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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-19
(45)【発行日】2025-03-28
(54)【発明の名称】真菌材料
(51)【国際特許分類】
   C08L 5/00 20060101AFI20250321BHJP
   C08L 1/00 20060101ALI20250321BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20250321BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20250321BHJP
   A23K 10/16 20160101ALI20250321BHJP
   A23K 50/40 20160101ALI20250321BHJP
   C12N 1/14 20060101ALI20250321BHJP
   D06N 3/00 20060101ALI20250321BHJP
【FI】
C08L5/00
C08L1/00
C08K5/053
C08L91/00
A23K10/16
A23K50/40
C12N1/14 Z
D06N3/00
【請求項の数】 54
(21)【出願番号】P 2023551103
(86)(22)【出願日】2023-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-11
(86)【国際出願番号】 GB2023051473
(87)【国際公開番号】W WO2023237869
(87)【国際公開日】2023-12-14
【審査請求日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】2208263.0
(32)【優先日】2022-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523317696
【氏名又は名称】プラント マテリアル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(72)【発明者】
【氏名】ウェルハム,ピーター エー.ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ジェレセヴィック,ミハエル
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0399824(US,A1)
【文献】特表2022-511888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
A23K 10/16
A23K 50/40
C12N 1/14
D06N 3/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)真菌バイオマスと;
(b)多糖類ベースマトリックスと;
(c)可塑剤と;
(d)乳化剤と;場合により
(e)希釈剤と
を含み、前記可塑剤がラテックスを含真菌材料。
【請求項2】
前記可塑剤がポリオールをさらに含む、請求項1に記載の真菌材料。
【請求項3】
油を含む、請求項1に記載の真菌材料。
【請求項4】
前記真菌バイオマスが、真菌子実体、真菌マット、菌糸体、及び菌糸のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の真菌材料。
【請求項5】
10%~50% w/wの間の真菌バイオマスを含む、請求項1またはに記載の真菌材料。
【請求項6】
前記多糖類ベースマトリックスが、アガロースベースマトリックス、カラギーナンベースマトリックス、アルギネートベースマトリックス、セルロースベースマトリックス、及びキトサンベースマトリックスから選択される、請求項1に記載の真菌材料。
【請求項7】
前記アガロースベースマトリックスが寒天である、請求項に記載の真菌材料。
【請求項8】
0.2%~8% w/wの間の多糖類ベースマトリックスを含む、請求項1、、またはのいずれか一項に記載の真菌材料。
【請求項9】
0.5%~40% v/vの間の可塑剤を含む、請求項1に記載の真菌材料。
【請求項10】
前記ポリオールが、グリセロール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、ラクチトール、ポリグリシトール、及びイソマルトから選択される、請求項2に記載の真菌材料。
【請求項11】
0.5%~5% w/wの間のポリオールを含む、請求項2または10に記載の真菌材料。
【請求項12】
0.5%~40% w/wの間のラテックスを含む、請求項1または2に記載の真菌材料。
【請求項13】
前記乳化剤が、レシチン、ラノリン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ペクチン、カゼイン、乳清タンパク質、アンモニウムホスファチド、アラビアゴム、及びオレイルアミンから選択される、請求項1に記載の真菌材料。
【請求項14】
0.05%~0.5% w/wの間の乳化剤を含む、請求項1または13に記載の真菌材料。
【請求項15】
前記希釈剤が水、緩衝液、又は生理食塩水から選択される、請求項1に記載の真菌材料。
【請求項16】
前記油が、ヒマワリ油、ナタネ油、ヒマシ油、及びオリーブ油から選択される、請求項に記載の真菌材料。
【請求項17】
0.1%~2% w/wの間の油を含む、請求項または16に記載の真菌材料。
【請求項18】
0.15%~2% w/wの間の合計濃度の油及び乳化剤を含む、請求項または13に記載の真菌材料。
【請求項19】
綿、ポリエステル、ナイロン、綿、デニム、及び/又は絹から選択される支持材料をさらに含む、請求項1に記載の真菌材料。
【請求項20】
寒天、グリセロール、ヒマワリ油、及びレシチンを含む、請求項1に記載の真菌材料。
【請求項21】
カラギーナンベースマトリックス、ラテックス、及びレシチンを含む、請求項に記載の真菌材料。
【請求項22】
着色剤を含む、請求項1に記載の真菌材料。
【請求項23】
着臭剤を含む、請求項1に記載の真菌材料。
【請求項24】
真菌材料を製造する方法であって、
(a)真菌バイオマス、多糖類組成物、可塑剤、乳化剤及び希釈剤を組み合わせて、流体混合物を製造し、前記多糖類組成物が多糖類ベースマトリックスを形成することができる工程と;
(b)前記流体混合物を凝固させて、多糖類ベースマトリックスを含む真菌材料を製造する工程と
を含み、前記可塑剤がラテックスを含方法。
【請求項25】
真菌バイオマス、多糖類組成物、可塑剤、乳化剤、希釈剤及び油を組み合わせる工程を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記流体混合物を凝固させる前に前記多糖類組成物を融解する工程をさらに含む、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記多糖類組成物を融解する工程が、前記流体混合物を、前記多糖類組成物の融解温度を超える温度まで、場合により少なくとも100℃まで、場合により少なくとも10秒間加熱することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記多糖類組成物が融解形態である、請求項24または25に記載の方法。
【請求項29】
前記流体混合物を凝固させる工程が前記流体混合物を冷却することを含む、請求項24または25に記載の方法。
【請求項30】
前記真菌材料を乾燥させる工程をさらに含み、場合により、前記真菌材料を少なくとも30℃の温度で少なくとも2時間乾燥させる工程を含む、請求項24または25に記載の方法。
【請求項31】
前記真菌バイオマスが真菌バイオマス及び希釈剤を含み、場合により、前記希釈剤が水、緩衝液、又は生理食塩水から選択される、請求項24または25に記載の方法。
【請求項32】
前記真菌バイオマスが注入可能となるのに十分な液体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記真菌バイオマスが均質化された真菌バイオマスである、請求項24または25に記載の方法。
【請求項34】
前記可塑剤がポリオールをさらに含む、請求項24または25に記載の方法。
【請求項35】
(i)前記真菌バイオマスが、真菌子実体、真菌マット、菌糸体、及び菌糸のうちの少なくとも1つを含む;
(ii)前記多糖類組成物が、
a.アガロースベースマトリックスを形成することができるアガロースを含む組成物であって、場合により寒天粉末である、組成物;
b.カラギーナンベースマトリックスを形成することができるカラギーナンを含む組成物;
c.アルギネートベースマトリックスを形成することができるアルギネートを含む組成物;
d.セルロースベースマトリックスを形成することができるセルロースを含む組成物;及び
e.キトサンベースマトリックスを形成することができるキトサンを含む組成物
から選択される;
(iii)前記ポリオールが、グリセロール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、ラクチトール、ポリグリシトール、及びイソマルトから選択される;
(iv)前記乳化剤が、レシチン、ラノリン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ペクチン、カゼイン、乳清タンパク質、アンモニウムホスファチド、アラビアゴム、及びオレイルアミンから選択される;及び
(v)前記希釈剤が水、緩衝液及び生理食塩水から選択される、
請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記流体混合物が、
(i)10%~50%の間の真菌バイオマスと;
(ii)0.2%~8% w/vの間の前記多糖類ベースマトリックスと;
(iii)0.5%~5% v/vの間の前記ポリオールと;
(iv)0.05%~0.5% v/vの間の前記乳化剤と
を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
(i)前記真菌バイオマスが、真菌子実体、真菌マット、菌糸体、及び菌糸のうちの少なくとも1つを含む;
(ii)前記多糖類組成物が、
a.アガロースベースマトリックスを形成することができるアガロースを含む組成物であって、場合により寒天粉末である、組成物;
b.カラギーナンベースマトリックスを形成することができるカラギーナンを含む組成物;
c.アルギネートベースマトリックスを形成することができるアルギネートを含む組成物;
d.セルロースベースマトリックスを形成することができるセルロースを含む組成物;及び
e.キトサンベースマトリックスを形成することができるキトサンを含む組成物
から選択される;
(iii)前記可塑剤がポリオールをさらに含み、場合により、前記ポリオールが、グリセロール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、ラクチトール、ポリグリシトール、及びイソマルトから選択される;
(iv)前記乳化剤が、レシチン、ラノリン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ペクチン、カゼイン、乳清タンパク質、アンモニウムホスファチド、アラビアゴム、及びオレイルアミンから選択される;及び
(v)前記希釈剤が水、緩衝液及び生理食塩水から選択される、
請求項24に記載の方法。
【請求項38】
前記流体混合物が、
(i)10%~50%の間の真菌バイオマスと;
(ii)0.2%~8% w/vの間の前記多糖類ベースマトリックスと;
(iii)0.5%~40% w/vの間の前記可塑剤と;
(iv)0.05%~0.5% v/vの間の前記乳化剤と
を含む、請求項24または37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
(i)前記油がヒマワリ油、ナタネ油、ヒマシ油、及びオリーブ油から選択される;並びに/又は
(ii)前記流体混合物が0.1~2% v/vの間の油を含む、
請求項25に記載の方法。
【請求項40】
前記真菌材料を、
(i)綿、ポリエステル、ナイロン、綿、デニム、及び/又は絹から選択される支持材料;並びに/或いは
(ii)1つ又はそれ以上の追加の真菌材料
に接着させる工程をさらに含む、請求項24または25に記載の方法。
【請求項41】
着色剤を前記流体混合物に添加する工程を含む、請求項24または25に記載の方法。
【請求項42】
着臭剤を前記流体混合物に添加する工程を含む、請求項24または25に記載の方法。
【請求項43】
皮革代替品としての、請求項に記載の真菌材料の使用。
【請求項44】
プラスチック代替品としての、請求項に記載の真菌材料の使用。
【請求項45】
ゴム代替品としての、請求項に記載の真菌材料の使用。
【請求項46】
断熱材としての、請求項に記載の真菌材料の使用。
【請求項47】
包装材料としての、請求項に記載の真菌材料の使用。
【請求項48】
食料品としての、請求項に記載の真菌材料の使用であって、場合により、前記食料品がペットフードである、使用。
【請求項49】
請求項に記載の真菌材料を含む皮革代替品。
【請求項50】
請求項に記載の真菌材料を含むプラスチック代替品。
【請求項51】
請求項に記載の真菌材料を含むゴム代替品。
【請求項52】
請求項に記載の真菌材料を含む断熱材。
【請求項53】
請求項に記載の真菌材料を含む包装材料。
【請求項54】
請求項に記載の真菌材料を含む食料品であって、場合により、ペットフードである、食料品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真菌バイオマスと、多糖類ベースマトリックスと、可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)と、乳化剤とを含む真菌材料に関する。本発明はまた、前記真菌材料を製造する方法、及び前記真菌材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
環境上及び倫理上の影響が認められているにもかかわらず、日常的な材料、例えば皮革及びプラスチックを製造するために、動物由来製品及び化石燃料への依存が依然として大きい。この依存は、このような製品に関連する望ましい特性に部分的に起因し、それにより、これらの製品は広範囲の用途及び産業での使用に適したものになる。例えば、皮革は、高い引張強度を有し、極めて可撓性で耐久性があり、耐水性である。プラスチックは、典型的には低コストであり、優れた耐久性を有する。しかしながら、動物由来製品及び化石燃料由来製品の使用は、それらの製造だけでなく、それらの廃棄においても、著しい環境上及び倫理上のコストを招く(例えば、多くのプラスチックはリサイクルが困難であることで知られている)。
【0003】
動物由来製品及び化石燃料由来製品に関連するよく認識されている課題に対処するために、これらの既存の動物由来製品及び化石燃料由来製品と同様の特性を有する代替材料を提供することにかなりの研究が行われてきた。真菌バイオマスは、その汎用性並びに低い環境上及び倫理上の影響のため、潜在的な代替材料として研究されてきた;しかし、既存の真菌ベース材料は、典型的には、広く適用可能となるのに十分な引張強度及び圧縮強度を達成することができず、高レベルの水溶性及び水分損傷に対する感受性によって妨げられている。
【0004】
持続可能で生分解性であり、動物由来製品及び化石燃料由来製品、例えば皮革及びプラスチックの適切な代替品となる特性を示す代替材料に対する緊急の満たされていない必要性がある。このような代替材料は、動物由来製品及び化石燃料由来製品への現在の依存を減らし、今度は環境上の影響及び倫理上の懸念を軽減するだろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、高い引張強度、高い可撓性、及び水損傷に対する耐性を示す真菌材料を開発することによって上記の課題を克服した。有利なことに、本発明の真菌材料は、再生可能で生分解性であり、広範囲の用途での使用に適している。特に、本発明の材料は、例えば内装、衣類、靴、及びアクセサリーの製造において、皮革代替品として使用することができる。本発明の材料は強力で耐久性があり、典型的にはプラスチックから製造される製品の製造に使用することができる。
【0006】
本発明は、(a)真菌バイオマスと;(b)多糖類ベースマトリックスと;(c)可塑剤と;(d)乳化剤と;場合により(e)希釈剤とを含む真菌材料を提供する。
一実施形態では、可塑剤がポリオールである。一実施形態では、可塑剤がポリオールを含む。一実施形態では、可塑剤がポリオール及び/又はラテックスを含む。一実施形態では、可塑剤がポリオール及びラテックスを含む。一実施形態では、可塑剤がラテックスである。一実施形態では、可塑剤がラテックスを含む。
【0007】
一実施形態では、本発明は、(a)真菌バイオマスと;(b)多糖類ベースマトリックスと;(c)ポリオールと;(d)乳化剤と;場合により(e)希釈剤とを含む真菌材料を提供する。一実施形態では、真菌材料が油を含む。
【0008】
一実施形態では、真菌バイオマスが、真菌子実体、真菌マット、菌糸体、及び菌糸のうちの少なくとも1つを含む。
【0009】
一実施形態では、真菌材料が10%~50% w/wの間の真菌バイオマスを含む。
【0010】
一実施形態では、多糖類ベースマトリックスが、アガロースベースマトリックス、カラギーナンベースマトリックス、アルギネートベースマトリックス、セルロースベースマトリックス、及びキトサンベースマトリックスから選択される。一実施形態では、アガロースベースマトリックスが寒天である。一実施形態では、真菌材料が0.2%~8% w/wの間の多糖類ベースマトリックスを含む。
【0011】
一実施形態では、真菌材料が0.5%~40% w/wの間の可塑剤を含む。
【0012】
一実施形態では、ポリオールが、グリセロール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、ラクチトール、ポリグリシトール、及びイソマルトから選択される。一実施形態では、真菌材料が0.5%~5% w/wの間のポリオールを含む。
【0013】
一実施形態では、真菌材料が0.5%~40% w/wの間のラテックスを含む。
【0014】
一実施形態では、乳化剤が、レシチン、ラノリン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ペクチン、カゼイン、乳清タンパク質、アンモニウムホスファチド、アラビアゴム、及びオレイルアミンから選択される。一実施形態では、真菌材料が0.05%~0.5% w/wの間の乳化剤を含む。
【0015】
一実施形態では、希釈剤が水、緩衝液、又は生理食塩水から選択される。
【0016】
一実施形態では、油が、ヒマワリ油、ナタネ油、ヒマシ油、及びオリーブ油から選択される。一実施形態では、真菌材料が0.1%~2% w/wの間の油を含む。
【0017】
一実施形態では、真菌材料が、0.15%~2% w/wの間の合計濃度の油及び乳化剤を含む。
【0018】
一実施形態では、真菌材料が、綿、ポリエステル、ナイロン、綿、デニム、及び/又は絹から選択される支持材料をさらに含む。
【0019】
一実施形態では、真菌材料が、寒天、グリセロール、ヒマワリ油、及びレシチンを含む。
【0020】
一実施形態では、真菌材料がカラギーナンベースマトリックス、ラテックス、及びレシチンを含む。
【0021】
一実施形態では、真菌材料が着色剤を含む。一実施形態では、真菌材料が着臭剤を含む。
【0022】
本発明はまた、真菌材料を製造する方法であって、(a)真菌バイオマス、多糖類組成物、可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)、乳化剤及び希釈剤を組み合わせて、流体混合物を製造し、多糖類組成物が多糖類ベースマトリックスを形成することができる工程と;(b)流体混合物を凝固させて、多糖類ベースマトリックスを含む真菌材料を製造する工程とを含む方法を提供する。
【0023】
一実施形態では、本方法が、真菌バイオマス、多糖類組成物、可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)、乳化剤、希釈剤及び油を組み合わせる工程を含む。
【0024】
一実施形態では、本方法が、流体混合物を凝固させる前に多糖類組成物を融解する工程をさらに含む。一実施形態では、多糖類組成物を融解する工程が、流体混合物を、多糖類組成物の融解温度を超える温度まで、場合により少なくとも100℃まで、場合により少なくとも10秒間加熱することを含む。
【0025】
一実施形態では、多糖類組成物が溶融形態である。
【0026】
一実施形態では、流体混合物を凝固させる工程が、流体混合物を冷却することを含む。
【0027】
一実施形態では、本方法が、真菌材料を乾燥させる工程をさらに含み、場合により、本方法が、真菌材料を少なくとも30℃の温度で少なくとも2時間乾燥させる工程を含む。
【0028】
一実施形態では、真菌バイオマスが真菌バイオマス及び希釈剤を含み、場合により、希釈剤が水、緩衝液、又は生理食塩水から選択される。一実施形態では、真菌バイオマスが注入可能となるのに十分な液体を含む。
【0029】
一実施形態では、真菌バイオマスが均質化された真菌バイオマスである。
【0030】
一実施形態では、真菌バイオマスが、真菌子実体、真菌マット、菌糸体、及び菌糸のうちの少なくとも1つを含む。一実施形態では、多糖類組成物が、(a)アガロースベースマトリックスを形成することができるアガロースを含む組成物であって、寒天粉末である組成物;(b)カラギーナンベースマトリックスを形成することができるカラギーナンを含む組成物;(c)アルギネートベースマトリックスを形成することができるアルギネートを含む組成物;(d)セルロースベースマトリックスを形成することができるセルロースを含む組成物;及び(e)キトサンベースマトリックスを形成することができるキトサンを含む組成物から選択される。一実施形態では、可塑剤がポリオールを含む。一実施形態では、可塑剤がポリオール及び/又はラテックスを含む。一実施形態では、ポリオールが、グリセロール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、ラクチトール、ポリグリシトール、及びイソマルトから選択される。一実施形態では、乳化剤が、レシチン、ラノリン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ペクチン、カゼイン、乳清タンパク質、アンモニウムホスファチド、アラビアゴム、及びオレイルアミンから選択される。一実施形態では、希釈剤が水、緩衝液及び生理食塩水から選択される。
【0031】
一実施形態では、流体混合物が、(i)10%~50%の間の真菌バイオマスと;(ii)0.2%~8% w/vの間の多糖類ベースマトリックスと;(iii)0.5%~40% v/vの間の可塑剤と;(iv)0.05%~0.5% v/vの間の乳化剤とを含む。
【0032】
一実施形態では、可塑剤がポリオールを含み、流体混合物が、(i)10%~50%の間の真菌バイオマスと;(ii)0.2%~8% w/vの間の多糖類ベースマトリックスと;(iii)0.5%~5% v/vの間のポリオールと;(iv)0.05%~0.5% v/vの間の乳化剤とを含む。
【0033】
一実施形態では、可塑剤がラテックスを含み、流体混合物が、(i)10%~50%の間の真菌バイオマスと;(ii)0.2%~8% w/vの間の多糖類ベースマトリックスと;(iii)0.5%~40% v/vの間のラテックスと;(iv)0.05%~0.5% v/vの間の乳化剤とを含む。
【0034】
一実施形態では:(i)油がヒマワリ油、ナタネ油、ヒマシ油、及びオリーブ油から選択される;並びに/又は(ii)流体混合物が0.1~2% v/vの間の油を含む。
【0035】
一実施形態では、本方法が、真菌材料を、(i)綿、ポリエステル、ナイロン、綿、デニム、及び/又は絹から選択される支持材料;並びに/或いは(ii)1つ又はそれ以上の追加の真菌材料に接着させる工程をさらに含む。
【0036】
一実施形態では、本方法が、着色剤を流体混合物に添加する工程を含む。一実施形態では、本方法が、着臭剤を流体混合物に添加する工程を含む。
【0037】
本発明はまた、本発明の方法によって製造された真菌材料を提供する。
【0038】
本発明はまた、皮革代替品としての本発明の真菌材料の使用を提供する。本発明はまた、プラスチック代替品としての本発明の真菌材料の使用を提供する。本発明はまた、ゴム代替品としての本発明の真菌材料の使用を提供する。本発明はまた、断熱材としての本発明の真菌材料の使用を提供する。本発明はまた、包装材料としての本発明の真菌材料の使用を提供する。
【0039】
本発明はまた、食料品としての本発明の真菌材料の使用を提供し、場合により、食料品はペットフードである。
【0040】
本発明はまた、本発明の真菌材料を含む皮革代替品を提供する。本発明はまた、本発明の真菌材料を含むプラスチック代替品を提供する。本発明はまた、本発明の真菌材料を含むゴム代替品を提供する。本発明はまた、本発明の真菌材料を含む断熱材を提供する。本発明はまた、本発明の真菌材料を含む包装材料を提供する。
【0041】
本発明はまた、本発明の真菌材料を含む食料品を提供し、場合により、食料品はペットフードである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】(A)様々な濃度の乳化剤(レシチン)及びポリオール(グリセロール)を含み、油を含まない真菌材料;並びに(B)様々な濃度の油(ナタネ油)及びポリオール(グリセロール)、及び1% w/v(重量/体積)の乳化剤(レシチン)を含む真菌材料についての水損傷アッセイの結果を示す図である。N=3。
【0043】
図2】ポリオール(グリセロール(G))、油(ヒマワリ油(SO))、及び/又は乳化剤(レシチン(L))を含む真菌材料についての水損傷アッセイの結果を示す図である。エラーバーは95%信頼区間を示す。有意性:****=p<0.0001(ボンフェローニ補正による一元配置ANOVA)。N=6。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、(a)真菌バイオマスと;(b)多糖類ベースマトリックスと;(c)可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)と;(d)乳化剤との組み合わせが、動物由来製品及び化石燃料由来製品、例えば皮革及びプラスチックの実行可能な代替物であり、また環境に優しく倫理的でもある真菌材料を提供するという驚くべき発見に基づく。
【0045】
本発明の真菌材料のさらなる利点は、特定の用途に適するように容易にカスタマイズすることができることである。例えば、本発明の真菌材料は多糖類ベースマトリックスを含み、その濃度は、構造的完全性、剛性及び引張強度を増加又は減少させるように容易に調整することができる。本発明の真菌材料は、高度の可撓性を達成する可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)をさらに含む。
【0046】
可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)を含めることにより、真菌材料に改善された可撓性が付与されるが、水損傷に対する感受性も増加する。本発明者らは、可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)の組み込みに関連する悪影響を軽減する乳化剤及び/又は油を真菌材料にさらに組み込むことによって予想外にこの課題を克服した。したがって、本発明の真菌材料は、可撓性の増加並びに水損傷に対する耐性の増強を享受する。
【0047】
理論によって拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、乳化剤が真菌材料による可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)保持を促進し、それによって、水との接触時の可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)の浸出を回避し、真菌材料が水の損傷に耐えることができることを確実にすると考えている。
【0048】
有利なことに、本発明者らは、ラテックスを含めることにより、真菌材料の可撓性と引張強度の両方がさらに改善することを見出した。ラテックスを含む真菌材料は、引裂に対する耐性のさらなる増加を示し、これにより、様々な用途における真菌材料の適合性がさらに増加する。例えば、引裂に対する耐性の増加により、様々な製品、例えば内装、衣類、靴、及びアクセサリーを製造するために真菌材料を切断及び縫製することができることが確実になる。ラテックスを含む真菌材料はまた、汚染されにくく、乾燥時間の短縮を示す。さらに、本発明者らは、ラテックスの組み込みが経時的に真菌材料の接着特性を増強し、それによって、このような材料から製造された製品の寿命がさらに改善されることを見出した。真菌材料の特性、例えば可撓性、弾性及び引張強度は、使用されるラテックスの種類を変更することによって、所与の用途に対してさらに最適化することができる。例えば、架橋ラテックスを含む真菌材料は、典型的には、同じ種類の未架橋ラテックスを含む真菌材料と比較して、増加した可撓性、弾性及び引張強度を示す。
【0049】
よって、本発明の真菌材料は、高い引張強度及び可撓性を示しながら、水損傷に耐性でもある。これらの望ましい特性は、本発明の真菌材料を広範囲の用途で使用することを可能にする。本発明の真菌材料は、皮革の有利な特性のいくつか、例えば高い引張強度、耐久性、可撓性、及び耐水性を共有し、これらの材料を皮革代替品としての使用に特によく適したものにする。本発明の真菌材料の有利な特性はまた、これらの材料を、現在プラスチックベース製品に依存している様々な用途に使用することを可能にする。重要なことに、本発明の真菌材料はまた、動物ベース製品、例えば皮革、及びプラスチックベース製品よりも環境上の影響が有意に低い。
【0050】
本発明の真菌材料は、真菌バイオマスと、多糖類ベースマトリックスと、可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)と、乳化剤とを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が油をさらに含む。
【0051】
真菌バイオマスは、真菌細胞を含む任意のバイオマスであり得る。いくつかの実施形態では、真菌バイオマスが子嚢菌門(Ascomycota)又は担子菌門(Basidiomycota)に由来する。いくつかの実施形態では、真菌バイオマスが、ハラタケ属(Agaricus)、ヤマドリタケ属(Boletus)、クロラッパタケ属(Craterellus)、アンズタケ属(Cantharellus)、ミミナミハタケ属(Lentinellus)、ヒラタケ属(Pleurotus)、サンゴハリタケ属(Hericium)、マイタケ属(Grifola)、カンゾウタケ属(Fistulina)、ツリガネタケ属(Fomes)、ツガサルノコシカケ属(Fomitopsis)、カワウソタケ属(Inonotus)、シロアミタケ属(Trametes)、マンネンタケ属(Ganoderma)、アミガサタケ属(Morchella)、ノムシタケ属(Cordyceps)、アスペルギルス属(Aspergillus)、ペニシリウム属(Penicillium)、アクレモニウム属(Acremonium)、及びフザリウム属(Fusarium)から選択される属のメンバーに由来する。いくつかの実施形態では、真菌バイオマスが、ツクリタケ(Agaricus bisporus)、ヤマドリタケ(Boletus edulis)、アンズタケ(Catharellus cibarius)、ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)、エリンギ(Pleurotus eryngii)、ヤマブシタケ(Hericium erinaceus)、マイタケ(Grifola frondosa)、カンゾウタケ(Fistulina hepatica)、ツリガネタケ(Fomes fomentarius)、ツガサルノコシカケ(Fomitopsis pinicola)、カバノアナタケ(Inonotus obliquus)、カワラタケ(Trametes versicolor)、コフキサルノコシカケ(Ganoderma applanatum)、及びマンネンタケ(Ganoderma lucidum)から選択される真菌に由来する。いくつかの実施形態では、真菌バイオマスが、真菌の単一菌株の真菌細胞を含む。いくつかの実施形態では、真菌バイオマスが、真菌の2つ又はそれ以上の菌株の真菌細胞を含む。
【0052】
真菌バイオマスは、典型的には、真菌子実体、真菌マット、菌糸体、及び菌糸のうちの少なくとも1つを含む。
【0053】
真菌バイオフィルムとも呼ばれ得る真菌マットは、典型的には、細胞外マトリックス内に包まれた多数の真菌細胞を含む。この細胞外マトリックスは、典型的には、高分子、例えば多糖類、タンパク質、核酸、及び脂質の組み合わせを含み、細胞及び表面接着を含む様々な機能に寄与する。
【0054】
いくつかの実施形態では、真菌バイオマスが均質化された真菌バイオマスである。均質化された真菌バイオマスは、典型的には、真菌バイオマスと、真菌バイオマスを混合物全体に均一に分配するために物理的に撹拌された希釈剤との混合物を含む。例えば、均質化された真菌バイオマスは、真菌バイオマスを希釈剤と混合し、混合物をブレンドして実質的に均質な混合物を得ることによって製造され得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、均質化された真菌バイオマスが、およそ1部の真菌バイオマス(重量基準)及びおよそ1部の希釈剤(体積基準)を含む。いくつかの実施形態では、真菌バイオマスが1部の真菌バイオマス及び2部の希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、真菌バイオマスが1部の真菌バイオマス及び3部の希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、真菌バイオマスが2部の真菌バイオマス及び1部の希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、真菌バイオマスが3部の真菌バイオマス及び1部の希釈剤を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、真菌材料が10%~70% w/w(重量/重量)の間の真菌バイオマスを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が、10%~60% w/wの間の真菌バイオマス、20%~60% w/wの間の真菌バイオマス、20%~50% w/wの間の真菌バイオマス、30%~50% w/wの間の真菌バイオマス、30%~40% w/wの間の真菌バイオマス、又は25%~30% w/wの間の真菌バイオマスを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、流体混合物が、真菌材料10%~70% w/vの間の真菌バイオマスを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が、10%~60% w/vの間の真菌バイオマス、20%~60% w/vの間の真菌バイオマス、20%~50% w/vの間、30%~50% w/vの間の真菌バイオマス、30%~40% w/vの間の真菌バイオマス、又は25%~30% w/vの間の真菌バイオマスを含む。
【0058】
有利なことに、多糖類ベースマトリックスは、真菌材料に追加の構造的剛性及び増加した引張強度を提供する。本明細書で使用される場合、「多糖類ベースマトリックス」 は、架橋多糖類分子によって形成されたネットワークを指す。多糖類ベースマトリックスは、典型的には真菌バイオマスを封入する。いくつかの実施形態では、多糖類ベースマトリックスが、アガロースベースマトリックス、アルギネートベースマトリックス、セルロースベースマトリックス、カラギーナンベースマトリックス、及びキトサンベースマトリックスから選択される。いくつかの実施形態では、アガロースベースマトリックスが寒天である。
【0059】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも1.25%、少なくとも1.5%、少なくとも1.75%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも3.5%、少なくとも4%、少なくとも4.5%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、又は少なくとも10% w/wの多糖類ベースマトリックスを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が最大5% w/wの多糖類ベースマトリックスを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が0.5%~5% w/wの間の多糖類ベースマトリックスを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、例えば真菌材料が乾燥している場合、真菌材料が5%~50% w/wの多糖類ベースマトリックスを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が、5%~45% w/wの間の多糖類ベースマトリックス、5%~40% w/wの間の多糖類ベースマトリックス、5%~35% w/wの間の多糖類ベースマトリックス、5%~30% w/wの間の多糖類ベースマトリックス、5%~25% w/wの間の多糖類ベースマトリックス、5%~20% w/wの間の多糖類ベースマトリックス、10%~45% w/wの間の多糖類ベースマトリックス、10%~40% w/wの間の多糖類ベースマトリックス、10%~35% w/wの間の多糖類ベースマトリックス、10%~30% w/wの間の多糖類ベースマトリックス、10%~25% w/wの間の多糖類ベースマトリックス、10%~20% w/wの間の多糖類ベースマトリックス、15%~45% w/wの間の多糖類ベースマトリックス、15%~40% w/wの間の多糖類ベースマトリックス、15%~35% w/wの間の多糖類ベースマトリックス、15%~30% w/wの間の多糖類ベースマトリックス、15%~25% w/wの間の多糖類ベースマトリックス、又は15%~20% w/wの間の多糖類ベースマトリックスを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも1.25%、少なくとも1.5%、少なくとも1.75%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも3.5%、少なくとも4%、少なくとも4.5%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、又は少なくとも10% w/v(重量/体積)の多糖類ベースマトリックスを含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、最大5% w/vの多糖類ベースマトリックスを含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、0.5%~5% w/vの間の多糖類ベースマトリックスを含む流体混合物から製造される。
【0062】
当業者であれば、多糖類ベースマトリックスの濃度を変更することによって、真菌材料の構造的剛性を様々な用途に最適化できることを容易に理解するであろう。例えば、高度の構造的剛性を必要とする用途では、高い多糖類ベースマトリックス濃度、例えば少なくとも3% w/wの多糖類ベースマトリックス、又は少なくとも5% w/wの多糖類ベースマトリックスが好ましい。或いは、低度の構造的剛性を必要とする用途では、低い多糖類ベースマトリックス濃度、例えば最大1% w/wの多糖類ベースマトリックスが好ましい。
【0063】
引張強度は、材料の最終的な荷重をその断面積に割り付けることによって測定され得る。引張強度は、典型的にはパスカル(Pa)で測定される。材料の極限荷重は、当分野で公知の任意の適切な方法、例えば万能試験機(UTM)を使用して測定され得る。例えば、材料の極限荷重は、UTMのグリップ間に材料を配置し、材料が破断するまで材料に引張力を加えることによって試験され得る。極限荷重は、材料が破断前に耐えることができる極限引張力である。
【0064】
可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)を含めることにより、可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)の非存在下での対応する真菌材料と比較して真菌材料の可撓性が増強する。有利なことに、可撓性の程度は、材料中の可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)の量を調整することによって最適化することができ、可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)の量を増加させると、典型的には、材料の可撓性が増加する。可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)はまた、真菌材料に改善された審美的品質及びより柔らかい感触を提供する。
【0065】
本明細書における 「可塑剤」 への言及は、可塑剤を含有しない真菌材料の可撓性と比較して、真菌材料の可撓性を増加させる任意の成分を包含することが理解されよう。本発明で使用するための例示的な可塑剤には、それだけに限らないが、ラテックス、ポリオール、グリセリン、及びフタレートベース可塑剤、例えばブチルベンジルフタレート(ベンジルブチルフタレート、BBzP)又はジ-n-ブチルフタレート(DBP)、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0066】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、又は少なくとも40% w/wの可塑剤を含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が最大40% w/wの可塑剤を含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が0.5%~40% w/wの間の可塑剤を含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が2%~40% w/wの間の可塑剤を含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が、2%~35% w/wの間、2%~30% w/wの間、2%~25% w/wの間、2%~20% w/wの間、2%~15% w/wの間、2%~10% w/wの間、5%~35% w/wの間、5%~30% w/wの間、5%~25% w/wの間、5%~20% w/wの間、5%~15% w/wの間、5%~10% w/wの間、10%~35% w/wの間、10%~30% w/wの間、10%~25% w/wの間、10%~20% w/wの間又は10%~15% w/wの間の可塑剤を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、又は少なくとも40% v/v(体積/体積)の可塑剤を含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、最大40% v/vの可塑剤を含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、0.5%~5% v/vの間の可塑剤を含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、又は少なくとも40% w/v(重量/体積)の可塑剤を含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、最大40% w/vの可塑剤を含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、0.5%~5% w/vの間の可塑剤を含む流体混合物から製造される。
【0068】
いくつかの実施形態では、可塑剤がポリオールを含む。いくつかの実施形態では、可塑剤がポリオール及び/又はラテックスを含む。いくつかの実施形態では、可塑剤がポリオール及びラテックスを含む。いくつかの実施形態では、可塑剤がラテックスを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、ポリオールが、グリセロール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、ラクチトール、ポリグリシトール、及びイソマルトから選択される。
【0070】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%、少なくとも1.25%、少なくとも1.5%、少なくとも1.75%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも3.5%、少なくとも4%、少なくとも4.5%、又は少なくとも5% w/wのポリオールを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が最大5% w/wのポリオールを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が0.5%~5% w/wの間のポリオールを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が2%~40% w/wの間のポリオールを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が、2%~35% w/wの間、2%~30% w/wの間、2%~25% w/wの間、2%~20% w/wの間、2%~15% w/wの間、2%~10% w/wの間、5%~35% w/wの間、5%~30% w/wの間、5%~25% w/wの間、5%~20% w/wの間、5%~15% w/wの間、5%~10% w/wの間、10%~35% w/wの間、10%~30% w/wの間、10%~25% w/wの間、10%~20% w/wの間又は10%~15% w/wの間のポリオールを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%、少なくとも1.25%、少なくとも1.5%、少なくとも1.75%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも3.5%、少なくとも4%、少なくとも4.5%、又は少なくとも5% v/v(体積/体積)のポリオールを含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、最大5% v/vのポリオールを含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、0.5%~5% v/vの間のポリオールを含む流体混合物から製造される。
【0072】
いくつかの実施形態では、ラテックスが天然ラテックスゴムを含む。いくつかの実施形態では、ラテックスが合成ラテックスを含む。いくつかの実施形態では、ラテックスが液体ラテックスである。いくつかの実施形態では、ラテックスが架橋ラテックスである。いくつかの実施形態では、ラテックスが加硫ラテックスである。いくつかの実施形態では、ラテックスが架橋剤を含む。いくつかの実施形態では、ラテックスが、加硫剤、例えば硫黄又は金属酸化物を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、又は少なくとも40% w/wのラテックスを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が最大40% w/wのラテックスを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が0.5%~40% w/wの間のラテックスを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が2%~40% w/wの間のラテックスを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が、2%~35% w/wの間、2%~30% w/wの間、2%~25% w/wの間、2%~20% w/wの間、2%~15% w/wの間、2%~10% w/wの間、5%~35% w/wの間、5%~30% w/wの間、5%~25% w/wの間、5%~20% w/wの間、5%~15% w/wの間、5%~10% w/wの間、10%~35% w/wの間、10%~30% w/wの間、10%~25% w/wの間、10%~20% w/wの間又は10%~15% w/wの間のラテックスを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、又は少なくとも40% w/vのラテックスを含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、最大40% w/vのラテックスを含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、0.5%~40% w/vの間のラテックスを含む流体混合物から製造される。
【0075】
有利なことに、乳化剤は、真菌材料による可塑剤(例えば、ポリオール)の保持を増加させ、それによって、水損傷に対する感受性の増加を示すことなく可撓性を達成する。特に有利なことに、乳化剤は、真菌材料が液体、例えば水と接触した場合でさえも、可塑剤(例えば、ポリオール)が真菌材料によって実質的に保持されることを確実にする。乳化剤は、非混和性液体の混合物を安定化する任意の薬剤であり得る。いくつかの実施形態では、乳化剤が、レシチン、ラノリン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ペクチン、カゼイン、乳清タンパク質、アンモニウムホスファチド、アラビアゴム、及びオレイルアミンから選択される。
【0076】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、少なくとも0.05%、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、又は少なくとも5% w/wの乳化剤を含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が最大5% w/wの乳化剤を含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が0.05%~5% w/wの間の乳化剤を含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が5%~30% w/wの間の乳化剤を含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が、5%~25% w/wの間、5%~20% w/wの間、5%~15% w/wの間、5%~10% w/wの間、10%~30% w/wの間、10%~25% w/wの間、10%~20% w/wの間、10%~15% w/wの間、15%~30% w/wの間、15%~25% w/wの間、15%~20% w/wの間又は20%~30% w/wの間の乳化剤を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、少なくとも0.05%、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、又は少なくとも5% w/vの乳化剤を含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、最大5% w/vの乳化剤を含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、0.05%~5% w/vの間の乳化剤を含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、少なくとも0.05%、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、又は少なくとも5% v/vの乳化剤を含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、最大5% v/vの乳化剤を含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、0.05%~5% v/vの間の乳化剤を含む流体混合物から製造される。
【0078】
いくつかの実施形態では、真菌材料が油をさらに含む。有利なことに、油を含めることにより、真菌材料が水をはじく能力が増強し、それによって、水損傷に耐える。いくつかの実施形態では、油が、ヒマワリ油、ナタネ油、ヒマシ油、及びオリーブ油から選択される。特に有利なことに、乳化剤は、真菌材料による油保持を増強するように作用し、それによって、油性外観の発生を回避する。
【0079】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも1.25%、少なくとも1.5%、少なくとも1.75%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、又は少なくとも5% w/wの油を含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が最大5% w/wの油を含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が0.1%~5% w/wの間の油を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも1.25%、少なくとも1.5%、少なくとも1.75%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、又は少なくとも5% v/vの油を含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、最大5% v/vの油を含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、0.1%~5% v/vの間の油を含む流体混合物から製造される。
【0081】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、少なくとも0.15%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも1.25%、少なくとも1.5%、少なくとも1.75%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、又は少なくとも5% w/wの合計濃度の油及び乳化剤を含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が、最大5% w/wの合計濃度の油及び乳化剤を含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が、0.15%~5% w/wの間の合計濃度の油及び乳化剤を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、少なくとも0.15%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも1.25%、少なくとも1.5%、少なくとも1.75%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、又は少なくとも5% v/vの合計濃度の油及び乳化剤を含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、最大5% v/vの合計濃度の油及び乳化剤を含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、0.15%~5% v/vの間の合計濃度の油及び乳化剤を含む流体混合物から製造される。
【0083】
いくつかの実施形態では、真菌材料が寒天、グリセロール、及びレシチンを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が、0.5%~5% w/wの間の寒天、0.5%~5% w/wの間のグリセロール、及び0.05%~5% w/wの間のレシチンを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が、1% w/wの寒天、1% w/wのグリセロール、及び1% w/wのレシチンを含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、寒天、グリセロール、及びレシチンを含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、0.5%~5% w/vの間の寒天、0.5%~5% v/vの間のグリセロール、及び0.05%~5% w/vの間のレシチンを含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、1% w/vの寒天、1% v/vのグリセロール、及び1% w/vのレシチンを含む流体混合物から製造される。
【0085】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、寒天、グリセロール、ヒマワリ油、及びレシチンを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が、0.5%~5% w/wの間の寒天、0.5%~5% w/wの間のグリセロール、0.1%~2% w/wの間のヒマワリ油、及び0.05%~5% w/wの間のレシチンを含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が、1% w/wの寒天、1% w/wのグリセロール、2% w/wのヒマワリ油、及び1% w/wのレシチンを含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、寒天、グリセロール、ヒマワリ油、及びレシチンを含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、0.5%~5% w/vの間の寒天、0.5%~5% v/vの間のグリセロール、0.1%~2% v/vの間のヒマワリ油、及び0.05%~5% w/vの間のレシチンを含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、1% w/vの寒天、1% v/vのグリセロール、2% v/vのヒマワリ油、及び1% w/vのレシチンを含む流体混合物から製造される。
【0087】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、寒天、グリセロール、ナタネ油、及びレシチンを含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、0.5%~5% w/vの間の寒天、0.5%~5% v/vの間のグリセロール、0.1%~2% v/vの間のナタネ油、及び0.05%~5% w/vの間のレシチンを含む流体混合物から製造される。いくつかの実施形態では、真菌材料が、1% w/vの寒天、1% v/vのグリセロール、2% v/vのナタネ油、及び1% w/vのレシチンを含む流体混合物から製造される。
【0088】
当業者であれば、真菌材料の成分が、組み合わせると、合計100%になることを容易に理解するであろう。特定の成分と100%との間の残りは、典型的には希釈剤によって構成される。重量/重量(w/w)は、重量で測定した場合の所与の成分の割合を示し、例えば1% w/wは、材料100 g当たり1 gの濃度を示す。重量/体積(w/v)は、溶液の体積に対する重量での所与の成分の割合を示し、例えば1% w/vは、溶液100 ml当たり1 gの濃度を示す。体積/体積(v/v)は、体積で測定した場合の所与の成分の割合を示し、例えば1% v/vは、溶液100 ml当たり1 mlの濃度を示す。別段の指定がない限り、w/w、w/v及びv/v値は、乾燥前の流体混合物中及び対応して凝固した真菌材料中に存在する濃度を指す。真菌材料を乾燥させると、乾燥中に失われる希釈剤の重量又は体積に反比例してw/w、w/v及びv/v値が増加することが理解されよう。乾燥は、典型的には、希釈剤重量のおよそ95%の損失をもたらす。
【0089】
いくつかの実施形態では、真菌材料が、5%未満の希釈剤、例えば5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満の希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が希釈剤を含まない。
【0090】
希釈剤は、多糖類組成物を溶解するのに適した任意の液体であり得る。希釈剤は、典型的には水性希釈剤である。適切な希釈剤には、それだけに限らないが、水、緩衝液、又は生理食塩水が含まれる。緩衝液には、それだけに限らないが、トリス緩衝液、HEPES緩衝液、MOPS緩衝液、MES緩衝液、BES緩衝液、及びPIPES緩衝液が含まれる。いくつかの実施形態では、真菌バイオマス内の水分(典型的には水性水分である)が、流体混合物の希釈剤含有量に寄与する。いくつかの実施形態(例えば、真菌バイオマスが高い含水量を有する)では、真菌バイオマス内の水分が、流体混合物内の全希釈剤の少なくとも10%(例えば、流体混合物内の全希釈剤の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%)に寄与する。いくつかの実施形態では、真菌バイオマス内の水分が、流体混合物の希釈剤含有量全体を提供する。可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)及び油は、典型的には、流体混合物の希釈剤含有量%に寄与しない。
【0091】
いくつかの実施形態では、真菌材料が支持材料をさらに含む。いくつかの実施形態では、支持材料が、綿、麻、ポリエステル、ナイロン、デニム、及び/又は絹から選択される。真菌材料は、例えば接着剤によって支持材料に接着され得る。いくつかの実施形態では、真菌材料が支持材料を囲む。
【0092】
いくつかの実施形態では、真菌材料が着色剤を含む。いくつかの実施形態では、着色剤が染料又は顔料である。いくつかの実施形態では、着色剤が雲母粉末を含む。いくつかの実施形態では、着色剤が増白剤、例えば二酸化チタンである。
【0093】
いくつかの実施形態では、真菌材料が着臭剤を含む。いくつかの実施形態では、着臭剤が精油又は化学的着臭剤である。
【0094】
いくつかの実施形態では、真菌材料が2つ又はそれ以上の真菌材料の複合体を含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、又は少なくとも20の真菌材料の複合体を含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が2つ又はそれ以上の真菌材料と支持材料の1つ又はそれ以上の層の複合体を含む。いくつかの実施形態では、真菌材料が2つ又はそれ以上の真菌材料の複合体を含み、各真菌材料が支持材料の層によって分離されている。
【0095】
本発明は、皮革代替品としての本発明の真菌材料の使用を提供する。本発明はまた、本発明の真菌材料を含む皮革代替品を提供する。本発明はさらに、本発明の真菌材料又は本発明の皮革代替品を含む製品を提供する。いくつかの実施形態では、製品が、内装、衣料品、アクセサリー、及び履物、又は自動車産業で使用するための材料から選択される。
【0096】
本発明は、プラスチック代替品としての本発明の真菌材料の使用を提供する。本発明はまた、本発明の真菌材料を含むプラスチック代替品を提供する。
【0097】
本発明はまた、ゴム代替品としての本発明の真菌材料の使用を提供する。本発明はまた、本発明の真菌材料を含むゴム代替品を提供する。
【0098】
本発明はまた、断熱材としての本発明の真菌材料の使用を提供する。本発明はまた、本発明の真菌材料を含む断熱材を提供する。
【0099】
本発明はまた、包装材料としての本発明の真菌材料の使用を提供する。本発明はまた、本発明の真菌材料を含む包装材料を提供する。
【0100】
本発明はさらに、食料品としての本発明の真菌材料の使用を提供する。本発明はまた、本発明の真菌材料を含む食料品を提供する。食料品は、ジャーキー型の食料品及び/又は甘味食料品、例えば噛み応えのある甘味であり得る。いくつかの実施形態では、食料品が、1つ又はそれ以上の追加の食用成分、例えば香味料及び/又は甘味料をさらに含む。いくつかの実施形態では、食料品がペットフード、例えばイヌ用おやつである。
【0101】
本発明は、真菌材料を製造する方法であって、(a)真菌バイオマス、多糖類組成物、可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)、乳化剤及び希釈剤を組み合わせて、流体混合物を製造し、多糖類組成物が多糖類ベースマトリックスを形成することができる工程と;(b)流体混合物を凝固させて、多糖類ベースマトリックスを含む真菌材料を製造する工程とを含む方法を提供する。
【0102】
いくつかの実施形態では、本方法が、真菌バイオマス、多糖類組成物、可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)、乳化剤、希釈剤及び油を組み合わせる工程を含む。
【0103】
真菌バイオマス、多糖類組成物、可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)、乳化剤、希釈剤、及び場合により油を任意の順序で組み合わせて、流体混合物を製造することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、真菌バイオマスが、希釈剤と組み合わせて、例えば均質化された真菌バイオマスの形態で混合物に提供される。いくつかの実施形態では、多糖類組成物が、希釈剤と組み合わせて、例えば可溶化多糖類組成物の形態で混合物に提供される。
【0105】
いくつかの実施形態では、本方法が、流体混合物が凝固する前に多糖類組成物を融解する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、多糖類組成物を融解する工程が、流体混合物を、多糖類組成物の融解温度を超える温度まで加熱することを含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃、少なくとも90℃、少なくとも95℃、少なくとも100℃、少なくとも105℃、少なくとも110℃、少なくとも115℃、少なくとも120℃、少なくとも125℃、少なくとも130℃、少なくとも140℃、又は少なくとも150℃の温度に加熱される。いくつかの実施形態では、多糖類組成物を融解する工程が、流体混合物を少なくとも10秒間、少なくとも20秒間、少なくとも30秒間、少なくとも40秒間、少なくとも50秒間、少なくとも1分間、少なくとも2分間、少なくとも3分間、少なくとも4分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも25分間、少なくとも30分間、又は少なくとも1時間加熱することを含む。いくつかの実施形態では、多糖類組成物を融解する工程が、流体混合物を少なくとも90℃に少なくとも10秒間加熱することを含む。いくつかの実施形態では、多糖類組成物を融解する工程が、流体混合物を少なくとも100℃に少なくとも10秒間加熱することを含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が、加熱中及び/又は加熱後に、例えば撹拌又は振盪によって物理的に撹拌される。
【0106】
いくつかの実施形態では、多糖類組成物が、真菌バイオマスと組み合わせた場合に溶融形態である。
【0107】
いくつかの実施形態では、流体混合物を凝固させる工程が、流体混合物を冷却させることを含む。いくつかの実施形態では、流体混合物を凝固させる工程が、流体混合物を40℃未満、35℃未満、30℃未満、25℃未満、又は20℃未満に冷却させることを含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、本方法が真菌材料を乾燥させる工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、真菌材料を少なくとも30℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、又は少なくとも100℃の温度で乾燥させる工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法が、真菌材料を少なくとも10分間、少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも25分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、又は少なくとも48時間乾燥させる工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法が、真菌材料を少なくとも30℃の温度で少なくとも2時間乾燥させる工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法が、真菌材料を少なくとも30℃の温度で少なくとも24時間乾燥させる工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法が、真菌材料を少なくとも30℃の温度で少なくとも48時間乾燥させる工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法が、真菌材料を少なくとも40℃の温度で少なくとも2時間乾燥させる工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法が、真菌材料を少なくとも40℃の温度で少なくとも24時間乾燥させる工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法が、真菌材料を少なくとも40℃の温度で少なくとも48時間乾燥させる工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法が、真菌材料を少なくとも60℃の温度で少なくとも2時間乾燥させる工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法が、真菌材料を少なくとも60℃の温度で少なくとも24時間乾燥させる工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法が、真菌材料を少なくとも60℃の温度で少なくとも48時間乾燥させる工程を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、本方法が、真菌材料を乾燥させる工程をさらに含み、場合により、本方法が、真菌材料を少なくとも30℃の温度で少なくとも2時間乾燥させる工程を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、真菌バイオマスが希釈剤と共に配合される。いくつかの実施形態では、真菌バイオマスが注入可能となるのに十分な希釈剤と共に配合される。
【0111】
いくつかの実施形態では、真菌バイオマスが均質化された真菌バイオマスを含む。いくつかの実施形態では、本方法が真菌バイオマスを均質化する工程を含む。真菌バイオマスは、当分野で公知の任意の適切な方法を使用して均質化され得る。例えばブレンダーを使用して、例えば、真菌バイオマスを希釈剤と激しく混合することによる、又は真菌バイオマスを粉砕することによる。
【0112】
真菌バイオマス、可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)、油、及び乳化剤は、上記の通りであり得る。いくつかの実施形態では、真菌バイオマスが、真菌子実体、真菌マット、菌糸体、及び菌糸のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、可塑剤がポリオールを含む。いくつかの実施形態では、可塑剤がポリオール及び/又はラテックスを含む。いくつかの実施形態では、ポリオールが、グリセロール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、ラクチトール、ポリグリシトール、及びイソマルトから選択される。いくつかの実施形態では、乳化剤が、レシチン、ラノリン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ペクチン、カゼイン、乳清タンパク質、アンモニウムホスファチド、アラビアゴム、及びオレイルアミンから選択される。いくつかの実施形態では、油が、ヒマワリ油、ナタネ油、ヒマシ油、及びオリーブ油から選択される。
【0113】
多糖類組成物は、多糖類ベースマトリックスを形成することができる多糖類を含む任意の組成物であり得る。いくつかの実施形態では、多糖類組成物が、アガロースを含み、アガロースベースマトリックスを形成することができる。いくつかの実施形態では、組成物が寒天粉末を含む。いくつかの実施形態では、多糖類組成物が、アルギネートを含み、アルギネートベースマトリックスを形成することができる。いくつかの実施形態では、多糖類組成物がアルギネート粉末を含む。いくつかの実施形態では、多糖類組成物が、セルロースを含み、セルロースベースマトリックスを形成することができる。いくつかの実施形態では、多糖類組成物がメチルセルロース粉末を含む。いくつかの実施形態では、多糖類組成物が、カラギーナンを含み、カラギーナンベースマトリックスを形成することができる。いくつかの実施形態では、多糖類組成物がカラギーナン粉末を含む。いくつかの実施形態では、多糖類組成物が、キトサンを含み、キトサンベースマトリックスを形成することができる。いくつかの実施形態では、多糖類組成物がキトサン粉末を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、流体混合物が、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は少なくとも50% w/vの真菌材料を含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、流体混合物が、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも1.25%、少なくとも1.5%、少なくとも1.75%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも3.5%、少なくとも4%、少なくとも4.5%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、又は少なくとも10% w/vの多糖類組成物を含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が最大5% w/vの多糖類組成物を含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が0.5%~5% w/vの間の多糖類組成物を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、流体混合物が、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、又は少なくとも40% w/vの可塑剤を含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が最大40% w/vの可塑剤を含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が0.5%~40% w/v可塑剤を含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、又は少なくとも40% v/vの可塑剤を含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が最大40% v/vの可塑剤を含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が0.5%~40% v/vの間の可塑剤を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、流体混合物が、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%、少なくとも1.25%、少なくとも1.5%、少なくとも1.75%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも3.5%、少なくとも4%、少なくとも4.5%、又は少なくとも5% v/vのポリオールを含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が最大5% v/vのポリオールを含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が0.5%~5% v/vの間のポリオールを含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、流体混合物が、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、又は少なくとも40% w/vのラテックスを含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が最大40% w/vのラテックスを含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が0.5%~40% w/vの間のラテックスを含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、流体混合物が、少なくとも0.05%、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、又は少なくとも5% w/vの乳化剤を含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が最大5% w/vの乳化剤を含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が0.05%~5% w/vの間の乳化剤を含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が、少なくとも0.05%、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、又は少なくとも5% v/vの乳化剤を含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が最大5% v/vの乳化剤を含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が0.05%~5% v/vの間の乳化剤を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、流体混合物が油を含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも1.25%、少なくとも1.5%、少なくとも1.75%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、又は少なくとも5% v/vの油を含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が最大5% v/vの油を含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が0.1%~5% v/vの間の油を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、流体混合物が、少なくとも0.15%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも1.25%、少なくとも1.5%、少なくとも1.75%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、又は少なくとも5% v/vの合計濃度の油及び乳化剤を含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が、最大5% v/vの合計濃度の油及び乳化剤を含む。いくつかの実施形態では、流体混合物が、0.15%~5% v/vの間の合計濃度の油及び乳化剤を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、本方法が、(i)10%~50%の間の濃度の真菌バイオマスと;(ii)0.5%~5% w/vの間の多糖類組成物濃度までの多糖類組成物と;(iii)0.5%~40% v/vの間の可塑剤濃度までの可塑剤と;(iv)0.05%~5% v/vの間の乳化剤濃度までの乳化剤とを組み合わせる工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法が、0.1%~5% v/vの間の油の濃度までの油とさらに組み合わせる工程を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、本方法が、(i)10%~50%の間の濃度の真菌バイオマスと;(ii)0.5%~5% w/vの間の多糖類組成物濃度までの多糖類組成物と;(iii)0.5%~5% v/vの間のポリオール濃度までのポリオールと;(iv)0.05%~5% v/vの間の乳化剤濃度までの乳化剤とを組み合わせる工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法が、0.1%~5% v/vの間の油の濃度までの油とさらに組み合わせる工程を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、本方法が、(i)10%~50%の間の濃度の真菌バイオマスと;(ii)0.5%~5% w/vの間の多糖類組成物濃度までの多糖類組成物と;(iii)0.5%~40% v/vの間のラテックス濃度までのラテックスと;(iv)0.05%~5% v/vの間の乳化剤濃度までの乳化剤とを組み合わせる工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法が、0.1%~5% v/vの間の油の濃度までの油とさらに組み合わせる工程を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、本方法が、(i)10%~50%の間の濃度の真菌バイオマスと;(ii)0.5%~5% w/vの間の多糖類組成物濃度までの多糖類組成物と;(iii)0.5%~40% v/vの間の濃度までのポリオール及びラテックスを含む可塑剤と;(iv)0.05%~5% v/vの間の乳化剤濃度までの乳化剤とを組み合わせる工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法が、0.1%~5% v/vの間の油の濃度までの油とさらに組み合わせる工程を含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、本方法が、真菌バイオマスを寒天粉末、グリセロール、及びレシチンと組み合わせる工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法が、(i)10%~50% w/vの間の濃度の真菌バイオマスと;(ii)0.5%~5% w/vの間の寒天濃度までの寒天粉末と;(iii)0.5%~5% v/vの間のグリセロール濃度までのグリセロールと;(iv)0.05%~5% v/vの間のレシチン濃度までのレシチンとを組み合わせる工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法が、0.1%~5% v/vの間の油濃度までのヒマワリ油とさらに組み合わせる工程を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、本方法が、10%~50% w/vの間の濃度の真菌バイオマスと、1% w/vの寒天と、1% v/vのグリセロールと、1% v/vのレシチンとを組み合わせる工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法が、10%~40% w/vの間の濃度の真菌バイオマスと、1% w/vの寒天と、1% v/vのグリセロールと、1% v/vのヒマワリ油と、1% v/vのレシチンとを組み合わせる工程を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、本方法が、真菌材料を支持材料に接着させる工程をさらに含む。例示的であるが非限定的な支持材料は、綿、麻、ポリエステル、ナイロン、デニム、及び/又は絹である。いくつかの実施形態では、本方法が、真菌材料を1つ又はそれ以上の追加の真菌材料に接着させる工程をさらに含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、本方法が、着色剤を流体混合物に添加する工程を含む。着色剤、真菌バイオマス、多糖類組成物、可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)、乳化剤、希釈剤、及び場合により油を任意の順序で組み合わせて、着色剤を含む流体混合物を製造することができる。
【0130】
いくつかの実施形態では、本方法が、着臭剤を流体混合物に添加する工程を含む。着臭剤、真菌バイオマス、多糖類組成物、可塑剤(例えば、ポリオール及び/又はラテックス)、乳化剤、希釈剤、及び場合により油を任意の順序で組み合わせて、着臭剤を含む流体混合物を製造することができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、本方法が、真菌材料を化学的に処理して、材料の臭気を低減するか又は変化させる工程を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、本方法が、液体増殖培地中及び/又は液体増殖培地上で真菌株を増殖させることによって真菌バイオマスを製造する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、固体増殖培地上で真菌株を増殖させることによって真菌バイオマスを製造する工程をさらに含む。増殖培地は、真菌の増殖を支持するのに適した任意の増殖培地であり得る。いくつかの実施形態では、増殖培地が、ポテトデキストロース寒天、サブローデキストロース寒天、麦芽抽出物寒天、ツァペックドックス寒天、ポテトデキストロース培養液、サブローデキストロース培養液、麦芽抽出物培養液、及びツァペックドックス培養液から選択される。
【0133】
本発明はまた、本発明の方法によって製造された真菌材料を提供する。

本願は以下の態様を含み得る。
[1]
(a)真菌バイオマスと;
(b)多糖類ベースマトリックスと;
(c)可塑剤と;
(d)乳化剤と;場合により
(e)希釈剤と
を含む真菌材料。
[2]
前記可塑剤がポリオールを含む、請求項1に記載の真菌材料。
[3]
前記可塑剤がラテックスを含む、請求項1又は2に記載の真菌材料。
[4]
油を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の真菌材料。
[5]
前記真菌バイオマスが、真菌子実体、真菌マット、菌糸体、及び菌糸のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の真菌材料。
[6]
10%~50% w/wの間の真菌バイオマスを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の真菌材料。
[7]
前記多糖類ベースマトリックスが、アガロースベースマトリックス、カラギーナンベースマトリックス、アルギネートベースマトリックス、セルロースベースマトリックス、及びキトサンベースマトリックスから選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の真菌材料。
[8]
前記アガロースベースマトリックスが寒天である、請求項7に記載の真菌材料。
[9]
0.2%~8% w/wの間の多糖類ベースマトリックスを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の真菌材料。
[10]
0.5%~40% v/vの間の可塑剤を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の真菌材料。
[11]
前記ポリオールが、グリセロール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、ラクチトール、ポリグリシトール、及びイソマルトから選択される、請求項2から10のいずれか一項に記載の真菌材料。
[12]
0.5%~5% w/wの間のポリオールを含む、請求項2から11のいずれか一項に記載の真菌材料。
[13]
0.5%~40% w/wの間のラテックスを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の真菌材料。
[14]
前記乳化剤が、レシチン、ラノリン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ペクチン、カゼイン、乳清タンパク質、アンモニウムホスファチド、アラビアゴム、及びオレイルアミンから選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の真菌材料。
[15]
0.05%~0.5% w/wの間の乳化剤を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の真菌材料。
[16]
前記希釈剤が水、緩衝液、又は生理食塩水から選択される、請求項1から15のいずれか一項に記載の真菌材料。
[17]
前記油が、ヒマワリ油、ナタネ油、ヒマシ油、及びオリーブ油から選択される、請求項4から16のいずれか一項に記載の真菌材料。
[18]
0.1%~2% w/wの間の油を含む、請求項4から17のいずれか一項に記載の真菌材料。
[19]
0.15%~2% w/wの間の合計濃度の油及び乳化剤を含む、請求項4から18のいずれか一項に記載の真菌材料。
[20]
綿、ポリエステル、ナイロン、綿、デニム、及び/又は絹から選択される支持材料をさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の真菌材料。
[21]
寒天、グリセロール、ヒマワリ油、及びレシチンを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の真菌材料。
[22]
カラギーナンベースマトリックス、ラテックス、及びレシチンを含む、請求項3から21のいずれか一項に記載の真菌材料。
[23]
着色剤を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の真菌材料。
[24]
着臭剤を含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の真菌材料。
[25]
真菌材料を製造する方法であって、
(a)真菌バイオマス、多糖類組成物、可塑剤、乳化剤及び希釈剤を組み合わせて、流体混合物を製造し、前記多糖類組成物が多糖類ベースマトリックスを形成することができる工程と;
(b)前記流体混合物を凝固させて、多糖類ベースマトリックスを含む真菌材料を製造する工程と
を含む方法。
[26]
真菌バイオマス、多糖類組成物、可塑剤、乳化剤、希釈剤及び油を組み合わせる工程を含む、請求項25に記載の方法。
[27]
前記流体混合物を凝固させる前に前記多糖類組成物を融解する工程をさらに含む、請求項25又は26に記載の方法。
[28]
前記多糖類組成物を融解する工程が、前記流体混合物を、前記多糖類組成物の融解温度を超える温度まで、場合により少なくとも100℃まで、場合により少なくとも10秒間加熱することを含む、請求項27に記載の方法。
[29]
前記多糖類組成物が融解形態である、請求項25又は26に記載の方法。
[30]
前記流体混合物を凝固させる工程が前記流体混合物を冷却することを含む、請求項25から29のいずれか一項に記載の方法。
[31]
前記真菌材料を乾燥させる工程をさらに含み、場合により、前記真菌材料を少なくとも30℃の温度で少なくとも2時間乾燥させる工程を含む、請求項25から30のいずれか一項に記載の方法。
[32]
前記真菌バイオマスが真菌バイオマス及び希釈剤を含み、場合により、前記希釈剤が水、緩衝液、又は生理食塩水から選択される、請求項25から31のいずれか一項に記載の方法。
[33]
前記真菌バイオマスが注入可能となるのに十分な液体を含む、請求項32に記載の方法。
[34]
前記真菌バイオマスが均質化された真菌バイオマスである、請求項25から33のいずれか一項に記載の方法。
[35]
前記可塑剤がポリオール及び/又はラテックスを含む、請求項25から33のいずれか一項に記載の方法。
[36]
(i)前記真菌バイオマスが、真菌子実体、真菌マット、菌糸体、及び菌糸のうちの少なくとも1つを含む;
(ii)前記多糖類組成物が、
a.アガロースベースマトリックスを形成することができるアガロースを含む組成物であって、場合により寒天粉末である、組成物;
b.カラギーナンベースマトリックスを形成することができるカラギーナンを含む組成物;
c.アルギネートベースマトリックスを形成することができるアルギネートを含む組成物;
d.セルロースベースマトリックスを形成することができるセルロースを含む組成物;及び
e.キトサンベースマトリックスを形成することができるキトサンを含む組成物
から選択される;
(iii)前記ポリオールが、グリセロール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、ラクチトール、ポリグリシトール、及びイソマルトから選択される;
(iv)前記乳化剤が、レシチン、ラノリン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ペクチン、カゼイン、乳清タンパク質、アンモニウムホスファチド、アラビアゴム、及びオレイルアミンから選択される;及び
(v)前記希釈剤が水、緩衝液及び生理食塩水から選択される、
請求項25から35のいずれか一項に記載の方法。
[37]
前記流体混合物が、
(i)10%~50%の間の真菌バイオマスと;
(ii)0.2%~8% w/vの間の前記多糖類ベースマトリックスと;
(iii)0.5%~5% v/vの間の前記ポリオールと;
(iv)0.05%~0.5% v/vの間の前記乳化剤と
を含む、請求項25から36のいずれか一項に記載の方法。
[38]
(i)前記真菌バイオマスが、真菌子実体、真菌マット、菌糸体、及び菌糸のうちの少なくとも1つを含む;
(ii)前記多糖類組成物が、
a.アガロースベースマトリックスを形成することができるアガロースを含む組成物であって、場合により寒天粉末である、組成物;
b.カラギーナンベースマトリックスを形成することができるカラギーナンを含む組成物;
c.アルギネートベースマトリックスを形成することができるアルギネートを含む組成物;
d.セルロースベースマトリックスを形成することができるセルロースを含む組成物;及び
e.キトサンベースマトリックスを形成することができるキトサンを含む組成物
から選択される;
(iii)前記可塑剤がポリオール及び/又はラテックスを含み、場合により、前記ポリオールが、グリセロール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、ラクチトール、ポリグリシトール、及びイソマルトから選択される;
(iv)前記乳化剤が、レシチン、ラノリン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ペクチン、カゼイン、乳清タンパク質、アンモニウムホスファチド、アラビアゴム、及びオレイルアミンから選択される;及び
(v)前記希釈剤が水、緩衝液及び生理食塩水から選択される、
請求項25から35のいずれか一項に記載の方法。
[39]
前記流体混合物が、
(i)10%~50%の間の真菌バイオマスと;
(ii)0.2%~8% w/vの間の前記多糖類ベースマトリックスと;
(iii)0.5%~40% w/vの間の前記可塑剤と;
(iv)0.05%~0.5% v/vの間の前記乳化剤と
を含む、請求項25から35又は38のいずれか一項に記載の方法。
[40]
(i)前記油がヒマワリ油、ナタネ油、ヒマシ油、及びオリーブ油から選択される;並びに/又は
(ii)前記流体混合物が0.1~2% v/vの間の油を含む、
請求項25から39のいずれか一項に記載の方法。
[41]
前記真菌材料を、
(i)綿、ポリエステル、ナイロン、綿、デニム、及び/又は絹から選択される支持材料;並びに/或いは
(ii)1つ又はそれ以上の追加の真菌材料
に接着させる工程をさらに含む、請求項25から40のいずれか一項に記載の方法。
[42]
着色剤を前記流体混合物に添加する工程を含む、請求項25から41のいずれか一項に記載の方法。
[43]
着臭剤を前記流体混合物に添加する工程を含む、請求項25から42のいずれか一項に記載の方法。
[44]
請求項25から43のいずれか一項に記載の方法によって製造された真菌材料。
[45]
皮革代替品としての、請求項1から24又は44のいずれか一項に記載の真菌材料の使用。
[46]
プラスチック代替品としての、請求項1から24又は44のいずれか一項に記載の真菌材料の使用。
[47]
ゴム代替品としての、請求項1から24又は41のいずれか一項に記載の真菌材料の使用。
[48]
断熱材としての、請求項1から24又は44のいずれか一項に記載の真菌材料の使用。
[49]
包装材料としての、請求項1から24又は44のいずれか一項に記載の真菌材料の使用。
[50]
食料品としての、請求項1から24又は44のいずれか一項に記載の真菌材料の使用であって、場合により、前記食料品がペットフードである、使用。
[51]
請求項1から24又は44のいずれか一項に記載の真菌材料を含む皮革代替品。
[52]
請求項1から24又は44のいずれか一項に記載の真菌材料を含むプラスチック代替品。
[53]
請求項1から24又は44のいずれか一項に記載の真菌材料を含むゴム代替品。
[54]
請求項1から24又は44のいずれか一項に記載の真菌材料を含む断熱材。
[55]
請求項1から24又は44のいずれか一項に記載の真菌材料を含む包装材料。
[56]
請求項1から24又は44のいずれか一項に記載の真菌材料を含む食料品であって、場合により、ペットフードである、食料品。
【実施例
【0134】
本発明は、本発明を純粋に例示することを意図しており、決して限定するものではない以下の実施例によってさらに明確になる。
実施例1
【0135】
様々な濃度の乳化剤、ポリオール及び油を有する真菌材料を製造して、これらの成分が水損傷に対する感受性に及ぼす影響を比較した。
【0136】
ツクリタケ(Agaricus bisporus)子実体を水道水と、1:1比の水量:マッシュルームの質量で混合することによって真菌バイオマスを製造した。真菌バイオマスを、ブレンダーを使用して完全に混合して、均質化混合物を製造した。100 mLの均質化混合物をDuranボトルに添加し、寒天粉末を1% w/vの最終濃度まで添加した。レシチン、グリセロール及びナタネ油を表1及び表2に列挙される濃度まで添加した。次いで、流体混合物を完全に混合した後、800 Wマイクロ波を使用して100℃に15秒間加熱した。加熱した直後に、加熱した流体混合物をペトリ皿に注ぎ入れ、室温(22℃)で25分間凝固させた。次いで、凝固した真菌材料を50℃のオーブンに移し、30時間乾燥させた。
【0137】
およそ厚さ1.5 mm及び直径55 mmの真菌材料を水道水への浸漬に5時間供し、その後、乾燥させた。浸漬処理前後の真菌材料の乾燥重量を記録し、表1に示す。水損傷の程度を、浸漬処理前の同じ真菌材料の質量に対する真菌材料の質量減少%として定量化する。
結果
【0138】
ポリオール、グリセロールを含めると(乳化剤及び油の非存在下で)、水損傷に対する真菌材料の感受性が増加した。しかしながら、乳化剤であるレシチンを真菌材料に組み込むと、この増加した水損傷に対する感受性は打ち消された(図1)。結果は、4% w/vのレシチンが、真菌材料が高いポリオール濃度(4% v/v)を含有する場合でさえ、水損傷に対する感受性の増加を防止することを示した。結果は、油を含めると、水損傷に対する真菌材料の感受性がさらに低下することをさらに実証した(図2)。
【0139】
本明細書に提示される結果は、乳化剤を含めると、ポリオールを含めることに関連する水損傷に対する感受性の増加が打ち消されることを実証している。有利なことに、本発明の真菌材料は、適切なレベルの耐水性を保持しながら、ポリオール、例えばグリセロールに関連する可撓性の増加から利益を得る。
【0140】
油の非存在下でのグリセロール及びレシチン濃度
【表1】

表1.水損傷に対する感受性に対するレシチン及びグリセロール濃度の影響を比較する水損傷アッセイの結果。
【表2】

表2.水損傷に対する感受性に対する油及びグリセロール濃度の影響を比較する水損傷アッセイの結果。
実施例2
方法
【0141】
ポリオール、油及び乳化剤が水損傷に対する真菌材料の感受性にどのように影響するかを比較するために、実施例1に記載されるように6種の異なる真菌材料を製造した。この実験で使用した6種の真菌材料の組成を以下に示す:
「対照(-G)」:均質化された真菌バイオマス及び1% w/v寒天を含む流体混合物から製造された真菌材料;
「対照(+G)」:均質化された真菌バイオマス、1% w/v寒天、及び1% v/vグリセロールを含む流体混合物から製造された真菌材料;
「SO」:均質化された真菌バイオマス、1% w/v寒天、及び0.5% v/vヒマワリ油を含む流体混合物から製造された真菌材料;
「SO+L」:均質化された真菌バイオマス、1% w/v寒天、0.5% v/vヒマワリ油、及び0.5% v/vレシチンを含む流体混合物から製造された真菌材料;
「G、SO」:均質化された真菌バイオマス、1% w/v寒天、0.5% v/vヒマワリ油、及び1% v/vグリセロールを含む流体混合物から製造された真菌材料;
「G、SO+L」:均質化された真菌バイオマス、1% w/v寒天、0.5% v/vヒマワリ油、0.5% v/vレシチン、及び1% v/vグリセロールを含む流体混合物から製造された真菌材料。
【0142】
真菌材料を100 mLの水道水に24時間沈めることによって水損傷アッセイを行った。次いで、真菌材料を50℃で4時間乾燥させた。乾燥したら、真菌材料を秤量した。各真菌材料に6連を使用した。出発真菌材料試料は、およそ厚さ約1.5 mm、直径およそ55 mmであった。
【0143】
水損傷アッセイ前後の真菌材料の重量を比較することによって、重量損失百分率スコアを計算した。水損傷アッセイの結果を、複数の平均を比較するためにボンフェローニ補正を適用した一元配置ANOVAを使用して分析した。
結果
【0144】
結果は、ヒマワリ油及びレシチンを含まないグリセロールを含有する真菌材料(対照(+G))について重量損失が最も高かったことを示しており(平均=65.32%;表3)、グリセロールの添加が水損傷に対する真菌材料の感受性を有意に増加させることを示している。しかしながら、ヒマワリ油及びレシチンの添加(G、SO+L)はこの効果を打ち消し、重量損失の程度を有意に減少させた(平均=43.8;表3)。図3に示されるように、グリセロール、ヒマワリ油、及びレシチンを含む真菌材料(G,SO)は、グリセロールを含む真菌材料(対照(+G))と比較して、水損傷による損失の32.95%の減少を示した。
【0145】
興味深いことに、ヒマワリ油及びグリセロールを含む(G、SO)がレシチンを含まない真菌材料は、グリセロールのみを含有する真菌材料(対照(+G))と比較して、重量損失の有意差を示さなかった(平均=62.65;表3)。
【0146】
これらの結果は、乳化剤及び油がグリセロールの存在下で相乗的に作用して、水損傷に対する真菌材料の感受性を低下させることを示している。
表3.水損傷アッセイの結果。水損傷による百分率損失の平均値を示す(n=6)。
【表3】

実施例3
【0147】
様々な濃度のレシチン、ポリオール及び天然ラテックスゴムを有する真菌材料を製造して、これらの成分が水損傷に対する感受性に及ぼす影響を比較した。
方法
【0148】
ツクリタケ(Agaricus bisporus)子実体を水道水と、1:1比の水量:マッシュルームの質量で混合することによって真菌バイオマスを製造した。真菌バイオマスを、ブレンダーを使用して完全に混合して、均質化混合物を製造した。100 mLの均質化混合物をDuranボトルに添加し、カッパカラギーナン粉末を1% w/vの最終濃度まで添加した。レシチン、天然ラテックスゴム及びグリセロールを表4に列挙される濃度まで添加した。次いで、流体混合物を完全に混合した後、800 Wマイクロ波を使用して100℃に15秒間加熱した。加熱した直後に、加熱した流体混合物をペトリ皿に注ぎ入れ、室温(22℃)で25分間凝固させた。次いで、凝固した真菌材料を50℃のオーブンに移し、30時間乾燥させた。
【0149】
およそ厚さ1.5 mm及び直径55 mmの真菌材料を水道水への浸漬に5時間供し、その後、乾燥させた。浸漬処理前後の真菌材料の乾燥重量を記録し、表4に示す。水損傷の程度を、浸漬処理前の同じ真菌材料の質量に対する真菌材料の質量減少%として定量化する。
結果
【0150】
結果は、全ての場合において、レシチン粉末を含めると、レシチンを含まない同等の材料と比較して、水損傷のレベル(質量の減少)が減少したことを示している。これは、グリセロール、低濃度及び高濃度の天然ラテックスゴム、並びにグリセロールとラテックスゴムの両方を含有する材料に当てはまった。
表4:グリセロール及び/又は天然ラテックスゴムを含有する材料の水損傷に対する感受性に対するレシチンの影響を比較する水損傷アッセイの結果。
【表4】

図1
図2