(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-19
(45)【発行日】2025-03-28
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20250321BHJP
【FI】
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2023554963
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 JP2022032091
(87)【国際公開番号】W WO2023067895
(87)【国際公開日】2023-04-27
【審査請求日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】P 2021173263
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【氏名又は名称】深石 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】酒井 亮勢
(72)【発明者】
【氏名】山口 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】泉澤 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】中村 佑輔
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特許第6935118(JP,B1)
【文献】国際公開第2021/106099(WO,A1)
【文献】特開2021-086280(JP,A)
【文献】特開2017-174198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
望ましい行動を自発的にとることをユーザに促すしかけであるナッジの情報を記憶する記憶部と、
前記ナッジの介入に係る情報であるナッジ介入情報を、一又は複数の通信端末のアプリケーションから取得する取得部と、
前記ナッジ介入情報に基づき、前記ナッジ介入情報に係る前記ナッジの効果減少度合いを示すナッジ摩耗情報を導出し出力するものであり、前記ナッジ介入情報において介入されていない前記ナッジについて摩耗が生じていないとする前記ナッジ摩耗情報を導出し、前記ナッジ介入情報において介入されている前記ナッジについて摩耗が生じているとする前記ナッジ摩耗情報を導出する摩耗導出部と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記ナッジ介入情報には、所定の期間内において前記ナッジがユーザに閲覧されたか否かを示す情報と、前記ナッジによって前記ナッジが促す行動をユーザがとったか否かを示す情報と、が少なくとも含まれている、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記記憶部に記憶されている前記ナッジの情報からナッジの現時点の摩耗の情報を取得し、前記ナッジ摩耗情報と前記現時点の摩耗の情報とに基づき最新の摩耗の情報を導出し、導出した前記最新の摩耗の情報に基づき、前記記憶部に記憶されている前記ナッジの情報を更新する更新部を更に備える、請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、複数種類の前記ナッジの情報を記憶しており、
前記取得部は、前記複数種類のナッジのそれぞれについて、前記ナッジ介入情報を取得し、
前記摩耗導出部は、前記複数種類のナッジのそれぞれについて、それぞれの前記ナッジ介入情報に基づき、前記ナッジ摩耗情報を導出し、
前記更新部は、前記記憶部に記憶されている前記複数種類のナッジの情報から一のナッジの現時点の摩耗の情報及び前記一のナッジに類似するナッジの現時点の摩耗の情報を取得し、前記一のナッジ及び前記一のナッジに類似するナッジの前記ナッジ摩耗情報と、前記一のナッジ及び前記一のナッジに類似するナッジの前記現時点の摩耗の情報とに基づき、最新の摩耗の情報を導出し、導出した前記最新の摩耗の情報に基づき、前記記憶部に記憶されている前記一のナッジの情報を更新する、請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ナッジ介入情報に基づき、前記ナッジ介入情報に係る前記ナッジの効果回復度合いを示すナッジ回復情報を導出するものであり、前記ナッジ介入情報においてユーザが行動変容をしている前記ナッジについて回復していないとする前記ナッジ回復情報を導出する回復導出部を更に備え、
前記更新部は、前記ナッジ回復情報を更に取得し、前記ナッジ摩耗情報と前記ナッジ回復情報と前記現時点の摩耗の情報とに基づき最新の摩耗の情報を導出し、導出した前記最新の摩耗の情報に基づき、前記記憶部に記憶されている前記ナッジの情報を更新する、請求項
3記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、認知バイアスに基づき、個人や社会にとって望ましい行動を自発的にとることを促すナッジの活用により、ユーザに行動変容を促すシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
行動経済学において、上述したナッジは摩耗するものと考えられている。ここでのナッジの摩耗とは、繰り返し介入(ユーザへのリコメンド)が実施されることによってナッジによる行動変容効果が減少することを言う。従来、このようなナッジの摩耗については適切に考慮されていない。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、ナッジの摩耗を適切に数値化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、望ましい行動を自発的にとることをユーザに促すしかけであるナッジの情報を記憶する記憶部と、ナッジの介入に係る情報であるナッジ介入情報を取得する取得部と、ナッジ介入情報に基づき、ナッジ介入情報に係るナッジの効果減少度合いを示すナッジ摩耗情報を導出し出力する摩耗導出部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理装置では、ナッジの介入に係る情報(ナッジに関するユーザへの介入に係る情報)であるナッジ介入情報が取得され、該ナッジ介入情報に基づいて、ナッジの効果減少度合いを示すナッジ摩耗情報が導出され出力されている。このように、ユーザへのナッジの介入に係る情報(例えばナッジの介入頻度等)からナッジの摩耗情報が推定(導出)されることにより、例えばナッジの繰り返し介入によってナッジが摩耗している(ナッジの行動変容効果が減少している)ような場合において、当該ナッジの摩耗を適切に(高精度に)数値化することができる。以上のように、本発明の一態様に係る情報処理装置によれば、ナッジの摩耗を適切に数値化することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、ナッジの摩耗を適切に数値化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、ナッジによってユーザの行動変容を促す一連の流れについて説明する図である。
【
図2】
図2は、ナッジの摩耗について説明する図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るナッジ管理装置の機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、ナッジの摩耗計算を説明する図である。
【
図5】
図5は、ナッジの摩耗計算を説明する図である。
【
図6】
図6は、ナッジの回復計算を説明する図である。
【
図7】
図7は、ナッジの摩耗更新処理を示すシーケンス図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係るナッジ管理装置の機能ブロック図である。
【
図9】
図9は、摩耗特徴量生成を説明する図である。
【
図12】
図12は、ナッジのリコメンド処理を示すシーケンス図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係るナッジ管理装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0011】
[第1実施形態]
最初に、本実施形態で説明するナッジ、及び、ナッジを利用したユーザへの行動変容の促進について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、ナッジによってユーザの行動変容を促す一連の流れについて説明する図である。
図2は、ナッジの摩耗について説明する図である。
【0012】
ナッジとは、個人や社会にとって望ましい行動を自発的にとることをユーザに促す、認知バイアスに基づく仕組みやしかけである。本実施形態では、ナッジが、スマートフォン等の通信端末に表示されるメッセージ等の表示である例を説明する。
図1では、ユーザYがバスに乗車するためにバス停300に向かっているシーンを想定している。
図1に示されるように、いま、ユーザYが乗車すると想定されているバス(次バス)の混雑度が高いとする。この場合、例えば所定のアプリケーション(例えばバス乗車をアシストするバスアプリ)を通じてユーザYのスマートフォン等の通信端末100にプッシュ通知を実施する。当該プッシュ通知は、ユーザに行動変容を促すナッジに係る通知であり、具体的には、混雑している次バス以外のバス(おすすめバス)の乗車を促すナッジに係る通知である。
【0013】
図1に示されるように、ユーザYが通信端末100に通知されたプッシュ通知からナッジ画面に遷移すると、「空いている後続バスを待って快適な乗車を」「見送り協力の方にはポイント10pを進展」等のメッセージと共に、次バスが混雑していることを示す情報、及び、おすすめバスの発車予定時刻や混雑状況を示す情報が表示される。このようにナッジ画面に遷移した状態が、ユーザに「ナッジ介入」された状態である。ユーザYは、ナッジ画面を確認して、当初予定していた行動から変更して、「おすすめバスに乗車する」との行動をとるか否かを選択する。
【0014】
ユーザYに効果的に行動変容を促す(上記の例であれば「おすすめバスに乗車」させる)ためには、適切なタイミングにおいて、最も効果のあるナッジでユーザYに介入することが重要である。ナッジ介入を行う適切なタイミングについては、例えば、通信端末100のアプリケーション(上記の例であれば「バスアプリ」)を通じて取得される情報やユーザYの位置情報等に基づいて決定されてもよい。本実施形態では、ナッジ介入を行うタイミングについては詳細な説明を省略する。効果のあるナッジについては、例えば、通信端末100のアプリケーション(上記の例であれば「バスアプリ」)を通じて取得される情報に基づいて、現在のシーンにおいて最も行動変容効果が高いナッジを選択することが考えられる。例えば、上記の乗車予定のバスが混雑している例において、交通手段の変更を促すナッジ、乗車見送りを促すナッジ、寄り道を促すナッジがある場合に、一般的に最もユーザが選択する確率が高いと思われる乗車見送りを促すナッジを選択すること等が考えられる。
【0015】
ここで、ナッジの行動変容効果については、行動経済学上、一定ではなく変化することが想定される。具体的には、
図2に示されるように、日常的(連続的且つ長期的)にユーザに介入したナッジについては、行動変容効果が徐々に減少していくことが考えられる。以下では、このような、ユーザへの介入によるナッジの行動変容効果の減少を「ナッジの摩耗」という場合がある。ナッジの摩耗が進んだ状態においては、ユーザはそのナッジ(情報)を見たくないと考え、ユーザの行動変容を促すことが難しくなる。一方で、ナッジの摩耗が進んでいない状態において、ユーザはそのナッジ(情報)に関心を示す可能性が高く、ユーザの行動変容を効果的に促すことができる。このように、ナッジ摩耗情報を導出することによって、真に行動変容効果が高いナッジを選択することができるため、ナッジ摩耗情報を導出することが重要である。以下では、ナッジ摩耗情報の導出に係る内容ついて、詳細に説明する。
【0016】
図3は、第1実施形態に係るナッジリコメンドシステム1に含まれるナッジ管理装置10(情報処理装置)の機能ブロック図である。
図3に示されるように、ナッジリコメンドシステム1は、通信端末100のアプリケーション101と、ナッジ管理装置10とを含んで構成されている。なお、ナッジリコメンドシステム1には、実際には、互いに異なるユーザの複数の通信端末100のアプリケーション101が含まれているが、説明の便宜上、ここでは1つの通信端末100のアプリケーション101のみを説明する。通信端末100は、無線通信可能な端末であればよく、例えばスマートフォン、タブレット型端末、PC端末等である。アプリケーション101は、通信端末100において起動可能なアプリケーションであればよく、例えば上述したバス乗車をアシストするバスアプリ等である。
【0017】
ナッジ管理装置10は、複数種類のナッジの情報を管理し、アプリケーション101からの情報に基づきナッジの情報を更新する装置である。ナッジ管理装置10は、取得部11と、記憶部12と、摩耗導出部13と、回復導出部14と、更新部15と、を備えている。
【0018】
取得部11は、アプリケーション101から種々の情報を取得する。取得部11は、例えば、ナッジの介入に係る情報(ナッジに関するユーザへの介入に係る情報)であるナッジ介入情報を、複数種類のナッジそれぞれについて取得する。ナッジ介入情報には、例えば、前日のプッシュ通知有無と、前日のナッジ介入有無と、前日の行動変容結果とが含まれていてもよい。なお、以下で「前日」と説明する箇所については、所定の期間の一例として前日を挙げるものであり、前日以外の所定の期間(例えば直近3日間等)であってもよい。ここでのプッシュ通知有無とは、アプリケーション101を介してユーザの通信端末100においてプッシュ通知されたか否かを示す情報である。ナッジ介入有無とは、プッシュ通知に応じたナッジ画面においてナッジがユーザに閲覧されたか否かを示す情報である。行動変容結果とは、ナッジが促す行動をユーザがとったか否かを示す情報である。
【0019】
取得部11は、ユーザの属性に係る情報であってナッジの効果減少に影響するユーザ情報を更に取得する。ユーザの属性に係る情報とは、そのユーザの独自の特徴に応じた、そのユーザならではの情報である。ユーザ情報には、例えば、前日の通信端末100(スマートフォン)の利用時間と、コロナワクチンの接種有無と、前日のコロナ感染状態とが含まれていてもよい。通信端末100の利用時間からは、ユーザの通信端末100の使い方が推定できるため、例えばそのユーザが画面を隅々まで確認しないユーザであるか否かや、ナッジによる人の心理への働きかけを見透かすユーザであるか否か等を推定することができる。コロナワクチンの接種有無からは、リスクに対するユーザの考えを推定することができる。コロナ感染状態からは、現状のユーザの心身の健康状態等を推定することができる。取得部11は、その他のユーザ情報として、競馬場への訪問有無、各観光地への訪問有無、アプリケーション101に係るポイントの獲得数等を取得してもよい。競馬場への訪問有無からは、ユーザのリスク選好の度合いが推定できる。各観光地への訪問有無からは同調バイアスや承認欲求の強さが推定できる。ポイントの獲得数からは、キャンペーンへの参加度合いが推定でき、損失回避や利得に関するバイアスが推定できる。上述した各ユーザ情報は、いずれもナッジの効果減少に影響し得る情報である。
【0020】
取得部11は、所定の期間におけるユーザの外部環境の状態を示す環境情報を更に取得する。ユーザの外部環境とは、ユーザを取り巻きユーザの行動に影響を与えうる要素であり、ユーザの属性に関係しない要素である。取得部11は、環境情報として、前日の天候、前日の気温、前日の曜日(平日か土日か)、前日のコロナ感染者数等を取得してもよい。これらの情報は、外出や密となる行動をとるか否かを推定することができる情報である。取得部11は、上述した各情報以外にも、ユーザの行動に影響のありそうな要因を取得してもよい。取得部11は、取得した各情報を記憶部12に格納する。
【0021】
記憶部12は、複数種類のナッジの情報を記憶すると共に、取得部11から格納された情報を記憶するデータベースである。記憶部12は、複数種類のナッジの情報として、例えば、ナッジを一意に特定する情報(ナッジID)と、介入条件と、促す行動の内容と、行動変容効果と、インセンティブと、行動変容手段と、ナッジ内容と、を紐づけて記憶している。介入条件とは、どのような場合に介入されるナッジの候補となるかを示す情報であり、例えば「乗車予定のバスが混雑している場合」のように規定されている。促す行動の内容とは、ナッジがユーザに促す行動の具体的な内容であり、例えば「混雑していない後続のバスに乗車する」のように規定されている。行動変容効果とは、ナッジ介入が行われた場合にナッジが促す行動をユーザがとる度合い(確率)を示す情報であり、例えば「10%」のように規定されている。インセンティブとは、ナッジが促す行動をユーザが実施した場合にユーザが受けるインセンティブであり、例えば「ポイント10p」のように規定されている。行動変容手段とは、メッセージ、画像、音声等、どのような手段で行動変容を行うかを示す情報である。ナッジ内容とは、ナッジの具体的な内容(例えばメッセージであればメッセージ内容(ナッジの文言))を示す情報である。例えば、「1本後にレアな空いているバスがあります!」、「混雑回避は社会貢献に繋がります」等の複数の文言が規定されている。
【0022】
記憶部12は、取得部11から格納された情報として、例えば
図4に示されるように、前日のプッシュ通知有無を0or1で示す特徴量f_a1と、前日のナッジ介入有無を0or1で示す特徴量f_a2と、前日の行動変容結果を0or1で示す特徴量f_a3と、前日の天候が雨であるか否かを0or1で示す特徴量f_a4と、前日の天候が晴れであるか否かを0or1で示す特徴量f_a5と、前日の天候が曇りであるか否かを0or1で示す特徴量f_a6と、前日の天候が雪であるか否かを0or1で示す特徴量f_a7と、前日の気温を示す特徴量f_a8と、前日が平日であるか否かを0or1で示す特徴量f_a9と、前日が土日であるか否かを0or1で示す特徴量f_a10と、前日のスマホ利用時間を示す特徴量f_a11と、コロナワクチンの接種有無を0or1で示す特徴量f_a12と、前日のコロナ感染状態を0or1で示す特徴量f_a13と、前日のコロナ感染者数を示す特徴量f_a14と、その他のユーザの行動に影響のありそうな要因を示す特徴量f_anと、を記憶していてもよい。
図4には、互いに異なるタイミングで取得部11に取得された、例1~例3の特徴量が示されている。
【0023】
摩耗導出部13は、ナッジ介入情報に基づき、ナッジ介入情報に係るナッジの効果の減少度合いを示すナッジ摩耗情報を導出し出力する構成である。ナッジ介入情報とは、上述したように、例えば、前日のプッシュ通知有無と、前日のナッジ介入有無と、前日の行動変容効果とを含んだ情報である。摩耗導出部13は、複数種類のナッジのそれぞれについて、ナッジ摩耗情報を導出してもよい。摩耗導出部13は、記憶部12に記憶された情報を参照することにより、ナッジ介入情報に係る各特徴量を特定し、特定した各特徴量の値に基づき、ナッジ摩耗情報を導出する。
図4に示される例では、前日のプッシュ通知有無を示す特徴量f_a1は、通知有りの場合に1、無しの場合に0とされている。また、前日のナッジ介入有無を示す特徴量f_a2は、介入有りの場合に1、無しの場合に0とされている。また、前日の行動変容結果を示す特徴量f_a3は、行動変容有りの場合(ナッジが促す行動をユーザがとった場合)に1、行動変容無しの場合(ナッジが促す行動をユーザがとらなかった場合)に0とされている。
【0024】
摩耗導出部13は、前日のプッシュ通知が無し(f_a1=0)の場合、または、前日のナッジ介入が無し(f_a2=0)の場合には、摩耗を示すabrasion(date)=0として、摩耗が生じていないとするナッジ摩耗情報を導出する。これは、ナッジ介入がされていないことによって、ナッジが摩耗していないと判断できるためである。例えば、
図4の例1及び例2の場合には、摩耗が生じていないとするナッジ摩耗情報が導出される。
【0025】
一方で、摩耗導出部13は、前日のプッシュ通知が有り(f_a1=1)、且つ、前日のナッジ介入が有り(f_a2=1)の場合には、ユーザ情報及び環境情報を更に考慮して、ナッジ摩耗情報を導出する。ユーザ情報とは、上述したように、例えば、前日のスマホ利用時間と、コロナワクチンの接種有無と、前日のコロナ感染状態とを含む情報である。
図4に示される例では、前日のスマホ利用時間を示す特徴量f_a11は、0~24時間の間の値とされている。また、コロナワクチンの有無を示す特徴量f_a12は、接種有りの場合に1、無しの場合に0とされている。また、前日のコロナ感染状態を示す特徴量f_a13は、感染している場合に1、感染していない場合に0とされている。
【0026】
環境情報とは、上述したように、例えば、前日の天候と、前日の気温と、前日の曜日(平日か土日か)と、前日のコロナ感染者数とを含む情報である。
図4に示される例では、前日の天候が雨であるか否かを示す特徴量f_a4は、雨である場合に1、雨でない場合に0とされている。また、前日の天候が晴れであるか否かを示す特徴量f_a5は、晴れである場合に1、晴れでない場合に0とされている。また、前日の天候が曇りであるか否かを示す特徴量f_a6は、曇りである場合に1、曇りでない場合に0とされている。また、前日の天候が雪であるか否かを示す特徴量f_a7は、雪である場合に1、雪でない場合に0とされている。また、前日の気温を示す特徴量f_a8は、気温を示す値とされている。また、前日が平日であるか否かを示す特徴量f_a9は、平日である場合に1、平日でない場合に0とされている。また、前日が土日であるか否かを示す特徴量f_a10は、土日である場合に1、土日でない場合に0とされている。また、前日のコロナ感染者数を示す特徴量f_a14は、感染者数を示す値とされている。
【0027】
摩耗導出部13は、前日のプッシュ通知が有り(f_a1=1)、且つ、前日のナッジ介入が有り(f_a2=1)の場合、ユーザ情報及び環境情報を考慮して、以下の(1)式により摩耗を示すabrasion(date)を導出する。下記式において、wαは重みであり、モデルケースによって異なる値をとる。摩耗を示すabrasion(date)は、0~1の範囲の値をとるように調整されている。
【数1】
【0028】
重みを示すwαは、例えば、最小二乗法等で回帰式を求めることにより導出されてもよい。また、重みを示すwαは、例えば、各特徴量(カラム)と目的変数である行動変容結果との相関係数から導出されてもよい。また、重みを示すwαは、例えば、目的変数である行動変容結果を予測する機械学習モデルを作成し、各特徴量(カラム)の寄与率を利用することにより導出されてもよい。
【0029】
上記(1)式によってナッジ摩耗情報が導出されることにより、例えば目的変数である行動変容結果を予測する機械学習モデルを用いて、
図5に示されるように、各例(例1~例3)のそれぞれについて、ナッジ摩耗情報を考慮した行動変容結果が導出されてもよい。
図5に示される例では、行動変容結果について、行動変容有りと予測される場合(ナッジが促す行動をユーザがとると予測される場合)に1、行動変容無しと予測される場合(ナッジが促す行動をユーザがとらないと予測される場合)に0とされている。
【0030】
なお、摩耗導出部13は、前日のプッシュ通知が有り(f_a1=1)、且つ、前日のナッジ介入が有り(f_a2=1)の場合、上記(1)式により摩耗を示すabrasion(date)を導出するとして説明したがこれに限定されず、以下のように摩耗情報を導出してもよい。いま、ナッジ介入情報である、前日のプッシュ通知有無(f1)、前日のナッジ介入有無(f2)、及び、前日の行動変容効果(f3)と、ユーザ情報である、とある観光地への訪問回数(f4)とから、摩耗情報を導出する例を説明する。訪問回数f4は、例えば10を超える場合は10とされ、10で割った値が設定される。摩耗情報を導出する上での、f1~f4の重みが、それぞれ0.1、0.2、0.6、0.1であるとする。この場合、f1=1、f2=1、f3=1、f4=0.2であるとすると、重みを考慮して、摩耗は、0.1×1+0.2×1+0.6×1+0.1×0.2=0.92となる。また、f1=1、f2=1、f3=0、f4=0.2であるとすると、摩耗は、0.1×1+0.2×1+0.6×0+0.1×0.2=0.32となる。
【0031】
回復導出部14は、ナッジ介入情報に基づき、ナッジ介入情報に係るナッジの効果回復度合いを示すナッジ回復情報を導出し出力する構成である。ナッジ回復情報は、一度摩耗したナッジの回復度合いを示す情報である。ナッジ介入情報とは、上述したように、例えば、前日のプッシュ通知有無と、前日のナッジ介入有無と、前日の行動変容効果とを含んだ情報である。回復導出部14は、複数種類のナッジのそれぞれについて、ナッジ回復情報を導出してもよい。回復導出部14は、記憶部12に記憶された情報を参照することにより、ナッジ介入情報に係る各特徴量を特定し、特定した各特徴量の値に基づき、ナッジ回復情報を導出する。
図6に示される例では、前日のプッシュ通知有無を示す特徴量f_r1は、通知有りの場合に1、無しの場合に0とされている。また、前日のナッジ介入有無を示す特徴量f_r2は、介入有りの場合に1、無しの場合に0とされている。また、前日の行動変容結果を示す特徴量f_r3は、行動変容有りの場合(ナッジが促す行動をユーザがとった場合)に1、行動変容無しの場合(ナッジが促す行動をユーザがとらなかった場合)に0とされている。
【0032】
回復導出部14は、前日が行動変容有り(f_r3=1)の場合には、回復を示すrecovery(date)=0として、ナッジが回復していないとするナッジ回復情報を導出する。これは、直近において当該ナッジによってユーザが行動変容をしている場合には、ナッジが摩耗した状態である可能性が高くナッジが回復していないと判断できるためである。例えば、
図6の例3の場合には、ナッジが回復していないとするナッジ回復情報が導出される。
【0033】
一方で、回復導出部14は、前日が行動変容無し(f_r3=0)の場合には、他の情報を更に考慮して、ナッジ回復情報を導出する。
図6に示される例では、他の情報として、前日のスマホ利用時間、前回のプッシュ通知からの日数、前回のナッジ介入からの日数、前回の行動変容からの日数、その他行動に影響のありそうな要因、が例示されている。
【0034】
回復導出部14は、前日が行動変容無し(f_r3=0)の場合、上述した他の情報を考慮して、以下の(2)式により回復を示すrecovery(date)を導出する。下記式において、wrは重みであり、モデルケースによって異なる値をとる。wrは、例えば摩耗導出に係る重みを示すwαと同様の方法で算出可能である。回復を示すrecovery(date)は、0~1の範囲の値をとるように調整されている。
【数2】
【0035】
更新部15は、ナッジ摩耗情報及びナッジ回復情報に基づき、記憶部12に記憶されているナッジの情報を更新する構成である。更新部15は、摩耗導出部13より各ナッジのナッジ摩耗情報を取得する。更新部15は、回復導出部14より各ナッジのナッジ回復情報を取得する。更新部15は、記憶部12に格納されているナッジの情報から、各ナッジの現時点の摩耗の情報を取得する。更新部15は、ナッジ毎に、ナッジ摩耗情報とナッジ回復情報と現時点の摩耗の情報とに基づき最新の摩耗の情報を導出し、導出した摩耗の情報に基づき記憶部12に記憶されている各ナッジの情報を更新する。
【0036】
更新部15は、複数種類のナッジに含まれる一のナッジのナッジ摩耗情報と、上記一のナッジに類似するナッジのナッジ摩耗情報とを両方考慮して、上記一のナッジの情報を更新してもよい。
【0037】
例えば、ナッジの摩耗は以下の(3)式及び(4)式の漸化式で表される。
【数3】
【数4】
【0038】
(3)式は、N=0の場合にはナッジが摩耗していないことを示している。(4)式は、一のナッジの摩耗F(N)Iを導出するに際しては、各ナッジのそれぞれについて、摩耗を示すabrasion(date)から回復を示すrecovery(date)が差し引かれ、更に、現時点の摩耗の情報であるF(N-1)Iが足し合わされて、重みWI_Jが掛け合わされた値が導出され、各ナッジの値が足し合わされることにより、上記一のナッジの摩耗FNIが導出されることを示している。上記一のナッジに類似しないナッジについては、重みWI_Jが0とされる。これにより、互いに類似するナッジの情報のみを考慮して、ナッジの摩耗が導出される。
【0039】
いま、例えば、複数種類のナッジに、互いに類似するナッジA、ナッジB、ナッジCが含まれているとする。この場合、ナッジAの摩耗F(N)Aは、以下の(5)式から導出される。以下の(5)式において、WA_AはナッジA自身の摩耗を出す際の重みであり、WA_BはナッジAの摩耗を出す際のナッジBの摩耗の導出に係る重みであり、WA_CはナッジAの摩耗を出す際のナッジCの摩耗の導出に係る重みである。WA_B(またはWA_C)は、ナッジAとナッジB(またはナッジC)との類似度合いに基づいて設定される。
【数5】
【0040】
重みWI_Jについて詳細に説明する。複数種類のナッジの摩耗から、一のナッジの摩耗を導出する場合においては、当該一のナッジ(対象のナッジ)の摩耗の重みが最も大きくされる。そして、対象のナッジとの類似度が高いナッジほど、摩耗の重みが大きくされる。類似度が高いとは、ナッジに紐づく認知バイアス(心理バイアス)の重複度が高いことをいう。いま、例えばナッジAにはa,b,cのバイアスが紐づいており、ナッジBにはb,c,dのバイアスが紐づいており、ナッジCにはdのバイアスが紐づいているとする。この場合、例えば、[対象のナッジと共通するバイアスの個数/2つのナッジのバイアスのユニーク数]に基づき、バイアスの重複度に応じた類似度が導出されてもよい。
【0041】
いま、上記の例において、例えば、ナッジAが対象のナッジであるとする。この場合、WA_Aは、対象のナッジ(自身)と共通するバイアスの個数が3個であり、2つのナッジのバイアスのユニーク数が3個であるので、3/3=1.0となる。また、WA_Bは、対象のナッジと共通するバイアスがb,cの2個であり、2つのナッジのバイアスのユニーク数がa,b,c,dの4個であるので、2/4=0.5となる。また、WA_Cは、対象のナッジと共通するバイアスが0個であり、2つのナッジのバイアスのユニーク数がa,b,c,dの4個であるので、0/4=0となる。共通するバイアスが0個であるとは、2つのナッジが類似していないことを示している。
【0042】
同様にして、例えば、ナッジBが対象のナッジであるとする。この場合、ナッジBの摩耗を出す際のナッジAの摩耗の導出に係る重みWB_Aは、対象のナッジと共通するバイアスがb,cの2個であり、2つのナッジのバイアスのユニーク数がa,b,c,dの4個であるので、2/4=0.5となる。また、WB_Bは1.0となる。また、ナッジBの摩耗を出す際のナッジCの摩耗の導出に係る重みWB_Cは、対象のナッジと共通するバイアスがdの1個であり、2つのナッジのバイアスのユニーク数がb,c,dの3個であるので、1/3=0.333…となる。
【0043】
次に、ナッジの摩耗更新処理について、
図7を参照して説明する。
図7は、ナッジの摩耗更新処理を示すシーケンス図である。
【0044】
図7に示されるように、ナッジ介入情報を含む種々の情報が、アプリケーション101から取得部11によって取得され、記憶部12に格納される(ステップS11)。
【0045】
そして、摩耗導出部13によって記憶部12に格納されている情報(ナッジ介入情報を含む情報)が取得される(ステップS12)。そして、摩耗導出部13によって、ナッジ介入情報等に基づいて、各ナッジのナッジ摩耗情報が導出される(ステップS13)。
【0046】
また、回復導出部14によって記憶部12に格納されている情報(ナッジ介入情報を含む情報)が取得される(ステップS14)。そして、回復導出部14によって、ナッジ介入情報等に基づいて、各ナッジのナッジ回復情報が導出される(ステップS15)。
【0047】
つづいて、摩耗導出部13によるナッジ摩耗情報の導出結果が更新部15に取得される(ステップS16)と共に、回復導出部14によるナッジ回復情報の導出結果が更新部15に取得される(ステップS17)。また、記憶部12より、各ナッジの現時点の摩耗情報が更新部15に取得される(ステップS18)。
【0048】
そして、更新部15によって、取得された情報に基づき摩耗の更新処理が実施され(ステップS19)、記憶部12に格納されている各ナッジの情報に、摩耗の更新結果が反映される(ステップS20)。
【0049】
次に、第1実施形態に係るナッジ管理装置10の作用効果について説明する。
【0050】
本実施形態に係るナッジ管理装置10は、望ましい行動を自発的に取ることをユーザに促すしかけであるナッジの情報を記憶する記憶部12と、ナッジの介入に係る情報(ナッジに関するユーザへの介入に係る情報)であるナッジ介入情報を取得する取得部11と、ナッジ介入情報に基づき、ナッジ介入情報に係るナッジの効果減少度合いを示すナッジ摩耗情報を導出し出力する摩耗導出部13と、を備える。
【0051】
本実施形態に係るナッジ管理装置10では、ナッジの介入に係る情報(ナッジに関するユーザへの介入に係る情報)であるナッジ介入情報が取得され、該ナッジ介入情報に基づいて、ナッジの効果減少度合いを示すナッジ摩耗情報が導出され出力されている。このように、ユーザへのナッジの介入に係る情報(例えばナッジの介入頻度等)からナッジの摩耗情報が推定(導出)されることにより、例えばナッジの繰り返し介入によってナッジが摩耗している(ナッジの行動変容効果が減少している)ような場合において、当該ナッジの摩耗を適切に(高精度に)数値化することができる。以上のように、本実施形態に係るナッジ管理装置10によれば、ナッジの摩耗を適切に数値化することができる。
【0052】
ナッジの摩耗を適切に数値化することによって、例えば以下のようなメリットがある。まず第1に、ナッジをユーザにリコメンドする際に、ナッジの摩耗を考慮したリコメンドが可能になる。数値の大小関係に基づきリコメンドしたり、リコメンドに係る機械学習の特徴量として数値化された摩耗を用いることができる。摩耗を考慮したリコメンドについては、第2実施形態にて詳述する。第2に、一般的に摩耗のしやすいナッジを特定することが可能になる。データがある程度集まった時点で各ナッジの摩耗の平均等を算出することによって、摩耗し易いナッジ、しにくいナッジを特定し、それらに紐づく認知バイアスに基づいて、新たなナッジの検討に活かすことができる。第3に、摩耗の上限を特定することができる。ここでの摩耗の上限とは、これ以上は摩耗しない或いは見かけ上の摩耗の数字が増加しても効果が変わらない値をいう。利用シーンにおける摩耗の上限が特定されることにより、これ以上連続でナッジを適用しても意味がないといったことが判別可能になる。第4に、ナッジの回復の検証やデータ集めの精度が向上する。ナッジの回復の検証や特定条件のデータ集めを行う際には、意図的にナッジを摩耗させ、同一の条件でナッジの介入を行うことが考えられる。この場合に、摩耗が数値化されていることによって、条件を適切に合わせた上で、ナッジの回復の検証及びデータ集めを行うことができる。
【0053】
作用効果の説明に戻り、ナッジ介入情報には、所定の期間内においてナッジがユーザに閲覧されたか否かを示す情報と、ナッジによってナッジが促す行動をユーザがとったか否かを示す情報と、が少なくとも含まれていてもよい。このような構成によれば、ユーザに対して介入された(ユーザが閲覧した)ナッジであるか否か、及び、ナッジによって実際にユーザが行動を変えたか否かが特定されるため、これらのナッジの摩耗と密接に関係する情報に基づき、ナッジの摩耗をより好適に導出することができる。
【0054】
取得部11は、ユーザの属性に係る情報であってナッジの効果減少に影響するユーザ情報を更に取得し、摩耗導出部13は、ユーザ情報を更に考慮して、ナッジ摩耗情報を導出してもよい。このような構成によれば、例えばスマホの利用時間や所定の場所への訪問有無等、ユーザの属性に係る情報であってナッジの効果減少に影響し得る情報を更に考慮してナッジ摩耗情報が導出されるので、ナッジの摩耗をより好適に導出することができる。
【0055】
取得部11は、所定の期間におけるユーザの外部環境の状態を示す環境情報を更に取得し、摩耗導出部13は、環境情報を更に考慮して、ナッジ摩耗情報を導出してもよい。このような構成によれば、例えば天候やコロナ感染者数等、ユーザの外部環境の状態を示す環境情報が更に考慮されてナッジ摩耗情報が導出されるので、ナッジの摩耗をより好適に導出することができる。
【0056】
ナッジ管理装置10は、ナッジ摩耗情報に基づき、記憶部12に記憶されている、ナッジ介入情報に係るナッジの情報を更新する更新部15を更に備えていてもよい。このように、数値化して導出したナッジ摩耗情報が、記憶部12のナッジの情報の更新に用いられることにより、ナッジ摩耗情報を大元のナッジの情報に反映させることができる。
【0057】
記憶部12は、複数種類のナッジの情報を記憶しており、摩耗導出部13は、複数種類のナッジのそれぞれについて、ナッジ摩耗情報を導出し、更新部15は、複数種類のナッジに含まれる一のナッジのナッジ摩耗情報と、一のナッジに類似するナッジのナッジ摩耗情報とを両方考慮して、一のナッジの情報を更新してもよい。一のナッジに類似するナッジが例えば繰り返しユーザに介入された場合には、その影響によって、該一のナッジについても摩耗すると考えられる。この点、一のナッジの情報を更新するに際して、該一のナッジの摩耗情報だけでなく、該一のナッジに類似するナッジのナッジ摩耗情報をも考慮することにより、該一のナッジのより実態に沿った摩耗状態に基づいて該一のナッジの情報を更新することができる。
【0058】
ナッジ管理装置10は、ナッジ介入情報に基づき、ナッジ介入情報に係る前記ナッジの効果回復度合いを示すナッジ回復情報を導出する回復導出部14を更に備え、更新部15は、ナッジ回復情報を更に考慮して、ナッジ介入情報に係るナッジの情報を更新してもよい。例えば繰り返しユーザに介入されて一度摩耗したナッジであっても、所定期間介入が行われない等の場合においては、ナッジの効果が回復すると考えられる。このため、ナッジ介入情報に基づきナッジ回復情報が導出され、ナッジ回復情報が考慮されてナッジの情報が更新されることによって、より実態に沿った情報でナッジの情報を更新することができる。
【0059】
[第2実施形態]
次に、
図8~
図12を参照して、第2実施形態に係るナッジリコメンドシステム1Aに含まれるナッジ管理装置10A(情報処理装置)について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と共通する説明を省略し、第1実施形態と異なる点を主に説明する。
【0060】
図8は、第2実施形態に係るナッジリコメンドシステム1Aに含まれるナッジ管理装置10Aの機能ブロック図である。ナッジ管理装置10Aは、ナッジの摩耗を考慮して、ナッジが促す行動をユーザがとる確率である行動変容確率が高いナッジをユーザにリコメンドする機能を有している。
【0061】
図8に示されるように、ナッジ管理装置10Aは、取得部11と、記憶部12と、摩耗特徴量生成部16(摩耗導出部)と、行動変容推定部17と、ナッジ選択部18と、を備えている。
【0062】
取得部11は、アプリケーション101から、特定の条件を満たした場合に、種々の情報を互いに紐づけて取得する。特定の条件とは、ユーザにナッジをリコメンドし得る特定の条件であり、具体的には、例えば特定のスポット(お店等)にチェックインする等である。取得部11は、例えば、ナッジ介入情報を取得する。この場合のナッジ介入情報には、例えば、前日のプッシュ通知有無と、予定介入ナッジと、前日のナッジ介入有無と、前日の行動変容結果とが含まれていてもよい。予定介入ナッジとは、ユーザがプッシュ通知を開いた際にユーザに介入される予定であった(或いは実際に介入された)ナッジである。
【0063】
また、取得部11は、上記種々の情報に含まれる情報として、ユーザの属性に係る情報であるユーザ情報を取得してもよい。ユーザ情報とは、例えば、ユーザを一意に特定するユーザID、性別、年齢、家族構成等である。また、取得部11は、上記種々の情報に含まれるその他の情報(行動に寄与しそうな特徴量)として、天候、気温、曜日、ユーザのスマホ利用時間、ユーザのコロナワクチンの接種有無、ユーザのコロナ感染状態、前日のコロナ感染者数、ユーザの濃厚接触者フラグ等の情報を取得してもよい。取得部11は、取得した情報を記憶部12に格納する。
【0064】
摩耗特徴量生成部16は、複数種類のナッジのそれぞれについて、ナッジ介入情報に基づき、ナッジ摩耗情報を表現する摩耗特徴量を生成する。
図9は、摩耗特徴量生成を説明する図である。
図9(a)は、取得部11によって取得されて記憶部12に格納される、ナッジ介入情報を含む情報(ログ)である。このようなログは、ナッジがプッシュ通知される度にレコード生成される。摩耗特徴量生成部16は、ログから、
図9(b)に示される摩耗特徴量に変換する。
【0065】
図9(b)に示される例では、摩耗特徴量として、ユーザIDを示す特徴量f_1と、前回のプッシュ通知からの日数を示す特徴量f_2と、前々回のプッシュ通知からの日数を示す特徴量f_3と、前回のナッジA介入からの日数を示す特徴量f_4と、前々回のナッジA介入からの日数を示す特徴量f_5と、前回のナッジAによる行動変容からの日数を示す特徴量f_6と、前々回のナッジAによる行動変容からの日数を示す特徴量f_7と、前回のナッジB介入からの日数を示す特徴量f_8と、…、前回のナッジDによる行動変容からの日数f_16と、が例示されている。
図9(b)では省略しているが、各ナッジについてナッジAと同様の特徴量が規定されている。また、
図9(b)に示されるように、各ナッジの累積回数が特徴量として規定されていてもよい。
【0066】
行動変容推定部17は、ナッジが促す行動をユーザがとる確率である行動変容確率を推定する。行動変容推定部17は、複数種類のナッジに関する摩耗特徴量に基づいて、複数種類のナッジのそれぞれについて、行動変容確率を推定する。
【0067】
行動変容推定部17は、摩耗特徴量と、ユーザ情報とに基づいて、複数種類のナッジ毎に、行動変容確率を推定する推定モデル(機械学習モデル)を生成する。
図10は、行動変容推定を説明する図であり、詳細には行動変容確率を推定する推定モデルの生成を説明する図である。
図10に示され例では、行動変容推定部17は、摩耗特徴量と、ユーザ情報であるユーザID、性別、年齢、及び家族構成と、その他の情報(行動に寄与しそうな特徴量)である、天候、気温、曜日、ユーザのスマホ利用時間、ユーザのコロナワクチンの接種有無、ユーザのコロナ感染状態、前日のコロナ感染者数、及びユーザの濃厚接触者フラグと、行動変容結果(目的変数)とを学習データとして、ナッジAの行動変容確率を推定する推定モデルを生成している。なお、
図10において例1~例3と複数レコードの学習データがあるように、同一のユーザであっても、情報の取得タイミングの違い(ナッジ介入シーンの違い)によって同一ナッジについて複数の学習データが存在し得る。
【0068】
行動変容推定部17は、上記推定モデルに基づき、複数種類のナッジのそれぞれについて、行動変容確率を推定する。行動変容推定部17は、学習データと同様のデータをナッジ毎の各推定モデルに入力することにより、対象のユーザについて、ナッジ毎に行動変容確率を推定する。
【0069】
ナッジ選択部18は、行動変容確率に基づいて、対象ユーザにリコメンドするナッジを選択する。具体的には、ナッジ選択部18は、行動変容確率が最も高いナッジをユーザにリコメンドするナッジとして選択する。
図11は、ナッジ選択を説明する図である。いま、ナッジA~ナッジCの中から最適なナッジを選択する例を考える。ある対象ユーザ(男性、25才)について、ナッジA~ナッジCそれぞれの推定モデル(ナッジAモデル、ナッジBモデル、ナッジCモデル)が生成されているとする。そして、
図11(a)に示されるように、1回目のナッジ介入において、ナッジAモデルから推定される行動変容確率が0.6、ナッジBモデルから推定される行動変容確率が0.5、ナッジCモデルから推定される行動変容確率が0.4であったとする。この場合、ナッジ選択部18は、行動変容確率が最も高いナッジAをリコメンドするナッジとして選択する。ナッジAが直近でリコメンドされると、ナッジAモデルにおいてナッジAの行動変容確率が下げられるため、
図11(b)に示されるように、2回目のナッジ介入においては、ナッジAモデルから推定される行動変容確率が0.4、ナッジBモデルから推定される行動変容確率が0.5、ナッジCモデルから推定される行動変容確率が0.4となったとする。この場合には、ナッジ選択部18は、行動変容確率が最も高いナッジBをリコメンドするナッジとして選択する。このように、ナッジ介入情報に基づいて行動変容確率が最新化され、最適なナッジが選択される。
【0070】
次に、ナッジのリコメンド処理について、
図12を参照して説明する。
図12は、ナッジのリコメンド処理を示すシーケンス図である。
【0071】
図12に示されるように、特定の条件を満たした場合に、ナッジ介入情報を含む種々の情報が、アプリケーション101から取得部11によって取得され、記憶部12に格納される(ステップS101)。
【0072】
そして、摩耗特徴量生成部16によって、記憶部12に格納されている、ナッジ介入情報を含むログデータが取得され(ステップS102)、ログデータに基づいて各ナッジの摩耗特徴量が生成される(ステップS103)。
【0073】
そして、行動変容推定部17によって、記憶部12に格納されているユーザ情報等の種々の特徴量が取得されると共に(ステップS104)、摩耗特徴量生成部16から各ナッジの摩耗特徴量が取得され(ステップS105)、摩耗特徴量とユーザ情報等とに基づいて、各ナッジの行動変容確率(行動変容のしやすさ)が推定される(ステップS106)。
【0074】
つづいて、ナッジ選択部18によって、各ナッジの行動変容確率(効果推定値)が取得され、行動変容確率に基づいて、複数のナッジの中から対象ユーザにリコメンドするナッジが選択される(ステップS108)。そして、選択されたナッジがアプリケーション101を介して対称ユーザにリコメンドされる(ステップS109)。リコメンドされたナッジについてのナッジ介入情報は、取得部11を介して記憶部12に格納され(ステップS110)、ログデータとしてその後の摩耗特徴量生成に利用される。
【0075】
次に、第2実施形態に係るナッジ管理装置10Aの作用効果について説明する。
【0076】
本実施形態に係るナッジ管理装置10Aは、ナッジが促す行動をユーザがとる確率である行動変容確率を推定する行動変容推定部17と、行動変容確率に基づき、ユーザにリコメンドするナッジを選択するナッジ選択部18と、を更に備え、記憶部12は、複数種類のナッジの情報を記憶しており、摩耗導出部は、複数種類のナッジのそれぞれについて、ナッジ介入情報に基づき、ナッジ摩耗情報を表現する摩耗特徴量を生成する摩耗特徴量生成部16を有し、行動変容推定部17は、複数種類のナッジに関する摩耗特徴量に基づいて、複数種類のナッジのそれぞれについて、行動変容確率を推定し、ナッジ選択部18は、行動変容確率が最も高いナッジを、ユーザにリコメンドするナッジとして選択する。
【0077】
このように、ナッジ摩耗情報を表現した摩耗特徴量に基づき、複数種類のナッジのそれぞれについて行動変容確率が推定され、行動変容確率が高いナッジがリコメンド用のナッジとして選択されることにより、ナッジ摩耗情報を加味してより高精度に行動変容確率を推定し、ユーザの行動変容を促すことができるナッジを好適に選択することができる。
【0078】
行動変容推定部17は、摩耗特徴量と、ユーザの属性に係る情報であるユーザ情報とに基づいて、複数種類のナッジ毎に行動変容確率を推定する推定モデルを生成し、推定モデルに基づいて、複数種類のナッジのそれぞれについて、行動変容確率を推定してもよい。このように、摩耗特徴量とユーザ情報とが考慮されてナッジ毎に推定モデルが生成され、該推定モデルに基づき各ナッジの行動変容確率が推定されることによって、より簡易且つ高精度に各ナッジの行動変容確率を推定することができる。
【0079】
次に、上述したナッジ管理装置10,10Aのハードウェア構成について、
図13を参照して説明する。ナッジ管理装置10,10Aは、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0080】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。ナッジ管理装置10,10Aのハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0081】
ナッジ管理装置10,10Aにおける各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信や、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
【0082】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。例えば、取得部11等の制御機能はプロセッサ1001で実現されてもよい。
【0083】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールやデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。
【0084】
例えば、取得部11等の制御機能は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0085】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本発明の一実施の形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0086】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CDROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0087】
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0088】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0089】
また、プロセッサ1001やメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0090】
また、ナッジ管理装置10,10Aは、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
【0091】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、当業者にとっては、本実施形態が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本実施形態は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本実施形態に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0092】
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broad-band)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-Wide Band)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
【0093】
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0094】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0095】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0096】
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0097】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0098】
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0099】
本明細書で説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれか1項を使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0100】
なお、本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0101】
また、本明細書で説明した情報、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。
【0102】
通信端末は、当業者によって、移動通信端末、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、又はいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0103】
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0104】
本明細書で「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した場合においては、その要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0105】
「含む(include)」、「含んでいる(including)」、及びそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0106】
本明細書において、文脈又は技術的に明らかに1つのみしか存在しない装置である場合以外は、複数の装置をも含むものとする。
【0107】
本開示の全体において、文脈から明らかに単数を示したものではなければ、複数のものを含むものとする。
【符号の説明】
【0108】
10,10A…ナッジ管理装置(情報処理装置)、11…取得部、12…記憶部、13…摩耗導出部、14…回復導出部、15…更新部、16…摩耗特徴量生成部、17…行動変容推定部、18…ナッジ選択部。