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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】可燃物焼却用設備及び焼却工法
(51)【国際特許分類】
   F23B 60/02 20060101AFI20250319BHJP
   F23H 13/02 20060101ALI20250319BHJP
   F23H 13/06 20210101ALI20250319BHJP
   F23H 17/08 20060101ALI20250319BHJP
   F23L 1/00 20060101ALI20250319BHJP
【FI】
F23B60/02
F23H13/02
F23H13/06
F23H17/08
F23L1/00 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023204282
(22)【出願日】2023-12-01
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】391028155
【氏名又は名称】株式会社山辰組
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100167690
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 直
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 和三
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 健
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 剛
(72)【発明者】
【氏名】馬場 賢治
(72)【発明者】
【氏名】牧村 成
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-055930(JP,A)
【文献】登録実用新案第3145548(JP,U)
【文献】特開2019-042212(JP,A)
【文献】スイス国特許発明第00432704(CH,A)
【文献】特開2016-138673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23B 60/02
F23H 13/02
F23H 13/06
F23H 17/08
F23L 1/00
F23G 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面との間に空間部を設けて形成され、間隔を空けて配列された複数の鋼材からなる可燃物焼却用架台面と、両側方向かつ上方に広がるように側面視V字状に配置される棒状部材を備えた左右傾斜架台部と、を有する可燃物焼却用架台を備え、
空気噴射装置が高温になり溶けたり曲がったりすることのないように、前記可燃物焼却用架台の周囲に配置されてなり、前記可燃物焼却用架台面の可燃物の燃焼部に向けて強制的に空気又は加熱空気を噴射するための前記空気噴射装置を備え、
前記左右傾斜架台部の前記棒状部材は、突出長さを調節可能なように、スライド、折り畳み及び着脱可能の少なくとも1つ又はこれらの組み合わせからなることを特徴とする可燃物焼却用設備。
【請求項2】
前記可燃物焼却用架台の下の空間部には、前記空気噴射装置から噴射された空気の流れを上方の燃焼部に向けて風向を変更するための風向制御板が1枚以上設けられていることを特徴とする請求項1に記載の可燃物焼却用設備。
【請求項3】
前記可燃物焼却用架台の下の空間部の周囲に、前記空気噴射装置から噴射された空気の流れを上方の燃焼部に向けて風向を変更するために、前記空気噴射装置からの空気流入部を除き、空間部の周囲を囲うように風向制御板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の可燃物焼却用設備。
【請求項4】
前記可燃物焼却用架台の下の空間部に配置され、前記空気噴射装置から噴射された空気の流れを上方の燃焼部に向けて風向を変更するための風向制御板が1枚以上設けられているとともに、燃焼した可燃物の落下してくる灰を溜めることが可能な灰皿部を備えてなり、かつ、前記空間部へ出し入れ自在となる把持部を備えている風向制御装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載の可燃物焼却用設備。
【請求項5】
前記可燃物焼却用架台の上方又は側方もしくはその両方に、湿った燃焼物を乾燥させるための可燃物乾燥用架台を備え、
前記可燃物乾燥用架台の周囲に配置され、前記湿った燃焼物に向けて強制的に空気又は加熱空気を噴射する空気噴射装置を有することを特徴とする請求項に記載の可燃物焼却用設備。
【請求項6】
前記空気噴射装置は遠隔操作機によって操作可能であることを特徴とする請求項1に記載の可燃物焼却用設備。
【請求項7】
前記空気噴射装置は、遠隔操作機によって操作できる自走車に搭載することを特徴とする請求項1に記載の可燃物焼却用設備。
【請求項8】
前記請求項1から請求項のいずれか1項に記載の可燃物焼却用設備を使用し可燃物を焼却することを特徴とする可燃物の焼却工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草木等の可燃物を載置して焼却するための可燃物焼却用設備及び焼却工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の河川や道路の維持管理作業において、堤防法面や路肩の雑草を刈り、その場で乾燥させた後に、法先の地面上に帯状に掻き集め、その地面上で焼却処分をするという作業をおこなっていた。しかし、この雑草等の焼却作業方法は、地面上でおこなっていため完全燃焼させることが困難であった。そのため、多くの煙が発生して堤防上の道路、又は一般道路を通行する車両の運転手の視界を妨げる原因になったり、近隣の民家に煙が飛んで洗濯物に灰がかかったりして、苦情が寄せられるなどの事例が発生していた。そこで、このような第三者からの苦情が発生するのを防ぐため、刈草等を第三者に影響を与えにくい場所に運搬して山積みにしてから焼却する方法が採られている。しかしながら、刈草等は地面上に山積みされて焼却されるため、地面の湿り気が影響するのと併せて燃焼部に酸素が供給されにくいため燃焼温度が上昇しにくく、相変わらず多くの煙が発生する上、長時間の燃焼時間が必要となるという問題点があった。
【0003】
そこで、これらの課題を解決するため、本発明者は、下部に空間部を設けた可燃物焼却用架台を有し可燃物焼却用架台の下部の空間部に空気噴射部材を備えた「可燃物焼用設備及び焼却工法」を提案した。しかし、焼却用架台上でその下部から強制的に圧縮空気を燃焼部に噴射することでの燃焼温度が900度を超えることとなり焼却の作業効率は向上したものの、可燃物焼却用架台の下部に備えた空気噴射部材が高温により溶けたり曲がったりする現象が発生し何度も取り替えを要することとなった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-138673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、空気噴射部材が高温により溶けたり曲がったりするため何度も取り替えることをなくすともに、引き続き煙の発生を軽減し短時間で焼却作業ができるようにするため、可燃物焼却用架台の下部に備えた空気噴射部材に替えて可燃物焼却用架台の周辺の任意の位置に配置することができる空気噴射装置を使用して可燃物の燃焼部に圧縮空気を噴射する可燃物焼却用設備及び焼却工法を提供することを目的とする。さらに、空気噴射装置はリモコンで操作できる装置とし、遠隔操作機で操作できる自走車に搭載することでバックホーを操作しているオペレータが運転席から兼務で作業することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる可燃物焼却設備は、下部の地面との間に空間が設けられて配置され、複数の鋼材又は耐熱性部材からなる棒状部材が並列に配置された状態で固定されて平面上に形成されている可燃物焼却用架台面と前記可燃物焼却用架台面から両側上方が広がるようにV字状に配置される左右傾斜架台部と、を有する可燃物焼却用架台と、を備え、
前記左右傾斜架台部の棒状部材は、突出長さを調節可能なように、スライド、折りたたみ及び着脱の少なくとも1つ又はこれらの任意の組み合わせからなる。また、焼却用架台の周辺の任意の位置に配置可能であって燃焼物を高温・高速で焼却するため可燃部に向けて強制的に空気又は加熱空気を噴射する空気噴射装置を使用することも特徴とする。
【0007】
このような構成を採用することによって、空気噴射装置が高温で溶けたり曲がったりすることを防止することができる。また、この際の空気噴射装置として、熱風を噴射させることができるブライトヒーターやバーナーの熱を直接ファンで送風する直火式のジェットヒーター等が使用することもできる。このような熱風を吹き付けることによって、刈草の乾燥を促進させることができ、燃焼効率を向上させることができる。
【0008】
また、本発明にかかる可燃物焼却用設備において、前記可燃物焼却用架台の下の空間部には、前記空気噴射装置から噴射された空気の流れを上方の燃焼部に向けて風向を変更するための風向制御板が1枚以上設けられていることを特徴とするものであってもよい。効率的に空気を刈草等の可燃物に向けることによって、燃焼効率を向上させることができる。
【0009】
さらに、本発明にかかる可燃物焼却用設備において、前記可燃物焼却用架台の下の空間部の周囲に、前記空気噴射装置から噴射された空気の流れを上方の燃焼部に向けて風向を変更するために、前記空気噴射装置からの空気流入部を除き、空間部の周囲を囲うように風向制御板が設けられていることを特徴とするものであってもよい。
【0010】
さらに、本発明にかかる可燃物焼却用設備において、前記可燃物焼却用架台下の空間部に配置され、前記空気噴射装置から噴射された空気の流れを上方の燃焼部に向けて風向を変更するための風向制御板が1枚以上設けられているとともに、燃焼した可燃物の落下してくる灰を溜めることが可能な灰皿部を備えてなり、かつ、前記空間部へ出し入れ自在となる把持部を備えている風向制御装置を備えていることを特徴とするものであってもよい。
【0011】
さらに、本発明にかかる可燃物焼却用設備において、前記可燃物焼却用架台の上方又は側方もしくはその両方に、湿った燃焼物を乾燥させるための可燃物乾燥用架台を備え、
前記可燃物乾燥用架台の周囲に配置され、前記湿った燃焼物に向けて強制的に加熱空気を噴射する空気噴射装置を有することを特徴とするものであってもよい。
【0012】
さらに、本発明にかかる可燃物焼却用設備において、前記空気噴射装置は遠隔操作機によって操作可能であることを特徴とするものであってもよい。また、本発明にかかる可燃物焼却用設備において、前記空気噴射装置は、遠隔操作機によって操作できる自走車に搭載することを特徴とするものであってもよい。このように、空気噴射装置と自走式の運搬車輛を遠隔操作可能としたとき、ある程度高温の場所にも近づくことが可能となる。例えば、バックホーのオペレータがバックホーに乗ったまま空気噴射装置やそれを搭載した運搬車輛を操作することができる。
【0013】
さらに、上述した可燃物焼却用設備を使用し可燃物を焼却することを特徴とする可燃物の焼却工法をも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1実施形態にかかる可燃物焼却用設備100の構成の概略を示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態にかかる可燃物焼却用設備100の左右傾斜架台部20の構成の概略を示す側面図である。
図3図3は、第1実施形態にかかる可燃物焼却用設備100の左右傾斜架台部20の別の構成の概略を示す側面図である。
図4図4は、第1実施形態にかかる可燃物焼却用設備100の左右傾斜架台部20の別の構成の概略を示す側面図である。
図5図5は、第1実施形態にかかる可燃物焼却用設備100の異なる実施形態の構成の概略を示す斜視図である。
図6図6は、第1実施形態にかかる可燃物焼却用設備100の異なる実施形態の構成の概略を示す斜視図である。
図7図7は、第1実施形態にかかる可燃物焼却用設備100の異なる実施形態の構成の概略を示す斜視図である。
図8図8は、第1実施形態にかかる可燃物焼却用設備100の異なる実施形態の構成の概略を示す斜視図である。
図9図9は、第1実施形態にかかる可燃物焼却用設備100の異なる実施形態の構成の概略を示す斜視図である。
図10図10は、第1実施形態にかかる可燃物焼却用設備100の異なる実施形態の構成の概略を示す斜視図である。
図11図11は、第1実施形態にかかる可燃物焼却用設備100の異なる実施形態の構成の概略を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではない。また、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号が付されている。
【0016】
(第1実施形態)
第1実施形態にかかる可燃物焼却用設備100は、主として、図1に示すように、平面からなる可燃物焼却用架台面10と、この可燃物焼却用架台面10から側面視で両側かつ上方に広がるように略V字状に配置される左右傾斜架台部20とからなる可燃物焼却用架台30と、空気を噴射する空気噴射装置40と、を備えている。
【0017】
可燃物焼却用架台面10は、複数の鋼材12を間隔を空けて並列又は格子状に配置された隙間が複数形成された水平面に形成されている。鋼材12の間隔は、20cm~50cmに形成することが好ましい。あまり間隔を狭くしすぎると可燃物焼却用設備の重量が重くなりすぎ、隙間を広くしすぎると刈草を上面に保持できなくなるからである。使用される鋼材12は限定するものではなく、どのような形態の鋼材12であってもよい。なお、可燃物焼却用架台面10は、地面に対して50cm~100cm程度の高さに支持することが好ましい。
【0018】
左右傾斜架台部20は、図2に示すように、可燃物焼却用架台面10の両側に側面視で上方の間隔が広く下方の間隔が狭くなるように棒状部材23が配置されている。左右傾斜架台部20は、中空の挿入穴23aを有する下方側棒状部材23bと、この下方側棒状部材23bの挿入穴23aに挿入可能な上方側棒状部材23cとからなる。このように構成することで、上方側棒状部材23cを1本ずつ下方側棒状部材23bの挿入穴23aに取り付け取り外し可能となり、取り付け取り外しすることで左右傾斜架台部20の棒状部材23の突出長さを調節することができる。上方側棒状部材23cの1本は軽量なので、人力で自由に着脱可能となる。そのため、可燃物焼却用架台面10を所定位置にクレーンで設置した後は、人力だけで左右傾斜架台部20を取り付けることができ、可燃物焼却用設備100を完成させることができる。
【0019】
また、左右傾斜架台部20の棒状部材23の長さを調整する方法の別実施形態としては、図3に示すように、中空の挿入穴23aを有する下方側棒状部材23bに対して、上方側棒状部材23cがスライド自在に形成されており、スライド固定用ピン24を下方側棒状部材23b及び上方側棒状部材23cに形成された固定用穴24aに挿入して所定の突出量に固定する。このようにして、上方側棒状部材23cを下方側にスライド可能に設けることにより、上方側棒状部材23cの突出量を減少させることができる。これにより、可燃物焼却用設備100の幅が狭くなるので、運搬車への積載面積が狭くて済む。
【0020】
さらに、図4に示すように、下方側棒状部材23bと上方側棒状部材23cとの間にヒンジ25が設けられており、下方側棒状部材23bに対して上方側棒状部材23cが折り畳み自在に形成してもよい。このように折り畳むことによって上方側棒状部材23cの突出量を減少させることができる。これにより、可燃物焼却用設備100の幅が狭くなるので、運搬車への積載面積が狭くて済む。
【0021】
なお、取り外し可能な棒状部材23、スライド可能な棒状部材23及び折りたたみ可能な棒状部材23をそれぞれ任意に組み合わせて使用してもよい。たとえば、棒状部材23を折りたたみ自在に形成するとともに、上方側棒状部材23cを取り外し可能に設けてもよい。
【0022】
空気噴射装置40は、図1に示すように、1つ又は複数の空気噴射口45を有し、コンプレッサー(図示しない。)からの空気を、空気噴射口45から噴射する。この際に、熱風を噴射させることができるブライトヒーターやバーナーの熱を直接ファンで送風する直火式のジェットヒーター等を使用するとよい。空気噴射装置40は、可燃物焼却用架台30の周囲に配置され、可燃物焼却用架台面10の可燃物の燃焼部に向けて強制的に空気又は加熱空気を噴射する。
【0023】
なお、図5に示すように、空気噴射装置40から噴射された空気又は加熱空気の風向を効果的に可燃物に向けるために、可燃物焼却用架台30の下の空間部αに空気噴射装置40から噴射された空気の流れを上方の燃焼部(可燃物が載置されている可燃物焼却用架台面10の上)に向けて風向を変更する1枚又は複数の風向制御板43を設けても良い。風向制御板43は、空気噴射装置40側から後方側に向かって、徐々に風が衝突する面積を大きくするとよい。このように設けることで、可燃物焼却用架台面10に対して平均的な強さで風を当てることができる。
【0024】
また、図6に示すように、可燃物焼却用架台30下の空間部αの周囲に、空気噴射装置40から噴射された空気の流れを上方の可燃物の燃焼部に向けて風向を変更する方法として、空気噴射装置40からの空気流入部46を除き、空間部αの周囲を囲うように風向制御板43が設けてもよい。このように周囲を風向制御板43で覆うことで、周囲に熱が逃げづらくなり、効果的に可燃物に加熱空気をあてることができる。なお、空気流入部46は、図6に示すように、短辺側を利用してもよいし、図7に示すように、長辺側の一部を切り欠いて設けても良い。
【0025】
さらに、図8に示すように、可燃物焼却用架台30下の空間部αの周囲に、空気噴射装置40から噴射された空気の流れを上方の可燃物の燃焼部に向けて風向を変更する方法として、空間部αの周囲に加え、その上方の可燃物の燃焼部の周囲も囲うように高さの高い風向制御板43で周囲を囲ってもよい。このように燃焼部の周囲を風向制御板43で覆うことで、周囲に熱が逃げづらくなり、効果的に可燃物に加熱空気をあてることができる。さらに、燃焼物の灰の飛散を防止することができる。
【0026】
さらに、図9に示すように、空気噴射装置40からの熱風が可燃物焼却用架台30の下の空間部α以外の部分に離散することを防止するために、空気噴射装置40から空間部αに連通する管部材48を使用して、空気流入部材46以外は密閉した状態にして空気噴射装置40から空間部αの間に空気が外部に漏れることを防止してもよい。このような構成を採用することによって、空気流入部46に流入する以前で熱が逃げることを防止することができ、効果的に可燃物に加熱空気をあてることができる。さらに、燃焼物の灰の飛散を防止することができる。
【0027】
さらに、図10に示すように、可燃物焼却用架台30下の空間部αに配置される風向制御装置50を配置してもよい。風向制御装置50は、全体に箱状に作製されており、上方で燃焼した燃焼物の灰を受けることができる灰皿部としての機能を有している。さらに、空気噴射装置40から噴射された空気の流れを上方の燃焼部に向けて風向を変更するため、1枚又は複数の風向制御板53が設けられている。そして、この風向制御装置50は、空間部αへ出し入れ自在となる把持部56を備えている。そのため、空間部αへ出し入れ自在に形成され、下方に空間部αを有する可燃物焼却用設備100があれば、容易に空気の風向を制御することができる。
【0028】
さらに、図11に示すように、可燃物焼却用架台30の上方又は側方もしくはその両方に、湿った燃焼物を乾燥させるための可燃物乾燥用架台70を設けても良い。可燃物乾燥用架台70を可燃物焼却用架台30の上方に設ければ、燃焼時の熱で湿った燃焼物を乾燥させることができる。可燃物乾燥用架台70を側方に設けた場合には、可燃物乾燥用架台70の周囲に湿った燃焼物に向けて強制的に加熱空気を噴射する空気噴射装置40を設けても良い。このような構成を採用することによって、可燃物焼却用架台30によって本燃焼を行う前に、可燃物を乾燥させることができるため、効果的に可燃物を燃焼させることができる。このときの空気噴射装置40は、可燃物乾燥用架台70と可燃物焼却用架台30とを共通してもよいし、別々に設けても良い。
【0029】
さらに、空気噴射装置40は遠隔操作機によって起動・停止、風向、風力の調節及び移動を操作可能に設けても良い。また、空気噴射装置40は、遠隔操作機によって操作できる自走車に搭載してもよい。このような遠隔操作機によって操作可能とすることで、より可燃物焼却用架台30の近くに空気噴射装置40を配置することができ、燃焼物の操作をバックホーのオペレータが行うことで省人化を図ることができる。
【0030】
以上のように作製された可燃物焼却用設備100は、以下のようにして使用される。まず、焼却を行う場所に可燃物焼却用架台面10を重機又はクレーンで設置する。そして、可燃物焼却用架台面10を形成する並列された棒状部材23と連通するように屈曲して形成された左右傾斜架台部20を構成する下方側棒状部材23bの挿入穴13aに、上方側棒状部材23cを人力で一本ずつ差し込んで左右傾斜架台部20を作製し、可燃物焼却用設備100を完成させる。組み立てた可燃物焼却用設備100の可燃物焼却用架台面10及び左右傾斜架台部20に重機等を利用して刈草等の可燃物を載置する。そして、可燃物に着火すると同時に空気噴射装置40の空気噴射口45から空気又は加熱空気可燃物の燃焼部に向けて強制的に噴射する。空気を燃焼部に噴射することで燃焼部に酸素を供給することとなるため燃焼効果が大幅に向上する。
【0031】
こうした本発明にかかる可燃物焼却用設備100によれば、可燃物焼却用架台面10から可燃物の燃焼部に対して噴射方式で強制的に空気又は加熱された空気(酸素)を供給することを目的とする空気噴射装置40を設けたので、燃焼部は一層燃焼を促進して燃焼温度を高めることで完全燃焼させて煙の発生を大幅に軽減させることとなり、併せて焼却速度を大きく加速することができる。
【0032】
なお、本発明は上述した各実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得る。
【0033】
上述した実施の形態で示すように、焼却用設備として利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
α…空間部
10…可燃物焼却用架台面、12…鋼材、13a…挿入穴、20…左右傾斜架台部、23…棒状部材、23a…挿入穴、23b…下方側棒状部材、23c…上方側棒状部材、24…スライド固定用ピン、24a…固定用穴、25…ヒンジ、30…可燃物焼却用架台、40…空気噴射装置、43…風向制御板、45…空気噴射口、46…空気流入部、48…管部材、50…風向制御装置、53…風向制御板、56…把持部、70…可燃物乾燥用架台、100…可燃物焼却用設備

【要約】      (修正有)
【課題】燃焼物を高温・高速で焼却するため燃焼部に向けて強制的に空気又は加熱空気を噴射する空気噴射口を有する1又は2台以上の空気噴射装置を備えた可燃物焼却用設備を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる可燃物焼却用設備100は、地面との間に空間部を設けて形成され、間隔を空けて配列された複数の鋼材12からなる可燃物焼却用架台面10と、両側方向かつ上方に広がるように側面視V字状に配置される棒状部材を備えた左右傾斜架台部20と、を有する可燃物焼却用架台30を備え、左右傾斜架台部20の棒状部材は、突出長さを調節可能なように、スライド、折り畳み及び着脱可能の少なくとも1つ又はこれらの組み合わせからなり、かつ可燃物焼却用架台20の周囲に配置され、可燃物焼却用架台面10の可燃物の燃焼部に向けて強制的に空気又は加熱空気を噴射する空気噴射装置40を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11