHJP
【FI】
C10G3/00 Z
C10L1/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022525973
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 FI2020050735
(87)【国際公開番号】W WO2021089923
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】20195955
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】515183610
【氏名又は名称】バルメット テクノロジーズ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヨロネン,テロ
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/092173(WO,A1)
【文献】特表昭56-501205(JP,A)
【文献】特表2014-503639(JP,A)
【文献】特開2002-126794(JP,A)
【文献】特開昭61-255991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスからオイルに富む画分を生成する方法であって、
水と、第1の塩と、第2の塩と、バイオマスとを含む、一次供給原料を、変換反応器の第1の反応ゾーンに提供することと、
前記一次供給原料が、少なくとも160バールの圧力において少なくとも350℃の温度で前記第1の反応ゾーン内で反応して、変換された一次供給原料を形成することを可能にすることと、
少なくとも160バールの圧力において少なくとも350℃の温度で、前記変換された一次供給原料から、第1の塩に富む画分、第2の塩に富む画分、及びオイルに富む画分を分離することと、
前記第1の反応ゾーンから前記オイルに富む画分を引き出すことと、
前記変換反応器から前記第1の塩に富む画分及び前記第2の塩に富む画分を引き出すことと、を含み、
前記第1の塩に富む画分は、前記水に溶解する前記第1の塩の少なくとも一部を含み、
前記第2の塩に富む画分は、固体形態の前記第2の塩の少なくとも一部を含み、
前記第1の塩及び前記第2の塩の少なくとも一方は、前記一次供給原料の前記水で前記一次供給原料の前記バイオマスの前記反応を触媒して、前記オイルに富む画分を生成することができ
前記第1の塩は、タイプ1の塩であり、
前記第2の塩は、タイプ2の塩であり、
前記タイプ2の塩の溶解度は、前記タイプ1の塩の溶解度よりも急速に、超臨界の条件又は超臨界付近の条件で上昇する温度の関数として減少する
方法。
【請求項2】
当該方法は、触媒としての使用のために及び/又は塩又は複数の塩から材料を回収するために塩又は複数の塩をリサイクルすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
当該方法は、前記第1の塩に富む画分の少なくとも一部及び/又は前記第2の塩に富む画分の少なくとも一部を前記変換反応器の前記第1の反応ゾーン内に供給することを含み、
好ましくは、前記第1の塩に富む画分の少なくとも一部が、前記変換反応器の前記第1の反応ゾーン内に供給される、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記一次供給原料は、黒液を含み、
当該方法は、前記第1の塩に富む画分の少なくとも一部及び/又は前記第2の塩に富む画分の少なくとも一部を、前記黒液を燃焼するように構成される化学回収ボイラ内に供給することを含み、
好ましくは、前記第2の塩に富む画分の少なくとも一部が、前記化学回収ボイラ内に供給される、
請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
バイオマスからオイルに富む画分を生成する方法であって、
水と、第1の塩と、第2の塩と、バイオマスとを含む、一次供給原料を、変換反応器の第1の反応ゾーンに提供することと、
前記一次供給原料が、少なくとも160バールの圧力において少なくとも350℃の温度で前記第1の反応ゾーン内で反応して、変換された一次供給原料を形成することを可能にすることと、
少なくとも160バールの圧力において、少なくとも350℃の温度で、前記変換された一次供給原料から、第1の塩に富む画分、第2の塩に富む画分、及びオイルに富む画分を分離することと、
前記オイルに富む画分を前記第1の反応ゾーンから引き出すことと、
前記第1の塩に富む画分及び前記第2の塩に富む画分を前記変換反応器から引き出すことと、を含み、
前記第1の塩に富む画分は、前記水に溶解する前記第1の塩の少なくとも一部を含み、
前記第2の塩に富む画分は、固体形態にある前記第2の塩の少なくとも一部を含み、
前記第1の塩及び前記第2の塩の少なくとも一方は、前記一次供給原料の前記水で前記一次供給原料の前記バイオマスの前記反応を触媒して、前記オイルに富む画分を生成することができ、
前記第1の塩は、タイプ1の塩であり、
前記第2の塩は、タイプ2の塩であり、
前記タイプ2の塩の溶解度は、前記タイプ1の塩の溶解度よりも急速に、超臨界の条件又は超臨界付近の条件で上昇する温度の関数として減少し、
[A]当該方法は、前記第1の塩に富む画分の少なくとも一部及び/又は前記第2の塩に富む画分の少なくとも一部を前記変換反応器の前記第1の反応ゾーン内に供給することを含み、且つ/或いは
[B一次供給原料は、黒液を含み、当該方法は、前記第1の塩に富む画分の少なくとも一部及び/又は前記第2の塩に富む画分の少なくとも一部を、前記黒液を燃焼するように構成される化学回収ボイラ内に供給することを含む、
方法。
【請求項6】
前記第1の塩及び前記第2の塩のうちの少なくとも一方は、多くて-0.5V、好ましくは多くて-1.5Vの、298Kの温度での標準電極電位を有する金属の塩であり、
好ましくは、前記第1の塩は、多くて-1.5Vの298Kの温度での標準電極電位を有する金属の塩であり、
より好ましくは、前記第1の塩は、カリウム(K)又はナトリウム(Na)の塩である、
請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記一次供給原料の前記第1及び第2の塩の総含有量は、少なくとも1重量%であり、好ましくは5重量%~40重量%であり、
好ましくは、前記一次供給原料の乾物の前記第1及び第2の塩の総含有量は、少なくとも1重量%であり、好ましくは5重量%~40重量%であり、
より好ましくは、前記一次供給原料は、ナトリウム及び/又はカリウムの少なくとも1重量%のイオンを含み、
より一層好ましくは、前記一次供給原料の前記乾物は、ナトリウム及び/又はカリウムの少なくとも1重量%のイオンを含む、
請求項1~6のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
当該方法は、前記オイルに富む画分及び前記オイルに富む画分の反応生成物の少なくとも一方を、好ましくは5℃~95℃の温度に冷却して、液体バイオオイルを生成することを含み、
好ましくは、当該方法は、非凝縮性ガス及び水に富む画分のうちの少なくとも一方を、前記オイルに富む画分又はその反応生成物の凝縮物から分離して、前記液体バイオオイルを生成することを更に含む、
請求項1~7のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
当該方法は、
前記オイルに富む画分又はその反応生成物から熱を回収して、前記液体バイオオイルを生成することと、
前記回収した熱で前記一次供給原料の少なくとも一部を加熱することと、を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記液体バイオオイルの酸素含有量は、多くて20%、好ましくは、多くて15%である、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記オイルに富む画分の酸素含有量は、多くて20重量%、好ましくは、多くて15重量%である、請求項1~10のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記一次供給原料が、少なくとも5分に亘って220バール~350バールの圧力において350℃~450℃の温度で前記第1の反応ゾーン内で反応することを可能にすることを含む、請求項1~11のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
当該方法は、前記第2の塩の少なくとも一部を晶析装置内で結晶化させて、結晶化された第2の塩を形成することを含む、請求項1~12のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
当該方法は、前記第2の塩の少なくとも一部を固体粒子上に結晶化させることを含み、
好ましくは、当該方法は、前記第2の塩の少なくとも一部を、前記第1の反応ゾーン内の前記一次供給原料の密度から多くて25%だけ逸れる密度を有する固体粒子上に結晶化させることを含み、
より好ましくは、当該方法は、前記第2の塩の少なくとも一部を、中空の金属粒子上に結晶化させることを含む、
請求項1~13のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記オイルに富む画分を第2の反応ゾーンに移すステップと、
前記オイルに富む画分が、前記第2の反応ゾーン内の固体触媒の存在の下で反応して、応生成物を生成することを可能にすることと、を含み、
任意的に、当該方法は、
前記第2の反応ゾーンに水素も供給することと、
前記オイルに富む画分及び前記水素が前記第2の反応ゾーン内で反応することを可能にすることと、を含み、
好ましくは、前記固体触媒は、少なくとも脱酸素化機能性を有する、
請求項1~14のうちのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体バイオオイル(liquid bio oil)を生成する方法及びデバイスに関する。バイオオイルは、バイオマス(biomass)を含む供給原料(原料油)(feedstock)から生成されることができる。本発明は、高品質のバイオオイルを生成する方法及びデバイスに関し、バイオオイルは、例えば、化石燃料の代替物として、及び/又は生物化学的生成のための供給物(feed)として、広く適用可能である。
【背景技術】
【0002】
バイオベースの材料は、燃料及び化学産業における化石ベースの材料の代替として大きな関心を受けている。バイオベースのオイル(以下、バイオオイル)は、それ自体知られているプロセスにおいてバイオマスから生成されることができる。そのようなプロセスは、場合によっては水、蒸気、及び/又は触媒の存在下でのバイオマスの熱処理、及び反応生成物(reaction products)の回収を含む。
【0003】
しかしながら、しばしば、バイオオイルの品質は最適でない。例えば、バイオオイルの酸素含有量が高すぎることがある。これはバイオオイルの安定性に加えて発熱量(calorific value)に影響を及ぼす。何故ならば、バイオオイルの酸素は、貯蔵中に反応する傾向があるからである。加えて、時折、IUPAC元素周期表のグループ1及び2からの元素並びに他の金属を含む不純物の含有率が高い。これはバイオオイルの精製の可能性に影響を与える。何故ならば、そのような不純物は、バイオオイルを精製するために触媒を用いることを妨げることがあるからである。バイオマスにおいて、そのような不純物は、しばしば、塩又は複数の塩の形態で存在する。
【発明の概要】
【0004】
超臨界又は臨界プロセス付近のプロセス条件で、バイオマスと水との反応を触媒してバイオオイルを生成する触媒として塩を使用し得ることが見出されている。しかしながら、上記のように、塩はバイオオイルの不純物でる。塩は超臨界又は超臨界付近の条件では水によく溶解しないことも見出されている。よって、これらのプロセス条件で塩を供給原料の残りから比較的容易に分離し得ることが見出されている。特に、大部分が溶解性である第1のタイプの塩は、溶液のような第1の塩に富む画分としてプロセスから引き出されることができ、大部分が不溶性である第2のタイプの塩は、固体形態の第2の塩に富む画分においてプロセスから引き出され得ることが見出されている。よって、バイオオイルへのバイオマスの変換反応の完了後、2つの塩に富む画分は、より清浄なバイオオイルを生成するためにプロセスから引き出されることができる。更に、固体形態の第2の塩の一部を引く出すことは、これらの塩が反応器中に凝固しないという効果を有する。従って、反応器のブロッキング(閉塞)は防止される。更に、触媒としての使用のために及び/又は塩又は複数の塩から材料を回収するために、塩又は複数の塩をプロセスにリサイクル(再利用)することが実現可能になる。よって、[A]塩を触媒として用いることによる酸素含有量の観点から、並びに[B]プロセスから塩を除去することによる純度の観点から、適度に高品質のバイオオイルを生成するプロセスが記載される。
【0005】
本プロセスは、独立項1においてより詳細に記載されている。請求項1に従属する請求項及び記述は、好ましい実施形態を開示している。対応するシステムが、独立項13においてより詳細に記載されている。それらのいずれかに従属する請求項及び記述は、好ましい実施形態を開示している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1a】バイオマスからオイルに富む画分を生成する方法を記載している。
図1b】バイオマスからオイルに富む画分を生成する方法を記載しており、供給原料は過熱される。
図1c】オイルに富む画分を冷却することによって液体バイオオイルを生成する方法を記載している。
図1d】供給オイルが加熱される液体バイオオイルを生成する方法を記載している。
図1e】供給オイルが加熱される液体バイオオイルを生成する方法を記載している。
図2】供給原料がその異なる成分を混合することによって形成され、それらの成分は溶解塩及び/又は固体塩を含むことがある、液体バイオオイルを生成する方法を記載している。
図3a】オイルに富む画分が反応生成物に触媒的に変換される液体バイオオイルの生成方法を示している。
図3b】オイルに富む画分が反応生成物に触媒的に変換される液体バイオオイルの生成方法を示している。
図3c】オイルに富む画分が反応生成物に触媒的に変換される液体バイオオイルの生成方法を示している。
図3d】オイルに富む画分が反応生成物に触媒的に変換される液体バイオオイルの生成方法を示している。
図3e】オイルに富む画分が反応生成物に触媒的に変換される方法を記載している。
図4a】液体バイオオイルを生成し、そのように生成したバイオオイルを精製する方法を記載して得る。
図4b】液体バイオオイルを生成し、そのように生成したバイオオイルを精製する方法を記載して得る。
図4c】液体バイオオイルを生成し、そのように生成したバイオオイルを精製する方法を記載して得る。
図5a】液体バイオオイルを生成し、プロセス中に熱を回収して使用する方法を記載している。
図5b】液体バイオオイルを生成し、プロセス中に熱を回収して使用する方法を記載している。
図5c】液体バイオオイルを生成し、プロセス中に熱を回収して使用する方法を記載している。
図5d】液体バイオオイルを生成し、プロセス中に熱を回収して使用する方法を記載している。
図5e】液体バイオオイルを生成し、プロセス中に熱を回収して使用する方法を記載している。
図5f】液体バイオオイルを生成し、プロセス中に熱を回収して使用する方法を記載している。
図6a】第2の塩を豊富に含む画分の一部として除去されることがある結晶形態の塩を形成するための晶析装置の使用を記載している。
図6b】第2の塩を豊富に含む画分の一部として除去されることがある結晶形態の塩を形成するための晶析装置の使用を記載している。
図6c】第2の塩を豊富に含む画分の一部として除去されることがある結晶形態の塩を形成するための晶析装置の使用を記載している。
図7】塩を粒子上に結晶化させる方法を示している。
図8】化学回収ボイラ内で調理用化学薬品を回収することとの本方法の一体化を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1aは、バイオマス(biomass)からオイルに富む画分(oil rich fraction)を生成する方法を示している。この方法において、一次供給原料FS(primary feedstock)は、変換反応器100の第1の反応ゾーンZ1に提供される。第1の反応ゾーンZ1は、一次供給原料FSの化学的に異なる化合物への変換が行われる変換反応器100内の空間である。一次供給原料FSは、水、塩、及びバイオマスを含み、これらの用語は後に詳述される。塩の少なくとも1つは、バイオオイルのための炭化水素へのバイオマスの変換を触媒する。このようにして、塩は触媒として作用し、均質触媒(homogeneous catalyst)と呼ばれることがある。均質触媒という用語は、触媒の少なくとも一部が一次供給原料FS内で溶解されるような触媒を意味する。よって、触媒及び一次供給原料FSは、同じ相(液体及び/又は蒸気及び/又は超臨界)にある。触媒は均質触媒であるので、触媒として作用する塩は、特に、以下に詳述する第1の塩に富む相(first salt rich phase)の塩であってよい。
【0008】
少なくともプロセス条件が超臨界又は超臨界付近であるときに、塩は変換反応(conversion reaction)を触媒することが分かっている。超臨界(supercritical)という用語は、水の臨界点(すなわち、374℃の温度、22MPaの圧力、すなわち、220bar)に関して使用される。変換反応は、典型的には、適度に速い。より具体的には、典型的には、少なくとも5分の反応時間tが十分である。従って、本方法において、一次供給原料FSは、少なくとも350℃、例えば、350℃から450℃の温度Tで、少なくとも160barの圧力pにおいて、第1の反応ゾーンZ1内で反応することが可能にされる。一実施形態において、一次供給原料FSは、少なくとも5分の反応時間tに亘ってこの環境において反応することが可能にされる。より高い圧力を有することは、変換反応が起こることを阻止しない。しかしながら、適切な変換反応器100の製造の観点から、圧力pは、160バール~350バールであることが好ましい。更に、より長い反応時間を有することは、通常、変換生成物の特性を悪化させることはないが、有害な二次反応、例えば、炭化及び再重合が起こることがある。しかしながら、効率的な生成の観点から、長すぎる反応時間は、避けられなければならない。従って、一実施形態において、一次供給原料FSは、5分~30分の反応時間tに亘って、350℃~450℃の温度Tで、160バール~350バールの圧力pにおいて、第1の反応ゾーンZ1内で反応することが可能にされる。
【0009】
背景に示すように、バイオオイルの品質の観点から、バイオオイルは、かなりの量の一次供給原料FSの塩を含んでいないはずである。これらのプロセス条件では、供給原料の水への塩の溶解度が有意な程度まで低下することが分かっている。従って、これらのプロセス条件では、一次供給原料FS、すなわち、変換後の一次供給原料FSの変換生成物から、第1の塩に富む画分SF1、第2の塩に富む画分SF2、及びオイルに富む画分OFを分離することが可能である。よって、一実施形態は、350℃~450℃の温度で、少なくとも160バールの圧力において、変換された一次供給原料FSから、第1の塩に富む画分SF1、第2の塩に富む画分SF2、及びオイルに富む画分OFを分離することを含む。分離が行われる圧力は、例えば、160バール~350バールであってよい。分離が行われる温度及び圧力は、変換反応におけるものと同じであってよい。塩に富む画分SF1及びSF2の両方を除去することは、バイオオイルの品質を改良する。このようにして、オイルに富む画分OFは生成される。
【0010】
第1及び第2の塩に富む画分SF1及びSF2について、第1の塩に富む画分SF1は、供給原料FSの水に溶解した第1の塩を含み、第2の塩に富む画分SF2は、固体形態の第2の塩を含む。一般に、第1の塩は、概してタイプ1の塩と呼ばれる塩であってよく、第2の塩は、概してタイプ2の塩と呼ばれる塩であってよい。タイプ2の塩の溶解度は、タイプ1の塩の溶解度よりも、超臨界の条件又は超臨界付近の条件での温度上昇の関数として急速に減少する。一般に、タイプ1の塩は、臨界曲線を越えない超臨界温度での連続的な溶解度曲線を示すのに対し、タイプ2の塩は、溶解度曲線と臨界曲線の交点を表して、この領域において2つの臨界エンドポイントをもたらす。これら2つの異なるタイプの塩についてのより多くの情報を非特許文献1から更に見出すことができる。
【0011】
従って、タイプ2の塩は、これらのプロセス条件で結晶化する且つ/或いは凝集体を形成する傾向がある一方で、タイプ1の塩は、塩水(ブライン)を形成する傾向がある。このようにして、タイプ1の塩は凝縮し、タイプ2の塩はこれらの条件で結晶化する。典型的には、タイプ2の塩は、変換反応器100の表面に容易に付着して、変換反応器100のブロッキング(blocking)を引き起こすことがある、粘着性の沈殿物を形成する。従って、第2の塩に富む画分SF2の除去は、変換反応器100のブロッキングを防止する。タイプ1の塩は、NaCl、KCl、KCO、MgCl及びCaClを含む。タイプ2の塩は、MgCO、MgSO、CaCO、CaCO、NaCO、NaSO、NaPO、KSO及びSiOを含む。しかしながら、これらの特徴付けは、単一の塩を有する溶液にも適用可能である。塩混合物の場合、複雑な反応が超臨界付近条件で起こることがある。例えば、NaPO及びKSOは、通常、タイプ2の塩であるが、混合物中で、それらはKPO及びNaSOを形成することがあり、それらはそれぞれタイプ1の塩及びタイプ2の塩である。
【0012】
一実施形態において、第2の塩に富む画分SF2は、タイプ2の塩を含む。第2の塩に富む画分SF2のタイプ2の塩を凝固させること(solidifying)によって、前述のブロッキング問題を回避することができる。タイプ2の塩は凝固され、変換反応器100から除去されるので、それは変換反応器100の内壁で詰まらない。タイプ2の塩を凝固させる具体的な手段の例は後に提示される。好ましくは、大部分の塩は、塩に富む画分SF1及びSF2中で変換反応器100から引き出される(withdrawn)。このようにして、オイルに富む画分OFは、(存在するとしても)僅かな塩のみを含む。よって、一実施形態では、変換反応器100内に供給される塩(タイプ1の塩及びタイプ2の塩)の多くとも5%が、オイルの豊富な画分OFで変換反応器100から引き出される。明らかに、残りの塩は、画分SF1及びSF2で引き出される。
【0013】
特に、黒液(block liquor)を供給原料FSとして使用するときにプロセスに関与するタイプ1の塩は、NaCl、KCl、MgCl、及びCaClを含み、プロセスに関与するタイプ2の塩は、MgCO、Mg、CaCO、CaCO、NaCO、NaSO、及びKSOを含む。
【0014】
一般に、塩に富む画分SF1及びSF2は、オイルに富む画分OFよりも(kg/mで測定されるような)高い密度を有する。よって、塩に富む画分SF1及びSF2は、例えば、異なる密度を有する液体を分離するのに適した任意の手段によって、変換された一次供給原料FSから分離されてよい。そのような方法は、遠心分離方法及び重力に基づく方法を含む。好ましくは、第1の塩に富む画分SF1は、重力によって変換された一次供給原料FSから分離される。好ましくは、第2の塩に富む画分SF2は、重力によって変換された一次供給原料FSから分離される。よって、第1の塩に富む画分SF1は、変換反応器100の第1の点(ポイント)から引き出されることがあり、第1の点は、オイルに富む画分OF(又はその反応生成物RP)が取り出される点よりも低い垂直レベルにあることがある。追加的に又は代替的に、第2の塩に富む画分SF2は、変換反応器100の第2の点から引き出されることがあり、第2の点は、オイルに富む画分OF(又はその反応生成物RP)が引き出される点よりも低い垂直レベルにあることがある。更に、第2の塩に富む画分SF2は、変換反応器100の第2の点から引き出されることがあり、第2の点は、第1の塩に富む画分SF1が引き出される第1の点よりも低い垂直レベルにあることがある。
【0015】
第1の塩に富む画分SF1の少なくとも一部は、触媒として使用されるためにリサイクルされることがある。よって、一実施形態が、第1の塩に富む画分SF1の少なくとも一部を、変換反応器100の第1の反応ゾーンZ1に供給することを含む。そのような実施形態が、例えば、図2に示されている。第2の塩に富む画分SF2の少なくとも一部は、触媒として使用されるためにリサイクルされることがある。よって、一実施形態が、第2の塩に富む画分SF2の少なくとも一部を、変換反応器100の第1の反応ゾーンZ1に供給することを含む。そのような実施形態が、例えば、図2に示されている。塩に富む画分SF1、SF2の少なくとも一部がリサイクルされるときには、ヒータ130(加熱器)を使用して、対応する塩に富む画分を加熱してよい(図2参照)。更に、ヒータ130を使用して、リサイクルされた塩に富む画分を超臨界温度付近まで加熱してよい。上述のように、そのような場合、タイプ2の塩は凝固し、それによって、それらはヒータ130を詰まらせることがある。従って、一実施形態が、第1の塩に富む画分SF1の少なくとも一部をリサイクルすることを含む。この実施形態は、ヒータ130内でリサイクルされた第1の塩に富む画分SF1を加熱することを含んでよい。しかしながら、ヒータ130は、図1b、図1d及び図1eに示すように、リサイクルされた塩に富む画分を加熱する必要はない。
【0016】
特に、図8を参照すると、供給原料FSが黒液BLを含むときには、これらの塩から調理用化学薬品を回収するために、塩に富む画分SF1及び/又はSF2の塩は、化学回収ボイラ500に供給されることがある。化学回収ボイラ500は、調理化学薬品を回収するように構成された化学回収サイクルの一部として見られることができる。よって、一実施形態において、一次供給原料FSは、黒液BLを含み、本方法は、第1の塩に富む画分SF1の少なくとも一部を、調理用化学薬品を回収するように構成される化学回収サイクルに、例えば、黒液を燃焼するように構成される化学回収ボイラ500に供給することを含む。更に、一実施形態において、一次供給原料FSは、黒液BLを含み、本方法は、第2の塩に富む画分SF2の少なくとも一部を、調理用化学薬品を回収するように構成される化学回収サイクルに、例えば、黒液を燃焼するように構成される化学回収ボイラ500に供給することを含む。そのような実施形態が図8に示されている。図8が、第2の塩に富む画分SF2のみが回収ボイラ500に供給されることを示すとしても、両方の塩に富む画分SF1、SF2は、回収ボイラ500に供給されてよく、第1の画分SF1又は第2の画分SF2のいずれも、回収ボイラ500に供給される必要はない。供給原料FSが黒液を含むとき、典型的には、調理用化学薬品は、タイプ2の塩であることに留意のこと。従って、そのような実施形態では、好ましくは、第2の高に富む画分SF2の少なくとも一部が、黒液を燃焼するように構成される化学回収ボイラ500に供給される。
【0017】
更に、上記から読むことができるように、タイプ1の塩は、塩素(Cl)を含む塩と、カリウム(K)を含む塩とを含む。化学回収ボイラ500との組み合わせにおいてプロセスを適用するとき、そのような塩は、ボイラ500内で回収されないことが好ましい。何故ならば、クラフトプロセス(Kraft process)の調理段階は、そのような調理用化学薬品を必要としないからである。対照的に、回収されるべき調理用化学薬品の大部分は、タイプ2の塩の形態にある。更に、塩素は、機器に腐食問題を提示することがある。従って、そのような文脈では、タイプ2の塩(すなわち、第2の塩に富む画分SF2)のみを、化学回収ボイラ500のような、調理用化学薬品を回収するように構成される化学回収サイクルに供給し、さもなければ、タイプ1の塩(すなわち、第1の塩に富む画分SF1)を、例えば、図8に示すように、それらの少なくとも一部をバイオマス変換のための触媒として使用されるプロセスに戻すことによって、使用することが有益である。
【0018】
図に示されていないとしても、第1の塩に富む画分SF1の少なくとも一部及び/又は第2の塩に富む画分SF2の少なくとも一部は、第2の塩に富む画分SF2の少なくとも一部が化学回収ボイラ500に供給されるとしても(図8)、第1のプロセスゾーンZ1に供給されてよい(図2を参照)。
【0019】
更に、黒液BLが供給原料FSとして使用されるときには、同じ黒液の一部が回収ボイラ500内で燃焼されることがある。よって、一実施形態が、黒液を受け入れることと、黒液を第1の部分(図8の矢印「BL、FS」)と第2の部分(図8の上方BL矢印)とに分割することと、第1の部分を変換反応器100内に運ぶことと、第2の部分を化学回収ボイラ500内に運ぶこととを含む。
【0020】
図1a~図1eを参照すると、オイルに富む画分OFは、第1の反応ゾーンZ1から引き出される。以下に詳述するように、オイルに富む画分OFは、同じ変換反応器100内に位置する第2の反応ゾーンZ2内で更に反応させられてよい。オイルに富む画分OFは、変換反応器100から引き出されてよい。以下に詳述するように、オイルに富む画分OFは、別の反応器200内に位置する第2の反応ゾーンZ2内で更に反応させられてよい。第1の塩に富む画分SF1は、変換反応器100から引き出される。第2の塩に富む画分SF2は、変換反応器100から引き出される。このようにして、図1a及び図1bに示すように、オイルに富む画分OFを生成することができる。
【0021】
一実施形態において、オイルに富む画分OFは、冷却されて、(図1a、図1b及び図3eを除く)図に「OIL」で示す液体バイオオイルを生成する。冷却することによって、オイルに富む画分OFのバイオオイルの少なくとも一部が凝縮して、液体になる。一実施形態において、オイルに富む画分OFは、冷却(及び凝縮)されて、オイルに富む画分が前記冷却の前に(化学反応によって)反応生成物RPに変換されることなく、例えば、図1c~図1eにおいて「OIL」で示す、液体バイオオイルを生成する。一実施形態において、オイルに富む画分OFは、先ず、(化学反応によって)反応生成物RPに変換され、反応生成物RPは、冷却(及び凝縮)されて、図3a~図3dに「OIL」で示す液体バイオオイルを生成する。このようにして、本方法の一実施形態は、オイルに富む画分OF又はオイルに富む画分OFの反応生成物RPを冷却して、液体バイオオイルOILを生成することを含む。オイルに富む画分OFの一部を変換しないで、オイルに富む画分OFの一部を反応生成物RPに変換し、オイルに富む画分OF及び反応生成物RPの両方を凝縮することも可能である。図3eに示すように、反応生成物RPは、冷却される必要はない。反応生成物RPは、図3a~図3dに示すように、冷却されてよい。
【0022】
第1の反応ゾーンZ1内の温度及び圧力は適度に高いので、一次供給原料FSは加熱されることがある。図1b、図1d及び図1eを参照すると、一次供給原料FSを加熱するために、ヒータ130が使用されてよい。ヒータ130は、図1b及び図1dにおけるように、変換反応器100の前に配置されてよく、且つ/或いは、ヒータ130は、図1eにおけるように、変換反応器100の内側に配置されてよい。更に、図示されていないとしても、ヒータ130は、変換反応器100内の一次供給原料FSを加熱するために、変換反応器100を加熱することがある。好ましくは、ヒータ130は、オイルに富むOF及び反応生成物RPのうちの少なくとも1つからの熱を一次供給原料FSに伝達するように構成される熱交換器115を含む(図5a~図5fを参照)。そのような実施形態において、システムは、第2のヒータ130’を含んでよい。第2のヒータ130’は、一次供給原料FSを加熱するために使用されてよい。第2のヒータ130’は、変換反応器100の前に配置されてよく(図5b)、或いは、第2のヒータ130は、変換反応器100の内側に配置されてよい(図5c)。更に、図示されていないとしても、第2のヒータ130’は、変換反応器100内の一次供給原料FSを加熱するために、変換反応器100を加熱してよい。一次供給原料FSを変換反応器100に、すなわち、高圧に供給するために、ポンプ120が設けられる(図1b、図1d及び図1e、並びに図5a~図5fを参照)。
【0023】
ヒータ130(及び/又は第2のヒータ130’)は、少なくとも50℃/分の速度で、好ましくは、少なくとも75℃/分の速度で、一次供給原料FSを加熱するように構成されてよい。
【0024】
図1a~図1eを参照すると、バイオマスからオイルに富む画分(OF)を生成するシステムが、変換反応器100を含む。上記のように、変換反応器100は、一次供給原料FSが、少なくとも160バールの圧力において、350℃~450℃のような、少なくとも350℃の温度で、第1の反応ゾーンZ1内で反応することを可能にするように構成される。高圧及び高温の故に、これは変換反応器100の材料及びそれらの厚さについての制約を暗示する。変換反応器100は、一次供給原料FSを第1の反応ゾーンZ1内に入らせる第1の入口101と、第1の塩に富む画分SF1を変換反応器100から出させる第1の出口103と、第2の塩に富む画分SF2を変換反応器100から取させる第2の出口104と、オイルに富む画分OF及びオイルに富む画分の反応生成物RPのうちの少なくとも1つを変換反応器100から出させる第3の出口105とを含む。例えば、図1c~図1e及び図3a~図3bの実施形態において、第3の出口105は、オイルに富む画分OFを変換反応器100から出させるためのものである。例えば、図3c及び図3dの実施形態において、第3の出口105は、オイルに富む画分OFの反応生成物RPを変換反応器100から出させる。
【0025】
更に、変換反応器100は、少なくとも160バールの圧力において、350℃~450℃のような、少なくとも350℃の温度で、第1及び第2の塩に富む画分SF1及びSF2並びにオイルに富む画分OFを変換された一次供給原料FSから分離するように構成される。例えば、変換反応器100は、塩に富む画分SF1及びSF2並びにオイルに富む画分OFのうちの少なくとも1つを変換された一次供給原料FSから分離するように構成された遠心分離機(図示せず)を含んでよい。例えば、第1の遠心分離機が、2つの画分、すなわち、[a]第1及び第2の塩に富む画分SF1及びSF2を含む画分と、[b]オイルに富む画分とを分離してよい。然る後、別の遠心分離機が、塩に富む画分SF1及びSF2を互いから分離するように構成されてよい。好ましくは、変換反応器100は、重力によって、塩に富む画分SF1及びSF2ならびにオイルに富む画分OFを変換された一次供給原料FSから分離するように構成される。そのような実施形態において、第1の出口103は、第3の出口105よりも低い垂直レベルで配置され、第2の出口104は、第3の出口105よりも低い垂直レベルで配置される。更に、第2の出口104は、第1の出口103よりも低い垂直レベルで配置されてよい。
【0026】
加えて、システムは、第1の入口101を通じて、少なくとも160バールの圧力を有する第1の反応ゾーンZ1内に一次供給原料FSを送り込むように構成される、ポンプ120を含む。圧力は適度に高いので、ポンプ120は、相応して選択されなければならない。より高い圧力が使用されるとき、或いはより高い圧力が少なくとも使用されることができるとき、ポンプ120は、第1の入口101を通じて、少なくとも220バール又は少なくとも300バール又は350バールの圧力を有する第1の反応ゾーンZ1内に、一次供給原料FSを送り込むように構成される。
【0027】
加えて、システムは、第1の反応ゾーンZ1内の温度が、350℃~450℃のような少なくとも350℃であるように、一次供給原料FS及び/又は変換反応器100を加熱するように構成される、ヒータ130を含む。一実施形態において、ヒータ130は、一次供給原料FSを350℃~450℃のような350℃の温度まで加熱するように構成される。好ましくは、システムは、第1の反応ゾーンZ1内の温度が375℃~450℃であるように、一次供給原料FS及び/又は変換反応器100を加熱するように構成される、ヒータ130を含む。より好ましくは、ヒータ130は、一次供給原料FSを温度375℃~450℃の温度まで加熱するように構成される。
【0028】
更に、図1c~図1eを参照すると、システムの一実施形態が、オイルに富む画分OF及びオイルに富む画分OFの反応生成物RPのうちの少なくとも1つを冷却して、液体バイオオイルOILを生成するように構成される、クーラ110(冷却器)を含む。加えて、システムは、オイルに富む画分OF及び反応生成物RPのうちの少なくとも1つをクーラ110に運ぶためのパイプライン112を含む。そのような場合、システムは、液体バイオオイル(「OIL」)を生成するためのものである。しかしながら、図1a及び図1bに示すように、特にシステムがオイルに富む画分(「OF」)を生成するためのものであるとき、システムは、クーラ110を含む必要がない。
【0029】
例えば、図1c~図1eの実施形態において、パイプライン112は、オイルに富む画分OFを変換反応器100からクーラ110へ運ぶように構成されている。例えば、図3c及び図3dの実施形態において、パイプライン112は、反応生成物RPを変換反応器100からクーラ110へ運ぶように構成されている。例えば、図3a及び図3bの実施形態において、パイプライン112は、反応生成物RPを触媒反応器200からクーラ110へ運ぶように構成されている。
【0030】
上述のように、一次供給原料FSは、水、塩、及びバイオマスを含む。バイオマスという用語は、多少の水を自然に含む物質を包含する。よって、一次供給原料FSの水は、水を加える必要がない。しかしながら、しばしば、多少の水が加えられる。
【0031】
「水(water)」という用語は、蒸気を指すこともある。一次供給原料の含水率は、少なくとも25重量%であってよい。これは第1の反応ゾーンZ1の変換反応のために十分な量であることが分かっている。よって、一実施形態において、一次供給原料FSの乾物含有量(dry matter content)は、多くて75重量%である。一次供給原料FSの乾物含有量は、20重量%~75重量%、好ましくは、30重量%~70重量%であってよい。
【0032】
「バイオマス(biomass)」という用語は、生物起源の物質を指す。バイオマスは、原木、木材残留物、森林残留物、廃棄物、都市廃棄物、産業廃棄物又は副産物、農業廃棄物又は副産物、木材加工産業の残留物又は副産物、食品産業の廃棄物又は副産物、リグノセルロース系及び/又は都市廃棄物からのバイオガス生成からの残留物、バイオエタノール生成プロセスからの残留物、及びそれらの任意の組み合わせのような、嫌気性又は好気性消化物の固体又は半固体有機残留物のような、植物、動物及び/又は魚起源又は微生物起源の原生物及び廃棄物を含んでよい。適切には、バイオマスは、スラッシュ、都市木材廃棄物、木材廃棄物、木材チップ、木材廃棄物、おがくず、わら、薪材、木材材料、紙、製紙又は木材プロセスの副産物のような、木材加工産業の廃棄物及び副産物を含み、ここで、バイオマス(植物バイオマス)は、少なくともヘミセルロース及びリグニンから構成される。バイオマスは、セルロースを更に含んでよい。しかしながら、木材のセルロース繊維は、他の目的のために除去されることがあり、残りのバイオマスは、一次供給原料のバイオマスを構成することがある。
【0033】
本方法は、クラフトプロセスの黒液及び亜硫酸塩プロセスの褐液(brown liquor)を含むパルプ又は製紙産業の副産物又は複数の副産物が一次供給原料FSとして使用されるときに、特に適している。何故ならば、これらの副産物は、リグニン残留物及びヘミセルロースを自然に含む、多くの塩やバイオマスも含むからである。塩は、供給原料をバイオオイルに変換するときに触媒として作用する。典型的には、そのような液体の乾物含有量は、30重量%~40重量%である。このようにして、一実施形態において、バイオマスは、リグニン及びヘミセルロースのうちの少なくとも1つを含む。一実施形態において、バイオマスは、リグニン及びヘミセルロースのうちの少なくとも1つを含み、一次供給原料FSの乾物含有量は、30重量%~40重量%である。そのような副産物は、僅かなセルロースのみを含む。よって、一実施形態において、バイオマスは、リグニン及びヘミセルロースのうちの少なくとも1つを含み、無水ベース(dry basis)で、多くて10重量%のセルロース繊維を含む。一実施形態において、バイオマスは、リグニン及びヘミセルロースのうちの少なくとも1つを含み、無水ベースで、多くて10質量%のセルロース繊維を含み、一次供給原料FSの乾物含有量は、30重量%~40重量%である。上述のように、塩は変換反応器100から除去されるので、そのような非常に塩を含む材料もバイオオイル生成のための供給原料として使用すること及び/又は変換のための触媒として塩を使用することが今や可能になっている。更に、そのような実施形態では、上述の示すように、塩に富む画分から調理用化学薬品を回収するために、塩に富む画分の少なくとも1つが化学回収ボイラ500に供給されてよい。
【0034】
より正確には、上記において、「黒液(black liquor)」という用語は、木材からリグニン、ヘミセルロース及び他の抽出物を除去して、セルロース繊維を遊離させることによって、パルプ材(pulpwood)を紙パルプ(paper pulp)に分解するときの、クラフトプロセスからの副産物を意味する。典型的には、黒液は、無水ベースで測定されるときに、30重量%~40重量%の炭素を含む。従って、黒液は、液体バイオオイルの供給原料の材料として適している。
【0035】
しかしながら、典型的には、黒液は、32重量%~38重量%の酸素(無水ベース)を含む。従って、触媒変換によって得ることができるオイルに富む画分は、有意な量の酸素を含むことがある。しかしながら、上述のように、酸素は、バイオオイルの品質を付与することがある。よって、黒液が供給原料FSとして或いは供給原料FSの一部として使用されるとき、好ましくは、オイルに富む画分OFは、上記で議論し且つ図8に示すように、第2のプロセスゾーンZ2内で更に反応させられる。第2のプロセスゾーンZ2を有する触媒反応器200は、バイオオイルの品質の観点から必要な場合にのみ使用されることを示すために、点線で描かれている。
【0036】
典型的には、バイオマスは、一般に、適度な量の酸素を含む。一般に、これは、最終的に、バイオオイルOILの酸素となることがある。バイオオイル中の酸素の量が最終的にどれぐらいになるかは、一次供給原料FSの塩に依存することがある。しかしながら、少なくとも供給原料のバイオマスの酸素含有量が有意に高いときに、塩は、適切な機能性を有する。従って、一実施形態では、バイオマスの酸素含有量が、30重量%~43重量%である。ここで、酸素含有量とは、乾燥バイオマスの酸素含有量を指す。対応して、一実施形態では、乾燥一次供給原料の酸素含有量が、30重量%~43重量%である。乾燥一次供給原料(dry primary feedstock)とは、乾燥によって一次供給原料FSから得ることができる材料を意味する。
【0037】
酸素の故に、オイルに富むOFは酸素を含むことがある。例えば、一実施形態において、オイルに富む画分OFは、5質量%~15質量%の酸素のような、多くて15質量%の酸素のような、20質量%未満の酸素を含む。オイルに富む画分OFの酸素含有量は、5重量%~10重量%のような、10重量%未満であってよい。オイルに富む画分OFが第2のプロセスゾーンZ2内で更に反応させられない場合、バイオオイルは、実質的に同じ量の酸素を含むことがある。オイルに富む画分OFが第2のプロセスゾーンZ2で更に反応させられる場合、バイオオイルは、有意により少ない酸素を含むことがある。一実施形態では、バイオオイルの酸素含有量が、多くて10質量%、好ましくは、多くて5質量%である。
【0038】
(一次供給原料の)「塩(salt)」という用語は、カチオンとアニオンとの集合体からなる化学化合物を意味する。塩は、カチオン(正に荷電したイオン)とアニオン(負に荷電したイオン)からなるので、生成物は、(正味の電荷を持たずに)電気的に中性である。上記のように、一次供給原料FSは、第1の塩と、第2の塩とを含む。一次供給原料において、塩の少なくとも一部分は、一次供給原料の水に溶解することがある。具体的には、一実施形態において、第1の塩及び第2の塩のうちの少なくとも一方は、バイオマスと水との反応を触媒してバイオオイルを生成することができる塩である。より好ましくは、第1の塩は、バイオマスと水との反応を触媒してバイオオイルを生成することができる塩である。
【0039】
負の電気陰性度を持つ金属が変換反応を触媒するように思われる。更に、金属の電気陰性度が大きければ大きいほど、それは触媒としてより良好に機能するように思われる。従って、好ましい実施形態では、一次供給原料FSの塩のうちの少なくとも1つが、多くて-0.5Vでの298Kの温度で標準電極電位を有する金属の塩である。上述のように、この塩は、第1の塩に富む画分SF1の一部として或いは第2の塩に富む画分SF2の一部として、プロセスから回収される。従って、本発明において、第1の塩及び第2の塩のうちの少なくとも一方は、多くて-0.5Vでの298K温度で標準電極電位を有する金属の塩である。そのような金属の例は、リチウム(Li)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、及びクロム(Cr)である。より好ましい実施形態において、第1の塩及び第2の塩のうちの少なくとも一方は、多くて-1.5Vでの298Kの温度で標準電極電位を有する金属の塩である。そのような金属の例は、リチウム(Li)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、及びアルミニウム(Al)である。
【0040】
より一層好ましくは、第1の塩は、多くて-1.5Vでの298Kの温度で標準電極電位を有する金属の塩である。これは、触媒として再使用されるために第1の塩(の少なくとも一部分)が第1のプロセスゾーンZ1に戻る再循環(recycling)を容易にする。第1の塩をリサイクルすることは、第2の塩をリサイクルすることよりも好ましい。何故ならば、第2の塩は、変換反応器100をブロックすることがあるからである。
【0041】
しかしながら、第1の塩は、変換反応器100に戻される必要がない。以下に示すように、第1の塩は、塩水を生成するタイプ1の塩であってよい。典型的な第1の塩は、ナトリウムの塩化物(NaCl)又はカリウムの塩化物(KCl)を含み、第1の塩は、第1の塩に富む画分SF1中に含まれる。リサイクルが必要とされないように第1の塩に富む画分SF1の塩含有量を制御することは実行可能である。例えば、第1の塩に富む画分SF1がその塩含有量が十分に高いときにのみ引き出される場合、これは変換反応器100内の塩含有量もまた高く、それによって、リサイクルが必要とされないことを意味する。リサイクルが必要とされないのは、触媒(すなわち、塩)の含有量が第1のプロセスゾーンZ1内で十分だからである。しかしながら、第1の塩に富む画分SF1が低い塩含有量を有する場合、それを第1のプロセスゾーンZ1に戻して、その中の触媒の量を増加させてよい。
【0042】
一実施形態において、一次供給原料FSは、以下の塩のうちの少なくとも1つを含む。
- NaOH、NaCO、NaHCO、NaS、NaSO、Na又はNaSOのようなナトリウムの塩、
- KOH又はKCOのようなカリウムの塩、及び
- 多くて-0.5Vでの298Kの温度で標準電極電位を有する金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、硫化物、亜硫酸塩、チオ硫酸塩及び硫酸塩。
【0043】
好ましい実施形態において、一次供給原料FSは、NaOH、NaCO、NaHCO、KOH、KCO、KHCOのうちの少なくとも1つを含む。
【0044】
一実施形態において、一次供給原料FSの塩の総含有量は、少なくとも0.2重量%、好ましくは0.2重量%~40重量%である。好ましくは、乾燥一次供給原料FSの塩の総含有量は、無水ベースで(すなわち、一次供給原料FSの乾物(dry matter)から)測定されるような、少なくとも0.5重量%(無水ベース)、好ましくは0.5重量%~60重量%である。より好ましくは、一次供給原料FSは、ナトリウム又はカリウムの少なくとも0.1重量%のイオンを含む。より一層好ましくは、一次供給原料(FS)の乾物は、少なくとも0.5重量%(無水ベース)のナトリウム及び/又はカリウムを含む。
【0045】
バイオマスを含む供給原料は、上記の原理に従ってそれ自体変換されることができる供給原料であってよい。供給原料、例えば、黒液は、よって、一次供給原料として役立つことがある。このようにして、塩(又は水)が一次供給原料FSに加えられる必要はない。液体、例えば、黒液の場合、凝縮された黒液を得るために、多少の水が蒸発によって除去されてよい。凝縮された黒液は、一次供給原料FSとして役立つことがある。
【0046】
しかしながら、幾つかの供給原料は、塩及び/又は水を必ずしも十分に含まない。従って、これらのうちの少なくとも1つが加えられてよい。更に、塩の代替として、多少の補給触媒(make-up catalyst)を供給原料ストリームに加えることができる。図2を参照すると、一実施形態が、二次供給原料FS2を受け取ることを含む。二次供給原料FS2は、例えば、実質的に塩を含まないものであってよい。そのような場合、第1の反応ゾーンZ1内の変換反応は、第2の供給原料FS2自体にとって非効率的であるので、実施形態は、二次供給原料FS2に塩FS3及び補給触媒FS4のうちの少なくとも一方を加えて一次供給原料FSを生成することを含む。然る後、一次供給原料FSは、上記で詳述したように処理されることができる。代替的に又は追加的に、必要であるならば、水を二次供給原料のFS2に加えることができる。一次供給原料FSのための適切な乾物含有量は、上記に詳述されている。塩FS3は、変換反応器100からリサイクルされてよく、それは第1の塩に富む画分SF1及び第2の塩に富む画分SF2のうちの一方の少なくとも一部分を含んでよい。
【0047】
塩に富む画分SF1及びSF2の引き出しの故に、バイオオイルOILの塩含有量は、一次供給原料FSの塩含有量よりも少ない。更に、好ましくは、塩は、ナトリウム及びカリウムのうちの少なくとも1つを含む。従って、一実施形態において、一次供給原料FSは、ナトリウム及びカリウムのうちの少なくとも1つを含み、一次供給原料FSは、ナトリウム及びカリウムの第1の含有量を有する。ここで、第1の含有量とは、重量%において測定されるようなナトリウムとカリウムの総含有量を指す。更に、液体バイオオイルOILは、ナトリウム及びカリウムの第2の含有量を有する。また、ここで、第2の含有量とは、重量%において測定されるようなナトリウム及びカリウムの総含有量を指す。塩に富む画分SFの除去の故に、第2の含有量は、第1の含有量よりも少ない。第2の含有量は、第1の含有量よりも、例えば、少なくとも1パーセント単位だけ少なくてよく、その場合、第1及び第2の含有量は、重量%において測定される。
【0048】
オイルに富む画分OF及びその反応生成物RPのうちの少なくとも一方を冷却することによって、オイルに富む画分OF及びその反応生成物RPの少なくとも一方の少なくとも一部分は、それぞれ凝縮される。その上、液体バイオオイル(liquid bio oil)という用語は、大気圧中で5℃~95℃の温度で液体状態にあるオイル(油)を意味する。よって、一実施形態が、液体(すなわち、凝縮された)バイオオイルOILを生成するために、オイルに富む画分OF又はその反応生成物RPを5℃~90℃の温度に冷却することを含む。
【0049】
オイルに富む画分又はその反応生成物RPの全ての化合物は、そのような温度で凝縮する必要がない。そのような化合物は、一酸化炭素又は二酸化炭素を含む。前述の温度で凝縮しない化合物は、非凝縮性ガスとして除去されてよい。更に、水(すなわち、水に富む画分)は、バイオオイルOILを得るために、オイルに富む画分OF又は反応生成物RPの凝縮物から分離されることができる。従って、一実施形態が、非凝縮性ガス(NCG)及び水に富む画分(WF)の少なくとも1つを、オイルに富む画分OF又はその反応生成物RPの凝縮物から分離して、液体バイオオイルOILを生成することを含む(図1e及び図3a)。そのような分離が図1e及び図3aの文脈においてのみ示されているとしても、そのような分離は、冷却を含む任意の実施形態の文脈において、特に図1a、図1b及び図3eを除く任意の図の文脈において適用されてよい。ここで、非凝縮性ガス(non-condensable gas)という用語は、大気圧におけるその沸点が多くて0℃である物質を指す。よって、一実施形態が、少なくとも1つの
- 大気圧におけるその沸点が多くて0℃であるガス、及び
- 水に富む画分(WF)
をオイルに富む画分(OF)又はその反応生成物(RP)の凝縮物から分離して、液体バイオオイル(OIL)を生成するすることを含む。
【0050】
一実施形態が、(i)オイルに富む画分OF、(ii)オイルに富む画分OFの反応生成物RP、及び(iii)バイオオイルOILのうちの1つの圧力を0.5バール(a)~2.0バール(a)まで低下させることを含む。ここで、単位バール(a)とは、絶対圧力を指す。一実施形態が、オイルに富む画分OF、オイルに富む画分OFの反応生成物RP、及びバイオオイルOILのうちの1つの圧力を大気圧まで低下させることを含む。一実施形態が、0.5バール(a)~2.0バール(a)の圧力において5℃~95℃の温度で液体バイオオイルを放出することを含む。一実施形態が、大気圧において50℃~95℃の温度で液体バイオオイルを放出することを含む。
【0051】
バイオオイルの酸素含有量は、少なくとも以下の影響を受け得ることが分かっている。
(a)変換プロセスを触媒するために用いられる塩のタイプ、
(b)変換プロセスの反応温度、
(c)反応の滞留時間、すなわち、反応時間t、及び
(d)オイルに富む画分OFをオイルに富む画分OFの反応生成物RPに変換するための固体触媒の使用。
【0052】
(a)に関して、塩の効果は、上記で議論した。
【0053】
(b)に関して、好ましくは、第1の反応ゾーンZ1内の反応温度Tは、375℃~450℃であり、圧力pは、220バール~350バールである。
【0054】
(c)に関して、反応時間は、上記で議論したが、好ましくは、反応時間は、5分~30分である。
【0055】
(d)に関して、図3a~図3dを参照すると、オイルに富む画分OFを触媒的に処理(すなわち、変換)して、反応生成物RPを形成することができる。然る後、必要であれば、反応生成物RPを冷却して、バイオオイルOILを生成してよい。これらの理由から、図3a~図3dを参照して、一実施形態が、オイルに富む画分OFを第2の反応ゾーンZ2に供給することと、オイルに富む画分OFが第2の反応ゾーンZ2内の固体触媒CATの存在の下で反応して、オイルに富む画分OFの反応生成物RPを生成することを可能にすることとを含む。固体触媒CATも異質触媒(heterogeneous catalyst)であり、それは触媒(固体)の相が一次供給原料FS(液体、気体、又は超臨界)の相と異なることを意味する。
【0056】
これらの実施形態において、固体触媒CATは、少なくとも脱酸素化機能性を有する。触媒CATは、オイルに富む画分OFに不溶であるという意味で固体触媒である。固体触媒CATは、担持触媒(supported catalyst)であってよい。固体触媒CATは、オイルに富む画分OFが運ばれる、触媒材料のベッド(床)を形成することがある。
【0057】
対応するシステムが、第2のプロセスゾーンZ2内に固体触媒材料CATを含む。第2のプロセスゾーンZ2は、変換反応器100又は触媒反応器200内に配置されてよい。固体触媒CATは、オイルに富む画分OFを反応生成物RPに変換するように構成される。一実施形態において、固体触媒CATは、オイルに富む画分の少なくとも幾つかの化合物を脱酸素化することによって、オイルに富む画分OFを反応生成物RPに変換するように構成される。
【0058】
固体触媒CATの目的は、オイルに富む画分OFの酸素化された炭化水素を脱酸素化することである。脱酸素化において、脱酸素化反応は、酸素化された炭化水素の少なくとも一部を脱酸素化して、炭化水素又は少なくともより少ない酸素化された炭化水素にする。反応において、酸素化された炭化水素に結合されている酸素(O)の少なくとも一部は、酸素化された炭化水素から除去され、それによって、これらの炭化水素を脱酸素化する。固体触媒CATに依存して、水素が加えられることがあるが、必ずしも第2の反応ゾーンZ2に加えられる必要はない。除去された酸素は、オイルに富む画分の他の成分と共に、水HO、一酸化炭素CO、及び/又は二酸化炭素COのような、他の酸素含有化合物を形成する。また、多少の軽炭化水素及び酸素化された炭化水素が反応の結果として形成されることがある。これらの化合物は、例えば、凝縮中に、反応生成物RP又はバイオオイルOILから除去されることがある。
【0059】
図3a~図3dに示すように、これらの実施形態は、オイルに富む画分OFの反応生成物RPを凝縮して、液体バイオオイルOILを生成することを含む。図3eに示すように、オイルに富む画分OFの反応生成物RPは、冷却する必要がない。
【0060】
図3aは、水素の添加が必要でないそのような固体触媒CATが使用される実施形態を示している。更に、変換反応器100から分離された触媒反応器200は、オイルに富む画分OFを触媒的に処理するために使用される。対応して、オイルに富む画分は、変換反応器100から触媒反応器200に運ばれる。
【0061】
図3bは、水素の添加が必要であるそのような固体触媒CATが使用される実施形態を示している。よって、水素が触媒反応器200に加えられる。更に、変換反応器100から分離された触媒反応器200が、オイルに富む画分OFを触媒的に処理するために使用される。対応して、オイルに富む画分は、変換反応器100から触媒反応器200に運ばれる。
【0062】
図3a及び図3bの実施形態において、触媒反応器200内の温度は、変換反応器100内の温度Tと異なることがある。触媒CATに依存して、触媒反応器200の第2の反応ゾーンZ2内の温度が変換反応器100の第1の反応ゾーンZ1内の温度よりも高いことが有益なことがある。図3a及び図3bの実施形態において、触媒反応器200内の圧力は、変換反応器100内の圧力pと異なることがある。別個の触媒反応器200を有することは、固体触媒CATを適度に自由に選択することを可能にする。
【0063】
図3cは、水素の添加が必要でないそのような固体触媒CATが使用される実施形態を示している。更に、第2のプロセスゾーンZ2及び固体触媒CATは、変換反応器100内に配置される。よって、オイルに富む画分OFが第2の反応ゾーンZ2に移されるとしても、オイルに富む画分は、1つの変換反応器100内でのみ移される。よって、反応生成物RPは、変換反応器100から引き出されることができる。
【0064】
図3dは、水素の添加が必要であるそのような固体触媒CATが使用される実施形態を示している。その他の点において、この実施形態は、図3cの実施形態に対応している。
【0065】
図3c及び図3dの実施形態において、第2のプロセスゾーンZ2内の温度は、第1の反応ゾーンZ1内の温度Tと実質的に同じであってよい。図3c及び図3dの実施形態において、第2のプロセスゾーンZ2内の圧力は、第1の反応ゾーンZ1内の圧力pと実質的に同じであってよい。これは固体触媒CATに幾つかの制限を提示することがあるが、図3a及び図3bの実施形態よりも単純なシステムの使用を可能にする。
【0066】
図3b及び図3dを参照すると、幾つかの実施形態は、第2の反応ゾーンZ2に水素H2も供給することと、オイルに富む画分OF及び水素H2が第2の反応ゾーンZ2内で反応することとを含む。対応するシステムが、第2のプロセスゾーンZ2内に水素を入らせるための第2の入口102を含む。第2入口102は、変換反応器100又は触媒反応器200に配置されてよい。
【0067】
第2のプロセスゾーンZ2内の温度は、好ましくは、第1のプロセスゾーンZ1の温度から多くて50℃異なる。より好ましくは、第2のプロセスゾーンZ2内の温度は、第1のプロセスゾーンZ1の温度から多くて20℃異なる。しかしながら、触媒に依存して、反応器100及び200の間の温度差がより大きくてよい。
【0068】
第2のプロセスゾーンZ2内の滞留時間(residence time)は、例えば、少なくとも15分、少なくとも30分、又は少なくとも60分であってよい。滞留時間は、第2のプロセスゾーンZ2内の圧力に関係する。一般に、圧力が高ければ高いほど、滞留時間はより短い。第2のプロセスゾーン内の圧力は、例えば、少なくとも50バール、少なくとも100バール、又は少なくとも120バールであってよい。
【0069】
酸素含有量という用語に関して、本明細書では、物質(例えば、オイルに富む画分OF、バイオオイルOIL、一次供給原料FS、又はそれらのバイオマス)の酸素含有量とは、乾燥物質(dry substance)の総重量に対する乾燥物質中の酸素原子の総重量を指す。酸素含有量は、重量%(無水ベース)で測定される。上記のように、(乾燥)一次供給原料の酸素含有量は、30重量%~45重量%の範囲内にであってよい。一実施形態において、一次供給原料FSは、オイルに富む画分の酸素含有量が多くて20重量%、好ましくは多くて15重量%であるように変換される。対応して、一実施形態では、バイオオイルの酸素含有量が、多くて20質量%、好ましくは多くて15質量%である。そのような低酸素含有量は、固体触媒CATを使用しないでも達成可能であるように思われる。酸素に加えて、オイルに富む画分は、硫黄及び/又は窒素を含んでよい。
【0070】
しかしながら、固体触媒CATが使用されるとき、反応生成物RP及び/又はバイオオイルOILの酸素含有量は、脱酸素化反応の故により一層低くなることがある。よって、固体触媒CATが使用される少なくとも一実施形態において、反応生成物RPの酸素含有量は、多くて10%、好ましくは多くて5%である。更に、固体触媒CATが使用される少なくとも一実施形態において、バイオオイルOILの酸素含有量は、多くて10%、好ましくは多くて5%である。しかしながら、第1のプロセスゾーンZ1内の供給原料、塩、及びプロセス条件に依存して、固体触媒CATが使用されないとしても、バイオオイルOILの酸素含有量が多くて10%、好ましくは多くて5%であるようなバイオオイルOILを製造することが可能なことがある。
【0071】
更に、固体触媒CATが使用されるときには、窒素含有量も、固体触媒CATの存在の下での触媒処理によって低下させられることがある。一実施形態において、オイルに富む画分OFは、少なくとも750ppmの窒素を含む。一実施形態において、オイルに富む画分OFは、1000ppm~3000ppmの窒素を含む。固体触媒CATによる触媒処理の故に、一実施形態において、バイオオイルは、少なくとも15%少ない窒素を含む。
【0072】
図4a~図4cを参照すると、バイオオイルは精製されることがある。図中の参照番号300は、バイオオイルオイルOILの精製を示す。以下のバイオオイルのいずれかを精製することができる。
- 固体触媒CATを用いないで生成されるバイオオイル(図4aを参照)、
- 水素を添加せずに機能するような固体触媒CATでオイルに富む画分OFを反応生成物RPに変換することによって生成されるバイオオイル(図4bを参照)、及び
- 水素で機能するような固体触媒CATでオイルに富む画分OFを反応生成物RPに変換することによって生成されるバイオオイル(図4cを参照)。
【0073】
図3c及び図3dを参照すると、触媒反応器200を変換反応器100と一体化することができ、そのようなバイオオイルを精製することもできる(図示せず)。
【0074】
精製300に関しては、脱酸素化又は脱酸素プロセスを使用して、バイオオイルの酸素含有量を減少させることができる。追加的に又は代替的に、蒸留(distillation)のような分留(fractionation)を行うことができる。よって、一実施形態が、例えば、水素脱酸素によって及び/又は水素化脱酸素によって、バイオオイルOILを精製して(300)、精製されたバイオオイルを生成することを含む。一実施形態が、バイオオイルOILを画分することを含む。
【0075】
一次供給原料FSの加熱は、多くのエネルギを必要とする。何故ならば、プロセス温度は高いからである。従って、熱は、好ましくは、プロセスから回収され、プロセスにおいて利用される。
【0076】
従って、一実施形態において、クーラ110は、オイルに富む画分OF及び反応生成物RPのうちの少なくとも一方を冷却するように構成される熱交換器115を含む。図5a~図5fを参照すると、好ましくは、そのように回収された熱は、一次供給原料FSを加熱するために使用される。よって、本方法の一実施形態が、オイルに富む画分OF及びオイルに富む画分OFの反応生成物RPのうちの少なくとも一方からの熱を一次供給原料FSに移すことを含む。対応して、システムの一実施形態が、オイルに富む画分OF及びオイルに富む画分OFの反応生成物RPのうちの少なくとも一方からの熱を一次供給原料FSに(又はその一部に、ヒータ130を有する図2を参照のこと)に移すように構成される熱交換器115を含む。
【0077】
熱交換器115は、上述のヒータ130として、又は上述のヒータ130によって構成されるものとして見られることができる。よって、システムのヒータ130は、熱交換器115を含むことがある。図5a~図5cは、オイルに富む画分OFのみからの熱移転と、オイルに富む画分OFから一次供給原料FSへ熱を移すように構成される熱交換器115とを示している。
【0078】
図5d~図5fは、オイルに富む画分OFの反応生成物RPからの熱移転と、オイルに富む画分OFの反応生成物RPから一次供給原料FSへ熱を移すように構成される熱交換器115とを示している。
【0079】
そのような熱交換器115が一次供給原料FSのためのヒータ130として使用されるとしても、システムは、一次供給原料FSを更に加熱するように構成される第2のヒータ130’を含んでよい。そのような第2のヒータ130’が、図5b、図5c、図5e及び図5fに示されている。クーラ110は、一次供給原料FSへの熱回収を改良するために、順次式の複数の熱交換器を含んでよい。
【0080】
上記のように、方法及び/又はシステムにおいて、タイプ2の塩は、凝固され、変換反応器100から除去され、それによって、タイプ2の塩は、変換反応器100の内壁に詰まらない。図6a、図6b、図6c及び図7は、タイプ2の塩を凝固させるための具体的な手段を示している。
【0081】
図6a及び図6bを参照すると、変換反応器100は、晶析装置310(crystallizer)を含んでよい。一般に、内部循環が晶析装置に提供される。内部循環は、図6a及び図6bに示すように、ロータ312によって提供されてよい。よって、これらの図において、晶析装置310、晶析装置310内で内部循環を形成するように構成されるロータ312を含む。一般には、ロータ312の代わりとして、ポンプが晶析装置310内で内部循環を形成するように構成されてよい。よって、一般に、晶析装置は、晶析装置310内で内部循環を形成するための手段を含む。内部循環の故に、凝固する傾向のある塩は、供給原料FSの内部結晶化核上で結晶化する。よって、タイプ2の塩は、変換反応器100の表面に蓄積しない。第1及び第2の塩に富む画分SF1及びSF2は、変換反応器100の一部を形成する晶析装置310から引き出されることがある。晶析装置が変換反応器100の一部のみを形成する一実施形態において、第1の塩に富む画分SF1は、晶析装置310から下流の変換反応器100から引き出されることがある(図6cを参照)。しかしながら、第1の塩に富む画分は、そのような場合にも、図6a及び図6bにおけるように、晶析装置310から引き出されることがある。しかしながら、好ましくは、そのような実施形態において、少なくとも第2の塩に富む画分SF2は、晶析装置310から引き出される(図6cを参照)。
【0082】
特に図6bを参照すると、晶析装置310が使用されるとき、分級機320(classifier)も使用されることがある。一般には、晶析装置310を使用することによって、結晶化の結果、様々なサイズの沈殿物(precipitates)が形成される。更に、内部循環の故に、沈殿物は成長する。分級機320を使用して、分類された塩画分CSFを形成することができる。分級機320は、第2の塩に富む画分SF2を受け取るように構成される。更に、分級機320は、分類された塩濃度CSFを第2の塩に富む画分SF2から分離するように構成され、分類された塩画分CSFの平均沈殿サイズは、第2の塩に富む画分SF2の平均沈殿サイズよりも大きい。一般に、閾値を上回る粒子サイズを有する沈殿物の殆どは、分級機320を分類された塩画分CSFに進ませることが可能にされ、閾値を下回る粒子サイズを有する沈殿物の殆どは、晶析装置310に戻される。よって、第2の塩に富む画分SF2の残りは、沈殿物が成長するのを可能にするために晶析装置に戻される。典型的には、分級機は、別の流体と共に作動し、第1の塩に富む画分SF1は、そのような作動流体(operating fluid)として使用されることができる。よって、一実施形態では、第1の塩に富む画分SF1の少なくとも一部が、分級機320に運ばれる。第1の塩に富む画分SF1は、晶析装置を含む変換反応器100から分級機320に運ばれ、任意的に、第1の塩に富む画分SF1は、晶析装置310から分級機320に運ばれる。いずれの場合においても、ヒータ130を使用して、第1の塩に富む画分SF1を加熱することができる。
【0083】
晶析装置310に関連して、第1及び第2の塩に富む画分SF1及びSF2の両方を、フィルタ(図示せず)を含む変換反応器100のそのような部分に収集することが可能である。フィルタは、例えば、反応器の下方部分にあってよい。第2の塩に富む画分SF2は、フィルタを使用することによって第1の塩に富む画分SF1から分離されることがある。然る後、上記のように、異なる画分SF1、SF2は変換反応器100から除去されることがある。
【0084】
特に、供給原料FSが黒液を含むときには、第2の塩に富む画分SF2の少なくとも一部が、調理用化学薬品を回収するために回収ボイラ500に運ばれてよい。
【0085】
図7を参照すると、タイプ2の塩を凝固させる別の可能性は、固体粒子410を沈殿シードと(precipitation seeds)して使用することである。そのような固体粒子410は、図6a~図6cの晶析装置310において或いは変換反応器100が晶析装置310を含まないとしても、使用されてよい。一般に、結晶化は、沈殿シード上で起こる傾向がある。よって、変換反応器100内に(任意的にその晶析装置310に)固体粒子410を提供することによって、タイプ2の塩は、固体粒子410上で凝固されることがある。結晶化された塩の密度が、結晶化された塩を含まない固体粒子410の密度よりも高いならば、塩の結晶化は、粒子410の密度を増加させ、粒子410は、重力の故に変換反応器100(又は晶析装置310)の底に落ちる傾向がある。更に、固体粒子は、沈殿シードとして役立つはずであるので、固体粒子410は、塩によって覆われていないとしても、反応器100内で浮遊しないはずである。従って、固体粒子410の密度は、供給原料FSの密度とほぼ同じであるはずである。よって、一実施形態において、第1の反応ゾーンZ1内の供給材料は、(例えば、kg/mで測定されるような)第1の密度ρ1を有し、固体粒子410は、第2の密度ρ2を有する。更に、一実施形態では、第1の密度に対する密度の間の差の絶対値(すなわち、|(ρ2-ρ1)/ρ1|)が、多くて25%である。よって、一実施形態では、固体粒子410の密度ρ2は、第1の反応ゾーンZ1内の材料の密度ρ1から多くて25%だけ逸れる。より好ましくは、第2の密度ρ2は、第1の密度ρ1と等しいか、或いは僅かに(例えば、多くて10%)より少ない。よって、相対差(ρ1-ρ2)/ρ1は、0~10%であることがある。典型的な変換プロセスにおいて、第1の反応ゾーンZ1に内の供給原料の密度は、約400kg/mである。更に、典型的には、全ての凝固した塩は、これよりも高い密度を有する。従って、一実施形態では、凝固した塩で覆われないとき、固体粒子の密度が、200kg/m~800kg/mである。特に、晶析装置310が使用されるならば、内部循環は、密度間の差が大きいとしても、供給原料と固体粒子との十分な混合を提供することがある。
【0086】
図7を参照すると、塩が固体粒子410上に凝固するとき、固体粒子は重量を増し、それによって、密度が増加する。よって、被覆された固体粒子は、下方に降下し、変換反応器100の下方部分から(例えば、その晶析装置から)引き出されることがある。よって、第2の出口104は、変換反応器の下方部分(例えば、底)に配置される。これは図7に模式的に示されている。更に、第2の塩に富む画分SF2は、固体粒子410のシェルの形態にある凝固した第2の塩を含む。
【0087】
凝固した塩で覆われた固体粒子410は、容器420に運ばれることがある。固体粒子410を再使用することは、経済的に実行可能であることがある。よって、一実施形態において、凝固した塩で覆われた固体粒子410の一部は、容器420内で洗浄される。水が洗浄液として使用されてよい。水は、容器420に加えられてよい。しかしながら、第2の塩に富む画分SF2の水は、温度が臨界未満条件まで低下するならば、塩を溶解するのに十分なことがある。上記のように、塩の凝固は、主として、第1のプロセスゾーンZ1内の超臨界条件に起因する。よって、条件を臨界未満に調整することによって、塩は、第2の塩に富む画分SF2の水に溶解することがある。塩が洗浄溶液又は第2の塩に富む画分SF2の水に溶解するにつれて、固体粒子410は、塩から清浄になり、それによって、それらの密度は減少する。よって、洗浄された粒子は、矢印422「洗浄された粒子」によって図7に示すように、変換反応器100内に再循環されることができる。よって、システムは、洗浄された固体粒子410を容器420から変換反応器100に運ぶように構成されたライン422を含む。容器420から引き出される溶液は、溶解された形態の第2の塩を含む。少なくとも供給原料FSが黒液を含むとき、容器420から引き出される溶液は、回収ボイラ500又は回収ボイラ500の上流に配置された蒸発器に運ばれてよい。典型的には、黒液は、そのような蒸発器内で凝縮される。
【0088】
図7の実施形態では、第1及び第2の塩の富む画分の両方を容器420に運びことが可能であり、その場合、容器420は、反応器100の一部として見られることができる。容器420は、凝固した第2の塩(すなわち、第2の塩に富む画分SF2)を有する粒子410を塩水(すなわち、第1の塩に富む画分SF1)から分離するためのフィルタを備えてよい。これらの画分は、異なる出口(図示せず)を通じて容器420から除去されてよい。
【0089】
好ましくは、中空又は多孔質の金属粒子が固体粒子410として使用される。金属は、典型的には、第1のプロセスゾーンZ1の高温及び高圧に耐えることができる。しかしながら、幾つかの金属は、超臨界条件の観点から低すぎる融点を有する。よって、金属粒子は、少なくとも400℃の融点を有する金属又は金属合金で作られることがある。更に、多くの金属の密度は、固体粒子410の密度について述べたことを考慮すると高すぎる。しかしながら、中空粒子は、より小さな密度を有する。金属粒子の
- 中空の金属粒子のサイズ及び壁の厚さ、又は
- 空隙率(porosity)
を適切に選択することによって、第1のプロセスゾーンZ1のプロセス環境に耐えることができ且つ前述の密度を有する固体粒子410を作ることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0090】
【文献】Thomas Voisin, Arnaud Erriguible, David Ballenghien, David Mateos, Andre Kunegel, et al.. Solubility of inorganic salts in sub- and supercritical hydrothermal environment: Application to SCWO processes. Journal of Supercritical Fluids, Elsevier, 2017, 120, Part 1, pp.18-31. 10.1016/j.supflu.2016.09.020. hal-01417006。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図6a
図6b
図6c
図7
図8