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特許7653285突起保有体の製造方法および突起保有体の製造装置
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  • 特許-突起保有体の製造方法および突起保有体の製造装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-19
(45)【発行日】2025-03-28
(54)【発明の名称】突起保有体の製造方法および突起保有体の製造装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20250321BHJP
【FI】
A61M37/00 505
A61M37/00 510
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021058663
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022155250
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】高麗 洋佑
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-128499(JP,A)
【文献】特開2017-158615(JP,A)
【文献】特開2017-000724(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0070754(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
突起部が形成された突起保有体の製造方法であって、
前記突起部に対応した凹部が形成された支持面を有する支持部材で、可塑性材料を含んだ母材を支持する材料支持工程と、
前記母材を前記支持面へ向かう方向に押圧して前記可塑性材料を前記凹部に充填させ、当該可塑性材料から前記突起部を形成して前記突起保有体を形成する押圧工程とを実施し、
前記支持部材は、湾曲可能な部材で構成され、
前記支持部材を湾曲させて前記凹部の間口間隔を広げる間口拡張工程を行い、
前記可塑性材料は、浸出媒体に浸出する浸出材料を含有し、
前記押圧工程の後段で前記可塑性材料を前記浸出媒体に浸すことで、前記可塑性材料を多孔質体とする浸出工程を実施することを特徴とする突起保有体の製造方法。
【請求項2】
前記間口拡張工程では、支持部材の外縁部が相互に離間するように当該支持部材に張力を付与する面方向張力付与工程を実施することを特徴とする請求項1に記載の突起保有体の製造方法。
【請求項3】
突起部が形成された突起保有体の製造装置であって、
前記突起部に対応した凹部が形成された支持面を有する支持部材で、可塑性材料を含んだ母材を支持する材料支持手段と、
前記母材を前記支持面へ向かう方向に押圧して前記可塑性材料を前記凹部に充填させ、当該可塑性材料から前記突起部を形成して前記突起保有体を形成する押圧手段とを備え、
前記支持部材は、湾曲可能な部材で構成され、
前記支持部材を湾曲させて前記凹部の間口間隔を広げる間口拡張手段を備え
前記可塑性材料は、浸出媒体に浸出する浸出材料を含有し、
前記突起保有体の形成後、前記可塑性材料を前記浸出媒体に浸すことで、前記可塑性材料を多孔質体とする浸出手段を備えていることを特徴とする突起保有体の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突起保有体の製造方法および突起保有体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
針状の突起部が形成された突起保有体の製造技術は公知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-170795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示された突起保有体の製造技術では、熱可塑性樹脂3(可塑性材料)を凹版2(支持部材)に押圧してマイクロニードル(突起保有体)を形成した後、支持部材から突起保有体を離間させる際、支持部材の凹部から円滑に突起部11(突起部)を抜き取ることができないと、当該突起部が折れたり破損したりして、所望形状の突起保有体を形成することができなくなる
という不都合を発生する。
【0005】
本発明の目的は、凹部から円滑に突起部を抜き取ることができる突起保有体の製造方法および突起保有体の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、支持部材を湾曲させて凹部の間口間隔を広げるので、凹部から円滑に突起部を抜き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(A)~(F)は、本発明の一実施形態に係る突起保有体の製造装置の説明図および同装置の動作説明図。(G)、(H)、(J)は、変形例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な図1中手前方向から観た場合を基準とし、図を指定することなく方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸と平行な図1中手前方向で「後」がその逆方向とする。なお、方向を示す矢印を記載していない図1(B)~(H)、(J)は、全て図1(A)と同じ方向から観た図とする。
【0010】
本発明の突起保有体の製造装置(以下、単に「製造装置」ともいう)EAは、突起部CVが形成された突起保有体CBの製造方法を実施する装置であって、可塑性材料PMを含んだ母材BMを搬送する材料搬送工程を実施する材料搬送手段10と、突起部CVに対応した凹部22Bが形成された支持面22Aを有する支持部材22で、母材BMを支持する材料支持工程を実施する材料支持手段20と、母材BMを支持面22Aへ向かう方向に押圧して可塑性材料PMを凹部22Bに充填させ、当該可塑性材料PMから突起部CVを形成して突起保有体CBを形成する押圧工程を実施する押圧手段30と、可塑性材料PMを加熱する加熱工程を実施する加熱手段40と、支持面22Aに対する支持シートBSの位置決めを行う位置決め工程を実施する位置決め手段50と、突起保有体CBを支持部材22から離間させる離間工程を実施する離間手段60と、可塑性材料PMを冷却する冷却工程を実施する冷却手段70と、可塑性材料PMを浸出媒体としての水WTに浸すことで、可塑性材料PMを多孔質体とする浸出工程を実施する浸出手段80と、支持部材22を湾曲させて凹部22Bの間口間隔22C(図1(D)の拡大図参照)を広げる間口拡張工程を実施する間口拡張手段90とを備え、母材BMの供給を行う母材供給工程を実施する母材供給手段PSの近傍に配置されている。
なお、母材BMは、支持シートBSの一方の面に可塑性材料PMが積層されている。また、本実施形態の支持シートBSは、液体および気体のうち少なくとも一方を透過可能な透過性を有する透過部材としての紙によって構成されている。さらに、可塑性材料PMは、ポリ乳酸(PLA)が主成分とされることで熱可塑性を有し、水WTに浸出する浸出材料としてのポリエチレングリコールPG(図1(F)の拡大図参照)を含有している。本実施形態の可塑性材料PMは、ポリ乳酸とポリエチレングリコールPGとの2つの成分の混合物とされ、それらの割合が重量比で5対5とされたものが採用されている。
【0011】
材料搬送手段10は、複数のアームによって構成され、その作業範囲内において、作業部である先端アーム11Aで支持したものを何れの位置、何れの角度にでも変位可能な駆動機器としての所謂多関節ロボット11と、先端アーム11Aに支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段(保持手段)によって吸着保持が可能な保持面12Aを有する保持板12とを備え、可塑性材料PMを支持面22Aに当接させて母材BMを支持部材22上に載置する構成となっている。
【0012】
材料支持手段20は、段部21Aが形成された基台21と、段部21A内に嵌め込まれて支持され、支持面22Aに凹部22Bが形成された支持部材22とを備えている。なお、支持部材22は、湾曲可能な部材である樹脂で構成されている。
【0013】
押圧手段30は、駆動機器としての直動モータ31と、その出力軸31Aに支持された押圧部材32とを備えている。本実施形態では、押圧部材32は透明な素材で構成されている。
【0014】
加熱手段40は、基台21の内部に配置されたコイルヒータやヒートパイプの加熱側等からなる加熱機器41を備えている。
【0015】
位置決め手段50は、カメラや投影機等の撮像手段や、光学センサや超音波センサ等の各種センサ等で構成され、ブラケット51Aを介して押圧部材32に支持された検知機器51と、駆動機器としてのXYテーブル52と、当該XYテーブル52の出力台52Aに支持され、出力軸53Aで基台21を支持する駆動機器としての回動モータ53とを備え、支持部材22をXY平面内で直線移動または曲線移動させるとともに、当該支持部材22をXY平面内で回転移動させる構成となっている。
【0016】
離間手段60は、複数のアームによって構成され、その作業範囲内において、作業部である先端アーム61Aで支持したものを何れの位置、何れの角度にでも変位可能な駆動機器としての所謂多関節ロボット61と、先端アーム61Aに支持されたブラケット62と、ブラケット62に支持された駆動機器としての直動モータ63と、その出力軸63Aに支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段(保持手段)によって吸着保持が可能な保持面64Aを有する保持板64とを備えている。なお、保持板64は、弾性変形可能な部材である樹脂で構成されている。
【0017】
冷却手段70は、保持板64の内部に設けられたペルチェ素子やヒートパイプの冷却側等からなる冷却機器71を備えている。
【0018】
浸出手段80は、水WTと、水WTを受容する容器81とを備えている。
【0019】
間口拡張手段90は、離間手段60と共有する多関節ロボット61およびブラケット62と、ブラケット62に支持された駆動機器としての直動モータ91と、アーム92Aを介して直動モータ91の出力軸91Aに支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段(保持手段)によって吸着保持が可能な吸着パッド92と、湾曲面93Aを有する湾曲部材93とを備えている。なお、直動モータ91は、支持部材22の外縁部が相互に離間するように当該支持部材22に張力を付与する面方向張力付与工程を実施する張力付与手段として機能する。
【0020】
以上の突起保有体の製造装置EAの動作を説明する。
先ず、図1(A)中実線で示す初期位置に各部材が配置された製造装置EAに対し、当該製造装置EAの使用者(以下、単に「使用者」という)または多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない搬送手段が、同図のように母材供給手段PS上に母材BMを供給した後、使用者が操作パネルやパーソナルコンピュータ等の図示しない操作手段を介して自動運転開始の信号を入力する。すると、材料搬送手段10が多関節ロボット11および図示しない減圧手段を駆動し、保持板12を移動させて保持面12Aを支持シートBSに当接させ、当該保持面12Aで母材BMを吸着保持し、図1(A)中二点鎖線で示すように、母材BMを支持部材22の支持面22A上に載置した後、図示しない減圧手段の駆動を停止して保持板12を初期位置に復帰させる。次いで、押圧手段30が直動モータ31を駆動し、押圧部材32を下降させ、図1(B)に示すように、当該押圧部材32で母材BMを支持面22Aへ向かう方向に押圧し、可塑性材料PMを凹部22B内に充填させる。この際、加熱手段40が加熱機器41を駆動し、可塑性材料PMを加熱して軟化させ、当該可塑性材料PMを凹部22B内に充填させ易くする。その後、位置決め手段50が検知機器51を駆動し、支持シートBSの位置を検出し、この検出結果を基にして位置決め手段50がXYテーブル52および回動モータ53を駆動し、支持シートBSの所定の位置に凹部22B(突起部CV)が配置されるように支持部材22を移動させる。これにより、可塑性材料PMから突起部CVと当該突起部CVを支える土台FDとが形成され、支持シートBSに突起部CVが形成された突起保有体CBが形成される。次に、押圧手段30が直動モータ31を駆動し、押圧部材32を初期位置に復帰させた後、加熱手段40が加熱機器41の駆動を停止する。
【0021】
そして、間口拡張手段90が多関節ロボット61および図示しない減圧手段を駆動し、吸着パッド92を移動させ、図1(C)に示すように、当該吸着パッド92で支持部材22を吸着保持した後、図1(D)に示すように、当該支持部材22を湾曲部材93の湾曲面93Aに押し当てる。これにより、支持部材22が湾曲し、図1(D)の拡大図に示すように、凹部22Bの間口間隔22Cが広がって突起部CVとの間に隙間CLが形成され、凹部22Bから突起部CVを抜き取り易くなる。この際、間口拡張手段90が直動モータ91を駆動し、吸着パッド92の相互間隔を広げ、支持部材22の外縁部が相互に離間するように当該支持部材22に張力を付与することで、間口間隔22Cをさらに広くすることができる。次いで、離間手段60および冷却手段70が直動モータ63および冷却機器71を駆動し、図1(D)中二点鎖線で示すように、保持板64を突起保有体CBに当接させ、可塑性材料PMを冷却する。これにより、可塑性材料PMが縮んで隙間CLがさらに拡大する。この際、離間手段60が保持板64で可塑性材料PMを加圧しながら冷却手段70が可塑性材料PMを冷却することで、可塑性材料PMと支持シートBSとの接着を良好にすることができる。その後、冷却手段70が冷却機器71の駆動を停止し、可塑性材料PMの冷却を終了すると、離間手段60が直動モータ63および図示しない減圧手段を駆動し、保持面64Aで突起保有体CBを吸着保持した後、保持板64を初期位置に復帰させ、図1(E)に示すように、突起部CVを凹部22Bから抜き取る。次に、離間手段60が多関節ロボット61を駆動し、支持部材22を初期位置に戻して図示しない減圧手段の駆動を停止し、当該支持部材22から吸着パッド92を切離した後、図1(F)に示すように、突起保有体CBを水WT内に浸す。これにより、可塑性材料PMに含有しているポリエチレングリコールPGが水WTに浸出し、図1(F)の拡大図に示すように、当該ポリエチレングリコールPGがあった部位に孔HLが形成されて空洞化し、可塑性材料PMが多孔質体となる。そして、離間手段60が多関節ロボット61を駆動し、孔HLが形成された突起保有体CBを図示しない次工程に搬送して図示しない減圧手段の駆動を停止し、当該突起保有体CBから保持板64を切り離し、切り離した保持板64を初期位置に復帰させ、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0022】
以上のような実施形態によれば、支持部材22を湾曲させて凹部22Bの間口間隔22Cを広げるので、凹部22Bから円滑に突起部CVを抜き取ることができる。
【0023】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、押圧工程は、母材を支持面へ向かう方向に押圧して可塑性材料を凹部に充填させ、当該可塑性材料から突起部を形成して突起保有体を形成する工程であればどんな工程でもよく、出願当初の技術常識に照らし合わせてその技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(その他の手段および工程も同じ)。
【0024】
材料搬送手段10は、多関節ロボット11を採用することなく多関節ロボット61を離間手段60や間口拡張手段90と共有し、母材BMを搬送する構成としてもよいし、保持板12に代えてまたは併用して、吸着パッド等を採用してもよいし、本発明の突起保有体の製造装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよく、備わっていない場合は、他の装置や人手で母材BMを搬送すればよい。
【0025】
材料支持手段20は、基台21に段部21Aがなくてもよいし、支持部材22を保持する減圧ポンプや真空エジェクタ等の減圧手段やチャックモータ等の支持部材保持手段を設けてもよいし、基台21がなく、支持部材22のみで構成されていてもよい。
支持部材22は、金属、樹脂、シリコーン材、ゴム材、木材、紙等、湾曲可能な部材であれば何でもよいし、凹部22Bの数が1でもよいし複数でもよいし、突起保有体CBを支持部材22から離間させ易くするために、フッ素やシリコーン等の剥離性向上部材が支持面22Aや凹部22Bにコーティングされていたり、塗布されていたり、積層されていたりしてもよい。
【0026】
押圧手段30は、押圧部材32を移動させることなくまたは、押圧部材32を移動させつつ、支持部材22を移動させ、母材BMを支持面22Aへ向かう方向に押圧して突起部CVを形成してもよいし、押圧部材32が半透明でもよいし、透明でなくてもよいし、直動モータ31および押圧部材32を採用することなく多関節ロボット11および保持板12を材料搬送手段10と共有したり、多関節ロボット61、ブラケット62、直動モータ63および保持板64を離間手段60と共有したりして、保持板12や保持板64を介して母材BMを支持面22Aへ向かう方向に押圧して突起部CVを形成してもよいし、直動モータ31を採用することなく多関節ロボット11を材料搬送手段10と共有したり、直動モータ31に代えて多関節ロボット61を離間手段60や間口拡張手段90と共有したりして、押圧部材32を介して母材BMを支持面22Aへ向かう方向に押圧して突起部CVを形成してもよい。
【0027】
加熱手段40は、基台21の外部に配置されてもよいし、支持部材22の内部や押圧部材32の内部に配置されてもよいし、押圧手段30での押圧前に可塑性材料PMを加熱してもよいし、押圧手段30での押圧中に可塑性材料PMを加熱してもよいし、押圧手段30での押圧後に可塑性材料PMを加熱してもよいし、本発明の突起保有体の製造装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0028】
位置決め手段50は、支持部材22および押圧部材32のうち少なくとも一方をXY平面内で直線移動または曲線移動させたり回転移動させたりしてもよいし、例えば、支持部材22をX方向(またはY方向)に直線移動または曲線移動させ、押圧部材32をY方向(X方向)に直線移動または曲線移動させてもよいし、支持部材22や押圧部材32をX方向またはY方向以外の方向に直線移動または曲線移動させてもよいし、支持部材22や押圧部材32をXY平面内で直線移動または曲線移動させるだけでもよいし、支持部材22や押圧部材32をXY平面内で回転移動させるだけでもよい。
検知機器51は、1体でもよいし2体以上でもよいし、押圧部材32の側方から支持面22Aに対する支持シートBSの位置を検知してもよいし、基台21や支持部材22を透明または半透明なもので構成し、それら基台21や支持部材22を透視して支持面22Aに対する支持シートBSの位置を検知してもよいし、押圧部材32に支持されていなくてもよい。
位置決め手段50は、支持面22Aに対する可塑性材料PMの位置決めを行ってもよいし、支持面22Aに対する支持シートBSおよび可塑性材料PMの両方の位置決めを行ってもよいし、本発明の突起保有体の製造装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0029】
離間手段60は、多関節ロボット61等を間口拡張手段90と共有することなく、当該間口拡張手段90から独立した駆動機器等で保持板64を移動させて突起保有体CBを支持部材22から離間させる構成としてもよいし、多関節ロボット61を採用することなく多関節ロボット11を材料搬送手段10と共有し、突起保有体CBを支持部材22から離間させる構成としてもよいし、剥離用テープを突起保有体CBに貼付し、当該剥離用テープに張力を付与して突起保有体CBを支持部材22から離間させる構成でもよいし、バイブレータや超音波振動装置等の振動手段を採用し、突起保有体CBに振動を加えて当該突起保有体CBを支持部材22から離間し易くしてもよいし、突起保有体CBを遠心分離させてもよいし、突起保有体CBを水WTに浸した際、当該突起保有体CBを移動させたり振動させたりしてポリエチレングリコールPGを水WTに浸出させ易くしてもよいし、湾曲させた支持部材22を図示しない回収位置に搬送するとともに、図示しない支持部材ストッカから新たな支持部材22を搬送し、当該新たな支持部材22を基台21の段部21A内に嵌め込んでもよい。本発明の突起保有体の製造装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよく、備わっていない場合は、他の装置や人手で突起保有体CBを支持部材22から離間させればよい。
【0030】
冷却手段70は、押圧部材32の内部やその近傍に冷却機器71を設け、当該押圧部材32で母材BMを押圧した状態で可塑性材料PMを冷却してもよいし、母材BMを押圧することなく可塑性材料PMを冷却してもよいし、保持板64の外部に設けられてもよいし、基台21や支持部材22の内部に設けられてもよいし、水や混合液等の液体、エタノールやアセトン等の有機溶剤または、鉱物油や化学合成油等のオイル等の冷却媒体に可塑性材料PMを浸して当該可塑性材料PMを冷却する構成でもよいし、大気や冷風等を可塑性材料PMに当てて当該可塑性材料PMを冷却する構成でもよいし、冷却機器71を採用することなく水WTを浸出手段80と共有し、可塑性材料PMを冷却する構成でもよいし、本発明の突起保有体の製造装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0031】
浸出手段80は、浸出媒体として、水や混合液等の液体、エタノールやアセトン等の有機溶剤または、鉱物油や化学合成油等のオイル等、母材BMに含有している浸出材料を浸出させることができるものであれば何が採用されてもよいし、浸出媒体を移動、循環、振動、撹拌させて浸出材料を浸出媒体に浸出し易くしてもよいし、本発明の突起保有体の製造装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0032】
間口拡張手段90は、吸着パッド92に代えてまたは併用して、チャックモータやチャックシリンダ等で支持部材22を保持する構成を採用してもよいし、面方向張力付与手段が備わっていなくてもよいし、例えば、湾曲部材93を球体や半球体で構成し、湾曲面93Aを球面状としてもよいし、湾曲部材93を円柱や半円柱で構成し、湾曲面93Aを円弧面としてもよいし、湾曲部材93を棒状のものや点状のもので構成し、支持部材22を面で支持して湾曲させることなく、線や点で支持して湾曲させてもよいし、支持部材22の組成や材質等を考慮して、当該支持部材22が変形し易くなる熱や光等のエネルギーを付与するエネルギー付与手段を採用し、当該エネルギーを付与して凹部22Bの間口間隔22Cを広げ易くしてもよい。
【0033】
母材供給手段PSは、単なる台でもよいし、ベルトコンベアでもよいし、自走式の搬送台等でもよいし、本発明の突起保有体の製造装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0034】
突起保有体の製造装置EAは、例えば、単体ガスや複合ガス等のガス、水や混合液等の液体、エタノールやアセトン等の有機溶剤または、鉱物油や化学合成油等のオイル等の流体雰囲気中で、母材BMを支持面22Aへ向かう方向に押圧して突起部CVを形成してもよい。
【0035】
支持シートBSは、透過部材として、例えば、布、不織布、樹脂、メッシュ材、木材等の他、貫通孔が形成された金属、樹脂、シリコーン材、ゴム材、木材、紙、陶器等、液体および気体のうち少なくとも一方を透過可能なものであればどのようなものが採用されていてもよいし、例えば、金属、樹脂、シリコーン材、ゴム材、木材、紙、陶器等、液体および気体を透過不可能なもの(透過部材でないもの)が採用されていてもよい。
【0036】
可塑性材料PMは、熱や圧力等のエネルギーを加えることで変形し、その後元の形状に戻らないもの、例えば、金属、粘土、樹脂等が例示でき、樹脂の場合、例えば、PET、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体(PLGA)等、可塑性を有するものであれば何でもよいし、単一の成分からなるものでもよいし、複数の成分からなるものでもよいし、可塑性を有するもののみによって構成されていてもよいし、可塑性を有するものと可塑性を有しないものとで構成されていてもよいし、熱可塑性を有していなくてもよいし、浸出材料を含有していなくてもよいし、熱可塑性を有する材料として熱可塑性樹脂を含んだものが採用されてもよい。
可塑性材料PMと浸出材料との割合は、5対5以外に例えば、8対2や1対9等どのような割合であってもよいし、それらの比の基準は、重量比以外に例えば、質量比、体積比、モル比等どのような基準でもよい。
浸出材料は、例えば、塩化ナトリウム、硝酸カリウム、ミョウバン、ポリビニルアルコール等、浸出媒体に浸出するものであればどのようなものでもよい。
母材BMは、支持シートBSのない可塑性材料PMのみで構成されていてもよいし、支持シートBSおよび可塑性材料PMの他に他のものが積層されていてもよいし、可塑性材料PMの量が凹部22Bの容量と同じ量でもよいし、凹部22Bの容量以上でもよい。
突起部CVの高さは、100nm~3mmでもよいし、100nm以下でもよいし、3mm以上でもよい。特に所謂マイクロニードルとして使用する場合には、突起部CVの高さは、100μm~1.5mmとするとよい。
突起部CVの先端は、尖っていてもよいし、尖っていなくてもよいし、丸まっていてもよいし、矢尻形状でもよいし、二股または三股以上に分岐していてもよい。
突起部CVの形状は、円錐、角錐、円柱、角柱、それらを組み合わせた形状でもよい。
【0037】
突起保有体CBは、図1(G)に示すように、可塑性材料PMから突起部CVのみが形成され、支持シートBSに支持されたものでもよいし、図1(H)に示すように、可塑性材料PMから突起部CVと土台FDとが形成され、当該土台FDが支持シートBSに埋め込まれた(浸透した)状態のものでもよいし、図1(J)に示すように、可塑性材料PMから突起部CVと土台FDとが形成され、支持シートBSに支持されていないものでもよい。
【0038】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、2軸または3軸以上の関節を備えた多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる。
前記実施形態において、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段や押圧部材といった被押圧物を押圧するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、ローラ、丸棒、ブレード材、ブラシ状部材の他、大気やガス等の気体の吹き付けによるものを採用してもよいし、押圧するものをゴム、樹脂、スポンジ等の変形可能な部材で構成してもよいし、金属や樹脂等の変形しない部材で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材(被保持部材)を支持(保持)するものが採用されている場合、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
EA…突起保有体の製造装置
20…材料支持手段
22…支持部材
22A…支持面
22B…凹部
22C…間口間隔
30…押圧手段
80…浸出手段
90…間口拡張手段
91…直動モータ(面方向張力付与手段)
BM…母材
CB…突起保有体
CV…突起部
PG…ポリエチレングリコール(浸出材料)
PM…可塑性材料
WT…水(浸出媒体)
図1