(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】太陽光パネルユニットおよび建築部材
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20250319BHJP
E04D 13/18 20180101ALI20250319BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20250319BHJP
H02S 20/22 20140101ALI20250319BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20250319BHJP
H02S 20/30 20140101ALI20250319BHJP
H02S 20/32 20140101ALI20250319BHJP
H02S 40/22 20140101ALI20250319BHJP
【FI】
E06B5/00 A
E04D13/18
E04F13/08 Z
H02S20/22
H02S20/23 Z
H02S20/30 A
H02S20/32
H02S40/22
(21)【出願番号】P 2020068690
(22)【出願日】2020-04-06
【審査請求日】2023-01-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】藤井 誠
(72)【発明者】
【氏名】水野 高伸
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-243298(JP,A)
【文献】特表2018-512839(JP,A)
【文献】特開2014-165297(JP,A)
【文献】特開2014-36029(JP,A)
【文献】特開2001-127331(JP,A)
【文献】特開2002-168062(JP,A)
【文献】特開2002-111034(JP,A)
【文献】特開2015-220870(JP,A)
【文献】特開2013-123017(JP,A)
【文献】特開2008-16595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00
E04D 13/18
E04F 13/08
H02S 10/00-10/40
H02S 20/22-20/23
H02S 20/30-20/32
H02S 30/00-99/00
H02S 40/22
H10K 30/00
H10K 30/50-30/57
H10K 39/00-39/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光パネルと、太陽光パネルに対して間隔を置いて平行に配置される反射プレートと、反射プレートの太陽光パネル側に配置される反射レンズを有し、
太陽光パネルは、両面受光タイプの複数のセルが透明な部材で挟まれて形成され、複数のセルが配置される中央部分と、セルが配置されない周辺部分を有しており、
反射プレートは、太陽光パネルの中央部分に
配置された複数のセルに亘って対向する平面部と、平面部の外周に形成される湾曲部を有しており、
湾曲部以外は平面状であり、
反射レンズは、反射プレートの平面部に配置されている太陽光パネルユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽光パネルユニットを備えている建築部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光により発電するセルを複数配置してなる太陽光パネルユニットおよび太陽光パネルユニットを備える建築部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物に配置される建築部材として、風等の外力によって自然に開閉する窓が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の窓は、風等の状況等に応じて自然換気をすることで、エアコン等の使用を抑制することができ、建物の省エネルギー化をすることができる。
しかし、風と共に自然エネルギーの代表である太陽光については利用しておらず、太陽光を利用したさらなる省エネルギー化が求められている。
【0005】
本発明は、太陽光を利用することで、省エネルギー化を進めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、太陽光パネルと、太陽光パネルに対して間隔を置いて平行に配置される反射プレートと、反射プレートの太陽光パネル側に配置される反射レンズを有し、 太陽光パネルは、両面受光タイプの複数のセルが透明な部材で挟まれて形成され、複数のセルが配置される中央部分と、セルが配置されない周辺部分を有しており、反射プレートは、太陽光パネルの中央部分に配置された複数のセルに亘って対向する平面部と、平面部の外周に形成される湾曲部を有しており、湾曲部以外は平面状であり、反射レンズは、反射プレートの平面部に配置されている太陽光パネルユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、太陽光を効率的に利用することができ、省エネルギー化を進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る建築部材の外観図の一例である。
【
図2】本発明の実施形態の建築部材を構成する自然換気窓の全体システムの一例である。
【
図3】本発明の実施形態の建築部材を構成する自然換気窓の竪断面図の一例である。
【
図4】本発明の実施形態の建築部材を構成する自然換気窓の竪断面図の一例である。
【
図5】本発明の実施形態の建築部材を構成する自然換気窓の一部横断面図の一例である。
【
図6】本発明の実施形態の建築部材を構成する自然換気窓の一部竪断面図の一例であり、(a)は障子の竪断面図であり、(b)は太陽光パネルユニットの一部竪断面図である。
【
図7】本発明の実施形態の建築部材を構成する自然換気窓の一部横断面図の一例であり、(a)は障子の横断面図であり、(b)(c)は太陽光パネルユニットの一部横断面図である。
【
図8】本発明の実施形態の建築部材を構成する自然換気窓の太陽光パネルユニットの斜視図の一例である。
【
図9】本発明の実施形態の太陽光パネルユニットを構成する部材の図の一例であり、(a)は太陽光パネルの平面図であり、(b)は反射プレートの平面図であり、(c)は反射プレートの竪断面図である。
【
図10】本発明の実施形態の太陽光パネルユニットを組み立てる工程を説明するための斜視図である。
【
図11】本発明の実施形態の太陽光パネルユニットを組み立てる工程を説明するための斜視図である。
【
図12】本発明の実施形態の太陽光パネルユニットの受光状態を説明するための竪断面図であり、(a)は窓の開放時であり、(b)は窓の閉鎖時である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の太陽光パネルユニットおよび太陽光パネルユニットを備えた建築部材について、図面を参考にして、説明する。
なお、本実施形態の太陽光パネルユニットを備えた建築部材として、風等の外力によって自然に開閉する換気窓を例示して説明するが、太陽光パネルユニットを備えた建築部材は、建物の外周に配置されるカーテンウオールや壁材、フェンス、屋根部材等でもよく、特に限定されない。
【0010】
本実施形態の換気窓は、例えば建物の部屋の上方位置に形成された開口部に設置される窓であり、
図1に示すように、それぞれ独立して開閉する2つの自然換気窓が左右方向に並べられて連窓を構成している。
なお、換気窓は、3以上の窓が並べられた連窓であってもよく、また単独の窓でもよい。
【0011】
換気窓は、アルミ等の金属材料からなる上枠11、下枠12及び左、右竪枠13,14を四周に組み、上枠11、下枠12間に方立15を固定して形成される複数(
図1では、2つ)の開口枠を有する枠体1と、各開口枠にそれぞれ開閉自在に配置される障子2,2を備えており、左右に並ぶ2つの自然換気窓から構成されている。
以下、本実施形態の自然換気窓について、換気窓の右側に配置される自然換気窓を用いて、図面を参考に説明する。
【0012】
(自然換気窓)
本実施形態の自然換気窓は、
図2,3に示すように、上枠11、下枠12、方立15及び右竪枠14によって構成される開口枠と、アルミ等の金属材料からなる上框21,下框22及び左、右竪框23,24を四周に組んでなる框体の内周に太陽光パネルユニット5を装着してなる障子2を有している。
【0013】
障子2は、左、右竪框23,24の高さ方向で中間高さよりも上方(上から1/3程度)の位置で回動軸2aに回動自在に支持されており、回動軸2aの上方部分が屋内側となり回動軸2aの下方部分が屋外側となるように傾倒することで開口部を開閉する。
障子2の上框21には、屋内側に突出する錘25が設けられており、障子2にかかる風力(外力)によって回動軸2aを中心に自然に開閉するようにバランスされている。
【0014】
方立15の室内側の見付面には、駆動モータ85によって駆動され、障子2,2の開閉状態を制御する開閉アーム4が設けられている。
開閉アーム4は、回動軸4aの上方に設けられた上アーム41と回動軸4aの下方に設けられた下アーム42を有しており、上アーム41と下アーム42が所定の角度で連結されて構成されている。上アーム41及び下アーム42の先端部には障子2の左竪框23の屋内側面に当接するローラ41a,42aが設けられている。
【0015】
駆動モータ85は、風速センサ81及び降雨センサ82等の検知装置が接続された自然換気制御手段83によって制御されており、蓄電池84又は商用電源86から供給される電力によって駆動される。
なお、蓄電池84には、太陽光パネルユニット5で発電される電力が供給されることで、商用電源86から供給される電力を節約することができる。
【0016】
そして、自然換気制御手段83は、風速センサ81及び降雨センサ82等の検知情報に基づいて、降雨等なく天候が穏やかな時には、
図3に示すように、開閉アーム4の上アーム41が垂直状態から屋内側に45度程度傾斜した状態となり下アーム42がほぼ垂直状態となるように駆動モータ85を駆動し、点線で示す障子2のように開放を許容している。
一方、風が強いなど悪天候の時には、自然換気制御手段83は、開閉アーム4の上アーム41がほぼ垂直状態となるように駆動モータ85を駆動し、障子2の開放を制限することができる。
【0017】
枠体1の上枠11は、
図4に示すように、躯体に固定されたアンカー部材Bを介して躯体開口部Aの内周に取り付けられており、躯体開口部Aの内周に配置される上枠本体部111と、上枠本体部111の屋外側内周から下方に垂下する戸当り壁112と、上枠本体部111の内周面から垂下する垂下壁113を有している。
【0018】
枠体1の下枠12は、
図4に示すように、躯体に固定されたアンカー部材Bを介して躯体開口部Aの内周に取り付けられており、躯体開口部Aの内周に配置される下枠本体部121と、下枠本体部121の屋内側内周から上方に立ち上がる戸当り部122を有している。
【0019】
枠体1の右竪枠14は、
図5に示すように、躯体に固定されたアンカー部材Bを介して躯体開口部Aの内周に取り付けられており、躯体開口部Aの内周に配置される右竪枠本体部141と、右竪枠本体部141の屋外側端から内周方向に延設される屋外側壁142と、右竪枠本体部141の屋外寄り内周面から内周方向に延設される気密壁143と、後述する気密材取付部材を固定するための固定溝144を有している。
【0020】
方立15は、上枠11と下枠12との間に固定されており、中空部を有する方立本体部151と、方立本体部151の屋外側端から内周方向に延設される屋外側壁152と、方立本体部151の屋外寄り内周面から内周方向に延設される気密壁153と、気密材取付部材を固定するための固定溝154を有している。
方立15は、見込寸法が左、右竪枠13,14よりも大きく、方立本体部151が屋内側に突出しており、屋内側に突出した方立本体部151の見込面に開閉アーム4が設けられている。
【0021】
一方、障子2の上框21は、
図4,
図6(a)に示すように、内周にガラス間口21aを有する上框本体部211と、上框本体部211の外周に突出する外周部212と、外周部212の屋外側において上框本体部211の外周面に設けられた戸当り片213を有しており、上框本体部211の屋内面に錘25が設けられている。
【0022】
上枠11と上框21との間は、上枠11の戸当り壁112の屋内側面に設けられた気密材sが障子2の上框21の戸当り片213に当接し、上框21の外周部212の屋外側面に設けられた気密材sが上枠11の垂下壁113に当接することで気密されている。
【0023】
障子2の下框22は、
図4,
図6(a)に示すように、中空部を有する下框本体部221と、下框本体部221の屋内側内周に延設される屋内側ガラス間口壁222と、下框本体部221に取付けられる押縁223を有しており、屋内側ガラス間口壁222と押縁223によってガラス間口22aが形成されている。
【0024】
下枠12と下框22との間は、下枠12の戸当り部122の屋外側端に設けられた気密材sが障子2の下框22の屋内側面に当接することで気密されている。
【0025】
障子2の左、右竪框23,24は、同一の構成をしており、
図5,
図7(a)に示すように、中空部を有する左、右竪框本体部231,241と、左、右竪框本体部231,241の屋外側端から外周方向に延設される屋外側壁232,242と、左、右竪框本体部231,241の屋外寄り外周面から外周方向に延設される気密壁233,243と、気密材取付部材237,247を固定するための固定溝234,244と、屋内側内周に延設される屋内側ガラス間口壁235,245と、左、右竪框本体部231,241の屋外側内周面に取付けられる押縁236,246を有しており、屋内側ガラス間口壁233,243と押縁234,244によってガラス間口23a,24aが形成されている。
【0026】
右竪枠14、方立15と左、右竪框23,24との間の気密の方法は、中心軸2aの上方と下方で異なっている。
具体的には、中心軸2aより上方部分は、障子2が屋内側から開口枠に近づいて閉鎖するために、
図5に示すように、右竪枠14及び方立15の屋外側壁142及び屋外側壁152に気密材s1,s1が設けられるとともに、
図7(a)に示すように、左、右竪框23,24の固定溝234,244に気密材s2,s2が装着された気密材取付部材237,247が固定されている。
【0027】
そして、右竪枠14及び方立15に設けた気密材s1が、左、右竪框23,24の屋外側に当接するとともに、左、右竪框23,24に設けた気密材s2,s2が右竪枠14及び方立15の気密壁143,153に屋内側から当接することで、右竪枠14、方立15と左、右竪框23,24との間を気密している。
【0028】
一方、中心軸2aより下方部分は、障子2が屋外側から開口枠に近づいて閉鎖するために、左、右竪框23,24の屋外側壁232,242に気密材s1,s1が設けられるとともに、右竪枠14及び方立15の固定溝144,154に気密材s2,s2が装着された気密材取付部材237,247が固定されている。
【0029】
そして、左、右竪框23,24に設けた気密材s1,s1が、右竪枠14及び方立15の屋外側に当接するとともに、右竪枠14及び方立15に設けた気密材s2,s2が左、右竪框23,24の気密壁233,243に屋内側から当接することで、右竪枠14、方立15と左、右竪框23,24との間を気密している。
【0030】
(太陽光パネルユニット)
框体の内周に装着される太陽光パネルユニット5は、
図6,
図7,
図8に示すように、太陽光パネルユニット5の表面(屋外側)に配置される太陽光パネル51と、太陽光パネル51に対して間隔を置いて平行に配置される反射プレート52と、反射プレート52の太陽光パネル側に配置される反射レンズ522,522と、太陽光パネル51及び反射プレート52を支持固定する支持プレート53を有している。
【0031】
太陽光パネル51は、両面受光タイプの複数のセル511,511が透明な板状の部材に挟まれて形成されており、
図9(a)に示すように、複数のセル511,511が配置される中央部分51aと、セルが配置されない周辺部分51bを有している。
【0032】
反射プレート52は、
図9(b)、(c)に示すように、太陽光パネル51の中央部分51aに対向する平面部52aと、平面部52aの外周に形成される湾曲部52bを有しており、湾曲部52bは反射プレート52の四隅52cにおいてスムーズに連続しており、反射プレート52には四辺に連続する湾曲部52bが形成されている。
なお、反射プレート52の平面部52aの屋外側面には、
図3,10に示すように、適宜個数の反射レンズ522,522が固定されている。
また、湾曲部52bの所定位置には、太陽光パネル51からの配線を通す孔52dが形成されている。
【0033】
支持プレート53は、
図6(b),
図7(b),(c)に示すように、太陽光パネルユニット5の屋内側壁面を形成する矩形の裏面アルミプレート531と、裏面アルミプレート531の屋外側面に矩形状に固定されるフレーム部材532と、フレーム部材532に取付けられる押縁部材533を有している。
【0034】
フレーム部材532,532,532は、裏面アルミプレート531に固定される本体部532aと、固定部の上面に連続する上壁部532bを有し、本体部532aと上壁部532bによって反射プレート52を保持する挿入部532cが形成されている。
【0035】
押縁部材533は、フレーム部材532に取付けられる取付部533aと、太陽光パネル51を保持する保持部533bを有しており、取付部533aをフレーム部材532の本体部532aの外周面にネジ止め等により固定することでフレーム部材532の上壁部532bと押縁部材533の保持部533bとの間に太陽光パネル51の縁を保持する保持溝533cが形成される。
そして、保持溝533cには、太陽光パネル51との間を気密する気密ゴム等のシール部材534が配置されている。なお、保持溝533cと太陽光パネル51との間は、シーリング材を充填することで気密してもよい。
【0036】
太陽光パネルユニット5の組み立ては、
図10に示すように、支持プレート53の裏面アルミプレート531の一面に三辺のフレーム部材532,532,532を挿入部532cが内周側となるように矩形状に配置して、裏面アルミプレート531の裏面からビス等の固定手段によって固定する。
フレーム部材532,532,532の端面は、45度の角度で切除されており、フレーム部材532,532,532の端部同士が当接されて固定されている。
【0037】
裏面アルミプレート521の一面に固定された三辺のフレーム部材532,532,532の開放した一辺側から反射プレート52を挿入部532cに挿入し、反射プレート52が完全に挿入された後に、裏面アルミプレート521の開放する一辺にフレーム部材532を取り付けて、反射プレート52を裏面アルミプレート531に固定する。
【0038】
その後、
図11に示すように、フレーム部材532のうち三辺のフレーム部材532,532,532に押縁部材533,533,533を取り付ける。なお、フレーム部材532の上壁部532bと押縁部材533の保持部533bとの間にシール部材534を配置しておく。
【0039】
三辺に押縁部材533,533,533が取付けられた支持プレート53の開放した一辺側から太陽光パネル51を保持溝533cに挿入し、太陽光パネル51が完全に挿入された後に、押縁部材533,533,533の開放する一辺に押縁部材533を取り付けて、太陽光パネルユニット5の組み立てを完了する。
【0040】
そして、組み立てられた太陽光パネルユニット5は、
図6(a),
図7(a)に示すように、四周に框組された框体に対して屋内側より立て込まれ、裏面アルミプレート531の裏面よりビス等の固定手段によって框体に固定することで、太陽光パネルユニット5を装着した障子2が形成される。この時、各框材21,22,23,24のガラス間口21a,22a,23a,24aに合成樹脂製のスペーサ91,92,93,94を挿入しておくことで太陽光パネルユニット5を安定して取り付けることができる。
【0041】
以上の本実施形態の自然換気窓は、
図3に示すように、風力によって障子2が自然に開閉し、電気的な動力を必要とすることなく、部屋の高い位置に形成された窓を開閉して換気することができる。
また、本実施形態の自然換気窓は、悪天候時には、風速センサ81、降雨センサ82等の出力情報に基づいて開閉アーム4が回動され、窓を強制的に閉鎖したり、開閉角度を制限したりすることができる。
【0042】
また、本実施形態の自然換気窓は、障子2に太陽光パネルユニット5が配置されているので、障子2に当たる太陽光によって発電することができ、発電した電気によって開閉アーム4の駆動モータ85を駆動する電力を供給することができるので、商用電源86の使用を抑えながら、悪天候時の強制閉鎖制御ができる自然換気窓を提供することができる。
なお、開閉アーム4を駆動する駆動モータ85を商用電源86からの電力によって駆動してもよいことはいうまでもない。
【0043】
ここで、自然換気窓の障子に配置する太陽光パネル51は、
図9(a)に示すように、決まった寸法の複数のセル511を並べて形成されているが、障子2の寸法は一様ではなく、また、太陽光パネル51は、端部を押縁部材533によって挟み込むことで太陽光パネルユニット5に固定されるので、太陽光パネル51の周辺部にセル511を配置することが難しい。
そのため、太陽光パネルユニット5の周辺部分に当たった太陽光は無駄になってしまう。
【0044】
そこで、本実施形態の太陽光パネルユニット5は、太陽光パネル51に配置するセルとして両面受光タイプのセルを採用すると共に、太陽光パネルユニット5の周辺部分に当たる太陽光を太陽光パネル51の裏面に取り込んでセルの裏面に当てることができるように構成されている。
【0045】
そのために、本実施形態の太陽光パネルユニット5は、
図3,
図6に示すように、太陽光パネル51に対して間隔を置いて平行に反射プレート52が配置されており、反射プレート52の中央の平面部52aの外周に湾曲部52bが形成されている。
【0046】
そして、
図12(a)、(b)に示すように、自然換気窓が開閉した状態と閉鎖した状態との両方の状態において、太陽光パネルユニット5の周辺部分51bに当たる太陽光L1~L4は、太陽光パネル51の透明な部材を通過して太陽光パネル51の裏面に取り込まれ、反射プレート52の湾曲部52bによって反射させて両面受光タイプのセル511の裏面に当てることができる。
さらに反射プレート52の中央部分の平面部52aにセル511に対応するように反射レンズ(凸レンズ)522が配置されており、湾曲部52bで反射した太陽光L1~L4を無駄なく太陽光パネル51のセル511の裏面に当てることができる。
【0047】
その時、反射プレート52の湾曲部52bは、反射プレート52の四隅52cにおいてスムーズに連続しているので、太陽光パネルユニット5の隅に当たる太陽光までセル511の裏面に向けて反射させることができ、より多くの太陽光を取り込むことができる。
【0048】
また、太陽光パネル51のセル511の隙間に当たる太陽光L5についても、透明な部材を通過させて太陽光パネル51の裏面に取り込むことができ、反射レンズ522によって無駄なく太陽光パネル51のセル511の裏面に当てることができる。
【0049】
以上のように、本実施形態の自然換気窓は、風と太陽光などの自然エネルギーによって屋外の状況に応じた自然換気を行うことができる。
【0050】
そして、太陽光パネルは、同一寸法の複数のセルを用いてさまざま寸法の障子に対応させるべく、周辺部分にはセルが配置されていない太陽光パネルを用いながら、該太陽光パネルの周辺に当たる太陽光についても両面受光タイプのセルに導くことができるので、窓にあたる太陽光の大部分を無駄なく電力に変換することができる。
【0051】
なお、太陽光パネルを備えた建築部材は、窓の他に、カーテンウオールや壁材、フェンス、屋根部材等でもよいことは上述のとおりであるが、太陽の入射角度により、太陽光パネルが配置された建築部材の角度を変更したりするなどして、発電量を調節する制御を備えるように構成してもよい。
【0052】
なお、上記実施形態の太陽光パネルユニットによって発電される電力は、どのような用途に用いられてもかまわない。
その他、以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
1 :枠体
2 :障子
5 :太陽光パネルユニット
51 :太陽光パネル
511 :セル
52 :反射プレート
52a :平面部
52b :湾曲部
522 :反射レンズ