(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】乾燥装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/52 20060101AFI20250319BHJP
B65G 45/22 20060101ALI20250319BHJP
B65G 15/54 20060101ALI20250319BHJP
F26B 15/00 20060101ALI20250319BHJP
F26B 15/24 20060101ALI20250319BHJP
A21C 9/08 20060101ALI20250319BHJP
【FI】
B65G47/52 E
B65G47/52 B
B65G45/22 C
B65G15/54
F26B15/00 B
F26B15/24
A21C9/08 Z
(21)【出願番号】P 2023194423
(22)【出願日】2023-11-15
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390019987
【氏名又は名称】亀田製菓株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【氏名又は名称】太田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】山川 浩
(72)【発明者】
【氏名】西潟 卓
(72)【発明者】
【氏名】川上 慶太
(72)【発明者】
【氏名】保田 光輝
(72)【発明者】
【氏名】関川 隆
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-039886(JP,U)
【文献】実開昭56-121009(JP,U)
【文献】特開2010-195493(JP,A)
【文献】実開昭56-066774(JP,U)
【文献】特開平07-218132(JP,A)
【文献】特開平06-169679(JP,A)
【文献】特開昭53-025957(JP,A)
【文献】実開昭62-171895(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 45/00 - 47/96
B65G 15/00 - 15/64
F26B 1/00 - 25/22
A21C 1/00 - 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、複数の搬送コンベアと、洗浄機構と、を備える乾燥装置であって、
前記乾燥装置は、前記搬送コンベアによって前記装置本体内を搬送される食品材料を乾燥するとともに、前記洗浄機構によって前記搬送コンベアを洗浄し、
前記装置本体は、食品材料を収容可能な乾燥室を有し、
前記搬送コンベアは、無端状に形成された搬送部材を有し、前記搬送部材を回転させることで、所定の搬送方向へ食品材料を搬送し、
複数の前記搬送コンベアは、それぞれ前記乾燥室内において上下方向に配置され、かつ、搬送方向が上側に隣り合う前記搬送コンベアの搬送方向と反対方向であり、
前記搬送コンベアの搬送方向の上流側の端部が、上側に隣り合う前記搬送コンベアの搬送方向の下流側の端部から張り出すように配置されることで、前記搬送コンベアの搬送方向の下流側の端部に移動した食品材料を、下側に隣り合う前記搬送コンベアの前記搬送部材の上面に落下させ、最上部に位置する前記搬送コンベアから最下部に位置する前記搬送コンベアまで順に食品材料を移動させ、
前記洗浄機構は、前記搬送コンベアにおける、上下方向に隣り合う前記搬送コンベアの搬送方向の下流側の端部から張り出す部分の端部側に位置する前記搬送部材を洗浄
し、
前記乾燥室は、複数の前記搬送コンベアによって搬送される食品材料が位置する空間である第1空間と、前記搬送部材における前記洗浄機構によって洗浄される部分が位置する空間である第2空間と、を有し、
前記第2空間の圧力は、前記第1空間の圧力よりも小さい
乾燥装置。
【請求項2】
前記第1空間の空気を前記乾燥室外に排出する第1排気部と、
前記第2空間の空気を前記乾燥室外に排出する第2排気部と、を備え、
前記第2排気部によって前記第2空間から前記乾燥室外に排出する空気の量は、前記第1排気部によって前記第1空間から前記乾燥室外に排出する空気の量よりも大きい
請求項
1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記洗浄機構は、前記搬送部材を液体によって洗浄する
請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記搬送部材は、食品材料が載置される網状のコンベアベルトと、前記コンベアベルトの幅方向端部側に設けられ、前記コンベアベルトを回転させる駆動力が伝達されるチェーンと、を有し、
前記洗浄機構は、前記コンベアベルトを洗浄するための液体を、前記コンベアベルトに対して直接的に吹き付ける液体噴射部を有している
請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記洗浄機構は、前記コンベアベルトに付着している付着物をかき落とすスクレーパを有している
請求項
4に記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記洗浄機構は、気体を噴射することによって、前記コンベアベルトに付着している液体を除去する気体噴射部を有している
請求項
4に記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記液体噴射部の液体を噴射する方向の延長線上に設けられ、前記液体噴射部から噴射されて前記コンベアベルトを通過する液体の進路を遮蔽する遮蔽板を備える
請求項
4に記載の乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、煎餅等の米菓の製造時に用いられ、外面側に調味料を付着させた食品材料を乾燥させるための乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の乾燥装置としては、乾燥室を有する装置本体と、乾燥室内に上下方向に配置された複数の搬送コンベアと、を備え、例えば、米菓等の製造時における、外面側に調味料を付着させた状態の食品材料を、複数の搬送コンベアによって搬送するととともに、乾燥室内において乾燥させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の乾燥装置において、乾燥室の内部と外部との間を移動する金網ベルトを有する搬送コンベアは、乾燥室の外側に設置された洗浄液槽の洗浄液によって金網ベルトを洗浄することができるため、搬送コンベアによって食品材料を搬送すると同時に、金網ベルトを洗浄することができる。一方、乾燥室の内部のみで移動する金網ベルトを有する搬送コンベアは、気体噴射手段、金網ベルトに噛み合うスプロケット等によって、金網ベルトに付着した食品屑を除去しているだけであるため、定期的に金網ベルトの洗浄が必要となる。このため、特許文献1に記載の乾燥装置は、乾燥室の内部のみで移動する金網ベルトを洗浄する場合に、食品材料の乾燥を停止して、停止している搬送コンベアの金網ベルトを洗浄することになる。したがって、特許文献1に記載の乾燥装置は、乾燥室の内部のみで移動する金網ベルトを洗浄するために、食品材料の乾燥を停止することになるため、食品材料の加工効率の向上を図ることが困難である。
【0005】
また、特許文献1に記載の乾燥装置は、搬送コンベアの駆動ローラおよび従動ローラに掛け渡されるコンベアベルトとして、チェーンレスの金網ベルトを用いている。このため、特許文献1に記載の乾燥装置は、金網ベルトに噛み合う歯を有する専用の駆動ローラおよび従動ローラが必要となり、搬送コンベアの製造コストが高くなる可能性がある。そこで、特許文献1に記載の乾燥装置において、駆動ローラおよび従動ローラに掛け渡されるコンベアベルトとして、駆動ローラおよび従動ローラに設けられた汎用の歯車に噛み合うチェーンを有する金網ベルトを用いることが考えられる。しかし、チェーンを有する金網ベルトは、洗浄液槽の洗浄液によって洗浄する場合に、チェーンの部分も洗浄液に浸かることになるため、チェーンに塗布されている潤滑油が洗浄液によって洗い落とされてしまい、搬送コンベアの駆動状態が悪化するおそれがある。
【0006】
本発明の目的とするところは、食品材料の乾燥と同時に乾燥室内を移動する搬送コンベアの洗浄を行うことができる乾燥装置を提供することにある。
また、本発明の目的とするところは、搬送コンベアの駆動状態の悪化を抑制することのできる乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る乾燥装置は、装置本体と、複数の搬送コンベアと、洗浄機構と、を備える乾燥装置であって、前記乾燥装置は、前記搬送コンベアによって前記装置本体内を搬送される食品材料を乾燥するとともに、前記洗浄機構によって前記搬送コンベアを洗浄し、前記装置本体は、食品材料を収容可能な乾燥室を有し、前記搬送コンベアは、無端状に形成された搬送部材を有し、前記搬送部材を回転させることで、所定の搬送方向へ食品材料を搬送し、複数の前記搬送コンベアは、それぞれ前記乾燥室内において上下方向に配置され、かつ、搬送方向が上側に隣り合う前記搬送コンベアの搬送方向と反対方向であり、前記搬送コンベアの搬送方向の上流側の端部が、上側に隣り合う前記搬送コンベアの搬送方向の下流側の端部から張り出すように配置されることで、前記搬送コンベアの搬送方向の下流側の端部に移動した食品材料を、下側に隣り合う前記搬送コンベアの前記搬送部材の上面に落下させ、最上部に位置する前記搬送コンベアから最下部に位置する前記搬送コンベアまで順に食品材料を移動させ、前記洗浄機構は、前記搬送コンベアにおける、上下方向に隣り合う前記搬送コンベアの搬送方向の下流側の端部から張り出す部分の端部側に位置する前記搬送部材を洗浄する。
【0008】
また、本発明に係る乾燥装置は、前記乾燥室は、複数の前記搬送コンベアによって搬送される食品材料が位置する空間である第1空間と、前記搬送部材における前記洗浄機構によって洗浄される部分が位置する空間である第2空間と、を有し、前記第2空間の圧力は、前記第1空間の圧力よりも小さい、ことが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る乾燥装置は、前記第1空間の空気を前記乾燥室外に排出する第1排気部と、前記第2空間の空気を前記乾燥室外に排出する第2排気部と、を備え、前記第2排気部によって前記第2空間から前記乾燥室外に排出する空気の量は、前記第1排気部によって前記第1空間から前記乾燥室外に排出する空気の量よりも大きい、ことが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る乾燥装置は、前記洗浄機構は、前記搬送部材を液体によって洗浄する、ことが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る乾燥装置は、装置本体と、複数の搬送コンベアと、洗浄機構と、を備える乾燥装置であって、前記乾燥装置は、前記搬送コンベアによって前記装置本体内を搬送される食品材料を乾燥するとともに、前記洗浄機構によって前記搬送コンベアを洗浄し、前記装置本体は、食品材料を収容可能な乾燥室を有し、前記搬送コンベアは、無端状に形成された搬送部材を有し、前記搬送部材を回転させることで、所定の搬送方向へ食品材料を搬送し、前記搬送部材は、食品材料が載置される網状のコンベアベルトと、前記コンベアベルトの幅方向端部側に設けられ、前記コンベアベルトを回転させる駆動力が伝達されるチェーンと、を有し、前記洗浄機構は、前記コンベアベルトを洗浄するための液体を、前記コンベアベルトに対して直接的に吹き付ける液体噴射部を有している。
【0012】
また、本発明に係る乾燥装置は、前記洗浄機構は、前記コンベアベルトに付着している付着物をかき落とすスクレーパを有している、ことが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る乾燥装置は、前記洗浄機構は、気体を噴射することによって、前記コンベアベルトに付着している液体を除去する気体噴射部を有している、ことが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る乾燥装置は、前記液体噴射部の液体を噴射する方向の延長線上に設けられ、前記液体噴射部から噴射されて前記コンベアベルトを通過する液体の進路を遮蔽する遮蔽板を備える、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の搬送コンベアによって食品材料を搬送する際に、搬送コンベアにおける食品材料が搬送されない部分を移動する搬送部材を洗浄することで、複数の搬送コンベアによって食品材料を搬送すると同時に搬送部材の洗浄を行うことが可能となるので、搬送部材の洗浄のために食品材料の乾燥する工程を停止する必要がなく、食品材料の加工効率の向上を図ることが可能となる。また、搬送部材を構成するコンベアベルトおよびチェーンのうち、コンベアベルトのみが洗浄機構によって洗浄されることになり、チェーンに塗布された潤滑油が洗浄液によって洗い落とされることはないため、搬送コンベアの駆動状態の悪化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る乾燥装置の構造を説明する概略側面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る乾燥装置の平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る乾燥装置の正面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る洗浄機構の側面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る洗浄機構の液体噴射部および遮蔽板を説明するための正面図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る洗浄機構の気体噴射部を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1乃至
図6は、本発明の一実施形態を示すものである。
図1は乾燥装置の構造を説明する概略側面図であり、
図2は乾燥装置の平面図であり、
図3は乾燥装置の正面図であり、
図4は洗浄機構の側面図であり、
図5は洗浄機構の液体噴射部および遮蔽板を説明するための正面図であり、
図6は洗浄機構の気体噴射部を説明するための正面図である。
【0018】
本実施形態の乾燥装置1は、例えば、煎餅等の米菓の製造時に用いられ、外面側に調味料を付着させた食品材料を乾燥させるためのものである。
【0019】
乾燥装置1は、
図1乃至
図3に示すように、装置本体10と、装置本体10内に食品材料を搬入するための搬入コンベア20と、装置本体10内において食品材料を搬送するための複数の搬送コンベア30と、装置本体10から食品材料を搬出するための搬出コンベア40と、複数の搬送コンベア30の後述する搬送部材を洗浄するための洗浄機構50と、を備えている。
【0020】
装置本体10は、中空の箱状に形成され、内部に食品材料を乾燥させるための乾燥室10aを有している。乾燥室10aは、複数の搬送コンベア30によって搬送される食品材料の搬送方向の大きさが、食品材料の搬送方向に対して水平方向に直交する方向の大きさよりも大きく形成され、食品材料の搬送方向における中央部側に第1空間10a1が配置され、第1空間10a1の両側のそれぞれに第2空間10a2が配置されている。
【0021】
また、装置本体10は、乾燥室10aの空気を引き込むとともに、引き込んだ空気を加熱して乾燥室10aに供給するための複数の還気部11と、乾燥室10aの空気を乾燥室10a外に排出するための排気部12と、を備えている。
【0022】
複数の還気部11は、それぞれ、還気ファン11aと、乾燥室10aと還気ファン11aの吸入口とを連通する還気ダクト11bと、還気ファン11aと乾燥室10aとを連通する給気ダクト11cと、を備えている。還気部11は、還気ファン11aによって乾燥室10aの空気を還気ダクト11bに引き込み、引き込んだ空気を図示しない加熱ヒータによって加熱し、給気ダクト11cを介して乾燥室10aに供給する。乾燥室10aの温度は、例えば約90°Cに調整されている。
【0023】
排気部12は、乾燥室10aにおける第1空間10a1の空気を乾燥室10aの外側に排出するための第1排気部12aと、2つ第2空間10a2のそれぞれの空気を乾燥室10aの外側に排出するための第2排気部12bと、からなる。第1排気部12aは、
図2に示すように、3台の第1排気ファン12a1からなる。また、2つの第2排気部12bは、それぞれ、1台の第2排気ファン12b1からなる。2つの第2排気部12bから乾燥室10aの外側に排出される空気の量は、第1排気部12aから乾燥室10aの外側に排出される空気の量よりも大きくなるように調整されている。これにより、第2空間10a2の圧力は、第1空間10a1の圧力よりも小さく調整され、第1空間10a1から2つの第2空間10a2に向かって空気が流れるようになっている。
【0024】
搬入コンベア20は、無端状に形成された搬送部材21と、搬送部材21が掛け渡される駆動ローラ22および従動ローラ23と、を有している。搬入コンベア20は、搬送部材21が、装置本体10の乾燥室10a側および外側にわたって配置されており、食品材料を乾燥室10aの上部側に搬入する。
【0025】
複数の搬送コンベア30は、それぞれ、搬入コンベア20と同様に、無端状に形成された搬送部材31と、搬送部材31が掛け渡される駆動ローラ32および従動ローラ33と、を有している。
【0026】
搬送部材31は、
図5および
図6に示すように、金属製の網状に形成されたコンベアベルト31aと、コンベアベルト31aの幅方向両端部側に設けられ、コンベアベルト31aを回転させる駆動力が伝達されるチェーン31bと、を有している。
【0027】
駆動ローラ32および従動ローラ33は、それぞれ、円筒状に形成され、軸方向両側には、搬送部材31のチェーン31bが噛み合う歯車を有している。
【0028】
複数の搬送コンベア30は、それぞれ、乾燥室10a内において上下方向に配置され、かつ、食品材料の搬送方向が上側に隣り合う搬送コンベア30の搬送方向と反対方向である。また、複数の搬送コンベア30は、それぞれ、搬送方向の上流側の端部が、上側に隣り合う搬送コンベア30の下流側の端部から張り出すように配置されている。これにより、複数の搬送コンベア30は、一の搬送コンベア30における搬送方向の下流側の端部まで移動した食品材料を、下側に隣り合う他の搬送コンベア30の搬送部材31のコンベアベルト31aの上面に落下させ、最上部に位置する搬送コンベア30から最下部に位置する搬送コンベア30まで順に食品材料を水平方向に移動させる。
【0029】
ここで、複数の搬送コンベア30によって搬送される食品材料は、乾燥室10aにおける第1空間10a1を、上部側から下部側まで蛇行しながら移動する。
【0030】
搬出コンベア40は、搬入コンベア20と同様に、無端状に形成された搬送部材41と、搬送部材41が掛け渡される駆動ローラ42および従動ローラ43と、を有している。搬出コンベア40は、搬送部材41が、装置本体10の下部側および外側にわたって配置されており、食品材料を装置本体10外に搬出する。
【0031】
洗浄機構50は、それぞれの搬送コンベア30における、上下方向に隣り合う搬送コンベア30の搬送方向の下流側の端部から張り出す部分の端部側に配置されている。即ち、洗浄機構50は、乾燥室10aにおける第2空間10a2に配置されている。洗浄機構50は、
図4乃至
図6に示すように、コンベアベルト31aを洗浄する液体としての洗浄液をコンベアベルト31aに向けて噴射するための液体噴射部51と、洗浄液によって洗浄されたコンベアベルト31aに残る付着物をかき落とすためのスクレーパ52と、コンベアベルト31aに向けて気体を噴射することで付着物および洗浄液を除去するための気体噴射部53と、液体噴射部51から噴射されてコンベアベルト31aを通過する液体の進路を遮蔽するための遮蔽板54と、を有している。ここで、コンベアベルト31aに付着している付着物とは、例えば、食品材料に付着させる粉末状または液状の調味料である。
【0032】
液体噴射部51は、
図4および
図5に示すように、コンベアベルト31aの幅方向に延在する筒状の部材からなり、外周面の軸方向に沿って、洗浄液を噴射する複数のノズルが間隔をおいて設けられている。液体噴射部51は、上下方向に隣り合う搬送コンベア30の搬送方向の下流側の端部から張り出す部分の端部側に位置するコンベアベルト31aの幅方向の全体にわたって洗浄液を噴射することによって、コンベアベルト31aに付着している付着物を洗い落とす。
【0033】
スクレーパ52は、
図4に示すように、コンベアベルト31aの幅寸法と略同一の幅寸法を有する板状部材からなり、液体噴射部51の近傍における、コンベアベルト31aの回転方向の前方に配置されている。スクレーパ52は、先端部がコンベアベルト31aに当接した状態となっており、液体噴射部51によって洗浄液が噴射されたコンベアベルト31aに洗浄液とともに付着している付着物をかき落とす。
【0034】
気体噴射部53は、
図4および
図6に示すように、コンベアベルト31aの幅方向に延在する筒状の部材からなり、外周面の軸方向に沿って、気体を噴射する複数のノズルが間隔をおいて設けられている。気体噴射部53は、スクレーパ52の近傍における、コンベアベルト31aの回転方向の前方に配置されている。気体噴射部53は、コンベアベルト31aの幅方向にわたって空気を噴射することによって、コンベアベルト31aに付着している洗浄液を除去する。
【0035】
遮蔽板54は、
図4および
図5に示すように、コンベアベルト31aの幅寸法と略同一の幅寸法を有する板状部材からなり、無端状のコンベアベルト31aの内側であって液体噴射部51の洗浄液の噴射方向の延長線上に設けられている。遮蔽板54は、液体噴射部51から噴射されてた洗浄液が、コンベアベルト31aにおける洗浄する部分を通過し、コンベアベルト31aの他の部分や、他の部材に付着することを抑制する。
【0036】
以上のように構成された乾燥装置1において、乾燥の対象となる食品材料は、搬入コンベア20によって装置本体10の乾燥室10a内の上部側に搬入される。搬入コンベア20の搬送方向の下流側の端部まで搬送された食品材料は、複数の搬送コンベア30のうち、最上部に配置された搬送コンベア30のコンベアベルト31aの上面に落下する。
【0037】
最上部に配置された搬送コンベア30のコンベアベルト31aの上面に落下した食品材料は、搬送方向の下流側の端部まで水平方向に搬送されると、下側に隣り合う搬送コンベア30のコンベアベルト31aの上面に落下する。下側に隣り合う搬送コンベア30のコンベアベルト31aの上面に落下した食品材料は、上側に隣り合う搬送コンベア30の搬送方向とは反対側に向かって搬送される。このように、乾燥室10a内に搬入された食品材料は、乾燥室10aの第1空間10a1を、最上部に位置する搬送コンベア30から最下部に位置する搬送コンベア30まで順に食品材料を水平方向に移動させる。
【0038】
最下部に位置する搬送コンベア30のコンベアベルト31aの上面に落下した食品材料は、搬送方向の下流側の端部まで水平方向に搬送されると、搬出コンベア40のコンベアベルトの上面に落下し、搬出コンベア40によって乾燥室10aから乾燥室10a外に搬出される。
【0039】
また、複数の搬送コンベア30のそれぞれのコンベアベルト31aは、食品材料を搬送すると同時に、
図4乃至
図6に示すように、乾燥室10aの第2空間10a2において、洗浄機構50によって洗浄される。
【0040】
具体的に説明すると、第2空間10a2に位置するコンベアベルト31aには、液体噴射部51から噴射された洗浄液が吹き付けられる。これにより、コンベアベルト31aに付着した付着物は、洗浄液によってコンベアベルト31aから洗い流されるか、洗浄液を含んだ状態でコンベアベルト31aに付着した状態となる。
【0041】
また、第2空間10a2に位置するコンベアベルト31aには、スクレーパ52の先端部が当接した状態となっている。これにより、コンベアベルト31aに付着した状態の洗浄液を含んだ付着物は、スクレーパ52によってかき落とされる。
【0042】
さらに、第2空間10a2に位置するコンベアベルト31aには、洗浄液が吹き付けられるとともにスクレーパ52によって付着物がかき落とされた後、気体噴射部53から噴射された空気が吹き付けられる。これにより、コンベアベルト31aに付着した洗浄液は、気体噴射部53から噴射された空気によって吹き飛ばされる。
【0043】
このように、本実施形態の乾燥装置によれば、装置本体10と、複数の搬送コンベア30と、洗浄機構50と、を備える乾燥装置1であって、乾燥装置1は、搬送コンベア30によって装置本体10内を搬送される食品材料を乾燥するとともに、洗浄機構50によって搬送コンベア30を洗浄し、装置本体10は、食品材料を収容可能な乾燥室10aを有し、搬送コンベア30は、無端状に形成された搬送部材31を有し、搬送部材31を回転させることで、所定の搬送方向へ食品材料を搬送し、複数の搬送コンベア30は、それぞれ乾燥室10a内において上下方向に配置され、かつ、搬送方向が上側に隣り合う搬送コンベア30の搬送方向と反対方向であり、搬送コンベア30の搬送方向の上流側の端部が、上側に隣り合う搬送コンベア30の搬送方向の下流側の端部から張り出すように配置されることで、搬送コンベア30の搬送方向の下流側の端部に移動した前記食品材料を、下側に隣り合う搬送コンベア30の搬送部材31の上面に落下させ、最上部に位置する搬送コンベア30から最下部に位置する搬送コンベア30まで順に食品材料を移動させ、洗浄機構50は、搬送コンベア30における、上下方向に隣り合う搬送コンベア30の搬送方向の下流側の端部から張り出す部分の端部側に位置する搬送部材31を洗浄する。
【0044】
これにより、複数の搬送コンベア30によって食品材料を搬送する際に、搬送コンベア30における食品材料が搬送されない部分を移動する搬送部材31を洗浄することで、複数の搬送コンベア30によって食品材料を搬送すると同時に搬送部材31の洗浄を行うことが可能となるので、搬送部材31の洗浄のために食品材料の乾燥する工程を停止する必要がなく、食品材料の加工効率の向上を図ることが可能となる。
【0045】
また、乾燥室10aは、複数の搬送コンベア30によって搬送される食品材料が位置する空間である第1空間10a1と、搬送部材31における洗浄機構50によって洗浄される部分が位置する空間である第2空間10a2と、を有し、第2空間10a2の圧力は、第1空間10a1の圧力よりも小さい、ことが好ましい。
【0046】
これにより、乾燥室10a内において、第1空間10a1から第2空間10a2に向かう空気の流れを形成することが可能となるので、第2空間10a2において生じる液体噴射部51から噴射される液体、および、コンベアベルト31aから離脱した付着物の第1空間10a1側への進入を抑制することが可能となり、第1空間10a1を移動する食品材料の品質の向上を図ることが可能となる。
【0047】
また、第1空間10a1の空気を乾燥室10a外に排出する第1排気部12aと、第2空間10a2の空気を乾燥室10a外に排出する第2排気部12bと、を備え、第2排気部12bによって第2空間10a2から乾燥室10a外に排出する空気の量は、第1排気部12aによって第1空間10a1から乾燥室10a外に排出する空気の量よりも大きい、ことが好ましい。
【0048】
これにより、第1空間10a1および第2空間10a2のそれぞれの空間から空気を乾燥室10a外に排出することによって、第1空間10a1内の温度および湿度等の環境の調整が容易となる。
【0049】
また、洗浄機構50は、搬送部材31を液体によって洗浄する、ことが好ましい。
【0050】
これにより、搬送部材31に付着した付着物を確実に洗い落とすことが可能となるので、搬送部材31の衛生状態を長時間にわたって維持することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態の乾燥装置によれば、装置本体10と、複数の搬送コンベア30と、洗浄機構50と、を備える乾燥装置1であって、乾燥装置1は、搬送コンベア30によって装置本体10内を搬送される食品材料を乾燥するとともに、洗浄機構50によって搬送コンベア30を洗浄し、装置本体10は、食品材料を収容可能な乾燥室10aを有し、搬送コンベア30は、無端状に形成された搬送部材31を有し、搬送部材31を回転させることで、所定の搬送方向へ食品材料を搬送し、搬送部材31は、食品材料が載置される網状のコンベアベルト31aと、コンベアベルト31aの幅方向端部側に設けられ、コンベアベルト31aを回転させる駆動力が伝達されるチェーン31bと、を有し、洗浄機構50は、コンベアベルト31aを洗浄するための液体を、コンベアベルト31aに対して直接的に吹き付ける液体噴射部51を有している。
【0052】
これにより、搬送部材31を構成するコンベアベルト31aおよびチェーン31bのうち、コンベアベルト31aのみが洗浄機構50によって洗浄されることになり、チェーン31bに塗布された潤滑油が洗浄液によって洗い落とされることはないため、搬送コンベア30の駆動状態の悪化を抑制することが可能となる。
【0053】
また、洗浄機構50は、コンベアベルト31aに付着している付着物をかき落とすスクレーパ52を有している、ことが好ましい。
【0054】
これにより、液体噴射部51から噴射される洗浄液によってコンベアベルト31aの付着物を洗い流すことができない場合においても、付着物をスクレーパ52によってかき落とすことが可能となるので、付着物をコンベアベルト31aから確実に除去することが可能となる。
【0055】
また、洗浄機構50は、気体を噴射することによって、コンベアベルト31aに付着している液体を除去する気体噴射部53を有している、ことが好ましい。
【0056】
これにより、洗浄後の乾燥した状態のコンベアベルト31aによって食品材料を搬送することが可能となるので、コンベアベルト31aに対する付着物の付着量の低減と同時に食品材料の品質の向上を図ることが可能となる。
【0057】
また、液体噴射部51の液体を噴射する方向の延長線上に設けられ、液体噴射部51から噴射されてコンベアベルト31aを通過する液体の進路を遮蔽する遮蔽板54を備える、ことが好ましい。
【0058】
これにより、コンベアベルト31aにおける目的としない部分に対する液体の付着を防止することが可能となり、食品材料の品質の低下を抑制することが可能となる。
【0059】
尚、前記実施形態では、食品材料の一例として、煎餅等の米菓の製造時における、外面側に調味料を付着させたものを示したが、これに限られるものではない。
食品材料としては、その製造過程において乾燥を要する任意のものを採用できる。
特に、粘性の高い材料を含む食品材料を乾燥処理する乾燥装置は、従来、乾燥装置への付着物が生じやすく、洗浄が難しかった。しかし、本発明によれば、このような食品材料を乾燥処理する場合であっても、効率的な乾燥が可能となる。
粘性の高い材料としては、糖類、蜜、果実、米、醤油、みりん等が挙げられる。
具体的な食品材料としては、例えば、かりんとうの製造時における小麦粉等から成る生地を油で揚げたものに黒砂糖または白砂糖からなる蜜を絡めたもの、アルファ米の製造時における炊き上げた米、ドライフルーツ、乾燥野菜および干し肉の製造時における乾燥前のもの等、食品の加工時に乾燥を必要とする場合に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 乾燥装置
10 装置本体
10a 乾燥室
10a1 第1空間
10a2 第2空間
12 排気部
12a 第1排気部
12b 第2排気部
30 搬送コンベア
31 搬送部材
31a コンベアベルト
31b チェーン
50 洗浄機構
51 液体噴射部
52 スクレーパ
53 気体噴射部
54 遮蔽板
【要約】
【課題】食品材料の乾燥と同時に乾燥室内を移動する搬送コンベアの洗浄を行うことができる乾燥装置を提供する。
【解決手段】複数の搬送コンベア30は、搬送コンベア30の搬送方向の上流側の端部が、上側に隣り合う搬送コンベア30の搬送方向の下流側の端部から張り出すように配置されることで、搬送コンベア30の搬送方向の下流側の端部に移動した前記食品材料を、下側に隣り合う搬送コンベア30の搬送部材31の上面に落下させ、最上部に位置する搬送コンベア30から最下部に位置する搬送コンベア30まで順に食品材料を移動させ、洗浄機構50は、搬送コンベア30における、上下方向に隣り合う搬送コンベア30の搬送方向の下流側の端部から張り出す部分の端部側に位置する搬送部材31を洗浄する。
【選択図】
図1