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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-19
(45)【発行日】2025-03-28
(54)【発明の名称】接合方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0206 20160101AFI20250321BHJP
   H01M 8/0254 20160101ALI20250321BHJP
   H01M 8/2483 20160101ALI20250321BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20250321BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20250321BHJP
【FI】
H01M8/0206
H01M8/0254
H01M8/2483
B23K26/21 G
H01M8/10 101
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022199379
(22)【出願日】2022-12-14
(65)【公開番号】P2024085054
(43)【公開日】2024-06-26
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【復代理人】
【識別番号】100120363
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 智樹
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】大森 優
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-097969(JP,A)
【文献】特開2015-138745(JP,A)
【文献】特開2016-195106(JP,A)
【文献】特開2009-187758(JP,A)
【文献】特開2007-066868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 8/24
B23K 26/21
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜電極構造体と前記膜電極構造体を挟持する一対のセパレータとを有する単位セルが積層された燃料電池スタック内で隣接する2つ前記セパレータを接合する接合方法であって、
隣接する2つの前記セパレータは、第1の膜電極構造体のカソード電極を覆う第1セパレータと、第2の膜電極構造体のアノード電極を覆う第2セパレータであり、
前記第1セパレータは、前記第1セパレータの平面視において波状であり且つ前記第1の膜電極構造体の前記カソード電極に接触する第1内方凸部と、前記第1セパレータの平面視において波状であり且つ前記第2セパレータに向かって突出する第1外方凸部とを有し、
前記第2セパレータは、前記第2セパレータの平面視において波状であり且つ前記第2の膜電極構造体の前記アノード電極に接触する第2内方凸部と、前記第2セパレータの平面視において波状であり且つ前記第1セパレータに向かって突出する第2外方凸部とを有し、
前記第1セパレータの前記第1外方凸部の波形と、前記第2セパレータの前記第2外方凸部の波形とは、位相、周期、振幅の少なくとも1つが相違し、
前記第1セパレータの前記第1外方凸部と前記第2セパレータの前記第2外方凸部とを複数箇所で互いに接触させる工程と、
溶接用の第1電極を複数の前記第1内方凸部に接触させる工程と、
溶接用の第2電極を複数の前記第2内方凸部に接触させる工程と、
前記第1電極と前記第2電極との間に電流を流して前記第1外方凸部と前記第2外方凸部とが接触する複数箇所を溶接する工程と
を含む、接合方法。
【請求項2】
請求項1に記載の接合方法であって、
平面視において、前記第1電極及び前記第2電極が前記第1セパレータの発電エリアの全面及び前記第2セパレータの発電エリアの全面とオーバーラップした状態で、前記第1電極と前記第2電極との間に電流を流して前記第1外方凸部と前記第2外方凸部とが接触する複数箇所を溶接する、接合方法。
【請求項3】
請求項1に記載の接合方法であって、
平面視において、前記第1電極及び前記第2電極が前記第1セパレータの発電エリアの一部及び前記第2セパレータの発電エリアの一部とオーバーラップした状態で、前記第1電極と前記第2電極との間に電流を流して前記第1外方凸部と前記第2外方凸部とが接触する複数箇所を溶接する、接合方法。
【請求項4】
請求項3に記載の接合方法であって、
各々の前記発電エリアの中央側に位置する前記第1外方凸部と前記第2外方凸部との溶接を、各々の前記発電エリアの周縁側に位置する前記第1外方凸部と前記第2外方凸部との溶接よりも先に行う、接合方法。
【請求項5】
請求項1に記載の接合方法であって、
前記第1セパレータと前記第2セパレータの各々は、平面視における同位置に連通孔を有し、
前記第1セパレータの前記第1外方凸部と前記第2セパレータの前記第2外方凸部とを溶接した後に、前記第1セパレータの前記連通孔の外周部と前記第2セパレータの前記連通孔の外周部とをレーザ溶接する、接合方法。
【請求項6】
請求項1に記載の接合方法であって、
前記第1セパレータの前記第1外方凸部と前記第2セパレータの前記第2外方凸部とを接合した後に、前記第1セパレータの周縁部と前記第2セパレータの周縁部とをレーザ溶接する、接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタック内で隣接する2つセパレータを接合する接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池スタックは、複数の単位セルが積層されて構成される。各々の単位セルは、膜電極構造体(MEA)と、MEAを挟持する一対のセパレータ(第1セパレータ、第2セパレータ)とを備える。MEAは、固体高分子電解質膜と、アノード電極と、カソード電極とを備える。固体高分子電解質膜は、高分子イオン交換膜からなる。アノード電極は、固体高分子電解質膜の一方の面に配置される。カソード電極は、固体高分子電解質膜の他方の面に配置される。
【0003】
各々のセパレータの両面には、セパレータの長手方向に延びる凸部が複数形成される。これにより、MEAと第1セパレータとの間には、燃料ガスを流すための流路(燃料ガス流路)と、流路を封止するためのビードシールとが形成される。また、MEAと第2セパレータとの間には、酸化剤ガスを流すための流路(酸化剤ガス流路)と、流路を封止するためのビードシールとが形成される。また、互いに隣接する2つの単位セルにおいて、一方の単位セルの第1セパレータと他方の単位セルの第2セパレータとの間には、冷却媒体を流すための流路(冷却媒体流路)が形成される。
【0004】
特許文献1には、複数の単位セルが積層された燃料電池スタックが開示される。この燃料電池スタックにおいては、第1の単位セルの第1セパレータと第2の単位セルの第2セパレータとが接合される。具体的には、第1セパレータの凸部と第2セパレータの凸部とが溶接される。これにより、温調媒体流路(冷却媒体流路)が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-311069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、第1セパレータの凸部と第2セパレータの凸部との溶接にはスポット溶接が用いられる。つまり、第1セパレータの凸部と第2セパレータの凸部との接触部分を一対の電極で挟むことで、この接触部分を溶接する。第1セパレータの凸部と第2セパレータの凸部との形状によっては、一対の電極の間に接触部分を配置できない場合がある。そのため、溶接を適切に行うことができない。
【0007】
本発明は上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様は、膜電極構造体と前記膜電極構造体を挟持する一対のセパレータとを有する単位セルが積層された燃料電池スタック内で隣接する2つ前記セパレータを接合する接合方法であって、隣接する2つの前記セパレータは、第1の膜電極構造体のカソード電極を覆う第1セパレータと、第2の膜電極構造体のアノード電極を覆う第2セパレータであり、前記第1セパレータは、前記第1の膜電極構造体の前記カソード電極に接触する第1内方凸部と、前記第2セパレータに向かって突出する第1外方凸部とを有し、前記第2セパレータは、前記第2の膜電極構造体の前記アノード電極に接触する第2内方凸部と、前記第1セパレータに向かって突出する第2外方凸部とを有し、前記第1セパレータと前記第2セパレータとを互いに接触させる工程と、溶接用の第1電極を複数の前記第1内方凸部に接触させる工程と、溶接用の第2電極を複数の前記第2内方凸部に接触させる工程と、前記第1電極と前記第2電極との間に電流を流して前記第1外方凸部と前記第2外方凸部とが接触する複数箇所を溶接する工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、隣接する2つのセパレータが互いに接触する部分を溶接することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、燃料電池スタックの斜視説明図である。
図2図2は、燃料電池スタックの分解斜視図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4図4は、燃料電池スタックを構成する単位セルの分解斜視説明図である。
図5図5は、第1セパレータをMEA側から見た平面図である。
図6図6は、第2セパレータをMEA側から見た平面図である。
図7図7は、第1セパレータを対向する第2セパレータ側から見た平面図である。
図8図8は、第2セパレータを対向する第1セパレータ側から見た平面図である。
図9図9は、接合セパレータの製造フローである。
図10図10は、第1実施形態における溶接工程の説明図である。
図11図11は、第2実施形態における溶接工程の説明図である。
図12図12は、第2実施形態における溶接エリアの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[1 燃料電池スタック10の構成]
図1及び図2に示すように、燃料電池スタック10は、複数の単位セル12が第1方向(矢印A方向)に積層された積層体14を備える。燃料電池スタック10は、例えば、燃料電池自動車、施設の発電設備等として用いられる。
【0012】
[1-1 積層体14の周辺の構成]
燃料電池スタック10の矢印A1方向の第1端部には、ターミナルプレート16a、インシュレータ18a及びエンドプレート20aが外方(矢印A1方向)に向かって、順次、配置される(図2参照)。燃料電池スタック10の矢印A2方向の第2端部には、ターミナルプレート16b、インシュレータ18b及びエンドプレート20bが外方(矢印A2方向)に向かって、順次、配置される。
【0013】
ターミナルプレート16a、16bは、導電性を有する材料で構成される。インシュレータ18a、18bは、絶縁性材料で構成される。図2に示すように、インシュレータ18aの中央部には、積層体14に向かって開口する凹部22aが形成される。同様に、インシュレータ18bの中央部には、積層体14に向かって開口する凹部22bが形成される。凹部22aには、ターミナルプレート16aが収容される。凹部22bには、ターミナルプレート16bが収容される。積層体14は、インシュレータ18aとインシュレータ18bとの間に位置する。
【0014】
図1に示すように、エンドプレート20a、20bは、第2方向(矢印B方向)に延びる長辺と、第3方向(矢印C方向)に延びる短辺とを有する長方形状に形成される。第1方向と第2方向と第3方向は互いに直交する。エンドプレート20a、20bの各辺の間には、連結バー24が配置される。各連結バー24の一端は、エンドプレート20aの内面にボルト26を介して固定される。各連結バー24の他端は、エンドプレート20bの内面にボルト26を介して固定される。これにより、積層体14には積層方向(矢印A方向)の締め付け荷重が付与される。
【0015】
インシュレータ18a及びエンドプレート20aの矢印B1方向の第1端部には、酸化剤ガス入口連通孔34a、冷却媒体入口連通孔36a及び燃料ガス出口連通孔38bが設けられる。インシュレータ18a及びエンドプレート20aの矢印B2方向の第2端部には、燃料ガス入口連通孔38a、冷却媒体出口連通孔36b及び酸化剤ガス出口連通孔34bが設けられる。
【0016】
[1-2 積層体14及び単位セル12の構成]
図3及び図4に示すように、積層体14を構成する各々の単位セル12は、膜電極構造体28(以下、「MEA28」ともいう)と、一対のセパレータ(第1セパレータ30及び第2セパレータ32)とを有する。第1セパレータ30及び第2セパレータ32は、MEA28を挟持する。第1セパレータ30及び第2セパレータ32は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板等の金属薄板により構成される。なお、金属薄板の表面に、防食用の表面処理が施されてもよい。
【0017】
互いに隣接する2つの単位セル12において、一方の単位セル12の第1セパレータ30と他方の単位セル12の第2セパレータ32とは、互いに接合される。第1セパレータ30と第2セパレータ32とからなる接合体を、接合セパレータ33と称する。つまり、積層体14は、MEA28が2つの接合セパレータ33で挟まれた構造体でもある。
【0018】
図2に示すように、単位セル12の矢印B1方向の第1端部には、酸化剤ガス入口連通孔34a、冷却媒体入口連通孔36a及び燃料ガス出口連通孔38bが設けられる。各々の単位セル12の酸化剤ガス入口連通孔34aは、矢印A方向に沿って配列されるとともに互いに連通する。積層体14の酸化剤ガス入口連通孔34aは、インシュレータ18a及びエンドプレート20aの酸化剤ガス入口連通孔34aに連通する。各々の単位セル12の冷却媒体入口連通孔36aは、矢印A方向に沿って配列されるとともに互いに連通する。積層体14の冷却媒体入口連通孔36aは、インシュレータ18a及びエンドプレート20aの冷却媒体入口連通孔36aに連通する。各々の単位セル12の燃料ガス出口連通孔38bは、矢印A方向に沿って配列されるとともに互いに連通する。積層体14の燃料ガス出口連通孔38bは、インシュレータ18a及びエンドプレート20aの燃料ガス出口連通孔38bに連通する。
【0019】
図2に示すように、単位セル12の矢印B2方向の第2端部には、燃料ガス入口連通孔38a、冷却媒体出口連通孔36b及び酸化剤ガス出口連通孔34bが設けられる。各々の単位セル12の燃料ガス入口連通孔38aは、矢印A方向に沿って配列されるとともに互いに連通する。積層体14の燃料ガス入口連通孔38aは、インシュレータ18a及びエンドプレート20aの燃料ガス入口連通孔38aに連通する。各々の単位セル12の冷却媒体出口連通孔36bは矢印A方向に沿って配列されるとともに互いに連通する。積層体14の冷却媒体出口連通孔36bは、インシュレータ18a及びエンドプレート20aの冷却媒体出口連通孔36bに連通する。各々の単位セル12の酸化剤ガス出口連通孔34bは、矢印A方向に沿って配列されるとともに互いに連通する。積層体14の酸化剤ガス出口連通孔34bは、インシュレータ18a及びエンドプレート20aの酸化剤ガス出口連通孔34bに連通する。
【0020】
[1-2-1 膜電極構造体28(MEA28)の構成]
図3に示すように、各々のMEA28は、電解質膜40と、アノード電極42と、カソード電極44とを有する。電解質膜40の外周には、樹脂フィルム(不図示)が設けられる。アノード電極42及びカソード電極44は、電解質膜40を挟持する。
【0021】
電解質膜40は、例えば、固体高分子電解質膜(陽イオン交換膜)である。固体高分子電解質膜は、例えば、水分を含んだパーフルオロスルホン酸の薄膜である。電解質膜40としては、フッ素系電解質の他、HC系(炭化水素系)電解質膜を使用することができる。
【0022】
アノード電極42及びカソード電極44は、ガス拡散層(不図示)と、電極触媒層(不図示)とを有する。ガス拡散層は、カーボンペーパ等により構成される。電極触媒層は、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子がガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される。電極触媒層は、電解質膜40の両面に形成される。
【0023】
[1-2-2 第1セパレータ30の表面30aの構成]
図4に示すように、第1セパレータ30は、MEA28のカソード電極44を覆う。第1セパレータ30は、MEA28に向けられる表面30aと、第2セパレータ32に向けられる裏面30bとを有する。表面30a及び裏面30bの各々には、プレス成型によって複数の凸部が形成される。表面30aにおいて、MEA28に向かって突出する凸部を、内方凸部46aと称する。裏面30bにおいて、第2セパレータ32に向かって突出する凸部を、外方凸部46bと称する。
【0024】
図4及び図5に示すように、第1セパレータ30の表面30aには、複数の内方凸部46aによって、2つの酸化剤ガスフィード48a、48b及び酸化剤ガス流路50が形成される。酸化剤ガスフィード48aは、酸化剤ガス入口連通孔34aからの酸化剤ガスを酸化剤ガス流路50に流す。酸化剤ガスフィード48bは、酸化剤ガス流路50からの酸化剤ガスを酸化剤ガス出口連通孔34bに流す。酸化剤ガス流路50は、酸化剤ガスフィード48aと酸化剤ガスフィード48bとの間に位置し、カソード電極44と相対する。2つの酸化剤ガスフィード48a、48b及び酸化剤ガス流路50は、酸化剤ガス入口連通孔34aと酸化剤ガス出口連通孔34bとを連通する。
【0025】
複数の内方凸部46aのうち、酸化剤ガスフィード48aを形成する内方凸部46aをフィード凸部52aと称する。各々のフィード凸部52aは、酸化剤ガス入口連通孔34aから酸化剤ガス流路50の第1端部(矢印B1方向の端部)まで直線状に延びる。フィード凸部52aの隣には、フィード溝54aが位置する。
【0026】
複数の内方凸部46aのうち、酸化剤ガスフィード48bを形成する内方凸部46aを、フィード凸部52bと称する。各々のフィード凸部52bは、酸化剤ガス出口連通孔34bから酸化剤ガス流路50の第2端部(矢印B2方向の端部)まで直線状に延びる。互いに隣接する2つのフィード凸部52bの間には、フィード溝54bが位置する。
【0027】
複数の内方凸部46aのうち、酸化剤ガス流路50を形成する内方凸部46aを、流路凸部56と称する。第1セパレータ30の平面視において、各々の流路凸部56は、矢印B方向に沿って延びる波状である。互いに隣接する2つの流路凸部56の間には、流路溝58が位置する。各々の流路溝58も波状である。各々の流路凸部56は、矢印A2方向に位置するMEA28のカソード電極44に接触する。この複数の流路溝58は、酸化剤ガスが流れる通路となる。
【0028】
各々の連通孔(酸化剤ガス入口連通孔34a、冷却媒体入口連通孔36a、燃料ガス出口連通孔38b、燃料ガス入口連通孔38a、冷却媒体出口連通孔36b及び酸化剤ガス出口連通孔34b)は、内方凸部46aによって囲まれる。これらの内方凸部46aを、連通孔ビードシール60と称する。各々の連通孔ビードシール60は、矢印A2方向に位置するMEA28に接触する。これにより、複数の連通孔ビードシール60は、複数の連通孔を封止する。
【0029】
酸化剤ガス入口連通孔34aを囲む連通孔ビードシール60には、酸化剤ガス入口連通孔34aと酸化剤ガスフィード48aとを連通する流路(不図示)が複数形成される。同様に、酸化剤ガス出口連通孔34bを囲む連通孔ビードシール60には、酸化剤ガス出口連通孔34bと酸化剤ガスフィード48bとを連通する流路(不図示)が複数形成される。
【0030】
2つの酸化剤ガスフィード48a、48b、酸化剤ガス流路50、酸化剤ガス入口連通孔34a、燃料ガス出口連通孔38b、燃料ガス入口連通孔38a及び酸化剤ガス出口連通孔34bを含むエリアは、内方凸部46aによって囲まれる。この内方凸部46aを、外側ビードシール62と称する。外側ビードシール62は、矢印A2方向に位置するMEA28に接触する。これにより、外側ビードシール62は、表面30aとMEA28との間で酸化剤ガスが流れるエリア(2つの酸化剤ガスフィード48a、48b、酸化剤ガス流路50、酸化剤ガス入口連通孔34a及び酸化剤ガス出口連通孔34bを含むエリア)を封止する。
【0031】
[1-2-3 第2セパレータ32の表面32aの構成]
図4に示すように、第2セパレータ32は、MEA28のアノード電極42を覆う。第2セパレータ32は、MEA28に向けられる表面32aと、第1セパレータ30に向けられる裏面32bとを有する。表面32a及び裏面32bの各々には、プレス成型によって複数の凸部が形成される。表面32aにおいて、MEA28に向かって突出する凸部を、内方凸部66aと称する。裏面32bにおいて、第1セパレータ30に向かって突出する凸部を、外方凸部66bと称する。
【0032】
図4及び図6に示すように、第2セパレータ32の表面32aには、複数の内方凸部66aによって、2つの燃料ガスフィード68a、68b及び燃料ガス流路70が形成される。燃料ガスフィード68aは、燃料ガス入口連通孔38aからの燃料ガスを燃料ガス流路70に流す。燃料ガスフィード68bは、燃料ガス流路70からの燃料ガスを燃料ガス出口連通孔38bに流す。燃料ガス流路70は、燃料ガスフィード68aと燃料ガスフィード68bとの間に位置し、アノード電極42と相対する。2つの燃料ガスフィード68a、68b及び燃料ガス流路70は、燃料ガス入口連通孔38aと燃料ガス出口連通孔38bとを連通する。
【0033】
複数の内方凸部66aのうち、燃料ガスフィード68aを形成する内方凸部66aを、フィード凸部72aと称する。各々のフィード凸部72aは、燃料ガス入口連通孔38aから燃料ガス流路70の第1端部(矢印B2方向の端部)まで直線状に延びる。互いに隣接する2つのフィード凸部72aのには、フィード溝74aが位置する。
【0034】
複数の内方凸部66aのうち、燃料ガスフィード68bを形成する内方凸部66aを、フィード凸部72bと称する。各々のフィード凸部72bは、燃料ガス出口連通孔38bから燃料ガス流路70の第2端部(矢印B1方向の端部)まで直線状に延びる。互いに隣接する2つのフィード凸部72bの間には、フィード溝74bが位置する。
【0035】
複数の内方凸部66aのうち、燃料ガス流路70を形成する内方凸部66aを、流路凸部76と称する。第2セパレータ32の平面視において、各々の流路凸部76は、矢印B方向に沿って延びる波状である。互いに隣接する2つの流路凸部76の間には、流路溝78が位置する。各々の流路溝78も波状である。各々の流路凸部76は、矢印A1方向に位置するMEA28のアノード電極42に接触する。この複数の流路溝78は、燃料ガスが流れる通路となる。
【0036】
第2セパレータ32の表面32aの流路凸部76及び流路溝78の波形と、第1セパレータ30の表面30aの流路凸部56及び流路溝58の波形とは、位相、周期、振幅の少なくとも1つが相違する。
【0037】
各々の連通孔(燃料ガス入口連通孔38a、冷却媒体出口連通孔36b、酸化剤ガス出口連通孔34b、酸化剤ガス入口連通孔34a、冷却媒体入口連通孔36a及び燃料ガス出口連通孔38b)は、内方凸部66aによって囲まれる。これらの内方凸部66aを、連通孔ビードシール80と称する。各々の連通孔ビードシール80は、矢印A1方向に位置するMEA28に接触する。これにより、複数の連通孔ビードシール80は、複数の連通孔を封止する。
【0038】
燃料ガス入口連通孔38aを囲む連通孔ビードシール80には、燃料ガス入口連通孔38aと燃料ガスフィード68aとを連通する流路(不図示)が複数形成される。同様に、燃料ガス出口連通孔38bを囲む連通孔ビードシール80には、燃料ガス出口連通孔38bと燃料ガスフィード68bとを連通する流路(不図示)が複数形成される。
【0039】
2つの燃料ガスフィード68a、68b、燃料ガス流路70、燃料ガス入口連通孔38a、酸化剤ガス出口連通孔34b、酸化剤ガス入口連通孔34a及び燃料ガス出口連通孔38bを含むエリアは、内方凸部66aによって囲まれる。この内方凸部66aを、外側ビードシール82と称する。外側ビードシール82は、矢印A1方向に位置するMEA28に接触する。これにより、外側ビードシール82は、表面32aとMEA28との間で燃料ガスが流れるエリア(2つの燃料ガスフィード68a、68b、燃料ガス流路70、燃料ガス入口連通孔38a及び燃料ガス出口連通孔38bを含むエリア)を封止する。
【0040】
[1-2-4 裏面30b及び裏面32bの構成]
図7に示すように、第1セパレータ30の裏面30bにおいて、外方凸部46bは、表面30aの溝(フィード溝54a、54b、流路溝58等)の裏側に位置する。外方凸部46bの隣には、外方溝84が位置する。外方溝84は、表面30aの内方凸部46a(フィード凸部52a、52b、流路凸部56等)の裏側に位置する。
【0041】
図8に示すように、第2セパレータ32の裏面32bにおいて、外方凸部66bは、表面32aの溝(フィード溝74a、74b、流路溝78等)の裏側に位置する。外方凸部66bの隣には、外方溝86が位置する。外方溝86は、表面32aの内方凸部66a(フィード凸部72a、72b、流路凸部76等)の裏側に位置する。
【0042】
第1セパレータ30の流路溝58の裏側に位置する外方凸部46bの波形と、第2セパレータ32の流路溝78の裏側に位置する外方凸部66bの波形とは、位相、周期、振幅の少なくとも1つ相違する。
【0043】
図4に示すように、第1セパレータ30の裏面30bと第2セパレータ32の裏面32bとは互いに対向し、一部の外方凸部46bと一部の外方凸部66bとが互いに溶接される。更に、第1セパレータ30の周縁部と第2セパレータ32の周縁部とは溶接される。また、各々の連通孔の周囲に位置する第1セパレータ30と第2セパレータ32とは溶接される。これにより、第1セパレータ30の裏面30bと、第2セパレータ32の裏面32bとの間には、冷却媒体流路88が形成される。
【0044】
第1セパレータ30の外方凸部46bの一部は、第2セパレータ32の外方凸部66bの一部と接触する。第1セパレータ30の外方溝84の一部は、第2セパレータ32の外方溝86の一部と重なる。
【0045】
第1セパレータ30の冷却媒体入口連通孔36aを囲む連通孔ビードシール60には、冷却媒体入口連通孔36aと外方溝84とを連通する流路(不図示)が複数形成される。同様に、第2セパレータ32の冷却媒体入口連通孔36aを囲む連通孔ビードシール80には、冷却媒体入口連通孔36aと外方溝86とを連通する流路(不図示)が複数形成される。
【0046】
第1セパレータ30の冷却媒体出口連通孔36bを囲む連通孔ビードシール60には、冷却媒体出口連通孔36bと外方溝84とを連通する流路(不図示)が複数形成される。同様に、第2セパレータ32の冷却媒体出口連通孔36bを囲む連通孔ビードシール80には、冷却媒体出口連通孔36bと外方溝86とを連通する流路(不図示)が複数形成される。
【0047】
[2 燃料電池スタック10の動作]
図1に示すように、酸化剤ガス(例えば酸素含有ガス)は、エンドプレート20aの酸化剤ガス入口連通孔34aに供給される。燃料ガス(例えば水素含有ガス)は、エンドプレート20aの燃料ガス入口連通孔38aに供給される。冷却媒体(例えば純水)は、エンドプレート20aの冷却媒体入口連通孔36aに供給される。各々の単位セル12において、各流体は次のように流動する。
【0048】
図4に示すように、酸化剤ガス入口連通孔34aに供給された酸化剤ガスは、酸化剤ガスフィード48aに流入する。酸化剤ガスフィード48aに流入した酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路50の複数の流路溝58に均等に分配されて流れる。酸化剤ガス流路50で、酸化剤ガスは、MEA28のカソード電極44に供給される。一方、燃料ガス入口連通孔38aに供給された燃料ガスは、燃料ガスフィード68aに流入する。燃料ガスフィード68aに流入した燃料ガスは、燃料ガス流路70の複数の流路溝78に均等に分配されて流れる。燃料ガス流路70で、燃料ガスは、MEA28のアノード電極42に供給される。MEA28において、カソード電極44に供給される酸化剤ガスと、アノード電極42に供給される燃料ガスとの化学反応が発生し、発電する。化学反応に伴い水が発生する。
【0049】
次いで、未反応の酸化剤ガス及び水は、酸化剤ガス流路50から酸化剤ガスフィード48bに流入する。更に、酸化剤ガスフィード48bに流入した酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔34bに流出する。一方、未反応の燃料ガスは、燃料ガス流路70から燃料ガスフィード68bに流入する。更に、燃料ガスフィード68bに流入した燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔38bに流出する。
【0050】
冷却媒体入口連通孔36aに供給された冷却媒体は、冷却媒体流路88に流入する。冷却媒体流路88で、冷却媒体は、矢印A方向に位置するMEA28を冷却する。冷却媒体流路88の冷却媒体は、冷却媒体出口連通孔36bに流出する。
【0051】
[3 接合セパレータ33の接合方法]
接合セパレータ33において、第1セパレータ30と第2セパレータ32との接触部分は接合される。また、接合セパレータ33において、第1セパレータ30の周縁部と第2セパレータ32の周縁部とは接合される。
【0052】
図7及び図8に示すように、第1セパレータ30の外方凸部46bと、第2セパレータ32の外方凸部66bとは、対称形状でない。そのため、第1セパレータ30の裏面30bと第2セパレータ32の裏面32bとが互いに対向した状態で、外方凸部46bの一部と外方凸部66bの一部とが接触する。また、各々の接触箇所の接触面積は小さい。このため、各々の接触部分にスポット溶接用の電極を近づけることは困難である。そこで、本実施形態では、外方凸部46bと外方凸部66bとは、プロジェクション溶接によって接合される。図9及び図10に示されるように、プロジェクション溶接では、プロジェクション溶接用の一対の電極90(第1電極90a及び第2電極90b)が使用される。
【0053】
図9に示すように、第1セパレータ30と第2セパレータ32との接合は、接触工程、位置合わせ工程、プロジェクション溶接工程、第1レーザ溶接工程、第2レーザ溶接工程の順で行われる。
【0054】
[3-1 第1実施形態]
図10に示すように、第1実施形態で使用されるプロジェクション溶接用の一対の電極90は、平面視において、第1セパレータ30の発電エリア92a及び第2セパレータ32の発電エリア92bよりも大きい。一対の電極90は、溶接を行うための電流を流す電気回路94に接続される。電気回路94は、図示しないトランス及び電源等を有する。
【0055】
第1セパレータ30の発電エリア92aは、カソード電極44と接触する内方凸部46aが含まれる部分である。発電エリア92aは、第1セパレータ30のうち、カソード電極44とオーバーラップする部分である。第2セパレータ32の発電エリア92bは、アノード電極42と接触する内方凸部66aが含まれる部分である。発電エリア92bは、第2セパレータ32のうち、アノード電極42とオーバーラップする部分である。
【0056】
最初に、第1セパレータ30と第2セパレータ32とを接触させる(接触工程)。ここで、第1セパレータ30の各々の連通孔(酸化剤ガス入口連通孔34a等)と第2セパレータ32の各々の連通孔(酸化剤ガス入口連通孔34a等)とを位置合わせした後に、第1セパレータ30と第2セパレータ32とを重ね合わせる。この状態で、第1セパレータ30の複数の外方凸部46bと第2セパレータ32の複数の外方凸部66bとは、互いに接触する。なお、互いに接触しない外方凸部46b、66bも複数ある。
【0057】
次いで、一対の電極90を位置合わせする(位置合わせ工程)。ここで、第1電極90aを、第1セパレータ30の表面30aと対向する位置に配置する。また、第1電極90aを、平面視において、第1セパレータ30の発電エリア92a全体とオーバーラップする位置に配置する。更に、第1電極90aを、第1セパレータ30に近づけて、複数の内方凸部46aに接触させる。同様に、第2電極90bを、第2セパレータ32の表面32aと対向する位置に配置する。また、第2電極90bを、平面視において、第2セパレータ32の発電エリア92b全体とオーバーラップする位置に配置する。更に、第2電極90bを、第2セパレータ32に近づけて、複数の内方凸部66aに接触させる。
【0058】
次いで、プロジェクション溶接を行う(プロジェクション溶接工程)。ここで、電気回路94によって第1電極90aと第2電極90bとの間に電流を流す。このようにして、発電エリア92aに位置する外方凸部46bと発電エリア92bに位置する第2セパレータ32の外方凸部66bとのうち、互いに接触する複数の箇所を同時に溶接する。
【0059】
次いで、第1のレーザ溶接を行う(第1レーザ溶接工程)。ここで、第1セパレータ30の各々の連通孔(酸化剤ガス入口連通孔34a等)の外周部と、第2セパレータ32の各々の連通孔(酸化剤ガス入口連通孔34a等)の外周部とをレーザ溶接する。すなわち、各々の連通孔の周囲に位置する第1セパレータ30及び第2セパレータ32をレーザ溶接する。
【0060】
最後に、第2のレーザ溶接を行う(第2レーザ溶接工程)。ここで、第1セパレータ30の周縁部と第2セパレータ32の周縁部とをレーザ溶接する。以上のようにして、第1セパレータ30及び第2セパレータ32は接合される。
【0061】
第1実施形態によれば、一対の電極90を複数の内方凸部46a、66aに接触させることによって、一対の電極90の間に位置する外方凸部46b、66bの接触部分を全て溶接することができる。このように、第1実施形態によれば、溶接用の一対の電極90を被溶接個所(外方凸部46b、66bの接触部分)に接触させる必要がないため、溶接が容易である。また、第1実施形態によれば、被溶接個所を1つずつ溶接する必要がないため、溶接が容易である。また、第1実施形態によれば、スポット溶接のように溶接用の電極を被溶接個所に正確に接触させる必要がないため、溶接が容易である。また、第1実施形態によれば、被溶接個所を正確に把握する必要がないため、溶接が容易である。また、第1実施形態によれば、一対の電極90に電流を流すことで全ての被溶接個所を溶接することができるため、溶接作業が簡素である。
【0062】
[3-2 第2実施形態]
図11に示すように、第2実施形態で使用されるプロジェクション溶接用の一対の電極90は、平面視において、第1セパレータ30の発電エリア92a及び第2セパレータ32の発電エリア92bよりも小さい。
【0063】
第2実施形態で使用される一対の電極90は、第1実施形態で使用される一対の電極90よりも小さい。一対の電極90から離れた外方凸部46b、66bには、一対の電極90から一対の電極90とオーバーラップしない金属薄板部分を介して電流が供給される。しかし、金属薄板が抵抗となり、一対の電極90から離れた外方凸部46b、66bに流れる電流は小さくなる。このため、一対の電極90から離れた外方凸部46b、66bは、十分に接合されない。従って、第2実施形態では、一対の電極90を複数の溶接位置に移動させてプロジェクション溶接を行う必要がある。すなわち、第2実施形態では、位置合わせ工程及びプロジェクション溶接工程を、複数回行う必要がある。
【0064】
位置合わせ工程では、第1電極90aを、第1セパレータ30の表面30aと対向する位置に配置する。また、第1電極90aを、平面視において、第1セパレータ30の発電エリア92aの一部とオーバーラップする位置に配置する。更に、第1電極90aを、第1セパレータ30に近づけて、複数の内方凸部46aに接触させる。同様に、第2電極90bを、第2セパレータ32の表面32aと対向する位置に配置する。また、第2電極90bを、平面視において、第2セパレータ32の発電エリア92bの一部とオーバーラップする位置に配置する。更に、第2電極90bを、第2セパレータ32に近づけて、複数の内方凸部66aに接触させる。
【0065】
プロジェクション溶接工程では、電気回路94によって第1電極90aと第2電極90bとの間に電流を流す。このようにして、一対の電極90の間に位置する外方凸部46bと外方凸部66bとのうち、互いに接触する箇所を全て同時に溶接する。
【0066】
プロジェクション溶接工程の終了後、未だ溶接されてないエリアに一対の電極90を移動させて、位置合わせ工程及びプロジェクション溶接工程を行う。
【0067】
なお、第2実施形態においては、各々の発電エリア92a、92bの中央側に位置する外方凸部46b、66bの溶接を、各々の発電エリア92a、92bの周縁側に位置する46b、66bの溶接よりも先に行うことが好ましい。
【0068】
図12に示すように、プロジェクション溶接を行うエリアが9か所(a~i)に区分されている場合、中央のエリアeの溶接を先に行うことが好ましい。例えば、エリアe、エリアb、エリアd、エリアf、エリアh、エリアa、エリアc、エリアg、エリアiの順で溶接行うことが好ましい。なお、エリアb、エリアd、エリアf、エリアhの溶接順序は限定されない。同様に、エリアa、エリアc、エリアg、エリアiの溶接順序は限定されない。
【0069】
これにより、接合セパレータ33のうねり及び溶接による歪みを低減することができる。なお、第2実施形態によれば、プロジェクション溶接の実施回数が増えるものの、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0070】
[4 実施形態から得られる発明]
上記実施形態から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0071】
本発明の態様は、膜電極構造体(28)と前記膜電極構造体を挟持する一対のセパレータ(33)とを有する単位セル(12)が積層された燃料電池スタック(10)内で隣接する2つ前記セパレータを接合する接合方法であって、隣接する2つの前記セパレータは、第1の膜電極構造体のカソード電極(44)を覆う第1セパレータ(30)と、第2の膜電極構造体のアノード電極(42)を覆う第2セパレータ(32)であり、前記第1セパレータは、前記第1の膜電極構造体の前記カソード電極に接触する第1内方凸部(46a)と、前記第2セパレータに向かって突出する第1外方凸部(46b)とを有し、前記第2セパレータは、前記第2の膜電極構造体の前記アノード電極に接触する第2内方凸部(66a)と、前記第1セパレータに向かって突出する第2外方凸部(66b)とを有し、前記第1セパレータと前記第2セパレータとを互いに接触させる工程と、溶接用の第1電極(90a)を複数の前記第1内方凸部に接触させる工程と、溶接用の第2電極(90b)を複数の前記第2内方凸部に接触させる工程と、前記第1電極と前記第2電極との間に電流を流して前記第1外方凸部と前記第2外方凸部とが接触する複数箇所を溶接する工程とを含む。
【0072】
上記方法によれば、溶接用の第1電極及び第2電極を被溶接個所(外方凸部の接触部分)に接触させる必要がないため、溶接が容易である。また、上記方法によれば、被溶接個所を1つずつ溶接する必要がないため、溶接が容易である。また、上記方法によれば、スポット溶接のように溶接用の電極を被溶接個所に正確に接触させる必要がないため、溶接が容易である。また、上記方法によれば、被溶接個所を正確に把握する必要がないため、溶接が容易である。
【0073】
上記方法においては、平面視において、前記第1電極及び前記第2電極が前記第1セパレータの発電エリア(92a)の全面及び前記第2セパレータの発電エリア(92b)の全面とオーバーラップした状態で、前記第1電極と前記第2電極との間に電流を流して前記第1外方凸部と前記第2外方凸部とが接触する複数箇所を溶接してもよい。
【0074】
上記方法によれは、一対の電極に1回電流を流すことで全ての被溶接個所を溶接することができるため、溶接作業が簡素である。
【0075】
上記方法においては、平面視において、前記第1電極及び前記第2電極が前記第1セパレータの発電エリアの一部及び前記第2セパレータの発電エリアの一部とオーバーラップした状態で、前記第1電極と前記第2電極との間に電流を流して前記第1外方凸部と前記第2外方凸部とが接触する複数箇所を溶接してもよい。
【0076】
上記方法においては、各々の前記発電エリアの中央側に位置する前記第1外方凸部と前記第2外方凸部との溶接を、各々の前記発電エリアの周縁側に位置する前記第1外方凸部と前記第2外方凸部との溶接よりも先に行ってもよい。
【0077】
上記方法によれば、第1セパレータと第2セパレータとからなる接合セパレータのうねり及び溶接による歪みを低減することができる。
【0078】
上記方法においては、前記第1セパレータと前記第2セパレータの各々は、平面視における同位置に連通孔(34a、34b、36a、36b、38a、38b)を有し、前記第1セパレータの前記第1外方凸部と前記第2セパレータの前記第2外方凸部とを溶接した後に、前記第1セパレータの前記連通孔の外周部と前記第2セパレータの前記連通孔の外周部とをレーザ溶接してもよい。
【0079】
上記方法においては、前記第1セパレータの前記第1外方凸部と前記第2セパレータの前記第2外方凸部とを接合した後に、前記第1セパレータの周縁部と前記第2セパレータの周縁部とをレーザ溶接してもよい。
【0080】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0081】
10…燃料電池スタック 12…単位セル
28…膜電極構造体 30…第1セパレータ
32…第2セパレータ
34a…酸化剤ガス入口連通孔(連通孔)
34b…酸化剤ガス出口連通孔(連通孔)
36a…冷却媒体入口連通孔(連通孔)
36b…冷却媒体出口連通孔(連通孔)
38a…燃料ガス入口連通孔(連通孔)
38b…燃料ガス出口連通孔(連通孔)
42…アノード電極 44…カソード電極
46a…内方凸部(第1内方凸部)
46b…外方凸部(第1外方凸部)
66a…内方凸部(第2内方凸部)
66b…外方凸部(第2外方凸部)
90a…第1電極 90b…第2電極
92a、92b…発電エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12