(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-19
(45)【発行日】2025-03-28
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
G01S 5/04 20060101AFI20250321BHJP
B60R 99/00 20090101ALI20250321BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20250321BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20250321BHJP
【FI】
G01S5/04
B60R99/00 360
G08G1/16 D
G08G1/09 F
(21)【出願番号】P 2021097374
(22)【出願日】2021-06-10
【審査請求日】2024-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森島 憲太
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲也
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/064544(WO,A1)
【文献】特開2015-88116(JP,A)
【文献】特開平10-269497(JP,A)
【文献】特開2019-194801(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109795479(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/04
B60R 99/00
G08G 1/16
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線発信機から発信される電波を、車両に搭載された複数の無線受信アンテナから受信する無線受信部と、
該無線受信部で受信した前記電波の方位情報を用いて前記無線発信機の位置情報を求める位置情報取得部と、
前記位置情報から矩形領域の対角線を設定し、前記対角線から誘導領域を推定する誘導領域推定部と、
を備え
、
前記誘導領域推定部は、前記電波のID情報を用いて、前記誘導領域を画定する4つの辺の中から、前記車両が前記誘導領域に進入可能な進入許可辺を設定することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
複数の無線発信機から発信される電波を、車両に搭載された複数の無線受信アンテナから受信する無線受信部と、
該無線受信部で受信した前記電波の方位情報を用いて前記無線発信機の位置情報を求める位置情報取得部と、
前記位置情報から矩形領域の対角線を設定し、前記対角線から誘導領域を推定する誘導領域推定部と、
を備え
、
前記誘導領域推定部は、前記無線発信機の前記電波が有する領域高さについてのID情報を用いて、前記車両が進入不可能な立体状の非誘導領域を設定することを特徴とする車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の低速自動走行制御を行う車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の低速自動走行制御では、車載カメラとソナーを用いて、車両の位置決めと、周辺の障害物への接触の回避を行っている。低速自動走行制御により車両を狭隘な場所に誘導する場合、車載カメラには、距離精度と死角に弱点がある。そして、ソナーは、計測可能なレンジが狭いため、低速自動走行用の精密マップを生成するためには、目標とする停止位置への接近・離脱を複数回繰り返して測り直しが必要である。また、ソナーは、フェンスなどの認識の苦手な形状があり、精密マップの生成への対応が難しかった。
【0003】
特許文献1では、接近した自動車に対して、停止エリア(枠)までの高精度マップ情報を送信しガイドする方法を提案している。しかしながら、マップ情報上の自車位置配置には誤差があり、障害物からの距離に余裕のない場合の通過は考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば都市部や私有地では、低速自動走行制御により、車両を門柱や障害物による狭隘な領域に進入させて停車又は通過させる必要がある。そのような事態において、迅速に、精度よく車両の進入可能領域を認識する手段が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の車両制御装置は、複数の無線発信機から発信される電波を、車両に搭載された複数の無線受信アンテナから受信する無線受信部と、該無線受信部で受信した前記電波の方位情報を用いて前記無線発信機の位置情報を求める位置情報取得部と、前記位置情報から矩形領域の対角線を設定し、前記対角線から誘導領域を推定する誘導領域推定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、自車の迅速で精密な位置決めにより、低速自動運転による狭隘領域への誘導、ビーコンによる停止枠毎の指定で、詳細不明な停止位置への車両の誘導が可能となる。本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例における車両制御装置の構成を示した図。
【
図2】車両制御装置の機能構成例を示すブロック図。
【
図3】誘導領域推定部による誘導領域の推定方法を説明する図。
【
図4】誘導領域推定部による誘導領域の推定方法を説明する図。
【
図5】誘導領域に進入許可辺と進入不可辺とを設定した例を示す図。
【
図8】無線発信機の位置を複数のアンテナから求める方法の原理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態の車両制御装置は、例えば自動車を低速で自動走行させ、都市部や私有地などの狭隘な領域に車両を進入させて停車又は通過させる制御を行うものである。
【0010】
図1は、実施例における車両制御装置の構成を示した図である。
車両制御装置101は、車両(自車)100に搭載される。本実施例では、車両制御装置101は、ECU(Electronic Control Unit)である。ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称であり、マイクロコンピュータを構成部品として有する電子制御回路である。車両制御装置101は、CPU(Central Processing Unit)111、メモリ112、不揮発性メモリ113及びインターフェース114等を含む。
【0011】
CPU111は、少なくとも1つのプロセッサ及び/又は回路を含む。メモリ112は、例えば、RAM(Random access memory)を含む。不揮発性メモリ113は、例えば、フラッシュメモリ及びROM(Read Only Memory)を含む。CPU111は、メモリ112をワークメモリとして用いて、不揮発性メモリ113に格納されているプログラムコード(インストラクション)を実行する。これにより、CPU111は、以降で説明する処理を実行することができる。
【0012】
自車100は、無線発信機からの無線信号を受信する複数のアンテナ(無線受信アンテナ)102と、ソナーやカメラなどの外界認識用の各種センサ103と、低速自動走行を行うためのアクチュエータ127とを有している。例えば、複数のアンテナ102は、自車100の車体の前部と後部及びその中間位置の合計3箇所に取り付けられており、ソナーは、車体の前部と後部の左右両側に取り付けられており、カメラは、フロントガラス越しに前方を撮像可能に取り付けられている。アクチュエータ127は、自車100の走行速度を調整する走行アクチュエータと、ブレーキの制動力を調整する制動アクチュエータと、操舵輪を操作する操舵アクチュエータを備えており、車両制御装置101から指示に応じて走行速度と制動力と操舵輪を制御するように構成されている。
【0013】
(車両制御装置の構成)
図2は、車両制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
車両制御装置101は、複数のアンテナ102によってビーコン201からの電波を受信して、高精度マップ情報を作成し、高精度マップ情報に基づいて自車100を低速自動走行させる制御を行う。ビーコン201は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンなどの、識別情報(ID情報)を含む電波を発信する無線発信機である。BLEビーコンの場合には、Bluetooth規格5.1のBluetooth Direction Finding機能を用いても良い。
【0014】
車両制御装置101は、不揮発性メモリ113に記憶されているソフトウエアプログラムをCPU111が実行することにより種々の内部機能を発揮する。車両制御装置101は、その内部機能として、無線受信機121と、位置情報取得部122と、物標フュージョン部123と、誘導領域推定部124と、進路推定部125と、制御部126とを有している。無線受信機121は、複数のアンテナ102から方位情報を含む電波を受信する。
【0015】
位置情報取得部122は、アンテナ102間の位相差から角度情報を求め、ビーコン201の相対位置の情報(位置情報)を求める。位置情報取得部122は、ビーコン201からの電波をアンテナ102で受信することにより、ビーコン201の座標位置情報を取得することができる。位置情報取得部122は、各アンテナ102において電波を受信することによって、アンテナ102に対するビーコン201の方角を検知することができる。
【0016】
位置情報取得部122は、2つのアンテナ102の間の距離と、各アンテナ102から1つのビーコン201に向かうそれぞれの方角とを用いて、三角法により各アンテナ102からビーコン201までのそれぞれの距離と、ビーコン201を間に挟んだ各アンテナ102の間の狭角を求めることができる。ビーコン201は、地面や縁石などの固定物に設置されている。ビーコン201は、少なくとも2個が予め設定された矩形領域の対角の位置に対をなして配置される。
【0017】
物標フュージョン部123は、位置情報取得部122により取得した位置情報と、各種センサ103の信号から得られる環境情報を統合して高精度マップ情報を生成する。
【0018】
誘導領域推定部124は、複数のビーコン201からそれぞれ取得したID情報と、各ビーコン201の座標位置とに基づいて、自車100が誘導される誘導領域を推定する。誘導領域の推定方法については後述する。なお、本実施形態では、物標フュージョン部123によって高精度マップ情報を生成する構成例について説明しているが、物標フュージョン部123を省略して、位置情報取得部122において位置情報のみを用いて高精度マップ情報を生成しても良い。
【0019】
進路推定部125は、推定された誘導領域の制約に従い自車100の進路を推定する。制御部126は、進路推定部125によって推定された進路に沿って自車100を走行させるためのアクチュエータ制御量を求める。アクチュエータは、例えばアクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングホイールをそれぞれ駆動するものであり、アクチュエータ制御量には、各アクチュエータの制御量が含まれる。
【0020】
図3および
図4は、誘導領域推定部による誘導領域の推定方法を説明する図である。
誘導領域312は、自車100よりも大きな矩形の領域であり、自車100を低速で進入させて、停車、もしくは通過させることができる狭隘な領域である。誘導領域312は、例えば相似状に矩形領域302を拡大させた形状を有しており、前後左右の各辺から所定距離だけ内側に入り込んだ位置に、矩形領域302が設定される。誘導領域312には、矩形領域302の対角線301の両端に、第1ビーコン201aと第2ビーコン201bが設置される。第1ビーコン201aと第2ビーコン201bの座標から矩形領域302の対角線301の座標が求められ、矩形領域302から誘導領域312を求めることができる。
【0021】
互いに同じID信号を出力する2つの第1ビーコン201aを配置すると、対角線の規定だけでは、
図4(a)のように、2種類の矩形領域302が推定されてしまうことから、本実施例では、互いに異なるID信号を出力する第1ビーコン201aと第2ビーコン201bを配置している。例えば、第2ビーコン201bから第1ビーコン201aを見た対角線の右側の辺が短辺になる矩形であると定義し、矩形の向きを一意に決定することができる。
【0022】
誘導領域推定部124は、第1ビーコン201aと第2ビーコン201bから出力される信号に含まれているID情報に基づいて、矩形領域302の対角線301を設定し、対角線301から誘導領域312を設定する。第1ビーコン201aのID情報には、矩形領域302を設定する情報として、第1ビーコン201aから対角線301を挟む2辺のうち、対角線301の右側が半径Rbの長辺302aとなり、左側が半径Raの短辺302bとなる情報も含まれている。同様に第2ビーコン201bのID情報には、第2ビーコン201bから対角線を挟む2辺のうち、対角線301に対して右側が長辺302c、対角線に対して左側が短辺302dとなる情報も含まれている。長辺302a、302cと、短辺302b、302dの長さの情報を取得することができれば、他の角部P1の位置を求めることができ、矩形領域302の向きを一意に決定することができる。ビーコン201のID情報は、スマートフォンなどの端末機器により、ビーコン201a、201bに入力することが可能である。
【0023】
図5は、誘導領域に進入許可辺と進入不可辺とを設定した例を示す図である。
例えば、誘導領域が仮想停止枠である場合に、第1ビーコン201aおよび第2ビーコン201bのID情報に、誘導領域312に自車100が進入可能な進入許可辺Aと、進入不可能な進入不可辺Bの情報を含ませることができる。各ビーコン201から発信される電波には、誘導領域312を画定する4つの辺について、自車100が誘導領域312に進入可能な進入許可辺Aと、進入が不可能な進入不可辺Bを規定するID情報が含まれている。
【0024】
図5(a)に示す例では、長辺312cと短辺312dを進入許可辺Aとし、長辺312aと短辺312bを進入不可辺Bとして設定している。
図5(b)に示す例では、短辺312bと短辺312dを進入許可辺Aとして設定し、
図5(c)に示す例では、短辺312dのみを進入許可辺Aとし、
図5(d)に示す例では、短辺312bと長辺312cと短辺312dを進入許可辺Aとして設定している。また、図示していないが、長辺312a、312c、短辺312b、312dの全ての辺を進入許可辺Aとして設定してもよい。
【0025】
進入許可辺Aと進入不可辺Bの情報は、推定された誘導領域の制約条件として、進路推定部125に入力され、進路推定部125において進路の推定に用いられる。進路推定部125では、自車100が、進入不可辺Bを横断せずに進入許可辺Aのみを通過して誘導領域312に進入する進路の推定に用いられる。
【0026】
図6は、誘導領域の一例を示す図であり、精密な自車位置を取得する必要がある門柱に挟まれた領域を自車が通過する例を示している。
【0027】
塀401に設けられた一対の門柱402は、自車100の横幅よりも若干大きく、例えば自車100の左右のドアミラーを折り畳んだ状態でなければ通過できない程度の狭い間隔を有している。路面には、一対のビーコン201a、201bが固定されており、自車100が一対の門柱402の間を通過するための誘導領域312が設定されている。ビーコン201a、201bの信号には、ビーコン201a、201bの位置を示す座標の情報と、一対の門柱402の間の通路幅方向に沿った辺312d、312bを進入許可辺Aとし、進行方向に沿った辺312a、312cを進入不可辺BとするID情報が含まれている。
【0028】
車両制御装置101は、ビーコン201a、201bの信号に基づいて誘導領域312を推定し、誘導領域312に対する精密な自車位置を取得する。そして、進入不可辺Bに接触せずに進入許可辺Aを通過して誘導領域312に進入し、自車100が門柱402の間を通り抜ける進路を推定する。そして、推定した進路に沿って自車100を低速自動走行させる制御を行う。
【0029】
図7は、誘導領域の一例を示す図であり、空きスペースに自車を停止させる例を示している。
建屋411に隣接した空きスペース412は、自車100の左右のドアミラーを折り畳んだ状態でなければ停止できないような広さを有している。空きスペース412の地面には、一対のビーコン201a、201bが固定されており、自車100が空きスペース412に進入して停止するための誘導領域312が設定されている。ビーコン201a、201bの信号には、ビーコン201a、201bの位置を示す座標の情報と、空きスペース412の長さ方向と幅方向に沿った外側の辺312c、312dをそれぞれ進入許可辺Aとし、建屋側の辺312a、312bを進入不可辺BとするID情報が含まれている。
【0030】
車両制御装置101は、ビーコン201a、201bの信号に基づいて誘導領域312を推定し、誘導領域312に対する精密な自車位置を取得する。そして、進入不可辺Bに接触せずに進入許可辺Aを通過して誘導領域312に進入し、自車100を誘導領域312に停止させる進路を推定する。そして、推定した進路に沿って自車100を低速自動走行させる制御を行う。したがって、空きスペース412のような狭隘な場合でも、自車100との相対位置を精密に認識し、自車100を自動停止させることが可能になる。
【0031】
図8は、無線発信機の位置を複数のアンテナから求める方法の原理を示している図である。
自車100には、複数のアンテナ102が設置されている。複数のアンテナ102は、例えば
図8(a)に示すように、車両100の前部と後部と中間位置にそれぞれ分かれて配置されている。そして、
図8(b)に示すように、高さをそれぞれ異なる位置に設けている。
【0032】
ビーコン201からの電波を各アンテナ102で受信し、アンテナ102ごとの電波の位相差から、車両基準軸との間の角度を求め、三角法を用いてビーコン201の相対位置を高精度で求めることができる。つまり、自車100における各アンテナ102の互いの離間距離は既知であるので、例えば車両基準軸である車両中心線100aおよび車両水平線100bに対するビーコン201の方角を各アンテナ102で検知することによって、ビーコン201の正確な相対位置を算出することができる。
【0033】
図9は、変形例を示す図である。
上述の実施例では、2つのビーコン201a、201bによって平面的な誘導領域を設定する場合について説明した。この変形例では、ID情報に領域高さの情報を有するビーコン201cを用いて、立体状の非誘導領域を設定する方法について説明する。
【0034】
例えば、
図9(a)に示すように、天井422から梁423が下方に張り出しており、地上から梁423までの高さh1が自車100の車高h2よりも低い領域がある場合、自車100は梁423の下を通行することができない。かかる領域に2個以上のビーコン201a、201cを設置して非誘導領域313として規定し、車両が誘導されて通行するのを防止する。ビーコン201cから送信されるID情報には、路面421から梁423までの高さh1の情報が含まれている。非誘導領域313は、路面421に沿った矩形面と、各辺から垂直に立ち上がる4枚の矩形面を有する仮想立方体を構成する。
【0035】
車両制御装置101の位置情報取得部122では、ビーコン201a、201cの位置情報を取得する。そして、ビーコン201cの高さ情報を含むID情報に基づき、高精度マップ情報が生成される。誘導領域推定部124では、ビーコン201aとビーコン201cの領域高さについてのID情報を用いて、車両が進入不可能な立体状の非誘導領域313を設定する。進路推定部125では、非誘導領域313を回避して走行する経路Lを推定する。このように、変形例では、梁423など、車種によっては通行に問題がある場所に対して領域指定を行い、ビーコン201からの送信情報に、高さ情報を加えることで3次元領域の指定を可能にする。
【0036】
図10は、車両制御方法を説明するフローチャートである。
本フローチャートは、低速自動走行中の矩形領域近傍の走行時の制御例を示す。
自車100は、低速自動走行中、周期的にアンテナ102を切り替えながら無線受信機121によってビーコン201からの電波を監視している。S501の開始が予め設定されたプログラムサイクルで実行されることで、周期的な監視動作が行われる。S502で第1ビーコン201aからの信号の有無をチェックし、受信が無ければ、S510に移行して終了する。
【0037】
第1ビーコン201aからの信号の受信があった場合は、S503に移行し、第2ビーコン201bからの信号の有無をチェックする。そして、第2ビーコン201bからの信号があった場合には、S504で各ビーコン201a、201bのID情報に基づいてそれぞれの座標を取得し、矩形領域302と誘導領域312を求める。第2ビーコン201bからの信号がない場合には、S502に戻る。
【0038】
S505では、各ビーコン201a、201bのID情報から誘導領域312の進入許可辺Aと進入不可辺Bの情報を取得する。S506で自車100の自動走行の進路推定を行い、S507でその進路が進入不可辺Bに接触せずに、誘導領域312を出入りできるものであるかをチェックする。
【0039】
そして、進入不可辺Bに自車100が接触することになる場合は、S506に戻り、進路推定を再度実行する。推定した進路に対して進入不可辺Bへの接触がないと判断された場合は、S508で制御部126からの指示に従い自動走行を続ける。S510で処理を終了する。なお、周期的にビーコンからの信号の受信チェックは行われるので、自動走行途中にも自車100からの誘導領域312の座標は更新・修正される。
【0040】
ビーコン201の位置情報は、各種センサ103の入力と物標フュージョン部123によって調整され、誘導領域推定部124によってビーコン201の示す矩形領域302が求められる。そして、矩形領域302から求められる誘導領域312の制約(進入許可辺A、進入不可辺B)に従い、進路推定部125によって、誘導領域312に進入するための経路を求め、経路に沿うように制御部126からアクチュエータ127に制御信号が送られ、自車100が操縦される。
【0041】
図11は、本実施形態における他の実施例を示す図である。
図11では、複数の停止枠H-1~H-9が横並びに配置されており、経路Lに沿って自車100を走行させる例を示している。
【0042】
上記の実施例では、狭小な誘導領域への通過や停止について述べたが、
図11に示す例では、各停止枠H-1~H-9に対し、無線ビーコン201a、201bをそれぞれ設置し、個別の停止枠を識別できるように、停止枠毎に識別番号を割り振り、その識別番号の情報を、ビーコン201a、201bのID情報に持たせている。
【0043】
誘導領域推定部124は、ビーコン201a、201bの電波が有する、各停止枠H-1~H-9に割り振られた一意の識別番号に基づいて、個別の停止枠を識別する。進路推定部125は、指定の停止枠に対し、自車100を停止させるように進路を作成することが可能となる。したがって、ビーコン201a、201bによる停止枠毎の指定が可能となり、詳細不明な停止位置への車両の誘導が可能となる。
【0044】
図12は、従来技術を説明する図であり、超音波センサを用いて自車を指定位置に停止させる方法を説明するイメージ図である。
超音波センサは、車両100Aの四隅に設置されている。超音波センサは、検出範囲S1が狭く、誘導領域442に誘導するための高精度マップを作成するには、車両100Aを複数回、障害物に接近離脱させて、障害物の位置情報を取得することが必要である。超音波センサは、フェンスなどの認識が苦手な形状があり、また、
図12(b)に示すように、家431の出窓432や花壇433のように、高さh3、h4が、超音波センサの検出範囲S1の高さと一致せず、障害物を検知できないこともある。
【0045】
本実施例の車両制御装置101は、ビーコン201から発信される電波の方角を複数のアンテナ102で受信して、三角法により相対位置を求め、互いに種類の異なる2つのビーコン201を、矩形領域302の対角線301上に配置して、矩形を定義する。そして、矩形領域を指定値分だけ外側に広げた誘導領域312を定義し、ビーコン201のID情報に基づいて誘導領域312の進入許可辺Aを指定する。これにより、迅速に、精度よく車両の誘導領域を認識することができ、低速自動走行制御により、車両を門柱や障害物による狭隘な領域に進入させて停車又は通過させることができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0047】
100・・・自車、101・・・車両制御装置、102・・・アンテナ(無線受信アンテナ)、103・・・各種センサ、121・・・無線受信機(無線受信部)、122・・・位置情報取得部、123・・・物標フュージョン部、124・・・誘導領域推定部、125・・・進路推定部、126・・・制御部、127・・・アクチュエータ、201・・・ビーコン(無線発信機)、201a・・・第1ビーコン、201b・・・第2ビーコン、301・・・対角線、302・・・矩形領域、312・・・誘導領域