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特許7653713コアの対頂方法、対頂機構、クランプモジュール及び巻線装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】コアの対頂方法、対頂機構、クランプモジュール及び巻線装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/04 20060101AFI20250324BHJP
   H01F 41/098 20160101ALI20250324BHJP
【FI】
H01F41/04 F
H01F41/04 B
H01F41/098
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022112302
(22)【出願日】2022-07-13
(65)【公開番号】P2023046380
(43)【公開日】2023-04-04
【審査請求日】2022-07-13
(31)【優先権主張番号】110135405
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514019132
【氏名又は名称】萬潤科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】鄭 景哲
(72)【発明者】
【氏名】王 瑞鴻
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-080037(JP,A)
【文献】特開平09-162059(JP,A)
【文献】特開平09-148168(JP,A)
【文献】特開2014-146796(JP,A)
【文献】国際公開第2010/109930(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/04
H01F 41/098
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアの入線側凸部がクランプの留め口によって挟持またはリリースされるステップと、
前記コアの出線側凸部が対頂回転シャフトにある当接部に当接される、または前記当接部から離脱されるステップと、
前記対頂回転シャフトに中心軸に位置する軸孔が設けられており、対頂ロッドが軸部により前記軸孔に枢支されて、駆動力によりX軸方向において往復移動することができており、前記当接部を有する当接手段が連結部により前記軸部に枢支されるステップと、
前記クランプを前記対頂回転シャフトと同期して回転させるステップと、
前記当接部が前記コアの前記出線側凸部との当接から離脱する際に、前記対頂回転シャフトが前記当接部と連動せずに元の位置に維持するステップと、
を実行することを特徴とするコアの対頂方法。
【請求項2】
前記対頂回転シャフトが回転する際に、前記当接部は回転するように連動され、前記当接部がX軸方向に直線状に往復移動する際に、前記対頂回転シャフトはX軸方向に直線状に往復移動することに連動されないことを特徴とする請求項1に記載のコアの対頂方法。
【請求項3】
前記対頂ロッドは、係合部がシリンダからなる駆動手段で駆動されることによって駆動されており、前記駆動手段が、逆C字型の係合手段が前記係合部に係合することで前記係合部を連動することにより、前記対頂ロッドは、前記係合部と前記対頂ロッドにおける駆動端部の回転を制限しないようにX軸方向のみにおいて直線状に往復移動することを特徴とする請求項2に記載のコアの対頂方法。
【請求項4】
対頂台座が固設される連接端部が一端に形成され、駆動端部が他端に形成されており、伝動機構で前記駆動端部が伝動されることにより回転できており、その中心軸に位置する軸孔が設けられる対頂回転シャフトと、
軸部により前記対頂回転シャフトの前記軸孔に枢支され、連結部が前記軸部に設けられ、当接部を有する当接手段が前記連結部に枢支されており、駆動により前記当接部がコアに当接するように往復移動する対頂ロッドと、を備えることを特徴とするコアの対頂機構。
【請求項5】
前記軸部が前記対頂回転シャフトの前記駆動端部に向かって前記軸孔の外側に延出し且つ係合部が設けられ、駆動手段が係合手段により、前記係合部を連動させるように前記係合部に接続されることを特徴とする請求項4に記載のコアの対頂機構。
【請求項6】
前記連結部は前記対頂台座に向って軸孔の外側に位置する前記軸部の一端に設けられることを特徴とする請求項4に記載のコアの対頂機構。
【請求項7】
前記当接手段は矩形の板状になり、その両側の長辺の下端縁にそれぞれ長辺全体に沿って延伸する制限部が設置され、前記制限部がそれぞれ両側の2つの支え台座の保持周縁によって制限されることを特徴とする請求項6に記載のコアの対頂機構。
【請求項8】
前記当接手段には、対頂台座の位置決めピンに取り付けられる長楕円状の位置決め溝が設けられ、前記対頂ロッドの往、復移動する距離は、前記位置決めピンと前記位置決め溝の長楕円状の長軸の両端部の間のそれぞれの間隔であることを特徴とする請求項6に記載のコアの対頂機構。
【請求項9】
前記当接手段の上面に巻き付けられる線材をかけるための複数の線掛け突起部が設けられ、前記当接手段の一端に長楕円状になる連結孔が設けられて、前記連結孔の長軸がY軸に沿って設置され、ピンによって枢支されて前記対頂ロッドに連結されることにより、前記対頂ロッドと同期して連動されることを特徴とする請求項6に記載のコアの対頂機構。
【請求項10】
前記当接手段と前記対頂回転シャフトとの間の前記対頂ロッドの外周縁には弾性部材が取り付けられて、前記弾性部材からのテンションにより前記当接手段が前記当接部の方向へ押し付ける駆動力を提供することを特徴とする請求項6に記載のコアの対頂機構。
【請求項11】
請求項4~10のいずれか一項に記載のコアの対頂機構を有するクランプモジュールであって、
第1枢支部及び第2枢支部が設けられ、前記第1枢支部と前記第2枢支部との間に巻線エリアが形成される固定台と、
前記第1枢支部に枢支されており、前記巻線エリアにおける一端にクランプを載せるクランプ台座が設置され、前記クランプがコアの入線側凸部を挟持する留め口を有し、前記巻線エリアにおける他端に駆動端部が形成されるクランプ回転シャフトと、を備え、
前記対頂機構が前記第2枢支部に枢支されることを特徴とするクランプモジュール。
【請求項12】
前記第1枢支部には複数のクランプ機構が設置され、前記第2枢支部には複数の対頂機構が設置され、前記クランプ機構のクランプ台座と前記対頂機構の対頂台座の下方に支持部材が設けられ、前記支持部材が、駆動手段が接続手段から離脱する際に前記クランプ台座と前記対頂台座を偏移させないように、上方へ駆動されて前記クランプ台座と前記対頂台座の底部に押し付けるようになることを特徴とする請求項11に記載のクランプモジュール。
【請求項13】
前記固定台の両側には固定部がそれぞれ設置され、可動ロッドが複数のクランプ機構の各前記クランプ台座の下方に貫通して、ロッド状の当接金具が各前記クランプ機構に対応する一側にそれぞれ設置され、
前記可動ロッドは駆動手段により、各前記当接金具が対応する前記クランプ機構に当接することにより前記留め口を開閉させるように駆動されることを特徴とする請求項11に記載のクランプモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対頂方法、対頂機構、クランプモジュール及び巻線装置に関し、特に、巻線を行う際にクランプに挟持されるコアの他端が当接されるコアの対頂方法、対頂機構、クランプモジュール及び巻線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、巻線用のコアは、通常ボビンの両側に入線側凸部と出線側凸部があり、巻線装置によって単軸巻線と多軸巻線に分けて巻線を行う。一般の単軸巻線装置において、例えば特許文献1には、入線側凸部をクランプの留め口に置いて、出線側凸部がフローティング状態となっているため、出線側凸部の外端に対頂機構により当接されていることが開示された。このような対頂機構の構成については、ベルトを介してモータにより間接的に駆動回転される回転シャフトが固定台に枢支されて、回転シャフトの一端に支持台座が形成されており、その前端に、フローティングしてるコアの出線側凸部の外端に対応して当接するように、耐摩耗性素材からなる当接手段が固設されている。モータは回転シャフトの回転を駆動する際にクランプの回転をも同期に駆動するので、巻線を行う時に、クランプと回転シャフト前端の当接手段がともにコアの両端部に当接し同期に回転する。巻線が完了して線材の端部を溶接した後、回転シャフトがその前端の当接手段とともにシリンダにより後方へ引き戻され、クランプがリリースした後、巻線後のコアを取り出したり、落ちて回収したりすることができる。
【0003】
また、一般の多軸巻線装置において、例えば特許文献2に記載されるように、間欠回転可能なターレットには複数のワークステーションが形成されており、クランプがターレットに設置されており、ターレット外側の対頂機構に対応するワークステーションに回転される。この対頂機構は、その下部と台座手段との間に設置されるスライドレールによって駆動され移動されるため、シャフトの前端に位置する当接手段がコアの一端に当接する。対頂機構は、下部のスライドレールが移動する際に、同時にカップリングをクランプに連動される接続手段に接続させるので、対頂機構におけるベルトでシャフトを駆動するモータが、同時にカップリングでクランプをシャフトと同期に回転させるように駆動する。巻線が完了して線材の端部を溶接した後、シャフトは、対頂機構全体が下部のスライドレールによって当接手段とともに後方へ引き戻され、クランプがリリースした後、巻線後のコアを取り出したり、落ちて回収したりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】台湾特許第I591668号明細書
【文献】台湾特許第I558647号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述のような従来の単軸巻線装置において、回転シャフトがベルトを介して間接に駆動されるため、回転シャフトが前端の当接手段を連動してシリンダにより後方へ引き戻される際に、同時に回転シャフトの後端に埋設されるベルトも後方へ引き戻されるので、高頻度の操作でベルトが引き戻される傾斜力により、回転シャフトは中心軸がずれていくことで、クランプと対頂してコアを挟持する時に、両方の中心が偏差になることがある。また、従来の多軸巻線装置において、シリンダが設置されていないが、対頂機構全体が駆動されて下部のスライドレールに高頻度で前後移動されるので、対頂機構が緩みやすく、回転シャフトの中心軸が偏差になる恐れがある。
上記問題点に鑑みて、本発明は上記従来技術の欠点を解決するコアの対頂方法、対頂機構、クランプモジュール及び巻線装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、コアを挟持して対頂する際に偏差を低減可能なコアの対頂方法、対頂機構、クランプモジュールを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、以上のようなコアの対頂方法を実行するためのコアの巻線装置を提供することを目的とする。
【0007】
上記目的に達成するすべく、本発明は、コアの入線側凸部がクランプの留め口によって挟持またはリリースされるステップと、前記コアの出線側凸部が対頂回転シャフトにある当接部に当接される、または前記当接部から離脱されるステップと、前記クランプを前記対頂回転シャフトと同期に回転させるステップと、前記当接部が前記コアの前記出線側凸部との当接から離脱する際に、前記対頂回転シャフトが前記当接部と連動せずに元の位置に維持するステップと、を実行することを特徴とするコアの対頂方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、対頂台座が固設される連接端部が一端に形成され、駆動端部が他端に形成されており、伝動機構で前記駆動端部が伝動されることにより回転できる対頂回転シャフトと、前記対頂回転シャフトに枢支され、駆動されて当接部が前記コアに当接するように往復移動する対頂ロッドと、を備えることを特徴とするコアの対頂機構を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、前記対頂機構を有し、第1枢支部及び第2枢支部が設けられ、前記第1枢支部と前記第2枢支部との間に巻線エリアが形成される固定台と、前記第1枢支部に枢支されており、前記巻線エリアにおける一端にクランプを載せるクランプ台座が設置され、前記クランプがコアの入線側凸部を挟持する留め口を有し、前記巻線エリアにおける他端に駆動端部が形成されるクランプ回転シャフトと、を備え、前記対頂機構が前記第2枢支部に枢支されることを特徴とするクランプモジュールを提供する。
【0010】
また更に、本発明は上記コアの対頂方法を実行可能に構成されたことを特徴とする巻線装置も提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施例によるコアの対頂方法、対頂機構、クランプモジュール及び巻線装置は、コアの出線側凸部に対頂する当接部が前記コアの前記出線側凸部との当接から離脱する際に、前記対頂回転シャフトは前記当接部と連動せず元の位置に維持するため、単軸巻線装置において、前記当接部が前記コアを頻繁に離脱またはリリースしても、前記対頂回転シャフトの枢支が緩むことによる前記クランプ回転シャフトに対する偏差を低減することが可能である。また、多軸巻線装置において、前記当接部が前記コアを頻繁に離脱またはリリースすることが、対頂機構全体を駆動して下方のレールで高頻度で前後移動する必要はないので、前記対頂回転シャフトは、前記対頂機構が緩むことによる前記クランプ回転シャフトの中心軸に対する偏差が生じる恐れもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るコアのクランプモジュールの構成が示される斜視図である。
図2】本発明に係るクランプ機構の構成が示される説明図である。
図3】本発明に係るクランプが当接手段とともにコアを挟持することが示される説明図である。
図4】本発明に係る対頂機構の構成が示される説明図である。
図5】本発明に係る対頂機構における伝動機構の構成が示される説明図である。
図6】本発明に係る対頂機構における対頂台座の各部件が示される斜視分解図である。
図7】本発明に係る対頂ロッドの係合部が駆動手段の前端の係合手段により接続されることが示される説明図である。
図8】本発明が多軸巻線装置に用いられたことが示される説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下は図面を参照して本発明のコアの対頂方法、対頂機構、クランプモジュール及び巻線装置の実施形態について詳しく説明する。
【0014】
図1図3を参照しながら、本発明の実施例におけるコアのクランプモジュールの構成について説明する。該クランプモジュールは、固定台1と、クランプ機構2と、対頂機構4とを備える。
【0015】
固定台1には、第1枢支部11及び第2枢支部12がX軸方向において離間するように一体的に配置されている。第1枢支部11と第2枢支部12との間の固定台1が、ホーム13を形成するように凹設される。ホーム13の一側がY軸方向において内側へ凹設されて作業エリア14が形成され、第1枢支部11と第2枢支部12との間の作業エリア14の上方に巻線エリア15が形成されている。第1枢支部11にX軸方向の第1枢支孔111が設けられ、第2枢支部12にX軸方向の第2枢支孔121が設けられており、第1枢支孔111と第2枢支孔121は同一の中心軸線に位置する。
【0016】
クランプ機構2には、第1枢支部11の第1枢支孔111に枢支されるクランプ回転シャフト21が設けられている。クランプ回転シャフト21は、巻線エリア15に位置する一端にクランプ22を載せるクランプ台座211が設けられており、巻線エリア15に対向する他端にベルト24と軸輪25により連動される駆動端部23が形成されている。クランプ22にはスプリングで構成される弾性部材221に作用される固定グリッパ222と可動グリッパ223が設けられている。固定グリッパ222に線材の折り返しのための線掛け突起部224が設置されている。固定グリッパ222と可動グリッパ223の前端に共にコア3の入線側凸部31を挟持するための留め口225が設けられている。可動グリッパ223は押し付け部材26により留め口225の動作を操作するように押し付けられる。押し付け部材26は、巻線エリア15に対向する第1枢支部11の他端に位置する、シリンダで構成される駆動手段27により作動されてX軸方向において移動するようになる。
【0017】
図4図5に示されるように、対頂機構4に第2枢支部12の第2枢支孔121に枢支されるX軸方向の対頂回転シャフト41が設けられている。対頂機構4は、巻線エリア15に位置する一端に連接端部411が形成され対頂台座42に固接されており、巻線エリア15に対向する他端に駆動端部412が形成されている。対頂回転シャフト41は、駆動端部412が伝動機構43により伝動されることで回転する。伝動機構43は駆動輪431と、ベルト432と、テンションホイル433と、モータで構成される駆動手段434とを備えている。ベルト432を介して対頂回転シャフト41と駆動輪431が連動されており、駆動輪431が駆動手段434により駆動され、そしてベルト432がテンションホイル433により調整されている。図1を参照しながら、固定台1におけるX軸方向の連動ロッド435により、伝動機構43の駆動手段434は同時にクランプ機構2の軸輪25と連動される。
【0018】
図6に示されるように、対頂回転シャフト41に固接される対頂台座42には、Z軸方向に直立する一対の位置決めピン421がX軸方向において離間するように設置されている。対頂台座42に、一対の位置決めピン421に対応する2つの位置決め穴422が取り付けられるドリル台座423が重ねて設置されている。ドリル台座423の先端に放置部424が設けられて、ドリル台座423の上方に支え台座425がそれぞれY軸方向に離間した両側に設置されており、その2つの支え台座425の間にX軸方向のスライドレール426が形成されており、保持周縁427が、スライドレール426に対向する側の支え台座425上方の長辺全体に沿って延出して設置されている。
【0019】
対頂回転シャフト41には中心軸に位置する軸孔413が設けられており、対頂ロッド44が軸部441により軸孔413に枢支されて、駆動力によりX軸方向において往復移動することができる。対頂台座42側に向って軸孔413の外側に位置する軸部441の一端に連結部442が設けられ、ピンにより当接手段443が選択的に分解または接続できるように連結部442に枢支されている。軸部441は対頂回転シャフト41における駆動端部412側に向かって軸孔413の外側に延出し且つ凸状の係合部444が設けられている。
【0020】
当接手段443は矩形の板状になり、その両側の長辺の下端縁にそれぞれ長辺全体に沿って延伸する制限部4431が設置され、制限部4431がそれぞれ両側の2つの支え台座42の保持周縁427によって制限されるため、当接手段443がスライドレール426でX軸方向において移動することのみで、Z軸方向において上方へ移動して脱落することができない。当接手段443は、短辺のその一端に中央が斜めに突出して当接部4432が形成されており、その他端に長楕円状の長軸がY軸に沿って設置される連結孔4433が設けられている。
【0021】
当接手段443の上面には一対の長楕円状の位置決め溝4434がX軸方向において離間するように設置され、その長軸がX軸に沿って設置され、対頂台座42にある一対の位置決めピン421に取り付けられている。さらに、当接手段443の上面にも巻き付けられる線材をかけるための複数の線掛け突起部4435が設けられており、当接手段443の連結孔4433がピンによって枢支されて対頂ロッド44に連結されることにより、対頂ロッド44と同期に連動される。
【0022】
図3図6に示されるように、当接手段443と対頂回転シャフト41の軸孔413との間の対頂ロッド44の外周縁にはスプリングで構成される弾性部材445が取り付けられており、弾性部材445からのテンションにより当接手段443が当接部4432の方向へ押し付ける駆動力を提供し、ドリル台座423の前端の放置部424に置いたコア3の出線側凸部32に当接する。
【0023】
図7を参照すると、対頂ロッド44は、係合部444がシリンダからなる駆動手段45で駆動されることによって駆動されている。駆動手段45は、逆「C」字型の係合手段451が係合部444に係合することで係合部444を連動することにより、対頂ロッド44は、係合部444と対頂ロッド44における駆動端部412の回転を制限しないようにX軸方向のみにおいて直線状に往復移動する。また、当接部4432が対頂ロッド44の連動によりX軸方向に直線状に往復移動する際に、対頂回転シャフト41はX軸方向に直線状に往復移動することに連動されない。
【0024】
係合手段451の連動による対頂ロッド44の往、復移動する距離は、位置決めピン421と位置決め溝4434の長楕円状の長軸の両端部の間にそれぞれの間隔である。この間隔は、係合手段451において駆動手段45の出力ロッド端部452と係合部444との間に螺設される固定ネジ453の螺設した深さにより調整することができる。
【0025】
本発明の実施例を実施する時に、コア3が、入線側凸部31が留め口225に対応するよう、クランプ機構2におけるクランプ22の留め口225に供給されて巻線を行うところに、駆動手段45の駆動により、対頂機構4の対頂回転シャフト41における対頂ロッド44の一端に位置する係合部444が前へ移動されており、当接手段443の前端にある当接部4432が連動され、コア3の入線側凸部31が留め口225の中に十分に埋め込まれるようにコア3の出線側凸部32に押し付けており、出線側凸部32との当接を支持している。
【0026】
駆動手段27は押し付け部材26を駆動することで可動グリッパ223を操作して留め口225がコア3を挟持するようになってから、駆動手段434は、固定台1における連動ロッド435がクランプ機構2の軸輪25と連動されることによってクランプ22を回転させ、同時に駆動輪431を駆動してベルト432を介して対頂回転シャフト41の駆動端部412を連動している。当接手段443の両側の制限部4431がそれぞれ両側に設置される2つの支え台座425に制限されているため、対頂回転シャフト41は、当接手段443と対頂ロッド44が対頂台座42に連動されることによりクランプ22と同期に回転するようになり、巻線を行う。
【0027】
巻線が完了し、対頂回転シャフト41の回転が停止し、線材の溶接作業を行ってから、駆動手段45は、係合手段451が対頂ロッド44の係合部444に係合することで、対頂ロッド44が当接手段443を連動して後方へ移動しコア3の出線側凸部32との当接から離脱するようになる。
【0028】
また、駆動手段27は押し付け部材26を駆動することにより、留め口225がコア3をリリースするようになり、コア3は取り出されるまたは落ちて収集される。当接手段443がX軸方向のスライドレール426で移動することは、対頂回転シャフト41の回転することに連動しないので、この時、対頂回転シャフト41の駆動端部412、ベルト432と駆動手段434はすべて停止状態となり、対頂ロッド44と当接手段443の移動による影響を受けない。
【0029】
図8に示されるように、多軸巻線装置において本発明の実施例を実行する際に、コアのクランプモジュールが固定台5で間欠回転可能なテーブルTに設けられており、複数のクランプ機構6が固定台5の第1枢支部51に設置され、複数の対頂機構7が固定台5の第2枢支部52に設置されている。各クランプ機構6のクランプ回転シャフト61における一端に形成される駆動端部62が共同にベルト63により巻かれて軸輪64に連動され、各対頂機構7の対頂回転シャフト71における一端に形成される駆動端部72が共同にベルト73により巻かれて軸輪74に連動されており、連動ロッド(図示しないが、図1の連動ロッド435を参考)で軸輪74と軸輪64が連動するようになる。軸輪74の端部には、外部のモータで構成される駆動手段76に選択的に接続され駆動されるように接続手段75が設けられている。
【0030】
駆動手段76が選択的に接続手段75に接続しそれを駆動するので、駆動手段76が選択的に接続手段75から離脱する際に駆動端部62と駆動端部72の回転が緩むことにより、クランプ機構6の留め口65と対頂機構7の当接手段77は偏差で互いに対応できないことを避けるために、クランプ機構6のクランプ台座66と対頂機構7の対頂台座78の下方には、スプリングからなる弾性部材81の作用による上方への駆動力を有する支持部材8が設けられている。支持部材8は、駆動手段76が接続手段75から離脱する際にクランプ台座66と対頂台座78を偏移させないように、上方へ駆動されてクランプ台座66と対頂台座78の底部に押し付けるようになるが、もしくは駆動手段76が接続手段75に接続する際にクランプ台座66と対頂台座78が回転できるように下方へ移動するようになる。
【0031】
固定台5の両側には固定部53がそれぞれ設けられており、可動ロッド9が複数のクランプ機構6の各クランプ台座66の下方に貫通して、ロッド状の当接金具91が各クランプ機構6の可動グリッパ67に対応する一側にそれぞれ設置されている。可動ロッド9は駆動手段92により、Y軸方向において移動することで各当接金具91がそれぞれ対応するクランプ機構6の可動グリッパ67に当接することにより留め口65を開閉させるように駆動されている。
【0032】
上記のように、本発明の実施例によるコアの対頂方法、対頂機構、クランプモジュール及び巻線装置は、コア3の出線側凸部32に対頂する当接部4432がコア3の出線側凸部32との当接から離脱する際に、対頂回転シャフト41は当接部443と連動せず元の位置に維持するため、単軸巻線装置において、当接部4432がコア3を頻繁に離脱またはリリースしても、対頂回転シャフト41の枢支が緩むことによる当接部4432の中心軸はクランプ回転シャフト21に対する偏差を低減することが可能である。また、多軸巻線装置において、当接部4432がコア3を頻繁に離脱またはリリースすることが、対頂機構4全体を駆動して下方のレールで高頻度で前後移動する必要はないので、対頂回転シャフト41は、対頂機構4が緩むことによるクランプ回転シャフト21の中心軸に対する偏差が生じる恐れもなくなる。
【0033】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のコアの対頂方法、対頂機構、クランプモジュール及び巻線装置は、コアの出線側凸部に対頂する当接部が前記コアの前記出線側凸部との当接から離脱する際に、前記対頂回転シャフトは前記当接部と連動せず元の位置に維持するため、単軸巻線装置において、前記当接部が前記コアを頻繁に離脱またはリリースしても、前記対頂回転シャフトの枢支が緩むことによる前記クランプ回転シャフトに対する偏差を低減することが可能である。また、多軸巻線装置において、前記当接部が前記コアを頻繁に離脱またはリリースすることが、対頂機構全体を駆動して下方のレールで高頻度で前後移動する必要はないので、前記対頂回転シャフトは、前記対頂機構が緩むことによる前記クランプ回転シャフトの中心軸に対する偏差が生じる恐れもなくなる。
【符号の説明】
【0035】
1 固定台
11 第1枢支部
111 第1枢支孔
12 第2枢支部
121 第2枢支孔
13 ホーム
14 作業エリア
15 巻線エリア
2 クランプ機構
21 クランプ回転シャフト
22 クランプ
221 弾性部材
222 固定グリッパ
223 可動グリッパ
224 線掛け突起部
225 留め口
24 ベルト
25 軸輪
26 押し付け部材
27 駆動手段
3 コア
31 入線側凸部
32 出線側凸部
4 対頂機構(頂点を合わせる機構)
41 対頂回転シャフト
411 連接端部
412 駆動端部
413 軸孔
42 対頂台座
421 位置決めピン
422 位置決め穴
423 ドリル台座
424 放置部
425 支え台座
426 スライドレール
427 保持周縁
43 伝動機構
431 駆動輪
432 ベルト
433 テンションホイル
434 駆動手段
435 連動ロッド
44 対頂ロッド
441 軸部
442 連結部
443 当接手段
4431 制限部
4432 当接部
4433 連結孔
4434 位置決め溝
4435 線掛け突起部
444 係合部
445 弾性部材
45 駆動手段
451 係合手段
452 出力ロッド端部
453 固定ネジ
5 固定台
51 第1枢支部
52 第2枢支部
53 固定部
6 クランプ機構
61 クランプ回転シャフト
62 駆動端部
63 ベルト
64 軸輪
65 留め口
66 クランプ台座
67 可動グリッパ
7 対頂機構(頂点を合わせる機構)
71 対頂回転シャフト
72 駆動端部
73 ベルト
74 軸輪
75 接続手段
76 駆動手段
77 当接手段
78 対頂台座
8 支持部材
81 弾性部材
9 可動ロッド
91 当接金具
92 駆動手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8