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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-19
(45)【発行日】2025-03-28
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20250321BHJP
【FI】
B66B1/14 L
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023197515
(22)【出願日】2023-11-21
【審査請求日】2023-11-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大野 佑輔
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-121059(JP,A)
【文献】特開2022-128045(JP,A)
【文献】特開2022-059404(JP,A)
【文献】国際公開第2022/201508(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 1/52
B66B 3/00- 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの配車を制御する制御盤と、
前記制御盤と通信可能に接続されたエレベータサーバと、
前記エレベータサーバと通信可能に接続され、前記エレベータの利用者が操作する端末から受信した乗車要求情報を前記エレベータサーバに送信する端末サーバと、
前記エレベータサーバと通信可能に接続され、前記エレベータに乗車可能な移動体から受信した乗車要求情報を前記エレベータサーバに送信する移動体サーバと、を備え、
前記エレベータサーバは、
受信した乗車要求情報が前記端末サーバからの乗車要求情報であるか、前記移動体サーバからの乗車要求情報であるかを識別する識別部を備え、
前記識別部の識別結果に基づいて、乗車要求情報を前記制御盤に送信し、
前記識別部が前記移動体サーバからの乗車要求情報であると識別した場合、前記移動体サーバからの乗車要求情報を受信した時点から第1所定時間後までの期間において前記端末サーバからの乗車要求情報を受信しないとき、前記移動体サーバからの乗車要求情報を前記制御盤に送信する、
エレベータシステム。
【請求項2】
エレベータの配車を制御する制御盤と、
前記制御盤と通信可能に接続されたエレベータサーバと、
前記エレベータサーバと通信可能に接続され、前記エレベータの利用者が操作する端末から受信した乗車要求情報を前記エレベータサーバに送信する端末サーバと、
前記エレベータサーバと通信可能に接続され、前記エレベータに乗車可能な移動体から受信した乗車要求情報を前記エレベータサーバに送信する移動体サーバと、を備え、
前記エレベータサーバは、
受信した乗車要求情報が前記端末サーバからの乗車要求情報であるか、前記移動体サーバからの乗車要求情報であるかを識別する識別部を備え、
前記識別部の識別結果に基づいて、乗車要求情報を前記制御盤に送信し、
前記識別部が前記移動体サーバからの乗車要求情報であると識別した場合、前記移動体サーバからの乗車要求情報を受信した時点よりも第2所定時間前から前記時点までの期間において前記端末サーバからの乗車要求情報を受信したとき、前記エレベータサーバは、前記端末サーバからの乗車要求情報を受信した時点から第3所定時間経過後に前記移動体サーバからの乗車要求情報を前記制御盤に送信する、
エレベータシステム。
【請求項3】
前記端末サーバが送信する乗車要求情報は、前記端末のID情報を含み、
前記移動体サーバが送信する乗車要求情報は、前記移動体のID情報を含み、
前記エレベータへの乗車要求情報の送信が許可された前記端末のID情報を格納する端末認証データベースと、
前記エレベータへの乗車要求情報の送信が許可された前記移動体のID情報を格納する移動体認証データベースと、
前記端末のID情報または前記移動体のID情報を認証する認証部と、を備え、
前記認証部は、前記識別部の識別結果に基づいて、前記端末認証データベースと前記移動体認証データベースの何れかを選択して認証する、
請求項1からの何れか1項に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末や移動体から行先階を登録可能なエレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、エレベータシステムは、スマートフォンやロボットから送信される信号によって行先階登録が行われる(例えば、特許文献1)。ところで、スマートフォンとロボットの両方から行先階登録が行われた場合、これらを区別せずに配車制御してしまうと、スマートフォンの利用者とロボットが同乗する可能性がある。また、これらを区別して配車制御するには、比較的高度な処理が可能なエレベータの制御部を要するため、例えば既設のエレベータへの適用が困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7271748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、簡易な構成で端末と移動体の円滑な行先階登録を可能とするエレベータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
エレベータシステムは、エレベータの配車を制御する制御盤と、前記制御盤と通信可能に接続されたエレベータサーバと、前記エレベータサーバと通信可能に接続され、前記エレベータの利用者が操作する端末から受信した乗車要求情報を前記エレベータサーバに送信する端末サーバと、前記エレベータサーバと通信可能に接続され、前記エレベータに乗車可能な移動体から受信した乗車要求情報を前記エレベータサーバに送信する移動体サーバと、を備え、前記エレベータサーバは、受信した乗車要求情報が前記端末サーバからの乗車要求情報であるか、前記移動体サーバからの乗車要求情報であるかを識別する識別部を備え、前記識別部の識別結果に基づいて、乗車要求情報を前記制御盤に送信する。
【0006】
また、エレベータシステムは、前記エレベータサーバは、前記識別部の識別結果に応じた運転モード情報を、前記制御盤に送信する、という構成でもよい。
【0007】
また、エレベータシステムは、前記エレベータサーバは、前記識別部が前記移動体サーバからの乗車要求情報であると識別した場合、前記移動体サーバからの乗車要求情報を受信した時点から第1所定時間後までの期間において前記端末サーバからの乗車要求情報を受信しないとき、前記移動体サーバからの乗車要求情報を前記制御盤に送信する、という構成でもよい。
【0008】
また、エレベータシステムは、前記エレベータサーバは、前記識別部が前記移動体サーバからの乗車要求情報であると識別した場合、前記移動体サーバからの乗車要求情報を受信した時点よりも第2所定時間前から前記時点までの期間において前記端末サーバからの乗車要求情報を受信したとき、前記エレベータサーバは、前記端末サーバからの乗車要求情報を受信した時点から第3所定時間経過後に前記移動体サーバからの乗車要求情報を前記制御盤に送信する、という構成でもよい。
【0009】
また、エレベータシステムは、前記端末サーバが送信する乗車要求情報は、乗車階情報及び行先階情報を含み、前記エレベータは、前記エレベータへの乗車を判定する乗車検出部をさらに備え、前記エレベータサーバは、前記識別部が前記端末サーバからの乗車要求情報であると識別した場合、前記乗車階情報に基づく乗車階において前記乗車検出部が乗車を検出したとき、前記行先階情報を前記制御盤に送信する、という構成でもよい。
【0010】
また、エレベータシステムは、前記端末サーバが送信する乗車要求情報は、前記端末のID情報を含み、前記移動体サーバが送信する乗車要求情報は、前記移動体のID情報を含み、前記エレベータへの乗車要求情報の送信が許可された前記端末のID情報を格納する端末認証データベースと、前記エレベータへの乗車要求情報の送信が許可された前記移動体のID情報を格納する移動体認証データベースと、前記端末のID情報または前記移動体のID情報を認証する認証部と、を備え、前記認証部は、前記識別部の識別結果に基づいて、前記端末認証データベースと前記移動体認証データベースの何れかを選択して認証する、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態であるエレベータシステムのブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態であるエレベータシステムの制御を示すフロー図である。
図3図3は、本発明の第1変形例であるエレベータシステムの制御を示すフロー図である。
図4図4は、本発明の第2変形例であるエレベータシステムのブロック図である。
図5図5は、本発明の第2変形例であるエレベータシステムの制御を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態であるエレベータシステムについて、図面を参照しながら説明する。
【0013】
1.構成
図1は、本発明の一実施形態であるエレベータシステムのブロック図である。
【0014】
図1に示すように、エレベータシステム100は、エレベータ1と、操作部2と、制御盤3と、エレベータサーバ4と、端末サーバ5と、端末6と、移動体サーバ7と、移動体8と、を備える。
【0015】
エレベータ1は、乗りかごと、駆動装置と、を備え、後述する制御盤3の配車制御に基づき、駆動装置を駆動させることで乗りかごを乗場に移動させる。なお、本実施形態においては、エレベータシステム100は1つのエレベータ1を備えるが、このような構成に限られず、複数のエレベータ1を備えてもよい。
【0016】
操作部2は、エレベータ1の乗場に設置される乗場呼びボタンや、エレベータ1の乗りかごに設置されるかご呼びボタンである。操作部2は、利用者の操作を検出すると、操作に対応した信号を後述する制御盤3に送信する。なお、操作部2からの信号は、エレベータ1を介して送信されてもよい。
【0017】
乗場呼びボタンは、当該ボタンが設置された乗場に乗りかごを呼ぶためのボタンであって、上または下を示すアイコンを伴う。利用者は、乗場において行先階の方向に対応する乗場呼びボタンを押下することで、乗場に乗りかごを呼ぶ。なお、乗場呼びボタンはこのような構成に限られず、行先階を示す数字のアイコンを伴い、利用者は乗場において行先階に対応する乗場呼びボタンを押下することで、乗場に乗りかごを呼ぶ、という構成でもよい。
【0018】
かご呼びボタンは、行先階を示す数字のアイコンを伴い、利用者は乗りかごにおいて行先階に対応するかご呼びボタンを押下することで、行先階を登録する。
【0019】
なお、操作部2は、押下により操作可能なボタンに限られず、利用者が手をかざすことで操作可能な非接触センサや、タッチパネルであってもよい。
【0020】
また、本実施形態においては、エレベータシステム100は操作部2を備える、という構成であるが、このような構成に限られず、操作部2を備えず、後述する端末6が乗場や乗りかごに設置される、という構成でもよい。
【0021】
制御盤3は、エレベータ1の配車を制御する。具体的には、制御盤3は、通信部31と、メモリ、HDDなどの記憶部32と、CPUなどの制御部33と、を備える。
【0022】
通信部31は、エレベータ1、操作部2、後述するエレベータサーバ4と通信を行うための通信モジュールである。具体的には、通信部31は、操作部2から操作に対応した信号を受信する。また、通信部31は、エレベータサーバ4から乗車要求情報を受信する。さらに、通信部31は、エレベータ1に乗場への運転を指示する信号を送信する。
【0023】
記憶部32は、制御盤3において用いられる各種情報を記憶する。記憶部32は、例えば、エレベータ1の配車を制御するための各種制御プログラムが格納されている。
【0024】
制御部33は、記憶部32に格納されている、エレベータ1の配車を制御するための各種制御プログラムを読みだして実行することにより、エレベータ1の配車を制御する。
【0025】
具体的には、操作部2から受信した信号、または、後述するエレベータサーバ4から受信した乗車要求情報に基づいて、通信部31を介して、エレベータ1に乗場への運転を指示する。なお、エレベータ1を複数備える場合は、例えば運行効率が最も良くなるようにエレベータ1を選択し、選択されたエレベータ1に乗場への運転を指示する。
【0026】
制御部33は、各種の運転モードを伴う配車制御を行ってもよい。運転モードは、例えば、車椅子利用者に適した特定のエレベータ1に限定して配車制御を行う車椅子運転と、専用運転と、を含む。
【0027】
なお、専用運転とは、行先階の登録を行った利用者または移動体8だけを乗車させて行先階まで移動する運転である。具体的には、行先階の登録が行われ、専用運転を伴う配車制御が行われると、利用者または移動体8が待つ乗場に無人の乗りかごを移動させ、利用者または移動体8が当該乗りかごに乗車すると、行先階に移動するまで他の配車を受け付けない運転である。
【0028】
端末6は、例えばエレベータ1の利用者が所有するスマートフォンであって、エレベータ1の利用者が操作することでエレベータ1の行先階を登録することができる。
【0029】
具体的には、利用者は端末6のタッチパネル上に表示された複数のエレベータ1のアイコンの中から、乗車を希望するエレベータ1のアイコンをタッチすることで、エレベータ1を指定する。また、利用者は端末6のタッチパネル上に表示された階のボタンをタッチすることで、乗車階と行先階を指定する。
【0030】
端末6は、指定されたエレベータ1に対応する制御盤3を指定する情報と、指定された乗車階を示す乗車階情報と、指定された行先階を示す行先階情報と、端末6のID情報と、を含む乗車要求情報を、後述する端末サーバ5に送信する。
【0031】
端末サーバ5は、当該乗車要求情報を後述するエレベータサーバ4に送信する。エレベータサーバ4は、当該乗車要求情報を指定された制御盤3に送信することで、行先階の登録が行われる。
【0032】
なお、端末6は、エレベータ1の利用者が所有するスマートフォンに限られず、例えば、乗場や乗りかごに設置されたタッチパネルであってもよいし、利用者の顔を認証することで行先階を登録可能な装置であってもよい。
【0033】
端末サーバ5は、端末6から受信した乗車要求情報をエレベータサーバ4に送信する。具体的には、端末サーバ5は、通信部51と、メモリ、HDDなどの記憶部52と、CPUなどの制御部53と、を備える。
【0034】
通信部51は、端末6、後述するエレベータサーバ4と通信を行うための通信モジュールである。具体的には、通信部51は、端末6からの乗車要求情報を受信する。また、通信部51は、エレベータサーバ4に乗車要求情報を送信する。
【0035】
記憶部52は、端末サーバ5において用いられる各種情報を記憶する。記憶部52は、例えば、端末6から送信される乗車要求情報をエレベータサーバ4に送信するための各種制御プログラムが格納されている。
【0036】
制御部53は、通信部51を制御し、端末6から受信した乗車要求情報を、エレベータサーバ4に送信する。
【0037】
なお、制御部53は、端末6から受信した乗車要求情報に含まれる端末6のID情報に基づいて、エレベータサーバ4への乗車要求情報の送信が許可されている端末か否かを判定してもよい。
【0038】
制御部53が、エレベータサーバ4への乗車要求情報の送信が許可されている端末であると判定した場合、制御部53は、乗車要求情報をエレベータサーバ4へ送信するように通信部51を制御する。一方、制御部53が、エレベータサーバ4への乗車要求情報の送信が許可されている端末ではないと判定した場合、制御部53は、乗車要求情報をエレベータサーバ4に送信しない。
【0039】
移動体8は、例えばエレベータ1に乗車可能であって、自律して移動するロボットであって、例えば移動体8の計画された移動経路の中にエレベータ1への乗車が含まれ、移動体8が当該移動経路に沿って乗場に到着したときに、移動体8はエレベータ1の行先階を登録することができる。
【0040】
具体的には、移動体8は、計画された移動経路に含まれるエレベータ1と、乗車階と、行先階と、を指定する。
【0041】
移動体8は、指定されたエレベータ1に対応する制御盤3を指定する情報と、指定された乗車階を示す乗車階情報と、指定された行先階を示す行先階情報と、移動体8のID情報と、を含む乗車要求情報を、後述する移動体サーバ7に送信する。
【0042】
移動体サーバ7は、当該乗車要求情報を後述するエレベータサーバ4に送信する。エレベータサーバ4は、当該乗車要求情報を指定された制御盤3に送信することで、行先階の登録が行われる。
【0043】
なお、移動体8は、ロボットに限られず、例えば、人が乗車して操作するパーソナルモビリティであってもよい。
【0044】
移動体サーバ7は、通信部71と、メモリ、HDDなどの記憶部72と、CPUなどの制御部73と、を備える。
【0045】
通信部71は、移動体8、後述するエレベータサーバ4と通信を行うための通信モジュールである。具体的には、通信部71は、移動体8からの乗車要求情報を受信する。また、通信部71は、エレベータサーバ4に乗車要求情報を送信する。
【0046】
記憶部72は、移動体サーバ7において用いられる各種情報を記憶する。記憶部72は、例えば、移動体8から送信される乗車要求情報をエレベータサーバ4に送信するための各種制御プログラムが格納されている。
【0047】
制御部73は、通信部71を制御し、移動体8から受信した乗車要求情報を、エレベータサーバ4に送信する。
【0048】
なお、制御部73は、移動体8から受信した乗車要求情報に含まれる移動体8のID情報に基づいて、エレベータサーバ4への乗車要求情報の送信が許可されている移動体か否かを判定してもよい。
【0049】
制御部73が、エレベータサーバ4への乗車要求情報の送信が許可されている移動体であると判定した場合、制御部73は、乗車要求情報をエレベータサーバ4へ送信するように通信部71を制御する。一方、制御部73が、エレベータサーバ4への乗車要求情報の送信が許可されている移動体ではないと判定した場合、制御部73は、乗車要求情報をエレベータサーバ4に送信しない。
【0050】
エレベータサーバ4は、端末サーバ5と、移動体サーバ7から送信される乗車要求情報に基づいて、制御盤3に乗車要求情報を送信する。具体的には、通信部41と、メモリ、HDDなどの記憶部42と、CPUなどの制御部43と、を備える。
【0051】
通信部41は、制御盤3、端末サーバ5、移動体サーバ7と通信を行うための通信モジュールである。具体的には、通信部41は、端末サーバ5から乗車要求情報を受信する。また、通信部41は、移動体サーバ7から乗車要求情報を受信する。さらに、通信部41は、制御盤3に乗車要求情報を送信する。なお、本実施形態においては、エレベータサーバ4は1つの制御盤3と通信するが、このような構成に限られず、複数の制御盤3と通信してもよい。
【0052】
記憶部42は、エレベータサーバ4において用いられる各種情報を記憶する。記憶部42は、例えば、端末サーバ5と、移動体サーバ7から送信される乗車要求情報に基づいて、制御盤3に乗車要求情報を送信するための各種制御プログラムが格納されている。
【0053】
また、記憶部42は、端末認証データベース421と、移動体認証データベース422と、を備える。端末認証データベース421は、エレベータ1への乗車要求情報の送信が許可された端末6のID情報を格納する。移動体認証データベース422は、エレベータ1への乗車要求情報の送信が許可された移動体8のID情報を格納する。
【0054】
制御部43は、記憶部42に格納されている、乗車要求情報を送信するための各種プログラムを読みだして実行することにより、乗車要求情報を制御盤3に送信する。具体的には、制御部43は、取得部431と、特定部432と、認証部433と、識別部434と、通信制御部435と、を備える。
【0055】
取得部431は、端末サーバ5または移動体サーバ7から送信された乗車要求情報を、通信部41を介して取得する。ここで、端末サーバ5が送信する乗車要求情報は、端末6のID情報を含む。また、移動体サーバ7が送信する乗車要求情報は、移動体8のID情報を含む。さらに、端末サーバ5および移動体サーバ7から送信される乗車要求情報には、制御盤3を指定する情報を含む。
【0056】
特定部432は、端末サーバ5または移動体サーバ7から送信される乗車要求情報に含まれる、制御盤3を指定する情報に基づいて、乗車要求情報を送信すべき制御盤3を特定する。
【0057】
認証部433は、端末6のID情報または移動体8のID情報を認証する。具体的には、認証部433は、端末サーバ5または移動体サーバ7から送信される乗車要求情報に含まれるID情報が、記憶部42に格納されている端末認証データベース421または移動体認証データベース422の何れかに含まれるか否かを判定することで、端末6のID情報または移動体8のID情報を認証する。
【0058】
識別部434は、受信した乗車要求情報が端末サーバ5からの乗車要求情報であるか、移動体サーバ7からの乗車要求情報であるかを識別する。
【0059】
具体的には、端末サーバ5は、エレベータサーバ4に乗車要求情報を送信するときに、当該乗車要求情報の送信元が端末サーバ5であることを示す識別情報をエレベータサーバ4に送信する。また、移動体サーバ7は、エレベータサーバ4に乗車要求情報を送信するときに、当該乗車要求情報の送信元が移動体サーバ7であることを示す識別情報をエレベータサーバ4に送信する。識別部434は、取得部431が取得した識別情報に基づいて、受信した乗車要求情報が端末サーバ5からの乗車要求情報であるか、移動体サーバ7からの乗車要求情報であるかを識別する。
【0060】
なお、このような構成に限られず、識別部434は、認証部433の認証結果に基づいて、受信した乗車要求情報が端末サーバ5からの乗車要求情報であるか、移動体サーバ7からの乗車要求情報であるかを識別してもよい。具体的には、識別部434は、端末サーバ5または移動体サーバ7から送信される乗車要求情報に含まれるID情報が、端末認証データベース421または移動体認証データベース422の何れに含まれるかに基づいて、受信した乗車要求情報が端末サーバ5からの乗車要求情報であるか、移動体サーバ7からの乗車要求情報であるかを識別してもよい。
【0061】
通信制御部435は、特定部432が特定した制御盤3に、識別部434の識別結果に基づいて、通信部41を介して乗車要求情報を送信する。これにより、制御盤3は、エレベータサーバ4の識別部434の識別結果に基づく乗車要求情報よって配車制御を行えばよい。よって、簡易な構成で端末6と移動体8の円滑な行先階登録を可能とすることができる。
【0062】
通信制御部435は、識別部434の識別結果に応じた運転モード情報を、通信部41を介して制御盤3に送信する。ここで運転モード情報とは、乗車要求情報に伴う情報であって、制御盤3は運転モード情報を受信すると、当該運転モード情報に対応した運転モードを伴う配車制御を行う。
【0063】
例えば、識別部434が移動体サーバ7からの乗車要求情報であると識別した場合、通信制御部435は、乗車要求情報とともに運転モード情報として「専用運転」を示す情報を、通信部41を介して制御盤3に送信する。これにより、制御盤3は、移動体8の乗車要求情報に対して、専用運転を伴う配車制御を行う。
【0064】
また、例えば識別部434が端末サーバ5からの乗車要求情報であると識別した場合、通信制御部435は、乗車要求情報とともに運転モード情報として「運転モードなし」を示す情報を、通信部41を介して制御盤3に送信する。これにより、制御盤3は、端末6の乗車要求情報に対して、運転モードを伴わない配車制御を行う。ここで、エレベータ1を複数備える場合は、例えば運行効率が最も良くなるようにエレベータ1を選択し、選択されたエレベータ1に乗場への運転を指示する。
【0065】
これにより、例えば端末6の乗車要求情報に対しては最も運行効率が良い運転とし、移動体8の乗車要求情報に対しては専用運転とするなど、エレベータサーバ4において識別結果に適した運転モードを制御盤3に設定することができる。
【0066】
通信制御部435は、識別部434が移動体サーバ7からの乗車要求情報であると識別した場合、移動体サーバ7からの乗車要求情報を受信した時点から第1所定時間後(例えば、5分)までの期間において端末サーバ5からの乗車要求情報を受信しないとき、移動体サーバ7からの乗車要求情報を、通信部41を介して制御盤3に送信する。
【0067】
具体的には、識別部434が移動体サーバ7からの乗車要求情報であると識別した場合、通信制御部435は、移動体サーバ7からの乗車要求情報を保留し、端末サーバ5からの乗車要求情報が受信されるか否かを判断する。移動体サーバ7からの乗車要求情報を受信した時点から第1所定時間後までの期間において端末サーバ5からの乗車要求情報を受信しない場合、保留していた移動体サーバ7からの乗車要求情報を、通信部41を介して制御盤3に送信する。
【0068】
これにより、移動体8からの乗車要求よりも端末6からの乗車要求を優先して制御盤3に送信することができるため、利用者の移動が移動体8の乗車によって妨げられることを簡易な構成で抑制することができる。
【0069】
2.動作
図2は、本発明の一実施形態であるエレベータシステムの制御を示すフロー図である。以下、エレベータシステム100における制御について、図2を参照しながら説明する。
【0070】
図2に示すフローは、本実施形態においては、エレベータサーバ4が、端末サーバ5または移動体サーバ7のいずれかから乗車要求情報を受信すると開始し、取得部431は、受信した乗車要求情報を取得し(ステップS11)、ステップS12へ進む。
【0071】
特定部432は、端末サーバ5または移動体サーバ7から送信される乗車要求情報に含まれる、制御盤3を指定する情報に基づいて、乗車要求情報を送信すべき制御盤3を特定し(ステップS12)、ステップS13へ進む。
【0072】
認証部433は、乗車要求情報に含まれるID情報が、記憶部42に格納されている端末認証データベース421または移動体認証データベース422の何れかに含まれるか否かを判定する(ステップS13)。
【0073】
認証部433が、記憶部42に格納されている端末認証データベース421または移動体認証データベース422の何れかにID情報が含まれないと判定した場合、つまりID情報の認証が失敗した場合(ステップS13でNO)、受信した乗車要求情報を特定された制御盤3に送信することなく、フローを終了する。
【0074】
他方、認証部433が、記憶部42に格納されている端末認証データベース421または移動体認証データベース422の何れかにID情報が含まれると判定した場合、つまりID情報の認証が成功した場合(ステップS13でYES)、ステップS14へ進む。
【0075】
識別部434は、受信した乗車要求情報が端末サーバ5からの乗車要求情報であるか、移動体サーバ7からの乗車要求情報であるかを識別する(ステップS14)。
【0076】
識別部434が受信した乗車要求情報が端末サーバ5からの乗車要求情報であると識別した場合(ステップS14で[端末サーバ])、通信制御部435は、通信部41を介して、端末サーバ5からの乗車要求情報を制御盤3に送信し(ステップS18)、フローを終了する。また、ステップS18において、通信制御部435は、端末サーバ5からの乗車要求情報とともに運転モード情報として「運転モード無し」を示す情報を、通信部41を介して制御盤3に送信する。
【0077】
他方、識別部434が受信した乗車要求情報が移動体サーバ7からの乗車要求情報であると識別した場合(ステップS14で[移動体サーバ])、通信制御部435は、端末サーバ5からの乗車要求情報を受信したか否かを判定する(ステップS15)。
【0078】
通信制御部435が端末サーバ5からの乗車要求情報を受信していないと判定した場合(ステップS15でNO)、通信制御部435は移動体サーバ8からの乗車要求情報を受信した時点から第1所定時間経過したか否かを判定する(ステップS16)。
【0079】
通信制御部435が移動体サーバ8からの乗車要求情報を受信した時点から第1所定時間経過したと判定した場合(ステップS16でYES)、通信制御部435は、通信部41を介して、移動体サーバ7からの乗車要求情報を制御盤3に送信し(ステップS17)、フローを終了する。また、ステップS17において、通信制御部435は、移動体サーバ7からの乗車要求情報とともに運転モード情報として「専用運転」を示す情報を、通信部41を介して制御盤3に送信する。
【0080】
他方、通信制御部435が移動体サーバ8からの乗車要求情報を受信した時点から第1所定時間経過していないと判定した場合(ステップS16でNO)、ステップS15に戻る。
【0081】
通信制御部435が端末サーバ5からの乗車要求情報を受信したと判定した場合(ステップS15でYES)、通信制御部435は、通信部41を介して、端末サーバ5からの乗車要求情報を制御盤3に送信し(ステップS19)、ステップS20へ進む。また、ステップS19において、通信制御部435は、端末サーバ5からの乗車要求情報とともに運転モード情報として「運転モード無し」を示す情報を、通信部41を介して制御盤3に送信する。
【0082】
通信制御部435は、最後に端末サーバ5から乗車要求情報を受信してから第4所定時間(例えば、3分)経過したか否かを判定する(ステップS20)。
【0083】
通信制御部435が最後に端末サーバ5から乗車要求情報を受信してから第4所定時間経過したと判定した場合(ステップS20でYES)、通信制御部435は、通信部41を介して、移動体サーバ7からの乗車要求情報を制御盤3に送信し(ステップS17)、フローを終了する。また、ステップS17において、通信制御部435は、移動体サーバ7からの乗車要求情報とともに運転モード情報として「専用運転」を示す情報を、通信部41を介して制御盤3に送信する。
【0084】
通信制御部435が最後に端末サーバ5から乗車要求情報を受信してから第4所定時間経過していないと判定した場合(ステップS20でNO)、通信制御部435は、端末サーバ5からの乗車要求情報を受信したか否かを判定する(ステップS21)。
【0085】
通信制御部435が端末サーバ5からの乗車要求情報を受信していないと判定した場合(ステップS21でNO)、ステップS20に戻る。
【0086】
他方、通信制御部435が端末サーバ5からの乗車要求情報を受信したと判定した場合(ステップS21でYES)、ステップS19に戻る。
【0087】
これにより、最後に端末サーバ5からの乗車要求情報を受信してから第4所定時間の期間は、移動体サーバ7からの乗車要求情報が制御盤3に送信されない。よって、第4所定時間を適切に設定することで、端末6を操作した利用者と移動体8の同乗を抑制することができる。
【0088】
上記のフローにおいてエレベータサーバ4から制御盤3に乗車要求情報が送信されると、制御盤3は受信した乗車要求情報と運転モード情報に基づいてエレベータ1に配車制御を行う。
【0089】
3.本実施形態のまとめ
以上により、本実施形態に係るエレベータシステム100は、エレベータ1の配車を制御する制御盤3と、制御盤3と通信可能に接続されたエレベータサーバ4と、エレベータサーバ4と通信可能に接続され、エレベータ1の利用者が操作する端末6から受信した乗車要求情報をエレベータサーバ4に送信する端末サーバ5と、エレベータサーバ4と通信可能に接続され、エレベータ1に乗車可能な移動体8から受信した乗車要求情報をエレベータサーバ4に送信する移動体サーバ7と、を備え、エレベータサーバ4は、受信した乗車要求情報が端末サーバ5からの乗車要求情報であるか、移動体サーバ7からの乗車要求情報であるかを識別する識別部434を備え、識別部434の識別結果に基づいて、乗車要求情報を制御盤3に送信する。
【0090】
本実施形態の構成によれば、制御盤3は、エレベータサーバ4の識別部434の識別結果に基づく乗車要求情報よって配車制御を行えばよいため、簡易な構成で端末6と移動体8の円滑な行先階登録を可能とすることができる。
【0091】
また、本実施形態に係るエレベータシステム100は、エレベータサーバ4は、識別部434の識別結果に応じた運転モード情報を、制御盤3に送信する、という構成である。
【0092】
本実施形態の構成によれば、例えば端末6の乗車要求情報に対しては最も運行効率が良い運転とし、移動体8の乗車要求情報に対しては専用運転とするなど、エレベータサーバ4において識別結果に適した運転モードを制御盤3に設定することができる。
【0093】
また、本実施形態に係るエレベータシステム100は、識別部434が移動体サーバ7からの乗車要求情報であると識別した場合、移動体サーバ7からの乗車要求情報を受信した時点から第1所定時間後までの期間において端末サーバ5からの乗車要求情報を受信しないとき、移動体サーバ7からの乗車要求情報を制御盤3に送信する、という構成である。
【0094】
本実施形態の構成によれば、移動体8からの乗車要求よりも端末6からの乗車要求を優先して制御盤3に送信することができるため、利用者の移動が移動体8の乗車によって妨げられることを簡易な構成で抑制することができる。
【0095】
なお、エレベータシステム100は、上記の実施形態の構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、修正、又は変形が可能である。例えば、下記の変形例の構成を選択し、上記の実施形態の構成に採用することも可能である。
【0096】
4.変形例
(1)上記の実施例に係るエレベータシステム100においては、識別部434が移動体サーバ7からの乗車要求情報であると識別した場合、移動体サーバ7からの乗車要求情報を受信した時点から第1所定時間後までの期間において端末サーバ5からの乗車要求を受信しないとき、移動体サーバ7からの乗車要求情報を制御盤3に送信する、という構成である。しかしながら、エレベータシステム100は、このような構成に限られない。
【0097】
例えば、第1変形例に係るエレベータシステム100は、エレベータサーバ4は、識別部434が移動体サーバ7からの乗車要求情報であると識別した場合、移動体サーバ7からの乗車要求情報を受信した時点よりも第2所定時間前から当該乗車要求情報を受信した時点までの期間において端末サーバ5からの乗車要求情報を受信したとき、エレベータサーバ4は、端末サーバ5からの乗車要求情報を受信した時点から第3所定時間経過後に移動体サーバ7からの乗車要求情報を制御盤3に送信する、という構成でもよい。
【0098】
図3は、本発明の第1変形例であるエレベータシステムの制御を示すフロー図である。以下、エレベータシステム100における制御について、図3を参照しながら説明する。
【0099】
図3に示すフローは、第1変形例においては、エレベータサーバ4が、端末サーバ5または移動体サーバ7のいずれかから乗車要求情報を受信すると開始し、取得部431は、受信した乗車要求情報を取得し(ステップS101)、ステップS102へ進む。
【0100】
特定部432は、端末サーバ5または移動体サーバ7から送信される乗車要求情報に含まれる、制御盤3を指定する情報に基づいて、乗車要求情報を送信すべき制御盤3を特定し(ステップS102)、ステップS103へ進む。
【0101】
認証部433は、乗車要求情報に含まれるID情報が、記憶部42に格納されている端末認証データベース421または移動体認証データベース422の何れかに含まれるか否かを判定する(ステップS103)。
【0102】
認証部433が、記憶部42に格納されている端末認証データベース421または移動体認証データベース422の何れかにID情報が含まれないと判定した場合、つまりID情報の認証が失敗した場合(ステップS103でNO)、受信した乗車要求情報を特定された制御盤3に送信することなく、フローを終了する。
【0103】
他方、認証部433が、記憶部42に格納されている端末認証データベース421または移動体認証データベース422の何れかにID情報が含まれると判定した場合、つまりID情報の認証が成功した場合(ステップS103でYES)、ステップS104へ進む。
【0104】
識別部434は、受信した乗車要求情報が端末サーバ5からの乗車要求情報であるか、移動体サーバ7からの乗車要求情報であるかを識別する(ステップS104)。
【0105】
識別部434が受信した乗車要求情報が端末サーバ5からの乗車要求情報であると識別した場合(ステップS104で[端末サーバ])、通信制御部435は、通信部41を介して、端末サーバ5からの乗車要求情報を制御盤3に送信し(ステップS108)、フローを終了する。
【0106】
他方、識別部434が受信した乗車要求情報が移動体サーバ7からの乗車要求情報であると識別した場合(ステップS104で[移動体サーバ])、通信制御部435は、第2所定時間前(例えば、3分前)の時点から乗車要求情報を受信した時点までの期間に、端末サーバ5からの乗車要求情報を受信したか否かを判定する(ステップS105)。
【0107】
通信制御部435が第2所定時間前の時点から乗車要求情報を受信した時点までの期間に、端末サーバ5からの乗車要求情報を受信したと判定した場合(ステップS105でYES)、通信制御部435は、端末サーバ5からの乗車要求情報を受信した時点から第3所定時間(例えば、5分)経過後に通信部41を介して、移動体サーバ5からの乗車要求情報を制御盤3に送信し(ステップS106)、フローを終了する。
【0108】
他方、通信制御部435が第2所定時間前の時点から乗車要求を情報受信した時点までの期間に、端末サーバ5からの乗車要求情報を受信していないと判定した場合(ステップS105でNO)、通信部41を介して、移動体サーバ5からの乗車要求情報を制御盤3に送信し(ステップS107)、フローを終了する。
【0109】
第1変形例の構成によれば、移動体サーバ7からの乗車要求情報を受信した時点よりも第2所定時間前から当該乗車要求情報を受信した時点までの期間に端末サーバ5からの乗車要求情報を受信していた場合は、端末サーバ5からの乗車要求情報を受信した時点から第3所定時間の期間は移動体サーバ7からの乗車要求情報が制御盤3に送信されない。よって、第2所定時間および第3所定時間を適切に設定することで、端末6を操作した利用者と移動体8の同乗を抑制することができる。
【0110】
(2)例えば、第2変形例に係るエレベータシステム100Aは、端末サーバ5が送信する乗車要求情報は、乗車階情報及び行先階情報を含み、エレベータ1Aは、エレベータ1Aへの乗車を判定する乗車検出部11をさらに備え、エレベータサーバ4は、識別部434が端末サーバ5からの乗車要求情報であると識別した場合、乗車階情報に基づく乗車階において乗車検出部11が乗車を検出したとき、行先階情報を制御盤3に送信する、という構成でもよい。
【0111】
図4は、本発明の第2変形例であるエレベータシステムのブロック図である。
【0112】
図4に示すように、第2変形例であるエレベータシステム100Aにおいて、エレベータ1Aは乗車検出部11を備える点が、上記の実施例と異なる。
【0113】
乗車検出部11は、エレベータ1Aの乗りかご内の積載量を計測するロードセルであって、ロードセルの計測する積載量が増加したことをもって、利用者が乗車したことを検出する。なお、このような構成に限られず、乗車検出部11は、乗りかごの扉付近を撮像するカメラであって、画像認識により利用者が乗車したことを検出してもよい。
【0114】
乗車検出部11が利用者の乗車を検出した場合、エレベータ1Aは、乗車を検出したことを示す乗車検出情報を、制御盤3へ送信する。
【0115】
図5は、本発明の第2変形例であるエレベータシステムの制御を示すフロー図である。以下、エレベータシステム100Aにおける制御について、図5を参照しながら説明する。
【0116】
図5に示すフローは、第2変形例においては、エレベータサーバ4が、端末サーバ5または移動体サーバ7のいずれかから乗車要求情報を受信すると開始し、取得部431は、受信した乗車要求情報を取得し(ステップS201)、ステップS202へ進む。
【0117】
特定部432は、端末サーバ5または移動体サーバ7から送信される乗車要求情報に含まれる、制御盤3を指定する情報に基づいて、乗車要求情報を送信すべき制御盤3を特定し(ステップS202)、ステップS203へ進む。
【0118】
認証部433は、乗車要求情報に含まれるID情報が、記憶部42に格納されている端末認証データベース421または移動体認証データベース422の何れかに含まれるか否かを判定する(ステップS203)。
【0119】
認証部433が、記憶部42に格納されている端末認証データベース421または移動体認証データベース422の何れかにID情報が含まれないと判定した場合、つまりID情報の認証が失敗した場合(ステップS203でNO)、受信した乗車要求情報を特定された制御盤3に送信することなく、フローを終了する。
【0120】
他方、認証部433が、記憶部42に格納されている端末認証データベース421または移動体認証データベース422の何れかにID情報が含まれると判定した場合、つまりID情報の認証が成功した場合(ステップS203でYES)、ステップS204へ進む。
【0121】
識別部434は、受信した乗車要求情報が端末サーバ5からの乗車要求情報であるか、移動体サーバ7からの乗車要求情報であるかを識別する(ステップS204)。
【0122】
識別部434が受信した乗車要求情報が移動体サーバ7からの乗車要求情報であると識別した場合(ステップS204で[移動体サーバ])、通信制御部435は、通信部41を介して、乗車階情報および行先階情報を含む、移動体サーバ7からの乗車要求情報を制御盤3に送信し(ステップS205)、フローを終了する。
【0123】
他方、識別部434が受信した乗車要求情報が端末サーバ5からの乗車要求情報であると識別した場合(ステップS204で[端末サーバ])、通信制御部435は、通信部41を介して、端末サーバ5からの乗車要求情報に含まれる乗車階情報を制御盤3に送信し(ステップS206)、ステップS207へ進む。
【0124】
制御盤3は、エレベータ1Aに対して乗車階情報に対応する階に向かうよう配車制御を行う。そして、制御盤3は、乗車階情報に対応する階においてエレベータ1Aから乗車検出情報を検出した場合、通信部31を介して、エレベータサーバ4へ乗車検出情報を送信する。
【0125】
エレエータサーバ4は、乗車階情報に基づく乗車階において乗車検出部11が乗車を検出したか否かを判定する。具体的には、通信制御部435は、制御盤3から乗車検出情報を受信したか否かを判定する(ステップS207)。通信制御部435が制御盤3から乗車検出情報を受信したと判定した場合(ステップS207でYES)、通信制御部435は、通信部41を介して、端末サーバ5からの乗車要求情報に含まれる行先階情報を制御盤3に送信し(ステップS208)、フローを終了する。
【0126】
他方、通信制御部435が制御盤3から乗車検出情報を受信していないと判定した場合(ステップS207でNO)、通信制御部435は、端末サーバ5からの乗車要求情報に含まれる行先階情報を制御盤3に送信することなく、フローを終了する。
【0127】
第2変形例の構成によれば、端末6から乗車要求情報が送信された場合、乗車階において利用者の乗車を検出しない限り、行先階情報が制御盤3に送信されない。よって、端末を操作した利用者がエレベータ1Aに乗車しなかったとしても、制御盤3において行先階情報に基づく配車制御が実行されないため、無駄なエレベータ1Aの運転を抑制することができる。
【0128】
また、移動体8から乗車要求情報が送信された場合、乗車階において乗車を検出するか否かにかかわらず、乗車階情報と行先階情報が制御盤3に送信される。よって、制御盤3は乗車階情報を受信した時点で、行先階情報も参照した配車制御を行うことができ、例えば運行効率を向上させる配車制御を行うことができる。
【0129】
(3)上記の実施例に係るエレベータシステム100においては、端末サーバ5が送信する乗車要求情報は、端末6のID情報を含み、移動体サーバ7が送信する乗車要求情報は、移動体8のID情報を含み、エレベータ1への乗車要求情報の送信が許可された端末6のID情報を格納する端末認証データベース421と、エレベータ1への乗車要求情報の送信が許可された移動体8のID情報を格納する移動体認証データベース422と、端末6のID情報または移動体8のID情報を認証する認証部433と、を備え、認証部433は、乗車要求情報に含まれるID情報が端末認証データベース421または移動体認証データベース422の何れかに含まれるか否かを判定する、という構成である。しかしながら、エレベータシステム100は、このような構成に限られない。
【0130】
例えば、第3変形例に係るエレベータシステム100は、認証部433は、識別部434の識別結果に基づいて、端末認証データベース421と移動体認証データベース422の何れかを選択して認証する、という構成でもよい。
【0131】
具体的には、識別部434が端末サーバ5からの乗車要求情報であると識別した場合、認証部433は、端末認証データベース421を選択し、乗車要求情報に含まれるID情報が端末認証データベース421に含まれるか否かを判定する。
【0132】
また、識別部434が移動体サーバ7からの乗車要求情報であると識別した場合、認証部433は、移動体認証データベース422を選択し、乗車要求情報に含まれるID情報が移動体認証データベース422に含まれるか否かを判定する。
【0133】
第3変形例の構成によれば、認証部433による認証処理において、端末認証データベース421と移動体認証データベース422の何れか一方だけを選択すればよいため、円滑な認証処理が可能となる。
【0134】
(4)上記の実施例に係るエレベータシステム100においては、エレベータサーバ4、端末サーバ5、移動体サーバ7が備える各部の一部又は全部は、外部サーバやクラウドサーバに備えられる、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0135】
100、100A エレベータシステム
1、1A エレベータ
2 操作部
3 制御盤
4 エレベータサーバ
5 端末サーバ
6 端末
7 移動体サーバ
8 移動体
11 乗車検出部
31、41、51、71 通信部
32、42、52、72 記憶部
33、43、53、73 制御部
421 端末認証データベース
422 移動体認証データベース
431 取得部
432 特定部
433 認証部
434 識別部
435 通信制御部
【要約】
【課題】 簡易な構成で端末と移動体の円滑な行先階登録を可能とするエレベータシステムを提供する。
【解決手段】 エレベータの配車を制御する制御盤と、制御盤と通信可能に接続されたエレベータサーバと、エレベータサーバと通信可能に接続され、エレベータの利用者が操作する端末から受信した乗車要求情報をエレベータサーバに送信する端末サーバと、エレベータサーバと通信可能に接続され、エレベータに乗車可能な移動体から受信した乗車要求情報をエレベータサーバに送信する移動体サーバと、を備え、エレベータサーバは、受信した乗車要求情報が端末サーバからの乗車要求情報であるか、移動体サーバからの乗車要求情報であるかを識別する識別部を備え、識別部の識別結果に基づいて、乗車要求情報を制御盤に送信する、エレベータシステム。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5