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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-19
(45)【発行日】2025-03-28
(54)【発明の名称】ウェアラブル空気清浄機
(51)【国際特許分類】
   A62B 18/08 20060101AFI20250321BHJP
   A42B 3/28 20060101ALI20250321BHJP
【FI】
A62B18/08 Z
A42B3/28
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022570339
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 GB2021050603
(87)【国際公開番号】W WO2021234335
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】2007316.9
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】ダンカン ジャック パトゥルーオ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン アンドリュー ベイカー
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/021233(WO,A1)
【文献】実開昭54-084898(JP,U)
【文献】中国実用新案第203852759(CN,U)
【文献】特開2000-253477(JP,A)
【文献】特開2000-134685(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0296864(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 1/00-99/00
A42B 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブル空気清浄機において、
ヘッドギアと、
空気清浄機アセンブリであり、フィルタ及び前記フィルタを通過する空気流を発生させる空気流発生器を有する、該空気清浄機アセンブリと、並びに
ノズルアセンブリであり、前記空気清浄機アセンブリからの濾過済み空気流を受け入れる入口開孔、及び前記濾過済み空気流を前記ノズルアセンブリから放出する空気出口を有する、該ノズルアセンブリと、
を備え、
前記ノズルアセンブリは、前記ヘッドギアに連結される第1端部セクション、前記ヘッドギアに連結される第2端部セクション、及び第1ヒンジによって前記第1端部セクションに連結されかつ第2ヒンジによって前記第2端部セクションに連結される中間セクションを有し、
前記第1端部セクション及び前記第2端部セクションは、前記ヘッドギアに釈放可能に連結されており、
前記第1ヒンジ及び前記第2ヒンジのうち少なくとも一方は、使用にあたり、前記ノズルアセンブリを通過する濾過済み空気流の外側に位置付けされる、ウェアラブル空気清浄機。
【請求項2】
請求項1記載のウェアラブル空気清浄機において、前記空気清浄機アセンブリは前記ヘッドギアによって支持される、ウェアラブル空気清浄機。
【請求項3】
請求項1又は2記載のウェアラブル空気清浄機において、前記第1端部セクションは前記ヘッドギアの第1サイドに連結され、また前記第2端部セクションは前記ヘッドギアの前記第1サイドとは反対側の第2サイドに連結される、ウェアラブル空気清浄機。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項に記載のウェアラブル空気清浄機において、前記第1ヒンジ及び前記第2ヒンジは、使用にあたり、前記ヘッドギアの装着者の横断平面に平行な平面内で、前記中間セクションがそれぞれに対応する前記第1端部セクション及び第2端部セクションに対して回転するのを可能にする、ウェアラブル空気清浄機。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか1項に記載のウェアラブル空気清浄機において、前記第1端部セクション及び前記中間セクションの各々は中空本体を有し、前記第1端部セクションは前記ノズルアセンブリにおける前記入口開孔の少なくとも一部分を画定し、また前記中間セクションは前記ノズルアセンブリにおける前記空気出口の少なくとも一部分を画定する、ウェアラブル空気清浄機。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載のウェアラブル空気清浄機において、前記第2端部セクションは中空本体を有し、前記第2端部セクションは前記ノズルアセンブリにおける他の入口開孔の少なくとも一部分を画定する、ウェアラブル空気清浄機。
【請求項7】
請求項1~のうちいずれか1項に記載のウェアラブル空気清浄機において、前記ノズルアセンブリは、前記第1端部セクションと前記中間セクションとの間に延在する第1ベローズ部分と、及び前記第2端部セクションと前記中間セクションとの間に延在する第2ベローズ部分と、を有する、ウェアラブル空気清浄機。
【請求項8】
請求項1~のうちいずれか1項に記載のウェアラブル空気清浄機において、前記ノズルアセンブリは、前記ノズルアセンブリの長さを増大させる少なくとも1つの伸展機構を有する、ウェアラブル空気清浄機。
【請求項9】
請求項1~のうちいずれか1項に記載のウェアラブル空気清浄機において、前記中間セクションは、前記ノズルアセンブリの長さを増大させる少なくとも1つの伸展機構を有する、ウェアラブル空気清浄機。
【請求項10】
請求項1~のうちいずれか1項に記載のウェアラブル空気清浄機において、前記第1端部セクション及び第2端部セクションのうち少なくとも一方は、前記ノズルアセンブリの長さを増大させる少なくとも1つの伸展機構を有する、ウェアラブル空気清浄機。
【請求項11】
請求項1~10のうちいずれか1項に記載のウェアラブル空気清浄機において、前記中間セクションは少なくとも1つの折り目を有し、使用にあたり、前記中間セクションの部分が互いに前記折り目周りに撓むことができる、ウェアラブル空気清浄機。
【請求項12】
請求項1~11のうちいずれか1項に記載のウェアラブル空気清浄機において、前記空気流発生器及びフィルタは、使用にあたり、濾過済み空気流を前記ノズルアセンブリの第1端部セクションに供給するよう構成される、ウェアラブル空気清浄機。
【請求項13】
請求項12記載のウェアラブル空気清浄機において、前記空気清浄機アセンブリは、使用にあたり、濾過済み空気流を前記ノズルアセンブリの第2端部セクションに供給するよう構成される他の空気流発生器及び他のフィルタを有する、ウェアラブル空気清浄機。
【請求項14】
請求項1~13のうちいずれか1項に記載のウェアラブル空気清浄機において、前記第1端部セクションは第3ヒンジによって前記ヘッドギアに少なくとも部分的に連結され、また前記第2端部セクションは第4ヒンジによって前記ヘッドギアに少なくとも部分的に連結され、
前記第3ヒンジ及び前記第4ヒンジは、前記ヘッドギアに釈放可能に連結されている、ウェアラブル空気清浄機。
【請求項15】
請求項1~14のうちいずれか1項に記載のウェアラブル空気清浄機において、前記ノズルアセンブリは、使用にあたり、装着者に向かって濾過済み空気流を導く少なくとも1つのフローガイドを有する、ウェアラブル空気清浄機。
【請求項16】
ウェアラブル空気清浄機用のノズルアセンブリであって、空気清浄機アセンブリからの濾過済み空気流を受け入れる入口開孔と、前記ノズルアセンブリから前記濾過済み空気流を放出する空気出口と、ヘッドギアに連結するための第1端部セクションと、ヘッドギアに連結するための第2端部セクションと、及び第1ヒンジによって前記第1端部セクションに連結されかつ第2ヒンジによって前記第2端部セクションに連結される中間セクションと、を備え、
前記第1端部セクション及び前記第2端部セクションは、前記ヘッドギアに釈放可能に連結されており、
前記第1ヒンジ及び前記第2ヒンジのうち少なくとも一方は、使用にあたり、前記ノズルアセンブリを通過する濾過済み空気流の外側に位置付けされる、ノズルアセンブリ。
【請求項17】
ウェアラブル空気清浄機において、
ヘッドギアと、
空気清浄機アセンブリであり、フィルタ及び前記フィルタを通過する空気流を発生させる空気流発生器を有する、該空気清浄機アセンブリと、並びに
ノズルアセンブリであり、前記空気清浄機アセンブリからの濾過済み空気流を受け入れる入口開孔、及び前記濾過済み空気流を前記ノズルアセンブリから放出する空気出口を有する、該ノズルアセンブリと、
を備え、
前記ノズルアセンブリは、前記ヘッドギアに連結される第1端部セクション、前記ヘッドギアに連結される第2端部セクション、及び第1ヒンジによって前記第1端部セクションに連結されかつ第2ヒンジによって前記第2端部セクションに連結される中間セクションを有し、
前記第1端部セクション及び前記第2端部セクションは、前記ヘッドギアに釈放可能に連結されており、
前記第1ヒンジ及び前記第2ヒンジのうち少なくとも一方はバレル内に収容されるピンを有し、また前記バレルは、使用にあたり、濾過済み空気流が通過するスロットを有する、ウェアラブル空気清浄機。
【請求項18】
請求項17記載のウェアラブル空気清浄機において、可撓性ダクトが前記バレルの前記スロットに突入し、また使用にあたり、濾過済み空気流が前記可撓性ダクトを流れる、ウェアラブル空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェアラブル空気清浄機、及びこのようなウェアラブル空気清浄機のためのノズルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
空気汚染は問題が増大しており、また多種多様な空気汚染物質が分かってきている、又は人間の健康に対する有害効果が疑われてきている。空気汚染により生ずるおそれがある悪影響は、汚染物質のタイプ及び濃度、並びに汚染された空気に対する被曝の長さに依存する。例えば、高い空気汚染レベルは、悪化した心疾患及び呼吸器疾患のような喫緊の健康問題を引き起こすおそれがあるとともに、長期にわたる汚染された空気に対する被曝は、肺能力喪失及び減退した肺機能といった永続的な健康に対する影響、並びに、ぜんそく、気管支炎、肺気腫、及び場合によっては悪性腫瘍といった疾患の発症をもたらすおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
空気汚染がとくに高レベルである場所において、多くの個々人は、これら汚染に対する被曝を最小限にすることの恩恵を認識してきており、またしたがって、空気内に存在する汚染物質が口及び鼻に達する前に少なくとも一部分をフィルタ除去する目的で顔マスクを装着する対策をしてきている。さらに、ユーザーが装着するが装着者の口及び鼻をカバーする必要がない空気清浄機を開発する様々な試みもあった。例えば、装着者の首周りに装着し、また装着者の口及び鼻に向けて上方に指向される空気ジェットを生ずるウェアラブル空気清浄機のための様々な設計がある。使用にあたり装着者に快適なウェアラブル空気清浄機に対する一般的な要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1態様によればウェアラブル空気清浄機を提供し、このウェアラブル空気清浄機は、ヘッドギアと、空気清浄機アセンブリであり、フィルタ及び前記フィルタを通過する空気流を発生させる空気流発生器を有する、該空気清浄機アセンブリと、並びにノズルアセンブリであり、前記空気清浄機アセンブリからの濾過済み空気流を受け入れるよう構成された入口開孔、及び前記濾過済み空気流を前記ノズルアセンブリから放出する空気出口を有する、該ノズルアセンブリと、を備え、前記ノズルアセンブリは、前記ヘッドギアに連結される第1端部セクション、前記ヘッドギアに連結される第2端部セクション、及び第1ヒンジによって前記第1端部セクションに連結されかつ第2ヒンジによって前記第2端部セクションに連結される中間セクションを有する。
【0005】
本発明の第1態様によるウェアラブル空気清浄機は、主に、ノズルアセンブリが、前記ヘッドギアに連結される第1端部セクション、前記ヘッドギアに連結される第2端部セクション、及び第1ヒンジによって前記第1端部セクションに連結されかつ第2ヒンジによって前記第2端部セクションに連結される中間セクションを有するという理由から、有益なものであり得る。
【0006】
とくに、中間セクションが第1ヒンジによって第1端部セクションに連結され、また中間セクションが第2ヒンジによって第2端部セクションに連結されるとき、中間セクションが第1端部及び第2端部の双方に対して相対移動することができ、このことは、ノズルアセンブリの構成における融通性を増大させ、これにより装着者の快適さの向上を可能にし、またノズルアセンブリが、使用にあたり、装着者の顔に比較的近接して位置付けられる構成をもたらす。このような可動性によれば、ノズルアセンブリを個々の装着者の顔に適合させる、例えば、個々の装着者の顔に密に順応することを可能にする。
【0007】
第1及び第2の端部セクションは、ヘッドギアに直接連結することができる、例えば、両者間に介在するコンポーネントがないようにすることができる、又はヘッドギアに対して間接的に連結する、例えば、両者間に1つ又はそれ以上の介在コンポーネントを有するようにすることができる。第1及び第2の端部セクションは空気清浄機アセンブリに連結する、例えば、空気清浄機アセンブリの第1部分及び第2部分に連結することができる。空気清浄機アセンブリは、ヘッドギアによって支持される清浄機アセンブリハウジングを有することができ、また第1及び第2の端部セクションは清浄機アセンブリハウジングに連結することができる。
【0008】
ノズルアセンブリの空気出口は、ウェアラブル空気清浄機の最終コンポーネントであって、ウェアラブル清浄機から装着者に向かって放出される前に濾過済み空気流がその内部を移行する、該最終コンポーネントを有することができる。例えば、使用にあたり、濾過済み空気流が通過するノズルアセンブリの空気出口の下流にはウェアラブル空気清浄機のコンポーネントがないものとすることができ、また使用にあたり、濾過済み空気流を空気出口から、及びひいてはノズルアセンブリから、装着者の口及び鼻領域に向かって放出することができる。
【0009】
第1及び第2の端部セクションは、ヘッドギアに固定的に連結することができる、又は例えば、ノズルアセンブリがヘッドギアから釈放可能であり、またヘッドギアから少なくとも部分的に分離可能であるように、釈放可能にヘッドギアに連結することができる。釈放可能連結はノズルアセンブリのクリーニングを容易にすることができる。
【0010】
前記第1端部セクションは前記ヘッドギアの第1サイドに連結することができ、また前記第2端部セクションは前記ヘッドギアの前記第1サイドとは反対側の第2サイドに連結することができる。ヘッドギアの第1サイドは、ヘッドギアの第2サイドとは反対側とすることができ、例えば、使用にあたり、ヘッドウェアラブル空気清浄機が装着者の頭部に当てがわれるとき直径方向に対向するものとすることができる。ノズルアセンブリは、使用にあたり、ヘッドギアが装着者の頭部に当てがわれる状態で、ノズルアセンブリが装着者の前方に突出し、例えば、空気出口が装着者の口の領域及び/又は鼻下部領域に位置付けられるように、構成することができる。ノズルアセンブリは、使用にあたり、ノズルアセンブリが装着者の顔に接触することなく装着者の顔の前方に突出するよう構成することができる。このことは、例えば、使用にあたり、ノズルアセンブリが装着者の顔に接触する構成に比べて、装着者の快適さが増大した構成をもたらすことができる。ノズルアセンブリは、概して、細長くアーチ状の形態とすることができる。空気出口は、ノズルアセンブリに沿ってほぼ中央に位置付けることができる。
【0011】
前記第1ヒンジ及び前記第2ヒンジは、使用にあたり、前記ヘッドギアの装着者の横断平面に平行な平面内で、例えば、装着者の前頭面にほぼ直交し、また装着者の矢状面にほぼ直交する平面内で、前記中間セクションがそれぞれに対応する前記第1端部セクション及び第2端部セクションに対して回転するのを可能にする。前記第1ヒンジ及び前記第2ヒンジは、ヘッドギアの正中線に対して、例えば、ヘッドギアを二等分し、また装着者の縦方向軸線に平行に延びる軸線に対して、中間セクションが内方及び外方に回転するのを可能にする。
【0012】
前記第1端部セクション及び前記中間セクションの各々は、中空本体、例えば、導管部分を有することができ、前記第1端部セクションは前記ノズルアセンブリにおける前記入口開孔の少なくとも一部分を画定し、また前記中間セクションは前記ノズルアセンブリにおける前記空気出口の少なくとも一部分を画定することができる。例えば、使用にあたり、濾過済み空気流は、第1端部セクションに形成される入口開孔からノズルアセンブリに進入し、第1端部セクション及び中間セクション経由で空気出口に向かって流れ、またこの空気出口から装着者に向かってノズルアセンブリから抜け出ることができる。
【0013】
前記第2端部セクションは、中空本体、例えば、導管部分を有し、また前記第2端部セクションは前記ノズルアセンブリにおける他の入口開孔の少なくとも一部分を画定する。例えば、ノズルアセンブリは、第1入口開孔及び第2入口開孔を有することができ、第1入口開孔は第1端部セクションに形成され、また第2入口開孔は第2端部セクションに形成され、第1及び第2の入口開孔の各々は、空気清浄機アセンブリから濾過済み空気流を受け入れるよう構成される。第1及び第2の端部セクションの各々は、空気流発生器が発生した濾過済み空気流を受け入れるよう構成することができる、又は代案として、ウェアラブル空気清浄機は、他の空気流発生器を備えることができ、第1端部セクションは空気流発生器が発生した濾過済み空気流を受け入れるよう構成され、また第2端部セクションは前記他の空気流発生器が発生した濾過済み空気流を受け入れるよう構成される。空気流発生器及びフィルタは、使用にあたり、濾過済み空気流をノズルアセンブリの第1端部セクションに供給するよう構成することができる。空気清浄機アセンブリは、使用にあたり、ノズルアセンブリの第2端部セクションに他の濾過済み空気流を供給するよう構成された他の空気流発生器及び他のフィルタを有することができる。
【0014】
前記第1ヒンジ及び前記第2ヒンジの少なくとも一方は、使用にあたり、前記ノズルアセンブリを通過する濾過済み空気流の外側に位置付けることができる。このことは、濾過済み空気流の外側に位置付けられるヒンジが流れの障害物とならず、例えば、ヒンジが濾過済み空気流内に位置付けられる構成と比較して、使用にあたり、ノズルアセンブリにおける濾過済み空気流の乱流を減少することができる。第1及び第2のヒンジのうち少なくとも一方における可動部分は、使用にあたり、ノズルアセンブリを流れる濾過済み空気流の外側に位置付けることができる。
【0015】
前記第1ヒンジ及び前記第2ヒンジの少なくとも一方はバレル内に収容されるピンを有することができ、また前記バレルは、使用にあたり、濾過済み空気流が通過するスロットを有することができる。このことは、ヒンジ、すなわち、ピンの可動部が、使用にあたり、ノズルアセンブリを流れる濾過済み空気流に曝されることがない点で有利であり得る。このことは、フィルタに使用されるフィルタ材料の等級に基づいて濾過済み空気流内に何らかの粒子状物質が残留し、ヒンジの可動部に溜まり、ヒンジの通常動作を妨げるリスクを減少することができる。このことは、さらに、コンパクトで一体化したヒンジ構成をもたすことができ、空気流導管がヒンジを通過するとき、必ずしも外部シールを必要としない。
【0016】
ダクト、例えば、可撓性ダクトが前記バレルの前記スロットに突入することができ、また使用にあたり、濾過済み空気流が前記可撓性ダクトを流れることができる。このことは、使用にあたり、濾過済み空気流がスロットの端縁に接触するのを防止することができるため有利であり、使用にあたり、濾過済み空気流がスロットの端縁に接触する構成に比較すると、濾過済み空気流における乱流を減少することができる。このことは、ヒンジの周りにおける濾過済み空気流の漏洩を最小限にすることができる。
【0017】
ノズルアセンブリは、前記第1端部セクションと前記中間セクションとの間に延在する第1ベローズ部分と、及び前記第2端部セクションと前記中間セクションとの間に延在する第2ベローズ部分と、を有することができる。このことは、第1及び第2のベローズ部分は、例えば、第1及び第2の端部セクションに対する中間セクションの第1及び第2ヒンジ周りにおける運動を考慮した伸張及び収縮による寸法の僅かな変化を可能にするとともに、使用にあたり、端部セクションから中間セクションに通過する濾過済み空気流の漏洩を最小限にすることができる。第1及び第2のベローズ部分の各々は、比較的可撓性のある材料から成るものとすることができる。
【0018】
ノズルアセンブリは、ノズルアセンブリの長さを増大させる少なくとも1つの伸展機構を有してもよい。例えば、中間セクション並びに/又は第1端部セクション及び第2端部セクションのうち少なくとも一方は、前記ノズルアセンブリの長さを増大させる少なくとも1つの伸展機構を有することができる。このことは、装着者の快適さを可能にする装着者によるノズルアセンブリの更なる調整を可能にし、またノズルアセンブリを装着者の顔に密に順応させることを確実にする。伸展機構は抜き差し又はラチェットの機構から成るものとすることができる。中間セクションが少なくとも1つの伸展機構を有する実施形態において、伸展機構は、例えば、第1又は第2のヒンジに連結することができる。
【0019】
中間セクションは、少なくとも1つの折り目又は稜線を有し、使用にあたり、前記中間セクションの部分、例えば、折り目のいずれかのサイドにおける部分が互いにこの折り目周りに撓むことができる。このことは、例えば、同一材料で形成された折り目のない中間セクションと比べると、中間セクションの可撓性を高めることができ、またノズルアセンブリの高い従順性及び増大した装着者の快適性を可能にし得る。
【0020】
第1端部セクションは、第3ヒンジによってヘッドギアに少なくとも部分的に連結され、また第2端部セクションは第4ヒンジによってヘッドギアに少なくとも部分的に連結されてもよい。このことは、第1及び第2の端部セクションがヘッドギアに対して回転することを可能にし、固定構成のものに比べてノズルアセンブリの位置決めにおける高い融通性を可能にし得る。このことは、使用にあたり、装着者の快適さをもたらすことができる。第3及び第4のヒンジによれば、第1及び第2のヒンジによって可能になる回転平面とは異なる平面における回転を可能にし得る。例えば、第3及び第4のヒンジは、使用にあたり、装着者の矢状面にほぼ平行な平面における回転を可能にし得る。したがって、第1及び第2のヒンジは、使用にあたり、中間セクションの装着者における左右方向への回転を可能にし得るとともに、第3及び第4のヒンジは、ノズルアセンブリの装着者における上下方向への回転を可能にし得る。
【0021】
ノズルアセンブリは、使用にあたり、装着者に向かって濾過済み空気流を導く、例えば、ノズルアセンブリの空気出口から放出される濾過済み空気流を導く、少なくとも1つのフローガイドを有することができる。このことは、使用にあたり、濾過済み空気流の指向性を支援することができる。フローガイドは弾性変形材料から成るものとすることができる。このことは、使用にあたり、フローガイドが装着者の顔に不慮に接触する場合の装着者の快適性を確保することができる。
【0022】
本発明の第2態様によれば、ウェアラブル空気清浄機用のノズルアセンブリを提供し、このノズルアセンブリは、空気清浄機アセンブリからの濾過済み空気流を受け入れる入口開孔と、前記ノズルアセンブリから前記濾過済み空気流を放出する空気出口と、ヘッドギアに連結するための第1端部セクションと、ヘッドギアに連結するための第2端部セクションと、及び第1ヒンジによって前記第1端部セクションに連結されかつ第2ヒンジによって前記第2端部セクションに連結される中間セクションと、を備える。
【0023】
本発明の第3態様によれば、ウェアラブル空気送給装置を提供し、この装置は、ヘッドギアと、並びにノズルアセンブリとを備え、このノズルアセンブリは、空気流を受け入れる入口開孔、ノズルアセンブリから空気流を放出する空気出口、ヘッドギアに連結される第1端部セクション、ヘッドギアに連結される第2端部セクション、及び第1ヒンジによって第1端部セクションに連結され、また第2ヒンジによって第2端部セクションに連結される中間セクションを有する。入口開孔は、空気清浄機アセンブリからの濾過済み空気流を受け入れるよう構成することができる。
【0024】
本発明の態様の好ましい特徴は、適正であれば本発明の他の態様にも等しく適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の実施形態を、以下に単なる例として添付図面につき説明する。
図1】本発明によるウェアラブル空気清浄機の概略的正面図である。
図2図1のウェアラブル空気清浄機の概略的背面図である。
図3】ノズルアセンブリを除外した図1のウェアラブル空気清浄機の断面図である。
図4】ノズルアセンブリを取り外した図1のウェアラブル空気清浄機の概略的な上方から見た正面斜視図である。
図5】切り離した本発明によるノズルアセンブリの上方からの斜視図である。
図6a】第1回転配向にある、図5のノズルアセンブリにおける第1端部セクション及び第2端部セクションの上方からの斜視図である。
図6b】第2回転配向にある、図5のノズルアセンブリにおける第1端部セクション及び第2端部セクションの上方からの斜視図である。
図7a】本発明によるノズルアセンブリの端部セクションにおける第1実施形態の概略図である。
図7b】本発明によるノズルアセンブリの端部セクションにおける第2実施形態の概略図である。
図7c】本発明によるノズルアセンブリの端部セクションにおける第3実施形態の概略図である。
図8】ノズルアセンブリが第1形態にある図1のウェアラブル空気清浄機の概略的側面図である。
図9】ノズルアセンブリが第2形態にある図1のウェアラブル空気清浄機の概略的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
全体的に参照符号10が付されたウェアラブル空気清浄機を図1及び2に概略的に示す。
【0027】
ウェアラブル空気清浄機10は、ヘッドギア12、14、16と、空気清浄機アセンブリ42、44と、及びノズルアセンブリ100を備える。
【0028】
ヘッドギアは、ヘッドフォン形態を有し、またヘッドバンド12と、ヘッドバンド12の端部それぞれに連結した第1ハウジング14及び第2ハウジング16とを有する。ヘッドバンド12は、概して、細長くかつアーチ状をしており、また使用にあたり、装着者の頭頂部及び装着者の側頭部に被さるよう構成される。第1ハウジング14及び第2ハウジング16は、代表的にはほぼ半球形で中空の「オーバー・ジ・イヤ」ヘッドフォンのために使用されるようなイヤーカップを有し、代表的にはほぼ半球形で中空の形態である。
【0029】
ヘッドバンド12は、第1端部部分18、第2端部部分20、及び中央部分22を持つ。第1端部部分18及び第2端部部分20の各々は、伸展機構によって中央部分22に連結される。各伸展機構は、第1端部部分18及び第2端部部分20の内部における歯であって、装着者がヘッドバンド12の長さを調整できるラチェット機構を形成する歯に係合するアーム24を有する。この目的のために、歯、歯の間隔、及び対向壁、又はアーム24自体は必要な保持力を得るのに十分な弾性を有するものとすることができる。
【0030】
ヘッドバンド12の第1端部部分18及び第2端部部分20の各々は、中空ハウジング26を有する。中空ハウジング26は、内部に1つ又はそれ以上のバッテリーを収容するバッテリー隔室を画定する。当然のことながら、バッテリーは、中空ハウジング26から取外し可能である、又は通常の使用中に中空ハウジング26内に保持されることを意図したものであり得る。バッテリーが交換可能であり、中空ハウジング26から取外し可能であることを意図するものである場合、中空ハウジング26は、例えば、中空ハウジング26の内部にアクセスできる釈放可能なドア又はカバーを有することができる。バッテリーが再充電可能であり、通常使用にあたり、中空ハウジング26内に保持することを意図するものである場合、中空ハウジング26又は実際にはウェアラブル空気清浄機10の他のコンポーネントは、バッテリーの再充電を可能にする少なくとも1つの充電ポートを有することができる。
【0031】
ヘッドバンド12の第1端部部分18及び第2端部部分20は、それぞれに対応する第1ハウジング14及び第2ハウジング16に連結される。幾つかの実施形態において、ヘッドバンド12の第1端部部分18及び第2端部部分20は、それぞれに対応する第1ハウジング14及び第2ハウジング16に連結され、この連結は、ヘッドバンド12の第1端部部分18及び第2端部部分20とそれぞれに対応する第1ハウジング14及び第2ハウジング16との間で相対移動を可能にするように行う。図1に示すように、このような連結のためにスイベルピン28を使用するが、当業者には当然のことながら、他の形式の連結も可能である。ヘッドバンド12の第1端部部分18及び第2端部部分20の中空ハウジング26内に収納されるバッテリーを第1ハウジング14及び第2ハウジング16の内部におけるコンポーネントに電気接続するため、スイベルピン28を中空にし、例えば、電気配線等が通過できるようにする。
【0032】
各ハウジング14、16は、図3に示すように、スピーカーアセンブリ32を収容し、またウェアラブル空気清浄機10の装着者の耳を包むよう構成された環状パッデング34を有する。スピーカーアセンブリ32の細部は本発明に関連せず、またしたがって、簡略化のため本明細書では説明しないが、任意の適当なスピーカーアセンブリを選択できることは当業者には理解されるであろう。使用にあたり、第1ハウジング14及び第2ハウジング16内に収容されるスピーカーアセンブリ32は、バッテリー36、38のすべてから電力を受け取るよう構成される。送電配線(図示せず)は、ヘッドバンド12の第1端部部分18と第2端部部分20との間においてヘッドバンド12内に延び、例えば、中央部分22及びアーム24内に延びている。このような構成は、スピーカーアセンブリ32相互間における配電の融通性を増大させる。他の実施形態において、第1ハウジング14及び第2ハウジング16内に収容されるスピーカーアセンブリ32は、ヘッドバンド12の第1端部部分18及び第2端部部分20のそれぞれ内に配置されるバッテリー36、38から電力を受け取るよう構成することができる。例えば、第1ハウジング14内に収容されるスピーカーアセンブリ32は、ヘッドバンド12の第1端部部分18内のバッテリー36によって給電されるよう構成することができるとともに、第2ハウジング16内に収容されるスピーカーアセンブリ32は、ヘッドバンド12の第2端部部分20内のバッテリー38によって給電されるよう構成することができる。
【0033】
図3に示すように、ヘッドギアの第1ハウジング14及び第2ハウジング16は、さらに、空気清浄機アセンブリにおけるフィルタアセンブリ42及び空気流発生器44を収容する。各ハウジング14、16は、さらに、空気清浄機アセンブリのための外気入口40及び出口開孔43も用意する。
【0034】
第1ハウジング14及び第2ハウジング16の各々における外気入口40は、空気をハウジング14、16の内部に引き込む複数の開孔を有する。各フィルタアセンブリ42は、外気入口40とそれぞれに対応する空気流発生器44との間でハウジング14、16のそれぞれ内に配置される。各フィルタアセンブリ42は、使用にあたり、装着者に供給すべき空気の所望の濾過度をもたらすよう選択したフィルタ材料を有する。
【0035】
空気流発生器44各々はモータ駆動インペラーを有し、このインペラーは、それぞれに対応する外気入口40から引き込み、それぞれに対応するフィルタアセンブリ42を通過させ、またそれぞれに対応するハウジング14、16に用意される空気清浄機アセンブリのそれぞれに対応する出口開孔43から空気を出力する。第1ハウジング14及び第2ハウジング16内における空気流発生器44は、すべてのバッテリー36、38から電力を受け入れるよう構成される。送電配線(図示せず)は、スピーカーアセンブリ32に関連して説明したように、ヘッドバンド12を通過するよう延在する。他の実施形態において、第1ハウジング14内の空気流発生器44は、ヘッドバンド12の第1端部部分18内のバッテリー36によって給電されるとともに、第2ハウジング16内の空気流発生器44は、ヘッドバンド12の第2端部部分20内のバッテリー38によって給電されるよう構成することができる。
【0036】
ノズルアセンブリ100は、第1端部106及び第2端部108を持ち、またノズルアセンブリ100がほぼアーチ状の形態になるよう第1端部106と第2端部108との間で湾曲する。第1端部106及び第2端部108は、以下により詳細に説明するように、ヘッドギアの第1ハウジング14及び第2ハウジング16の各個に連結するよう、また第1及び第2のヒンジ104によってノズルアセンブリの中間セクション102に連結するよう、それぞれに対応する第1端部セクション110及び第2端部セクション112を有する。ノズルアセンブリ100が第1ハウジング14及び第2ハウジング16に連結され、またウェアラブル空気清浄機10が装着者によって装着されるとき、ノズルアセンブリ100は、装着者の顔、とくに、装着者の口及び鼻の下方領域の前方に突出して、装着者の顔に接触することがないように構成される。
【0037】
中間セクション102は、ほぼ中空の形態であり、またメッシュで画定される空気出口120を持つ。中間セクション102の上部表面及び下部表面は、後方に、例えば、第1端部セクション110と第2端部セクション112との間で画定される空所に向かって突出し、また使用にあたり、ノズルアセンブリ100から放出される濾過済み空気流を装着者の顔及び鼻領域に向かって案内するように作用するフローガイド122を有する。フローガイド122は、中間セクションの若干の変形を許容し、また使用にあたり、装着者の顔に不慮に接触する場合でも装着者の快適さをもたらすよう、弾性変形可能材料で形成することができる。
【0038】
図2及び5に示すように、中間セクション102は、第1端部及び第2端部を持つ主本体123と、主本体123の第1端部及び第2端部をそれぞれに対応する第1及び第2のヒンジ104に連結する伸展機構121とを含む。伸展機構121は、多くの形態をとることができ、また例えば、ノズルアセンブリ100の長さを装着者が選択的に増減できる抜き差し及び/又はラチェット機構を有することができる。伸展機構121は、中空であり、また使用にあたり、第1端部セクション110及び第2端部セクション112から中間セクション102の主本体123に濾過済み空気流を搬送する導管として作用する。第1及び第2のヒンジ104は第1端部セクション110及び第2端部セクション112に対する中間セクション102の回転を可能にする。中間セクション102は、さらに、中央の折り目又は稜線107を持ち、中間セクションの若干の変形を可能にして、ノズルアセンブリ100のより高い従順性を可能にし、またノズルアセンブリ100の動きを許容することができる。このような構成は、使用にあたり、装着者の顔に対する中間セクション102、及びひいては空気出口の位置決めに融通性を与えることができ、またひいてはより高い従順性及び増大した快適さをもたらすことができる。
【0039】
中間セクション102を第1及び第2のヒンジ104により回転可能に第1端部セクション110及び第2端部セクション112に連結する代替的実施形態の例を図7a~cに示す。
【0040】
図7aの実施形態において、第2端部セクション112は、ヒンジ104及びベローズ部分105の双方によって中間セクション102に連結されるように示す。ヒンジ104は中間セクション102の第2端部セクション112に対する回転を可能にするとともに、ベローズ部分105は比較的可撓性のある材料で形成して、ヒンジ104周りの回転に応答して伸縮することができる。ベローズ部分105は、第2端部セクション112から中間セクション102への濾過済み空気流の通過を可能にする導管を画定するとともに、ヒンジ104はベローズ部分105の外部に位置付けされて、使用にあたり、ヒンジ104がノズルアセンブリ100を流れる濾過済み空気流に接触しないようになる。
【0041】
図7bの実施形態において、第1端部セクション110は、ヒンジ104によって中間セクション102に連結されるよう示される。ここで、第1端部セクション110はバレル又はシリンダ109を画定し、また中間セクション102は、バレル109の上部及び下部の開孔それぞれに収容される上部及び下部のピン(図示せず)を有する。バレル109はスロット111を持ち、使用にあたり、このスロット111経由で濾過済み空気流が第1端部セクション110から中間セクション102に通過することができる。可撓性チューブ125は、スロット111内に位置付けられ、また中間セクション102の中空内部に突入する。可撓性チューブ125は、スロット111の内壁に封止され、また中間セクション102の内壁に密接嵌合してヒンジ104を通過する空気の漏洩を最小限にする。
【0042】
図7cの実施形態において、第2端部セクション110、112がヒンジ104及びベローズ部分105によって中間セクション102に連結されるものとして示されている。ここで、端部セクション110、112は、中間セクションのそれぞれに対応する上部アーム117及び下部アーム119に係合する上部アーム113及び下部アーム115を持ち、端部セクション110、112と中間セクション102との間の相対回転を可能にする。ベローズ部分105はアーム113、115、117、119間における境界面を包囲し、またベローズ部分105は、端部セクション110、112と中間セクション102との間の相対回転を考慮して伸縮できる比較的可撓性のある材料で形成する。ベローズ部分105は、2端部セクション110、112から中間セクション102への濾過済み空気流の通過を可能にする導管を画定する
【0043】
上述したように、第1端部セクション110及び第2端部セクション112は、それぞれに対応する第1ハウジング14及び第2ハウジング16に連結して、ノズルアセンブリ100をヘッドギアの第1ハウジング14及び第2ハウジング16に連結する。第1ハウジング14及び第2ハウジング16はヘッドバンド12の第1端部部分18及び第2端部部分20に連結する。このように、ノズルアセンブリ100はヘッドギア10に直接連結される。さらに、当然のことながら、幾つかの実施形態において、ノズルアセンブリ100は、ヘッドギアによって支持されるウェアラブル空気清浄機の他のコンポーネントに直接連結してもよい。このとき、ノズルアセンブリ100はヘッドギア10に間接的に連結されていると見なすことができる。
【0044】
第1形態において、第1端部セクション110及び第2端部セクション112は、使用にあたり、第1ハウジング14及び第2ハウジング16における空気流発生器44からの濾過済み空気流をそれぞれ中間セクション102に搬送する導管として作用する。この目的のために、端部セクション110、112は、第1ハウジング14及び第2ハウジング16の外面に合致するよう湾曲した湾曲端部を持つ。第1端部セクション110及び第2端部セクション112は、ほぼ中空であり、また空気清浄機アセンブリの出口開孔43に直接流体連通するよう構成された入口開孔114を持ち、この直接流体連通は、ノズルアセンブリ100が第1ハウジング14及び第2ハウジング16にそれぞれ連結されて第1形態にあるとき、第1ハウジング14及び第2ハウジング16によってもたらされる。例えば、第1形態にあるとき出口開孔43と入口開孔114との間に介在するコンポーネントはないようにすることができる。
【0045】
端部セクション110、112は、中間セクション102を第1ハウジング14及び第2ハウジング16に対してそれぞれ回転可能に連結及び保持する磁気ヒンジ116及び磁気戻り止め118を有する。この目的のために、第1ハウジング14及び第2ハウジング16の各々は、それぞれに対応する上部磁石124及び下部磁石126を有し、上部磁石124は磁気戻り止め118に係合するよう位置付けられ、また下部磁石126は磁気ヒンジ116に係合するよう位置付けられる。図8及び9から明らかなように、磁気ヒンジ116は、ノズルアセンブリ100が第1ハウジング14及び第2ハウジング16に対して回転できるようにする。とくに、ノズルアセンブリ100は、図8に示した第1形態と図9に示した第2形態との間で回転可能である。
【0046】
図8の第1形態において、ノズルアセンブリ100は、第1ハウジング14及び第2ハウジング16に完全に連結され、また上部磁石124の磁気戻り止め118との係合及び磁気ヒンジ116の下部磁石126との係合によって所定位置で保持される。中間セクション102の第1端部セクション110及び第2端部セクション112における入口開孔114は、それぞれに対応する第1ハウジング14及び第2ハウジング16によって設けられた出口開孔43に、ほぼ整列及び一致する。濾過済み空気流が空気流発生器によって得られるとき、出口開孔43から入口開孔114内に通過し、また次に中間セクション102経由で空気出口120に流れ、この空気出口120から装着者に供給される。
【0047】
使用にあたり、第1形態において、ウェアラブル空気清浄機10は、装着者の頭部に当てがわれ、これにより第1ハウジング14及び第2ハウジング16は装着者の耳上に当てがわれ、またノズルアセンブリ100は、装着者の顔に接触することなく、装着者の顔における口及び鼻下部領域の前方に突出する。空気流発生器44は、第1ハウジング14及び第2ハウジング16の各々によって設けられた外気入口40からフィルタアセンブリ42経由で空気を引き込み、また出口開孔43経由で中間セクション102の第1端部セクション110及び第2端部セクション112における入口開孔114内に濾過済み空気流を吐き出す。濾過済み空気流は、第1及び第2の濾過済み空気流として中間セクション102内を移行し、また空気出口120を介してノズルアセンブリ100からウェアラブル空気清浄機10の装着者に配給される。スピーカーアセンブリ32は、音声データを、例えば、音楽等々の形式でユーザーに供給することができ、また代案的又は付加的に空気流発生器44の動作で生ずるノイズに対するノイズ打消しを提供することができる。
【0048】
本明細書において2つの空気流発生器44で示し、その各々がノズルアセンブリ100の各端部に送給するものであるが、当然のことながら、代案的実施形態において、単独の空気流発生器44のみを設け、ノズルアセンブリ100の両側端部の双方又は一方のいずれかに送給するものであってもよい。
【0049】
ノズルアセンブリを図8の第1形態から図9の第2形態に移行するのが望ましいとき、装着者は、磁気戻り止め118及び上部磁石124の力に抗して打ち勝つよう手動でノズルアセンブリを磁気ヒンジ116の周りに回転することができ、これによりノズルアセンブリ100は、装着者に対して下方に(すなわち、装着者の矢状面に平行な平面内で)回転し、したがって、ノズルアセンブリ100とヘッドギアの第1ハウジング14及び第2ハウジング16との間における角度が増大する。図9の第2形態において、ノズルアセンブリ100は第1ハウジング14及び第2ハウジング16に対して部分的にのみ連結され、入口開孔114が出口開孔43から離間し、また不整列状態になり、これにより濾過済み空気流は中間セクション102経由で装着者に通過しないようになる。
【0050】
幾つかの実施形態において、センサ128、空気流発生器コントローラ130、及びスピーカーアセンブリコントローラ132は、第1ハウジング14及び第2ハウジング16のうち少なくとも一方(図3で第1清浄機アセンブリハウジング14に概略的に示す)に設ける。例えば、センサ128は、ノズルアセンブリ100の端部セクション110、112における磁気戻り止め118を感知するよう構成されるホール(Hall)センサとすることができる。代案的実施例として、センサ128は、ノズルアセンブリ100の端部セクション110、112が完全にそれぞれに対応するハウジング14、16に連結されるときに閉成する請負スイッチとすることができる。センサ128が端部セクション110、112のそれぞれに対応するハウジング14、16から離れる移動を検出するとき、センサ128は、双方の空気流発生器44を制御して空気流発生を停止させる空気流発生器コントローラ130と通信する。このことは、ノズルアセンブリ100が濾過済み空気流を装着者に供給する位置にないとき、すなわち、ノズルアセンブリ100が第2形態にあるとき、空気流発生器44の動作を抑止することによって電力節約を行うことができる。さらにまた、センサ128が端部セクション110、112のそれぞれに対応するハウジング14、16から離れる移動を検出するとき、センサ128は、双方のスピーカーアセンブリ32を制御するスピーカーアセンブリコントローラ132と通信し、音声コンテンツ及び/又はノイズ打消し効果の生成を中断又は停止する。やはり、このことは、ノズルアセンブリ100が第2形態にあるとき、例えば、装着者が話をしようとするとき、スピーカーアセンブリ32の動作を禁止することによって電力節約を行うことができる。
【0051】
単独のセンサ128を持つものとして本明細書で示したが、当然のことながら、2個のセンサ128をノズルアセンブリ100の各端部で各個に設けることができる。さらに、当然のことながら、センサデータは、コントローラ130,132に対して、それぞれに対応する空気流発生器44及びスピーカーアセンブリ32のうち1つ又はそれ以上の動作を制御させることができる。空気流発生器コントローラ130がノズルアセンブリの第1形態検出に応答して自動的に空気流発生器44を制御することができる、又は空気流発生を開始するのにユーザー入力を必要とし得る。さらに、当然のことながら、適切な有線及び/又は無線通信を、センサ128とコントローラ130、132との間、又はコントローラ130、132と空気流発生器44及びスピーカーアセンブリ32との間に設けることができ、またノズルアセンブリ100が第1形態又は第2形態にあるか否かを検出できる任意の適切な形式のセンサ128を利用することができる。
【0052】
ノズルアセンブリ100とハウジング14、16との間の連結は、ノズルアセンブリ100がハウジング14、16に対して回転可能となるようヒンジによって行い、また当然のことながら、任意なヒンジ連結を設けることができる。本明細書に記載の実施形態において、ヒンジは、ノズルアセンブリ100の端部セクション110、112に固定的に取り付け、また下部磁石126を介してそれぞれに対応する第1ハウジング14及び第2ハウジング16に釈放可能に取り付けた、磁気ヒンジ116である。このような釈放可能連結によれば、ノズルアセンブリ100の第1ハウジング14及び第2ハウジング16からの完全取外しを可能にすることができ、このことは、ノズルアセンブリ100の容易なクリーニングを可能にすることができ、また装着者が濾過済み空気の供給を不要とするとき、ウェアラブル空気清浄機を普通のヘッドフォンとして使用することを可能にする。
【0053】
当然のことながら、磁気ヒンジ116と下部磁石126との間における取付け強度は、磁気戻り止め118と上部磁石124との間における取付け強度よりも大きいものとすることができ、これにより使用にあたり、ノズルアセンブリ100が不慮に外れることなく、磁気ヒンジ116周りの回転を可能にする。
【0054】
本明細書に記載した実施形態において、ノズルアセンブリ100とヘッドギアのハウジング14、16との間における磁気取付けは、ノズルアセンブリ100の端部セクション110、112に設けた磁石118、140と、ハウジング14、16に設けた磁石との間における連携動作により得られる。しかし、当然のことながら、代案的実施形態において、ノズルアセンブリ100とヘッドギアのハウジング14、16との間における磁気取付けは、端部セクション110、112及びハウジング14、16のうち一方又は他方に設けた磁石(永久磁石)と、端部セクション110、112及びハウジング14、16のうち他方に設けた磁性材料(すなわち、磁石に磁気的に吸引される)との連携動作により得ることができる。
【0055】
さらにまた、図示した実施形態において、空気清浄機アセンブリのフィルタアセンブリ42及び空気流発生器44は、ヘッドギアのハウジング14、16(すなわち、イヤーカップを形成する)内に収容し、したがって、空気清浄機アセンブリの外気入口40及び出口開孔43がこれらハウジング14、16によって設けられるよう、ヘッドギアに一体/内蔵型のものである。しかし、当然のことながら、幾つかの実施形態において、空気清浄機アセンブリのフィルタアセンブリ42及び空気流発生器44をそれら自体の別個の清浄機アセンブリハウジング内に収容することができ、この場合、空気清浄機アセンブリの外気入口及び出口開孔は、これら清浄機アセンブリハウジングによって設けられるものとすることができる。
【0056】
このような実施形態において、清浄機アセンブリハウジングはヘッドギアによって支持されるものであっても、なくてもよい。ヘッドギアによって支持される清浄機アセンブリハウジングに関しては、ノズルアセンブリは、空気清浄機アセンブリの出口開孔に直接連結することができ、これによりノズルアセンブリはヘッドギアに間接的に連結される。代案として、ノズルアセンブリはヘッドギアに直接連結し、またヘッドギアに接続した導管組織によって空気清浄機アセンブリの出口開孔の流体接続することができる。ヘッドギアに支持されず、またその代わりに装着者の身体のどこか(ベルト又は装着者の首周り)に装着される清浄機アセンブリハウジングに関しては、ノズルアセンブリはヘッドギアに直接連結され、またヘッドギアに接続した導管組織によって空気清浄機アセンブリの出口開孔に流体接続することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9