(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】電動作業機
(51)【国際特許分類】
A01D 34/78 20060101AFI20250319BHJP
H02K 29/08 20060101ALI20250319BHJP
H02K 1/22 20060101ALI20250319BHJP
H02K 1/16 20060101ALI20250319BHJP
H02K 21/22 20060101ALI20250319BHJP
A01D 34/68 20060101ALI20250319BHJP
A01D 34/90 20060101ALI20250319BHJP
A01D 34/30 20060101ALI20250319BHJP
A01G 3/04 20060101ALI20250319BHJP
【FI】
A01D34/78 Z
H02K29/08
H02K1/22 A
H02K1/16
H02K21/22 M
A01D34/68 Z
A01D34/90 B
A01D34/30 Z
A01G3/04 501C
(21)【出願番号】P 2021114139
(22)【出願日】2021-07-09
【審査請求日】2024-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 淳哉
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-111738(JP,A)
【文献】特開2020-022326(JP,A)
【文献】特開2007-259513(JP,A)
【文献】特開2009-136076(JP,A)
【文献】国際公開第2017/130580(WO,A1)
【文献】特開2019-198158(JP,A)
【文献】特開2013-128341(JP,A)
【文献】特開2006-197786(JP,A)
【文献】特開2015-130724(JP,A)
【文献】特開2012-175752(JP,A)
【文献】特開2000-134893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/00-34/90
A01D 42/00-43/16
H02K 1/00-1/34
H02K 21/00-21/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータコア及び前記ロータコアに固定される永久磁石を有するロータと、ステータコア、前記ステータコアに固定されるインシュレータ、及び前記インシュレータに装着されるコイルを有するステータと、を有
し、アウターロータ型であるブラシレスモータと、
前記永久磁石の磁束を検出して前記ロータの回転方向の位置を検出する磁気センサと、
前記磁気センサの検出信号に基づいて通電する前記コイルを制御するコントローラと、
前記ロータにより駆動される出力部と、を備え、
前記永久磁石は、ネオジウム焼結板磁石であり、
前記永久磁石の数を示す極数をN、前記ロータに対向する前記ステータコアの対向面における前記ステータコアの直径を示すステータ直径をx[mm]とした場合、
前記ロータコアの質量と前記永久磁石の質量と前記ステータコアの質量と前記コイルの質量との和であるモータ質量が許容値よりも小さく、且つ、前記磁気センサによる前記ロータの検出精度が電気角±7.5度の誤差を下回るように、
0.16x+2.5 <N <0.23x+3.6、
の条件を満足する、
電動作業機。
【請求項2】
バッテリ装着部を備え、
前記コイルに供給される電力を出力するバッテリパックが前記バッテリ装着部に装着され、
前記ブラシレスモータは、3相モータであり、
少なくとも720[W]の電力を前記コイルに連続入力した場合において、前記コイルの線間抵抗を
49[mΩ]以下のR[mΩ]、前記バッテリパックの定格電圧をV[V]とした場合、
R/V
2 ≦ 0.038、
の条件を満足する、
請求項1に記載の電動作業機。
【請求項3】
前記永久磁石の数を示す極数は、28であり、前記コイルの数を示すスロット数は、24であり、
ロータ外径は、105[mm]以上125[mm]以下である、
請求項1
又は請求項
2に記載の電動作業機。
【請求項4】
前記
ロータ外径は、110[mm]以上120[mm]以下である、
請求項
3に記載の電動作業機。
【請求項5】
前記ステータコアは、前記インシュレータを介して前記コイルが巻かれるティースを有し、
ティース幅は、4[mm]以上8[mm]以下である、
請求項
3又は請求項
4に記載の電動作業機。
【請求項6】
前記永久磁石の厚みを示す磁石厚は、1.5[mm]以上3.5[mm]以下である、
請求項
3から請求項
5のいずれか一項に記載の電動作業機。
【請求項7】
前記永久磁石は、前記ロータコアの内周面に固定される、
請求項
3から請求項
5のいずれか一項に記載の電動作業機。
【請求項8】
前記永久磁石は、接着剤により前記ロータコアに固定される、
請求項
7に記載の電動作業機。
【請求項9】
前記ロータに固定されるロータシャフトを備え、
前記出力部は、前記ロータシャフトに固定される、
請求項
3から請求項
8のいずれか一項に記載の電動作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動作業機に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような電動作業機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動作業機の動力源としてブラシレスモータを使用する場合、ブラシレスモータの軽量化又は小型化が要望される。
【0005】
本明細書で開示する技術は、電動作業機の動力源に使用されるブラシレスモータを軽量化又は小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、電動作業機を開示する。電動作業機は、ロータ及びステータを有するブラシレスモータと、磁気センサと、コントローラと、ロータにより駆動される出力部と、を備えてもよい。ロータは、ロータコア及びロータコアに固定される永久磁石を有してもよい。ステータは、ステータコア、ステータコアに固定されるインシュレータ、及びインシュレータに装着されるコイルを有してもよい。磁気センサは、永久磁石の磁束を検出してロータの回転方向の位置を検出してもよい。コントローラは、磁気センサの検出信号に基づいて通電するコイルを制御してもよい。永久磁石は、ネオジウム焼結板磁石でもよい。永久磁石の数を示す極数をN、ロータに対向するステータコアの対向面におけるステータコアの直径を示すステータ直径をx[mm]とした場合、
0.16x+2.5 <N <0.23x+3.6、
の条件を満足してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、電動作業機の動力源に使用されるブラシレスモータが軽量化又は小型化される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電動作業機を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るモータを示す下方からの斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るモータを示す下方からの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るモータを示す上方からの斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るモータを示す上方からの分解斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るモータを示す正面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るモータを示す縦断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るモータを示す横断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るロータ及びステータを上方から見た図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るロータを上方から見た図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係るロータを示す横断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係るステータを上方から見た図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係るステータを示す横断面図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る電動作業機を示す模式図である。
【
図15】
図15は、実施例及び比較例に係るモータを説明するための図である。
【
図16】
図16は、実施例及び比較例に係るモータのステータ直径と極数との関係を示す図である。
【
図17】
図17は、電動作業機の動力源に使用されるモータの各部位の寸法を説明するための図である。
【
図18】
図18は、実施例及び比較例に係るモータのロータ外径とモータ質量と極数及びスロット数との関係を示す図である。
【
図19】
図19は、実施例に係るモータのステータ外径とモータ質量とロータ外径との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動作業機は、ロータ及びステータを有するブラシレスモータと、磁気センサと、コントローラと、ロータにより駆動される出力部と、を備えてもよい。ロータは、ロータコア及びロータコアに固定される永久磁石を有してもよい。ステータは、ステータコア、ステータコアに固定されるインシュレータ、及びインシュレータに装着されるコイルを有してもよい。磁気センサは、永久磁石の磁束を検出してロータの回転方向の位置を検出してもよい。コントローラは、磁気センサの検出信号に基づいて通電するコイルを制御してもよい。永久磁石は、ネオジウム焼結板磁石でもよい。永久磁石の数を示す極数をN、ロータに対向するステータコアの対向面におけるステータコアの直径を示すステータ直径をx[mm]とした場合、
0.16x+2.5 <N <0.23x+3.6、
の条件を満足してもよい。
【0010】
上記の構成では、[0.16x+2.5 <N]の条件を満足することにより、ブラシレスモータが軽量化及び小型化される。[N < 0.23x+3.6]の条件を満足することにより、磁気センサ51の検出精度の低下が抑制される。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動作業機は、バッテリ装着部を備えてもよい。コイルに供給される電力を出力するバッテリパックがバッテリ装着部に装着されてもよい。ブラシレスモータは、3相モータでもよい。コイルの線間抵抗をR[mΩ]、バッテリパックの定格電圧をV[V]とした場合、
R/V2 ≦ 0.038、
の条件を満足してもよい。
【0012】
上記の構成では、ブラシレスモータに電力を連続入力しても、コイルの焼損が抑制される。したがって、電動作業機は所期の性能を発揮することができる。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動作業機は、ロータ及びステータを有するブラシレスモータと、ロータにより駆動される出力部と、を備えてもよい。ロータは、ロータコアと、ロータコアに固定される永久磁石と、を有してもよい。ステータは、ステータコアと、ステータコアに固定されるインシュレータと、インシュレータに装着されるコイルと、を有してもよい。永久磁石の数を示す極数は、28でもよい。コイルの数を示すスロット数は、24でもよい。
【0014】
上記の構成では、極数が28でありスロット数が24なので、コイルが発生する磁束が分散され、永久磁石が小型化及び薄型化される。これにより、ブラシレスモータが軽量化又は小型化される。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ブラシレスモータは、アウターロータ型でもよい。
【0016】
上記の構成では、高いモータトルクが得られる。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ブラシレスモータは、アウターロータ型であり、ステータ外径は、105[mm]以上125[mm]以下でもよい。ステータ外径は、110[mm]以上120[mm]以下でもよい。
【0018】
上記の構成では、ブラシレスモータが軽量化又は小型化される。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ステータコアは、インシュレータを介してコイルが巻かれるティースを有してもよい。ティース幅は、4[mm]以上8[mm]以下でもよい。
【0020】
上記の構成では、ブラシレスモータが軽量化又は小型化される。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、永久磁石の厚みを示す磁石厚は、1.5[mm]以上3.5[mm]以下でもよい。
【0022】
上記の構成では、ブラシレスモータが軽量化又は小型化される。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、永久磁石は、ロータコアの内周面に固定されてもよい。
【0024】
上記の構成では、ブラシレスモータが小型化される。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態において、永久磁石は、接着剤によりロータコアに固定されてもよい。
【0026】
上記の構成では、簡易な構成で永久磁石がロータコアに固定される。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動作業機は、ロータに固定されるロータシャフトを備えてもよい。出力部は、ロータシャフトに固定されてもよい。
【0028】
上記の構成では、出力部は、ダイレクトドライブ方式でモータにより駆動される。
【0029】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0030】
実施形態においては、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、電動作業機の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0031】
電動作業機は、モータを有する。実施形態においては、モータの回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。モータの回転軸AXに平行な方向を適宜、軸方向、と称する。モータの回転軸AXを周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称する。
【0032】
径方向においてモータの回転軸AXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側、と称する。径方向においてモータの回転軸AXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側、と称する。
【0033】
軸方向の一方側の位置又は一方側の方向を適宜、軸方向一方側、と称する。軸方向の他方側の位置又は他方側の方向を適宜、軸方向他方側、と称する。実施形態において、軸方向は、上下方向である。軸方向一方側を上方側とみなした場合、軸方向他方側は下方側である。軸方向一方側を下方側とみなした場合、軸方向他方側は上方側である。
【0034】
周方向の一方側の位置又は一方側の方向を適宜、周方向一方側、と称し、周方向の他方側の位置又は他方側の方向を適宜、周方向他方側、と称する。
【0035】
[電動作業機]
図1は、実施形態に係る電動作業機1を示す図である。実施形態において、電動作業機1は、園芸工具(Outdoor Power Equipment)の一種である芝刈り機である。
【0036】
図1に示すように、電動作業機1は、ハウジング2と、車輪3と、モータ4と、刈刃5と、刈取りボックス6と、ハンドル7と、バッテリ装着部8とを備える。
【0037】
ハウジング2は、モータ4及び刈刃5を収容する。車輪3、モータ4、及び刈刃5のそれぞれは、ハウジング2に支持される。
【0038】
車輪3は、地面に接触した状態で回転する。車輪3が回転することにより、電動作業機1は、地面を移動することができる。車輪3は、4つ設けられる。
【0039】
モータ4は、電動作業機1の動力源である。モータ4は、刈刃5を回転させる回転力を発生する。モータ4は、刈刃5よりも上方に配置される。
【0040】
刈刃5は、モータ4に連結される。刈刃5は、モータ4により駆動される電動作業機1の出力部である。刈刃5は、モータ4が発生する回転力により、モータ4の回転軸AXを中心に回転する。刈刃5は、地面に対向する。車輪3が地面に接触している状態で、刈刃5が回転することにより、地面に生えている芝が刈られる。刈刃5により刈られた芝は、刈取りボックス6に収容される。
【0041】
ハンドル7は、電動作業機1の使用者の手で握られる。使用者は、ハンドル7を手で握った状態で、電動作業機1を移動させることができる。
【0042】
バッテリ装着部8に、バッテリパック9が装着される。バッテリパック9は、電動作業機1の電源である。バッテリパック9は、バッテリ装着部8に着脱可能である。バッテリパック9は、二次電池を含む。本実施形態において、バッテリパック9は、充電式のリチウムイオン電池を含む。バッテリパック9は、バッテリ装着部8に装着されることにより、電動作業機1に電力を供給可能である。バッテリパック9は、モータ4に供給される電力を出力する。モータ4は、バッテリパック9から供給される駆動電流に基づいて駆動する。
【0043】
[モータ]
図2は、実施形態に係るモータ4を示す下方からの斜視図である。
図3は、実施形態に係るモータ4を示す下方からの分解斜視図である。
図4は、実施形態に係るモータ4を示す上方からの斜視図である。
図5は、実施形態に係るモータ4を示す上方からの分解斜視図である。
図6は、実施形態に係るモータ4を示す正面図である。
図7は、実施形態に係るモータ4を示す縦断面図である。
図7は、
図4のA-A線断面矢視図に相当する。
図8は、実施形態に係るモータ4を示す横断面図である。
図8は、
図6のB-B線断面矢視図に相当する。実施形態において、モータ4は、アウターロータ型のブラシレスモータである。
【0044】
図2、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、及び
図8に示すように、モータ4は、ロータ10と、ロータシャフト20と、ステータ30と、ステータベース40と、センサ基板50と、モータハウジング60とを備える。
【0045】
ロータ10は、ステータ30に対して回転する。ロータ10の少なくとも一部は、ステータ30の周囲に配置される。ロータ10は、ステータ30の外周側に配置される。
【0046】
ロータシャフト20は、ロータ10に固定される。ロータ10及びロータシャフト20は、回転軸AXを中心に回転する。刈刃5は、ロータシャフト20に支持される。刈刃5は、ロータ10により駆動される。実施形態において、刈刃5は、ロータシャフト20に固定される。刈刃5は、ダイレクトドライブ方式でロータ10により駆動される。
【0047】
実施形態において、ロータ10は、1000[rpm]以上4000[rpm]以下の回転数で回転する。
【0048】
実施形態において、モータ4の回転軸AXは、上下方向に延伸する。軸方向と上下方向とは、平行である。
【0049】
ロータ10は、ロータカップ11と、ロータコア12と、永久磁石13とを有する。
【0050】
ロータカップ11は、アルミニウムを主成分とする金属製である。ロータカップ11は、プレート部11Aと、ヨーク部11Bとを有する。
【0051】
プレート部11Aは、実質的に円環状である。プレート部11Aは、回転軸AXの周囲に配置される。プレート部11Aの中心軸と回転軸AXとは、一致する。プレート部11Aの中央部に開口11Cが設けられる。ロータシャフト20の少なくとも一部は、開口11Cの内側に配置される。実施形態において、ロータシャフト20の外面と開口11Cの内面との間にブッシュ14が配置される。
【0052】
ヨーク部11Bは、実質的に円筒状である。ヨーク部11Bの下端部は、プレート部11Aの周縁部に接続される。プレート部11Aとヨーク部11Bとは、一体である。ヨーク部11Bは、プレート部11Aの周縁部から上方に延びるように配置される。ヨーク部11Bは、ステータ30を囲むように配置される。ヨーク部11Bは、回転軸AXの周囲に配置される。ヨーク部11Bの中心軸と回転軸AXとは、一致する。
【0053】
ロータコア12は、軸方向に積層された複数の鋼板を含む。ロータコア12は、実質的に円筒状である。ロータコア12は、ステータ30の外周側に配置される。ロータコア12は、ロータカップ11に支持される。ロータカップ11の少なくとも一部は、ロータコア12の周囲に配置される。ロータコア12は、ヨーク部11Bよりも径方向内側に配置される。ロータコア12の周囲にヨーク部11Bが配置される。ロータコア12は、ヨーク部11Bの内周面に支持される。
【0054】
永久磁石13は、プレート状である。永久磁石13は、ネオジウム焼結板磁石である。永久磁石13は、ロータコア12に固定される。永久磁石13は、ロータコア12よりも径方向内側に配置される。永久磁石13は、ロータコア12の内周面に固定される。実施形態において、永久磁石13は、接着剤によりロータコア12の内周面に固定される。永久磁石13は、周方向に間隔をあけて複数設けられる。実施形態において、永久磁石13は、周方向に間隔をあけて28個設けられる。複数の永久磁石13は、周方向に等間隔で設けられる。N極の永久磁石13とS極の永久磁石13とが周方向に交互に配置される。
【0055】
ロータシャフト20は、軸方向に延伸する。ロータシャフト20は、ロータ10に固定される。ロータの下部は、プレート部11Aの開口11Cの内側に配置される。ロータシャフト20は、ブッシュ14を介してプレート部11Aに固定される。ロータシャフト20の上端部は、プレート部11Aの上面よりも上方に配置される。ロータシャフト20の下端部は、プレート部11Aの下面よりも下方に配置される。
【0056】
ロータシャフト20の中心軸と回転軸AXとは、一致する。ロータシャフト20は、ロータシャフト20の中心軸とヨーク部11Bの中心軸とが一致するように、ロータ10に固定される。
【0057】
ステータ30は、ステータコア31と、インシュレータ32と、コイル33とを有する。
【0058】
ステータコア31は、軸方向に積層された複数の鋼板を含む。ステータコア31は、ヨーク31Aと、ティース31Bとを有する。ヨーク31Aは、筒状である。ヨーク31Aは、回転軸AXの周囲に配置される。ヨーク31Aの外周面の中心軸と回転軸AXとは、一致する。ティース31Bは、ヨーク31Aの外周面から径方向外側に突出する。ティース31Bは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。実施形態において、ティース31Bは、24個設けられる。相互に隣接するティース31Bの間にスロットが形成される。
【0059】
インシュレータ32は、合成樹脂製である。インシュレータ32は、ステータコア31に固定される。インシュレータ32は、ステータコア31の表面の少なくとも一部を覆う。インシュレータ32は、軸方向を向くヨーク31Aの端面の少なくとも一部を覆う。ヨーク31Aの端面は、上方側を向く上端面と、下方側を向く下端面とを含む。また、インシュレータ32は、径方向外側を向くヨーク31Aの外面の少なくとも一部を覆う。また、インシュレータ32は、ティース31Bの表面の少なくとも一部を覆う。
【0060】
実施形態において、ステータコア31とインシュレータ32とは、一体成形される。インシュレータ32は、インサート成形によりステータコア31に固定される。ステータコア31が収容された金型に加熱溶融された合成樹脂が射出された後、合成樹脂が固化することにより、ステータコア31に固定されたインシュレータ32が形成される。
【0061】
コイル33は、インシュレータ32に装着される。コイル33は、インシュレータ32を介して複数のティース31Bのそれぞれに巻かれる。コイル33が巻かれるティース31Bの装着面は、インシュレータ32に覆われる。径方向外側を向くティース31Bの外面は、インシュレータ32に覆われない。ステータコア31とコイル33とは、インシュレータ32により絶縁される。コイル33は、複数設けられる。実施形態において、コイル33は、周方向に24個配置される。
【0062】
ステータベース40は、ステータ30を支持する。ステータベース40は、ステータコア31を支持する。ステータベース40は、ステータコア31に固定される。ステータベース40は、アルミニウム製である。ステータベース40は、プレート部41と、周壁部42と、パイプ部43とを有する。
【0063】
プレート部41は、実質的に円環状である。プレート部41は、回転軸AXの周囲に配置される。プレート部41は、ステータ30よりも上方に配置される。
【0064】
周壁部42は、実質的に円筒状である。周壁部42の上端部は、プレート部41の周縁部に接続される。プレート部41と周壁部42とは、一体である。周壁部42は、プレート部41の周縁部から下方に延びるように配置される。周壁部42は、ロータカップ11のヨーク部11Bを囲むように配置される。
【0065】
パイプ部43は、実質的に円筒状である。パイプ部43は、プレート部41の下面の中央部から下方に突出する。パイプ部43は、回転軸AXの周囲に配置される。パイプ部43の中心軸と回転軸AXとは、一致する。
【0066】
パイプ部43の少なくとも一部は、ステータコア31の内側に配置される。パイプ部43の中心軸とヨーク31Aの中心軸とは、一致する。
【0067】
実施形態において、パイプ部43は、小径部43Aと、小径部43Aよりも上方に配置される大径部43Bとを含む。小径部43A及び大径部43Bのそれぞれは、筒状である。大径部43Bの外径は、小径部43Aの外径よりも大きい。ステータコア31は、小径部43Aの周囲に配置される。小径部43Aは、ステータコア31の内側に配置される。大径部43Bは、ステータコア31の外側に配置される。大径部43Bは、ステータコア31よりも上方に配置される。ステータコア31は、パイプ部43に固定される。ステータベース40は、パイプ部43の中心軸とヨーク31Aの中心軸とが一致するように、ステータ30に固定される。
【0068】
モータ4は、ステータベース40とステータ30とを位置決めするモータ位置決め機構70を有する。モータ位置決め機構70は、ステータベース40とステータコア31とを位置決めする。
【0069】
実施形態において、パイプ部43の小径部43Aの外面は、ベース平面領域71を含む。ベース平面領域71は、周方向において少なくとも2箇所に設けられる。実施形態において、ベース平面領域71は、回転軸AXの前側及び後側のそれぞれに1つずつ設けられる。2つのベース平面領域71は、実質的に平行である。また、パイプ部43の小径部43Aの外面は、ベース曲面領域72を含む。ベース曲面領域72は、回転軸AXの左側及び右側のそれぞれに1つずつ設けられる。
【0070】
ステータコア31のヨーク31Aの内面は、ベース平面領域71に接触するステータ平面領域73と、ベース曲面領域72に接触するステータ曲面領域74とを含む。
【0071】
モータ位置決め機構70は、ベース平面領域71と、ベース平面領域71に接触するステータ平面領域73とを含む。また、モータ位置決め機構70は、ベース曲面領域72と、ベース曲面領域72に接触するステータ曲面領域74とを含む。
【0072】
ベース平面領域71とステータ平面領域73との接触により、周方向及び径方向のそれぞれにおいてステータベース40とステータコア31とが位置決めされる。また、ベース曲面領域72とステータ曲面領域74との接触により、周方向及び径方向のそれぞれにおいてステータベース40とステータコア31とが位置決めされる。
【0073】
パイプ部43は、小径部43Aと大径部43Bとの境界に設けられるベース支持面43Cを有する。ベース支持面43Cは、下方を向く。ベース支持面43Cは、小径部43Aの周囲に配置される。
【0074】
ベース支持面43Cは、ステータコア31の上端面に接触する。ベース支持面43Cは、ステータコア31のヨーク31Aの上端面に接触する。
【0075】
モータ位置決め機構70は、ベース支持面43Cを含む。パイプ部43に設けられたベース支持面43Cとヨーク31Aの上端面とが接触することにより、軸方向においてステータベース40とステータコア31とが位置決めされる。
【0076】
実施形態において、ステータコア31とステータベース40とは、ねじ75により固定される。ステータコア31のヨーク31Aにコアねじ開口31Cが設けられる。コアねじ開口31Cは、ヨーク31Aの上端面と下端面とを貫くように形成されたスルーホールを含む。コアねじ開口31Cは、回転軸AXの周囲に間隔をあけて複数設けられる。パイプ部43の周囲にねじボス44が配置される。ねじボス44は、大径部43Bの周囲に配置される。ねじボス44にベースねじ孔44Aが設けられる。ねじボス44は、大径部43Bの周囲に間隔をあけて複数設けられる。すなわち、ベースねじ孔44Aは、回転軸AXの周囲に間隔をあけて複数設けられる。
【0077】
コアねじ開口31C及びベースねじ孔44Aのそれぞれは、少なくとも6つ設けられる。実施形態において、コアねじ開口31C及びベースねじ孔44Aのそれぞれは、回転軸AXの周囲に等間隔で6つ設けられる。
【0078】
実施形態において、ステータコア31とステータベース40とは、6本のねじ75により固定される。ねじ75は、ステータコア31の下方からコアねじ開口31Cに挿入される。コアねじ開口31Cに挿入されたねじ75の先端部は、ねじボス44のベースねじ孔44Aに挿入される。ねじ75のねじ山とベースねじ孔44Aのねじ溝とが結合されることにより、ステータコア31とステータベース40とがねじ75により固定される。
【0079】
モータ位置決め機構70は、ステータコア31に設けられたコアねじ開口31Cを介してステータベース40に設けられたベースねじ孔44Aに挿入されるねじ75を含む。ねじ75により、ステータベース40とステータコア31とが固定される。
【0080】
パイプ部43は、ベアリング21を介してロータシャフト20を支持する。ベアリング21は、パイプ部43の内側に配置される。ロータシャフト20の上部は、パイプ部43の内側に配置される。ベアリング21は、ロータシャフト20の上部を回転可能に支持する。ロータシャフト20は、ベアリング21を介してパイプ部43に支持される。
【0081】
実施形態において、ステータベース40は、パイプ部43の上端部に配置された円環プレート部45を有する。ベアリング21の上面は、円環プレート部45の下面よりも下側に配置される。ベアリング21の上面と円環プレート部45と下面との間にウェーブワッシャ22が配置される。ベアリング21の外周面は、パイプ部43の内面に支持される。ベアリング21の上面は、ウェーブワッシャ22を介して円環プレート部45に支持される。
【0082】
センサ基板50は、ロータ10の回転を検出する磁気センサ51を支持する。センサ基板50は、ステータベース40に支持される。センサ基板50は、ステータベース40に接触する。センサ基板50は、ステータベース40に固定される。
【0083】
磁気センサ51は、ロータ10の永久磁石13を検出する。磁気センサ51は、センサ基板50に支持される。磁気センサ51は、永久磁石13の磁束を検出して、ロータ10の回転方向の位置を検出する。すなわち、磁気センサ51は、ロータ10の回転に伴う磁界の変化を検出することによって、ロータ10の回転方向の位置を検出する。センサ基板50は、永久磁石13と磁気センサ51とが対向するように、ステータベース40に支持される。センサ基板50は、コイル33よりも径方向外側に配置される。
【0084】
モータハウジング60は、ロータ10及びステータ30を収容する。モータハウジング60は、ステータベース40に接続される。モータハウジング60とステータベース40との間に形成される内部空間に、ロータ10及びステータ30が配置される。
【0085】
モータハウジング60は、プレート部61と、周壁部62と、フランジ部63とを有する。
【0086】
プレート部61は、実質的に円環状である。プレート部61は、ロータカップ11よりも下方に配置される。プレート部61の中央部にパイプ部64が設けられる。ロータシャフト20の下部は、パイプ部64の内側に配置される。
【0087】
モータハウジング60は、ベアリング23を支持する。ベアリング23は、ロータシャフト20の下部を回転可能に支持する。実施形態において、モータハウジング60は、パイプ部64の下端部に配置された円環プレート部65を有する。ベアリング23の下面は、円環プレート部65の上面よりも上側に配置される。ベアリング23の外周面は、パイプ部64の内面に支持される。ベアリング23の下面は、円環プレート部65の上面に支持される。
【0088】
周壁部62は、実質的に円筒状である。周壁部62の下端部は、プレート部61の周縁部に接続される。周壁部62は、プレート部61の周縁部から上方に突出する。周壁部62は、ロータカップ11の少なくとも一部を囲むように配置される。
【0089】
フランジ部63は、周壁部62の上端部に接続される。フランジ部63は、周壁部62の上端部から径方向外側に延びるように設けられる。フランジ部63に複数のスルーホール66が設けられる。実施形態において、スルーホール66は、周方向に間隔をあけて4つ設けられる。ステータベース40の周壁部42に複数のねじボス46が設けられる。ねじボス46は、周方向に間隔をあけて4つ設けられる。4つのねじボス46のそれぞれにねじ孔が設けられる。ステータベース40とモータハウジング60とは、4本のねじ67により固定される。ねじ67は、フランジ部63の下方からスルーホール66に挿入される。スルーホール66に挿入されたねじ67の先端部は、ねじボス46のねじ孔に挿入される。ねじ67のねじ山とねじボス46のねじ孔のねじ溝とが結合されることにより、ステータベース40とモータハウジング60とがねじ67により固定される。
【0090】
ステータベース40の周壁部42に複数の開口47が設けられる。複数の開口47のうち1つの開口47には、緩衝部材48が配置される。緩衝部材48を形成する材料として、ゴムが例示される。後述する電源線91の少なくとも一部は、開口47に配置された緩衝部材48に支持される。緩衝部材48により、電源線91の摩耗が抑制される。
【0091】
プレート部61の一部に通気路68が設けられる。通気路68は、ラビリンス構造の流路を含む。ロータシャフト20の下端部に冷却ファンが固定される場合、ロータシャフト20の回転により冷却ファンが回転する。冷却ファンが回転することにより、冷却ファンは、通気路68を介して、ステータベース40とモータハウジング60との間の内部空間の空気を吸引する。通気路68を介して空気が吸引されることにより、モータ4の周囲の空気が開口47を介して内部空間に流入する。これにより、モータ4が冷却される。
【0092】
ロータカップ11の少なくとも一部に、ロータカップ11の内側の異物を排出するための排出口15が設けられる。排出口15は、プレート部11Aに2つ設けられる。例えばロータカップ11の内側に水が浸入しても、ロータカップ11の内側に水は、排出口15からロータカップ11の外側に排出される。
【0093】
図2に示すように、モータハウジング60は、ハウジング2のデッキ200に固定されるねじボス600を有する。デッキ200にスルーホール201が設けられる。ねじボス600にねじ孔601が設けられる。ハウジング2のデッキ200とモータハウジング60とは、ねじ202により固定される。ねじ202は、デッキ200の下方からスルーホール201に挿入される。スルーホール201に挿入されたねじ202の先端部は、ねじボス600のねじ孔601に挿入される。ねじ202のねじ山とねじ孔601のねじ溝とが結合されることにより、ハウジング2のデッキ200とモータハウジング60とがねじ202により固定される。
【0094】
また、モータハウジング60は、バッフル203に固定されるねじボス602を有する。バッフル203は、モータハウジング60の内部における空気の流れを変化させる。バッフル203は、モータハウジング60の下面に対向するように配置される。バッフル203の中央部に開口203Aが形成される。ロータシャフト20は、開口203Aに挿入される。バッフル203にスルーホール204が設けられる。ねじボス602にねじ孔603が設けられる。バッフル203とモータハウジング60とは、ねじ205により固定される。ねじ205は、バッフル203の下方からスルーホール204に挿入される。スルーホール204に挿入されたねじ205の先端部は、ねじボス602のねじ孔603に挿入される。ねじ205のねじ山とねじ孔603のねじ溝とが結合されることにより、バッフル203とモータハウジング60とがねじ205により固定される。
【0095】
[ロータ及びステータ]
図9は、実施形態に係るロータ10及びステータ30を上方から見た図である。
図10は、実施形態に係るロータ10を上方から見た図である。
図11は、実施形態に係るロータ10を示す横断面図である。
図12は、実施形態に係るステータ30を上方から見た図である。
図13は、実施形態に係るステータ30を示す横断面図である。
【0096】
ロータ10は、ロータカップ11と、ロータカップ11に支持されるロータコア12と、ロータコア12の内周面に固定される永久磁石13とを有する。
【0097】
ロータカップ11は、プレート部11Aと、ヨーク部11Bとを有する。
【0098】
ロータコア12は、リング部12Eと、リング部12Eの内周面から径方向内側に突出する内側凸部12Fとを有する。内側凸部12Fは、周方向に相互に隣り合う永久磁石13の間に配置される。
【0099】
ロータコア12のリング部12Eの外周面に、ロータカップ11のヨーク部11Bの内周面に接触する外側凸部12Gが設けられる。外側凸部12Gは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。ロータカップ11の内周面には、外側凸部12Gが配置される凹部11Fが設けられる。1つの凹部11Fに3つの外側凸部12Gが配置される。
【0100】
凹部11Fに配置された複数(3つ)の外側凸部12Gにおいて、相互に隣り合う外側凸部12Gの間に接着剤が充填される。接着剤が充填されることにより、相互に隣り合う外側凸部12Gの間に接着剤層19が配置される。接着剤層19は、ロータコア12とロータカップ11とを固定する。
【0101】
図13に示すように、インシュレータ32は、外周被覆部32Cと、ティース被覆部32Dとを有する。外周被覆部32Cは、径方向外側を向くヨーク31Aの外周面を覆うように配置される。ティース被覆部32Dは、コイル33が巻かれるティース31Bの装着面を覆うように配置される。
【0102】
複数のコイル33は、1本のワイヤ90を巻くことにより形成される。1本のワイヤ90がティース被覆部32Dを介して複数のティース31Bのそれぞれに順次巻かれる。第1のコイル33と、第1のコイル33の次に巻かれる第2のコイル33とは、ワイヤ90によって繋がる。
【0103】
バッテリパック9から出力された電力は、コイル33に供給される。コイル33に駆動電流が供給される。バッテリパック9からの駆動電流は、電源線91及びヒュージング端子92を介してコイル33に供給される。コイル33に供給される駆動電流は、電源線91及びヒュージング端子92を流れる。
【0104】
電源線91及びヒュージング端子92のそれぞれは、インシュレータ32に支持される。電源線91及びヒュージング端子92のそれぞれは、ステータコア31の上端面よりも上方に配置される。
【0105】
モータ4は、3相モータである。24個のコイル33のそれぞれは、U(UV)相、V(VW)相、及びW(WU)相のいずれか一つの相に割り当てられる。電源線91は、U相駆動電流が流れる電源線91Uと、V相駆動電流が流れる電源線91Vと、W相駆動電流が流れる電源線91Wとを含む。
【0106】
ヒュージング端子92は、複数のコイル33のそれぞれから突出する複数のワイヤ90を接続する。ヒュージング端子92は、U相駆動電流が流れるヒュージング端子92Uと、V相駆動電流が流れるヒュージング端子92Vと、W相駆動電流が流れるヒュージング端子92Wとを含む。
【0107】
電源線91Uは、ヒュージング端子92Uに接続される。電源線91Vは、ヒュージング端子92Vに接続される。電源線91Wは、ヒュージング端子92Wに接続される。
【0108】
[コントローラ]
図14は、実施形態に係る電動作業機1を示す模式図である。上述のように、実施形態において、コイル33は、24個設けられる。
図14において、24個のコイル33のそれぞれにC1からC24の番号が付してある。24個のコイル33は、1本のワイヤ90を巻くことにより形成される。
図14に示すように、ワイヤ90は、巻き始め部分Sから巻き始められる。ワイヤ90は、複数のコイル33が順次形成されるように、複数のティース31Bのそれぞれに順次巻かれる。24個のコイル33が形成された後、ワイヤ90は、巻き終わり部分Eにおいて巻き終わる。
【0109】
複数のコイル33は、デルタ結線される。コイルC1,C2,C8,C7,C13,C14,C20,C19は、U(UV)相に割り当てられる。コイルC9,C10,C16,C15,C21,C22,C4,C3は、V(VW)相に割り当てられる。コイルC5,C6,C12,C11,C17,C18,C24,C23は、W(WU)相に割り当てられる。
【0110】
コイルC1,C2,C8,C7が直列接続され、コイルC13,C14,C20,C19が直列接続される。また、コイルC1,C2,C8,C7とコイルC13,C14,C20,C19とが並列接続される。
【0111】
コイルC9,C10,C16,C15が直列接続され、コイルC21,C22,C4,C3が直列接続される。また、コイルC9,C10,C16,C15とコイルC21,C22,C4,C3とが並列接続される。
【0112】
コイルC5,C6,C12,C11が直列接続され、コイルC17,C18,C24,C23が直列接続される。また、コイルC5,C6,C12,C11とコイルC17,C18,C24,C23とが並列接続される。
【0113】
すなわち、実施形態において、24個のコイル33は、2並列4直列でデルタ結線される。
【0114】
電動作業機1は、コントローラ100と、ゲート回路101と、インバータ102と、電流検出回路103とを有する。
【0115】
コントローラ100は、複数の電子部品が実装された回路基板を含む。回路基板に実装される電子部品として、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ、ROM(Read Only Memory)又はストレージのような不揮発性メモリ、及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリが例示される。
【0116】
インバータ102は、バッテリパック9から供給された電力に基づいて、コイル33に駆動電流を供給する。インバータ102は、6つのスイッチング素子QHu,QHv,QHw,QLu,QLv,QLwを有する。スイッチング素子QHu,QHv,QHw,QLu,QLv,QLwのそれぞれは、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)を含む。
【0117】
スイッチング素子QHuは、ヒュージング端子92Uとバッテリパック9の正極に接続された電源ラインとの間に配置される。スイッチング素子QHvは、ヒュージング端子92Vとバッテリパック9の正極に接続された電源ラインとの間に配置される。スイッチング素子QHwは、ヒュージング端子92Wとバッテリパック9の正極に接続された電源ラインとの間に配置される。スイッチング素子QHuがオンされると、ヒュージング端子92Uと電源ラインとが導通する。スイッチング素子QHvがオンされると、ヒュージング端子92Vと電源ラインとが導通する。スイッチング素子QHwがオンされると、ヒュージング端子92Wと電源ラインとが導通する。
【0118】
スイッチング素子QLuは、ヒュージング端子92Uとバッテリパック9の負極に接続されたグランドラインとの間に配置される。スイッチング素子QLvは、ヒュージング端子92Vとバッテリパック9の負極に接続されたグランドラインとの間に配置される。スイッチング素子QLwは、ヒュージング端子92Wとバッテリパック9の負極に接続されたグランドラインとの間に配置される。スイッチング素子QLuがオンされると、ヒュージング端子92Uとグランドラインとが導通する。スイッチング素子QHvがオンされると、ヒュージング端子92Vとグランドラインとが導通する。スイッチング素子QHwがオンされると、ヒュージング端子92Wとグランドラインとが導通する。
【0119】
ゲート回路101は、スイッチング素子QHu,QHv,QHw,QLu,QLv,QLwを駆動する駆動回路である。コントローラ100は、ゲート回路101に制御信号を出力して、インバータ102のスイッチング素子QHu,QHv,QHw,QLu,QLv,QLwを駆動する。
【0120】
電流検出回路103は、インバータ102からバッテリパック9の負極に至る通電経路に配置される。電流検出回路103は、通電経路を流れる電流に応じた電圧の信号を出力する。コントローラ100は、電流検出回路103の出力信号に基づいて、コイル33に流れる駆動電流を検出することができる。
【0121】
磁気センサ51は、3つ設けられる。磁気センサ51は、U(UV)相に対応する磁気センサ51Uと、V(VW)相に対応する磁気センサ51Vと、W(WU)相に対応する磁気センサ51Wとを含む。磁気センサ51U、磁気センサ51V、及び磁気センサ51Wのそれぞれから出力される検出信号は、回転するロータ10から受ける磁界の変化に基づいて、電気角で180°毎に、ハイレベル検出信号とローレベル検出信号とに切り換わる。磁気センサ51から出力された検出信号は、コントローラ100に入力される。
【0122】
コントローラ100は、磁気センサ51の検出信号に基づいて、コイル33に供給される電力を制御する。コントローラ100は、磁気センサ51U、磁気センサ51V、及び磁気センサ51Wのそれぞれの検出信号に基づいて、ゲート回路101を制御して、インバータ102のスイッチング素子QHu,QHv,QHw,QLu,QLv,QLwを駆動する。インバータ102のスイッチング素子QHu,QHv,QHw,QLu,QLv,QLwが制御されることにより、U(UV)相のコイル33、V(VW)相のコイル33、及びW(WU)相のコイルのそれぞれに供給される駆動電流が制御される。
【0123】
スイッチング素子QHv,QLuがオンされる第1駆動パターンにおいては、UV相に割り当てられた複数のコイル33のそれぞれに、ヒュージング端子92Vからヒュージング端子92Uに向かって駆動電流が流れる。
【0124】
スイッチング素子QHw,QLuがオンされる第2駆動パターンにおいては、WU相に割り当てられた複数のコイル33のそれぞれに、ヒュージング端子92Wからヒュージング端子92Uに向かって駆動電流が流れる。
【0125】
スイッチング素子QHw,QLvがオンされる第3駆動パターンにおいては、VW相に割り当てられた複数のコイル33のそれぞれに、ヒュージング端子92Wからヒュージング端子92Vに向かって駆動電流が流れる。
【0126】
スイッチング素子QHu,QLvがオンされる第4駆動パターンにおいては、UV相に割り当てられた複数のコイル33のそれぞれに、ヒュージング端子92Uからヒュージング端子92Vに向かって駆動電流が流れる。
【0127】
スイッチング素子QHu,QLwがオンされる第5駆動パターンにおいては、WU相に割り当てられた複数のコイル33のそれぞれに、ヒュージング端子92Uからヒュージング端子92Wに向かって駆動電流が流れる。
【0128】
スイッチング素子QHv,QLwがオンされる第6駆動パターンにおいては、VW相に割り当てられた複数のコイル33のそれぞれに、ヒュージング端子92Vからヒュージング端子92Wに向かって駆動電流が流れる。
【0129】
UV相に割り当てられた複数のコイル33、VW相に割り当てられた複数のコイル33、及びWU相に割り当てられた複数のコイル33のそれぞれに駆動電流が順次供給されることにより、モータ4において回転磁界が生成され、ロータ10が回転する。
【0130】
[極数及びスロット数]
上述のように、実施形態において、モータ4は、永久磁石13を28個有し、コイル33を24個有する。すなわち、永久磁石13の数を示す極数は、28である。コイル33の数を示すスロット数は、24である。極数が28でありスロット数が24であるので、電動作業機1の動力源に使用されるモータ4は、軽量化又は小型化される。
【0131】
図15は、実施例及び比較例に係るモータを説明するための図である。
図15は、実施例K及び比較例M1から比較例M9に係るモータのステータ外径、極数、スロット数、アウターロータ型又はインナーロータ型を示すロータの型、及びステータ内径を示す。
【0132】
アウターロータ型において、ステータ外径は、ロータに対向するステータコアの対向面におけるステータコアの直径を示す。アウターロータ型において、ステータコアの対向面とは、径方向外側を向くティースの外端面をいう。すなわち、アウターロータ型において、ステータ外径は、径方向におけるステータコアの寸法の最大値をいう。
【0133】
インナーロータ型において、ステータ内径は、ロータに対向するステータコアの対向面におけるステータコアの直径を示す。インナーロータ型において、ステータコアの対向面とは、径方向内側を向くティースの内端面をいう。すなわち、インナ―ロータ型において、ステータ内径は、径方向におけるステータコアの寸法の最小値をいう。
【0134】
以下の説明において、アウターロータ型におけるステータ外径及びインナーロータ型におけるステータ内径を適宜、ステータ直径、と総称する。ステータ直径は、ロータに対向するステータコアの対向面におけるステータコアの直径を示す。
【0135】
実施例Kに係るモータ4は、極数が28でありスロット数が24である28極24スロットのアウターロータ型である。ステータ外径は、117.3[mm]である。
【0136】
比較例M1に係るモータは、極数が20でありスロット数が18である20極18スロットのアウターロータ型である。ステータ外径は117.3[mm]である。
【0137】
比較例M2に係るモータは、極数が4でありスロット数が6である4極6スロットのインナーロータ型である。ステータ外径は44[mm]であり、ステータ内径は21[mm]である。
【0138】
比較例M3に係るモータは、極数が4でありスロット数が6である4極6スロットのインナーロータ型である。ステータ外径は52[mm]であり、ステータ内径は27[mm]である。
【0139】
比較例M4に係るモータは、極数が8でありスロット数が12である8極12スロットのインナーロータ型である。ステータ外径は80[mm]であり、ステータ内径は53[mm]である。
【0140】
比較例M5に係るモータは、極数が8でありスロット数が12である8極12スロットのインナーロータ型である。ステータ外径は122[mm]であり、ステータ内径は69[mm]である。
【0141】
比較例M6に係るモータは、極数が8でありスロット数が12である8極12スロットのインナーロータ型である。ステータ外径は99[mm]であり、ステータ内径は53.5[mm]である。
【0142】
比較例M7に係るモータは、極数が8でありスロット数が12である8極12スロットのインナーロータ型である。ステータ外径は99[mm]であり、ステータ内径は52[mm]である。
【0143】
比較例M8に係るモータは、極数が6でありスロット数が9である6極9スロットのアウターロータ型である。ステータ外径は51[mm]である。
【0144】
比較例M9に係るモータは、極数が10でありスロット数が12である10極12スロットのアウターロータ型である。ステータ外径は113[mm]である。
【0145】
図16は、実施例及び比較例に係るモータのステータ直径と極数との関係を示す図である。すなわち、
図16は、
図15に示した実施例K及び比較例M1から比較例M9の極数Nとステータ直径xとをグラフにプロットした図である。
図16において、横軸はステータ直径xであり、縦軸は極数Nである。上述のように、アウターロータ型のステータ直径xは、ステータ外径を示し、インナーロータ型のステータ直径xは、ステータ内径を示す。
【0146】
実施例Kに係るモータは、以下の(1)式の条件を満足する。比較例M1から比較例M9に係るモータは、以下の(1)式の条件を満足しない。
【0147】
0.16x+2.5 <N < 0.23x+3.6 …(1)
【0148】
図16において、ラインL1は、下限閾値[N=0.16x+2.5]を示し、ラインL2は、上限閾値[N=0.23x+3.6]を示す。
【0149】
下限閾値を示すラインL1は、モータ質量の許容値を示すラインである。モータ質量とは、ロータコアの質量と永久磁石の質量とステータコアの質量とコイルの質量との和をいう。実施例K及び比較例M1から比較例M9のそれぞれのモータ質量を測定した結果、実施例Kのモータ質量は、比較例M1から比較例M9のモータ質量よりも小さい。すなわち、極数及びスロット数が多いほど、モータが軽量化又は小型化される。例えば実施例Kと比較例M1とを比較した場合、スロット数が多い実施例Kのモータ質量は、比較例M1のモータ質量よりも小さい。これは、規定のモータトルクを発生させる場合、コイルの数が多いほど1つのコイルを小型化できるためと考えられる。また、実施例Kと比較例M2から比較例M9とを比較した場合、極数及びスロット数が多い実施例Kのモータ質量は、比較例M2から比較例M9のモータ質量よりも小さい。これは、規定のモータトルクを発生させる場合、コイルの数が多いほど1つのコイルを小型化でき、永久磁石の数が多いほど1つの永久磁石を小型化及び薄型化できるためと考えられる。そのため、モータの軽量化又は小型化を目的とした場合、モータは、ラインL1よりも上方の範囲である[0.16x+2.5 <N]の条件を満足することが好ましい。
【0150】
上限閾値を示すラインL2は、磁気センサ51の検出精度の許容値を示すラインである。具体的には、ラインL2は、磁気センサ51によるロータ10の検出精度が電気角±7.5度の誤差となるラインである。上述のように、インバータ102のスイッチング素子QHu,QHv,QHw,QLu,QLv,QLwは、第1駆動パターンから第6駆動パターンでオンとオフとにスイッチングされる。すなわち、インバータ102のスイッチング素子QHu,QHv,QHw,QLu,QLv,QLwは、電気角60度間隔でスイッチングする。極数が多すぎると、磁気センサ51が永久磁石の磁束を高精度に検出することが困難になる可能性がある。例えば検出精度として電気角±7.5度以上の誤差が生じると、モータ4の制御性が低下する。そのため、磁気センサ51の検出精度の低下を目的とした場合、モータは、ラインL2よりも下方の範囲である[N < 0.23x+3.6]の条件を満足することが好ましい。
【0151】
図17は、電動作業機1の動力源に使用されるモータの各部位の寸法を説明するための図である。
図17は、アウターロータ型のモータの各部位を示す。アウターロータ型のモータにおいて、ロータ外径A、ティース幅B、ティース先端厚C、磁石厚D、ヨーク厚E、開口幅F、及び磁石間距離Gが規定される。
【0152】
ロータ外径Aとは、ロータコア12の外径をいう。ティース幅とは、ティース31Bの周方向の寸法をいう。ティース先端厚Cとは、ティース31Bの径方向外側の先端部に設けられている張出部の径方向の寸法をいう。磁石厚Dとは、永久磁石13の径方向の寸法を示す永久磁石13の厚みをいう。ヨーク厚Eとは、ロータコア12のリング部12Eの径方向の寸法を示すリング部12Eの厚みをいう。開口幅Fとは、周方向に相互に隣接する2つのティース31Bの張出部の距離をいう。磁石間距離Gとは、周方向に相互に隣接する2つの永久磁石13の距離をいう。
【0153】
電動作業機1の動力源に使用されるモータ4において、上述の各部位の寸法は、概ね下記の範囲に設定される。
【0154】
・ロータ外径A:100[mm]以上150[mm]以下。
・ティース幅B:3[mm]以上12[mm]以下。
・ティース先端厚C:2[mm]以上4[mm]以下。
・磁石厚D:1[mm]以上4[mm]以下。
・ヨーク厚E:1.5[mm]以上6.0[mm]以下。
・開口幅F:2.5[mm]以上5.0[mm]以下。
・磁石間距離G:0.5[mm]以上5.0[mm]以下。
【0155】
図18は、実施例及び比較例に係るモータのロータ外径とモータ質量と極数及びスロット数との関係を示す図である。
図18の実施例及び比較例に係るモータは全てアウターロータ型である。実施例に係るモータは、28極24スロット(28P24S)である。第1比較例に係るモータは、26極24スロット(26P24S)である。第2比較例に係るモータは、24極18スロット(24P18S)である。第3比較例に係るモータは、22極24スロット(22P24S)である。第4比較例に係るモータは、20極18スロット(20P18S)である。第5比較例に係るモータは、16極18スロット(16P18S)である。
【0156】
実施例及び第1比較例から第5比較例に係るモータのそれぞれについて、規定のモータトルクが得られる制約条件において、上述の各部位の寸法(ロータ外径A、ティース幅B、ティース先端厚C、磁石厚D、ヨーク厚E、開口幅F、磁石間距離G)を上述の範囲において変化させて、それぞれの寸法におけるモータ質量を算出した。
図18は、モータ質量の算出結果をグラフにプロットした図である。
図18において、横軸はロータ外径Aであり、縦軸はモータ質量である。
【0157】
図18に示すように、規定のモータトルクを発生させる場合、実施例に係るモータ質量は、第1比較例から第6比較例に係るモータ質量よりも小さくなることが判明した。すなわち、アウターロータ型のモータにおいて、規定のモータトルクを発生させる場合、28極24スロットとすることにより、モータが軽量化されることが判明した。また、
図18に示すように、28極24スロットのモータにおいて、モータ質量を小さくするためには、ロータ外径Aを105[mm]以上125[mm]以下にすることが好ましく、100[mm]以上120[mm]以下にすることがより好ましいことが判明した。
【0158】
また、28極24スロットのモータにおいて、モータ質量を小さくするためには、ティース幅Bを4[mm]以上8[mm]以下にすることが好ましいことが判明した。
【0159】
また、28極24スロットのモータにおいて、モータ質量を小さくするためには、磁石厚Dを1.5[mm]以上3.5[mm]以下にすることが好ましいことが判明した。
【0160】
図19は、実施例に係るモータ4のステータ外径とモータ質量とロータ外径との関係を示す図である。
図19の実施例に係るモータは全て28極24スロットのアウターロータ型である。規定のモータトルクが得られる制約条件において、上述の各部位の寸法(ロータ外径A、ティース幅B、ティース先端厚C、磁石厚D、ヨーク厚E、開口幅F、磁石間距離G)を上述の範囲において変化させるとともに、ステータ外径も変化させて、それぞれの寸法におけるモータ質量を算出した。
【0161】
図19に示すように、ロータ外径Aを120[mm]、125[mm]、130[mm]、135[mm]、140[mm]のそれぞれに変化させた場合、ロータ外径Aが大きいほどステータ外径が大きくなり、ロータ外径Aが小さいほどステータ外径が小さくなる。
【0162】
また、28極24スロットのアウターロータ型のモータにおいて、コイル33の線間抵抗をR[mΩ]、バッテリパック9の定格電圧をV[V]とした場合、以下の(2)式の条件を満足することが好ましい。
【0163】
R/V2 ≦ 0.038 …(2)
【0164】
線間抵抗Rとは、3相モータであるモータ4において、U-V相間の抵抗、V-W相間の抵抗、及びW-U間の線間抵抗をいう。実施形態において、U-V相間の線間抵抗Rと、V-W相間の線間抵抗Rと、W-U間の線間抵抗Rとは、同一の値である。
【0165】
図1に示したように、電動作業機1が芝刈り機である場合、必要な仕事をするためには、モータ4に少なくとも720[W]の電力を連続入力する必要がある。720[W](36V20A)の電力をモータ4のコイル33に連続入力した場合、コイル33が焼損しないモータ4の線間抵抗Rは、49[mΩ]以下であることが経験上判明している。上述のように、バッテリパック9は、リチウムイオン電池を含む。リチウムイオン電池のセル1本が連続放電できる電流が15[A]以上20[A]以下程度である。また、芝刈り機とは別の電動作業機においても、720[W]の電力を連続入力できるか否かは重要な指標となる。リチウムイオン電池には様々な電圧帯があり、同じ720[W]をモータ4に入力する際に、18V40A、36V20A、72V10A等、様々な形態が存在する。抵抗値は電圧の2乗に比例するため、[R/V
2]で表される数値を規定することにより、電圧によらず720[W]を入力した際に焼損しないモータ4の線間抵抗Rを規格化できる。実施形態においては、0.038[mΩ/V
2]を目標にしてモータ4の最適設計を行い、28極24スロットが最も優れていることが判明した。
【0166】
[効果]
以上説明したように、実施形態において、電動作業機1は、ロータ10及びステータ30を有するブラシレスモータであるモータ4と、磁気センサ51と、コントローラ100と、ロータ10により駆動される出力部である刈刃5と、を備える。ロータ10は、ロータコア12及びロータコア12に固定される永久磁石13を有する。ステータ30は、ステータコア31、ステータコア31に固定されるインシュレータ32、及びインシュレータ32に装着されるコイル33を有する。磁気センサ51は、永久磁石13の磁束を検出してロータ10の回転方向の位置を検出する。コントローラ100は、磁気センサ51の検出信号に基づいて通電するコイル33を制御する。永久磁石13は、ネオジウム焼結板磁石である。永久磁石13の数を示す極数をN、ロータ10に対向するステータコア31の対向面におけるステータコアの直径を示すステータ直径をx[mm]とした場合、
0.16x+2.5 <N <0.23x+3.6、
の条件を満足する。
【0167】
上記の構成では、[0.16x+2.5 <N]の条件を満足することにより、モータ4が軽量化及び小型化される。[N < 0.23x+3.6]の条件を満足することにより、磁気センサ51の検出精度の低下が抑制される。
【0168】
実施形態において、電動作業機1は、バッテリ装着部8を備える。コイル33に供給される電力を出力するバッテリパック9がバッテリ装着部8に装着される。モータ4は、3相モータである。コイル33の線間抵抗をR[mΩ]、バッテリパック9の定格電圧をV[V]とした場合、
R/V2 ≦ 0.038、
の条件を満足する。
【0169】
上記の構成では、モータ4に電力を連続入力しても、コイル33の焼損が抑制される。したがって、電動作業機1は所期の性能を発揮することができる。
【0170】
実施形態において、電動作業機1は、ロータ10及びステータ30を有するブラシレスモータであるモータ4と、ロータ10により駆動される出力部である刈刃5と、を備える。ロータ10は、ロータコア12と、ロータコア12に固定される永久磁石13と、を有する。ステータ30は、ステータコア31と、ステータコア31に固定されるインシュレータ32と、インシュレータ32に装着されるコイル33と、を有する。永久磁石13の数を示す極数は、28である。コイル33の数を示すスロット数は、24である。
【0171】
上記の構成では、極数が28でありスロット数が24なので、コイル33が発生する磁束が分散され、永久磁石13が小型化及び薄型化される。これにより、モータ4が軽量化又は小型化される。
【0172】
実施形態において、モータ4は、アウターロータ型である。
【0173】
上記の構成では、高いモータトルクが得られる。
【0174】
実施形態において、モータ4は、アウターロータ型であり、ロータ外径Aは、105[mm]以上125[mm]以下である。好ましくは、ロータ外径Aは、110[mm]以上120[mm]以下である。
【0175】
上記の構成では、モータ4が軽量化又は小型化される。
【0176】
実施形態において、ステータコア31は、インシュレータ32を介してコイル33が巻かれるティース31Bを有する。ティース幅Bは、4[mm]以上8[mm]以下である。
【0177】
上記の構成では、モータ4が軽量化又は小型化される。
【0178】
実施形態において、永久磁石13の厚みを示す磁石厚Dは、1.5[mm]以上3.5[mm]以下である。
【0179】
上記の構成では、モータ4が軽量化又は小型化される。
【0180】
実施形態において、永久磁石13は、ロータコア12の内周面に固定される。
【0181】
上記の構成では、モータ4が小型化される。
【0182】
実施形態において、永久磁石13は、接着剤によりロータコア12に固定される。
【0183】
上記の構成では、簡易な構成で永久磁石13がロータコア12に固定される。
【0184】
実施形態において、電動作業機1は、ロータ10に固定されるロータシャフト20を備える。出力部である刈刃5は、ロータシャフ20トに固定される。
【0185】
上記の構成では、出力部である刈刃5は、ダイレクトドライブ方式でモータ4により駆動される。
【0186】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、モータ4は、アウターロータ型であることとした。モータ4は、インナーロータ型でもよい。
【0187】
上述の実施形態において、電動作業機1は、園芸工具の一種である芝刈り機あることとした。園芸工具は、芝刈り機に限定されない。園芸工具として、ヘッジトリマ、チェーンソー、草刈機、及びブロワが例示される。また、電動作業機1は、電動工具でもよい。電動工具として、ドライバドリル、震動ドライバドリル、アングルドリル、インパクトドライバ、グラインダ、ハンマ、ハンマドリル、マルノコ、及びレシプロソーが例示される。
【0188】
上述の実施形態において、電動作業機の電源としてバッテリ装着部に装着されるバッテリパックが使用されることとした。電動作業機の電源として、商用電源(交流電源)が使用されてもよい。
【符号の説明】
【0189】
1…電動作業機、2…ハウジング、3…車輪、4…モータ、5…刈刃、6…刈取りボックス、7…ハンドル、8…バッテリ装着部、9…バッテリパック、10…ロータ、11…ロータカップ、11A…プレート部、11B…ヨーク部、11C…開口、11F…凹部、12…ロータコア、12E…リング部、12F…内側凸部、12G…外側凸部、13…永久磁石、14…ブッシュ、15…排出口、19…接着剤層、20…ロータシャフト、21…ベアリング、22…ウェーブワッシャ、23…ベアリング、30…ステータ、31…ステータコア、31A…ヨーク、31B…ティース、31C…コアねじ開口、32…インシュレータ、32C…外周被覆部、32D…ティース被覆部、33…コイル、40…ステータベース、41…プレート部、42…周壁部、43…パイプ部、43A…小径部、43B…大径部、43C…ベース支持面、44…ねじボス、44A…ベースねじ孔、45…円環プレート部、46…ねじボス、47…開口、48…緩衝部材、50…センサ基板、51…磁気センサ、51U…磁気センサ、51V…磁気センサ、51W…磁気センサ、60…モータハウジング、61…プレート部、62…周壁部、63…フランジ部、64…パイプ部、65…円環プレート部、66…スルーホール、67…ねじ、68…通気路、70…モータ位置決め機構、71…ベース平面領域、72…ベース曲面領域、73…ステータ平面領域、74…ステータ曲面領域、75…ねじ、90…ワイヤ、91…電源線、91U…電源線、91V…電源線、91W…電源線、92…ヒュージング端子、92U…ヒュージング端子、92V…ヒュージング端子、92W…ヒュージング端子、100…コントローラ、101…ゲート回路、102…インバータ、103…電流検出回路、200…デッキ、201…スルーホール、202…ねじ、203…バッフル、203A…開口、204…スルーホール、205…ねじ、600…ねじボス、601…ねじ孔、602…ねじボス、603…ねじ孔、AX…回転軸。