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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20250319BHJP
【FI】
E03D9/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022527492
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(86)【国際出願番号】 JP2021001173
(87)【国際公開番号】W WO2021240865
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】63/030,630
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】P 2020204230
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】森 俊英
(72)【発明者】
【氏名】金井 博文
(72)【発明者】
【氏名】山田 由佳
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-137708(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0153414(US,A1)
【文献】特開2004-100357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00-9/16
E03D 1/00-7/00;11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物の画像を撮像する撮像装置であって、
ボウル部と前記ボウル部の上部に位置する縁部とを有する大便器の前記縁部に取り付けられ、撮像センサを含むセンサ部を備え、
前記センサ部は、前記ボウル部への前記排泄物の落下が想定される検知エリアが視野内に少なくとも含まれるように画角及び取付位置が設定れ、
前記大便器の特定の位置に設けられたマークを撮像した画像データを前記撮像センサから取得し、取得した画像データから前記マークの出現位置を検出し、検出した前記出現位置に基づいて前記検知エリアに対応する領域を画像データに設定するキャリブレーションを実行するキャリブレーション実行部をさらに備える、
撮像装置。
【請求項2】
前記縁部は、開口部を有し、
上側から前記開口部を見て、前記開口部の前後方向の中心線及び前記開口部の前方の交点である第1交点と、前記中心線と前記検知エリアの前方の交点である第2交点との間の前記中心線上の所定の位置を第1位置とし、
前記中心線及び前記検知エリアの後方の交点である第3交点と、前記中心線及び前記開口部の後方の交点である第4交点との間の前記中心線上の所定の位置を第2位置とすると、
前記センサ部は、前記第1位置と、前記第2位置とが視野内に含まれるように前記画角と前記取付位置とが設定されている、
請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1位置は第1交点であり、
前記第2位置は第4交点である、
請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記取付位置は、前記検知エリアの後ろ斜め後方の位置であり、
前記画角は、83度以上である、
請求項1~3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記取付位置は、前記検知エリアの前方又は後方の位置であり、
前記画角は、101度以上である、
請求項1~3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記画角は、105度以上である、
請求項1~3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記センサ部を前記大便器に取り外し可能に取り付ける取付部をさらに備える、
請求項1~6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像センサが撮像した画像データから小便の前記ボウル部への落下位置を検出し、検出した前記落下位置に基づいて、排泄者の性別を判定する性別判定部をさらに備える、
請求項1~のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項9】
前記性別判定部は、前記落下位置が第1領域に位置する場合、前記排泄者は男性であると判定し、前記落下位置が前記第1領域よりも後方に設けられた第2領域に位置する場合、前記排泄者は女性であると判定する、
請求項記載の撮像装置。
【請求項10】
前記性別判定部は、排泄者の着座位置を検出し、判定結果に基づいて、前記第1領域及び前記第2領域を変更する、
請求項記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排泄物を撮像する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、介護施設等では被介護者の排泄物を客観的に管理することが求められている。この管理のために、排泄物を撮像する撮像装置を便器に取り付ける技術が提案されている。例えば、特許文献1には、ボウル部の後方上面に取り付けられるプレート部を備える排泄物撮影装置であって、プレート部には排泄物を撮影する撮影手段がボウル部に対向するように設けられた排泄物撮影装置が開示されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1の技術では、撮像手段がボウル部に対向するように固定されているため、ボウル部に落下した排泄物を撮像手段の画角内に収めることが困難であり、さらなる改善が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-126331号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、ボウル部に落下した排泄物を画角内に収めることが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【0006】
本開示の一態様における撮像装置は、排泄物の画像を撮像する撮像装置であって、ボウル部と前記ボウル部の上部に位置する縁部とを有する大便器の前記縁部に取り付けられ、撮像センサを含むセンサ部を備え、前記センサ部は、前記ボウル部への前記排泄物の落下が想定される検知エリアが視野内に少なくとも含まれるように画角及び取付位置が設定れている。
【0007】
本開示によれば、ボウル部に落下した排泄物を画角内に収めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態1における撮像装置が適用される大便器の外観図である。
図2図1に示すセンサ部の大便器への取付例を示した図である。
図3図1に示すセンサ部の大便器への別の取付例を示した図である。
図4図1に示すセンサ部の大便器へのさらに別の取付例を示した図である。
図5図1に示すセンサ部の大便器へのさらに別の取付例を示した図である。
図6】本開示の比較例におけるセンサ部の大便器への取付例を示す図である。
図7】本開示の比較例におけるセンサ部の大便器への別の取付例を示す図である。
図8】本開示の比較例におけるセンサ部の大便器へのさらに別の取付例を示す図である。
図9】本開示の実施の形態1における撮像装置の構成の一例を示すブロック図である。
図10】本開示の実施の形態1における設定値の初期化処理の一例を示すフローチャートである。
図11】本開示の実施の形態1における検知エリアの設定処理の一例を示すフローチャートである。
図12】大便器に配置されたマークを示す図である。
図13】センサ部の取り付け作業を説明する図である。
図14】本開示の実施の形態2における撮像装置の構成の一例を示すブロック図である。
図15】本開示の実施の形態2における撮像装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図16】実施の形態2における撮像装置の処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示に至る経緯)
排尿、排便、及び放屁を排泄する排泄行為の回数及び時間等を示す排泄履歴情報は、人物の健康リスクを把握する上で重要な情報である。特に、便秘になりやすい体質を有する高齢者を多く収容する介護施設では、被介護者の排泄履歴情報を客観的に記録し、下剤等の薬剤を被介護者に適切に服薬させることが求められている。しかしながら、介護施設には多数の被介護者がいるため、このような排泄履歴情報の記録作業を介護職員に課すことは、介護職員の負担が増大するため容易ではない。そこで、本発明者らはこのような排泄履歴情報を人手を介さずに自動的に管理する技術の研究を進めている。
【0010】
このような排泄履歴情報を自動的に生成するには、便器に撮像装置を設置し、設置した撮像装置によりボウル部に落下した排泄物を撮像し、得られた画像データを分析及び記録することが有効である。
【0011】
しかしながら、一般的な撮像装置の画角は45度と狭く、このような撮像装置を大便器に設置した場合、ボウル部に落下した排泄物が撮像装置の画角内に収まらないケースが生じる。また、一般的に広角カメラと称されている撮像装置の画角は60度であるが、このような撮像装置を設置した場合でも、ボウル部に落下した排泄物を画角内に収めることが困難である。したがって、従来の撮像装置を大便器に設置した場合、画像データから排泄物の有無及び種類を正確に検出することができない。
【0012】
また、超広角の撮像装置を設置すればボウル部に落下した排泄物を画角内に収めることも可能である。しかしながら、ボウル部に落下した排泄物を収めることが可能な画角は撮像装置の取付位置に応じて異なるため、単に超広角の撮像装置を大便器に取り付けだけでは、過剰画角又は画角不足が生じる可能性もある。
【0013】
そこで、本発明者は、ボウル部への排泄物の落下が想定される検知エリアが視野内に少なくとも含まれるように、センサ部の画角及び取付位置を設定することで、ボウル部に排泄された落下物を画角内に収めることができるとの知見を得て、本開示の以下に示す各態様を想到するに至った。
【0014】
本開示の一態様における撮像装置は、排泄物の画像を撮像する撮像装置であって、ボウル部と前記ボウル部の上部に位置する縁部とを有する大便器の前記縁部に取り付けられ、撮像センサを含むセンサ部を備え、前記センサ部は、前記ボウル部への排泄物の落下が想定される検知エリアが視野内に少なくとも含まれるように画角及び取付位置が設定れている。
【0015】
本構成によれば、センサ部は、センサ部の視野内に検知エリアが少なくとも含まれるようにセンサ部の画角及び取付位置が設定されているため、排泄物を画角内に収めることが可能となる。その結果、画像データから便の有無及び種類を精度よく検出することが可能となる。
【0016】
上記撮像装置において、前記縁部は、開口部を有し、上側から前記開口部を見て、前記開口部の前後方向の中心線及び前記開口部の前方の交点である第1交点と、前記中心線と前記検知エリアの前方の交点である第2交点との間の前記中心線上の所定の位置を第1位置とし、前記中心線及び前記検知エリアの後方の交点である第3交点と、前記中心線及び前記開口部の後方の交点である第4交点との間の前記中心線上の所定の位置を第2位置とすると、前記センサ部は、前記第1位置と、前記第2位置とが視野内に含まれるように前記画角と前記取付位置とが設定されていてもよい。
【0017】
本構成によれば、第1位置と第2位置とが視野内に含まれるようにセンサ部の画角及び取付位置が設定されている。これにより、排泄物をより確実に画角内に収めることが可能となる。
【0018】
上記撮像装置において、前記第1位置は第1交点であり、前記第2位置は第4交点であってもよい。
【0019】
本構成によれば、第1位置が中心線と開口部との前方の交点である第1交点であり、第2位置が中心線と開口部との後方の交点である第4交点であるため、ボウル部の大半の領域を画角内に収めることができる。これにより、排泄物をより確実に画角内に収めることができる。
【0020】
上記撮像装置において、前記取付位置は、前記検知エリアの後ろ斜め後方の位置であり、前記画角は、83度以上であってもよい。
【0021】
センサ部を検知エリアの後ろ斜め後方に取り付けた場合、ボウル部の大半の領域を画角内に収めるために必要な画角を種々の大便器について調べたところ、83度であることが分かった。本構成では、画角が83度以上であるため、センサ部を検知エリアの後ろ斜め後方に取り付けた場合において、ボウル部の大半の領域を画角内に収めることができ、排泄物をより確実に画角内に収めることができる。
【0022】
また、大便器は、ボウル部に便座を被せた場合、ボウル部の後ろ斜め後方に位置において、便座が開口部側にはみ出る構成を有するものが一般的である。そのため、センサ部の取付位置を検知エリアの後ろ斜め位置にすることで、排便者にセンサ部の存在を気付き難くすることができる。
【0023】
上記撮像装置において、前記取付位置は、前記検知エリアの前方又は後方の位置であってもよい。
【0024】
センサ部を検知エリアの前方又は後方に取り付けた場合、ボウル部の大半の領域を視野内に収めるために必要な画角を種々の大便器について調べたところ、101度であることが分かった。本構成では、画角が101度以上であるため、センサ部を検知エリアの前方又は後方に取り付けた場合において、ボウル部の大半の領域を画角内に収めることができ、排泄物をより確実に画角内に収めることができる。
【0025】
上記撮像装置において、前記画角は、105度以上であってもよい。
【0026】
センサ部の取付位置に拘わらず、ボウル部の大半の領域を視野内に収めるために必要な画角を種々の大便器について調べたところ、105度であることが分かった。本構成では、画角が105度以上であるため、センサ部の取付位置にかかわらず、ボウル部の大半の領域を画角内に収めることができ、排泄物をより確実に画角内に収めることができる。
【0027】
上記撮像装置において、前記センサ部を前記大便器に取り外し可能に取り付ける取付部をさらに備えていてもよい。
【0028】
本構成によれば、センサ部を大便器に対して任意の位置に取り付けることが可能となる。そのため、既存の大便器に対してセンサ部を後付けすることができる。
【0029】
上記撮像装置において、前記大便器の特定の位置に設けられたマークを撮像した画像データを前記撮像センサから取得し、取得した画像データから前記マークの出現位置を検出し、検出した前記出現位置に基づいて前記検知エリアに対応する領域を画像データに設定するキャリブレーションを実行するキャリブレーション実行部をさらに備えていてもよい。
【0030】
本構成によれば、マークを撮像することで得られた画像データからマークの出現位置を検出し、検出した出現位置に基づいて検知エリアに対応する領域を画像データに設定するキャリブレーションが実行されている。そのため、キャリブレーションによって得られた検知エリアに対応する領域を以降に撮像された画像データに設定することで、排泄物が出現している領域を画像データから速やかに抽出することができる。その結果、検知エリアに基づいて排泄物の有無及び種類を正確且つ速やかに判定することができる。また、画像データ全体ではなく検知エリア内の画像データを排泄履歴情報としてメモリに格納することで、メモリ容量を節約することが可能となる。さらに、検知エリアを画像処理の処理対象とすることで画像データ全体を処理対象とする場合に比べて、処理負担の削減を図ることができる。
【0031】
上記撮像装置において、前記撮像センサが撮像した画像データから小便の前記ボウル部への落下位置を検出し、検出した前記落下位置に基づいて、排泄者の性別を判定する性別判定部をさらに備えていてもよい。
【0032】
小便のボウル部への落下位置は性別に応じて異なる。本構成によれば、画像データから小便のボウル部への落下位置が検出され、その落下位置に基づいて排泄者の性別が判定されている。そのため、排泄者の性別を特定することができる。これにより、性別と画像データとが対応付けられた排泄履歴情報を生成することができる。
【0033】
上記構成において、前記性別判定部は、前記落下位置が第1領域に位置する場合、前記排泄者は男性であると判定し、前記落下位置が前記第1領域よりも後方に設けられた第2領域に位置する場合、前記排泄者は女性であると判定してもよい。
【0034】
小便のボウル部への落下位置は男性の方が女性に対して前方に位置する。本構成によれば、落下位置が第1領域に位置する場合、排泄者は男性と判定され、落下位置が第1領域よりも後方に設けられた第2領域に位置する場合、排泄者は女性と判定されている。そのため、排泄者の性別を正確に判定できる。
【0035】
上記構成において、前記性別判定部は、排泄者の着座位置を検出し、判定結果に基づいて、前記第1領域及び前記第2領域を変更してもよい。
【0036】
同じ性別の排泄者であっても、着座位置に応じて小便の落下位置は異なる。本構成によれば、着座位置に基づいて、第1領域及び第2領域が設定されているため、着座位置に応じて適切な第1領域及び第2領域を設定することができ、排泄者の性別を正確に判定することができる。
【0037】
本開示は、このような撮像装置に含まれる特徴的な各構成をコンピュータに実行させるプログラム、或いはこのプログラムによって動作するシステムとして実現することもできる。また、このようなコンピュータプログラムを、CD-ROM等のコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体あるいはインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
【0038】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1における撮像装置1が適用される大便器101の外観図である。大便器101は、水洗式の便器である。大便器101は、ボウル部101a、縁部101b、及び開口部101cを含む。縁部101bは、大便器101の上部に位置し、開口部101cを画定する枠体である。ボウル部101aは、縁部101bの下部に位置する椀状の部材であり、大便及び小便を受ける。ボウル部101aの下部には水溜まり部104が位置する。水溜まり部104は、下側に大きく窪んだ孔状の部材であり、水を溜める。水溜まり部104の水溜まりは、水溜まり部104の縁をはみ出ることもあるため、本実施の形態では、水溜まり部104は縁からはみ出た水溜まりの部分は除いたものとする。
【0040】
水溜まり部104の底部には、不図示の排水口が設けられている。この排水口は、下水管と連通しており、ボウル部101a内に排泄された大便及び小便を下水管へと流す。
【0041】
大便器101の上部には、ユーザが座るための便座102が設けられている。便座102は、後方の縁部101bに設けられた回転軸回りに回動自在に大便器101に取り付けられている。ユーザは、便座102を大便器101上に被せた状態で座る。大便器101の後方には、ボウル部101a内に排泄された大便及び小便を流すための洗浄水を蓄える貯水タンク103が設けられている。
【0042】
貯水タンク103の側壁には洗浄レバー106が回動可能に取り付けられている。洗浄レバー106が回動されると、貯水タンク103内の洗浄水がボウル部101aに供給され、ボウル部101aに排泄された大便及び小便が、排水口を介して下水管へと流れる。
【0043】
撮像装置1は、センサ部2、処理装置3、及び取付部6を含む。取付部6は、一端にセンサ部2が取り付けられ、センサ部2を縁部101bに取り外し可能に取り付ける。取付部6は例えば樹脂等の可撓性を有する部材で構成され、縁部101bを上側から挟持することによって縁部101bに固定される。
【0044】
センサ部2は、筐体24を含む。筐体24の内部には、撮像センサ21(図9参照)が内蔵されている。筐体24の主面24aには撮像センサ21に光を導く開口部が設けられている。センサ部2は、主面24aが縁部101bの内側に向くように取付部6によって縁部101bに取り付けられている。これにより、筐体24内部の撮像センサ21は、ボウル部101aの状況を撮像することができる。
【0045】
処理装置3は、貯水タンク103の例えば側壁に配置されている。処理装置3はセンサ部2と有線又は無線により互いに通信可能に接続されている。処理装置3は、撮像センサ21により撮像された画像データを取得し、取得した画像データに基づいて、排便の有無を判定する。
【0046】
図2は、図1に示すセンサ部2の大便器101への取付例を示した図である。図2では、上側から見た大便器101が示されている。また、図2において、便座102は図示が省略されている。これらのことは、図3図8についても同じである。
【0047】
センサ部2の水平方向の画角をθ1とする。画角θ1を画定する2本の境界線のうち一方の境界線をL1(第1境界線)とし、他方の境界線をL2(第2境界線)とする。境界線L1と境界線L2とで挟まれる領域がセンサ部2の視野である。開口部101cの前後方向の中心線をLCとする。開口部101cと中心線LCとの2つ交点のうち前方の交点をP1(第1交点)、後方の交点をP2(第4交点)とする。検知エリアD1と中心線LCとの2つの交点のうち前方の交点をP3(第2交点)、後方の交点をP4(第3交点)とする。開口部101cの前後方向の寸法をLA、左右方向の寸法をLBとする。画角の中心線をLDとする。
【0048】
開口部101cの輪郭は後方に2つの屈曲点K1、K2を有し、前方に3つの屈曲点を有するほぼ5角形状である。
【0049】
センサ部2の垂直方向の画角は例えば標準画角が採用でき、例えば45度である。具体的には、センサ部2は、垂直方向の画角の中心線が開口部101cに対して標準画角の半分の画角(例えば22.5度)分、下方に傾斜するように大便器101に取り付けられている。
【0050】
図2の例では、センサ部2は、検知エリアD1の後ろ斜め後方に取り付けられている。詳細には、センサ部2は、開口部101cの輪郭の後方左側の屈曲点K1の箇所に取り付けられている。なお、これは一例であり、センサ部2は、開口部101cの輪郭の後方右側の屈曲点K2の箇所に取り付けられていてもよい。
【0051】
検知エリアD1は、ボウル部101aへの排泄物(大便)の落下が想定される領域であり、水溜まり部104と大きく重なった例えば、矩形状の領域である。
【0052】
ボウル部101aに排泄された排泄物を撮像するためには、少なくとも検知エリアD1が画角θ1内に入っていることが要求される。より好ましくは、ボウル部101aの大半の領域が画角θ1内に入っていることが要求される。そこで、図2の例では、境界線L1が交点P1を通り、境界線L2が交点P2を通るように画角θ1が設定されている。
【0053】
センサ部2を検知エリアD1の後ろ斜め後方に取り付けた場合において、境界線L1が交点P1を通り、境界線L2が交点P2を通るために必要な画角θ1を計測した。すると、寸法LAが320mm~350mm、寸法LBが290mmの標準サイズの大便器101では、画角θ1は83度程度であった。具体的には寸法LAが350mmの大便器101において画角θ1は、83.4度であった。そこで、図2の例では画角θ1は83.4度に設定されている。なお、センサ部2の画角は、撮像センサ21の画角を調整することで実現されてもよいし、筐体24に設けられた開口部を調整することによって実現されてもよい。
【0054】
大型サイズの大便器101の寸法LAは360mm~380mmである。この場合、境界線L1が交点P1を通り境界線L2が交点P2を通るようにするためには87度程度の画角θ1が必要である。そこで、本実施の形態では、大型の大便器101においてセンサ部2を検知エリアD1の後ろ斜め方向に取り付ける場合、画角θ1を87度程度に設定する。
【0055】
以上より、標準サイズ及び大型サイズを問わず、センサ部2を検知エリアD1の後ろ斜め後方に取り付ける場合において、境界線L1が交点P1を通り、境界線L2が交点P2を通るようにするためには、画角θ1は83.4度以上あればよく、マージンを考慮すると83度以上であればよいことが分かる。
【0056】
便座102は、縁部101b上に被された場合、屈曲点K1、K2の周囲において開口部101c側に大きくはみ出し、縁部101bの前方において開口部101c側にあまりはみ出さない形態を有するものが多い。また、交点P2の周囲は、局部洗浄機が配置されることもあり、センサ部2を取り付けるのは困難である。したがって、センサ部2を検知エリアD1の後ろ斜め後方に取り付けた場合、センサ部2の取り付けが容易になると共に、排泄者に対してセンサ部2を気づき難くできるといったメリットがある。
【0057】
図3は、図1に示すセンサ部2の大便器101への別の取付例を示した図である。図3の例では、センサ部2は、検知エリアD1の側方に取り付けられている。詳細には、センサ部2は、開口部101cの中心Oにおいて、中心線LCに直交する直線と開口部101cの輪郭との左側の交点P7の箇所に取り付けられている。なお、これは、一例であり、センサ部2は、右側の交点P8の箇所に取り付けられてもよい。中心Oは例えば、中心線LCの真ん中の位置である。
【0058】
センサ部2を検知エリアD1の側方に取り付けた場合において、境界線L1が交点P1を通り、境界線L2が交点P2を通るために必要な画角を計測した。すると、標準サイズの大便器101では、画角θ2は101度であった。一方、大型サイズの大便器101では、画角θ2は105度であった。そこで、本実施の形態では、センサ部2を検知エリアD1の側方に設けた場合、標準サイズの大便器101では画角θ2を101度に設定し、大型サイズの大便器101では画角θ2を画角105度に設定する。
【0059】
図4は、図1に示すセンサ部2の大便器101へのさらに別の取付例を示した図である。図4の例では、センサ部2は、検知エリアD1の後方に取り付けられている。詳細には、センサ部2は、交点P2の箇所に取り付けられている。なお、これは、一例であり、センサ部2は、交点P1の箇所に取り付けられていてもよい。図4の例では、画角θ2は図3と同じ値に設定されている。すなわち、標準サイズの大便器101において画角θ2は101度に設定され、大型サイズの大便器101において画角θ2は105度に設定されている。これにより、ボウル部101aの大半の領域を画角θ2内に収めることができる。
【0060】
図5は、図1に示すセンサ部2の大便器101へのさらに別の取付例を示した図である。図5の例では、センサ部2は標準サイズの大便器101に取り付けられ、画角θ2は101度に設定されている。また、センサ部2は、図2の場合と同様、検知エリアD1の後ろ斜め後方に取り付けられている。図5の例では、画角θ2が101度に設定されているため、画角θ2内に交点P1と交点P2とが含まれていることが分かる。
【0061】
図2図5を参照すると、センサ部2の取付位置を開口部101cの輪郭上で変えていくと、境界線L1が交点P1を通り、境界線L2が交点P2を通るために必要なセンサ部2の画角の最大値は、センサ部2を検知エリアD1の側方に取り付けた場合であることが分かる。
【0062】
以上のことから、センサ部2の取付位置とセンサ部2の画角との関係は下記の通りとなる。
【0063】
センサ部2の画角を105度以上に設定すれば、大型サイズ及び標準サイズの大便器101の両方において、センサ部2の取付位置を問わず、位置P1と位置P2とを画角内に収めることができる。
【0064】
センサ部2の画角を101度以上に設定すれば、標準サイズの大便器101において、センサ部2の取付位置を問わず、位置P1と位置P2とを画角内に収めることができる。
【0065】
センサ部2の画角を87度以上に設定すれば、大型サイズ及び標準サイズの大便器101において、センサ部2を検知エリアD1の後ろ斜め後方に取り付けても、位置P1と位置P2とを画角内に収めることができる。
【0066】
センサ部2の画角を83度以上に設定すれば、標準サイズの大便器101において、センサ部2を検知エリアD1の後ろ斜め後方に取り付けても、位置P1と位置P2とを画角内に収めることができる。
【0067】
したがって、センサ部2を検知エリアD1の後ろ斜め後方に取り付けた場合、センサ部2画角を最小にすることができる。
【0068】
図6は、本開示の比較例におけるセンサ部2000の大便器101への取付例を示す図である。センサ部2000の画角θAは標準画角である45度である。図6の例では、センサ部2000は検知エリアD1の側方に取り付けられている。センサ部2000は画角θAが45度しかないため、画角θA内に交点P1と交点P2とが位置していない。さらに、境界線L2は交点P4よりも前方に位置している。したがって、図6の例は、ボウル部101aの大半の領域はもとより検知エリアD1も画角θA内に含めることができていない。
【0069】
図7は、本開示の比較例におけるセンサ部2000の大便器101への別の取付例を示す図である。図7の例では、センサ部2000は、検知エリアD1の後方に取り付けられている。センサ部2000は、画角θAが45度しかない。そのため、図7の例では、ボウル部101aの大半の領域はもとより検知エリアD1も画角θA内に収めることができていない。
【0070】
図8は、本開示の比較例におけるセンサ部2000の大便器101へのさらに別の取付例を示す図である。図8の例では、センサ部2000は、検知エリアD1の後ろ斜め後方に取り付けられている。センサ部2000は、画角θAが45度しかない。そのため、境界線L2が検知エリアD1の内側を通っており、ボウル部101aの大半の領域はもとより検知エリアD1をも画角θA内に収めることができていない。
【0071】
以上より、比較例のセンサ部2000では、検知エリアD1を画角θA内に収めることができていない。そのため、画角θA内に大便を収めることができない可能性が高い。
【0072】
図9は、本開示の実施の形態1における撮像装置1の構成の一例を示すブロック図である。撮像装置1は、図1で示したセンサ部2及び処理装置3を含む。センサ部2は、撮像センサ21及び通信部22を含む。
【0073】
撮像センサ21は、例えば、所定のフレームレートでR(赤)、G(緑)、B(青)の色成分を有するカラー画像を撮像する。通信部22は、例えばセンサ部2を処理装置3と無線又は有線の通信路を介して通信させる通信回路で構成されている。無線の通信路としては、WiFi(登録商標)等の無線LANが採用される。但し、これは一例であり、無線の通信路はBluetooth(登録商標)及び赤外線通信等が採用されてもよい。有線の通信路としては、IEEE802.3等の有線のLANが採用される。通信部22は、撮像センサ21が撮像した画像データを処理装置3に送信する。
【0074】
処理装置3は、プロセッサ31、メモリ32、通信部33、及び操作部34を含む。プロセッサ31は、例えばCPU又はASIC等の電気回路で構成されている。プロセッサ31は、キャリブレーション実行部311、排泄物判定部312、及び判定結果出力部313を含む。
【0075】
キャリブレーション実行部311は、大便器101の特定の位置に設けられたマークを撮像した画像データを撮像センサ21から取得し、取得した画像データからマークの出現位置を検出し、検出した出現位置に基づいて検知エリアD1に対応する領域を画像データに設定するキャリブレーションを実行する。
【0076】
検知エリアD1は、ボウル部101aに落下した排泄物の有無及び種別を判定する際に処理対象として画像データから抽出される領域である。
【0077】
排泄物判定部312は、撮像センサ21が撮像した画像データに基づいてボウル部101aにおける排泄物の有無及び排泄物の種類を判定する画像処理を実行する。排泄物判定部312は、具体的には、以下の処理を実行する。
【0078】
まず、排泄物判定部312は、画像データからキャリブレーションにより設定された検知エリアを抽出し、抽出した検知エリアの画像データとベース画像データとの差分画像データを算出する。
【0079】
ここで、ベース画像データは、例えば、撮像センサ21が大便及び小便がされていないボウル部101aの状態を複数回撮像することによって得られた複数のボウル部101aの画像データに基づいて生成される。すなわち、ベース画像データは、大便及び小便がされていないボウル部101aのデフォルト状態を示す検知エリアのカラー画像データである。したがって、大便時又は小便時に撮像された検知エリアの画像データとベース画像データとの差分をとることによって、大便、小便、又は異物を示す画像データを抽出することができる。
【0080】
次に、排泄物判定部312は、差分画像データにおいてR、G、Bのそれぞれの色成分の比率であるRGB比率を算出する。ここで、RGB比率は、例えば差分画像データにおけるR成分の輝度の合計値と、G成分の輝度の合計値と、B成分の輝度の合計値との比率である。
【0081】
次に、排泄物判定部312は、算出したRGB比率と予め定められた大便のRGB比率との距離を算出し、算出した距離が基準距離以下であれば、ボウル部101aには大便があると判定する。また、排泄物判定部312は、算出したRGB比率と予め定められた小便のRGB比率との距離を算出し、算出した距離が基準距離以下であれば、ボウル部101aには小便があると判定する。さらに、排泄物判定部312は、これら以外の場合、ボウル部101aには異物があると判定する。異物は例えば紙おむつ等である。
【0082】
判定結果出力部313は、排泄物判定部312による判定結果に基づいて排泄履歴情報を生成し、通信部33を介してサーバ5に送信する。排泄履歴情報には、大便又は小便が行われたことを示す、排泄行為を示す情報と、排泄行為が行われた日時を示す日時情報とが対応付けられた情報である。さらに、排泄履歴情報には、排泄物の検出に用いられた画像データが含まれてもよい。この場合、画像データ内に設定された検知エリアD1の領域のみが排泄履歴情報に含まれていてもよい。
【0083】
メモリ32は、フラッシュメモリ等の記憶装置で構成される。メモリ32は、処理装置3のファームウェアを記憶するファームウェア記憶部321及び検知エリアD1の設定値を記憶する設定値記憶部322を含む。
【0084】
通信部33は、処理装置3をセンサ部2と通信可能に接続するための機能を備える通信回路で構成されている。また、通信部33は、処理装置3をネットワーク4に接続するための機能を備えている。ネットワーク4は、例えばインターネットである。通信部33は、排泄履歴情報をサーバ5へ送信する。
【0085】
操作部34は、1又は複数のボタンで構成されており、ユーザにより入力される種々の操作を受け付ける。
【0086】
次に、キャリブレーションについて説明する。キャリブレーションには、設定値の初期化処理と、検知エリアの設定処理とが実行される。図10は、本開示の実施の形態1における設定値の初期化処理の一例を示すフローチャートである。
【0087】
設定値の初期化処理は検知エリアの設定処理に先立って行われる。ステップS1において、キャリブレーション実行部311は、初期化処理を開始するための所定の操作が操作部34によって受け付けられたか否かを判定する。所定の操作が操作部34によって受け付けられた場合(ステップS1でYES)、処理はステップS2に進む。一方、所定の操作が操作部34によって受け付けられていない場合(ステップS1でNO)、処理はステップS1で待機する。
【0088】
ステップS2において、キャリブレーション実行部311は、ファームウェア記憶部321に記憶された検知エリアD1の初期設定値を検知エリアD1の設定値として設定値記憶部322に書き込む。
【0089】
図11は、本開示の実施の形態1における検知エリアD1の設定処理の一例を示すフローチャートである。ステップS11において、キャリブレーション実行部311は、検知エリアD1の設定処理を開始するための所定の操作が操作部34によって受け付けられたか否かを判定する。
【0090】
所定の操作が受け付けられた場合(ステップS11でYES)、処理はステップS12に進み、所定の操作が受け付けられていない場合(ステップS11でNO)、処理はステップS11で待機する。ここで、検知エリアD1の設定処理を開始するための所定の操作は、例えば、処理装置3の筐体に設けられた所定のボタンが長押し(例えば5秒以上)される操作が採用される。
【0091】
ステップS12において、キャリブレーション実行部311は、撮像センサ21から画像データを取得する。
【0092】
ステップS13において、キャリブレーション実行部311は、大便器101の所定の箇所に位置するマークM1の画像データ上の出現位置を検出する。キャリブレーション実行部311は、例えば、パターン認識処理等を用いて出現位置を検出すればよい。図12は、大便器101に配置されたマークM1を示す図である。マークM1はシールで構成され、キャリブレーションに先立ってユーザにより予め大便器101の縁部101bの内壁101dに張り付けられている。具体的には、マークM1は、センサ部2を大便器101に取り付ける際に内壁101dに張り付けられる。これらの作業を行うユーザは、エンドユーザであってもよいし、センサ部2を設置する作業員であってもよい。
【0093】
図13は、センサ部2の取り付け作業を説明する図である。まず、ユーザは、便座102の底面に設けられた突起部(図略)の縁部101bに対する当接位置を避けるように、取付部6を縁部101bに取り付け、センサ部2を大便器101に取り付ける。
【0094】
次に、ユーザは、ボウル部101a内に検知エリアD1を想定する。検知エリアD1は、大便の落下が想定されるエリアである。例えば、検知エリアD1は、中心P0が水溜まり部104の後端又は後端近傍に位置し、水溜まり部104と同程度のサイズを有する。但し、これは一例であり、検知エリアD1は水溜まり部104より大きなサイズを有していてもよいし、小さなサイズを有していてもよい。ユーザは、例えば、センサ部2の取付マニュアルに図示された検知エリアD1を参考に検知エリアD1を想定すればよい。
【0095】
次に、ユーザは、センサ部2の筐体24に設けられた撮像センサ21に光を導く開口部及び検知エリアD1の中心P0間を通る基準線LRと内壁101dとの交点にマークM1を張り付ける。図12に示すように、マークM1は例えば十字状である。ユーザは、十字状のマークM1の縦線が上下方向を向き横線が水平方向を向くようにマークM1を張り付ける。
【0096】
ステップS14において、キャリブレーション実行部311は、画像データにおいて、マークM1の出現位置から所定の方位に所定距離離れた位置に検知エリアD1の中心P0に対応する位置を設定する。例えば、キャリブレーション実行部311は、画像データに現れる十字状のマークM1の縦線における下方の延長線上の所定距離離れた位置に中心P0に対応する位置を設定すればよい。所定距離は、例えば、マークM1と中心P0とをつなぐ線分を撮像センサ21の撮像面に射影した場合に想定される線分の距離に基づいて予め定められた値が採用される。
【0097】
ステップS15において、キャリブレーション実行部311は、画像データにおいて、中心P0に対応する位置を基準に、検知エリアD1に対応する領域を設定する。ここで、検知エリアD1に対応する領域の形状及びサイズは、例えば、検知エリアD1を撮像センサ21の撮像面に投影した場合に想定される検知エリアD1のサイズ及び形状に基づいて予め定められた値が採用される。
【0098】
ステップS16において、キャリブレーション実行部311は、検知エリアD1に対応する領域が設定できたか否かを判定する。検知エリアD1に対応する領域が設定できた場合(ステップS16でYES)、キャリブレーション実行部311は、検知エリアD1に対応する領域の設定値で、設定値記憶部322に記憶されている初期設定値を書き換える(ステップS17)。検知エリアD1に対応する領域の設定値には、例えば検知エリアD1に対応する領域の形状を示す座標が含まれる。一方、検知エリアD1に対応するが設定できなかった場合(ステップS16でNO)、キャリブレーション実行部311は、初期設定値を書き換えない(ステップS18)。以上により、キャリブレーションが終了される。検知エリアD1に対応する領域が設定できないケースとしては、例えば、マークM1を検出できなかったケース、中心P0に対応する位置を画像データに設定できなかったケース、及び検知エリアD1に対応する領域が画像データ内に収まらなかったケース等が該当する。
【0099】
このように、実施の形態1における撮像装置1によれば、上述したようにセンサ部2の取付位置と画角とが設定されているため、検知エリアD1のみならずボウル部101aの大半の領域をセンサ部2の画角内に入れることが可能となる。
【0100】
(実施の形態2)
実施の形態2は、小便の落下位置から排泄者の性別を判定するものである。図14は、本開示の実施の形態2における撮像装置1Aの構成の一例を示すブロック図である。
【0101】
撮像装置1Aの処理装置3Aのプロセッサ31Aは、図9のプロセッサ31に対して、さらに性別判定部314を含んでいる。
【0102】
性別判定部314は、撮像センサ21が撮像した画像データから小便のボウル部101aへの落下位置を検出し、検出した落下位置に基づいて、排泄者の性別を判定する。
【0103】
ここで、性別判定部314は、検出した落下位置が第1領域に位置する場合、排泄者は男性であると判定し、落下位置が第1領域よりも後方に設けられた第2領域に位置する場合、排泄者は女性であると判定すればよい。
【0104】
さらに、性別判定部314は、排泄者の着座位置を検出し、判定結果に基づいて、第1領域及び第2領域を設定してもよい。
【0105】
図15は、本開示の実施の形態2における撮像装置1Aの処理の一例を示すフローチャートである。なお、図15のフローチャートと並行して撮像センサ21は所定のフレームレートで画像データを撮像しているものとする。ステップS31において、性別判定部314は、着座位置の判定に用いられるセンシングデータを取得する。ここでは、センシングデータとして撮像センサ21が撮像した画像データが採用される。
【0106】
ステップS32において、性別判定部314は、センシングデータから排泄者の着座位置を検出する。図16は、実施の形態2における撮像装置1Aの処理の説明図である。着座位置は、図16に示す座標軸1601を用いて表される。座標軸1601は、例えば、前後方向を長手方向する一次元の座標である。
【0107】
センシングデータとして画像データを用いた場合、着座位置は下記の3つの方法で検出される。1つ目の方法は、画像データに出現するお尻の頂点の位置に基づいて着座位置を検出する方法である。例えば、性別判定部314は、排泄者が便座102に着座した際に取得された画像データに対して画像処理を行い、画像データ上におけるお尻の頂点の位置を検出する。ここで、性別判定部314は、例えば、RGBの色成分の比率に基づいてお尻を示す領域を画像データから抽出し、抽出した領域の輪郭線上の下端をお尻の頂点の位置として検出すればよい。そして、性別判定部314は、お尻の頂点の位置に対応する座標軸1601上の位置を算出し、算出した位置を着座位置として検出すればよい。
【0108】
2つ目の方法は、画像データから排泄者のお尻の穴の位置を検出し、検出したお尻の穴の位置に基づいて着座位置を検出する方法である。例えば、性別判定部314は、排泄中の画像データから排泄途中の大便の起点の位置に基づいてお尻の穴の位置を検出すればよい。ここで、性別判定部314は、画像データから排泄途中の大便の領域を抽出し、抽出した大便の領域の上端の位置を大便の起点の位置として検出すればよい。そして、性別判定部314は、検出したお尻の穴の位置に対応する座標軸1601上の位置を算出し、算出した位置を着座位置として検出すればよい。
【0109】
3つ目の方法は、画像データの明るさに基づいて着座位置を検出する方法である。排泄者が便座102に浅く着座した場合、ボウル部内に多くの外光が入るため、撮像センサ21が撮像した画像データは明るくなる。一方、排泄者が便座102に深く着座した場合、ボウル部内に入る外光は減るため、撮像センサ21が撮像した画像データは暗くなる。すなわち、着座位置とボウル部101a内の明るさとには相関がある。これを利用して、着座位置を検出するのが3つ目の方法である。
【0110】
例えば、性別判定部314は、排泄者が便座102に着座した際に取得された画像データの輝度を求める。例えば、性別判定部314は、画像データを構成する複数の画素の輝度の平均値を画像データの輝度として算出すればよい。各画素の輝度は、例えば、各画素におけるR、G、Bの各値の平均値が採用できる。そして、性別判定部314は、画像データの輝度と着座位置とが予め関連付けられたテーブルを参照することで、算出した画像データの輝度に対応する着座位置を排泄者の着座位置として検出すればよい。
【0111】
なお、着座位置は照度センサを用いて検出されてもよい。3つ目の方法で説明したように、着座位置とボウル部101a内の明るさとには相関がある。そこで、性別判定部314は、ボウル部101a内の照度と着座位置との関係が予め関連付けられたテーブルを参照することで、照度センサが検出したボウル部101a内の照度に対応する着座位置を特定し、特定した着座位置を排泄者の着座位置として検出すればよい。この場合、センサ部2の筐体24内に照度センサを設ければよい。また、この場合、センシングデータとして照度センサが検出した照度を示すデータが採用される。
【0112】
ステップS33において、性別判定部314は、検出した着座位置に基づいて画像データ内に第1領域及び第2領域に対応する領域を設定する。図16は、第1領域D11及び第2領域D12を示す図である。第1領域D11は男性が小便をした際に小便の落下が想定されるボウル部101a上の位置に基づいて予め定められた矩形状の領域である。第2領域D12は女性が小便をした際に小便の落下が想定されるボウル部101a上の位置に基づいて予め定められた矩形状の領域である。小便の落下位置は女性よりも男性の方が前側に位置する。そこで、第1領域D11は第2領域D12よりも前方に設定されている。なお、第1領域D11及び第2領域D12はボウル部101aを上側から見て、開口部101cの中心線を挟んで左右対称の形状を有している。なお、第1領域D11及び第2領域D12の形状は矩形状に限定されず、円形であってもよい。
【0113】
第1領域D11及び第2領域D12を固定してしまうと、排泄者の着座位置に応じて小便の落下位置が第1領域D11及び第2領域D12からずれる可能性がある。そこで、本実施の形態では、着座位置に応じて予め定められた位置に第1領域D11及びD12を設定する。例えば、第1領域D11及び第2領域D12は、着座位置が前方に向かうにつれて前方にずらされる。
【0114】
なお、画像データ上に設定される第1領域D11及び第2領域D12に対応する領域は、第1領域D11及び第2領域D12を撮像センサ21の撮像面に投影した場合に想定される第1領域D11及び第2領域D12のサイズ及び形状に基づいて予め定められたサイズ及び形状を有する。
【0115】
ステップS34において、性別判定部314は、小便の排泄が開始されたか否かを検出する。ここで、性別判定部314は、撮像センサ21が撮像した複数の画像データをモニタして、画像データに放物線状に変化する物体を検出した場合、小便の排泄が開始されたと判定すればよい。
【0116】
小便の排泄が開始されたことが検出された場合(ステップS34でYES)、性別判定部314は、小便の落下位置を検出する(ステップS36)。ここで、性別判定部314は、撮像センサ21が撮像した複数の画像データをモニタして、放物線状に変換する物体の下端位置を落下位置として検出すればよい。
【0117】
一方、小便の排泄の開始が検出されない場合(ステップS34でNO)、性別判定部314は、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS35)。所定時間が経過した場合(ステップS35でYES)、排泄者により排泄行為はなされなかったとして処理は終了される。一方、所定時間が経過していない場合(ステップS35でNO)、処理はステップS34に戻る。
【0118】
ステップS37において、性別判定部314は、落下位置が第1領域D11内に位置しているか否かを判定する(ステップS37)。落下位置が第1領域D11内に位置していると判定した場合(ステップS37でYES)、性別判定部314は、排泄者は男性であると判定する(ステップS39)。一方、落下位置が第1領域D11に位置していない場合(ステップS37でNO)、性別判定部314は、落下位置が第2領域D12に位置しているか否かを判定する(ステップS38)。落下位置が第2領域D12に位置していると判定された場合(ステップS38でYES)、性別判定部314は、排泄者は女性であると判定する(ステップS40)。一方、落下位置が第2領域D12に位置していないと判定された場合(ステップS38でNO)、性別判定部314は、処理を終了する。
【0119】
このように、実施の形態2における撮像装置1Aによれば、画像データから小便の落下位置を検出することで、排泄者の性別を判定することができる。
【0120】
(実施の形態3)
実施の形態1では、図2図5に示すように、交点P1及び交点P2がセンサ部2の視野内に収まるように、センサ部2の画角及び取付位置が設定されていた。実施の形態3では、図13に示す検知エリアD1がセンサ部2の視野内含まれるという制約の下、図2に示す境界線L1が交点P1と交点P3との間の中心線LC上の位置P5を通り、且つ境界線L2が交点P4と交点P2との間の中心線LC上の位置P6を通るようにセンサ部2の画角及び取付位置が設定されている。
【0121】
このように、実施の形態3では、検知エリアがセンサ部2の視野内に含まれるという制約の下、境界線L1が位置P5を通り、境界線L2が位置P6を通るように、センサ部2の画角及び取付位置が設定されている。そのため、より小さな画角で検知エリアD1を視野内に含ませることができる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本開示によれば、排泄物を画角内に収めることができるため、画像データに基づいて排泄物を検出する技術分野において有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16