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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-19
(45)【発行日】2025-03-28
(54)【発明の名称】ヘキサメチレンジアミンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 209/16 20060101AFI20250321BHJP
   C07C 211/12 20060101ALI20250321BHJP
   C07C 209/52 20060101ALI20250321BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20250321BHJP
   B01J 23/42 20060101ALI20250321BHJP
   B01J 23/755 20060101ALI20250321BHJP
   B01J 23/75 20060101ALI20250321BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20250321BHJP
【FI】
C07C209/16
C07C211/12
C07C209/52
B01J23/89 Z
B01J23/42 Z
B01J23/755 Z
B01J23/75 Z
C07B61/00 300
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021008235
(22)【出願日】2021-01-21
(65)【公開番号】P2022112398
(43)【公開日】2022-08-02
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】浦山 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】長刀 樹
(72)【発明者】
【氏名】森田 健太
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 隆介
【審査官】▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-523024(JP,A)
【文献】特表2017-502949(JP,A)
【文献】特公昭44-025562(JP,B2)
【文献】特公昭51-032601(JP,B1)
【文献】米国特許第5216152(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 209/16
C07C 211/12
C07C 209/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期表の第8族、第9族、第10族及び第11族元素の中から選ばれた1種類以上の金属元素を含む活性成分と担体とを含む固体触媒の存在下で、下記(i)及び(ii)から選ばれた一種類以上を含む原料とアンモニアとを反応させることを含むヘキサメチレンジアミンの製造方法であって、
前記固体触媒の活性成分が、白金と、コバルト及び/又はニッケルと、を含む、製造方法
(i)ヘキサメチレンイミン
(ii)ヘキサメチレンイミン、6-アミノヘキサノール、ヘキサメチレンジアミン、及び1,6-ヘキサンジオールからなる群から選ばれた1種以上の化合物の縮合体
【請求項2】
前記原料が1,6-ヘキサンジオール、6-アミノヘキサノール、及びヘキサメチレンジアミンからなる群から選ばれた1種類以上の化合物を更に含む請求項1に記載のヘキサメチレンジアミンの製造方法。
【請求項3】
前記原料を供給することを含む請求項1又は2に記載のヘキサメチレンジアミンの製造方法。
【請求項4】
前記原料が前記反応させることにより得られた反応液を精製して得られた回収液を含む請求項1~3のいずれか一項に記載のヘキサメチレンジアミンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘキサメチレンジアミンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘキサメチレンジアミンはナイロン原料として非常に有用なモノマーであり、主要な製造方法のひとつとして1,6-ヘキサンジオールのアミノ化反応が挙げられる。効率よくヘキサメチレンジアミンを製造するため、本アミノ化反応を促進する種々の触媒系が開発されてきた。
【0003】
特許文献1~5では、固体触媒により1,6-ヘキサンジオールをヘキサメチレンジアミンへと変換する技術が開示されている。また、特許文献1及び2ではラネーニッケル触媒を、特許文献3ではコバルトロッド触媒を、特許文献4はルテニウムを活性種とした金属担持触媒を、特許文献5はレニウムを触媒活性種とした合金担持触媒を使用した技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第3,215,742号明細書
【文献】米国特許第3,268,588号明細書
【文献】米国特許第3,270,059号明細書
【文献】米国特許第2,754,330号明細書
【文献】中国特許第106,810,454A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1,6-ヘキサンジオールのアミノ化反応系においては、例えば、ヘキサメチレンイミンや重合物(以下、「アミノ化副生物」という)が副生する。これらのアミノ化副生物をヘキサメチレンジアミンへと転化することができれば、反応系全体のヘキサメチレンジアミン収率を向上させることができるため、アミノ化副生物をヘキサメチレンジアミンへと転化する技術が求められる。さらに、上記のアミノ化副生物転化反応と1,6-ヘキサンジオールからヘキサメチレンジアミンへの転化反応とを同時に促進する、つまり、1,6-ヘキサンジオールとアミノ化副生物の混合原料よりヘキサメチレンジアミンを得る技術を開発することが効率的なヘキサメチレンジアミン製造を実現する鍵となる。
【0006】
特許文献1、2及び3では、活性の低い非担持型の卑金属触媒を機能させるため、いずれも13MPa以上の高圧下で当該反応を実施している。
【0007】
一方、特許文献4及び5では担持触媒を用いた技術が検討されているが、これらの触媒を用いたヘキサメチレンジアミンを得る反応において、アミノ化副生物の原料利用については検討されていない。
【0008】
そこで、本発明は、固体触媒により穏和な条件下で、高い選択率でヘキサメチレンジアミンを与える製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、本発明の課題を達成するために鋭意検討した結果、特定の固体触媒を用い、且つ、(i)ヘキサメチレンイミン、又は(ii)特定の縮合体を少なくとも含む原料を用いることで、取り扱いが容易かつ安定な触媒により穏和な条件下で、高い選択率でヘキサメチレンジアミンが得られることを見出した。
【0010】
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]
周期表の第8族、第9族、第10族及び第11族元素の中から選ばれた1種類以上の金属元素を含む活性成分と担体とを含む固体触媒の存在下で、下記(i)及び(ii)から選ばれた一種類以上を含む原料とアンモニアとを反応させることを含むヘキサメチレンジアミンの製造方法。
(i)ヘキサメチレンイミン
(ii)ヘキサメチレンイミン、6-アミノヘキサノール、ヘキサメチレンジアミン、及び1,6-ヘキサンジオールからなる群から選ばれた1種以上の化合物の縮合体
[2]
前記原料が1,6-ヘキサンジオール、6-アミノヘキサノール、及びヘキサメチレンジアミンからなる群から選ばれた1種類以上の化合物を更に含む[1]に記載のヘキサメチレンジアミンの製造方法。
[3]
前記原料を供給することを含む[1]又は[2]に記載のヘキサメチレンジアミンの製造方法。
[4]
前記原料が前記反応させることにより得られた反応液を精製して得られた回収液を含む[1]~[3]のいずれかに記載のヘキサメチレンジアミンの製造方法。
[5]
前記固体触媒の活性成分が、第8族、第9族、第10族及び第11族元素の中から選ばれた2種類以上の金属元素を含む[1]~[4]のいずれかに記載のヘキサメチレンジアミンの製造方法。
[6]
前記固体触媒の活性成分が白金族元素と鉄族元素のそれぞれから1種類以上の金属を含む[1]~[5]のいずれかに記載のヘキサメチレンジアミンの製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、固体触媒により穏和な条件下で、高い選択率でヘキサメチレンジアミンを選択的に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明について、以下具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施の形態(本実施形態)に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0013】
[ヘキサメチレンジアミンの製造方法]
本実施形態のヘキサメチレンジアミンの製造方法は、周期表の第8族、第9族、第10族及び第11族元素の中から選ばれた1種類以上の金属元素を含む活性成分と担体で構成された触媒(以下、単に「固体触媒」ともいう。)の存在下で、下記(i)及び(ii)から選ばれた一種類以上を含む原料とアンモニアとを反応させること(以下、「反応工程」ともいう)を含む。
(i)ヘキサメチレンイミン
(ii)ヘキサメチレンイミン、6-アミノヘキサノール、ヘキサメチレンジアミン、及び1,6-ヘキサンジオールからなる群から選ばれた1種以上の化合物の縮合体
【0014】
本実施形態では、(i)ヘキサメチレンイミン、又は(ii)特定の縮合体を少なくとも含む原料を用いることで特定の固体触媒により穏和な条件下で、高い選択率でヘキサメチレンジアミンが得られる。なお、高い選択率が得られる要因は、特定の固体触媒の存在下、アミノ化副生物の系内濃度を大きくすることでアミノ化副生物からヘキサメチレンジアミンへの変換反応の反応速度を向上させ、ヘキサメチレンジアミンのアミノ化副生物への変換反応を抑えるためと考えられるが、要因はこれに限定されない。
【0015】
[1]反応工程
反応工程は、固体触媒の存在下で、(i)ヘキサメチレンイミン、又は(ii)特定の縮合体を含む原料とアンモニアとを反応させる工程である。本実施形態の反応工程は、回分式、半回分式、連続式等の慣用の方法により行うことができる。本実施形態のヘキサメチレンジアミンの製造方法は、上述の原料を供給すること(以下「供給工程」ともいう)を含んでいてもよい。また、本実施形態のヘキサメチレンジアミンの製造方法はヘキサメチレンジアミンを精製すること(以下「分離工程」ともいう)を含んでもよい。分離工程における方法としては、例えば、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶等の分離方法や、これらを組み合わせた分離方法が用いられる。
【0016】
[2]原料
本実施形態におけるヘキサメチレンジアミンの原料は、下記(i)及び(ii)から選ばれた一種類以上を含む原料を含む。
(i)ヘキサメチレンイミン
(ii)ヘキサメチレンイミン、6-アミノヘキサノール、ヘキサメチレンジアミン、及び1,6-ヘキサンジオールからなる群から選ばれた1種以上の化合物の縮合体
【0017】
上述の(i)ヘキサメチレンイミン、及び(ii)特定の縮合体は、1,6-ヘキサンジオールのアミノ化反応により得られるアミノ化副生物に含まれることがある。(ii)の縮合体としては、上述の化合物からアンモニア又は水の脱離をともなって生成される多量体が挙げられる。
【0018】
本実施形態で用いられる追加の原料としては、例えば、1,6-ヘキサンジオール、6-アミノヘキサノール、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。また、特に限定するわけではないが、収率に優れる観点から、原料が固体触媒による反応工程より得られた反応液を精製して得られた回収液を含むことが好ましい。
【0019】
アンモニアの添加量は、反応速度及び安全性に優れる観点から、例えば、原料に対して、2~500当量であることが好ましく、2~150当量であることがより好ましく、2~100当量であることが更に好ましい。
【0020】
[3]固体触媒
本実施形態のヘキサメチレンジアミンの製造方法においては、固体触媒を使用する。固体触媒は、周期表の第8族、第9族、第10族及び第11族元素の中から選ばれた1種類以上の金属元素を含む活性成分と担体とを含む。これらの固体触媒は、穏和な条件下で、且つ、高い選択率でヘキサメチレンジアミンを与える。
【0021】
活性成分とは、触媒調製工程によって担体上に新たに担持された元素を示す。担体にもとより含まれる元素と活性成分が同種の元素の場合も、触媒調製工程によって担持された部分を活性成分とする。
【0022】
活性成分として含まれる金属元素は第8族、第9族、第10族及び第11族元素の中から選ばれた1種類以上の金属元素である。活性成分は、金属カチオン、金属錯体及びナノ粒子等の状態で触媒担体に固定化され、この中でも、触媒活性に優れる観点から、ナノ粒子であることが好ましい。
【0023】
活性成分は、目的物であるヘキサメチレンジアミンへの選択性に優れる観点から、第8族、第9族、第10族及び第11族元素の中から選ばれた2種類以上の金属元素を含むことが好ましい。この中でも、選択性に優れる観点から、白金族元素(ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、及び白金)と、鉄族元素(鉄、ニッケル、コバルト)のそれぞれから1種類以上の金属元素を含むことがより好ましい。
【0024】
活性成分の含有量は、担体の重量に対して、好ましくは0.5~50wt%であり、触媒活性に優れる観点から、より好ましくは1~40wt%である。
なお、金属元素の含有量については、担体の重量を100wt%とした場合の各金属のwt%を示している。例えば、10wt%M1*5wt%M2/担体と表記される触媒は、M1:M2:担体=10:5:100の重量比を有する。
また、固体触媒における金属元素等の含有量は蛍光X線装置を使用した検量線法で測定する。蛍光X線装置としては、例えば、リガク社製「ZSXPrimusII」が用いられる。
【0025】
担体としては、例えば、金属酸化物や炭素質担体から任意のものを使用することができる。このような担体としては、例えば、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化ニオブ、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化バリウム、窒化チタン、アルミナ、シリカ、ゼオライト、シリカアルミナ、イットリア安定化ジルコニア、セリア-ジルコニア固溶体、酸化ランタン-ジルコニア固溶体、ヒドロキシアパタイト、ハイドロタルサイト、有機ポリマー、活性炭などが挙げられ、この中でも、触媒活性に優れる観点から、酸化チタン、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、アルミナ、イットリア安定化ジルコニア、セリア-ジルコニア固溶体、酸化ランタン-ジルコニア固溶体が好ましく、酸化チタン、酸化ジルコニウム、アルミナ、イットリア安定化ジルコニア、セリア-ジルコニア固溶体、酸化ランタン-ジルコニア固溶体がより好ましい。
【0026】
固体触媒は、公知の方法で調製してもよい。金属の触媒担体への担持方法としては、特に限定するわけではないが、例えば、析出沈殿法、含浸法、イオン交換法などが適用可能である。
【0027】
[4]還元処理工程
本実施形態のヘキサメチレンジアミンの製造方法は、反応工程の前に、好ましくは、固体触媒の還元処理をすること(以下、「還元処理工程」ともいう)を含む。固体触媒は、大気下で安定であるため、還元などの前処理を行わずに反応に用いることができるが、触媒安定性に優れる観点から、反応前に還元処理を行い、還元処理の後に固体触媒を酸素に曝露することなく反応工程に用いることが好ましい。「還元処理」とは、触媒調製の後、固体触媒を還元剤により処理することをいう。還元処理工程における還元剤は、例えば、水素、金属水素化物、アンモニア、尿素、一酸化炭素などが挙げられるが、触媒活性に優れる観点から、水素を使用することが好ましい。
【0028】
[5]反応生成物
本実施形態のヘキサメチレンジアミンの製造方法は、反応工程によりヘキサメチレンジアミンを含む反応混合物を得ることができる。
【0029】
[6]反応条件
固体触媒の使用量としては、反応後の固体触媒の分離性に優れる観点から、例えば、1,6-ヘキサンジオール100質量部に対して5~1000質量部であることが好ましく、10~750質量部であることがより好ましく、20~500質量部であることが更に好ましい。
【0030】
反応温度としては、例えば、0~300℃であることが好ましく、50~270℃であることがより好ましく、120~250℃であることが更に好ましい。
【0031】
反応全圧としては、反応速度及び安全性に優れる観点から、好ましくは10MPaG以下(例えば、0.1~10.0MPaG)、より好ましくは0.5~7.5MPaG、特に好ましくは0.5~5.0MPaGである。
【0032】
[7]水素圧力
本実施形態のヘキサメチレンジアミンの製造方法においては、例えば、原子効率に優れる観点から、水素非共存下で行うことが好ましい。ただし、水素共存下においても実施することができ、水素の圧力としては、反応速度及び安全性に優れる観点から、例えば、絶対圧力表示で、0~10.0MPaであることが好ましく、0~5.0MPaであることがより好ましく、0~1.0MPaであることが更に好ましい。
【0033】
[8]溶媒
本実施形態のヘキサメチレンジアミンの製造方法では、例えば、反応工程においてアンモニア分子を溶解する溶媒を使用することが好ましい。このような溶媒としては、例えば、水、炭化水素系溶媒(例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、デカン)、エーテル系溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン)、アルコール系溶媒(エチレングリコール、エタノール、メタノール、t-ブタノール)、アミド系溶媒(ジメチルアセトアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン)、ハロゲン系溶媒(ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリフルオロトルエン)などが挙げられる。
【0034】
溶媒量(溶媒の添加量)は、気体アンモニアの吸収効率に優れる観点から、反応系内のアンモニアを溶解させる十分な量が好ましく、例えば、原料100質量部に対して、50質量部以上であり、好ましくは100~10000質量部、より好ましくは100~2500質量部である。
【実施例
【0035】
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に記載の実施例によって制限されるものではない。なお、以下の表中では1,6-ヘキサンジオールをHDL、ヘキサメチレンジアミンをHMD、ヘキサメチレンイミンをHMI、6-アミノヘキサノールをAHLとそれぞれ略記した。
【0036】
(蛍光X線分析)
装置:リガク社製、蛍光X線分析装置(ZSXPrimusII)
条件:検量線法
・各触媒調製時に使用したacac錯体、塩化物、又は硝酸塩などを標準物質として用い、各触媒調製時に使用した担体と混合し、標準試料を作成した。前記標準試料を用いて、蛍光X線分析を行い、検量線を作成した。
・検量線作成用の標準試料は、実施例および比較例に記載する各触媒の上限を超える濃度範囲となるように調製した。
【0037】
(GC分析)
装置 島津製作所製 GC-2010plus
カラム CP-Volamine
条件 インジェクション温度:200℃、ディテクション温度:300℃
キャリアガス:窒素(カラム流量70.8ml/min、SP比50)
昇温速度:80℃~(15℃/min)~150℃(31分保持)~
(10℃/min)~210℃(3.3分保持)~
(15℃/min)~290℃(2.7分保持)
内標 アニソール
【0038】
[実施例1]
触媒調製:塩化白金酸と硝酸コバルト六水和物を水溶媒に溶解させた後、ジルコニア担体(第一稀元素化学工業社製品 RC-100)に含浸法で担持させた。得られた粉末を300℃で2時間空気焼成した後、水素流通下、300℃で2時間加熱した。その後、粉末を大気下で回収し、10wt%Co*2.5wt%Pt/ZrO2を得た。触媒の金属担持量は蛍光X線装置を使用した検量線法で測定した。
【0039】
回収液の調製:耐圧反応器に10wt%Co*2.5wt%Pt/ZrO2を1.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール2.0g、アンモニアを1,6-ヘキサンジオールに対して64当量加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。この時、ヘキサメチレンジアミンの収率は30mol%、選択率は39mol%であった。本反応の反応液を蒸留することにより、水、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンイミンを除去した回収液を得た。ここでは、回収液よりヘキサメチレンイミンを除去しないことが好ましいが、ヘキサメチレンイミンはヘキサメチレンジアミンと比較して沸点が低いため、蒸留により除去される。
【0040】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Co*2.5wt%Pt/ZrO2を1.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理工程を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミンおよび上記で得た回収液を混合して得られた表1の組成の原料と、当該原料に対して64.9当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。生成物の収率はガスクロマトグラフィーを使用して内部標準法で測定した。表1に得られた反応後の組成を示した。本実施例では、54mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率40mol%、選択率74mol%で得られた。
【0041】
[実施例2]
回収液の調製:実施例1の反応液を蒸留することにより、水、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンイミンを除去した回収液を得た。
【0042】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Co*2.5wt%Pt/ZrO2を1.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミンおよび上記で得た回収液を混合して得られた表1の組成の原料と、当該原料に対して67.3当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。表1に得られた反応後の組成を示した。本実施例では、51mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率41mol%、選択率80mol%で得られた。
【0043】
【表1】
【0044】
[実施例3]
触媒調製:塩化ルテニウムと硝酸コバルト六水和物を水溶媒に溶解させた後、ジルコニア担体(第一稀元素化学工業社製品 RC-100)にアンモニアを使用した析出沈殿法で金属を担持させた。得られた粉末を大気下で回収し、10wt%Co*2.5wt%Ru/ZrO2を得た。
【0045】
回収液の調製:耐圧反応器に10wt%Co*2.5wt%Ru/ZrO2を1.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール2.0g、アンモニアを1,6-ヘキサンジオールに対して32当量加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。この時、ヘキサメチレンジアミンの収率は25mol%、選択率は31mol%であった。本反応の反応液を蒸留することにより、水、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンイミンを除去した回収液を得た。
【0046】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Co*2.5wt%Ru/ZrO2を1.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミンおよび上記で得た回収液を混合して得られた表2の組成の原料と、当該原料に対して32.1当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPaを充填した後、180℃で2時間反応を行った。表2に得られた反応後の組成を示した。本実施例では、46mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率31mol%、選択率67mol%で得られた。
【0047】
[実施例4]
回収液の調製:実施例3の反応液を蒸留することにより、水、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンイミンを除去した回収液を得た。
【0048】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Co*2.5wt%Ru/ZrO2を1.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミンおよび上記で得た回収液を混合して得られた表2の組成の原料と、当該原料に対して34.3当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。表2に得られた反応後の組成を示した。本実施例では、42mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率32mol%、選択率76mol%で得られた。
【0049】
[実施例5]
回収液の調製:実施例4の反応液を蒸留することにより、水、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンイミンを除去した回収液を得た。
【0050】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Co*2.5wt%Ru/ZrO2を1.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミンおよび上記で得た回収液を混合して得られた表2の組成の原料と、当該原料に対して31.3当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。表2に得られた反応液組成を示した。本実施例では、41mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率32mol%、選択率78mol%で得られた。
【0051】
【表2】
【0052】
[実施例6]
触媒調製:硝酸プラチナアンモニウムと硝酸ニッケル六水和物を水溶媒に溶解させた後、14wt%Y安定化ジルコニア担体(第一稀元素化学工業社製品 Z-2874)に含侵法で担持させた。得られた粉末を300℃で2時間空気焼成した後、水素流通下、300℃で2時間加熱した。その後、粉末を大気下で回収し、10wt%Ni*2.5wt%Pt/YSZを得た。
【0053】
回収液の調製:耐圧反応器に10wt%Ni*2.5wt%Pt/YSZを2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、160℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール4.0g、アンモニアを1,6-ヘキサンジオールに対して8.6当量加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、160℃で2時間反応を行った。この時、ヘキサメチレンジアミンの収率は15mol%、選択率は21mol%であった。本反応の反応液を蒸留することにより、水、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンイミンを除去した回収液を得た。
【0054】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Ni*2.5wt%Pt/YSZを2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、160℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミンおよび上記で得た回収液を混合して得られた表3の組成の原料と、当該原料に対して8.6当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、160℃で2時間反応を行った。表3に得られた反応液組成を示した。本実施例では、30mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率19mol%、選択率63mol%で得られた。
【0055】
[実施例7]
回収液の調製:実施例6の反応液を蒸留することにより、水、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンイミンを除去した回収液を得た。
【0056】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Ni*2.5wt%Pt/YSZを2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、160℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミンおよび上記で得た回収液を混合して得られた表3の組成の原料と、当該原料に対して8.4当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、160℃で2時間反応を行った。表3に得られた反応液組成を示した。本実施例では、32mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率20mol%、選択率63mol%で得られた。
【0057】
[実施例8]
回収液の調製:実施例7の反応液を蒸留することにより、水、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンイミンを除去した回収液を得た。
【0058】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Ni*2.5wt%Pt/YSZを2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、160℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミンおよび上記で得た回収液を混合して得られた表3の組成の原料と、当該原料に対して8.6当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、160℃で2時間反応を行った。表3に得られた反応液組成を示した。本実施例では、22mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率19mol%、選択率86mol%で得られた。
【0059】
【表3】
【0060】
[実施例9]
触媒調製:塩化イリジウムと硝酸ニッケル六水和物を水溶媒に溶解させた後、14wt%Y安定化ジルコニア担体(第一稀元素化学工業社製品 Z-2874)に含侵法で担持させた。得られた粉末を300℃で2時間空気焼成した後、水素流通下、300℃で2時間加熱した。その後、粉末を大気下で回収し、10wt%Ni*2.5wt%Ir/YSZを得た。
【0061】
回収液の調製:耐圧反応器に10wt%Ni*2.5wt%Ir/YSZを2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール4.0g、アンモニアを1,6-ヘキサンジオールに対して33.2当量加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。この時、ヘキサメチレンジアミンの収率は20mol%、選択率は26mol%であった。本反応の反応液を蒸留することにより、水、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンイミンを除去した回収液を得た。
【0062】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Ni*2.5wt%Ir/YSZを2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミンおよび上記で得た回収液を混合して得られた表4の組成の原料と、当該原料に対して33.2当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。表4に得られた反応液組成を示した。本実施例では、47mol%の原料成分が消費されヘキサメチレンジアミンが収率33mol%、選択率70mol%で得られた。
【0063】
[実施例10]
回収液の調製:実施例9の反応液を蒸留することにより、水、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンイミンを除去した回収液を得た。
【0064】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Ni*2.5wt%Ir/YSZを2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理工程を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミンおよび上記で得た回収液を混合して得られた表4の組成の原料と、当該原料に対して33.6当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。表4に得られた反応液組成を示した。本実施例では、46mol%の原料成分が消費されヘキサメチレンジアミンが収率36mol%、選択率78mol%で得られた。
【0065】
【表4】
【0066】
[実施例11]
触媒調製:塩化ルテニウムと塩化白金酸を水溶媒に溶解させた後、ジルコニア担体(第一稀元素化学工業社製品 RC-100)に含侵法で担持させた。得られた粉末を300℃で2時間空気焼成した後、水素流通下、300℃で2時間加熱した。その後、粉末を大気下で回収し、5wt%Ru*5wt%Pt/ZrO2を得た。
【0067】
回収液の調製:耐圧反応器に5wt%Ru*5wt%Pt/ZrO2を2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール4.0g、アンモニアを1,6-ヘキサンジオールに対して33.5当量加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。この時、ヘキサメチレンジアミンの収率は22mol%、選択率は28mol%であった。本反応の反応液を蒸留することにより、水、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンイミンを除去した回収液を得た。
【0068】
反応評価:耐圧反応器に5wt%Ru*5wt%Pt/ZrO2を2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミンおよび上記で得た回収液を混合して得られた表5の組成の原料と、当該原料に対して33.1当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で4時間反応を行った。表5に得られた反応液組成を示した。本実施例では、40mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率25mol%、選択率63mol%で得られた。
【0069】
[実施例12]
触媒調製:塩化ルテニウムと塩化金酸を水溶媒に溶解させた後、ジルコニア担体(第一稀元素化学工業社製品 RC-100)に含侵法で担持させた。得られた粉末を300℃で2時間空気焼成した後、水素流通下、300℃で2時間加熱した。その後、粉末を大気下で回収し、5wt%Au*5wt%Ru/ZrO2を得た。
【0070】
回収液の調製:耐圧反応器に5wt%Au*5wt%Ru/ZrO2を2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール4.0g、アンモニアを1,6-ヘキサンジオールに対して33.9当量加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。この時、ヘキサメチレンジアミンの収率は21mol%、選択率は28mol%であった。本反応の反応液を蒸留することにより、水、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンイミンを除去した回収液を得た。
【0071】
反応評価:耐圧反応器に5wt%Au*5wt%Ru/ZrO2を2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミンおよび上記で得た回収液を混合して得られた表5の組成の原料と、当該原料に対して34.3当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で4時間反応を行った。表5に得られた反応液組成を示した。本実施例では、40mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率24mol%、選択率60mol%で得られた。
【表5】
【0072】
[実施例13]
触媒調製:塩化ルテニウムを水溶媒に溶解させた後、ジルコニア担体(第一稀元素化学工業社製品 RC-100)に含侵法で担持させた。得られた粉末を300℃で2時間空気焼成した後、水素流通下、300℃で2時間加熱した。その後、粉末を大気下で回収し、5wt%Ru/ZrO2を得た。
【0073】
回収液の調製:耐圧反応器に5wt%Ru/ZrO2を2.0g、1,6-ヘキサンジオール4.0g、アンモニアを1,6-ヘキサンジオールに対して65.9当量加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。この時、ヘキサメチレンジアミンの収率は26mol%、選択率は36mol%であった。本反応の反応液を蒸留することにより、水、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンイミンを除去した回収液を得た。
【0074】
反応評価:耐圧反応器に5wt%Ru/ZrO2を2.0g、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミンおよび上記で得た回収液を混合して得られた表6の組成の原料と、当該原料に対して64.9当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。表6に得られた反応液組成を示した。本実施例では、54mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率33mol%、選択率61mol%で得られた。
【0075】
[実施例14]
触媒調製:硝酸ニッケル六水和物を水溶媒に溶解させた後、ジルコニア担体(第一稀元素化学工業社製品 RC-100)に含侵法で担持させた。得られた粉末を300℃で2時間空気焼成した後、水素流通下、300℃で2時間加熱した。その後、粉末を大気下で回収し、10wt%Ni/ZrO2を得た。
【0076】
回収液の調製:耐圧反応器に10wt%Ni/ZrO2を2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール4.0g、アンモニアを1,6-ヘキサンジオールに対して63.1当量加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で8時間反応を行った。この時、ヘキサメチレンジアミンの収率は23mol%、選択率は25mol%であった。本反応の反応液を蒸留することにより、水、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンイミンを除去した回収液を得た。
【0077】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Ni/ZrO2を2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミンおよび上記で得た回収液を混合して得られた表6の組成の原料と、当該原料に対して66.3当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で8時間反応を行った。表6に得られた反応液組成を示した。本実施例では、44mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率33mol%、選択率75mol%で得られた。
【0078】
[実施例15]
触媒調製:硝酸コバルト六水和物を水溶媒に溶解させた後、ジルコニア担体(第一稀元素化学工業社製品 RC-100)に含侵法で担持させた。得られた粉末を300℃で2時間空気焼成した後、水素流通下、300℃で2時間加熱した。その後、粉末を大気下で回収し、10wt%Co/ZrO2を得た。
【0079】
回収液の調製:耐圧反応器に10wt%Co/ZrO2を2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール4.0g、アンモニアを1,6-ヘキサンジオールに対して63.1当量加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で8時間反応を行った。この時、ヘキサメチレンジアミンの収率は25mol%、選択率は28mol%であった。本反応の反応液を蒸留することにより、水、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンイミンを除去した回収液を得た。
【0080】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Co/ZrO2を2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミンおよび上記で得た回収液を混合して得られた表6の組成の原料と、当該原料に対して65.3当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で8時間反応を行った。表6に得られた反応液組成を示した。本実施例では、40mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率32mol%、選択率80mol%で得られた。
【0081】
【表6】
【0082】
[実施例16]
触媒調製:実施例1と同様の調製法で10wt%Co*2.5wt%Pt/ZrO2を得た。
【0083】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Co*2.5wt%Pt/ZrO2を2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミン、6-アミノヘキサノール、ヘキサメチレンジアミン重合体(ビスヘキサメチレントリアミン)を混合して得られた表7の組成の原料と、当該原料に対して64.9当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。表7に得られた反応液組成を示した。本実施例では、49mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率36mol%、選択率73mol%で得られた。
【0084】
[実施例17]
触媒調製:実施例6と同様の調製法で10wt%Ni*2.5wt%Pt/YSZを得た。
【0085】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Ni*2.5wt%Pt/YSZを2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミン、6-アミノヘキサノール、ヘキサメチレンジアミン重合体(ビスヘキサメチレントリアミン)を混合して得られた表7の組成の原料と、当該原料に対して34.0当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。表7に得られた反応液組成を示した。本実施例では、47mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率39mol%、選択率83mol%で得られた。
【0086】
[実施例18]
触媒調製:実施例9と同様の調製法で10wt%Ni*2.5wt%Ir/YSZを得た。
【0087】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Ni*2.5wt%Ir/YSZを2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、160℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミン、6-アミノヘキサノール、ヘキサメチレンジアミン重合体(ビスヘキサメチレントリアミン)を混合して得られた表7の組成の原料と、当該原料に対して9.1当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、160℃で2時間反応を行った。表7に得られた反応液組成を示した。本実施例では、31mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率21mol%、選択率68mol%で得られた。
【0088】
[実施例19]
触媒調製:実施例11と同様の調製法で5wt%Ru*5wt%Pt/ZrO2を得た。
【0089】
反応評価:耐圧反応器に5wt%Ru*5wt%Pt/ZrO2を2.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、1,6-ヘキサンジオール、ヘキサメチレンイミン、6-アミノヘキサノール、ヘキサメチレンジアミン重合体(ビスヘキサメチレントリアミン)を混合して得られた表7の組成の原料と、当該原料に対して32.4当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で4時間反応を行った。表7に得られた反応液組成を示した。本実施例では、43mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率26mol%、選択率60mol%で得られた。
【表7】
【0090】
[実施例20]
触媒調製:実施例3と同様の調製法で10wt%Co*2.5wt%Ru/ZrO2を得た。
【0091】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Co*2.5wt%Ru/ZrO2を1.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、ヘキサメチレンイミンとヘキサメチレンイミンに対して64.7当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。表8に得られた反応液組成を示した。本実施例では、70mol%の原料成分が消費されヘキサメチレンジアミンが収率45mol%、選択率64mol%で得られた。
【0092】
[実施例21]
触媒調製:実施例3と同様の調製法で10wt%Co*2.5wt%Ru/ZrO2を得た。
【0093】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Co*2.5wt%Ru/ZrO2を1.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、ヘキサメチレンイミンと1,6-ヘキサンジオールとの混合原料と、当該原料に対して66.2当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。表8に得られた反応液組成を示した。本実施例では、70mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率43mol%、選択率61mol%で得られた。
【0094】
[実施例22]
触媒調製:実施例3と同様の調製法で10wt%Co*2.5wt%Ru/ZrO2を得た。
【0095】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Co*2.5wt%Ru/ZrO2を1.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、ヘキサメチレンイミンと1,6-ヘキサンジオールとの混合原料と、当該原料に対して67.4当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。表8に得られた反応液組成を示した。本実施例では、62mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率46mol%、選択率74mol%で得られた。
【表8】
【0096】
[実施例23]
触媒調製:実施例3と同様の調製法で10wt%Co*2.5wt%Ru/ZrO2を得た。
【0097】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Co*2.5wt%Ru/ZrO2を1.0g加え、水素10MPaG、水溶媒下、160℃で還元処理を行った。その後、ヘキサメチレンジアミン重合体(ビスヘキサメチレントリアミン)とヘキサメチレンジアミン重合体に対して32.5当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、160℃で2時間反応を行った。表9に得られた反応液組成を示した。本実施例では、20mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率13mol%、選択率65mol%で得られた。
【0098】
[実施例24]
触媒調製:実施例1と同様の調製法で10wt%Co*2.5wt%Pt/ZrO2を得た。
【0099】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Co*2.5wt%Pt/ZrO2を1.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、ヘキサメチレンジアミン重合体(ビスヘキサメチレントリアミン)とヘキサメチレンジアミン重合体に対して34.3当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。表9に得られた反応液組成を示した。本実施例では、26mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率16mol%、選択率62mol%で得られた。
【0100】
[実施例25]
触媒調製:実施例6と同様の調製法で10wt%Ni*2.5wt%Pt/YSZを得た。
【0101】
反応評価:耐圧反応器に10wt%Ni*2.5wt%Pt/YSZを1.0g加え、水素1MPaG、水溶媒下、180℃で還元処理を行った。その後、ヘキサメチレンジアミン重合体(ビスヘキサメチレントリアミン)とヘキサメチレンジアミン重合体に対して32.5当量のアンモニアとを耐圧反応器に加え、水素を室温で1.0MPa充填した後、180℃で2時間反応を行った。表9に得られた反応液組成を示した。本実施例では、30mol%の原料成分が消費され、ヘキサメチレンジアミンが収率18mol%、選択率60mol%で得られた。
【0102】
【表9】