(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-19
(45)【発行日】2025-03-28
(54)【発明の名称】織機およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
H02P 3/22 20060101AFI20250321BHJP
D03C 9/04 20060101ALI20250321BHJP
D03C 5/00 20060101ALI20250321BHJP
【FI】
H02P3/22 B
D03C9/04 Z
D03C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021107094
(22)【出願日】2021-06-28
【審査請求日】2024-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】横川 成年
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 年也
(72)【発明者】
【氏名】原 茂
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-154386(JP,A)
【文献】特開平05-171540(JP,A)
【文献】特開2006-196358(JP,A)
【文献】特開平06-068766(JP,A)
【文献】特開2005-219914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 3/22
D03C 9/04
D03C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
綜絖枠と、
前記綜絖枠を上下動させる駆動部と、
前記駆動部に電力を供給する電力供給回路と、
前記電力供給回路から前記駆動部へ電力を伝達する複数の配線間に接続され、制御信号に従って該複数の配線間を短絡または開放するスイッチ回路と、
前記制御信号を前記スイッチ回路へ供給し、前記スイッチ回路を制御する制御回路と
、
前記駆動部のモータの回転数を検知する速度検出器と、
電源から前記電力供給回路への電力供給が遮断されたことを検知し、該電力供給の遮断を示す遮断検知信号を出力する遮断検知回路と、
を備え、
前記電力供給回路は、前記遮断検知信号に応じて前記駆動部への電力供給を停止し、
前記駆動部への電力供給を停止した後、前記モータの回転数が閾値以下になった場合に、前記制御回路は、前記制御信号によって前記スイッチ回路を短絡状態にし、
前記スイッチ回路は、前記電力供給回路から前記駆動部への電力供給が遮断された後、
前記制御回路への電力供給が
停止される前に最後に受信した前記制御信号に基づく短絡または開放の状態を保持する、織機。
【請求項2】
前記駆動部は、前記綜絖枠を動作させる駆動機構と、
前記駆動機構を動作させるモータとを備える、請求項1に記載の織機。
【請求項3】
前記スイッチ回路は、前記複数の配線を短絡することによって前記モータのダイナミックブレーキとして機能する、請求項2に記載の織機。
【請求項4】
前記モータは、誘起電圧が互いに位相差を有するU相、V相、および、W相からなる3相モータであり、
前記スイッチ回路は、前記U相と前記V相、前記V相と前記W相、前記W相と前記U相、または、前記U相と前記V相と前記W相とを短絡することによって、前記モータのダイナミックブレーキとして機能する、
請求項2または請求項3に記載の織機。
【請求項5】
前記スイッチ回路は、接点保持型リレースイッチを含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の織機。
【請求項6】
前記接点保持型リレースイッチは、
強磁性体を含む端子と、
前記端子の磁力によって、前記端子に接触しあるいは該端子から離間するように動作可能な可動接続片と、
前記端子に設けられ、前記可動接続片を動作させる磁力を該端子に発生させるコイルと、
を備える請求項5に記載の織機。
【請求項7】
前記制御信号は、前記スイッチ回路を短絡状態にする第1制御信号と、前記スイッチ回路を開放状態にする第2制御信号とを含み、
前記第1制御信号が活性化されて前記スイッチ回路が短絡状態になった後、
前記制御回路が前記第1制御信号を不活性化しても前記スイッチ回路は短絡状態を維持する、請求項1から
請求項6のいずれか一項に記載の織機。
【請求項8】
前記制御回路が前記第2制御信号を活性化することによって前記スイッチ回路は開放状態になる、
請求項7に記載の織機。
【請求項9】
綜絖枠と、前記綜絖枠を上下動させる駆動部と、前記駆動部に電力を供給する電力供給回路と、前記電力供給回路から前記駆動部へ電力を伝達する複数の配線間に接続され、制御信号に従って該複数の配線間を短絡または開放するスイッチ回路と、前記制御信号を前記スイッチ回路へ供給する制御回路と
、前記駆動部のモータの回転数を検知する速度検出器と、電源から前記電力供給回路への電力供給が遮断されたことを検知し、該電力供給の遮断を示す遮断検知信号を出力する遮断検知回路とを備える織機の制御方法であって、
前記遮断検知信号に応じて前記駆動部への電力供給を停止し、
前記駆動部への電力供給を停止した後、前記モータの回転数が閾値以下になった場合に、前記制御回路は、前記制御信号によって前記スイッチ回路を短絡状態にし、
前記電力供給回路から前記駆動部への電力供給が遮断された後、
前記制御回路への電力供給が
停止される前に最後に受信した前記制御信号に基づく短絡または開放の状態を保持することを具備する、織機の制御方法。
【請求項10】
前記駆動部は、誘起電圧が互いに位相差を有するU相、V相、および、W相からなる3相モータであり、
前記スイッチ回路は、前記U相と前記V相、前記V相と前記W相、前記W相と前記U相、または、前記U相と前記V相と前記W相とを短絡することによって、前記駆動部のダイナミックブレーキとして機能する、
請求項9に記載の織機の制御方法。
【請求項11】
前記制御信号は、前記スイッチ回路を短絡状態にする第1制御信号と、前記スイッチ回路を開放状態にする第2制御信号とを含み、
前記第1制御信号が活性化されて前記スイッチ回路が短絡状態になり、
前記第1制御信号を不活性化しても前記スイッチ回路は短絡状態を維持し、
前記第2制御信号を活性化することによって前記スイッチ回路を開放状態にすることをさらに具備する、
請求項9または請求項10に記載の織機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、織機およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子開口装置を備える織機が知られており、電子開口装置は複数の綜絖枠を備えている。織機による製織では、電子開口装置の綜絖枠に通す経糸の種類と、綜絖枠の上下動のタイミングによって、布や糸の柄を決定することができる。綜絖枠の上下動させるために、例えば、サーボモータが用いられる。また、停台時には停電による綜絖枠の落下を防ぐために綜絖枠を保持する電磁ブレーキやダイナミックブレーキが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-167429号公報
【文献】特開平9-247804号公報
【文献】特開2003-204686号公報
【文献】特開平6-178567号公報
【文献】特開2020-061851号公報
【文献】特開2006-191722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁ブレーキは、電源喪失の際にブレーキが利くように構成されており、電源喪失時に自動的にブレーキが作動し、モータ軸を機械的に固定する。しかし、電磁ブレーキは、停電時等のように意図しない電源喪失の場合に、モータが高速回転している状況にも関わらず作動してしまう場合がある。従って、電磁ブレーキはブレーキ接触面の摩耗などにより劣化しやすい。また、モータごとに電磁ブレーキを設置する必要があり、織機の大型化やコストアップに繋がってしまう。
【0005】
また、ダイナミックブレーキは、電気的なスイッチによってモータの回転エネルギを熱エネルギに変換し、モータの回転を減速・停止させるブレーキである。しかし、モータが高速回転の状態でブレーキが作動した場合、モータと接点の間に大きな電流が流れるため、構成する接点は大きな容量のものを使用する必要があり、大型の部品を使用することで、織機の大型化やコストアップにつながる。
【0006】
そこで、安価であり、かつ、電源を喪失しても綜絖枠の急落下を抑制することができる織機およびその制御方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態による織機の一例を示す構成図。
【
図2】第1実施形態による駆動部の構成の一例を示すブロック図。
【
図3】第1実施形態による駆動部およびブレーキ機構周辺の構成の一例を示すブロック図。
【
図4】第1実施形態による接点保持型リレースイッチの一例を示す図。
【
図5A】第1実施形態による接点保持型リレースイッチの短絡の一例を示す図。
【
図5B】
図5Aに続く、接点保持型リレースイッチの短絡の一例を示す図。
【
図5C】
図5Bに続く、接点保持型リレースイッチの開放の一例を示す図。
【
図6A】第1実施形態による駆動部停止時における織機の制御方法の一例を示すフロー図。
【
図6B】第1実施形態による駆動部停止時における織機の制御方法の一例を示すタイミングチャート図。
【
図7A】第1実施形態による駆動部駆動時における織機の制御方法の一例を示すタイミングチャート図。
【
図7B】第1実施形態による駆動部駆動時における織機の制御方法の別の例を示すタイミングチャート図。
【
図8A】第1実施形態による駆動部駆動開始時の織機の制御方法の一例を示すフロー図。
【
図8B】第1実施形態による駆動部駆動開始時の織機の制御方法の一例を示すタイミングチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0009】
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
(第1実施形態)
(織機100の構成)
図1は、第1実施形態に係る織機100の構成の一例を示す図である。織機100は、主として、駆動部20と、綜絖枠30と、駆動部20および綜絖枠30を連結する連結部40とを備えている。
【0011】
駆動部20は、モータ部21と、回転軸22と、クランクアーム23とを備えている。モータ部21は、回転軸に固定したクランクアームを回転させ、連結ロッド24を介して揺動軸42に回動可能に設けられた開口レバー41に、矢印Y1の方向へ、揺動運動を付与している。開口レバー41は、一方のアーム45が綜絖枠30に連結した昇降ロッド44の下端と連結し、他方のアーム43が綜絖枠30の下方に配置された水平ロッド46の右端と連結している。水平ロッド46の上方には、水平ロッド46と直交する方向に延びる補助レバー48が設けられ、軸47によって揺動可能に支持されている。
【0012】
水平ロッド46の左端は綜絖枠30の下方に配置された揺動軸53に回転可能に設けられた、揺動レバー54の一方のアーム51に連結されている。揺動レバー54の他方のアーム52は、綜絖枠30に連結した昇降ロッド55の下端に連結されている。このため、モータ部21が駆動されると、モータ部21の一方向の回転運動がクランクアーム23によって連結ロッド24の直線運動である、矢印Y1方向へ変換され、開口レバー41が往復揺動運動を行う。
【0013】
開口レバー41は、アーム45、昇降ロッド44、およびアーム43、水平ロッド46、揺動レバー54、昇降ロッド55を介して綜絖枠30を上下動し、経糸開口を行う。したがって、連結部40は、連結ロッド24、開口レバー41、昇降ロッド44、水平ロッド46、揺動レバー54および昇降ロッド55で構成される。連結部40が構成されることで、連結ロッド24の矢印Y1方向への直線運動が、水平ロッド46の矢印Y2方向への直線運動に変換される。そして、水平ロッド46の矢印Y2方向への直線運動が、昇降ロッド44および昇降ロッド55の矢印Y3方向への上下運動へ変換される。これにより、綜絖枠30が上下運動を行う。
【0014】
図2は、上記の駆動部20の詳細な構成を示すブロック図である。この
図2は、
図1の領域Aを拡大して示すブロック図である。
【0015】
駆動部20は、上述のモータ部21と、回転軸22と、クランクアーム23とに加えて、さらに、減速機25と、ブレーキ機構26と、クランク回転盤27とを備える。
【0016】
減速機25は、モータ部21およびクランク回転盤27の間に設けられている。減速機25は、矢印Y5方向に回転して、モータ部21の回転速度を減じつつ、モータ部21の動力をクランク回転盤27に出力する。したがって、減速機25はクランク回転盤27に接合している。クランク回転盤27は、減速機25から出力されたモータ部21の動力をクランクアーム23に出力する。具体的には、クランク回転盤27は、回転軸22を軸として矢印Y4方向に回転して、モータ部21の動力をクランクアーム23に出力する。矢印Y4方向は、減速機25の回転方向である矢印Y5方向の逆方向である。このようにして、モータ部21の動力が、減速機25と、クランク回転盤27と、クランクアーム23とを介して連結ロッド24に出力される。これにより、連結ロッド24は矢印Y1方向に直線運動をする。なお、回転軸22と、クランクアーム23と、減速機25と、クランク回転盤27とにより、駆動機構が構成される。
このようにして、駆動部20は、駆動機構と、連結ロッド24と、水平ロッド46と、昇降ロッド44および昇降ロッド55とを介して、綜絖枠30を上下動させる。なお、モータ部21は駆動機構を動作させる。
【0017】
ブレーキ機構26は、モータ部21の動力を制御する。具体的には、モータ部21の回転数を減少させる、または、モータ部21を停止させる。ブレーキ機構26は、例えば、電磁式ブレーキまたはダイナミックブレーキを備えている。電磁式ブレーキは、モータ部21のモータ軸を機械的に固定するブレーキである。一方で、ダイナミックブレーキは、モータ部21のステータ部分またはロータ部分に磁石を用いて場合に適用できるブレーキである。ダイナミックブレーキは、モータ部21が回転することにより発生する誘起電圧を利用して、モータ部21の回転エネルギを熱エネルギに変換し、モータ部21の回転を減速または停止させる。
【0018】
図3は、モータ部21と、ブレーキ機構26と、モータ部21およびブレーキ機構26の周辺の構成とを示すブロック図である。この
図3は、
図2の領域Bを拡大して示すブロック図である。
【0019】
モータ部21は、サーボモータ211と、エンコーダやレゾルバを含む速度検出器212を備える。サーボモータ211には、三相PM(Permanent Magnet)モータを用いてもよい。三相PMモータは、ステータ部分またはロータ部分に磁石を用いている。したがって、このモータ部21に係るブレーキ機構26には、ダイナミックブレーキを適用することができる。
【0020】
サーボモータ211は、U相、V相、および、W相からなる三相PMモータである。具体的には、サーボモータ211は、誘起電圧が互いに位相差を有するU相、V相、および、W相からなる三相PMモータである。
【0021】
速度検出器212は、サーボモータ211の回転数を検知する。速度検出器212は、位置センサを備えてよく、さらにサーボモータ211の位置、回転速度を検知してもよい。
【0022】
電源223は、モータ部21(駆動部20)に電力を供給する。電源223は、例えば、商用系統のAC電源である。
【0023】
電源供給回路としてのトランジスタブリッジ回路221は、モータ部21に、配線Cu、CvおよびCwを介して接続され、電源223からの電力供給を受けて、モータ部21の位置、回転数などを制御する。トランジスタブリッジ回路221は、例えば、インバータに含まれる。
【0024】
遮断検知回路224は、電源223からトランジスタブリッジ回路221への電力供給が遮断されたことを検知して、制御電源225および制御回路226へ遮断検知信号を送信する。
【0025】
制御電源225は、電源223からトランジスタブリッジ回路221への電力供給が遮断された後も、制御回路226、および、ブレーキ機構26に一時的に電力供給を行う。制御回路226およびブレーキ機構26は、トランジスタブリッジ回路221への電力供給が遮断された後も、制御電源225の電力供給により引き続き有効に動作することができる。制御電源225は、例えば、数V~数十V(約3V~約24V)の電源電圧を有する蓄電池またはキャパシタ素子である。
【0026】
制御回路226は、制御信号をスイッチ回路260A、260Bへ供給し、スイッチ回路260A、260Bを制御する。制御回路226は、例えば、制御信号を供給するプログラムを備えたCPU(Central Processing Unit)、または、PLC(Programmable Logic Controller)のようなロジック回路で実現される。制御信号は、第1制御信号と、第2制御信号を含む。第1制御信号は、制御回路226からスイッチ回路260A、260Bに送信され、スイッチ回路260を短絡状態にする制御信号である。第2制御信号は、同様に、制御回路226からスイッチ回路260A、260Bに送信され、スイッチ回路260A、260Bを開放状態にする制御信号である。
【0027】
図3においては、制御回路226は、例えば、配線C1、C2およびドライブ回路262Aを介してスイッチ回路260Aに接続され、配線C3、C4およびドライブ回路262Bを介してスイッチ回路260Bに接続される。制御回路226は、配線C1およびドライブ回路262Aの一方を介してスイッチ回路260Aに第1制御信号を送信し、配線C2およびドライブ回路262Aの他方を介してスイッチ回路260Aに第2制御信号を送信する。同様に、制御回路226は、配線C3およびドライブ回路262Bの一方を介してスイッチ回路260Bに第1制御信号を送信し、配線C4およびドライブ回路262Bの他方を介してスイッチ回路260Bに第2制御信号を送信する。
【0028】
ブレーキ機構26は、スイッチ回路260A、260Bと、ドライブ回路262とを備える。スイッチ回路260A、260B260は、接点保持型リレースイッチ261A、261Bを含む接点保持型リレースイッチ回路である。スイッチ回路260Aおよびスイッチ回路260Bは、いずれも同じ構成でよい。ブレーキ機構26は、トランジスタブリッジ回路221とモータ部21との配線Cu、CvおよびCwに接続される。なお、ダイナミックブレーキの制動能力を最適化するために、スイッチ回路260A、260Bと、配線Cu、Cv、Cwとの間に外部抵抗を接続してもよい(図示せず)。
【0029】
スイッチ回路260A、260Bは、トランジスタブリッジ回路221からモータ部21へ電力を伝達する複数の配線Cu、CvおよびCw間に接続され、第1または第2制御信号にしたがって該複数の配線Cu、CvおよびCw間を短絡または開放することができる。
【0030】
図3で示すように、例えば、制御回路226が、第1制御信号をスイッチ回路260Aに送信し、スイッチ回路260Aを短絡することで、配線Cuおよび配線Cvが短絡する。制御回路226が、第1制御信号をスイッチ回路260Bに送信し、スイッチ回路260Bを短絡することで、配線Cvおよび配線Cwが短絡する。制御回路226が、第1制御信号をスイッチ回路260Aおよびスイッチ回路260Bに送信し、スイッチ回路260Aおよびスイッチ回路260Bを短絡することで、配線Cu、配線Cvおよび配線Cwが全て短絡する。
【0031】
言い換えると、制御回路226が、第1制御信号をスイッチ回路260Aに送信し、スイッチ回路260Aを短絡することで、サーボモータ211のU相とV相とが短絡する。制御回路226が、第1制御信号をスイッチ回路260Bに送信し、スイッチ回路260Bを短絡することで、サーボモータ211のV相とW相とが短絡する。制御回路226が、第1制御信号をスイッチ回路260Aおよびスイッチ回路260Bに送信し、スイッチ回路260Aおよびスイッチ回路260Bを短絡することで、サーボモータ211のU相とV相とW相とが全て短絡する。
【0032】
スイッチ回路260Aおよび/またはスイッチ回路260Bを短絡することで、サーボモータ211のU相とV相、V相とW相、あるいは、U相とV相とW相とが短絡し、サーボモータ211に抵抗Ru、Rv、インダクタンスLu、Lvおよび/またはRw、Lwを介した短絡回路が形成される。サーボモータ211は、誘起電圧が互いに位相差を有するU相、V相、および、W相からなる三相PMモータである。よって、サーボモータ211において形成された抵抗Ru、Rv、インダクタンスLu、Lvおよび/またはRw、Lwを介した短絡回路に、誘起電圧によって発生した電流が流れる。この短絡回路に流れる電流は、抵抗Ru、Rv、インダクタンスLu、Lvおよび/またはRw、Lwにおいて、電気エネルギから熱エネルギに変換される。このため、サーボモータ211の回転に回転抵抗が生じ、サーボモータ211の回転が減速または停止する。
【0033】
以上のことから、スイッチ回路260Aまたはスイッチ回路260Bは、複数の配線Cu、Cvおよび/またはCwを短絡することによって、サーボモータ211のダイナミックブレーキとして機能する。つまり、スイッチ回路260Aまたはスイッチ回路260Bは、サーボモータ211のU相とV相、V相とW相、または、U相とV相とW相とを短絡することによって、サーボモータ211のダイナミックブレーキとして機能する。なお、
図3においては、2つのスイッチ回路260である、スイッチ回路260Aおよびスイッチ回路260Bが示されているが、第1実施形態に係る織機100は、1つのスイッチ回路260によっても実現可能である。また、織機100は、3つのスイッチ回路によっても実現可能である。例えば、配線CwとCuとの間に追加のスイッチ回路を設けてもよい。これにより、スイッチ回路は、サーボモータ211のU相とV相、V相とW相、または、U相とV相とW相とを短絡するだけでなく、W相とU層とを短絡するダイナミックブレーキとしても機能することもできる。
【0034】
ドライブ回路262A、262Bは、制御回路226とスイッチ回路260A、および、制御回路226とスイッチ回路260Bとの間に接続される。ドライブ回路262A、262Bは、配線C1~C4を介して伝達された制御信号を増幅して、スイッチ回路260A、260Bへ送信する。この制御信号により、スイッチ回路260Aおよびスイッチ回路260Bは、有効に制御される。
【0035】
図4は、接点保持型リレースイッチ261Aの詳細な構成図である。尚、接点保持型リレースイッチ261Bは、接点保持型リレースイッチ261Aと同じ構成を有する。従って、ここでは、接点保持型リレースイッチ261Aの構成を説明し、接点保持型リレースイッチ261Bの説明は省略する。
【0036】
図4が示すように、接点保持型リレースイッチ261Aは、端子2611と、接続片2612と、コイル2613とを備える。接続片2612は、可動接続片の一例である。端子2611は、コイル2613に通電することによって容易に磁化される強磁性体を含む。接続片2612は、端子2611の磁力によって、端子2611に接触しあるいは端子2611から離間するように動作可能である。接続片2612は、例えば、鉄を含む。コイル2613は、端子2611に巻き付けられるように設けられ、接続片2612を動作させる磁力を端子2611に発生させ、あるいは、端子2611を磁化する。コイル2613は、コイル2613Aと、コイル2613Bとを含む。コイル2613Aの巻き方向は、コイル2613Bの巻き方向と逆の方向である。
さらに、接点保持型リレースイッチ261Aは、ばね2614と、支持片2615と、動作軸2616と、スイッチ端子2617とを備える。ばね2614は、復帰ばねの一例である。ばね2614は、接続片2612を端子2611から離間させるように取り付けられている。支持片2615は、接続片2612を支持する。動作軸2616は、接続片2612と支持片2615とを結合し、接続片2612の接触および離間の動作の軸となる。スイッチ端子2617は、外部スイッチ端子S1に接触する端子である。この接点保持型リレースイッチ261Aにより、スイッチ回路260の短絡または開放が行われる。
【0037】
次に、
図5A~
図5Cを参照して、接点保持型リレースイッチ261Aのオン状態およびオフ状態を説明する。なお、
図4と同様に、接点保持型リレースイッチ261Aを用いて説明し、接点保持型リレースイッチ261Bを用いる説明は省略する。
【0038】
図5Aは、接点保持型リレースイッチ261Aのオン状態を説明する図である。スイッチ端子2617は外部スイッチ端子S1に接触することで、接点保持型リレースイッチ261Aがオン状態になっている。
【0039】
図5Aが示すように、コイル2613Aには電流I1が流れている。これにより、コイル2613Aの周辺に磁場が発生する。このコイル2613Aの周辺に発生した磁場により、端子2611が磁化される。端子2611は強磁性体を含んでいるため、端子2611に磁場分極(磁化)が発生し、端子2611は磁石として機能する。上述のように、接続片2612は鉄を含んでいるため、磁化された端子2611との間に磁力が発生する。これにより、
図5Aが示すように、端子2611と接続片2612とが接合し、スイッチ端子2617と外部スイッチ端子S1とが接合する。すなわち、接点保持型リレースイッチ261Aがオン状態となる。
【0040】
図5Bは、コイル2613Aに電流を流した後の接点保持型リレースイッチ261Aのオン状態を説明する図である。
【0041】
図5Aに示すように、コイル2613Aに電流I1を流した後、
図5Bでは、コイル2613Aには、電流を流していない。すなわち、
図5Aではコイル2613Aに流れていた電流I1は停止している。このため、コイル2613Aの周辺に磁場は発生しない。しかしながら、端子2611は強磁性体を含んでおり、一旦磁化されると、永久磁石のように磁石としての機能が保持される。これにより、コイル2613Aに流れる電流I1が停止したのちも、
図5Bに示すように、端子2611と接続片2612との接合が継続し、スイッチ端子2617と外部スイッチ端子S1との接触が継続する。すなわち、接点保持型リレースイッチ261Aのオン状態が継続する。
【0042】
図5Cは、接点保持型リレースイッチ261Aをオン状態からオフ状態にしたときの説明図である。
【0043】
接点保持型リレースイッチ261Aをオフ状態にするために、下方部分のコイル2613Bに電流I2を流す。これにより、電流I2が流れることによりコイル2613Bの周辺に発生する磁場は、電流I1が流れることによりコイル2613Aの周辺に発生する磁場と逆方向に発生する。このため、電流I2が発生させる磁場による端子2611における磁場分極(磁化)は、電流I1が発生させる磁場による端子2611における磁場分極と逆方向になる。電流I2による磁場で、電流I1により磁化していた端子2611の磁化は弱められる。このため、端子2611の磁力は低下する。これにより、
図5Cが示すように、端子2611と接続片2612とが矢印Y6方向に離間し、スイッチ端子2617と外部スイッチ端子S1とが離間する。すなわち、接点保持型リレースイッチ261がオフ状態となる。なお、ばね2614は、端子2611と接続片2612との離間を補助する。
【0044】
このように、接点保持型リレースイッチ261Aは、電力供給が遮断された後もオン状態を保持することができるように構成されている。よって、接点保持型リレースイッチ261Aは、トランジスタブリッジ回路221への電源供給が遮断された後、制御電源225からの電力供給を受けて第1制御信号によって一旦、オン状態になると、制御電源225からの電力供給がなくなり、あるいは、第1制御信号が不活性化されても、オン状態を維持する。
【0045】
また、
図5Cで示すように、接点保持型リレースイッチ261Aは、保持されたオン状態を解除して、オフ状態とする。言い換えると、接点保持型リレースイッチ261Aは、第2制御信号を活性化することによりオフ状態となる。
【0046】
なお、
図5A、
図5B、および、
図5Cにおいては、2つのコイル(コイル2613Aおよびコイル2613B)からコイル2613が構成されているが、第1実施形態に係る織機100は、1つのコイルからコイル2613が構成されても実現可能である。この場合、接点保持型リレースイッチ261Aをオン状態にするときと、オフ状態にするときとにおいて、コイル2613に流す電流の向きを互いに逆方向にすることで、上記の
図5A、
図5B、および、
図5Cと同様の効果が得られる。
【0047】
(織機100の制御方法)
次に、第1実施形態に係る織機100の制御方法について説明する。
【0048】
図6Aは、モータ部21の停止時に綜絖枠30の急落下を抑制する、織機100の制御方法を説明するフローチャートである。
【0049】
まず、遮断検知回路224は、電源からトランジスタブリッジ回路221への電力供給が遮断されたことを検知する(ステップS100)。例えば、遮断検知回路224は、停電などが発生したことにより電源からトランジスタブリッジ回路221への電力供給が遮断されたことを検知する。
【0050】
次に、制御回路226は、トランジスタブリッジ回路221のトランジスタを非導通状態(オフ状態)にする(ステップS110)。トランジスタブリッジ回路221のトランジスタが導通状態のままであると、トランジスタブリッジの主回路コンデンサが充電されていることから、この後にダイナミックブレーキの接点がオンした際に、主回路コンデンサのエネルギーをもとに、トランジスタブリッジ回路221に過電流が流れる可能性があり、トランジスタブリッジ回路221の故障に繋がる。したがって、制御回路226は、ステップS110において、トランジスタブリッジ回路221のトランジスタを非導通状態にする。
【0051】
次に、制御回路226は、モータ部21の回転数が閾値以下になっていることを確認する(ステップS120)。具体的には、制御回路226は、速度検出器212によりモータ部21の回転数を検知し、検知したモータ部21の回転数が閾値以下になっていることを確認する。モータ部21の回転数が閾値以上の場合は(ステップS120:No)、制御回路226は、モータ部21の回転数が閾値以下になるまで、モータ部21の回転数を確認しながら待機する。モータ部21が高速回転しているときに、スイッチ回路260Aまたは260Bが短絡状態になると、スイッチ回路260Aまたは260Bに接点容量を超えた大きな電流が流れる可能性があり、スイッチ回路260Aまたは260Bの故障に繋がる。従って、制御回路226は、モータ部21の回転数が閾値以下になってからスイッチ回路260Aまたは260Bを短絡状態にする。
【0052】
モータ部21の回転数が閾値以下の場合は(ステップS120:Yes)、制御回路226は、ドライブ回路262を介して接点保持型リレースイッチ261A、261Bに、スイッチ回路260を短絡状態にする第1制御信号を送信する(ステップS130)。これにより、接点保持型リレースイッチ261がオン状態になり、モータ部21の配線Cu、CvまたはCwが短絡される。このため、モータ部21において抵抗Ru、Rv、インダクタンスLu、LvまたはRw、Lwを介した短絡回路が形成される。これにより、モータ部21へのダイナミックブレーキが有効となる。この場合、上方にある綜絖枠30が急落下しようとすると、上記短絡回路に誘起電流が流れ、ダイナミックブレーキがかかる。従って、綜絖枠30は、重力とダイナミックブレーキの制動機能とによってゆっくりと下降する。このように、モータ部21の回転数が閾値以下でほぼ停止している状態であっても、綜絖枠30の急落下が抑制される。
【0053】
図6Bは、電力供給の遮断時に、モータ部21のサーボモータ211がすでに停止している場合の織機100の動作を示すタイミングチャートである。
【0054】
図6Bが示すように、電源223から電力供給が停止すると(t1)、遮断検知回路224が、電力供給の遮断を検知する(t2)。遮断検知回路224が、電力供給の遮断を検知すると、制御回路226は、トランジスタブリッジ回路221のトランジスタを開放状態(オフ状態)にする(t3)。なお、制御電源225は、電力供給が遮断されてもしばらくの間、制御回路226および接点保持型リレースイッチ261A、261Bへ電力供給を継続する。制御回路226は、トランジスタブリッジ回路221のトランジスタをモータ部21との接続から開放し、加えて、制御回路226は、モータ部21の回転数が閾値以下となったことを確認し、接点保持型リレースイッチ261に第1制御信号を送信する(t4)。接点保持型リレースイッチ261は、第1制御信号を受信すると、オン状態になる(t5)。接点保持型リレースイッチ261がオン状態になった後、第1制御信号は不活性となり(t6)、制御電源も供給を停止する(t7)。なお、接点保持型リレースイッチ261をオフ状態にする第2制御信号は、t1~t7の間は不活性である。
【0055】
以上のように、モータ部21のサーボモータ211が停止している場合の織機100の制御方法によれば、織機100は、電源からの電力供給が遮断された場合にも接点保持型リレースイッチ261はオン状態を保持する。言い換えると、織機100は、トランジスタブリッジ回路221から駆動部20への電力供給が遮断された後、電力供給が遮断される前に最後に受信した制御信号に基づく、スイッチ回路260の短絡または開放の状態を保持する。
これにより、電源からの電力供給が遮断された場合にも、モータ部21へのダイナミックブレーキが有効になる。これにより、綜絖枠30が急落下しようとすると、モータ部21における抵抗Ru、Rv、インダクタンスLu、LvおよびRw、Lwを含む短絡回路に誘起電流が流れ、モータ部21にダイナミックブレーキがかかる。このため、綜絖枠30は、重力とダイナミックブレーキの制動機能とによりゆっくりと下降し、急落下が抑制される。
【0056】
次に、
図7Aおよび
図7Bを参照して、モータ部21の駆動時に綜絖枠30の急落下を抑制する、織機100の制御方法を説明する。
【0057】
図7Aは、モータ部21のサーボモータ211が回転している際に、電力供給が遮断された場合における織機100の動作を示すタイミングチャートである。
【0058】
図7Aが示すように、電源から電力供給が停止すると(t1)、遮断検知回路224が、電力供給の遮断を検知する(t2)。遮断検知回路224が、電力供給の遮断を検知すると、制御回路226は、トランジスタブリッジ回路221のトランジスタを開放状態(オフ状態)にする(t3)。なお、制御電源225は、電力供給が遮断されてもしばらくの間、制御回路226および接点保持型リレースイッチ261A、261Bへ電力供給を継続する。速度検出器212が、モータ部21の回転が閾値以下であることを確認すると(t4)、制御回路226は、接点保持型リレースイッチ261に第1制御信号を送信する(t5)。接点保持型リレースイッチ261は、第1制御信号を受信すると、オン状態になる(t6)。接点保持型リレースイッチ261がオン状態になった後、第1制御信号は不活性となり(t7)、制御電源も供給を停止する(t8)。なお、接点保持型リレースイッチ261を開放する第2制御信号は、t1~t8の間は不活性である。
【0059】
以上のように、モータ部21のサーボモータ211が回転している場合の織機100の制御方法によれば、織機100は、電源からの電力供給が遮断された場合にも接点保持型リレースイッチ261はオン状態を保持する。言い換えると、織機100は、トランジスタブリッジ回路221から駆動部20への電力供給が遮断された後、電力供給が遮断される前に最後に受信した制御信号に基づく短絡または開放の状態を保持する。
これにより、電源からの電力供給が遮断された場合にも、モータ部21へのダイナミックブレーキが有効になる。モータ部21の回転数が閾値以下となることで、または、モータ部21の回転が停止することで、綜絖枠30が急落下しようとすると、モータ部21における抵抗Ru、Rv、インダクタンスLu、LvおよびRw、Lwを含む短絡回路に誘起電流が流れ、モータ部21にダイナミックブレーキがかかる。このため、綜絖枠30が上下動している際に、電源から電力供給が遮断された場合でも、綜絖枠30は、重力とダイナミックブレーキの制動機能とによりゆっくりと下降し、急落下が抑制される。これにより、綜絖枠30の急落下を抑制することができる。
【0060】
図7Bは、
図7Aと同様に、モータ部21のサーボモータ211が回転している際に、電力供給が遮断された場合における織機100の動作を示すタイミングチャートである。
【0061】
なお、
図7Bは、例えば、電源遮断時に、モータ部21の回転数が大きいなどして、電力供給の遮断時からのモータ部21の空転時間が比較的長い場合を示している。
【0062】
図7Bが示すように、電源から電力供給が停止すると(t1)、遮断検知回路224が、電力供給の遮断を検知する(t2)。なお、
図7Bでは、電力供給の遮断から、制御電源の供給が停止されるまで、モータ部21は回転を継続する。遮断検知回路224が、電力供給の遮断を検知すると、制御回路226は、トランジスタブリッジ回路221のトランジスタを開放状態(オフ状態)にする(t3)。なお、制御電源225は、電力供給が遮断されてもしばらくの間、制御回路226および接点保持型リレースイッチ261A、261Bへ電力供給を継続する。
次に、速度検出器212が、モータ部21の回転数が閾値以下であることを確認する(t4)。上述のように、
図7Bでは、モータ部21の回転数が大きいため、電力供給の遮断からの空転時間が比較的長い。言い換えると、電力供給の遮断から、モータ部21の回転数が閾値以下になるまでの時間が比較的長い。次に、モータ部21の回転数が閾値以下になったならば、制御回路226は、接点保持型リレースイッチ261に第1制御信号を送信する(t5)。接点保持型リレースイッチ261は、第1制御信号を受信するが、制御電源からの電力供給が停止され、オフ状態が保持される(t6)。したがって、接点保持型リレースイッチ261は、t1~t6の間でオフ状態である。なお、接点保持型リレースイッチ261をオフ状態にする第2制御信号は、t1~t6の間は不活性である。
【0063】
以上のように、制御回路226が、接点保持型リレースイッチ261へ第1制御信号を送信した場合でも、例えば、接点保持型リレースイッチ261がオン状態になる前に、制御電源225からの電源が停止すると、接点保持型リレースイッチ261がオン状態にならない場合がある。すなわち、モータ部21へのダイナミックブレーキが有効とならない場合がある。この場合においては、制御電源が供給を停止するまで、モータ部21の回転し、綜絖枠30が上下動するが、この場合、綜絖枠30を無理に停止保持させる必要はないため、問題にはならない。
【0064】
次に、
図8Aおよび
図8Bを参照して、モータ部21を復帰させる織機100の制御方法を説明する。
【0065】
図8Aは、モータ部21の電源が遮断されている状態から、モータ部21を復帰させる場合の織機100の制御方法を説明するフローチャートである。
図8Bは、モータ部21の電源が遮断されている状態から、モータ部21を復帰させる場合の織機100の制御方法を説明するタイミングチャートである。
図8Aおよび
図8Bを参照しながら、織機100の電源復帰の動作を説明する。
【0066】
まず、電源223が投入され(
図8AのS200、
図8Bのt1)、遮断検知回路224、制御電源225、制御回路226、トランジスタブリッジ回路221、ブレーキ機構26、モータ部21に電力が供給される(
図8AのS210、
図8Bのt2)。これにより、制御電源225が充電される。また、遮断検知回路224は、復帰し、電源223からトランジスタブリッジ回路221への電源遮断を検知することが可能な状態となる(
図8Bのt3)。
【0067】
電源223からトランジスタブリッジ回路221への電力供給が開始されると(
図8AのS210、
図8Bのt3)、制御回路226は、接点保持型リレースイッチ261A、261Bに、スイッチ回路260を開放状態にする第2制御信号を送信する(
図8AのS220、
図8Bのt4)。第2制御信号は、パルス状に活性化され、立ち上がってから所定期間の経過の後に立ち下がる(
図8Bのt6)。これにより、接点保持型リレースイッチ261A、261Bがオフ状態になり(
図8Bのt5)、モータ部21の配線Cu、CvまたはCwの相互の短絡状態が開放状態になる。このため、モータ部21において抵抗Ru、Rv、インダクタンスLu、LvまたはRw、Lwを介した短絡回路が解除され、ダイナミックブレーキ回路の制動状態が解除される。これにより、モータ部21への電力供給が開始され(
図8AのS230、
図8Bのt7)、モータ部21は、回転を開始する(
図8AのS240、
図8Bのt8)。その後、モータ部21が通常動作している間、第1および第2制御信号は、不活性状態(オフ状態)を維持する。
【0068】
以上のように、モータ部21が停止している状態から、復帰させる場合、織機100は、第2制御信号を活性化することによって、スイッチ回路260を開放状態にリセットすることにより、ダイナミックブレーキを解除して綜絖枠30の上下動を開始する。このため、電源遮断後に電源が復帰した場合においても、綜絖枠30の上下動をスムーズに開始または再開することができる。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0070】
100…織機、20…駆動部、21…モータ部、211…サーボモータ、212…速度検出器、22…回転軸、221…トランジスタブリッジ回路、223…電源、224…遮断検知回路、225…制御電源、226…制御回路、23…クランクアーム、25…減速機、26…ブレーキ機構、260(260A、260B)…スイッチ回路、261(261A、261B)…接点保持型リレースイッチ、262(262A、262B)…ドライブ回路、2611…端子、2612…接続片、2613…コイル、2614…ばね、2615…支持片、2616…動作軸、2617…スイッチ端子、27…クランク回転盤、30…綜絖枠、40…連結部、C1~C4…配線、Cu、Cv、Cw…配線、Lu、Lv、Lw…インダクタンス、Ru、Rv、Rw…抵抗、S1…外部スイッチ端子