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特許7652808VHHを含むADC又はAOCと、サポニン又はリガンド-サポニンコンジュゲートとを含む組み合わせ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】VHHを含むADC又はAOCと、サポニン又はリガンド-サポニンコンジュゲートとを含む組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20250319BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20250319BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20250319BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20250319BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250319BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20250319BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20250319BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250319BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20250319BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20250319BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20250319BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20250319BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20250319BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20250319BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20250319BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20250319BHJP
   C12N 5/09 20100101ALN20250319BHJP
【FI】
A61K47/68
A61K47/54
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61K39/395 L
A61K39/395 C
A61K31/7088
A61P35/00
A61P37/02
A61P29/00 101
A61P43/00
A61P31/12
A61P3/06
A61P13/02
A61P7/00
A61P1/16
A61K48/00
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C12N5/09
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2022579893
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 EP2020069338
(87)【国際公開番号】W WO2021259506
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】2025901
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】521271727
【氏名又は名称】サプリーム テクノロジーズ,ベー.フェー.
【氏名又は名称原語表記】SAPREME TECHNOLOGIES B.V.
【住所又は居所原語表記】Antonie van Leeuwenhoeklaan 9 Building A12-1 3721 MA Bilthoven NETHERLANDS
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポステル,ルーベン
(72)【発明者】
【氏名】ヘアマンス,ガイ
(72)【発明者】
【氏名】フュッヒ,ヘンドリック
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-505958(JP,A)
【文献】Hendrik FUCHS et al.,“Glycosylated Triterpenoids as Endosomal Escape Enhancers in Targeted Tumor Therapies”,Biomedicines,2017年03月29日,Vol. 5, No. 4,p.14,DOI: 10.3390/biomedicines5020014
【文献】Cheenu BHARGAVA et al.,“Targeted dianthin is a powerful toxin to treat pancreatic carcinoma when applied in combination wi,Molecular Oncology,2017年09月15日,Vol. 11, No. 11,p.1527-1543,DOI: 10.1002/1878-0261.12115
【文献】Roger GILABERT-ORIOL et al.,“Immunotoxins Constructed with Ribosome-Inactivating Proteins and their Enhancers: A Lethal Cocktai,Current Pharmaceutical Design,2014年10月22日,Vol. 20, No. 42,p.6584-6643,DOI: 10.2174/1381612820666140826153913
【文献】Xue-Wei CAO et al.,“Analysis of Triterpenoid Saponins Reveals Insights into Structural Features Associated with Potent Protein Drug Enhancement Effects”,Molecular Pharmaceutics,2020年01月17日,DOI: 10.1021/acs.molpharmaceut.9b01158
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
A61P 1/00- 43/00
A61K 48/00
A61K 39/395
C07K 16/28
C12N 15/13
C12N 5/09
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-少なくとも1つのエフェクター分子と、第1の細胞表面分子に結合するための単一ドメイン抗体(sdAb)とを含み、これらは直接又はリンカーを介して互いに共有結合しており、前記エフェクター分子が天然、合成、または修飾オリゴヌクレオチドを含む、またはそれらからなる、第1のコンジュゲート;
-第2の細胞表面分子に結合するための結合分子と、前記結合分子とサポニンは直接又はリンカーを介して互いに共有結合しているサポニンとを含む第2のコンジュゲートであって、前記サポニンは12,13-デヒドロオレアナンのタイプに属するビデスモシドトリテルペングリコシドであり、前記サポニンはグルクロン酸官能基を含む分岐炭水化物側鎖をC 位に有し、前記サポニンはデオキシ炭水化物を含む分岐炭水化物側鎖をC 28 位に有し、前記第2の細胞表面分子は、前記第1の細胞表面分子と同じであるか又は異なり、前記第1の細胞表面分子および前記第2の細胞表面分子が異なる場合、前記第1の細胞表面分子および前記第2の細胞表面分子は、同一の標的細胞に存在する、第2のコンジュゲート;並びに、任意選択により
-薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤
を含む単一の医薬組成物
【請求項2】
前記sdAbは、
抗体の重鎖に由来するVドメイン;
抗体の軽鎖に由来するVドメイン;及び
ラクダ科(Camelidae)起源又はIg-NAR起源に由来する重鎖抗体(HCAb)に由来するVHHドメイン
のいずれか1つ以上である、請求項1に記載の単一の医薬組成物
【請求項3】
前記第1のコンジュゲートは、前記少なくとも1つのエフェクター分子に共有結合した少なくとも2つのsdAbを含む、請求項1または2に記載の単一の医薬組成物
【請求項4】
前記sdAbは、HIVgp41、CD71、CA125、EpCAM(17-1A)、CD52、CEA、CD44v6、FAP、EGF-IR、インテグリン、シンデカン-1、血管インテグリンαVベータ3、HER2、EGFR、CD20、CD22、葉酸受容体1、CD146、CD56、CD19、CD138、CD27L受容体、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、CanAg、インテグリンαV、CA6、CD33、メソテリン、Cripto、CD3、CD30、CD239、CD70、CD123、CD352、DLL3、CD25、エフリンA4、MUC-1、Trop2、CEACAM5、CEACAM6、HER3、CD74、PTK7、Notch3、FGF2、C4.4A、FLT3、CD38、FGFR3、CD7、PD-L1、CTLA-4、CD52、PDGFRA、VEGFR1、VEGFR2、c-Met(HGFR)、EGFR1、RANKL、ADAMTS5、CD16、CXCR7(ACKR3)、グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質(GITR)から選択される受容体である第1の細胞表面分子に結合することができ、または、
抗CD71 sdAb、抗HER2 sdAb、抗CD20 sdAb、抗CA125 sdAb、抗EpCAM(17-1A)sdAb、抗EGFR sdAb、抗CD30 sdAb、抗CD33 sdAb、抗血管インテグリンαvβ3 sdAb、抗CD52 sdAb、抗CD22 sdAb、抗CEA sdAb、抗CD44v6 sdAb、抗FAP sdAb、抗CD19 sdAb、抗CanAg sdAb、抗CD56 sdAb、抗CD38 sdAb、抗CA6 sdAb、抗IGF-1R sdAb、抗インテグリン sdAb、抗シンデカン-1 sdAb、抗CD79b、抗c-Met sdAb、抗EGFR1 sdAb、抗VEGFR2 sdAb、抗CXCR7 sdAb、及び抗HIVgp41から選択される受容体である第1の細胞表面分子に結合することができる、請求項1~のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項5】
前記第1のコンジュゲートは、HER2、CD71、HIVgp41及び/又はEGFRに結合することができるsdAbを含み、または、
前記第1のコンジュゲートは、クローン11A4、クローン18C3、クローン22G12、クローンQ17若しくはクローンQ17-Cタグによって産生されるsdAbから選択されるHER2に結合するためのsdAb;又はクローン抗EGFR Q86-Cタグによって産生されるEGFRに結合するためのsdAb;又はクローン抗CD71 Q52-Cタグによって産生されるCD71に結合するためのsdAb;又はクローン抗HIVgp41 Q8-Cタグによって産生されるHIVgp41に結合するためのsdAb;又は配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29及び31のいずれか1つのcDNAによってコードされるsdAb;又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、36~72のアミノ酸配列を有するsdAbのいずれか1つを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項6】
前記エフェクター分子は、BNA、ゼノ核酸若しくはsiRNAを含むか、又はそれらからなり、及び/又は、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO、AON)、短鎖干渉RNA(siRNA)、抗マイクロRNA(抗miRNA)、DNAアプタマー、RNAアプタマー、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロアミデートモルフォリノオリゴマー(PMO)、ロック核酸(LNA)、架橋型核酸(BNA)、2’-デオキシ-2’-フルオロアラビノ核酸(FANA)、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、3’-フルオロヘキシトール核酸(FHNA)、グリコール核酸(GNA)及びトレオース核酸(TNA)、又はその誘導体のいずれか1つ以上から選択され、例えば、HSP27タンパク質発現をサイレンシングするためのBNA、又はアポリポタンパク質B発現をサイレンシングするためのBNAである、請求項1~のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項7】
前記エフェクター分子におけるオリゴヌクレオチドは、短鎖干渉RNA(siRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、抗ヘアピン型マイクロRNA(miRNA)、一本鎖RNA、アプタマーRNA、二本鎖RNA(dsRNA)、抗マイクロRNA(抗miRNA、抗miR)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、mRNA、DNA、アンチセンスDNA、ロック核酸(LNA)、架橋型核酸(BNA)、2’-O,4’-アミノエチレン架橋型核酸(BNANC)、BNAベースのsiRNA、及びBNAベースのアンチセンスオリゴヌクレオチド(BNA-AON)のいずれか1つ以上から選択され、及び/又は、
抗miRNA、BNA-AON、又はsiRNA、例えばBNAベースのsiRNAのいずれか1つから選択され、及び/又は、
遺伝子をサイレンシングすることができ(そのような遺伝子を含む細胞中に存在する場合)、前記遺伝子は次の遺伝子:アポリポタンパク質B(apoB)、トランスチレチン(TTR)、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、デルタ-アミノレブリン酸シンターゼ1(ALAS1)、アンチトロンビン3(AT3)、グリコール酸オキシダーゼ(GO)、補体成分C5(CC5)、B型肝炎ウイルスのX遺伝子(HBV)、HBVのS遺伝子、α-1アンチトリプシン(AAT)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のいずれか1つであり、且つ/又は異常なmiRNAを標的とすることができ(そのようなmiRNAを含む細胞中に存在する場合)、及び/又は、
mRNAを標的とすることができ(そのようなmRNAを含む細胞中に存在する場合)、前記mRNAは次のタンパク質:アポB、TTR、PCSK9、ALAS1、AT3、GO、CC5、HBVのX遺伝子の発現産物、HBVのS遺伝子の発現産物、AAT及びLDHのいずれか1つの発現に関与するか、又はmiRNA機能に拮抗、若しくはmiRNA機能を回復させることができる(このようなmiRNAを含む細胞中に存在する場合)、請求項1~のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項8】
前記サポニンは、
2α-ヒドロキシオレアノール酸;
16α-ヒドロキシオレアノール酸;
ヘデラゲニン(23-ヒドロキシオレアノール酸);
16α,23-ジヒドロキシオレアノール酸;
ギプソゲニン;
キラ酸;
プロトエシゲニン21(2-メチルブタ-2-エノエート)-22-アセテート;
23-オキソ-バリングトゲノールC-21,22-ビス(2-メチルブタ-2-エノエート);
23-オキソ-バリングトゲノールC-21(2-メチルブタ-2-エノエート)-16,22-ジアセテート;
ジギトゲニン;
3,16,28-トリヒドロキシオレアナン-12-エン;及び
ギプソゲン酸
から選択されるアグリコンコア構造を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項9】
前記サポニンはキラ酸及びギプソゲニンから選択されるアグリコンコア構造を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項10】
前記サポニンは、前記サポニンのアグリコンコア構造のC原子又はC28原子に結合した第1の糖鎖を含み、且つ/或いは前記サポニンは、前記サポニンのアグリコンコア構造のC28原子に結合した第2の糖鎖を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項11】
前記サポニンは、
GlcA-、
Glc-、
Gal-、
Rha-(1→2)-Ara-、
Gal-(1→2)-[Xyl-(1→3)]-GlcA-、
Glc-(1→2)-[Glc-(1→4)]-GlcA-、
Glc-(1→2)-Ara-(1→3)-[Gal-(1→2)]-GlcA-、
Xyl-(1→2)-Ara-(1→3)-[Gal-(1→2)]-GlcA-、
Glc-(1→3)-Gal-(1→2)-[Xyl-(1→3)]-Glc-(1→4)-Gal-、
Rha-(1→2)-Gal-(1→3)-[Glc-(1→2)]-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
から選択される第1の糖鎖を含み、
且つ/又は
前記サポニンは、
Glc-、
Gal-、
Rha-(1→2)-[Xyl-(1→4)]-Rha-、
Rha-(1→2)-[Ara-(1→3)-Xyl-(1→4)]-Rha-、
Ara-、
Xyl-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R1-(→4)]-Fuc-(ここで、R1は4E-メトキシケイ皮酸である)、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R2-(→4)]-Fuc-(ここで、R2は4Z-メトキシケイ皮酸である)、
Xyl-(1→4)-[Gal-(1→3)]-Rha-(1→2)-4-OAc-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-3,4-ジ-OAc-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R3-(→4)]-3-OAc-Fuc-(ここで、R3は4E-メトキシケイ皮酸である)、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-4-OAc-Fuc-、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-4-OAc-Fuc-、
(Ara-又はXyl-)(1→3)-(Ara-又はXyl-)(1→4)-(Rha-又はFuc-)(1→2)-[4-OAc-(Rha-又はFuc-)(1→4)]-(Rha-又はFuc-)、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Qui-(1→4)]-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Gal-(1→3)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Ara/Xyl-(1→4)-Rha/Fuc-(1→4)-[Glc/Gal-(1→2)]-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R4-(→4)]-Fuc-(ここで、R4は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R5-(→4)]-Fuc-(ここで、R5は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4-OAc-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4-OAc-Fuc-、
6-OAc-Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[3-OAc-Rha-(1→3)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[3-OAc--Rha-(1→3)]-Fuc-、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Qui-(1→4)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-[Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-[Qui-(1→4)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Xyl-(1→3)-4-OAc-Qui-(1→4)]-Fuc-、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[3,4-ジ-OAc-Qui-(1→4)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-[Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
6-OAc-Glc-(1→3)-[Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Glc-(1→3)-[Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Xyl-(1→3)-4-OAc-Qui-(1→4)]-Fuc-、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4OAc-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4OAc-Fuc-、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R6-(→4)]-Fuc-(ここで、R6は5-O-[5-O-Rha-(1→2)-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R7-(→4)]-Fuc-(ここで、R7は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R8-(→4)]-Fuc-(ここで、R8は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R9-(→4)]-Fuc-(ここで、R9は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R10-(→4)]-Fuc-(ここで、R10は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R11-(→3)]-Fuc-(ここで、R11は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R12-(→3)]-Fuc-(ここで、R12は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))、及び
Glc-(1→3)-[Glc-(1→6)]-Gal-、
から選択される第2の糖鎖を含む、請求項10に記載の単一の医薬組成物
【請求項12】
前記サポニンは、キラヤ樹皮サポニン、ディプサコシドB、サイコサポニンA、サイコサポニンD、マクラントイジンA、エスクレントシドA、フィトラッカゲニン、エシナート、AS6.2、NP-005236、AMA-1、AMR、α-ヘデリン、NP-012672、NP-017777、NP-017778、NP-017774、NP-018110、NP-017772、NP-018109、NP-017888、NP-017889、NP-018108、SA1641、NP-017674、NP-017810、AG1、NP-003881、NP-017676、NP-017677、NP-017706、NP-017705、NP-017773、NP-017775、SA1657、AG2、SO1861、GE1741、SO1542、SO1584、SO1658、SO1674、SO1832、SO1904、SO1862、QS-7、QS1861、QS-7api、QS1862、QS-17、QS-18、QS-21A-api、QS-21A-xyl、QS-21B-api、QS-21B-xyl、β-エシン、エシンIa、チャ種子サポニンI、チャ種子サポニンJ、アッサムサポニンF、ジギトニン、プリムラ酸1及びAS64R、または、これらの立体異性体、並びに/或いはこれらの組み合わせから選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項13】
前記第2のコンジュゲートは、前記第2の細胞表面分子に結合するための結合分子を含み、その結合分子は、前記第2の細胞表面分子に結合するためのタンパク質性リガンド、例えばEGF若しくはサイトカイン、又は前記第2の細胞表面分子に結合することができる免疫グロブリン若しくは前記免疫グロブリンの少なくとも1つの結合断片若しくは結合ドメインなどのリガンドのいずれか1つ以上であり、または、
前記第2の細胞表面分子は、異常細胞上に存在する細胞表面受容体である、請求項1~12のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項14】
前記第2のコンジュゲートは、抗体、又はその結合断片若しくは結合ドメイン、或いは受容体リガンドなどの前記第2の細胞表面分子に結合するための結合分子を含み、第2の細胞表面受容体は、HIVgp41、又は腫瘍細胞特異的受容体である、請求項1~13のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項15】
前記第2のコンジュゲートは、CD71、CA125、EpCAM(17-1A)、CD52、CEA、CD44v6、FAP、EGF-IR、インテグリン、シンデカン-1、血管インテグリンαVベータ3、HER2、EGFR、CD20、CD22、葉酸受容体1、CD146、CD56、CD19、CD138、CD27L受容体、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、CanAg、インテグリンαV、CA6、CD33、メソテリン、Cripto、CD3、CD30、CD239、CD70、CD123、CD352、DLL3、CD25、エフリンA4、MUC-1、Trop2、CEACAM5、CEACAM6、HER3、CD74、PTK7、Notch3、FGF2、C4.4A、FLT3、CD38、FGFR3、CD7、PD-L1、CTLA-4、CD52、PDGFRA、VEGFR1、VEGFR2、c-Met(HGFR)、EGFR1、RANKL、ADAMTS5、CD16、CXCR7(ACKR3)、グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質(GITR)から選択される細胞表面受容体である、請求項14に記載の単一の医薬組成物
【請求項16】
前記第2のコンジュゲートは、前記第2の細胞表面分子に結合するための結合分子を含み、この結合分子は抗CD71抗体OKT-9、トラスツズマブ(Herceptin)、ペルツズマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、トシツモマブ、オビヌツズマブ、イブリツモマブ、オレゴボマブ、エドレコロマブ、セツキシマブ、マツズマブ、パニツムマブ、ニモツズマブ、ブレンツキシマブ、ゲムツズマブ、huMy9-6、エタラシズマブ、アレムツズマブ、エプラツズマブ、ピナツズマブ、モキセツモマブ、イノツズマブ、ラベツズマブ、ビバツズマブ、シブロツズマブ、抗CD19抗体huB4、抗CanAg抗体huC242、抗CD56抗体huN901、抗CD38抗体OKT-10、ダラツムマブ、抗CD38モノクローナル抗体、抗CA6抗体DS6、抗IGF-1R抗体3B7、シクスツムマブ、抗インテグリン抗体CNTO 95、抗シンデカン-1抗体B-B4、ポラツズマブ、及び抗HIVgp41抗体である、請求項1~15のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項17】
前記第2のコンジュゲートが、前記結合分子中のスルフヒドリル基にチオ-エーテル結合を介して共有結合している前記サポニンを含み、リンカーN-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)を介した共有結合が前記サポニンのアグリコンコア構造のC23位のアルデヒド基に共有結合し、システインのスルフヒドリル基などの前記結合分子中のスルフヒドリル基に共有結合している、及び/又は、
前記サポニンは、前記サポニンのアグリコンコア構造のC23位にアルデヒド官能基を有する12,13-デヒドロオレアナンのタイプに属するビデスモシドトリテルペンサポニンであり、前記サポニンのアグリコンコア構造のCβ-OH基の第1の糖鎖にグルクロン酸単位を含む前記サポニンを含み、前記サポニン又はその誘導体は前記第1の糖鎖のグルクロン酸単位のカルボキシル基を介して、又は、
前記サポニンは、前記少なくとも1つのサポニンのアグリコンコア構造のCβ-OH基の前記第1の糖鎖中にグルクロン酸単位を含むサポニンを含み、このグルクロン酸単位はリンカーに共有結合している、請求項1~16のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項18】
前記第2のコンジュゲートは、2つ以上の共有結合したサポニンを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項19】
前記2つ以上の共有結合したサポニンは、少なくとも1つの切断可能なリンカーを介して共有結合している、請求項18に記載の単一の医薬組成物
【請求項20】
前記2つ以上の共有結合したサポニンは、少なくとも1つのオリゴマー分子又はポリマー分子を含み、前記2つ以上のサポニンが共有結合している、共有結合サポニンコンジュゲートの一部であり、前記共有結合サポニンコンジュゲートは前記結合分子に共有結合している、請求項19に記載の単一の医薬組成物
【請求項21】
前記共有結合サポニンコンジュゲートの前記ポリマー分子又は前記オリゴマー分子は、線状ポリマー、分岐ポリマー及び/若しくは環状ポリマー、オリゴマー、デンドリマー、デンドロン、デンドロン化ポリマー、デンドロン化オリゴマー、DNA、ポリペプチド、ポリ-リシン、ポリ-エチレングリコール、オリゴ-エチレングリコール(OEG)、又はこれらのポリマー構造及び/若しくはオリゴマー構造の集合体から選択される、ポリマー構造および/またはオリゴマー構造を含む、請求項20に記載の単一の医薬組成物
【請求項22】
前記共有結合サポニンコンジュゲートの前記ポリマー分子又は前記オリゴマー分子は、ポリ-アミドアミン(PAMAM)デンドリマーである、デンドロンである、請求項21に記載の単一の医薬組成物
【請求項23】
前記共有結合サポニンコンジュゲートの1~8個が前記結合分子に結合しており、前記少なくとも1つの共有結合サポニンコンジュゲートは、デンドロンに基づいている、請求項20~22のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項24】
前記サポニンは切断可能なリンカーを介して前記結合分子に共有結合している、請求項1~23のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項25】
前記切断可能なリンカーは、酸性条件、還元条件、酵素条件並びに/又は光誘導条件下で切断される、請求項24に記載の単一の医薬組成物
【請求項26】
前記切断可能なリンカーは、酸性条件下で切断されるヒドラゾン結合及びヒドラジド結合から選択される切断可能な結合、並びに/又はタンパク質分解を受けやすい結合、並びに/又は還元条件下で切断を受けやすい結合を含む、請求項25に記載の単一の医薬組成物
【請求項27】
前記切断可能なリンカーは、酸性条件下、インビボにて切断される、請求項24~26のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項28】
前記切断可能なリンカーは、pH≦5.5で切断される、請求項24~27のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項29】
請求項1~28のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物を有効成分として含有する医薬。
【請求項30】
遺伝子欠損に関連する疾患を治療するための、請求項1~28のいずれか一項に記載の単一の医薬組成物
【請求項31】
前記サポニンはSO1861若しくはQS-21である、請求項30に記載の単一の医薬組成物
【請求項32】
請求項1~28のいずれか一項に記載の第1のコンジュゲートを細胞外から前記細胞内にトランスファーするインビトロの方法であって、
a)請求項1~28のいずれか一項に記載の第1の細胞表面分子をその表面に発現し、任意選択で、請求項1~28のいずれか一項に記載の第2の細胞表面分子をその表面に発現する細胞を提供する工程;
b)工程a)で提供される細胞へトランスファーする請求項1~28のいずれか一項に記載の第1のコンジュゲートを提供する工程;
c)請求項1~28のいずれか一項に記載の第2のコンジュゲートを提供する工程;
d)工程a)の細胞を、工程b)の第1のコンジュゲートと、工程c)のコンジュゲートとに、インビトロで接触させる工程、
を含み、それにより、前記第1のコンジュゲートの前記細胞外から前記細胞内へのトランスファーを確立する、方法。
【請求項33】
-少なくとも1つのエフェクター分子と、第1の細胞表面分子に結合するための単一ドメイン抗体(sdAb)とを含み、これらは直接又はリンカーを介して互いに共有結合しており、前記エフェクター分子が天然、合成、または修飾オリゴヌクレオチドを含む、またはそれらからなる、第1のコンジュゲートを含み、任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む第1の医薬組成物;及び、
-第2の細胞表面分子に結合するための結合分子と、前記結合分子とサポニンは直接又はリンカーを介して互いに共有結合しているサポニンとを含む第2のコンジュゲートであって、前記サポニンは12,13-デヒドロオレアナンのタイプに属するビデスモシドトリテルペングリコシドであり、前記サポニンはグルクロン酸官能基を含む分岐炭水化物側鎖をC 位に有し、前記サポニンはデオキシ炭水化物を含む分岐炭水化物側鎖をC 28 位に有し、前記第2の細胞表面分子は、前記第1の細胞表面分子と同じであるか又は異なり、前記第1の細胞表面分子および前記第2の細胞表面分子が異なる場合、前記第1の細胞表面分子および前記第2の細胞表面分子は、同一の標的細胞に存在し、任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む第2のコンジュゲートを含む第2の医薬組成物;
を含む2つ以上の医薬組成物を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのエフェクター分子、及び第1の細胞表面分子に結合するための単一ドメイン抗体(sdAb)を含む第1のコンジュゲートを含み、
且つサポニン、その誘導体、又は第2の細胞表面分子に結合するための結合分子と、サポニン及び/若しくはその誘導体とを含む第2のコンジュゲートを含み、サポニン又はその誘導体はモノデスモシドトリテルペングリコシド又はビデスモシドトリテルペングリコシドである、医薬組み合わせに関する。本発明はまた、第1のコンジュゲート及びサポニン(誘導体)を含む組成物に関し、又は第1のコンジュゲート、及びサポニン(誘導体)を含む第2のコンジュゲートを含む組成物に関する。さらに、本発明は、薬剤として使用するための、また、癌、関節リウマチなどの自己免疫疾患、酵素欠損、遺伝子欠損、遺伝子欠損に関連する疾患、アミロイドーシス、酵素欠損に関連する疾患、ウイルス感染症などの感染症、高コレステロール血症、原発性高シュウ酸尿症、血友病A、血友病B、α1-アンチトリプシン関連肝疾患、急性肝性ポルフィリン症、トランスサイレチン媒介アミロイドーシスの治療又は予防に使用するための、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物に関する。さらに、本発明は、本発明の第1のコンジュゲートを細胞外から前記細胞内に、好ましくは前記細胞のサイトゾルにインビトロ又はエクスビボでトランスファーする方法に関する。本発明はまた、本発明の第1のコンジュゲートを細胞外から前記細胞内にトランスファーするためのインビトロ又はエクスビボの方法、及び、第1のコンジュゲートが細胞外から前記細胞内に、例えば前記細胞のエンドソーム、エンドリソソーム又はリソソームにトランスファーされたなら、第1のコンジュゲートに含まれるエフェクター分子を前記細胞のサイトゾル内にトランスファーするためのインビトロ又はエクスビボの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
治療的生物学的活性を有する分子は、多くの場合、理論的には、癌などの疾患の治療のための有効な治療薬として、それを必要とするヒト患者に適用するのに適している。典型的な例は、低分子の生物学的に活性な部分である。しかしながら、臨床で現在使用されている潜在的な薬物様分子及び治療薬の全てとは言わないまでも多くは、多くの欠陥及び欠点の少なくとも1つを抱えている。ヒトの身体に投与される場合、治療活性分子は、治療すべき疾患又は健康問題の根底にある側面に向けられた生物学的活性に加えて、オフターゲット効果を発揮し得る。そのようなオフターゲット効果は、望ましくなく、投与された分子の健康上又は生命を脅かす副作用の誘発のリスクを負う。多くの薬物様化合物及び治療部分が第III相臨床試験又は第IV相臨床試験(市販後追跡調査)に失敗する原因となるのは、そのような有害事象の発生である。したがって、低分子治療薬などの薬物分子であって、薬物分子の治療効果が、例えば、(1)疾患を引き起こしている生物学的因子又は生物学的プロセスに対して高い特性を有する、(2)十分に安全である、(3)十分に有効である、(4)病気の細胞に十分に向けられ、病気でない細胞に対するオフターゲット活性は全くないかほとんどない、(5)十分にタイミングよく作用するモードを有する(例えば、投与された薬物分子はある特定の時間枠でヒト患者の標的部位に到達し、ある特定の時間枠の間、標的部位に留まる)、及び/又は(6)とりわけ、患者の体内で十分に長く治療活性が続く薬物分子を提供することが強く求められている。残念なことに、今日まで、上記に概説した有益な特徴の多く又は全てを有する「理想的」治療薬は、すでに長く集中的に研究されてきたにもかかわらず、また個々に直面した困難及び欠点のいくつかの領域で目覚ましい進歩があったにもかかわらず、患者が利用できるまでには至っていない。
【0003】
化学療法は、癌治療の最も重要な治療選択肢の1つである。しかしながら、それは、健康な組織における分裂細胞よりも癌細胞に対して特異的であることはないので、低い治療域と関連することが多い。モノクローナル抗体の発明は、正常細胞を温存しながら、細胞傷害性薬剤を癌細胞へ標的化送達するための機構として、それらの特異的結合特性を利用する可能性を提供した。これは、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を作製するための、細胞傷害性エフェクター(ペイロード又は弾頭としても知られる)の抗体への化学的結合によって達成することができる。一般的には、それらの非結合形態において限定された治療指数(毒性用量を有効用量と比較する比率)を有する、エムタンシン(DM1)などの非常に強力なペイロードが使用される。Kadcyclaとしても知られる、トラスツズマブへのDM1の結合(アドトラスツズマブエムタンシン)は、サルにおいて、DM1の耐容量を少なくとも2倍増強する。過去数十年間、治療用ADCを開発するために多大な努力及び投資がなされてきた。しかし、有望な前臨床データにもかかわらず、ADCを臨床に導入することは依然として困難である。臨床使用が承認された最初のADCは、2000年の再発性急性骨髄性白血病(AML)に対するゲムツズマブオゾガマイシン(Mylotarg、CD33を標的、Pfizer/Wyeth)であった。しかしながら、Mylotargはその安全性プロファイルを含む多くの懸念があり、アメリカ食品医薬品局(Federal Drug Administration)(FDA)の要請により市場から撤退した。Mylotargで治療された患者は、従来の化学療法で治療された患者よりも死亡する割合が高いことが認められた。Mylotargは2017年に、より低い推奨用量、化学療法との組み合わせ又は単独での異なるスケジュール、及び新しい患者集団で、再び市場への投入が認められた。これまでに臨床使用のために承認されたADCはわずか5個であり、その間、約55個のADCの臨床開発が中止されている。しかしながら、関心は依然として高く、約80のADCが、現在、ほぼ600の臨床試験で、依然として臨床開発中である。
【0004】
患者が通常耐えられない毒性の高いペイロードを使用する可能性があるにもかかわらず、治療指数(毒性用量を有効用量と比較した比率)の低さが臨床開発において多くのADCの中止を余儀なくしている主要な問題であり、これは、正常細胞に対するオフターゲット毒性、細胞傷害性薬剤に対する耐性の発生、及び循環血液中の薬物の早期放出などのいくつかの機構によって引き起こされ得る。ADCのFDAによる系統的レビューは、ほとんどのADCの毒性プロファイルが使用されるペイロードによって分類され、使用される抗体によっては分類され得ないことを見出し、毒性のほとんどがペイロードの早期放出によって決定されることを示唆している。中止された約55個のADCのうち少なくとも23個は、不十分な治療指数が原因であったと推定される。例えば、トラスツズマブテシリンコンジュゲート(ADCT-502、HER-2を標的、ADC治療薬)の開発が、おそらくかなりのレベルのHER-2を発現する肺組織におけるオンターゲット、オフ組織効果によるであろう、狭い治療指数のために、最近中断された。さらに、第3相試験におけるいくつかのADCは、プライマリーエンドポイントが欠落しているため中止されている。例えば、新たに診断された膠芽腫を有する患者において試験されたデパツキシズマブマホドチンコンジュゲート(ABT-414、EGFRを標的、AbbVie)、及び白金製剤耐性卵巣癌を有する患者において試験されたミルベツキシマブソラブタンシンコンジュゲート(IMGN853、葉酸受容体アルファ(FRα)を標的、ImmunoGen)の第3相試験は、最近中止され、生存利益を示さなかった。いくつかのADCの臨床的に使用される用量は、その完全な抗癌活性のために十分ではない可能性があることに留意することが重要である。例えば、アドトラスツズマブエムタンシンは、ヒトにおいて3.6mg/kgのMTDを有する。乳癌の前臨床モデルにおいて、アドトラスツズマブエムタンシンは3mg/kg以上の用量レベルで腫瘍退縮を誘導したが、15mg/kgでより強力な効力が観察された。これは、臨床的に投与された用量では、アドトラスツズマブエムタンシンはその最大の潜在的抗腫瘍効果を発揮し得ないことを示唆している。
【0005】
ADCは、抗体、ペイロードなどの細胞傷害性部分、及びリンカーから主に構成される。既存の問題を克服するために、ADCの構成要素の各々を標的とする、新しいADCの設計及び開発において、いくつかの新規な戦略が提案され、実行されてきた。例えば、抗体成分に適切な抗原性標的を同定し検証することにより、腫瘍における発現レベルが高く、正常組織では発現がほとんどないか又は全くない抗原、循環するADCに接近可能である細胞表面に存在する抗原、及び結合後にADCの細胞への内部移行を可能にする抗原を選択することにより、
また活性の代替機構により、ADCの溶解度及び薬物抗体比(DAR)を増強し、細胞外に化学療法剤を輸送することができるタンパク質によって誘導される耐性を克服するリンカーを設計し最適化する、より多くのペイロードを含めることによってDAR比を増強し、抗体の均一性及び発展性を改善するために抗体を選択し最適化する。ADCの技術的発展に加えて、治療指数を最大化するため、例えば、分割投与により投与スケジュールを変更する;生体内分布試験を実施する;患者の選択を最適化するためバイオマーカーを含める、応答シグナルを早期に捉え、応答の持続時間及び深さをモニターする;並びに組み合わせ試験を知らせるなどの、新たな臨床及び翻訳戦略もまた展開されている。
【0006】
臨床的可能性のあるADCの例としては、ブレンツキシマブベドチン、イノツズマブオゾガマイシン、モキセツモマブパスドトクス及びポラツズマブベドチンなどのADCがあり、これらはリンパ性悪性疾患及び多発性骨髄腫の治療選択肢として評価されている。(悪性)B細胞上のCD79Bに結合するポラツズマブベドチン、及びCD22に結合するピナツズマブベドチンが臨床試験で試験されており、その試験では、ADCそれぞれを、CD20に結合するモノクローナル抗体であるリツキシマブを同時投与して組み合わせ、ペイロードは提供されない[B.Yu and D.Liu,Antibody-drug conjugates in clinical trials for lymphoid malignancies and multiple myeloma;Journal of Hematology & Oncology(2019)12:94]。これらの例のようなモノクローナル抗体の組み合わせは、ADCの前述の所望の特徴の多く又は全てを組み合わせる「魔法の弾丸」に到達するためのさらなるアプローチ及び試みである。
【0007】
一方、過去数十年において、核酸に基づく治療薬が開発中である。治療用核酸は、遺伝子治療、RNA干渉(RNAi)などのアプローチのために、デオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO、AON)、及び低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA、並びにDNA及びRNAアプタマーに基づくことができる。それらの多くは、DNA発現又はRNA発現の阻害によって作用の同じ基本的原理を共有し、それによって疾患関連異常タンパク質の発現を防止する。遺伝子治療の分野で実施されている臨床試験の数が最も多く、世界中でほぼ2600件の臨床試験が進行又は完了しているが、第3相試験に入るのはわずか約4%である。その後、ASOを用いた臨床試験が行われる。ADCと同様に、多数の技術が検討されているにもかかわらず、治療用核酸は、臨床開発中に、細胞への送達及びオフターゲット効果という2つの主要な問題を共有する。例えば、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロアミデートモルフォリノオリゴマー(PMO)、ロック核酸(LNA)及び架橋型核酸(BNA)などのASOは、標的遺伝子、特に低分子阻害剤又は中和抗体で標的とすることが困難な遺伝子を特異的に阻害する魅力的な戦略として研究されている。現在、様々なASOの有効性が、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、及び筋萎縮性側索硬化症などの多くの神経変性疾患、並びにいくつかの癌の病期において研究されている。潜在的な治療剤としてASOを適用するためには、標的細胞及び組織の細胞質及び/又は核へそれらを送達する安全で且つ有効な方法が必要である。ASOの臨床的関連性が実証されているが、インビトロ及びインビボの両方での非効率的な細胞への取り込みがASOの有効性を限定し、治療薬開発の障壁となっている。細胞への取り込みは用量の2%未満であり、有効且つ持続的な転帰を得るには低すぎる活性部位でのASO濃度がもたらされ得る。したがって、投与量を増加する必要があるが、これはオフターゲット効果を誘導する。最も一般的な副作用は、補体カスケードの活性化、凝固カスケードの阻害、及び免疫系のトール様受容体媒介性刺激である。
【0008】
化学療法薬は最も一般的には低分子であるが、それらの有効性は、重度のオフターゲット副毒性、並びにそれらの低い溶解性、迅速なクリアランス、及び限られた腫瘍への曝露によって妨げられる。ポリマー-薬物コンジュゲート(PDC)などの足場-低分子薬コンジュゲートは、薬理学的活性を有する高分子コンストラクトであり、これは担体足場(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))に結合した低分子薬の1つ以上の分子を含む。
【0009】
このようなコンジュゲート原理は、多くの注目を集め、数十年にわたって研究されてきた。前臨床又は臨床開発中の低分子薬のコンジュゲートの大部分は、腫瘍学的適応症のためのものである。しかし、2014年に非腫瘍学的適応症である慢性痛患者におけるオピオイド誘発性便秘症に対し、癌に関係しない最新の唯一の薬剤が承認された(Movantik、オピオイドアンタゴニストナロキソンのPEGオリゴマーコンジュゲート、AstraZeneca)。薬物-足場コンジュゲートのヒト対象の治療への適用の変換は、これまでのところ、臨床的効果をほとんど提供していない。例えば、PK1(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)コポリマードキソルビシン;Pharmacia、Pfizerによる開発)はマウスモデルにおいて固形腫瘍及び白血病の両方で大きな抗癌活性を示し、腫瘍学的適応について臨床研究下にあった。ヒトにおいて非特異的毒性の有意な減少及び薬物動態の改善を示したにもかかわらず、患者における抗癌効果の改善がわずかであることが判明し、その結果、PK1のさらなる開発は中止された。
【0010】
足場-低分子薬物コンジュゲートの失敗の原因は、少なくとも部分的には腫瘍部位でのその乏しい蓄積にある。例えば、マウスモデルにおいては、PK1は、健康な組織(肝臓、腎臓、肺、脾臓、及び心臓)よりも腫瘍において45~250倍高い蓄積を示したが、臨床試験においては、腫瘍における蓄積は患者の少数で観察されただけであった。
【0011】
前述の問題に対する潜在的な解決策は、リポソームなどの薬物送達のためのナノ粒子系の適用である。リポソームは1つ以上のリン脂質二重層からなる球形の小胞であり、これはリン脂質が水中に分散されると自然に形成される。リン脂質の両親媒性はそれに自己組織化、乳化及び湿潤性の特性を提供し、これらの特性は、新しい薬物及び新しい薬物送達システムの設計に使用することができる。リポソーム送達系に封入された薬物は、薬物の直接投与に勝るいくつかの利点、例えば、薬物動態及び薬力学に対する改善及び制御、組織標的化特性、毒性の減少、並びに薬物活性の増強をもたらし得る。そのような成功の例は、低分子化学療法剤ドキソルビシンのリポソーム封入形態(Doxil:ドキソルビシンのペグ化リポソーム封入形態;Myocet:非ペグ化リポソームドキソルビシン)であり、これらは臨床使用に承認されている。
【0012】
したがって、所望される場合に非全身使用に適用可能な抗腫瘍療法などの薬物療法を可能にする解決策を見出することが依然として求められており、この場合、薬物は、例えば、許容可能な安全性プロファイル、わずかなオフターゲット活性、十分な有効性、患者の身体からの十分に低いクリアランス率、十分に広い治療域などを有する。
【0013】
欧州特許第1623715B1号明細書には、サポニンと組み合わせた、標的細胞特異的結合分子に結合した薬理学的に活性な薬剤を含む組成物が記載されており、標的細胞特異的結合分子は完全長モノクローナル免疫グロブリンG型抗体である。薬理学的に活性な薬剤は、例えば毒素である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様は、以下を含む医薬組み合わせに関する:
-少なくとも1つのエフェクター分子と、第1の細胞表面分子に結合するための単一ドメイン抗体(sdAb)とを含み、これらは直接又はリンカーを介して互いに共有結合している、第1のコンジュゲート;
-サポニン及び/又はその誘導体、並びに/或いは第2の細胞表面分子に結合するための結合分子と、サポニン及び/又はその誘導体とを含む第2のコンジュゲートであって、結合分子とサポニン又はその誘導体は直接又はリンカーを介して互いに共有結合しており、サポニン又はその誘導体はモノデスモシドトリテルペングリコシド又はビデスモシドトリテルペングリコシドであり、第2の細胞表面分子は、第1の細胞表面分子と同じであるか又は第1の細胞表面分子とは異なる、サポニン及び/又はその誘導体、並びに/或いは第2のコンジュゲート;並びに、任意選択により
-薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤。
【0015】
一実施形態は、以下を含む、少なくとも2つ、好ましくは2つの医薬組成物の形態の本発明の医薬組み合わせである:
-第1のコンジュゲートを含み、任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む第1の医薬組成物;並びに
-サポニン及び/又はその誘導体及び/又は第2のコンジュゲートを含み、任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む第2の医薬組成物。
【0016】
一実施形態は、第1のコンジュゲート、並びに
・サポニン;
・サポニン誘導体;及び
・第2のコンジュゲート
の少なくとも1つ、好ましくは1つを含み、
且つ任意選択により、薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、単一の医薬組成物の形態の本発明の医薬組み合わせである。
【0017】
本発明の第2の態様は、医薬として使用するための、本発明の医薬組み合わせに関する。
【0018】
本発明の第3の態様は、癌、関節リウマチなどの自己免疫疾患、酵素欠損、遺伝子欠損、遺伝子欠損に関連する疾患、アミロイドーシス、酵素欠損に関連する疾患、ウイルス感染症などの感染症、高コレステロール血症、原発性高シュウ酸尿症、血友病A、血友病B、α1-アンチトリプシン関連肝疾患、急性肝性ポルフィリン症、トランスサイレチン媒介アミロイドーシスの治療又は予防に使用するための、本発明の医薬組み合わせに関する。
【0019】
本発明の第4の態様は、本発明の第1のコンジュゲートを細胞外から前記細胞内に、好ましくは前記細胞のサイトゾルにトランスファーするインビトロ又はエクスビボの方法であって、
a)本発明による第1の細胞表面分子をその表面に発現し、任意選択で、本発明による第2の細胞表面分子をその表面に発現する細胞を提供する工程であって、前記細胞は、好ましくは、肝細胞、ウイルス感染細胞、自己免疫細胞及び腫瘍細胞などの異常細胞から選択される工程;
b)工程a)で提供される細胞へトランスファーする本発明の第1のコンジュゲートを提供する工程;
c)本発明のサポニン又はサポニン誘導体を提供するか、或いは、工程a)で提供される細胞が本発明による第2の細胞表面分子をその表面に発現する場合、本発明の第2のコンジュゲートを提供する工程;
d)工程a)の細胞を、工程b)の第1のコンジュゲートと、工程c)のサポニン、サポニン誘導体、及びコンジュゲートの任意の1つ以上とに、インビトロ又はエクスビボで接触させる工程、
を含み、それにより、第1のコンジュゲートの細胞外から前記細胞内への、好ましくは前記細胞のサイトゾル内へのトランスファーを確立する、方法に関する。
【0020】
定義
「タンパク質性の」という用語はその通常の科学的意味を有し、本明細書ではタンパク質様である分子を指し、その分子が、タンパク質に特徴的な物理化学的特性をある程度有しており、タンパク質の性質を有し、タンパク質に関連し、タンパク質を含有し、タンパク質に関係し、タンパク質に類似し、又はタンパク質であることを意味する。「タンパク質性の」という用語は、例えば「タンパク質性分子」において使用される場合、タンパク質に類似するか又はタンパク質である分子の少なくとも一部の存在を指し、「タンパク質」は少なくとも2残基長のアミノ酸残基の鎖を含むと理解されるべきであり、したがって、ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質、並びにタンパク質又はタンパク質ドメインの集合体を含む。タンパク質性分子において、少なくとも2つのアミノ酸残基は、例えば、ペプチド結合などのアミド結合によって連結される。タンパク質性分子において、アミノ酸残基は、天然アミノ酸残基及び/又は修飾された天然アミノ酸残基などの人工アミノ酸残基である。好ましい実施形態では、タンパク質性分子は、少なくとも2個のアミノ酸残基、好ましくは2~約2,000個のアミノ酸残基を含む分子である。一実施形態では、タンパク質性分子は、2~20個(ペプチドに典型的)のアミノ酸を含む分子である。一実施形態では、タンパク質性分子は、21~1,000個のアミノ酸を含む分子である(ポリペプチド、タンパク質、タンパク質ドメイン、例えば、抗体、Fab、scFv、単一ドメイン抗体、EGFなどの受容体に対するリガンドに典型的)。好ましくは、アミノ酸残基は、(典型的には)ペプチド結合によって連結される。本発明によれば、前記アミノ酸残基は、(修飾された)(非)天然アミノ酸残基であるか、又はそれを含む。
【0021】
「エフェクター分子」、又は「エフェクター部分」という用語は、例えば共有結合コンジュゲートの一部としてエフェクター分子を指す場合、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、例えば、標的分子であるタンパク質、ペプチド、炭水化物、グリカンなどの糖類、(リン)脂質、DNA、RNAなどの核酸、酵素の任意の1つ以上に選択的に結合し、そのような1つ以上の標的分子の生物学的活性を調節することができる分子を指す。エフェクター分子は、例えば、薬物分子などの小分子、タンパク質毒素などの毒素、BNA、ゼノ核酸若しくはsiRNAなどのオリゴヌクレオチド、酵素、ペプチド、タンパク質、又はこれらの任意の組み合わせの任意の1つ以上から選択される分子である。したがって、例えば、エフェクター分子又はエフェクター部分は、薬物分子などの小分子、タンパク質毒素などの毒素、BNA、ゼノ核酸若しくはsiRNAなどのオリゴヌクレオチド、酵素、ペプチド、タンパク質、又はこれらの任意の組み合わせの任意の1つ以上から選択される分子又は部分であり、標的分子であるタンパク質、ペプチド、炭水化物、グリカンなどの糖類、(リン)脂質、DNA、RNAなどの核酸、酵素の任意の1つ以上に選択的に結合することができ、標的分子に結合すると、そのような1つ以上の標的分子の生物学的活性を調節する。典型的には、エフェクター分子は、ヒト細胞などの哺乳動物細胞などの細胞内、例えば前記細胞のサイトゾル内で、生物学的効果を発揮することができる。したがって、典型的なエフェクター分子は、薬物分子、プラスミドDNA、抗体薬物コンジュゲート(ADC)に含まれる毒素などの毒素、抗体オリゴヌクレオチドコンジュゲート(AOC)に含まれるsiRNA、BNA、核酸などのオリゴヌクレオチドである。例えば、エフェクター分子は、(細胞内)酵素活性、遺伝子発現、又は細胞シグナル伝達を増加又は減少させることができるリガンドとして作用することができる分子である。本発明の文脈において、エフェクター分子又はエフェクター部分は、エフェクター分子がコンジュゲートの一部である場合、サポニンではなく、sdAbなどの抗体などの細胞表面分子結合分子ではない。
【0022】
「修飾(された)サポニン」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、変性サポニンを提供するために化学修飾に供される前の非誘導体化サポニン中の、アルデヒド基、カルボキシル基、アセテート基、及び/又はアセチル基のいずれかが存在していた位置に、1つ以上の化学修飾を有するサポニン、すなわちサポニン誘導体を指す。例えば、修飾サポニンは、修飾サポニンのベースのサポニン中のアルデヒド基、カルボキシル基、アセテート基及び/又はアセチル基の任意の1つ以上を化学修飾することによって提供される。すなわち、サポニンが提供され、アルデヒド基、カルボキシル基、アセテート基及び/又はアセチル基のいずれかが化学修飾され、修飾サポニンが提供される。例えば、修飾サポニンを提供するために修飾されるサポニンは、天然に存在するサポニンである。典型的には、修飾サポニンは合成サポニンであり、典型的には、修飾サポニンは天然サポニンの修飾であり、したがって、天然サポニンに由来するが、修飾サポニンは天然の対応物を有していても有していなくてもよい合成サポニンに由来することもできる。典型的には、修飾サポニンは天然の対応物を有さない。すなわち、修飾サポニンは、例えば、植物又は樹木により天然に生成されることはない。
【0023】
「アグリコンコア構造」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、1つ又は2つの炭水化物アンテナ又は糖鎖(グリカン)が結合していないサポニンのアグリコンコア又は略してアグリコンを指す。例えば、キラル酸は、SO1861、QS-7及びQS21のアグリコンコア構造である。典型的には、サポニンのグリカンは、単糖、又は直鎖又は分岐グリカンなどのオリゴ糖である。
【0024】
「糖鎖」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、グリカン、炭水化物アンテナ、単一の糖部分(単糖)、又は複数の糖部分(オリゴ糖、多糖)を含む鎖のいずれかを指す。糖鎖は糖部分のみから構成され得、又は、例えばQS-21中に存在するような、4E-メトキシケイ皮酸、4Z-メトキシケイ皮酸、及び5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸のいずれか1つなどのさらなる部分を含むこともできる。
【0025】
「化学修飾された」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、第2の化学基又は第2の化学部分が提供されるように、第1の化学基又は第1の化学部分の化学修飾を指す。例は、カルボニル基の-(H)C-OH基への化学修飾、アセテート基のヒドロキシル基への化学修飾、化学反応によりそのアルデヒド基にN-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)部分が結合したサポニンの提供などである。
【0026】
「化学修飾されたアルデヒド基」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、元のアルデヒド基の新しい化学基による置換をもたらすサポニンのアルデヒド基を含む化学反応によって得られる化学反応生成物を指す。例えば、サポニンの最初のアルデヒド基からの-(H)C-OH基の形成。
【0027】
「化学修飾されたカルボキシル基」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、元のアルデヒド基の新しい化学基による置換をもたらすグルクロン酸部分のカルボキシル基などのサポニンのカルボキシル基、及びさらなる分子を含む化学反応によって得られる化学反応生成物を指す。例えば、サポニンと、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)、N-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)及び1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)のいずれか1つとの間のコンジュゲートの形成(サポニンのグルクロン酸のカルボキシル基を含む)。
【0028】
糖鎖の名称の文脈における「Api/Xyl-」、又は「Api-又はXyl-」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、アピオース(Api)部分を含むか、又はキシロース(Xyl)部分を含む糖鎖を指す。
【0029】
「修飾サポニンがベースとするサポニン」という用語はその通常の科学的意味を有し、本明細書では、修飾サポニンを提供するために修飾されたサポニンを指す。典型的には、修飾サポニンのベースのサポニンは天然に存在するサポニンであり、これが修飾サポニンを提供するための化学修飾に供される。
【0030】
「サポニンをベースとする修飾サポニン」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、修飾サポニンが提供されるように化学修飾工程に供されたサポニンを指し、修飾サポニンが作られたサポニンは、典型的には、天然に存在するサポニンである。
【0031】
「オリゴヌクレオチド」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、特に、一本鎖分子又は二本鎖分子として提示される、DNA、修飾DNA、RNA、mRNA、修飾RNA、合成核酸、例えば、BNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、短い又は低分子の干渉RNA(siRNA;サイレンシングRNA)、アンチセンスDNA、アンチセンスRNAなどを包含する核酸の任意の天然又は合成ストリングを指す。
【0032】
「抗体薬物コンジュゲート」又は「ADC」という用語はその通常の科学的意味を有し、本明細書では、IgG、Fab、scFv、免疫グロブリン、免疫グロブリン断片、1つ又は複数のVドメイン、単一ドメイン抗体、VHH、ラクダ科動物Vなどの抗体と、ヒト患者などの対象の細胞と接触させた場合に治療効果を発揮することができる任意の分子、例えば、活性医薬成分、毒素、オリゴヌクレオチド、酵素、低分子薬物化合物などとの任意のコンジュゲートを指す。
【0033】
「抗体オリゴヌクレオチドコンジュゲート」又は「AOC」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、IgG、Fab、scFv、免疫グロブリン、免疫グロブリン断片、1つ又は複数のVドメイン、単一ドメイン抗体、VHH、ラクダ科動物Vなどの抗体と、ヒト患者などの対象の細胞と接触した場合に治療効果を発揮することができる任意のオリゴヌクレオチド分子、例えば、一本鎖分子又は二本鎖分子として提示される、DNA、修飾DNA、RNA、mRNA、修飾RNA、合成核酸、例えば、BNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、短い又は低分子の干渉RNA(siRNA;サイレンシングRNA)、アンチセンスDNA、アンチセンスRNAなど例えば、BNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、低分子又は低分子干渉RNA(siRNA;サイレンシングRNA)、アンチセンスDNA、アンチセンスRNAなどを包含する核酸の任意の天然又は合成ストリングから選択されるオリゴヌクレオチドとの任意のコンジュゲートを指す。
【0034】
「架橋型核酸」若しくは略して「BNA」又は「ロック核酸」若しくは略して「LNA」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、修飾RNAヌクレオチドを指す。BNAはまた、「拘束RNA分子」又は「アクセス制限RNA分子」とも呼ばれる。BNAモノマーは、「固定化」C’-endo糖パッカリングを有する5員、6員又は7員の架橋構造を含有することができる。架橋は、リボースの2’,4’位に合成的に組み込まれ、2’,4’-BNAモノマーを与える。BNAモノマーは、当該技術分野で知られる標準的なホスホロアミダイト化学を用いてオリゴヌクレオチドポリマー構造に組み込むことができる。BNAは、高い結合親和性及び安定性を有する構造的に剛直なオリゴヌクレオチドである。
【0035】
リンカーを含む抗体サポニンコンジュゲートなどにおいて使用される用語「S」は、エンドソーム、エンドリソソーム、及びヒト腫瘍細胞などのヒト細胞などの哺乳動物細胞のリソソームにおいて、したがってわずかに酸性の条件下(pH<6.6、例えばpH4.0~5.5)でインタクトのままである「安定なリンカー」を示す。
【0036】
リンカーを含む抗体サポニンコンジュゲートなどにおいて使用される用語「L」は、エンドソーム、エンドリソソーム、及びヒト腫瘍細胞などのヒト細胞などの哺乳動物細胞のリソソームのわずかに酸性の条件下(pH<6.6、例えばpH4.0~5.5)で切断される「不安定なリンカー」を示す。
【0037】
本明細書及び特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、例えば、類似の要素、組成物、組成物中の成分、又は方法の個々の工程を区別するためであって、必ずしも連続的又は時系列的順序を説明するために使用されるわけではない。用語は適切な状況下で交換可能であり、本発明の実施形態は別段の指定がない限り、本明細書に記載又は例示されている以外の他の順序で動作させることができる。
【0038】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、別段の指定がない限り、組み合わせ且つ協働して動作させることができる。
【0039】
さらに、様々な実施形態は、「好ましい」又は「例えば(e.g.)」又は「例えば(for example)」又は「特に」などと呼ばれるが、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明が実施され得る例示的な方法として解釈されるべきである。
【0040】
特許請求の範囲で使用される「含む」という用語は、例えば、その後に列挙される要素又は方法の工程又は組成物の成分に限定されるものと解釈されるべきではなく、他の要素又は他の方法の工程又は特定の組成物における他の成分を排除するものではない。言及された特徴、整数値、(方法)工程又は成分の存在を特定するものとして解釈される必要があるが、1つ又は複数の他の特徴、整数値、工程若しくは成分、又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではない。したがって、「工程A及びBを含む方法」という表現の範囲は、工程A及びBのみからなる方法に限定されるべきではなく、むしろ本発明に関して、方法の列挙した工程がA及びBであるに過ぎず、さらに、特許請求の範囲は、それらの方法の工程の等価物を含むと解釈されるべきである。したがって、「成分A及びBを含む組成物」という表現の範囲は、成分A及びBのみからなる組成物に限定されるべきではなく、むしろ、本発明に関して、組成物の列挙した成分がA及びBであるに過ぎず、さらに、特許請求の範囲は、それらの成分の等価物を含むと解釈されるべきである。
【0041】
さらに、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」による要素又は成分に対する言及は、文脈が1つ又は1つのみの要素又は成分が存在することを明確に要求しない限り、2つ以上の要素又は成分が存在する可能性を除外しない。したがって、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【0042】
「サポニナムアルブム(Saponinum album)」という用語は、その通常の意味を有し、本明細書では、ジプソフィラ・パニクラータ(Gypsophila paniculata)及びジプソフィラ・アロスティ(Gypsophila arostii)由来のサポニンを含有するMerck KGaA(Darmstadt、Germany)によって生成されるサポニンの混合物を指し、SA1657及び主にSA1641を含有する。
【0043】
「キラヤサポニン」という用語はその通常の意味を有し、本明細書では、キラヤ・サポナリア(Quillaja saponaria)のサポニン画分、したがって、他の全てのQSサポニンの供給源を指し、主にQS-18及びQS-21を含有する。
【0044】
「QS-21」又は「QS21」は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、QS-21 A-apio(約63%)、QS-21 A-xylo(約32%)、QS-21 B-apio(約3.3%)、及びQS-21 B-xylo(約1.7%)の混合物を指す。
【0045】
同様に、「QS-21A」は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、QS-21 A-apio(約65%)及びQS-21 A-xylo(約35%)の混合物を指す。
【0046】
同様に、「QS-21B」は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、QS-21 B-apio(約65%)及びQS-21 B-xylo(約35%)の混合物を指す。
【0047】
「Quil-A」という用語は、キラヤ・サポナリア(Quillaja saponaria)由来の市販の半精製抽出物を指し、様々な量の50を超える異なるサポニンを含有し、その多くは、QS-7、QS-17、QS18、及びQS-21において見出されるC-3β-OH基にトリテルペン-三糖部分構造Gal-(1→2)-[Xyl-(1→3)]-GlcAatを組み込んでいる。Quil-Aに見出されるサポニンは、van Setten(1995)の表2に列挙されている[Dirk C.van Setten,Gerrit van de Werken,Gijsbert Zomer and Gideon F.A.Kersten,Glycosyl Compositions and Structural Characteristics of the Potential Immuno-adjuvant Active Saponins in the Quillaja Saponaria Molina Extract Quil A, RAPID COMMUNICATIONS IN MASS SPECTROMETRY,VOL.9,660-666(1995)]。Quil-A、そしてキラヤサポニンもまた、キラヤ・サポナリア(Quillaja saponaria)由来のサポニンの画分であり、いずれも、大部分が重複する内容を有する多種多様な異なるサポニンを含有する。この2つの画分は、その2つの画分が異なる精製手順によって得られるので、それらの特定の組成が異なっている。
【0048】
用語「QS1861」及び用語「QS1862」は、QS-7及びQS-7 apiを指す。QS1861は1861ダルトンの分子量を有し、QS1862は1862ダルトンの分子量を有する。QS1862は、Fleck et al.(2019)の表1の第28行に記載されている[Juliane Deise Fleck,Andresa Heemann Betti,Francini Pereira da Silva,Eduardo Artur Troian,Cristina Olivaro,Fernando Ferreira and Simone Gasparin Verza,Saponins from Quillaja saponaria and Quillaja brasiliensis:Particular Chemical Characteristics and Biological Activities,Molecules 2019,24,171;doi:10.3390/molecules24010171]。記載されている構造は、QS-7のapiバリアントQS1862である。分子量はグルクロン酸にプロトンを含む形式質量であるので、分子量は1862ダルトンである。中性pHでは、分子は脱プロトン化される。陰イオンモードで質量分析法により測定した場合、測定質量は1861ダルトンである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1A】標的2成分アプローチ(1標的)。SO1861及び毒素(リボソーム不活性化タンパク質)はそれぞれ別々に、標的細胞への送達及び内在化のためにVHH又は抗体(mAb)にコンジュゲートされる。1)mAb-毒素及びVHH-SO1861は細胞表面受容体に結合し、2)両コンジュゲートの受容体媒介エンドサイトーシスが起こり(コンジュゲートの受容体への結合に続いてコンジュゲート/受容体複合体の内在化が起こる)、3)低エンドリソソームpH及び適切な濃度で、SO1861が活性化してエンドリソソームエスケープを可能にし、4)細胞質への毒素の放出が起こり、細胞死を誘導する。
図1B】標的2成分アプローチ(2標的)。SO1861及び毒素(リボソーム不活性化タンパク質)はそれぞれ別々に、標的細胞への送達及び内在化のためにVHH又は抗体(mAb)にコンジュゲートされる。1)mAb-毒素及びVHH-SO1861は対応する細胞表面受容体に結合し、2)両コンジュゲートの受容体媒介エンドサイトーシスが起こり(コンジュゲートの受容体への結合に続いてコンジュゲート/受容体複合体の内在化が起こる)、3)低エンドリソソームpH及び適切な濃度で、SO1861が活性化してエンドリソソームエスケープを可能にし、4)細胞質への毒素の放出が起こり、細胞死を誘導する。
図1C】標的2成分アプローチ(2標的)。SO1861及び毒素(リボソーム不活性化タンパク質)はそれぞれ別々に、標的細胞への送達及び内在化のためにVHHにコンジュゲートされる。1)VHH-毒素及びVHH-SO1861は対応する細胞表面受容体に結合し、2)両コンジュゲートの受容体媒介エンドサイトーシスが起こり(コンジュゲートの受容体への結合に続いてコンジュゲート/受容体複合体の内在化が起こる)、3)低エンドリソソームpH及び適切な濃度で、SO1861が活性化してエンドリソソームエスケープを可能にし、4)細胞質への毒素の放出が起こり、細胞死を誘導する。
図1D】標的2成分アプローチ(2標的)。SO1861及び毒素(リボソーム不活性化タンパク質)はそれぞれ別々に、標的細胞への送達及び内在化のためにVHH又はmAbにコンジュゲートされる。1)VHH-毒素及びmAb-SO1861は対応する細胞表面受容体に結合し、2)両コンジュゲートの受容体媒介エンドサイトーシスが起こり(コンジュゲートの受容体への結合に続いてコンジュゲート/受容体複合体の内在化が起こる)、3)低エンドリソソームpH及び適切な濃度で、SO1861が活性化してエンドリソソームエスケープを可能にし、4)細胞質への毒素の放出が起こり、細胞死を誘導する。
図1E】標的2成分アプローチ(1ターゲット)。SO1861及び毒素(リボソーム不活性化タンパク質)はそれぞれ別々に、標的細胞への送達及び内在化のためにVHH又は抗体(mAb)にコンジュゲートされる。1)VHH-毒素及びmAb-SO1861は細胞表面受容体に結合し、2)両コンジュゲートの受容体媒介エンドサイトーシスが起こり(コンジュゲートの受容体への結合に続いてコンジュゲート/受容体複合体の内在化が起こる)、3)低エンドリソソームpH及び適切な濃度で、SO1861が活性化してエンドリソソームエスケープを可能にし、4)細胞質への毒素の放出が起こり、細胞死を誘導する。
図2A】SK-BR-3細胞(HER2++/CD71)(A)及びMD-MB-468細胞(HER2/CD71)(B)に対するVHH(HER2)-SO1861(DAR1)+50pM トラスツズマブ-サポリン(DAR4)又は10pM CD71マブ-サポリン(DAR4)の本発明による組み合わせ処置による細胞キリング(MTS)アッセイ)。
図2B】SK-BR-3細胞(HER2++/CD71)(A)及びMD-MB-468細胞(HER2/CD71)(B)に対するVHH(HER2)-SO1861(DAR1)+50pM トラスツズマブ-サポリン(DAR4)又は10pM CD71マブ-サポリン(DAR4)の本発明による組み合わせ処置による細胞キリング(MTS)アッセイ)。
図3A】SK-BR-3細胞(HER2++/CD71)(A)及びMD-MB-468細胞(HER2/CD71)(B)に対するトラスツズマブ-サポリン(DAR4)又はCD71-サポリン(DAR4)+900nM HER2VHH-SO1861(DAR1)の本発明による組み合わせ処置による細胞キリング(MTS)アッセイ)。
図3B】SK-BR-3細胞(HER2++/CD71)(A)及びMD-MB-468細胞(HER2/CD71)(B)に対するトラスツズマブ-サポリン(DAR4)又はCD71-サポリン(DAR4)+900nM HER2VHH-SO1861(DAR1)の本発明による組み合わせ処置による細胞キリング(MTS)アッセイ)。
図4A】SK-BR-3細胞(HER2++/CD71)(A)及びMD-MB-468細胞(HER2/CD71)(B)に対するVHH(HER2)-SO1861(DAR1)+50pM CD71VHH-ジアンチン(DAR1)の本発明による組み合わせ処置による細胞キリング(MTS)アッセイ)。
図4B】SK-BR-3細胞(HER2++/CD71)(A)及びMD-MB-468細胞(HER2/CD71)(B)に対するVHH(HER2)-SO1861(DAR1)+50pM CD71VHH-ジアンチン(DAR1)の本発明による組み合わせ処置による細胞キリング(MTS)アッセイ)。
図5A】SK-BR-3細胞(HER2++/CD71)(A)及びMD-MB-468細胞(HER2/CD71)(B)に対するCD71VHH-ジアンチン(DAR1)+900nM HER2VHH-SO1861(DAR1))の本発明による組み合わせ処置による細胞キリング(MTS)アッセイ)。
図5B】SK-BR-3細胞(HER2++/CD71)(A)及びMD-MB-468細胞(HER2/CD71)(B)に対するCD71VHH-ジアンチン(DAR1)+900nM HER2VHH-SO1861(DAR1))の本発明による組み合わせ処置による細胞キリング(MTS)アッセイ)。
図6A】A431細胞(EGFR+=/HER+/-/CD71)(A)及びA2058細胞(EGFR/HER+/-/CD71)(B)に対するCD71VHH-ジアンチン(DAR1)+セツキシマブ-SO1861(DAR4)又はHER2VHH-ジアンチン(DAR1)+セツキシマブ-SO1861(DAR4)又はEGFRVHH-ジアンチン(DAR1)+セツキシマブ-SO1861(DAR4)の本発明による組み合わせ処置による細胞キリング(MTS)アッセイ)。
図6B】A431細胞(EGFR+=/HER+/-/CD71)(A)及びA2058細胞(EGFR/HER+/-/CD71)(B)に対するCD71VHH-ジアンチン(DAR1)+セツキシマブ-SO1861(DAR4)又はHER2VHH-ジアンチン(DAR1)+セツキシマブ-SO1861(DAR4)又はEGFRVHH-ジアンチン(DAR1)+セツキシマブ-SO1861(DAR4)の本発明による組み合わせ処置による細胞キリング(MTS)アッセイ)。
図7A】A431細胞(EGFR+=/HER+/-/CD71)(A)及びMDA-MB-468細胞(HER2/EGFR++/CD71)(B)に対するCD71VHH-ジアンチン(DAR1)+77nMセツキシマブ-SO1861(DAR4)又はHER2VHH-ジアンチン(DAR1)+77nMセツキシマブ-SO1861(DAR4)又はEGFRVHH-ジアンチン(DAR1)+77nMセツキシマブ-SO1861(DAR4)の本発明による組み合わせ処置による細胞キリング(MTS)アッセイ)。
図7B】A431細胞(EGFR+=/HER+/-/CD71)(A)及びMDA-MB-468細胞(HER2/EGFR++/CD71)(B)に対するCD71VHH-ジアンチン(DAR1)+77nMセツキシマブ-SO1861(DAR4)又はHER2VHH-ジアンチン(DAR1)+77nMセツキシマブ-SO1861(DAR4)又はEGFRVHH-ジアンチン(DAR1)+77nMセツキシマブ-SO1861(DAR4)の本発明による組み合わせ処置による細胞キリング(MTS)アッセイ)。
図8A】1標的2成分(EGFR高発現)。治療組み合わせによるA431(EGFR+++)及びCaSKi(EGFR++)におけるEGFRを標的とした細胞死滅。A、B)10pMの固定濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせたセツキシマブ-SO1861のタイトレーションは、セツキシマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導するために必要とする濃度が、コンジュゲートされたSO1861では、コンジュゲートされていないSO1861と比較して、100~400倍低いことを示す。C、D)、278nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせたセツキシマブ-サポリンのタイトレーションは、300nMの非コンジュゲートSO1861+セツキシマブ-サポリンと対照的に、細胞を死滅させる。両方のセツキシマブコンジュゲートは同じEGFR受容体に対して競合するので、1500nMの非コンジュゲートSO1861+セツキシマブ-サポリンは、治療組み合わせと比較してより効率的である。両セツキシマブコンジュゲートの同時標的送達のみが、いずれかのコンジュゲートを単独で用いる単独療法とは対照的に、効率的な細胞死滅をもたらす。備考:図8Bに示されている凡例は、図8Aのグラフにも関連している。備考:図8Dに示されている凡例は、図8Cのグラフにも関連している。
図8B】1標的2成分(EGFR高発現)。治療組み合わせによるA431(EGFR+++)及びCaSKi(EGFR++)におけるEGFRを標的とした細胞死滅。A、B)10pMの固定濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせたセツキシマブ-SO1861のタイトレーションは、セツキシマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導するために必要とする濃度が、コンジュゲートされたSO1861では、コンジュゲートされていないSO1861と比較して、100~400倍低いことを示す。C、D)、278nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせたセツキシマブ-サポリンのタイトレーションは、300nMの非コンジュゲートSO1861+セツキシマブ-サポリンと対照的に、細胞を死滅させる。両方のセツキシマブコンジュゲートは同じEGFR受容体に対して競合するので、1500nMの非コンジュゲートSO1861+セツキシマブ-サポリンは、治療組み合わせと比較してより効率的である。両セツキシマブコンジュゲートの同時標的送達のみが、いずれかのコンジュゲートを単独で用いる単独療法とは対照的に、効率的な細胞死滅をもたらす。備考:図8Bに示されている凡例は、図8Aのグラフにも関連している。備考:図8Dに示されている凡例は、図8Cのグラフにも関連している。
図8C】1標的2成分(EGFR高発現)。治療組み合わせによるA431(EGFR+++)及びCaSKi(EGFR++)におけるEGFRを標的とした細胞死滅。A、B)10pMの固定濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせたセツキシマブ-SO1861のタイトレーションは、セツキシマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導するために必要とする濃度が、コンジュゲートされたSO1861では、コンジュゲートされていないSO1861と比較して、100~400倍低いことを示す。C、D)、278nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせたセツキシマブ-サポリンのタイトレーションは、300nMの非コンジュゲートSO1861+セツキシマブ-サポリンと対照的に、細胞を死滅させる。両方のセツキシマブコンジュゲートは同じEGFR受容体に対して競合するので、1500nMの非コンジュゲートSO1861+セツキシマブ-サポリンは、治療組み合わせと比較してより効率的である。両セツキシマブコンジュゲートの同時標的送達のみが、いずれかのコンジュゲートを単独で用いる単独療法とは対照的に、効率的な細胞死滅をもたらす。備考:図8Bに示されている凡例は、図8Aのグラフにも関連している。備考:図8Dに示されている凡例は、図8Cのグラフにも関連している。
図8D】1標的2成分(EGFR高発現)。治療組み合わせによるA431(EGFR+++)及びCaSKi(EGFR++)におけるEGFRを標的とした細胞死滅。A、B)10pMの固定濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせたセツキシマブ-SO1861のタイトレーションは、セツキシマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導するために必要とする濃度が、コンジュゲートされたSO1861では、コンジュゲートされていないSO1861と比較して、100~400倍低いことを示す。C、D)、278nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせたセツキシマブ-サポリンのタイトレーションは、300nMの非コンジュゲートSO1861+セツキシマブ-サポリンと対照的に、細胞を死滅させる。両方のセツキシマブコンジュゲートは同じEGFR受容体に対して競合するので、1500nMの非コンジュゲートSO1861+セツキシマブ-サポリンは、治療組み合わせと比較してより効率的である。両セツキシマブコンジュゲートの同時標的送達のみが、いずれかのコンジュゲートを単独で用いる単独療法とは対照的に、効率的な細胞死滅をもたらす。備考:図8Bに示されている凡例は、図8Aのグラフにも関連している。備考:図8Dに示されている凡例は、図8Cのグラフにも関連している。
図9A】1標的2成分(EGFR非発現/低発現)。治療組み合わせによる、HeLa(EGFR)細胞及びA2058(EGFR)細胞におけるEGFRを標的とした細胞死滅。A、B)10pMの固定濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせたセツキシマブ-SO1861のタイトレーションは、セツキシマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導しない。C、D)、278nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせたセツキシマブ-サポリンのタイトレーションは、細胞死滅を誘導することができない。低いEGFR受容体発現は、抗体媒介送達によって十分なSO1861を送達する妨げとなり、一方、1500nMの非コンジュゲートSO1861は細胞死滅を誘導する。備考:図9Bに示されている凡例は、図9Aのグラフにも関連している。備考:図9Dに示されている凡例は、図9Cのグラフにも関連している。
図9B】1標的2成分(EGFR非発現/低発現)。治療組み合わせによる、HeLa(EGFR)細胞及びA2058(EGFR)細胞におけるEGFRを標的とした細胞死滅。A、B)10pMの固定濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせたセツキシマブ-SO1861のタイトレーションは、セツキシマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導しない。C、D)、278nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせたセツキシマブ-サポリンのタイトレーションは、細胞死滅を誘導することができない。低いEGFR受容体発現は、抗体媒介送達によって十分なSO1861を送達する妨げとなり、一方、1500nMの非コンジュゲートSO1861は細胞死滅を誘導する。備考:図9Bに示されている凡例は、図9Aのグラフにも関連している。備考:図9Dに示されている凡例は、図9Cのグラフにも関連している。
図9C】1標的2成分(EGFR非発現/低発現)。治療組み合わせによる、HeLa(EGFR)細胞及びA2058(EGFR)細胞におけるEGFRを標的とした細胞死滅。A、B)10pMの固定濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせたセツキシマブ-SO1861のタイトレーションは、セツキシマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導しない。C、D)、278nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせたセツキシマブ-サポリンのタイトレーションは、細胞死滅を誘導することができない。低いEGFR受容体発現は、抗体媒介送達によって十分なSO1861を送達する妨げとなり、一方、1500nMの非コンジュゲートSO1861は細胞死滅を誘導する。備考:図9Bに示されている凡例は、図9Aのグラフにも関連している。備考:図9Dに示されている凡例は、図9Cのグラフにも関連している。
図9D】1標的2成分(EGFR非発現/低発現)。治療組み合わせによる、HeLa(EGFR)細胞及びA2058(EGFR)細胞におけるEGFRを標的とした細胞死滅。A、B)10pMの固定濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせたセツキシマブ-SO1861のタイトレーションは、セツキシマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導しない。C、D)、278nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせたセツキシマブ-サポリンのタイトレーションは、細胞死滅を誘導することができない。低いEGFR受容体発現は、抗体媒介送達によって十分なSO1861を送達する妨げとなり、一方、1500nMの非コンジュゲートSO1861は細胞死滅を誘導する。備考:図9Bに示されている凡例は、図9Aのグラフにも関連している。備考:図9Dに示されている凡例は、図9Cのグラフにも関連している。
図10A】1標的2成分(HER2高発現)。治療組み合わせによるSKBR3(HER2+++)細胞におけるHER2を標的とした細胞死滅。A)673pMの固定濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせたトラスツズマブ-SO1861のタイトレーションは、トラスツズマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導するために必要とする濃度が、コンジュゲートされたSO1861では、コンジュゲートされていないSO1861と比較して、1000倍低いことを示す。C、D)、9,4nMのトラスツズマブ-SO1861と組み合わせたトラスツズマブ-サポリンのタイトレーションは、10nMの非コンジュゲートSO1861+トラスツズマブ-サポリンと対照的に、細胞を死滅させる。両方のトラスツズマブコンジュゲートは同じHER2受容体に対して競合するので、1075nMの非コンジュゲートSO1861+セツキシマブ-サポリンは、治療組み合わせと比較してより効率的である。両トラスツズマブコンジュゲートの同時標的送達のみが、いずれかのコンジュゲートを単独で用いる単独療法とは対照的に、効率的な細胞死滅をもたらす。SPT001はSO1861である。
図10B】1標的2成分(HER2高発現)。治療組み合わせによるSKBR3(HER2+++)細胞におけるHER2を標的とした細胞死滅。A)673pMの固定濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせたトラスツズマブ-SO1861のタイトレーションは、トラスツズマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導するために必要とする濃度が、コンジュゲートされたSO1861では、コンジュゲートされていないSO1861と比較して、1000倍低いことを示す。C、D)、9,4nMのトラスツズマブ-SO1861と組み合わせたトラスツズマブ-サポリンのタイトレーションは、10nMの非コンジュゲートSO1861+トラスツズマブ-サポリンと対照的に、細胞を死滅させる。両方のトラスツズマブコンジュゲートは同じHER2受容体に対して競合するので、1075nMの非コンジュゲートSO1861+セツキシマブ-サポリンは、治療組み合わせと比較してより効率的である。両トラスツズマブコンジュゲートの同時標的送達のみが、いずれかのコンジュゲートを単独で用いる単独療法とは対照的に、効率的な細胞死滅をもたらす。SPT001はSO1861である。
図11A】1標的2成分(HER2非発現/低発現)。治療組み合わせによる、JIMT1(HER2)細胞及びA431(HER2+/-)細胞におけるHER2を標的とした細胞死滅。A、B)50pMの固定濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせたトラスツズマブ-SO1861のタイトレーションは、トラスツズマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導しない。C、D)、10nMのトラスツズマブ-SO1861と組み合わせたトラスツズマブ-サポリンのタイトレーションは、細胞死滅を誘導することができない。低いHER2受容体発現は、低いEGFR受容体発現は、抗体媒介送達によって十分なSO1861を送達する妨げとなり、一方、1500nMの非コンジュゲートSO1861は効率的な細胞死滅を誘導する。備考:図11Bに示されている凡例は、図11Aのグラフにも関連している。備考:図11Dに示されている凡例は、図11Cのグラフにも関連している。SPT001はSO1861である。
図11B】1標的2成分(HER2非発現/低発現)。治療組み合わせによる、JIMT1(HER2)細胞及びA431(HER2+/-)細胞におけるHER2を標的とした細胞死滅。A、B)50pMの固定濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせたトラスツズマブ-SO1861のタイトレーションは、トラスツズマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導しない。C、D)、10nMのトラスツズマブ-SO1861と組み合わせたトラスツズマブ-サポリンのタイトレーションは、細胞死滅を誘導することができない。低いHER2受容体発現は、低いEGFR受容体発現は、抗体媒介送達によって十分なSO1861を送達する妨げとなり、一方、1500nMの非コンジュゲートSO1861は効率的な細胞死滅を誘導する。備考:図11Bに示されている凡例は、図11Aのグラフにも関連している。備考:図11Dに示されている凡例は、図11Cのグラフにも関連している。SPT001はSO1861である。
図11C】1標的2成分(HER2非発現/低発現)。治療組み合わせによる、JIMT1(HER2)細胞及びA431(HER2+/-)細胞におけるHER2を標的とした細胞死滅。A、B)50pMの固定濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせたトラスツズマブ-SO1861のタイトレーションは、トラスツズマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導しない。C、D)、10nMのトラスツズマブ-SO1861と組み合わせたトラスツズマブ-サポリンのタイトレーションは、細胞死滅を誘導することができない。低いHER2受容体発現は、低いEGFR受容体発現は、抗体媒介送達によって十分なSO1861を送達する妨げとなり、一方、1500nMの非コンジュゲートSO1861は効率的な細胞死滅を誘導する。備考:図11Bに示されている凡例は、図11Aのグラフにも関連している。備考:図11Dに示されている凡例は、図11Cのグラフにも関連している。SPT001はSO1861である。
図11D】1標的2成分(HER2非発現/低発現)。治療組み合わせによる、JIMT1(HER2)細胞及びA431(HER2+/-)細胞におけるHER2を標的とした細胞死滅。A、B)50pMの固定濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせたトラスツズマブ-SO1861のタイトレーションは、トラスツズマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導しない。C、D)、10nMのトラスツズマブ-SO1861と組み合わせたトラスツズマブ-サポリンのタイトレーションは、細胞死滅を誘導することができない。低いHER2受容体発現は、低いEGFR受容体発現は、抗体媒介送達によって十分なSO1861を送達する妨げとなり、一方、1500nMの非コンジュゲートSO1861は効率的な細胞死滅を誘導する。備考:図11Bに示されている凡例は、図11Aのグラフにも関連している。備考:図11Dに示されている凡例は、図11Cのグラフにも関連している。SPT001はSO1861である。
図12A】2標的2成分(EGFR高発現及びHER2低発現)。治療組み合わせによるA431(EGFR+++/HER2+/-)細胞及びCaski(EGFR++/HER2+/-)細胞におけるEGFR/HER2を標的とした細胞死滅。A、B)50pMの固定濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせたセツキシマブ-SO1861のタイトレーションは、トラスツズマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導するために必要とする濃度が、コンジュゲートされたSO1861では、コンジュゲートされていないSO1861と比較して、100倍低いことを示す。C、D)、278nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせたトラスツズマブ-サポリンのタイトレーションは、300nMの非コンジュゲートSO1861+トラスツズマブ-サポリンと対照的に、細胞を死滅させる。両方のコンジュゲートは同じ受容体に対して競合しないので、1500nMの非コンジュゲートSO1861+トラスツズマブ-サポリンは、治療組み合わせ、278nMのセツキシマブ-SO1861+トラスツズマブ-サポリンと比較して、同等の細胞死滅効率を有する。両コンジュゲートの同時標的送達のみが、いずれかのコンジュゲートを単独で用いる単独療法とは対照的に、効率的な細胞死滅をもたらす。備考:図12Bに示されている凡例は、図12Aのグラフにも関連している。備考:図12Dに示されている凡例は、図12Cのグラフにも関連している。SPT001はSO1861である。
図12B】2標的2成分(EGFR高発現及びHER2低発現)。治療組み合わせによるA431(EGFR+++/HER2+/-)細胞及びCaski(EGFR++/HER2+/-)細胞におけるEGFR/HER2を標的とした細胞死滅。A、B)50pMの固定濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせたセツキシマブ-SO1861のタイトレーションは、トラスツズマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導するために必要とする濃度が、コンジュゲートされたSO1861では、コンジュゲートされていないSO1861と比較して、100倍低いことを示す。C、D)、278nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせたトラスツズマブ-サポリンのタイトレーションは、300nMの非コンジュゲートSO1861+トラスツズマブ-サポリンと対照的に、細胞を死滅させる。両方のコンジュゲートは同じ受容体に対して競合しないので、1500nMの非コンジュゲートSO1861+トラスツズマブ-サポリンは、治療組み合わせ、278nMのセツキシマブ-SO1861+トラスツズマブ-サポリンと比較して、同等の細胞死滅効率を有する。両コンジュゲートの同時標的送達のみが、いずれかのコンジュゲートを単独で用いる単独療法とは対照的に、効率的な細胞死滅をもたらす。備考:図12Bに示されている凡例は、図12Aのグラフにも関連している。備考:図12Dに示されている凡例は、図12Cのグラフにも関連している。SPT001はSO1861である。
図12C】2標的2成分(EGFR高発現及びHER2低発現)。治療組み合わせによるA431(EGFR+++/HER2+/-)細胞及びCaski(EGFR++/HER2+/-)細胞におけるEGFR/HER2を標的とした細胞死滅。A、B)50pMの固定濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせたセツキシマブ-SO1861のタイトレーションは、トラスツズマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導するために必要とする濃度が、コンジュゲートされたSO1861では、コンジュゲートされていないSO1861と比較して、100倍低いことを示す。C、D)、278nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせたトラスツズマブ-サポリンのタイトレーションは、300nMの非コンジュゲートSO1861+トラスツズマブ-サポリンと対照的に、細胞を死滅させる。両方のコンジュゲートは同じ受容体に対して競合しないので、1500nMの非コンジュゲートSO1861+トラスツズマブ-サポリンは、治療組み合わせ、278nMのセツキシマブ-SO1861+トラスツズマブ-サポリンと比較して、同等の細胞死滅効率を有する。両コンジュゲートの同時標的送達のみが、いずれかのコンジュゲートを単独で用いる単独療法とは対照的に、効率的な細胞死滅をもたらす。備考:図12Bに示されている凡例は、図12Aのグラフにも関連している。備考:図12Dに示されている凡例は、図12Cのグラフにも関連している。SPT001はSO1861である。
図12D】2標的2成分(EGFR高発現及びHER2低発現)。治療組み合わせによるA431(EGFR+++/HER2+/-)細胞及びCaski(EGFR++/HER2+/-)細胞におけるEGFR/HER2を標的とした細胞死滅。A、B)50pMの固定濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせたセツキシマブ-SO1861のタイトレーションは、トラスツズマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導するために必要とする濃度が、コンジュゲートされたSO1861では、コンジュゲートされていないSO1861と比較して、100倍低いことを示す。C、D)、278nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせたトラスツズマブ-サポリンのタイトレーションは、300nMの非コンジュゲートSO1861+トラスツズマブ-サポリンと対照的に、細胞を死滅させる。両方のコンジュゲートは同じ受容体に対して競合しないので、1500nMの非コンジュゲートSO1861+トラスツズマブ-サポリンは、治療組み合わせ、278nMのセツキシマブ-SO1861+トラスツズマブ-サポリンと比較して、同等の細胞死滅効率を有する。両コンジュゲートの同時標的送達のみが、いずれかのコンジュゲートを単独で用いる単独療法とは対照的に、効率的な細胞死滅をもたらす。備考:図12Bに示されている凡例は、図12Aのグラフにも関連している。備考:図12Dに示されている凡例は、図12Cのグラフにも関連している。SPT001はSO1861である。
図13A】2標的2成分(EGFR低発現及びHER2非発現/低発現)。治療組み合わせによる、HeLa(EGFR/HER2+/-)細胞及びA2058(EGFR/HER2+/-)細胞におけるEGFR/HER2を標的とした細胞死滅。A、B)50pMの固定濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせたトラスツズマブ-SO1861のタイトレーションは、トラスツズマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導しない。C、D)、278nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせたトラスツズマブ-サポリンのタイトレーションは、細胞死滅を増強しないが、1500nMの非コンジュゲートSO1861は効率的な細胞死滅を誘導する。低いEGFR受容体発現は、抗体媒介送達によって十分なSO1861を送達する妨げとなる。備考:図13Bに示されている凡例は、図13Aのグラフにも関連している。備考:図13Dに示されている凡例は、図13Cのグラフにも関連している。SPT001はSO1861である。
図13B】2標的2成分(EGFR低発現及びHER2非発現/低発現)。治療組み合わせによる、HeLa(EGFR/HER2+/-)細胞及びA2058(EGFR/HER2+/-)細胞におけるEGFR/HER2を標的とした細胞死滅。A、B)50pMの固定濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせたトラスツズマブ-SO1861のタイトレーションは、トラスツズマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導しない。C、D)、278nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせたトラスツズマブ-サポリンのタイトレーションは、細胞死滅を増強しないが、1500nMの非コンジュゲートSO1861は効率的な細胞死滅を誘導する。低いEGFR受容体発現は、抗体媒介送達によって十分なSO1861を送達する妨げとなる。備考:図13Bに示されている凡例は、図13Aのグラフにも関連している。備考:図13Dに示されている凡例は、図13Cのグラフにも関連している。SPT001はSO1861である。
図13C】2標的2成分(EGFR低発現及びHER2非発現/低発現)。治療組み合わせによる、HeLa(EGFR/HER2+/-)細胞及びA2058(EGFR/HER2+/-)細胞におけるEGFR/HER2を標的とした細胞死滅。A、B)50pMの固定濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせたトラスツズマブ-SO1861のタイトレーションは、トラスツズマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導しない。C、D)、278nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせたトラスツズマブ-サポリンのタイトレーションは、細胞死滅を増強しないが、1500nMの非コンジュゲートSO1861は効率的な細胞死滅を誘導する。低いEGFR受容体発現は、抗体媒介送達によって十分なSO1861を送達する妨げとなる。備考:図13Bに示されている凡例は、図13Aのグラフにも関連している。備考:図13Dに示されている凡例は、図13Cのグラフにも関連している。SPT001はSO1861である。
図13D】2標的2成分(EGFR低発現及びHER2非発現/低発現)。治療組み合わせによる、HeLa(EGFR/HER2+/-)細胞及びA2058(EGFR/HER2+/-)細胞におけるEGFR/HER2を標的とした細胞死滅。A、B)50pMの固定濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせたトラスツズマブ-SO1861のタイトレーションは、トラスツズマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導しない。C、D)、278nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせたトラスツズマブ-サポリンのタイトレーションは、細胞死滅を増強しないが、1500nMの非コンジュゲートSO1861は効率的な細胞死滅を誘導する。低いEGFR受容体発現は、抗体媒介送達によって十分なSO1861を送達する妨げとなる。備考:図13Bに示されている凡例は、図13Aのグラフにも関連している。備考:図13Dに示されている凡例は、図13Cのグラフにも関連している。SPT001はSO1861である。
図14A】2標的2成分(HER2高発現及びEGFR低発現)。治療組み合わせによるSKBR3(HER2+++/EGFR+/-)細胞におけるHER2を標的とした細胞死滅。A)1.5pMの固定濃度のEGFジアンチンと組み合わせたトラスツズマブ-SO1861のタイトレーションは、EGFジアンチンによる細胞死滅を誘導するために必要とする濃度が、コンジュゲートされたSO1861では、コンジュゲートされていないSO1861と比較して、400倍低いことを示す。B)、9,4nMのトラスツズマブ-SO1861と組み合わせたEGFジアンチンのタイトレーションは、10nMの非コンジュゲートSO1861+EGジアンチンとは対照的に、細胞を死滅させることができる。両方のコンジュゲートは同じ受容体に対して競合しないので、1075nMの非コンジュゲートSO1861+EGFジアンチンは、治療組み合わせ、9.4nMのトラスツズマブ-SO1861+EGFジアンチンと比較して、同等の細胞死滅効率を有する。両コンジュゲートの同時標的送達のみが、いずれかのコンジュゲートを単独で用いる単独療法とは対照的に、効率的な細胞死滅をもたらす。SPT001はSO1861である。
図14B】2標的2成分(HER2高発現及びEGFR低発現)。治療組み合わせによるSKBR3(HER2+++/EGFR+/-)細胞におけるHER2を標的とした細胞死滅。A)1.5pMの固定濃度のEGFジアンチンと組み合わせたトラスツズマブ-SO1861のタイトレーションは、EGFジアンチンによる細胞死滅を誘導するために必要とする濃度が、コンジュゲートされたSO1861では、コンジュゲートされていないSO1861と比較して、400倍低いことを示す。B)、9,4nMのトラスツズマブ-SO1861と組み合わせたEGFジアンチンのタイトレーションは、10nMの非コンジュゲートSO1861+EGジアンチンとは対照的に、細胞を死滅させることができる。両方のコンジュゲートは同じ受容体に対して競合しないので、1075nMの非コンジュゲートSO1861+EGFジアンチンは、治療組み合わせ、9.4nMのトラスツズマブ-SO1861+EGFジアンチンと比較して、同等の細胞死滅効率を有する。両コンジュゲートの同時標的送達のみが、いずれかのコンジュゲートを単独で用いる単独療法とは対照的に、効率的な細胞死滅をもたらす。SPT001はSO1861である。
図15A】2標的2成分(HER2低発現及びEGFR低発現又は高発現)。本発明の治療組み合わせによる、JIMT1(HER2)細胞及びA431(HER2+/-)細胞におけるHER2を標的とした細胞死滅。A、B)5pMの固定濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせたトラスツズマブ-SO1861のタイトレーションは、セツキシマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導しない。C、D)、10nMのトラスツズマブ-SO1861と組み合わせたセツキシマブ-サポリンのタイトレーションは、細胞死滅を誘導することができない。低いHER2受容体発現は、抗体媒介送達によって十分なSO1861を送達する妨げとなり、一方、1500nMの非コンジュゲートSO1861は効率的な細胞死滅を誘導する。セツキシマブ-サポリンの送達のための高いEGFR受容体発現レベル(D)でさえ、トラスツズマブ-SO1861の存在下でその効力を変化させず、細胞死滅活性のボトルネックがHER2の低すぎる発現レベルにあり、エンドソームエスケープのスイッチを入れる標的細胞内部のSO1861が不十分になることにつながることを示している。備考:図15Bに示されている凡例は、図15Aのグラフにも関連している。備考:図15Dに示されている凡例は、図15Cのグラフにも関連している。SPT001はSO1861である。
図15B】2標的2成分(HER2低発現及びEGFR低発現又は高発現)。本発明の治療組み合わせによる、JIMT1(HER2)細胞及びA431(HER2+/-)細胞におけるHER2を標的とした細胞死滅。A、B)5pMの固定濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせたトラスツズマブ-SO1861のタイトレーションは、セツキシマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導しない。C、D)、10nMのトラスツズマブ-SO1861と組み合わせたセツキシマブ-サポリンのタイトレーションは、細胞死滅を誘導することができない。低いHER2受容体発現は、抗体媒介送達によって十分なSO1861を送達する妨げとなり、一方、1500nMの非コンジュゲートSO1861は効率的な細胞死滅を誘導する。セツキシマブ-サポリンの送達のための高いEGFR受容体発現レベル(D)でさえ、トラスツズマブ-SO1861の存在下でその効力を変化させず、細胞死滅活性のボトルネックがHER2の低すぎる発現レベルにあり、エンドソームエスケープのスイッチを入れる標的細胞内部のSO1861が不十分になることにつながることを示している。備考:図15Bに示されている凡例は、図15Aのグラフにも関連している。備考:図15Dに示されている凡例は、図15Cのグラフにも関連している。SPT001はSO1861である。
図15C】2標的2成分(HER2低発現及びEGFR低発現又は高発現)。本発明の治療組み合わせによる、JIMT1(HER2)細胞及びA431(HER2+/-)細胞におけるHER2を標的とした細胞死滅。A、B)5pMの固定濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせたトラスツズマブ-SO1861のタイトレーションは、セツキシマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導しない。C、D)、10nMのトラスツズマブ-SO1861と組み合わせたセツキシマブ-サポリンのタイトレーションは、細胞死滅を誘導することができない。低いHER2受容体発現は、抗体媒介送達によって十分なSO1861を送達する妨げとなり、一方、1500nMの非コンジュゲートSO1861は効率的な細胞死滅を誘導する。セツキシマブ-サポリンの送達のための高いEGFR受容体発現レベル(D)でさえ、トラスツズマブ-SO1861の存在下でその効力を変化させず、細胞死滅活性のボトルネックがHER2の低すぎる発現レベルにあり、エンドソームエスケープのスイッチを入れる標的細胞内部のSO1861が不十分になることにつながることを示している。備考:図15Bに示されている凡例は、図15Aのグラフにも関連している。備考:図15Dに示されている凡例は、図15Cのグラフにも関連している。SPT001はSO1861である。
図15D】2標的2成分(HER2低発現及びEGFR低発現又は高発現)。本発明の治療組み合わせによる、JIMT1(HER2)細胞及びA431(HER2+/-)細胞におけるHER2を標的とした細胞死滅。A、B)5pMの固定濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせたトラスツズマブ-SO1861のタイトレーションは、セツキシマブ-サポリンによる細胞死滅を誘導しない。C、D)、10nMのトラスツズマブ-SO1861と組み合わせたセツキシマブ-サポリンのタイトレーションは、細胞死滅を誘導することができない。低いHER2受容体発現は、抗体媒介送達によって十分なSO1861を送達する妨げとなり、一方、1500nMの非コンジュゲートSO1861は効率的な細胞死滅を誘導する。セツキシマブ-サポリンの送達のための高いEGFR受容体発現レベル(D)でさえ、トラスツズマブ-SO1861の存在下でその効力を変化させず、細胞死滅活性のボトルネックがHER2の低すぎる発現レベルにあり、エンドソームエスケープのスイッチを入れる標的細胞内部のSO1861が不十分になることにつながることを示している。備考:図15Bに示されている凡例は、図15Aのグラフにも関連している。備考:図15Dに示されている凡例は、図15Cのグラフにも関連している。SPT001はSO1861である。
図16】2標的2成分対T-DM1。高いEGFR発現及び低いHER2発現を有する細胞(A431)は、治療組み合わせで効率的に死滅するが、T-DM1はそのような低い毒素濃度では有効ではない。T-DM1は、1抗体あたり約3.5個のDM1毒素分子を有するトラスツズマブ-エムタンシン(Kadcyla(登録商標))である。
図17A】トラスツズマブ(図17A)、セツキシマブ(図17B)又はT-DM1(図17C)、遊離毒素のサポリン(図17D)及びジアンチン(図17D)、非細胞結合IgGと結合したサポリン(図17D)、並びに遊離サポニンSO1861と組み合わされた非細胞結合IgGと結合したサポリン(図17E)を、示した細胞株SK-BR-3、JIMT-1、MDA-MB-468、A431、CaSki、HeLa、A2058、BT-474と接触させた場合の相対細胞生存率を示す。備考:図17Cに示されている凡例は、図17A及び17Bの曲線にも関連している。
図17B】トラスツズマブ(図17A)、セツキシマブ(図17B)又はT-DM1(図17C)、遊離毒素のサポリン(図17D)及びジアンチン(図17D)、非細胞結合IgGと結合したサポリン(図17D)、並びに遊離サポニンSO1861と組み合わされた非細胞結合IgGと結合したサポリン(図17E)を、示した細胞株SK-BR-3、JIMT-1、MDA-MB-468、A431、CaSki、HeLa、A2058、BT-474と接触させた場合の相対細胞生存率を示す。備考:図17Cに示されている凡例は、図17A及び17Bの曲線にも関連している。
図17C】トラスツズマブ(図17A)、セツキシマブ(図17B)又はT-DM1(図17C)、遊離毒素のサポリン(図17D)及びジアンチン(図17D)、非細胞結合IgGと結合したサポリン(図17D)、並びに遊離サポニンSO1861と組み合わされた非細胞結合IgGと結合したサポリン(図17E)を、示した細胞株SK-BR-3、JIMT-1、MDA-MB-468、A431、CaSki、HeLa、A2058、BT-474と接触させた場合の相対細胞生存率を示す。備考:図17Cに示されている凡例は、図17A及び17Bの曲線にも関連している。
図17D】トラスツズマブ(図17A)、セツキシマブ(図17B)又はT-DM1(図17C)、遊離毒素のサポリン(図17D)及びジアンチン(図17D)、非細胞結合IgGと結合したサポリン(図17D)、並びに遊離サポニンSO1861と組み合わされた非細胞結合IgGと結合したサポリン(図17E)を、示した細胞株SK-BR-3、JIMT-1、MDA-MB-468、A431、CaSki、HeLa、A2058、BT-474と接触させた場合の相対細胞生存率を示す。備考:図17Cに示されている凡例は、図17A及び17Bの曲線にも関連している。
図17E】トラスツズマブ(図17A)、セツキシマブ(図17B)又はT-DM1(図17C)、遊離毒素のサポリン(図17D)及びジアンチン(図17D)、非細胞結合IgGと結合したサポリン(図17D)、並びに遊離サポニンSO1861と組み合わされた非細胞結合IgGと結合したサポリン(図17E)を、示した細胞株SK-BR-3、JIMT-1、MDA-MB-468、A431、CaSki、HeLa、A2058、BT-474と接触させた場合の相対細胞生存率を示す。備考:図17Cに示されている凡例は、図17A及び17Bの曲線にも関連している。
図18】1T2Cインビボ活性。A431担癌マウスにおける50mg/kgのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)+25mg/kgのセツキシマブ-(-L-HSP27BNA)の1T2C組み合わせは、対照と比較して、強力な腫瘍標的化遺伝子サイレンシングを明らかにする。
図19】1T2Cインビボ活性。PDX腫瘍マウスモデル(高HER2発現)における40mg/kgのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)+0.02/0.03mg/kgのトラスツズマブ-サポリンの1T2C組み合わせは、有効な腫瘍増殖阻害を示す。
図20】A431担癌マウスモデルで試験した2T2成分系は、腫瘍退縮を明らかにする。
図21】A431担癌マウスモデルで試験した2T2成分系は、腫瘍退縮及び腫瘍根絶を明らかにする。
図22A】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによるA431細胞(EGFR++/HER2+/-)(A、C)及びCaSKi細胞(EGFR++/HER2+/-)(B、D)におけるEGFR/HER2を標的とした細胞死滅。A、B)A431細胞に対するセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7のタイトレーション+固定濃度50pMのトラスツズマブ-サポリン、及び対照。C、D)Caski細胞に対するトラスツズマブ-サポリンのタイトレーション+固定濃度75nMのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7、及び対照。凡例及び/又は軸はA及びBで同じであり、凡例は図C及びDで同じである。
図22B】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによるA431細胞(EGFR++/HER2+/-)(A、C)及びCaSKi細胞(EGFR++/HER2+/-)(B、D)におけるEGFR/HER2を標的とした細胞死滅。A、B)A431細胞に対するセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7のタイトレーション+固定濃度50pMのトラスツズマブ-サポリン、及び対照。C、D)Caski細胞に対するトラスツズマブ-サポリンのタイトレーション+固定濃度75nMのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7、及び対照。凡例及び/又は軸はA及びBで同じであり、凡例は図C及びDで同じである。
図22C】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによるA431細胞(EGFR++/HER2+/-)(A、C)及びCaSKi細胞(EGFR++/HER2+/-)(B、D)におけるEGFR/HER2を標的とした細胞死滅。A、B)A431細胞に対するセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7のタイトレーション+固定濃度50pMのトラスツズマブ-サポリン、及び対照。C、D)Caski細胞に対するトラスツズマブ-サポリンのタイトレーション+固定濃度75nMのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7、及び対照。凡例及び/又は軸はA及びBで同じであり、凡例は図C及びDで同じである。
図22D】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによるA431細胞(EGFR++/HER2+/-)(A、C)及びCaSKi細胞(EGFR++/HER2+/-)(B、D)におけるEGFR/HER2を標的とした細胞死滅。A、B)A431細胞に対するセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7のタイトレーション+固定濃度50pMのトラスツズマブ-サポリン、及び対照。C、D)Caski細胞に対するトラスツズマブ-サポリンのタイトレーション+固定濃度75nMのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7、及び対照。凡例及び/又は軸はA及びBで同じであり、凡例は図C及びDで同じである。
図23A】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによる、HeLa細胞(EGFR+/-/HER2+/-)(A、C)及びA2058細胞(EGFR/HER2+/-)(B、D)におけるEGFR/HER2を標的とした細胞死滅。A、B)HeLa細胞に対するセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7のタイトレーション+固定濃度50pMのトラスツズマブ-サポリン、及び対照。C、D)A2058細胞に対するトラスツズマブ-サポリンのタイトレーション+固定濃度75nMのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7、及び対照。凡例及び/又は軸はC及びDで同じである。
図23B】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによる、HeLa細胞(EGFR+/-/HER2+/-)(A、C)及びA2058細胞(EGFR/HER2+/-)(B、D)におけるEGFR/HER2を標的とした細胞死滅。A、B)HeLa細胞に対するセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7のタイトレーション+固定濃度50pMのトラスツズマブ-サポリン、及び対照。C、D)A2058細胞に対するトラスツズマブ-サポリンのタイトレーション+固定濃度75nMのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7、及び対照。凡例及び/又は軸はC及びDで同じである。
図23C】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによる、HeLa細胞(EGFR+/-/HER2+/-)(A、C)及びA2058細胞(EGFR/HER2+/-)(B、D)におけるEGFR/HER2を標的とした細胞死滅。A、B)HeLa細胞に対するセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7のタイトレーション+固定濃度50pMのトラスツズマブ-サポリン、及び対照。C、D)A2058細胞に対するトラスツズマブ-サポリンのタイトレーション+固定濃度75nMのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7、及び対照。凡例及び/又は軸はC及びDで同じである。
図23D】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによる、HeLa細胞(EGFR+/-/HER2+/-)(A、C)及びA2058細胞(EGFR/HER2+/-)(B、D)におけるEGFR/HER2を標的とした細胞死滅。A、B)HeLa細胞に対するセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7のタイトレーション+固定濃度50pMのトラスツズマブ-サポリン、及び対照。C、D)A2058細胞に対するトラスツズマブ-サポリンのタイトレーション+固定濃度75nMのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7、及び対照。凡例及び/又は軸はC及びDで同じである。
図24A】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによるSKBR3細胞(HER2++/EGFR+/-)(A、B)におけるHER2/EGFRを標的とした細胞死滅。A SKBR3細胞に対するトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)のタイトレーション+固定濃度1.5pMのEGFジアンチン、及び対照。B)SKBR3細胞に対するEGFジアンチンのタイトレーション+固定濃度2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)、及び対照。
図24B】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによるSKBR3細胞(HER2++/EGFR+/-)(A、B)におけるHER2/EGFRを標的とした細胞死滅。A SKBR3細胞に対するトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)のタイトレーション+固定濃度1.5pMのEGFジアンチン、及び対照。B)SKBR3細胞に対するEGFジアンチンのタイトレーション+固定濃度2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)、及び対照。
図25A】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによるJIMT-1細胞(HER2+/-EGFR+/-)(A、C)及びMDA-MB-468細胞(HER2/EGFR++)(B、D)におけるHER2/EGFRを標的とした細胞死滅。A、B)JIMT-1細胞に対するトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)のタイトレーション+固定濃度1.5pMのEGFジアンチン、及び対照。C、D)MDA-MB-468細胞に対するEGFジアンチンのタイトレーション+固定濃度2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)、及び対照。凡例及び/又は軸はC及びDで同じである。
図25B】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによるJIMT-1細胞(HER2+/-EGFR+/-)(A、C)及びMDA-MB-468細胞(HER2/EGFR++)(B、D)におけるHER2/EGFRを標的とした細胞死滅。A、B)JIMT-1細胞に対するトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)のタイトレーション+固定濃度1.5pMのEGFジアンチン、及び対照。C、D)MDA-MB-468細胞に対するEGFジアンチンのタイトレーション+固定濃度2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)、及び対照。凡例及び/又は軸はC及びDで同じである。
図25C】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによるJIMT-1細胞(HER2+/-EGFR+/-)(A、C)及びMDA-MB-468細胞(HER2/EGFR++)(B、D)におけるHER2/EGFRを標的とした細胞死滅。A、B)JIMT-1細胞に対するトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)のタイトレーション+固定濃度1.5pMのEGFジアンチン、及び対照。C、D)MDA-MB-468細胞に対するEGFジアンチンのタイトレーション+固定濃度2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)、及び対照。凡例及び/又は軸はC及びDで同じである。
図25D】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによるJIMT-1細胞(HER2+/-EGFR+/-)(A、C)及びMDA-MB-468細胞(HER2/EGFR++)(B、D)におけるHER2/EGFRを標的とした細胞死滅。A、B)JIMT-1細胞に対するトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)のタイトレーション+固定濃度1.5pMのEGFジアンチン、及び対照。C、D)MDA-MB-468細胞に対するEGFジアンチンのタイトレーション+固定濃度2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)、及び対照。凡例及び/又は軸はC及びDで同じである。
図26A】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによるSKBR3細胞(HER2++/EGFR+/-)(A、B)におけるHER2/EGFRを標的とした細胞死滅。A)SKBR3細胞に対するトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)のタイトレーション+固定濃度10pMのセツキシマブ-サポリン、及び対照。B)SKBR3細胞に対するセツキシマブ-サポリンのタイトレーション+固定濃度2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)、及び対照。
図26B】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによるSKBR3細胞(HER2++/EGFR+/-)(A、B)におけるHER2/EGFRを標的とした細胞死滅。A)SKBR3細胞に対するトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)のタイトレーション+固定濃度10pMのセツキシマブ-サポリン、及び対照。B)SKBR3細胞に対するセツキシマブ-サポリンのタイトレーション+固定濃度2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)、及び対照。
図27A】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによるJIMT-1細胞(HER2+/-EGFR+/-)(A、C)及びMDA-MB-468細胞(HER2/EGFR++)(B、D)におけるHER2/EGFRを標的とした細胞死滅。A、B)JIMT-1細胞に対するトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)のタイトレーション+固定濃度10pMのセツキシマブ-サポリン、及び対照。C、D)MDA-MB-468細胞に対するセツキシマブ-サポリンのタイトレーション+固定濃度2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)、及び対照。凡例及び/又は軸はA及びBで同じであり、凡例はC及びDで同じである。
図27B】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによるJIMT-1細胞(HER2+/-EGFR+/-)(A、C)及びMDA-MB-468細胞(HER2/EGFR++)(B、D)におけるHER2/EGFRを標的とした細胞死滅。A、B)JIMT-1細胞に対するトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)のタイトレーション+固定濃度10pMのセツキシマブ-サポリン、及び対照。C、D)MDA-MB-468細胞に対するセツキシマブ-サポリンのタイトレーション+固定濃度2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)、及び対照。凡例及び/又は軸はA及びBで同じであり、凡例はC及びDで同じである。
図27C】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによるJIMT-1細胞(HER2+/-EGFR+/-)(A、C)及びMDA-MB-468細胞(HER2/EGFR++)(B、D)におけるHER2/EGFRを標的とした細胞死滅。A、B)JIMT-1細胞に対するトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)のタイトレーション+固定濃度10pMのセツキシマブ-サポリン、及び対照。C、D)MDA-MB-468細胞に対するセツキシマブ-サポリンのタイトレーション+固定濃度2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)、及び対照。凡例及び/又は軸はA及びBで同じであり、凡例はC及びDで同じである。
図27D】2標的2成分。本発明の治療組み合わせによるJIMT-1細胞(HER2+/-EGFR+/-)(A、C)及びMDA-MB-468細胞(HER2/EGFR++)(B、D)におけるHER2/EGFRを標的とした細胞死滅。A、B)JIMT-1細胞に対するトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)のタイトレーション+固定濃度10pMのセツキシマブ-サポリン、及び対照。C、D)MDA-MB-468細胞に対するセツキシマブ-サポリンのタイトレーション+固定濃度2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)、及び対照。凡例及び/又は軸はA及びBで同じであり、凡例はC及びDで同じである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の第1の目的は、治療域が増加した改善されたADC及びAOCを提供すること、並びに、例えば、標的細胞の外部から内部への送達が考慮される場合、又はより詳細には前記標的細胞のサイトゾルにおけるエフェクター分子の送達が考慮される場合、エフェクター分子の有効量又は有効用量の送達のための改善された治療組み合わせ又は改善された医薬組成物を提供することである。本発明の第2の目的は、例えば標的腫瘍細胞に対する、エフェクター分子及びリガンド(腫瘍細胞などの標的異常細胞において、及びその中でエフェクター分子を標的化するための細胞表面分子結合分子)を含むコンジュゲート(の有効量)による、治療すべき疾患に罹患している(ヒト)患者の改善された治療方法を提供すること、すなわち、標的腫瘍細胞のサイトゾルに送達されるエフェクター分子を含むADC又はAOCの治療域を改善することである。
【0051】
本発明の目的は、抗癌療法などの治療に使用するための、エフェクター分子活性増強分子と改善されたADC又はAOCとの組み合わせを提供することである。本発明の目的はまた、そのような改善されたADC又はAOCを含み、且つエフェクター分子活性増強分子を含む、治療用組成物、又は例えば2つの治療用組成物の治療用組み合わせを提供することである。そのようなエフェクター分子活性増強分子は、エフェクター分子が標的細胞内の例えば、好ましくはエンドソーム、エンドリソソーム及び/又はリソソームに送達され、例えばその後、好ましくは前記細胞のサイトゾルに送達されると、前記エフェクター分子の生物学的効果を改善することができる。この標的細胞は、エフェクター分子の分子標的を含む。前記の提供されたエフェクター分子活性増強分子が、それを必要とする(ヒト)患者に投与され、患者が標的細胞を有する場合、前記患者は、エフェクター分子の有効用量に達するために現在必要とされている用量よりも好ましくは低用量のエフェクター分子で高い治療効果、又は少なくとも十分な効果を経験する。このように、エフェクター分子、例えば、ADC又はAOCなどのコンジュゲートの一部であるエフェクター分子の治療域は効果的に広がる。
【0052】
生物活性分子(例えば、エフェクター分子)が作用するためには、分子は、例えば、血清中で、細胞表面の外で、又は細胞若しくは細胞小器官の内部で、その標的とそれと係合することができなければならない。ほとんど全てのタンパク質ベースの標的化毒素の活性部分は例えば、その標的調節効果を媒介するためには、標的細胞のサイトゾルに入らなければならない。多くの場合、毒素は、(1)ターゲティング部分の内部移行が不十分で、細胞の外側に結合されたままであるか、(2)内部移行後に細胞表面に戻されるか、又は(3)エンドリソソームに輸送され、そこで分解されるため、効果がないままである。これらの基本的な問題は何十年も知られており、過去数十年の間に500を超える標的毒素が調べられてきたが、問題はまだ解決されておらず、重度の毒性の警告ラベルが付されているにもかかわらず、2つの抗体標的タンパク質毒素のみが市場に受け入れられている。モキセツモマブパスドトクス-tdfk(LUMOXITI(登録商標)、AstraZeneca Pharmaceuticals LP)は、今日までにFDAによって再発性又は難治性の有毛細胞白血病用に承認されている。このように承認されたADCの他のものは、Elzonris、Ontakである。
【0053】
これらの問題を克服するために、毒素を小胞体内の生合成経路の内因性細胞膜輸送複合体に向け直すためのアプローチ、及びエンドソームの膜完全性、すなわち細胞内のエンドサイトーシス経路の区画を破壊又は弱め、したがってエンドソームエスケープを促進するための技術を含む多くの戦略が記載されている。これは、リソソーム向性アミン、カルボン酸イオノフォア、カルシウムチャネルアンタゴニスト、ウイルス、細菌、植物、動物、ヒト及び合成起源の様々な細胞透過性ペプチド、他の有機分子及び光誘導技術の使用を含む。標的化毒素の効力は、典型的には、細胞培養では100倍又は1000倍、例外的なケースでは100万倍よりも多く増加したが、エンドソームエスケープエンハンサーを他の物質と同時投与する必要性は、さらなる副作用、標的特異性の喪失、治療域を決定する困難さ、及び細胞型依存性変動を含む新たな問題を抱える。
【0054】
物理化学的技術を含む全ての戦略は、膜と多かれ少なかれ直接的に相互作用し、本質的に小さい化学分子、二次代謝産物、ペプチド及びタンパク質を含むエンハンサー分子を必要とする。これら全ての物質の共通の特徴は、それら自体は標的細胞特異的ではなく、標的化された毒素以外の動態で分布することである。これは、現在のアプローチの1つの主要な欠点である。
【0055】
本発明のさらなる目的は、sdAbをベースとしたADC及びsdAbをベースとしたAOCのための改善されたエンハンサーを提供すること、並びに、例えば、標的細胞の外部から内部への送達が考慮される場合、又はより詳細には前記標的細胞のサイトゾルにおけるエフェクター分子の送達が考慮される場合、エフェクター分子の有効量の送達のための改善された治療組み合わせ又は改善された医薬組成物を提供することである。本発明のさらなる目的は、例えば標的腫瘍細胞に対する、エフェクター分子及びリガンド、すなわちsdAbを含むコンジュゲートによる、治療すべき疾患に罹患している(ヒト)患者の改善された治療方法を提供すること、すなわち、標的腫瘍細胞のサイトゾルに送達されるエフェクター分子を含み、sdAbを含むADC又はAOCの治療域を改善することである。
【0056】
本発明の目的は、抗癌療法などの治療に使用するためのエフェクター分子増強分子、エフェクター分子の分子標的を含む標的細胞内部に送達されると、エフェクター分子の生物学的効果を改善することができる分子を含む、治療組成物又は例えば2つの治療組成物の治療組み合わせを提供することであり、この提供される分子は、それを必要とし、標的細胞を有する(ヒト)患者に投与されたとき、エフェクター分子の有効用量に達するために現在必要とされる用量よりも低い用量のエフェクター分子で、改善された治療効果又は十分な効果を経験する。このように、エフェクター分子、例えば、sdAbを含むADC又はsdAbを含むAOCなどのコンジュゲートの一部であるエフェクター分子の治療域は効果的に広がる。
【0057】
特定の実施形態に関して本発明を説明するが、本発明はそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。本発明をいくつかの実施形態に関して説明してきたが、当業者であれば、本明細書を読み、図面及びグラフを検討することにより、その代替、変更、変形及び均等物は明らかになるであろう。本発明は、図示した実施形態に決して限定されない。添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、変更を加えることができる。
【0058】
本発明者らは、抗体薬物コンジュゲート又は抗体オリゴヌクレオチドコンジュゲートなどの本発明の第1のコンジュゲートの治療域が、そのようなADC又はAOCが好ましくは、細胞表面分子に対しADC又はAOCを標的化するための細胞表面分子結合sdAbを含み、それを必要とするヒト癌患者又は腫瘍保有哺乳動物などの同じ対象に、少なくとも1つの共有結合したサポニンを含む第2のコンジュゲートが投与される場合に、増加することを発明し、確立した(VHHを含むコンジュゲートについては、mAb又はsdAbなどの抗体を含むADC又はAOCと組み合わされた場合の、IgG又はVHHなどの抗体に共有結合したサポニンの効果の一連のインビトロ及びインビボの腫瘍細胞モデルの例についての実施例の項の、例えば表A5~A7の例及び例えば図4~7を参照し、また、モノクローナル抗体(mAb)を含むコンジュゲートについては、図2、3、8~13、16、16、18~23、26及び27を参照されたい。サポニンはIgG又はVHHなどの抗体とコンジュゲートされ、タンパク質毒素などのエフェクター分子又はBNAなどのオリゴヌクレオチドはIgG又はsdAbなどの第2の抗体とコンジュゲートされる。本発明者らは、本発明のサポニンを細胞表面分子に結合するためのリガンド、例えば完全長のインタクトなIgGなどの抗体、又はVHHなどのsdAbなどの抗体とコンジュゲートさせることにより、細胞表面に細胞表面分子を露出する標的細胞の細胞表面にサポニンを細胞特異的に送達し、その後、細胞、例えば内部に、例えば細胞エンドソーム、エンドリソソーム、リソソーム、及び最終的には細胞サイトゾルに(遊離した)サポニンを送達するコンジュゲート(好ましいのは、サポニンを含むコンジュゲートが細胞エンドソーム、エンドリソソーム、リソソームに入り、結合が切断される(例えば、コンジュゲートが細胞表面分子、すなわち受容体に結合すると、受容体媒介エンドサイトーシスによって入る)と、遊離サポニンが存在するように、サポニンが、ヒト腫瘍細胞などの哺乳動物細胞のエンドソーム、エンドリソソーム、リソソームにおいて切断可能な結合によって共有結合している、サポニン含有コンジュゲートである)が提供されることを、初めて確立し、決定した。そのような細胞標的サポニンコンジュゲートの例は、例えば、以下の実施例の項に概説されるように、サポニン-VHHコンジュゲート及びサポニン-Mabコンジュゲートについて図2~27に提供される。サポニンは、EGF、Her2を標的とするVHH又はIgG、EGFRを標的とするIgGなどのリガンドにコンジュゲートされる。
【0059】
上記の目的の少なくとも1つは、共有結合したビデスモシドトリテルペングリコシド(トリテルペンサポニン)を含む第2のコンジュゲートなどの、細胞表面分子に結合するsdAb、及び本発明のエフェクター分子増強分子を含む、改善されたADC、又は改善されたAOCの組み合わせを提供することによって達成される。
【0060】
本発明の第1の態様は、以下を含む医薬組み合わせに関する:
o少なくとも1つのエフェクター分子と、第1の細胞表面分子に結合するための単一ドメイン抗体(sdAb)とを含み、これらは直接又はリンカーを介して互いに共有結合している、第1のコンジュゲート;
oサポニン及び/又はその誘導体、並びに/或いは第2の細胞表面分子に結合するための結合分子と、サポニン及び/又はその誘導体とを含む第2のコンジュゲートであって、結合分子とサポニン又はその誘導体は直接又はリンカーを介して互いに共有結合しており、サポニン又はその誘導体はモノデスモシドトリテルペングリコシド又はビデスモシドトリテルペングリコシドであり、第2の細胞表面分子は、第1の細胞表面分子と同じであるか又は第1の細胞表面分子とは異なる、サポニン及び/又はその誘導体、並びに/或いは第2のコンジュゲート;並びに、任意選択的に
o薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤。
【0061】
本発明者らは、細胞内のエフェクター分子の効果を考慮すると、sdAbを含む第1のコンジュゲートの一部であるエフェクター分子が、本発明の第2のコンジュゲートに含まれるサポニンなどのサポニンの影響下で高効率で細胞内に送達されることを立証した。より具体的には、本発明者らは、細胞内のエフェクター分子の効果を考慮すると、sdAbを含む第1のコンジュゲートの一部であるエフェクター分子が、本発明の第2のコンジュゲートに含まれるサポニンなどの本発明のサポニンの影響下で高効率で細胞のサイトゾル内に送達されることを立証した。すなわち、例えば第2のコンジュゲートの一部としての、サポニンの非存在下では、腫瘍細胞の準最適用量の第1のコンジュゲートとの接触によって、細胞内のエフェクター分子の活性をもたらさない(標的細胞はエフェクター分子の生物学的活性によって効率的に死滅しない)。しかしながら、標的腫瘍細胞を、エフェクター分子を含む第1のコンジュゲートと遊離サポニン及び/又はサポニンを含む第2のコンジュゲートの両方と接触させると、効率的な腫瘍細胞死滅が確定する。
【0062】
本発明をより詳細に説明するために、本発明における細胞の物質取り込みプロセス及び使用される用語を最初に説明する。小胞出芽による細胞外物質の細胞内への取り込みは、エンドサイトーシスと呼ばれる。前記小胞出芽は、(1)サイトゾルのタンパク質クラスリンによって媒介される受容体依存性リガンドの取り込み、(2)コレステロール結合タンパク質カベオリンによって媒介される脂質ラフトの取り込み、(3)非特異的流体の取り込み(ピノサイトーシス)、又は(4)非特異的粒子の取り込み(ファゴサイトーシス)によって特徴付けることができる。エンドサイトーシスの全てのタイプは、エンドサイトーシス経路と呼ばれる小胞輸送及び物質選別の以下の細胞プロセスに至る。エンドサイトーシス経路は複雑であり、完全にはわかっていない。初期には、オルガネラが新たに形成され、エンドサイトーシス経路に沿って次のオルガネラに成熟すると考えられていた。今日では、エンドサイトーシス経路が、小胞輸送によって連結される安定なコンパートメントを含むとの仮説が立てられている。コンパートメントは、細胞に必須の特定の一連の機能に特化した、複雑で多機能の膜オルガネラである。小胞は組成が単純な一過性のオルガネラであると考えられ、既存のコンパートメントから出芽することによって新たに形成される膜封入容器と定義される。コンパートメントとは対照的に、小胞は、生理学的に不可逆な一連の生化学的変化である成熟を受けることができる。初期のエンドソーム及び後期のエンドソームは、エンドサイトーシス経路における安定なコンパートメントであり、一方、一次エンドサイトーシス小胞、ファゴソーム、多小胞体(エンドソーム担体小胞とも呼ばれる)、分泌顆粒、及びさらにリソソームは小胞である。エンドサイトーシス小胞は原形質膜で生じ、クラスリン被覆ピットから最も顕著に生じるが、最初に、およそpH6.5の主要な選別コンパ-メントである初期エンドソームと融合する。内在化したカーゴ及び膜の大部分は、リサイクリング小胞(リサイクル経路)を介して原形質膜にリサイクルされる。分解されるべき成分は、多小胞体によって酸性の後期エンドソーム(pH6未満)に輸送される。リソソームは成熟リソソーム酵素を貯蔵し、必要に応じてそれらを後期エンドソームコンパートメントに送達することができる小胞である。生じたオルガネラは、ハイブリッドオルガネラ又はエンドリソソームと呼ばれる。リソソームは、リソソーム再形成と呼ばれる過程でハイブリッド細胞オルガネラから出芽する。後期エンドソーム、リソソーム、及びハイブリッドオルガネラは極めて動的なオルガネラであり、それらの区別は多くの場合困難である。エンドサイトーシスされた分子の分解は、エンドリソソームの内部で起こる。エンドソームエスケープは、エンドサイトーシス経路の、好ましくはクラスリン媒介エンドサイトーシスの、又はリサイクル経路の、あらゆる種類のコンパートメント又は小胞の内腔からのサイトゾルへの物質の能動的又は受動的放出である。したがって、エンドソームエスケープには、以下に限定されないが、エンドソーム、エンドリソソーム又はリソソーム(それらの中間オルガネラ及びハイブリッドオルガネラを含む)からの放出が含まれる。サイトゾルに入った後、前記物質は、核などの他の細胞単位に移動する可能性がある。本発明の文脈におけるグリコシド分子(サポニン)は、特にエンドソームエスケープを促進することによって、エフェクター分子の効果を増強することができる化合物である。グリコシド分子はエンドサイトーシス経路及びリサイクル経路のコンパートメント及び小胞の膜と相互作用して、前記エフェクター分子を漏出しやすくし、その結果、エンドソームエスケープが増強される。
【0063】
「エフェクター分子の効果を改善する」という用語は、サポニンがエフェクター分子の機能的効力(例えば、毒素又は薬物の治療指数;生物工学的プロセスにおける修飾因子の代謝効率;細胞培養研究実験における遺伝子のトランスフェクション効率)を、好ましくはその標的への関与を可能にするか又は改善することによって増加させることを意味する。抗原特異的免疫応答の加速、長期化、又は増強は、好ましくは含まれない。治療効力には、投与量の低下及び/又は副作用の減少による治療効果の増大が含まれるが、これらに限定されない。「エフェクター分子の効果を改善する」はまた、効果の欠如のために使用することができなかった(例えば、エフェクター分子であるとは知られていなかった)エフェクター分子が、細胞表面分子を標的とするsdAbを含む本発明の第1のコンジュゲートの一部として、且つ遊離サポニン(誘導体)と組み合わせて、及び/又は共有結合したサポニン(誘導体)を含む本発明の第2のコンジュゲートと組み合わせて使用した場合に有効になることを意味し得る。有益であるか又は所望され、本発明により提供されるような、例えば、本発明の第1のコンジュゲートによる細胞標的sdAbを含むAOC、又は本発明の第1のコンジュゲートによる細胞標的sdAbを含むAOCの一部としてのエフェクター分子と、本発明の第2のコンジュゲートに含まれるサポニンとの組み合わせに起因し得る他の効果はいかなるものも、「改善された効果」であると考えられる。本発明の文脈において、本発明の第2のコンジュゲートに含まれるサポニンなどのサポニンは、本発明による細胞表面分子結合sdAbを含むAOC又は細胞表面分子結合sdAを含むADCなどの第1の別個のコンジュゲートに含まれるエフェクター分子の機能的効力の「エンハンサー」である。
【0064】
本発明に至るまでの、例えば本発明のサポニンなどの、細胞表面分子標的コンジュゲートの一部ではない遊離グリコシドによる標的毒素増強の1つの主な欠点は、標的毒素が受容体媒介エンドサイトーシスによって内部移行される(標的毒素が受容体に結合した後、標的毒素コンジュゲート/受容体複合体が内部移行する)一方、グリコシドが原形質膜を通って受動的に拡散し、おそらくコレステロールとの相互作用によってエンドソーム膜に到達することである。原理的には、本発明の第2のコンジュゲートにおけるサポニンなどのグリコシドは、遊離した非コンジュゲート形態である場合、任意の細胞に侵入することができ、標的でない細胞(オフターゲット細胞)にも進入することができ、標的毒素を有効に放出するための標的細胞におけるエンハンサーの利用効率が低くなり、非標的細胞における副作用の可能性が生じる。1つの主な問題は、標的化毒素及びグリコシドの侵入が異なる動態で進行し、これらの動態が細胞(株)間、及び組織間で異なり、その結果、2つの物質(例えば、遊離サポニンを有する、細胞表面分子に結合するためのsdAbを含むADC又はAOC)を適用するための正しい時間差が、腫瘍(細胞(株))間で大きく変化し得ることである。さらに、生物においては、これらの物質の遊離、吸収、分布、代謝及び排出も異なる。さらに、非標的細胞によるグリコシドの非特異的取り込みは、これらの細胞において望ましくない効果を誘導し得る。これは、例えば、リソソームに送達されるべきであった化合物のサイトゾル送達、抗原提示の障害などであり得る。グリコシド及び標的薬物の非標的投与もまた、薬物開発において問題となり得、関連当局(例えば、FDA又はEMA)による製造認可を妨げるか、又は少なくとも遅延させ得る。本発明の文脈における標的毒素又は標的薬物とは、毒素又は薬物が標的細胞の膜結合分子(細胞表面分子)を特異的に標的としている、例えば、標的細胞の細胞膜上の構造(結合部位、エピトープ)を特異的に認識するsdAbなどの抗体に結合した毒素又は薬物を意味する。
【0065】
したがって、エンハンサーが標的細胞のエンドサイトーシス経路の酸性コンパートメント内で有効濃度で利用可能であり、毒素との相乗効果を示すために、エフェクター分子と同じ経路によって、例えば標的リガンドによって、標的細胞にグリコシド(本発明のサポニン)を導くことは非常に有用である。したがって、本発明は、標的化リガンド(結合分子)によって、エフェクター分子とエンドソームエスケープエンハンサー(すなわち、本発明のサポニン)の両方を、標的細胞のエンドサイトーシス経路の酸性コンパートメントに向け直すための新規な方法を提供する。本発明の第2のコンジュゲート中にサポニンを含むターゲティングリガンドは、本発明のエフェクター分子を含む第1のコンジュゲートに含まれるターゲティングリガンド、すなわちsdAbと同じであっても、異なっていてもよい。ターゲティングリガンドが異なる場合、両方のターゲティングリガンドが、異なるが腫瘍細胞などの同じ標的細胞上に存在する第1及び第2の細胞表面分子に結合することが理解される。例えば、サポニン部分を含む本発明の第2のコンジュゲートは、EGFR又はCD71又はHER2に結合することができ、例えば、エフェクター部分及び細胞表面分子結合sdAbを含む第1のコンジュゲートは、EGFR又はCD71又はHER2に結合することができ、本発明の第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートは、同じ細胞受容体又は異なる細胞受容体に結合する。
【0066】
本発明者らは、細胞内のエフェクター分子の効果を考慮すると、sdAbなどのターゲティングリガンドを含む第1のコンジュゲートの一部であるエフェクター分子が、本発明の第2のコンジュゲートに含まれるサポニンの影響下で高効率で細胞内に送達されることを立証した。驚くべきことに、VHHなどの相対的に小さいサイズのsdAbにもかかわらず、エフェクター分子を含み、そのようなsdAbを含む本発明の第1のコンジュゲートの標的細胞表面受容体への結合は、エフェクター分子及びsdAbが第1のコンジュゲートに含まれるときになお起こっており、sdAbは、VHHであることが好ましい。驚くべきことに、VHHなどの相対的に小さいサイズのsdAbにもかかわらず、サポニンを含み、sdAbを含む本発明の第2のコンジュゲートの標的細胞表面受容体への結合は、サポニン及びsdAbが第2のコンジュゲートに含まれるときになお起こっており、sdAbは、VHHであることが好ましい。本発明の第1のコンジュゲートを形成するVHHなどのsdAbへのエフェクター分子の結合は、細胞表面分子に結合するVHHの能力を考慮すると、例えば立体障害をもたらさない。本発明の第2のコンジュゲートを形成するVHHなどのsdAbへのサポニンの結合は、細胞表面分子に結合するVHHの能力を考慮すると、例えば立体障害をもたらさない。すなわち、本発明の第2のコンジュゲートによるsdAbなどの抗体などの細胞表面分子結合リガンドに共有結合したサポニンを含む本発明の第2のコンジュゲートの非存在下では、sdAbを含むADC又はsdAbを含むAOC(すなわち、本発明の第1のコンジュゲート)の準最適用量と例えば腫瘍細胞との接触により、細胞内エフェクター分子活性はもたらされない(標的細胞はエフェクター分子の生物学的活性によって効率よく死滅しない)。しかしながら、標的腫瘍細胞を、エフェクター分子とsdAbとを含む本発明の第1のコンジュゲート、例えばADC又はAOCと、遊離サポニン及び/又はサポニンを含む本発明の第2のコンジュゲートとともに接触させると、効率的な腫瘍細胞死滅が達成される。
【0067】
単一の細胞表面分子を本発明の第2のコンジュゲート及びADC又はAOC、すなわち本発明の第1のコンジュゲートの標的とすることにより、或いは第2の細胞表面分子を本発明の第2のコンジュゲートの標的とし、ADC又はAOC、すなわち本発明の第1のコンジュゲートを第1の細胞表面分子の標的とすることにより(ここで、第1の細胞表面分子と第2の細胞表面分子は異なり、且つ同じ標的細胞に存在する)、細胞表面に細胞表面分子を露出する標的細胞のサイトゾル内部への、本発明の第2のコンジュゲート中のsdAbなどの細胞表面分子を標的とする抗体に結合したサポニンの送達、及びエフェクター分子及び第1の細胞表面分子に結合するためのsdAbを含むADC又はAOCの送達は、例えば、細胞をADCのみと接触させ、細胞を本発明のサポニンを含む第2のコンジュゲートと同時に接触させず、したがって、細胞を標的とするサポニン(本発明の第2のコンジュゲート)を存在させない場合と比較して改善され、且つ特異性が増す。第1のコンジュゲートの細胞表面分子を標的とするsdAbによる標的化のため、及びsdAbなどの抗体などの第2のコンジュゲートに含まれる細胞表面分子結合分子による標的化のために選択された異常細胞は、理想的には、細胞表面分子を標的とする分子が結合することができるエピトープを細胞表面分子に高度(すなわち、例えば腫瘍細胞又は自己免疫細胞などの標的細胞における標的細胞表面分子の発現が、例えば健康な細胞などの非標的細胞における発現よりも相対的に高い)保持し、且つ/又は第1のコンジュゲートの細胞表面分子を標的とするsdAbの結合のため、及び第2のコンジュゲートのsdAbなどの細胞表面分子を標的とする抗体の結合のために標的細胞表面分子におけるエピトープを、特に、患者の(隣接する)健康な細胞が考慮される場合、暴露する。好ましくは、本発明の第1のコンジュゲートの細胞表面分子を標的とするsdAbにより標的とされた細胞表面分子、及び本発明の第2のコンジュゲートのsdAbなどの抗体などの細胞表面分子を標的とする分子により標的とされた細胞表面分子は、健康な細胞と比較して、標的(疾患、腫瘍)細胞に比較的高度に且つ/又は特異的に発現する。一実施形態は、腫瘍細胞受容体などの第1のコンジュゲートの細胞表面分子を標的とするsdAbのための標的細胞表面分子が、健康な(隣接する)細胞表面における細胞表面分子の発現と比較して、特異的に、又は比較的高い程度で発現する、本発明の第1のコンジュゲートである。一実施形態は、腫瘍細胞受容体などの第2のコンジュゲートのsdAbなどの抗体などの細胞表面分子を標的とする分子のための標的細胞表面分子が、健康な(隣接する)細胞表面における細胞表面分子の発現と比較して、特異的に、又は比較的高い程度で発現する、本発明の第2のコンジュゲートである。したがって、標的細胞表面分子のエピトープは、理想的には標的の疾患細胞に固有であり、且つ標的細胞の表面に少なくとも特異的に存在し曝露される。標的細胞の細胞表面分子のエピトープに本発明の第1のコンジュゲートが結合した後、コンジュゲートと標的細胞表面分子との複合体のエンドサイトーシスが起こる(受容体(標的細胞表面分子)にコンジュゲートが結合した後、コンジュゲート/レセプター複合体が内部移行する)。標的細胞の細胞表面分子のエピトープに本発明の第2のコンジュゲートが結合した後、第2のコンジュゲートと標的細胞表面分子との複合体のエンドサイトーシスが起こる(標的細胞表面分子(細胞表面受容体)にコンジュゲートが結合した後、コンジュゲート/レセプター複合体が内部移行する)。第1及び第2のコンジュゲートは、標的化されるべきでない健康な細胞と比較して、標的細胞に十分な程度に特異的に発現するか、又は一意的に発現する細胞表面分子との結合相互作用によってのみ標的細胞に侵入することができるので、本発明の第2のコンジュゲートと同じ細胞表面分子を標的とするか、又は本発明の第2のコンジュゲートによって標的とされる細胞表面分子と同じ標的細胞に存在するが異なる細胞表面分子を標的とするADC又はAOC(本発明の第1のコンジュゲート)に含まれる治療的に活性な量のエフェクター部分、及び本発明の第2のコンジュゲートに含まれるサポニンの蓄積は、標的細胞の内部でのみ可能であり、標的細胞表面分子の発現レベルが特定の最小発現閾値を上回る場合に生じる。同時に、第1のコンジュゲートの、細胞表面分子を標的とするsdAbに結合したエフェクター部分が、本発明の共有結合したサポニンを有する第2のコンジュゲートの存在下でのみ、その細胞内の(例えば、細胞傷害性又は遺伝子サイレンシング)活性を発揮することができるという事実はまた、共有結合したサポニンを含む本発明の第2のコンジュゲートの存在なしにADCへ細胞を曝露した場合と比較して、例えば、エフェクター部分の標的とされ影響されることを意味しない健康な細胞及び健康な組織に対するエフェクター部分の負の望ましくない副作用に対するセーフガードを提供する。すなわち、本発明の第1のコンジュゲート、例えば、sdAbを含むADC又はAOC、及びサポニンを含む第2のコンジュゲートが結合し得る、曝露された細胞表面分子の発現が十分に低いか又は発現しない場合、理想的には、エフェクター分子を含む本発明の第1のコンジュゲート及びサポニンを含む第2のコンジュゲートを、本発明の第2のコンジュゲートに含まれるサポニンの影響下でADC又はAOCのエフェクター部分のエンドソームエスケープをもたらす量まで、(非標的の)健康細胞へ侵入させることができない。ADC又はAOCは、本発明の第2のコンジュゲートを含むサポニンの存在下では、ADC又はAOCを本発明の第2のコンジュゲートの非存在下で、したがってサポニンの非存在下の治療レジメンで適用した場合と比較して、より低用量で使用することができるので、健康な細胞におけるADCの侵入又はAOCの侵入の程度は低く、例えば、腫瘍細胞及び自己免疫細胞などの標的疾患細胞の標的化及び死滅を考慮した場合、望ましくない副作用の発生リスクは既により低い。
【0068】
第1のコンジュゲートにsdAbを含めることは、IgG(完全長免疫グロブリン)、又はその結合断片若しくは結合ドメインなどの抗体を含めることと比較して多くの利点を有する。重要なことに、sdAbはIgGに存在するFcテールを含まないので、コンジュゲートが投与される宿主の内皮細胞などの細胞のFc受容体へのコンジュゲートの結合によるオフターゲット副作用のリスクは、本発明の第1のコンジュゲートがヒト対象などの哺乳動物に投与される場合には存在しない。したがって、本発明の第1のコンジュゲートのリスクプロファイルは、IgGベースのADC及びAOCと比較して、又はFcテールを含むADC又はAOCと比較して改善される。加えて、本発明の第1のコンジュゲートはFc受容体によって結合することができないので、第1のコンジュゲートは、目的とする標的の第1の細胞表面分子とは異なる細胞表面受容体による第1のコンジュゲートの望ましくない捕捉が少ないか、又は全くないため、完全長抗体をベースとしたADC及びAOCと同じエフェクター分子活性に達するために必要とされる用量よりも低い用量で既に有効である。さらに、例えば、Fab、scFv、IgGと比較して、sdAbのサイズは比較的小さいため、本発明の第1のコンジュゲートの組織透過性は良好であり、これは、第1のコンジュゲートが(腫瘍)細胞内部のエフェクター分子の生物学的活性に基づく治療を必要とする患者に投与されたときの標的細胞に到達するのに有益である。本発明の第1のコンジュゲートにおいてsdAbを適用することのこれらの全ての利点は、同様のADC又はAOCにおいて、Fcテールを含むIgGなどのより大きな抗体又はその断片を適用した場合と比較して、本発明の第1のコンジュゲートに含まれる場合、エフェクター分子の治療域を改善する。エフェクター分子が例えば毒素であり、ADCがIgGに基づき、且つ同じエフェクター分子を含む同じ用量である場合、標的腫瘍細胞の場合の標的細胞死滅の改善は、例えば、準最適以下である。本発明の態様により、sdAbを含むコンジュゲート、すなわち、本発明の第1のコンジュゲートの一部として、より低用量のエフェクター分子で患者を治療することが可能になり、同じエフェクター分子を含む抗体ベースのADC又はAOCが使用される場合に必要とされるより高用量と比較して、標的細胞において同じ又は改善されたエフェクター分子媒介効果に達する。より低い用量での本発明のそのような第1のコンジュゲートの投与は、例えば、標的でない健康細胞への非特異的侵入により、患者の副作用発生リスクを低下させる。これは、例えば、第1のコンジュゲートに含まれるsdAbが標的とする第1の細胞表面分子が標的(腫瘍)細胞で多く発現するが、そのような標的細胞における発現が一意的ではない場合に重要である。低用量の第1のコンジュゲートは、そのような非腫瘍の健康な細胞などの低発現体への第1のコンジュゲートの結合のリスクを低下させる。
【0069】
本発明者らはまた、第1のコンジュゲートがサポニンの存在下で、又はより具体的にはサポニンを含む本発明の第2のコンジュゲートの存在下で標的細胞と接触する場合、本発明の第1のコンジュゲートの治療域が広がることを見出した。第1の細胞表面分子、すなわち、第1のコンジュゲートに含まれるsdAbの標的を有し、且つ第2の細胞表面分子(本発明の実施形態によれば、第1及び第2の両方の細胞表面分子が同じ細胞表面分子である場合に、これは本質的に真である)、すなわち、第2のコンジュゲートに含まれる結合分子の標的を有する標的細胞が、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートの両方と接触する場合、エフェクター分子の有効用量は、第2のコンジュゲートの非存在下(又は遊離サポニンの非存在下)で標的細胞が第1のコンジュゲートと接触する場合よりも低い。サポニンを含む第2のコンジュゲートの存在又は遊離サポニンの存在は、第1のコンジュゲートの治療域及びエフェクター分子の治療域が広がるように、標的細胞におけるエフェクター分子の活性を増強する。エフェクター分子の十分な効率は、標的細胞を本発明の第1及び第2の両コンジュゲートと接触させた場合、より低い用量で達成される。サポニン又はその機能的誘導体の存在下で第1のコンジュゲートを標的細胞と接触させた場合、サポニンのエフェクター分子増強活性が考慮される場合、同様の効果が本発明者らによって見出されるが、共有結合したサポニンを含む第2のコンジュゲートを第1のコンジュゲートと組み合わせた場合に確立された有効用量と比較して、遊離サポニン(誘導体)のの濃度は100倍~1000倍高い。したがって、サポニン又はその誘導体に結合分子を提供する(すなわち、本発明の第2のコンジュゲート)なら、第1及び第2のコンジュゲートを共にその表面に両方の細胞表面分子を発現する標的細胞と接触された場合、より良好なエフェクター分子活性増強効果がもたらされる。標的細胞内部へのエフェクター分子の送達において、また前記細胞のエンドソーム、エンドリソソーム又はリソソームからサイトゾルへの送達において、標的化サポニンは遊離サポニンよりも低い用量で既に有効であり、エフェクター分子はその標的結合パートナーに結合し、その生物学的活性(例えば、標的細胞が腫瘍細胞であり、エフェクター分子が例えば毒素である場合、細胞死滅)を発揮する。
【0070】
同時に、本発明者らは、第1のコンジュゲートを含む第1の医薬組成物と、遊離サポニン(誘導体)、又は遊離サポニン(誘導体)を含む第2のコンジュゲートを含む第2の医薬組成物との組み合わせを提供し、また、
第1のコンジュゲート及び遊離サポニン(誘導体)又は第2のコンジュゲートを含む医薬組成物を提供し、それらは、完全長抗体又はその構築物を含むFcをベースとした現行のADC又はAOCと比較して、治療域を改善し、第1のコンジュゲートに含まれるエフェクター分子の有効用量がエフェクター分子をベースとする治療を必要とする患者に投与された場合の副作用の誘発リスクを低減し、第1のコンジュゲートの標的細胞内部への送達、より具体的にはそのような標的細胞のサイトゾル内部へのエフェクター分子の送達を改善する。本発明のそのような第1のコンジュゲートを、遊離サポニン(誘導体)又は第2のコンジュゲートと共に、エフェクター分子をベースとした治療を必要とする患者に投与することは本発明の一部であるが、第1のコンジュゲートと組み合わせを第2のコンジュゲートを適用することが好ましい。
【0071】
一実施形態は、以下を含む、少なくとも2つ、好ましくは2つの医薬組成物の形態の本発明の医薬組み合わせである:
-第1のコンジュゲートを含み、任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む第1の医薬組成物;並びに
-サポニン及び/又はその誘導体及び/又は第2のコンジュゲートを含み、任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む第2の医薬組成物。
【0072】
一実施形態は、第1のコンジュゲート、並びに
・サポニン;
・サポニン誘導体;及び
・第2のコンジュゲート
の少なくとも1つ、好ましくは1つを含み、
且つ任意選択により、薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、単一の医薬組成物の形態の本発明の医薬組み合わせである。
【0073】
本発明の一態様は、以下を含む医薬組成物に関する:
o少なくとも1つのエフェクター分子と、第1の細胞表面分子に結合するための単一ドメイン抗体(sdAb)とを含み、これらは直接又はリンカーを介して互いに共有結合している、第1のコンジュゲート;
oサポニン及び/又はその誘導体、並びに/或いは第2の細胞表面分子に結合するための結合分子と、サポニン及び/又はその誘導体とを含む第2のコンジュゲートであって、結合分子とサポニン又はその誘導体は直接又はリンカーを介して互いに共有結合しており、サポニン又はその誘導体はモノデスモシドトリテルペングリコシド又はビデスモシドトリテルペングリコシドであり、第2の細胞表面分子は、第1の細胞表面分子と同じであるか又は第1の細胞表面分子とは異なる、サポニン及び/又はその誘導体、並びに/或いは第2のコンジュゲート;並びに、任意選択的に
o薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤。
【0074】
一実施形態は、第1のコンジュゲートが、抗体、好ましくは免疫グロブリンG起源の、好ましくはヒト起源の抗体の重鎖に由来するVドメイン;抗体、好ましくは免疫グロブリンG起源の、好ましくはヒト起源の抗体の軽鎖に由来するVドメイン;各種の重鎖新抗原受容体(VNAR)ドメインなどのラクダ科(Camelidae)起源又はIg-NAR起源などに由来する重鎖抗体(HCAb)などに由来するVHHドメイン(好ましくは、HCAbはラクダ科(Camelidae)起源に由来する)のいずれか1つ以上であるsdAbを含み;好ましくはsdAbは、ラクダ科(Camelidae)起源(ラクダ科動物V)由来のHCAbに由来する、例えばラクダ、ラマ、アルパカ、ヒトコブラクダ、ビクーナ、グアナコ及びフタコブラクダのHCAbに由来するVHHである、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0075】
特に、VHHドメインは、本発明の第1のコンジュゲートにおける適用に好適であり、実際、本発明の第2のコンジュゲートにおける適用にも好適である。このようなVHHドメインは、高い安定性、すなわちアンフォールディングに対する抵抗性、例えばIgG中に存在し、IgGが2つのVドメインによって結合パートナーに結合するのに必要とするなどの第2のVドメインの存在を必要とすることなく結合パートナーに結合する能力、当該技術分野で知られた技術(ラクダ科動物の免疫化技術、ファージディスプレイ技術など)によるそれらの生成の容易さ、完全長IgGで見られるよりもより高い組織を貫通する能力(この能力は、標的(腫瘍)細胞がそのような(臓器)組織の内部又は一部として位置する場合に有益である)で一般に知られている。さらに、このようなVHHドメインは免疫グロブリンG型抗体に共通のFcテールを欠いており、その結果、VHHドメインなどのsdAbを含むコンジュゲートを投与することによるFc受容体媒介性副作用は起こり得ない(このような副作用は、Fcテールを含む治療用完全長免疫グロブリンが投与される対象において起こり得る)。
【0076】
一実施形態は、第1のコンジュゲートが少なくとも1つのエフェクター分子に共有結合した単一の第1のsdAbを有するか、又は少なくとも1つのエフェクター分子に結合した2つ以上のsdAbを有するか、又は少なくとも1つのエフェクター分子に結合した少なくとも2つのsdAbの全てを有する少なくとも2つのsdAbを含み、例えば、少なくとも2つのsdAbのそれぞれは、少なくとも1つのエフェクター分子の1つ以上に結合している、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0077】
一実施形態は、sdAbは、同じsdAbである少なくとも2つのsdAb、好ましくは2~8つのsdAb、より好ましくは2~4つのsdAbを含む、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0078】
一実施形態は、第1の細胞表面分子の同じ結合部位に結合することができる1~8つのsdAbを含み、少なくとも1つのエフェクター分子は1~8つのsdAbのうちの単一の第1のsdAbに結合しているか、又は少なくとも1つのエフェクター分子はsdAbのうちの2つ以上(存在するなら)に結合しており、且つ/或いは少なくとも1つのエフェクター分子のそれぞれは、sdAbの1つ以上が単一のエフェクター分子にそれぞれ結合するように、単一のsdAbに別々に結合している、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0079】
互いに共有結合した複数のsdAbからなる(線状)ストリングを含む本発明の第1のコンジュゲート(及び/又は本発明の第2のコンジュゲート)を提供することにより、標的細胞に対し高い親和性をもって結合するコンジュゲートの能力の利益を提供することができ、これにより、標的細胞によるコンジュゲートの取り込み(エンドサイトーシス)を改善することができる。
【0080】
エフェクター分子に対するサポニンのエンドソームエスケープ増強効果の適用を考慮する場合、同期が、マウスで成功した送達戦略とヒトにおけるその適用との間のミッシングリンクである。実際、本発明者らは、本発明によるサポニンを含む第2のコンジュゲートの存在なしに、遊離サポニンと例えばADCをマウスに別々に投与しても、遊離サポニンを存在させずにADCで処置した対照動物と比較して、腫瘍増殖の遅延、腫瘍退縮、腫瘍増殖の減少及び緩慢化などの所望する抗腫瘍活性が得られないことを、一連のインビボマウス腫瘍モデルで立証した。インビボ腫瘍モデルについての図18~21、及び本明細書の以下の実施例の項に記載の実施例も参照されたい。遊離サポニンを、様々な投与経路から、ADCの投与時に対して様々な時点で投与(ADCを投与する前、投与中、及び投与後に遊離サポニンを投与)した。インビボ腫瘍モデルで試験したADCは、セツキシマブ-ジアンチン(遊離SO1861と共に)、又はトラスツズマブ-サポリン(遊離SO1861と共に)であった。遊離サポニンの用量の変化によって、有効な抗腫瘍活性が提供されることはなかった。言及したADCは、それ自体、腫瘍を有する動物にいかなる有益な抗腫瘍効果も与えない用量で投与された。驚くべきことに、本発明者らは、ヒト腫瘍細胞を使用する様々なインビトロでの哺乳動物細胞ベースのバイオアッセイ、及び/又は様々なインビボ動物腫瘍モデルにおいて、ADC又はAOC、すなわち本発明の第1のコンジュゲートと組み合わせて本発明による第2のコンジュゲートで細胞又は動物を処置することにより、有益な抗腫瘍活性が達成され得ることを立証した。
【0081】
任意選択により本発明による足場(以下を参照されたい;1つ又は複数のサポニン部分が共有結合したオリゴマー又はポリマー構造を含む共有結合サポニンコンジュゲートなどの足場)を含む、本発明の第2のコンジュゲート。例えば、切断可能な又は切断不可能な結合によって共有結合したサポニン(例えば、SO1861、QS-21)を有する三官能性リンカーである足場、セツキシマブ、トラスツズマブ、OKT-9などのモノクローナル抗体、しかし好ましくはVHHなどのsdAbなどの第2のコンジュゲートの細胞表面分子を標的とする分子に共有結合で連結された足場、或いは、例えば、4つのサポニン分子などの4つの部分が結合することができるデンドロン、例えばG4-デンドロン又はG5-デンドロンなどデンドロン、又は、例えば8つのサポニンを結合するためのデンドロンである足場(デンドロンは、第2のコンジュゲートのsdAbなどの細胞表面分子を標的とする抗体へ(共有)結合するための化学基を含む)。さらなる実施形態及び実施例の項を参照すると、本発明によるこれらの足場のいくつかが例示され、例えば、本発明の第1のコンジュゲートに含まれるタンパク質性毒素によって発揮される細胞毒性が考慮される場合、又は腫瘍細胞における遺伝子サイレンシングが考慮される場合、インビボ及び/又はインビトロの抗腫瘍細胞活性を示す。
【0082】
いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、ADCと遊離サポニンによる腫瘍を有する動物の処置が考慮される場合に観察される失敗を考慮すると、標的細胞、例えば腫瘍細胞又は自己免疫細胞のエンドサイトーシス経路のコンパートメント又は小胞において、少なくとも1つのサポニン及びエフェクター部分、好ましくは毒素又はオリゴヌクレオチドの両方の存在を同期させることが好ましい。ADC及び遊離サポニンを用いて、インビボで相乗効果を得るために後期エンドソーム中の分子の存在を同期させることは、本発明者らの試みによれば有益には得られなかった。一態様では、本発明は、好ましくは、エフェクター部分及び(腫瘍)細胞表面分子に結合するsdAbを含む第1のコンジュゲート(例えば、ADC又はAOC)を、サポニンを含む本発明の第2のコンジュゲートと組み合わせることに関して、少なくとも以下の問題を解決する:いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、例えば、(共有結合性の)、特に単一で切断可能である、保持可能な結合のために使用され得るサポニン内の唯一の合理的な化学基が、エンドソームエスケープ活性のために必要である。免疫増強アジュバント物質の使用が暗示されたワクチン接種レジメンにおけるサポニンの適用以外の臨床試験において、サポニンが薬学的に活性な物質と組み合わせて使用されていない理由は、既知の制限である可能性が最もが高いが、例えば、本発明のサポニン及び本明細書に例示されるサポニンの顕著なエンドソームエスケープエンハンサー効果は10年以上前から知られている。例えば、共有結合したサポニンを有する本発明の第2のコンジュゲートを、例えば、いくつかのサポニンを担持する足場に関連して提供することは、少なくとも部分的に、これらの困難を解決する。例えば、標的細胞のエンドソーム、エンドリソソーム及びリソソームにおいて明らかなように、わずかに酸性のpH(pH<6,5)の影響下で切断される切断可能な結合によって共有結合したサポニンを有する本発明の第2のコンジュゲートの提供は、第2のコンジュゲートが細胞の内部にエンドサイトーシスされ送達されると、第2のコンジュゲートから切断された遊離サポニンが前記エンドソーム、エンドリソソーム又はリソソームの内部に存在するため、これらの問題を少なくとも部分的に解決する。驚くべきことに、アジュバント成分としてサポニンを含むワクチン接種の文脈でのそれらの免疫増強活性のために以前に適用されたサポニンは、今や、sdAbを含むADC又はAOC、すなわち本発明の第1のコンジュゲートと組み合わせて使用された場合、インビトロ及びインビボでの抗腫瘍活性のための、本発明の第2のコンジュゲートに含まれるsdAbなどの細胞表面分子を標的とする抗体への(共有)結合にも好適である。
【0083】
一実施形態は、sdAbは単一のsdAbであるか、又は少なくとも2つ、好ましくは2つのsdAbであり、sdAbはHIVgp41などの第1の細胞表面分子に結合することができるか、又は第1の細胞表面分子が腫瘍細胞特異的受容体などの腫瘍細胞表面受容体、より好ましくは、CD71、CA125、EpCAM(17-1A)、CD52、CEA、CD44v6、FAP、EGF-IR、インテグリン、シンデカン-1、血管インテグリンαVベータ3、HER2、EGFR、CD20、CD22、葉酸受容体1、CD146、CD56、CD19、CD138、CD27L受容体、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、CanAg、インテグリンαV、CA6、CD33、メソテリン、Cripto、CD3、CD30、CD239、CD70、CD123、CD352、DLL3、CD25、エフリンA4、MUC-1、Trop2、CEACAM5、CEACAM6、HER3、CD74、PTK7、Notch3、FGF2、C4.4A、FLT3、CD38、FGFR3、CD7、PD-L1、CTLA-4、CD52、PDGFRA、VEGFR1、VEGFR2、c-Met(HGFR)、EGFR1、RANKL、ADAMTS5、CD16、CXCR7(ACKR3)、グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質(GITR)から選択される受容体、最も好ましくは:HER2、c-Met、VEGFR2、CXCR7、CD71及びEGFR1から選択される受容体である、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0084】
本発明の第1のコンジュゲートに含まれるsdAbが標的細胞上に特異的に発現する細胞表面分子に対する結合特異性を有することは、本発明の一部である。「特異的に発現する」とは、本明細書では、標的細胞のみにおける細胞表面分子の固有の発現と理解されるべきである(ここで、例えば、第1のコンジュゲートに結合しない健康な細胞は標的ではない)、又は、本明細書では、コンジュゲートに結合しないか、若しくは少なくとも非常に低い程度の結合である、例えば健康な細胞における細胞表面分子の低い発現と比較して、標的細胞における標的細胞表面分子の上方制御された若しくは比較的高い発現と理解されるべきである。これらの列挙された細胞受容体は、第1のコンジュゲートの標的である細胞に対して十分に特異的な細胞表面分子であり、したがって、第1のコンジュゲートによる結合のための好ましい候補である。標的細胞における細胞表面分子の発現を、本発明の第1のコンジュゲートが標的とすることを意味しない他の細胞における発現と比較した場合、特定の細胞表面分子の特異性が高いほど、細胞内部のエフェクター分子の活性を考慮した場合、治療域はより良好であると理解される。例えば、第1のコンジュゲートが標的化するのに好適な標的は、他の腫瘍細胞特異的受容体の中で、HER2、EGFR、例えばEGFR1、及びCD71である。
【0085】
一実施形態は、第1のコンジュゲートに含まれるsdAbは単一のsdAbであるか、又は少なくとも2つ、好ましくは2つのsdAbであり、sdAbは、抗CD71 sdAb、抗HER2 sdAb、抗CD20 sdAb、抗CA125 sdAb、抗EpCAM(17-1A)sdAb、抗EGFR sdAb、抗CD30 sdAb、抗CD33 sdAb、抗血管インテグリンαvβ3 sdAb、抗CD52 sdAb、抗CD22 sdAb、抗CEA sdAb、抗CD44v6 sdAb、抗FAP sdAb、抗CD19 sdAb、抗CanAg sdAb、抗CD56 sdAb、抗CD38 sdAb、抗CA6 sdAb、抗IGF-1R sdAb、抗インテグリン sdAb、抗シンデカン-1 sdAb、抗CD79b、抗c-Met sdAb、抗EGFR1 sdAb、抗VEGFR2 sdAb、抗CXCR7 sdAb、及び抗HIVgp41から選択され、sdAbは、好ましくはVHHであり、より好ましくはるラクダ科動物Vである、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0086】
一実施形態は、第1のコンジュゲートは、HER2、CD71、HIVgp41及び/又はEGFRに結合することができるsdAbを含み、sdAbは、好ましくはVHHであり、より好ましくはラクダ科動物Vである、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0087】
一実施形態は、第1のコンジュゲートは、クローン11A4、クローン18C3、クローン22G12、クローンQ17若しくはクローンQ17-Cタグによって産生されるsdAbから選択されるHER2に結合するためのsdAb;又はクローン抗EGFR Q86-Cタグによって産生されるEGFRに結合するためのsdAb;又はクローン抗CD71 Q52-Cタグによって産生されるCD71に結合するためのsdAb;又はクローン抗HIVgp41 Q8-Cタグによって産生されるHIVgp41に結合するためのsdAb;又は配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29及び31のいずれか1つのcDNAによってコードされるsdAb;又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、36~72のアミノ酸配列を有するsdAbのいずれか1つを含み、任意選択で、第1のコンジュゲートはさらに、アルブミンに結合するための共有結合したsdAb、例えば、配列番号33、34及び35のアミノ酸配列を有するsdAbのいずれか1つ以上を含み、好ましくは、sdAbはVHHであり、より好ましくはラクダ科動物Vである、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。本発明の第1のコンジュゲートへの組み込みに好適なVHHは、例えば、単一ドメイン抗体データベース(Wilton,E.E.et al.(2018))、特許出願の米国特許出願公開第2016/0251440号明細書(抗CD123、抗CEACAM)、米国特許第9683045号明細書(抗c-Met)、米国特許出願公開第2009/0252681号明細書(抗EGFR、抗IGF-1R)、米国特許第9969805号明細書(抗HER2)、米国特許出願公開第20190023796A1号明細書(抗HER3)、並びにKijanka et al.(2013)(抗HER2のため)及びMercier et al.(2019)(抗HER2のため)に見出される。抗HER2、抗HER3、抗CD123、抗CEACAM、抗c-Met、抗EGFR、抗IGF-1R、抗PD-L1、抗CTLA-4、抗CD19、抗HER1及び抗VGFR2に好適な一連のVHHのアミノ酸配列及び/又はcDNA配列もまた、腫瘍細胞特異的受容体に結合するそれらの能力を考慮して、配列番号1~32及び36~72として、本明細書の以下に提供される。特に、腫瘍細胞特異的受容体HER2、VEGFR及びCD71のいずれかの結合部位に結合することができるVHHは、本発明の第1のコンジュゲートへの組み込みに好適である。本発明者らは、そのような受容体のいずれか1つを標的とするVHHを含むADCが、sdAbに結合したエフェクター分子の送達に有効であることを明らかにした。例えば、実施例の項、及び図4~7を参照されたい。
【0088】
一実施形態は、エフェクター分子が、薬物分子などの低分子、タンパク質毒素などの毒素、BNA、ゼノ核酸若しくはsiRNAなどのオリゴヌクレオチド、酵素、ペプチド、タンパク質、又はこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含むか、又はそれらからなる、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0089】
一実施形態は、エフェクター分子が、ベクター、遺伝子、細胞自殺誘導導入遺伝子、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO、AON)、短鎖干渉RNA(siRNA)、抗マイクロRNA(抗miRNA)、DNAアプタマー、RNAアプタマー、mRNA、ミニサークルDNA、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロアミデートモルフォリノオリゴマー(PMO)、ロック核酸(LNA)、架橋型核酸(BNA)、2’-デオキシ-2’-フルオロアラビノ核酸(FANA)、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、www.biosyn.com/literaturevault/superior-silencing-by-2-4-bnanc-based-short-antisense-oligonucleotides.aspx、3’-フルオロヘキシトール核酸(FHNA)、プラスミド、グリコール核酸(GNA)及びトレオース核酸(TNA)、又はその誘導体のいずれか1つ以上から選択され、より好ましくはBNA、例えば、HSP27タンパク質発現をサイレンシングするためのBNA、又はアポリポタンパク質B発現をサイレンシングするためのBNAである、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0090】
一実施形態は、エフェクター分子が、短鎖干渉RNA(siRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、抗ヘアピン型マイクロRNA(miRNA)、一本鎖RNA、アプタマーRNA、二本鎖RNA(dsRNA)、抗マイクロRNA(抗miRNA、抗miR)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、mRNA、DNA、アンチセンスDNA、ロック核酸(LNA)、架橋型核酸(BNA)、2’-O,4’-アミノエチレン架橋型核酸(BNANC)、BNAベースのsiRNA、及びBNAベースのアンチセンスオリゴヌクレオチド(BNA-AON)のいずれか1つ以上から選択されるオリゴヌクレオチドである、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0091】
一実施形態は、エフェクター分子が、抗miRNA、BNA-AON、又はsiRNA、例えばBNAベースのsiRNAのいずれか1つから選択され、好ましくは化学修飾されたsiRNA、代謝的に安定なsiRNA、及び化学修飾され代謝的に安定なsiRNAから選択されるオリゴヌクレオチドである、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0092】
一実施形態は、エフェクター分子は遺伝子をサイレンシングすることができるオリゴヌクレオチドであり(そのような遺伝子を含む細胞中に存在する場合)、遺伝子は次の遺伝子:アポリポタンパク質B(apoB)、トランスチレチン(TTR)、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、デルタ-アミノレブリン酸シンターゼ1(ALAS1)、アンチトロンビン3(AT3)、グリコール酸オキシダーゼ(GO)、補体成分C5(CC5)、B型肝炎ウイルスのX遺伝子(HBV)、HBVのS遺伝子、α-1アンチトリプシン(AAT)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のいずれか1つであり、且つ/又は異常なmiRNAを標的とすることができる(そのようなmiRNAを含む細胞中に存在する場合)、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0093】
一実施形態は、エフェクター分子がmRNAを標的とすることができるオリゴヌクレオチドであり(そのようなmRNAを含む細胞中に存在する場合)、mRNAが次のタンパク質:アポB、PCSK9、TTAS1、AT3、GO、CC5、HBVのX遺伝子の発現産物、HBVのS遺伝子の発現産物、AAT及びLDHのいずれか1つの発現に関与するか、又は発癌性miRNA(onco-miR)を阻害する、若しくはonco-miRの発現を抑制するなどのmiRNA機能に拮抗、若しくはmiRNA機能を回復させることができる(このようなmiRNAを含む細胞中に存在する場合)、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0094】
一実施形態は、エフェクター分子が、好ましくはペプチド、タンパク質、酵素及びタンパク質毒素のいずれか1つ以上から選択される少なくとも1つのタンパク質性分子を含むか又はそれからなる、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。本発明者らは、HER2、VEGFR、CD71のいずれかに結合するsdAb(このsdAbは、第1のコンジュゲートにおいて、毒素、例えばタンパク質毒素、例えばジアンチン又はサポリンと組み合わされる)が選択された場合、非常に有効な腫瘍細胞死滅が達成されることを見出した。本発明のこのような第1のコンジュゲートの高い有効性を示す実施例は、実施例の項において提供され、図4~7に示される。
【0095】
一実施形態は、エフェクター分子が、ウレアーゼ及びCre-リコンビナーゼ、タンパク性毒素、リボソーム不活性化タンパク質、タンパク質毒素、細菌毒素、植物毒素の少なくとも1つを含むか又はそれからなり、より好ましくは、アポプチンなどのウイルス毒素;志賀毒素、志賀様毒素、シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)外毒素(PE)又はPEの外毒素A、完全長又はトランケート型ジフテリア毒素(DT)、コレラ毒素などの細菌毒素;α-サルシンなどの真菌毒素;植物毒素、例えば、リボソーム不活性化タンパク質、及び2型リボソーム不活性化タンパク質のA鎖、例えば、ジアンチン(例えば、ジアンチン-30又はジアンチン-32)、サポリン(例えば、サポリン-S3又はサポリン-S6)、ブーガニン又はブーガニンの脱免疫化誘導体デブーガニン、志賀様毒素A、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、リシン、リシンA鎖、モデシン、モデシンA鎖、アブリンA鎖、ボルケンシン、ボルケンシンA鎖、ビスクミン、ビスクミンA鎖を含む;又はカエルRNアーゼ、若しくはグランザイムB、若しくはヒトアンギオゲニンなどの動物若しくはヒト毒素、或いはこれらの任意の毒性断片又は毒性誘導体のいずれか1つ以上から選択され;好ましくは、タンパク質毒素はジアンチン及び/又はサポリンである、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0096】
一実施形態は、エフェクター分子が、少なくとも1つのペイロードを含むか又はそれからなる、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0097】
一実施形態は、エフェクター分子が、リボソームを標的とする毒素、伸長因子を標的とする毒素、チューブリンを標的とする毒素、DNAを標的とする毒素、及びRNAを標的とする毒素の少なくとも1つ、より好ましくは、エムタンシン、パスドトクス、メイタンシノイド誘導体DM1、メイタンシノイド誘導体DM4、モノメチルアウリスタチンE(MMAE、ベドチン)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF、マホドチン)、カリケアミシン、N-アセチル-γ-カリケアミシン、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)二量体、ベンゾジアゼピン、CC-1065アナログ、デュオカルマイシン、ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、シスプラチン、シクロホスファミド、エトポシド、ドセタキセル、5-フルオロウラシル(5-FU)、ミトキサントロン、チューブリシン、インドリノベンゾジアゼピン、AZ13599185、クリプトフィシン、リゾキシン、メトトレキサート、アントラサイクリン、カンプトテシンアナログ、SN-38、DX-8951f、エキサテカンメシレート、シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)外毒素のトランケート型形態(PE38)、デュオカルマイシン誘導体、アマニチン、α-アマニチン、スプライソスタチン、タイランスタチン、オゾガマイシン、テシリン、アンバースタチン269、及びソラブタンシン、又はこれの誘導体のいずれか1つ以上を含むか又はそれらからなる、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0098】
一実施形態は、第一のコンジュゲートが抗体薬物コンジュゲート(ADC)、例えば、以下のADCのいずれか1つに由来する、少なくとも1つのsdAb及び毒素を含むADCを含むか又はそれからなる、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である:ゲムツズマブオゾガマイシン、ブレンツキシマブベドチン、トラスツズマブエムタンシン、イノツズマブオゾガマイシン、モキセツモマブパスドトクス、及びポラツズマブベドチン。sdAbがそのようなヒト抗体に由来する場合、そのようなヒト抗体のVドメインは、当該技術分野で知られるドメイン安定性(ヒトVドメインの「ラクダ化」)に関していくらかの改善を必要とし得ることは理解されよう。
【0099】
本発明におけるADC又はAOC(すなわち、本発明の第1のコンジュゲート)の一部として有用なエフェクター部分は、好ましくはその効果を発揮するための後期エンドソームエスケープに依存する。例えば、シュードモナス外毒素などのいくつかのエフェクター分子は、「後期エンドソーム」の前に他のオルガネラに再経路指定され、したがって、通常、本発明による第2のコンジュゲートと組み合わせるためのADCへの組み込みの恩恵を受けない。しかしながら、このような毒素は、例えば、再経路指定に関与するシグナルペプチドを欠失させることによって、本発明での使用に適合させることができる。特に、毒性が高く、細胞を死滅させるためにエンドソームをエスケープさせる必要のある分子が1分子のみである毒素は、効力が低下するように改変し得る。少なくとも2個、より好ましくは少なくとも5個、より好ましくは少なくとも10個、より好ましくは少なくとも20個、より好ましくは少なくとも50個、最も好ましくは少なくとも100個の毒素分子がエンドソームをエスケープし(サイトゾルに入る)場合、細胞を死滅させる毒素を使用することが好ましい。本発明の医薬組成物に含まれる、又は医薬組み合わせに含まれる、本発明の第1のコンジュゲートは、共有結合によりコンジュゲートされ機能化足場、すなわち、標的細胞、例えば、腫瘍細胞又は自己免疫細胞において、結合した1つ又は複数のエフェクター部分を含む足場を標的とするための共有結合により結合した1つ又は複数のエフェクター部分を含む、オリゴマー若しくはポリマー分子又は三官能性リンカーなどの足場を含むことがさらに好ましい。さらに、オフターゲット毒性を低減するために、細胞膜非透過性低分子毒素が、細胞膜透過性毒素よりも好ましいエフェクター分子である。
【0100】
好ましくは、本発明の第2のコンジュゲートに含まれるサポニンによってエフェクター部分効果が増強される、本発明の第2のコンジュゲートと組み合わせるためのADC又はAOC(すなわち、本発明の第1のコンジュゲート)に含まれるエフェクター部分は、エンドサイトーシスされると、第1のコンジュゲート(すなわち、ADC、AOC)から脱離する(例えば、第1のコンジュゲートの細胞表面分子を標的とする部分として第1のコンジュゲート中に存在するsdAbなどの抗体から脱離する)。これは、例えば、酸性、還元性、酵素又は光誘導性条件下で切断する切断可能な結合によって達成することができる。
【0101】
本発明者らは、BNA(HSP27)などの共有結合したアンチセンスBNAを備え、同じか又は異なり、共有結合したサポニンを備えた腫瘍細胞を標的とするモノクローナル抗体又はsdAb(すなわち、本発明の第2のコンジュゲート)と組み合わせた腫瘍細胞を標的とするモノクローナル抗体又はsdAb(本発明の第1のコンジュゲート)を腫瘍細胞に接触させると、細胞を標的とするリガンドに(切断可能な結合により)結合したBNA(すなわち、第1のコンジュゲート)と抗体(例えば、本発明の第2のコンジュゲートのsdAb)に(切断可能な結合により)結合したサポニンの両方が、対照、及びサポニン(SO1861)を含む本発明の第2のコンジュゲートの非存在下でのBNAを有するAOCと比較して、インビボの腫瘍においてHSP27をサイレンシングすることができることを示す。したがって、ADC(本発明の第1のコンジュゲート)を、本発明のサポニンを含む第2のコンジュゲートと一緒に投与するか、又は本発明の抗体-BNAコンジュゲートなどの抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲート(ここで、抗体はVVHHである)を、本発明のサポニンを含む第2のコンジュゲートと一緒に投与することにより、ADC又はAOCに、本発明の第2のコンジュゲートの非存在下、同じ用量でのADC又はAOCのみでは見られない抗腫瘍細胞活性が与えられる。アンチセンスBNA(HSP27)は、Zhang et al.(2011)[Y Zhang,Z Qu,S Kim,V Shi,B Liao1,P Kraft,R Bandaru,Y Wu,LM Greenberger and ID Horak,Down-modulation of cancer targets using locked nucleic acid(LNA)-based antisense oligonucleotides without transfection,Gene Therapy(2011)18,326-333]によるオリゴ核酸配列を有するBNAであった。注目すべきことに、本発明者らの知る限り、BNAは、遊離核酸としての適用のために設計されている。本発明者らは、アンチセンスBNAがリガンド又は抗体、例えばmAb又はsdAb、例えばVHHと(非)切断可能なリンカーを介して共有結合され得ることを、遺伝子サイレンシング活性がインビトロで、さらに重要なことには、腫瘍を有する動物の腫瘍細胞においてインビボで保持される方法で初めて実証した。BNAベースのAOC、すなわち本発明の第1のコンジュゲートを提供するこの方法は、それを必要とするヒト(癌)患者に標的化BNAを投与するための新しい方法を開く。
【0102】
一実施形態は、サポニンが、
2α-ヒドロキシオレアノール酸;
16α-ヒドロキシオレアノール酸;
ヘデラゲニン(23-ヒドロキシオレアノール酸);
16α,23-ジヒドロキシオレアノール酸;
ギプソゲニン;
キラ酸;
プロトエシゲニン21(2-メチルブタ-2-エノエート)-22-アセテート;
23-オキソ-バリングトゲノールC-21,22-ビス(2-メチルブタ-2-エノエート);
23-オキソ-バリングトゲノールC-21(2-メチルブタ-2-エノエート)-16,22-ジアセテート;
ジギトゲニン;
3,16,28-トリヒドロキシオレアナン-12-エン;及び
ギプソゲン酸
から選択されるアグリコンコア構造を含むか、又はサポニン誘導体がそれから誘導されるアグリコンコア構造を含み、
好ましくは、サポニンがキラ酸及びギプソゲニンから選択されるアグリコンコア構造を含むか又はサポニン誘導体がそれに由来し、より好ましくはサポニンがアグリコンコア構造キラ酸を含むか又はサポニン誘導体がそれに由来する、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0103】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、このようなサポニンが細胞中で、前記細胞のエンドソーム中で、本発明の第2のコンジュゲートの一部として、これらのエフェクター分子と共局在化する場合、又は(例えば、第2のコンジュゲートが標的細胞のエンドソーム又はリソソームの内部に送達されると、第2のコンジュゲートから分離されて)エンドソーム内部で遊離形態にある場合、及びエフェクター分子及び細胞を標的とするsdAbを有する第1のコンジュゲートの存在下で細胞に曝される場合、サポニンのアグリコンコア構造(本明細書では「アグリコン」とも呼ばれる)中のアルデヒド基(又はその誘導体)の存在は、本発明によるADC又はAOCなどの第1のコンジュゲートに含まれるエフェクター分子のエンドソームエスケープを刺激及び/又は増強するサポニンの能力にとって有益である。したがって、アルデヒド基を有するアグリコンを有するサポニンを含む本発明の第2のコンジュゲートが好ましい。キラ酸及びギプソゲニン中では、アルデヒド基はアグリコンのC23原子にある。
【0104】
一実施形態は、サポニン又はサポニン誘導体が、好ましくはC原子に結合した、サポニン又はサポニン誘導体のアグリコンコア構造のC原子又はC28原子に結合した第1の糖鎖を任意選択で含み、且つ/或いはサポニン又はサポニン誘導体が、サポニン又はサポニン誘導体のアグリコンコア構造のC28原子に結合した第2の糖鎖を任意選択で含み、好ましくは少なくとも1つのサポニンが第1及び第2の糖鎖を含む、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。したがって、本発明の第2のコンジュゲートに含まれるサポニンが2つのグリカン(糖鎖)を有する場合、第1の糖鎖はアグリコンコア構造のC位に結合し、第2の糖鎖はアグリコンコア構造のC28位に結合する。
【0105】
一実施形態は、
・サポニン又はサポニン誘導体が、
GlcA-、
Glc-、
Gal-、
Rha-(1→2)-Ara-、
Gal-(1→2)-[Xyl-(1→3)]-GlcA-、
Glc-(1→2)-[Glc-(1→4)]-GlcA-、
Glc-(1→2)-Ara-(1→3)-[Gal-(1→2)]-GlcA-、
Xyl-(1→2)-Ara-(1→3)-[Gal-(1→2)]-GlcA-、
Glc-(1→3)-Gal-(1→2)-[Xyl-(1→3)]-Glc-(1→4)-Gal-、
Rha-(1→2)-Gal-(1→3)-[Glc-(1→2)]-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、及び
これらの誘導体から選択される第1の糖鎖を含み、
且つ/又は
・サポニン又はサポニン誘導体が、
Glc-、
Gal-、
Rha-(1→2)-[Xyl-(1→4)]-Rha-、
Rha-(1→2)-[Ara-(1→3)-Xyl-(1→4)]-Rha-、
Ara-、
Xyl-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R1-(→4)]-Fuc-(ここで、R1は4E-メトキシケイ皮酸である)、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R2-(→4)]-Fuc-(ここで、R2は4Z-メトキシケイ皮酸である)、
Xyl-(1→4)-[Gal-(1→3)]-Rha-(1→2)-4-OAc-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-3,4-ジ-OAc-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R3-(→4)]-3-OAc-Fuc-(ここで、R3は4E-メトキシケイ皮酸である)、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-4-OAc-Fuc-、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-4-OAc-Fuc-、
(Ara-又はXyl-)(1→3)-(Ara-又はXyl-)(1→4)-(Rha-又はFuc-)(1→2)-[4-OAc-(Rha-又はFuc-)(1→4)]-(Rha-又はFuc-)、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Qui-(1→4)]-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Gal-(1→3)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Ara/Xyl-(1→4)-Rha/Fuc-(1→4)-[Glc/Gal-(1→2)]-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R4-(→4)]-Fuc-(ここで、R4は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R5-(→4)]-Fuc-(ここで、R5は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4-OAc-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4-OAc-Fuc-、
6-OAc-Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[3-OAc-Rha-(1→3)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[3-OAc--Rha-(1→3)]-Fuc-、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Qui-(1→4)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-[Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-[Qui-(1→4)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Xyl-(1→3)-4-OAc-Qui-(1→4)]-Fuc-、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[3,4-ジ-OAc-Qui-(1→4)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-[Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
6-OAc-Glc-(1→3)-[Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Glc-(1→3)-[Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Xyl-(1→3)-4-OAc-Qui-(1→4)]-Fuc-、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4OAc-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4OAc-Fuc-、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R6-(→4)]-Fuc-(ここで、R6は5-O-[5-O-Rha-(1→2)-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R7-(→4)]-Fuc-(ここで、R7は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R8-(→4)]-Fuc-(ここで、R8は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R9-(→4)]-Fuc-(ここで、R9は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R10-(→4)]-Fuc-(ここで、R10は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R11-(→3)]-Fuc-(ここで、R11は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R12-(→3)]-Fuc-(ここで、R12は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である))
Glc-(1→3)-[Glc-(1→6)]-Gal-、及び
これらの誘導体から選択される第2の糖鎖を含む、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0106】
したがって、本発明の第2のコンジュゲートに含まれるサポニンが2つのグリカン(糖鎖)を有する場合、第1の糖鎖はアグリコンコア構造のC位に結合し、第2の糖鎖はアグリコンコア構造のC28位に結合する。
【0107】
一実施形態は、第2のコンジュゲート中のサポニン又はサポニン誘導体は第1の糖鎖を含み、且つ請求項24又は25に記載の第2の糖鎖を含み、第1の糖鎖は2つ以上の糖部分を含み、第2の糖鎖は2つ以上の糖部分を含み、アグリコンコア構造はキラ酸又はギプソゲニン又はその誘導体であり、以下の1つ、2つ又は3つ、好ましくは1つ又は2つを満たす、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である:
i.アグリコンコア構造中のアルデヒド基は誘導体化されている、
ii.第1の糖鎖中のグルクロン酸部分のカルボキシル基は誘導体化されている、及び
iii.第2の糖鎖中の少なくとも1つのアセトキシ(Me(CO)O-)基は誘導体化されている。
【0108】
一実施形態は、第2のコンジュゲート中のサポニン又はサポニン誘導体が以下を含む、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である:
i.
-アルコールへの還元;
-N-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)との反応によるヒドラゾン結合への変換(ここで、EMCHのマレイミド基は、任意選択により、メルカプトエタノールとのチオエーテル結合の形成により誘導体化される);
-N-[β-マレイミドプロピオン酸]ヒドラジド(BMPH)との反応によるヒドラゾン結合への変換(ここで、BMPHのマレイミド基は、任意選択により、メルカプトエタノールとのチオエーテル結合の形成により誘導体化される);又は
-N-[κ-マレイミドウンデカン酸]ヒドラジド(KMUH)との反応によるヒドラゾン結合への変換(ここで、KMUHのマレイミド基は、任意選択により、メルカプトエタノールとのチオエーテル結合の形成により誘導体化される)
によって誘導体化されたアルデヒド基を含むアグリコンコア構造:
ii.2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)又はN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化された、カルボキシル基、好ましくはグルクロン酸部分のカルボキシル基を含む第1の糖鎖;
iii.脱アセチル化によるヒドロキシル基(HO-)への変換によって誘導体化されたアセトキシ基(Me(CO)O-)を含む第2の糖鎖;又は
iv.2つ又は3つの誘導体化i.、ii.及び/又はiii.の任意の組み合わせ、好ましくは2つの誘導体化i.、ii.及び/又はiii.の任意の組み合わせ。
【0109】
一実施形態は、サポニン又はサポニン誘導体が、キラヤ樹皮サポニン、ディプサコシドB、サイコサポニンA、サイコサポニンD、マクラントイジンA、エスクレントシドA、フィトラッカゲニン、エシナート、AS6.2、NP-005236、AMA-1、AMR、α-ヘデリン、NP-012672、NP-017777、NP-017778、NP-017774、NP-018110、NP-017772、NP-018109、NP-017888、NP-017889、NP-018108、SA1641、AE X55、NP-017674、NP-017810、AG1、NP-003881、NP-017676、NP-017677、NP-017706、NP-017705、NP-017773、NP-017775、SA1657、AG2、SO1861、GE1741、SO1542、SO1584、SO1658、SO1674、SO1832、SO1904、SO1862、QS-7、QS1861、QS-7api、QS1862、QS-17、QS-18、QS-21A-apio、QS-21A-xylo、QS-21B-apio、QS-21B-xylo、β-エシン、エシンIa、チャ種子サポニンI、チャ種子サポニンJ、アッサムサポニンF、ジギトニン、プリムラ酸1及びAS64R、若しくはこれらの誘導体、又はこれらの立体異性体、並びに/或いはこれらの組み合わせから選択され、好ましくはサポニン又はサポニン誘導体はQS-21又はQS-21誘導体、SO1861又はSO1861誘導体、SA1641又はSA1641誘導体、及びGE1741又はGE1741誘導体のいずれか1つ以上であり、より好ましくはQS-21誘導体又はSO1861誘導体であり、最も好ましくはSO1861誘導体であり、ここで、好ましくは、このようなサポニン誘導体は本発明によるサポニン誘導体である、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0110】
一実施形態は、サポニン又はサポニン誘導体が、SO1861、SA1657、GE1741、SA1641、QS-21、QS-21A、QS-21A-api、QS-21A-xyl、QS-21B、QS-21B-api、QS-21B-xyl、QS-7-xyl、QS-7-api、QS-17-api、QS-17-xyl、QS1861、QS1862、キラヤサポニン、サポニナムアルブム、QS-18、Quil-A、Gyp1、ギプソシドA、AG1、AG2、SO1542、SO1584、SO1658、SO1674、SO1832、SO1862、SO1904、若しくはこれらの誘導体、又はこれらの立体異性体、並びに/或いはこれらの任意の組み合わせから選択され、好ましくはサポニン誘導体はSO1861誘導体、及び/又はGE1741誘導体、及び/又はSA1641誘導体、及び/又はQS-21誘導体であり、より好ましくはサポニン誘導体はSO1861誘導体又はQS-21誘導体であり、最も好ましくはサポニン誘導体は本発明によるSO1861誘導体である。
【0111】
このようなトリテルペングリコシド型のサポニンは、第1のコンジュゲートに含まれ、細胞のエンドソーム(又はリソソーム)に存在するエフェクター分子のエンドソームエスケープを、該サポニンが第2のコンジュゲートの一部として又は遊離形態で細胞内にそのようなエフェクター分子と共局在する場合、増強することができる。本発明者らは、これらのサポニンのエンドソームエスケープ増強活性が、サポニンを本発明の第2のコンジュゲートの一部として細胞と接触させた場合、約100~1000倍強力であることを立証した。遊離サポニンは、細胞のサイトゾル中のエフェクター分子の送達を、そのような細胞を第1のコンジュゲートの一部としてのエフェクター分子及びサポニンと接触させた場合、標的細胞の外からエンドソームの内部へ、最終的には前記細胞のサイトゾル内へのエフェクター分子の同程度の送達を達成するために必要な、本発明の第2のコンジュゲートに含まれる同じサポニンの濃度と比較して、100~1000倍高い濃度で刺激することができる。そのようなエンドソームエスケープ増強活性を示すサポニン、並びに第1のコンジュゲートに含まれるエフェクター分子のサイトゾル送達を増強する能力が実証されたサポニンと高い構造的類似性を有するサポニンを表A1に列挙する。サポニンが本発明の第2のコンジュゲートの一部である場合、第2のコンジュゲートの結合分子、例えば、抗体又はsdAbの、標的細胞上の第2の細胞表面結合部位への結合時、及び前記細胞のエンドソームへのエンドサイトーシス後のサポニンの標的化送達は、したがって、同じ細胞を、標的細胞の第2の細胞表面分子への結合のための抗体又はsdAbなどの結合分子を備えていない遊離の非標的化サポニン(誘導体)と接触させた場合と比較して、約100~1000倍有効である。特定の実施形態では、第2のコンジュゲートに含まれる結合分子はsdAbである。例えば、IgG型の抗体又はその断片、例えば、Fab、scFvと比較して、本発明の第2のコンジュゲートのsdAbのサイズが小さいことは、第2のコンジュゲートに含まれるsdAbの結合のための第2の結合部位を露出させる標的細胞による効率的な取り込み、例えば、エンドサイトーシスによる取り込みに寄与する。通常、本発明の第2のコンジュゲート中のsdAbは、本発明の第1のコンジュゲートに含まれるsdAbが標的とする細胞表面受容体と同じ又は異なる標的細胞の細胞表面受容体、例えば腫瘍細胞特異的細胞表面受容体に結合することができる。このように、本発明の第1及び第2のコンジュゲートは、例えば、第1及び第2の細胞表面受容体を発現する腫瘍細胞へのエンドサイトーシスに特に好適であり、これらの第1及び第2の細胞表面受容体は、同じであっても異なっていてもよい。
【0112】
一実施形態は、第2のコンジュゲートが、第2の細胞表面分子に結合するための結合分子を含み、その結合分子は、
第2の細胞表面分子に結合するためのタンパク質性リガンド、例えばEGF若しくはサイトカイン、又は第2の細胞表面分子に結合することができる免疫グロブリン若しくは前記免疫グロブリンの少なくとも1つの結合断片若しくは結合ドメインなどのリガンドのいずれか1つ以上であり、ここで、免疫グロブリンは、好ましくはモノクローナル抗体、好ましくはヒト抗体、IgG、sdAb、少なくとも1つのVHHドメイン又は少なくとも1つのVドメインを含むか又はそれからなる分子、可変重鎖新規抗原受容体(VNAR)ドメイン、Fab、scFv、Fv、dAb、F(ab)2、Fcab断片などの抗体のいずれか1つ以上である、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0113】
一実施形態は、第2のコンジュゲートが第2の細胞表面分子に結合するための結合分子を含み、第2の細胞表面分子が、腫瘍細胞などの異常細胞、自己免疫細胞、ウイルス感染細胞などの感染細胞上に存在する細胞表面受容体である、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0114】
一実施形態は、第2のコンジュゲートが、抗体、又はその結合断片若しくは結合ドメイン、例えばsdAb、或いは受容体リガンドなどの第2の細胞表面分子に結合するための結合分子を含み、第2の細胞表面受容体が、好ましくは、HIVgp41、又は腫瘍細胞特異的受容体などの腫瘍細胞表面受容体であり、より好ましくは、CD71、CA125、EpCAM(17-1A)、CD52、CEA、CD44v6、FAP、EGF-IR、インテグリン、シンデカン-1、血管インテグリンαVβ3、HER2、EGFR、CD20、CD22、葉酸受容体1、CD146、CD56、CD19、CD138、CD27L受容体、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、CanAg、インテグリンαV、CA6、CD33、メソテリン、Cripto、CD3、CD30、CD239、CD70、CD123、CD352、DLL3、CD25、エフリンA4、MUC-1、Trop2、CEACAM5、CEACAM6、HER3、CD74、PTK7、Notch3、FGF2、C4.4A、FLT3、CD38、FGFR3、CD7、PD-L1、CTLA-4、CD52、PDGFRA、VEGFR1、VEGFR2、c-Met(HGFR)、EGFR1、RANKL、ADAMTS5、CD16、CXCR7(ACKR3)、グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質(GITR)から選択される細胞表面受容体であり、最も好ましくは、HER2、c-Met、VEGFR2、CXCR7、CD71、EGFR及びEGFR1から選択される細胞表面受容体である、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0115】
一実施形態は、第2のコンジュゲートが、第2の細胞表面分子に結合するための結合分子を含み、この結合分子は以下から選択される免疫グロブリン、好ましくは以下に由来するか、又は以下に基づくsdAbである、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である:IgG型OKT-9などの抗CD71抗体、トラスツズマブ(Herceptin)、ペルツズマブなどの抗HER2抗体、リツキシマブ、オファツムマブ、トシツモマブ、オビヌツズマブ、イブリツモマブなどの抗CD20抗体、オレゴボマブなどの抗CA125抗体、エドレコロマブなどの抗EpCAM(17-1A)抗体、セツキシマブ、マツズマブ、パニツムマブ、ニモツズマブなどの抗EGFR抗体、ブレンツキシマブなどの抗CD30抗体、ゲムツズマブ、huMy9-6などの抗CD33抗体、エタラシズマブなどの抗血管インテグリンαvβ3抗体、アレムツズマブなどの抗CD52抗体、エプラツズマブ、ピナツズマブなどの抗CD22抗体、抗CD22抗体モキセツモマブの結合断片(Fv)、ヒト化モノクローナル抗体イノツズマブ、ラベツズマブなどの抗CEA抗体、ビバツズマブなどの抗CD44v6抗体、シブロツズマブなどの抗FAP抗体、huB4などの抗CD19抗体、huC242などの抗CanAg抗体、huN901などの抗CD56抗体、ダラツムマブなどの抗CD38抗体、OKT-10 抗CD38モノクローナル抗体、DS6などの抗CA6抗体、シクスツムマブなどの抗IGF-1R抗体、3B7、CNTO 95などの抗インテグリン抗体、B-B4などの抗シンデカン-1抗体、ポラツズマブなどの抗CD79b、抗HIVgp41抗体、好ましくは抗HIVgp41抗体、抗CD71抗体、抗HER2抗体及び抗EGFR抗体のいずれか1つ、より好ましくは トラスツズマブ、ペルツズマブ、セツキシマブ、マツズマブ、抗CD71抗体、OKT-9のいずれか1つ、最も好ましくはトラスツズマブ、セツキシマブ、抗CD71抗体 OKT-9。
【0116】
一実施形態は、第2のコンジュゲートが、HER2、CD71、HIVgp41及び/又はEGFRに結合することができるsdAbを含み、sdAbは、好ましくはVHHであり、より好ましくはラクダ科動物Vである、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0117】
一実施形態は、第2のコンジュゲートが、クローン11A4、クローン18C3、クローン22G12、クローンQ17若しくはクローンQ17-Cタグによって産生されるsdAbから選択されるHER2に結合するためのsdAb;又はクローン抗EGFR Q86-Cタグによって産生されるEGFRに結合するためのsdAb;又はクローン抗CD71 Q52-Cタグによって産生されるCD71に結合するためのsdAb;又はクローン抗HIVgp41 Q8-Cタグによって産生されるHIVgp41に結合するためのsdAb;又は配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29及び31のいずれか1つのcDNAによってコードされるsdAb;又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、36~72のアミノ酸配列を有するsdAbを含み、任意選択で、第1のコンジュゲートはさらに、アルブミンに結合するための共有結合したsdAb、例えば、配列番号33、34及び35のアミノ酸配列を有するsdAbのいずれか1つ以上を含み、好ましくは、sdAbはVHHであり、より好ましくはラクダ科動物Vである、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。本発明の第2のコンジュゲートへの組み込みに好適なVHHは、例えば、単一ドメイン抗体データベース(Wilton,E.E.et al.(2018))、特許出願の米国特許出願公開第2016/0251440号明細書(抗CD123、抗CEACAM)、米国特許第9683045号明細書(抗c-Met)、米国特許出願公開第2009/0252681号明細書(抗EGFR、抗IGF-1R)、米国特許第9969805号明細書(抗HER2)、米国特許出願公開第20190023796A1号明細書(抗HER3)、並びにKijanka et al.(2013)(抗HER2のため)及びMercier et al.(2019)(抗HER2のため)に見出される。抗HER2、抗HER3、抗CD123、抗CEACAM、抗c-Met、抗EGFR、抗IGF-1R、抗PD-L1、抗CTLA-4、抗CD19、抗HER1及び抗VGFR2に好適な一連のVHHのアミノ酸配列及び/又はcDNA配列もまた、腫瘍細胞特異的受容体に結合するそれらの能力を考慮して、配列番号1~32及び36~72として、本明細書の以下に提供される。特に、腫瘍細胞特異的受容体HER2、VEGFR及びCD71のいずれかの結合部位に結合することができるVHHは、本発明の第2のコンジュゲートへの組み込みに好適である。本発明者らは、サポニンと、そのような受容体のいずれか1つを標的とするVHHを含む結合分子とのコンジュゲートがsdAbに結合したサポニンの送達に有効であることを明らかにした。例えば、実施例の項、及び図2~4を参照されたい。
【0118】
これらの細胞表面分子は、典型的には、少なくともある程度、腫瘍細胞特異性を有する腫瘍細胞上に存在する。腫瘍細胞特異性は、これらの受容体を本発明の第1及び第2のコンジュゲートのための好適な標的にし、したがって、第1のコンジュゲート中のsdAbは、そのような細胞表面受容体に結合することができ、したがって、抗体又はsdAbなどの本発明の第2のコンジュゲートに含まれる結合分子は、そのような細胞表面受容体に結合することができる。腫瘍細胞は一般に、抗体又はその結合フラグメント若しくはドメインなどの腫瘍細胞受容体を標的とする結合分子を含み、標的腫瘍細胞の内部、より具体的には前記腫瘍細胞のサイトゾル中に送達されるサポニンを含む第2のコンジュゲートの標的とされる。本発明の第2のコンジュゲートに含まれるサポニンは、細胞、例えば本発明の第2のコンジュゲートに含まれるsdAbなどの第2のコンジュゲートの結合分子が標的とする(腫瘍)細胞のサイトゾルにおいて、本発明の第1のコンジュゲートに含まれるエフェクター分子の放出及び送達を刺激することができるので、sdAbなどの結合分子の標的(腫瘍)細胞表面分子として、例えばADC及びAOCの標的として機能するのに適していることで知られている細胞表面受容体を選択することが特に好適である。それに伴い、本発明の第1及び第2のコンジュゲートは、本発明の第2のコンジュゲートに含まれるサポニンと共に、sdAbを含むADC又はAOCである第1のコンジュゲートの一部であるエフェクター分子の共送達に好適である。腫瘍細胞特異的受容体を本発明の第2のコンジュゲートで標的とすることにより、第2のコンジュゲートの一部としてのサポニンの標的細胞エンドソーム及び/又はリソソームへのエンドサイトーシス及び送達が促進される。腫瘍細胞をまたADC若しくはAOC、例えば本発明の第1のコンジュゲートと接触させる場合、そのようなADC又はAOC又は本発明の第1のコンジュゲートに含まれるエフェクター分子は、エンドソーム又はリソソームに共送達され、サポニンの影響下で、続いて標的細胞のサイトゾルに送達される。前述のように、本発明の第2のコンジュゲートの一部としての標的化サポニンの適用は、本発明の第1のコンジュゲートに含まれるエフェクター分子の生物学的活性を考慮した場合、受容体リガンド、抗体又はsdAbなどの細胞標的結合分子を欠く遊離サポニンの適用と比較して、サポニンの刺激効果の約100倍~1000倍の増強をもたらす。本発明の第2のコンジュゲートにおけるラクダ科動物Vなどの小さいsdAbの適用は、抗体をベースとしたADCで一般に観察されるクリアランス速度と比較して、第2のコンジュゲートが投与されたヒト対象の循環及び身体からの本発明の第2のコンジュゲートのクリアランスを防止又は遅延させる。これが、前述したように、sdAbを含む第1のコンジュゲートについても明らかである。加えて、sdAbのサイズが比較的小さいため、例えば、サポニンに結合した抗体のより大きいサイズと比較して、連結したタンパク質ドメインの存在に起因する標的細胞内部のサポニン活性を制限又は妨害するリスクが限られる。一般に、サポニンに連結した分子のサイズが小さいほど、結合した分子、例えばVHHなどの抗体ドメインの存在に起因する、細胞内のサポニン活性に対する干渉のリスクは小さくなる。さらに、sdAbの比較的小さいサイズは、腫瘍組織などの組織におけるそれらの急速な分布をもたらし、本発明の第2のコンジュゲートによる標的細胞への到達を改善し、それと共に、例えばADC、OACにおいて一般的に適用される相対的に大きいサイズのIgGと比較して、標的細胞への結合(の程度)を改善する。本発明の第2のコンジュゲートにおいてsdAbを適用することの多くの利点の1つ(これは、例えばADC及びAOCすなわち本発明の第1のコンジュゲートにおいてsdAbを適用することにも当てはまる)は、例えばIgG型の通常の抗体に共通のFcテールが存在しないことである。本発明の第1及び第2のコンジュゲートのsdAbにFcテールが存在しないことは、第1及び第2のコンジュゲートがそれを必要とする患者に投与された場合のFcγ受容体媒介オフターゲット効果、例えば、Fcγ受容体活性化に関連する望ましくない副作用の発生を防止する。Fcテールの欠如は、例えば抗体をベースとしたADCが投与される患者の細胞にFcが結合することによって生じる副作用のリスクを排除する。本発明のコンジュゲートを含むsdAbは、このFc媒介性の望ましくない副作用のリスクを有さないが、腫瘍細胞がADC(比較的低用量で;実施例の項も参照されたい)及び本発明の第2のコンジュゲート(比較的低用量で;実施例の項も参照されたい)の両方と接触した場合、そのような第1及び第2のコンジュゲートが、第1のコンジュゲートに含まれるエフェクター分子の増強において非常に効率的で且つ有効であることを、本発明者らは明らかにした。
【0119】
一実施形態は、第2のコンジュゲートが、結合分子中のスルフヒドリル基にチオ-エーテル結合を介して共有結合しているサポニン又はサポニン誘導体を含み、リンカーN-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)を介した共有結合がサポニン又はサポニン誘導体のアグリコンコア構造のC23位のアルデヒド基に共有結合し、システインのスルフヒドリル基などの結合分子中のスルフヒドリル基に共有結合している、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0120】
一実施形態は、第2のコンジュゲートが、サポニン又はその誘導体のアグリコンコア構造のC23位に任意選択によるアルデヒド官能基を有する12,13-デヒドロオレアナンのタイプに属するビデスモシドトリテルペンサポニン又はその誘導体であり、サポニンのアグリコンコア構造のCβ-OH基の第1の糖鎖にグルクロン酸単位を含むサポニン又はサポニン誘導体を含み、サポニン又はその誘導体は第1の糖鎖のグルクロン酸単位のカルボキシル基を介して、好ましくは少なくとも1つのリンカーを介して結合分子のアミノ酸残基に共有結合しており、アミノ酸残基は好ましくはシステイン及びリジンから選択される、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0121】
一実施形態は、第2のコンジュゲートが、少なくとも1つのサポニン又はその誘導体のアグリコンコア構造のCβ-OH基の第1の糖鎖中にグルクロン酸単位を含むサポニン又はその誘導体を含み、このグルクロン酸単位はリンカーに共有結合しており、このリンカーは好ましくは結合分子中のアミン基、例えば、リシンのアミン基又は結合分子のN末端にアミド結合を介して共有結合しており、好ましくは、グルクロン酸単位は、リンカー、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)に共有結合している、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0122】
一実施形態は、第2のコンジュゲートが、2つ以上の共有結合したサポニン又はその誘導体、好ましくは2、3、4、5、6、8、10、16、32、64、128若しくは1~100、又はその間の任意の数、例えば7、9、12のサポニン又はその誘導体を含む、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0123】
一実施形態は、2つ以上の共有結合したサポニン又はサポニン誘導体は、結合分子のアミノ酸残基に、好ましくはシステイン及び/若しくはリジンに直接共有結合し、且つ/又は少なくとも1つのリンカー及び/若しくは少なくとも1つの切断可能なリンカーを介して共有結合している、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。リンカーを介した、第2の細胞表面分子のための抗体、sdAb又はリガンドなどの結合分子へのサポニンの結合は、サポニンを結合するための結合分子の結合部位を考慮した場合、柔軟性を提供する。さらに、そのようなリンカーは、sdAbなどの結合分子とサポニンとの間のスペーサーとして作用することができ、その結果、結合分子は細胞表面分子の結合部位に結合する能力を維持し、また、サポニンは、第1のコンジュゲートに含まれるエフェクター分子のエンドソームエスケープを増強するその能力を維持する(sdAbなどの結合分子が細胞表面分子に結合し、第1のコンジュゲートが標的とする細胞のエンドソーム又はリソソームに第2のコンジュゲートがエフェクター分子と共に共局在化した場合)。
【0124】
一実施形態は、2つ以上の共有結合したサポニン又はサポニン誘導体が、少なくとも1つのオリゴマー分子又はポリマー分子を含み、2つ以上のサポニン又はサポニン誘導体が共有結合している、共有結合サポニンコンジュゲートの一部であり、共有結合サポニンコンジュゲートは結合分子に共有結合している、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物であって、このような共有結合サポニンコンジュゲートは、単結合を介して、好ましくは(切断可能である)リンカーを介して、抗体又はsdAbなどの第2のコンジュゲートに含まれる結合分子に結合することができる、複数のサポニン部分のための担体として機能する。共有結合サポニンコンジュゲートは、これらのサポニンを共有結合するための結合部位を含む選択されたオリゴマー又はポリマー構造のタイプに関連して、任意の選択された数の共有結合したサポニン部分、例えば1~200個のサポニン部分を有することができるので、本発明の第2のコンジュゲート中のサポニン部分の数を考慮した場合に、このような共有結合サポニンコンジュゲートの適用は自由度を提供する。例えば、本発明の第1のコンジュゲートに含まれる選択されたエフェクター分子のサイトゾル送達のために、本発明の第2のコンジュゲート中に存在するサポニンの数を、エフェクター分子のサイトゾル送達を刺激するのに十分な数のサポニン部分を有する共有結合サポニンコンジュゲートを提供することによって適合させることができる(共有結合サポニンコンジュゲートが本発明の第2のコンジュゲートの一部である場合、及びエフェクター分子がその生物学的活性を発揮すべき標的細胞のエンドソーム又はリソソーム中に第2のコンジュゲートと共局在化する場合)。
【0125】
一実施形態は、そのような共有結合サポニンコンジュゲートの1~8個、より好ましくはそのような共有結合サポニンコンジュゲートの2~4個が結合分子に結合しており、少なくとも1つの共有結合サポニンコンジュゲートは、任意選択によりデンドロンに基づいており、任意選択により1~32個のサポニン又はサポニン誘導体、好ましくは2、3、4、5、6、8、10、16、32個、又はその間の任意の数、例えば7、9、12個のサポニン又はサポニン誘導体は、少なくとも1つの共有結合サポニンコンジュゲートのオリゴマー分子又はポリマー分子に、直接又はリンカーを介して、共有結合している、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。好ましくは、共有結合サポニンコンジュゲートの1つ又は2つは、本発明の第2のコンジュゲート中のsdAbなどの単一の結合分子に結合している。多くの目的のために、単一のサポニン又は単一の共有結合サポニンコンジュゲートの、第2のコンジュゲートに含まれる抗体又はsdAbなどの単一の結合分子への結合は、標的細胞及び前記細胞のサイトゾル内へのエフェクター分子送達の効率的な刺激に十分であり、ここで、エフェクター分子は、本発明の第1のコンジュゲートに含まれている。典型的には、4、8又は16個のサポニンが本発明の第2のコンジュゲートに含まれ、例えば、4又は8個のサポニンが本発明の第2のコンジュゲートにおけるsdAbなどの結合分子に結合した単一の共有結合サポニンコンジュゲートに含まれる。典型的には、そのような本発明の第2のコンジュゲートは、サポニン若しくはサポニン又は共有結合サポニンコンジュゲートが結合している単一の抗体又は単一のsdAbを含み、好ましくは、単一のサポニン又は単一の共有結合サポニンコンジュゲートが第2のコンジュゲートの一部である。
【0126】
一実施形態は、サポニン又はサポニン誘導体が切断可能なリンカーを介して結合分子に共有結合している、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0127】
一実施形態は、切断可能なリンカーが、酸性条件、還元条件、酵素条件並びに/又は光誘導条件下で切断され、好ましくは、切断可能なリンカーは、酸性条件下で切断されるヒドラゾン結合及びヒドラジド結合から選択される切断可能な結合、並びに/又はタンパク質分解、例えばカテプシンBによるタンパク質分解を受けやすい結合、並びに/又はジスルフィド結合などの還元条件下で切断を受けやすい結合を含む、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0128】
一実施形態は、切断可能なリンカーが、例えば、哺乳動物細胞、好ましくはヒト細胞のエンドソーム及び/又はリソソームに存在するような酸性条件下、好ましくはpH4.0~6.5、より好ましくはpH≦5.5でインビボにて切断される、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。エンドソーム及びリソソームに見られるような条件下で切断可能であるそのような切断可能なリンカーは、サポニンを本発明の第2のコンジュゲートの残部から切断する際、エンドソーム又はリソソーム内部へ遊離サポニンを送達しやすくする。このように、本発明の第2のコンジュゲートは、標的細胞上の第2の細胞表面分子への抗体又はsdAbなどの結合分子の特異的結合時のサポニンの細胞を標的とした送達、及び細胞内、すなわちエンドソーム(又はリソソーム)内の遊離サポニンの存在の利益を組み合わせ、これはエンドソーム(又はリソソーム)から標的細胞のサイトゾルへの、本発明の第1のコンジュゲートに含まれるエフェクター分子の送達を刺激及び/又は促進する遊離サポニンの能力に寄与する。
【0129】
一実施形態は、共有結合サポニンコンジュゲートのオリゴマー分子又はポリマー分子が結合分子に、好ましくは結合分子のアミノ酸残基に共有結合している、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0130】
一実施形態は、サポニン又はサポニン誘導体は、本発明による切断可能なリンカーを介して、共有結合サポニンコンジュゲートのオリゴマー分子又はポリマー分子に共有結合している。本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0131】
一実施形態は、サポニン又はサポニン誘導体が、共有結合サポニンコンジュゲートのオリゴマー分子又はポリマー分子に、イミン結合、ヒドラゾン結合、ヒドラジド結合、オキシム結合、1,3-ジオキソラン結合、ジスルフィド結合、チオエーテル結合、アミド結合、ペプチド結合又はエステル結合のいずれか1つ以上を介して、好ましくはリンカーを介して共有結合している、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0132】
一実施形態は、サポニン又はサポニン誘導体がC23位にアルデヒド官能基を含むアグリコンコア構造を含み、サポニンは、任意選択により、サポニンのアグリコンコア構造のCβ-OH基の第1の糖鎖にグルクロン酸官能基を含み、アルデヒド官能基は共有サポニンコンジュゲートのオリゴマー分子又はポリマー分子への共有結合に関与し、且つ/又は、グルクロン酸官能基は(存在する場合)は共有結合サポニンコンジュゲートのオリゴマー分子又はポリマー分子への共有結合に関与し、サポニン又はサポニン誘導体の結合は直接共有結合を介するか、又はリンカーを介し、リンカーは切断可能なリンカー又は安定なリンカーである、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。ここで、安定とは、サポニンと、sdAbなどの結合分子との間の結合、又はサポニンとオリゴマー又はポリマー構造との間の結合を指し、この結合は、細胞内の酸性条件下、特にそのような細胞のエンドソーム又はリソソーム内の酸性条件下で、インタクトなままである(切断されない)。さらに、そのような安定な結合は、例えば、共有結合サポニンコンジュゲートを含む本発明の第2のコンジュゲートが投与されるヒト対象の循環内及び臓器内で、インタクトなままである(すなわち、切断されない)。対照的に、抗体若しくはsdAbなどの第2のコンジュゲートに含まれる結合分子への、又はオリゴマー構造若しくはポリマー構造へのサポニンの結合に関連した切断可能なリンカーは、ヒト細胞、例えば腫瘍細胞などの哺乳動物細胞のエンドソーム及びリソソームの内部に見られるような酸性条件下で切断される結合を指し、その一方で、そのような切断可能なリンカーは、そのような切断可能な結合を含む第2のコンジュゲートが循環又は臓器に、すなわち、例えば本発明の第2のコンジュゲートが投与されるヒト対象の外部細胞中に存在する場合、インタクトなままである(切断されない)。
【0133】
一実施形態は、サポニン又はサポニン誘導体のアグリコンコア構造のC23位におけるアルデヒド官能基がリンカーEMCHに共有結合しており、このEMCHは、共有結合サポニンコンジュゲートのオリゴマー分子中又はポリマー分子中のスルフヒドリル基、例えばシステインのスルフヒドリル基にチオ-エーテル結合を介して共有結合している、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。サポニンのアグリコンのアルデヒド基へのEMCHリンカーの結合は、ヒドラゾン結合の形成をもたらす。このようなヒドラゾン結合は、エンドソーム及びリソソーム内の酸性条件下で切断可能な結合の典型的な例である。本発明の第2のコンジュゲート中の抗体若しくはsdAbなどの第2のコンジュゲートに含まれる結合分子、又は共有結合サポニンコンジュゲートのオリゴマー構造若しくはポリマー構造に結合するサポニンであって、そのような共有結合サポニンコンジュゲートが第2のコンジュゲートの結合分子に、例えば本発明の第2のコンジュゲート中のsdAbに結合しているサポニンは、第2のコンジュゲートの抗体又はsdAbなどの結合分子が結合することができる第2の細胞表面分子を露出する標的細胞のエンドソーム又はリソソームに送達されると、本発明の第2のコンジュゲートから放出可能である。このように、本発明の第2のコンジュゲート中のsdAbなどの結合分子に結合したサポニンは、細胞外からエンドソーム(又はリソソーム)にトランスファーされ、エンドソーム(又はリソソーム)において、ヒドラゾン結合のpH駆動切断の際に第2のコンジュゲートから放出される。エンドソーム(又はリソソーム)において、遊離サポニンは、エンドソーム(又はリソソーム)に共局在化する本発明の第1のコンジュゲートに含まれるエフェクター分子のサイトゾルへの送達を考慮した場合、その刺激活性を発揮することができる。驚くべきことに、本発明者らは、サポニンについて、サポニンがエンドソーム又はリソソーム中に遊離形態で存在することが、サポニンのエンドソームエスケープ促進活性にとって必須ではないことを立証した。また、例えば、本発明の第2のコンジュゲートに含まれるサポニンは、それぞれ第1及び第2のコンジュゲートの一部としてのエフェクター分子及びサポニンの両方が、第1の細胞表面分子及び第2の細胞表面分子(これらは同じであっても異なっていてもよい)を発現する同じ標的細胞と接触すると、エンドソーム/リソソームから標的細胞のサイトゾルへの、第1のコンジュゲートに含まれるエフェクター分子の送達を増強する。
【0134】
一実施形態は、サポニン又はサポニン誘導体のアグリコンコア構造のCβ-OH基における第1の糖鎖のグルクロン酸官能基がリンカーHATUに共有結合しており、このHATUは、共有結合サポニンコンジュゲートのオリゴマー分子又はポリマー分子中のアミン基、例えば、リシンのアミン基又はタンパク質のN末端に、アミド結合を介して共有結合している、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。HATUリンカーがサポニン及び第2のコンジュゲートの結合分子、例えば、sdAbに結合する場合、サポニンは、例えば、sdAbのN末端又はsdAbに存在するリジンのアミン基に結合する。
【0135】
一実施形態は、共有結合サポニンコンジュゲートのポリマー分子又はオリゴマー分子が、結合分子、好ましくは結合分子のアミノ酸残基に結合し、共有結合サポニンコンジュゲートのポリマー分子又はオリゴマー分子にクリックケミストリー基を含み、クリックケミストリー基は、好ましくはテトラジン、アジド、アルケン若しくはアルキン、又はこれらの基の環状誘導体から選択され、より好ましくはクリックケミストリー基はアジドである、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。
【0136】
一実施形態は、共有結合サポニンコンジュゲートのポリマー分子又はオリゴマー分子が、線状ポリマー、分岐状ポリマー及び/若しくは環状ポリマー、オリゴマー、デンドリマー、デンドロン、デンドロン化ポリマー、デンドロン化オリゴマー、DNA、ポリペプチド、ポリ-リシン、ポリ-エチレングリコール、オリゴ-エチレングリコール(OEG)、例えばOEG、OEG及びOEGから選択されるポリマー構造及び/若しくはオリゴマー構造、又はこれらのポリマー構造及び/若しくはオリゴマー構造の集合体を含み、集合体は、好ましくは、共有架橋によって構築され、好ましくは、共有結合サポニンコンジュゲートのポリマー分子又はオリゴマー分子は、デンドロン、例えばポリ-アミドアミン(PAMAM)デンドリマーである、本発明の医薬組み合わせ又は医薬組成物である。本発明の第2のコンジュゲートに組み込まれる選択されたサポニンの数によって駆動されて、オリゴマー構造又はポリマー構造のタイプとサイズ若しくは長さとが選択される。すなわち、本発明の第2のコンジュゲートを形成するために、sdAbなどの第2のコンジュゲートに含まれる結合分子に結合するサポニンの数により、所望の数のサポニンを結合するのに十分な量の結合部位を有する好適なオリゴマー又はポリマー構造を選択することができ、それにより、本発明の第2のコンジュゲートを提供するために、抗体、受容体リガンド又はsdAbなどの結合分子に結合する選択された数のサポニン部分を有する共有結合サポニンコンジュゲートを提供することができる。例えば、OEGの長さ又はデンドロン若しくはポリリシン分子のサイズにより、そのようなオリゴマー又はポリマー構造に共有結合することができるサポニンの最大数が決定される。
【0137】
したがって、本発明による第2のコンジュゲートは、少なくとも1つのサポニンを含む。この文脈における「少なくとも1つ」は、第2のコンジュゲートが1つのサポニン分子を含むが、また、数個(例えば、2、3又は4個)のサポニン又は多数(例えば、10、20又は100個)のサポニンも含み得ることを意味する。用途に応じて、第2のコンジュゲートは共有結合したサポニンを含む共有結合した足場(共有結合サポニンコンジュゲート)を含むことができ、足場は、規定された数のサポニンを含むように設計することができる。好ましくは、本発明による第2のコンジュゲートは、乱数ではなく、規定された数又は範囲のサポニンを含む。これは、製造販売承認に関連する医薬品開発にとって特に有利である。この点において、規定された数とは、第2のコンジュゲートが好ましくは以前に規定された数のサポニンを含むことを意味する。これは、例えば、サポニンが(共有結合的に)結合するための特定の数の可能な部分を有するポリマー構造を含む足場を設計することによって達成される。理想的な状況下では、これらの部分の全てがサポニンに結合し、足場は以前に規定された数のサポニンを含む。最適な数を使用者が必要に応じて容易に試験することができるように、例えば、2、4、8、16、32、64個などのサポニンを含む標準的な足場セットを提供することが想定される。一実施形態は、本発明の足場(本発明の共有結合サポニンコンジュゲート)を含む本発明の第2のコンジュゲートであり、サポニンは、規定された範囲で存在し、例えば、非理想的な状況下で、ポリマー構造中に存在する全ての部分がサポニンに結合するわけではない。そのような範囲は、例えば、足場1つ当たり2~4個のサポニン分子、足場1つ当たり3~6個のサポニン分子、足場1つ当たり4~8個のサポニン分子、足場1つ当たり6~8個のサポニン分子、足場1つ当たり6~12個のサポニン分子などであり得る。このような場合、本発明による足場(本発明の共有結合サポニンコンジュゲート)を含む第2のコンジュゲートは、したがって、範囲が2~4と規定される場合、2、3又は4個のサポニンを含む。
【0138】
足場は基本的に、足場に共有結合したサポニンの種類とは無関係であり、足場は、本発明の第2のコンジュゲートにおいて、受容体リガンド、sdAbなどの抗体などの細胞表面分子結合分子にその後(順番に)共有結合する。したがって、足場(本発明の共有結合サポニンコンジュゲート)を含む本発明の第2のコンジュゲートは、プラットフォーム技術のための基礎となる生成物である。本発明の第2のコンジュゲートにおける少なくとも1つの共有結合したサポニンは、本発明による、sdAbを含むADC又はAOCなどの本発明の第1のコンジュゲートに含まれる、細胞表面分子を標的とするsdAbに結合したエフェクター部分の細胞内送達を媒介するので、本発明による足場技術は、ADC又はAOC(すなわち、本発明の第1のコンジュゲート)を、サポニンと、例えば、また好ましくは、標的細胞表面分子、例えば、また好ましくは、受容体及びそれに結合したコンジュゲートのエンドサイトーシスに関与する受容体に結合するためのsdAbなどの抗体を含む、本発明の第2のコンジュゲートと組み合わせることによって、サポニンによる制御された細胞内エフェクター部分送達を媒介するシステムである。足場は、サポニンと、第2のコンジュゲートに含まれるsdAbなどの抗体などの細胞表面分子を標的とするリガンドに連結することができる最適化された機能的に活性な単位を、sdAbなどのリガンド中の単一且つ所定の位置に提供する。
【0139】
一実施形態は、本発明による足場(本発明の共有結合サポニンコンジュゲート)を含む本発明の第2のコンジュゲートであり、ポリマー又はオリゴマー構造のモノマーの数は、正確に規定された数又は範囲である。好ましくは、ポリマー又はオリゴマー構造は、ポリ(アミン)、例えばポリエチレンイミン及びポリ(アミドアミン)、などの構造、又はポリエチレングリコール、ポリ(エステル)、例えばポリ(ラクチド)、ポリ(ラクタム)、ポリラクチド-コ-グリコリドコポリマー、ポリ(デキストリン)、又はペプチド若しくはタンパク質などの構造、又は天然及び/若しくは人工ポリアミノ酸、例えばポリ-リシン、DNAポリマー、安定化RNAポリマー若しくはPNA(ペプチド核酸)ポリマーなどの構造を含み、これらは、直鎖状、分岐状若しくは環状のポリマー、オリゴマー、デンドリマー、デンドロン、デンドロン化ポリマー、デンドロン化オリゴマー、又はこれらの構造の集合体(単体又は混合物)の形態を有する。好ましくは、ポリマー又はオリゴマー構造は生体適合性であり、ここで、生体適合性とは、ポリマー又はオリゴマー構造が生物において実質的な急性又は慢性の毒性を示さず、そのまま排泄されるか、又は身体の代謝によって排泄可能で且つ/又は生理学的な化合物に完全に分解され得ることを意味する。集合体は、共有架橋結合若しくは非共有結合及び/又は引力によって構築することができる。したがって、それらはまた、ナノゲル、ミクロゲル若しくはヒドロゲルを形成することができ、又はそれらは、無機ナノ粒子、コロイド、リポソーム、ミセル、又はコレステロール及び/若しくはリン脂質を含む粒子様構造体などの担体に結合することができる。前記ポリマー又はオリゴマー構造は、好ましくは、グリコシド分子(及び/又は、リガンド、モノクローナル抗体若しくはsdAbなどのその断片などの担体分子(ここで、本発明においてはsdAbが好ましい)の結合のための、正確に規定された数又は範囲の結合部分(化学基)を有する。ポリマー又はオリゴマー構造中の正確に規定された数又は範囲の結合部分(化学基)の、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは(約)100%が、本発明による足場(本発明の共有結合サポニンコンジュゲート)のグリコシド分子(本発明のサポニン)によって占められている。
【0140】
好ましくは、デンドロンは、フォーカルポイントと呼ばれる、ツリーの起点に単一の化学的にアドレス可能な基を有する、分岐した明確に規定されたツリー様ポリマーである。デンドリマーは、2つ以上のデンドロンがそれらのフォーカルポイントで接続された接合体である。デンドロン化ポリマーは、1つ以上のデンドロンのフォーカルポイントがポリマーに接続した接合体である。好ましい実施形態では、本発明による足場であって、ポリマー又はオリゴマー構造は、線状、分岐状若しくは環状ポリマー、オリゴマー、デンドリマー、デンドロン、デンドロン化ポリマー、デンドロン化オリゴマー、又はこれらの構造の集合体(単体又は混合物)を含み、集合体は共有架橋結合又は非共有結合性引力によって構築することができ、且つ、ナノゲル、ミクロゲル、又はヒドロゲルを形成することができ、好ましくは、ポリマーは、ポリ(アミン)、例えばポリエチレンイミン及びポリ(アミドアミン)の誘導体、並びにポリエチレングリコール、ポリ(エステル)、例えばポリ(ラクチド)、ポリ(ラクタム)、ポリラクチド-コ-グリコリドコポリマー、及びポリ(デキストリン)などの構造体、並びに天然及び/若しくは人工ポリアミノ酸、例えばポリ-リシン、又はペプチド若しくはタンパク質、又はDNAポリマー、安定化RNAポリマー若しくはPNA(ペプチド核酸)ポリマーなどの構造体である足場が提供される。好ましくは、ポリマー又はオリゴマー構造は生体適合性である。
【0141】
本発明の第2のコンジュゲート中のsdAb及び本発明の第1のコンジュゲート中、すなわちADC又はAOC中のsdAbなどの結合分子が、異なる腫瘍細胞特異的受容体などの異なる細胞表面分子を標的とする場合、2つの異なる標的はいずれも、第1のコンジュゲート、すなわちADC又はAOCに含まれるエフェクター分子、及び本発明の第2のコンジュゲートに含まれるサポニンが共送達されるべき標的細胞の表面に存在することは理解されるであろう。ADC又はAOC(本発明の第1のコンジュゲート)及び本発明の第2のコンジュゲートが異なる(腫瘍)細胞受容体を標的とする場合、利点は、本発明の第1のコンジュゲート(ADC又はAOC)及び本発明の第2のコンジュゲートの用量を、標的細胞を含む異なる細胞型の混合物と接触させたときの、本発明の第1のコンジュゲート(ADC又はAOC)及び本発明の第2のコンジュゲートの組み合わせをそれを必要とする患者に(同時)投与した場合に起こるような、例えば、その表面に2つの細胞表面分子のうちの1つを有する細胞に対するオフターゲット効果のリスクが低減されることである。治療有効量のエフェクター分子を標的細胞内に送達するには低すぎる本発明の第1のコンジュゲート(ADC又はAOC)の用量を投与することによって、ADC又はAOCが、本発明の第2のコンジュゲートの形態の標的化サポニンの非存在下で、そのような標的細胞に結合した場合、ADC又はAOC(本発明の第1のコンジュゲート)が結合し得る細胞表面分子を発現し得るが、本発明の第2のコンジュゲートにおけるsdAbなどの結合分子の標的を発現しない細胞の侵入は、したがって、例えば、ADCを考慮した場合の細胞毒性を誘導しない。ADC又はAOC(本発明の第1のコンジュゲート)を結合するための受容体及び本発明の第2のコンジュゲートを結合するための受容体の両方を有する標的細胞においてのみ、両受容体を発現する前記標的細胞内部に共局在するサポニンの影響下でエンドソームエスケープが起こったならば、エフェクター分子の用量は前記細胞のサイトゾルにおいてその生物学的効果を発揮するのに十分である。
【0142】
いくつかの実施形態では、本発明の第2のコンジュゲートに含まれるsdAbなどの結合分子及び本発明の第1のコンジュゲート(すなわち、ADC又はAOC)に含まれるsdAbは、同じ腫瘍細胞特異的受容体などの同じ細胞表面分子を標的とする。このように、単一の腫瘍細胞特異的受容体のみが存在した場合、ADC又はAOC(本発明の第1のコンジュゲート)と本発明の第2のコンジュゲートの両方の、そのような単一タイプの標的受容体を有する標的細胞の内部への同時送達が可能である。腫瘍細胞特異的受容体、例えば、HER2、EGFR、CD71などの単一細胞特異的表面分子を用いた標的細胞内へのそのような同時送達の利点は、サポニンを有する本発明の第2のコンジュゲート及びADC又はAOC(すなわち、本発明の第1のコンジュゲート)によるそのような標的腫瘍細胞の特異的標的化に十分に特異的である単一受容体のみを発現する腫瘍細胞を標的とし得る可能性である。そのような単一の特異的受容体を選択し、標的化することにより、標的化サポニン及び標的化エフェクター分子を腫瘍細胞内に同時送達することが可能になり、その結果、そのような治療困難な腫瘍細胞に、有効用量のエフェクター分子を依然として効果的に提供することができる。
【0143】
本発明の一態様は、医薬として使用するための、本発明の医薬組み合わせ又は本発明による医薬組成物に関する。
【0144】
本発明の一態様は、癌、関節リウマチなどの自己免疫疾患、酵素欠損、遺伝子欠損、遺伝子欠損に関連する疾患、アミロイドーシス、酵素欠損に関連する疾患、ウイルス感染症などの感染症、高コレステロール血症、原発性高シュウ酸尿症、血友病A、血友病B、α1-アンチトリプシン関連肝疾患、急性肝性ポルフィリン症、トランスサイレチン媒介アミロイドーシスの治療又は予防に使用するための、本発明の医薬組み合わせ又は本発明による医薬組成物に関する。
【0145】
驚くべきことに、本発明者らは、いかなる腫瘍細胞死滅ももたらさない本発明の第1のコンジュゲート、すなわちADCの用量が、エフェクター分子を含む本発明の第1のコンジュゲートを本発明の第2のコンジュゲートの存在下で腫瘍細胞と接触させた場合、効率的な腫瘍細胞死滅に十分であることを見出した。例を図4~7に示す。例えば、ADC抗CD71 VHH-毒素、抗HER2 VHH-毒素、又は抗EGFR VHH-毒素などの本発明の第1のコンジュゲートの用量は、腫瘍細胞と接触させた場合、腫瘍細胞に対して毒性効果を発揮しない。典型的な毒素は、タンパク質毒素、例えば、ジアンチン及びサポリンである。しかしながら、本発明の第1のコンジュゲートが本発明の第2のコンジュゲートと一緒に同時投与される場合、効率的な腫瘍細胞死滅が達成される。本発明の第2のコンジュゲートは、例えば、抗HER2 VHH-SO1861、抗CD71 VHH-SO1861、抗EGFR VHH-SO1861、セツキシマブ-SO1861、トラスツズマブ-SO1861である。本発明の第1のコンジュゲートは、例えば、HER2、CD71又はEGFRに結合することができるVHHを含むADCなどのADCであり、例えば、ADCは、ジアンチン又はサポリンなどのタンパク質毒素を含む。前述したように、本発明の第2のコンジュゲートを適用することにより、本発明の第1のコンジュゲート、すなわちADC又はAOCに含まれるエフェクター分子の標的細胞内における効率的な生物学的活性を達成するのに必要なサポニン用量は、サポニンを含む第2のコンジュゲートを本発明の第1のコンジュゲート、すなわちADC又はAOCと標的細胞へ同時投与した場合、本発明の第1のコンジュゲートを遊離サポニンと共に標的細胞へ同時投与した場合に必要とする遊離サポニンの用量と比較して、約100~1000倍低い。これにより、本発明の第2のコンジュゲートは、本発明の第1のコンジュゲート、すなわちADC又はAOCを含むsdAbを、標的化されたサポニン(本発明の第2のコンジュゲート)の非存在下でそれを必要とする患者に投与する場合に、腫瘍細胞に有効でないであろうADC又はAOCの用量で増強し、さらに、本発明の第2のコンジュゲートは、本発明の第1のコンジュゲート、すなわちADC又はAOCのエフェクター分子の増強を考慮した場合、既に比較的低い用量で、すなわち、sdAbなどの腫瘍細胞を標的とする結合分子と共に提供されない遊離サポニンがエフェクター分子の増強に十分に有効でない用量で、既に十分に有効である。併せて、ADC又はAOCが本発明の第2のコンジュゲートの存在下で患者に同時投与された場合、低い用量で既に有効であるので、治療有効量の本発明の第1のコンジュゲート、すなわち、腫瘍細胞を標的とするsdAbを含むADC又はAOCを用いて、治療を必要とするヒト患者を治療するための改善された方法を提供する。本発明の第1及び第2のコンジュゲートの多くの利点の1つは、第1のコンジュゲートのsdAb部分に、好ましくは第2のコンジュゲートにも、Fcテールが存在しないことにある。Fcテールの欠如は、Fc受容体を有する患者のオフターゲット細胞へのコンジュゲートの望ましくない結合を防止し、さもなければ、この結合は、そのようなFcテールが存在する場合、多くの従来のADC、AOCに見られるような副作用をもたらし得る。Fcテールを含む抗体ベースのADC及びFcテールを含むAOCは、そのようなIgGベースのADC、AOCのFc受容体への望ましくない結合のために、効力の低下を被る。Fc受容体結合の結果として、そのようなIgGベースのADC及びAOCの有効用量が低下する。それに伴い、Fcテールの欠如は、この点でいくつかの利点を提供する。第1のコンジュゲート、好ましくは第2のコンジュゲートもまた、Fc受容体へのオフターゲット及び望ましくない結合は起こり得ない。これにより、本発明の第1及び第2のコンジュゲートは、標的受容体媒介エンドサイトーシス及びエンドソーム内への本発明の第1及び第2のコンジュゲートの送達を考慮した場合、IgGベースのコンジュゲートで見られる欠点である、Fc受容体結合のためにコンジュゲートが「失われる」ことがないので、より低い有効用量を有する。結果として、本発明の第1のコンジュゲートの治療域は、sdAbがFcテールを含む従来のIgGに置き換えられた場合に達成されるであろう治療域よりも広くなる。同様に、結果として、本発明の第2のコンジュゲートの治療域は、第2のコンジュゲート中のsdAbが、標的細胞上の第2の細胞表面分子に結合するための結合分子、例えば、Fcテールを含む従来のIgGによって置き換えられる場合に達成されるであろう治療域よりも広くなる。
【0146】
一実施形態は、サポニンがSO1861若しくはQS-21であるか、又はサポニン誘導体がSO1861誘導体若しくはQS-21誘導体、好ましくは本発明のサポニン誘導体である、本発明の使用のための医薬組み合わせ、又は本発明による使用のための医薬組成物である。
【0147】
一実施形態は、本発明の使用のための医薬組み合わせ、又は本発明による使用のための医薬組成物であって、
-前記使用は、ヒト対象における癌の治療又は予防におけるものであり;且つ/又は
-前記使用は、それを必要とする患者における癌の治療又は予防におけるものであり、第1及び第2の細胞表面分子は同一若しくは異なる腫瘍細胞表面分子、好ましくは腫瘍細胞特異的表面分子であり、sdAb及び第2のコンジュゲートの結合分子は、腫瘍細胞表面分子、好ましくは腫瘍細胞特異的表面分子に結合し;且つ/又は
-医薬組み合わせ、好ましくは治療有効量の医薬組み合わせが、それを必要とする患者、好ましくはヒト患者に投与される
医薬組み合わせ、又は本発明による使用のための医薬組成物である。
【0148】
本発明のさらなる態様は、本発明の第1のコンジュゲートを細胞外から前記細胞内に、好ましくは前記細胞のサイトゾルにトランスファーするインビボ又はエクスビボの方法であって、
a)本発明による第1の細胞表面分子をその表面に発現し、任意選択で、本発明による第2の細胞表面分子をその表面に発現する細胞を提供する工程であって、前記細胞は、好ましくは、肝細胞、ウイルス感染細胞、自己免疫細胞及び腫瘍細胞などの異常細胞から選択される工程;
b)工程a)で提供される細胞へトランスファーする本発明の第1のコンジュゲートを提供する工程;
c)本発明のサポニン又はサポニン誘導体を提供し、且つ/或いは、工程a)で提供される細胞が本発明による第2の細胞表面分子をその表面に発現する場合、本発明の第2のコンジュゲートを提供する工程;
d)工程a)の細胞を、工程b)の第1のコンジュゲートと、工程c)のサポニン、サポニン誘導体、及びコンジュゲートのいずれか1つ以上とに、インビトロ又はエクスビボで接触させる工程、
を含み、それにより、第1のコンジュゲートの細胞外から前記細胞内への、好ましくは前記細胞のサイトゾル内へのトランスファーを確立する、方法に関する。
【0149】
一実施形態は、本発明の第1のコンジュゲートを本発明による細胞外から前記細胞内にトランスファーするためのインビトロ又はエクスビボの方法であって、第1のコンジュゲートが前記細胞内にトランスファーされたなら、第1のコンジュゲートに含まれるエフェクター分子を細胞のエンドソーム、エンドリソソーム又はリソソームから細胞のサイトゾル内へさらにトランスファーするために、
a)本発明による第1の細胞表面分子をその表面に発現し、任意選択で、本発明による第2の細胞表面分子をその表面に発現する細胞を提供する工程であって、前記細胞は、好ましくは、肝細胞、ウイルス感染細胞、自己免疫細胞及び腫瘍細胞などの異常細胞から選択される工程;
b)工程a)で提供される細胞へトランスファーする本発明の第1のコンジュゲートを提供する工程;
c)本発明のいずれか1つのサポニン又はサポニン誘導体を提供するか、或いは、好ましくは、工程a)で提供される細胞が本発明による第2の細胞表面分子をその表面に発現する場合、本発明の第2のコンジュゲートを提供する工程;
d)工程a)の細胞を、工程b)の第1のコンジュゲートと、工程c)のサポニン、サポニン誘導体、及びコンジュゲートのいずれか1つ以上とに、インビトロ又はエクスビボで接触させる工程、
を含み、それにより、細胞外から前記細胞内への第1のコンジュゲートのトランスファーを確立し、且つ、それにより、第1のコンジュゲートによって含まれるエフェクター分子の前記細胞のサイトゾルへの、任意選択で、第1のコンジュゲートの一部として、又はエンドソーム、エンドリソソーム若しくはリソソーム中の第1のコンジュゲートから切断された遊離エフェクター分子としての送達を確立する方法である。
【0150】
正式な用語を使用すれば、グリコシドは、糖基がそのアノマー炭素を介して別の基にグリコシド結合により結合している任意の分子である。いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、本発明の文脈におけるサポニンなどのグリコシド分子は、特にエフェクター部分のエンドソームエスケープを促進することによって、エフェクター部分の効果をさらに増強することができるような分子である。いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、グリコシド分子(本発明のサポニン、例えば、本明細書及び特許請求の範囲に例示されるもの)は、エンドサイトーシス及びリサイクル経路のコンパートメント及び小胞の膜と相互作用し、それらから前記エフェクター部分を漏れやすくし、増大したエンドソームエスケープを増大させる。「足場はエフェクター部分のエンドソームエスケープを増大させることができる」という用語は、本発明の第2のコンジュゲートにおいて、リンカーを介して若しくは直接、sdAbなどの細胞表面分子を標的とする抗体に結合しているか、又は足場(本発明の共有結合サポニンコンジュゲート)のポリマー若しくはオリゴマー構造を介して結合している、少なくとも1つのサポニン(グリコシド分子)が、本発明の第1のコンジュゲートに含まれるエフェクター部分のエンドソームエスケープを、両分子がエンドソーム、例えば後期エンドソーム内にあり、任意選択で、また好ましくは、少なくとも1つのサポニンが本発明の第2のコンジュゲートから、例えば、前記第2のコンジュゲートに含まれるリンカー又はポリマー若しくはオリゴマー構造から、例えば、少なくとも1つのグリコシド(サポニン)と第2のコンジュゲートとの間の(例えば、足場のポリマー若しくはオリゴマー構造、及び/又はリンカーを介した)切断可能な結合の切断することによって放出された後に、増大させることができることを意味する。本発明による少なくとも1つのサポニンと、本発明の第2のコンジュゲートのsdAbなどの抗体などの細胞表面分子を標的とするリガンドとの間の任意選択でリンカー又は足場を介した結合は、「安定な結合」であってもよいが、これは、そのような結合が、例えば酵素によって、エンドソーム内で切断され得ないことを意味するものではない。例えば、サポニンは、任意選択によりリンカー又は足場のオリゴマー若しくはポリマー構造の一部と一緒に、残りのリンカー断片又はオリゴマー若しくはポリマー構造から切断されてもよい。例えば、プロテアーゼが(タンパク質性)リンカー又はタンパク質性ポリマー構造、例えばアルブミンを切断し、それによって少なくとも1つのサポニンを放出することができる。しかしながら、グリコシド分子(好ましくはサポニン)が活性形態で、好ましくは本発明の第2のコンジュゲートのsdAbなどの細胞表面分子を標的とする分子に、任意選択によりリンカー及び/又はオリゴマー若しくはポリマー足場(本発明の共有結合サポニンコンジュゲート)を介して結合する(結合するように調製される)前の元の形態で放出され、したがって、グリコシド(サポニン)はそのような切断後に、その天然構造を有するか、又はグリコシド(サポニン)はそのような切断後に、それに結合した化学基又はリンカー(の一部)を有し、一方、グリコシド生物活性(サポニン生物活性)、例えば、同じエンドソーム又はリソソームに存在するエフェクター部分に対するエンドソーム/リソソームエスケープ増強活性は、グリコシド(サポニン)と、任意選択的に本発明のリンカー及び/又は足場を含む、sdAbなどの細胞表面分子を標的とする抗体との間の結合の前記切断時に、維持又は回復することが好ましい。本発明に関して、例えば、サポニンと第2のコンジュゲート中の細胞表面分子を標的とするsdAbのアミノ酸残基との間の結合、リンカー、(足場、すなわち、本発明の共有結合サポニンコンジュゲートの)ポリマー若しくはオリゴマー構造、リガンド、(モノクローナル)免疫グロブリン又はその結合ドメイン若しくは断片、及び/又はエフェクター(エフェクター部分、エフェクター分子)に関した「安定な」という用語は、例えばpH差、塩濃度、又はUV光、還元条件によって結合が容易に破壊されないか、又は容易に破壊されないように少なくとも設計されていることを意味する。本発明に関して、例えば、サポニンと細胞表面分子を標的とするsdAbとの間の結合、リンカー、アミノ酸残基、共有結合サポニンコンジュゲートのポリマー若しくはオリゴマー構造、リガンド、抗体、及び/又はエフェクターに関した「切断可能な」という用語は、結合が、例えば、pH差、塩濃度、還元条件下などによって容易に破壊されるように設計されていることを意味する。当業者は、そのような切断可能な結合及びそれらを調製する方法をよく知っている。
【0151】
本発明に先立って、市場にADC及びAOCを導入することの主要なハードルの1つは、小さな治療域であった:ADC又はAOCの治療有効用量は(許容できない)副作用を伴い、患者のADCによる治療の進展及び意義を妨げる。エフェクター分子及び細胞表面分子を標的とするsdAb及び本発明の第2のコンジュゲート、例えばsdAb-サポニンコンジュゲートを含む本発明の第1のコンジュゲートの適用により、ペイロードを保有するADCと共に、又は本発明によるBNAなどのオリゴヌクレオチドとコンジュゲートしたsdAbと共に、1つ又は複数のグリコシド分子(サポニン)を(標的)細胞に誘導することが可能になった。特に、ADC若しくはAOCのエフェクター部分、又はペイロードと(タンパク質性)細胞表面分子を標的とする分子との任意の他のコンジュゲート、及びエフェクター部分1個当たり(所定の、制御可能な)特定の数又は範囲のグリコシド分子(サポニン)を、細胞のエンドサイトーシス経路などを介して、細胞のサイトゾルに同時に特異的に誘導することは、以前は不可能であった。前述したように、本発明のADC又はAOC(すなわち、本発明の第1のコンジュゲート)及び第2のコンジュゲートは同じ細胞表面分子、又は異なる細胞表面分子を標的とすることができ、2つの異なる細胞表面分子は、腫瘍細胞又は自己免疫細胞などの同じ標的細胞の表面に発現する。
【0152】
本発明により提供される解決には、本発明の第2のコンジュゲートの細胞表面分子を標的とする分子、例えば抗体、好ましくはsdAbへの少なくとも1つのサポニンの共有結合が含まれる。本発明により提供されるさらなる解決には、(第1に)オリゴマー又はポリマー足場を使用してグリコシド分子(サポニン)を重合させること、及び本発明の第2のコンジュゲートに含まれる細胞表面分子を標的とする分子に、共有結合したサポニンのクラスターを提供し、例えばエンドサイトーシス後に、サポニンの作用様式が所望される細胞内部位での1つ又は複数のサポニンの再単量体化を可能にすることが含まれる。この文脈において、「重合する」とは、第2のコンジュゲートの細胞表面分子結合分子、例えばsdAbなどの抗体へのサポニン分子の、例えばリンカーを介した、又は直接に、又は足場(本発明の共有結合サポニンコンジュゲート)を形成するポリマー若しくはオリゴマー構造を介した、可逆的及び/又は不可逆的な多重コンジュゲーション、或いは、足場(本発明の共有結合サポニンコンジュゲート)を形成するためにポリマー若しくはオリゴマー構造を形成する(修飾)サポニンの可逆的及び/又は不可逆的多重コンジュゲーションを意味する。この文脈における「再単量体化」とは、第2のコンジュゲートから、サポニンを第2のコンジュゲートのsdAbなどの細胞表面分子を標的とするリガンドへ連結するリンカーから、又は足場から、例えばエンドサイトーシス後の足場から、サポニンを切断し、結合していないサポニンの(天然の)化学的状態に戻すことを意味し、結合していないサポニンは、サポニンをリンカー、第2のコンジュゲートのアミノ酸残基、若しくは足場に連結するための化学基、及び/又はアルデヒド基若しくはカルボン酸基などのサポニンの化学基に結合した(化学)リンカーなどのさらなる化学基を含んでいても含んでいなくてもよい。サポニンの複雑な化学的性質のため、例えば、足場又は他の連結リンカーにおけるサポニンの「重合」、及び、例えばエンドサイトーシス後の細胞内などの所望の位置におけるそれらの「再単量体化」は、困難な課題であった。特に、第2のコンジュゲートを提供するための細胞表面分子結合分子へ共有結合させるための共有結合グリコシドを含むリンカー及び足場、例えばトリテルペノイドサポニン(グリコシドの重合)を提供するために使用する化学反応は、通常、水を含まない有機溶媒中で起こるが、サポニン、及び例えば、結合したサポニンを担持するための足場として適用される生体適合性ポリマーは水溶性分子である。修飾されていないサポニンの化学的特性は、それ自体、重合を妨げ、抗体、例えばsdAbなどの細胞表面分子結合分子に(直接)複数のサポニンを結合するために可能な他の1つの溶液は、sdAbなどの抗体は典型的には十分な結合部位を提供せず、また、結合生成物はかなり不均一となり、且つ/又はサポニンなどの生物学的に活性な分子と、sdAbなどの細胞表面分子を標的とする抗体とを結合すると、サポニンの活性に影響し阻害するリスク、及び/又は、例えば、本発明のこのようなサポニン含有第2コンジュゲートにおいて一緒に結合される、sdAbの細胞表面分子への結合に影響し阻害するリスクを有するので、あまり有望ではないと推定された。本発明の実施形態は、これらの欠点の少なくとも1つを解決する。
【0153】
サポニンを含む本発明の第2のコンジュゲートが、1つ以上の(切断可能な)リンカー及び/又は任意選択の足場(本発明の共有結合サポニンコンジュゲート)をさらに含むかどうかにかかわらず、酸性環境を妨害し、少なくとも1つのグリコシド(サポニン)のエンドソームエスケープ機能を阻害する可能性があるかどうかは、実施例の項に記載され、当該技術分野で知られているアッセイで容易に決定することができる。阻害は、「50%の細胞死滅を誘導するのに必要なグリコシド(本発明のサポニン)の増加倍量」として記載される。本発明の足場又は第2のコンジュゲートは、陽性対照としてクロロキンを使用した場合に観察される50%の細胞死滅を得るのに必要なグリコシド分子(サポニン)を少なくとも増加させる増加をもたらさないことが好ましい。或いは、また好ましくは、1つ以上の(切断可能な)リンカー及び/又は任意選択の足場(本発明の共有結合サポニンコンジュゲート)をさらに含むかどうかにかかわらず、サポニンを含む第2のコンジュゲートは、50%の細胞死滅を誘導するためにグリコシド分子の少なくとも4倍の増加をもたらすことはなく、より好ましくは少なくとも2倍の増加をもたらすことはない。増加倍数はアッセイで測定する必要があり、陽性対照としてのクロロキンはグリコシド量、好ましくはサポニン量の2倍増加を誘導し、ここで、サポニンは、50%の細胞死滅を観察するための本発明のサポニンのいずれか1つ以上である(先の実施形態)。
【0154】
前述のように、本発明による第2のコンジュゲートに含まれる少なくとも1つのサポニンは、本発明で定義される少なくとも現在のエフェクター部分及び新しいエフェクター部分の有効性を増加させる。有効性を低下させることなく、ADC又はAOCなどの細胞表面分子結合sdAbをさらに含む、本発明の第1のコンジュゲートに含まれるエフェクター部分の投与量を低下させるため、潜在的な副作用は減少する。したがって、本発明は本発明による第2のコンジュゲートと本発明による第1のコンジュゲートとの組み合わせを提供し、また、本発明は、医療において使用するための、又は医薬として使用するための、本発明による第1のコンジュゲートを提供する。本発明の一態様は、医薬として使用するための、本発明の医薬組成物に関し、医薬組成物は、本発明の第1のコンジュゲートを含む。本発明の一態様は、医薬として使用するための本発明の医薬組成物に関し、医薬組成物は本発明の第1のコンジュゲートを含み、且つ本発明の第2のコンジュゲートを含む。
【0155】
本発明の第2のコンジュゲートに含まれるエンドソームエスケープエンハンサー、すなわち本発明のサポニンのために、以下のいくつかの好ましい特徴を挙げることができる:(1)それらは、好ましくは、毒性がなく、免疫応答を引き起こさない、(2)それらは、好ましくは、エフェクター部分のオフターゲット細胞のサイトゾルへの取り込みを媒介しない、(3)作用部位におけるそれらの存在は、好ましくは、エフェクター部分の存在と同期している、(4)それらは、好ましくは、生分解性又は排出可能である、及び(5)それらは、好ましくは、エンドソームエスケープエンハンサーが組み合わされる、エフェクター分子の生物学的活性とは無関係の生物の生物学的プロセスを実質的に妨害しない、例えば、ホルモンと相互作用しない。前述の基準を少なくともある程度満たす本発明のサポニンの例は、ビデスモシドトリテルペン、好ましくはビデスモシドトリテルペンサポニン、例えばSO1861、SA1641、QS-21、GE1741、及び本発明によるさらなるサポニンであり、本明細書全体にわたって列挙される。
【0156】
医薬を製造するための、本発明による第1のコンジュゲートの使用もまた提供される。医薬を製造するための、本発明による第1のコンジュゲート及び本発明の第2のコンジュゲートの使用もまた提供される。特に癌治療薬、特に古典的な化学療法薬は、副作用で有名である。ADC又はAOCなどの第1のコンジュゲートに含まれる薬学的に活性な物質、及び本発明の第2のコンジュゲート分子に含まれるサポニンの両方の、時間及び場所の標的化及び同期化のために、本発明による第1のコンジュゲートは特に医薬としての使用に有益であり、又は本発明による第1のコンジュゲートと本発明の第2のコンジュゲートとの組み合わせは特に医薬としての使用、特に癌を治療する方法における使用に有益であり、ここで、医薬は、本発明のADC若しくはAOC(本発明の第1のコンジュゲート)及び本発明の第2のコンジュゲートを含む単一の組成物であるか、又は本発明の第1のコンジュゲート、例えばADC若しくはAOCを含む第1の医薬組成物と、本発明の第2のコンジュゲートを含む第2の医薬組成物との治療組み合わせである。したがって、本発明は、癌を治療する方法において使用するための、本発明による第1のコンジュゲートを提供する。本発明はまた、後天性又は遺伝性障害、特に単一遺伝子欠損障害を治療する方法において使用するための、本発明による第1のコンジュゲートを提供する。したがって、第2のコンジュゲートは、少なくとも1つのサポニンと、腫瘍細胞又は自己免疫細胞などの異常標的細胞において第2のコンジュゲートを標的とするためのsdAbとを含み、本発明の第2のコンジュゲートは、本発明のADC又はAOCなどの、エフェクター部分及びsdAbを含む本発明の少なくとも1つの第1のコンジュゲートと組み合わされる。したがって、本発明の一態様は、本発明による第2のコンジュゲートに関し、この第2のコンジュゲートは、癌又は自己免疫疾患の治療のための方法において使用するための、共有結合したサポニンと、sdAbなどの細胞表面分子結合抗体とを含み、方法は、本発明による第1のコンジュゲートを、それを必要とする癌患者などの対象に投与することをさらに含む。
【0157】
医療における本発明の第一及び第二のコンジュゲートのさらなる用途は、産生する酵素の量又は機能性が不十分である標的細胞における細胞内酵素を置換するための方法における使用である。本発明の第2のコンジュゲートは、例えば、標的細胞内酵素の置換のために、置換される酵素又は遺伝子治療のためのオリゴヌクレオチドを含む本発明の第1のコンジュゲートと組み合わせて、それを必要とする患者に投与される。生じた疾患は、遺伝性又は後天性であり得る。ほとんどの場合、対症療法のみが可能であり、いくつかの稀な疾患では、不十分な治療選択肢が、関係する患者の寿命の短縮につながる。そのような疾患の例はフェニルケトン尿症であり、これは、アミノ酸フェニルアラニンの代謝低下をもたらす先天性代謝異常である。この疾患は、肝酵素フェニルアラニンヒドロキシラーゼの遺伝子の変異を特徴としている。フェニルケトン尿症は、今日まで治癒不可能である。発生率は約1:10,000であり、最も高い発生率が知られているトルコでは1:2,600である。結合したサポニンと共に、本発明の第2のコンジュゲートに含まれる細胞表分子を標的とする抗体、好ましくはVHHなどのsdAbと、同じ若しくは異なる細胞表面分子結合sdAb及びフェニルアラニンヒドロキシラーゼを含む第1のコンジュゲート、又は同じ若しくは異なる細胞表面分子結合sdAbを、フェニルアラニンヒドロキシラーゼをコードする結合したポリヌクレオチドと共に含む第1のコンジュゲートとは、本発明の第2のコンジュゲート中の好適な特異的抗体又はsdAbを使用し、且つ本発明による第1のコンジュゲート中の好適な特異的sdAbを使用することによって、肝細胞を標的化し、肝細胞における欠損酵素を置換するために使用することができる。これは、それに結合したサポニンを含む本発明の第2のコンジュゲート、及び、この例では、本発明によるそれに結合した酵素又はオリゴヌクレオチドなどのエフェクター分子を含む本発明の第1のコンジュゲートの、置換又は遺伝子治療のための使用の一例である、好ましい実施形態では、遺伝子治療又は置換療法の方法において使用するための本発明による第2のコンジュゲートは、細胞表面分子結合sdAb及び酵素又は酵素をコードする核酸を含む本発明の第1のコンジュゲートと組み合わせて提供される。
【0158】
本発明の第1及び第2のコンジュゲートを用いて、2成分の非ウイルス性の臨床的に適用可能な遺伝子送達技術を設計し製造することが、今や可能になった。例えば、本発明の第2のコンジュゲートは、遺伝子送達技術のための第1及び第2のコンジュゲートの非ウイルスベースの組み合わせの開発を可能にし、それは、より低い治療用量での治療有効性を増強し、それによって患者の健康を改善する。本発明の第2のコンジュゲートは、特に、(腫瘍、自己免疫)細胞表面特異的分子に結合するためのモノクローナル抗体又はsdAbなどの共有結合した細胞表面分子を標的とする抗体を含み、BNAなどのオリゴヌクレオチドなどのエフェクター部分を含み、VHHなどの細胞表面分子を標的とするsdAbを含む第1のコンジュゲートと組み合わせた場合、遺伝子送達の分野における長年にわたる主要なボトルネックを克服する、すなわち、エンドソーム膜を介してサイトゾル/ヌクレオソル内へ遺伝子治療産物を効率的に、安全に、且つ費用効率よくトランスファーさせることを可能にする。実際に、遺伝子治療は、広範な疾患における未来の高度な治療のための最も有望な治療選択肢の1つである。遺伝子送達の成功には、標的細胞の認識並びに遺伝子のサイトゾル及びヌクレオソルへの取り込みを必要とする。非ウイルス遺伝子治療の分野における主要な問題の1つは、患者における治療的使用のための遺伝子材料の非効率的で且つ不十分な安全送達である。
【0159】
したがって、リガンド又は好ましくは抗体(断片、ドメイン、好ましくはsdAb)などの細胞を標的とし、細胞表面分子を標的とする細胞標的化分子を含み、アンチセンスBNAなどのオリゴヌクレオチドを含み、細胞表面分子を標的とするsdAbを含む第一のコンジュゲートを含むAOC又はsdAbなどの本発明の第一のコンジュゲートと組み合わせた本発明の第二のコンジュゲートを適用した場合、本発明者らは今や、遺伝子送達分野において長年にわたって主要なボトルネックであった、遺伝子治療産物のエンドソーム膜を介したサイトゾル/ヌクレオソル内への安全なトランスファーの問題を克服することを可能にした。本発明の第1及び第2のコンジュゲートの組み合わせは、任意のアドレス可能な細胞型の、全ての知られた遺伝子薬剤による標的化、及びその後の遺伝子の効率的なサイトゾルへの送達を可能にするために設計された技術を示し、それによって、遺伝性障害に限らず、がん治療にも、したがって、大きな患者群にとっても重要なより良い患者治療を確実にする。本発明の第1及び第2のコンジュゲートに基づく技術は、標的化リガンド、又は(モノクローナル)(腫瘍細胞特異的)抗体若しくはその断片、又は好ましくはVHHなどのsdAbなどの細胞表面分子を標的とする分子のための、本明細書に例示されるようなサポニンなどのエンドソームエスケープエンハンサー(EEE)のための担体として機能するポリマー又はオリゴマー足場(本発明の共有結合サポニンコンジュゲート)、及び本発明による実施形態のサポニンを含む本発明の第2のコンジュゲートを含んでもよい。この場合、本発明の第1のコンジュゲートは、sdAbなどの第1の細胞表面分子結合分子、及びエフェクター部分、ここではLNA又はBNAなどのエフェクター遺伝子を含む。例えば細胞を標的とする抗体(断片)又はsdAbを含む、本発明の第2のコンジュゲートの、同じ又は異なる細胞表面を標的とするsdAb及びBNAなどのオリゴヌクレオチドを含む本発明の第1のコンジュゲートと組み合わせた使用は、いかなる種類の生物学的高分子もサイトゾル及び核にもたらす可能性を有する。新しいターゲティングリガンド、sdAb及びモノクローナル(ヒト、ヒト化)抗体の開発が、世界中の多くの研究グループ及び企業によって継続的に行われている。癌細胞などの疾患細胞のサイトゾルにおける送達を目的とするオリゴヌクレオチドについても同様である。したがって、本発明の第1及び第2のコンジュゲートはまた、現在及び将来のターゲティングsdAb及び抗体をクリックケミストリーによって使用することができ、カスタマイズされた薬物適用を可能にし、組織及び細胞ターゲティング技術の分野における将来の開発を可能にする分子ツールとして存在し、したがって、本発明による第1のコンジュゲートはまた、現在及び将来の治療用オリゴヌクレオチド(並びに、タンパク質毒素などのペイロード)をクリックケミストリーによって例えばsdAbに連結するか、又は連結することができ、カスタマイズされた薬物適用を可能にし、組織及び細胞ターゲティング技術の分野における将来の開発を可能にする分子ツールとして存在する。本発明の第1及び第2のコンジュゲートは、細胞表面分子を標的とする分子として抗体及びリガンドを含むことができるが、sdAbが好ましい。遺伝子治療薬の世界市場は急速に成長しており、癌、心血管疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、HIV及び多くの稀な(単一遺伝子)疾患などの広範な疾患領域のための潜在的な治療を対象としている。現在のウイルスベクターベースの遺伝子治療技術は、安全性、製造物流、及び関連する高コストなどの重大な課題を有する。本発明の第2のコンジュゲートは、送達する遺伝子及び細胞表面を標的とする分子、すなわちsdAbを含む本発明の第1のコンジュゲートと組み合わせた場合、現在のウイルス遺伝子送達技術の代替となる技術プラットフォームでの使用を可能にする。したがって、本発明の第1及び第2のコンジュゲートは、癌、心血管疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、HIV感染症、及び多くの稀な(単一遺伝子)疾患などの疾患の非ウイルス遺伝子治療を開発するためのアプローチに組み入れるのに好適である。本発明の第1及び第2のコンジュゲートは、標的アンチセンスBNAをベースとするなどの非ウイルスベクターをベースとした遺伝子治療薬を作製することによって、抗体薬物コンジュゲート(ADC)及びオリゴヌクレオチドベースの治療薬の分野を変革するための新規な治療の開発に好適である。本発明の第2のコンジュゲートの、特にsdAbなどの抗体及びサポニンを含む共有結合性コンジュゲートで、細胞表面分子結合分子、すなわちsdAb及びBNAなどのオリゴヌクレオチドを含む第1のコンジュゲートと組み合わせた適用は、本発明によって可能になる多くの有益なアプローチの1つである。例えば、本発明の第1及び第2のコンジュゲートの使用は、哺乳動物細胞のエンドサイトーシス経路の利用を可能にする。エンドサイトーシスは治療薬の送達のために利用され、本発明の第2のコンジュゲートは、第1のコンジュゲートに含まれる例えばsiRNAの取り込み及びエンドソームエスケープの改善に寄与する。好適には、本発明の第1及び第2のコンジュゲートは、例えばペイロード、オリゴヌクレオチドのための送達エンハンサーとして作用する小分子と共に好適に使用される。これによって、本発明のサポニンを有し、リガンドなどの共有結合的に結合した細胞を標的とする部分、好ましくは抗体(ドメイン又は断片、好ましくはVHH)を有する、本発明の第2のコンジュゲートと組み合わされた、BNAなどの共有結合したオリゴヌクレオチドを有し、共有結合した細胞を標的とする部分、すなわちsdAb、好ましくはVHHを有する本発明の第1のコンジュゲートは、遊離非標的化サポニンを含む2つの成分としてそれらを適用し、それ故、治療的承認及び臨床的適用性が複雑になることに関する、現在のエンドソームエスケープエンハンサー及び遺伝子治療産物で見られる現在の問題の解決策を提供する。サポニンを包含する本発明のそのような第2のコンジュゲートは、BNAなどの遺伝子産物及び(腫瘍)細胞標的化部分、すなわちsdAbを含む本発明の第1のコンジュゲートと組み合わされているからである。したがって、本発明は、エンドソームエスケープエンハンサー(例えば、本発明の実施形態及び提供する実施例のグリコシド)及び第2のターゲティングリガンド又は抗体(例えば、本発明の実施形態による、及び本明細書の以下の実施例の項で例示されるsdAb)が本発明の第2のコンジュゲートに含まれ、遺伝子治療産物(BNAなどの本発明によるオリゴヌクレオチド)、及び本発明の第2のコンジュゲートに包含される同一又は異なる細胞表面分子を標的とするsdAbなどの第1の細胞表面分子を標的とするsdAbを含む本発明の第1のコンジュゲートと組み合わされ、第1の細胞表面分子を標的とするsdAbが、本発明の第2のコンジュゲートの細胞表面分子を標的とする分子として同一又は異なる細胞表面分子に結合する、非ウイルス遺伝子送達技術を提供する。したがって、本発明のそのような第1及び第2のコンジュゲートは、広範囲の疾患及び大きな患者群のための現在及び将来の高分子薬物の治療機会を提供する。少なくとも1つのサポニンと、免疫グロブリン又はsdAbなどの少なくとも1つの特異的細胞標的化部分とを含む本発明のこのような第2のコンジュゲートを、少なくとも1つのオリゴヌクレオチド及び少なくとも1つの特異的細胞標的化部分、すなわちsdAbを含む本発明の第1のコンジュゲートと組み合わせて適用することにより、非細胞表面分子標的化遊離エンドソームエスケープエンハンサー(例えば、細胞表面分子結合抗体とコンジュゲートしていないサポニン)及び遺伝子治療産物を別々に適用する現在の方法にとって明らかであり、この現在の方法では両化合物が相互作用部位に同時に存在することを保証しない問題に対処する。この問題は本発明の第2のコンジュゲートを、核酸を含む本発明の第1のコンジュゲートと組み合わせて使用することによって解決された。ここで、本発明の第2のコンジュゲート及び第1のコンジュゲートの両方は、細胞表面分子を標的とする分子、例えば、第2のコンジュゲートを考慮した場合、本発明による、sdAbなどの抗体を含み、第1のコンジュゲートを考慮した場合、sdAbを含む。すなわち、本発明の第2のコンジュゲートとオリゴヌクレオチドを含む第1のコンジュゲートとのそのような組み合わせは、両方の化合物、すなわちサポニン及びBNAなどの遺伝子産物の(時間及び場所の)同期化が増大した非ウイルス遺伝子送達技術を提供する。
【0160】
遺伝子治療は、嚢胞性線維症、舞踏病、ハンチントン病又は血友病などの遺伝性の、以前は不治であった疾患を助けることができる。しかしながら、現在、いくつかの問題が解決されていない。例えば、治療遺伝子は、体内の特定の標的細胞に正確に到達しなければならない。一方、治療遺伝子は標的細胞に吸収されなければならないが、治療遺伝子は破壊されてはならない。現在の遺伝子治療は、遺伝子のためのフェリーとしてウイルスを使用する方法である。しかしながら、これらの手順はかなりのリスクを伴い、他の生体分子の導入に転用することはできない。一実施形態は、(植物由来の)グリコシド(例えば、本発明のサポニンのいずれか1つ)を含む本発明の第2のコンジュゲートであって、遺伝子が担体分子として本発明の第1のコンジュゲートに含まれる場合に、そのような遺伝子の送達を可能にするだけでなく、標的細胞に導入すべき異なる治療用生体分子の送達も可能にするプラットフォーム技術を使用するためのコンジュゲートである。したがって、本発明の第2のコンジュゲートは、嚢胞性線維症、舞踏病、ハンチントン病又は血友病のための核酸に基づく治療法を開発するために使用される。これにより、本発明の第2のコンジュゲートを用いて、嚢胞性線維症、ハンチントン病、及び血友病を有する患者を含む、遺伝性疾患を有する患者の健康を改善するための新しい遺伝子治療戦略が利用可能である。本発明の一部として、植物由来のエンドソームエスケープエンハンサー(グリコシド;すなわち本発明のサポニン)と、本発明の単一の第2のコンジュゲートに含まれるターゲティングリガンド(例えば、sdAbなどの抗体)とを、VHHなどの細胞表面分子結合sdAb及び遺伝子治療産物を含む本発明の第1のコンジュゲートと組み合わせるために組み合わせる非ウイルス遺伝子送達技術が開発される。本発明の第1及び第2のコンジュゲートに基づいて得られる非ウイルス遺伝子治療は、現在利用可能な戦略よりも低い用量の遺伝子を含む第1のコンジュゲートで、約40倍の送達効率を示す。これにより、本発明の第2のコンジュゲートは、嚢胞性線維症患者のような欠陥遺伝子の修復又は置換のため、また、例えば癌細胞を破壊するための特定の遺伝子の標的化送達のためなど、臨床用途で使用するためのものである。実際、本発明の第1及び第2のコンジュゲートは、嚢胞性線維症、ハンチントン病及び血友病などの遺伝的欠陥によって引き起こされ、現在治癒させることができないあらゆる疾患の治療レジメンにおける適用に好適である。本発明の第1及び第2のコンジュゲートを用いる遺伝子治療は、現在の以下の2つの問題を解決するのに役立つ。第1に、本発明の第2のコンジュゲートにより、体内の特定の標的細胞に治療遺伝子を含む第1のコンジュゲートを送達することが可能であり、第2に、治療遺伝子は、例えば本発明のオリゴマー又はポリマー足場(本発明の共有結合エフェクター分子コンジュゲート)を本発明の第1及び第2のコンジュゲートの一部として使用することによって、サポニン及び標的細胞に結合するための抗体又はsdAbなどのターゲティング部分(本発明の第2のコンジュゲート)が存在し、且つ、オリゴヌクレオチド産物及び標的細胞に結合するための、ターゲティングsdAb(本発明の第1のコンジュゲート)が存在するために、標的細胞の内部に入るが、破壊されることはない。
【0161】
本発明はまた、癌を治療する方法であって、本発明による第2のコンジュゲートを含む医薬を、それを必要とする患者に、本発明の第1のコンジュゲート、すなわちエフェクター分子及び細胞表面分子結合sdAbを含むADC又はAOCと組み合わせて投与すること、好ましくは、有効用量の前記医薬を、それを必要とする患者、好ましくはヒト癌患者に投与することを含む方法を提供する。
【0162】
投与に好適な形態に関する考慮すべき事項は、当該技術分野において知られており、毒性効力、溶解度、投与経路、及び活性の維持が含まれる。例えば、血流に注入される薬理学的組成物は、可溶性でなければならない。
【0163】
好適な剤形は、用途又は投与経路、例えば経皮又は注入に依存する。そのような剤形は、標的細胞が多細胞宿主中に存在するかどうかにかかわらず、化合物が標的細胞に到達できるようにしなければならない。他の因子は当技術分野において知られており、それには、毒性、及び化合物又は組成物がその効果を発揮するのを遅らせる剤形などの考慮事項が含まれる。
【0164】
【表1】
【0165】
【表2】
【0166】
【表3】
【0167】
【表4】
【0168】
【表5】
【実施例
【0169】
実施例及び例示的実施形態
実施例1.VHH-SO1861+mAb-サポリン(1T2C及び2T2C)
1標的2成分系(1T2C)は、VHH-SO1861及びmAb-タンパク質毒素の組み合わせ治療であり、VHH及びmAbは同じ細胞表面受容体を認識し結合する(図1A)。2標的2成分系(2T2C)は、VHH-SO1861及びmAb-タンパク質毒素の組み合わせ治療であり、VHHはmAbと異なる細胞表面受容体を認識し結合する(図1B)。SO1861-EMCHを、末端システイン残基(Cys)を介して抗HER2VHHにDAR1でコンジュゲートさせた(不安定)させた(HER2VHH-SO1861)。HER2VHH-SO1861を、固定濃度10pMのCD71mab-サポリン(タンパク質毒素サポリンにDAR4でコンジュゲートされたCD71モノクローナル抗体)又は固定濃度50pMのトラスツズマブ-サポリン(タンパク質毒素サポリンにDAR4でコンジュゲートされたトラスツズマブ)に対してタイトレーションした。SK-BR-3(HER2++/CD71)及びMDA-MB-468(HER2/CD71)に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。これにより、10pMのCD71mab-サポリン又は50pMのトラスツズマブ-サポリンの両方との組み合わせで、SK-BR-3における低濃度のHER2VHH-SO1861での細胞死滅の増強が明らかになった(IC50=300nM;図2A)。HER2VHH-SO1861単独の同等濃度は、高濃度(IC50=4,000nM)で細胞死滅を誘導したが、HER2VHH、HER2VHH+CD71mab-サポリン、又はHER2VHH+トラスツズマブ-サポリンの同等濃度は、細胞死滅活性を誘導することができなかった(IC50>5000nM;図2A)。MDA-MB-468(HER2/CD71)においては、HER2VHH-SO1861+10pMのCD71mab-サポリンの組み合わせが高濃度(IC50=2.000nM;図2B)で細胞死滅活性を示す一方、HER2VHH-SO1861+50pMのトラスツズマブ-サポリンの組み合わせは、はるかに高い濃度(IC50>5,000nM;図2B)で細胞死滅活性を示した。HER2VHH、HER2VHH+CD71mab-サポリン又はHER2VHH+トラスツズマブ-サポリンの同等濃度は、MDA-MB-468細胞において細胞死滅活性を誘導することができなかった(IC50>5.000nM;図2B)。
【0170】
この全ては、SO1861-EMCHのHER2を標的とするVHHへのコンジュゲーションが、標的化タンパク質毒(同一又は異なる細胞表面受容体を標的としている)のエンドソームエスケープ及び細胞質送達を増強し、HER2発現細胞の細胞死滅をもたらすことを示している。
【0171】
次に、トラスツズマブ-サポリン又はCD71mab-サポリンを、固定濃度900nMのHER2VHH-SO1861に対してタイトレーションし、SK-BR-3(HER2++/CD71)及びMDA-MB-468(HER2/CD71)に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。これにより、低濃度のトラスツズマブ-サポリン又はCD71mab-サポリンと組み合わせた900nMのHER2VHH-SO1861はSK-BR-3の効率的な細胞死滅を既に誘導した(IC50=0.0001pM;図3A)が、一方CD71mab-サポリン+900nM HER2VHH又はトラスツズマブ-サポリン+900nM HER2VHHは高濃度になって(それぞれIC50=50pM;IC50=400pM;図3)細胞死滅を誘導し得たことが明らかになった。MDA-MB-468細胞(HER2/CD71)においては、CD71mab-サポリン+900nM HER2VHH-SO1861は、IC50=0.01pMで細胞死滅を示し、一方、トラスツズマブ-サポリン+900nM HER2VHH-SO1861は、IC50=2,000pMで活性を示した。トラスツズマブ-サポリン+900nMのHER2VHH又はCD71mab-サポリン+900nM HER2VHHは、(それぞれIC50>10,000pM及びIC50=20pM、図3B)になってようやく細胞死滅を示した。この全ては、HER2++/CD71発現細胞において、比較的低濃度のトラスツズマブ-サポリン又はCD71mab-サポリンが有効であり、比較的低濃度のHER2VHH-SO1861(DAR1)と組み合わせて細胞死滅を誘導し得ることを示す。
【0172】
注:実施例を含む説明全般を通して、及び特許請求の範囲において、「VHH」及び「VHH」は、同じタイプの単一ドメイン抗体(sdAb)を指すものと理解されるべきである。
【0173】
実施例2.VHH-SO1861+VHH-ジアンチン(2T2C)
2標的2成分系(2T2C)は、VHH1-SO1861及びVHH2タンパク質毒素の組み合わせ治療であり、各VHHは別の細胞表面受容体を認識する(図1C)。SO1861-EMCHを、HER2を標的とするVHHの末端システイン残基にコンジュゲートし、HER2VHH-SO1861(DAR1)を生成した。HER2VHH-SO1861を、固定濃度50pMのCD71VHH-ジアンチンに対してタイトレーションし、SK-BR-3(HER2++/CD71)及びMDA-MB-468(HER2/CD71)に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。これにより、比較的低濃度のVHHHER2-L-SO1861での細胞死滅の増強が明らかになった(SK-BR-3:IC50=300nM;図4A) HER2VHH-SO1861単独の同等濃度は、高濃度(IC50=4,000nM)で細胞死滅を誘導したが、HER2VHH、HER2VHH+50pM CD71VHH-ジアンチンの同等濃度は、細胞死滅を誘導することができなかった(IC50>5,000nM;図4A)。MDA-MB-468(HER2/CD71))においては、HER2VHH-SO1861+50pMCD71VHH-ジアンチンの組み合わせは高濃度(IC50=600nM;図4B)で細胞死滅活性を示したが、HER2VHH、HER2VHH-SO1861又はHER2VHH+50pMCD71VHH-ジアンチンの同等濃度は細胞死滅活性を誘導することができなかった(IC50>5,000nM;図4B)。
【0174】
次に、CD71VHH-ジアンチンを、固定濃度900nMのHER2VHH-SO1861に対してタイトレーションし、SK-BR-3(HER2++/CD71)及びMDA-MB-468(HER2/CD71)に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。これにより、低濃度のCD71VHH-ジアンチンと組み合わせた900nMのHER2VHH-SO1861はSK-BR-3細胞の効率的な細胞死滅を誘導した(IC50=0.05pM;図5A)が、一方CD71VHHジアンチン又はCD71VHHH-ジアンチン+900nM HER2VHHは高濃度になって(IC50>10,000pM);図5A)細胞死滅を誘導し得たことが明らかになった。さらに、CD71VHH-ジアンチンをまた、固定濃度77nMのトラスツズマブ-SO1861(DAR4)に対してタイトレーションし、これによって、SK-BR-3(HER2++/CD71)細胞における細胞死滅活性の強い増強も明らかになった((IC50<0.0001pM))。MDA-MB-468細胞(HER/CD71)においては、CD71VHH-ジアンチン+900nM HER2VHH-SO1861は非常に高い濃度(IC50=10pM、図5B)になって細胞死滅を示し、一方、CD71VHH-ジアンチン、CD71VHH-ジアンチン+900nM HER2VHH、又はCD71VHH-ジアンチン+トラスツズマブ-SO1861(DAR4)はIC50=2,000pM;図5B)になって細胞死滅を示した。
【0175】
この全ては、高HER2/CD71発現細胞において、比較的低濃度のVHHCD71-ジアンチンが有効であり、低濃度のVHHHER2-SO1861コンジュゲートと組み合わせて細胞死滅を誘導し得ることを示す。
【0176】
本発明による組み合わせは、MDA-MB-468細胞(HER2/CD71)においては、細胞死滅活性を全く示さなかった。これは、十分な受容体の発現がなければ、細胞内に送達されるSO1861が、タンパク質毒素のエンドソームエスケープ及び細胞質送達を誘導する有効濃度(閾値)に達しないことを示している。
【0177】
実施例3.VHH-ジアンチン+mAb-SO1861(1T2C及び2T2C)
1標的2成分系(1T2C)は、mAb-SO1861及びVHH-タンパク質毒素の組み合わせ治療であり、mAb及びVHHは同じ細胞表面受容体を認識し結合する(図1E)。2標的2成分系(2T2C)は、mAb-SO1861及びVHH-タンパク質毒素の組み合わせ治療であり、mAb及びVHHは同じ細胞表面受容体を認識し結合する(図1D)。
【0178】
ジアンチン-C(末端システインを有するジアンチン)を、HER2を標的とするVHH、CD71を標的とするHH、EGFRを標的とするHHの末端システイン残基にコンジュゲートして、HER2VHH-ジアンチン(DAR1)、CD71VHH-ジアンチン(DAR1)及びEGFRVHH-ジアンチン(DAR1)を生成した。
【0179】
CD71VHH-ジアンチン、HER2VHH-ジアンチン又はEGFRVHH-ジアンチンを、固定濃度のセツキシマブ-SO1861(DAR4)に対してタイトレーションし、A431(EGFR++/HER2+/-/CD71)及びA2058(EGFR/HER2+/-/CD71)に対する標的かタンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。これにより、77nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせた非常に低濃度のCD71VHH-ジアンチンが、A431細胞の効率的な細胞死滅を誘導した(IC50<0.0001pM;図6A)のに対し、CD71VHH-ジアンチン単独は、IC50=2000pMで活性を示したことを明らかになった。EGFRVHH-ジアンチン+77nM セツキシマブ-SO1861、及びHER2VHH-ジアンチン+77nMのセツキシマブ-SO1861の他の2つの組み合わせは、それぞれIC50=20pM及びIC50=50pMで効率的な細胞死滅を示したが、EGFRVHH-ジアンチン又はHER2VHH-ジアンチン単独では、A431細胞において効率的な細胞死滅を誘導することができなかった(IC50>10,000pM;図6A)。A2058細胞(EGFR/HER2+/-/CD71)においては、CD71VHH-ジアンチン、及びCD71VHH-ジアンチン+77nMセツキシマブ-SO1861は、それぞれIC50=3.000pM及びIC50=1.000pMで細胞死滅活性を示したが、他の全ての処理又は組み合わせでは、A2058細胞において、IC50=10,000pMのVHH-毒素まで細胞死滅を示さなかった(図6B)。
【0180】
これは、セツキシマブ-SO1861(DAR4)が、3つの異なるVHH-ジアンチンコンジュゲートのエンドソームエスケープを効率的に誘導することができ、それによって、A431細胞における細胞死滅の誘導が増強されることを示している。
【0181】
次に、CD71VHH-ジアンチン、HER2VHH-ジアンチン又はEGFRVHH-ジアンチンを、固定濃度のトラスツズマブ-SO1861(DAR4)に対してタイトレーションし、SK-BR-3(HER2++/EGFR/CD71)及びMDA-MB-468細胞(HER2/EGFR++/CD71)に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。これにより、77nMのセツキシマブ-SO1861と組み合わせた非常に低濃度のCD71VHH-ジアンチンが、SK-BR-3細胞の効率的な細胞死滅を誘導した(IC50<0.0001pM;図7A)のに対し、CD71VHH-ジアンチン単独は、IC50=10,000pMで活性を示したことを明らかになった。EGFRVHH-ジアンチン+77nM トラスツズマブ-SO1861、及びHER2VHH-ジアンチン+77nMのトラスツズマブ-SO1861の他の2つの組み合わせは、それぞれIC50=400pM及びIC50=6pMで効率的な細胞死滅を示したが、EGFRVHH-ジアンチン又はHER2VHH-ジアンチン単独では、SK-BR-3細胞において効率的な細胞死滅を誘導することができなかった(IC50>10,000pM;図7A)。MDA-MB-468細胞(HER2/EGFR++/CD71)においては、CD71VHH-ジアンチン、及びCD71VHH-ジアンチン+77nMセツキシマブ-SO1861は、それぞれ、IC50=3000pM及びIC50=2000pMで細胞死滅活性を示したが、他の全ての処理又は組み合わせでは、MDA-MB-468細胞において、IC50=10,000pMのVHH-ジアンチンまで細胞死滅を示さなかった(図7B)。これは、トラスツズマブ-SO1861(DAR4)が、3つの異なるVHH-ジアンチンコンジュゲートのエンドソームエスケープを効率的に誘導することができ、それによって、SK-BR-3細胞における細胞死滅の誘導が増強されることを示している。
【0182】
材料及び方法
材料
SO1861は、Analyticon Discovery GmbHによって、サポナリア・オフィキナリス(Saponaria officinalis)から得た生植物抽出物から単離され精製された。VHHは、QVQ、Utrecht、The Netherlandsから購入した(HER2VHH:クローン名:Q17c;CD71VHH:クローン名:Q52c;EGFRVHH:クローン名:Q86c)。トラスツズマブ(Tras、Herceptin(登録商標)、Roche)、セツキシマブ(Cet、Erbitux(登録商標)、Merck KGaA)は、薬局(Charite、Berlin)から購入した。CD71モノクローナル抗体は、BioCell(Okt9、#BE0023)から購入した。カスタムトラスツズマブ-サポリン及び抗CD71mab-サポリンコンジュゲートは製造され、Advanced Targeting Systems(San Diego、CA)から購入した。単一のC末端システインを有するジアンチン変異体のジアンチン-Cys(Dia-Cysは、Proteogenix、Franceによって製造された。
【0183】
トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP、98%、Sigma-Aldrich)、5,5-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB、エルマン試薬、99%、Sigma-Aldrich)、Zeba(商標)スピン脱塩カラム(2mL、Thermo-Fisher)、NuPAGE(商標)4-12%ビス-トリスプロテインゲル(Thermo-Fisher)、NuPAGE(商標)MES SDS泳動緩衝液(Thermo-Fisher)、Novex(商標)Sharp染色済みタンパク質標準(Thermo-Fisher)、PageBlue(商標)タンパク質染色溶液(Thermo-Fisher)、Pierce(商標)BCAタンパク質アッセイキット(Thermo-Fisher)、N-エチルマレイミド(NEM、98%、Sigma-Aldrich)、1,4-ジチオスレイトール(DTT、98%、Sigma-Aldrich)、Superdex G25(GE Healthcare)、Superdex G50M(GE Healthcare)、Superdex 200P(GE Healthcare)、イソプロピルアルコール(IPA、99.6%、VWR)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス、99%、Sigma-Aldrich)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩(トリス・HCL、Sigma-Aldrich)、L-ヒスチジン(99%、Sigma-Aldrich)、D-(+)-トレハロース脱水物(99%、Sigma-Aldrich)、ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート(TWEEN(登録商標) 20、Sigma-Aldrich)、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS、Thermo-Fisher)、グアニジン塩酸塩(99%、Sigma-Aldrich)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物(EDTA-Na、99%、Sigma-Aldrich)、無菌フィルター0.2μm及び0.45μm(Sartorius)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC、Thermo-Fisher)、Vivaspin T4及びT15濃縮器(Sartorius)、Superdex 200PG(GE Healthcare)、テトラ(エチレングリコール)スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(PEG-SPDP、Thermo-Fisher)、HSP27 BNAジスルフィドオリゴヌクレオチド(Biosynthesis)、[O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N,N-テトラメチルウロニウム-ヘキサフルオロホスファート](HATU、97%、Sigma-Aldrich)、ジメチルスルホキシド(DMSO、99%、Sigma-Aldrich)、N-(2-アミノエチル)マレイミドトリフルオロ酢酸塩(AEM、98%、Sigma-Aldrich)、L-システイン(98.5%、Sigma-Aldrich)、脱イオン水(DI)はUltrapure Lab Water Systems(MilliQ、Merck)から新しく取った、ニッケル-ニトリロトリ酢酸アガロース(Ni-NTAアガロース、Protino)、グリシン(99.5%、VWR)、5,5-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸(エルマン試薬、DTNB、98%、Sigma-Aldrich)、S-アセチルメルカプトコハク酸無水物フルオレセイン(SAMSA試薬、Invitrogen)、重炭酸ナトリウム(99.7%、Sigma-Aldrich)、炭酸ナトリウム(99.9%、Sigma-Aldrich)、Sephadex G-25樹脂(GE Healthcare)充填PD MiniTrap脱塩カラム、PD10 G25脱塩カラム(GE Healthcare)、Zebaスピン脱塩カラム0.5、2、5及び10mL(Thermo-Fisher)、Vivaspin遠心フィルターT4 10kDa MWCO、T4 100kDa MWCO、及びT15(Sartorius)、Biosep s3000 aSECカラム(Phenomenex)、Vivacell限外濾過ユニット10及び30kDa MWCO(Sartorius)、Nalgene Rapid-Flowフィルター(Thermo-Fisher)。
【0184】
方法
SO1861-EMCH合成
SO1861(121mg、0.065mmol)及びEMCH・TFA(110mg、0.325mmol)に、メタノール(過剰乾燥、3.00mL)及びTFA(0.020mL、0.260mmol)を加えた。反応混合物を室温で撹拌した。1.5時間後、反応混合物を分取MP-LCにかけた。生成物に対応する画分を直ちに一緒にプールし、凍結し、一晩凍結乾燥して、標題化合物(120mg、90%)を白色の綿毛状固体として得た。
LC-MSに基づく純度 96%。
LRMS(m/z):2069[M-1]1-
LC-MSr.t.(min):1.08
【0185】
細胞生存率アッセイ
処理後、細胞を37℃で72時間インキュベートし、その後、製造者の説明書に従って実施したMTSアッセイによって細胞生存率を決定した(CellTiter 96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイ、Promega)。簡潔に記載すると、MTS溶液を、10%FBSを補充したフェノールレッドを含まないDMEM(PAN-Biotech GmbH)で20×に希釈した。細胞を1ウェル当たり200μLのPBSで1回洗浄し、その後、1ウェル当たり100μLの希釈MTS溶液を加えた。プレートを37℃で約20~30分間インキュベートした。続いて、492nmのODを、Thermo Scientific Multiskan FCプレートリーダー(Thermo Scientific)で測定した。定量化のために、「培地のみ」のウェルのバックグラウンドシグナルを全ての他のウェルから差し引いた後、処理/未処理細胞の細胞生存率を、処理ウェルのバックグラウンド補正済シグナルを未処理ウェルのバックグラウンド補正済シグナルで割ることによって算出した(×100)。
【0186】
FACS分析
10cmの皿に、細胞を、10%ウシ胎児血清(PAN-Biotech GmbH)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(PAN-Biotech GmbH)を補充したDMEM(PAN-Biotech GmbH)によって、500,000c/プレートで播種し、48時間(5%CO、37℃)、90%のコンフルエンシーに達するまでインキュベートした。次に、細胞をトリプシン処理(TryplE Express、Gibco Thermo Scientific)して単一細胞とした。0.75×10個の細胞を15mLファルコンチューブに移し、遠心分離した(1,400rpm、3分)。細胞ペレットを沈めたまま、上清を廃棄した。ボルテックスシェーカー上でファルコンチューブを穏やかにタッピングすることによってペレットを解離させ、細胞を4mLの冷PBS(Mg2+及びCa2+を含まない、2%FBS)で洗浄した。洗浄後、細胞を3mLの冷PBS(Mg2+及びCa2+を含まない、2%FBS)に再懸濁し、3つの丸底FACSチューブに等分した(1mL/チューブ)。細胞を再度遠心分離し、200μLの冷PBS(Mg2+及びCa2+を含まない、2%FBS)、又は195μLの冷PBS(Mg2+及びCa2+を含まない、2%FBS)中に5μLの抗体を含む200μLの抗体溶液に再懸濁した。APCマウスIgG1、κAPC抗ヒトEGFR(#352906、Biolegend)を使用して、EGFR受容体を染色した。PE抗ヒトHER2 APC抗ヒトCD340(erbB2/HER-2)(#324408 Biolegend)を使用してHER2受容体を染色し、PEマウスIgG2a、κアイソタイプCtrl FC(#400212、Biolegend)を、その対応するアイソタイプ対照として使用した。PE抗ヒトCD71(#334106、Biolegend)を用いてCD71受容体を染色し、PEマウスIgG2a、κアイソタイプCtrl FC(#400212、Biolegend)をその対応するアイソタイプ対照として用いた。試料を、チューブローラーミキサー上で4℃にて30分間インキュベートした。その後、細胞を冷PBS(Mg2+及びCa2+を含まない、2%FBS)で3回洗浄し、PBS中の2%PFA溶液を用いて室温で20分間固定した。細胞を冷PBSで2回洗浄し、FACS分析のために250~350μLの冷PBSに再懸濁した。試料を、BD FACSCanto IIフローサイトメトリーシステム(BD Biosciences)及びFlowJoソフトウェアを用いて分析した。種々の細胞におけるEGFR、HER2及びCD71の細胞表面発現の分析結果を、表A2にまとめる。
【0187】
【表6】
【0188】
HH-SO1861のコンジュゲート化手順
HHのアリコートに、新しく調製したTCEP溶液(10.0mg/ml)のアリコートを加え、この混合物を短時間ボルテックスし、次いで、ローラーミキシングしながら20℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、得られたVHH-SHを、zebaスピン脱塩カラムを用いてTBS(pH7.5)へのゲル濾過により精製した。得られたVHH-SHに、新しく調製したSPT-EMCH溶液を加え、混合物を短時間ボルテックスし、次いで、20℃で一晩インキュベートした。
【0189】
インキュベーション後、VHH-SO1861混合物のアリコートを取り出し、エルマンアッセイによって特性を明らかにし、SO1861の組み込みを確認した。このコンジュゲートを、DPBS(pH7.5)で溶出する1.6×35cm Superdex 200PGカラムにより精製して、精製VHH-SO1861を得た。アリコートを0.2μmに濾過し、濃縮し、1.0mg/mlに標準化してVHH-SO1861を得た。
【0190】
HH-ジアンチンのコンジュゲート化手順
ジアンチン-Cysを、vivaspin T15 10KDa MWCO遠心フィルターを使用する限外濾過によって濃縮し、緩衝液をTBS(pH7.5)に交換した。濃縮されたジアンチン-Cysに、新しく調製したTCEP溶液(10.0mg/ml)のアリコートを添加し、この混合物を短時間ボルテックスし、次いで、ローラーミキシングしながら20℃で60分間インキュベートした。インキュベーション後、得られたジアンチン-SHを、zebaスピン脱塩カラムを使用するゲル濾過によって精製し、次いで、vivaspin T15 10KDa MWCO遠心フィルターを使用して、TBS(pH7.5)への遠心分離-洗浄サイクルを繰り返した。得られたジアンチン-SHを、新しく調製したDMSO中のDTME溶液(10mg/ml)と反応させ、混合物を短時間ボルテックスし、次いで、20℃で60分間インキュベートした。その後、zebaスピン脱塩カラムを用いてTBS(pH7.5)へのゲル濾過によりに精製し、ジアンチン-DTMEを得た。ジアンチン-DTMEを、コンジュゲートするまで20℃で保存した。同時に、VHHのアリコートを、vivaspin T15 10KDa MWCO遠心フィルターを使用する限外濾過によって濃縮し、緩衝液をTBS(pH7.5)に交換した。濃縮したVHHに、新しく調製したTCEP溶液(10.0mg/ml)のアリコートを添加し、この混合物を短時間ボルテックスし、次いで、ローラーミキシングしながら37℃で60分間インキュベートした。インキュベーション後、得られたVHHを、zebaスピン脱塩カラムを使用するゲル濾過によって精製し、次いで、vivaspin T4 5KDa MWCO遠心フィルターを使用して、TBS(pH7.5)への遠心分離-洗浄サイクルを繰り返した。得られたVHH-SHのアリコートをジアンチン-DTMEと反応させ、混合物を短時間ボルテックスし、次いで、20℃で一晩インキュベートした。その後、反応混合物をvivaspin T4 10KDa MWCO遠心チューブを用いて濃縮し、1.6×35cm Superdex 200PGカラムを用いたゲル濾過により精製し、DPBS(pH7.5)に溶出した。
【0191】
抗体-(L-SO1861)
トラスツズマブ、セツキシマブは、以下、「Ab」と称する。Abを、1、2、3、4、5及び6のDARでマイケル型チオール-エンコンジュゲート化反応によってサポニンSO1861-EMCHにコンジュゲートさせた。SO1861-EMCH分子は、その構造とそのマレイミド官能基との間に不安定な(L)ヒドラゾン結合を得て、サポニンとAbとの間に不安定な結合を生成する。手順は、トラスツズマブ-(L-SO1861)について例示的に記載する。
【0192】
セツキシマブ(40mg、8.0ml)の溶液に、それぞれ10μl/mlのトリス濃縮物(127mg/ml、1.05M)、トリス・HCl濃縮物(623mg/ml、3.95M)及びEDTA-Na濃縮物(95mg/ml、0.26M)を加えて、50mM TBS、2.5mM EDTA緩衝液(pH7.5)を得た。
【0193】
セツキシマブを4分割し(それぞれ9.73mg、4.864mg/ml、65nmol)、新しく調製したTCEP溶液のアリコート(0.5~2.0mg/ml、1.15~7.02モル当量、75~455nmol)を加え、混合物を短時間ボルテックスし、次いで、ローラーミキシングしながら20℃で300分間インキュベートした。インキュベーション後(SO1861-EMCHの添加前)、約1mg(0.210ml)のAb-SHのアリコートを各混合物から取り出し、zebaスピン脱塩カラムを使用してTBS(pH7.5)へのゲル濾過により精製した。
これらのアリコートの特性を、UV-vis分析及びエルマンアッセイによって明らかにした(チオール対Ab比=それぞれ2.0、4.2、5.9及び6.8)。バルクAb-SHのそれぞれに、新しく調製したSO1861-EMCH溶液のアリコート(2mg/ml、1「チオール」当たり1.3モル当量、0.15~0.61μmol、0.16~0.63ml)を添加し、混合物を短時間ボルテックスし、次いで、20℃で120分間インキュベートした。各コンジュゲート化反応の他に、脱塩したAb-SHの2つのアリコート(0.25mg、1.67nmol)を、それぞれ正及び負の対照として、NEM(1「チオール」当たり1.3モル当量、4.3~17.4nmol、0.25mg/ml溶液の2.2~8.7μl)又はTBS(pH7.5)緩衝液(2.2~8.7μl)と20℃で120分間反応させた。インキュベーション後(NEMの添加前)、0.200mlのAb-SO1861-EMCHのアリコートを取り出し、zebaスピン脱塩カラムを使用してTBS(pH7.5)へのゲル濾過により精製した。このアリコートの特性をUV-visによって明らかにし、並行して、陽性対照及び陰性対照の特性をエルマンアッセイによって明らかにし、SO1861-EMCH組み込みを得た。バルクAb-SO1861-EMCH混合物に、新しく調製したNEM溶液(2.5mg/ml、2.5~10モル当量、0.15~0.58μmol)のアリコートを添加し、混合物を、DPBS(pH7.5)で溶出するzebaスピン脱塩カラムによって精製し、精製セツキシマブ-(L-SO1861)コンジュゲートを得た。この生成物を2.5mg/mlに標準化し、0.2μmに濾過した後、生物学的評価のために分配した。トラスツズマブ-L-SO1861コンジュゲートの反応条件及び結果、並びにセツキシマブ-L-SO1861コンジュゲートの反応条件及び結果を表A3及び表A4に要約する。
【0194】
【表7】
【0195】
【表8】
【0196】
タンパク質毒素又はサポニンに共有結合した抗体及び受容体リガンドに関する多数の実施形態の概要
mAb:トラスツズマブ(HER2)又はセツキシマブ(EGFR)
リガンド:EGF
タンパク質毒素:リボソーム不活化たんぱく質、サポリン、ジアンチン
サポニンとリガンドのエンドソームエスケープ増強コンジュゲート:
mAb-SO1861エンドソームエスケープ増強コンジュゲート
・切断可能ヒドラゾンリンカーを含む
・トラスツズマブ-SO1861 DAR 4.0
・セツキシマブ-SO1861 DAR 3.7;
インビトロ又はインビボ試験モデルにおいて、サポニンとリガンドのエンドソームエスケープ増強コンジュゲートは、以下と組み合わされる:
mAb/リガンド-タンパク質毒素コンジュゲート
・切断不可能な化学リンカーを含有するか、又は組換え融合タンパク質である
・トラスツズマブ-サポリン DAR 3.0
・セツキシマブ-サポリン DAR 2.6
・トラスツズマブ-ジアンチン DAR 1.0
・EGF-ジアンチン(融合タンパク質) DAR 1.0
・IgG-サポリン DAR 2.2
【0197】
実施例4~9について:
材料:
トラスツズマブ及びセツキシマブは、薬局(Charite、Berlin)から購入した。SO1861は、Analyticon Discovery GmbHによって、サポナリア・オフィキナリス L(Saponaria officinalis L)から得た生植物抽出物から単離され精製された。
方法
SO1861-EMCH合成
SO1861は、サポナリア・オフィキナリス L(Saponaria officinalis L)(Analyticon Discovery GmbH)から得、当該技術分野で知られた従来の工程によってEMCHに結合させた。
SO1861の抗体へのコンジュゲート化
トラスツズマブ-SO1861及びセツキシマブ-SO1861のカスタム生産は、FleetBioprocessing(UK)によって行われた。SO1861-EMCHを抗体のシステインにコンジュゲートさせた。
トラスツズマブ及びセツキシマブへのサポリンのコンジュゲート化
カスタムトラスツズマブ-サポリン及びセツキシマブ-サポリンコンジュゲートは、Advanced Targeting Systems(San Diego、CA)で製造され、そこから購入した。IgG-サポリン及びサポリンは、Advanced Targeting Systemsから購入した
FACS分析
FACS分析を BD FACSCanto IIで行い、FlowJo V10ソフトウェアによりデータ分析した。FACS抗体は以下のとおりであった:1)アイソタイプ:APCマウスIgG1、κアイソタイプCtrl(FC)(400122、Biolegend).EGFR:APC抗ヒトEGFR(352906、Biolegend)HER2:APC抗ヒトCD340(erbB2/HER-2)(324408、Biolegend)。
ジアンチン生成
ジアンチンを細菌培養物中で発現させ、このたんぱく質を当該技術分野で知られた従来の細胞培養及びタンパク質精製工程に従って精製した。
抗体のジアンチンへのコンジュゲート化
抗体とジアンチンへのコンジュゲート化は、当該技術分野で知られている一般的な手順に従った。
細胞培養
細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)(PAN-Biotech GmbH)を補充したDMEM(PAN-Biotech GmbH)中、37℃及び5%COで培養した。
細胞生存率アッセイ
細胞を96ウェルプレートに100μL/ウェルで1ウェル当たり5.000~10.000個播種し、37℃で一晩インキュベートした。翌日、抗体にコンジュゲートしたSO1861(すなわち、本発明の「結合分子」又は「エンドソームエスケープ増強コンジュゲート」)及び標的化毒素(すなわち、「結合分子」)を共に10×最終濃度で含有するPBS中の10×濃縮処理混合物試料を調製した。培地を細胞培養プレートから除去し、180μLの培養培地に置き換え、続いて1ウェル当たり20μLの処理混合物を添加した。対照については、対応する濃度の抗体結合SO1861のみ、抗体のみ、SO1861のみ、標的化毒素のみ、又はビヒクル対照として化合物を含まないPBSを含有する10×処理混合物試料を調製した。エンドソーム酸性化阻害剤(クロロキン(Sigma Aldrich)又はバフィロマイシンA1(Enzo Life Sciences))を使用した場合、処理工程1における細胞培養培地を、1μMのクロロキン又は0.2μMのバフィロマイシンA1を含有する180μLの培地に置き換えた。プレートを37℃で1時間インキュベートした後、10×処理混合物試料を添加した。残りのインキュベーション及び処理工程は、当該技術文で知られた標準的な手順に従って行った。
【0198】
処理後、細胞を37℃で72時間インキュベートし、その後、製造者の説明書に従って実施したMTSアッセイによって細胞生存率を決定した(CellTiter 96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイ、Promega)。簡潔に記載すると、MTS溶液を、10%FBSを補充したフェノールレッドを含まないDMEM(PAN-Biotech GmbH)で20×に希釈した。細胞を1ウェル当たり200μLのPBSで1回洗浄し、その後、1ウェル当たり100μLの希釈MTS溶液を加えた。プレートを37℃で約20~30分間インキュベートした。続いて、492nmの光学密度を、Thermo Scientific Multiskan FCプレートリーダー(Thermo Scientific)で測定した。定量化のために、「培地のみ」のウェルのバックグラウンドシグナルを全ての他のウェルから差し引いた後、処理/未処理細胞の割合を、未処理ウェルのバックグラウンド補正済シグナルを処理ウェルのバックグラウンド補正済シグナルで割ることによって算出した。
【0199】
結果
実施例4.1標的2成分系
1標的2成分系はmAb1-タンパク質毒素とmAb1-SO1861の組み合わせ処理であり(図1A、Eを参照)、2標的2成分系はmAb1-タンパク質毒素とmAb2-SO1861、又はmAb2-タンパク質毒素とmAb1-SO1861の組み合わせである(図1B~D)。
【0200】
セツキシマブ-SO1861(サポニン分子SO1861にコンジュゲートされたEGFRを認識し結合するモノクローナル抗体;エンドソームエスケープ増強コンジュゲート)を、固定濃度10pMのセツキシマブ-サポリン(タンパク質毒素、サポリンにコンジュゲートされたEGFRを認識し結合するモノクローナル抗体)に対してタイトレーションし(SO1861の濃度で算出)、高EGFR発現細胞に対する細胞死滅を測定した。高EGFR発現細胞(A431又はCaSKi)は、10pMのセツキシマブ-サポリンを高濃度の非標的化非コンジュゲート化SO1861と組み合わせた場合、効率的な細胞死滅を示した(A431:[SO1861]IC50=600nM及びCaski:[SO1861]IC50=700nM;図8A、8B;表A6)。しかしながら、セツキシマブ-サポリンをセツキシマブ-SO1861と組み合わせた場合、強力な細胞死滅が、低濃度のSO1861で既に誘導された(A431:[SO1861]IC50=5nM及びCaski[SO1861]IC50=8nM;図8A、8B;表A6)。これは、標的化コンジュゲートSO1861が、非標的化非コンジュゲートSO1861と比較して、エンドソームエスケープの誘導により効果的であることを示している。次に、セツキシマブ-サポリンを、固定濃度300nMのセツキシマブ-SO1861に対してタイトレーションし、EGFR発現細胞に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。高EGFR発現細胞(A431又はCaSKi)は、高濃度のセツキシマブ-サポリンでのみ非標的化非コンジュゲート300nM SO1861と組み合わせて細胞死滅を示し(A431:[毒素]IC50=40pM;CaSki:[毒素]IC50=40pM;図8C、8D;表A7)、一方、低濃度のセツキシマブ-サポリン濃度と組み合わせた300nMのセツキシマブ-SO1861は既に効率的な細胞死滅を誘導した(A431:[毒素]IC50=0.4pM;CaSKi:[毒素]IC50=2pM;図8C及び8D;表A7)。高濃度の非標的化非コンジュゲートSO1861(1500nM)を低濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせた場合、最高の細胞死滅効率が達成される(A431:[毒素]IC50=0.03pM;CaSki:[毒素]IC50=0.02pM;図8C、8D;表A7)。この全ては、比較的低濃度のSO1861がセツキシマブにコンジュゲートされた場合、比較的低濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせて、高EGFR発現細胞を効率的に死滅させることができることを示している。低濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせた高濃度(1500nM)の非標的化非コンジュゲートSO1861は、1標的2成分系では、両コンジュゲートが同じEGFR受容体に対し競合するため、受容体競合がSO1861の細胞への侵入に役割を果たさず、このため依然として最も効果的である。受容体競合原理はまた、75nMのセツキシマブが無くても(A431:[毒素]IC50=40pM;CaSki:[毒素]IC50=40pM)有っても(A431:[毒素]IC50=1000pM;Caski:IC50=1000pMから;図8C、8D)、セツキシマブ-毒素のタイトレーション処理で明確に示されている。
【0201】
次に、セツキシマブ-SO1861を、固定濃度10pMのセツキシマブ-サポリンに対してタイトレーションし(SO1861の濃度で算出)、低/非EGFR発現細胞に対する細胞死滅を測定した。低EGFR発現細胞(HeLa)は、10pMのセツキシマブ-サポリンを高濃度の非標的化非コンジュゲートSO1861と組み合わせてようやく細胞死滅を示し、一方、EGFR(A2058)を発現しないA2058細胞は全く感受性がなかった(HeLa:[SO1861]IC50=1000nM;A2058:[SO1861]IC50>1000nM;図9A、9B;表A6).10pMのセツキシマブ-サポリンと濃度を漸増させたセツキシマブ-SO1861との組み合わせは、両細胞株において有意な細胞死滅を誘導しなかった(HeLa:[SO1861]IC50=1000nM;A2058:[SO1861]IC50>1000nM;図9A、9B;表A6).これは、十分な受容体の発現がなければ、細胞内のSO1861が、タンパク質毒素のエンドソームエスケープ及び毒素媒介細胞死滅を誘導する有効濃度(閾値)に達しないことを示している。次に、セツキシマブ-サポリンを、固定濃度300nMのセツキシマブ-SO1861に対してタイトレーションし、低/非EGFR発現細胞に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。低EGFR発現細胞(HeLa)は、非常に高濃度のセツキシマブ-サポリンを278nMのセツキシマブ-SO1861又は300nMの非コンジュゲートSO1861と組み合わせてようやく細胞死滅を示し、一方、A2058細胞(EGFR)は、試験した濃度では感受性はなかった(HeLa:[毒素]IC50=60pM;A2058:[毒素]IC50>10,000pM;図9C、9D;表A7)。低EGFR発現細胞(HeLa)では、低濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせた高濃度の非コンジュゲートSO1861(1500nM)は、効率的な細胞死滅を示し、一方、A2058細胞では、非常に高濃度のセツキシマブ-サポリンを1500nMの非標的化SO1861と組み合わせてようやく、特異的な細胞死滅が誘導される(Hela:[毒素]IC50=0.03pM;A2058:[毒素]IC50=20pM;図9C、9D;表A6).この全ては、EGFR受容体発現が低いか又は発現しない細胞は、細胞内への十分なSO1861及び毒素の侵入を促進するだけの十分なEGFR受容体が欠如しているために、セツキシマブ-SO1861+セツキシマブ-サポリンの組み合わせに対して感受性がないことを示している。
【0202】
トラスツズマブ-SO1861(サポニン分子SO1861にコンジュゲートされたHER2を認識し結合するモノクローナル抗体;本発明によるエンドソームエスケープ増強コンジュゲート)を、固定濃度50pMのトラスツズマブ-サポリン(タンパク質毒素、サポリンにコンジュゲートされたHER2を認識し結合するモノクローナル抗体)に対してタイトレーションし(SO1861の濃度で算出)、高HER2発現細胞に対する細胞死滅を測定した。高HER2発現細胞(SKBR3)は、50pMのトラスツズマブ-サポリンを高濃度の非標的化非コンジュゲートSO1861と組み合わせた場合、効率的な細胞死滅を示した(SKBR3;図10A、10B;表A6)。しかしながら、トラスツズマブ-サポリンをトラスツズマブ-SO1861と組み合わせた場合、低濃度のSO1861で既に強力な細胞死滅が誘導された(SKBR3;図10A、10B;表A6)。これは、標的化コンジュゲートSO1861が、非標的化非コンジュゲートSO1861と比較して、エンドソームエスケープの誘導により効果的であることを示している。次に、トラスツズマブ-サポリンを、固定濃度50nMトラスツズマブ-SO1861に対してタイトレーションし、HER2発現細胞に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。高HER2発現細胞(SKBR3又はBT474)は、高濃度のトラスツズマブ-サポリンを非標的化非コンジュゲート10nM SO1861と組み合わせてようやく細胞死滅を示し(表A7)、一方、低濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせた10nMトラスツズマブ-SO1861は既に効率的な細胞死滅を誘導した(表A7)。高濃度の非標的化非コンジュゲートSO1861(1500nM)を低濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせた場合、最高の細胞死滅効率が達成される(表A7) この全ては、低濃度のSO1861がトラスツズマブにコンジュゲートされた場合、比較的低濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせて、高HER2発現細胞を効率的に死滅させることができることを示している。低濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせた高濃度(1500nM)の非標的化非コンジュゲートSO1861は、1標的2成分系では、両コンジュゲートが同じEGFR受容体に対し競合するため、受容体競合がSO1861の細胞への侵入に役割を果たさず、このため、依然として最も効果的である。受容体競合原理はまた、2.5nMのトラスツズマブの有無にかかわらず、トラスツズマブ毒素のタイトレーション処理で明確に示されている(SKBR3:[毒素]IC50=1000nM)。
【0203】
次に、トラスツズマブ-SO1861を、固定濃度50pMのトラスツズマブ-サポリンに対してタイトレーションし(SO1861の濃度で算出)、低/非EGFR発現細胞に対する細胞死滅を測定した。低EGFR発現細胞(JIMT1;A431)は、50pMのトラスツズマブ-サポリンを高濃度の非標的化非コンジュゲートSO1861と組み合わせてようやく細胞死滅を示した(JIMT1:[SO1861]IC50>1000nM;A431:[SO1861]IC50>1000nM;図11A、11B;表A6).50pMのトラスツズマブ-サポリンと、濃度を増加させたトラスツズマブ-SO1861との組み合わせは、両細胞株において有意な細胞死滅を誘導しなかった(JIMT1:[SO1861]IC50>1000nM;A431:[SO1861]IC50>1000nM;図11A、11B;表A6).これは、十分な受容体の発現がなければ、細胞内のSO1861が、タンパク質毒素のエンドソームエスケープ及び毒素媒介細胞死滅を誘導する有効濃度(閾値)に達しないことを示している。次に、トラスツズマブ-サポリンを、固定濃度10nMトラスツズマブ-SO1861に対してタイトレーションし、低/非HER2発現細胞に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。低HER2発現細胞(JIMT1;A431)は、10nMトラスツズマブ-SO1861と組み合わせた高濃度トラスツズマブ-サポリンで有意な細胞死滅を示さない(JIMT-1:[毒素]IC50>10,000pM;A431:[毒素]IC50>10,000pM;図11C、11D;表A7).低HER2発現細胞においては、低濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせた高濃度の非コンジュゲートSO1861(1500nM)は、(効率的な細胞死滅を示す(JIMT1:[毒素]IC50=0.1pM;A431:[毒素]IC50=0.8pM;図11C、11D;表A5)。この全ては、HER2受容体発現が低い細胞は、細胞内への十分なSO1861及び毒素の侵入を促進するだけの十分なHER2受容体が欠如しているために、トラスツズマブ-SO1861+トラスツズマブ-サポリンの組み合わせに対して感受性がないことを示している。
【0204】
実施例5.2標的2成分系
セツキシマブ-SO1861を、固定濃度50pMのトラスツズマブ-サポリンに対してタイトレーションし(SO1861の濃度で算出)、高EGFR/低HER2発現細胞に対する細胞死滅を測定した。A431及びCaSki細胞は、50pMのトラスツズマブ-サポリンを高濃度の非標的化非コンジュゲートSO1861と組み合わせた場合、効率的な細胞死滅を示した(A431及びCaski:[SO1861]IC50=1000nM;図12A、12B;表A6)。しかしながら、トラスツズマブ-サポリンをセツキシマブ-SO1861と組み合わせた場合、強力な細胞死滅が、低濃度のSO1861で既に誘導された(A431:[SO1861]IC50=12nM及びCaski[SO1861]IC50=40nM;図12A、12B;表A6)。これは、標的化コンジュゲートSO1861が、非標的化非コンジュゲートSO1861と比較して、エンドソームエスケープの誘導により効果的であることを示している。次に、トラスツズマブ-サポリンを、固定濃度300nMのセツキシマブ-SO1861に対してタイトレーションし、高EGFR/低HER2発現細胞(A431及びCaSki)に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。300nMの非標的非コンジュゲートSO1861と組み合わせた高濃度のトラスツズマブ-サポリンでは、効率的な細胞死滅は観察されず(A431及びCaski::[毒素]IC50>10,000pM;図12C、12D;表A7)、一方、低濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせた300nMのセツキシマブ-SO1861は、既に効率的な細胞死滅を誘導した(A431:[毒素]IC50=3pM;CaSKi:[毒素]IC50=1pM;図12C及び12D;表A7)。A431細胞では、高濃度(1500nM)の非標的化非コンジュゲートSO1861を低濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせた場合、同等の細胞死滅効率が達成される(A431:[毒素]IC50=1pM;図12C;表A7)。Caski細胞では、これらの細胞におけるEGFR発現がA431と比較して有意に低く、したがって、SO1861のCaski細胞への標的化送達があまり十分ではないという事実のため、応答はセツキシマブ-SO1861及びトラスツズマブ-サポリンの組み合わせと比較してわずかに強かった(Caski:[毒素]IC50=0.2pM;図12D;表A7を参照)。この全ては、低濃度のSO1861がセツキシマブにコンジュゲートされた場合、比較的低濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせて、高EGFR発現細胞を効率的に死滅させることができることを示している。低濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせた高濃度(1500nM)の非標的化非コンジュゲートSO1861は、2標的2成分系では、両コンジュゲートが異なる受容体により、すなわち、SO1861はEGFRにより、毒素はHER2受容体により送達されるため、受容体競合がSO1861の細胞への侵入に役割を果たさず、このため、同等の活性を有する。
【0205】
次に、セツキシマブ-SO1861を、固定濃度50pMのトラスツズマブ-サポリンに対してタイトレーションし(SO1861の濃度で算出)、低/非EGFR/HER2発現細胞に対する細胞死滅を測定した。低EGFR/HER2発現細胞は、50pMのトラスツズマブ-サポリンを高濃度の非標的化非コンジュゲートSO1861と組み合わせてようやく細胞死滅を示した(HeLa:[SO1861]IC50>1000nM;A2058:[SO1861]IC50>1000nM;F図13A、13B;表A6)。50pMのトラスツズマブ-サポリンと、濃度を増加させたセツキシマブ-SO1861との組み合わせは、両細胞株において、高濃度のセツキシマブ-SO1861でようやく有意な細胞死滅を示した(HeLa:[SO1861]IC50>1000nM;A2058:[SO1861]IC50>1000nM;図13A、13B;表A6)。これは、十分な受容体の発現がなければ、細胞内のSO1861が、タンパク質毒素のエンドソームエスケープ及び毒素媒介細胞死滅を誘導する有効濃度(閾値)に達しないことを示している。次に、トラスツズマブ-サポリンを、固定濃度のセツキシマブ-SO1861に対してタイトレーションし、低/非EGFR/HER2発現細胞に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。低/非EGFR/HER2発現細胞(HeLa及びA2058)は、278nMのセツキシマブ-SO1861(HeLa)と組み合わせた高濃度のトラスツズマブ-サポリン濃度では、有意な細胞死滅を示さない(HeLa:[毒素]IC50>10,000pM;A2058:[毒素]IC50>10,000pM;図13C、13D;表A7)。低濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせた高濃度の非コンジュゲートSO1861(1500nM)は、効率的な細胞死滅を示す(HeLa:[毒素]IC50=0.4pM;A2058:[毒素]IC50=0.5pM;図13C、13D;表A5)。この全ては、低/非EGFR/低HER2発現を有する細胞は、細胞内での毒素の効率的な細胞質送達を確実にするだけの十分なSO1861の侵入を促進する十分なEGFR受容体が欠如しているために、セツキシマブ-SO1861+トラスツズマブ-サポリンの組み合わせに対して感受性がないことを示している。
【0206】
次に、トラスツズマブ-SO1861を、固定濃度1.5pMのEGF-ジアンチンに対してタイトレーションし(SO1861の濃度で算出)、高HER2/低EGFR発現細胞に対する細胞死滅を測定した。SKBR3は、1.5pMのEGF-ジアンチンを、高濃度の非標的化非コンジュゲートSO1861と組み合わせた場合、効率的な細胞死滅を示した(SKBR3:[SO1861]IC50=800nM;図14A;表A6)。しかしながら、EGF-ジアンチンをトラスツズマブ-SO1861と組み合わせた場合、低濃度のコンジュゲートSO1861で既に強力な細胞死滅が誘導された(SKBR3:[SO1861]IC50=2nM;図14A;表A5)。これは、標的化コンジュゲートSO1861が、非標的化非コンジュゲートSO1861と比較して、エンドソームエスケープの誘導により効果的であることを示している。次に、EGF-ジアンチンを、固定濃度のトラスツズマブ-SO1861に対してタイトレーションし、SKBR3に対する標的タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。10nMの非標的化非コンジュゲートSO1861と組み合わせた高濃度のEGF-ジアンチンでは、効率的な細胞死滅は観察されず(SKBR3(示す)及びBT474(示さず):[毒素]IC50>10,000pM;図14B;表A7)、一方、低濃度のEGF-ジアンチン濃度と組み合わせた9.4nMのトラスツズマブ-SO1861は、既に効率的な細胞死滅を誘導した(SKBR3:[毒素]IC50=3pM(示す);BT474:[毒素]IC50=1pM(示さず);図14B;表A7)。同等の細胞死滅効率は、高濃度(1075nM)の非標的化非コンジュゲートSO1861を低濃度のEGF-ジアンチンと組み合わせた場合に達成される;図14B;表A7)。この全ては、低濃度のSO1861がトラスツズマブにコンジュゲートされた場合、比較的低濃度のEGF-ジアンチンと組み合わせて、高HER2発現細胞を効率的に死滅させることができることを示している。低濃度のEGF-ジアンチンと組み合わせた高濃度(1500nM)の非標的化非コンジュゲートSO1861は、2標的2成分系では、両コンジュゲートが異なる受容体により、すなわち、SO1861はHER2により、毒素はEGFR受容体により送達されるため、受容体競合がSO1861の細胞への侵入に役割を果たさず、このため、同等の活性を有する。
【0207】
次に、トラスツズマブ-SO1861を、固定濃度5pMのセツキシマブ-サポリンに対してタイトレーションし(SO1861の濃度で算出)、低HER2、低/高EGFR発現細胞に対する細胞死滅を測定したところ、5pMのセツキシマブ-サポリンを高濃度の非標的化非コンジュゲートSO1861と組み合わせた場合に細胞死滅を示した(JIMT-1:[SO1861]IC50>1000nM;A431:[SO1861]IC50>1000nM;図15A、22B;表A6)。5pMのセツキシマブ-サポリンと、濃度を増加させたトラスツズマブ-SO1861との組み合わせは、両細胞株において、高濃度のトラスツズマブ-SO1861でようやく有意な細胞死滅を示した(JIMT-1:[SO1861]IC50>1000nM;A431:[SO1861]IC50>1000nM;図15A、15B;表A6)。これは、十分な受容体の発現がなければ、細胞内のSO1861が、タンパク質毒素のエンドソームエスケープ及び毒素媒介細胞死滅を誘導する有効濃度(閾値)に達しないことを示している。次に、セツキシマブ-サポリンを、固定濃度のトラスツズマブ-SO1861に対してタイトレーションし、JIMT-1及びA431に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。高濃度のセツキシマブ-サポリンを10nMのトラスツズマブ-SO1861と組み合わせてようやく細胞死が観察された(JIMT-1:[毒素]IC50>90pM;A431:[毒素]IC50>20pM;図15C、15D;図A7)。低濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせた高濃度の非コンジュゲートSO1861(1500nM)は、効率的な細胞死滅を示す(JIMT-1:[毒素]IC50=0.02pM;A431:[毒素]IC50=0.03pM;図15C、15D;表A5)。この全ては、低HER2、低/高EGFR発現を有する細胞は、細胞内での毒素の効率的な細胞質送達を確実にするだけの十分なSO1861の侵入を促進する十分なHER2受容体が欠如しているために、トラスツズマブ-SO1861+セツキシマブ-サポリンの組み合わせに対して感受性がないことを示している。A431細胞においては、非常に高いEGFR発現でさえ、トラスツズマブ-SO1861によるSO1861の取り込みを促進し得るHER2受容体が欠如しているために、SO1861は閾値に到達せず、このため、セツキシマブ-サポリンによる効率的な細胞死滅はもたらされなかった。
【0208】
実施例6.
2標的2成分系は、非常に低い標的発現細胞の細胞死滅をもたらす。A431細胞においては、T-DM1がナノモル濃度で細胞を死滅させ、一方、標的化2成分系はピコモル濃度で細胞を効率的に死滅させることができる(毒素濃度の約7000倍の減少)(図16
【0209】
実施例7.作用機序
エンドソーム酸性化がブロックされると、SPT001(植物由来サポニン、SO1861)が低エンドソームpHでようやく活性になるという事実のために、標的化2成分系は活性ではない。
【0210】
実施例8
エンドソーム酸性化阻害剤が標的化2成分系活性を遮断し、エンドソームの酸性化が遮断された場合にSO1861機能が低下することを示す。
【0211】
実施例9
図17A-Eは、トラスツズマブ(図17A)、セツキシマブ(図17B)又はT-DM1(図17C)、遊離毒素のサポリン(図17D)及びジアンチン(図17D)、非細胞結合IgGに結合したサポリン(図17D)、並びに遊離サポニンSO1861と組み合わされた非細胞結合IgGと結合したサポリン(図17E)を、示した細胞株SK-BR-3、JIMT-1、MDA-MB-468、A431、CaSki、HeLa、A2058、BT-474と接触させた場合の相対細胞生存率を示す。
【0212】
トラスツズマブ及びセツキシマブは、ほとんどの細胞株に曝露された場合、細胞生存率に影響を及ぼさないか又はほとんど影響を及ぼさず、トラスツズマブが比較的高用量でSK-BR-3細胞に曝露された場合、細胞生存率にいくらかの影響を及ぼし、セツキシマブが比較的高用量でMDA-MB-468細胞に曝露された場合、細胞生存率にいくらかの影響を及ぼす。
【0213】
TDM-1又はアドトラスツズマブエムタンシンは、以下の治療に米国食品医薬品局(U.S.Food and Drug Administration)によって承認された標的療法である:過去にHerceptin(化学名:トラスツズマブ)及びタキサン化学療法で治療されたHER2陽性転移性乳癌;Herceptin及びタキサンによる新補助化学療法(術前)後に残存疾患が認められた場合の術後の早期HER2陽性乳癌。TDM-1は、Herceptinと化学療法薬のエムタンシンとの組み合わせである。図17Cは、TDM-1が試験した全ての細胞株で細胞生存率の低下をもたらすことを示している。
【0214】
試験した細胞株の細胞表面分子のいずれにも親和性を有さない対照IgGに結合した遊離毒素のサポリン及びジアンチン並びに毒素サポリンは、10000pMまでの試験した広範囲の毒素濃度で細胞生存率に影響を及ぼさないか、又はほとんど及ぼさない。
【0215】
毒素サポリンが非細胞結合IgGに結合した場合、このコンジュゲートを遊離サポニンSO1861と組み合わせると、IgG-サポリンの用量依存的な相対細胞生存率の低下がもたらされる(図17E)。
【0216】
【表9】
【0217】
表A5の説明:
MDA-MB-468細胞は、5nMを超える全てのCセツキシマブ[]で20~25%の細胞生存率の低下を示す
**SK-BR-3細胞は、1nMのトラスツズマブで20%の細胞生存率の低下を示し、1nMを超える全てのトラスツズマブで30~35%の減少を示す
【0218】
【表10】
【0219】
【表11】
【0220】
実施例10-ADCと組み合わせた本発明のコンジュゲートによる哺乳類の担癌動物の処置は、生存及び腫瘍退縮をもたらす
雌Balb/cヌードマウスにヒトA431腫瘍細胞の懸濁液を皮下注射した。異種移植動物腫瘍モデルにおいて、マウスの皮膚下にヒト表皮癌が発生した。腫瘍細胞の注射後、異種移植腫瘍を約170~180mmのサイズに発達させた。A431腫瘍細胞は、以下の特徴を有する:高EGFR発現体、中程度のCD71発現体、低HER2発現体。
【0221】
表6Aに、対照マウス及び担癌マウスの処置の結果を示す。担癌マウスを、異種移植腫瘍の細胞表面受容体であるヒトHer2/neu、ヒトEGFR、又はヒトCD71に向かう示された抗体で処置した。セツキシマブをサポニンSO1861と共有結合させた。SO1861にまず、リンカーEMCH(N-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド)を提供した。このEMCHは、スルフヒドリル(抗体の還元システイン)をカルボニル(アルデヒド又はケトン;ここではサポニンのC-23位のアルデヒドのカルボニル)に共有結合させるためのマレイミド-ヒドラジド架橋剤である。サポニン-EMCHをセツキシマブの還元されたシステインに共有結合させ、EMCHとシステイン側鎖との間にチオエーテル共有結合を形成した。ADCのトラスツズマブ-サポリン(共有結合コンジュゲート)及び抗CD71 mAb(OKT-9、IgG)-サポリン(共有結合コンジュゲート)を、マウスにおけるそれらの腫瘍攻撃効力について試験し、ADCによる処置の開始後の時間における腫瘍体積として測定した。ADCの用量は、腫瘍モデルにおける準最適用量あった。すなわち、以前の実験から、準最適用量のADCでは、腫瘍の退縮又は腫瘍増殖の停止を観察することができないことが立証された。
【0222】
これらの結果は、ADC単独での担癌マウスの処置を考慮した場合、有効ではない(腫瘍増殖、マウスの死を防げない(安楽死))用量でのADCの、サポニン、すなわちSO1861に共有結合した腫瘍細胞特異的受容体を標的とする抗体からなる本発明のコンジュゲート、単独で投与された場合、有効ではない用量で(腫瘍増殖、マウスの死を防げない(安楽死))、癌に罹患しているマウスに投与される共有結合コンジュゲートとの組み合わせ療法が、処置された動物の腫瘍の退縮及び長期生存(実験の期間を超える)として表される、効率的且つ有効な処置レジメンを提供することを実証する。単独で投与された場合に抗腫瘍活性を有さない本発明の共有結合されたサポニン含有コンジュゲートと組み合わされたADCの準最適用量は、したがって、癌患者の有効な治療選択肢を提供し、ADCの相対的に低い用量が有効である。低用量のADCは有害事象のリスクが少ないか又は副作用が全くないという見込みを有する。加えて、ADCの有効性を考慮した場合、サポニン担持コンジュゲートの促進効果は、当該実施例が実証するように、ADCの有効性が組み合わせ療法の設定において改善されるので、腫瘍患者の治療を考慮した場合、以前は有効性を欠くことが証明されたADCが、新たな注目及び価値を獲得し得ることを示す。ヒトの臨床現場で以前に調査されたが、その後、いくつかのADCはさらなる臨床研究から取り消された当該技術分野で知られているADCが参照される。特に、有効性の欠如が観察されたため、及び/又は許容できない有害事象が発生したために臨床開発が終了したADCは、試験したセツキシマブ-サポニンなどの共有結合したサポニン含有コンジュゲートと組み合わせた場合に、癌患者にとって新たな価値を獲得する可能性のあるADCである。
【0223】
【表12】
【0224】
実施例11-エンドソーム/リソソームエスケープ増強活性を有する、QS-21を含むキラヤ・サポナリア(Quillaja saponaria)のサポニン混合物
スキームQは、一連のQS-21サポニンの共通の分子構造を示す(一部、Conrado Pedebos,Laercio Pol-Fachin,Ramon Pons,Cilaine V.Teixeira Hugo Verli,Atomic Model and Micelle Dynamics of QS-21 Saponin、Molecules 2014,19,3744-3760から出典;4つのイソ型、ここで、示されたグリカンのそれぞれはR基として結合し得る)。キラヤ・サポナリア(Quillaja saponaria)(Sigma-Aldrich、製品番号S4521;Roth、製品番号6857;InvivoGen、製品「Quil-A」)から得られる水溶性サポニンの混合物は、混合物中に存在する少なくとも1つの個々のサポニン、例えばQS-21のエンドソーム/リソソームエスケープ増強特性に基づいて、又は混合物に含まれるQS-21及びQS-7などの2つ以上のサポニンの組み合わせに基づいて、本発明のエンドソーム/リソソームエスケープ増強コンジュゲート、組成物及び組み合わせにおいて適用され得る。
【0225】
本発明者らは、2.5マイクログラム/mlの用量のキラヤ・サポナリア(Quillaja saponaria)由来のサポニンの混合物が、細胞ベースのバイオアッセイにおいて哺乳動物腫瘍細胞を用いて試験した場合、ジアンチンのエンドソームエスケープを増強することができることを実証した。細胞に曝露したエフェクター分子は、リガンドEGFに共有結合したジアンチンであった:EGF-ジアンチン。試験した細胞は、遊離サポニンについては腫瘍細胞株HeLaであり、セツキシマブに共有結合された場合のサポニンの試験ではA431、MDA-MB-468、CaSki及びA2058であった。
【0226】
【化1】
【0227】
実施例12
1標的2成分系(1T2C)は、図1A、Eに示すように、mAb1-タンパク質毒素及びmAb1-SO1861の組み合わせ処理である。SO1861-EMCHはシステイン残基(Cys)を介して、HSP27BNAオリゴはリシン残基を介して、セツキシマブ(ヒトEGFRを認識及び結合するモノクローナル抗体)に、いずれもDAR 4でコンジュゲートさせ、2つのコンジュゲート、セツキシマブ-(Cys-L-SO1861)及びセツキシマブ-(Lys-L-HSP27BNA)を生成した。セツキシマブ-(Cys-L-SO1861)(腹腔内投与、(i.p.))及びセツキシマブ-(Lys-L-HSP27BNA)(静脈内投与、(i.v.))の組み合わせを、EGFR腫瘍標的化遺伝子サイレンシング活性についてA431異種移植マウス腫瘍モデルにおいて試験した。腫瘍が約150mmのサイズに達した12日目に投薬を開始し、最初の投薬の72時間後に腫瘍試料を採取し、対照遺伝子mRNA発現レベル(参照遺伝子)と比較してHSP27遺伝子発現について分析した。これにより、50mg/kgのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)+25mg/kgのセツキシマブ-(Lys-L-HSP27BNA)の1回の投与が、セツキシマブ-(Cys-L-SO1861)又はセツキシマブ-(Lys-L-HSP27BNA)の単独療法の単回投与と比較して、A431腫瘍においてHSP27遺伝子発現の50%の減少をもたらしたことが明らかになった(図18)。ビヒクル対照腫瘍と比較して、40%のHSP27遺伝子サイレンシングの減少が観察された。これは、1T2C発明による、セツキシマブコンジュゲートSO1861+セツキシマブコンジュゲートHSP27BNAオリゴの組み合わせが、固形腫瘍細胞の細胞質における治療用アンチセンスオリゴヌクレオチドの効率的な標的化送達を誘導し、それによって、インビボで、腫瘍標的化遺伝子サイレンシングを誘導することを示し、且つ可能にする。
【0228】
次に、SO1861-EMCHを、システイン残基(Cys)を介してトラスツズマブ(ヒトHER2を認識し、結合するモノクローナル抗体)に、DAR 4でコンジュゲートさせ、トラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)を生成した。トラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)及びトラスツズマブ-サポリン(トラスツズマブタンパク質毒素コンジュゲート)の組み合わせを、高HER2発現レベルの、トラスツズマブ単独療法に抵抗性があるマウス腫瘍モデル(患者由来異種移植腫瘍モデル、PDX)において試験した。40mg/kgのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)(腹腔内投与、(i.p.)) +0.03(1、8日目)/0.02(15、22、30、36、43日目)mg/kgのトラスツズマブ-サポリン(静脈内投与、(i.v.))の1T2C発明による組み合わせが、ビヒクル対照及び40mg/kgトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)又は0.03/0.02mg/kgトラスツズマブ-サポリン単独療法と比較して、強力な腫瘍増殖阻害を示した(図19)。さらに、低用量の組み合わせ(40mg/kgのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)+0.01mg/kgのトラスツズマブ-サポリン)で処置された癌担持マウスでは、腫瘍増殖阻害活性は観察されなかった(図26)。これは、トラスツズマブコンジュゲートSO1861+トラスツズマブコンジュゲートタンパク質毒素の1T2C組み合わせが、固形腫瘍細胞の細胞質における治療用タンパク質毒素の効率的な標的化送達を誘導し、それによってインビボで腫瘍細胞死及び腫瘍増殖阻害を誘導することを示し、且つ可能にする。
【0229】
実施例13.2標的2成分系(インビボ)
2標的2成分系(2T2C)は、mAb1-SO1861及びmAb2タンパク質毒素の組み合わせ処置である(図1B~D)。SO1861-EMCHをシステイン残基(Cys)を介してセツキシマブ(ヒトEGFRを認識し、結合するモノクローナル抗体)にDAR4でコンジュゲートさせ、セツキシマブ-(Cys-L-SO1861)を生成した。セツキシマブ-(Cys-L-SO1861)及びトラスツズマブ-サポリン又はCD71mab-サポリンの組み合わせを、図1B~Dに示すように、EGFR腫瘍標的化細胞死滅についてA431(++/HER2+/-/CD71)異種移植「ヌード」マウス腫瘍モデルにおいて試験した。用量漸増を行い、治療効果を決定した(9日目:0.3mg/kgのトラスツズマブ-サポリン又は0.1mg/kgのセCD71mab-サポリン+5mg/kgのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)、14、18日目:0.1mg/kgのトラスツズマブ-サポリン又は0.05mg/kgのCD71mab-サポリン+5mg/kgのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)、21日目:0.05mg/kgのトラスツズマブ-サポリン又は0.05mg/kgのCD71mab-サポリン+15mg/kgのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)、28日目:0.02mg/kgのトラスツズマブ-サポリン又は0.02mg/kgのCD71mab-サポリン+15mg/kgのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)トラスツズマブ-サポリン/セツキシマブ-SO1861)。対照はそれぞれ同じ投与スキームであり、セツキシマブ(i.v.)のみを25mg/kg、処置日毎に投与した)。32日目(縦の破線)、35日目及び39日目に、本発明者らは、25mg/kgのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)(腹腔内注射(i.p.)+0.02mg/kgのトラスツズマブ-サポリン又は0.02 CD71mab-サポリン(静脈内投与(i.v.))の2T2C発明による組み合わせを開始し、これにより、ビヒクル対照、25mg/kgのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)又は0.02mg/kgのトラスツズマブ-サポリン/CD71mab-サポリン単独療法と比較して、両2T2C組み合わせ群は強力な腫瘍退縮を示すことが明らかになった(図20)。2T2C系は、臨床的に使用されているEGFRに対するモノクローナル抗体であるセツキシマブよりも優れている。次に、本発明者らは同じ実験を行ったが、25mg/kgのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)(腹腔内注射(i.p.))+0.03mg/kgのトラスツズマブ-サポリン又は0.03 CD71mab-サポリン(静脈内投与(i.v.))の処置で試験を開始し、9日目及び14日目に投与し、その後、1週間に1回投与した。本発明による2T2C系は、全てのマウスで腫瘍退縮を示し、両方の2T2C群中の1匹のマウスでは、完全な腫瘍根絶(腫瘍体積=0mm)を示した(図21)。また、ここでは、対照が腫瘍体積を強く増加させ、一方、このA431マウスモデルの陽性対照であるセツキシマブは、腫瘍増殖阻害のみを示し、退縮は示さなかった(図21)。これは、セツキシマブコンジュゲートSO1861+トラスツズマブコンジュゲートタンパク質毒素又はCD71mabコンジュゲートタンパク質毒素の2T2C系アプローチが、担癌マウスの固形腫瘍の細胞質に高効率で標的タンパク質毒素送達をインビボで誘導し、これにより、一部のマウスで完全な腫瘍根絶が誘導され、他のマウスでも大サイズの腫瘍(2000mm)の強力な腫瘍退縮が誘導されることを示し、且つ可能にする。
【0230】
実施例14.2標的2成分系(インビトロ)
結果
2標的2成分系(2T2C)は、mAb1-SO1861及びmAb2-タンパク質毒素の組み合わせ処理である(図1B~D)。SO1861-EMCHを、システイン残基(Cys)を介してセツキシマブ(ヒトEGFRを認識し、結合するモノクローナル抗体)にDAR3.7でコンジュゲートさせた。(セツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7)。セツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7を、固定濃度50pMのトラスツズマブ-サポリン(タンパク質毒素のサポリンにコンジュゲートさせたトラスツズマブ)に対してタイトレーションし、EGFR/HER2発現細胞(A431、EGFR++/HER2+/-;CaSKi、EGFR/HER2+/-)に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を、図1B~Dに示すように決定した。これにより、低濃度のセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7での強い細胞死滅が明らかになった(A431:IC50=3nM及びCaSKi IC50=10nM;図22A、22B)が、一方、同等の濃度のセツキシマブ、セツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7又はセツキシマブ+50pM トラスツズマブ-サポリンは、EGFR/HER2発現細胞においていかなる細胞死滅活性も全く誘導することができなかった。これは、比較的低濃度のセツキシマブ-SO1861コンジュゲートがトラスツズマブコンジュゲートタンパク質毒素のエンドソームエスケープを(非有効濃度で)効率的に増強し、それによって、高EGFR/低HER2発現細胞の効率的な細胞死滅を誘導することを示している。
【0231】
次に、トラスツズマブ-サポリンを、固定濃度75nMのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7に対してタイトレーションし、EGFR/HER2発現細胞に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。これにより、低濃度のトラスツズマブ-サポリンと組み合わせた75nMのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7が、EGFR/HER2発現細胞において既に効率的な細胞死滅を誘導し(A431:IC50=5pM;及びCaSKi:IC50=1pM;図22C及び22D)、一方、トラスツズマブ-サポリン単独、又はトラスツズマブ-サポリン+75nMセツキシマブは、両細胞株において有意な細胞死滅活性を示さない(IC50>10,000pM)(図22C、22D)ことが明らかになった。この全ては、高EGFR/低HER2発現細胞において、低濃度のセツキシマブ-SO1861コンジュゲートと組み合わせた比較的低濃度のトラスツズマブ-サポリンが有効であり、細胞死滅を誘導し得ることを示している。
【0232】
次に、セツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7を、固定濃度50pMのトラスツズマブ-サポリンに対してタイトレーションし、HeLa(EGFR+/-/HER2+/-)又はA2058(EGFR/HER2+/-)に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を、図1B~Dに示すように測定した。HeLa(+/-/HER2+/-)及びA2058(EGFR/HER2+/-)細胞はいずれも、低濃度のセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7+50pMのトラスツズマブ-サポリンで細胞死滅を示さない(HeLa:IC50=400nM;A2058:IC50>400nM;図230A、23B)で細胞死滅を示さない。これは、十分な受容体発現がなければ、細胞内に送達されるSO1861が、タンパク質毒素のエンドソームエスケープ及び細胞質送達を誘導する有効濃度(閾値)に達しないことを示している。次に、トラスツズマブ-サポリンを、固定濃度75nMのセツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7に対してタイトレーションし、HeLa(EGFR+/-/HER2+/-)又はA2058(EGFR/HER2+/-))に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。HeLa(EGFR+/-/HER2+/-)及びA2058(/HER2+/-))細胞はいずれも、細胞死滅活性を示さなかった(HeLa:IC50>10.000pM;A2058:IC50>10.000pM;図23C、23D)。この全ては、EGFR受容体の発現が低いか又は発現しない細胞は、細胞の細胞質内での毒素のエンドソームエスケープを確実にするのに十分なSO1861の抗体媒介送達を促進する十分なEGFR受容体(閾値)が欠如しているために、セツキシマブ-(Cys-L-SO1861)3.7+トラスツズマブ-サポリンの組み合わせに対して感受性がないことを示している。
【0233】
次に、SO1861-EMCHを、システイン残基(Cys)を介してトラスツズマブ(ヒトHER2を認識し、結合するモノクローナル抗体)に、DAR 4でコンジュゲートさせた(トラスツズマブ-(Cys-L-SO1861))。トラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)を、固定濃度1.5pMのEGFジアンチン(EGFR標的化リガンド毒素融合タンパク質)に対してタイトレーションし、HER2/EGFR発現細胞(SK-BR-3:HER2++/EGFR+/-)に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。これにより、低濃度のトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)+1.5pM EGFジアンチン(SK-BR-3:IC50=1nM;図24A)での強い細胞死滅を明らかになったが、一方、同等濃度のトラスツズマブ、トラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)、又はトラスツズマブ+1.5pM EGFジアンチンは、HER2++/EGFR+/-発現細胞において、細胞死滅活性を誘導することができなかった。これは、トラスツズマブコンジュゲートSO1861が、EGF融合タンパク質毒素のエンドソームエスケープを(非有効濃度で)効率的に増強し、それによって、高HER2/低EGFR発現細胞の細胞死滅を誘導することを示している。
【0234】
次に、EGFジアンチンを、固定濃度2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)に対してタイトレーションし、SK-BR-3(HER2++/EGFR+/-)発現細胞に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。これにより、低濃度のEGFジアンチンと組み合わせた2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)を、HER2/EGFR発現細胞において既に効率的な細胞死滅を誘導した(SK-BR-3:IC50=1pM)(図24B)が、EGFジアンチン単独又はEGFジアンチン+2.5nM トラスツズマブは細胞死滅活性を示さない(IC50>10,000pM)(図24B)ことが明らかになった。この全ては、高HER2/低EGFR発現細胞において、低濃度のトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)と組み合わせてようやく比較的低濃度のEGFジアンチンが有効であり、細胞死滅を誘導し得ることを示している。
【0235】
次に、トラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)を、固定濃度1.5pMのEGFジアンチンに対してタイトレーションし、JIMT-1(HER2+/-/EGFR+/-)又はMDA-MB-468:HER2/EGFR++)に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。両細胞株は、トラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)+1.5pM EGFジアンチンの組み合わせに対して全く感受性がなかった。(JIMT-1:IC50>1000nM;MDA-MB-468:IC50>1000nM;図25A、25B)。これは、十分なHER2受容体発現がなければ、細胞内に送達されるSO1861が、タンパク質毒素のエンドソームエスケープ及び細胞質送達を誘導する有効濃度(閾値)に達しないことを示している。
【0236】
次に、EGFジアンチンを、固定濃度2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)に対してタイトレーションし、JIMT-1(HER2+/-/EGFR+/-)又はMDA-MB-468(HER2/EGFR++)に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。両細胞株は、2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)の有無にかかわらず、高濃度のEGFジアンチンで細胞死滅を示した(JIMT-1:IC50=10,000pM;MDA-MB-468:IC50=200pM 図25C、25D)。
【0237】
この全ては、HER2受容体の発現が低いか又は発現しない細胞は、細胞の細胞質内での毒素のエンドソームエスケープを確実にするのに十分なSO1861の抗体媒介送達を促進する十分なHER2受容体(閾値)が欠如しているために、トラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)3.7+1.5pM EGFジアンチンの組み合わせに対して感受性がないことを示している。
【0238】
次に、SO1861-EMCHを、システイン残基(Cys)を介してトラスツズマブ(ヒトHER2を認識し、結合するモノクローナル抗体)に、DAR 4でコンジュゲートさせた(トラスツズマブ-(Cys-L-SO1861))。トラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)を、固定濃度5pMのセツキシマブ-サポリン(EGFR標的抗体-タンパク質毒素コンジュゲート)に対してタイトレーションし、HER2/EGFR発現細胞(SK-BR-3:HER2++/EGFR+/-)に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を図1B~Dに示すように測定した。これにより、HER2++/EGFR+/-発現細胞において、低濃度のトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)+5pM セツキシマブ-サポリンでの強い細胞死滅(SK-BR-3:IC50=1nM;図26A)が明らかになったが、一方、同等濃度のトラスツズマブ、トラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)又はトラスツズマブ+5pM セツキシマブ-サポリンは、細胞死滅活性を誘導することができなかった。これは、トラスツズマブコンジュゲートSO1861が、セツキシマブコンジュゲートタンパク質毒素のエンドソームエスケープを(非有効濃度で)効率的に増強し、それによって、HER2++/EGFR+/-発現細胞の細胞死滅を誘導することを示している。
【0239】
次に、セツキシマブ-サポリンを、固定濃度2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)及び75nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)に対してタイトレーションし、HER2/EGFR発現細胞(SK-BR-3:HER2++/EGFR+/-)に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。これにより、低濃度のセツキシマブ-サポリンと組み合わせた2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)が、SK-BR-3細胞において効率的な細胞死滅を既に誘導し(SK-BR-3:IC50=1pM;図26B)、一方、セツキシマブ-サポリン単独又はセツキシマブ-サポリン+2.5nMトラスツズマブが、高濃度のトラスツズマブ-サポリンでようやく細胞死滅を示した(SK-BR-3:IC50>4000pM;図26B)ことが明らかとなった。この全ては、HER2++/EGFR+/-発現細胞において、低濃度のトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)と組み合わせてようやく比較的低濃度のセツキシマブ-サポリンが有効になり、細胞死滅を誘導し得ることを示している。
【0240】
次に、トラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)を、固定濃度5pMのセツキシマブ-サポリンに対してタイトレーションし、JIMT-1(HER2+/-/EGFR+/-)及びMDA-MB-468(HER2/EGFR++)細胞に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。両細胞株は、トラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)+5pM セツキシマブ-サポリンの組み合わせに対して感受性がなかった。(JIMT-1:IC50>1000nM;MDA-MB-468:IC50>1000nM;図27A、27B)。これは、十分なHER2受容体発現がなければ、細胞内に送達されるSO1861が、タンパク質毒素のエンドソームエスケープ及び細胞質送達を誘導する有効濃度(閾値)に達しないことを示している。
【0241】
次に、セツキシマブ-サポリンを、固定濃度2.5nMのトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)に対してタイトレーションし、JIMT-1(HER2+/-/EGFR+/-)及びMDA-MB-468(HER2/EGFR++)細胞に対する標的化タンパク質毒素媒介細胞死滅を測定した。両細胞株は、2.5nMトラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)(の有無にかかわらず、同様のセツキシマブ-サポリン濃度で細胞死滅を示した(JIMT-1:IC50=80pM;MDA-MB-468:IC50=100pM;図27C、27D)。
【0242】
この全ては、HER2受容体の発現が低いか又発現しない細胞は、細胞の細胞質内での毒素のエンドソームエスケープを確実にするのに十分なSO1861の抗体媒介送達を促進する十分なHER2受容体(閾値)が欠如しているために、トラスツズマブ-(Cys-L-SO1861)+セツキシマブ-サポリンの組み合わせに対して感受性がないことを示している。
【0243】
参考文献
・Wilton, E.E.et al.(2018) “sdAb-DB:The Single Domain Antibody Database”, ACS Synthetic Biology 7(11):2480-2484.
。DOI:10.1021/acssynbio.8b00407
・Marta Kijanka & Frank-Jan Warnders & Mohamed El Khattabi & Marjolijn Lub-de Hooge & Gooitzen M.van Dam & Vasilis Ntziachristos & Liesbeth de Vries & Sabrina Oliveira & Paul M.P.van Bergen en Henegouwen, “Rapid optical imaging of human breast tumour xenografts using anti-HER2 VHHs s site-directly conjugated to IRDye 800CW for image-guided surgery”, Eur J Nucl Med Mol Imaging (2013) 40:1718-1729 DOI 10.1007/s00259-013-2471-2
・Karen Mercier, Raimond Heukers and Chiraz Frydman, “Surface Plasmon Resonance imaging (SPRi) - Production of a single domain antibody Q17c directed against recombinant HER2 protein and its binding study by Surface Plasmon Resonance imaging technology”, Horiba Application Note Pharmaceuticals SPRi 42, 2019
【0244】
配列番号
配列番号1:ラクダ科動物由来の抗HER2 sdAb 2Rb17cのアミノ酸をコードするDNA配列
【0245】
【化2】
【0246】
配列番号2:ラクダ科動物由来の抗HER2 sdAb 2Rb17cのアミノ酸配列
【0247】
【化3】
【0248】
配列番号3:キャメルス・ドロメダリウス(Camelus dromedarius)由来の抗HER2 sdAb NB2のアミノ酸をコードするDNA配列
【0249】
【化4】
【0250】
配列番号4:キャメルス・ドロメダリウス(Camelus dromedarius)由来の抗HER2 sdAb NB2のアミノ酸配列
MEVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGITFSINTMGWYRQAPGKQRELVALISSIGDTYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCKRFRTAAQGTDYWGQGTQVTVSSHHHHHH
配列番号5:抗HER2 sdAb pcNB2のアミノ酸をコードするDNA配列、合成コンストラクト
【0251】
【化5】
【0252】
配列番号6:抗HER2 sdAb pcNB2のアミノ酸配列、合成コンストラクト
MEVQLVEKGGGRVQAGGSLRLRCAASGITFSINTMGWYRQAPGKQRELVALISSIGDTYYADSVKGRFRIRRDNAKNTVYLRMRRLKPEDTAVYYCKRFRTAAQGTDYWGQGTRVTVSKHHHHHH
配列番号7:ラクダ科動物由来の抗HER1 sdAb 7D12のアミノ酸をコードするDNA配列
【0253】
【化6】
【0254】
配列番号8:ラクダ科動物由来の抗HER1 sdAb 7D12のアミノ酸配列
AAQVKLEESGGGSVQTGGSLRLTCAASGRTSRSYGMGWFRQAPGKEREFVSGISWRGDSTGYADSVKGRFTISRDNAKNTVDLQMNSLKPEDTAIYYCAAAAGSAWYGTLYEYDYWGQGTQVTVSS
配列番号9:ラクダ科動物由来の抗HER1 sdAb 9G8のアミノ酸をコードするDNA配列
【0255】
【化7】
【0256】
配列番号10:ラクダ科動物由来の抗HER1 sdAb 9G8のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSSYAMGWFRQAPGKEREFVVAINWSSGSTYYADSVKGRFTISRDNAKNTMYLQMNSLKPEDTAVYYCAAGYQINSGNYNFKDYEYDYWGQGTQVTVSS
配列番号11:抗VGFR2 sdAb NTV1のアミノ酸をコードするDNA配列、合成コンストラクト
【0257】
【化8】
【0258】
配列番号12:抗VGFR2 sdAb NTV1のアミノ酸配列、合成コンストラクト
MAQVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYSVINDFMTWVRQAPGKGLEWVSSISVADGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAARVGGRDLGWPYELDYWGQGTLVTVSS
配列番号13:抗VGFR2 sdAb NTV2のアミノ酸をコードするDNA配列、合成コンストラクト
【0259】
【化9】
【0260】
配列番号14:抗VGFR2 sdAb NTV2のアミノ酸配列、合成コンストラクト
MAQVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFKITNKTMAWVRQAPGKGLEWVSSIGSSSGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRKGNRLGPAALRSWGQGTLVTVSS
配列番号15:抗VGFR2 sdAb NTV3のアミノ酸をコードするDNA配列、合成コンストラクト
【0261】
【化10】
【0262】
配列番号16:抗VGFR2 sdAb NTV3のアミノ酸配列、合成コンストラクト
MAQVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGVRVNYKSMSWVRQAPGKGLEWVSTITSRNGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCATGRAHHAPVRYWGQGTLVTVSS
配列番号17:抗VGFR2 sdAb NTV4のアミノ酸をコードするDNA配列、合成コンストラクト
【0263】
【化11】
【0264】
配列番号18:抗VGFR2 sdAb NTV4のアミノ酸配列、合成コンストラクト
AQVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGVTITDEDMTRVRQAPGKGLEWVSSILNTGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAAVHEKAADMNFWGQGTLVTVSS
配列番号19:フタコブラクダ由来の抗ヒトCD19 sdAb SRB-85のアミノ酸をコードするDNA配列
【0265】
【化12】
【0266】
配列番号20:フタコブラクダ由来の抗ヒトCD19 sdAb SRB-85のアミノ酸配列
EVQLLESGGGLVQPGGSLRSCEASGFNAMTSIDSWTDAVKGWVRQPPGKGLEWVSRFAISQDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAMYYCALSKCYTRVYDYWGQGTQVTVSSG
配列番号21:フタコブラクダ由来の抗ヒトCD19 sdAb SRB-37のアミノ酸をコードするDNA配列
【0267】
【化13】
【0268】
配列番号22:フタコブラクダ由来の抗ヒトCD19 sdAb SRB-37のアミノ酸配列
EVQLQESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFIYMVGIKTERDGVKGWVRQAPGKGLEWLSRFTIPRDNAKNTLYLQMNNLKSEDTALYYCATEENDWGQGTQVTVSSG
配列番号23:キャメルス・ドロメダリウス(Camelus dromedarius)由来の抗CTLA-4 sdAb NB16のアミノ酸をコードするDNA配列
【0269】
【化14】
【0270】
配列番号24:キャメルス・ドロメダリウス(Camelus dromedarius)由来の抗CTLA-4sdAb NB16のアミノ酸配列
QVQLQESGGGSVQAGGSLRLSCTASGFGVDGTDMGWYRQAPGNECELVSSISSIGIGYYSESVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLRPDDTAVYYCGRRWIGYRCGNWGRGTQVTVSS
配列番号25:キャメルス・ドロメダリウス(Camelus dromedarius)由来の抗CTLA-4 sdAb NB36のアミノ酸をコードするDNA配列
【0271】
【化15】
【0272】
配列番号26:キャメルス・ドロメダリウス(Camelus dromedarius)由来の抗CTLA-4 sdAb NB36のアミノ酸配列
QVQLQESGGGSVQAGGSLRLSCTGSRYTYTMGWFRQAPGKEREGVVAITAFGSPFYADSVKGRFTISRDNANNTIFLQMNSLKPEDSAMYYCAARGSSGTSYKWNEYGSYNYWGQGTQVTVSS
配列番号27:キャメルス・ドロメダリウス(Camelus dromedarius)由来の抗CTLA-4 sdAb NB91のアミノ酸をコードするDNA配列
【0273】
【化16】
【0274】
配列番号28:キャメルス・ドロメダリウス(Camelus dromedarius)由来の抗CTLA-4 sdAb NB91のアミノ酸配列
QVQLQESGGGSVQAGGSLRLSCAASKYTSCMGWFRQAPGKEREVVAHIDSGPRTLYADSVKGRFTISKDNAKNTLYLEMSTLKPDDTAMYYCAAGPMYSGSCNYNYWGQGTQVTVSS
配列番号29:キャメルス・ドロメダリウス(Camelus dromedarius)由来の抗ヒトPD-L1 sdAb A1のアミノ酸をコードするDNA配列
【0275】
【化17】
【0276】
配列番号30:キャメルス・ドロメダリウス(Camelus dromedarius)由来の抗ヒトPD-L1 sdAb A1のアミノ酸配列
QVQLQESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLDYYAIGWFRQAPGKEREGVSCISSSDGSTYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMSSLKPEDTAVYYCGISGSCLLEDYGMDYWGKGTQVTVSS
配列番号31:キャメルス・ドロメダリウス(Camelus dromedarius)由来の抗ヒトPD-L1 sdAb B1のアミノ酸をコードするDNA配列
【0277】
【化18】
【0278】
配列番号32:キャメルス・ドロメダリウス(Camelus dromedarius)由来の抗ヒトPD-L1 sdAb B1のアミノ酸配列
QVQLQESGGGLVHPGGSLRLSCAASGFSLDNYAIGWFRQAPGKEREGVSCISSGSEGRRYYADFVKGRFTISRDNAKNTAFLQMNSLKPEDTADYYCATVGFCSSQYGMEFVGDYWGQGTQVTVSS
配列番号33:抗マウス血清アルブミン sdAb MSA21のアミノ酸配列
QVQLQESGGGLVQPGGSLRLSCEASGFTFSRFGMTWVRQAPGKGVEWVSGISSLGDSTLYADSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLKPEDTAVYYCTIGGSLNPGGQGTQVTVSS
配列番号34:抗ヒト血清アルブミン sdAb Alb-1のアミノ酸配列
AVQLVESGGGLVQPGNSLRLSCAASGFTFRSFGMSWVRQAPGKEPEWVSSISGSGSDTLYADSVKGRFTISRDNAKTTLYLQMNSLKPEDTAVYYCTIGGSLSRSSQGTQVTVSS
配列番号35:抗ヒト血清アルブミン sdAb Alb23のアミノ酸配列(ヒト化、最適化Alb1)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFRSFGMSWVRQAPGKGPEWVSSISGSGSDTLYADSVKGRFTISRDNSKTLYLQMNSLRPEDTAVYYCTIGGSLSRSSQGTLVTVSS
配列番号36:抗EGFR VHH7A5のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASDRTFSSNNMGWFRQAPGKEREFVAAIGWGGLETHYSDSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTARYYCAVSSTRTVIYTLPRMYNYWGQGTQVTVSS
配列番号37:抗EGFR VHH7D12のアミノ酸配列
QVKLEESGGGSVQTGGSLRLTCAASGRTSRSYGMGWFRQAPGKEREFVSGISWRGDSTGYADSVKGRFTISRDNAKNTVDLQMNSLKPEDTAIYYCAAAAGSAWYGTLYEYDYWGQGTQVTVSS
配列番号38:抗EGFR VHH7C12のアミノ酸配列
AVQLVESGGGSVQAGGSLRLTCAASGRTSRSYGMGWFRQAPGKEREFVSGISWRGDSTGYADSVKGRFTISRDNAKNTVDLQMNSLKPEDTAIYYCAAAAGSTWYGTLYEYDYWGQGTQVTVSS
配列番号39:抗インシュリン様成長因子1受容体VHH4B11のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSIFTFNAMGWYRQAPGKQRELVAVIISGGSTHYVDSVKGRFTISRDNAKKMVYLQMNSLKPEDTAVYYCNVKKFGDYWGQGTQVTVSS
配列番号40:抗インシュリン様成長因子1受容体VHH3G7のアミノ酸配列
DVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASESISTINVMAWYRQAPGKQRELVAEITRSGRTNYVDSVKGRFTISRDNAKNTMYLQMNSLNLEDTAVYYCRTIDGSWREYWGQGTQVTVSS
配列番号41:抗インシュリン様成長因子1受容体VHH2C7のアミノ酸配列
QVKLEESGGGLVQPGGSLRLSCVASGRTFSNYAIVIGWFRQAPGQEREFVAAINWNSRSTYYADSVKGRFTISRLNARNTVYLQMNRLKPEDTAVYDCAASHDSDYGGTNANLYDYWGQGTQVTVSS
配列番号42:抗インシュリン様成長因子1受容体VHH1C7のアミノ酸配列
QVKLEESGGGLVQAGGSLRLSCVASGRTFSRTANAWFRQAPGKEREFVATITWNSGTTRYADSVKGRFFISKDSAKNTIYLEMNSLEPEDTAVYYCAATAAAVITPTRGYYNYWGQGTQVTVSS
配列番号43:抗CEACAM VHHNbCEA5のアミノ酸配列
EVQLVESGGGSVQAGGSLRLSCAASGDTYGSYWMGWFRQAPGKEREGVAAINRGGGYTVYADSVKGRFTISRDTAKNTVYLQMNSLRPDDTADYYCAASGVLGGLHEDWFNYWGQGTLVTVSS
配列番号44:抗CEACAM VHHCEA5のアミノ酸配列
EVQLVESGGGSVQAGGSLRLSCAASGDTYGSYWMGWFRQAPGQEREAVAAINRGGGYTVYADSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLRPDDTADYYCAASGVLGGLHEDWFNYWGQGTLVTVSS
配列番号45:抗CD123 VHH57A07のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSIFSGNVMGWYRRQAPGKEREWVAAIASGGSIYYRDSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNSHPPTLPYWGLGTQVTVSS
配列番号46:抗CD123 VHH57B04のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGINFRFNSMGWWRRRAPGKEREWVAAITSGDITNYRDSVRGRFTISRDNVKNTVYLQMNTLKLEDTAVYYCNTFPPIADYWGLGTQVTVSS
配列番号47:抗CD123 VHH51D09のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSIFSGNTMGWYRQAPGKQRELVAAISSGGSTDYADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRPEDTAVYYCNAAILLYRLYGYEEGDYWGLGTLVTVSS
配列番号48:抗CD123 VHH55C05のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVPAGDSLRLSCVASGRSLNTYTMGWFRQAPGKECEEVAAINWNGVYRDYADSAKGRETASRDNAMNTVFLQMNSLKPEDTAVYFCATATQGWDRHTEPSDFGSWGLGTQVTVSS
配列番号49:抗CD123 VHH50F07のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCTGSGSTFSINAMGWYRQAPGKQRELVAAITSGGRTNYADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMNSLRPEDTAVYYCNARISAGTAFWLWSDYEYWGLGTLVTVSS
配列番号50:抗CD123 VHH55F03のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQAGGPLRLSCAASGRTFSSYVMGWFRQAPGKEREFVAAIYWSNGKTQYTDSVKGRFTISGDNAKNTVYLQMNSLNPEDTAVYYCVADKDETGFRTLPIAYDYWGLGTQVTVSS
配列番号51:抗CD123 VHH55A01のアミノ酸配列
EVQLVESGGGSVQAGGSLRLSCTTSGRALNMYVMGWFRQAPGNEREFVAATSSSGGSTSYPDSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAAYRCAASPYVSTPTMNILEEYRYWGLGTQVTVSS
配列番号52:抗c-MET VHH04E09のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFILDYYAIGWFRQAPGKEREGVLCIDASDDITYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTGVYYCATPIGLSSSCLLEYDYDYWGQGTLVTVSS
配列番号53:抗c-MET VHH06B08のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTISRYTMGWFRQAPGKEREFVAAISWSGDNTNYADSVKGRFTISRPNTKNTMYLQMNSLKPEDTAVYYCAADYRSGSYYQASEWTRPSGYDYWGQGTLVTVSS
配列番号54:抗c-MET VHH06C12のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFSLDYFAIGWFRQAPGKEREEISCISNSDGSTYYANSVKGRFTISIDNAKNTVYLQMTSLKPEDTAVYYCATPVGLGPFCKTTNDYDYSGQGTLVTVSS
配列番号55:抗c-MET VHH06F10のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLDYYAINWFRQAPGKEREGVSCISGGDGSTYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCATALGLSSSCHGDGYDYWGQGTLVTVSS
配列番号56:抗Her3 VHH21F6のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTYYLNAMGWFRQGPGKDREFVAAIDWSDGNKDYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAADTPPWGPMIYIESYDSWGQGTLVTVSS
配列番号57:抗Her3 VHH4C7のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGFTFSSYPMSWVRQAPGKGPAWVSTVSPGGITTSYADSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLKPEDTAVYYCLRDLNNRGQGTLVTVSS
配列番号58:抗Her3のVHH17B5のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSIGGLNAMAWYRQAPGKERELVAGIFGVGSTRYADSVKGRFTISRDIAKNTVFLQMNSLNSEDTAVYYCRMSSVTRGSSDYWGQGTQVTVSS
配列番号59:抗Her3 VHH18G11のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGTLFKINAMGWYRQAPGKRRELVALITSSDTTDYAESVEGRFTISRDNTWNAVYLQMNSLKPEDTAVYYCHSDHYSMGVPEKRVIMYGQGTQVTVSS
配列番号60:抗Her3 VHH34C7のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLGLSCVASGSIFRINAMAWYRQAPGKQRELVAEITAGGSTNYADSVKGRFTISVDNAWNTLYLQMNSLKVEDTAVYYCNLDHYTTWDRRSAYWGQGTQVTVSS
配列番号61:抗Her2 VHH47D5のアミノ酸配列
KVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSIFGFNDMAWYRQAPGKQRELVALISRVGVTSSADSVKGRFTISRVNAKDTVYLQMNSLKPEDTAVYYCYMDQRLDGSTLAYWGQGTQVTVSS
配列番号62:抗Her2 VHH2D3のアミノ酸配列
EVQLVESGGSLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYAMSWVRQVPGKGLEWVSSINWSGTHTDYADSVKGRFTISRNNANNTLYLQMNSLKSEDTAVYYCAKNWRDAGTTWFEKSGSAGQGTQVTVSS
配列番号63:抗Her2 VHH5F7のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSINTMGWYRQAPGKQRELVALISSIGDTYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCKRFRTAAQGTDYWGQGTQVTVSS
配列番号64:抗Her2 VHH13D11のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVHPGGSLRLSCVGSGFSLDDYGMTWVRRAPGKGLEWVSSINWSGTHTDYADSVKGRFTISRDNAKNTLFLQMNSLNPEDTAVYYCGQGWKIVPTNPRGHGTQVTVSS
配列番号65:抗Her2 VHH2B4のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCVGSGFSLDDYAMTWVRQAPGKGLEWVSSINWSGTHTDYADSVKGRFTISRDNAKNTLFLQMNSLSPEDTAVYYCNQGWKIRPTIPMGHGTQVTVSS
配列番号66:抗Her2 VHH2G2のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCVASGFSLDDYGMTWVRQAPGKGLEWVSSINWSGTHTDYTDPVKGRFTISRDNAKNTLFLQMNNLTPEDTAVYYCNRGWKIVPTDLGGHGTQVTVSS
配列番号67:抗Her2 VHH13G11のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFISNYAMGWFRQAPGKEREFVATINWSGSHSDYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNNLKSEDTAVYYCAPGWGTAPLSTSVYWGQGTQVTVSS
配列番号68:抗Her2 VHH12E33のアミノ酸配列
EVQLVESGGGMVQAGGSLRLSCAASGLTLSNYGMGWFRQAPGKEREFVSSINWSGTHTYDADFVKGRFIISRDNAKNTVYLQINSLKPEDTAVYYCAAGGWGTGRYNYWGQGTQVTVSS
配列番号69:抗Her2 VHH13F21のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQSGGSLRLSCVASGTIVSINATSWYRQAPGNQRELVATIIGDGRTHYADSVKDRFTISRDAAANLVYLQMNSLKPSDTAIYSCNANGIESYGWGNRHFNYWTVGTQVTVSS
配列番号70:抗Her2 VHH11A101のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFNAMGWFRQAPGKEREFVAAISRSPGVTYYADSVKGRFTTSRDNAKNTVYLQMNDLKPEDTAVYYCAADFYLATLAHEYDYWGQGTQVTVSS
配列番号71:抗Her2 VHH11A22のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSSYAMAWFRQAPGTEREFIAGIRWSDGSTYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAADFYVSTLAHEYDYWGQGTQVTVSS
配列番号72:抗Her2 VHH12D44のアミノ酸配列
KVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSSYAMAWFRQAPGTEREFIAGIRWSDGSTYYADSVKGRFTISRANAKNTVYLQMNGLKPEDTAVYYCAADFYVSTLAHEYDYWGQGTQVTVSS
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図22D
図23A
図23B
図23C
図23D
図24A
図24B
図25A
図25B
図25C
図25D
図26A
図26B
図27A
図27B
図27C
図27D
【配列表】
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