(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびこれを含む電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20250319BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20250319BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20250319BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20250319BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20250319BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/211
H01M50/296
H01M50/50 101
H01M50/507
(21)【出願番号】P 2023539908
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(86)【国際出願番号】 KR2022005217
(87)【国際公開番号】W WO2022250287
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0069473
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スンファン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ジュンヨブ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・キョン・パク
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/003801(WO,A1)
【文献】特開2019-175818(JP,A)
【文献】特開2016-201333(JP,A)
【文献】国際公開第2020/138821(WO,A1)
【文献】中国実用新案第209896150(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204
H01M 50/211
H01M 50/296
H01M 50/50
H01M 50/507
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層された電池セル積層体;
前記電池セル積層体を収納するモジュールフレーム;
前記電池セル積層体の一側と他側に位置し、開口部が形成されたエンドプレート;
前記電池セル積層体と前記エンドプレートとの間に位置したバスバーフレーム;および
前記バスバーフレームに装着され、前記開口部を通じて露出するターミナルバスバーを含
む電池モジュールであって、
前記バスバーフレームは、前記開口部に向かって突出した遮断部材を含
み、
前記遮断部材は、前記電池モジュール内部の上昇した圧力により前記開口部を塞ぐよう移動可能である、
電池モジュール。
【請求項2】
前記遮断部材は、前記ターミナルバスバーと前記開口部の内側辺との間に位置する、
請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記遮断部材は、前記バスバーフレームのうち前記開口部と対応する部分に形成される、
請求項1または2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記遮断部材は、前記バスバーフレームの一面から突出した突出部、および前記突出部を囲む遮断部を含む、
請求項1または2に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記遮断部は、フォーム(Foam)形態の素材およびレジン(Resin)素材のうちの少なくとも一つを含む、
請求項4に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記遮断部は、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂およびフッ素系樹脂のうちの少なくとも一つを含む、
請求項4に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記エンドプレートが位置した方向の前記バスバーフレームの一面に前記ターミナルバスバーが装着され、
前記バスバーフレームの前記一面上に前記遮断部材が位置する、
請求項1または2に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記バスバーフレームと前記エンドプレートとの間に位置した絶縁カバーをさらに含み、
前記絶縁カバーのうち前記開口部と対応する部分に開口ホールが形成される、
請求項1または2に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記遮断部材は、前記ターミナルバスバーと前記開口ホールの内側辺との間に位置する、
請求項8に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記ターミナルバスバーは、前記電池セルの電極リードと連結された第1部分、および前記開口部を通じて外部に露出する第2部分を含む、
請求項1または2に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記ターミナルバスバーは、前記第1部分と前記第2部分との間に形成されたベンディング部をさらに含み、
前記遮断部材は、前記開口部の内側辺と前記ベンディング部との間に位置するか、または前記開口部の内側辺と前記第2部分との間に位置する、
請求項10に記載の電池モジュール。
【請求項12】
請求項1または2に記載の電池モジュールを含む電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2021年5月28日付韓国特許出願第10-2021-0069473号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関し、より具体的には熱暴走現象の伝播を抑制することができる電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関する。
【背景技術】
【0003】
現代社会では、携帯電話、ノートパソコン、カムコーダ、デジタルカメラなどの携帯型機器の使用が日常的になることに伴い、このようなモバイル機器と関連した分野の技術に対する開発が活発になってきている。また、充放電が可能な二次電池は、化石燃料を使用する既存のガソリン車両などの大気汚染などを解決するための方案として、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(P-HEV)などの動力源として利用されているところ、二次電池に対する開発の必要性が高まっている。
【0004】
現在商用化された二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあるが、このうちリチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由であり、自己放電率が非常に低く、エネルギー密度が高いという長所のため、脚光を浴びている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は、主にリチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板がセパレータを間に置いて配置された電極組立体と、電極組立体を電解液と共に密封収納する電池ケースとを備える。
【0006】
一般的にリチウム二次電池は、外装材の形状により、電極組立体が金属カンに内蔵されているカン型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池とに分類され得る。
【0007】
小型機器に利用される二次電池の場合、2~3個の電池セルが配置されるが、自動車などのような中大型デバイスに利用される二次電池の場合は、多数の電池セルを電気的に連結した電池モジュール(Battery module)が利用される。このような電池モジュールは、多数の電池セルが互いに直列または並列に連結されて電池セル積層体を形成することによって容量および出力が向上する。また、一つ以上の電池モジュールは、BMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に装着されて電池パックを形成することができる。
【0008】
多数の電池モジュールが集まった電池パックは、多数の電池セルから出る熱が狭い空間で合算されて温度が速くかつ激しく上がることがある。言い換えると、多数の電池セルが積層された電池モジュールとこのような電池モジュールが装着された電池パックの場合、高い出力を得ることができるが、充電および放電時に電池セルで発生する熱を除去することが容易でない。電池セルの放熱が良好になされない場合、電池セルの劣化が速くなって寿命が短くなり、爆発や発火の可能性が大きくなる。
【0009】
また、車両用電池パックに含まれる電池モジュールの場合、直射光線に頻繁に露出され、夏季や砂漠地域のような高温条件に置かれることがある。また、車両の走行距離を増やすために多数の電池モジュールを集約的に配置するため、いずれか一つの電池モジュールで発生した熱暴走(thermal runaway)現象が隣接した電池モジュールに簡単に伝播されて、終局的に電池パック自体の爆発や発火につながることがある。
【0010】
そこで、いずれか一つの電池モジュールで熱暴走(thermal runaway)現象が発生しても、電池パック自体の火災や爆発につながらないモデルに対する設計が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、電池モジュール内で熱暴走(thermal runaway)現象が発生しても、高温のガスと火炎が噴出されることを抑制することができる電池モジュールおよびこれを含む電池パックを提供することにある。
【0012】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は、前述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で多様に拡張され得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態による電池モジュールは、複数の電池セルが積層された電池セル積層体;前記電池セル積層体を収納するモジュールフレーム;前記電池セル積層体の一側と他側に位置し、開口部が形成されたエンドプレート;前記電池セル積層体と前記エンドプレートとの間に位置したバスバーフレーム;および前記バスバーフレームに装着され、前記開口部を通じて露出するターミナルバスバーを含む。前記バスバーフレームは、前記開口部に向かって突出した遮断部材を含む。
【0014】
前記遮断部材は、前記ターミナルバスバーと前記開口部の内側辺との間に位置することができる。
【0015】
前記遮断部材は、前記バスバーフレームのうち前記開口部と対応する部分に形成され得る。
【0016】
前記遮断部材は、前記バスバーフレームの一面から突出した突出部、および前記突出部を囲む遮断部を含むことができる。
【0017】
前記遮断部は、フォーム(Foam)形態の素材およびレジン(Resin)素材のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0018】
前記遮断部は、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂およびフッ素系樹脂のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0019】
前記エンドプレートが位置した方向の前記バスバーフレームの一面に前記ターミナルバスバーが装着され得、前記バスバーフレームの前記一面上に前記遮断部材が位置することができる。
【0020】
前記電池モジュールは、前記バスバーフレームと前記エンドプレートとの間に位置した絶縁カバーをさらに含むことができる。前記絶縁カバーのうち前記開口部と対応する部分に開口ホールが形成され得る。
【0021】
前記遮断部材は、前記ターミナルバスバーと前記開口ホールの内側辺との間に位置することができる。
【0022】
前記ターミナルバスバーは、前記電池セルの電極リードと連結された第1部分、および前記開口部を通じて外部に露出する第2部分を含むことができる。
【0023】
前記ターミナルバスバーは、前記第1部分と前記第2部分との間に形成されたベンディング部をさらに含むことができる。前記遮断部材は、前記開口部の内側辺と前記ベンディング部との間に位置するか、または前記開口部の内側辺と前記第2部分との間に位置することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の実施形態によれば、電池モジュール内で熱暴走(thermal runaway)現象が発生する場合、電池モジュール内部の圧力が上昇し、そのために遮断部材が電池モジュールに形成された隙間を塞ぐことができる。つまり、高温のガスと火炎が噴出され得る隙間を電池モジュール内部の圧力上昇を利用して相殺することができる。
【0025】
本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は請求の範囲の記載から当業者に明確に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態による電池モジュールの斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による電池モジュールに対してエンドプレートおよび絶縁カバーを除去した様子を示す斜視図である。
【
図4】(a)および(b)は
図3の電池モジュールに含まれているターミナルバスバーを示す図面である。
【
図5】本発明の一実施形態によるエンドプレートおよび絶縁カバーを示す斜視図である。
【
図6】
図1の切断線A-A’に沿って切断した断面を示す部分断面図である。
【
図7】
図1の切断線A-A’に沿って切断した断面を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して本発明の多様な実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。本発明は、多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0028】
本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。
【0029】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明が必ずしも図示されたところに限定されるのではない。図面において、複数の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0030】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるという時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直上」にあるという時には中間にまた他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分の「上」にあるということは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって「上」に位置することを意味するのではない。
【0031】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除外せず、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0032】
また、明細書全体において、「平面上」という時、これは対象部分を上方から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を側方から見た時を意味する。
【0033】
図1は本発明の一実施形態による電池モジュールの斜視図である。
図2は
図1の電池モジュールの分解斜視図である。
【0034】
図1および
図2を参照すれば、本発明の一実施形態による電池モジュール100は、複数の電池セル110が積層された電池セル積層体120;電池セル積層体120を収納するモジュールフレーム200;電池セル積層体120の一側と他側に位置したエンドプレート400を含む。
【0035】
まず、電池セル110は、パウチ型電池セルであり得る。このような電池セル110は、長方形のシート型構造で形成され得る。例えば、本実施形態による電池セル110は、二つの電極リード111が互いに対向して一側と他側にそれぞれ突出した構造を有することができる。より詳しくは、電極リード111は、電極組立体(図示せず)と連結され、前記電極組立体(図示せず)から電池セル110の外部に突出する。
【0036】
一方、電池セル110は、パウチ型セルケースに電極組立体(図示せず)を収納した状態でパウチ型セルケースの外周縁を熱融着して製造され得る。パウチ型セルケースは、樹脂層と金属層を含むラミネートシートからなることができる。
【0037】
一方、電極リード111が一側と他側の両方向に突出した構造の電池セル110のみについて説明したが、本発明の他の実施形態として、電極リードが一方向に共に突出した単方向のパウチ型電池セルも可能であることはもちろんである。
【0038】
電池セル110は、複数個で構成され、複数の電池セル110は、互いに電気的に連結され得るように一方向に沿って積層されて電池セル積層体120を形成する。例えば、
図2に示されているようにx軸と平行な方向に沿って複数の電池セル110が積層され得る。パウチ型セルケースは、一般的に樹脂層/金属薄膜層/樹脂層のラミネート構造からなる。例えば、パウチ型セルケースの表面がO(oriented)-ナイロン層からなる場合には、中大型電池モジュールを形成するために多数の電池セル110を積層する時、外部衝撃により簡単に滑る傾向がある。したがって、これを防止し、電池セルの安定した積層構造を維持するために、パウチ型セルケースの表面に両面テープなどの粘着式接着剤または接着時の化学反応により結合される化学接着剤などの接着部材を付着して電池セル積層体120を形成することができる。
【0039】
電池セル積層体120は、モジュールフレーム200に収納される。モジュールフレーム200は、両面が開放された形態の金属フレームであり得る。より具体的には、電池セル積層体120を基準に、電極リード111が突出する両方向にモジュールフレーム200が開放され得る。ただし、
図2に示されたモジュールフレーム200は一つの例示的構造であり、電池セル積層体120を収納することができれば、その形態に特別な制限はない。
図2のモジュールフレーム200は、上面、下面および両側面が一体化した金属板材形態のモノフレームで示されているが、上部が開放されたU字型フレームに上部カバーが接合された形態やU字型フレームと逆U字型フレームが互いに結合された形態などが全て可能である。
【0040】
電池セル積層体120の一側と他側にエンドプレート400が位置する。つまり、モジュールフレーム200の開放された両面にはエンドプレート400が位置することができる。
【0041】
モジュールフレーム200とエンドプレート400は、互いに対応する縁部位が接触された状態で、溶接の方法により接合され得る。ただし、これは例示的な方法であり、機構的結合形態として、ボルト締結、フック(Hook)締結などが適用され得る。このようなモジュールフレーム200とエンドプレート400が形成する空間に電池セル積層体120が収納されることによって、電池セル積層体120を物理的に保護することができる。このためにモジュールフレーム200とエンドプレート400はアルミニウムのように所定の強度を有する金属材質やプラスチック素材を含むことができる。
【0042】
一方、本実施形態による電池モジュール100は、電池セル積層体120とエンドプレート400との間に位置したバスバーフレーム300を含む。また、電池モジュール100は、バスバーフレーム300とエンドプレート400との間に位置した絶縁カバー600を含むことができる。つまり、電池セル積層体120から外側にバスバーフレーム300、絶縁カバー600およびエンドプレート400が順次に位置することができる。エンドプレート400と同様に、バスバーフレーム300および絶縁カバー600がそれぞれ複数で構成され得る。
【0043】
以下、
図3乃至
図5などを参照して本実施形態によるターミナルバスバーとエンドプレートに形成された開口部について詳しく説明する。
【0044】
図3は本発明の一実施形態による電池モジュールに対してエンドプレートおよび絶縁カバーを除去した様子を示す斜視図である。
図4の(a)および(b)は
図3の電池モジュールに含まれているターミナルバスバーを示す図面である。
図5は本発明の一実施形態によるエンドプレートおよび絶縁カバーを示す斜視図である。
【0045】
図2乃至
図5を参照すれば、本発明の一実施形態による電池モジュール100は、バスバーフレーム300に装着されるターミナルバスバー320を含む。特に、エンドプレート400には開口部410Hが形成され、このような開口部410Hを通じてターミナルバスバー320が電池モジュール100の外部に露出する。
【0046】
より具体的には、本実施形態による電池モジュール100は、バスバー310、ターミナルバスバー320を含むことができる。バスバー310およびターミナルバスバー320はバスバーフレーム300に装着され得る。
【0047】
バスバー310およびターミナルバスバー320は、複数の電池セル110を電気的に連結するために電池セル110の電極リード111と接合され得る。具体的には、バスバー310およびターミナルバスバー320が装着されたバスバーフレーム300が電池セル積層体120の一側(y軸方向)および他側(-y軸方向)にそれぞれ位置することができる。電池セル積層体120の一側(y軸方向)および他側(-y軸方向)は、電池セル110の電極リード111が突出する方向に該当する。つまり、前述したとおり、いずれか一つのバスバーフレーム300は、エンドプレート400のうちのいずれか一つと電池セル積層体120との間に位置することができる。
【0048】
バスバーフレーム300にはリードスリットが形成され、電池セル110の電極リード111が前記リードスリットを通過した後に曲がってバスバー310やターミナルバスバー320に接合され得る。物理的、電気的連結が可能であれば、接合の方式に特別な制限はなく、一例として溶接接合が行われ得る。つまり、電池セル110はバスバー310を介して互いに電気的に連結され得る。
【0049】
一方、ターミナルバスバー320の一部分は電池モジュール100の外側に露出する。具体的には、エンドプレート400に開口部410Hが形成され、このような開口部410Hを通じてターミナルバスバー320の一部分が露出する。より具体的には、ターミナルバスバー320は電池セル110の電極リード111と連結される第1部分321、および開口部410Hを通じて外部に露出する第2部分322を含むことができる。
【0050】
電池モジュール100の外部に露出した第2部分322は、他の電池モジュールやBDU(Battery Disconnect Unit)などと連結されてHV(High Voltage)連結を形成することができる。ここでHV連結は、電力を供給するための電源の役割の連結であって、電池セル間の連結や電池モジュール間の連結を意味する。つまり、電池モジュール100はターミナルバスバー320を介して隣接した他の電池モジュールと電気的に連結され得る。
【0051】
一方、本実施形態による電池モジュール100は、センシング組立体500をさらに含むことができる。ここで、センシング組立体500は、LV(Low voltage)連結のためのものであって、ここでLV連結は、電池セルの電圧および温度を感知し制御するためのセンシング連結を意味する。センシング組立体500を通じて電池セル110の電圧情報と温度情報が測定されて外部のBMS(Battery Management System)に伝達され得る。本実施形態によるセンシング組立体500は、モジュールコネクタ510、連結ケーブル520および接合部材530を含むことができる。
【0052】
モジュールコネクタ510は、外部の制御装置と信号を送受信するための構成である。エンドプレート400にコネクタ開口部420Hが形成され、このようなコネクタ開口部420Hを通じてモジュールコネクタ510が電池モジュール100の外部に露出し、モジュールコネクタ510が外部のBMSと連結され得る。
【0053】
連結ケーブル520は、モジュールコネクタ510と接合部材530を連結する構成であって、フレキシブル印刷回路基板(FPCB:Flexible Printed Circuit Boardd)またはフレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)であり得る。モジュールコネクタ510および連結ケーブル520はバスバーフレーム300の上端に位置することができる。
【0054】
連結ケーブル520の一端に接合部材530が連結され得、接合部材530がバスバー310の一面に溶接の方法により接合され得る。
【0055】
複数の電池セル110に関する電圧情報が、接合部材530、連結ケーブル520およびモジュールコネクタ510を順次に経て外部のBMS(Battery Mamagement System)に伝達され得る。
【0056】
一方、
図2に示されたように、二つのバスバーフレーム300が電池セル積層体120の一側と他側にそれぞれ配置され得る。この時、いずれか一つのバスバーフレーム300にのみモジュールコネクタ510が位置し、他の一つのバスバーフレーム300にはモジュールコネクタが位置しなくてもよい。モジュールコネクタ510が他の一つのバスバーフレーム300に位置したバスバー310と連結され得るように、連結ケーブル520がモジュールコネクタ510から他のバスバーフレーム300まで延長され得る。連結ケーブル520の延長された部分は電池セル積層体120の上部に位置することができる。電池セル積層体120の上部に位置した連結ケーブル520の一部分に温度センサーが設けられ得る。このような温度センサーを通じて電池モジュール100内部の温度情報が、連結ケーブル520およびモジュールコネクタ510を順次に経て外部のBMS(Battery Mamagement System)に伝達され得る。
【0057】
前記のような方式で、センシング組立体500は各電池セル110の過電圧、過電流、過発熱などの現象を検出し、制御することができる。
【0058】
一方、前述したように、本実施形態による電池モジュール100は、バスバーフレーム300とエンドプレート400との間に位置した絶縁カバー600を含むことができる。絶縁カバー600は複数で構成されることが好ましい。絶縁カバー600は、電気的絶縁である素材を含むことができ、バスバー310やターミナルバスバー320がエンドプレート400と接触することを遮断する。
【0059】
図3と
図5を共に参照すれば、絶縁カバー600のうちエンドプレート400の開口部410Hと対応する部分に開口ホール610Hが形成され得る。また、絶縁カバー600のうちエンドプレート400のコネクタ開口部420Hと対応する部分にコネクタ開口ホール620H が形成され得る。
【0060】
本実施形態によるターミナルバスバー320は、絶縁カバー600の開口ホール610Hとエンドプレート400の開口部410Hを通じて電池モジュール100の外部に露出することができる。また、モジュールコネクタ510は、絶縁カバー600のコネクタ開口ホール620Hとエンドプレート400のコネクタ開口部420Hを通じて電池モジュール100の外部に露出することができる。
【0061】
一方、ターミナルバスバー320は複数で構成され、そのうちの一つは電池モジュール100の正極端子として、他の一つは電池モジュール100の負極端子として機能することができる。これにより開口部410Hと開口ホール610Hもそれぞれ複数で構成され得る。
【0062】
以下、
図6および
図7を参照して、本発明の一実施形態による遮断部材について詳しく説明する。
【0063】
図6および
図7は
図1の切断線A-A’に沿って切断した断面を示す部分断面図である。この時、
図6は、平常時の電池モジュールを示す断面図であり、
図7は電池モジュールに熱暴走(thermal runaway)現象が発生した様子を示す断面図である。
【0064】
図3、
図4、
図6および
図7を共に参照すれば、本発明の一実施形態によるバスバーフレーム300は、開口部410Hに向かって突出した遮断部材700を含むことができる。遮断部材700は開口部410Hの内側に位置することができる。
【0065】
具体的には、遮断部材700は、バスバーフレーム300のうちエンドプレート400の開口部410Hと対応する部分に形成され得る。ターミナルバスバー320はバスバーフレーム300の一面に装着されるが、遮断部材700はバスバーフレーム300の前記一面上に位置することができる。特に、遮断部材700はバスバーフレーム300の前記一面で、開口部410Hに向かって突出した形態を有することができ、ターミナルバスバー320と開口部410Hの内側辺との間に位置することができる。
【0066】
電池モジュール100内部の電池セル110に熱暴走(thermal runaway)現象が発生することがある。熱暴走(thermal runaway)現象の一つの例示は次のとおりである。過充電をはじめとして電池セル110に物理的、熱的、電気的損傷が発生して、電池セル110の内部圧力が増加することがある。電池セル110のパウチ型セルケースの融着強度の限界値を超える場合、電池セル110で発生した高温の熱、ベンティングガスなどが電池セル110の外部に噴出され得る。
【0067】
いずれか一つの電池セルで発生した熱暴走現象は、対流効果により他の電池セルに拡大されることがあり、結局、電池モジュール100内部で高温のガスと火炎が発生することがある。発生した高温のガスと火炎は、エンドプレート400の開口部410Hを通じて外部に噴出され得、隣接した電池モジュールに損傷を加えたり、隣接した電池モジュールのまた他の熱暴走現象を誘導することがある。終局的には、多数の電池モジュールに熱暴走現象が伝播されて、電池パックの爆発および発火を誘発することがある。
【0068】
そこで、本実施形態による電池モジュール100は、モジュールフレーム200の内圧上昇によりエンドプレート400の開口部410Hを塞ぐことができる遮断部材700を開口部410Hの内側に設けた。モジュールフレーム200の内圧は、電池セル積層体120が収納されるモジュールフレーム200内部空間の空気圧を意味する。モジュールフレーム200の内圧上昇は、前記熱暴走現象によりモジュールフレーム200内部空間に多量のガスが発生したことを意味する。
【0069】
熱暴走(thermal runaway)現象時、電池セルからガスが噴出され、モジュールフレーム200の内圧が上昇する。このような内部圧力上昇により、バスバーフレーム300がエンドプレート400側に密着されることがある。また、モジュールフレーム200の内圧Pによりバスバーフレーム300の一部領域がエンドプレート400側に曲がることがある。
図7には説明の便宜のためにこのような様子を多少誇張して表現した。
【0070】
このようなモジュールフレーム200の内圧上昇により、開口部410Hの内側に位置していた遮断部材700が開口部410Hに近づき、結局、開口部410Hとターミナルバスバー320との間の隙間を塞ぐことができる。これにより、高温のガスや火炎が電池モジュール100の外部に噴出されることを抑制することができる。つまり、高温のガスと火炎が噴出され得る隙間を電池モジュール100の内圧上昇を利用して相殺することができる。終局的には、いずれか一つの電池モジュールで発生した熱暴走現象が他の電池モジュールに伝播されることを防止することができる。
【0071】
前述したように、ターミナルバスバー320は、電池セル110の電極リード111と連結される第1部分321、および開口部410Hを通じて外部に露出する第2部分322を含むことができる。また、ターミナルバスバー320は、第1部分321と第2部分322との間に形成されたベンディング部323をさらに含むことができる。そのために、第1部分321の一面と第2部分322の一面とが互いに垂直になることができる。
【0072】
本実施形態による遮断部材700は、開口部410Hの内側辺とベンディング部323との間に位置するか、または開口部410Hの内側辺と第2部分322との間に位置することができる。具体的に示していないが、ターミナルバスバー320は、連結部材(図示せず)を介して他の電池モジュールやBDU(Battery Disconnect Unit)と連結され得る。ターミナルバスバー320と連結部材(図示せず)は、溶接などの方法により接合され得る。この時、ターミナルバスバー320に曲がったベンディング部323を形成して、第2部分322の一面が地面と平行に配置されることで、第2部分322と連結部材(図示せず)の接合が容易になるように設計された。
【0073】
前記のような構造により、開口部410Hの内側辺とベンディング部323との間または開口部410Hの内側辺と第2部分322との間に隙間が自然に形成され、前記隙間を通じて高温のガスおよび火炎が集中的に噴出され得る。
【0074】
遮断部材700を開口部410Hの内側、特に、開口部410Hの内側辺とベンディング部323との間または開口部410Hの内側辺と第2部分322との間に位置させることで、モジュールフレーム200の内圧上昇時、遮断部材700が前記隙間を塞ぐことができるようにした。
【0075】
一方、前述したとおり、本実施形態による電池モジュール100は、バスバーフレーム300とエンドプレート400との間に位置した絶縁カバー600をさらに含むことができ、絶縁カバー600のうち開口部410Hと対応する部分に開口ホール610Hが形成され得る。また、ターミナルバスバー320は絶縁カバー600の開口ホール610Hとエンドプレート400の開口部410Hを通じて電池モジュール100の外部に露出することができる。
【0076】
この時、絶縁性の確保のために開口ホール610Hが開口部410Hよりも開口された面積が小さくてもよく、開口部410Hの内側辺よりも開口ホール610Hの内側辺がターミナルバスバー320に近く位置することができる。本実施形態による遮断部材700は、ターミナルバスバー320と開口ホール610Hの内側辺との間に位置することができる。より具体的には、遮断部材700が開口ホール610Hの内側辺とベンディング部323との間に位置するか、または開口ホール610Hの内側辺と第2部分322との間に位置することができる。したがって、熱暴走現象の発生時、モジュールフレーム200の内圧上昇により、遮断部材700が開口ホール610Hに近づき、開口ホール610Hとターミナルバスバー320との間の隙間を塞ぐことができる。このような遮断部材700の作動原理により高温のガスや火炎が電池モジュール100の外部に噴出されることを遮断することができる。
【0077】
遮断部材700の形態は、開口部410Hや開口ホール610Hの開口面積に対応することが好ましい。一例として、
図3と
図5を参照すれば、横方向の幅が縦方向の幅よりも広い開口ホール610Hの開口形態に合わせて、遮断部材700は横方向に沿ってつながる形態であり得る。
【0078】
本実施形態による遮断部材700は、バスバーフレーム300の一面から突出した突出部710、および突出部710を囲む遮断部720を含むことができる。具体的には、バスバーフレーム300は、絶縁性を帯びるプラスチック部材であり得、一つの例示として射出成形により製造され得る。この時、射出成形過程で突出部710がバスバーフレーム300の一面に形成されるように設計され得る。つまり、突出部710はバスバーフレーム300と一体化した構成であり得る。
【0079】
遮断部720は、フォーム(Foam)形態の素材およびレジン(Resin)素材のうちの少なくとも一つを含むことができる。このような遮断部720を突出部710にかぶせることによって、本実施形態による遮断部材700を製造することができる。一方、前記フォーム素材と前記レジン素材は難燃性であることが好ましい。
【0080】
また、遮断部720は、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂およびフッ素系樹脂のうちの少なくとも一つを含むことができる。
図6および
図7を参照すれば、熱暴走(thermal runaway)現象時、電池モジュール100内部温度が上昇することがあり、温度上昇により遮断部720は、膨張することができる。説明の便宜のために多少誇張して表現したが、
図7では、遮断部720が
図6に示された遮断部720よりも膨張した様子を示した。膨張した遮断部720は、開口部410Hとターミナルバスバー320との間の隙間や開口ホール610Hとターミナルバスバー320との間の隙間を塞ぐことに一層効果的である。
【0081】
本実施形態で前、後、左、右、上、下のような方向を示す用語が使用されているが、このような用語は説明の便宜のためのものに過ぎず、対象となる事物の位置や観測者の位置などにより変わり得る。
【0082】
前述した本実施形態による一つまたはそれ以上の電池モジュールは、BMS(Battery Management System)、BDU(Battery Disconnect Unit)、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に装着されて電池パックを形成することができる。
【0083】
前記電池モジュールや電池パックは、多様なデバイスに適用され得る。具体的には、電気自転車、電気自動車、ハイブリッドなどの運送手段やESS(Energy Storage System)に適用され得るが、これに制限されず、二次電池を使用することができる多様なデバイスに適用可能である。
【0084】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0085】
100:電池モジュール
120:電池セル積層体
200:モジュールフレーム
300:バスバーフレーム
320:ターミナルバスバー
400:エンドプレート
410H:開口部
700:遮断部材