IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本触媒の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】非水電解液の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0568 20100101AFI20250319BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20250319BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20250319BHJP
   H01G 11/62 20130101ALI20250319BHJP
   H01G 11/60 20130101ALI20250319BHJP
【FI】
H01M10/0568
H01M10/0569
H01M10/052
H01G11/62
H01G11/60
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023531735
(86)(22)【出願日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 JP2022022741
(87)【国際公開番号】W WO2023276561
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2021109036
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 遼
(72)【発明者】
【氏名】小畠 貴之
(72)【発明者】
【氏名】大久保 知恵
(72)【発明者】
【氏名】荒川 元博
(72)【発明者】
【氏名】森田 智大
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/241161(WO,A1)
【文献】特開2018-055882(JP,A)
【文献】特開2019-204725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05-10/0587
H01G 11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるスルホニルイミド化合物及び電解液溶媒(B)を含有する非水電解液を製造する方法であって、
前記一般式(1)で表されるスルホニルイミド化合物及び前記電解液溶媒(B)とは異なる電解液溶媒(A)を含有するスルホニルイミド溶液を調製する調製工程と、
前記調製工程で得られたスルホニルイミド溶液に前記電解液溶媒(B)を加えて前記電解液溶媒(A)を留去する分留工程とを含み、
前記電解液溶媒(A)と前記電解液溶媒(B)との沸点差が130℃以上300℃以下である、非水電解液の製造方法。
LiN(RSO)(FSO) (Rはフッ素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のフルオロアルキル基を示す。) (1)
【請求項2】
前記電解液溶媒(A)は沸点60℃以上の溶媒である、請求項に記載の非水電解液の製造方法。
【請求項3】
前記電解液溶媒(B)は沸点200℃以上の溶媒である、請求項又はに記載の非水電解液の製造方法。
【請求項4】
一般式(1)で表されるスルホニルイミド化合物及び電解液溶媒(B)を含有する非水電解液を製造する方法であって、
前記一般式(1)で表されるスルホニルイミド化合物及び前記電解液溶媒(B)とは異なる電解液溶媒(A)を含有するスルホニルイミド溶液を調製する調製工程と、
前記調製工程で得られたスルホニルイミド溶液に前記電解液溶媒(B)を加えて前記電解液溶媒(A)を留去する分留工程とを含み、
前記電解液溶媒(A)及び前記電解液溶媒(B)は、ともにカーボネート系溶媒又はエステル系溶媒であり、ともにカーボネート系溶媒の場合、該電解液溶媒(A)は鎖状カーボネート系溶媒であり、該電解液溶媒(B)は環状カーボネート系溶媒であり、ともにエステル系溶媒の場合、該電解液溶媒(A)は鎖状エステル系溶媒であり、該電解液溶媒(B)は環状エステル系溶媒である、非水電解液の製造方法。
LiN(RSO )(FSO ) (Rはフッ素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のフルオロアルキル基を示す。) (1)
【請求項5】
一般式(1)で表されるスルホニルイミド化合物及び電解液溶媒(B)を含有する非水電解液を製造する方法であって、
前記一般式(1)で表されるスルホニルイミド化合物及び前記電解液溶媒(B)とは異なる電解液溶媒(A)を含有するスルホニルイミド溶液を調製する調製工程と、
前記調製工程で得られたスルホニルイミド溶液に前記電解液溶媒(B)を加えて前記電解液溶媒(A)を留去する分留工程とを含み、
前記電解液溶媒(A)は、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピオン酸エチル及びプロピオン酸プロピルからなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記調製工程において、前記一般式(1)で表されるスルホニルイミド化合物を含有するスルホニルイミド水溶液に前記電解液溶媒(A)を加えて脱水する、非水電解液の製造方法。
LiN(RSO )(FSO ) (Rはフッ素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のフルオロアルキル基を示す。) (1)
【請求項6】
前記非水電解液中の水分量が10000質量ppm以下である、請求項1、4及び5のいずれか一項に記載の非水電解液の製造方法。
【請求項7】
前記非水電解液中の前記電解液溶媒(A)の残存量が、該非水電解液100質量%に対して20質量%以下である、請求項1、4及び5のいずれか一項に記載の非水電解液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非水電解液の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の二次電池の電池性能を向上させるために、二次電池に用いられる非水電解液やその材料が種々検討されている。例えば、特許文献1には、特定のフルオロスルホニルイミド塩と電解液溶媒を含む電解液材料の製造方法が提案されている。この製造方法では、特定のフルオロスルホニルイミド塩と電解液溶媒を含む溶液を減圧及び/又は加熱して、フルオロスルホニルイミド塩の製造溶媒を揮発させるため、電解液材料の特性に影響を与える残留溶媒を削減した電解液材料が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/052752号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、各電池メーカーをはじめとするユーザーでは、使用する電解液溶媒がそれぞれ異なる場合がある。そのため、非水電解液の製造時に用いた電解液溶媒を、抽出工程等の煩雑な工程を経ることなく、ユーザーが指定する別の電解液溶媒に置き換えることができれば、ユーザーに対して、非水電解液又はその材料の選択肢が広がるというメリットがある。
【0005】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、非水電解液の製造時に用いた電解液溶媒を、抽出工程等の煩雑な工程を経ることなく、別の電解液溶媒に置き換えることが可能な非水電解液の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この開示技術では、2種類の電解液溶媒を用い、予め第1の電解液溶媒を含有する溶液を調製した後に、第2の電解液溶媒に置き換える、つまり溶媒置換するようにした。本開示は、具体的には以下のとおりである。
【0007】
本開示の非水電解液の製造方法は、一般式(1):
LiN(RSO)(FSO) (Rはフッ素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のフルオロアルキル基を示す。) (1)
で表されるスルホニルイミド化合物及び電解液溶媒(B)を含有する非水電解液を製造する方法であって、前記一般式(1)で表されるスルホニルイミド化合物及び前記電解液溶媒(B)とは異なる電解液溶媒(A)を含有するスルホニルイミド溶液を調製する調製工程と、前記調製工程で得られたスルホニルイミド溶液に前記電解液溶媒(B)を加えて前記電解液溶媒(A)を留去する分留工程とを含む。
【0008】
前記製造方法では、前記電解液溶媒(A)と前記電解液溶媒(B)との沸点差が60℃以上300℃以下であってもよい。前記電解液溶媒(A)は沸点60℃以上の溶媒であってもよい。前記電解液溶媒(B)は沸点200℃以上の溶媒であってもよい。前記電解液溶媒(A)及び前記電解液溶媒(B)はカーボネート系溶媒及びエステル系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。前記電解液溶媒(A)は鎖状カーボネート系溶媒及び鎖状エステル系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。前記電解液溶媒(B)は環状カーボネート系溶媒及び環状エステル系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。前記非水電解液中の水分量が10000質量ppm以下であってもよい。前記調製工程において、前記一般式(1)で表されるスルホニルイミド化合物を含有するスルホニルイミド水溶液に前記電解液溶媒(A)を加えて脱水してもよい。前記非水電解液中の前記電解液溶媒(A)の残存量が、該非水電解液100質量%に対して20質量%以下であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、非水電解液の製造時に用いた電解液溶媒を、抽出工程等の煩雑な工程を経ることなく、別の電解液溶媒に置き換えることが可能な非水電解液又はその材料の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態を詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0011】
[非水電解液の製造方法]
本実施形態に係る非水電解液の製造方法は、後述する特定のスルホニルイミド化合物及び電解液溶媒(A)を含有するスルホニルイミド溶液を用いて、電解液溶媒を置換することにより、当該スルホニルイミド化合物及び電解液溶媒(B)を含有する非水電解液を製造する方法である。電解液溶媒(B)は電解液溶媒(A)とは異なる。この製造方法は、スルホニルイミド溶液を調製する調製工程と、スルホニルイミド溶液に電解液溶媒(B)を加えて、電解液溶媒(A)から電解液溶媒(B)に置き換える分留工程とを少なくとも含む。
【0012】
<調製工程>
(スルホニルイミド化合物)
調製工程は、スルホニルイミド溶液を調製する工程である。スルホニルイミド溶液は、一般式(1):
[化1]
LiN(RSO)(FSO) (1)
で表されるスルホニルイミド化合物(以下「スルホニルイミド化合物(1)」という、フッ素含有スルホニルイミド塩)を含有する。
【0013】
スルホニルイミド化合物(1)は、本実施形態に係る製造方法で得られる非水電解液の電解質である。一般式(1)中、Rはフッ素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のフルオロアルキル基を示す。
【0014】
炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。炭素数1~6のアルキル基の中では、炭素数1~6の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1~6の直鎖状のアルキル基がより好ましい。
【0015】
炭素数1~6のフルオロアルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものが挙げられる。炭素数1~6のフルオロアルキル基としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。特に、フルオロアルキル基は、パーフルオロアルキル基であってもよい。
【0016】
置換基Rとしては、フッ素原子及びパーフルオロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等の炭素数1~6のパーフルオロアルキル基等)が好ましく、フッ素原子、トリフルオロメチル基及びペンタフルオロエチル基がより好ましく、フッ素原子及びトリフルオロメチル基がより一層好ましく、フッ素原子がさらに好ましい。
【0017】
スルホニルイミド化合物(1)の具体例としては、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(FSO、LiFSI)、リチウム(フルオロスルホニル)(メチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(エチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(ヘプタフルオロプロピルスルホニル)イミド等が挙げられる。スルホニルイミド化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0018】
スルホニルイミド化合物(1)の中では、電池性能を向上させる観点から、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、及びリチウム(フルオロスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドが好ましく、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドがより好ましい。換言すると、スルホニルイミド溶液の中では、スルホニルイミド化合物(1)がLiN(FSOを含むものが好ましい。
【0019】
スルホニルイミド化合物(1)は、市販品を使用してもよく、従来公知の方法により合成して得られたものを用いてもよい。スルホニルイミド化合物(1)を合成する方法は特に限定されず、従来公知の方法は全て採用することが出来る。例えば、国際公開第2011/149095号、特開2014-201453号公報、特開2010-168249号公報、特開2010-168308号公報、特開2010-189372号公報、国際公開第2011/065502号、特表平8-511274号公報、国際公開第2012/108284号、国際公開第2012/117961号、国際公開第2012/118063号、特開2010-280586号公報、特開2010-254543号公報、特開2007-182410号公報、国際公開第2010/010613号等に記載の方法が挙げられる。上記の従来公知の方法により、スルホニルイミド化合物(1)の粉体(固体)が得られる。
【0020】
スルホニルイミド化合物(1)は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、スルホニルイミド化合物(1)の製造に用いた製造溶媒(上記の従来公知の製法で得られたスルホニルイミド化合物(1)に含まれている残留溶媒)を含んでいてもよい。残留溶媒とは、スルホニルイミド化合物(1)の製造反応に使用した溶媒や、精製工程に用いた溶媒などである。例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;蟻酸、酢酸等のカルボン酸系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;イソブチロニトリル、アセトニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等の脂肪族エーテル系溶媒;HF等のハロゲン系溶媒;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ基含有溶媒;エチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等の含窒素有機溶媒;ジメチルスルホキシド;グライム系溶媒、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン、テトラリン、シメン、メチルエチルベンゼン、2-エチルトルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ウンデカン、トリデカン、デカリン、2,2,4,6,6-ペンタメチルヘプタン、イソパラフィン(例えば、「マルカゾールR」(丸善石油化学株式会社製の2,2,4,6,6-ペンタメチルヘプタン、2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンの混合物)、「アイソパー(登録商標)G」(エクソンモービル製のC9-C11混合イソパラフィン)、「アイソパー(登録商標)E」(エクソンモービル製のC8-C10混合イソパラフィン)ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等の鎖状脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、1,2-ジメチルシクロヘキサン、1,3-ジメチルシクロヘキサン、1,4-ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1,2,4-トリメチルシクロヘキサン、1,3,5-トリメチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、「スワクリーン150」(丸善石油化学株式会社製のC9アルキルシクロヘキサンの混合物)等の環状脂肪族炭化水素系溶媒;アニソール、2-メチルアニソール、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール等の芳香族エーテル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶媒;ジメトキシメタン、1,2-ジメトキシエタン等の鎖状エーテル系溶媒;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキサン、4-メチル-1,3-ジオキソラン等の環状エーテル系溶媒;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等の環状エステル系溶媒;スルホラン、3-メチルスルホラン等のスルホラン系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルオキサゾリジノン等が挙げられる。
【0021】
(電解液溶媒(A))
スルホニルイミド溶液は、スルホニルイミド化合物(1)と共に、電解液溶媒(A)を含有する。電解液溶媒(A)は、電解質を溶解、分散できるものである。電解液溶媒(A)としては、誘電率が大きく、電解質塩の溶解性が高く、常圧における沸点が60℃以上であり、且つ、電気化学的安定範囲が広い非水系溶媒が好適である。より好ましくは、含有水分量が低い有機溶媒である。このような電解液溶媒(A)としては、ジメチルカーボネート(DMC、沸点:90℃)、エチルメチルカーボネート(EMC、沸点:107℃)、ジエチルカーボネート(DEC、沸点:125.8℃)等の鎖状炭酸エステル(カーボネート)系溶媒;プロピオン酸エチル(沸点:99℃)、プロピオン酸プロピル(沸点:124℃)等の鎖状エステル系溶媒等が挙げられる。これら溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。電解液溶媒(A)の中では、非水電解液中の電解液溶媒(A)の残存量を低減する観点から、鎖状カーボネート系溶媒及び鎖状エステル系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピオン酸エチル及びプロピオン酸プロピルがより好ましく、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びプロピオン酸エチルがさらに好ましい。
【0022】
(スルホニルイミド溶液の調製方法)
スルホニルイミド溶液を調製する方法は、特に限定されず、スルホニルイミド化合物(1)の粉体(固体)を電解液溶媒(A)に溶解する方法;電解液溶媒(A)中でスルホニルイミド化合物(1)を合成する方法(例えば、国際公開第2016/052752号(特許文献1)に記載の製造例1において、酢酸ブチルの代わりに電解液溶媒(A)を用いる方法);電解液溶媒(A)中でHFSI〔ビス(フルオロスルホニル)イミド〕とLiОHやLiCO等のリチウム塩とを反応させる方法等が挙げられる。
【0023】
また、スルホニルイミド溶液を調製する別の方法として、最初にスルホニルイミド化合物(1)を含有するスルホニルイミド水溶液を調製し、得られたスルホニルイミド水溶液を脱水して溶媒置換することにより、スルホニルイミド溶液を調製してもよい。
【0024】
スルホニルイミド水溶液を調製する方法は特に限定されず、スルホニルイミド化合物(1)の粉体(固体)を水に溶解する方法;水、LiOHやLiCO等のリチウム塩及びHFSI〔ビス(フルオロスルホニル)イミド〕を混合し反応させる方法(LiFSI水溶液の調製)等が挙げられる。
【0025】
スルホニルイミド水溶液におけるスルホニルイミド化合物(1)濃度は、脱水効率の観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。当該濃度の上限値は、脱水効率の観点から、好ましくは70質量%以下である。
【0026】
スルホニルイミド水溶液を脱水して溶媒置換する方法は特に限定されず、例えば、スルホニルイミド水溶液に電解液溶媒(A)を加えた溶液(脱水して電解液溶媒(A)に置換する操作を行うための溶液、以下「脱水用含水スルホニルイミド溶液」ともいう)を脱水する方法等が挙げられる。
【0027】
例えば、脱水用含水スルホニルイミド溶液に含まれる水と、添加した電解液溶媒(A)とを共沸留出した留出液のうち、除去する留出液と同じ量の電解液溶媒(A)を連続して添加してもよく;留出液を相分離して、水層を除去する一方、有機相を還流させてもよい。これら操作(脱水工程)により、脱水用含水スルホニルイミド溶液が脱水されて、添加した電解液溶媒(A)を含有するスルホニルイミド溶液が得られる。脱水工程においては、スルホニルイミド溶液は、スルホニルイミド水溶液中の水が、添加した電解液溶媒(A)に溶媒置換されて、水分量が十分に低減された溶液となる。スルホニルイミド溶液は、電解質としてスルホニルイミド化合物(1)と電解液溶媒(A)とを含有するため、非水電解液としてそのまま使用してもよく、非水電解液の原料(電解質溶液、電解液材料)として使用してもよい。
【0028】
電解液溶媒(A)の添加量(使用量)は、下限については特に制限はなく、スルホニルイミド化合物(1)中の残留溶媒の種類や量などにより適宜調整すればよい。例えば、スルホニルイミド化合物(1)100gに対して、好ましくは10000g以下、より好ましくは1000g以下、より一層好ましくは500g以下、さらに好ましくは200g以下、さらに一層好ましくは100g以下、特に好ましくは50g以下である。
【0029】
また、電解液溶媒(A)の添加量(使用量)は、例えば、スルホニルイミド化合物(1)100質量部に対して、好ましくは1~1000質量部、より好ましくは5~500質量部、より一層好ましくは10~300質量部、さらに好ましくは30~200質量部、さらに一層好ましくは50~100質量部である。
【0030】
脱水工程は、常圧下及び減圧下の何れでも実施できる(脱水工程中に常圧下と減圧下とを組み合わせて実施してもよい)が、熱によるスルホニルイミド化合物(1)の分解に起因するスルホニルイミド溶液の熱劣化を抑制する観点から、減圧下で実施するのが好ましい。減圧度はスルホニルイミド化合物(1)濃度、電解液溶媒(A)の種類や量等に応じて適宜調整すればよく特に限定はされないが、例えば、好ましくは200kPa以下、より好ましくは40kPa以下、さらに好ましくは15kPa以下、特に好ましくは10kPa以下である。
【0031】
脱水工程における加熱温度は、減圧度、電解液溶媒(A)の種類や量等に応じて適宜調整すればよく特に限定はされないが、熱によるスルホニルイミド化合物(1)の分解に起因するスルホニルイミド水溶液の熱劣化を抑制する観点から、比較的低い温度が好ましい。加熱温度は、例えば、好ましくは10~110℃、より好ましくは15~100℃である。
【0032】
脱水工程における処理時間は、減圧度、加熱温度、電解液溶媒(A)の種類や量等に応じて適宜調整すればよく特に限定はされないが、例えば、好ましくは0.1~24時間、より好ましくは0.5~12時間、さらに好ましくは1~8時間、特に好ましくは2~5時間である。
【0033】
脱水工程に用いる減圧及び/又は加熱が行える装置としては、溶液量、減圧度、加熱温度等に応じて適宜選択すればよい。例えば、槽型反応器、減圧可能な槽型反応器等が挙げられる。
【0034】
調製工程において、本発明の目的を阻害しない範囲内で、スルホニルイミド溶液及び/又はスルホニルイミド水溶液に炭酸塩を添加してもよい。スルホニルイミド溶液及び/又はスルホニルイミド水溶液を調製する際に、溶液中の水分、溶解時の発熱等により、若干のフルオロスルホン酸(HFSO)が発生する。また、スルホニルイミド化合物(1)の製造方法によっては、得られるスルホニルイミド化合物(1)自体にHFSOが含まれることもある。HFSOは、スルホニルイミド化合物(1)の分解に起因するスルホニルイミド水溶液の劣化の原因となるため、スルホニルイミド溶液及び/又はスルホニルイミド水溶液中のHFSOを炭酸塩により捕捉(トラップ)することが望ましい。
【0035】
炭酸塩としては、炭酸リチウム(LiCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸ルビジウム(RbCO)、炭酸セシウム(CsCO)等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸ベリリウム(BeCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、炭酸バリウム(BaCO)等のアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸アンモニウム(NHCO);炭酸銅(II)(CuCO);炭酸鉄(II)(FeCO);炭酸銀(I)(AgCO)等が挙げられる。炭酸塩は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0036】
炭酸塩の中では、HFSOを確実にトラップする観点から、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩が好ましく、アルカリ金属炭酸塩がより好ましく、LiCO、NaCO、KCO、及びCsCOがさらに好ましく、LiCOがさらに一層好ましい。
【0037】
スルホニルイミド水溶液に添加する炭酸塩の添加量は、スルホニルイミド化合物(1)濃度に応じて適宜決定すればよいが、HFSOを確実にトラップする観点から、スルホニルイミド水溶液100質量%中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上である。当該添加量の上限値は、スルホニルイミド水溶液中に残る炭酸塩の不溶粒子の量を低減する観点から、スルホニルイミド水溶液100質量%中、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
【0038】
(スルホニルイミド溶液)
スルホニルイミド溶液におけるスルホニルイミド化合物(1)の濃度は、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。また、当該濃度は、電解液粘度の上昇による電池性能の低下を抑制する観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
【0039】
スルホニルイミド溶液中の水分量(水分濃度)は、水によるスルホニルイミド化合物(1)の分解を抑制する観点から、好ましくは10000質量ppm以下、より好ましくは1000質量ppm以下、さらに好ましくは100質量ppm以下、さらに一層好ましくは50質量ppm以下である。当該水分量は、低いほど好ましく、検出限界以下や実質的に含まれていない(0質量ppm)でもよい。水分量は、後述の実施例で記載の方法、例えばカールフィッシャー水分測定装置等を用いて測定できる。
【0040】
<分留工程>
分留工程は、調製工程で得られたスルホニルイミド溶液に電解液溶媒(B)を加えた混合物において、電解液溶媒(A)と電解液溶媒(B)とを分留する工程である。この分留工程では、スルホニルイミド溶液と電解液溶媒(B)とを含む混合物、つまりスルホニルイミド化合物(1)と、沸点の異なる2種類の電解液溶媒(A)及び電解液溶媒(B)とを含む液体の混合物を加熱し、沸点の低い電解液溶媒(A)を気化させて分離(除去)する分別蒸留操作を行う。この操作により、スルホニルイミド溶液中の電解液溶媒(A)が、当該溶液に添加した電解液溶媒(B)に溶媒置換される。その結果、電解液溶媒(A)量が低減されて、電解液溶媒(A)よりも電解液溶媒(B)を多く含有する非水電解液が得られる。
【0041】
(電解液溶媒(B))
電解液溶媒(B)は、電解質を溶解、分散できるものである。電解液溶媒(B)としては、誘電率が大きく、電解質塩の溶解性が高く、常圧における沸点が60℃以上であり、且つ、電気化学的安定範囲が広い非水系溶媒が好適である。より好ましくは、含有水分量が低い有機溶媒である。
【0042】
また、電解液溶媒(B)は、電解液溶媒(A)とは沸点の異なる溶媒である。具体的には、電解液溶媒(B)は電解液溶媒(A)よりも沸点が高く、両者の沸点差が大きい組み合わせが好ましい。両者の沸点差が大きいほど、分留効率が高くなり、混合物中の電解液溶媒(A)が低減され、所望の電解液溶媒(B)を含有する非水電解液が得られる。電解液溶媒(A)と電解液溶媒(B)との沸点差は、非水電解液中の電解液溶媒(A)の残存量を低減する観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上、より一層好ましくは100℃以上、さらに好ましくは130℃以上である。また当該沸点差の上限値は、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下、より一層好ましくは190℃以下、さらに好ましくは180℃以下、さらに一層好ましくは170℃以下、特に好ましくは160℃以下である。
【0043】
このような電解液溶媒(B)としては、常圧における沸点が200℃以上である溶媒が挙げられる。具体例としては、エチレンカーボネート(EC、沸点:244℃)、プロピレンカーボネート(PC、沸点:242℃)、2,3-ジメチルエチレンカーボネート(沸点:313℃)、炭酸1,2-ブチレンカーボネート(沸点:250℃)、エリスリタンカーボネート(沸点:345℃)等の飽和環状炭酸エステル(カーボネート)系溶媒;γ-ブチロラクトン(沸点:204℃)等の環状エステル系溶媒等が挙げられる。これら溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。電解液溶媒(B)の中では、非水電解液中の電解液溶媒(A)の残存量を低減する観点から、環状カーボネート系溶媒及び環状エステル系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びγ-ブチロラクトンが好ましい。
【0044】
このように、電解液溶媒(A)及び電解液溶媒(B)は、カーボネート系溶媒及びエステル系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、ともにカーボネート系溶媒又はエステル系溶媒であることが好ましい。ともにカーボネート系溶媒の場合、より好ましくは、電解液溶媒(A)は鎖状カーボネート系溶媒であり、電解液溶媒(B)は環状カーボネート系溶媒である。ともにエステル系溶媒の場合、より好ましくは、電解液溶媒(A)は鎖状エステル系溶媒であり、電解液溶媒(B)は環状エステル系溶媒である。スルホニルイミド化合物(1)の製造時に環状カーボネート系溶媒又は環状エステル系溶媒を用いた場合、製造時にスルホニルイミド化合物(1)に混入する水を低減させることが比較的困難である。そのため、スルホニルイミド化合物(1)の製造時に鎖状カーボネート系溶媒又は鎖状エステル系溶媒を用いてスルホニルイミド化合物(1)中の水分量を十分に低減させた後に、鎖状カーボネート系溶媒又は鎖状エステル系溶媒を環状カーボネート系溶媒又は環状エステル系溶媒に置き換えることで、低含水率の非水電解液が得られる。なお、製造時にスルホニルイミド化合物(1)に混入する水としては、例えば、LiOHやLiCO等のリチウム塩とHFSIとの中和反応で発生する水、反応溶媒で用いた水、抽出工程による水等が挙げられる。
【0045】
電解液溶媒(B)の添加量(使用量)は、下限については特に制限はなく、電解液溶媒(A)種類や量などにより適宜調整すればよい。例えば、スルホニルイミド化合物(1)100gに対して、好ましくは10000g以下、より好ましくは1000g以下、より一層好ましくは500g以下、さらに好ましくは200g以下、さらに一層好ましくは100g以下、特に好ましくは50g以下である。
【0046】
また、電解液溶媒(B)の添加量(使用量)は、例えば、スルホニルイミド化合物(1)100質量部に対して、好ましくは1~1000質量部、より好ましくは5~500質量部、より一層好ましくは10~300質量部、さらに好ましくは30~200質量部、さらに一層好ましくは50~100質量部である。
【0047】
また、電解液溶媒(B)の添加量(使用量)は、例えば、スルホニルイミド化合物(1)及び電解液溶媒(A)を含有するスルホニルイミド溶液100gに対して、好ましくは10000g以下、より好ましくは1000g以下、より一層好ましくは500g以下、さらに好ましくは200g以下、さらに一層好ましくは100g以下である。
【0048】
(分留方法)
スルホニルイミド溶液に電解液溶媒(B)を加えた液体の混合物から電解液溶媒(A)を留去する(電解液溶媒(A)と電解液溶媒(B)とを分留する)方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用できる。例えば、液体の混合物を減圧及び/又は加熱する方法等が挙げられる。
【0049】
分留工程は、常圧下及び減圧下の何れでも実施できる(分留工程中に常圧下と減圧下とを組み合わせて実施してもよい)が、熱によるスルホニルイミド化合物(1)の分解に起因するスルホニルイミド水溶液の熱劣化を抑制する観点から、減圧下で実施するのが好ましい。減圧度はスルホニルイミド化合物(1)濃度、電解液溶媒(A)及び電解液溶媒(B)の種類や量等に応じて適宜調整すればよく特に限定はされないが、例えば、好ましくは200kPa以下、より好ましくは40kPa以下、より一層好ましくは15kPa以下、さらに好ましくは10kPa以下、さらに一層好ましくは5kPa以下である。なお、減圧度は、分留工程中、一定(同じ)であってもよく、途中で変更してもよい。例えば、第1の減圧度で電解液溶媒(A)を留去した後、第1の減圧度よりも低い第2の減圧度に下げてさらに電解液溶媒(A)を留去してもよい。
【0050】
分留工程における加熱温度は、減圧度、電解液溶媒(A)及び電解液溶媒(B)の種類や量等に応じて適宜調整すればよく特に限定はされないが、熱によるスルホニルイミド化合物(1)の分解に起因するスルホニルイミド水溶液の熱劣化を抑制する観点から、比較的低い温度が好ましい。加熱温度は、例えば、好ましくは10~110℃、より好ましくは15~100℃、さらに好ましくは20~80℃である。
【0051】
分留工程における処理時間は、減圧度、加熱温度、電解液溶媒(A)及び電解液溶媒(B)の種類や量等に応じて適宜調整すればよく特に限定はされないが、例えば、好ましくは0.1~24時間、より好ましくは0.2~12時間、さらに好ましくは0.5~8時間、特に好ましくは0.5~5時間である。
【0052】
分留工程に用いる減圧及び/又は加熱が行える装置としては、溶液量、減圧度、加熱温度等に応じて適宜選択すればよい。例えば、槽型反応器、減圧可能な槽型反応器等が挙げられる。
【0053】
<その他の工程>
非水電解液の製造方法は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、その他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、ろ過、カラム精製、活性炭処理、モレキュラーシーブ処理等が挙げられる。
【0054】
以上の工程(操作)を経て、スルホニルイミド化合物(1)及び電解液溶媒(A)を含有するスルホニルイミド溶液から、溶媒置換により、スルホニルイミド化合物(1)及び電解液溶媒(B)を含有する非水電解液が得られる。この非水電解液は、従来公知の方法で得られる非水電解液よりも含水率が低い。
【0055】
スルホニルイミド溶液を、スルホニルイミド化合物(1)を含有するスルホニルイミド水溶液を用いて調製する場合、当該水溶液に電解液溶媒(A)を加えて脱水することで、含水率がより一層低い非水電解液が得られる。つまり、非水電解液の製造方法は、スルホニルイミド溶液を調製する調製工程(第2の調製工程)の前に、スルホニルイミド水溶液を調製する調製工程(第1の調製工程)と、第1の調製工程で得られたスルホニルイミド水溶液に電解液溶媒(A)を加えて脱水して電解液溶媒(A)に置換する脱水工程とをさらに含んでいてもよい。
【0056】
[非水電解液]
(電解質)
電解質(非水電解液)は、スルホニルイミド化合物(1)を含んでいればよいが、他の電解質(スルホニルイミド化合物(1)以外の電解質)を含んでいてもよい。他の電解質は、非水電解液に混合してもよく、非水電解液の調製工程においてスルホニルイミド溶液及び/又はスルホニルイミド水溶液に混合してもよい。他の電解質としては、イミド塩、非イミド塩等が挙げられる。
【0057】
イミド塩としては、スルホニルイミド化合物(1)とは異なる他のフッ素含有スルホニルイミド塩(以下「他のスルホニルイミド化合物」という)等が挙げられる。他のスルホニルイミド化合物としては、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiN(CFSO、以下「LiTFSI」ともいう);リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド;リチウムビス(ヘプタフルオロプロピルスルホニル)イミド;スルホニルイミド化合物(1)として列挙したフッ素含有スルホニルイミドの非リチウム塩(例えば、スルホニルイミド化合物(1)において、リチウム(イオン)をリチウムイオン以外のカチオンに置換した塩)等が挙げられる。リチウムイオン以外のカチオンに置換した塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩等のアルカリ金属塩;ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;アンモニウム塩;ホスホニウム塩等が挙げられる。他のスルホニルイミド化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、他のスルホニルイミド化合物は、市販品を使用してもよく、従来公知の方法により合成して得られたものを用いてもよい。
【0058】
非イミド塩としては、非イミド系アニオンとカチオン(リチウムイオン及び前記例示のカチオン)との塩が挙げられる。非イミド塩としては、LiPF、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(C、LiPF(C等のフルオロリン酸化合物;LiBF、LiBF(CF、LiBF(C、LiBF(C等のフルオロホウ酸化合物、六フッ化砒酸リチウム(LiAsF)、LiSbF、LiClO、LiSCN、LiAlF、CFSOLi、LiC[(CFSO]、LiN(NO)、LiN[(CN)等のリチウム塩;非リチウム塩(例えば、これらのリチウム塩において、リチウム(イオン)を前記例示のカチオンに置換した塩(例えば、NaBF、NaPF、NaPF(CF等)等が挙げられる。非イミド塩は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、非イミド塩は、市販品を使用してもよく、従来公知の方法により合成して得られたものを用いてもよい。
【0059】
なお、これらの電解質(スルホニルイミド化合物(1)、他の電解質等)は、非水電解液中において、イオンの形態で存在(含有)していてもよい。
【0060】
非水電解液におけるスルホニルイミド化合物(1)の濃度(含有量、2種類以上を併用する場合は含有量の合計、以下同様。)は、電池性能を向上させる観点から、非水電解液全体に対して(非水電解液に含まれる成分の総量100質量%に対して)、好ましくは30質量%以上である。また、当該濃度は、電解液粘度の上昇による電池性能の低下を抑制する観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
【0061】
非水電解液におけるスルホニルイミド化合物(1)の含有量は、電池性能を向上させる観点から、非水電解液に含まれる電解質塩の合計100mol%中、好ましくは10mol%以上、より好ましくは15mol%以上である。当該含有量の上限値は、好ましくは50mol%以下である。
【0062】
(他の電解液溶媒)
非水電解液は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、他の電解液溶媒(電解液溶媒(A)及び電解液溶媒(B)以外の電解液溶媒)を含有していてもよい。他の電解液溶媒は、非水電解液に混合してもよく、非水電解液の調製工程においてスルホニルイミド溶液及び/又はスルホニルイミド水溶液に混合してもよい。他の電解液溶媒は、電解質を溶解、分散できるものであれば特に限定されない。他の電解液溶媒としては、誘電率が大きく、電解質塩の溶解性が高く、常圧における沸点が60℃以上であり、且つ、電気化学的安定範囲が広い非水系溶媒が好適である。より好ましくは、含有水分量が低い有機溶媒である。このような有機溶媒としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、2,6-ジメチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、クラウンエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエ-テル、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン等のエーテル系溶媒;炭酸ビニレン、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、2-ビニル炭酸エチレン及びフェニルエチレンカーボネート等の不飽和結合を有する環状炭酸エステル系溶媒;フルオロエチレンカーボネート、4,5-ジフルオロエチレンカーボネート及びトリフルオロプロピレンカーボネート等のフッ素含有環状炭酸エステル系溶媒;安息香酸メチル、安息香酸エチル等の芳香族カルボン酸エステル系溶媒;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン等のラクトン系溶媒;リン酸トリメチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリエチル等のリン酸エステル系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、2-メチルグルタロニトリル、バレロニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン、3-メチルスルホラン、2,4-ジメチルスルホラン等の硫黄化合物系溶媒;ベンゾニトリル、トルニトリル等の芳香族ニトリル系溶媒;ニトロメタン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン、3-メチル-2-オキサゾリジノン等;酢酸エチル、酢酸ブチル等の鎖状エステル系溶媒等が挙げられる。これら溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0063】
(添加剤)
非水電解液は、リチウムイオン二次電池の各種特性の向上を目的とする添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、非水電解液に添加してもよく、非水電解液の調製工程においてスルホニルイミド溶液及び/又はスルホニルイミド水溶液に添加してもよい。添加剤としては、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、フェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;エチレンサルファイト、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブサルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、テトラメチルチウラムモノスルフィド、トリメチレングリコール硫酸エステル等の含硫黄化合物;1-メチル-2-ピロリジノン、1-メチル-2-ピペリドン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチルスクシンイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素化合物;ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、トリフルオロプロピレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート及びエリスリタンカーボネート等のカーボネート化合物;スルファミン酸(アミド硫酸、HNSO);スルファミン酸塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩;マンガン塩、銅塩、亜鉛塩、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩等の他の金属塩;アンモニウム塩;グアニジン塩等);フルオロスルホン酸リチウム(LiFSO)、フルオロスルホン酸ナトリウム(NaFSO)、フルオロスルホン酸カリウム(KFSO)、フルオロスルホン酸マグネシウム(Mg(FSO)等のフルオロスルホン酸化合物;モノフルオロリン酸リチウム(LiPOF)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)等のフルオロリン酸化合物;リチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサラトボレート(LiDFOB)、リチウムジフルオロオキサラトホスファナイト(LIDFOP)、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート(LITFOP)、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート(LiDFOP)、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート等のシュウ酸骨格を有するリチウム塩等のフルオロオキサラト化合物等が挙げられる。これら添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0064】
(水分量)
非水電解液中の水分量(水分濃度、含水率)は、水によるスルホニルイミド化合物(1)の分解を抑制する観点から、好ましくは10000質量ppm(1質量%)以下、より好ましくは1000質量ppm以下、さらに好ましくは100質量ppm以下、さらに一層好ましくは50質量ppm以下である。当該水分量は、低いほど好ましく、検出限界以下でもよく、水を実質的に含んでいなくてもよい(0質量ppm)。水分量は、後述の実施例で記載の方法、例えばカールフィッシャー水分測定装置等を用いて測定できる。
【0065】
なお、非水電解液は、例えば、0.1質量ppm以上、0.3質量ppm以上、0.5質量ppm以上、0.7質量ppm以上、0.8質量ppm以上、1質量ppm以上、1.5質量ppm以上、2質量ppm以上、3質量ppm以上、5質量ppm以上、7質量ppm以上、10質量ppm以上の濃度で水分を含んでいてもよい。
【0066】
(電解液溶媒(A)の残存量)
非水電解液に含まれる電解液溶媒(A)の残存量は、電解液溶媒(A)が低減され、所望の電解液溶媒(B)を含有する非水電解液を得る観点から、非水電解液100mol%に対して、好ましくは25mol%以下、より好ましくは20mol%以下である。
【0067】
また、非水電解液に含まれる電解液溶媒(A)の残存量は、電解液溶媒(A)が低減され、所望の電解液溶媒(B)を含有する非水電解液を得る観点から、非水電解液全体に対して(非水電解液に含まれる成分の総量100質量%に対して)、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
【0068】
以上のように構成される非水電解液は、例えば、電池(充放電機構を有する電池)、蓄電(電気化学)デバイス(又はこれらを構成するイオン伝導体の材料)等に用いられる。具体的には、電解液は、例えば、一次電池、二次電池(例えば、リチウム(イオン)二次電池)、燃料電池、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、太陽電池、エレクトロクロミック表示素子等を構成する電解液として使用し得る。以下、電池(特に二次電池)を例に挙げて説明する。
【0069】
<効果>
本実施形態に係る非水電解液の製造方法によれば、以下の効果を得ることができる。
・非水電解液の製造方法は、スルホニルイミド化合物(1)及び電解液溶媒(A)を含有するスルホニルイミド溶液を調製し、当該溶液に電解液溶媒(B)を加え、得られた液体の混合物を分留して電解液溶媒(A)を留去する。この一連の工程(操作)により、抽出工程等の煩雑な工程を経ることなく、電解液溶媒(A)を所望の電解液溶媒(B)に置き換えることができる。
・非水電解液の製造方法は、電解液溶媒(A)として鎖状カーボネート系溶媒及び鎖状エステル系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種を用い、電解液溶媒(B)として環状カーボネート系溶媒及び環状エステル系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種を用いた場合には、低含水率の非水電解液が得られる。
・非水電解液の製造方法は、最初に、スルホニルイミド化合物(1)を含有するスルホニルイミド水溶液を調製し、当該水溶液に電解液溶媒(A)を加えて脱水するという一連の工程(操作)をさらに含む場合、得られるスルホニルイミド溶液の含水率がより一層低くなる。その結果、含水率がより一層低い非水電解液が得られる。
【実施例
【0070】
以下に、本開示を実施例に基づいて説明する。なお、本開示は、以下の実施例に限定されるものではなく、以下の実施例を本開示の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本開示の範囲から除外するものではない。
【0071】
《合成例1(LiFSI/DMC溶液の合成)》
露点-40℃以下のドライルームにて、真空ポンプに繋がる冷却管、内温を測定する温度計、及び溶媒投入口を備えた500mLの三口セパラブルフラスコにスターラーチップを入れ、そこにリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(以下「LiFSI」という、Mw:187.06、株式会社日本触媒製)を50質量%含むLiFSI水溶液(LiFSI/HO、スルホニルイミド水溶液)301.01g、ジメチルカーボネート(DMC、Mw:90.08)23.13gを投入した。
【0072】
続いて、真空ポンプを使用して、前記フラスコ内を10kPaまで減圧した後、フラスコをオイルバスに浸し、徐々に加温した(オイルバスバス温度:~98℃)。溶媒の留出が始まると同時に、液面が常に一定になるように溶媒投入口からDMCを連続的に追加した。DMCの原単位が52.5(LiFSI重量あたり)となったところで滴下を停止して解圧した。解圧後のLiFSI/DMC溶液(スルホニルイミド溶液)中の水分量(水分濃度)を以下の方法により計測したところ、13.3質量ppmであった。このLiFSI/DMC溶液を孔径3μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)メンブレンフィルターを用いて加圧ろ過することで濁度成分を除去した。
【0073】
[水分測定]
LiFSI/DMC溶液における水分量(水分濃度)は、カールフィッシャー水分測定装置AQ-2000(平沼産業株式会社製)を用い、発生液としてアクアライトRS-A(平沼産業株式会社製)、対極液としてアクアライトCN(平沼産業株式会社製)を用いて測定した。
【0074】
《合成例2(LiFSI/EMC溶液の合成)》
連続的に追加する溶媒をエチルメチルカーボネート(EMC、Mw:104.11)に変更したこと以外は合成例1と同様の操作を行うことでLiFSI/EMC溶液(スルホニルイミド溶液)を調製した。得られたLiFSI/EMC溶液中の水分量(水分濃度)を前記の方法により計測したところ、15.4質量ppmであった。
【0075】
《合成例3(LiFSI/EtCOOEt溶液の合成)》
連続的に追加する溶媒をプロピオン酸エチル(EtCOOEt、Mw:102.13)に変更したこと以外は合成例1と同様の操作を行うことでLiFSI/EtCOOEt溶液(スルホニルイミド溶液)を調製した。得られたLiFSI/EtCOOEt溶液中の水分量(水分濃度)を前記の方法により計測したところ、15.7質量ppmであった。
【0076】
<実施例1>
合成例1で得られたLiFSI/DMC溶液25gに対してEC(エチレンカーボネート、Mw:88.06)を15g添加し、均一になるまで撹拌した。その後、60℃に加熱したロータリーエバポレーター(「REN-1000」、IWAKI社製)を使用して、5kPaになるまで減圧して30分間溶媒を留去した。その後、減圧度を2.5kPaにまでさらに下げて30分間溶媒を留去した。以上の操作により、LiFSI/EC溶液(非水電解液)を得た。LiFSI/EC溶液の溶媒組成をH-NMRで分析し、水分量を前記の方法により計測した。
【0077】
H-NMR]
H-NMRの測定は、Varian社製の「Unity Plus-400」を使用して行った(内部標準物質:トリフルオロトルエン、積算回数:64回)。
【0078】
<実施例2>
ECの代わりにPC(プロピレンカーボネート、Mw:102.09)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてLiFSI/PC溶液(非水電解液)を得て、その溶媒組成をH-NMRで分析し、水分量を前記の方法により計測した。
【0079】
<実施例3>
合成例1で得られたLiFSI/DMC溶液の代わりに合成例2で得られたLiFSI/EMC溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてLiFSI/EC(非水電解液)溶液を得て、その溶媒組成をH-NMRで分析し、水分量を前記の方法により計測した。
【0080】
<実施例4>
ECの代わりにPCを用いたこと以外は実施例3と同様にしてLiFSI/PC溶液(非水電解液)を得て、その溶媒組成をH-NMRで分析し、水分量を前記の方法により計測した。
【0081】
<実施例5>
合成例3で得られたLiFSI/EtCOOEt溶液25gに対してGBL(γ-ブチロラクトン、Mw:86.09)を15g添加し、均一になるまで撹拌した。その後、60℃に加熱したロータリーエバポレーター(「REN-1000」、IWAKI社製)を使用して、5kPaになるまで減圧して30分間溶媒を留去した。その後、減圧度を2.5kPaにまでさらに下げて30分間溶媒を留去した。以上の操作により、LiFSI/GBL溶液(非水電解液)を得た。LiFSI/GBL溶液の溶媒組成をH-NMRで分析し、水分量を前記の方法により計測した。
【0082】
<比較例1>
100mLのナスフラスコにLiFSI(株式会社日本触媒製)を47質量%含むLiFSI水溶液(LiFSI/HO)19.83gとEC6.76gを投入し、均一になるまで撹拌した。その後、60℃に加熱したロータリーエバポレーター(「REN-1000」、IWAKI社製)を使用して、前記フラスコ内を5kPaになるまで減圧して30分間溶媒を留去した。留出が止まったところで解圧し、EC9.29g追加して再度同じ条件で留去を実施した。留出が止まったところで解圧したところ、LiFSIを35質量%含むLiFSI/EC溶液が得られた。このLiFSI/EC溶液中の溶媒組成をH-NMRで分析し、水分量(水分濃度)を前記の方法により計測した。
【0083】
前記で得られた各LiFSI溶液の電解質量、電解液溶媒組成、水分量を分析した結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上説明したように、本開示は、リチウムイオン二次電池等に用いられる非水電解液に適している。