(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
B05B 11/00 20230101AFI20250324BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20250324BHJP
F04B 9/14 20060101ALI20250324BHJP
【FI】
B05B11/00 102G
B05B11/00 102Z
B65D47/34 200
F04B9/14 C
(21)【出願番号】P 2020080093
(22)【出願日】2020-04-30
【審査請求日】2022-11-01
【審判番号】
【審判請求日】2024-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘幸
【合議体】
【審判長】川俣 洋史
【審判官】殿川 雅也
【審判官】山本 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-209999号公報(JP,A)
【文献】特開2018-108544号公報(JP,A)
【文献】特開2017-213496号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 11/00 - 11/10
B65D 39/00 - 55/16
F04B 9/00 - 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容される容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体の前方に配設され、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部と、
所定値よりも大きい圧力が加えられた場合に開き、前記噴出孔からの液体の噴出を許容する弁部と、
を備え、
前記噴出器本体は、
上下方向に延在するとともに、前記容器体内の液体を吸い上げる縦供給筒部と、
前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方移動可能に配設されたトリガー部と、
前記トリガー部が連結された筒状のピストン本体と前記ピストン本体に連なる摺動部を有し、前記トリガー部の前後動に伴い前後動するピストンと、
前記ピストン本体に挿入された筒状のピストンガイドを有し、前記ピストンの前後動に伴って前記摺動部が摺動することで加圧および減圧させられるシリンダと、
前記縦供給筒部から
前方に突出し、前記ピストンガイドの内部に嵌合された嵌合筒部と、
を備え、
前記摺動部は、前記ピストンガイドの外周面に対して摺動する内摺動部と、前記シリンダの内周面に対して摺動する外摺動部と、を含み、
前記噴出器本体には、前記ピストンが後方位置に位置したときに前記ピストンガイドの内部および前記嵌合筒部の内部を通じて前記シリンダ内と前記容器体内とを連通させる回収通路が形成され、
前記ピストンガイドの内周面と前記嵌合筒部の外周面との少なくとも一方には、前記ピストンガイドの内周面と前記嵌合筒部の外周面との間を封止する環状のシール凸部が形成され
、
前記ピストンガイドの後端部における外周面には、窪み部が形成され、
前記嵌合筒部の前端部は、前記窪み部よりも前方に位置し、
前記シール凸部は、前記嵌合筒部の前端部よりも後方に位置していることを特徴とするトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記縦供給筒部は、
上下方向に延び、下方に開口する外筒部と、
前記外筒部よりも径方向の内側に位置する内筒部と、
を備え、
前記外筒部の内周面と前記内筒部の外周面との間には、上下方向に延び下方に開口する回収隙間が形成され、
前記嵌合筒部の内部は、前記回収隙間と連通し、
前記回収通路は、前記回収隙間を通じて前記シリンダ内と前記容器体内とを連通させることを特徴とする請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー式液体噴出器として、例えば下記特許文献1のような構成が知られている。このようなトリガー式液体噴出器は、液体が収容される容器体に装着される噴出器本体と、噴出器本体の前方に配設され、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部と、を備えている。噴出器本体は、上下方向に延在するとともに、容器体内の液体を吸い上げる縦供給筒部と、縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方移動可能に配設され、後方への移動によって液体を縦供給筒部内から噴出孔側に向けて流通させるトリガー部と、トリガー部が連結された筒状のピストン本体を有するピストンと、ピストン本体に挿入された筒状のピストンガイドを有し、ピストンの前後動に伴って加圧および減圧させられるシリンダと、縦供給筒部から突出し、ピストンガイドの内部に嵌合された嵌合筒部と、を備えている。
【0003】
上述したトリガー式液体噴出器では、例えば容器体内の液体の残量が少なくなると、シリンダ内に液体とともに空気が混入する可能性がある。シリンダ内に混入した空気は、トリガー部の操作によってシリンダ内で液体と混合されることで、気泡となって残存し易い。シリンダ内に気泡が存在すると、噴出不良等を招く要因となる。
そこで、上述したトリガー式液体噴出器には、例えばピストンが最後端位置まで移動したときに、ピストンガイドの内部、嵌合筒部の内部、および縦供給筒部の内部を通じてシリンダ内と容器体内とを連通させる回収通路が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、上記のようなトリガー式液体噴出器には、所定値よりも大きい圧力が加えられた場合に開き、噴出孔からの液体の噴出を許容する弁部が設けられる場合がある。この場合、弁部が開くまでの間、シリンダの内圧が比較的大きくなりやすい。そのため、シリンダの内部から回収通路に流れる液体の圧力が比較的大きくなり、回収通路を流れる液体の一部が、ピストンガイドと嵌合筒部との間からトリガー式液体噴出器の外部に漏れ出す虞があった。
【0006】
本発明の一つの態様は、上記事情に鑑みて、容器体内の液体が外部に漏れ出すことを抑制できるトリガー式液体噴出器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のトリガー式液体噴出器の一つの態様は、液体が収容される容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前方に配設され、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部と、所定値よりも大きい圧力が加えられた場合に開き、前記噴出孔からの液体の噴出を許容する弁部と、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延在するとともに、前記容器体内の液体を吸い上げる縦供給筒部と、前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方移動可能に配設されたトリガー部と、前記トリガー部が連結された筒状のピストン本体と前記ピストン本体に連なる摺動部を有し、前記トリガー部の前後動に伴い前後動するピストンと、前記ピストン本体に挿入された筒状のピストンガイドを有し、前記ピストンの前後動に伴って前記摺動部が摺動することで加圧および減圧させられるシリンダと、前記縦供給筒部から前方に突出し、前記ピストンガイドの内部に嵌合された嵌合筒部と、を備え、前記摺動部は、前記ピストンガイドの外周面に対して摺動する内摺動部と、前記シリンダの内周面に対して摺動する外摺動部と、を含み、前記噴出器本体には、前記ピストンが後方位置に位置したときに前記ピストンガイドの内部および前記嵌合筒部の内部を通じて前記シリンダ内と前記容器体内とを連通させる回収通路が形成され、前記ピストンガイドの内周面と前記嵌合筒部の外周面との少なくとも一方には、前記ピストンガイドの内周面と前記嵌合筒部の外周面との間を封止する環状のシール凸部が形成され、前記ピストンガイドの後端部における外周面には、窪み部が形成され、前記嵌合筒部の前端部は、前記窪み部よりも前方に位置し、前記シール凸部は、前記嵌合筒部の前端部よりも後方に位置していることを特徴とする。
【0008】
本発明のトリガー式液体噴出器の一つの態様によれば、ピストンガイドの内周面と嵌合筒部の外周面との少なくとも一方には、ピストンガイドの内周面と嵌合筒部の外周面との間を封止する環状のシール凸部が形成されている。このようにピストンガイドの内周面と嵌合筒部の外周面との少なくとも一方を部分的に突出させてシール凸部を設けることで、シール凸部をピストンガイドの内周面と嵌合筒部の外周面との他方に比較的大きい力で接触させることができ、ピストンガイドの内周面と嵌合筒部の外周面との間を好適に封止できる。そのため、シリンダの内圧が比較的大きくなって回収通路を流れる液体の圧力が比較的大きくなっても、ピストンガイドと嵌合筒部との間から液体が漏れ出すことを抑制できる。これにより、容器体内に液体を再充填した後、および容器体を液体が充填された他の容器体に差し替えた後にプライミングする場合等の液体が特に漏れ出しやすい場合であっても、ピストンガイドと嵌合筒部との間から液体が漏れ出すことを抑制できる。したがって、本発明のトリガー式液体噴出器の一つの態様によれば、容器体内の液体が外部に漏れ出すことを抑制できる。また、シール凸部が設けられることで嵌合筒部をピストンガイドに強固かつ安定して嵌合できる。そのため、嵌合筒部を介して縦供給筒部をシリンダに強固かつ安定して取り付けることができる。これにより、縦供給筒部がガタつくことを抑制できる。
【0009】
前記縦供給筒部は、上下方向に延び、下方に開口する外筒部と、前記外筒部よりも径方向の内側に位置する内筒部と、を備え、前記外筒部の内周面と前記内筒部の外周面との間には、上下方向に延び下方に開口する回収隙間が形成され、前記嵌合筒部の内部は、前記回収隙間と連通し、前記回収通路は、前記回収隙間を通じて前記シリンダ内と前記容器体内とを連通させる構成としてもよい。
この構成によれば、外筒部の内周面と内筒部の外周面との間に形成された回収隙間を利用することで、嵌合筒部の内部を通じてシリンダ内と容器体内とを連通させる回収通路を容易に設けることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一つの態様によれば、容器体内の液体が外部に漏れ出すことを抑制できるトリガー式液体噴出器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態のトリガー式噴出器を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のトリガー式噴出器の一部を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態のピストンガイドの一部および嵌合筒部の一部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の縦供給筒部を下方から見た図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の第1取付部材を上方から見た図である。
【
図6】
図6は、本実施形態のトリガー式噴出器の一部を示す断面図であって、
図2におけるVI-VI断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、本発明に係るトリガー式液体噴出器が容器体に取り付けられて構成された噴出容器について説明する。また、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
【0013】
図1に示す噴出容器1は、液体が収容される容器体2と、容器体2の口部2aに着脱可能に取り付けられたトリガー式液体噴出器3と、を備えている。
本実施形態の容器体2内に収容される液体には、例えば浴室やトイレ等に使用される洗剤であって、水と同等の粘度を有するものが好適に用いられている。このような洗剤は、例えば、界面活性剤を含み泡化する。浴室やトイレ等に使用される洗剤は、例えば、住居用の浴室やトイレ等に使用される洗剤である。なお、容器体2内に収容される液体は、特に限定されず、適宜変更が可能である。容器体2内に収容される液体は、例えば、食器用洗剤等であってもよい。また、容器体2内に収容される液体は、洗剤でなくてもよく、例えば、衣類等に用いられる消臭剤、芳香剤等であってもよい。
【0014】
トリガー式液体噴出器3は、噴出器本体10と、ノズル部11と、正倒立用アダプタ12と、を備えている。
噴出器本体10は、容器体2に装着されている。噴出器本体10は、容器体2内の液体を吸い上げる縦供給筒部14と、縦供給筒部14によって吸い上げられた液体をノズル部11に導く射出筒部15と、縦供給筒部14内および射出筒部15内に液体を流通させるトリガー機構16と、縦供給筒部14から突出する嵌合筒部25と、を備えている。
【0015】
縦供給筒部14は、全体として一方向に延在する筒状の部分である。縦供給筒部14は、外筒部21と、内筒部22と、連結壁部45と、装着筒部23と、連結筒部24と、を備えている。外筒部21と内筒部22とは、第1軸線O1を中心として同軸に配置された筒状である。装着筒部23と連結筒部24とは、第2軸線O2を中心として同軸配置された筒状である。本実施形態において第1軸線O1と第2軸線O2とは、互いに平行であり、互いに離れて配置されている。
【0016】
以下の説明において、第1軸線O1に沿う方向を上下方向といい、各図においてZ軸方向で示す。上下方向は、縦供給筒部14が延在する一方向である。正立姿勢の噴出容器1において、上下方向のうちトリガー式液体噴出器3から容器体2に向かう方向(-Z方向)を下方といい、上下方向のうち容器体2からトリガー式液体噴出器3に向かう方向(+Z方向)を上方という。
【0017】
また、上下方向から見た平面視において、第1軸線O1に交差する方向を径方向という。径方向のうち、一方向を前後方向といい、各図においてY軸方向で示す。前後方向における縦供給筒部14から射出筒部15が延びる方向(+Y方向)を前方といい、その反対方向(-Y方向)を後方という。また、径方向のうち、前後方向に直交する方向を左右方向といい、各図においてX軸方向で示す。本実施形態の例では、第2軸線O2は、容器体2の容器軸線と一致しており、第1軸線O1は、第2軸線O2および容器体2の容器軸線に対して後方に偏心している。なお、第1軸線O1と容器軸線とは同軸であってもよい。
【0018】
外筒部21は、上下方向に延び、下方に開口する有頂筒状である。外筒部21における周壁部の上部には、前方に向けて開口する吐出口26が形成されている。
図2に示すように、外筒部21の周壁部における上下方向の中央部には、前方に向けて開口する供給口27および孔部21aが形成されている。供給口27は、孔部21aよりも上方に位置している。なお、供給口27は、孔部21aよりも下方に位置していてもよい。外筒部21の内周面には、上下方向に延び下方に開口する連通溝29が形成されている。連通溝29の上端部は、孔部21aに連通している。連通溝29の下端部は、外筒部21の下端縁で開口している。
【0019】
外筒部21の外周面における上下方向の中央部には、嵌合筒部25が形成されている。本実施形態において嵌合筒部25は、外筒部21の外周面の前方部分における孔部21aの周縁部から前方に突出する円筒状である。嵌合筒部25は、前後方向両側に開口している。嵌合筒部25は、例えば、外筒部21と一体成形されている。嵌合筒部25は、後述するピストンガイド78の内部に後方から挿し込まれて嵌合されている。嵌合筒部25の内部は、孔部21aの内部と繋がっている。嵌合筒部25の内部と孔部21aとによって、排出口28が形成されている。排出口28は、例えば、供給口27よりも下方に位置する。排出口28は、後述するピストンガイド78の内部と回収隙間Gとを繋いでいる。つまり、嵌合筒部25の内部は、回収隙間Gと連通している。
図3に示すように、嵌合筒部25の前方の端部には、前方に向かうに従って嵌合筒部25の外径が小さくなるテーパ部25aが設けられている。
【0020】
嵌合筒部25の外周面には、環状のシール凸部25bが形成されている。シール凸部25bは、嵌合筒部25の中心軸を中心とする径方向の外側に突出している。シール凸部25bは、例えば、嵌合筒部25の中心軸を中心とする円環状である。シール凸部25bは、例えば、嵌合筒部25の前方部分の外周面に設けられている。シール凸部25bは、例えば、テーパ部25aよりも後方に位置する。
【0021】
シール凸部25bは、全周に亘って後述するピストンガイド78の内周面に接触している。これにより、シール凸部25bは、ピストンガイド78の内周面と嵌合筒部25の外周面との間を封止している。嵌合筒部25がピストンガイド78の内部に嵌合された状態においてシール凸部25bは、例えば、嵌合筒部25の中心軸を中心とする径方向の内側に圧縮弾性変形している。
【0022】
なお、
図3では、嵌合筒部25の外周面のうちシール凸部25bが設けられた部分以外の部分は、ピストンガイド78の内周面と隙間を介して対向しているが、これに限られない。例えば、シール凸部25bがさらに圧縮弾性変形する等により、嵌合筒部25の外周面のうちシール凸部25bが設けられた部分以外の部分の少なくとも一部が、ピストンガイド78の内周面と接触していてもよい。
【0023】
図2に示すように、連結筒部24は、外筒部21よりも径方向の外側に位置している。連結筒部24は、外筒部21の下端部を囲んでいる。本実施形態において連結筒部24は、第2軸線O2を中心とする円筒状である。連結筒部24の上端部は、前方側の部分を除いて、外筒部21の外周面に繋がっている。連結筒部24の上端部のうち前方側の部分は、後述するシリンダ用筒部75の外周面における下端部に繋がっている。連結筒部24の下端部は、外筒部21の下端部よりも下方に位置している。本実施形態において連結筒部24は、外筒部21と一体に形成されている。
【0024】
内筒部22は、外筒部21よりも径方向の内側に位置している。本実施形態において内筒部22は、外筒部21の下方から外筒部21内に嵌め込まれている。上述したように外筒部21には連通溝29が形成されているため、外筒部21の内周面のうち前記連通溝29が形成された部分と内筒部22の外周面との間には、上下方向に延び下方に開口する回収隙間Gが形成されている。回収隙間Gは、装着筒部23の内部に開口している。内筒部22は、外筒部21と同軸に配置されている。内筒部22の下端部は、外筒部21よりも下方に突出している。
図1に示すように、内筒部22の上部は、下部に比べて外径が小さい小径部34を構成している。内筒部22の内周面と小径部34の外周面との間には、連絡通路S1が形成されている。連絡通路S1は、上下方向に延びて吐出口26と供給口27とを接続している。なお、小径部34の上端縁は、外筒部21の天壁部に外筒部21の下方から近接または当接している。
【0025】
小径部34には、径方向の内側に向けて弁座部35が突設されている。弁座部35は、径方向の内側に向かうに従い下方に延在するテーパ筒状に形成されている。内筒部22内において、小径部34、弁座部35および外筒部21の天壁部で囲まれた空間は、ボール弁41が収容される収容空間40を画成している。ボール弁41は、収容空間40内の圧力や自重によって弁座部35から接離可能に構成されている。
【0026】
なお、本実施形態のボール弁41は、容器体2内に収容される液体よりも比重が大きく、噴出容器1が正立姿勢のとき自重によって弁座部35に着座可能な材質により形成されている。このような材料として、本実施形態のボール弁41には、金属材料(例えば、SUS)が好適に用いられている。なお、上述した条件を満たせば、ボール弁41は金属材料以外(例えば、ガラス等)により形成されていてもよい。
【0027】
収容空間40は、小径部34の上端縁に形成された切欠き部42を通じて上述した連絡通路S1に連通している。収容空間40は、ボール弁41が弁座部35に着座した状態において、内筒部22の内部のうち収容空間40よりも下方に位置する部分と遮断される。これにより、内筒部22内と連絡通路S1との連通が遮断される。収容空間40は、ボール弁41が弁座部35から離間した状態において、内筒部22の内部のうち収容空間40よりも下方に位置する部分と連通される。これにより、収容空間40を介して、内筒部22内と連絡通路S1とが連通される。
【0028】
装着筒部23は、
図2に示すように、上下方向の両側に開口する筒状である。装着筒部23は、外筒部21および内筒部22よりも径方向の外側に位置している。装着筒部23は、内筒部22のうち外筒部21よりも下方に突出した部分、および外筒部21の下端部を囲んでいる。
図4に示すように、本実施形態において装着筒部23は、第2軸線O2を中心とする円筒状である。
図2に示すように、装着筒部23は、連結筒部24の内側に嵌合されている。本実施形態において装着筒部23と連結筒部24とは、アンダーカット嵌合によって固定されている。装着筒部23の下端部は、内筒部22の下端部よりも下方に位置している。装着筒部23には、径方向の外側に張り出す外フランジ部51が形成されている。外フランジ部51は、連結筒部24の下方に対向して配置されている。外フランジ部51は、容器体2の口部2aの上方に位置している。外フランジ部51は、シール部材を介して口部2aと接触している。
【0029】
連結壁部45は、
図2および
図4に示すように、内筒部22の外周面から径方向の外側に拡がっている。連結壁部45の径方向外周縁部は、装着筒部23の内周面に繋がっている。これにより、連結壁部45は、内筒部22と装着筒部23とを繋いでいる。本実施形態において内筒部22と装着筒部23と連結壁部45とは、一体に形成されている。
図2に示すように、本実施形態において連結壁部45は、内筒部22の下端部よりも上方に位置し、かつ、装着筒部23の上端部よりも下方に位置している。連結壁部45は、後述するシリンダ用筒部75の下方に離れて配置されている。連結壁部45とシリンダ用筒部75との間には、途中空間S6が画成されている。
図4に示すように、連結壁部45の外形は、上下方向から見て、例えば、第2軸線O2と同軸に配置された円形状である。
【0030】
連結壁部45は、
図2および
図4に示すように、径方向に拡がって内筒部22と装着筒部23とを繋ぐ壁部本体45aと、壁部本体45aから下方に突出する隆起部45bと、を備えている。
隆起部45bは、
図4に示すように、内筒部22を囲む環状であり、内周縁部が内筒部22の外周面に繋がっている。
図2および
図4に示すように、隆起部45bのうち前方側に位置する部分には、上方に窪む凹部46が形成されている。凹部46は、隆起部45bの外周縁部から内筒部22の外周面まで延びている。
図2に示すように、凹部46の天面46aは、壁部本体45aの下面45cよりも下方に位置している。天面46aは、凹部46の内側面のうち下方を向く面である。
【0031】
図4に示すように、壁部本体45aの下面45cには、複数のリブ47が形成されている。複数のリブ47は、径方向に延びて隆起部45bの径方向外周縁部と装着筒部23の内周面とを繋いでいる。複数のリブ47は、第1軸線O1周りの周方向に沿って互いに間隔を空けて配置されている。本実施形態においてリブ47は、例えば、3つ設けられている。3つのリブ47のうち1つのリブ47は、前後方向に延びて、隆起部45bのうち凹部46が形成された部分の径方向外周縁部と装着筒部23の内周面とを繋いでいる。
図2に示すように、リブ47の下面は、例えば、凹部46の天面46aと上下方向において同じ位置に配置されている。
【0032】
連結壁部45には、連結壁部45を上下方向に貫通する第1貫通孔48および第2貫通孔49が形成されている。
第1貫通孔48は、連結壁部45のうち隆起部45bが設けられた部分を上下方向に貫通している。第1貫通孔48は、壁部本体45aと隆起部45bとを上下方向に貫通している。本実施形態において第1貫通孔48は、隆起部45bにおける凹部46が設けられた部分のうち径方向の内側寄りの部分を上下方向に貫通している。
【0033】
第1貫通孔48は、
図4に示すように、上下方向から見て、第1軸線O1を中心とする周方向に延びる円弧状である。
図2に示すように、第1貫通孔48には、外筒部21のうち回収隙間Gを介して内筒部22と対向する部分における下端部が上方から嵌合されている。本実施形態において外筒部21のうち回収隙間Gを介して内筒部22と対向する部分とは、連通溝29が形成された部分である。第1貫通孔48の径方向の外側面には、外筒部21の外周面が接触している。
第1貫通孔48は、装着筒部23内に開口する第1開口部48aを有している。第1開口部48aは、第1貫通孔48の下端部である。本実施形態において第1開口部48aは、凹部46の天面46aのうち径方向の内側寄りの部分に設けられている。
【0034】
第2貫通孔49は、連結壁部45のうち隆起部45bよりも径方向の外側に位置する部分を上下方向に貫通している。第2貫通孔49は、壁部本体45aを上下方向に貫通している。
図4に示すように、第2貫通孔49は、第1貫通孔48よりも前方に位置しており、かつ、第1貫通孔48に対して左右方向(X軸方向)に異なる位置に配置されている。第2貫通孔49は、例えば、上下方向から見て、円形状である。第2貫通孔49は、第1軸線O1周りの周方向において、隣り合うリブ47同士の間に位置している。
【0035】
第2貫通孔49は、
図2に示すように、装着筒部23内に開口する第2開口部49aを有している。第2開口部49aは、第2貫通孔49の下端部である。本実施形態において第2開口部49aは、壁部本体45aの下面45cに開口している。第2開口部49aは、第1開口部48aに対して上下方向と直交する方向に離れて配置されている。
図4に示すように、本実施形態において第2開口部49aは、第1開口部48aよりも前方に位置しており、かつ、第1開口部48aに対して左右方向(Y軸方向)に異なる位置に配置されている。
図2に示すように、第2開口部49aは、第1貫通孔48の第1開口部48aに対して上下方向に異なる位置に配置されている。本実施形態において第2開口部49aは、第1開口部48aよりも上方に位置している。
【0036】
射出筒部15は、
図1に示すように、縦供給筒部14の前方に配設されている。射出筒部15は、外筒部21の上端部から前方に向けて突出している。本実施形態において射出筒部15は、外筒部21に一体で形成されている。射出筒部15内は、吐出口26を通じて上述した連絡通路S1に連通している。射出筒部15は、前方に開口する前端開口部15aを有する。
射出筒部15の下方には、シリンダ用筒部75が形成されている。シリンダ用筒部75は、外筒部21、連結筒部24および射出筒部15と一体に形成されている。シリンダ用筒部75は、前方に向けて開口するとともに、後端開口部が外筒部21によって閉塞されている。シリンダ用筒部75の下方側の壁部のうち連結筒部24が繋がる部分よりも後方に位置する部分には、外気連通孔82が形成されている。外気連通孔82は、シリンダ用筒部75の内部と連結筒部24の内部とを連通させる。外気連通孔82は、途中空間S6に開口している。
【0037】
トリガー機構16は、シリンダ71およびピストン72を有するポンプ部61と、カバー体62と、トリガー部63と、弾性板部64と、を備えている。
シリンダ71は、前方に開口する有底筒状に形成されている。なお、以下の説明では、シリンダ71の中心軸線をシリンダ軸O3とする。シリンダ軸O3は、前後方向に延在している。シリンダ軸O3は、例えば、嵌合筒部25の中心軸と一致している。つまり、シリンダ71と嵌合筒部25とは、例えば、互いに同軸に配置されている。シリンダ71は、シリンダ軸O3と同軸に延びる収容筒77およびピストンガイド78と、収容筒77およびピストンガイド78の後端縁同士を接続する底壁部79と、を備えている。
【0038】
収容筒77は、射出筒部15の下方に形成されたシリンダ用筒部75内に嵌合されている。収容筒77には、シリンダ71内への液体の流入に伴い、容器体2内に外気を導入する外気導入孔80が形成されている。収容筒77は、前後方向の両端部がシリンダ用筒部75の内周面に密接している。一方、収容筒77の外周面と、シリンダ用筒部75の内周面と、の間のうち、前後方向の中央部には環状の隙間P1が形成されている。隙間P1は、外気導入孔80を通じてシリンダ71内に連通している。
図2に示すように、隙間P1は、シリンダ用筒部75に形成された外気連通孔82、および途中空間S6を通じて第2貫通孔49に連通している。
【0039】
底壁部79は、シリンダ軸O3を中心とする円環状である。底壁部79の外周縁部は、収容筒77の後端部に繋がっている。底壁部79の内周縁部は、ピストンガイド78の後端部に繋がっている。底壁部79には、後方に突出する嵌合部79aが形成されている。嵌合部79aは、供給口27に嵌合されている。嵌合部79aには、嵌合部79aを前後方向に貫通する連通口81が形成されている。連通口81は、シリンダ71内と連絡通路S1とを連通させる。
【0040】
ピストンガイド78は、底壁部79の内周縁部から前方に向けて突出している。ピストンガイド78は、後方に向けて開口する有頂筒状に形成されている。ピストンガイド78は、例えば、嵌合筒部25と同軸に配置されている。ピストンガイド78の内部は、嵌合筒部25の内部に連通している。これにより、ピストンガイド78の内部は、上述した排出口28に連通している。ピストンガイド78の頂壁部には、頂壁部を前後方向に貫通する貫通孔83が形成されている。ピストンガイド78の後端部における外周面には、シリンダ軸O3の径方向の内側に窪む窪み部84が形成されている。窪み部84は、ピストンガイド78の全周に亘って形成されている。なお、窪み部84は、間欠的に形成されていてもよい。
【0041】
ピストン72は、
図1に示すように、収容筒77内に前後動可能に収容されている。ピストン72は、ピストン本体91と、ピストン本体91に連なる摺動部としての内摺動部92および外摺動部93と、を備えている。
ピストン本体91は、後方に向けて開口する有頂筒状に形成されている。ピストン本体91は、シリンダ軸O3と同軸に配置された円筒状である。ピストン本体91の内側には、上述したピストンガイド78が挿入されている。
【0042】
内摺動部92は、ピストン本体91の後端開口縁から後方に延びている。内摺動部92の後端部は、ピストン72の前後動に伴いピストンガイド78の外周面に摺動可能に構成されている。つまり、内摺動部92は、ピストンガイド78の外周面に対して摺動する。内摺動部92の後端部は、ピストン72が最後端位置に到達した際に、ピストンガイド78の外周面が窪んだ窪み部84と対向する位置となる。そのため、内摺動部92の後端部は、ピストン72が最後端位置に到達した際にピストンガイド78の外周面から離間する。これにより、ピストン本体91内とシリンダ71内とが、内摺動部92と窪み部84との間を通じて連通する。
【0043】
外摺動部93は、ピストン本体91の後端部に接続されている。外摺動部93は、ピストン本体91の周囲を取り囲んでいる。外摺動部93は、前後方向の中央部から前方および後方に向かうに従い漸次拡径したテーパ筒状に形成されている。外摺動部93の前後両端部は、ピストン72の前後動に伴い収容筒77の内周面に摺動可能に構成されている。つまり、外摺動部93は、シリンダ71の内周面に対して摺動する。外摺動部93は、ピストン72が最前端位置にあるとき上述した外気導入孔80を閉塞している。一方、外摺動部93は、ピストン72が後方移動することで、外気導入孔80を開放する。
ピストン72の前後動に伴って摺動部としての内摺動部92および外摺動部93が摺動することで、シリンダ71の内部は、加圧および減圧させられる。ピストン72が後方に移動することで、シリンダ71の内部は加圧される。ピストン72が前方に移動することで、シリンダ71の内部は減圧される。
【0044】
カバー体62は、縦供給筒部14および射出筒部15を上方、後方および左右方向の両側から覆っている。
トリガー部63は、縦供給筒部14の前方に配設されている。トリガー部63は、下方に向かうに従い前方に向けて湾曲しながら延在している。トリガー部63の上端部は、左右方向に延びる軸線C1回りに回動可能に射出筒部15に連結されている。トリガー部63は、軸線C1回りに回動することで、前後動する。トリガー部63における上下方向の中央部は、ピストン本体91の前端部に、左右方向に延びる軸線C2回りに回動可能、かつ上下方向に移動可能に連結されている。ピストン72は、トリガー部63の軸線C1回りの回動動作、すなわち前後動に伴い、シリンダ71に対して前後動する。
弾性板部64は、射出筒部15とトリガー部63との間に介在している。弾性板部64は、トリガー部63を軸線C1回りの前方に向けて付勢している。これにより、トリガー部63は、前方付勢状態で後方移動可能に配設されている。
【0045】
なお、本明細書において「トリガー部およびピストンが前後動する」とは、前後方向の位置が変化するようにトリガー部およびピストンが移動すればよく、トリガー部およびピストンが前後方向に対して斜めに傾いて移動することも含む。例えば、トリガー部およびピストンは、前方斜め上方から後方斜め下方に前後動してもよい。また、例えば、トリガー部およびピストンは、前方斜め下方から後方斜め上方に前後動してもよい。
【0046】
噴出器本体10は、トリガー式液体噴出器3を容器体2に取り付ける装着キャップ52をさらに備えている。装着キャップ52は、上下方向に延びる筒状に形成されている。本実施形態において装着キャップ52は、第2軸線O2と同軸に配置された円筒状である。装着キャップ52は、装着筒部23に形成された外フランジ部51を口部2aの上端縁との間に挟んだ状態で、口部2aに装着される。本実施形態において装着キャップ52は、例えば、口部2aに螺着される。
【0047】
噴出器本体10には、
図2に示すように、ピストン72が後方位置に位置したときにピストンガイド78の内部および嵌合筒部25の内部を通じてシリンダ71内と容器体2内とを連通させる回収通路S2が形成されている。「ピストン72が後方位置に位置したとき」とは、ピストン72の前後方向の可動範囲内のうち後方寄りの範囲内の少なくとも一部の位置に、ピストン72が位置すればよい。本実施形態では、ピストン72が後端位置に位置したときに、回収通路S2は、シリンダ71内と容器体2内とを連通させる。なお、回収通路S2は、ピストン72が後方位置のうち後端位置よりも前方の位置に位置したときに、シリンダ71内と容器体2内とを連通させてもよい。
【0048】
本実施形態において回収通路S2は、ピストン本体91とピストンガイド78との間、貫通孔83の内部、ピストンガイド78の内部、嵌合筒部25の内部、孔部21a、回収隙間G、および第1貫通孔48を通じてシリンダ71内と装着筒部23内とを連通させている。本実施形態において回収通路S2は、ピストンガイド78の貫通孔83、ピストンガイド78内、排出口28、回収隙間G(連通溝29)および第1貫通孔48に至る流路によって構成されている。回収通路S2は、シリンダ71内に残存した気泡等を容器体2内に戻すための通路である。回収通路S2は、第1貫通孔48を通じて装着筒部23および後述する第1取付部材140に画成された途中空間S3に連通している。第1貫通孔48の第1開口部48aは、回収通路S2の下端部であり、装着筒部23内に開口する回収通路S2の開口部を構成している。
【0049】
また、噴出器本体10には、第2貫通孔49を通じて装着筒部23内と噴出容器1の外部空間とを連通させる外気導入通路S5が形成されている。本実施形態において外気導入通路S5は、収容筒77に形成された外気導入孔80、収容筒77とシリンダ用筒部75との隙間P1、シリンダ用筒部75に形成された外気連通孔82、途中空間S6および第2貫通孔49に至る流路によって構成されている。外気導入通路S5は、ピストン本体91が後方に移動して外気導入孔80が開放されることによって、装着筒部23内と噴出容器1の外部空間とを連通させる。第2貫通孔49の第2開口部49aは、外気導入通路S5の下端部であり、装着筒部23内に開口する外気導入通路S5の開口部を構成している。
【0050】
ノズル部11は、
図1に示すように、噴出器本体10の前方に配設されている。より詳細には、ノズル部11は、射出筒部15から前方に突設されている。ノズル部11には、液体を噴出する噴出孔112aが形成されている。ノズル部11は、連結部材100と、ノズル本体101と、蓄圧弁102と、造泡筒133と、を備えている。
連結部材100は、後方に開口する有頂筒状に形成されている。連結部材100の周壁部内には、射出筒部15の前端部が嵌合されている。連結部材100の前壁部には、前壁部を前後方向に貫通する連通孔105が形成されている。連通孔105は、射出筒部15の前端開口部15aを通じて射出筒部15内に連通している。連結部材100の前壁部には、前方に延びる筒状の取付筒110が形成されている。取付筒110の軸線は、射出筒部15の軸線に対して下方に偏心している。
【0051】
ノズル本体101は、後方に開口する有頂筒状に形成されている。ノズル本体101の周壁部内には、上述した取付筒110が嵌合されている。連結部材100とノズル本体101との間に画成された空間は、蓄圧室115を構成している。蓄圧室115は、射出筒部15内と噴出孔112aとを連通させる。ノズル本体101は、ノズル筒部101aと、ノズル筒部101aの内側に配置されるとともに蓄圧弁102が着座させられる弁座部121を有する弁座板101bと、弁座板101bから前方に突出するキャップ装着筒部101cと、キャップ装着筒部101c内に組み付けられたノズルチップ112と、弁座板101bから前方に突出しキャップ装着筒部101cをノズル径方向の外側から囲う被覆筒部101dと、を備えている。ノズルチップ112には、噴出孔112aが形成されている。
【0052】
蓄圧弁102は、上述した蓄圧室115内において、コイルスプリング120によって前方に付勢された状態で、後方移動可能に収容されている。蓄圧弁102は、ノズル本体101の弁座板101bに形成された弁座部121に着座し、噴出孔112aを閉塞する。これにより、蓄圧弁102は、射出筒部15内と噴出孔112aとの連通を遮断している。蓄圧弁102の後半部には小径ピストン部102aが形成され、蓄圧弁102の前半部には大径ピストン部102bが形成されている。蓄圧弁102は、連通孔105を通じて蓄圧室115に導入される液体の圧力を小径ピストン部102aおよび大径ピストン部102bに作用させる。この圧力が一定以上となると、小径ピストン部102aおよび大径ピストン部102bの受圧面積の差により蓄圧弁102が後退し、噴出孔112aが開放される。これにより、蓄圧室115を介して、射出筒部15内と噴出孔112aとが連通される。このようにして蓄圧弁102は、蓄圧室115の内圧が所定値を超えたときに、後方に移動して射出筒部15内と噴出孔112aとを連通させる。つまり、本実施形態において蓄圧弁102は、所定値よりも大きい圧力が加えられた場合に開き、噴出孔112aからの液体の噴出を許容する弁部に相当する。
【0053】
造泡筒133は、弁座板101bよりも前方に位置している。造泡筒133は、キャップ装着筒部101cに外嵌されている。造泡筒133の外径は、被覆筒部101dの内径よりも小さく、造泡筒133の外周面と被覆筒部101dの内周面との間には、環状空間が設けられている。造泡筒133には、内側に外気を導入する外気導入孔137が形成されている。外気導入孔137は、造泡筒133をノズル径方向に貫いている。外気導入孔137は、キャップ装着筒部101cよりも前側に位置している。外気導入孔137は、造泡筒133に全周にわたって間隔をあけて複数配置されている。
【0054】
本実施形態のトリガー式液体噴出器3は、噴出孔112aを通した外部とノズル部11内との連通を遮断する遮断手段として、蓋部130を備えている。蓋部130は、ノズル部11に配設され、噴出孔112aを前方から開閉可能に閉塞する。蓋部130の上端部は、ノズル本体101の被覆筒部101dに、左右方向に延びる軸線回りに回動可能に装着されている。なお、遮断手段としては、蓋部130に限られず、例えば連結部材100に対してノズル本体101を相対回転させることで、噴出孔112aを通した外部とノズル本体101内との連通を遮断するような構成等であってもよい。
【0055】
正倒立用アダプタ12は、縦供給筒部14の下方に配設されている。正倒立用アダプタ12は、縦供給筒部14の下端部に装着されている。正倒立用アダプタ12は、噴出容器1が正立姿勢(口部2aを上方に向けた姿勢)、および倒立姿勢(口部2aを下方に向けた姿勢)のいずれにおいても、容器体2の内の液体の噴射を可能とするものである。
【0056】
正倒立用アダプタ12は、上下方向に組み付けられた第1取付部材140および第2取付部材141と、第1取付部材140および第2取付部材141間を仕切る仕切部材142と、を備えている。なお、第1取付部材140、第2取付部材141および仕切部材142によって本実施形態のアダプタ本体12aが構成されている。
第1取付部材140は、装着筒部23内に装着されている。第1取付部材140は、
図2に示すように、取付筒部145、対向壁部146と、突起部144と、第1取付部材本体147と、を備えている。
【0057】
取付筒部145は、第1軸線O1と同軸に配置された円筒状である。取付筒部145は、上下方向の両側に開口している。取付筒部145の上部は、内筒部22内に嵌合されている。取付筒部145の下端部は、内筒部22の下端部よりも下方に位置している。
対向壁部146は、取付筒部145の外周面から径方向の外側に拡がっている。本実施形態において対向壁部146は、取付筒部145の下端部よりも上方に位置している。対向壁部146は、板面が上下方向を向く板状である。対向壁部146は、連結壁部45の下方に離れて位置している。対向壁部146と連結壁部45と装着筒部23とによって、途中空間S3が画成されている。
突起部144は、対向壁部146から上方に突出している。
図5に示すように、突起部144は、左右方向に延びている。
【0058】
第1取付部材本体147は、
図2に示すように、対向壁部146の径方向外周縁部から下方に延びる筒状である。第1取付部材本体147は、第2軸線O2と同軸に配置された円筒状である。第1取付部材本体147の下部は、第1取付部材本体147の上部よりも外径および内径が大きい。第1取付部材本体147の外周面には、上方から下方に向かう間に、外径が大きくなる段差部147aが設けられている。第1取付部材本体147の上部は、装着筒部23内に装着筒部23の下方から嵌合されている。第1取付部材本体147の上部における外周面は、装着筒部23の内周面と接触している。第1取付部材本体147の下部における上端部、すなわち上述した段差部147aは、装着筒部23の下端縁に装着筒部23の下方から近接または当接している。第1取付部材本体147の下部のうち第2軸線O2よりも前方に位置する部分には、第1取付部材本体147を径方向に貫通する倒立導入口153が形成されている。
【0059】
第1取付部材140には、
図5および
図6に示すように、第2軸線O2を中心とする径方向の内側に窪む凹部143が形成されている。本実施形態において凹部143は、第2軸線O2を左右方向(X軸方向)に挟んで一対形成されている。凹部143は、第1取付部材本体147と対向壁部146とに跨って形成されており、上方に開口している。凹部143の下端部は、段差部147aよりも下方に位置している。
【0060】
図6に示すように、凹部143の内側面と装着筒部23の内周面とによって囲まれて、連通路S4が形成されている。すなわち、正倒立用アダプタ12の外周面と装着筒部23の内周面との間には、連通路S4が形成されている。連通路S4は、途中空間S3と容器体2内とに繋がり、装着筒部23内と容器体2内とを連通させている。すなわち、本実施形態において装着筒部23の内部は、連通路S4を介して容器体2の内部と連通している。これにより、連通路S4は、回収通路S2と容器体2内との間を連通させている。つまり、本実施形態において回収通路S2は、途中空間S3および連通路S4を介して、シリンダ71内と容器体2内とを連通させている。
【0061】
本実施形態において、連通路S4の流路断面積(開口方向に直交する断面積)の最小値は、回収通路S2の流路断面積の最小値よりも大きくなっている。なお、回収通路S2の流路断面積の最小値とは、ピストンガイド78の貫通孔83、ピストンガイド78内、排出口28、回収隙間G(連通溝29)および第1貫通孔48それぞれの開口方向に直交する断面積のうち、最小値である。本実施形態において、連通路S4の流路断面積の最小値は、シリンダ71で発生する気泡の大きさよりも大きく設定されている。
【0062】
仕切部材142は、
図2に示すように、第1連通筒部160と、第2連通筒部161と、を備えている。
第1連通筒部160は、第1軸線O1と同軸に配置された円筒状である。第1連通筒部160は、上下方向の両側に開口している。第1連通筒部160には、取付筒部145のうち対向壁部146よりも下方に突出した部分が第1連通筒部160の上方から嵌合されている。
【0063】
第2連通筒部161は、第1連通筒部160の下端部における前方に連なっている。第2連通筒部161は、上下方向の両側に開口する筒状である。第2連通筒部161は、第2軸線O2よりも前方に位置している。第2連通筒部161は、下方に向かうに従い漸次縮径している。本実施形態において、第2連通筒部161と第1取付部材140との間に画成された空間は、弁室165を構成している。弁室165は、上述した倒立導入口153を通じて容器体2内に連通している。弁室165には、切替弁としてのボール弁164が収容されている。ボール弁164は、第2連通筒部161の下端開口縁に接離することで、第2連通筒部161の下端開口を開閉する。第2連通筒部161内は、倒立導入口153を通じて容器体2内に連通している。
【0064】
第2取付部材141は、閉塞部170と、固定筒部171と、を備えている。
閉塞部170は、上方に開口する有底筒状に形成されている。閉塞部170は、仕切部材142を間に挟んだ状態で、第1取付部材本体147内に嵌合されている。閉塞部170と第1取付部材本体147とは、アンダーカット嵌合されている。
固定筒部171は、閉塞部170の後部において、閉塞部170の底壁部を上下方向に貫いている。固定筒部171は、第1軸線O1と同軸に配置された円筒状である。固定筒部171は、上下方向の両側に開口している。固定筒部171の下部には、吸上パイプ175が嵌合されている。固定筒部171の上端開口部は、正立導入口171aである。正立導入口171aは、上述した第1連通筒部160内に連通している。したがって、第1連通筒部160内は、固定筒部171内を通じて容器体2内に連通している。
【0065】
アダプタ本体12aには、第1空間S7と、第2空間S8と、が画成されている。
本実施形態において第1空間S7は、閉塞部170、固定筒部171および第2連通筒部161で画成された空間からスリット182を経て取付筒部145に至る空間である。第1空間S7は、正立導入口171aを通じて容器体2内と縦供給筒部14内とを連通させる。
第2空間S8は、弁室165の内部空間である。第2空間S8は、倒立導入口153を通じて容器体2内と第1空間S7とを連通させる。
【0066】
次に、噴出容器1の動作について説明する。まず、正立姿勢での噴出動作について説明する。噴出容器1の正立姿勢において、ボール弁41は自重によって弁座部35に着座し、ボール弁164は自重によって第2連通筒部161の下端開口縁に着座している。このようにしてボール弁164は、噴出器本体10が容器体2に装着された状態で容器体2の正立時に第1空間S7と第2空間S8との連通を遮断する。
【0067】
噴出容器1の正立姿勢において、容器体2内の液体を噴出させるには、トリガー部63を弾性板部64の付勢力に抗して後方に引く。すると、トリガー部63の後方移動に伴ってピストン72が後退することで、シリンダ71内が加圧される。シリンダ71内が加圧されると、シリンダ71内の液体が連絡通路S1を通じて収容空間40に流入することで、ボール弁41が弁座部35に押さえ付けられる。これにより、容器体2内と連絡通路S1の間の連通が遮断される。そのため、シリンダ71内の液体が、連絡通路S1を通して射出筒部15内に導入される。射出筒部15内に液体が導入されると、射出筒部15内が加圧される。すると、連通孔105を通して蓄圧弁102における小径ピストン部102aおよび大径ピストン部102bの内部が加圧される。
【0068】
本実施形態において、大径ピストン部102bの内径は、小径ピストン部102aの内径よりも大きくなっている。そのため、小径ピストン部102aおよび大径ピストン部102bの各受圧面積の差によって、蓄圧弁102には後方に向けた圧力が作用する。蓄圧弁102に加えられる後方に向けた圧力が所定値を超えると、蓄圧弁102がコイルスプリング120の前方付勢力に抗して後退させられる。すると、蓄圧弁102の前端部が弁座部121から離間することにより、射出筒部15内と噴出孔112aとが連通孔105、蓄圧弁102の内部、および蓄圧弁102の前端部と弁座部121との間の隙間を通して連通する。これにより、噴出孔112aから液体が造泡筒133内に噴出される。
【0069】
このとき造泡筒133内が負圧になり、造泡筒133内に外気導入孔137を通して外気(空気)が導入され、液体が、造泡筒133内で外気と混合されて発泡して泡状となり、造泡筒133の前端開口から噴出される。なお、噴出孔112aから造泡筒133内に噴出される液体は、霧状になっており、例えば、この霧状の液体が造泡筒133内で造泡筒133の内周面に衝突し、液体の流れが乱れることで外気と撹拌されて泡状になる。
【0070】
トリガー部63を引く操作を止めると、シリンダ71内から縦供給筒部14の連絡通路S1を通した射出筒部15内への液体の供給が停止される。このとき、コイルスプリング120の前方付勢力により蓄圧弁102が前進し、蓄圧弁102の前端部が弁座部121に着座して、射出筒部15の内部と噴出孔112aとの連通を遮断させる。
【0071】
トリガー部63は、弾性板部64の弾性復元力によって前方に付勢されて元の位置に復帰する。トリガー部63の前方移動に伴いピストン72が前進することで、シリンダ71内に負圧が生じる。この際、シリンダ71内で発生した負圧によって容器体2の液体が吸上パイプ175を通じて正倒立用アダプタ12内に流入する。正倒立用アダプタ12内に流入した液体は、その後、内筒部22内を流通することで、ボール弁41を押し上げる。これにより、ボール弁41が弁座部35から離間し、液体が連絡通路S1および連通口81(供給口27)を通してシリンダ71内に導入される。これにより、次の噴射に備えることができる。
【0072】
続いて、倒立姿勢での噴出動作について説明する。噴出容器1の倒立姿勢において、ボール弁41は自重によって弁座部35から離間し、ボール弁164は自重によって第2連通筒部161の下端開口縁から離間している。このようにしてボール弁164は、噴出器本体10が容器体2に装着された状態で容器体2の倒立時に第1空間S7と第2空間S8とを連通させる。
【0073】
噴出容器1の倒立姿勢においても、トリガー部63を後方に引くことで、シリンダ71内が加圧される。すると、シリンダ71内や連絡通路S1内の液体は、射出筒部15内および収容空間40のそれぞれに導入される。この際、射出筒部15を通過する際の流通抵抗は、ボール弁41と弁座部35との隙間を通過する際の流通抵抗に比べて小さくなるように隙間が設定されている。そのため、液体は、射出筒部15内に積極的に導入されることで、上述したように噴出孔112aから噴射される。
【0074】
一方、液体の噴出後、トリガー部63が前方に復帰する際には、上述した正立姿勢と同様にシリンダ71内に負圧が発生する。すると、倒立導入口153を通じて弁室165(第2空間S8)内に流入した液体が第2連通筒部161の下端開口から第1空間S7に流入し、スリット182を通じて第1連通筒部160内に流入する。第1連通筒部160内に流入した液体は、内筒部22内を流通した後、連絡通路S1および連通口81(供給口27)を通してシリンダ71内に導入される。これにより、次の噴射に備えることができる。
【0075】
ところで、噴出容器1では、例えば容器体2内の液体の残量が少なくなると、シリンダ71内に液体とともに空気が混入する可能性がある。シリンダ71内に混入した空気は、シリンダ71内で気泡となって残存し易く、噴出不良等を招く要因となる。具体的には、例えば、シリンダ71内に混入した空気(気泡)がシリンダ71内で拡縮されることで、シリンダ71内の負圧化が阻害され、容器体2内からの液体の吸い上げに不具合が生じる虞がある。
【0076】
本実施形態では、トリガー部63を最後端位置まで移動させると、ピストン本体91内とシリンダ71内とが、内摺動部92と窪み部84との間を通じて連通する。すると、シリンダ71内に残存した気泡が内摺動部92と窪み部84との間を通じてピストン本体91内に流入する。ピストン本体91内に流入した気泡は、回収通路S2(貫通孔83、ピストンガイド78内、排出口28、回収隙間Gおよび第1貫通孔48に至る流路)を通じてピストン本体91内から排出される。回収通路S2を通過した気泡は、途中空間S3に到達した後、連通路S4を通じて容器体2内に排出される。これにより、シリンダ71内の負圧化が阻害されることを抑制でき、容器体2内から液体を好適に吸い上げることができる。
【0077】
また、トリガー部63を最後端位置まで移動させた際に、シリンダ71内および射出筒部15内の圧力が高まったままの状態となっていると、噴出される液体の液切れ性が低下する虞がある。これに対して、本実施形態では、トリガー部63を最後端位置まで移動させた際に、回収通路S2を通じて、シリンダ71内が容器体2内と連通する。これにより、シリンダ71内および射出筒部15内の圧力を低下させることができ、噴出される液体の液切れ性を向上できる。また、シリンダ71内の液体のうち噴出されなかった液体を、回収通路S2を介して容器体2内に回収できる。
【0078】
このように、本実施形態では、回収通路S2と容器体2内との連通を遮断した状態で、縦供給筒部14の下端部に取り付けられた正倒立用アダプタ12を備え、正倒立用アダプタ12と縦供給筒部14との間には、回収通路S2と容器体2内との間を連通させる連通路S4が形成された構成とした。
この構成によれば、シリンダ71から回収通路S2内に排出された気泡および液体は、連通路S4を通じて容器体2内に排出される。これにより、正立姿勢および倒立姿勢のいずれの姿勢での液体の噴射を可能とした上で、回収通路S2内に充満した気泡が外気導入孔80等を通じて液だれするのを抑制できる。
特に、本実施形態では、連通路S4の流路断面積の最小値が、回収通路S2の流路断面積の最小値よりも大きくなっているため、気泡を効果的に容器体2内に排出できる。
【0079】
また、特に蓄圧弁102を有するトリガー式液体噴出器3では、プライミング(シリンダ71内の空気を排出して、シリンダ71内に液体を導入すること)時にシリンダ71内から排出される空気が噴出孔112aから抜けきらず、シリンダ71内と縦供給筒部14内や射出筒部15内とで往来する可能性がある。この場合には、シリンダ71内に液体をスムーズに導入することが難しい。
【0080】
このような場合においても、本実施形態では、トリガー部63を最後端位置まで移動させ、ピストン本体91内とシリンダ71内とを連通させることで、シリンダ71内の空気が回収通路S2、途中空間S3および連通路S4を通じて容器体2内に排出される。これにより、プライミング時において、シリンダ71内から空気を排出し易くなり、シリンダ71内にスムーズに液体を導入することができる。
【0081】
また、例えば、シリンダ71内が負圧になって液体が吸入されると、容器体2内の液体が減少する。そのため、容器体2内に負圧が生じる。この場合、容器体2内が外部空間に対して密閉されていると、負圧によって容器体2が変形する虞がある。
これに対して、本実施形態の噴出器本体10には、シリンダ71内が減圧される際に、第2貫通孔49を通じて装着筒部23内と外部空間とを連通させる外気導入通路S5が形成されている。そのため、容器体2内から液体が吸い上げられる際に、外気導入通路S5、および装着筒部23内を介して、容器体2内に外気を導入させることができる。これにより、容器体2が変形することを抑制できる。
【0082】
本実施形態によれば、第1貫通孔48の第1開口部48aは、装着筒部23内に開口する回収通路S2の開口部を構成し、第2貫通孔49の第2開口部49aは、装着筒部23内に開口する外気導入通路S5の開口部を構成する。そして、第2開口部49aは、第1開口部48aに対して上下方向と直交する方向に離れて配置されている。そのため、上述したようにして回収通路S2を介して第1開口部48aから装着筒部23内に流入した液体が、容器体2内に排出されず第2開口部49aへと流入することを抑制できる。これにより、液体が外気導入通路S5を逆流することを抑制でき、液体が噴出容器1の外部空間に漏れ出すことを抑制できる。また、液体が外部空間に漏れ出すことを抑制できるため、安定した吐出量を得ることができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、第2開口部49aは、第1開口部48aに対して上下方向に異なる位置に配置されている。そのため、第1開口部48aから装着筒部23内へと流入した液体が、第2開口部49aへと移動することをより抑制できる。特に本実施形態では、第2開口部49aは、第1開口部48aよりも上方に位置している。そのため、噴出容器1を正立姿勢で用いる際に、第1開口部48aから第2開口部49aへと液体が移動することを特に抑制できる。
【0084】
また、本実施形態では、所定値よりも大きい圧力が加えられた場合に開き、噴出孔112aからの液体の噴出を許容する弁部として蓄圧弁102が設けられている。このような蓄圧弁102が設けられる場合、蓄圧弁102が開くまでの間においてシリンダ71の内圧が比較的大きくなりやすい。特に、シリンダ71内が空の状態からプライミングする場合に、シリンダ71の内圧が大きくなりやすい。そのため、シリンダ71内から回収通路S2へと流れる液体の圧力も比較的大きくなりやすい。これにより、回収通路S2を流れる液体の少なくとも一部が、ピストンガイド78と嵌合筒部25との間から外部に漏れ出す虞があった。
【0085】
なお、シリンダ71内が空の状態からプライミングする場合とは、例えば、容器体2内が空になった後、容器体2内に液体を再充填した後にプライミングする場合、および容器体2内が空になった後、容器体2を液体が充填された他の容器体2に差し替えた後にプライミングする場合を含む。これらの場合等、トリガー式液体噴出器3を少なくとも一度使用した後にシリンダ71内が空になった状態(シリンダ71内に空気が入り込んだ状態)では、シリンダ71の内周面やピストンガイド78の外周面に液体が付着した状態となっている。そのため、この状態においてプライミングしてシリンダ71内に液体を充填させようとすると、シリンダ71の内圧の上昇に伴って、シリンダ71の内周面に付着した液体やピストンガイド78の外周面に付着した液体がピストンガイド78と嵌合筒部25との間から外部に漏れ出す虞がある。したがって、容器体2内に液体を再充填した後、および容器体2を液体が充填された他の容器体2に差し替えた後にプライミングする場合においては、ピストンガイド78と嵌合筒部25との間から外部に液体が漏れ出す虞が特に大きい。
【0086】
上記の問題に対して、本実施形態によれば、嵌合筒部25の外周面には、ピストンガイド78の内周面と嵌合筒部25の外周面との間を封止する環状のシール凸部25bが形成されている。このように嵌合筒部25の外周面を部分的に突出させてシール凸部25bを設けることで、シール凸部25bをピストンガイド78の内周面に比較的大きい力で接触させることができ、ピストンガイド78の内周面と嵌合筒部25の外周面との間を好適に封止できる。そのため、シリンダ71の内圧が比較的大きくなって回収通路S2を流れる液体の圧力が比較的大きくなっても、ピストンガイド78と嵌合筒部25との間から液体が漏れ出すことを抑制できる。これにより、容器体2内に液体を再充填した後、および容器体2を液体が充填された他の容器体2に差し替えた後にプライミングする場合等の液体が特に漏れ出しやすい場合であっても、ピストンガイド78と嵌合筒部25との間から液体が漏れ出すことを抑制できる。したがって、本実施形態によれば、容器体2内の液体が外部に漏れ出すことを抑制できるトリガー式液体噴出器3が得られる。また、シール凸部25bが設けられることで嵌合筒部25をピストンガイド78に強固かつ安定して嵌合できる。そのため、嵌合筒部25を介して縦供給筒部14をシリンダ71に強固かつ安定して取り付けることができる。これにより、縦供給筒部14がガタつくことを抑制できる。
【0087】
また、本実施形態によれば、シール凸部25bは、嵌合筒部25の外周面に形成されている。そのため、ピストンガイド78の内周面にシール凸部25bを設ける場合に比べて、シール凸部25bを成形することが容易である。
【0088】
また、本実施形態によれば、外筒部21の内周面と内筒部22の外周面との間には、上下方向に延び下方に開口する回収隙間Gが形成され、嵌合筒部25の内部は、回収隙間Gと連通している。回収通路S2は、回収隙間Gを通じてシリンダ71内と容器体2内とを連通させる。このように、外筒部21の内周面と内筒部22の外周面との間に形成された回収隙間Gを利用することで、嵌合筒部25の内部を通じてシリンダ71内と容器体2内とを連通させる回収通路S2を容易に設けることができる。
【0089】
なお、上述した各実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。
シール凸部は、ピストンガイドの内周面に形成されていてもよいし、ピストンガイドの内周面と嵌合筒部の外周面との両方に形成されていてもよい。シール凸部がピストンガイドの内周面に形成されている場合、シール凸部は、ピストンガイドの延伸方向に沿って延びる筒状であってもよい。この場合、シール凸部が設けられることで、ピストンガイドの内周面に内径が小さくなる段差が設けられ、ピストンガイドの延伸方向の一部に内径が小さくなる縮径部が設けられる。この場合、例えば、当該縮径部内に嵌合筒部が圧入された構造となる。この場合、縮径部の内周面は、シール凸部の内周面である。
【0090】
具体的に、例えば、上述した実施形態では、嵌合筒部25にシール凸部25bが設けられる代わりに、ピストンガイド78のうち嵌合筒部25の前方部分が嵌め合わされた部分および当該部分よりも前方に位置する部分の全体にシール凸部が設けられ、シール凸部が設けられた当該部分が、ピストンガイド78のうち嵌合筒部25の後方部分が嵌め合わされた部分よりも内径が小さい縮径部となっていてもよい。この場合、嵌合筒部25の前方部分が当該縮径部に圧入されることで、当該縮径部の内周面、すなわちシール凸部の内周面が嵌合筒部25の外周面に対して好適に接触し、ピストンガイド78の内周面と嵌合筒部25の外周面との間を好適に封止できる。
【0091】
また、シール凸部が嵌合筒部の外周面に形成されている場合、シール凸部は、嵌合筒部の延伸方向に沿って延びる筒状であってもよい。この場合、シール凸部が設けられることで、嵌合筒部の外周面に外径が大きくなる段差が設けられ、嵌合筒部の延伸方向の一部に外径が大きくなる拡径部が設けられる。この場合、例えば、当該拡径部がピストンガイドの内部に圧入された構造となる。この場合、拡径部の外周面は、シール凸部の外周面である。
【0092】
弁部は、所定値よりも大きい圧力が加えられた場合に開き、噴出孔からの液体の噴出を許容するならば、どのような箇所に設けられてもよいし、どのような構造であってもよい。弁部は、噴出器本体に設けられてもよい。この場合、弁部は、縦供給筒部内に設けられてもよい。
正倒立アダプタは、設けられなくてもよい。
なお、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0093】
2…容器体、3…トリガー式液体噴出器、10…噴出器本体、11…ノズル部、14…縦供給筒部、21…外筒部、22…内筒部、25…嵌合筒部、25b…シール凸部、63…トリガー部、71…シリンダ、72…ピストン、78…ピストンガイド、91…ピストン本体、92…内摺動部(摺動部)、93…外摺動部(摺動部)、102…蓄圧弁(弁部)、112a…噴出孔、G…回収隙間、S2…回収通路