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特許76531846‐(2‐(2H‐テトラゾール‐5‐イル)エチル)‐6‐フルオロデカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシル酸及びそのエステル誘導体の医薬組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-19
(45)【発行日】2025-03-28
(54)【発明の名称】6‐(2‐(2H‐テトラゾール‐5‐イル)エチル)‐6‐フルオロデカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシル酸及びそのエステル誘導体の医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/06 20060101AFI20250321BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20250321BHJP
   A61P 25/10 20060101ALI20250321BHJP
   A61P 25/12 20060101ALI20250321BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20250321BHJP
   A61P 29/02 20060101ALI20250321BHJP
   A61K 31/4725 20060101ALI20250321BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250321BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20250321BHJP
【FI】
C07D401/06 CSP
A61P25/08
A61P25/10
A61P25/12
A61P25/04
A61P29/02
A61K31/4725
A61P43/00 123
A61K47/54
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023524496
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 US2021040339
(87)【国際公開番号】W WO2022006537
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2024-06-26
(31)【優先権主張番号】63/047,359
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523000961
【氏名又は名称】シー ファーマシューティカルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】SEA PHARMACEUTICALS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】ピアソン,ジェームス フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス,エドゥアルド ジェー.
【審査官】向井 佑
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-199802(JP,A)
【文献】特表2005-529892(JP,A)
【文献】特開平2-223551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
(式中、RはH及び(C‐C20)ヒドロカルビルから選択される)
で表される、化合物。
【請求項2】
式II:
【化2】
で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rは、H、並びにRが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C20)ヒドロカルビルから選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
RはH又はCであり、かつ前記式中、
nは1でありmは3であるか;
nは2でありmは5であるか;
nは3でありmは3、5、若しくは7であるか;
nは4でありmは5、7、若しくは9であるか;
nは5でありmは7、9、若しくは11であるか;
nは6でありmは5、7、9、11、若しくは13であるか;
nは7でありmは7、9、11、13、若しくは15であるか;
nは8でありmは5、7、9、11、13、15、若しくは17であるか;
nは9でありmは7、9、11、13、15、17、若しくは19であるか;
nは10でありmは7、9、11、13、15、17、19、若しくは21であるか;
nは11でありmは9、11、13、15、17、19、21、若しくは23であるか;
nは12でありmは7、9、11、13、15、17、19、21、23、若しくは25であるか;
nは13でありmは9、11、13、15、17、19、21、23、25、若しくは27であるか;
nは14でありmは9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、若しくは29であるか;
nは15でありmは11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、若しくは31であるか;
nは16でありmは9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、若しくは33であるか;
nは17でありmは11、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、若しくは35であるか;
nは18でありmは11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、若しくは37であるか;
nは19でありmは13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、若しくは39であるか;又は
nは20でありmは11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、若しくは41である、
請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
Rは、H、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n‐ブチル、1‐メチルプロピル、1‐メチル‐2‐エチルブチル、2‐エチルブチル、2‐メチルプロピル、tert‐ブチル、2‐メチルシクロプロピル、1‐メチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル(すなわち、
【化3】
)、n‐ペンチル、1‐メチルブチル、2‐メチルブチル、3‐メチルブチル、1‐エチルプロピル、1,2‐ジメチルプロピル、1,1‐ジメチルプロピル、2,2‐ジメチルプロピル、シクロブチルメチル(すなわち、
【化4】
)、2‐(シクロプロピル)エチル(すなわち、
【化5】
)、シクロペンチル、n‐ヘキシル、1‐メチルペンチル、2‐メチルペンチル、3‐メチルペンチル、4‐メチルペンチル、1,1‐ジメチルブチル、1,2‐ジメチルブチル、1,3‐ジメチルブチル、2,3‐ジメチルブチル、2,2‐ジメチルブチル、3,3‐ジメチルブチル、1,1,2‐トリメチルプロピル、1,2,2‐トリメチルプロピル、3‐(シクロプロピル)プロピル(すなわち、
【化6】
)、2‐(シクロブチル)エチル(すなわち、
【化7】
)、シクロペンチルメチル(すなわち、
【化8】
)、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、2‐シクロヘキシルエチル、ジシクロヘキシルメチル、n‐オクチル、ベンジル、ジフェニルメチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、ヘキサデカ‐9‐エニル、オクタデシル、オクタデカ‐9‐エニル、オクタデカ‐9,12‐ジエニル、2‐プロピルペンチル、2‐ブチルヘキシル、2‐ペンチルヘプチル、2‐ヘキシルオクチルから選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
Rは、H、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、tert‐ブチル、2‐メチルブチル、及び2‐エチルブチルから選択される、請求項に記載の化合物。
【請求項7】
【化9】
【化10】
【化11】
から選択される構造を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
【化12】
から選択される構造を有する、請求項に記載の化合物。
【請求項9】
【化13】
から選択される構造を有する、請求項に記載の化合物。
【請求項10】
【化14】
から選択される構造を有する、請求項に記載の化合物。
【請求項11】
【化15】
から選択される構造を有する、請求項に記載の化合物。
【請求項12】
【化16】
から選択される構造を有する、請求項に記載の化合物。
【請求項13】
薬学的に許容可能な担体と、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩とを含む、医薬組成物。
【請求項14】
治療的又は予防的に有効な量の請求項1に記載の化合物を含む、発作性障害の治療用医薬組成物
【請求項15】
前記発作性障害が癲癇である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記発作性障害が、癲癇重積状態である、請求項14に記載の医薬組成物
【請求項17】
前記発作性障害が、部分起始発作又は一次性の全般性強直間代発作、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項14に記載の医薬組成物
【請求項18】
前記発作性障害が、遺伝性の遺伝子が関わる発作性障害に起因する、請求項14に記載の医薬組成物
【請求項19】
前記発作性障害が、脳腫瘍、振盪性脳損傷、又は穿通性脳損傷に起因する、請求項14に記載の医薬組成物
【請求項20】
治療的又は予防的に有効な量の請求項1に記載の化合物を含む、疼痛治療用医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疼痛及び癲癇の治療に使用するための、6‐(2‐(2H‐テトラゾール‐5‐イル)エチル)‐6‐フルオロデカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシル酸、及び6‐(2‐(2H‐テトラゾール‐5‐イル)エチル)‐6‐フルオロデカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシル酸ヒドロカルビルエステル誘導体の、医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
α‐アミノ‐3‐ヒドロキシ‐5‐メチル‐4‐イソオキサゾールプロピオン酸受容体(AMPA受容体、AMPAR、又はキスカル酸受容体としても知られる)は、中枢神経系(CNS)における高速シナプス伝達を仲介するグルタミン酸開閉型イオンチャネルとして知られる、イオンチャネル型膜貫通受容体である。AMPARは従来、カイニン酸受容体と共に非NMDA型受容体として分類されてきた。
【0003】
グルタミン酸は、中枢神経系における主要な興奮性アミノ酸系伝達物質である。AMPA受容体(AMPAR)は大きなマルチサブユニット型イオンチャネルであり、4個のAMPARサブユニットタンパク質GluA1、GluA2、GluA3、GluA4(4つの別個の遺伝子にコードされている)の組み合わせで作られている。AMPARはニューロンの興奮性シナプスに存在し、速い興奮性神経伝達を担っている。AMPARはグルタミン酸シグナルを伝達してシナプス後ニューロンを脱分極させる。興奮性ニューロンから放出されたグルタミン酸はシナプスを越えて拡散し、シナプス後ニューロンのAMPARに結合する。AMPARはニューロンの細胞膜を物理的に貫通しており、外部から細胞内へと主としてナトリウムイオン(のみならずカリウム、及びまれにはカルシウム)の流れを選択的に内向きに透過させるイオン孔又はイオンチャネルを含んでいる。グルタミン酸がない場合AMPARのイオン孔は閉じており、よってイオンはニューロンに流れ込むことができない。グルタミン酸がAMPARに結合するとAMPARが開き、主としてナトリウムイオンが孔を通過することが可能となってシナプス後ニューロンの細胞膜を横断する結果、脱分極がもたらされる。このようにナトリウムは脱分極電流を流す。AMPARは、ニューロンのネットワーク、並びに脳及び中枢神経系の生理機能にとって極めて重要である。簡潔に述べると、AMPA受容体は、化学シグナルのグルタミン酸にのみ応答して開く、神経伝達物質開閉型(グルタミン酸開閉型)イオンチャネルである。
【0004】
AMPA受容体は癲癇性発作の発生及び広がりに重要な役割を果たす(Scharfman HE.. “The Neurobiology of Epilepsy”, Curr Neurol Neurosci Rep., (独), 2007, Vol. 7, p.348-354; Rogawski MA., “Revisiting AMPA receptors as an antiepileptic drug target”, Epilepsy Currents, (米), 2011, Vol. 11, p.56-63.)。神経外科医及び神経学者は、ヒト癲癇患者(患者数n=6)の脳(海馬)の微小透析液から採取した臨床試料において、グルタミン酸レベルが患者の発作前に高まること、さらに発作中にも高まることを観察している(During MJ及びSpencer DD, “Extracellular Hippocampal Glutamate and Spontaneous Seizure in the Conscious Human Brain”, The Lancet., (オランダ), 1993, Vol. 341, No. 8861, p.1607-10)。
【0005】
発作、痙攣及び癲癇の動物モデルを用いた研究における様々なAMPARアンタゴニストによる治療は、AMPARアンタゴニスト分子の非競合的作用又は競合的メカニズムの有無を問わず、この種の化合物の前臨床における効力を一貫して実証してきた。早期臨床試験において神経学者らは、実験段階の治療用AMPARアンタゴニストであるタランパネルを用いた治療が癲癇患者の発作の低減を示すことを見出した(Chappell AS, Sander JW, Brodie MJ, Chadwick D, Lledo A, Zhang D, Bjerke J, Kiesler GM, Arroyo S., “A Crossover, Add-On Trial of Talampanel in Patients With Refractory Partial Seizures”, Neurology, (オランダ), 2002, Vol. 58, p.1680-1682)。10年後には、AMPARアンタゴニストのペランパネルが、癲癇の治療についてFDA及びEMEAが承認する最初のAMPARアンタゴニストとして承認された(French JA, Krauss GL, Steinhoff BJ, Squillacote D, Yang H, Kumar D, Laurenza A., “Evaluation of adjunctive perampanel in patients with refractory partial-onset seizures: Results of randomized global phase III study 305”, Epilepsia, (米), 2013, Vol. 54, p.117-125; 及びKrauss GL, Perucca E, Ben-Menachem E, Kwan P, Shih JJ, Squillacote D, Yang H, Gee M, Zhu J, Laurenza A., “Perampanel, a selective, noncompetitive α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid receptor antagonist, as adjunctive therapy for refractory partial-onset seizures: interim results from phase III, extension study 307”, Epilepsia, (米), 2013, Vol. 54, p.126-134)。
【0006】
カルシウム及び他のカチオン、例えばナトリウム及びカリウムなどについてのAMPARの透過性は、GluA2サブユニットによって統制される。AMPARがGluA2サブユニットを欠けば、ナトリウム、カリウム、及びカルシウムについて透過性となるであろう。GluA2サブユニットが存在すると、ほとんど常時チャネルがカルシウムを通さない状態となる。これは、GluA2のmRNAのQ→R編集部位の転写後修飾(RNA編集)によって決まる。ここで、A→I(アデノシン→イノシン)編集(二本鎖RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(Adenosine Deaminase Acting on RNA)2によるもの)により、受容体のイオンチャネルにおいて非荷電アミノ酸のグルタミン(Q)をコードするGluA2 RNAが、正電荷を有するアルギニン(R)のコードに変更される。重要な部位に正電荷を有するアミノ酸があると、カルシウムが孔を通って細胞に入ることはエネルギー的に不利となる。ナトリウムは、AMPARのグルタミン酸開閉型イオンチャネルを透過できる主なイオンである。
【0007】
GluA2のmRNAを編集する二本鎖RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)が機能しないと、その結果生じる変成AMPARのカルシウム透過性に起因するある種の神経障害がもたらされる。ADAR2を欠く動物は、出生後21日目までに発作で死亡する。しかしながら癲癇においては、正常な編集AMPAR受容体が存在し、この受容体はナトリウムに対し透過性を有する。
【0008】
AMPARアンタゴニストは、癲癇におけるニューロンネットワークのAMPAR媒介性の過剰活性化を低減することができるので、癲癇の治療の潜在的目標物に相当する。総説にはRogawski MA., “Revisiting AMPA receptors as an antiepileptic drug target”, Epilepsy Currents, (米), 2011, Vol. 11, P.56-63がある。
【0009】
米国特許第5,670,516号明細書は、ある種のデカヒドロイソキノリン誘導体がAMPA受容体アンタゴニストであり、ゆえに疼痛、偏頭痛、痙攣、及び癇癪発作を含む様々な神経学的状態の治療に有用であることを開示している。加えて、2001年1月11日に公開された国際公開第01/02367号サーチレポートは、選択的GluR5アンタゴニストである3S,4aR,6S,8aR‐6‐(((4‐カルボキシ)フェニル)メチル)‐1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a‐デカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシル酸のジエステル型プロドラッグ形態を開示している。
【0010】
米国特許第7,247,644号明細書は、モノ酸である(3S,4aR,6R,8aR)‐6‐[2‐(1(2)H‐テトラゾール‐5‐イル)エチル‐1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a‐デカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシル酸のモノエステル体が、モノ酸それ自体の投与で得られる場合と比較して著しく改善されたモノ酸の生物学的利用能をもたらすことを開示している。
【0011】
しかしながら、これら前述の方法の生物学的利用能は、経口適用について検討するには未だ十分に高くはない。
【発明の概要】
【0012】
第1の態様では、本発明は式I:
【化1】

(式中、
RはH及び(C‐C20)ヒドロカルビルから選択される)
の化合物に関する。
【0013】
第2の態様では、本発明は式II:
【化2】

の化合物に関する。
【0014】
第3の態様では、式II(式中、R=H)の化合物は、in vitroで(S)‐α‐アミノ‐3‐ヒドロキシ‐5‐メチル‐4‐イソオキサゾールプロピオン酸(s‐AMPA)誘導性のAMPARのカルシウム透過性を選択的に阻害し、かつin vivoでは癲癇の動物モデルにおいて発作を防止することが示される。
【0015】
第4の態様では、本発明は、式IIの化合物を医薬品活性成分(R=H)の経口投与可能なプロドラッグ(R≠H)として投与することにより癲癇及び/又は疼痛を治療するための方法又は薬剤に関する。
【0016】
第4の態様では、本発明は、薬学的に許容可能な担体及び本明細書中に記載されるような化合物を含んでいる医薬組成物に関する。
【0017】
本発明の上記及びその他の目的、特徴、及び利点は、本発明の様々な態様についての以降の詳細な説明から明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】6‐(2‐(2H‐テトラゾール‐5‐イル)エチル)‐6‐フルオロデカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシル酸(R=H)である化合物#1を用いた、スプラーグドーリーラット大脳皮質切片の錐体ニューロンのin vitro電気生理学研究におけるs‐AMPA誘導電流の結果を示す図。
図2図2 化合物#1を用いた、スプラーグドーリーラット大脳皮質切片の錐体ニューロンのin vitro電気生理学研究におけるs‐AMPA誘導電流の結果を示す図。
図3】化合物#1を用いた、スプラーグドーリーラット大脳皮質切片の錐体ニューロンのin vitro電気生理学研究におけるNMDA誘導電流の結果を示す図。
図4】化合物1又は化合物によるスプラーグドーリーラットの治療について単回急性投与の薬物動態試験の結果を示す図。血漿試料についてLCMSで化合物1が測定されている。
図5】化合物1又は化合物によるスプラーグドーリーラットの治療について単回急性投与の薬物動態試験の結果を示す図。脳試料についてLCMSで化合物1が測定されている。
図6】化合物1又は化合物によるスプラーグドーリーラットの治療について単回急性投与の薬物動態試験の結果を示す図。脳脊髄液(CSF)試料についてLCMSで化合物1が測定されている。
図7】スプラーグドーリーラットにおけるin vivoの1日間治療とした化合物の急性経口投与についての単回投与用量漸増(SAD)試験の結果を示す図。75分及び300分の時点で血漿(7A)、CSF(7B)、及び脳(7C)の試料についてLCMSで化合物1が測定されている。
図8図7のSAD試験と同じ動物についてのオープンフィールド試験(OFA)の結果を示す図。総移動距離(8A)及び探索時立ち上がり時間(8B)が測定された。
図9図8のOFAのさらなる結果を示す図。歩行運動(9A)及び常同運動(9B)が計数され、静止時間(9C)が測定された。
図10図7のSAD試験と同じ動物についてのアーウィン(Irwin)の神経学的試験バッテリーの結果を示す図。ケージ内観察(10A)、自律反応(10B)、及び懸垂試験(10C)のスコア化、糞塊の計数(10D)が行われた。
図11】1日1回5日間投与の反復投与用量漸増(MAD)試験を実施したスプラーグドーリーラットの体重測定の結果を示す図。
図12図11と同じスプラーグドーリーラットについてのOFAの結果を示す図。総移動距離及び探索時立ち上がり時間が測定され、歩行運動及び常同運動が計数された。
図13図11と同じスプラーグドーリーラットについてのアーウィンの神経学的試験バッテリーの結果を示す図。ケージ内観察(13A)、解剖学的反応(13B)、及び懸垂試験(13C)がスコア化され、糞塊(13D)が計数された(MAD試験の3日目に実施)。
図14図13と同じスプラーグドーリーラットについてのアーウィンの神経学的試験バッテリーの結果を示す図(MAD試験の5日目に実施)。
図15】5日間にわたりスプラーグドーリーラットに1日1回経口投与したMAD試験の結果を示す図。1、3、及び5日目における血漿中の化合物1のレベルがLCMSにより測定され;化合物1の濃度が時間(15A)及び用量(15B)に対してプロットされている。
図16】5日目のCSF中の化合物1のレベルがLCMSにより測定された、図15の同じMAD試験の結果を示す図。
図17】5日目の脳内の化合物1のレベルが測定された、図15の同じMAD試験の結果を示す図。 表1は一部の化合物を示す。 表2は、6‐(2‐(2H‐テトラゾール‐5‐イル)エチル)‐6‐フルオロデカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシル酸(R=H)を用いた錐体ニューロンのin vitro電気生理学研究におけるs‐AMPAとNMDAとの比較結果を示す。 表3は、6‐(2‐(2H‐テトラゾール‐5‐イル)エチル)‐6‐フルオロデカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシル酸(R=H)のin vivoでの効力に関する研究の結果を示す。
【0019】
[詳細な説明]
本開示は概して、6‐(2‐(2H‐テトラゾール‐5‐イル)エチル)‐6‐フルオロデカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシル酸、及び6‐(2‐(2H‐テトラゾール‐5‐イル)エチル)‐6‐フルオロデカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシル酸のヒドロカルビルエステル誘導体、並びにこれらの医薬組成物に関し、同様にある種の障害を治療する方法に関する。
【0020】
本明細書全体を通じて、用語及び置換基の定義は保持される。
便宜上、かつ明確にするために、本明細書、実施例及び特許請求の範囲において使用される一定の用語についてここで説明する。
【0021】
用語「ヒドロカルビル」、「脂肪族ヒドロカルビル」、「芳香族ヒドロカルビル」、及び「アルキル」は、本明細書中で使用されるように、かつ下記に記載されるように、定義された基について可能なあらゆる構造的特徴、例えば、直鎖、分枝鎖、環式、多環式、架橋などの特徴を含む。
【0022】
「ヒドロカルビル」(又は「炭化水素」)は、元素成分として水素及び炭素のみから構成される任意の基を指す。
【0023】
ヒドロカルビルの第1の部分集合は「脂肪族ヒドロカルビル」であり、これは芳香族でないヒドロカルビル基を指す。脂肪族ヒドロカルビルは、通常の化学の知識を有する人には容易に理解されるように、芳香族となるようには配置構成されない任意の様々なsp‐、sp‐、及びsp混成炭素を含んでいる。脂肪族ヒドロカルビル基は、1以上のアルカン(sp)、アルケン(sp)、アルキン(sp)、及びアレン(sp及びsp)官能基を包含する。2以上のアルケン、アルキン、及び/又はアレン官能基がヒドロカルビル基において共役している場合もあり、共役が芳香族性をもたらさない限りその基はなおも脂肪族ヒドロカルビル基として定義される。
【0024】
脂肪族ヒドロカルビル基の例には、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、シクロプロピル、t‐ブチル、ネオペンチル、3‐メチルブチル、3,3‐ジメチルブチル、2‐プロピルペンチル、2‐ブチルヘキシル、2‐ペンチルヘプチル、2‐ヘキシルオクチル、n‐ヘキシル、n‐オクチル、2‐エチルブチル、1‐メチル‐2‐エチルブチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、9‐ヘキサデカ‐エン‐イル、9‐オクタデカ‐エン‐イル、9,12‐オクタデカ‐ジエン‐イル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、2‐シクロヘキシルエチル、ジシクロヘキシルメチル、2‐ブテニル、2‐ブチニル、シクロペンチル、ノルボルニルなどが挙げられる。
【0025】
ヒドロカルビルの第2の部分集合は「芳香族ヒドロカルビル」及び「アリール」であり、これは芳香族であるヒドロカルビル基を指す。芳香族ヒドロカルビル基には、例えばフェニル(C)、ナフチル(C10)、アントラセンなど(C14)が挙げられる。
【0026】
ヒドロカルビルの第3の部分集合は「アルキル」(又はアルカン)であり、これはsp混成炭素原子のみから成るヒドロカルビル基を指す。アルキル基は脂肪族ヒドロカルビル基の部分集合でもあるが、ただしsp‐及びsp混成炭素原子の存在を排除する完全に飽和したヒドロカルビル基である。脂肪族ヒドロカルビル基について上述された例のうちアルキル基の例としては、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、シクロプロピル、t‐ブチル、ネオペンチル、3‐メチルブチル、3,3‐ジメチルブチル、2‐プロピルペンチル、2‐ブチルヘキシル、2‐ペンチルヘプチル、2‐ヘキシルオクチル、n‐ヘキシル、n‐オクチル、2‐エチルブチル、1‐メチル‐2‐エチルブチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、2‐シクロヘキシルエチル、ジシクロヘキシルメチル、シクロペンチル、ノルボルニルなどが挙げられる。同じく上述された脂肪族ヒドロカルビル基の例でもある、例えば9‐ヘキサデカ‐エン‐イル、9‐オクタデカ‐エン‐イル、9,12‐オクタデカ‐ジエン‐イル、2‐ブテニル、2‐ブチニルなどは、アルキル基には含まれない。
【0027】
ヒドロカルビル基は、本来はもっぱら脂肪族ヒドロカルビル、芳香族ヒドロカルビル又はアルキルであってよい。別例として、ヒドロカルビルという用語は、上記部分集合の基のうち1以上の組み合わせを、典型的には置換基として、包含する。よって、場合により例えばフェニル基で置換された脂肪族ヒドロカルビルが、用語「ヒドロカルビル」又は「場合によりフェニルで置換された脂肪族ヒドロカルビル」に包含されることが可能である。「場合によりフェニルで置換されたアルキル」は、フェニル基を除き他の全ての炭素原子がsp混成軌道をとることを示す。
【0028】
上記に定義されるように、脂肪族ヒドロカルビル、芳香族ヒドロカルビル(すなわちアリール)、及びアルキルは、単独又は組み合わせにおいて、炭素原子数が元のヒドロカルビルの炭素数と同じか又は少ないのであれば、ヒドロカルビルを適切に限定したものである。同様に、アルキルは、炭素原子数が同じか又は少ないのであれば、脂肪族ヒドロカルビルをさらに限定したものである。
【0029】
本明細書中で使用されるように、用語「場合により置換された」は、「非置換であるか又は置換された」と互換的に使用されてよい。用語「置換された」とは、特定の基(group)の中の1以上の水素原子が特定の基(radical)により置き換わることを指す。例えば、置換されたアルキル、アリール、シクロアルキルなどは、各残基の中の1以上のH原子が特定の置換基に置き換えられているアルキル、アリール、又はシクロアルキルを指す。
【0030】
上記に示されるように、ヒドロカルビル基、脂肪族ヒドロカルビル基、芳香族ヒドロカルビル基、及びアルキル基についてのRの定義はさらに、(C‐C)として指定される炭素の数を含み、前記式中のxは最小の炭素原子数、yは最大の炭素原子数である。例えば、「(C‐C20)ヒドロカルビル」は炭素が1~20個のヒドロカルビル基を示し、「(C‐C14)脂肪族ヒドロカルビル」は炭素が5~14個の脂肪族ヒドロカルビル基を示す。炭素を含む任意の置換基、例えばフェニルの炭素数は、(C‐C)の指定とは別である。
【0031】
別段の定めがない限り、「炭素環(カルボサイクル)」という用語は、環系であって環原子がすべて炭素であるが任意の酸化状態のものを含むように意図されている。よって(C‐C10)炭素環は、シクロプロパン、ベンゼン及びシクロヘキセンのような系を含む非芳香族系及び芳香族系の両方を指し;(C‐C12)炭素多環は、ノルボルナン、デカリン、インダン及びナフタレンのような系を指す。炭素環は、特に限定されない限り、単環、二環及び多環を指す。
【0032】
本明細書中に記載される化合物は、置換基Rの中に二重結合を含んでもよいし、かつさらに他の幾何学的不斉中心を含んでもよく;別段の定めがない限り、化合物がE/Z両方の幾何異性体を含むことが意図される。同様に、全ての互変異性型、例えばテトラゾールの互変異性体:
【化3】

も含まれるように意図される。
【0033】
化合物はさらに、置換基Rの中に、1以上の不斉中心を含んでもよく、従って絶対立体化学の点で(R)‐又は(S)‐として定義することが可能なエナンチオマー、ジアステレオマー、及びその他の立体異性型を生じてもよい。本発明は、全てのそのような生じ得る異性体、並びにそのラセミ体及び光学的に純粋な異性体を含むように意図されている。光学活性の(R)‐及び(S)‐異性体は、キラルシントン又はキラル試薬を使用して調製されてもよいし、従来の技法を使用して分割されてもよい。
【0034】
明確に示すために、デカヒドロイソキノリン環系及びその付加物についての原子の番号付けの慣例を以下に示す:
【化4】
【0035】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C‐C20)ヒドロカルビル、(C‐C18)ヒドロカルビル、(C‐C19)ヒドロカルビル、(C‐C18)ヒドロカルビル、(C‐C17)ヒドロカルビル、(C‐C16)ヒドロカルビル、(C‐C15)ヒドロカルビル、(C‐C14)ヒドロカルビル、(C‐C13)ヒドロカルビル、(C‐C12)ヒドロカルビル、(C‐C11)ヒドロカルビル、(C‐C10)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、及び(C‐C)ヒドロカルビルから選択される。
【0036】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C‐C20)ヒドロカルビル、(C‐C19)ヒドロカルビル、(C‐C18)ヒドロカルビル、(C‐C17)ヒドロカルビル、(C‐C16)ヒドロカルビル、(C‐C15)ヒドロカルビル、(C‐C14)ヒドロカルビル、(C‐C13)ヒドロカルビル、(C‐C12)ヒドロカルビル、(C‐C11)ヒドロカルビル、(C‐C10)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、及び(C‐C)ヒドロカルビルから選択される。
【0037】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C‐C20)ヒドロカルビル、(C‐C19)ヒドロカルビル、(C‐C18)ヒドロカルビル、(C‐C17)ヒドロカルビル、(C‐C16)ヒドロカルビル、(C‐C15)ヒドロカルビル、(C‐C14)ヒドロカルビル、(C‐C13)ヒドロカルビル、(C‐C12)ヒドロカルビル、(C‐C11)ヒドロカルビル、(C‐C10)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、及び(C‐C)ヒドロカルビルから選択される。
【0038】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C‐C20)ヒドロカルビル、(C‐C19)ヒドロカルビル、(C‐C18)ヒドロカルビル、(C‐C17)ヒドロカルビル、(C‐C16)ヒドロカルビル、(C‐C15)ヒドロカルビル、(C‐C14)ヒドロカルビル、(C‐C13)ヒドロカルビル、(C‐C12)ヒドロカルビル、(C‐C11)ヒドロカルビル、(C‐C10)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、及び(C‐C)ヒドロカルビルから選択される。
【0039】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C‐C20)ヒドロカルビル、(C‐C19)ヒドロカルビル、(C‐C18)ヒドロカルビル、(C‐C17)ヒドロカルビル、(C‐C16)ヒドロカルビル、(C‐C15)ヒドロカルビル、(C‐C14)ヒドロカルビル、(C‐C13)ヒドロカルビル、(C‐C12)ヒドロカルビル、(C‐C11)ヒドロカルビル、(C‐C10)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、及び(C‐C)ヒドロカルビルから選択される。
【0040】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C‐C20)ヒドロカルビル、(C‐C19)ヒドロカルビル、(C‐C18)ヒドロカルビル、(C‐C17)ヒドロカルビル、(C‐C16)ヒドロカルビル、(C‐C15)ヒドロカルビル、(C‐C14)ヒドロカルビル、(C‐C13)ヒドロカルビル、(C‐C12)ヒドロカルビル、(C‐C11)ヒドロカルビル、(C‐C10)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、及び(C‐C)ヒドロカルビルから選択される。
【0041】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C‐C20)ヒドロカルビル、(C‐C19)ヒドロカルビル、(C‐C18)ヒドロカルビル、(C‐C17)ヒドロカルビル、(C‐C16)ヒドロカルビル、(C‐C15)ヒドロカルビル、(C‐C14)ヒドロカルビル、(C‐C13)ヒドロカルビル、(C‐C12)ヒドロカルビル、(C‐C11)ヒドロカルビル、(C‐C10)ヒドロカルビル、(C‐C)ヒドロカルビル、及び(C‐C)ヒドロカルビルから選択される。
【0042】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C‐C20)ヒドロカルビル、(C‐C19)ヒドロカルビル、(C‐C18)ヒドロカルビル、(C‐C17)ヒドロカルビル、(C‐C16)ヒドロカルビル、(C‐C15)ヒドロカルビル、(C‐C14)ヒドロカルビル、(C‐C13)ヒドロカルビル、(C‐C12)ヒドロカルビル、(C‐C11)ヒドロカルビル、(C‐C10)ヒドロカルビル、及び(C‐C)ヒドロカルビルから選択される。
【0043】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C‐C20)ヒドロカルビル、(C‐C19)ヒドロカルビル、(C‐C18)ヒドロカルビル、(C‐C17)ヒドロカルビル、(C‐C16)ヒドロカルビル、(C‐C15)ヒドロカルビル、(C‐C14)ヒドロカルビル、(C‐C13)ヒドロカルビル、(C‐C12)ヒドロカルビル、(C‐C11)ヒドロカルビル、及び(C‐C10)ヒドロカルビルから選択される。
【0044】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C10‐C20)ヒドロカルビル、(C10‐C19)ヒドロカルビル、(C10‐C18)ヒドロカルビル、(C10‐C17)ヒドロカルビル、(C10‐C16)ヒドロカルビル、(C10‐C15)ヒドロカルビル、(C10‐C14)ヒドロカルビル、(C10‐C13)ヒドロカルビル、(C10‐C12)ヒドロカルビル、及び(C10‐C11)ヒドロカルビルから選択される。
【0045】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C11‐C20)ヒドロカルビル、(C11‐C19)ヒドロカルビル、(C11‐C18)ヒドロカルビル、(C11‐C17)ヒドロカルビル、(C11‐C16)ヒドロカルビル、(C11‐C15)ヒドロカルビル、(C11‐C14)ヒドロカルビル、(C11‐C13)ヒドロカルビル、及び(C11‐C12)ヒドロカルビルから選択される。
【0046】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C12‐C20)ヒドロカルビル、(C12‐C19)ヒドロカルビル、(C12‐C18)ヒドロカルビル、(C12‐C17)ヒドロカルビル、(C12‐C16)ヒドロカルビル、(C12‐C15)ヒドロカルビル、(C12‐C14)ヒドロカルビル、及び(C12‐C13)ヒドロカルビルから選択される。
【0047】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C13‐C20)ヒドロカルビル、(C13‐C19)ヒドロカルビル、(C13‐C18)ヒドロカルビル、(C13‐C17)ヒドロカルビル、(C13‐C16)ヒドロカルビル、(C13‐C15)ヒドロカルビル、及び(C13‐C14)ヒドロカルビルから選択される。
【0048】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C14‐C20)ヒドロカルビル、(C14‐C19)ヒドロカルビル、(C14‐C18)ヒドロカルビル、(C14‐C17)ヒドロカルビル、(C14‐C16)ヒドロカルビル、及び(C14‐C15)ヒドロカルビルから選択される。
【0049】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C15‐C20)ヒドロカルビル、(C15‐C19)ヒドロカルビル、(C15‐C18)ヒドロカルビル、(C15‐C17)ヒドロカルビル、及び(C15‐C16)ヒドロカルビルから選択される。
【0050】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C16‐C20)ヒドロカルビル、(C16‐C19)ヒドロカルビル、(C16‐C18)ヒドロカルビル、及び(C16‐C17)ヒドロカルビルから選択される。
【0051】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C17‐C20)ヒドロカルビル、(C17‐C19)ヒドロカルビル、及び(C17‐C18)ヒドロカルビルから選択される。
【0052】
本発明の様々な実施形態において、Rは(C18‐C20)ヒドロカルビル又は(C18‐C19)ヒドロカルビルである。
【0053】
本発明の様々な実施形態において、Rは(C19‐C20)ヒドロカルビルである。
【0054】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C20)ヒドロカルビル、(C19)ヒドロカルビル、(C18)ヒドロカルビル、(C17)ヒドロカルビル、(C16)ヒドロカルビル、(C15)ヒドロカルビル、(C14)ヒドロカルビル、(C13)ヒドロカルビル、(C12)ヒドロカルビル、(C11)ヒドロカルビル、(C10)ヒドロカルビル、(C)ヒドロカルビル、(C)ヒドロカルビル、(C)ヒドロカルビル、(C)ヒドロカルビル、(C)ヒドロカルビル、(C)ヒドロカルビル、及び(C)ヒドロカルビルから選択される。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C20)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C19)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C18)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C17)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C16)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C15)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C14)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C13)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C12)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C11)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C10)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、及び場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビルから選択される。
【0056】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C20)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C19)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C18)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C17)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C16)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C15)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C14)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C13)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C12)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C11)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C10)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、及び場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビルから選択される。
【0057】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C20)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C19)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C18)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C17)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C16)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C15)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C14)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C13)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C12)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C11)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C10)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビルから選択される。
【0058】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C20)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C19)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C18)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C17)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C16)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C15)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C14)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C13)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C12)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C11)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C10)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、及び場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビルから選択される。
【0059】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C20)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C19)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C18)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C17)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C16)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C15)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C14)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C13)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C12)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C11)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C10)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、及び場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビルから選択される。
【0060】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C20)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C19)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C18)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C17)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C16)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C15)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C14)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C13)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C12)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C11)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C10)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、及び場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビルから選択される。
【0061】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C20)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C19)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C18)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C17)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C16)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C15)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C14)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C13)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C12)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C11)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C10)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビル、及び場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビルから選択される。
【0062】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C20)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C19)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C18)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C17)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C16)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C15)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C14)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C13)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C12)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C11)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C10)ヒドロカルビル、及びRが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C‐C)ヒドロカルビルから選択される。
【0063】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C‐C20)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C‐C19)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C‐C18)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C‐C17)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C‐C16)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C‐C15)ヒドロカルビル、場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C‐C14)ヒドロカルビル、場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C‐C13)ヒドロカルビル、場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C‐C12)ヒドロカルビル、場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C‐C11)ヒドロカルビル、及び場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C‐C10)ヒドロカルビルから選択される。
【0064】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C10‐C20)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C10‐C19)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C10‐C18)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C10‐C17)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C10‐C16)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C10‐C15)ヒドロカルビル、場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C10‐C14)ヒドロカルビル、場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C10‐C13)ヒドロカルビル、場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C10‐C12)ヒドロカルビル、及び場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C10‐C11)ヒドロカルビルから選択される。
【0065】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C11‐C20)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C11‐C19)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C11‐C18)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C11‐C17)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C11‐C16)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C11‐C15)ヒドロカルビル、場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C11‐C14)ヒドロカルビル、場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C11‐C13)ヒドロカルビル、及び場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C11‐C12)ヒドロカルビルから選択される。
【0066】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C12‐C20)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C12‐C19)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C12‐C18)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C12‐C17)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C12‐C16)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C12‐C15)ヒドロカルビル、場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C12‐C14)ヒドロカルビル、及び場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C12‐C13)ヒドロカルビルから選択される。
【0067】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C13‐C20)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C13‐C19)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C13‐C18)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C13‐C17)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C13‐C16)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C13‐C15)ヒドロカルビル、及び場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C13‐C14)ヒドロカルビルから選択される。
【0068】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C14‐C20)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C14‐C19)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C14‐C18)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C14‐C17)ヒドロカルビル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C14‐C16)ヒドロカルビル、及びRが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C14‐C15)ヒドロカルビルから選択される。
【0069】
本発明の様々な実施形態において、Rは、脂肪族(C15‐C20)ヒドロカルビル、脂肪族(C15‐C19)ヒドロカルビル、脂肪族(C15‐C18)ヒドロカルビル、脂肪族(C15‐C17)ヒドロカルビル、及び脂肪族(C15‐C16)ヒドロカルビルから選択される。
【0070】
本発明の様々な実施形態において、Rは、脂肪族(C16‐C20)ヒドロカルビル、脂肪族(C16‐C19)ヒドロカルビル、脂肪族(C16‐C18)ヒドロカルビル、及び脂肪族(C16‐C17)ヒドロカルビルから選択される。
【0071】
本発明の様々な実施形態において、Rは、脂肪族(C17‐C20)ヒドロカルビル、脂肪族(C17‐C19)ヒドロカルビル、及び脂肪族(C17‐C18)ヒドロカルビルから選択される。
【0072】
本発明の様々な実施形態において、Rは脂肪族(C18‐C20)ヒドロカルビル又は脂肪族(C18‐C19)ヒドロカルビルである。
【0073】
本発明の様々な実施形態において、Rは脂肪族(C19‐C20)ヒドロカルビルである。
【0074】
本発明の様々な実施形態において、Rは、脂肪族(C20)ヒドロカルビル、脂肪族(C19)ヒドロカルビル、脂肪族(C18)ヒドロカルビル、脂肪族(C17)ヒドロカルビル、脂肪族(C16)ヒドロカルビル、脂肪族(C15)ヒドロカルビル、場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C14)ヒドロカルビル、場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C13)ヒドロカルビル、場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C12)ヒドロカルビル、場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C11)ヒドロカルビル、場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C10)ヒドロカルビル、場合によりフェニル基で置換された脂肪族(C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C)ヒドロカルビル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C)ヒドロカルビル、及び場合により1又は2個のフェニル基で置換された脂肪族(C)ヒドロカルビルから選択される。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C20)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C19)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C18)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C17)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C16)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C15)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C14)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C13)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C12)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C11)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C10)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、及び場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキルから選択される。
【0076】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C20)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C19)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C18)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C17)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C16)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C15)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C14)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C13)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C12)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C11)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C10)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、及び場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキルから選択される。
【0077】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C20)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C19)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C18)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C17)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C16)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C15)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C14)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C13)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C12)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C11)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C10)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキルから選択される。
【0078】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C20)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C19)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C18)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C17)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C16)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C15)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C14)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C13)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C12)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C11)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C10)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、及び場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキルから選択される。
【0079】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C20)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C19)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C18)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C17)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C16)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C15)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C14)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C13)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C12)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C11)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C10)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、及び場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキルから選択される。
【0080】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C20)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C19)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C18)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C17)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C16)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C15)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C14)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C13)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C12)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C11)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C10)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、及び場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキルから選択される。
【0081】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C20)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C19)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C18)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C17)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C16)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C15)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C14)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C13)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C12)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C11)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C10)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキル、及び場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキルから選択される。
【0082】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C20)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C19)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C18)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C17)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C16)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C15)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C14)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C13)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C12)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C11)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C10)アルキル、及びRが20個以下の炭素を含むという条件で場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C‐C)アルキルから選択される。
【0083】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C‐C20)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C‐C19)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C‐C18)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C‐C17)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C‐C16)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C‐C15)アルキル、場合によりフェニル基で置換された(C‐C14)アルキル、場合によりフェニル基で置換された(C‐C13)アルキル、場合によりフェニル基で置換された(C‐C12)アルキル、場合によりフェニル基で置換された(C‐C11)アルキル、及び場合によりフェニル基で置換された(C‐C10)アルキルから選択される。
【0084】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C10‐C20)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C10‐C19)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C10‐C18)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C10‐C17)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C10‐C16)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C10‐C15)アルキル、場合によりフェニル基で置換された(C10‐C14)アルキル、場合によりフェニル基で置換された(C10‐C13)アルキル、場合によりフェニル基で置換された(C10‐C12)アルキル、及び場合によりフェニル基で置換された(C10‐C11)アルキルから選択される。
【0085】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C11‐C20)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C11‐C19)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C11‐C18)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C11‐C17)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C11‐C16)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C11‐C15)アルキル、場合によりフェニル基で置換された(C11‐C14)アルキル、場合によりフェニル基で置換された(C11‐C13)アルキル、及び場合によりフェニル基で置換された(C11‐C12)アルキルから選択される。
【0086】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C12‐C20)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C12‐C19)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C12‐C18)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C12‐C17)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C12‐C16)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C12‐C15)アルキル、場合によりフェニル基で置換された(C12‐C14)アルキル、及び場合によりフェニル基で置換された(C12‐C13)アルキルから選択される。
【0087】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C13‐C20)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C13‐C19)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C13‐C18)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C13‐C17)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C13‐C16)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C13‐C15)アルキル、及び場合によりフェニル基で置換された(C13‐C14)アルキルから選択される。
【0088】
本発明の様々な実施形態において、Rは、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C14‐C20)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C14‐C19)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C14‐C18)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C14‐C17)アルキル、Rが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C14‐C16)アルキル、及びRが20個以下の炭素を含むという条件で場合によりフェニル基で置換された(C14‐C15)アルキルから選択される。
【0089】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C15‐C20)アルキル、(C15‐C19)アルキル、(C15‐C18)アルキル、(C15‐C17)アルキル、及び(C15‐C16)アルキルから選択される。
【0090】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C16‐C20)アルキル、(C16‐C19)アルキル、(C16‐C18)アルキル、及び(C16‐C17)アルキルから選択される。
【0091】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C17‐C20)アルキル、(C17‐C19)アルキル、及び(C17‐C18)アルキルから選択される。
【0092】
本発明の様々な実施形態において、Rは(C18‐C20)アルキル又は(C18‐C19)アルキルである。
【0093】
本発明の様々な実施形態において、Rは(C19‐C20)アルキルである。
【0094】
本発明の様々な実施形態において、Rは、(C20)アルキル、(C19)アルキル、(C18)アルキル、(C17)アルキル、(C16)アルキル、(C15)アルキル、場合によりフェニル基で置換された(C14)アルキル、場合によりフェニル基で置換された(C13)アルキル、場合によりフェニル基で置換された(C12)アルキル、場合によりフェニル基で置換された(C11)アルキル、場合によりフェニル基で置換された(C10)アルキル、
場合によりフェニル基で置換された(C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換された(C)アルキル、場合により1又は2個のフェニル基で置換されたエチル、及び場合により1又は2個のフェニル基で置換されたメチルから選択される。
【0095】
本発明の様々な実施形態において、RはCである。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは1でありmは3である(すなわちメチルである)。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは2でありmは5である(すなわちエチルである)。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは3であり、mは3、5、及び7から選択される。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは4であり、mは5、7、及び9から選択される。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは5であり、mは7、9、及び11から選択される。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは6であり、mは5、7、9、11、及び13から選択される。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは7であり、mは7、9、11、13、及び15から選択される。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは8であり、mは5、7、9、11、13、15、及び17から選択される。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは9であり、mは7、9、11、13、15、17、及び19から選択される。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは10であり、mは7、9、11、13、15、17、19、及び21から選択される。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは11であり、mは9、11、13、15、17、19、21、及び23から選択される。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは12であり、mは7、9、11、13、15、17、19、21、23、及び25から選択される。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは13であり、mは9、11、13、15、17、19、21、23、25、及び27から選択される。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは14であり、mは9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、及び29から選択される。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは15であり、mは11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、及び31から選択される。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは16であり、mは9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、及び33から選択される。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは17であり、mは11、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、及び35から選択される。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは18であり、mは11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、及び37から選択される。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは19であり、mは13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、及び39から選択される。上記実施形態のうちいくつかにおいて、nは20であり、mは11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、及び41から選択される。
【0096】
いくつかの実施形態において、Rは、n‐プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n‐ブチル、1‐メチルプロピル、2‐エチルブチル、1‐メチル‐2‐エチルブチル、2‐メチルプロピル、tert‐ブチル、2‐メチルシクロプロピル、1‐メチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル(すなわち、
【化5】
)、n‐ペンチル、1‐メチルブチル、2‐メチルブチル、3‐メチルブチル、1‐エチルプロピル、1,2‐ジメチルプロピル、1,1‐ジメチルプロピル、2,2‐ジメチルプロピル、シクロブチルメチル(すなわち、
【化6】
)、2‐(シクロプロピル)エチル(すなわち、
【化7】
)、シクロペンチル、n‐ヘキシル、1‐メチルペンチル、2‐メチルペンチル、3‐メチルペンチル、4‐メチルペンチル、1,1‐ジメチルブチル、1,2‐ジメチルブチル、1,3‐ジメチルブチル、2,3‐ジメチルブチル、2,2‐ジメチルブチル、3,3‐ジメチルブチル、1,1,2‐トリメチルプロピル、1,2,2‐トリメチルプロピル、3‐(シクロプロピル)プロピル(すなわち、
【化8】
)、2‐(シクロブチル)エチル(すなわち、
【化9】
)、シクロペンチルメチル(すなわち、
【化10】
)、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、2‐シクロヘキシルエチル、ジシクロヘキシルメチル、n‐オクチル、ベンジル、ジフェニルメチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、ヘキサデカ‐9‐エニル、オクタデシル、オクタデカ‐9‐エニル、オクタデカ‐9,12‐ジエニル、2‐プロピルペンチル、2‐ブチルヘキシル、2‐ペンチルヘプチル、2‐ヘキシルオクチルから選択される。
【0097】
本明細書中で使用されるように、また当業者ならば理解するであろうように、「化合物」について述べる場合は、明らかにさらに限定されるのでない限り、その化合物の塩を含むように意図される。
【0098】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、その対イオンが薬学的に許容可能な無毒な酸及び塩基に由来している塩を指す。本発明のアミノ置換化合物の塩に適した薬学的に許容可能な酸としては、例えば酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシル酸)、安息香酸、ホウ酸、ラク酸、ショウノウ酸、カンファースルホン酸、炭酸、クエン酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、エチレンジアミン四酢酸、ギ酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフチレンスルホン酸、硝酸、オレイン酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、ピバル酸、ポリガラクツロン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、テオクラティック(teoclatic)、p‐トルエンスルホン酸などが挙げられる。本発明のカルボン酸置換化合物に適した薬学的に許容可能な塩基付加塩としては、限定するものではないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛から作られた金属塩、又はリジン、アルギニン、N,N’‐ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N‐メチルグルカミン)、及びプロカインから作られた有機塩が挙げられる。さらなる薬学的に許容可能な塩には、適切な場合、無毒なアンモニウムカチオン、並びにカルボン酸、スルホン酸及びホスホン酸アニオンが1~20個の炭素原子を有するアルキルに結合したものが挙げられる。
【0099】
本発明の化合物が放射性同位体で標識された形態で存在してもよいこと、すなわち化合物が自然界に通常見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を含む1以上の原子を含んでもよいことは、認識されるであろう。別例として、単一構造の複数の分子が、自然界に見られる同位体存在比とは異なる同位体存在比で存在する少なくとも1つの原子を含んでいてもよい。水素、炭素、リン、フッ素、塩素及びヨウ素の放射性同位体には、それぞれH、H、11C、13C、14C、15N、35S、18F、36Cl、125I、124I及び131Iが挙げられる。これらの放射性同位体及び/又は他の原子の他の放射性同位体を含む化合物は、本発明の範囲内にある。化合物の代謝的安定性を改善するためには重水素が使用されており、原理をこれらの化合物に適用することができることは、当業者には認識されている。放射性同位体のトリチウムすなわちH、及び炭素14すなわち14Cは、調製が容易であり可検出性であることから特に好ましい。同位体11C、13N、15O、124I、及び18Fを含む化合物は陽電子放射断層撮影法に良く適している。本発明の式I及びIIの放射性同位体標識化合物及びそのプロドラッグは、概して当業者に良く知られた方法により調製可能である。好都合には、そのような放射性同位体標識化合物は、容易に入手可能な放射性同位体標識試薬を放射性同位体標識されていない試薬の代わりに用いることにより、実施例及びスキームに開示した手法を実施して調製することができる。
【0100】
本発明には様々な形の実施形態が可能であるが、本発明の好ましい実施形態について示す。しかし当然ながら、本開示は、本発明の原理の例示として見なされるべきであって、本発明を例証した実施形態に限定するようには意図されていない。審査の際に、特許請求の範囲に記載されたある種類のもの(genus)のうち、そこに属するある一定の構成物(member)は、本願において本発明者らに対する特許付与は認められないとされるかもしれない。この場合、その後出願人の特許請求の範囲の中からある特定のもの(species)を排除することは、特許審査の人為結果であって本発明者らの発明の構想又は説明を反映するものではないとみなされるべきであり;その発明は、ある種類のもの(genus)Iの、未だ公となっていない構成物(member)を全て包含する。
【0101】
「対象者」又は「その必要のある対象者」という用語は本明細書中で互換的に使用される。これらの用語は、治療すべき原因疾患を有すると診断された患者を指す。対象者は、その疾患に関連した症状を現在経験している場合もあれば、過去に症状を経験している場合もある。加えて、「その必要のある対象者」は、たとえその疾患の診断がなされていなかったとしても、特定の疾患を発症する危険性を有する患者、又は疾患の生理学系(physiological systems)のうち1以上を訴えている患者であってもよい。非限定的な例として、「その必要のある対象者」は、本願の目的に関しては、現在癲癇と診断されているか若しくは過去に癲癇と診断された、又は現在の総体的症状にかかわらず癲癇発作の危険性を有している対象者を含むことができる。
【0102】
本明細書中で使用されるように、「治療(treatment)」又は「治療すること(treating)」という用語は互換的に使用される。これらの用語は、有益な結果又は所望の結果、例えば限定するものではないが治療的有益性を得るための手法を指す。治療的有益性には、治療される原因疾患の根除又は軽減が含まれ;さらに、患者が依然としてその原因疾患に罹患しているとしても患者に改善が観察されるような、該原因疾患に関連した症状のうち1以上の根除又は軽減が含まれる。
【0103】
本明細書中に記載された化合物は、癲癇、及び疼痛を治療するのに有用である。「癲癇を治療する」という場合、この用語は発作及び痙攣の症状の軽減を包含する。「疼痛を治療する」という場合、この用語は、神経障害性の疼痛、化学療法誘発性の疼痛、背部痛、骨痛、腹痛、術後疼痛、外傷性の疼痛、生理痛、筋肉痛、関節痛、頭痛、偏頭痛、歯痛、誘発痛、及び炎症による疼痛の軽減を包含する。
【0104】
[化合物の化学合成]
概して、本発明の化合物は、容易に入手可能な出発物質、試薬及び従来の合成手順を使用して、例えば下記に記載されるような一般的な反応スキームに例証される方法により、又はその改良法により、調製可能である。これらの反応において、それ自体は既知であるが本明細書中では言及されていない変形物を利用することも可能である。出発物質は、市販されているか、実施例に記載されるようにして合成されるか、又は当業者に良く知られた方法によって得られてもよい。有機分子の調製並びに官能基の変換及び操作のための標準的な合成方法及び手順は、関連科学文献又は当分野の標準的な教科書から容易に得ることができる。当然ながら、典型的又は好ましい反応行程条件(すなわち反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられる場合には;別段の定めのないかぎり他の反応行程条件が使用されることも可能である。最適な反応条件は、使用される特定の反応物又は溶媒に応じて様々となりうる。当業者であれば、提示された合成ステップの性質及び順序は、記載された化合物の形成を最適化する目的で変化させることができることを認識するであろう。有機化学者が用いる略語の総合リストはJournal of Organic Chemistryの各巻の初号に掲載されている。典型的には「略語の標準リスト(Standard List of Abbreviations)」と題した表中に提示される上記リストには、以下の略語リストに無い略語の定義が提供されている。
℃ 摂氏温度
ACN アセトニトリル
Cl 塩化物
CsCO 炭酸セシウム
DCC N,N’‐ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM ジクロロメタン又は塩化メチレン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4‐ジメチルアミノピリジン又はN,N‐ジメチルアミノピリジン
DMF N,N‐ジメチルホルムアミド
EDC N‐(3‐ジメチルアミノプロピル)‐N’‐エチルカルボジイミド塩酸塩
eq. 当量
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
ESI エレクトロスプレーイオン化
g グラム
HATU 1‐[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]‐1H‐1,2,3‐トリアゾロ[4,5‐b]ピリジニウム3‐オキシドヘキサフルオロホスファート
HBTU 2‐(1H‐ベンゾトリアゾール‐1‐イル)‐1,1,3,3‐テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート
HCl 塩酸
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
h 時間
I ヨウ化物
LC/MS 液体クロマトグラフィー質量分析
LDA リチウムジイソプロピルアミド
LiHMDS リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
CO 炭酸カリウム
KHMDS カリウムビス(トリメチルシリル)アミド
KMnO 過マンガン酸カリウム
M モル濃度
μm ミクロン
MeOH メタノール
mg ミリグラム
min 分
mL ミリリットル
mmol ミリモル
N 規定濃度
NaCO 炭酸ナトリウム
NaH 水素化ナトリウム
NaHCO 炭酸水素ナトリウム
NaHMDS ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド
NaOH 水酸化ナトリウム
NMR 核磁気共鳴
OMs メシラート
OTf トリフラート
OTs トシラート
Pd/C パラジウム炭素
Ph フェニル
psi ポンド毎平方インチ
PyBOP (ベンゾトリアゾール‐1‐イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート
Ru/C ルテニウム炭素
TBTU 2‐(1H‐ベンゾトリアゾール‐1‐イル)‐1,1,3,3‐テトラメチルアミニウムテトラフルオロボラート
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TMS‐I ヨードトリメチルシラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
【0105】
官能性について「保護する」、「脱保護する」及び「保護された」という専門用語が本願全体を通じて用いられる。そのような専門用語は当業者にはよく理解されており、一連の試薬を用いた連続処理を伴う反応工程の文脈において使用される。その文脈では、保護基とは、反応が生じることは望ましくないがそのままでは官能基が反応するであろう反応行程ステップにおいて、その官能基をマスキングするために使用される基を指す。保護基はそのステップにおいて反応を防止するが、その後除去されて元の官能基を露出させることができる。除去すなわち「脱保護」は、その官能基が妨げとなる1又は複数の反応が完了した後に行われる。よって、本明細書中に記載された反応行程におけるように一連の試薬が指定されたとき、当業者は「保護基」として適切であろう基を容易に想定することができる。その目的に適した基は、T.W. Greene及びP.G.M. Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, John Wiley and Sons, New York, 1999のような化学分野の標準的な教科書において議論されている。
【0106】
保護基及びその略語のリスト:
アセチル(Ac)
アシラール
カルボアリルオキシ(Alloc)
ベンゾイル(Bz)
ベンジル(Bn、Bnl)
ベンジルエステル
カルバマート
カルボベンジルオキシ(Cbz)
ジメトキシトリチル、[ビス‐(4‐メトキシフェニル)フェニルメチル](DMT)
ジチアン
エトキシエチルエーテル(EE)
フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)
メトキシメチルエーテル(MOM)
メトキシトリチル[(4‐メトキシフェニル)ジフェニルメチル]、MMT)
メチルエーテル
メチル(Me)
メチルエステル
メチルチオメチルエーテル
オルトエステル
オキサゾリン
ピバロイル(Piv)
フタルイミド
p‐メトキシベンジルカルボニル(Moz又はMeOZ)
p‐メトキシベンジル(PMB)
p‐メトキシフェニル(PMP)
プロパルギルアルコール
シリル基(例えばトリメチルシリル(TMS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリ‐イソ‐プロピルシリルオキシメチル(TOM)及びトリイソプロピルシリル(TIPS))
シリルエステル
tert‐ブチルエステル
tert‐ブチルオキシカルボニル(Boc又はtBoc)
テトラヒドロピラニル(THP)
トシル(Ts又はTos)
クロロギ酸トリクロロエチル(Troc)
トリメチルシリルエトキシメチル(SEM)
トリチル(トリフェニルメチル、Tr)
β‐メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)
(4‐ニトロフェニル)スルホニル又は(4‐ニトロフェニル)(ジオキシド)‐ラムダ(6)‐スルファニル(Nosyl)
2‐シアノエチル
2‐ニトロフェニルスルフェニル(Nps)
3,4‐ジメトキシベンジル(DMPM)
2,2,4,6,7‐ペンタメチルジヒドロベンゾフラン‐5‐スルホニル(Pbf)
【0107】
I. 総括的な化学合成の部
本発明の化合物は、一般的な合成スキームに例証される方法及び以下に詳述される実験手順を使用して調製される。これらの一般的な合成スキーム及び実験手順は例証を目的として提示されており、限定するようには意図されていない。本発明の化合物を調製するために使用される出発物質は、市販されているか、又は当分野で既知の定型的な方法を使用して調製可能である。記載のある場合、化合物の名前は、ケムアクソン(ChemAxon)のデスクトップ用のInstantJChem v6.1及びIUPAC Namingのプラグインを使用して作成した。
【0108】
中間体化合物I、V、及びVIIIは、過去に文献(米国特許第5,284,957号明細書(B. Huff “Excitatory amino acid receptor antagonists.”, 1994);米国特許第5,648,492号明細書(A. M. Brian Arnoldら, “Process for preparing isoquinoline compounds.”, 1997);Paul L. Ornsteinら, “(3SR,4aRS,6RS,8aRS)-6-[2-(1H-tetrazol-5-yl)ethyl)] decahydroisoquinoline-3-carboxylic Acid: A Structurally Novel, Systemically Active, Competitive AMPA Receptor Antagonist.”, J. Med. Chem., (米), 1993, Vol, 36, p. 2046-2048;Paul L. Ornsteinら, “Syntheses of Oxodecahydroisoquinoline-3-carboxylates. Useful Intermediates for the Preparation of Conformationally Defined Excitatory Amino Acid Antagonists.”, J. Org. Chem., (米), 1991, Vol. 56, p. 4388-4392)に記載されたプロトコールを使用して作製される。
【0109】
スキーム1は、ケトンIから所望の化合物IVを作製するための一般的な合成スキームを例証する。ステップ1では、カルバミン酸メチルで保護されたカルボキシル酸Iが室温のヨードトリメチルシランで、又は別例として90℃の6N塩酸で処理されて、カルバミン酸メチル保護基が除去されケトンアミノ酸IIが得られる。化合物IIを塩基性条件(例えば2NのNaOH水溶液、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなど)にてクロロギ酸ベンジル(Cbz)、二炭酸ジtert‐ブチル(Boc)、又は類似の試薬と反応させて、カルバミン酸で保護されたカルボキシル酸IIIを得る。化合物IIIをエステル化してケトンカルバマートエステルIVを作製する。いくつかの方法が可能であって、該方法は(1)化合物IIIが、塩基性条件(例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N‐4‐ジメチルアミノピリジンなど)の下でカップリング試薬(例えばN,N’‐ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、EDC、HBTU、HATU、PyBOPなど)を使用してアルコール(HO‐R1)でエステル化される方法、(2)化合物IIIが、塩基性条件(例えばNaOH、NaH、NaCO、KCO、CsCO、NaHCOなど)の下で活性化アルカン(X‐R1、式中のX=OTf、OTs、OMs、I、Br、及びCl)でアルキル化される方法、並びに(3)化合物IIIが、光延条件(例えばジエチルアゾジカルボキシラート及びトリフェニルホスフィン(triphenylphosine)、又は同様の試薬)を使用してアルコール(HO‐R1)でエステル化される方法である。
【0110】
≪スキーム1. ケトンIからのケトンカルバマートエステルIVの一般的な合成≫
【化11】
【0111】
スキーム2は、ケトンエステルVから所望の化合物IIIを作製するための一般的な合成スキームを例証している。ステップ1では、カルバミン酸メチルで保護されたエチルエステルVが室温にてヨードトリメチルシランで処理されて、カルバミン酸メチル保護基が除去されアミノエステルVIが得られる。エチルエステルVIは、塩基性条件(例えば2NのNaOH水溶液、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなど)の下で、クロロギ酸ベンジル(Cbz)、二炭酸ジtert‐ブチル(Boc)、又は塩基性条件で安定だがカルバミン酸メチルよりも容易に除去可能な同様の保護基と反応せしめられて、カルバマートで保護されたエチルエステルVIIが得られる。次に化合物VIIは、標準的な水性の塩基性条件(例えばアルコール溶媒又は同様の水性混和性有機溶媒中の2NのNaOH水性溶液)の下で加水分解されて、カルバマートで保護された酸IIIが得られる。次に化合物IIIはスキーム1に記載されるようにしてエステル化され、ケトンカルバマートエステルIVが作製される。
【0112】
≪スキーム2. ケトンエステルVからのケトンカルバマート酸IIIの一般的な合成≫
【化12】
【0113】
スキーム3は、保護されたケトンカルバマートエステルIVから所望の化合物IXを作製するための一般的な合成スキームを例証している。テトラゾールのウィッティヒ試薬VIII(過去にB. Huffの米国特許第5,284,957号明細書に記載されたようにして作製)を強塩基性条件(例えばLiHMDS、NaHMDS、LDAなど)の下で脱プロトン化し、ケトンIVと反応させてオレフィン化合物IXを作製した。
【0114】
≪スキーム3. ケトンカルバマートエステルIVからのオレフィン化合物IXの一般的な合成≫
【化13】

スキーム4は、保護されたオレフィンIXから所望の化合物Xを作製するための一般的な合成スキームを例証している。IXの遊離基ヒドロフルオロ化によりフッ素化カルバマートエステルXの混合物が得られる(Timothy J. Barker及びDale L. Boger, “Fe(III)/NaBH4-Mediated Free Radical Hydrofluorination of Unactivated Alkenes.”, J. Am. Chem. Soc., (米), 2012, Vol. 134, No. 33, p.13588-13591)。異性体を結晶化又はクロマトグラフィーによって分離して、異性体的に純粋なフッ素化カルバマートエステルXを得ることができる。加えて、別例のヒドロフルオロ化条件、例えば、限定するものではないがKHSO‐13HF複合体を使用するプロトコール(Zhichao Lu, Xiaojun Zeng, Gerald B. Hammond, 及びBo Xu, “Widely Applicable Hydrofluorination of Alkenes via Bifunctional Activation of Hydrogen Fluoride.”, J. Am. Chem. Soc., (米), 2017, Vol. 139, p.18202-18205)、フッ素コバルト複合体を使用するプロトコール(Hiroki Shigehisa, Eriko Nishi, Mayu Fujisawa, 及びKou Hiroya, “Cobalt-Catalyzed Hydrofluorination of Unactivated Olefins: A Radical Approach of Fluorine Transfer.”, Org. Lett., (米), 2013, Vol. 15, No. 20, 5158)、超酸のHF/SbF5を使用するプロトコール(Sebastien Thibaudeau, Agnes Martin-Mingot, Marie-Paule Jouannetaud, Omar Karamb, 及びFabien Zuninob, “A novel, facile route to beta-fluoroamines by hydrofluorination using superacid HF/SbF5.”, Chem. Commun., (英), 2007, Vol. 31, p.98)並びにHF‐ピリジンを使用するプロトコール(George A. Olah及びMichael Watkins, “Fluorinations With Pyridinium Polyhydrogen Fluoride.”, Org. Synth., 1978, Vol. 58, p.75)を使用することが可能である。
【0115】
≪スキーム4. オレフィンIXからのフッ化カルバマートエステルXの一般的合成≫
【化14】
【0116】
スキーム5は、フッ化カルバマートエステルXからフッ化エステルアミンプロドラッグIXを作製するための一般的な合成スキームを例証している。カルバマート保護基は、確立された公開プロトコール(例えば、Cbzについては水素気体及びPd/C触媒、BocについてはTFA条件又は4N HCl、などを使用する水素化)を使用して除去される。異性体を結晶化又はクロマトグラフィーによって分離して、異性体的に純粋なフッ化エステルアミンXIを得ることができる。
【0117】
≪スキーム5. フッ化カルバマートエステルXからのフッ化エステルアミンプロドラッグXIの一般的合成≫
【化15】

スキーム6は、フッ化アミノエステルXIから所望のフッ化アミノ酸化合物1を作製するための一般的な合成スキームを例証している。エステルを、標準的な水性塩基性条件(例えば2NのNaOH水溶液又はアルコール溶媒又は同様の水性混和性有機溶媒中の2NのNaOH水性溶液)の下で加水分解して、フッ化アミノ酸XIIが得られる。
【0118】
≪スキーム6. フッ化デカヒドロイソキノリンアミノ酸XIIの一般的合成≫
【化16】

最終的な精製及び単離によりフッ化デカヒドロイソキノリンアミノ酸1及び2が得られる。
【化17】
【0119】
II. 実験化学合成の部
化学試薬は全て市販のものを購入し、それ以上精製することなく使用した。反応は必要条件に従って空気/窒素雰囲気下にて行った。カラムクロマトグラフィーはシリカゲル60(230~400メッシュ)で実施し、分析用TLCはシリカゲルコーティングされたプレート上で実施した。TLCプレートは、セリウムモリブデン酸アンモニウム(CAM)、p‐アニスアルデヒド(Anis)、過マンガン酸カリウム(KMnO)、又はニンヒドリン染色液を用いて染色した。通常のH NMRスペクトルを、溶媒として酸化重水素、クロロホルム‐d又はメタノール‐dを使用し、ブルカー(Bruker)の300MHz又はバリアン(Varian)の300MHzの装置を使用して記録した。HPLCスペクトルは、アジレント(Agilent)の1100シリーズHPLCを使用して、Zorbax SB‐C18(4.6×150mm)カラムを用いて8.5分間で5%B→95%Bのグラジエント溶離(移動相A:0.05%HClO水溶液;移動相B:アセトニトリル)及び205nmでのUV検出とするか、又は、ウォーターズ(Waters)のSunfire C18(4.6×75mm、3.5μm、品番186002552)カラムを用いて8.6分間で5%B→95%B(移動相A:0.1%TFA水溶液;移動相B:0.1%TFAアセトニトリル溶液)のグラジエント溶離及び全波長でのUV検出として、記録した。質量分析は、アドビオン(Advion)のExpressionCMS(登録商標)(ESI)又はアジレント(ヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)1100シリーズMSD)を、MassLynx(商標)インターフェース(ESI:正イオンモード若しくは負イオンモード)又はウォーターズ29996、Micromass(登録商標)ZQと共に使用して実施した(ESI:正イオンモード若しくは負イオンモード)。分取逆相クロマトグラフィーは、ウォーターズのSunfire C18 OBD分取用カラム(30×150mmカラム、10μm、品番186002670)を備えたギルソン(Gilson)のシステムを使用して実施した。場合によっては、テレダイン・イスコ(Teledyne ISCO)のCombiFlash(登録商標)システムを使用して順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーを実施した。
【0120】
≪エチル(3S,4aS,8aR)‐6‐オキソ‐デカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシラート(I-01)の調製≫
【化18】

3‐エチル2‐メチル(3S,4aS,8aR)‐6‐オキソ‐デカヒドロイソキノリン‐2,3‐ジカルボキシラート(35.42g、125mmol)の塩化メチレン(600mL)中の溶液(窒素雰囲気下)に、ヨードトリメチルシラン(100g、500mmol)を室温で1度に添加した。反応混合物を一晩撹拌し、エタノール(250mL)で反応停止した。該溶液を真空下で濃縮し、減圧下で3時間乾燥させて所望の粗製アミノエステルI-01を黄橙色の固形物(43gの粗製物)として得て、これを精製せずに直接次のステップに使用した。 1H NMR (300.13 MHz, CD3OD) δ 4.31 (q, J = 5.3 Hz, 2H), 4.17 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 3.31-3.21 (m, 1H), 3.14 (dd, J = 9.6, 3.2 Hz, 1H), 2.21 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 2.13-2.08 (m, 2H), 2.00 (dt, J = 10.1, 3.1 Hz, 1H), 1.88-1.69 (m, 4H), 1.58 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 1.40-1.35 (m, 1H), 1.32 (t, J = 5.3 Hz, 3H) ppm.
スケールアップバッチ:3‐エチル2‐メチル(3S,4aS,8aR)‐6‐オキソ‐デカヒドロイソキノリン‐2,3‐ジカルボキシラート(74.4g、262.6mmol)の塩化メチレン(1200mL)中の溶液(窒素雰囲気下)に、ヨードトリメチルシラン(200g、1.0mol)を室温で1度に添加した。反応混合物を一晩撹拌し、エタノール(280mL)で反応停止した。該溶液を真空下で濃縮し、減圧下で3時間乾燥させて所望の粗製アミノエステルI-01を黄橙色の固形物(90.5gの粗製物)として得て、これをさらに精製することなく直接使用した。
【0121】
<ケトンカルバマートエステルIVの合成>
≪2‐ベンジル3‐エチル(3S,4aS,8aR)‐6‐オキソ‐デカヒドロイソキノリン‐2,3‐ジカルボキシラート(I‐02)の調製≫
【化19】

塩化メチレン(50mL)中のI‐01(粗製、6.25mmol)のスラリーに、トリエチルアミン(3.5mL、25.1mmol)を5~10℃で添加し、該混合物を窒素雰囲気下で10分間撹拌した。クロロギ酸ベンジル(1.12mL、7.62mmolを5~10℃で徐々に添加した。該混合物を室温に暖めて2~3時間撹拌した(反応をTLC及びKMnO染色によってモニタリングした)。該混合物を3N HClでpH3~4に調整し、酢酸エチル(50mL)で希釈した。層を分離させ、有機質層を合わせて塩水(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で濃縮した。結果として生じた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0%→40%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、I‐02を淡黄色の油状物として得た(2.12g、収率94%)。 1H NMR (300.13 MHz, CDCl3) δ 7.36-7.27 (m, 5H), 5.14 (d, J = 24.6, 14.1 Hz, 2H), 4.92 (dd, J = 41.3, 8.3 Hz, 1H), 4.22-4.14 (m, 2H), 4.02 (dd, J = 22.5, 13.5 Hz, 1H), 3.27 (ddd, J = 34.5, 13.5, 3.0 Hz, 1H), 2.59 (dd, J = 16.5, 6.0 Hz, 1H), 2.38-1.65 (m, 9H), 1.26 (t, J = 7.2 Hz, 1.5H), 1.21 (t, J = 7.2 Hz, 1.5H) ppm.
【0122】
≪2‐tert‐ブチル3‐エチル(3S,4aS,8aR)‐6‐オキソ‐デカヒドロイソキノリン‐2,3‐ジカルボキシラート(I‐03)の調製≫
【化20】

先の反応で得た粗製のI‐01(125mmol)を塩化メチレン(600mL)に溶解し、トリエチルアミン(60.7mL、435mmol)を添加した。15分間撹拌した後、二炭酸ジtert‐ブチル(32.7g、150mmol)の塩化メチレン(100mL)中の溶液を添加した。結果として生じた混合物を室温で一晩撹拌し、次いで真空下で濃縮した。得られた固形物を酢酸エチル(300mL)に懸濁させてフィルタ処理した。濾液を1N HCl(60mL)及び塩水(100mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、フィルタ処理し、真空下で濃縮した。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0%→25%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、I‐03を無色の油状物(30.0g、収率74%)として得た。 1H NMR (300.13 MHz, CDCl3) δ 4.82 (dd, J = 65.0, 3.9 Hz, 1H), 4.17-4.14 (m, 2H), 3.90 (dd, J = 27.9, 10.2 Hz, 1H), 3.15 (dd, J = 39.7, 10.1 Hz, 1H), 2.56 (dd, J = 10.7, 4.3 Hz, 1H), 2.41-2.30 (m, 2H), 2.16-1.97 (m, 5H), 1.95-1.78 (m, 1H), 1.75-1.65 (m, 1H), 1.42 (s, 4.5H), 1.40 (s, 4.5H), 1.23 (t, J = 4.3 Hz, 3H) ppm.
スケールアップバッチ:先の反応で得た粗製のI‐01(393.9mmol)を塩化メチレン(1.8L)に溶解し、トリエチルアミン(219.3mL、1573mmol)を添加した。15分間撹拌した後、二炭酸ジtert‐ブチル(343.3g、1573mmol)の塩化メチレン(300mL)中の溶液を添加した。結果として生じた混合物を室温で一晩撹拌し、次いで真空下で濃縮した。得られた固形物を酢酸エチル(900mL)に懸濁させてフィルタ処理した。濾液を1N HCl(180mL)及び塩水(100mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、フィルタ処理し、真空下で濃縮した。得られた無色の油状物(151gの粗製物、定量的収率)はそれ以上精製せずに直接使用した。
【0123】
≪(3S,4aS,8aR)‐2‐[(tert‐ブトキシ)カルボニル]‐6‐オキソ‐デカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシル酸(I‐04)の調製≫
【化21】

I‐03(35.2g、108mmol)のTHF(100mL)中の溶液に、2N NaOH(486mL、972mmol)を窒素雰囲気下にて室温で添加した。該溶液を24時間室温で撹拌し、次いで真空下で濃縮してほとんどのTHFを除去した。水性層をMTBE(3×150mL)で抽出して有機不純物を除去し、1N HClで酸性化してpH~2とし、酢酸エチル(4×300mL)で抽出した。有機質層を合わせて塩水(250mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で濃縮してI‐04を白色の泡状固形物として得た(24.9g、収率78%)。 1H NMR (300.13 MHz, CDCl3) δ 4.92 (d, J = 58.3 Hz, 1H), 3.95 (dd, J = 29.7, 10.1 Hz, 1H), 3.21 (dd, J = 32.9, 10.2 Hz, 1H), 2.61 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 2.42-1.71 (m, 9H), 1.46 (s, 4.5H), 1.44 (s, 4.5H) ppm.
スケールアップバッチ:I‐03(粗製物151g、393.9mmol)のTHF(360mL)中の溶液に、2N NaOH(1772mL、3545mmol)を窒素雰囲気下にて室温で添加した。該溶液を24時間室温で撹拌し、次いで真空下で濃縮してほとんどのTHFを除去した。水性層をMTBE(3×250mL)で抽出して有機不純物を除去し、1N HClで酸性化してpH~2とし、酢酸エチル(4×600mL)で抽出した。有機質層を合わせて塩水(500mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で濃縮してI‐04を白色の泡状固形物として得た(122gの粗製物、定量的収率)。
【0124】
≪(3S,4aS,8aR)‐2‐[(tert‐ブトキシ)カルボニル]‐6‐オキソ‐デカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシル酸(I‐05)の調製≫
【化22】

I‐04(24.9g、83.7mmol)のDMF(110mL)中の溶液に、固体のNaHCO(49.4g、588mmol)及び3‐(ヨードメチル)ペンタン(23.33g、110mmol)を窒素雰囲気下にて室温で添加し、該混合物を35~40℃で4時間撹拌した。反応をHPLCによってモニタリングし、反応の完了後、混合物をフィルタ処理し、固形物をアセトニトリル(400mL)で洗浄した。有機質層を合わせて濃縮し、得られた粗製の残留物を酢酸エチル(500mL)に再溶解した。該溶液を水(300mL)、塩水(300mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0%→40%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、I‐05を赤色の半固形物(高純度のもの15.2g、収率49%、純度の劣るもの3.5g、収率11%)。 1H NMR (300.13 MHz, CDCl3) δ 4.86 (d, J = 63.5 Hz, 1H), 4.16-3.97 (m, 2.5H), 3.88 (d, J = 10.1 Hz, 0.5H), 3.15 (dd, J = 31.3, 9.8 Hz, 1H), 2.58 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 2.35 (m, 2H), 2.18-1.48 (m, 8H), 1.44 (m, 9H), 1.40-1.30 (m, 4H), 0.87 (m, 6H) ppm.
スケールアップバッチ:I‐04粗製物(426.8mmol)のDMF(500mL)中の溶液に、固体のNaHCO(231.6g、2.76mmol)及び3‐(ヨードメチル)ペンタン(159.7g、754.5mmol)を窒素雰囲気下にて室温で添加し、該混合物を35~40℃で3日間撹拌した。反応をHPLCによってモニタリングし、反応の完了後、混合物をフィルタ処理し、固形物をアセトニトリル(1.5L)で洗浄した。有機質層を合わせて濃縮し、得られた粗製の残留物を酢酸エチル(2L)に再溶解した。該溶液を水(500mL)、塩水(500mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で濃縮して粗製生成物I‐05を赤色の半固形物(92.6g、収率57%)として得て、それ以上精製せずに直接使用した。
【0125】
≪2‐tert‐ブチル3‐ノニル(3S,4aS,8aR)‐6‐オキソ‐デカヒドロイソキノリン‐2,3‐ジカルボキシラート(I‐06)の調製≫
【化23】

I‐04(0.5mmol)のDMF(2.0mL)中の溶液に、NaHCO(3.5mmol)及び1‐ヨードノナン(1.3mmol)を窒素雰囲気下にて室温で添加し、該混合物を室温で24時間撹拌する。反応物をHPLCによってモニタリングし、反応の完了後に水(30mL)の中に注ぎ入れて酢酸エチル(2×30mL)で抽出する。有機質層を合わせて硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で濃縮する。結果として生じる残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン)により精製してI‐06を得る。
【0126】
≪3‐(2R)‐ブタノ‐2‐イル2‐tert‐ブチル(3S,4aS,8aR)‐6‐オキソ‐デカヒドロイソキノリン‐2,3‐ジカルボキシラート(I‐07)の調製≫
【化24】

I‐04(0.5mmol)及び(2R)‐ブタノール(0.6mmol)のジクロロメタン(1.0mL)中の混合物に、DCC(0.6mmol)及びDMAP触媒を窒素雰囲気下にて添加する。該混合物を室温で18時間撹拌し、TLC又はHPLCでモニタリングする。完了したらアセトニトリル(10mL)を添加して該混合物を5~10分間撹拌する。固形沈殿物を焼結ガラス漏斗によるフィルタ処理で取り除き、該固形物をアセトニトリル(10mL)で洗浄する。濾液を真空下で濃縮し、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン)により精製してI‐07を得る。
【0127】
<オレフィン化合物IXの合成>
≪2‐ベンジル3‐エチル(3S,4aR,6E,8aR)‐6‐[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチリデン]‐デカヒドロイソキノリン‐2,3‐ジカルボキシラート(I‐08)の調製≫
【化25】

トリフェニル[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチル]ホスファニウム臭化物塩(VIII、9.09g、20.7mmol)及びケトン(I‐02、6.2g、17.25mmol)の無水DMF(50mL)中の溶液に、THF中の2.0M NaHMDS(24.15mL、48.3mmol)を窒素雰囲気下にて0℃~-10℃で添加した。添加の間、反応物の内部温度を0℃に維持した。該混合物をこの温度で30分間撹拌し、次いで室温になるまで放置した。室温で18時間撹拌した後、混合物を氷冷した塩水溶液(120mL)で徐々に反応停止させ、MTBE(7×250mL)で抽出してトリフェニルホスフィンオキシドを一部除去した。3N HClを使用して水性層のpHをpH2に調整し、酢酸エチル(4×250mL)で抽出した。有機質層を合わせて水(2×200mL)、塩水(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10%→60%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、I‐08を高純度の白色の泡状固形物(2.0g、収率26%)及びより純度の低い黄色油状物(2.0g、収率26%)として得た。 1H NMR (299.96 MHz, CDCl3) δ 7.38-7.27 (m, 5H), 5.50 (t, J = 6.7 Hz, 0.5H), 5.32 (dt, J = 21.5, 6.4 Hz, 0.5H), 5.23-5.14 (m, 1.5H), 5.06 (d, J = 12.9 Hz, 0.5H), 4.89 (d, J = 27.0 Hz, 1H), 4.17 (q, J = 6.8 Hz, 2H), 3.95-3.87 (m, 1H), 3.76-3.69 (m, 2H), 3.25 (d, J = 14.3 Hz, 0.5H), 3.15 (d, J = 12.9 Hz, 0.5H), 2.65 (d, J = 12.6 Hz, 0.5H), 2.47 (d, J = 13.8 Hz, 0.5H), 2.34 (d, J = 13.2 Hz, 0.5H), 2.24 (d, J = 11.4 Hz, 0.5H), 2.08-1.65 (m, 6H), 1.62-1.47 (m, 2H), 1.20 (d, J = 7.8 Hz, 3H) ppm.
【0128】
≪2‐tert‐ブチル3‐エチル(3S,4aR,8aR)‐6‐[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチリデン]‐デカヒドロイソキノリン‐2,3‐ジカルボキシラート(I‐09)の調製≫
【化26】

トリフェニル[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチル]ホスファニウム臭化物塩(VIII、6.16g、14.0mmol)及びケトン(I‐03、3.8g、11.7mmol)の無水DMF(35mL)中の溶液に、THF中の2.0M NaHMDS(16.4mL、32.8mmol)を窒素雰囲気下にて0℃~-10℃で添加した。添加の間、反応物の内部温度を0℃に維持した。該混合物をこの温度で30分間撹拌し、次いで室温になるまで放置した。室温で18時間撹拌した後、混合物を氷冷した塩水溶液(50mL)で徐々に反応停止させ、MTBE(8×60mL)で抽出してトリフェニルホスフィンオキシドを一部除去した。3N HClを使用して水性層のpHをpH2に調整し、酢酸エチル(4×250mL)で抽出した。有機質層を合わせて水(2×200mL)、塩水(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で濃縮してI‐09を赤色の油状物として得た(6.1g、粗製)。 1H NMR (300.13 MHz, CDCl3) δ 5.37 (m, 1H), 4.82 (dd, J = 48.5, 3.5 Hz, 0.5H), 4.77 (d, J = 45.5 Hz, 0.5H), 4.21-4.18 (m, 2H), 3.87-3.78 (m, 1H), 3.25-3.12 (m, 3H), 2.49-2.47 (m, 1.5H), 2.34 (d, J = 13.1 Hz, 0.5H), 2.1.0-1.60 (m, 8H), 1.54-1.46 (m, 9H), 1.30-1.22 (m, 3H) ppm.
【0129】
≪2‐tert‐ブチル3‐(2‐エチルブチル)(3S,4aR,8aR)‐6‐[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチリデン]‐デカヒドロイソキノリン‐2,3‐ジカルボキシラート(I‐10)の調製≫
【化27】

テトラゾールのウィッティヒ塩(VIII、23.37g、53.2mmol)及びケトン(I‐04、16.9g、44.3mmol)の無水DMF(150mL)中の溶液に、THF中の2.0M NaHMDS(62mL、124mmol)を窒素雰囲気下にて0℃~-10℃で添加した。添加の間、反応物の内部温度を0℃に維持した。該混合物をこの温度で30分間撹拌し、次いで室温になるまで放置した。室温で2時間撹拌した後、混合物を10%塩水溶液(200mL)で徐々に反応停止させ、MTBE(4×300mL)で抽出してトリフェニルホスフィンオキシドを一部除去した。3N HClを使用して水性層のpHをpH2に調整し、酢酸エチル(4×300mL)で抽出した。有機質層を合わせて水(2×150mL)、塩水(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0%→50%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、I‐10を泡状固形物(13.1g、収率64%、高純度)及び淡黄色の半固形物(2.6g、収率13%、低純度)として得た。 1H NMR (299.96 MHz, CDCl3) δ 5.55 (t, J = 7.0 Hz, 0.4H), 5.38 (dt, J = 20.3, 16.8 Hz, 0.6H), 4.84 (d, J = 46.8 Hz, 1H), 4.09-4.00 (m, 2H), 3.89-3.73 (m, 3H), 3.14-3.03 (m, 1H), 2.69 (t, J = 10.6 Hz, 0.6H), 2.49 (dd, J = 13.6, 6.1 Hz, 0.4H), 2.34 (d, J = 13.5 Hz, 0.6H), 2.31-2.21 (m, 0.4H), 2.09 (d, J = 14.7 Hz, 1H), 2.01 (t, J = 11.7 Hz, 1H), 1.90-1.75 (m, 4H), 1.65-1.40 (m, 3H), 1.45 (s, 9H), 1.40-1.26 (m, 5H), 0.91-0.85 (m, 6H) ppm.
【0130】
スケールアップバッチ:テトラゾールのウィッティヒ塩(VIII、121.8g、277.3mmol)及び粗製のケトン(I‐04、88g、230.7mmol)の無水DMF(670mL)中の溶液に、THF中の2.0M NaHMDS(323.3mL、646.6mmol)を窒素雰囲気下にて0℃~-10℃で添加した。添加の間、反応物の内部温度を0℃に維持した。該混合物をこの温度で30分間撹拌し、次いで室温になるまで放置した。室温で2時間撹拌した後、混合物を10%塩水溶液(500mL)で徐々に反応停止させ、MTBE(2×400mL)で抽出してトリフェニルホスフィンオキシドを一部除去した。3N HClを使用して水性層のpHをpH2に調整し、酢酸エチル(4×1L)で抽出した。有機質層を合わせて水(2×1L)、塩水(500mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0%→50%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、I‐10を泡状固形物として得た(51.6g、収率49%)。
【0131】
<フッ化カルバマートエステルXの合成>
≪2‐ベンジル3‐エチル(3S,4aS,8aR)‐6‐フルオロ‐6‐[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチル]‐デカヒドロイソキノリン‐2,3‐ジカルボキシラート(I‐11)の調製≫
【化28】

500mLの三つ口フラスコを窒素注入口、温度プローブ、及び冷却浴とともに準備した。水(85mL)をフラスコ内に入れ、続いて硝酸鉄(III)九水和物(Fe(NO・9HO(1.46g、3.04mmol)を入れて、該混合物を溶解するまで撹拌した(溶液A)。アセトニトリル(85mL)を500mLの丸底フラスコに入れ、続いてI‐08(667mg、1.517mmol)及びSelectfluor(登録商標)(1.61g、4.55mmol)を入れて、該混合物を溶解するまで撹拌した(溶液B)。溶液Bを溶液Aに入れ、同時に22~25℃で撹拌した。透明な黄色の溶液が観察され、該溶液のpHを測定するとpH2であった。窒素吹込み法を使用して該反応物を10分間脱気し、該混合物を-10℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(591.2mg)を固体状態で4回に分けて5~10分かけて投入した。該混合物を-10℃で2時間撹拌し、次いで該混合物を22~25℃に暖め、HPLCでモニタリングしながら5時間撹拌を続けた。該混合物を、ロータリーエバポレータを使用して真空下で濃縮してアセトニトリルを除去した。この混合物に、撹拌しつつ温度を25℃未満に維持しながら1N HCl(110mL)を添加してpH2に調整した。該溶液を酢酸エチル(4×100mL)で抽出した。有機質層を水(2×100mL)及び塩水(100mL)で洗浄し、該溶液を硫酸ナトリウムで脱水し、ロータリーエバポレータを使用して真空下で濃縮して粗製生成物を得た(690mg、100%)。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0%→6%メタノール/ジクロロメタン)によって精製し、I‐11を白色の泡状固形物として得た(590mg、収率85%)。 1H NMR (299.96 MHz, CDCl3) δ 7.35-7.26 (m, 5H), 5.25-5.09 (m, 2H), 4.93 (dd, J = 24.9, 5.4 Hz, 0.6H), 4.62 (m, 0.4H), 4.21-4.10 (m, 2H), 4.00 (t, J = 11.2 Hz, 0.6H), 3.61 (dd, J = 12.9, 6.6 Hz, 0.4H), 3.43 (dd, J = 13.5, 3.6 Hz, 0.4H), 3.27 (t, J = 14.5 Hz, 0.6H), 3.17-3.05 (m, 2H), 2.39-1.36 (m, 12H), 1.27-1.21 (m, 3H) ppm.
【0132】
≪2‐tert‐ブチル3‐エチル(3S,4aS,8aR)‐6‐フルオロ‐6‐[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチル]‐デカヒドロイソキノリン‐2,3‐ジカルボキシラート(I‐12)の調製≫
【化29】

3Lの三つ口フラスコを窒素注入口、温度プローブ、及び冷却浴とともに準備した。水(1.0L)をフラスコ内に入れ、続いて硝酸鉄(III)九水和物(Fe(NO・9HO、44.17g、109.34mmol)を入れて、該混合物を溶解するまで撹拌した(溶液A)。アセトニトリル(1.0L)を2Lの丸底フラスコに入れ、続いてI‐09(14.3g、35.27mmol)及びSelectfluor(登録商標)(38.73g、109mmol)を入れて、該混合物を溶解するまで撹拌した(溶液B)。溶液Bを溶液Aに入れ、同時に22~25℃で撹拌した。透明な黄色の溶液が観察され、該溶液のpHを測定するとpH2であった。窒素吹込み法を使用して該反応物を30分間脱気し、該混合物を-10℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(13.34g、353mmol)を固体状態で10回に分けて10~15分かけて投入した。該混合物を-10℃で2時間撹拌し、次いで該混合物を22~25℃に暖め、HPLCでモニタリングしながら5時間撹拌を続けた。該混合物を、ロータリーエバポレータを使用して真空下で濃縮してアセトニトリルを除去した。この混合物に、撹拌しつつ温度を25℃未満に維持しながら1N HCl(500mL)を添加し、該混合物をpH2に調整した。該溶液を酢酸エチル(4×500mL)で抽出した。有機質層を合わせて水(2×500mL)及び塩水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ロータリーエバポレータを使用して真空下で濃縮して粗製生成物を得た(13.5g、90%)。生じた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0%→70%酢酸エチル/ヘプタン)によって精製し、ジアステレオマーの混合物としてI‐12を白色の泡状固形物として得た(11.36g、収率76%)。 1H NMR (299.962 MHz, CDCl3) δ 4.86 (dd, J = 51.3, 5.1 Hz, 0.5H), 4.49 (t, J = 5.1 Hz, 0.5H), 4.25-4.14 (m, 2H), 3.90 (t, J = 15.0 Hz, 0.5H), 3.47 (dd, J = 13.3, 7.3 Hz, 0.5H), 3.37 (dd, J = 13.2, 4.8 Hz, 0.5H), 3.22-3.14 (m, 2H), 3.14-3.04 (m, 0.5H), 2.34-1.53 (m, 12H), 1.49-1.46 (m, 9H), 1.27 (t, J = 6.8 Hz, 3H) ppm.
【0133】
≪2‐tert‐ブチル3‐(2‐エチルブチル)(3S,4aS,8aR)‐6‐フルオロ‐6‐[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチル]‐デカヒドロイソキノリン‐2,3‐ジカルボキシラート(I‐13)の調製≫
【化30】

2Lの三つ口フラスコを窒素注入口、温度プローブ、及び冷却浴とともに準備した。水(400mL)をフラスコ内に入れ、続いて硝酸鉄(III)九水和物(Fe(NO・9HO、34.2g、84.63mmol)を入れて、該混合物を溶解するまで撹拌した(溶液A)。アセトニトリル(400mL)を1Lの丸底フラスコに入れ、続いてI‐10(12.6g、27.3mmol)及びSelectfluor(登録商標)(30g、84.63mmol)を入れて、該混合物を溶解するまで撹拌した(溶液B)。溶液Bを溶液Aに入れ、同時に22~25℃で撹拌した。透明な黄色の溶液が観察され、該溶液のpHを測定するとpH2であった。窒素吹込み法を使用して該反応物を30分間脱気し、該混合物を-10℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(10.33g、273mmol)を固体状態で10回に分けて10~15分かけて投入した。該混合物を-10℃で2時間撹拌し、次いで該混合物を22~25℃に暖め、HPLCでモニタリングしながら5時間撹拌を続けた。該混合物を、ロータリーエバポレータを使用して真空下で濃縮してアセトニトリルを除去した。この混合物に、撹拌しつつ温度を25℃未満に維持しながら1N HCl(~300mL)を添加し、該混合物をpH2に調整した。該溶液を酢酸エチル(3×350mL)で抽出した。有機質層を合わせて水(400mL)及び塩水(300mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ロータリーエバポレータを使用して真空下で濃縮して粗製生成物を得た。生じた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0%→50%酢酸エチル/ヘプタン)によって精製し、ジアステレオマーの混合物としてI‐13を白色の泡状固形物として得た(8.03g、収率61%)。 1H NMR (299.96 MHz, CDCl3) δ 5.55 (t, J = 7.0 Hz, 0.4H), 5.38 (dt, J = 20.3, 16.8 Hz, 0.6H), 4.84 (d, J = 46.8 Hz, 1H), 4.09-4.00 (m, 2H), 3.89-3.73 (m, 3H), 3.14-3.03 (m, 1H), 2.69 (t, J = 10.6 Hz, 0.6H), 2.49 (dd, J = 13.6, 6.1 Hz, 0.4H), 2.34 (d, J = 13.5 Hz, 0.6H), 2.31-2.21 (m, 0.4H), 2.09 (d, J = 14.7 Hz, 1H), 2.01 (t, J = 11.7 Hz, 1H), 1.90-1.75 (m, 4H), 1.65-1.40 (m, 3H), 1.45 (s, 9H), 1.40-1.26 (m, 5H), 0.91-0.85 (m, 6H) ppm.
【0134】
スケールアップバッチ:5Lの三つ口フラスコを窒素注入口、温度プローブ、及び冷却浴とともに準備した。水(1.5L)をフラスコ内に入れ、続いて硝酸鉄(III)九水和物(Fe(NO・9HO、72.3g、178.96mmol)を入れて、該混合物を溶解するまで撹拌した(溶液A)。アセトニトリル(1.5L)を3Lの丸底フラスコに入れ、続いてI‐10(26.6g、57.9mmol)及びSelectfluor(登録商標)(63.4g、178.96mmol)を入れて、該混合物を溶解するまで撹拌した(溶液B)。溶液Bを溶液Aに入れ、同時に22~25℃で撹拌した。透明な黄色の溶液が観察され、該溶液のpHを測定するとpH2であった。窒素吹込み法を使用して該反応物を30分間脱気し、該混合物を-10℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(21.8g、576.2mmol)を固体状態で10回に分けて10~15分かけて投入した。該混合物を-10℃で2時間撹拌し、次いで該混合物を22~25℃に暖め、HPLCでモニタリングしながら5時間撹拌を続けた。該混合物を、ロータリーエバポレータを使用して真空下で濃縮してアセトニトリルを除去した。この混合物に、撹拌しつつ温度を25℃未満に維持しながら1N HCl(~640mL)を添加し、該混合物をpH2に調整した。該溶液を酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。有機質層を合わせて水(500mL)及び塩水(500mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ロータリーエバポレータを使用して真空下で濃縮して粗製生成物を得た。生じた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0%→50%酢酸エチル/ヘプタン)によって精製し、ジアステレオマーの混合物としてI‐13を白色の泡状固形物として得た(21.7g、収率61%)。
【0135】
≪(3S,4aS,8aR)‐2‐[(ベンジルオキシ)カルボニル]‐6‐フルオロ‐6‐[2‐(2H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチル]‐デカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシル酸(I‐14)の調製≫
【化31】

化合物I‐11(0.59g、1.28mmol)を9:1のエタノール‐水(2.0mL)に溶解し、2N NaOH(5.3mL)を添加した。該混合物を室温で4時間撹拌した。該反応物を水(50mL)で希釈し、MTBE(50mL)で抽出して有機不純物を除去した。水性層を6N HClで酸性化してpH~2とした。該混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、塩水(50mL)で洗浄した。有機質層を合わせて硫酸ナトリウムで脱水し、ロータリーエバポレータを使用して真空下で濃縮し、粗製生成物I‐14を白色固形物として得た(435mg、収率79%)。該粗製生成物はそれ以上精製せずに次のステップに直接使用した。
【0136】
≪(3S,4aS,8aR)‐2‐[(tert‐ブトキシ)カルボニル]‐6‐フルオロ‐6‐[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチル]‐デカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシル酸(I‐15)の調製≫
【化32】

化合物I‐12(185mg、0.435mmol)を9:1のエタノール‐水(1.0mL)に溶解し、2N NaOH(2.5mL)を添加した。該混合物を室温で4時間撹拌した。該反応物を水(50mL)で希釈し、MTBE(50mL)で抽出して有機不純物を除去した。水性層を6N HClで酸性化してpH~2とした。該混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、塩水(50mL)で洗浄した。有機質層を合わせて硫酸ナトリウムで脱水し、ロータリーエバポレータを使用して真空下で濃縮して粗製生成物(183mg)を得たが、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(イスコのグラジエントシステム、0%→10%メタノール‐ジクロロメタンを使用)により精製してI‐15を油状物として得た(143mg、収率83%)。この材料をその後のステップに直接使用した。
【0137】
≪2‐ベンジル3‐シクロヘキシル(3S,4aS,8aR)‐6‐フルオロ‐6‐[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチル]‐デカヒドロイソキノリン‐2,3‐ジカルボキシラート(I‐16)の調製≫
【化33】

化合物I‐14(51.5mg、0.12mmol)及びシクロヘキサノール(14.4mg、0.144mmol)をジクロロメタン(1mL)に溶解した。該混合物にジイソプロピルカルボジイミド(20mg、0.16mmol)及び4‐ジメチルアミノピリジン触媒(5mg、0.04mmol)を窒素雰囲気下で添加し、反応物を室温で16~18時間撹拌した。反応をHPLCによってモニタリングし、完了次第アセトニトリル(1mL)を添加して該混合物を5~10分間撹拌した。固形沈殿物を焼結ガラス漏斗によるフィルタ処理で取り除き、該固形物をアセトニトリル(5mL)で洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(0%→5%メタノール/ジクロロメタン)により精製してI‐16を無色の油状物として得た(40.4mg、収率66%)。 1H NMR (299.96 MHz, CDCl3) δ 7.35-7.27 (m, 5H), 5.23-5.07 (m, 2H), 4.95-4.50 (m, 2H), 3.97 (t, J = 12.3 Hz, 0.4H), 3.89-3.73 (m, 0.4H), 3.61 (dd, J = 13.6, 6.7 Hz, 0.4H), 3.40 (dd, J = 12.9, 4.2 Hz, 0.3H), 3.32-3.20 (m, 0.5H), 3.16-3.05 (m, 2H), 2.34-1.65 (m, 13H), 1.51-1.25 (m, 8H), 1.16 (d, J = 6.3 Hz, 1H) ppm.
【0138】
≪2‐ベンジル3‐オクチル(3S,4aS,8aR)‐6‐フルオロ‐6‐[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチル]‐デカヒドロイソキノリン‐2,3‐ジカルボキシラート(I‐17)の調製≫
【化34】

化合物I‐14(54.8mg、0.127mmol)及び1‐オクタノール(20mg、0.153mmol)をジクロロメタン(1.0mL)に溶解した。該混合物にジシクロヘキシルカルボジイミド(35mg、0.168mmol)及び4‐ジメチルアミノピリジン触媒(5mg、0.037mmol)を窒素雰囲気下で添加し、反応物を室温で16~18時間撹拌した。反応をHPLCによってモニタリングし、完了したら固形沈殿物を焼結ガラス漏斗によるフィルタ処理で取り除き、該固形物をアセトニトリル(5mL)で洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(0%→5%メタノール/ジクロロメタン)により精製してI‐17を無色の油状物として得た(40.2mg、収率58%)。 1H NMR (299.96 MHz, CDCl3) δ 7.40-7.25 (m, 5H), 5.25-5.10 (m, 2H), 4.94 (d, J = 25.5 Hz, 0.65H), 4.65 (s, 0.35H), 4.10-3.95 (m, 3H), 3.70-3.60 (m, 1H), 3.45-3.20 (m, 1H), 3.19-3.05 (m, 2H), 2.35-1.56 (m, 24H), 0.87 (m, 3H) ppm.
【0139】
<フッ化エステルアミンプロドラッグXIの合成>
≪エチル(3S,4aS,6S,8aR)‐6‐フルオロ‐6‐[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチル]‐デカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシラート(3)の調製≫
【化35】

化合物I‐12(4.14g、9.73mmol)を7:1のジオキサン‐アニソール(57mL、0.17M)に溶解し、4N HCl/ジオキサン(10当量、24mL)で処理した。室温で1時間後、反応をHPLCにより確認したところ、反応が完了していないことが示された。さらに4N HCl(5当量、12mL)を添加し、室温で撹拌し続けた。1時間後、HPLCにより反応が完了していないことが示されたので、さらに4N HCl(5当量、12mL)を添加した。30分後、HPLCはまたも反応の未完を示したので、さらに4N HCl(2当量、5mL)を添加した。反応は4時間後に完了した。溶液から過剰なHClを取り除くため反応物中に窒素ガスを吹込み、次いで真空下にて溶媒を体積の半分まで部分的に蒸発させた。ヘキサンを添加してHCl塩を沈殿させ、上清を廃棄した。残留物をジオキサン(2mL)でトリチュレーションし、ヘキサン(2mL)を添加して所望の生成物のHCl塩を完全に沈殿させた。残留物を真空下で乾燥させて、粗製生成物3(3.48g、収率99 3%)をフッ化ジアステレオマー異性体の混合物として得た。該残留物をSFCクロマトグラフィー(分析用SFC法 ― カラム:4.6×100mm、Chromegabond Ethyl Pyridine(イーエスインダストリーズ(ES Industries)、米国ニュージャージー州ウエストベルリン);溶媒A:CO、溶媒B:0.1%トリエチルアミンを含むメタノール;グラジエント法:4分間かけてBを5%→65%、Bを65%に1分間保持、4mL/分で初期条件に戻る;システム圧:125バール;カラム温度:40℃;試料希釈剤:メタノール;保持時間(3):2.07分;保持時間(C6‐F‐異性体):1.06分。分取用SFC法 ― カラム:3.0×25.0cm、2‐Ethylpyridine(プリンストン・クロマトグラフィー・インコーポレイテッド(Princeton Chromatography Inc.)、米国ニュージャージー州プリンストン);溶媒A:CO、溶媒B:0.5%トリエチルアミンを含むメタノール;アイソクラティック法:25%溶媒B、100g/分;システム圧:100バール;カラム温度:25℃;試料希釈剤:0.5%トリエチルアミンを含むメタノール)により精製し、3を半固形物(414mg、異性体純度96.2%)として得た。この材料を、ギルソンの逆相クロマトグラフィー(5%→50%の0.1%TFA含有アセトニトリル‐0.1%TFA水溶液、次いで5%→95%アセトニトリル‐水)によりさらに精製して試験を行うための純粋化合物を得た。 1H NMR (299.96 MHz, CD3OD) δ 4.31 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.04 (dd, J = 12.9, 3.9 Hz, 1H), 3.20 (t, J = 13.0 Hz, 1H), 3.09 (dd, J = 12.7, 4.3 Hz, 1H), 3.00 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 2.33-2.42 (m, 1H), 2.15-1.90 (m, 7H), 1.84-1.65 (m, 3H), 1.57-1.45 (m, 1H), 1.32 (t, J = 7.2 Hz, 3H) ppm. 19F NMR (282.22 MHz, CD3OD) δ -160.70 (m, uncorrected, TFA reference -76.97) ppm. Mass Analysis (ES+) = 326.24 [M+H] (Formula: C15H24FN5O2, Exact Mass: 325.19).
【0140】
≪2‐エチルブチル(3S,4aS,6S,8aR)‐6‐フルオロ‐6‐[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチル]‐デカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシラート(4)の調製≫
【化36】

I‐13(2.2g、4.57mmol)の無水THF(15mL)中の溶液に、4N HCl/ジオキサン(11.4mL、45.7mmolを撹拌しながら室温で添加した。室温で4時間撹拌した後、反応が完了したことがHPLCにより示された。過剰なHClを取り除くため反応混合物中に窒素ガスを吹込み、溶媒を真空下にて体積の半分まで部分的に蒸発させた。該混合物を1:1のMTBE‐ヘプタン(15mL)で希釈すると油性層が分離し、これをトリチュレーションして上清を廃棄した。油状残留物を1:1のMTBE‐ヘプタン(15mL)で再度トリチュレーションして脂肪親和性の不純物をさらに除去し、上清を廃棄した。油状残留物を真空下に置いて残存溶媒を除去し、粗製生成物を白色固形物かつフッ化ジアステレオマーの混合物として得て、これを高真空下でさらに乾燥させて一定重量とした(1.6gの粗製物、収率84%)。残留物をSFCクロマトグラフィー(分析用SFC法 ‐ カラム:4.6×100mm、Chiralpak(登録商標)IC SFC(キラルテクノロジーズ(Chiral Technologies)、米国ペンシルベニア州ウェストチェスター);溶媒A:CO、溶媒B:0.1%トリエチルアミンを含むエタノール;グラジエント法:5%→65%溶媒B、4mL/分で4分間;システム圧:125バール;カラム温度:40℃;試料希釈剤:エタノール;SFC保持時間(4):3.40分;分取用SFC法 ‐ カラム:2.1×25.0cm、Chiralpak IC(キラルテクノロジーズ、米国ペンシルベニア州ウェストチェスター);溶媒A:CO、溶媒B:0.25%トリエチルアミンを含むエタノール;アイソクラティック法:40%溶媒B、70g/分;システム圧:100バール;カラム温度:25℃;試料希釈剤:0.25%トリエチルアミンを含むエタノール)によって精製し、4を高粘度の無色の油状物(異性体純度96.9%)として得た。この材料を、ギルソンの逆相クロマトグラフィー(15%→60%の0.1%TFA含有アセトニトリル‐0.1%TFA水溶液、次いで10%→98%アセトニトリル‐水)によりさらに精製して試験を行うための純粋化合物を得た。 1H NMR (299.96 MHz, CD3OD) δ 4.21 (ddd, J = 20.6, 10.9, 5.6 Hz, 2H), 4.07 (dd, J = 12.6, 4.2 Hz, 1H), 3.19 (t, J = 13.0 Hz, 1H), 4.07 (dd, J = 12.6, 4.2 Hz, 1H), 2.98 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 2.33-2.42 (m, 1H), 2.13-1.90 (m, 6H), 1.84-1.65 (m, 3H), 1.60-1.30 (m, 7H), 0.93 (t, J = 7.2 Hz, 6H) ppm. 19F NMR (282.22 MHz, CD3OD) δ -160.46 (m, uncorrected, TFA reference -76.95) ppm. Mass Analysis (ES+) = 282.23 [M+H] (Formula: C19H32FN5O2, Exact Mass: 381.25).
【0141】
スケールアップバッチ:I‐13(21.7g、45.06mmol)の無水THF(15mL)中の溶液に、4N HCl/ジオキサン(112.5mL、450.0mmolを撹拌しながら室温で添加した。室温で4時間撹拌した後、反応が完了したことがHPLCにより示された。過剰なHClを取り除くため反応混合物中に窒素ガスを吹込み、溶媒を真空下にて体積の半分まで部分的に蒸発させた。該混合物を1:1のMTBE‐ヘプタン(150mL)で希釈すると油性層が分離し、これをトリチュレーションして上清を廃棄した。油状残留物を1:1のMTBE‐ヘプタン(150mL)で再度トリチュレーションして脂肪親和性の不純物をさらに除去し、上清を廃棄した。油状残留物を真空下に置いて残存溶媒を除去し、粗製生成物を白色固形物かつフッ化ジアステレオマーの混合物として得て、これを高真空下でさらに乾燥させて一定重量とした(14gの粗製物、収率75%)。残留物をSFCクロマトグラフィー(分析用SFC法 ‐ カラム:4.6×100mm、Chiralpak IC SFC(キラルテクノロジーズ、米国ペンシルベニア州ウェストチェスター);溶媒A:CO、溶媒B:0.1%水酸化アンモニウムを含むエタノール;グラジエント法:5%→65%溶媒B、4mL/分で4分間;システム圧:125バール;カラム温度:40℃;試料希釈剤:エタノール;SFC保持時間(4):2.90分;分取用SFC法1 ‐ カラム:2.1×25.0cm、Chiralpak IC(キラルテクノロジーズ、米国ペンシルベニア州ウェストチェスター);溶媒A:CO、溶媒B:0.25%水酸化アンモニウムを含むエタノール;アイソクラティック法:35%溶媒B、70g/分;システム圧:100バール;カラム温度:25℃;試料希釈剤:0.25%水酸化アンモニウムを含むエタノール;分取用SFC法2 ‐ カラム:2.0×25.0cm、PVA‐Sil(YMC、米国ペンシルベニア州アレンタウン);溶媒A:CO、溶媒B:0.25%水酸化アンモニウムを含むエタノール;アイソクラティック法:50%溶媒B、80g/分;システム圧:100バール;カラム温度:25℃;試料希釈剤:0.25%水酸化アンモニウムを含むエタノール)によって精製した。次いで所望のジアステレオマー画分を逆相クロマトグラフィー(カラム:19×50mmのXBridge OBD Prep C18 5μm、0.1%水酸化アンモニウムを含む5%アセトニトリル‐95%水で2分間、次に3分間で0.1%水酸化アンモニウムを含む5%→95%アセトニトリル‐水;流速:25mL/分;カラム温度:40℃;試料希釈剤:2:1:1のエタノール:アセトニトリル:水)によってさらに精製した。所望の画分を回転式蒸発により35℃で濃縮した。乾燥した材料を1:1のアセトニトリル:水に再溶解し、該溶液を回転式蒸発により濃縮してアセトニトリルを除去し、次いで凍結及び凍結乾燥して4を白色固形物として得た(2.42g、純度90%、97.8%ee)。
【0142】
≪2‐エチルブチル(3S,4aS,6R,8aR)‐6‐フルオロ‐6‐[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチル]‐デカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシラート(5)の調製≫
【化37】

化合物4を得るためのSFCクロマトグラフィーによってC6‐F‐異性体5(SFC保持時間:3.04分)も高粘度の無色油状物として得た(異性体純度97.9%)。この材料を、ギルソンの逆相クロマトグラフィー(15%→60%の0.1%TFA含有アセトニトリル‐0.1%TFA水溶液、次いで10%→98%アセトニトリル‐水)によりさらに精製して試験を行うための純粋化合物を得た。 1H NMR (299.96 MHz, CD3OD) δ 4.30-4.25 (m, 2H), 4.18 (dd, J = 10.9, 5.5 Hz, 1H), 3.35-3.27 (m, 2H), 3.09 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 2.28-1.94 (m, 7H), 1.86-1.69 (m, 5H), 1.59 (p, J = 6.1 Hz, 1H), 1.46-1.36 (m, 4H), 0.94 (t, J = 7.3 Hz, 6H) ppm.
【0143】
≪シクロヘキシル(3S,4aS,6S,8aR)‐6‐フルオロ‐6‐[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチル]‐デカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシラート(6)の調製≫
【化38】

化合物I‐16(100mg、0.2mmol)をTHF(20mL)に溶解し、10%Pd/C(100mg)を添加した。この混合物について、水素パージサイクル(真空、開放、及び水素で52psiまで加圧)を3回行って脱気した。該混合物を水素下で一晩撹拌し、次いでHPLCによりモニタリングした。該混合物をCelite(登録商標)でフィルタ処理し、THF(20mL)で洗浄し、濾液を真空下で濃縮した。残留物をTHF(20mL)に溶解し、新たな10%Pd/C触媒(100mg)を添加し、続いて先述のような水素パージサイクルを行った。該混合物を水素下で一晩撹拌し、HPLCによりモニタリングした。該混合物をCelite(登録商標)でフィルタ処理し、THF(100mL)で洗浄し、濾液を真空下で濃縮した。粗製生成物をギルソンの逆相クロマトグラフィー(20%→60%の0.1%TFA含有アセトニトリル‐0.1%TFA水溶液)により精製し、6をTFA塩(17.0mg、第2のピーク)及びC6‐F‐異性体TFA塩(21.7mg、第1のピーク)として得た。所望の異性体をギルソンの逆相クロマトグラフィー(10%→98%アセトニトリル‐水)によってさらに精製し、試験を行うための純粋化合物6を得た。 1H NMR (299.96 MHz, CD3OD) δ 4.89-4.94 (m, 1H), 4.01 (dd, J = 12.9, 3.9 Hz, 1H), 3.17 (t, J = 12.7 Hz, 1H), 3.06 (dd, J = 13.0, 4.6 Hz, 1H), 2.98 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 2.33-2.42 (m, 1H), 1.97-2.15 (m, 5H), 1.83-1.96 (m, 3H), 1.64-1.82 (m, 5H), 1.25-1.62 (m, 8H) ppm. 19F NMR (282.22 MHz, CD3OD) δ -160.20 (m, uncorrected, TFA reference -76.97) ppm. Mass Analysis (ES+) = 380.19 [M+H] (Formula: C19H30FN5O2, Exact Mass: 379.24).
【0144】
≪オクチル(3S,4aS,6S,8aR)‐6‐フルオロ‐6‐[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチル]‐デカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシラート(7)の調製≫
【化39】

化合物I‐17(40mg、0.074mmol)をTHF(10mL)に溶解し、10%Pd/C(100mg)を添加した。この混合物について、水素パージサイクル(真空、開放、及び水素で52psiまで加圧)を3回行って脱気した。該混合物を水素下で一晩撹拌し、次いでHPLCによりモニタリングした。該混合物をCelite(登録商標)でフィルタ処理し、THF(20mL)で洗浄し、濾液を真空下で濃縮した。残留物をTHF(20mL)に溶解し、新たな10%Pd/C触媒(100mg)を添加し、続いて先のような水素パージサイクルを行った。該混合物を水素下で一晩撹拌し、HPLCによりモニタリングした。該混合物をCelite(登録商標)でフィルタ処理し、THF(100mL)で洗浄し、濾液を真空下で濃縮した。粗製生成物をギルソン(30%→60%の0.1%TFA含有アセトニトリル‐0.1%TFA水溶液)により精製し、7をTFA塩(2.9mg、第2のピーク)及びC6‐F‐異性体TFA塩(4.5mg、第1のピーク)として得た。 1H NMR (299.96 MHz, CD3OD) δ 4.26 (dt, J = 6.6, 1.8 Hz, 2H), 4.10 (dd, J = 12.7, 4.0 Hz, 1H), 3.23 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.17-3.09 (m, 3H), 2.43-2.36 (m, 1H), 2.20-1.93 (m, 1H), 1.89-1.52 (m, 1H), 1.45-1.30 (m, 1H), 0.91 (t, J = 6.9 Hz, 3H) ppm. Mass Analysis (ES+) = 410.17 [M+H] (Formula: C21H36FN5O2, Exact Mass: 409.29).
【0145】
上記プロトコールを使用して、さらなるケトンカルバマートエステルIVを作製し、次にテトラゾールのウィッティヒVIIIと反応させ、フッ化し、脱保護して表1に示されるような新規なフッ化エステルアミンプロドラッグ(XI)を作り出すことが可能である。
[表1:フッ化エステルアミンプロドラッグ(XI)]
【表1】



【0146】
<フッ化デカヒドロイソキノリンアミノ酸XIIの合成>
≪(3S,4aS,6S,8aR)‐6‐フルオロ‐6‐[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチル]‐デカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシル酸(1)の調製≫
【化40】

化合物3(1.29g、3.97mmol)を水(2mL)に溶かした溶液に、2N NaOH(9mL、16.9mmolを窒素雰囲気下にて室温で添加した。この溶液を室温で12時間撹拌し、次いで1N HCl(18.5mL)で反応停止させてpH2~3にpH調整した。該化合物を、樹脂によるキャッチアンドリリース法、Dowex(登録商標)50WX8 200~400メッシュ樹脂(シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)、1.7当量/膨潤mL、14mL)により精製したが、この樹脂を孔隙の粗い焼結ガラス漏斗においてpHが中性になるまで水で洗浄した。樹脂(5mL)を化合物溶液に添加し、該混合物を室温で10分間撹拌した。粗いフリットを備えたカラムに新たな樹脂(9mL)を入れ、該カラムに混合物を静かに移した(全ての樹脂を含む)。樹脂カラムの最上部を綿で覆って層が乱れるのを防止した。溶液をゆっくりと自然に溶出させ、次いで樹脂を水(3×30mL)で洗浄して塩を除去し、1:1のTHF:水(3×30mL)で洗浄して有機不純物を除去し、水(2×30mL)で洗浄し、次に6%水酸化アンモニウム(300mL)で洗浄して所望の化合物を放出させた。画分を集め、所望の化合物を逆相TLCプレート(10%アセトニトリル‐水)のニンヒドリン染色を使用して検出した。所望の画分を合わせて真空下で濃縮し、粗製生成物を得た。粗製生成物を水に溶解して凍結乾燥し、1を白色固形物として得た(1.02g、収率86%)。 1H NMR (299.96 MHz, D2O) δ 3.58 (dd, J = 12.9, 3.9 Hz, 1H), 3.11 (dd, J = 19.2, 12.9 Hz, 1H), 3.08 (s, 1H), 2.97 (dd, J = 8.8, 7.0 Hz, 2H), 2.35-2.28 (m, 1H), 2.14-1.61 (m, 9H), 1.56-1.47 (m, 1H), 1.38 (dtd, J = 42.6, 14.6, 4.6 Hz, 1H) ppm. 19F NMR (282.22 MHz, D2O) δ -157.59 (m, uncorrected) ppm. Mass Analysis (ES+) = 298.12 [M+H] (Formula: C13H20FN5O2, Exact Mass: 297.16).
【0147】
≪(3S,4aS,6R,8aR)‐6‐フルオロ‐6‐[2‐(1H‐1,2,3,4‐テトラゾール‐5‐イル)エチル]‐デカヒドロイソキノリン‐3‐カルボキシル酸(2)の調製≫
【化41】

化合物1を作製するのと同様のプロトコールを使用して、C6‐F‐異性体化合物5をNaOHで加水分解し、樹脂によるキャッチアンドリリース法で精製して2を得た。 1H NMR (299.96 MHz, D2O) δ 3.75 (dd, J = 10.6, 3.4 Hz, 1H), 3.29-3.14 (m, 2H), 2.96 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 2.22 (dt, J = 7.8, 3.6 Hz, 1H), 2.13 (dt, J = 7.8, 3.2 Hz, 1H), 2.10-1.86 (m, 3H), 1.84-1.61 (m, 5H) ppm. 19F NMR (282.22 MHz, D2O) δ -167.27 (uncorrected, TFA reference -75.69) ppm. Mass Analysis (ES+) = 298.26 [M+H] (Formula: C13H20FN5O2, Exact Mass: 297.16).
【0148】
III. in vitro生物学及びin vivo薬理学の材料、方法及び実験データの部
本開示は物質(分子)の化学組成に関し、該分子のAMPA受容体(AMPAR)アンタゴニストとしての又はそのような分子のプロドラッグとしての生物学的かつ薬理学的活性を特性解析する。本開示はさらに、疼痛、痙攣、癇癪発作、癲癇、及び癲癇重積状態の治療のための用途を開示する。
【0149】
加えて、AMPA受容体又はNMDA受容体(イオンチャネル型のグルタミン酸開閉型イオンチャネルとも呼ばれる)のアンタゴニストとしての化合物の生物学的活性を、ラット脳の前頭前皮質の切片における錐体ニューロンのex vivoの機能的電気生理学的アッセイを使用して実施した。参照化合物と比較した試験化合物の効果について、ラット脳切片の前頭前皮質(第V層)錐体ニューロンを使用して、s‐AMPA誘導電流又はNMDA誘導電流をそれぞれホールセルパッチクランプ法で電気生理学的に記録することにより研究した。
【0150】
<脳切片の調製プロトコール>
オスのスプラーグドーリーラットをチャールズ・リバー・ラボラトリーズ(Charles River Laboratories)(米国マサチューセッツ州ウィルミントン)から入手し、1ケージ当たり4匹を収容して制御された温度(20.5~23.5℃)及び湿度(30~80%)の環境で12時間の明/暗サイクルとし、飼料(Teklad Global Soy Protein、カタログ番号T.2920X10、米国インディアナ州インディアナポリスのエンビゴ(Envigo))及び水を自由に得られるようにした。4~6週齢で、ラットにイソフルオラン[(1‐クロロ‐2,2,2‐トリフルオロエチルジフルオロメチルエーテル)、米国イリノイ州ディアフィールドのバクスター・ヘルスケア・コーポレイション(Baxter Healthcare Corp)より供給]を使用して終末麻酔を施し、断頭した。脳を摘出し、300μm厚の冠状断前頭前皮質(PFC)切片又は矢状断海馬切片を、ビブラトーム型ミクロトームを使用して切り出した。脳の摘出後、及び切片作製全体を通じて、組織は氷冷した水性脳脊髄液(aCSF)の中に浸しておいた。切片を切り出したらaCSFが入ったビーカーに移し、電気生理学的記録を開始する前に室温に最低1時間おいた。この時間の後、個々の切片を、実験プロトコールの開始前に、4~6mL/分の速度でaCSFで連続的に灌流した記録用チャンバへ移した。aCSFの組成(単位はmM):95%酸素ガス‐5%COガスで平衡化した水中に、NaCl、127;KCl、1.9;KHPO、1.2;CaCl、2.4;MgCl、1.3;NaHCO、26;D‐グルコース、10(試薬の供給業者は以下に記載)。NMDA電流を調べる実験には、10μMのグリシン(試薬の供給業者は以下に記載)を補足したaCSFを用いた。全ての実験を、動物実験委員会(IACUC)の承認を受けた以下のプロトコールに従って行った。
【0151】
<電気生理学研究のための試薬>
フィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific)(米国ニュージャージー州フェアローン)から供給されたのは、NaCl 製品#S271;KCl 製品#P330;CaCl2 製品#C79;MgCl2 製品#M33;D‐グルコース 製品#D16;HEPES 製品#BP310;スクロース 製品#S5、及びNaHCO3、製品#S233である。ミリポア‐シグマ(Millipore-Sigma)(米国ミズーリ州セントルイス)から供給されたのは、Mg‐ATP 製品#A9187;CsCl 製品#C3032;EGTA‐Na 製品#E4378;GTP 製品#G8877;グリシン 製品#G7126;KOH 製品#417661;及びD‐グルコン酸カリウム 製品#G4500である。イーエムディー・ケミカルズ(EMD Chemicals)(米国ニュージャージー州ギブズタウン)から供給されたのは、KH2PO4 製品#PX1565である。トクリス・アンド・バイオテクネ(Tocris and BioTechne)(英国ブリストル及び米国ミネソタ州ミネアポリス)から供給されたのは、(S)‐アルファ‐アミノ‐3‐ヒドロキシ‐5‐メチル‐4‐イソキサゾールプロピオン酸(s‐AMPA)、製品#0254、及びN‐メチル‐D‐アスパラギン酸(NMDA)、製品#0114である。サーモ・サイエンティフィック(Thermo Scientific)(米国イリノイ州ロックフォード)から供給されたのは、DMSO 製品#20688である。
【0152】
<ラット前頭前皮質脳切片の錐体ニューロンにおけるs‐AMPA又はNMDA誘導電流の電気生理学的記録>
ホールセルパッチクランプ法による記録を、パッチクランプ技法の「可視化」版を使用して、室温で第V層前頭前皮質錐体ニューロンについて実施した。ニューロンは、40×のLUMPlanFl水浸対物レンズが取り付けられたBX51正立顕微鏡(オリンパス(Olympus)、カナダオンタリオ州リッチモンドヒル)を使用して可視化した。この顕微鏡をC2400型CCDカメラ(ハママツ(Hamamatsu)、米国ニュージャージー州ブリッジウォーター)に接続し、画像をVM5516型B/Wモニタ(三洋、大阪府守口市)で観察した。電気生理学的記録は、Multiclamp(商標)700Bパッチクランプ増幅器(モレキュラー・デバイス(Molecular Devices)、米国カリフォルニア州サニーヴェール)を使用し、アナログ信号をDigidata(登録商標)1440a(モレキュラー・デバイス、米国カリフォルニア州サニーヴェール)でデジタル化して得た。パッチピペットは、P‐87Flaming/Brown型マイクロピペットプラー(サッター(Sutter)、米国カリフォルニア州ノヴァト)を使用して、細胞内液で満たされた時に3~8MΩの抵抗を有するGC150TF‐10型の壁薄ホウケイ酸ガラス(ハーバード・アパラタス(Harvard Apparatus)、カナダケベック州サンローラン)から作製した。
【0153】
PFCニューロンの記録に使用した細胞内液の組成は以下の通り(mM):D‐グルコン酸カリウム、140;KCl、10;EGTA‐Na、1;HEPES、10;Mg‐ATP、4、0.3GTPであり、全ての細胞内液においてpH及び浸透圧はそれぞれ水酸化カリウム及びスクロース(上に挙げた試薬供給業者)で補正した。
試験化合物の実験は全てホールセルパッチクランプ技法の電圧固定式の記録構成で行い、全ての記録を-60mVの保持電位電位で実施した。記録は、Axon(商標)pClamp(商標)ソフトウェア(モレキュラー・デバイス、米国カリフォルニア州サニーヴェール)を実行するデル(Dell)のパーソナルコンピュータ(PC)でモニタリングし、10kHzでデジタル化した。
【0154】
<脳切片のニューロンにおける化合物のAMPA受容体生物学的活性アッセイ>
s‐AMPA誘導電流に対するアンタゴニスト作用を測定するためのホールセルパッチクランプの電気生理学実験において化合物を試験した。これらの実験では、第V層ラット脳切片前頭前皮質錐体ニューロンにおいて20μMのs‐AMPAで誘発された電流に対する単一濃度の各試験化合物の作用について調べた。化合物1の1μM濃度及び10μM濃度の両方、並びに化合物2の1μM濃度について、aCSFリザーバ由来の主要灌流ラインと直列に配置構成された50mLシリンジから槽を灌流して、脳切片に対してそれぞれ異なる実験で試験した。20μMのs‐AMPAを、記録するニューロンの200μm内側に置かれた微小電極に直接接続されたNPI PDES‐02DX型(エヌピーアイ・エレクトロニック有限会社(npi Electronic GmbH)、ドイツ連邦共和国タム)の空気圧式ピコポンプを使用して、1~2分ごとに100~1000msで加圧注入した。各プロトコールを3回繰り返した。ピーク電流が10μMの試験化合物の初回の適用時に70%を超えて低減された場合、1回の実験をこの10μMの化合物濃度で行った。その場合、該化合物の1回の10μMでの試験に続いて、該化合物について1μM濃度で3回試験した。
【0155】
<脳切片のニューロンにおける化合物のNMDA受容体生物学的活性アッセイ>
NMDA誘導電流に対するアンタゴニスト作用を測定するためのホールセルパッチクランプ電気生理学実験において化合物を試験する。NMDA誘導電流の実験では、第V層ラット脳切片前頭前皮質錐体ニューロンにおいて50μM NMDAで誘発される電流に対する単一濃度の各試験化合物の作用について調べた。30μM濃度の化合物1を、aCSFリザーバ由来の主要灌流ラインと直列に配置構成された50mLシリンジからの槽を灌流して、切片に投与した。50μMのNMDAを、記録されるニューロンの200μm内側に置かれた微小電極に直接接続されたNPI PDES-02DX型(エヌピーアイ・エレクトロニック有限会社、ドイツ連邦共和国タム)の空気圧式ピコポンプを使用して、1~2分ごとに100~1000msで加圧注入した。化合物1について、濃度30μMで3回実験して試験した。試験化合物若しくは参照化合物、又は誘導物質s‐AMPA若しくは誘導物質NMDAの調合。試験化合物(シー・ファーマシューティカルズ・エルエルシー(Sea Pharmaceuticals LLC)、米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)は、100%DMSO溶媒(溶媒供給業者は上記)で10mM又は30mMの保存溶液として調製した。電流誘導物質のs‐AMPA又はNMDAは、それぞれaCSF中の20μM又は50μMの保存溶液として作製した。試験化合物の保存溶液を、使用直前に適切な外部記録液で表示の最終試験濃度に希釈した。化合物は全て使用前に-20℃に保管した。
【0156】
<参照化合物の試験>
テザンパネルを参照化合物として、濃度30μM、10μM、3μM、1μM、0.3μM、及び0.1μMでs‐AMPAの電気生理学的アッセイにおいて試験した。この化合物は、20μMのs‐AMPAに対するラット脳切片PFC錐体ニューロンのピーク振幅応答を濃度依存的に阻害した(シグナルの50%が阻害されるIC50濃度は、ラット大脳皮質錐体ニューロンのs‐AMPA誘導電流において481±84nMであると観察された。濃度ごとにn=4~5回実験した)。
テザンパネルを、NMDAの電気生理学的アッセイにおいて濃度30μMで試験した。この濃度のテザンパネルは、ラット大脳皮質錐体ニューロンにおける50μM NMDA誘導電流に対するラット脳切片PFC錐体ニューロンのピーク振幅応答を部分的に阻害する(40%±2%、実験回数n=4)。
【0157】
<電気生理学的実験のデータ及び統計分析>
【0158】
データは全てpClamp Clampex収集ソフトウェアを使用してサンプリングし、全てのオフライン分析を、Clampfit(エムディーエス・アナリティカル・テクノロジーズ(MDS Analytical Technologies))を使用して実行した。データ編集及び作図は、Excel(登録商標)(マイクロソフト(Microsoft))を使用して実行した。ダネット(Dunnett)の事後比較を伴う一元配置反復測定分散分析(ANOVA、グラフパッド(Graphpad)のPrism)を統計分析に使用した。
[表2:化合物#1及び化合物#2についてのin vitro生物学データのまとめ]
【表2】
【0159】
<癲癇又は癲癇発作のげっ歯類動物in vivoモデル及び疼痛のげっ歯類動物in vivoモデルを含むげっ歯類動物の治療の後の化合物のin vivo薬理学>
【0160】
<動物に投与するための化合物の調合及び調製>
試験化合物の投薬用の懸濁液又は溶液を、2種類の調合物すなわち(i)水性メチルセルロース中のDMSO調合物(DMCと称する)又は(ii)pH調整済み生理食塩水調合物(SPHAと称する)のうちいずれかに規定された通りに調合した。DMC調合物については、試験化合物3、4、又は6をDMSOに溶解して0.5%メチルセルロースで希釈した(3%以内のDMSO終濃度を含む)。0.5%メチルセルロース(0.5%MC、シグマ(Sigma)カタログ番号M‐0430、米国ミズーリ州セントルイス)は、製造業者の指示通りに水で調製した。化合物のDMC混合物を渦流撹拌によって均質化し、試験化合物の混合物が均質な懸濁液になるか又は完全に溶解するまでホットプレート(~40℃)上で撹拌した。SPHA調合物は、より水溶性の高い化合物又は塩である一部の被験物質について使用した。SPHA調合物については、化合物の粉末を、生理的(通常の)食塩水(0.9% NaCl)に直接混合し、次に0.1N又は1Nの水酸化ナトリウム溶液を注意深く添加してpH9~pH9.5とし、該試料をおよそ40℃で加熱しながら撹拌及び渦流撹拌して完全に溶解させた(15分以内)。その後0.1N又は1Nの塩酸溶液を注意深く添加してpHをpH7.1~pH7.3に調整した。別例として、通常の生理食塩水の代わりに0.5%メチルセルロース水溶液を用いることも考えられる。ビヒクル溶液は、化合物を用いずに上記の同じプロトコールを使用して調製した。投薬用混合物は、投与の前に室温に戻した。投薬用混合物は試験を行う日に新しく調製し、3時間以内に使用した。全ての投薬用溶液又は投薬用懸濁液は、投与前に十分に混合した。
【0161】
化合物#1はSPHAで調合した。その他のカルボキシル酸異性体及びその塩も同様に調合可能である。レベチラセタム(ティーシーアイ・アメリカ(TCI America)、米国オレゴン州ポートランド)の投薬用溶液は、0.5%メチルセルロース(MC)水溶液中で調製した。
【0162】
化合物は、上述のものに限らず別のビヒクルの調合物として調合されてもよい。
【0163】
<動物取扱いプロトコール及びげっ歯類動物癇癪発作モデル(マウス又はラット)における化合物又はビヒクルの投与>
成体オスのカーワース・ファームズ(Carworth Farms)(CF‐1)マウス(25~35g)又は幼体オスのスプラーグドーリー(SD)ラット(100~150g)は、チャールズ・リバー・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド(米国マサチューセッツ州ウィルミントン)から入手した。CF1マウスは典型的には6Hz精神運動発作モデル(以下の部に記載された6Hzモデル)に使用したが、マウスで実施する場合の最大電撃痙攣(MES)モデルに使用することも考えられる(以下の部に記載された最大電撃痙攣モデル)。SDラットは典型的にはMESモデルに使用したが、ラットで実施する場合の6Hz精神運動モデルに使用することも考えられる。動物は、試験期間中を除いて飼料及び水を自由に得られるようにした。供給業者の研究所からin vivo薬理学試験を行う研究所へと受渡された後、動物は、試験前に十分な時間をとって飼育状況に慣れさせた。動物は、制御された湿度、換気、及び照明(12時間点灯及び12時間消灯)を備えた室内のプラスチック製ケージで飼育した。動物は、「実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for Care and Use of Laboratory Animals)」(全米研究協議会)の勧告に合致する方法で、かつ動物実験委員会(IACUC)が設けたガイドラインに従って飼育した。動物実験は、「動物実験:in vivo実験の報告(Animal Research: Reporting of In Vivo Experiments)(ARRIVE)ガイドライン(英国)に合致する方法で行い、IACUCにより承認された。試験化合物又はそれぞれのビヒクル(偽薬)を、最適な液量対体液比を使用して投与した。試験化合物、参照化合物又はビヒクルの溶液又は懸濁液を、マウス又はラットに対し、体重あたり0.01mL/g(マウス)又は0.004mL/g(ラット)として、皮下(s.c.)注射、腹腔内(i.p.)注射、又は別段の定めのないかぎり強制経口投与(p.o.)によって投与した。参照用医薬品のレベチラセタム又はビヒクルは腹腔内(i.p.)注射により投与した。
【0164】
<げっ歯類動物における6ヘルツ(6Hz)精神運動発作モデルについての文献上の記述及びin vivoでの薬理学的検証>
James E.P. Toman博士が1951年に6Hz精神運動発作モデルについて最初に述べている。6Hz精神運動発作モデルは、ある種の臨床用AEDがマウスの6HzモデルではマウスのMESモデル(別の部において以下に記載)と対比して効果がないことを示した薬理学者のLouis S. Goodmanによって1953年に幅広く特性解析され、かつ臨床用の抗癲癇薬(AED)を使用してマウスで薬理学的に検証されており、またフェニトインのようなある種のAEDによる治療に対しては抵抗性であることが見出された。マウスの6Hz精神運動発作モデルは、いくつかの種類のAEDを薬理学的に比較したH. Steven White及びHarold H. Wolfによって2001年に再検討されるまで、その後50年間ほとんど使用されなかった。Toman JE, Neurology, 1951, Vol, 1, p.444-460. Brown WCら, J Pharmacol Exp Ther, (米), 1953, Vol. 107, p.273-283. Barton MEら, Epilepsy Res, 2001, Vol. 47, p.217-227. Metcalf CSら, Epilepsia, 2017a, Vol. 58, p.484-493. Metcalf CS, Epilepsia, 2017b, Vol. 58, p.1073-1084.
【0165】
<抗発作活性に関する化合物の6Hz精神運動発作試験>
マウスの各眼の角膜に局所麻酔を行った後、角膜電極を配置する。6Hzの精神運動発作は、角膜電極を介した電気刺激を使用してマウス(通常は1群当たり8匹)において誘発させた(6Hz、0.2ミリ秒の矩形パルス、22mAで3秒間持続、Barton MEら, Epilepsy Res, 2001, Vol. 47, p.217-227に記載されたようにしてGrass48刺激装置を使用)。電気刺激用の角膜電極の配置に先立って、0.5%テトラカイン生理食塩水溶液(シグマ)の滴剤を各眼に適用した。6Hzモデルにおいて電気刺激から生じる発作及び行動には、軽微な間代発作相と後続する定型的な自動症行動、例えば失神、前肢クローヌス、洞毛の小刻みな動き(twitching)及びストラウブ挙尾反応が挙げられる。刺激後の1分間、これらの行動について薬理学者が動物を観察した。これらの行動のうちいずれかが観察された場合、その動物は発作を示したとみなした。これらの行動のうちいずれも示さない動物は発作から「保護された」とみなした。これは、被験物質又は参照用抗癲癇薬のin vivoでの薬理活性の選別検査として機能し、かついくつかの公表文献に示されるように抗発作活性を定義する[Barton MEら, Epilepsy Res., 2001, Vol. 47, p.217-227;Barton MEら, Epilepsy Res., 2003, Vol. 56, p.17-26;Brown WCら, J Pharmacol Exp Ther, 1953, Vol. 107, p.273-283;Metcalf CSら, Epilepsia, 2017a, Vol. 58, p.484-493;Metcalf CSら, Epilepsia, 2017c, Vol. 58, p.239-246.]。
【0166】
別段の定めのないかぎり、マウス又はラットの前治療の時間は、典型的には、皮下又は腹腔内経路で投与されるそれぞれのビヒクル、化合物1、3、4、6又は他の化合物について0.5時間とした(別途その他の時間が示される場合を除く)。経口経路で投与される化合物3、4、6又は他の化合物については、別途その他の時間が示されないかぎり、1時間の前治療時間を使用した。試験化合物又はそれぞれのビヒクルについて、場合によっては提示するようなその他の前治療時間で試験した。50%効果用量(ED50)及び95%信頼区間(CI)はPrism(グラフパッド・ソフトウェア(Graphpad software))を使用して計算した。
【0167】
<げっ歯類動物の6Hz精神運動発作モデルに関する参照文献>
Toman JE 1951. Neurology 1:444-460. "Neuropharmacologic considerations in psychic seizures."
Brown WC, Schiffman DO, Swinyard EA, Goodman LS. 1953. J Pharmacol Exp Ther 107:273-283. "Comparative Assay of an Antiepileptic Drugs by Psychomotor Seizure Test and Minimal Electroshock Threshold Test."
Barton ME, Klein BD, Wolf HH, White HS. 2001. Epilepsy Res 47:217-227. "Pharmacological characterization of the 6 Hz psychomotor seizure model of partial epilepsy."
Metcalf CS, Klein BD, Smith MD, Pruess T, Ceusters M, Lavreysen H, Pype S, Van Osselaer N, Twyman R, White HS. 2017a. Epilepsia 58:484-493. Efficacy of mGlu2 positive allosteric modulators alone and in combination with levetiracetam in the mouse 6 Hz model of psychomotor seizures;
Metcalf CS, West PJ, Thomson KE, Edwards SF, Smith MD, White HS, Wilcox KS. 2017b. Epilepsia 58:1073-1084. "Development and pharmacologic characterization of the rat 6 Hz model of partial seizures."
Metcalf CS, Klein BD, McDougle DR, Zhang L, Kaufmann D, Grzegorz Bulaj G, White HS. 2017c. Epilepsia 58:239-246. "Preclinical Evaluation of Intravenous NAX 810-2, a Novel GalR2-preferring Analog, for Anticonvulsant Efficacy and Pharmacokinetics."
【0168】
<げっ歯類動物において抗痙攣、抗発作及び抗癲癇活性について分子を試験するためのMES(最大電撃痙攣)モデルに関する文献上の記述>
薬理学者のLouis S. Goodmanは、1950年代~1970年代に実験用の抗痙攣、抗発作、抗癲癇性の作用物質を抗癲癇薬(AED)と比較した治療研究において、MESモデルのin vivoの薬効薬理について幅広く特性解析した。H. Steve White 及びHarold H. Wolfによる1980年代~2010年代のその後の研究により、抗癲癇化合物の薬理学的特性解析のためのMES発作モデルの使用はさらに拡大した。
【0169】
MESモデルの材料、方法、及びいくつかの臨床用抗癲癇薬の検証については、Swinyard EAら, J Pharmacol Exp Ther, (米), 1952, Vol. 106, p.319-330に記載されている。GoodmanのMESモデルのための方法には、Woodbury LA, Davenport VD., Arch Int Pharmacodyn Ther, 1952, Vol. 92, p.97-107に記載された電気刺激装置及び電極が使用された。MES動物モデル及びこの種のMES装置は、化合物を抗痙攣活性についてスクリーニングする際に米国国立衛生研究所が過去数十年間にわたって抗痙攣性作用物質及び抗癲癇薬(AED)の効能をin vivoで薬理学的に特性解析するため幅広く使用してきた(最初の2つの参照文献は2冊の書籍の中の章である)。White HSら(Levy RH, Mattson RH, Meldrum BS 編 “Antiepileptic Drugs” 第4版, 1995, pp. 99-110);White HSら(Levy R,Mattson R, Meldrum B, Perucca E編 “Antiepileptic Drugs” 第5版, 2002, pp. 36-48);White HSら, Italian Journal Neurological Sciences, 1995, Vol. 16, p.73-77;White HSら, Advances in Neurol, 1998, Vol. 76, p.29-39.(総説);White HSら, Epilepsia, 2008, Vol. 49, p.1213-1220. (方法:改訂されたMESモデルの記述);Barton ME, Peters SC, Shannon HE, Epilepsy Res., 2003, Vol. 56, p.17-26(マウス6Hzモデル及びマウスMESモデルに関する詳細な方法)。
【0170】
<ラット又はマウスにおけるげっ歯類動物最大電撃痙攣(MES)モデルに関する参照文献>
Swinyard EA, Brown WC, Goodman LS. 1952. J Pharmacol Exp Ther 106:319-330. "Comparative assays of antiepileptic drugs in mice and rats"
Woodbury LA, Davenport VD. 1952. Arch Int Pharmacodyn Ther 92:97-107. "Design and use of a new electroshock seizure apparatus, and analysis of factors altering seizure threshold and pattern."
White HS, Woodhead JH, Franklin MR. Swinyard EA, Wolf HH. (1995) General principles: experimental selection, quantification, and evaluation of antiepileptic drugs. In Levy RH, Mattson RH, Meldrum BS (Eds) Book title: Antiepileptic Drugs. 4th edition. Raven, New York, pp. 99-110;
White HS, Woodhead JH, Wilcox KS, Stables JP, Kupferberg HJ, Wolf HH. (2002) Discovery and preclinical development of antiepileptic drugs. In Levy R,Mattson R, Meldrum B, Perucca E (Eds) Book title: Antiepileptic Drugs. 5th edition. Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, pp. 36-48;
White HS, Johnson M, Wolf HH, Kupferberg HJ. 1995. Italian Journal Neurological Sciences 16:73-77. "The early identification of anticonvulsant activity: role of the maximal electroshock and subcutaneous pentylenetetrazol seizure models." (総説);
White HS, Wolf HH, Woodhead JH, Kupferberg HJ. 1998. Advances in Neurol 76:29-39. "The national institutes of health anticonvulsant drug development program: screening for efficacy." (総説);
White HS, Franklin MR, Kupferberg HJ, Schmutz M, Stables JP, Wolf HH. 2008. Epilepsia 49:1213-1220. "The anticonvulsant profile of rufinamide (CGP 33101) in rodent seizure models."
Leander JD, Rathbun RC, Zimmerman DM. 1988. Brain Res. 454:368-732"Anticonvulsant effects of phencyclidine-like drugs: relation to N-methyl-D-aspartic acid antagonism";
Leander JD. 1989. Epilepsy Res. 4: 28-33 "Evaluation of dextromethorphan and carbetapentane as anti-convulsants and N-methyl-D-aspartic acid antagonists in mice";
Yamaguchi S, Donevan SD, Rogawski MA. 1993. Epilepsy Res.15:179-184 "Anticonvulsant activity of AMPA/kainate antagonists: comparison of GYKI 52466 and NBOX in maximal electroshock and chemoconvulsant seizure models."
Barton ME, Peters SC, Shannon HE. 2003 Epilepsy Res. 56:17-26 "Comparison of the effect of glutamate receptor modulators in the 6 Hz and maximal electroshock seizure models
Metcalf CS, West PJ, Thomson KE, Edwards SF, Smith MD, White HS , Wilcox KS. 2017c. Epilepsia 58:1073-1084. "Development and pharmacologic characterization of the rat 6 Hz model of partial seizures".
【0171】
<ラットにおける抗発作活性に関する化合物の最大電撃痙攣(MES)モデルin vivo薬理学試験>
オスのスプラーグドーリーラット(試験時の体重100~150グラム)は、チャールズ・リバー・ラボラトリーズ(米国マサチューセッツ州ウィルミントン)から入手した(1群当たりN=8~10匹)。ラットに被験物質(実験化合物、又はビヒクル、又は陽性対照の参照用抗痙攣性化合物)を、腹腔内(i.p.)、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)又は強制経口(p.o.)経路によって投与した。投薬時、及び角膜刺激の前に再度、ラットの角膜を0.5%テトラカイン生理食塩水溶液で麻酔した。別段の定めのないかぎり、化合物1についての前治療時間は、電極による角膜の刺激付与(ラットについては電気刺激交流電流60Hz、150mA、持続時間0.2秒)の30分前とした(ビヒクル又は他の試験化合物についての前治療時間は60分前又は提示通りとした)。マウスが使用される場合、刺激パラメータは交流電流60Hz、50mAで0.2秒間とする公開された手法[Metcalf CSら, Epilepsia, 2017c, Vol. 58, p.1073-1084;White HSら, Italian Journal Neurological Sciences, 1995, Vol. 16, p.73-77;Barton MEら, Epilepsy Res., 2003, Vol. 56, p.17-26(いずれもマウスのMESモデル及び6Hzモデルの詳細な説明を含む);Leander JD, Rathbun RC, Zimmerman DM., Brain Res., 1988, Vol. 454, p.68-72;Leander JD, Epilepsy Res., 1989 Vol. 4, p.28-33;及びYamaguchi S, Donevan SD, Rogawski MA., Epilepsy Res., 1993, Vol. 15, p.179-184]に従うことに注意されたい。動物が後肢伸展を示さない場合、その動物は電撃の痙攣作用から保護されたと考えられる。
一部の例では、50%の動物で痙攣の強直性伸展の要素を消失させた試験化合物又は参照化合物の効果用量(ED50及び95%信頼区間)を、用量‐反応のデータから計算する[Litchfield, JT Jr, Wilcoxon., “A simplified method of evaluating dose-effect experiments.”, J. Pharmacol. Exp. Ther., 1949, Vol. 96, p.99-113]。
各実験について、1群の動物には常にビヒクル治療を行い(陰性対照)、かつ1群の動物には常に参照化合物治療を行う(陽性対照)。
【0172】
<in vivoでの化合物のAMPA受容体アンタゴニスト活性>
AMPA受容体アンタゴニスト化合物のin vivoでの活性は、マウス若しくはラットの最大電撃発作(MES)モデル、又はマウス若しくはラットの6Hz精神運動発作モデルを使用してアッセイすることができる。AMPA受容体アンタゴニストであるテザンパネルでの治療についてのin vivoの効能データは、Ornstein PLら, J Med. Chem, (米), 1993, Vol. 36, p.2046-2048においてマウスMESモデルで、またBarton MEら, Epilepsy Res, 2003, Vol. 56, p.17-26においてマウスMESモデル及びマウス6Hz精神運動発作モデルの両方で、示されている。マウスの6Hz発作モデル及び最大電撃発作MESモデルの両方における、FDAに承認された抗癲癇薬であるAMPA受容体アンタゴニスト(AMPARA)のペランパネルを用いたマウスの治療に関するin vivoの効能データは、Hanada Tら, Epilepsia, 2011, Vol. 52, p.1331-1340に示されている。MESマウスモデルで試験された実験用AMPA受容体アンタゴニスト(AMPARA)化合物YM928のin vivoの効能データは、Yamashita Hら, J Pharmacol Exp Ther, (米), 2004, Vol. 308, p.127-133に示されている。MESモデルにおいて、臨床研究が行われたAMPARA(タランパネル)を参照化合物として実験的治療用AMPARA化合物YM928及びその誘導体でマウスを治療して比較するin vivoの効能データは、Inami Hら, Chem Pharm Bull (Tokyo), 2019, Vol. 67, p.699-706に示されている。
【0173】
<ラット又はマウスのMESモデル又は6Hz精神運動発作モデルにおけるAMPA受容体アンタゴニスト化合物又は医薬品の治効に関する参照文献>
Ornstein PL, Arnold MB, Augenstein NK, Lodge D, Leander JD, Schoepp DD. 1993. J Med. Chem 36:2046-2048. "(3SR,4aRS,6RS,8aRS)-6-[2-(1H-tetrazol-5-yl)ethyl] decahydroisoquinoline-3 - carboxylic acid: a structurally novel, systemically active, competitive AMPA receptor antagonist"(テザンパネル);
Barton ME, Peters SC, Shannon HE. 2003. Epilepsy Res 56:17-26. "Comparison of the effect of glutamate receptor modulators in the 6 Hz and maximal electroshock seizure models"(テザンパネル);
Hanada T, Hashizume Y, Tokuhara N, Takenaka O, Kohmura N, Ogasawara A, Hatakeyama S, Ohgoh M, Ueno M, Nishizawa Y. 2011. Epilepsia 52:1331-1340. "Perampanel: A Novel, Orally Active, Noncompetitive AMPA-receptor Antagonist That Reduces Seizure Activity in Rodent Models of Epilepsy"(マウスの6Hz発作モデル又はMESモデルにおける、FDAに承認された抗癲癇薬であるAMPA受容体アンタゴニストのペランパネル);
Yamashita H, Ohno K, Amada Y, Hattori H, Ozawa-Funatsu Y, Toya T, Inami H, Shishikura J-I, Sakamoto S, Okada M, Yamaguchi T. 2004. J Pharmacol Exp Ther 308:127-133. "Effects of 2-[N-(4-chlorophenyl)-N-methylamino]-4H-pyrido[3.2-e]-1,3-thiazin-4-one (YM928), an orally active alpha-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid receptor antagonist, in models of generalized epileptic seizure in mice and rats"(MESマウスモデルにおいて試験された実験的なAMPA受容体アンタゴニスト(AMPARA)化合物YM928);
Inami H, Shishikura J-I, Yasunaga T, Hirano M, Kimura T, Yamashita H, Ohno K, Sakamoto S. 2019. Chem Pharm Bull (Tokyo) 67:699-706. “Synthesis and pharmacological evaluation of 3-[(4-oxo-4H-pyrido[3,2-e][1,3]thiazin-2-yl)(phenyl)amino]propanenitrile derivatives as orally active AMPA receptor antagonists”.(マウスのMESモデルにおいて、臨床研究が行われたAMPARA(タランパネル)を参照して実験的な治療用AMPARA化合物YM928とその誘導体を比較するin vivoの効能データ)。
【0174】
<運動障害に関するロータロッド試験>
投与された用量で実質的な運動障害が生じるかどうかを検証するために、ロータロッド上のマウスの運動能力の試験を6Hz精神運動発作モデルの刺激と並行して行った。ロータロッドアッセイにおける評価は6Hz精神運動発作モデル試験の直前に行った。従って、各治療群について、ロータロッドアッセイの評価を行った直後に6Hz精神運動発作モデルで試験した。6rpmの速度で回転している1インチのナーリング加工付きロッドの上にマウスを置くと、マウスは長時間にわたって平衡を維持することができる。運動障害は、マウスが1分の観察期間の間ロータロッド上にとどまっているかどうかを判定することにより評価した;すなわち、1分間に3回落下すればロータロッドの失敗とみなした。
【0175】
熟練の観察者による運動障害の兆候に関するラットの行動の薬理学的観察。皮下経路で6mg/kg用量で投与された化合物1による障害の兆候について、投薬後にラットをモニタリングした。耐容性の変化又は神経学的変化は観察されなかった。投与後30分の観察時間の間、全てのラットが機敏で、立位であり、正常に行動した。
【0176】
<統計分析>
発作からの保護及びロータロッド運動障害のデータはそれぞれ、#(発作から保護された動物の数)/N(所与用量のビヒクル又は化合物を用いた治療により試験された動物の数で構成される治療群の大きさ)、及び#(運動障害を有する匹数)/N(試験された匹数)として示される。フィッシャーの正確検定を使用して、特定の治療群についての運動障害の値を、VEHで治療された動物と比較した。用量‐反応関係の分析については、50%効能ED50(及び95%CI)の値をもたらす用量をPrism(グラフパッド・ソフトウェア)分析を使用して計算したが、この計算では少なくとも3つの治療群(1群当たりの動物数N=6~10)を使用した。血漿中濃度は平均±標準誤差として示し、スチューデントt検定を使用して比較した。
【0177】
表3は、単回の急性全身投与後のラットを用いた、最大電撃痙攣(MES)モデル試験での発作からの保護のin vivo研究における化合物1の試験結果を示す。化合物1による治療又はビヒクル治療はそれぞれラットにより十分忍容された。
【0178】
[表3:ラットの最大電撃痙攣(MES)モデルにおける化合物1による治療の結果]
【表3】
【0179】
表4は、単回の急性全身投与後のマウスを用いた、6Hz精神運動発作モデル試験での発作からの保護のin vivo研究における化合物1、3、4、及び6の試験結果を示す。
【0180】
[表4:マウスの6Hz精神運動発作モデルにおける化合物1、3、4、及び6による治療の結果]
【表4】
【0181】
<げっ歯類動物の皮下ペンチレンテトラゾール(scPTZ)発作モデル>
scPTZモデルはマウス又はラットを使用して実施することができる。材料、方法及びプロトコールは、White HS, Johnson M, Wolf HH, Kupferberg HJ., “The early identification of anticonvulsant activity: role of the maximal electroshock and subcutaneous pentylenetetrazol seizure models”, Italian Journal Neurological Sciences, 1995, Vol. 16, p.73-77(総説)に記載されており、また以下の総説(2冊の書籍の中の2つの章)すなわちLevy RH, Mattson RH, Meldrum BS編, “Antiepileptic Drugs”, (米), Raven, New York, 第4版, 1995, pp. 99-110(White HS, Woodhead JH, Franklin MR. Swinyard EA, Wolf HH., “General principles: experimental selection, quantification, and evaluation of antiepileptic drugs.”);及びLevy R,Mattson R, Meldrum B, Perucca E編, “Antiepileptic Drugs”, (米), Lippincott Williams and Wilkins, Philadelphia, 第5版, 2002, pp. 36-48(White HS, Woodhead JH, Wilcox KS, Stables JP, Kupferberg HJ, Wolf HH, “Discovery and preclinical development of antiepileptic drugs”)を参照されたい。
【0182】
<リチウム‐ピロカルピン誘発性の癲癇重積状態ラットモデル>
ロングエバンス又はスプラーグドーリーいずれかのラットを以下の公開された手法に従って使用して、動物における癲癇重積状態を誘発することができる(Metcalf CS, Radwanski PB, Bealer SL., “Status epilepticus produces chronic alterations in cardiac sympathovagal balance.”, Epilepsia. 2009, Vol. 50, No. 4, p.747-54;Clifford, D.B., Olney, J.W., Maniotis, A., Collins, R.C., Zorumski, C.F., “The functional anatomy and pathology of lithium-pilocarpine and high-dose pilocarpine seizures.”, Neuroscience, 1987, Vol. 23, p.953-968;Hanada T, Ido K, Kosasa T, “Effect of perampanel, a novel AMPA antagonist, on benzodiazepine-resistant status epilepticus in a lithium-pilocarpine rat model.”, Pharmacol. Res. Perspect. 2014, Vol. 2, No. 5, e00063;Wu T, Ido K, Osada Y, Kotani S, Tamaoka A, Hanada T, “The neuroprotective effect of perampanel in lithium-pilocarpine rat seizure model.”, Epilepsy Res. 2017, Vol.137, p.152-158を参照のこと)。試験化合物とそれぞれのビヒクルの効果を、参照化合物ペランパネル又は他の参照化合物と比較する。
【0183】
<げっ歯類動物の疼痛モデル>
ホルマリン疼痛試験は、元のモデルの説明(Malmberg AB, Yaksh TL, “Antinociceptive actions of spinal nonsteroidal anti-inflammatory agents on the formalin test in the rat.”, J. Pharmacol Exp. Ther., 1992, Vol. 263, No. 1, p.136-46及びWheeler-Aceto H, Porreca F, Cowan A, “The rat paw formalin test: comparison of noxious agents.”, Pain, 1990, Vol. 40, No. 2, p.229-38)の改変を基にしている。簡潔に述べると、軽微な改変を上記の方法に行うことが可能であり:幼体のスプラーグドーリーラットを(下記に述べるように)使用し、ホルマリン(シグマ)は毎日滅菌生理食塩水で新しく調製する。
【0184】
若齢成体のオスのスプラーグドーリーラット(体重60~70g)は、チャールズ・リバー・ラボラトリーズ(米国マサチューセッツ州ウィルミントン)から入手することができる。動物は、試験期間中を除いて飼料及び水を自由に得られるようにする。受渡された後、動物は、試験前に十分な時間(~1週間)をとって飼育状況に慣れさせ、制御された湿度、換気、及び照明(12時間点灯‐12時間消灯)の室内のプラスチック製ケージで飼育する。動物は「実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for Care and Use of Laboratory Animals)」(全米研究協議会)の勧告に合致する方法で、かつ動物実験委員会(IACUC)が設けたガイドラインに従って飼育した。動物実験はARRIVEガイドライン(英国)と合致する方法で行う。プロトコールは試験前にIACUCによる事前承認を受ける。
【0185】
試験化合物は、体液に対して最適な比率の液量を使用して投与することができる。試験化合物は、ラットでは体重10g当たり0.04mLの量で投与することができる。試験化合物は、6Hz発作モデルの部で上述したようにして、記載されたいずれかの調合物に調合することができる。硫酸モルヒネはシグマから購入可能であり、生理食塩水で調合することにより調製可能である。モルヒネは通常、皮下(s.c.)経路で投与される。被験物質又はビヒクルは、指示のないかぎりs.c投与経路で投与することができる。ビヒクル溶液及び溶媒の調合物を含む、他の投与経路(例えばi.p.、s.c.、p.o.、i.m.などが使用されうる)及び化合物投与の方法が使用されてもよい。
【0186】
ラットのホルマリン疼痛モデル。ホルマリン疼痛モデルは以下のように実施することができる。試験化合物は、5%ホルマリン溶液[ホルマリン(シグマ、米国ミズーリ州セントルイス)を滅菌生理食塩水に混合することにより調製]をラットの右後足の足底部へ皮下注射(50μL;30ゲージ注射針)を行う0.5時間又は1時間前に、動物に投与される。このホルマリン試験は、マウス及びラットにおいて様々な化合物の鎮痛効果を評価するための確立したモデルである。ホルマリンは、当初の、注射された足を舐める行動(I相:ホルマリン投与後0~10分)、次に、足を舐める行動が短期間減少した後の該行動の再開(II相:ホルマリン投与後20~45分)、を特徴とする明確な二相性の行動プロファイルを誘発する。ホルマリンの注射後、各動物を、45分が経過するまで5分区切りにした時間(epoch)について1つおきに最初の2分間、観察する。各2分間に足を舐める行動の長さの累積を測定する。I相及びII相の両方についての曲線下面積(AUC)の値を、ビヒクル(VEH)治療群のラットに対して標準化する。
【0187】
オスのスプラーグドーリーラット(チャールズ・リバー・ラボラトリーズ)におけるin vivoの薬理学的方法(シー・ファーマシューティカルズ・エルエルシーの特許)を、試験化合物に関する3つの異なる研究すなわち
研究I. ラットにおけるin vivoでの急性用量のPK(薬物動態)
研究II. ラットにおけるin vivoでのSAD(単回投与用量漸増試験)1日最大耐容量の決定及び用量‐曝露関係の生物分析的測定
研究III. ラットにおけるin vivoでの1日1回5日間のMAD(反復投与用量漸増試験)の最大耐容量の決定及び用量‐曝露関係の生物分析的測定
のために使用した。
【0188】
上記研究に使用されるオスのスプラーグドーリーラットは、チャールズ・リバー・ラボラトリーズ(米国マサチューセッツ州ウィルミントン)より供給された。動物は、米国内の獣医師が認定する動物管理施設において7日間を環境順化期間として飼育した。到着時、ラットの体重は225~250グラムであった。PK研究の時点では、ラットは7~8週齢で平均体重260~280グラムであった。ラットを、換気されHEPAフィルタを備えたケージラックシステムにおいて1ケージ当たり2匹収容した。ラットを12:12時間の通常の照明サイクル(12時間消灯、現地時間午前7:00に点灯して12時間点灯)で飼育した。いずれの研究についても、ラットには標準的なげっ歯動物用飼料及び水を不断に与えた。研究の間ラットの絶食は行わなかった。動物を研究に先立ちハンドリング処置し、体重によって無作為に治療群に割り当てた。飼育室及び処置室の温度は21~24℃であり、実験の間湿度は40~42%(管理施設の正常範囲内)とした。全ての処置を、IACUC(動物実験委員会)が承認した飼育及び投与される被験物質の研究のためのプロトコールに従って完了した。
【0189】
<被験物質(添加剤に含めて調合した各々の化合物)の投与>
≪静脈内(IV)投与経路≫ IV投薬を実施するために、各々のラットを、テーブル表面に尾をいずれかの側でクリップ留めして尾には自由に触れる状態として、decapicone(登録商標)(呼吸用に先端部が開口しているプラスチック袋)の中に拘束した。1mLシリンジ(カタログ#BD301025、製造業者は米国ニュージャージー州のビーディー・バイオサイエンシズ(BD Biosciences))に取り付けた針(23G×1インチ、BD PrecisionGlide(商標)、カタログ#BD305145、製造業者は米国ニュージャージー州のビーディー・バイオサイエンシズ)を、外側尾静脈に挿入した。血液が僅かに見えるまでシリンジごと引き戻すことにより、適切な針の配置を確保した。確認ができたら必要量を投与した。
【0190】
≪口から(PO)の強制経口投与経路≫ PO投薬を実施するために、各々のラットを、もがいて負傷しないように頭頸背部及び上半身を固定して拘束した。安定した垂直姿勢になったら次に、ラットの食道内に、必要投薬量に応じて1mLシリンジ(BD301025、製造業者は米国ニュージャージー州のビーディー・バイオサイエンシズ)又は3mLシリンジ(BD309588、製造業者は米国ニュージャージー州のビーディー・バイオサイエンシズ)に取り付けられた経口ゾンデ(18G、インステック(Instech)FTP‐18‐38、製造業者は米国ペンシルバニア州プリマスミーティング)を挿入することにより、ラットへの投薬を行った。適切に位置決めしたら、その投薬量をラットの胃の中に放出した。
【0191】
≪皮下投与経路≫
SC投薬を実施するために、各々のラットを、皮膚の「テント状の盛り上がり(tenting)」が可能となるように頭頸背部及び上半身を固定して拘束した。安定した姿勢になったら、1mLシリンジ(BD301025、製造業者は米国ニュージャージー州のビーディー・バイオサイエンシズ)に取り付けた針(21G×0.5インチ、BD PrecisionGlide、BD305111、製造業者は米国ニュージャージー州のビーディー・バイオサイエンシズ)を、動物の毛皮の下、肩甲骨の間のテント状に盛り上がった部分の中へ挿入した。次いでその投薬量をラットの毛皮の下に放出した。
【0192】
血液は尾出血により採取した(IVについては0.0833、0.25、0.5、1、2、4時間)及び(POについては0.5、1、1.167、1.5、2、4、6時間)、及び(SCについては0.25、0.5、1、2、4、6時間)。最終的な採血は、投薬4時間後(IV)及び投薬6時間後(PO及びSC)に心臓穿刺で行った。アーウィンの試験を実施するラット(表示のようにある特定のPO群及びSC群)については、最終的な採血を70分の時点で心臓穿刺により行った。表示のようなある特定のSC群のラットについては最終的な採血を30分の時点で心臓穿刺により行った。
【0193】
[アーウィン試験手順]
ラットを、げっ歯類動物の神経機能に対する試験化合物の効果のin vivo評価であるアーウィン試験手順をラット用に改変したものに供した。ラットを処置室に少なくとも30分間慣れさせた。ラットを後述の特徴について評価した。各々のラットについて、0が正常な動物の反応を表わし、3が最大に障害された動物を表わすものとして、0~3にスコア化した。アーウィン試験の際に動物を0~1の範囲にスコア化することは正常であることに注意されたい。試験化合物の投与の55~60分後に動物を試験した。参照文献:Irwin, S., “Comprehensive observational assessment: la. A symptomatic quantitative procedure for assessing the behavioral and physiologic state of the mouse”, Psychopharmacologia, 20 September 1968, Vol. 13, No. 3, p.222-257.
【0194】
<アーウィンのパラメータ - スコア化>
1. 全身外観 - 外見
a. 毛づくろい行動、被毛の色、ひげなどについての評言。
b. 0~3にスコア化
i. 0:正常 - 被毛は滑らかで艶があり;眼は大きく開いており;創傷がない。
ii. 1:被毛に軽微な汚れ、わずかに閉眼
iii. 2:被毛に中程度の汚れ;眼脂/閉眼/皮膚損傷
iv. 3:被毛の汚れ;爪に出血
2. 活動亢進
a. ケージ内観察
b. 無し=0;有り=3として0~3にスコア化
i. 0:正常な活動;活動過多ではない
ii. 1:接触又は刺激により正常を上回る反応が誘発される
iii. 2:毛づくろい行動が中断される、正常な探索行動を超えてケージ中を走り回る。
iv. 3:活発に走り回る;ケージから飛び出す;毛づくろいしようとしない
3. 活動低下
a. ケージ内観察
b. 無し=0;有り=3として0~3にスコア化
i. 0:正常な活動性;低活動性ではない
ii. 1:正常な動きが遅く、静止していることが多い;停止しており毛づくろい行動もない。
iii. 2:刺激に対してほとんど動きがなく、動き回るよりは静止している
iv. 3:動きが無く、刺激に対する反応が無く、静止している
4. 鎮静
a. ケージ内観察
b. 無し=0;有り=3として0~3にスコア化
i. 0:正常 - 鎮静はない
ii. 1:不安定歩行、ふらつく
iii. 2:部分的閉眼
iv. 3:完全に鎮静;閉眼
5. 発作
a. 無し=0;有り=3として0~3にスコア化
i. 0:発作なし
ii. 1:振戦(身震い)
iii. 2:HIC ― ハンドリング誘発性の痙攣
iv. 3:完全な発作 ― 疾走(running)‐跳躍(bouncing)クローヌス又は後肢の強直
6. 懸垂下の身体の状態
a. 動物を尾懸垂状態にする。
動物は、もがき行動及び/又は四肢全ての伸展を示すはずである。
b. 無し=3;有り=0として0~3にスコア化
i. 0:もがき行動が有り、かつ四肢を全て伸展
ii. 1:軽度のもがき行動を伴い一部の肢を伸展
iii. 2:当初はもがき行動、その後無動
iv. 3:もがき行動又は肢の動きが無い
7. 交叉伸筋反射
a. 後肢のうち一方の足をつねると、反対側の後肢が伸展する。
b. 無し=3;有り=0として0~3にスコア化
【0195】
8. 前肢/後肢置き直し反応
a. 細い棒で各々の足の裏に順番に触れると、その動物が空中で懸垂状態にあって他の足が固体表面に触れていない場合は足を上げてその棒の表面に置き直す
b. 無し=3;有り=0として0~3にスコア化
9. 把握反射
a. 動物は足をつつかれるとその道具を握る
b. 無し=3;有り=0として0~3にスコア化
i. 0:すぐに道具を握る
ii. 3:足に触れても反応無し
10. バーつかまり行動
a. 動物の前足に対してバーつかまり行動用のロッドを置いて動物が自重を支えられるようにする
b. 無し=3;有り=0として0~3にスコア化
i. 0:動物は体重を支える
ii. 3:動物は解放後にバーにつかまろうとしない/バーの上にとどまらない
11. 立ち直り反射試験
a. 動物を仰向けにし、体の向きを変えてて腹ばい(正常な姿勢)になるのを評価する
b. 無し=3;有り=0として0~3にスコア化
i. 0:瞬時に反転し、仰向けにさせることができない。
ii. 1:仰向けになるが、すぐに反転する
iii. 2:仰向けになり、ゆっくりと体の向きを変える、又は立ち直ろうとしてもがく
iv. 3:立ち直ろうとしない
12. テールピンチ反応
a. 動物は、尾の付け根から~1cmの場所を挟むことにより、身を引いてテールピンチに反応する
b. 無し=3;有り=0として0~3にスコア化
i. 0:反応有り、正常な尾の振り上げ又は逃避反応
ii. 3:反応無し、動きも逃避もない
13. 聴覚性驚愕
a. 犬用クリッカー(音を発するデバイス)の使用後に聴覚性驚愕が始まった後で反応が観察されるべきである。
b. 無し=3;有り=0(驚愕の存在、耳の揺れ動き)として0~3にスコア化:
i. 0:有り、正常な驚愕又は耳の揺れ動き
ii. 3:無し、驚愕反応がない
【0196】
<OFA. 生体ラットの自発的歩行活動についてのオープンフィールド活動の測定>
試験の前に動物を少なくとも30分間処置室に慣れさせた。全ての動物について、投薬を行い投薬の指定時間後(アーウィン試験の直後)にオープンフィールドチャンバに入れて記録時間を15分間(被験物質の治療群(添加剤に含めて調合した化合物又はビヒクル)又は非治療の対照群の投与の60~75分後)とした。全てのオープンフィールド実験は、寸法43×43×30cm(長さ×幅×高さ、チャンバ内部寸法)の透明な有機ガラスで作られた天井の無い箱である「オープンフィールドアリーナ」(カタログ番号ENV‐515のオープンフィールド装置(製造業者は米国バーモント州フェアファクスのメド・アソシエイツ・インコーポレイテッド(Med Associates Inc))において実施した。ENV‐515はそれぞれ、3次元全て(x、y、z平面)の動きを記録するために、ビーム間に2cmの空間を空けた16×16個の赤外線写真ビームで構成されている。エンドポイントである常同運動の計数値及び歩行運動の計数値を測定するために、メド・アソシエイツが設計したActivity Monitor(商標)を使用して動きを記録した(米国バーモント州フェアファクスのメド・アソシエイツ・インコーポレイテッドが開発したActivity Monitor7ソフトウェア)。移動距離及び立ち上がり行動を記録した(米国バーモント州フェアファクスのメド・アソシエイツ・インコーポレイテッドが開発したActivity Monitor7ソフトウェア)。参照文献:げっ歯類動物のオープンフィールド活動及び医薬品又は被験物質治療の効果:Fox KM, Sterling RC, Van Bockstaele EJ, “Cannabinoids and novelty investigation: influence of age and duration of exposure”, Behavioral Brain Research, (オランダ), 2009, Vol. 196, p.248-253。
【0197】
<血漿及び組織の採取>
血液をK2EDTAチューブ(BD Microtainer(登録商標)、米国ニュージャージー州のビーディー・バイオサイエンシズ)に採取し、冷却遠心器で血液を遠心して血漿を得た。血漿を清浄な微量遠心チューブに移し、ドライアイス上で凍結させて、生物分析まで-80℃で保管した。最低でも50マイクロリットルの血漿を得た。全脳を適切な終了時点で摘出し、重量を計測し、ドライアイスで高速凍結した。脳脊髄液(CSF)を指定された終了時点で採取した。CSF試料及び脳は-80℃で保管した。
【0198】
<採血手順(血漿用)>
≪尾出血による採血手順≫ ホームケージの中のラットを用い、尾を先端から約1cmの所で注意深く切り取った(はさみで切断した)。BD microtainerを使用して、血液をK2EDTAチューブに注意深く採取した。チューブを回収した後、出血を止めるために綿又はガーゼ球で軽く圧力を加えるべきである。
【0199】
≪心臓穿刺 - 心臓採血手順≫ ラットをCO2が入ったチャンバに入れることにより麻酔した。ラットを安楽死の麻酔深度に供した(十分に麻酔した)。動物を仰向けに寝かせて胸骨の上の部分にアルコールを擦り込んだ。針を胸骨のすぐ左側(動物にとって左側)で皮膚の下に入れた。シリンジを胸部から25~30度の角度に保持しながら、10mLの針(23G 1”、BD305145、製造業者は米国ニュージャージー州のビーディー・バイオサイエンシズ))を胸部の中心から動物の下顎に向かって5mm、深さ5~10mmとした。プランジャをわずかに引いてシリンジ内を軽い陰圧とした。針を胸腔の中間地点へと進めた。針が心臓に到達すると、血液がシリンジに流れ込んで試料が採取された。心臓用の針をそのまま保ち、プランジャを静かに引いて血液試料を採取した。ラットはCO2チャンバに戻すことにより安楽死させた。
【0200】
<脳脊髄液(CSF)の採取手順>
動物を二酸化炭素が入った安楽死チャンバに入れて安楽死させた。ラットをチャンバから取り出し、処置エリアで胸骨横臥の状態にした。頚部の上方部分から皮膚をはさみで切り、正中線上を切り広げて頭骨の頭蓋領域を露出させた。片手の指を使用して、頭がほぼ45°下向きに曲がるように頭部を位置決めした。目印として後頭骨及び環椎翼を使用し、大脳槽への直接穿刺法によってCSFを採取した。
【0201】
シリンジにかかる吸引力を、翼状針(エクセリント(EXELINT)21G×3/4”Thin Wall、カタログ番号#277‐04、製造業者は米国カリフォルニア州レドンドビーチのエクセリント)を用いて解放した。針を反対側の手で注意深く支え(ベベルアップ状態)、正中線を注意深くたどって後頭稜を越えて、針が脊椎腔に入るのを術者が感じることができるまで大脳槽(骨部)に向かって後方へと針を静かに「ウォーク(walked)」又は「スライド(slid)」させた。正確に配置されたら、少量の陰圧をシリンジに加え:その結果CSFは針ハブに流れ込んだ(CSFが流れない場合は針の位置を変えて手順を繰り返したことに注意)。CSFが流れるまで陰圧を片手で加え;試料の血液混入を避けるために手順をゆっくり行なった。白色の紙を背景として使用して、採取中の針のすぐ上の試料の変色を監視した(注:変色が観察され次第、シリンジに対する圧力を中止するか、又は変色部のすぐ上で翼状針を締める)。CSF試料採取を完了するために:針をシリンジから取り外した。CSF試料をシリンジから微量遠心チューブに移した(注:血液を遠心分離チューブへ移したら、臨床用微量遠心分離機に入れて13,000RPMで1分間遠心分離した)。CSF上澄み層を、チューブの底の血液を避けて回収した。次いでCSFをドライアイスで高速凍結し、生物分析まで-80℃で保管した。
【0202】
<脳の採取手順>
CSF採取の後、はさみを使用して頭骨を速やかに切断することで切開した。鉗子を使用して脳を静かに持ち上げ、直ちにドライアイスで高速凍結し、生物分析まで-80℃で保管した。
【0203】
<投薬試料(DS)の回収手順>
化合物1又は化合物を添加剤に含めた投薬溶液又は投薬懸濁液を、各日の動物への投与後に回収した。投薬試料は生物分析まで-80℃で高速凍結しておいた。
【0204】
<化合物1又は化合物の定量的LCMS生物分析>
ラット試料(血漿、脳脊髄液「CSF」又は脳ホモジネート)からの化合物1又は化合物の測定は、高感度LCMS法を使用して高解像度で行った。
【0205】
生物学的試料の抽出物(有機溶媒沈殿又は有機溶媒抽出のいずれかを行った、化合物1又は化合物で治療されたラット由来の(i)血漿又は(ii)CSF又は(iii)全脳ホモジネート)をLCMSに供し、全く同一のLCMS機器で新たに用意した標準曲線と比較した。標準曲線は、カリウム‐EDTA「K2‐EDTA」チューブに採血、遠心分離処理して使用時まで-80℃に保管したオスのスプラーグドーリーラット血漿のようなラット血漿(供給元はバイオアイブイティー(Bioivt)(旧バイオレクラメイション(Bioreclamation))、カタログ番号RAT00PLK2Y2N、米国ニューヨーク州ヒックスヴィルのバイオアイブイティー)の中に投入(スパイク)された既知濃度の化合物1又は化合物で作成した。標準的なLCMS(液体クロマトグラフィー‐質量分析)を、エービー・サイエックス(AB Sciex)のExion機器及びAPI 5500機器による質量分析法(MS)検出を使用して実施した。オートサンプラのADマルチプレートを使用した(エービー・サイエックス)。HPLC法には、レステック(Restek)のForce(登録商標)ビフェニルカラム(寸法2.1×30mm、粒子径1.8マイクロメートル)を使用し、2つの移動相(移動相A:0.1%ギ酸水溶液、及び移動相B:0.1%ギ酸を含むアセトニトリル)を用いて流速0.6mL/分のグラジエントを使用して溶出させた。化合物1又は化合物のMS検出及び較正にはさらに内部標準としてトルブタミドを使用した。使用条件に基づいた化合物1又は化合物の定量の下限は1ng/mlであり、標準曲線は5,000ng/mlまで直線であった。化合物の濃度はin vivoでは検出限界を下回った。化合物の濃度は、脂肪酸不含ウシ血清アルブミン(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ)の有無にかかわらず生理的緩衝液中にて37℃で30分のインキュベーション時間としたin vitroインキュベーションでは安定していた。化合物は、in vitroの検討では37℃でインキュベートすると数分以内にラット血漿により加水分解されて化合物1となった。ラット血漿による化合物の加水分解は、ラット血漿の前処理(シグマ・アルドリッチから供給されるセリンヒドロラーゼ・エステラーゼ阻害剤メチルアラキドニルフルオロホスホナートを濃縮10μMとして37℃で5分間)により阻止された。
【0206】
<オスのスプラーグドーリーラットにおける化合物1又は2のin vivoでのPK(薬物動態)研究>
記載の(PO、SC又はIVのいずれかの)経路による試験化合物1又は試験化合物の急性投与をラットに対して行い、その後の抽出、溶解及び定量的LCMS生物分析のために試料を記載の時点で採取した。図4図5、及び図6を参照されたい。これらの図面において、A~Eは、化合物1又は化合物それぞれの(指定された)様々な調合物を様々な経路によって投与された異なるラット治療群(A、B、C、D、E)を表わす。治療群Aのラットには、Cp#1(NaOHによってpH9.5までpHを上昇させた生理食塩水中で調合;pHはHClを使用して7.3に調整した)のSC投与を行った。ラット治療群Bには、静脈内(IV)経路によってCp#1(NaOHによってpH9.5までpHを上昇させた生理食塩水中で調合;pHはHClを使用して7.3に調整した)を投与した。ラット治療群Cには、PO経路によって化合物4 HCl(0.5%メチルセルロース水溶液、3%DMSOの中に濃度10mg/mlの「溶液」として調合)を投与した。ラット治療群Dには、皮下SC経路によって化合物4 HCl(0.5%メチルセルロース水溶液、3%DMSOの中に濃度10mg/mlの溶液として調合)を投与した。POで10mg/kgの用量及びSCで6mg/kgの用量を、濃度10mg/mlの化合物4溶液から投与した。
【0207】
<オスのスプラーグドーリーラットにおける化合物のin vivoでのSAD研究>
単回投与用量漸増試験(SAD) 経口PO投与経路による試験化合物の1日間急性投与をラットに対して行い、その後の抽出、溶解及び定量的LCMS生物分析のために試料を記載の時点で採取した。図7を参照のこと。A~Dのラット治療群では、用量(A 10mg/kg、B 20mg/kg、C 30mg/kg、D 50mg;/kg)を、化合物の濃度が10mg/mlの、0.5%メチルセルロース水溶液+3%DMSOで調合された化合物4の「溶液」から投与した。E及びFのラット治療群では、用量(E 100mg/kg及びF 200mg/kg)を、濃度が50mg/mlの、0.5%メチルセルロース水溶液+3%DMSOで調合された化合物4の「安定な懸濁液」から投与した。
【0208】
生体ラットのアーウィン試験は、SAD研究では1日目(唯一の試験実施日)の試験化合物による治療の55~60分後に行った。図10を参照のこと。注:エンドポイントについて、データは、左から右へ10mg/kg、20mg/kg、30mg/kg 50mg/kg、100mg/kg、200mg/kgと用量が漸増するように、X軸に示された各エンドポイントの下に示されている。多くの用量について正常であるか又は正常から極めて小さな変化しか観察されず、ゼロ値については棒グラフは示されていない。
【0209】
生体ラットのOFA(オープンフィールド活動)を、この1日間の試験の試験化合物による治療の60~75分後に実施した。図8及び図9を参照のこと。
【0210】
<オスのスプラーグドーリーラットにおける化合物のin vivoでのMAD試験>
反復投与用量漸増試験(MAD) 試験化合物をラットに1日1回5日間投与し、その後の抽出、溶解及び定量的LCMS生物分析のために試料を記載の時点で採取した。A~Dのラット治療群では、用量(A 10mg/kg、B 20mg/kg、C 30mg/kg、D 50mg;/kg)を、化合物の濃度が10mg/mlの、0.5%メチルセルロース水溶液+3%DMSOで調合された化合物4の「溶液」から投与した。Eのラット治療群では、用量(E 200mg/kg)を、0.5%メチルセルロース水溶液+3%DMSOで調合された濃度50mg/mlの化合物4の「安定な懸濁液」から投与した。図15図16、及び図17を参照のこと。生体ラットのアーウィン試験は、MAD研究では2つの異なる治療日(3日目及び5日目)の試験化合物による治療の55~60分後に行った。図13及び図14を参照のこと。注:エンドポイントについて、データは、左から右へ10mg/kg、20mg/kg、30mg/kg 50mg/kg、100mg/kg、200mg/kgと用量が漸増するように、X軸に示された各エンドポイントの下に示されている。多くの用量について正常であるか又は正常から極めて小さな変化しか観察されず、ゼロ値については棒グラフは示されていない。
【0211】
生体ラットのOFA(オープンフィールド活動)を、2つの異なる治療日(3日目及び5日目)の試験化合物による治療の60~75分後に実施した。図11及び図12を参照のこと。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図16
図17