(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-19
(45)【発行日】2025-03-28
(54)【発明の名称】登録装置、情報処理装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/00 20060101AFI20250321BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20250321BHJP
【FI】
G07G1/00 311D
G07G1/12 361E
G07G1/00 301D
(21)【出願番号】P 2021085472
(22)【出願日】2021-05-20
【審査請求日】2024-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中司 文雄
(72)【発明者】
【氏名】平松 顕也
(72)【発明者】
【氏名】日高 詩織
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-228079(JP,A)
【文献】特開2019-185471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00
G07G 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品に付されたコードシンボルから当該商品を識別する商品識別情報を読取るとともに、商品に付された特典シンボルから当該商品の特典に関する特典情報を読取る読取部と、
前記読取部の読取可能エリアを含む撮像エリアを撮像する撮像部と、
前記商品識別情報と商品画像に係る識別用データとを対応付けて記憶したメモリ部から前記読取部が読み取った商品識別情報に対応する識別用データを抽出する抽出部と、
前記読取部による特典情報の読取時に前記撮像部が撮像した撮像データを取得する取得部と、
前記抽出部が抽出した識別用データに基づいて、前記取得部が取得した撮像データに含まれる商品が前記読取部によって読み取られた商品識別情報で識別される商品と同一商品であるか否か判定する判定部と、
前記判定部が同一商品であると判定した場合、前記読取部が読取った前記商品識別情報および前記特典情報に基づいて、当該商品識別情報で識別される商品の取引に関する取引情報を登録する登録部と、
を備える登録装置。
【請求項2】
前記読取部は、特典情報を示すラベルが商品に付されていることを示すフラグ情報を読取り、
前記登録部は、前記
読取部が前記フラグ情報を読取ってから所定時間経過しても前記読取部が前記特典情報を読取らない場合、前記商品識別情報で識別される商品の取引情報を登録しない、
請求項
1に記載の登録装置。
【請求項3】
商品を識別する商品識別情報および当該商品の特典に関する特典情報を読取る読取部から当該商品識別情報および当該特典情報が入力される入力部と、
前記商品識別情報と商品画像に係る識別用データとを対応付けて記憶したメモリ部から前記入力部に入力された商品識別情報に対応する識別用データを抽出する抽出部と、
前記読取部の読取可能エリアを含む撮像エリアを撮像した撮像データであって、前記読取部による特典情報の読取時に撮像された撮像データを取得する取得部と、
前記抽出部が抽出した識別用データに基づいて、前記取得部が取得した撮像データに含まれる商品が前記入力部に入力された商品識別情報で識別される商品と同一商品であるか否か判定する判定部と、
前記判定部が同一商品であると判定した場合、前記入力部に入力された前記商品識別情報および前記特典情報に基づいて、当該商品識別情報で識別される商品の取引に関する取引情報を登録する登録部と、
を備える情報処理装置。
【請求項4】
商品に付されたコードシンボルから当該商品を識別する商品識別情報を読取るとともに、商品に付された特典シンボルから当該商品の特典に関する特典情報を読取る読取部と、前記読取部の読取可能エリアを含む撮像エリアを撮像する撮像部と、を備えた登録装置をコンピュータで制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記商品識別情報と商品画像に係る識別用データとを対応付けて記憶したメモリ部から前記読取部が読み取った商品識別情報に対応する識別用データを抽出する抽出部と、
前記読取部による特典情報の読取時に前記撮像部が撮像した撮像データを取得する取得部と、
前記抽出部が抽出した識別用データに基づいて、前記取得部が取得した撮像データに含まれる商品が前記読取部によって読み取られた商品識別情報で識別される商品と同一商品であるか否か判定する判定部と、
前記判定部が同一商品であると判定した場合、前記読取部が読取った前記商品識別情報および前記特典情報に基づいて、当該商品識別情報で識別される商品の取引に関する取引情報を登録する登録部と、
して機能させるプログラム。
【請求項5】
情報処理装置をコンピュータで制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
商品を識別する商品識別情報および当該商品の特典に関する特典情報を読取る読取部から当該商品識別情報および当該特典情報が入力される入力部と、
前記商品識別情報と商品画像に係る識別用データとを対応付けて記憶したメモリ部から前記入力部に入力された商品識別情報に対応する識別用データを抽出する抽出部と、
前記読取部の読取可能エリアを含む撮像エリアを撮像した撮像データであって、前記読取部による特典情報の読取時に撮像された撮像データを取得する取得部と、
前記抽出部が抽出した識別用データに基づいて、前記取得部が取得した撮像データに含まれる商品が前記入力部に入力された商品識別情報で識別される商品と同一商品であるか否か判定する判定部と、
前記判定部が同一商品であると判定した場合、前記入力部に入力された前記商品識別情報および前記特典情報に基づいて、当該商品識別情報で識別される商品の取引に関する取引情報を登録する登録部と、
して機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、登録装置、情報処理装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットなどの店舗では、例えば生鮮食料品などの商品について、定価から一定金額を差し引いた金額で販売する値引販売や、定価から一定の割合の金額を差し引いた金額で販売する割引販売が行われている。なお、以下の説明においては、値引および割引を総称して「値引」といい、値引販売および割引販売を総称して「値引販売」という。
【0003】
値引販売を行う場合、店舗は顧客が値引情報を認識できるように値引金額等が印刷された値引シールを商品に貼り付ける。会計処理を行うために商品情報を登録する登録装置は、商品に付されたバーコードなどから商品を識別する商品コードを読取る。また、登録装置は、印字された値引金額等の文字情報や、文字情報とともに印字された値引情報を示すバーコードなどから値引情報を読取る。そして、登録装置は、読取った商品コードに基づいて取得した商品情報(商品名、価格等)と値引情報を含む取引情報の登録(以下、「商品登録」ともいう)を行う。
【0004】
一方、近年、人手不足を背景として、店舗では商品を購入する顧客によって操作される登録装置が実用化されている。この種の登録装置としては、例えばセルフPOS(Point Of Sales)端末やカートPOS端末と呼ばれるものが知られている。
【0005】
セルフPOS端末は、店舗の会計場所に設置され、顧客が持ち込んだ商品の商品登録と当該商品の支払にかかる操作を顧客自身が行うものである。カートPOS端末は、ショッピングカートにスキャナと情報端末とが設けられ、売り場において顧客がスキャナを用いて商品登録を行うものである。商品登録された商品の取引に関する取引情報は、顧客が代金を支払う際に会計処理を行う会計装置に転送される。また、上記タブレット端末とスキャナに代えて、顧客が所有するスマートフォン等の携帯端末を用いて商品登録するものも知られている。
【0006】
この種の登録装置では、顧客に商品登録を委ねているため、値引販売に関して顧客による不正行為が生じ得る。例えば、値引対象でない商品の商品コードをスキャナで読取らせた後に他の商品に付された値引シールを読取らせて商品登録されることなどが考えられる。このような不正を抑制するために、登録装置によって商品登録する際に当該商品の過去の取引履歴をチェックすることで不正を防止するものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0007】
しかしながら、上記従来の技術では、顧客が購入する商品そのものに貼り付けられた値引きシールを確認するものではないため、不正行為の抑制効果が充分といえるものではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、値引販売に関する不正行為の抑制効果を高めることが可能な登録装置、情報処理装置、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の登録装置は、商品に付されたコードシンボルから当該商品を識別する商品識別情報を読取るとともに、商品に付された特典シンボルから当該商品の特典に関する特典情報を読取る読取部と、前記読取部の読取可能エリアを含む撮像エリアを撮像する撮像部と、前記商品識別情報と商品画像に係る識別用データとを対応付けて記憶したメモリ部から前記読取部が読み取った商品識別情報に対応する識別用データを抽出する抽出部と、前記読取部による特典情報の読取時に前記撮像部が撮像した撮像データを取得する取得部と、前記抽出部が抽出した識別用データに基づいて、前記取得部が取得した撮像データに含まれる商品が前記読取部によって読み取られた商品識別情報で識別される商品と同一商品であるか否か判定する判定部と、前記判定部が同一商品であると判定した場合、前記読取部が読取った前記商品識別情報および前記特典情報に基づいて、当該商品識別情報で識別される商品の取引に関する取引情報を登録する登録部と、を備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態の登録装置を含む会計システムの概略を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態の登録装置が取り付けられたショッピングカートの外観を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に用いられる値引シールが貼られた商品を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態の情報処理装置を含む登録装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の情報処理装置におけるメモリ部に記憶される商品マスタのデータ構成を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態の情報処理装置における制御部の機能構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の情報処理装置における制御部による登録処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2の実施形態の情報処理装置における制御部の機能構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態の読取部による商品識別情報の読取時に撮像部が撮像した撮像データの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態の読取部による特典情報の読取時に撮像部が撮像した撮像データの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態の情報処理装置における制御部による登録処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、第3の実施形態の情報処理装置における制御部による登録処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態の登録装置、情報処理装置、およびプログラムについて説明する。なお、以下に説明する実施形態によりこの発明が限定されるものではない。例えば、以下に説明する実施形態では、登録装置をタブレット端末とスキャナとで構成する例について説明するが、登録装置は、商品情報等の読取機能、取引情報の登録機能、撮像機能を備えた1台の情報機器であってもよく、例えば商品登録用のアプリケーションプログラムがインストールされたスマートフォンなどで構成してもよい。
【0012】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態の登録装置、情報処理装置およびプログラムについて、図面を参照して説明する。
図1は、登録装置を含む会計システムの概略を示す図である。本実施形態の会計システム1は、例えば、値引販売対象となる生鮮食料品等を販売するスーパーマーケットなどに適用される。会計システム1は、複数の会計装置2、店舗サーバ3、および登録装置20が取り付けられた複数のショッピングカート10を備える。会計装置2および店舗サーバ3は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。また、各登録装置20は、無線LAN等を介して会計装置2および店舗サーバ3と通信可能に接続されている。
【0013】
会計装置2は、例えば顧客Cが自身で会計操作を行う、いわゆるセルフ式の会計装置である。会計装置2は、登録装置20から受信した取引情報に基づいて、現金決済、あるいはクレジット決済などのキャッシュレス決済による支払に係る会計処理を実行する。会計処理とは、顧客Cが購入する商品の代金の支払を行うための処理である。なお、会計装置2は、店員が操作するPOS端末であってもよい。
【0014】
店舗サーバ3は、各会計装置2から、会計処理にて支払された商品の商品情報や決済方法等に関する決済情報を受信する。また、店舗サーバ3は、各会計装置2から、所定期間(例えば一日)の売上金額を示した売上情報を受信する。店舗サーバ3は、各会計装置2から受信した商品情報、決済情報、売上情報等を集中的に管理して、一店舗での売上管理等を行う。また、店舗サーバ3は、店舗で取り扱っている商品について、商品コードと商品情報(商品名、価格、識別用データ等)とを対応づけた商品マスタを記憶し、適宜登録装置20に送信する。
【0015】
ショッピングカート10は、店舗の売り場に設置されて顧客Cが購入する商品の運搬に用いられる。顧客Cは、ショッピングカート10を押して売り場内を移動させながら、購入する商品を登録装置20で商品登録してショッピングカート10に載置されるカゴ(図示せず)に収納する。
【0016】
図2は、登録装置20が取り付けられたショッピングカート10の外観を示す図である。ショッピングカート10は、ハンドル11、カゴ載置部12、およびキャスター13を備え、登録装置20が取り付けられている。ハンドル11は、顧客Cが把持してショッピングカート10を移動させるためのものである。カゴ載置部12は、上下2段構成となっていて、それぞれ顧客Cが購入する商品を収納するカゴを載置可能となっている。なお、ショッピングカート10に一体的にカゴを設けてもよい。キャスター13は、ショッピングカート10の下部の四隅にそれぞれ設けられている。これらキャスター13が個別に回転することで、ショッピングカート10は店内を自由に移動することができる。ショッピングカート10は、登録装置20を備える移動体である。
【0017】
登録装置20は、商品の取引情報を登録するもので、タブレット端末30とカメラ41(
図4参照)を有するスキャナ40とを備える。取引情報とは、顧客Cが購入する商品の代金の支払を行うために必要な情報で、商品情報(商品名、価格等)と特典情報(値引額等)とを含む。値引額等の値引に関する値引情報は、特典情報の一例である。特典情報は、値引情報に限らず、例えば特別に加算されるポイントの付与等を示す情報等であってもよい。
【0018】
タブレット端末30は、ディスプレイ31、タッチパネル32、およびカードリーダ33を備える。タブレット端末30は、情報処理装置の一例である。
【0019】
ディスプレイ31は、例えば液晶パネルで構成されており、各種情報を表示する表示部として機能する。ディスプレイ31は、例えば、商品登録された商品の商品情報や使用者である顧客Cが操作するための操作子等を表示する。
【0020】
タッチパネル32は、ディスプレイ31の表面に設けられて、触れた位置に応じた情報をタブレット端末30の制御部300(
図4参照)に入力するもので、使用者である顧客Cの操作に応じた情報を入力する操作入力部として機能する。タッチパネル32は、例えば、会計装置2に対する取引情報の送信を指示するための会計指示を制御部300に入力する。
【0021】
カードリーダ33は、顧客Cの会員カードあるいはポイントカード等の媒体から会員コードを読み取る。また、カードリーダ33は、登録装置20が決済機能を備えている場合、例えば、顧客Cのクレジットカードからクレジット情報を読取ることもできる。カードリーダ33は、磁気カードから情報を読取る磁気カードリーダでもよいし、ICチップを内蔵したカードから情報を読取るICカードリーダでもよい。
【0022】
スキャナ40は、ショッピングカート10のハンドル11に設けられている。スキャナ40には読取窓42が形成されている。カメラ41は、後述する方法でスキャナ40が商品コードや値引情報を読取可能な読取エリアを含む撮像エリアを撮像する。例えば、カメラ41は、読取窓42にかざされた商品および当該商品に付されたバーコードを撮像する。
【0023】
スキャナ40は、商品に付されたコードシンボルから当該商品を識別する商品識別情報を読取る。スキャナ40は、例えば
図3に示す商品に付された商品ラベルXに印刷されたバーコードBCから当該商品を識別する商品コードを読取る。具体的には、カメラ41がスキャナ40の読取可能エリアに位置したバーコードBCを撮像した画像に基づいてバーコードBCが示す情報を読取る。より詳細には、顧客Cが購入する商品に付されたバーコードBCを読取窓42に面した読取可能エリアに配置すると、カメラ41は、バーコードBCを含む画像を撮像する。スキャナ40は、カメラ41が撮像した画像の所定エリアからパターン認識等によってバーコードBCを抽出してデコードし、バーコードBCが示す商品コードを読み取る。バーコードBCはコードシンボルの一例であり、商品コードは商品識別情報の一例である。
【0024】
また、スキャナ40は、商品に付された特典シンボルから当該商品の特典に関する特典情報を読取る。例えば、顧客Cが購入する商品に付された値引シールYを読取窓42に面した読取可能エリアに配置すると、カメラ41は、値引シールYを含む画像を撮像する。スキャナ40は、カメラ41が撮像した画像の所定エリアからパターン認識等によって値引シールYを抽出して、値引シールYに印字された文字情報をOCR(Optical Character Reader)等の文字認識処理によって読取る、又は画像認識処理によって値引きシールに示された値引額または割引率を認識する。値引の内容を示す文字が印刷された値引シールYは、特典シンボルの一例である。
【0025】
上記のとおり、スキャナ40は、商品に付されたバーコード(コードシンボル)から当該商品を識別する商品コード(商品識別情報)を読取るとともに、商品に付された値引シールY(特典シンボル)から当該商品の特典に関する特典情報を読取るもので、読取部の一例である。また、カメラ41は撮像部の一例である。
【0026】
ここで、商品の特典に関する特典情報を読み取る処理の一例を説明する。まず、スキャナ40は、特典情報を示すラベルが商品に付されていることを示すフラグ情報を読取る。具体的には、スキャナ40は、商品ラベルのバーコードBCを読み取る際に撮像された画像からフラグシールZ(
図3参照)を検出することによって、上記フラグ情報を読取る。スキャナ40は、撮像した画像から所定形状(本実施形態では二重丸)を検出する画像処理を行ってフラグシールZを検出する。フラグシールZが示す情報はフラグ情報の一例である。
【0027】
フラグシールZは、店舗の運用により、商品コードを示すバーコードBCに近接して貼り付けられる。顧客Cが商品コードを読取らせるために読取窓42にバーコードBCを近づけた際に、スキャナ40がバーコードBCだけでなくフラグシールZも認識できるようにするためである。これにより、スキャナ40は、ディスプレイ31に、顧客Cに対して値引シールYを読取らせることを促す表示を行うことができ、顧客Cによる値引情報の読取忘れを防止することができる。
【0028】
なお、
図3に示す例では、フラグシールZは、値引シールYと一体的に設けられているが、値引シールYと別に貼り付けられていてもよい。例えば、バーコードBCが商品の裏面に付される場合、フラグシールZはバーコードBCと近接して商品の裏面に貼り付けられ、値引シールYは顧客Cが値引商品であることを認識しやすいように商品の表面に貼り付けられる。
【0029】
スキャナ40は、フラグシールZからフラグ情報を読取った場合、続いて、値引シールYから値引情報を読み取る。スキャナ40は、カメラ41が値引シールYを含む画像を撮像して、撮像した画像の特定のエリアから値引シールYを検出し、値引シールの文字情報が示す値引情報を読取る。また、スキャナ40は、カメラ41が撮像した値引シールYを含む画像をタブレット端末30に出力する。
【0030】
なお、カメラ41が撮像した画像から、バーコードBCが示す情報を読み取る処理(以下、バーコード読取処理ともいう)、フラグシールZが示す情報を読み取る処理(以下、フラグシール読取処理ともいう)、および値引シールYが示す情報を読み取る処理(以下、値引シール読取処理ともいう)の少なくともいずれか1つを、タブレット端末30の制御部300で行ってもよい。この場合、読取部は、スキャナ40と制御部300とを含めて構成されることとなる。
【0031】
なお、以下の説明において、スキャナ40がバーコードBCから商品コードを読取ることを「バーコードBCを読取る」、フラグシールZからフラグ情報を読取ることを「フラグシールZを読取る」、値引シールYから値引情報を読取ることを「値引シールYを読取る」と、それぞれいう場合がある。
【0032】
図4は、登録装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。上述したとおり、登録装置20は、タブレット端末30とスキャナ40とを備える。タブレット端末30は、制御部300と、メモリ部310と、ディスプレイ31と、タッチパネル32と、カードリーダ33と、通信部320と、を備えている。制御部300、メモリ部310、ディスプレイ31、タッチパネル32、カードリーダ33、および通信部320は、バス330等を介して互いに接続されている。
【0033】
制御部300は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303を備えたコンピュータで構成されている。CPU301、ROM302、およびRAM303は、バス330を介して互いに接続されている。
【0034】
CPU301はタブレット端末30の全体の動作を制御する。ROM302は、CPU301の駆動に用いられるプログラムなどの各種プログラムや各種データを記憶する。RAM303は、取引情報記憶部304を備える。取引情報記憶部304は、一取引において、スキャナ40が読取った商品コードや値引情報に基づく取引情報を記憶するエリアである。また、RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用され、ROM302やメモリ部310に記憶された各種プログラムや各種データを展開する。制御部300は、CPU301がROM302やメモリ部310に記憶されRAM303に展開された制御プログラムに従って動作することによって、タブレット端末30の各種制御処理を実行する。
【0035】
メモリ部310は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶媒体で構成されており、電源を遮断しても記憶内容を維持する。メモリ部310は、制御プログラム311および商品マスタ312を記憶する。
【0036】
制御プログラム311は、スキャナ40が読取った商品コードや値引情報等に基づいて商品登録する機能、カメラ41が撮像した撮像データに基づいてスキャナ40が読取った値引情報が正しいものか否かを判定する機能等を実現するためのプログラムなどである。
【0037】
商品マスタ312は、店舗で取り扱っている商品の情報を記憶したマスタファイルであり、店舗サーバ3から通信部320を介して受信したものである。なお、店舗で取り扱う商品は日々変化するため、商品マスタ312は、店舗サーバ3からの情報に基づいて適宜更新される。
図5は、商品マスタ312のデータ構成を示す図である。商品マスタ312は、商品コード、商品名、価格、および特徴量を示す各情報が対応づけられている。
【0038】
商品コードの項目には、商品を識別する商品コードが登録される。商品名の項目には、商品の名称を示す情報が登録される。価格の項目には、商品の単価を示す情報が登録される。商品の単価は、商品の本体価格であっても消費税込価格であってもよい。特徴量の項目に登録される情報は、撮像データ(フレーム画像)から商品を特定するための一般物体認識(generic object recognition)用の特徴量を示す情報である。特徴量を示す情報は、商品画像の外観の特徴量を示す照合用のデータであって、例えば、商品の色合い、外形形状、表面の凹凸形状に関するデータ等である。特徴量の項目に記憶される情報は、商品画像に係る識別用データの一例である。
【0039】
図4に戻って説明する。ディスプレイ31、タッチパネル32、およびカードリーダ33の構成および機能については上述したとおりである。通信部320は、スキャナ40および店舗サーバ3と通信するためのインターフェイスである。制御部300は、通信部320を介してスキャナ40および店舗サーバ3の各装置と接続されることで、当該各装置と情報(データ)の送受信が可能となる。
【0040】
続いて、タブレット端末30の制御部300の機能構成について説明する。
図6は、タブレット端末30の制御部300の機能構成を示すブロック図である。制御部300は、CPU301がROM302やメモリ部310に記憶された制御プログラムにしたがって動作することで、入力部3001、取得部3002、抽出部3003、判定部3004、登録部3005、報知部3006、および出力部3007として機能する。なお、これら各機能を専用回路等のハードウェアで構成してもよい。
【0041】
入力部3001には、商品を識別する商品識別情報および商品の特典に関する特典情報を読取るスキャナ40から、当該商品識別情報および当該特典情報が入力される。具体的には、入力部3001には、スキャナ40が商品に付されたバーコードBCから読取った商品コードが入力される。また、入力部3001には、スキャナ40が商品に付された値引シールYから読取った値引情報が入力される。さらには、スキャナ40がフラグシールZから読み取ったフラグ情報や、顧客Cによるタッチパネル32の操作に伴う各種情報が入力される。
【0042】
取得部3002は、スキャナ40による特典情報の読取時にカメラ41が撮像した撮像データを取得する。具体的には、取得部3002は、スキャナ40が値引シールYの値引情報を読取るために、カメラ41が商品を撮像した撮像データを取得する。取得部3002が取得する撮像データは、値引シールYを含む商品の商品画像である。
【0043】
抽出部3003は、商品識別情報と商品画像に係る識別用データとを対応付けて記憶したメモリ部310からスキャナ40が読み取った商品識別情報に対応する識別用データを抽出する。具体的には、抽出部3003は、商品コードと商品の外観の特徴量を示す照合用の情報(以下、単に特徴量ともいう)とを対応付けた商品マスタ312を記憶したメモリ部310から、入力部3001に入力された商品コードに対応する特徴量を読み出す。抽出部3003は、読み出した特徴量を判定部3004に出力する。なお、商品マスタ312を格納するメモリ部310は店舗サーバ3等の外部装置に設けられていてもよい。
【0044】
判定部3004は、抽出部3003が抽出した識別用データに基づいて、取得部3002が取得した撮像データに含まれる商品がスキャナ40によって読み取られた商品識別情報で識別される商品と同一商品であるか否か判定する。具体的には、判定部3004は、取得部3002が取得した撮像データから当該撮像データに含まれる商品の特徴量を抽出し、抽出部3003がメモリ部310から抽出した特徴量と比較して、類似度を算出する。判定部3004は、算出した類似度に基づいて、取得部3002が取得した撮像データに含まれる商品が入力部3001に入力された商品コードで識別される商品と同一商品であるか否か判定する。言い換えれば、スキャナ40が値引シールYを読取った商品がバーコードBCを読取った商品と同一商品であるか否か判定する。判定部3004は、例えば、算出した類似度が予め定められた設定値以上であると、両商品が同一商品であると判定する。なお、取得部3002が取得した撮像データからの商品の特徴量の抽出は、一般物体認識等の公知の画像認識技術を用いて実現される。
【0045】
登録部3005は、判定部3004が同一商品であると判定した場合、スキャナ40が読取った商品識別情報および特典情報に基づいて、当該商品識別情報で識別される商品の取引に関する取引情報を登録する。具体的には、登録部3005は、判定部3004によって、取得部3002が取得した撮像データに含まれる商品が入力部3001に入力された商品コードで識別される商品と同一商品であると判定されると、商品情報および値引情報を対応付けた取引情報を取引情報記憶部304に記憶する。登録部3005は、判定部3004が同一商品でないと判定した場合、スキャナ40が商品コードを読取った商品に付された値引シールとは異なる値引シールが読取られたと判断して、取引情報を取引情報記憶部304に記憶しない。
【0046】
また、登録部3005は、スキャナ40がフラグ情報を読取らない場合、商品識別情報で識別される商品に特典がないものとして取引情報を取引情報記憶部304に記憶する。具体的には、登録部3005は、入力部3001に商品コードと併せてフラグ情報が入力されない場合、当該商品コードで識別される商品が値引対象商品でないと判断し、商品情報を取引情報として取引情報記憶部304に記憶する。商品名や価格などの商品情報は、入力部3001に入力された商品コードに基づいて商品マスタ312から取得される。なお、登録部3005は、入力部3001に商品コードが入力された際に、商品マスタ312を格納した店舗サーバ3に対して当該商品コードに基づく商品情報の問合せを出力し、店舗サーバ3から商品情報を取得するようにしてもよい。この場合、メモリ部310は商品マスタ312を記憶しなくてよい。登録部3005が取引情報記憶部304に取引情報を記憶(登録)することを商品登録という。
【0047】
また、登録部3005は、スキャナ40がフラグ情報を読取ってから所定時間経過してもスキャナ40が特典情報を読取らない場合、商品識別情報で識別される商品の取引情報を登録しない。具体的には、登録部3005は、入力部3001にフラグ情報が入力されてから所定時間経過しても入力部3001に値引情報が入力されない場合、入力された商品コードで識別される商品に付された値引シールとは異なる値引シールが読取られる可能性があると判断して商品登録を行わない。
【0048】
報知部3006は、判定部3004によって、取得部3002が取得した撮像データに含まれる商品が入力部3001に入力された商品コードで識別される商品と同一商品でないと判定された場合に、顧客Cに対してエラーメッセージを報知する。例えば、報知部3006は、ディスプレイ31に再度商品登録を行うことを促すメッセージを表示する。報知部3006による報知は音声によるものであってもよい。報知部3006は、入力部3001にフラグ情報が入力されたにも拘わらず、所定時間経過しても入力部3001に値引情報が入力されない場合も同様に商品登録のやり直しを促す報知を行う。
【0049】
出力部3007は、入力部3001にタッチパネル32から会計指示が入力されると、取引情報記憶部304に記憶されている1取引分の取引情報を会計装置2に出力する。取引情報を受信した会計装置2は会計処理を実行することができる。
【0050】
上記構成に基づく登録装置20の動作について説明する。
図7は、タブレット端末30の制御部300による登録処理の流れを示すフローチャートである。
【0051】
まず、制御部300は、入力部3001に商品コードが入力されたか否か判断し(S1)、入力されないと(S1のN)、S1の処理に戻って待機する。言い換えると、制御部300は、スキャナ40が商品に付されたバーコードBCから商品コードを読取ったか否か判断する。
【0052】
入力部3001に商品コードが入力されると(S1のY)、制御部300は、入力部3001にフラグ情報が入力されたか否か判断する(S2)。言い換えると、制御部300は、スキャナ40が商品に貼られたフラグシールZからフラグ情報を読取ったか否か判断する。
【0053】
入力部3001にフラグ情報が入力されると(S2のY)、制御部300は、値引シールYの読取を促す表示をさせるための指示信号をディスプレイ31に出力する(S3)。指示信号が入力されたディスプレイ31は、顧客Cに対して値引シールYの読取を促す表示を行う。続いて、制御部300は、入力部3001に値引情報が入力されたか否か判断する(S4)。言い換えると、制御部300は、スキャナ40が商品に貼られた値引シールYから値引情報を読取ったか否か判断する。
【0054】
入力部3001に値引情報が入力されると(S4のY)、取得部3002は、値引シール読取時の撮像データ、すなわちスキャナ40が値引シールYの値引情報を読取るためにカメラ41が商品を撮像した撮像データを取得する(S5)。続いて、抽出部3003は、商品マスタ312を参照して、入力部3001に入力された商品コードに対応する識別用データである特徴量を抽出する(S6)。
【0055】
次いで、判定部3004は、取得部3002が取得した撮像データに含まれる商品画像の特徴量と、抽出部3003が商品マスタ312から抽出した特徴量とを比較して、取得部3002が取得した撮像データに含まれる商品が入力部3001に入力された商品コードで識別される商品と同一商品であるか否か判定する(S7)。制御部300は、判定部3004によって、撮像データに含まれる商品と入力部3001に入力された商品コードで識別される商品とが同一商品と判定されたか否か判断する(S8)。
【0056】
判定部3004によって同一商品と判定された場合(S8のY)、登録部3005は、商品登録を行う(S9)。すなわち、登録部3005は、入力部3001に入力された商品コードに基づいて商品マスタ312から取得した商品情報と、入力部3001に入力された値引情報と、を対応付けた取引情報を取引情報記憶部304に登録する。
【0057】
続いて、制御部300は、入力部3001に会計指示が入力されたか否か判断し(S10)、入力されない場合(S10のN)、S1の処理に戻って次の商品コードが入力されるまで待機する。会計指示が入力されると(S10のY)、出力部3007は、取引情報記憶部304に記憶されている1取引分の取引情報を会計装置2に出力する(S11)。出力部3007による取引情報の出力に続いて、制御部300は、取引情報記憶部304に記憶された1取引分の取引情報を消去し(S12)、登録処理を終了する。
【0058】
なお、S2の処理においてフラグ情報が入力されない場合(S2のN)、制御部300はS3~S8の処理をスキップしてS9の処理に移行する。フラグ情報が入力されない場合、登録部3005は、商品コードが入力された商品が値引対象商品でないと判断して商品登録を行う。この場合、登録部3005は、入力された商品コードに基づいて商品マスタ312から取得した商品情報を取引情報として取引情報記憶部305に登録する。つまり、取引情報には値引情報は含まれない。
【0059】
また、S4の処理において入力部3001に値引情報が入力されない場合(S4のN)、制御部300は、入力部3001に商品コードが入力されてから所定時間経過したか否か判断する(S13)。所定時間経過しないと(S13のN)、制御部300は、S3の処理に戻る。所定時間経過すると(S13のY)、報知部3006は、顧客Cが値引情報を読取らせることなく商品をカゴに収容したと判断してディスプレイ31にエラーメッセージを表示する(S14)。表示されるエラーメッセージは、例えば「値引情報を読取れませんでした。商品登録のやり直しをお願いします」など、商品登録のやり直しを促すメッセージである。続いて、制御部300は、S10の処理に移行する。S8で同一商品でないと判断された場合(S8のN)、制御部300はS14の処理に移行する。この場合、入力された値引情報が不正行為に基づくものである可能性があるので、報知部3006は、エラーメッセージを表示して商品登録のやり直しを促す。
【0060】
上記登録処理によってタブレット端末30から1取引分の取引情報を受信した会計装置2は、当該取引情報に基づいて会計処理を実行する。
【0061】
上記第1の実施形態によれば、登録装置20は、スキャナ40が商品コードを読取った商品と値引情報を読取った商品とが同一であると判断した場合、値引情報を有効として商品登録を行う。また、登録装置20は、スキャナ40が商品コードを読取った商品と値引情報を読取った商品とが同一でないと判断した場合、値引情報を無効として、商品登録を行わずに顧客Cに対して商品登録のやり直しを促す。これにより、顧客Cによって商品登録が行われる登録装置であっても、値引販売に関して顧客Cによる不正行為を抑制することができる。
【0062】
また、第1の実施形態によれば、値引シールYがバーコードBCを有する商品ラベルXと離れた位置に貼り付けられた商品であっても、バーコードBCを読取った商品と値引シールYを読取った商品とが同一商品であるか否か判定することができる。つまり、値引シールYの貼り付け位置が限定されないので、バーコードBCが裏面に付されている商品の場合でも顧客Cが見やすいように値引シールYを商品の表面に貼り付けることが可能である。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、スキャナ40によるバーコードBCの読取時の第1の撮像データと値引シールYの読取時の第2の撮像データとの比較によって、スキャナ40が商品コードを読取った商品と値引情報を読取った商品とが同一であるか否か判定する点で第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と同様の構成、機能については、説明を省略する場合がある。以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0064】
登録装置20を含む会計システム1のハードウェア構成は第1の実施形態と同様であるので、まず、タブレット端末30の制御部300の機能構成について説明する。
図8は、タブレット端末30の制御部300の機能構成を示すブロック図である。制御部300は、CPU301がROM302やメモリ部310に記憶された制御プログラムにしたがって動作することで、入力部3001、取得部3002、判定部3004、登録部3005、報知部3006、および出力部3007として機能する。なお、これら各機能を専用回路等のハードウェアで構成してもよい。
【0065】
取得部3002は、スキャナ40による商品識別情報の読取時にカメラ41が撮像した第1の撮像データ、およびスキャナ40による特典情報の読取時にカメラ41が撮像した第2の撮像データを取得する。具体的には、取得部3002は、スキャナ40によるバーコードBCの読取時にカメラ41が撮像したバーコードBCが付された商品を含むフレーム画像である第1の撮像データを取得する。また、取得部3002は、スキャナ40による値引シールYの読取時にカメラ41が撮像した値引シールYが付された商品を含むフレーム画像である第2の撮像データを取得する。なお、商品に貼り付けられる値引シールYは、バーコードBCに近接して貼り付けられる運用となっている。
【0066】
図9は第1の撮像データの一例を示す図であり、
図10は第2の撮像データの一例を示す図である。これら
図9および
図10は、カメラ41の撮像領域と読取領域との関係を示している。
図9および
図10において、外側の枠はカメラ41が1フレームで撮像する撮像領域Aである。撮像領域Aの中央部には、商品コードや値引情報を読取り可能な読取領域Bが設定されている。撮像領域Aは、カメラ41がスキャナ40の読取窓42に面した撮像エリアを撮像した画像領域であり、読取領域Bは、上記読取窓42に面した読取エリアを撮像した画像領域である。
【0067】
スキャナ40は、読取領域Bに含まれるバーコードBCおよび値引シールYの情報を読取可能であり、読取領域B外の撮像領域Aに含まれるバーコードBCおよび値引シールYの情報は読取しないよう設定されている。また、スキャナ40は、撮像領域Aに含まれるフラグシールZの情報を読取り可能となっている。言い換えると、バーコードBCが示す商品コードおよび値引シールYが示す値引情報は読取領域B内でのみ読取可能であり、フラグシールZが示すフラグ情報は撮像領域A内で読取可能である。
【0068】
図8に戻ってタブレット端末30の制御部300の機能構成を説明する。判定部3004は、第1の撮像データに含まれる商品が第2の撮像データに含まれる商品と同一商品であるか否か判定する。例えば、判定部3004は、第1の撮像データにおけるコードシンボルおよび特典シンボルを含む画像エリアと同一の画像エリアが第2の撮像データに含まれる場合、第1の撮像データに含まれる商品が第2の撮像データに含まれる商品と同一商品であると判定する。
【0069】
より詳細には、判定部3004は、画像処理技術を用いて、第1の撮像データと第2の撮像データにバーコードBCおよび値引シールYを含む共通の画像領域があるか否かを判断する。判定部3004は、
図9および
図10に示すように、第1の撮像データと第2の撮像データに、バーコードBCおよび値引シールYを含む共通の画像領域SAが存在する場合、第1の撮像データに含まれる商品が第2の撮像データに含まれる商品と同一商品であると判定する。バーコードBCを有する商品ラベルXや値引シールYは人手によって貼り付けられるので、バーコードBCと値引シールYとの位置関係は商品個々で異なると考えられる。このため、2つの画像にバーコードBCと値引シールYを含む共通画像がある場合、判定部3004は、上記2つの画像におけるバーコードBCと値引シールYとの位置関係が同じであると判断し、両画像に示される商品が同一商品であると判定する。なお、判定部3004は、バーコードBCおよび値引シールYの位置関係を考慮せずに、第1の撮像データに含まれる商品画像と第2の撮像データに含まれる商品画像とを比較することで、第1の撮像データに含まれる商品と第2の撮像データに含まれる商品が同一商品であるか否か判定してもよい。例えば、判定部3004は、バーコードBCを読取領域Bに位置させて商品コードを読取る際の撮像領域Aの一部(同一商品であると判定するために十分な範囲)が、値引シールYを読取領域Bに位置させて値引情報を読取る際の撮像領域A内に位置する場合に同一商品と判定してもよい。
【0070】
上記構成に基づく登録装置20の動作について説明する。
図11は、タブレット端末30の制御部300による登録処理の流れを示すフローチャートである。なお、第1の実施形態と同様の処理については同一符号を付し、説明を簡略化する。
【0071】
まず、制御部300は、入力部3001に商品コードが入力されたか否か判断し(S1)、入力されないと(S1のN)、S1の処理に戻って待機する。入力部3001に商品コードが入力されると(S1のY)、制御部300は、入力部3001にフラグ情報が入力されたか否か判断する(S2)。
【0072】
入力部3001にフラグ情報が入力されると(S2のY)、取得部3002は、第1の撮像データ、すなわちスキャナ40が商品コードを読取るためにカメラ41が撮像した撮像データを取得する(S21)。続いて、制御部300は、値引シールYの読取を促す表示をさせるための指示信号をディスプレイ31に出力する(S3)。
【0073】
次いで、制御部300は、入力部3001に値引情報が入力されたか否か判断する(S4)。入力部3001に値引情報が入力されると(S4のY)、取得部3002は、第2の撮像データ、すなわちスキャナ40が値引シールYの値引情報を読取るためにカメラ41が商品を撮像した撮像データを取得する(S22)。
【0074】
続いて、判定部3004は、取得部3002が取得した第1の撮像データと第2の撮像データに、バーコードBCおよび値引シールYを含む共通の画像領域が存在するか否かを判断することで、第1の撮像データに含まれる商品と第2の撮像データに含まれる商品が同一商品であるか否か判定する(S7)。制御部300は、判定部3004によって第1の撮像データに含まれる商品と第2の撮像データに含まれる商品とが同一商品と判定されたか否か判断する(S8)。
【0075】
判定部3004によって同一商品と判定された場合(S8のY)、登録部3005は、商品登録を行う(S9)。続いて、制御部300は、入力部3001に会計指示が入力されたか否か判断し(S10)、入力されない場合(S10のN)、S1の処理に戻って次の商品コードが入力されるまで待機する。会計指示が入力されると(S10のY)、出力部3007は、取引情報記憶部304に記憶されている取引情報を会計装置2に出力する(S11)。出力部3007による取引情報の出力に続いて、制御部300は、取引情報記憶部304に記憶された1取引分の取引情報を消去し(S12)、登録処理を終了する。
【0076】
なお、S2の処理においてフラグ情報が入力されない場合(S2のN)、制御部300は、S9の処理に移行する。また、S4の処理において入力部3001に値引情報が入力されない場合(S4のN)、制御部300は、入力部3001に商品コードが入力されてから所定時間経過したか否か判断する(S13)。所定時間経過しないと(S13のN)、制御部300は、S3の処理に戻る。所定時間経過すると(S13のY)、報知部3006は、ディスプレイ31にエラーメッセージを表示する(S14)。表示されるエラーメッセージは、例えば「値引情報を読取れませんでした。商品登録のやり直しをお願いします」など、商品登録のやり直しを促すメッセージである。続いて、制御部300は、S10の処理に移行する。また、S8で同一商品でないと判断された場合(S8のN)、制御部300はS14の処理に移行する。
【0077】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、顧客Cによって商品登録が行われる登録装置であっても、値引販売に関して顧客Cによる不正行為を抑制することができる。
【0078】
また、第2の実施形態によれば、第1の撮像データと第2の撮像データに、バーコードBCおよび値引シールYを含む共通の画像領域SAが存在するか否かによって、商品コードが読取られた商品と値引情報が読取られた商品とが同一商品であるか否か判定する。このため、上記判定を個品単位で行うことができるので、顧客Cによる不正行為をより抑制することができる。例えば、値引シールYが貼られていない商品の商品コードを読取った後、当該商品と同一商品(商品コードが同じ商品)に貼られた値引シールYを読取らせても、登録装置20は、値引情報を登録しないので不正をより抑制することができる。
【0079】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、スキャナ40が商品コードを読取った商品と値引情報を読取った商品とが同一であるか否か判定を、第1の実施形態の判定と第2の実施形態の判定との両方を用いて行うものである。以下、第1の実施形態および/または第2の実施形態と同様の構成、機能については、説明を省略する場合がある。
【0080】
登録装置20を含む会計システム1のハードウェア構成は第1の実施形態および第2の実施形態と同様である。また、タブレット端末30の制御部300の機能は、第1の実施形態の機能と第2の実施形態の機能とを備えている。
【0081】
登録装置20の動作について説明する。
図12は、タブレット端末30の制御部300による登録処理の流れを示すフローチャートである。なお、第1の実施形態および/または第2の実施形態と同様の処理については同一符号を付し、説明を簡略化する。
【0082】
まず、制御部300は、入力部3001に商品コードが入力されたか否か判断し(S1)、入力されないと(S1のN)、S1の処理に戻って待機する。入力部3001に商品コードが入力されると(S1のY)、制御部300は、入力部3001にフラグ情報が入力されたか否か判断する(S2)。
【0083】
入力部3001にフラグ情報が入力されると(S2のY)、取得部3002は、第1の撮像データ、すなわちスキャナ40が商品コードを読取るためにカメラ41が撮像した撮像データを取得する(S21)。続いて、制御部300は、値引シールYの読取を促す表示をさせるための指示信号をディスプレイ31に出力する(S3)。
【0084】
次いで、制御部300は、入力部3001に値引情報が入力されたか否か判断する(S4)。入力部3001に値引情報が入力されると(S4のY)、取得部3002は、第2の撮像データ、すなわちスキャナ40が値引シールYの値引情報を読取るためにカメラ41が商品を撮像した撮像データを取得する(S22)。
【0085】
続いて、判定部3004は、第1判定を行う(S31)。第1判定は、第2の実施形態における判定と同様に、第1の撮像データと第2の撮像データとを用いて、商品コードを読取った商品と値引情報を読取った商品が同一商品であるか否か判定する。制御部300は、判定部3004によって第1の撮像データに含まれる商品と第2の撮像データに含まれる商品とが同一商品と判定されたか否か判断する(S32)。
【0086】
判定部3004によって同一商品と判定された場合(S32のY)、登録部3005は、商品登録を行う(S9)。続いて、制御部300は、入力部3001に会計指示が入力されたか否か判断し(S10)、入力されない場合(S10のN)、S1の処理に戻って次の商品コードが入力されるまで待機する。会計指示が入力されると(S10のY)、出力部3007は、取引情報記憶部304に記憶されている1取引分の取引情報を会計装置2に出力する(S11)。出力部3007による取引情報の出力に続いて、制御部300は、取引情報記憶部304に記憶された1取引分の取引情報を消去し(S12)、登録処理を終了する。
【0087】
なお、S2の処理においてフラグ情報が入力されない場合(S2のN)、制御部300S9の処理に移行する。また、S4の処理において入力部3001に値引情報が入力されない場合(S4のN)、制御部300は、入力部3001に商品コードが入力されてから所定時間経過したか否か判断する(S13)。所定時間経過しないと(S13のN)、制御部300は、S3の処理に戻る。所定時間経過すると(S13のY)、報知部3006は、ディスプレイ31にエラーメッセージを表示する(S14)。表示されるエラーメッセージは、例えば「値引情報を読取れませんでした。商品登録のやり直しをお願いします」など、商品登録のやり直しを促すメッセージである。続いて、制御部300は、S10の処理に移行する。
【0088】
また、S32の処理で同一商品と判断されない場合(S32のN)、抽出部3003は、商品マスタ312を参照して、入力部3001に入力された商品コードに対応する識別用データである特徴量を抽出する(S6)。続いて、判定部3004は、第2判定を行う(S33)。第2判定は、第1の実施形態における判定と同様に、値引情報読取時の撮像データ(第2の撮像データ)と商品マスタ312に記憶された商品画像の特徴量とを用いて、商品コードを読取った商品と値引情報を読取った商品が同一商品であるか否か判定する。
【0089】
第1判定において商品コードを読取った商品と値引情報を読取った商品が同一商品でないと判定された場合に第2判定を行う理由は以下のとおりである。
【0090】
第1判定による判定方法は、第2の実施形態で説明したように、商品コードが読取られた商品と値引情報が読取られた商品とが同一商品であるか否かの判定を個品単位で行うことができるという利点がある。ただし、個品単位で判定を行うには、バーコードBCと値引シールYとは近接して商品に付される必要がある。具体的には、
図9に示すように、バーコードBCを読取領域Bに位置させて商品コードを読取る際に値引シールYの少なくとも一部が撮像領域A内に位置するように、バーコードBCと値引シールYとを近接させる必要がある。このため、例えば、バーコードBCが商品の裏面に付されている商品などには必ずしも適しているとはいえない。値引シールYは顧客Cが認識しやすいように商品の表面に付すことが望ましく、結果として、バーコードBCと値引シールYとが離れて商品に付されることになるからである。
【0091】
一方、第2判定による判定方法は、第1の実施形態で説明したように、バーコードBCと値引シールYが離れた位置に付された商品であっても、バーコードBCを読取った商品と値引シールYを読取った商品とが同一商品であるか否か判定することができる利点がある。
【0092】
そこで、第3の実施形態においては、第1判定で商品コードを読取った商品と値引情報を読取った商品が同一商品でないと判定された場合に第2判定を行うことで、個品単位で、かつ、バーコードBCと値引シールYとの位置関係に制約を受けずに判定できるようにしたものである。言い換えると、第1判定において商品コードを読取った商品と値引情報を読取った商品とが同一でないと判定された後に第2判定を実施することで、第1の実施形態の利点と第2実施形態の利点を得ることができる。
【0093】
制御部300は、第2判定の結果、第2撮像データに含まれる商品が入力部3001に入力された商品コードで識別される商品と同一商品であるか否か判断する(S34)。第2判定で同一商品と判定されると(S34のY)、制御部300はS9の処理に移行する。第2判定で同一商品と判定されないと(S34のN)、制御部300はS14の処理に移行する。
【0094】
第3の実施形態によれば、登録装置20は、第1の実施形態および第2の実施形態と同様に、顧客Cによって商品登録が行われる登録装置であっても、値引販売に関して顧客Cによる不正行為を抑制することができる。
【0095】
加えて、第3の実施形態によれば、商品コードが読取られた商品と値引情報が読取られた商品とが同一商品であるか否かの判定を個品単位で行うことができるばかりでなく、商品に付されるバーコードBCと値引シールYの位置関係に制約を受けることがない。
【0096】
以上説明したとおり、上記実施形態の登録装置は、商品に付されたコードシンボルから当該商品を識別する商品識別情報を読取るとともに、商品に付された特典シンボルから当該商品の特典に関する特典情報を読取る読取部と、前記読取部の読取可能エリアを含む撮像エリアを撮像する撮像部と、前記商品識別情報と商品画像に係る識別用データとを対応付けて記憶したメモリ部から前記読取部が読み取った商品識別情報に対応する識別用データを抽出する抽出部と、前記読取部による特典情報の読取時に前記撮像部が撮像した撮像データを取得する取得部と、前記抽出部が抽出した識別用データに基づいて、前記取得部が取得した撮像データに含まれる商品が前記読取部によって読み取られた商品識別情報で識別される商品と同一商品であるか否か判定する判定部と、前記判定部が同一商品であると判定した場合、前記読取部が読取った前記商品識別情報および前記特典情報に基づいて、当該商品識別情報で識別される商品の取引に関する取引情報を登録する登録部と、を備える。
【0097】
これにより、登録装置が顧客Cによって操作されるものであっても、値引販売に関して顧客Cによる不正行為を抑制することができる。また、商品に付されるバーコードBCと値引シールYの位置関係に制約を受けることがない。
【0098】
また、上記実施形態の登録装置は、商品に付されたコードシンボルから当該商品を識別する商品識別情報を読取るとともに、商品に付された特典シンボルから当該商品の特典に関する特典情報を読取る読取部と、前記読取部の読取可能エリアを含む撮像エリアを撮像する撮像部と、前記読取部による商品識別情報の読取時に前記撮像部が撮像した第1の撮像データ、および前記読取部による特典情報の読取時に前記撮像部が撮像した第2の撮像データを取得する取得部と、前記第1の撮像データに含まれる商品が前記第2の撮像データに含まれる商品と同一商品であるか否か判定する判定部と、前記判定部が同一商品であると判定した場合、前記読取部が読取った前記商品識別情報および前記特典情報に基づいて、当該商品識別情報で識別される商品の取引に関する取引情報を登録する登録部と、を備える。
【0099】
これにより、登録装置が顧客Cによって操作されるものであっても、値引販売に関して顧客Cによる不正行為を抑制することができる。
【0100】
さらに、上記実施形態の登録装置の判定部は、第1の撮像データにおけるコードシンボルおよび特典シンボルを含む画像エリアと同一の画像エリアが第2の撮像データに含まれる場合、第1の撮像データに含まれる商品が第2の撮像データに含まれる商品と同一商品であると判定する。
【0101】
これにより、商品コードが読取られた商品と値引情報が読取られた商品とが同一商品であるか否かの判定を個品単位で行うことができ、顧客Cによる不正行為をより抑制することができる。
【0102】
加えて、上記実施形態の登録装置の読取部は、特典情報を示すラベルが商品に付されていることを示すフラグ情報を読取り、登録部は、前記読取部が前記フラグ情報を読取ってから所定時間経過しても前記読取部が特典情報を読取らない場合、商品識別情報で識別される商品の取引情報を登録しない。
【0103】
これにより、顧客Cによる不正行為をより抑制することができる。
【0104】
なお、上記実施形態において、タブレット端末30、スキャナ40、および店舗サーバ3の各装置で実行される制御プログラムは、CD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上記実施形態の各装置で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良く、さらには、インターネット等のネットワーク経由で提供するように構成しても良い。
【0105】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、各実施形態においては、登録装置20をタブレット端末30とスキャナ40によって構成したが、カメラ機能を有するスマートフォンに商品登録用のアプリケーションプログラムをインストールすることによって、当該スマートフォンを登録装置とすることもできる。また、スキャナ40によって読み取られた情報に基づいてタブレット端末30が実行する処理の一部または全てをクラウドサーバ等で実行してもよい。さらには、上記各実施形態においては、顧客Cに対して値引シールYの読取を促すためにフラグシールZを用いているが、フラグシールZは用いなくてもよい。また、スキャナ40とは別にカメラを設け、当該カメラを撮像部とすることも可能である。
【0106】
また、この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
20 登録装置
30 タブレット端末(情報処理装置)
40 スキャナ(読取部)
41 カメラ(撮像部)
310 メモリ部
3001 入力部
3002 取得部
3003 抽出部
3004 判定部
3005 登録部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】