(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】無人確認入力器
(51)【国際特許分類】
E04H 6/06 20060101AFI20250319BHJP
G01V 8/12 20060101ALI20250319BHJP
【FI】
E04H6/06 Z
G01V8/12 E
(21)【出願番号】P 2021019897
(22)【出願日】2021-02-10
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】712005920
【氏名又は名称】新明和パークテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】児島 尚幸
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-084753(JP,A)
【文献】特開2004-184698(JP,A)
【文献】特開2002-051901(JP,A)
【文献】特開2009-191573(JP,A)
【文献】特開2017-125395(JP,A)
【文献】特開2009-032571(JP,A)
【文献】特開2017-203348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/44
G01V 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体駐車装置の前面側から操作可能な位置に設置され、立体駐車装置の内部及び近傍の無人確認が行われたことを示す無人確認入力が行われる無人確認入力器であって、
接近した物体を検知することで、前記無人確認入力を受けるセンサと、
該センサを収容する筐体と、
該筐体の、少なくとも前記センサの検知入力に係る部分に、異物が付着することを抑制する付着抑制構造と、を含
み、
前記付着抑制構造は、前記筐体の前記検知入力に係る部分を含む面が、斜め下方ないし下方に向けられることで形成されていることを特徴とする無人確認入力器。
【請求項2】
立体駐車装置の前面側から操作可能な位置に設置され、立体駐車装置の内部及び近傍の無人確認が行われたことを示す無人確認入力が行われる無人確認入力器であって、
接近した物体を検知することで、前記無人確認入力を受けるセンサと、
該センサを収容する筐体と、
該筐体の、少なくとも前記センサの検知入力に係る部分に、異物が付着することを抑制する付着抑制構造と、を含み、
前記付着抑制構造として、前記筐体の前記検知入力に係る部分の上方に、前記筐体から突出した庇が形成されていることを特徴とする無人確認入力器。
【請求項3】
前記センサは、接近した物体を所定時間以上に検知した場合に、前記無人確認入力が行われたと認識するように設定されることを特徴とする請求項1又は2記載の無人確認入力器。
【請求項4】
前記無人確認入力が必要な場合に明滅し、前記無人確認入力が行われるとより高速に明滅した後に消灯するように制御される、表示灯を更に含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の無人確認入力器。
【請求項5】
前記センサが、拡散反射型の光電センサであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の無人確認入力器。
【請求項6】
車両が入出庫される入出庫位置に移動可能な複数のパレットと、前記入出庫位置への進入を制限する開閉ゲートと、利用者により操作される操作盤とを含む立体駐車装置であって、
請求項1から5のいずれか1項記載の無人確認入力器が、立体駐車装置の正面視で、前記入出庫位置にある各パレットを挟む複数の位置のうち、前記操作盤が設置された位置を除いた各位置、或いは全ての位置に設置されていることを特徴とする立体駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体駐車装置に設置される無人確認入力器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のパレットや開閉ゲートなどを有する機械式の立体駐車装置では、特に開閉ゲートを閉める前に、立体駐車装置内やその近傍の無人確認を行う必要がある。このため、立体駐車装置には、無人確認が行われたことを把握するための無人確認入力器が設置されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、近年、感染症対策などの一環として、様々な操作を非接触で行うことが望まれている。しかしながら、従来の立体駐車装置は、利用者により操作される操作盤については、例えばICカードなどが用いられた非接触操作に対応したものがあるものの、無人確認入力器については、依然としてボタン押下による接触操作が行われていた。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、立体駐車装置の無人確認入力を非接触で行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。そのため、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)立体駐車装置の前面側から操作可能な位置に設置され、立体駐車装置の内部及び近傍の無人確認が行われたことを示す無人確認入力が行われる無人確認入力器であって、接近した物体を検知することで、前記無人確認入力を受けるセンサと、該センサを収容する筐体と、該筐体の、少なくとも前記センサの検知入力に係る部分に、異物が付着することを抑制する付着抑制構造と、を含む無人確認入力器。
【0007】
本項に記載の無人確認入力器は、立体駐車装置の内部や近傍の無人確認が行われたことを示す無人確認入力が行われるものであり、センサ、筐体、及び付着抑制構造を含んでいる。センサは、ここでは利用者の手などが想定される、無人確認入力器に接近した物体を検知し、それを以って無人確認入力が行われたと認識するものであり、その検知結果が立体駐車装置の制御部などに送信される。筐体は、センサを収容すると共に、無人確認入力器のその他の部材が収容或いは取り付けられるものである。このため、筐体には、内部に収容されたセンサによる検知を妨げないような、センサの検知入力に係る部分が設けられる。そして、付着抑制構造は、筐体に設けられた上記のようなセンサの検知入力に係る部分に対して、例えば埃や雪などの異物が付着することを抑制するものである。これにより、筐体の検知入力に係る部分に付着した異物が、センサによって利用者の手などと認識されて誤検知されてしまうことが抑制されるものとなる。このため、センサの検知精度が高められながら、無人確認入力が非接触で行われるものとなる。
【0008】
(2)上記(1)項において、前記付着抑制構造は、前記筐体の前記検知入力に係る部分を含む面が、斜め下方ないし下方に向けられることで形成されている無人確認入力器(請求項1)。
本項に記載の無人確認入力器は、筐体の検知入力に係る部分への異物の付着を抑制する付着抑制構造が、筐体自体の形状によって実現されるものである。すなわち、筐体の検知入力に係る部分を含む面が、斜め下方ないし下方に向けられることで、検知入力に係る部分よりも上方に位置する筐体の部位が庇のような役割を果たし、筐体の上方から接近する異物がそれに遮られて検知入力に係る部分に接近し難くなる。更に、異物が接近したとしても、検知入力に係る部分を含む面が斜め下方ないし下方を向いているため、重力の影響で付着し難くなる。これにより、異物の付着が効率的に抑制され、非接触による無人確認入力の検知精度がより向上されるものである。
(3)上記(1)項において、前記付着抑制構造として、前記筐体の前記検知入力に係る部分の上方に、前記筐体から突出した庇が形成されている無人確認入力器(請求項2)。
本項に記載の無人確認入力器は、筐体の検知入力に係る部分への異物の付着を抑制する付着抑制構造として、筐体の検知入力に係る部分の上方に、筐体から突出した庇が形成されたものである。これによって、異物の付着が効率的に抑制され、非接触による無人確認入力の検知精度がより向上されるものである。
【0009】
(4)上記(2)(3)項において、前記センサは、接近した物体を所定時間以上に検知した場合に、前記無人確認入力が行われたと認識するように設定される無人確認入力器(請求項3)。
本項に記載の無人確認入力器は、接近した物体を所定時間以上に検知した場合に限り、無人確認入力が行われたと認識するように、センサが設定されるものである。これにより、例えば落ち葉などの浮遊物や生き物などが、検知入力に係る部分の前を通過したことで誤検知されることが防止されるため、非接触による無人確認入力の検知精度がより一層向上されるものである。
【0010】
(5)上記(2)から(4)項において、前記無人確認入力が必要な場合に明滅し、前記無人確認入力が行われるとより高速に明滅した後に消灯するように制御される、表示灯を更に含む無人確認入力器(請求項4)。
本項に記載の無人確認入力器は、例えば立体駐車装置の制御部などにより制御される表示灯を更に含むものである。この表示灯は、無人確認入力が必要な場合に明滅するように制御され、その状態で無人確認入力が行われると、より高速(より速い間隔)で明滅した後に消灯するように制御される。これにより、無人確認入力が必要であることや、利用者の手などがセンサにより検知されて無人確認入力が正常に行われたことが、利用者に対して分かり易く通知されるものとなる。
【0011】
(6)上記(2)から(5)項において、前記センサが、拡散反射型の光電センサである無人確認入力器(請求項5)。
本項に記載の無人確認入力器は、無人確認入力を受けるセンサが、投光部と受光部とが一体に形成された拡散反射型の光電センサであることで、センサの省スペース化が図られながらも、特定の距離まで接近した物体が精度よく検知されるものとなる。
【0012】
(7)車両が入出庫される入出庫位置に移動可能な複数のパレットと、前記入出庫位置への進入を制限する開閉ゲートと、利用者により操作される操作盤とを含む立体駐車装置であって、上記(2)から(6)項のいずれか1項記載の無人確認入力器が、立体駐車装置の正面視で、前記入出庫位置にある各パレットを挟む複数の位置のうち、前記操作盤が設置された位置を除いた各位置、或いは全ての位置に設置されている立体駐車装置(請求項6)。
本項に記載の立体駐車装置は、複数のパレット、開閉ゲート、及び操作盤に加えて、立体駐車装置の前面側から操作可能な位置に設置される上述したような無人確認入力器を備えたものである。具体的には、立体駐車装置の正面視で、車両が入出庫される入出庫位置にある各パレットを挟む複数の位置のうち、立体駐車装置の操作盤が設置された位置を除いた各位置、或いは、上記の複数の全ての位置に、無人確認入力器が設置されている。
【0013】
すなわち、操作盤が非接触で操作可能であり、そこに無人確認入力が行われる機能が含まれる場合は、そのような操作盤と無人確認入力器とが、入出庫位置にある各パレットを挟むような位置に設置されればよい。又、無人確認入力が無人確認入力器に対してのみ行われる場合には、無人確認入力器が入出庫位置にある各パレットを挟むような位置に設置されればよい。これにより、開閉ゲートの閉操作前などに行われるべき無人確認及び無人確認入力が、開かれた開閉ゲートの位置などに応じて必要な全ての位置で行われることになるため、安全性がより高められるものとなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明はこのように構成したので、立体駐車装置の無人確認入力を非接触で行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係る無人確認入力器を示す側面図及び正面図である。
【
図2】
図1の無人確認入力器を備えた、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は、同一符号で示している。又、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る無人確認入力器10の構成の一例を示しており、内部構成の一部分を透過して図示している。この無人確認入力器10は、立体駐車装置30(
図2参照)の内部や近傍の、無人確認が行われたことを示す無人確認入力が行われるものであって、図示のように、センサ12、筐体14、表示灯24、及びブラケット26などを含んでいる。
【0017】
センサ12は、無人確認入力器10に接近した物体を検知し、それによって無人確認入力を受けるものであり、筐体14の内部に収容されている。センサ12は、本実施形態では拡散反射型の光電センサによって構成されており、その投光部12a及び受光部12bが筐体14の前面14aから外側に向けられるように、ブラケット26によって筐体14の内部で支持されている。表示灯24は、点灯や明滅によって、取り付け先の無人確認入力器10に対して無人確認入力が行われるべきことや、無人確認入力が正常に行われたことを、立体駐車装置30の利用者に対して通知するためのものである。表示灯24は、その点灯部分が筐体14の外側から確認できるように、筐体14の前面14aに取り付けられており、例えばLED表示灯などで構成される。
【0018】
センサ12及び表示灯24は、立体駐車装置30の制御を担う制御部などと、図示しないコネクタなどを介して電気的に接続されている。このため、センサ12による物体の検知結果などが立体駐車装置30の制御部に送信され、表示灯24の点灯/消灯や明滅が制御部によって制御される。又、センサ12は、接近した物体を所定時間以上にわたって検知した場合に、無人確認入力が行われたと認識するように設定されており、このような設定が、センサ12自体に或いはセンサ12に接続された立体駐車装置30の制御部などによって行われている。そのような所定時間には、無人確認入力器10が設置される立体駐車装置30の周囲環境などに応じた適切な時間が利用される。
【0019】
筐体14は、無人確認入力器10の外郭をなし、上述したようにセンサ12及び表示灯24などが収容又は取り付けられるものである。本実施形態の筐体14は、
図1における上下に位置する上面及び下面と、
図1(a)における左右に位置する後面14c及び前面14aと、
図1(b)における左右に位置する両側面とを有する箱型をなしており、特に前面14aが斜め下方を向くように傾斜して設けられている。このため、上述したように、投光部12a及び受光部12bが筐体14の前面14aに向けられたセンサ12と、筐体14の前面14aに取り付けられた表示灯24とは、筐体14の前面14aに沿って傾いて設置されている。
【0020】
又、筐体14の前面14aには、センサ12の設置位置に対応した位置に切欠き14bが形成されており、本実施形態では前面14aの下端からセンサ12の設置位置よりも上側にわたって、逆U字状をなす切欠き14bが設けられている。そして、その切欠き14bを筐体14の内側から覆うようにして、例えばアクリル製などの透明パネル22が、筐体14の前面14aに沿って傾いて取り付けられている。このような構造により、筐体14の外部に位置する物体を筐体14の内部にあるセンサ12により検知するための、筐体14の、センサ12の投光部12a及び受光部12bが向けられた検知入力に係る部分16が、透明パネル22及び切欠き14bを介して前面14aに形成される。このため、筐体14の検知入力に係る部分16は、筐体14の前面14aと共に斜め下方に向けられることとなり、これによって検知入力に係る部分16に異物が付着することが抑制される付着抑制構造20が形成されている。
【0021】
ここで、上記のような構成の無人確認入力器10の動作について簡単に説明すると、無人確認が必要な状況で、立体駐車装置30の制御部などによって表示灯24が本実施形態では明滅され、それを確認した立体駐車装置30の利用者が、立体駐車装置30の内部や近傍の無人確認を行う。そして、無人確認を行った利用者が、無人確認入力を行うために、筐体14の検知入力に係る部分16に向けて手などを接近させ、それが予め設定された所定時間以上にセンサ12により検知された場合に、その検知結果を受けた立体駐車装置30の制御部などにより、無人確認入力が行われたと認識される。すると、明滅していた表示灯24が、立体駐車装置30の制御部などによって、より高速で明滅された後に消灯される。
【0022】
続いて、
図2には、
図1に示した無人確認入力器10を備えた、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置30の構造の一例を示している。図示のように、立体駐車装置30は、複数の支柱42a~42hと複数の梁44とによって構成された略矩形の構造体に、複数のパレット32が移動可能に支持された構造である。
図2の実施形態において、立体駐車装置30は、地上4段3連基(
図2中上下方向に4段、左右方向に3列)の構造であり、複数のパレット32として、9基のパレット32a~32iを備えている。更に、立体駐車装置30は、開閉ゲート34(34a~34c)、操作盤36、複数の光電センサ52(52A~52H)、及び3つの無人確認入力器10などを備えている。
【0023】
複数のパレット32a~32iのうち、32b、32cは、車両を入出庫する高さ位置で横行移動のみ行い、32d~32gは、立体駐車装置30の利用者による呼び出し操作に応じて、車両を入出庫可能な入出庫位置(
図2において、パレット32a~32cがある位置)まで、高さ方向及び並列方向に移動可能なものである。一方、パレット32a、32h、32iは、昇降のみ行うものである。又、開閉ゲート34a~34cの各々は、その後面側の入出庫位置に所望のパレット32が呼び出された後に開かれ、車両の入出庫が終わった後に、利用者の操作により閉じられるものである。
図2の実施形態では、開閉ゲート34a~34cは、支柱レール46a~46dの夫々の間に、上下方向に移動可能に案内支持されている。
【0024】
操作盤36は、立体駐車装置30の各操作を行うための入力が行われるものであり、例えばタッチパネル方式で、開閉ゲート34の開閉操作や、パレット32の呼び出し操作などが入力され、例えば利用者が所有する電源キーなどによって、その電源が投入及び切断されるようになっている。更に、操作盤36は、立体駐車装置30の利用者により携帯されるICカードなどの外部記憶媒体から、非接触で情報を読み取ることなどによって、電源の投入及び切断や各種の操作が、非接触で行われるようにもなっている。又、本実施形態の操作盤36は、無人確認入力器10と同様に、無人確認が行われたことを示す無人確認入力を受ける機能を有しており、無人確認入力がタッチパネル方式などの接触操作で、或いはICカードなどを利用した非接触操作で行われる。
【0025】
複数の光電センサ52は、車両を入出庫する高さにある各パレット32の周辺の物体を検知するものであり、本実施形態では、8つの光電センサ52A~52Hを含んでいる。
図2には、車両を入出庫する高さにある3基のパレット32a~32cの周辺に、各組が光電センサ52を構成する投光部54と受光部56との複数の組を図示している。すなわち、
図2に示すように、開閉ゲート34の前面側(図中右手前側)を検知する光電センサ52として、支柱レール46a、46dに、侵入検知用センサ52Aを構成する投光部54a及び受光部56aと、乗越え検知用センサ52Bを構成する投光部54b及び受光部56bとが設置されている。又、開閉ゲート34の後面側(図中左奥側)を検知する光電センサ52として、支柱42a、42dに、ゲート後面センサ52Cを構成する投光部54c及び受光部56cが設置されている。
【0026】
又、3基のパレット32a~32cの後部側(図中左奥側)を検知する光電センサ52として、支柱42e、42hに、後部センサ52Dを構成する投光部54d及び受光部56dが設置されている。更に、パレット32a~32cの各々の側部を検知する光電センサ52として、支柱42a~42hに、側部センサ52E~52Hが設置されている。より詳しくは、支柱42e及び42aに、側部センサ52Eの投光部54e及び受光部56eが、支柱42f及び42bに、側部センサ52Fの投光部54f及び受光部56fが、支柱42g及び42cに、側部センサ52Gの投光部54g及び受光部56gが、そして、支柱42h及び42dに、側部センサ52Hの投光部54h及び受光部56hが、夫々設置されている。なお、
図2には、各光電センサ52による検知範囲を破線で示している。
【0027】
無人確認入力器10は、立体駐車装置30の正面視で、入出庫位置にある3つの各パレット32(
図2の状態ではパレット32a、32b、32c)を挟む4つの位置のうち、操作盤36が設置された位置を除いた位置に設置されている。すなわち、
図2の実施形態では、上記の4つの位置に立設された4本の支柱レール46a~46dのうち、支柱レール46bに操作盤36が設置され、その他の支柱レール46a、46c、及び46dの各々に無人確認入力器10が設置されている。無人確認入力器10の各々は、立体駐車装置30の前面側から操作されるように、
図1も参照して、筐体14の後面14cが支柱レール46に沿って取り付けられ、筐体14の前面14aが立体駐車装置30の前面側に向けられている。
【0028】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る無人確認入力器10は、立体駐車装置30の内部や近傍の無人確認が行われたことを示す無人確認入力が行われるものであり、
図1に示すように、センサ12、筐体14、及び付着抑制構造20を含んでいる。センサ12は、ここでは利用者の手などが想定される、無人確認入力器10に接近した物体を検知し、それを以って無人確認入力が行われたと認識するものであり、その検知結果が立体駐車装置30の制御部などに送信される。
【0029】
筐体14は、センサ12を収容すると共に、無人確認入力器10のその他の部材が収容或いは取り付けられるものである。このため、筐体14には、内部に収容されたセンサ12による検知を妨げないような、センサ12の検知入力に係る部分16が設けられる。そして、付着抑制構造20は、筐体14に設けられた上記のようなセンサ12の検知入力に係る部分16に対して、例えば埃や雪などの異物が付着することを抑制するものである。これにより、筐体14の検知入力に係る部分16に付着した異物を、センサ12によって利用者の手などと認識して誤検知してしまうことを抑制することができる。このため、センサ12の検知精度を高めながら、無人確認入力を非接触で行うことが可能となる。
【0030】
又、本発明の実施の形態に係る無人確認入力器10は、筐体14の検知入力に係る部分16への異物の付着を抑制する付着抑制構造20が、筐体14自体の形状によって実現されるものである。すなわち、筐体14の検知入力に係る部分16を含む前面14aが、斜め下方に向けられることで、検知入力に係る部分16よりも上方に位置する筐体14の部位が庇のような役割を果たし、筐体14の上方から接近する異物がそれに遮られて検知入力に係る部分16に接近し難くなる。更に、異物が接近したとしても、検知入力に係る部分16を含む前面14aが斜め下方を向いているため、重力の影響で付着し難くなる。これにより、異物の付着を効率的に抑制することができ、非接触による無人確認入力の検知精度をより向上させることができる。
【0031】
加えて、本発明の実施の形態に係る無人確認入力器10は、例えば立体駐車装置30の制御部などにより制御される表示灯24を更に含むものである。この表示灯24は、無人確認入力が必要な場合に明滅するように制御され、その状態で無人確認入力が行われると、より高速で明滅した後に消灯するように制御される。これにより、無人確認入力が必要であることや、利用者の手などがセンサ12により検知されて無人確認入力が正常に行われたことを、利用者に対して分かり易く通知することが可能となる。
【0032】
更に、本発明の実施の形態に係る無人確認入力器10は、接近した物体を所定時間以上に検知した場合に限り、無人確認入力が行われたと認識するように、センサ12が設定されるものである。これにより、例えば落ち葉などの浮遊物や生き物などを、それらが検知入力に係る部分16の前を通過したとしても誤検知することを防止することができるため、非接触による無人確認入力の検知精度をより一層向上させることが可能となる。
しかも、本発明の実施の形態に係る無人確認入力器10は、無人確認入力を受けるセンサ12が、投光部12aと受光部12bとが一体に形成された拡散反射型の光電センサであることで、センサ12の省スペース化を図りながらも、特定の距離まで接近した物体を精度よく検知することができる。
【0033】
ここで、本発明の実施の形態に係る無人確認入力器10は、
図1のような構成に限定されるものではなく、別の構成も取り得るものである。例えば、付着抑制構造20は、筐体14の検知入力に係る部分16に異物が付着することが抑制されるものであれば、筐体14の前面14aが斜め下方に向けられている構造に替えて又は加えて、検知入力に係る部分16の上方に前面14aから突出した庇が形成されたものであってもよい。このような庇があれば、筐体14の検知入力に係る部分16に、雨や溶けた雪などが伝っていくことも抑制することができる。又、特に乗越え検知用センサ52B(投光部54b及び受光部56b)による誤検知の制約などがなければ、筐体14の検知入力に係る部分16が下方に向けられていてもよい。更に、センサ12は、拡散反射型の光電センサに限らず、無人確認入力器10に接近した物体を検知できるものであれば、任意のセンサが採用されてもよい。又、表示灯24の明滅などの制御も上述した内容に限定されるものではなく、例えば、無人確認入力が必要な場合に点灯されてもよく、無人確認入力が行われると消灯するように制御されてもよい。
【0034】
一方、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置30は、
図2に示すように、複数のパレット32、開閉ゲート34、及び操作盤36に加えて、立体駐車装置30の前面側から操作可能な位置に設置される上述したような無人確認入力器10を備えたものである。具体的には、立体駐車装置30の正面視で、車両が入出庫される入出庫位置にある各パレット32を挟む複数の位置のうち、非接触で無人確認入力などの操作が可能な操作盤36が設置された位置を除いた各位置に、無人確認入力器10が設置されている。これにより、開閉ゲート34の閉操作前などに行われるべき無人確認及び無人確認入力を、開かれた開閉ゲート34の位置などに応じて必要な全ての位置で行うことができるため、安全性をより高めることができる。
【0035】
なお、無人確認入力器10を備える本発明の実施の形態に係る立体駐車装置30も、
図2に示したような構造に限定されるものではない。すなわち、立体駐車装置30は、高さ方向(
図2の上下方向)や並列方向(
図2の左右方向)により多くの(又はより少ない)パレット32を備えた構成であってもよく、地上だけではなく地下にパレット32を備えた構成であってもよい。又、パレット32が並列方向には移動せずに、高さ方向の列毎に連動して高さ方向のみに移動するものであってもよい。更に、高さ方向や並列方向だけではなく、前後方向(
図2の右手前から左奥方向)に複数列のパレット32を備えた構成であってもよい。加えて、立体駐車装置30が備える光電センサ52も、
図1及び
図2の実施例に限定されるものではなく、より多くの(又はより少ない)光電センサ52を備えていてもよく、各光電センサ52が設置される位置も任意である。又、操作盤36が非接触操作に対応していない場合などは、無人確認入力器10が入出庫位置にある各パレット32を挟むような全ての位置に設置されてもよい。
【符号の説明】
【0036】
10:無人確認入力器、12:センサ、14:筐体、14a:前面、16:検知入力に係る部分、20:付着抑制構造、30:立体駐車装置、32(32a~32i):パレット、34(34a~34c):開閉ゲート、36:操作盤