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特許7653237集電体、電極、鉛蓄電池、組電池及び電動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-19
(45)【発行日】2025-03-28
(54)【発明の名称】集電体、電極、鉛蓄電池、組電池及び電動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/75 20060101AFI20250321BHJP
   H01M 4/14 20060101ALI20250321BHJP
   H01M 10/12 20060101ALI20250321BHJP
【FI】
H01M4/75 A
H01M4/14 R
H01M10/12 K
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020165219
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057121
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】322013937
【氏名又は名称】エナジーウィズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓太
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-057466(JP,A)
【文献】特開2007-258088(JP,A)
【文献】実公昭29-009758(JP,Y1)
【文献】実開昭52-115818(JP,U)
【文献】特開2001-052715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/75
H01M 4/14
H01M 10/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電用の耳部と、
前記耳部が位置する側を一端部側として延在する棒状の芯金と、を備え、
前記芯金を当該芯金の延在方向において一定の間隔で複数の部分に区画した場合、各前記部分の平均断面積は、前記芯金の前記延在方向の他端部側に位置する前記部分の方が前記一端部側に位置する前記部分よりも大きい、集電体。
【請求項2】
集電用の耳部と、
前記耳部が位置する側を一端部側として延在する棒状の芯金と、
前記芯金に設けられ、前記芯金の外側面よりも外側に突出する一又は複数の突出部と、を備え、
前記芯金を当該芯金の延在方向において一定の間隔で複数の部分に区画した場合、各前記部分の平均断面積は、前記芯金の前記延在方向の他端部側に位置する前記部分の方が前記一端部側に位置する前記部分よりも大きい、集電体。
【請求項3】
前記芯金の前記断面積は、前記一端部側から前記他端部側に向かって徐々に大きくなる、請求項1又は2に記載の集電体。
【請求項4】
前記耳部と前記芯金とを接続する接続部材と、
前記接続部材と前記芯金との間に設けられ、前記接続部材と前記芯金の前記一端部とを連結する連結部と、を備え、
前記連結部の断面積は、前記芯金の前記平均断面積よりも大きい、請求項1~のいずれか一項に記載の集電体。
【請求項5】
筒状体と、
前記筒状体の内部に充填される電極材と、
請求項1~のいずれか一項に記載の集電体であって、前記筒状体に挿入される該集電体と、を備える、電極。
【請求項6】
一方向に沿って延在している筒状体と、
前記筒状体の内部に充填される電極材と、
前記筒状体に挿入される集電体と、を備え、
前記集電体は、集電用の耳部と、前記耳部が位置する側を一端部側として延在する棒状の芯金と、を有し、
前記筒状体の内側面の径は、前記筒状体の前記一方向に亘って略一定であり、
前記芯金を当該芯金の延在方向において一定の間隔で複数の部分に区画した場合、各前記部分における前記筒状体の前記内側面の径に対する前記芯金の外径の比は、前記芯金の前記延在方向の他端部側に位置する前記部分の方が前記一端部側に位置する前記部分よりも大きい、電極。
【請求項7】
一方向に沿って延在している筒状体と、
前記筒状体の内部に充填される電極材と、
前記筒状体に挿入される集電体と、を備え、
前記集電体は、集電用の耳部と、前記耳部が位置する側を一端部側として延在する棒状の芯金と、前記芯金に設けられ、前記芯金の外側面よりも外側に突出する一又は複数の突出部と、を有し、
前記筒状体の内側面の径は、前記筒状体の前記一方向に亘って略一定であり、
前記芯金を当該芯金の延在方向において一定の間隔で複数の部分に区画した場合、各前記部分における前記筒状体の前記内側面の径に対する前記芯金の外径の比は、前記芯金の前記延在方向の他端部側に位置する前記部分の方が前記一端部側に位置する前記部分よりも大きい、電極。
【請求項8】
一方向に沿って延在している筒状体と、
前記筒状体の内部に充填される電極材と、
前記筒状体に挿入される集電体と、を備え、
前記集電体は、集電用の耳部と、前記耳部が位置する側を一端部側として延在する棒状の芯金と、を有し、
前記筒状体の内側面の径は、前記筒状体の前記一方向に亘って略一定であり、
前記芯金を当該芯金の延在方向において一定の間隔で複数の部分に区画した場合、各前記部分における前記筒状体の前記内側面と前記芯金の外側面との間の距離は、前記芯金の前記延在方向の他端部側に位置する前記部分の方が前記一端部側に位置する前記部分よりも小さい、電極。
【請求項9】
一方向に沿って延在している筒状体と、
前記筒状体の内部に充填される電極材と、
前記筒状体に挿入される集電体と、を備え、
前記集電体は、集電用の耳部と、前記耳部が位置する側を一端部側として延在する棒状の芯金と、前記芯金に設けられ、前記芯金の外側面よりも外側に突出する一又は複数の突出部と、を有し、
前記筒状体の内側面の径は、前記筒状体の前記一方向に亘って略一定であり、
前記芯金を当該芯金の延在方向において一定の間隔で複数の部分に区画した場合、各前記部分における前記筒状体の前記内側面と前記芯金の外側面との間の距離は、前記芯金の前記延在方向の他端部側に位置する前記部分の方が前記一端部側に位置する前記部分よりも小さい、電極。
【請求項10】
前記筒状体と前記芯金との間に充填される前記電極材の充填密度は、前記芯金の前記他端部側の方が前記一端部側よりも低い、請求項のいずれか一項に記載の電極。
【請求項11】
請求項10のいずれか一項に記載の電極を備える、鉛蓄電池。
【請求項12】
請求項1に記載の鉛蓄電池を複数備える、組電池。
【請求項13】
請求項1に記載の鉛蓄電池を備える、電動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集電体、電極、鉛蓄電池、組電池及び電動車に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池は、産業用又は民生用の二次電池として広く用いられており、特に、電気車用鉛蓄電池(いわゆるバッテリー)、又は、UPS(Uninterruptible Power Supply)、防災(非常)無線、電話等のバックアップ用鉛蓄電池の需要が多い。
【0003】
鉛蓄電池は、複数の電極を含む電極群と、電極群を収容する電槽と、を具備する。電極は、筒状体と、筒状体に挿入され棒状を呈する芯金と、筒状体の内部に充填され活物質を含む電極材と、を備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭61-232572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鉛蓄電池では、充放電の繰り返しにおいて、放電時には水が生成され、充電時には硫酸が生成される。鉛蓄電池では、硫酸は水に比べて比重が高く下部に沈降し易いことから、電解液(硫酸)濃度が電池の上部と下部とで異なってくる成層化現象が生じる。成層化が発生すると、電池下部の電解液濃度が高くなるため、電池下部の芯金が腐食し易くなる。芯金の腐食は、芯金の破損を発生させ得る。
【0006】
本発明の一側面は、信頼性の向上が図れる集電体、電極、鉛蓄電池、組電池及び電動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る集電体は、集電用の耳部と、耳部が位置する側を一端部側として延在する棒状の芯金と、を備え、芯金の延在方向の他端部側における平均断面積は、芯金の一端部側における平均断面積よりも大きい。
【0008】
本発明の一側面に係る集電体は、集電用の耳部と、耳部が位置する側を一端部側として延在する棒状の芯金と、芯金に設けられ、芯金の外側面よりも外側に突出する一又は複数の突出部と、を備え、芯金の延在方向の他端部側における平均断面積は、芯金の一端部側における平均断面積よりも大きい。
【0009】
本発明の一側面に係る集電体では、芯金の延在方向の他端部側における平均断面積が、芯金の一端部側における平均断面積よりも大きい。これにより、集電体では、芯金の他端部側(鉛蓄電池の下部側)において腐食が発生した場合であっても、芯金が太く剛性を有するため、芯金に破損が発生することを抑制できる。したがって、集電体では、信頼性の向上を図ることができる。
【0010】
一実施形態においては、芯金を延在方向において一定の間隔で複数の部分に区画した場合、各部分の平均断面積は、他端部側に位置する部分の方が一端部側に位置する部分よりも大きくてもよい。この構成では、他端部側に位置する部分が太いため、芯金に破損が発生することを抑制できる。
【0011】
一実施形態においては、芯金の断面積は、一端部側から他端部側に向かって徐々に大きくなってもよい。この構成では、一端部側から他端部側に向かって芯金がテーパー状に太くなる。そのため、集電体では、芯金の他端部側(鉛蓄電池の下部側)において腐食が発生した場合であっても、芯金が太く剛性を有するため、芯金に破損が発生することを抑制できる。
【0012】
一実施形態においては、集電体は、耳部と芯金とを接続する接続部材と、接続部材と芯金との間に設けられ、接続部材と芯金の一端部とを連結する連結部と、を備え、連結部の断面積は、芯金の平均断面積よりも大きくてもよい。
【0013】
本発明の一側面に係る電極は、筒状体と、筒状体の内部に充填される電極材と、上記の集電体であって、筒状体に挿入される該集電体と、を備える。
【0014】
本発明の一側面に係る電極では、上記の集電体を備える。そのため、電極では、集電体の芯金の他端部側(鉛蓄電池の下部側)において腐食が発生した場合であっても、芯金が太く剛性を有するため、芯金に破損が発生することを抑制できる。したがって、電極では、信頼性の向上を図ることができる。
【0015】
本発明の一側面に係る電極は、一方向に沿って延在している筒状体と、筒状体の内部に充填される電極材と、筒状体に挿入される集電体と、を備え、集電体は、集電用の耳部と、耳部が位置する側を一端部側として延在する棒状の芯金と、を有し、筒状体の内側面の径は、筒状体の一方向に亘って略一定であり、筒状体の内側面の径に対する芯金の外径の比は、芯金の延在方向の他端部側の方が一端部側よりも大きい。
【0016】
本発明の一側面に係る電極は、一方向に沿って延在している筒状体と、筒状体の内部に充填される電極材と、筒状体に挿入される集電体と、を備え、集電体は、集電用の耳部と、耳部が位置する側を一端部側として延在する棒状の芯金と、芯金に設けられ、芯金の外側面よりも外側に突出する一又は複数の突出部と、を有し、筒状体の内側面の径は、筒状体の一方向に亘って略一定であり、筒状体の内側面の径に対する芯金の外径の比は、芯金の延在方向の他端部側の方が一端部側よりも大きい。
【0017】
本発明の一側面に係る電極では、筒状体の内側面の径に対する芯金の外径の比は、芯金の延在方向の他端部側の方が一端部側よりも大きい。これにより、電極では、集電体の芯金の他端部側(鉛蓄電池の下部側)において腐食が発生した場合であっても、芯金が太く剛性を有するため、芯金に破損が発生することを抑制できる。したがって、電極では、信頼性の向上を図ることができる。
【0018】
本発明の一側面に係る電極は、一方向に沿って延在している筒状体と、筒状体の内部に充填される電極材と、筒状体に挿入される集電体と、を備え、集電体は、集電用の耳部と、耳部が位置する側を一端部側として延在する棒状の芯金と、を有し、筒状体の内側面の径は、筒状体の一方向に亘って略一定であり、筒状体の内側面と芯金の外側面との間の距離は、芯金の延在方向の他端部側の方が一端部側よりも小さい。
【0019】
本発明の一側面に係る電極は、一方向に沿って延在している筒状体と、筒状体の内部に充填される電極材と、筒状体に挿入される集電体と、を備え、集電体は、集電用の耳部と、耳部が位置する側を一端部側として延在する棒状の芯金と、芯金に設けられ、芯金の外側面よりも外側に突出する一又は複数の突出部と、を有し、筒状体の内側面の径は、筒状体の一方向に亘って略一定であり、筒状体の内側面と芯金の外側面との間の距離は、芯金の延在方向の他端部側の方が一端部側よりも小さい。
【0020】
本発明の一側面に係る電極では、筒状体の内側面と芯金の外側面との間の距離は、芯金の延在方向の他端部側の方が一端部側よりも小さい。これにより、電極では、集電体の芯金の他端部側(鉛蓄電池の下部側)において腐食が発生した場合であっても、芯金が太く剛性を有するため、芯金に破損が発生することを抑制できる。したがって、電極では、信頼性の向上を図ることができる。
【0021】
一実施形態においては、筒状体と芯金との間に充填される電極材の充填密度は、芯金の他端部側の方が一端部側よりも低くてもよい。この構成では、芯金の他端部側が腐食によって膨張した場合であっても、電極材の充填密度が低いため、芯金の膨張によって筒状体が破損することを抑制できる。
【0022】
本発明の一側面に係る鉛蓄電池は、上記の電極を備える。
【0023】
本発明の一側面に係る組電池は、上記の鉛蓄電池を複数備える。
【0024】
本発明の一側面に係る電動車は、上記の鉛蓄電池を備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一側面によれば、信頼性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、一実施形態に係る組電池を搭載したフォークリフトを示す図である。
図2図2は、鉛蓄電池を模式的に示す断面図である。
図3図3は、図1のIII-III線に沿う一部断面図である。
図4図4は、図1の正極を示す斜視図である。
図5図5は、図3の正極における芯金、連結部及び耳部を示す正面図である。
図6図6(a)は、図5のVIa-VIa線に沿う一部断面図であり、図6(b)は、図5のVIb-VIb線に沿う一部断面図であり、図6(c)は、図5のVIc-VIc線に沿う一部断面図であり、図6(d)は、図5のVId-VId線に沿う一部断面図である。
図7図7(a)は、図4のVIIa-VIIa線に沿う一部断面図であり、図7(b)は、図4のVIIb-VIIb線に沿う一部断面図であり、図7(c)は、図4のVIIc-VIIc線に沿う一部断面図である。
図8図8は、他の実施形態に係る正極における芯金、連結部及び耳部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図面において、同一又は相当の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。各図における構成要素の大きさは概念的なものであり、構成要素間の大きさの相対的な関係は各図に示されたものに限定されない。
【0028】
図1は、組電池を搭載したフォークリフトを示す図である。図1に示されるように、フォークリフト(電動車)100は、組電池200を搭載している。フォークリフト100は、組電池200から供給される電力によって駆動される。組電池200は、複数の鉛蓄電池1を備えて構成される。
【0029】
図2は、鉛蓄電池を模式的に示す断面図である。図3は、図2のIII-III線に沿う一部断面図である。図4は、正極を示す斜視図である。図2では、図面の手前側から奥側にかけて、セパレータを介して正極及び負極が交互に配置されている。図2では、正極の一部を断面化して示している。図3は、鉛蓄電池を上方から見た際の正極、負極及びセパレータの積層構造を示している。なお、「上」及び「下」の語は、電槽の高さ方向の上方及び下方に対応する(以下、同じ)。Z方向は電槽の高さ方向に対応し、X方向はZ方向と直交する方向に対応し、Y方向はZ方向と直交し且つX方向と直交する方向に対応する。
【0030】
図2及び図3に示されるように、鉛蓄電池1は、電極群2と、電極群2を収容する電槽3と、電極群2に接続されたストラップ4a,4bと、ストラップ4a,4bに接続された極柱5a,5bと、電槽3の注液口を閉塞する液口栓6と、電槽3に接続された支持部材7と、を備える。
【0031】
電極群2は、複数の正極10と、複数の負極20と、複数のセパレータ30と、を備える。正極10及び負極20は、セパレータ30を介してX方向に交互に配置されている。セパレータ30間における正極10の周囲の空間には、電解液40が充填されている。セパレータ30の材料としては、正極10と負極20との電気的な接続を阻止し、電解液40を透過させる材料であれば特に限定されない。セパレータ30の材料としては、微多孔性ポリエチレン、ガラス繊維及び合成樹脂の混合物等が挙げられる。
【0032】
図1図2及び図3に示されるように、正極10は、例えば板状の電極である。正極10は、複数の筒状体11と、複数の芯金(集電体)12と、正極材(電極材)13と、下部連座14と、上部連座15と、耳部(集電体)16と、接続部材(集電体)17と、連結部(集電体)18と、を有する。
【0033】
複数の筒状体11は、Y方向に沿って隣接して一列に並設されている。複数の筒状体11は、活物質保持用チューブ(クラッドチューブ)群を構成する。連管構造のクラッドチューブ群(材料単位)は、いわゆる「ガントレット」とも称される。筒状体11は、Z方向(一方向)に延びている。複数の筒状体11が並設した構造は、互いに別体である筒状体11により得てもよいし、互いに対向する基材間に複数の貫通孔を形成することにより得てもよい。隣接する筒状体11間には、縫目(縫合部)等の接続部が配置されていてもよい。
【0034】
筒状体11は、円筒状を呈する。なお、筒状体11は、楕円筒状、又は、角筒状(例えば、角丸四角筒状)等を呈していてもよい。筒状体11の長さは、例えば160~580mmである。筒状体11の内径(内側面11sの径)は、例えば4mm以上であってもよい。筒状体11の内径)は、例えば10mm以下であってもよい。筒状体11の直径(外径)は、例えば5mm以上であってもよい。筒状体11の直径は、例えば12mm以下であってもよい。筒状体11の厚さは、例えば100μm以上であってもよい。筒状体11の厚さは、例えば2000μm以下であってもよい。
【0035】
筒状体11は、多孔質体で形成されている。筒状体11は、例えば、織布、不織布等の基材で形成されていてもよい。基材の材料としては、耐酸性を有する材料を用いることができる。基材の材料としては、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂、ガラス繊維、炭化ケイ素、アルミナ等の無機材料が挙げられる。筒状体11は、サイクル特性を向上させ易い観点から、熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、ポリエステルを含むことがより好ましい。
【0036】
筒状体11では、基材上に樹脂が保持されていてもよい。樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、スチレン樹脂等が挙げられる。樹脂は、基材の内表面上若しくは外表面上、又は、基材における細孔内の表面上に保持されていてもよく、基材上に付着していてもよい。樹脂は、基材上の一部に保持されていてもよく、基材上の全部に保持されていてもよい。
【0037】
芯金12は、各筒状体11に挿入されている。芯金12は、棒状を呈する。芯金12は、筒状体11の内部において、耳部16が位置する側を上端部側としてZ方向に沿って延びている。芯金12の断面は、例えば、円形状を呈する。芯金12の断面は、楕円形状、多角形状等を呈していてもよい。芯金12は、例えば、鋳造(加圧鋳造法)により得ることができる。芯金12の構成材料としては、導電性材料であればよく、例えば、鉛-カルシウム-錫系合金、鉛-アンチモン-ヒ素系合金等の鉛合金が挙げられる。鉛合金は、セレン、銀、ビスマス等を含んでいてもよい。芯金12の長さは、例えば150~600mmである。
【0038】
芯金12は、連結部18を介して、接続部材17に接続されている。接続部材17は、集電用の耳部16と複数の芯金12とを接続する。連結部18は、接続部材17と複数の芯金12のそれぞれとの間に設けられている。連結部18は、接続部材17と複数の芯金12のそれぞれの上端部(一端部)とを連結する。
【0039】
正極材13は、筒状体11の内部に充填されている。正極材13は、活物質を含む。活物質には、化成後の活物質及び化成前の活物質の原料の双方が包含される。ここでの正極材13は、化成後の活物質を含有している。化成後の正極材13は、例えば、正極活物質の原料を含む未化成の正極材13を化成することで得ることができる。化成後の正極材13は、例えば、正極活物質の原料を含む正極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の正極材13を得た後に未化成の正極材13を化成することで得ることができる。正極活物質の原料としては、鉛粉、鉛丹等が挙げられる。化成後の正極材13における正極活物質としては、二酸化鉛等が挙げられる。正極材13は、必要に応じて添加剤を更に含有していてもよい。正極材13の添加剤としては、補強用短繊維等が挙げられる。補強用短繊維としては、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)等が挙げられる。
【0040】
筒状体11、芯金12及び正極材13は、筒状電極(棒状電極)を構成する。正極10の筒状電極は、連結部18、接続部材17、耳部16及びストラップ4aを介して極柱5aに電気的に接続されている。
【0041】
下部連座14は、複数の筒状体11の下端部に取り付けられている。筒状体11の下端部は、筒状体11における一端側の末端部分であり、換言すると、筒状体11における電槽3の底側の端部である。下部連座14は、複数の筒状体11の下端部を封止する。下部連座14は、複数の筒状体11の下端部に嵌合されている。なお、熱硬化性の接着剤等により、下部連座14が複数の筒状体11の下端部に固着されていてもよい。
【0042】
上部連座15は、筒状体11の上端部に取り付けられている。筒状体11の上端部は、筒状体11における他端側の末端部分であり、換言すると、筒状体11における電槽3の頂部側の端部である。上部連座15は、溶着により筒状体11の上端部に固着されている。溶着では、上部連座15及び筒状体11及び上部連座15の境界部分は一体化していてよい。溶着は、加熱、超音波照射、レーザー照射等により実現できる。なお、熱硬化性の接着剤等により、上部連座15が複数の筒状体11の上端部に固着されていてもよい。
【0043】
図2及び図3に示されるように、負極20は、例えば板状の電極である。負極20は、例えばペースト式負極板である。負極20は、ストラップ4bを介して極柱5bに電気的に接続されている。負極20は、負極集電体と、当該負極集電体に保持された電極材である負極材と、を有する。負極集電体としては、板状の集電体を用いることができる。負極集電体と正極10の芯金12との組成は、互いに同一であってよく、互いに異なっていてもよい。負極材は、活物質を含む。ここでの負極材は、化成後の活物質を含有している。
【0044】
化成後の負極材は、例えば、負極活物質の原料を含む未化成の負極材を化成することで得ることができる。化成後の負極材は、例えば、負極活物質の原料を含む負極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の負極材を得た後に未化成の負極材を化成することで得ることができる。負極活物質の原料としては、鉛粉等が挙げられる。化成後の負極材における負極活物質としては、多孔質の海綿状鉛(Spongy Lead)等が挙げられる。負極材は、必要に応じて添加剤を更に含有することができる。負極材の添加剤としては、硫酸バリウム、補強用短繊維、炭素材料(炭素質導電材)、スルホン基及びスルホン酸塩基からなる群より選択される少なくとも一種を有する樹脂(スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂)等が挙げられる。補強用短繊維としては、正極材と同様の補強用短繊維を用いることができる。
【0045】
炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック(ケッチェンブラック(登録商標)等)、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどが挙げられる。スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂としては、リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩、フェノール類とアミノアリールスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物等が挙げられる。リグニンスルホン酸塩としては、リグニンスルホン酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。フェノール類としては、ビスフェノール等のビスフェノール系化合物などが挙げられる。アミノアリールスルホン酸としては、アミノベンゼンスルホン酸、アミノナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
【0046】
支持部材7は、電槽3の底面に配置され、下部連座14を支持する。支持部材7は、Z方向を突出方向とする複数の突条7aを有する。突条7aは、電槽3の底面上に設けられている。突条7aは、X方向に延びる。突条7aは、Y方向に並ぶ。突条7aは、下部連座14に当接する(図2参照)。すなわち、支持部材7は、下部連座14における電槽3の底面側の部分を各突条7aによって支持している。突条7aは、正極10に接していればよく、負極20に接していなくてよい。
【0047】
次に、本実施形態に係る正極10の要部について説明する。
【0048】
正極10では、芯金12のZ方向の下端部(他端部)側における平均断面積は、芯金12の上端部(一端部)側における平均断面積よりも大きい。芯金12のZ方向(延在方向)の下端部側における平均断面積は、芯金12のZ方向の下端部側において芯金12のZ方向と直交する方向に切断した断面の断面積を、芯金12の下端部側のZ方向に亘って平均化した断面積である。芯金12の上端部側における平均断面積は、芯金12の上端部側において芯金12のZ方向と直交する方向に切断した断面の断面積を、芯金12の上端部側のZ方向に亘って平均化した断面積である。
【0049】
図5に示されるように、芯金12をZ方向において一定の間隔で複数の部分に区画した場合、各部分の平均断面積は、下端部側に位置する部分の方が上端部側に位置する部分よりも大きい。本実施形態では、芯金12を、第1部分12a、第2部分12b及び第3部分12cの3つの部分に区画している。本実施形態では、第1部分12a、第2部分12b及び第3部分12cの長さは同等である。すなわち、第1部分12aの長さをL1、第2部分12bの長さをL2、及び、第3部分12cの長さをL3とした場合、以下の関係を満たす。
L1≒L2≒L3
【0050】
第1部分12aの平均断面積は、第1部分12aにおいて芯金12のZ方向と直交する方向に切断した断面の断面積を、第1部分12aのZ方向に亘って平均化した断面積である。第2部分12bの平均断面積は、第2部分12bにおいて芯金12のZ方向と直交する方向に切断した断面の断面積を、第2部分12bのZ方向に亘って平均化した断面積である。第3部分12cの平均断面積は、第3部分12cにおいて芯金12のZ方向と直交する方向に切断した断面の断面積を、第3部分12cのZ方向に亘って平均化した断面積である。
【0051】
第3平均断面積は、第1平均断面積及び第2平均断面積よりも大きい。第2平均断面積は、第1平均断面積よりも大きい。すなわち、第1平均断面積、第2平均断面積及び第3平均断面積は、以下の関係を満たす。
第1平均断面積<第2平均断面積<第3平均断面積
【0052】
本実施形態では、芯金12の断面積は、上端部側から下端部側に向かって徐々に大きくなる。すなわち、芯金12は、上端部側から下端部側に向かって先太りとなるテーパー状を呈している。図6(a)、図6(b)及び図6(c)に示されるように、第1部分12aの断面積A1、第2部分12bの断面積A2及び第3部分12cの断面積A3は、以下の関係を満たす。
A1<A2<A3
また、図6(d)に示されるように、連結部18の断面積A4は、第1部分12aの断面積A1、第2部分12bの断面積A2及び第3部分12cの断面積A3よりも大きい。すなわち、第1部分12aの断面積A1、第2部分12bの断面積A2、第3部分12cの断面積A3及び連結部18の断面積A4は、以下の関係を満たす。
A1<A2<A3<A4
【0053】
芯金12の断面積は、以下のようにして測定することができる。最初に、芯金12を、第1部分12a、第2部分12b及び第3部分12cに切断する。芯金12の切断には、例えば、シャーを用いることができる。次に、切断した第1部分12a、第2部分12b及び第3部分12cを硬化樹脂で樹脂埋め(樹脂で被覆)する。硬化樹脂としては、例えば、エピコート:テトラエチレンペンタミン=4:1を用いることができる。続いて、樹脂埋めした第1部分12a、第2部分12b及び第3部分12cのそれぞれを、例えば中央の位置において、Z方向と直交する方向に切断する。第1部分12a、第2部分12b及び第3部分12cの切断には、例えば、ダイヤモンドカッターを用いることができる。
【0054】
続いて、切断面を上記硬化樹脂で樹脂埋めし、当該切断面を研磨紙で2000番手まで研磨する。切断面の研磨後、マイクロスコープ(キーエンス製:VHX-1000)で切断面を観察し、断面積を測定する。断面積の測定には、上記マイクロスコープに付属の面積測定ソフトを用いることができる。断面積は、第1部分12a、第2部分12b及び第3部分12cの断面形状に類似(近似)する任意の図形(例えば、円形)の面積を用いて測定してもよい。
【0055】
鉛蓄電池1の状態(組立て後の状態)から芯金12の断面積を測定する場合には、鉛蓄電池1を解体して正極10を取り出し、流水中で24時間水洗して、正極10中の硫酸を洗い流す。続いて、水中から正極10を取り出し、60℃の乾燥機で72時間乾燥する。そして、乾燥後の正極10から、芯金12の断面積を上記と同様の手順で測定する。なお、本実施形態では、芯金12に腐食が発生している場合、腐食部分も断面積の一部として測定する。つまり、腐食部分も含めて、芯金12の断面積として測定する。
【0056】
本実施形態の芯金12の第1部分12a、第2部分12b及び第3部分12cのそれぞれの断面積の測定結果を表1に示す。
【表1】

表1では、第1部分12a、第2部分12b及び第3部分12cのそれぞれについて、平均値(N=10)を示している。表1に示されるように、芯金12の断面積は、上端部側から下端部側に向かって徐々に大きくなっている。すなわち、第1部分12aの断面積A1、第2部分12bの断面積A2及び第3部分12cの断面積A3は、上記の関係(A1<A2<A3)を満たしている。
【0057】
芯金12の直径は、上端部側から下端部側に向かって徐々に大きくなる。図6(a)、図6(b)及び図6(c)に示されるように、第1部分12aの直径D1、第2部分12bの直径D2及び第3部分12cの直径D3は、以下の関係を満たす。
D1<D2<D3
また、図6(d)に示されるように、連結部18の直径D4は、第1部分12aの直径D1、第2部分12bの直径D2及び第3部分12cの直径D3よりも大きい。すなわち、第1部分12aの直径D1、第2部分12bの直径D2、第3部分12cの直径D3及び連結部18の直径D4は、以下の関係を満たす。
D1<D2<D3<D4
【0058】
図7(a)、図7(b)及び図7(c)に示されるように、筒状体11の内径D5(内側面11sの径)は、筒状体11のZ方向(延在方向)に亘って略一定である。筒状体11の内径D5に対する芯金12の外径の比は、芯金12のZ方向の下端部側の方が上端部側よりも大きい。筒状体11の内径D5に対する第1部分12aの外径の比をR1、筒状体11の内径D5に対する第2部分12bの外径の比をR2、及び、筒状体11の内径D5に対する第3部分12cの外径の比をR3とした場合、以下の関係を満たす。
R1<R2<R3
【0059】
別の観点では、筒状体11の内側面11sと芯金12の外側面12sとの間の距離は、芯金12のZ方向の下端部側の方が上端部側よりも小さい。筒状体11の内側面11sと第1部分12aの外側面12sとの間の距離L11、筒状体11の内側面11sと第2部分12bの外側面12sとの間の距離L12、及び、筒状体11の内側面11sと第3部分12cの外側面12sとの間の距離L13は、以下の関係を満たす。
L11>L12>L13
【0060】
正極10では、筒状体11と芯金12との間に充填される正極材13の充填密度(かさ密度)は、芯金12の下端部側の方が上端部側よりも低い。言い換えれば、上記充填密度は、芯金12の上端部側の方が下端部側よりも高い。本実施形態では、第1部分12aにおける正極材13の充填密度は、第2部分12bにおける正極材13の充填密度よりも低い。第3部分12cにおける正極材13の充填密度は、第2部分12bにおける正極材13の充填密度よりも低い。すなわち、第1部分12aにおける正極材13の充填密度をPD1、第2部分12bにおける正極材13の充填密度をPD2、及び、第3部分12cにおける正極材13の充填密度をPD3とした場合、以下の関係を満たす。
PD1>PD2>PD3
【0061】
充填密度は、以下のようにして測定することができる。最初に、筒状体11に芯金12及び正極材13が充填された状態において、筒状体11及び芯金12を切断する。筒状体11及び芯金12の切断には、例えば、シャーを用いることができる。例えば、芯金12が第1部分12a、第2部分12b及び第3部分12cとなるように切断する。次に、第1部分12a、第2部分12b及び第3部分12cのそれぞれの例えば中央部分(所定範囲)から、正極材13を取り出す。続いて、取り出した正極材13を粉砕せずに、そのままの状態で細孔分布を測定する。これにより、測定結果として、各部の正極材13の充填密度(かさ密度)が得られる。
【0062】
なお、鉛蓄電池1の状態(組立て後の状態)から充填密度を測定する場合には、鉛蓄電池1を解体して正極10を取り出し、流水中で24時間水洗して、正極10中の硫酸を洗い流す。続いて、水中から正極10を取り出し、60℃の乾燥機で72時間乾燥する。そして、乾燥後の正極10から、充填密度を上記と同様の手順で測定する。
【0063】
以上に説明した鉛蓄電池1の製造方法は、電極を製造する電極製造工程と、各構成部材を組み立てて鉛蓄電池1を得る組立て工程と、を少なくとも含む。
【0064】
電極製造工程では、正極10を得る。電極製造工程は、筒状体11を形成する工程と、筒状体11の上端部に上部連座15を取り付ける工程と、芯金12を筒状体11内に挿入する工程と、正極材13を筒状体11内に充填する工程と、筒状体11の下端部を下部連座14により封止する工程と、を含む。芯金12を筒状体11内に挿入する工程では、筒状体11の上端部に上部連座15が取り付けられた状態で、上部連座15を介して、芯金12をその下端部から当該筒状体11内に挿入する。
【0065】
組立て工程では、例えば、セパレータ30を介して未化成の正極10及び未化成の負極20を積層すると共に、同極性の電極の集電部を接続部材で溶接させて電極群2を得る。電極群2を電槽3内に進入させて配置し、未化成の電池を作製する。未化成の電池に希硫酸を入れて直流電流を通電して電槽化成する。化成後の硫酸の比重を適切な比重に調整することにより鉛蓄電池1を得る。なお、化成処理は、組立て方法の後に実施されることに限られず、電極製造方法にて実施されてもよい(タンク化成)。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る鉛蓄電池1では、芯金12のZ方向の下端部側における平均断面積が、芯金12の上端部側における平均断面積よりも大きい。本実施形態では、芯金12をZ方向において一定の間隔で第1部分12a、第2部分12b及び第3部分12cに区画した場合、第1部分12a、第2部分12b及び第3部分12cの平均断面積は、下端部側に位置する部分の方が上端部側に位置する部分よりも大きい。これにより、鉛蓄電池1では、芯金12の下端部側において腐食が発生した場合であっても、芯金12が太く剛性を有するため、芯金12に破損が発生することを抑制できる。したがって、鉛蓄電池1では、信頼性の向上を図ることができる。
【0067】
本実施形態に係る鉛蓄電池1では、芯金12の断面積は、上端部側から下端部側に向かって徐々に大きくなっている。この構成では、上端部側から下端部側に向かって芯金12がテーパー状に太くなる。そのため、鉛蓄電池1では、芯金12の下端部側において腐食が発生した場合であっても、芯金12が太く剛性を有するため、芯金12に破損が発生することを効果的に抑制できる。
【0068】
別の観点では、本実施形態に係る鉛蓄電池1では、筒状体11の内側面11sの内径に対する芯金12の外径の比は、芯金12のZ方向の下端部側の方が上端部側よりも大きい。更に別の観点では、本実施形態に係る鉛蓄電池1では、筒状体11の内側面11sと芯金12の外側面12sとの間の距離は、芯金12のZ方向の下端部側の方が上端部側よりも小さい。これらの構成により、鉛蓄電池1では、芯金12の下端部側において腐食が発生した場合であっても、芯金12が太く剛性を有するため、芯金12に破損が発生することを抑制できる。したがって、鉛蓄電池1では、信頼性の向上を図ることができる。
【0069】
本実施形態に係る鉛蓄電池1では、芯金12のZ方向の下端部側における平均断面積を、芯金12の上端部側における平均断面積よりも大きくすることで、芯金12の下端部側の電気抵抗値を小さくすることができる。これにより、鉛蓄電池1の充電をし易くすることができる。
【0070】
本実施形態に係る鉛蓄電池1では、筒状体11と芯金12との間に充填される正極材13の充填密度は、芯金12の下端部側の方が上端部側よりも低くい。この構成では、芯金12の下端部側が腐食によって膨張した場合であっても、正極材13の充填密度が低いため、芯金12の膨張によって筒状体11が破損することを抑制できる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0072】
図8に示されるように、正極10は、突出部(集電体)19を更に備えていてもよい。突出部19は、芯金12に設けられ、芯金12の外側面よりも外側に突出する。突出部19は、一又は複数設けられていてもよい。突出部19は、例えば、円形状、楕円形状を呈している。
【0073】
上記実施形態では、電動車として、フォークリフト100を一例に説明した。しかし、電動車は、例えば、ゴルフカート等であってもよい。また、フォークリフト100に組電池200が搭載されている形態を一例に説明したが、鉛蓄電池1が搭載されていてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…鉛蓄電池、11…筒状体、11s…内側面、12…芯金(集電体)、12s…外側面、13…正極材(電極材)、16…耳部(集電体)、17…接続部材(集電体)、18…連結部(集電体)、19…突出部、100…フォークリフト(電動車)、200…組電池。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8