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  • 特許-スマートヘルメット 図1
  • 特許-スマートヘルメット 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】スマートヘルメット
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/30 20060101AFI20250324BHJP
【FI】
A42B3/30
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023036075
(22)【出願日】2023-03-08
(65)【公開番号】P2024127138
(43)【公開日】2024-09-20
【審査請求日】2024-03-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523085762
【氏名又は名称】株式会社F2Fグループ
(74)【代理人】
【識別番号】100215371
【弁理士】
【氏名又は名称】古茂田 道夫
(72)【発明者】
【氏名】杉野 貴美廣
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533794(JP,A)
【文献】登録実用新案第3240498(JP,U)
【文献】特開2002-013019(JP,A)
【文献】実開平07-044208(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0037849(US,A1)
【文献】特開2008-174886(JP,A)
【文献】特表2022-512009(JP,A)
【文献】登録実用新案第3234455(JP,U)
【文献】国際公開第2020/184687(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3206297(JP,U)
【文献】米国特許第09013297(US,B1)
【文献】米国特許第09177458(US,B1)
【文献】英国特許出願公開第02550318(GB,A)
【文献】登録実用新案第3188530(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B3/00-3/32
A42B1/00-1/248
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二輪車を運転する使用者の少なくとも頭頂部を覆うように装着されるヘルメット本体と、
上記ヘルメット本体の上記使用者の目線より上方から前方に突出するように設けられるバイザーと、
上記バイザーの先端かつ側方の下面に配設される表示装置と
を備え、
上記側方の下面に配設される表示装置が、上記使用者の眼前に位置しないとともに、
上記表示装置が、発光により情報を上記使用者に伝達可能な1又は複数の表示部を有し、
上記表示部が、点状の発光素子又は複数の上記発光素子を連続して配置した発光素子群を含むスマートヘルメット。
【請求項2】
上記使用者の上記バイザー又は上記ヘルメット本体の左側部への接触により、上記表示部の発光の開始及び停止を制御できる制御部を備える請求項1に記載のスマートヘルメット。
【請求項3】
上記制御部が、上記使用者からの発光の開始及び停止の制御にかかわらず、強制的に発光を開始する強制発光モードを有する請求項2に記載のスマートヘルメット。
【請求項4】
上記情報を振動により上記使用者に伝える振動発振部を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスマートヘルメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートヘルメットに関する。
【背景技術】
【0002】
二輪車を運転するライダーに走行情報等を伝達する例えばスピードメータ等は、一般にハンドルの中央部に配置されている。ライダーは、視線を下部に落として情報を確認する。この場合、ライダーの視線は、道路の前方や周囲から外れることになるため、事故等を誘発するリスクが生じる。
【0003】
このリスクを回避するため、ヘルメットに装着されて使用されるヘルメットマウントディスプレイ装置が公知である(例えば特開2009-92807号公報参照)。このヘルメットマウントディスプレイ装置は、ライダーの視線の前方にディスプレイを配置し、そのディスプレイに必要な情報を表示してライダーに伝達する。このディスプレイは、例えばハーフミラーが用いられ、前方の視界を遮らないように構成されており、ライダーは視線を前方や周囲から外すことなく必要な情報を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-92807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなヘルメットマウントディスプレイ装置では視界の前方への装着が手間であったり、事故時にライダーの顔面を怪我させるおそれがあったりするところ、上記従来のヘルメットでは、ライダーの視界の前方をガードする透明なフェイスシールドにディスプレイを埋め込むことで、これらの課題が解決するとされている。
【0006】
しかしながら、上記従来のヘルメットマウントディスプレイ装置にあっても、眼前に一定の質量を持つ機器が配置されていることには変わらず、事故時にライダーの顔面を怪我させるおそれを十分に低減させているとは言えない。
【0007】
また、目前に情報が表示され、その情報が変化すると、人の性質として変化する情報に気を取られるため、視線を外していないにも関わらず、道路の前方や周囲の情報から注意が削がれ安全性が低下するという不都合が生じ易い。
【0008】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、使用者の安全性を確保しつつ情報を取得可能なスマートヘルメットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るスマートヘルメットは、使用者の少なくとも頭頂部を覆うように装着されるヘルメット本体と、上記ヘルメット本体の上記使用者の目線より上方から前方に突出するように設けられるバイザーと、上記バイザーの下面かつ周辺部に配設される表示装置とを備え、上記表示装置が、発光により情報を上記使用者に伝達可能な1又は複数の表示部を有し、上記表示部が、点状の発光素子又は複数の上記発光素子を連続して配置した発光素子群を含む。
【0010】
当該スマートヘルメットは、表示装置がバイザーの下面の周辺部に設けられており、使用者の眼前に位置しない。このため、事故時に使用者の顔面を怪我させ難い。また、当該スマートヘルメットでは、視線の片隅に表示装置が位置するため、前方を見る使用者の注意をそらし難い。さらに、表示装置が発光により情報を上記使用者に伝達するものであるため、視線の片隅にありながら、必要な情報を短時間で的確に伝達することができる。
【0011】
上記使用者の上記バイザー又は上記ヘルメット本体の左側部への接触により、上記表示部の発光の開始及び停止を制御できる制御部を備えるとよい。このように表示装置を使用者の意志により停止できる制御部を設けることで、さらに前方を見る使用者の注意をそらし難くすることができる。なお、「ヘルメット本体の左側部」とは、通常の使用状態におけるヘルメット本体の前方(使用者の正面方向)を基準として左側の側部を指す。
【0012】
上記制御部が、上記使用者からの発光の開始及び停止の制御にかかわらず、強制的に発光を開始する強制発光モードを有するとよい。このような構成を有することで、使用者の意志に関わらず情報を伝える必要が生じた場合に、適切に情報を伝達できる。
【0013】
上記情報を振動により上記使用者に伝える振動発振部を備えるとよい。このように情報を振動により伝達する機構を備えることで、より確実に使用者に情報を伝達できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスマートヘルメットは、使用者の安全性を確保しつつ情報を取得可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るスマートヘルメットを示す模式的斜視図である。
図2図2は、図1とは異なる実施形態に係るスマートヘルメットを示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るスマートヘルメットについて、適宜図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1に示すスマートヘルメット1は、ヘルメット本体10と、バイザー20と、表示装置30と、接触センサ40と、振動発振部50と、制御部60とを備える。
【0018】
<ヘルメット本体>
ヘルメット本体10は、使用者の少なくとも頭頂部を覆うように装着される部分である。図1に示すヘルメット本体10は、自動二輪車用のフルフェイスタイプのものである。図1のヘルメット本体10は、フェイスシールドを備えていないが、フェイスシールドを備えていてもよい。
【0019】
<バイザー>
バイザー20は、ヘルメット本体10の使用者の目線より上方から前方に突出するように設けられる。バイザー20は、板状で、湾曲していてもよく、折れ曲がりがあってもよい。
【0020】
バイザー20の幅方向(装着した使用者の両耳間を結ぶ方向)の中心線は、ヘルメット本体10の幅方向の中心線と一致することが好ましく、この中心線を対称軸として左右対称に構成されていることが好ましい。
【0021】
バイザー20は、例えば先端に行くほど幅が狭くなるように構成されていてもよいが、ヘルメット本体10の最大幅に対するバイザー20の最小幅の割合の下限としては、90%が好ましく、95%がより好ましい。一方、ヘルメット本体10の最大幅に対するバイザー20の最大幅の割合の上限としては、105%が好ましく、100%がより好ましい。上記最小幅の割合が上記下限未満であると、表示装置30の配置を十分に最適化できないおそれがある。逆に、上記最大幅の割合が上記上限を超えると、当該スマートヘルメット1の取扱性が低下するおそれがある。
【0022】
バイザー20の突出距離の下限としては、5cmが好ましく、10cmがより好ましい。一方、バイザー20の突出距離の上限としては、20cmが好ましく、15cmがより好ましい。バイザー20の突出距離が上記下限未満であると、表示装置30の使用者からの視認性が低下するおそれがある。逆に、バイザー20の突出距離が上記上限を超えると、前方に設置された表示装置30が使用者の視線内に常時存在し、使用者が道路の前方や周囲の情報から注意が削がれ安全性が低下するおそれがある。ここで、「バイザーの突出距離」とは、ヘルメット本体10に使用者の頭部を挿入した際の目の位置を通る鉛直面と、バイザー20の先端位置との距離を指す。
【0023】
バイザー20は、着脱可能に構成されていることが好ましい。バイザー20を着脱可能に構成することで、バイザー20が不要である場合にはヘルメット本体10のみでの使用を可能とする。また、既存の着脱式バイザー20を備えるヘルメットに対して、バイザー20を置換することで、当該スマートヘルメット1の機能を実現することができる。さらに、ヘルメットは非使用時は一般に自動二輪車のシート下や、リアボックスに収納されるが、バイザー20を着脱式とすることで、その格納容積を低減できるので、収納を容易に行うことができる。
【0024】
バイザー20が着脱可能である場合、図1に示すように、金属ホック21で着脱する構成とすることが好ましい。このように金属ホック21により着脱可能とすることで、ヘルメット本体10内に搭載されている機器と、バイザー20内に搭載されている機器との電気的接続をとり易い。
【0025】
<表示装置>
表示装置30は、バイザー20の下面かつ周辺部に配設される。中でも図1に示すように、バイザー20の先端かつ側方の下面に配設されていることが好ましい。先端に配設することで、使用者からの視認性を高められる。また、側方に配設することで道路の前方を見る使用者の注意を削ぐことを抑止できる。
【0026】
表示装置30は、発光により情報を使用者に伝達可能な1又は複数の表示部を有する。図1では、表示装置30は、第1表示部31、第2表示部32及び第3表示部33の3つの表示部から構成されている。第1表示部31及び第2表示部32は、バイザー20の下面の先端部両端にそれぞれ配置されている。第3表示部33は、バイザー20の下面の先端部で第1表示部31に隣接して配置されている。なお、この配置は例示であり、配置がこの例示に限定されることを意味するものではない。
【0027】
第1表示部31及び第2表示部32は、点状の発光素子31a、32aである。この発光素子31a、32aは、異なる色を発色可能な素子としてもよい。
【0028】
第3表示部33は、複数(図1では3つ)の発光素子33aを連続して配置した発光素子群である。このように複数の発光素子33aを連続して配置することで、発光している発光素子33aの数や位置で、程度の大小を表すことができる。また、例えば3つの発光素子33aを、緑、黄、赤等の異なる色の組み合わせとすることで、例えば危険度などを的確に使用者に伝える構成とすることもできる。
【0029】
発光素子31a、32a、33aは、例えばLEDで実現することができる。当該スマートヘルメット1では、使用者への情報の伝達に発光素子31a、32a、33aを使用する。発光素子31a、32a、33aは、発光の有無や色で情報を伝達するため、使用者は文字や数字を読み取る必要がない。このため、視線の片隅に表示されたとしても、その表示方向を注視することなく情報を認識できるという利点がある。また、2次元表示できる液晶ディスプレイ等を用いる場合に比べて安価に実現できるという利点もある。
【0030】
表示装置30により表示される情報について説明する。以下に示す事例は個別の事例であって、表示装置30により表示される情報がこれらの例示に限定されることを意味するものではない。
【0031】
(例1:ナビゲーション機能)
表示装置30は、第1表示部31及び第2表示部32を左右に曲がるポイントを示すナビゲータとして使用することができる。この場合、第1表示部31及び第2表示部32の発光素子31a、32aとして緑色のLEDを採用し、曲がるべき方向の発光素子31a、32aを使用者に伝達することができる。また、進行方向の安全や危険の状況に応じてLEDの点滅で使用者に危険度を知らせる構成を採用してもよい。
【0032】
また、第3表示部33は、曲がるべき交差点又は目的地までの距離を示す棒グラフとして使用することができる。図1の構成では第3表示部33は、3つの発光素子33aから構成されているが、この目的のために発光素子33aの個数は増やしてもよい。
【0033】
(例2:危険度表示機能)
表示装置30は、使用者の周囲の危険度を示す監視装置として使用することができる。この場合、第1表示部31及び第2表示部32は危険と判断される対象のある方向を指し、例えば進行方向右側にある場合は第1表示部31のみが点灯し、左側にある場合は第2表示部32のみが点灯し、前方にある場合は第1表示部31及び第2表示部32が両方点灯する等の構成とできる。
【0034】
また、第3表示部33は、その危険度の程度を示す棒グラフとして使用することができる。
【0035】
(例3:ダッシュボード表示機能)
表示装置30は、使用者が搭乗し走行する二輪車の走行状況を表示してもよい。これらを表示装置30に表示することで、視線を下部に落として計器を確認する頻度を低下できる。表示装置30に表示される走行状況としては、速度、エンジン回転数、走行モード、気温、エンジン温度等を挙げることができる。
【0036】
第1表示部31及び第2表示部32は、例えば路面凍結のおそれがある気温4℃未満を伝えるといった所定の要件を満たす場合に点灯するインジケータとして使用可能である。また、速度、エンジン回転数といった変化する量には第3表示部33を棒グラフとして使用することが好ましい。
【0037】
表示する必要のある項目に対応して表示部の個数を増やしてもよいし、表示を切り替え式として1つの表示部に複数の情報表示を割り当ててもよい。このとき、表示の切り替えには後述する接触センサ40を用いてもよい。
【0038】
<接触センサ>
接触センサ40は、例えばバイザー20の外面に配設され、使用者がバイザー20の特定の場所に触れたことを検知するセンサである。検知された信号は、制御部60に送られる。
【0039】
接触センサ40としては、公知のタッチパッド等を用いることができる。
【0040】
図1では、接触センサ40が特定の場所に配置される場合を例示しているが、バイザー20全体を接触センサ40で覆い、任意の場所に触れたことを検知する構成とすることもできる。また、接触センサ40に代えて、特定の振動を検知する振動センサを用い、例えば使用者がバイザー20を叩いた場合に、使用者がバイザー20に接触したことを検知する構成としてもよい。
【0041】
<振動発振部>
振動発振部50は、上記情報を振動により使用者に伝える。このように情報を振動により伝達する機構を備えることで、より確実に使用者に情報を伝達できる。
【0042】
振動発振部50は、音声又は特定の周波数音を発信可能な、例えば骨伝導スピーカ等を用いることができる。あるいは振動発振部50として、ヘルメット本体10を揺動する振動を発するものであってもよい。
【0043】
振動発振部50が音を発するものである場合、図1に示すように振動発振部50は、ヘルメット本体10を装着した使用者の両耳付近に位置するように、ヘルメット本体10内に配置されていることが好ましい。
【0044】
振動発振部50の振動は、後述する制御部60により制御される。制御部60は、バイザー20に配設されているので、振動発振部50と制御部60との間は、バイザー20とヘルメット本体10との間を跨いで電気的に接続する必要が生じる。この場合、上述したようにバイザー20の金属ホック21を介して振動発振部50と制御部60とを電気的に接続するとよい。
【0045】
また、既存の着脱式バイザー20を備えるヘルメットに対して、バイザー20を用いる場合、既存のヘルメットには、振動発振部50が内蔵されていないことが想定されるが、この場合、振動発振部50は機能しないものの、その他の機能は実現されることとなる。
【0046】
<制御部>
制御部60は、表示装置30の表示を制御する。制御部60は、例えばマイクロコントローラ、バッテリー、メモリ等で構成できる。また、外部と通信できるアンテナを内蔵していてもよい。例えば当該スマートヘルメット1を危険度表示機能として機能させる場合、その危険度は制御部60が有するマイクロコントローラにより計算されてもよく、アンテナを介してネットワークで結ばれるクラウドサーバなどの外部コンピュータで計算してもよい。
【0047】
制御部60は、接触センサ40により検知される使用者のバイザー20への接触により、上記表示部の発光の開始及び停止を制御できる。この機能により、使用者の意志により表示を停止あるいは再開することができる。このように表示装置30を使用者の意志により停止できる制御部60を設けることで、さらに前方を見る使用者の注意をそらし難くすることができる。
【0048】
また、例えば当該スマートヘルメット1をダッシュボード表示機能として機能させる場合、例えば表示機能を機能1及び機能2の2群に分けて、使用者のバイザー20への接触により、表示部の発光を機能1、機能2、停止を循環的に繰り返す構成としてもよい。一定時間間隔で機能1、機能2の表示を繰り返すと、表示の切り替わり時に使用者の注意を引き、道路の前方を見る使用者の注意を削ぐおそれがある。これに対し、機能1、機能2、停止を循環的に繰り返す構成とすることで、道路の前方を見る使用者の注意を削ぐことを抑止できる。
【0049】
制御部60が、上者からの発光の開始及び停止の制御にかかわらず、強制的に発光を開始する強制発光モードを有することが好ましい。このような構成を有することで、使用者の意志に関わらず情報を伝える必要が生じた場合に、適切に情報を伝達できる。具体的には、当該スマートヘルメット1を危険度表示機能として機能させる場合に、真に安全にかかわる危険な状況を検知した場合などに有効な機能である。
【0050】
制御部60は、振動発振部50の動作も制御する。制御部60は、表示装置30の表示と連動して、あるいは表示装置30の表示のうち重要度の高い情報を選択して、振動発振部50を動作させて、使用者に必要な情報を聴覚でも認識できるようにする。
【0051】
<利点>
当該スマートヘルメット1は、表示装置30がバイザー20の下面の周辺部に設けられており、使用者の眼前に位置しない。このため、事故時に使用者の顔面を怪我させ難い。また、当該スマートヘルメット1では、視線の片隅に表示装置30が位置するため、前方を見る使用者の注意をそらし難い。さらに、表示装置30が発光により情報を使用者に伝達するものであるため、視線の片隅にありながら、必要な情報を短時間で的確に伝達することができる。
【0052】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0053】
上記実施形態では、ヘルメット本体が自動二輪車用のフルフェイスヘルメットを例にとり説明したが、本発明のスマートヘルメットのヘルメット本体は、自動二輪車用のフルフェイスヘルメットに限定されるものではない。上記ヘルメット本体は、オフロードヘルメットやストリートジェットヘルメット等であってもよい。また、当該スマートヘルメットは、自転車用のヘルメット、学童の帽子など、頭部に装着する他のものに利用することも可能である。
【0054】
上記実施形態では、制御部が使用者のバイザーへの接触により、表示部の発光の開始及び停止を制御できる構成を説明したが、この制御は必須ではなく省略可能である。上述の制御を省略する場合、接触センサは不要とできる。
【0055】
また、使用者の接触はバイザーへの接触に限定されず、例えばヘルメット本体への接触であってもよく、手袋等に装着されたセンサへの接触であってもよい。接触を検知すれば、その信号が制御部に送られ、制御部は上述と同様の制御を行うことができる。
【0056】
使用者の接触をヘルメット本体への接触とする場合は、ヘルメット本体の左側部とすることが好ましい。すなわち、制御部は、上記使用者の上記ヘルメット本体の左側部への接触により、上記表示部の発光の開始及び停止を制御できる。自動二輪車を運転する使用者の右手はアクセルを担当することとなる。使用者の接触をヘルメット本体の左側部への接触とすることで、左手で容易に接触することができるので、運転への影響を抑止しつつ、表示部の発光の開始及び停止を制御できる。
【0057】
上記実施形態では、当該スマートヘルメットが振動発振部を備える場合を説明したが、振動発振部を備えないスマートヘルメットも本発明の意図するところである。
【0058】
上記実施形態では、制御部がバイザー内に搭載されている場合を説明したが、制御部はヘルメット本体内など他の場所に搭載されていてもよい。
【0059】
上記実施形態では、表示部が発光素子及び発光素子群で構成されている場合を説明したが、表示部は発光素子のみ、あるいは発光素子群のみで構成されていてもよい。また、発光素子及び発光素子群以外の表示素子、例えば数字等を表示できる2次元表示機構などを有していてもよい。上記2次元表示機構としては、液晶パネルや集積LEDを用いることができる。
【0060】
また、例えば図2に示すスマートヘルメット2のように、表示装置30として、バイザー20の先端縁に液晶ディスプレイ34を設け、液晶ディスプレイ34の一部の表示領域を用いて第1表示部31、第2表示部32及び第3表示部33を実現してもよい。なお、図2のスマートヘルメット2において、他の構成要素は第1実施形態のスマートヘルメット1と同様であるので、同一符号を付して詳細説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上説明したように、本発明のスマートヘルメットは、使用者の安全性を確保しつつ情報を取得可能である。
【符号の説明】
【0062】
1、2 スマートヘルメット
10 ヘルメット本体
20 バイザー
21 金属ホック
30 表示装置
31 第1表示部
31a 発光素子
32 第2表示部
32a 発光素子
33 第3表示部
33a 発光素子
34 液晶ディスプレイ
40 接触センサ
50 振動発振部
60 制御部

図1
図2