(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-19
(45)【発行日】2025-03-28
(54)【発明の名称】作業情報管理装置、作業情報管理プログラム、及び作業情報管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20250321BHJP
【FI】
G06Q50/02
(21)【出願番号】P 2020186296
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2023-02-20
【審判番号】
【審判請求日】2024-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【氏名又は名称】狩野 芳正
(72)【発明者】
【氏名】吉峰 拓海
(72)【発明者】
【氏名】宮内 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】近藤 拓也
【合議体】
【審判長】伊藤 隆夫
【審判官】篠塚 隆
【審判官】北元 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-004438(JP,A)
【文献】特開2019-082765(JP,A)
【文献】特開2021-043917(JP,A)
【文献】特開2019-109927(JP,A)
【文献】特開2013-233117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業が行われた圃場の作業領域を表す作業領域情報と、前記作業の作業種別を表す複数の作業種別情報とを関連付けて格納する記憶装置と、
前記複数の作業種別情報と前記作業領域情報とに基づき、前記複数の作業種別情報のうちの第1作業種別情報群の各々に対応する前記作業領域情報の表す前記作業領域が重複する第1重複領域を特定する演算装置と、
を備え、
前記第1重複領域は、前記作業に関する第1集計データを算出するときの領域を表す
作業情報管理装置。
【請求項2】
前記演算装置は、前記複数の作業種別情報と前記作業領域情報とに基づき、第2作業種別情報群の各々に対応する前記作業領域情報の表す前記作業領域が重複する第2重複領域を特定し、
前記第2重複領域は、前記作業に関する第2集計データを算出するときの領域を表し、前記第1重複領域と重ならない
請求項1に記載の作業情報管理装置。
【請求項3】
前記演算装置は、前記第1重複領域における前記第1集計データと、前記第2重複領域における前記第1集計データに対応する前記第2集計データとの違いを算出する
請求項2に記載の作業情報管理装置。
【請求項4】
前記記憶装置は、前記作業を行う登録圃場を表す情報を格納し、
前記演算装置は、前記第1重複領域のうちの前記登録圃場を含む前記作業領域を1つの領域に結合する
請求項1から3のいずれか1項に記載の作業情報管理装置。
【請求項5】
前記記憶装置は、前記作業を行う登録圃場を表す情報を格納し、
前記演算装置は、前記登録圃場の面積と、前記第1重複領域のうち前記登録圃場を含む前記作業領域の面積とに基づき、前記第1重複領域を含む前記作業領域を前記登録圃場に置き換える
請求項1から3のいずれか1項に記載の作業情報管理装置。
【請求項6】
前記作業種別情報は、前記作業で使用された又は得られた資材量を表す情報を含み、
前記演算装置は、前記資材量に基づき、前記第1重複領域における前記第1集計データを算出する
請求項1から5のいずれか1項に記載の作業情報管理装置。
【請求項7】
前記第1集計データは、前記第1重複領域において、前記作業で使用された資材量と、前記作業で得られた資材量との比を含む
請求項6に記載の作業情報管理装置。
【請求項8】
前記第1集計データは、単位面積当たりで使用された又は得られた前記資材量を含む
請求項6または7に記載の作業情報管理装置。
【請求項9】
前記演算装置は、
前記作業に使用される作業車両が前記作業を行っているときの稼働情報を取得し、
前記稼働情報に基づき、前記作業領域と前記作業種別とを特定する
請求項1から8のいずれか1項に記載の作業情報管理装置。
【請求項10】
前記演算装置は、前記第1重複領域に基づき、前記第1集計データを算出する
請求項1から9のいずれか1項に記載の作業情報管理装置。
【請求項11】
作業が行われた圃場の作業領域を表す作業領域情報と、前記作業の作業種別を表す複数の作業種別情報とを取得することと、
前記複数の作業種別情報と前記作業領域情報とに基づき、前記複数の作業種別情報のうちの第1作業種別情報群の各々に対応する前記作業領域情報の表す前記作業領域が重複する第1重複領域を特定することと、
を演算装置に実行させ、
前記第1重複領域は、前記作業に関する第1集計データを算出するときの領域を表す
作業情報管理プログラム。
【請求項12】
演算装置が、
作業が行われた圃場の作業領域を表す作業領域情報と、前記作業の作業種別を表す複数の作業種別情報とを取得することと、
前記複数の作業種別情報と前記作業領域情報とに基づき、前記複数の作業種別情報のうちの第1作業種別情報群の各々に対応する前記作業領域情報の表す前記作業領域が重複する第1重複領域を特定することと、
を含み、
前記第1重複領域は、前記作業に関する第1集計データを算出するときの領域を表す
作業情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業情報管理装置、作業情報管理プログラム、及び作業情報管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、栽培管理の分析に圃場における農作業に関する情報を用いることが研究されている。
【0003】
特許文献1には、特定の圃場を小領域に分割し、植付量、収穫量などの各種集計データを用いて、栽培管理の分析に使用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2015/0254800号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、特定の圃場内での集計データを算出するもので、圃場の形状が変更されることを考慮されていない。一般に、分筆、合筆により頻繁に圃場の形状は変更されるため、特許文献1に記載の技術では、圃場の形状を変更するたびに、登録されている圃場を変更する必要がある。
【0006】
上記の状況に鑑み、本開示は、登録されている圃場の形状によらず、集計データを算出する領域を特定することができる作業情報管理装置を提供することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0008】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業情報管理装置(100)は、記憶装置(140)と、演算装置(120)とを備える。記憶装置(140)は、作業が行われた圃場の作業領域(231)を表す作業領域情報(230)と、作業の作業種別(222)を表す複数の作業種別情報(220)とを関連付けて格納する。複数の作業種別情報(220)と作業領域情報(230)とに基づき、複数の作業種別情報(220)のうちの第1作業種別情報群の各々に対応する作業領域情報(230)の表す作業領域(231)が重複する第1重複領域(250)を特定する。第1重複領域(250)は、作業に関する第1集計データを算出するときの領域を表す。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業情報管理プログラム(300)は、作業が行われた圃場の作業領域(231)を表す作業領域情報(230)と、作業の作業種別(222)を表す複数の作業種別情報(220)とを取得することを演算装置(120)に実行させる。さらに、作業情報管理プログラム(300)は、複数の作業種別情報(220)と作業領域情報(230)とに基づき、複数の作業種別情報(220)のうちの第1作業種別情報群の各々に対応する作業領域情報(230)の表す作業領域(231)が重複する第1重複領域(250)を特定することとを演算装置(120)に実行させる。第1重複領域(250)は、作業に関する第1集計データを算出するときの領域を表す。
【0010】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業情報管理方法は、演算装置(120)が、作業が行われた圃場の作業領域(231)を表す作業領域情報(230)と、作業の作業種別(222)を表す複数の作業種別情報(220)とを取得することを含む。さらに、作業情報管理方法は、複数の作業種別情報(220)と作業領域情報(230)とに基づき、複数の作業種別情報(220)のうちの第1作業種別情報群の各々に対応する作業領域情報(230)の表す作業領域(231)が重複する第1重複領域(250)を特定することを含む。第1重複領域(250)は、作業に関する第1集計データを算出するときの領域を表す。
【発明の効果】
【0011】
上記の形態によれば、作業情報管理装置は、登録されている圃場の形状によらず、集計データを算出する領域を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施の形態における作業情報管理装置の概略図である。
【
図2】一実施の形態における作業データの構成を表す図である。
【
図3】一実施の形態において、作業ID「OP01」の作業領域を表す図である。
【
図4】一実施の形態において、作業ID「OP02」の作業領域を表す図である。
【
図5】一実施の形態において、作業ID「OP03」の作業領域を表す図である。
【
図6】一実施の形態における作業情報管理プログラムの構成を表す図である。
【
図7】一実施の形態における作業情報管理装置による処理を表すフローチャートである。
【
図8】一実施の形態における重複領域を表す図である。
【
図9】一実施の形態における重複領域を表す図である。
【
図10】一実施の形態における登録圃場を表す図である。
【
図11】一実施の形態において、作業情報管理装置による処理を表すフローチャートである。
【
図12】一実施の形態における重複領域を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
本発明の本実施の形態による作業情報管理装置100を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、
図1に示すように、作業情報管理装置100は、ネットワーク20、例えばインターネットを介して、端末10と、作業車両30と通信可能に接続されている。
【0014】
作業情報管理装置100は、作業車両30から圃場での稼働情報を取得して、取得した稼働情報に基づき、圃場で行われた作業の種類、例えば耕起、整地、元肥散布、植付、薬剤散布などを表す作業種別、作業時期、作業領域などを表す情報を格納する。稼働情報は、圃場で作業を行っているときの作業車両30の状態を表す情報を含み、例えば作業車両30の速度、操舵角、エンジン回転数、各種クラッチのON/OFF状態、作業車両30の各時刻の位置情報、作業期間などを含む。作業車両30が作業機械を牽引する車両、例えばトラクターであるとき、稼働情報には、作業機械に動力を伝達するときのPTO(power take-off)回転数、作業機械の姿勢を示すヒッチ高さやリフトアーム角度、資材施用量の設定値などを表す情報が含まれてもよい。
【0015】
作業情報管理装置100は、格納した作業種別、作業時期、作業領域などに基づき、作業に関する集計データ、例えば植付量、肥料散布量、収量、使用した燃料量、薬剤散布量などを算出する。算出された集計データは、端末10にネットワーク20を介して配信されて表示される。作業情報管理装置100は、特定される作業領域に応じて集計データを算出することで、精度の高い集計データを算出することができる。集計データは、単位面積当たりの植付量、肥料散布量、収量などを含んでもよい。集計データは、栽培管理の分析に用いられるデータ、例えば圃場の生産性に関するデータを含んでもよい。
【0016】
このように、作業情報管理装置100は、作業車両30から取得する稼働情報に基づき、圃場で行われた作業に関する作業情報を管理する作業情報管理方法を実行する。
【0017】
作業情報管理装置100は、入出力装置110と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。作業情報管理装置100は、例えば、コンピュータである。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置110は省略されてもよい。
【0018】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置130は、作業車両30から取得する稼働情報を演算装置120に転送する。また、演算装置120が生成した信号を端末10に転送する。通信装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0019】
記憶装置140は、圃場での作業に関する集計データを算出するための様々なデータ、例えば作業データ200と、作業情報管理プログラム300とを格納する。記憶装置140は、作業情報管理プログラム300を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。作業情報管理プログラム300は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0020】
作業データ200は、圃場の作業に関するデータを含む。例えば、作業データ200は、
図2に示すように、作業ID210と、作業種別情報220と、作業領域情報230とを含み、作業ID210と、作業種別情報220と、作業領域情報230とが関連付けられている。作業ID210は、例えば、圃場で行われた作業の単位を区別する拡張子であり、作業ID210に作業ごとに異なる値が設定される。作業種別情報220は圃場で行われた作業の内容を表し、作業領域情報230は作業が行われた圃場の作業領域を表す。1つの作業ID210は、作業領域情報230に表される作業領域に、作業種別情報220に表される1つの共通の作業が行われたことを表す。
【0021】
作業種別情報220は、例えば、作業期間221を表す情報と、作業種別222を表す情報と、作業実績223を表す情報とを含む。作業期間221は、圃場の作業を開始した時刻と終了した時刻とを表し、例えば、作業車両30が圃場に入った時刻と、圃場から出た時刻とを表す。作業種別222は、圃場で行った作業の種類、例えば耕起、整地、元肥施肥、植付、薬剤散布などを表す。作業種別222は、作業車両30から取得する稼働情報に基づき推定される。作業実績223は、作業において使用した資材量、例えば植付量、肥料の散布量を表す。また、作業実績223は、作業において得られた資材量、例えば収穫量を表す。作業実績223は、圃場の作業位置、例えば作業を行った領域をメッシュ状に分割した各分割領域で使用した又は得られた資材量を表してもよく、圃場の作業を行った領域の全体で使用した又は得られた資材量を表してもよい。
【0022】
作業領域情報230は、例えば、作業領域231を表す情報と、作業面積232を表す情報とを含む。作業領域231は、圃場の作業を行った領域の位置と形状とを表す。作業領域231は、1つ以上の領域を表してもよい。例えば、作業ID210が「OP01」で示されたA、Bは、
図3に示すように、2つに分けられた作業領域231Aと、作業領域231Bとを表してもよい。作業領域231Aと、作業領域231Bとは、作業ID210が同じ「OP01」である作業が行われた領域であるため、同じ作業、この場合「元肥施肥」が行われた領域を表す。また、作業領域231Aと作業領域231Bとは、使用した又は得られた単位面積当たりの資材量の差が所定の値より小さい領域を表してもよい。
図2に示す作業面積232は、圃場の作業を行った領域の面積を表し、作業ID210の場合、作業領域231Aの面積に、作業領域231Bの面積を加算した値を表す。なお、作業領域231の位置は、任意の表現、例えば緯度と経度とにより表される。
【0023】
ここでは、作業データ200に、
図2に示す作業ID210が「OP01」と、「OP02」と、「OP03」とを表すデータが格納されている例を用いて説明する。作業ID210が「OP01」で表された作業は、前述のとおり、作業種別222に表された「元肥施肥」である。作業実績223には、作業領域231Aと作業領域231Bとに散布された肥料の量が表されている。
【0024】
作業ID210が「OP02」で表された作業は、作業種別222に表された「植付」である。作業実績223には、作業領域231C~Fに植え付けられた植付量が表されている。作業領域231Cと作業領域231Dとは、
図4に示すように、作業領域231Aを2つに分けた領域を表す。例えば、作業領域231Cと作業領域231Dとが異なる時期、例えば午前と午後とに作業が行われたため、作業領域231Cと作業領域231Dとが分けられている。作業領域231Eと作業領域231Fとも、作業領域231Bを2つに分けた領域を表す。
【0025】
作業ID210が「OP03」で表された作業は、
図2に示すように、作業種別222に表された「薬剤散布」である。作業実績223には、作業領域231A、Eに散布された農薬の量が表されている。作業ID210が「OP03」で表された作業は、
図5に示すように、作業領域231Aと作業領域231Eとに農薬を散布し、作業領域231Fに農薬を散布していない。このため、
図2に示す作業データ200の作業面積232は、作業領域231Aの面積に作業領域231Eの面積を加算した値を表す。
【0026】
作業データ200は、
図1に示す演算装置120に読み出され、圃場での作業に関する集計データを算出するための様々なデータ処理に使用される。演算装置120は、作業情報管理プログラム300を記憶装置140から読み出し実行して、作業データ200に基づき集計データを算出する。例えば、演算装置120は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0027】
演算装置120は、作業情報管理プログラム300を実行することで、作業車両30から得られた稼働情報に基づき作業データ200に各種データを登録し、圃場での作業に関する集計データを算出する。作業情報管理プログラム300は、
図6に示すように、作業登録手段310と、領域特定手段320と、集計手段330とを演算装置120に実行させる。作業登録手段310により、演算装置120は、作業車両30から得られた稼働情報に基づき、作業種別情報220と作業領域情報230とを決定して、決定した作業種別情報220と作業領域情報230とを作業データ200に登録する。領域特定手段320により、演算装置120は、作業データ200に基づき、同じ作業が行われた領域を特定する。集計手段330により、演算装置120は、特定された領域において、集計データを算出する。
【0028】
(作業情報管理装置の動作)
作業情報管理装置100は、作業車両30から稼働情報を受信すると、作業データ200に作業種別情報220と作業領域情報230とを登録する。また、作業情報管理装置100は、作業データ200に基づき、
図7に示す処理により、圃場で行われた作業に関する集計データを算出する。
【0029】
作業情報管理装置100が作業データ200に作業種別情報220と作業領域情報230とを登録する方法を説明する。最初に、演算装置120は、作業車両30から得られた稼働情報に基づき、作業種別情報220と、作業領域情報230とを決定する。演算装置120は、作業車両30が起動、例えばエンジンが始動してから、作業車両30が停止、例えばエンジンが停止するまでの期間を、
図2に示す作業期間221として決定する。また、演算装置120は、作業車両30の作業を開始する時刻と終了する時刻と、例えば作業車両30に牽引される作業機械が駆動する時刻と停止する時刻とに基づき、作業期間221を決定してもよい。
【0030】
演算装置120は、作業種別情報220の作業種別222を、作業車両30の機種、または/および、作業車両30に牽引される作業機械の機種に基づき決定してもよい。例えば、記憶装置140は、作業車両30の機種、または/および、作業車両30に牽引される作業機械の種類と、作業種別222に表される作業とを関連付ける作業対応データを格納してもよい。演算装置120は、作業対応データに基づき、作業種別222を決定する。また、演算装置120は、機械学習により得られた実行エンジンを用いて、作業種別222を決定してもよい。この場合、実行エンジンは、稼働情報から作業種別222を決定するように、学習されている。
【0031】
演算装置120は、作業車両30の稼働情報、例えばPTO回転数、ヒッチ高さやリフトアーム角度、資材施用量の設定値などに基づき、作業実績223に表される資材量を算出する。資材量は、
図1に示す端末10にユーザにより入力されてもよい。この場合、端末10に入力された資材量は、ネットワーク20を介して、作業情報管理装置100に伝達される。作業情報管理装置100の演算装置120は、通信装置130を介して、資材量を取得する。なお、資材施用量は、作業車両30に設定される単位時間に散布される肥料の量、単位時間に散布される農薬の量、単位走行距離に植え付ける苗の量、または単位時間に散布する種の量などを表す。
【0032】
演算装置120は、作業車両30の位置情報に基づき、
図2に示す作業領域231を決定する。作業車両30は、測位装置、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機を備え、作業期間221に移動した各時刻の位置を表す位置情報を取得する。取得した位置情報は、作業車両30から作業情報管理装置100の演算装置120に伝達される。演算装置120は、取得した位置情報に基づき、作業領域231を決定する。例えば、作業領域231は、取得した位置情報に表される位置を含む任意の閉じた図形、例えば多角形、矩形などである例えば、作業領域231は、取得した位置情報のすべてを囲むような図形で表される。
【0033】
演算装置120は、作業面積232を、算出した作業領域231に基づき、算出する。
【0034】
演算装置120は、決定した作業種別情報220と、作業領域情報230とを作業データ200に登録する。例えば、演算装置120は、決定した作業種別情報220と、作業領域情報230とを1つの作業ID210として登録する。また、演算装置120は、作業種別情報220と、作業領域情報230とに基づき、1つの作業ID210に含まれるか、複数の作業ID210に分けるかを判定してもよい。例えば、1つの作業領域231において、メッシュ状に分割された各領域の作業実績223の分散値が所定の値よりも大きい場合、演算装置120は、作業種別情報220と、作業領域情報230とを2つの作業ID210に分けて登録してもよい。また、複数の作業領域231において算出された作業実績223の分散値が所定の値よりも小さい場合、演算装置120は、作業種別情報220と、作業領域情報230とを1つの作業ID210として登録してもよい。演算装置120は、作業種別情報220と、作業領域情報230とを、作業期間221に基づき、1つの作業ID210として登録しても、2つの作業ID210に分けて登録してもよい。なお、登録された作業データ200は、演算装置120の指示に基づき、記憶装置140に保持される。
【0035】
次に、作業情報管理装置100が、
図7に示す処理により、圃場で行われた作業に関する集計データを算出する方法を説明する。
図7に示す処理は、例えば、
図1に示す端末10から集計データを要求する要求信号を作業情報管理装置100の演算装置120が受信することで開始される。
【0036】
演算装置120は、
図7に示すステップS110において、複数の作業種別情報220と作業領域情報230とに基づき、複数の作業種別情報220に対応する作業領域231が重複する重複領域250を特定する。最初に、演算装置120は、記憶装置140から作業種別情報220と作業領域情報230とを含む作業データ200を取得する。演算装置120は、作業データ200の作業のうち、作業種別情報220が抽出条件を満たす作業種別情報群を抽出する。抽出条件は、集計データを算出する対象が満たすべき条件である。例えば、抽出条件は、作業期間221が所定の期間に含まれることでもよい。例えば、演算装置120は、
図2に示す「OP01」と、「OP02」と、「OP03」とを抽出条件を満たす作業種別情報群として抽出する。
【0037】
次に、演算装置120は、抽出した作業種別情報群において、作業領域231が重複する領域を特定する。例えば、演算装置120は、
図2に示す「OP01」と、「OP02」と、「OP03」とにおいて、作業領域231が重複する領域を特定する。
図4に示す作業領域231Cが
図3、5に示す作業領域231Aと重複するため、
図8に示すように、作業領域231Cは重複領域250に含まれる。同様に、
図4に示す作業領域231Dも、
図3、5に示す作業領域231Aと重複するため、重複領域250に含まれる。
図4に示す作業領域231Eは、
図3に示す作業領域231Bと、
図5に示す作業領域231Eと重複するため、重複領域250に含まれる。一方、
図4に示す作業領域231Fは、
図3に示す作業領域231Bに含まれるが、
図5に示すように、「OP03」の作業領域231に含まれない。このため、作業領域231Fは、
図8に示すように、重複領域250に含まれない。
【0038】
重複領域250は、圃場における作業に関する集計データを算出する領域の単位を表し、抽出条件を満たす作業種別情報群において、同様の作業を行った領域を統合した領域である。例えば、
図8に示す重複領域250は、
図2に示す「OP01」と「OP02」と「OP03」とにおいて作業を行った領域であり、「OP01」~「OP03」の期間において、同様の作業を行った領域である。重複領域250は、例えば、所定の期間において、作業データ200に登録された最も面積が小さい領域を組み合わせた領域である。
【0039】
また、作業領域231Fが「OP01」~「OP03」の期間において同様の作業を行った領域であるため、演算装置120は、
図9に示すように、
図8と異なる重複領域250として、作業領域231Fを特定してもよい。重複領域250は抽出条件を満たす作業種別情報群において共通の作業を行った領域である。このため、複数の重複領域250が特定されるとき、演算装置120は、互いに重ならないように重複領域250を特定する。
【0040】
具体的には、演算装置120は、抽出条件を満たす作業、例えば「OP01」~「OP03」の作業に対応する作業領域231に、特定された重複領域250、例えば
図8に示す重複領域250を除く領域が含まれるかを判定する。重複領域250を除く領域が含まれているとき、演算装置120は、既に特定された重複領域250を除いた領域について、新たな重複領域250を特定する。このように、演算装置120は、抽出条件を満たす作業に対応するすべての作業領域231が重複領域250の任意の1つに含まれるまで、重複領域250を特定する処理を繰り返してもよい。
【0041】
演算装置120は、
図7に示すステップS120において、作業種別情報220の作業実績223に基づき、特定した重複領域250を単位領域として、重複領域250ごとに集計データを算出する。演算装置120は、作業実績223が作業領域231内の位置に応じた資材量を表すとき、重複領域250に含まれる位置の資材量を抽出して集計データを算出する。例えば、演算装置120は、重複領域250に含まれる位置の資材量を合算して集計データを算出する。
【0042】
作業実績223が作業領域231の全体で使用した又は得られた資材量を表すとき、演算装置120は、この作業に対応する作業領域231と重複領域250との面積比に基づき、集計データに用いる資材量を算出してもよい。例えば、「OP02」に対応する作業について集計データに用いる資材量を算出するとき、演算装置120は、重複領域250に対応する作業領域231Cの面積と作業領域231Dの面積と作業領域231Eの面積とを合算した重複領域250の面積を算出する。また、演算装置120は、「OP02」で作業を行った領域の面積として、作業データ200から「OP02」に対応する作業面積232を抽出する。演算装置120は、作業面積232に対する重複領域250の面積の割合を、作業実績223に表された資材量に乗算して集計データに用いる資材量を算出する。
【0043】
このように、作業情報管理装置100の演算装置120は、共通の作業が実際に行われた領域単位で集計データを算出することができる。このため、集計データは、使用した資材量と得られた資材量との比、例えば肥料の散布量に対する収穫量の比、使用した燃料に対する収穫量の比などを含んでもよく、作業に対する生産性を表す情報を含み得る。また、演算装置120は、ある重複領域250における集計データと、その集計データに対応する他の重複領域250における集計データとの違い、例えば差、比などを算出してもよい。ユーザは、例えば異なる重複領域250における集計データの比、例えば収穫量の比を確認することで、作業の違いによる収穫量の違いを分析することができる。
【0044】
なお、作業登録手段310は、作業データ200に作業種別情報220と作業領域情報230とを登録して保持する処理を演算装置120に実行させる。領域特定手段320は、ステップS110の処理を演算装置120に実行させる。集計手段330は、ステップS120の処理を演算装置120に実行させる。
【0045】
演算装置120は、算出した集計データを表す集計信号を、
図1に示す端末10からの要求に応じて、端末10に送信する。端末10は、受信した集計信号に基づき集計データを表示する。これにより、ユーザは、共通の作業が行われた領域単位での集計データを閲覧することができる。なお、端末10には、集計データを表示するための専用ソフトウェアがインストールされてもよく、集計データを表示するための汎用的な表示用ソフトウェア、例えばWebブラウザがインストールされてもよい。
【0046】
(実施の形態2)
作業情報管理装置100には、作業車両30が作業を行う圃場の領域として登録圃場260が登録されていてもよい。作業情報管理装置100は、重複領域250に表された一部の領域が登録圃場260に含まれているとき、登録圃場260に含まれている領域を1つの領域に統合してもよい。この場合、作業情報管理装置100の記憶装置140は、登録圃場260の領域を表す情報を格納する。
図10に示すように、登録圃場260が作業領域231Aとして登録されている例を説明する。なお、登録圃場260を表す情報は、例えば端末10から入力されて、ネットワーク20を介して端末10から作業情報管理装置100に伝達され、作業情報管理装置100の記憶装置140に格納される。
【0047】
作業情報管理装置100の詳細な構成は、実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
【0048】
作業情報管理装置100は、作業車両30から稼働情報を受信すると、作業データ200に作業種別情報220と作業領域情報230とを登録する。また、作業情報管理装置100は、作業データ200に基づき、
図11に示す処理により、圃場で行われた作業に関する集計データを算出する。作業情報管理装置100が作業データ200に作業種別情報220と作業領域情報230とを登録する方法は、実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
【0049】
作業情報管理装置100が、
図11に示す処理により、圃場で行われた作業に関する集計データを算出する方法を説明する。
図11に示す処理は、例えば、実施の形態1と同様に、
図1に示す端末10から集計データを要求する要求信号を作業情報管理装置100の演算装置120が受信すると開始する。
【0050】
ステップS110の処理は、実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
【0051】
ステップS110の処理により重複領域250が特定されると、演算装置120は、ステップS112において、登録圃場260に含まれる重複領域250を抽出領域として抽出する。例えば、
図8に示す重複領域250のうち、作業領域231Cと作業領域231Dとが、
図10に示す登録圃場260の作業領域231Aに重複する。このため、演算装置120は、作業領域231Cと作業領域231Dとを抽出する。
【0052】
ステップS114において、演算装置120は、登録圃場260の面積に対する抽出領域の面積の比が所定の値以上であるかを判定する。演算装置120は、登録圃場260の面積と抽出領域の面積との比が所定の値以上であるとき、ステップS116の処理を実行する。演算装置120は、登録圃場260の面積と抽出領域の面積との比が所定の値より小さいとき、ステップS120の処理を実行する。
【0053】
演算装置120は、登録圃場260の面積と抽出領域の面積との比を算出する。例えば、演算装置120は、重複領域250から抽出した作業領域231Cの面積と作業領域231Dの面積とを合算して、抽出領域の面積を算出する。また、演算装置120は、登録圃場260の面積として、作業領域231Aの面積を算出する。抽出領域の面積を登録圃場260の面積で除算することで、登録圃場260の面積と抽出領域の面積との比が算出される。算出された比に基づき、演算装置120は次に実行する処理を決定する。なお、登録圃場260の面積は、予め記憶装置140に格納されていてもよい。
【0054】
ステップS116において、演算装置120は、抽出領域を統合して、新たな重複領域250を修正する。例えば、演算装置120は、抽出した作業領域231Cと作業領域231Dとを統合して、
図12に示すように、重複領域250を作業領域231Aと作業領域231Eとに変更する。
【0055】
図11に示すステップS120は、実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
【0056】
このように、重複領域250に含まれる作業領域231を統合することで、データサイズを小さくすることができる。なお、領域特定手段320は、ステップS112~S116の処理を演算装置120に実行させる。
【0057】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。ステップS110における抽出条件は、予め決められた期間に、作業期間221が含まれることでもよい。例えば、演算装置120は、集計データの要求信号を受信したときから所定の期間だけ以前の時刻までを含む作業を作業データ200から抽出して重複領域250を特定してもよい。より具体的には、演算装置120は、過去1年分の作業を作業データ200から抽出して重複領域250を特定してもよい。
【0058】
また、ステップS110における抽出条件は、予め決められた1つ以上の種類に作業種別222が含まれることでもよい。演算装置120は、例えば、農作業の順番に応じた作業種別222に該当する作業を抽出する。例えば、抽出条件が「耕起」から「収穫」までの作業を表すとき、演算装置120は、「耕起」から「収穫」までの間に該当する作業種別222を抽出する。抽出した作業に基づき、重複領域250が特定される。
【0059】
抽出条件は、
図1に示す端末10から入力されてもよい。端末10は、入力された抽出条件を表す抽出信号を作業情報管理装置100に送信する。作業情報管理装置100の演算装置120は、受信した抽出信号に基づき、作業データ200から作業を抽出する。
【0060】
演算装置120は、ステップS116において、抽出領域を登録圃場260に置き換えてもよい。例えば、ステップS114における所定値が1に近いとき、例えば0.95以上のとき、抽出領域は登録圃場260に近似する。登録圃場260は予め設定された作業を行う領域を表し、抽出領域は作業車両30の稼働情報に基づき算出された領域を表す。このため、抽出領域には計測誤差が含まれることから、登録圃場260に置き換えることで、より精度の高い集計データを取得し得る。
【0061】
演算装置120は、ステップS114を省略してもよい。この場合、抽出領域は、その大きさによらず、統合される。この場合、演算装置120の処理負荷が低減される。
【0062】
演算装置120は、ステップS114において、登録圃場260の面積に対する抽出領域の面積の比が所定の第1値以上で、かつ、所定の第2値以下であるかを判定してもよい。演算装置120は、登録圃場260の面積と抽出領域の面積との比が第1値以上で、かつ、第2値以下であるとき、ステップS116の処理を実行する。演算装置120は、登録圃場260の面積と抽出領域の面積との比が第1値より小さいか、または、第2値より大きいとき、ステップS120の処理を実行する。この場合、演算装置120は、抽出領域が登録圃場260より大きいときでも、ステップS116を実行する。
【0063】
演算装置120は、ステップS112において、登録圃場260を含む1以上の作業領域231を抽出領域として抽出してもよい。
【0064】
作業情報管理装置100は、作業車両30の稼働情報を作業車両30から直接取得する例を示したが、これに限定されず、作業情報管理装置100が稼働情報を取得できれば、任意の構成を選択することができる。例えば、稼働情報は、作業車両30から端末10を介して作業情報管理装置100に伝達されてもよい。
【0065】
上記の実施の形態において、作業情報管理装置100がコンピュータである例を示したが、これに限定されない。例えば、演算装置120は、1以上のコンピュータを含んでもよい。この場合、複数のコンピュータの各々は、集計データを算出する処理の一部を実行してもよい。
【0066】
また、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 :記憶媒体
10 :端末
20 :ネットワーク
30 :作業車両
100 :作業情報管理装置
110 :入出力装置
120 :演算装置
130 :通信装置
140 :記憶装置
200 :作業データ
210 :作業ID
220 :作業種別情報
221 :作業期間
222 :作業種別
223 :作業実績
230 :作業領域情報
231 :作業領域
232 :作業面積
250 :重複領域
260 :登録圃場
300 :作業情報管理プログラム
310 :作業登録手段
320 :領域特定手段
330 :集計手段