(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】防曇性熱融着性フィルム及びその用途
(51)【国際特許分類】
B32B 27/18 20060101AFI20250324BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20250324BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20250324BHJP
C09D 5/00 20060101ALN20250324BHJP
【FI】
B32B27/18 C
B32B27/36
B65D65/40 D
C09D5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021058015
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2024-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000220099
【氏名又は名称】アールエム東セロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城所 雅子
(72)【発明者】
【氏名】澤田 峻一
【審査官】高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-025825(JP,A)
【文献】特開2019-094422(JP,A)
【文献】特開2008-214635(JP,A)
【文献】特開2021-014295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
B32B
B65D65/00-65/46
C08J7/04-7/06
C09D1/00-10/00;101/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルを含有する熱融着性の高分子フィルム表面に、(a)低分子界面活性剤と、(b)高分子界面活性剤とを含むコーティング層が形成された熱融着性フィルムであって、該コーティング層表面の表面自由エネルギーが、
62mJ/m
2以上、及び/又は水の接触角が
35°以下であ
り、
(b)高分子界面活性剤が、アクリル系界面活性剤を含む、熱融着性フィルム。
【請求項2】
(a)低分子界面活性剤が、非イオン系界面活性剤を含む、請求項1に記載の熱融着性フィルム。
【請求項3】
前記コーティング層の塗工量が、乾燥後で0.005g/m
2以上である、請求項1
又は2に記載の熱融着性フィルム。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか一項に記載の熱融着性フィル
ムからなる熱融着層(A)、中間層(B)、及びラミネート層(C)が、この順に積層されてなる、易開封性フィルム。
【請求項5】
中間層(B)、及び/又はラミネート層(C)が、エチレン系重合体を含有する、請求項
4に記載の易開封性フィルム。
【請求項6】
請求項
4又は
5に記載の易開封性フィルムを有する蓋材と、容器とを有する、易開封性包装。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易開封性の包装等に好ましく用いられる熱融着性フィルムに関し、より具体的には、防曇性、易開封性、及び低ブロッキング性のバランスに優れ、特に防曇性が適切に制御された熱融着性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
高分子フィルムは、成形性、安全性、品質保持性等に優れることから、食品包装容器に広く使用されている。
食品包装容器は、内容物等からの水蒸気が水滴として容器表面に付着することがある。この場合、食品包装容器の内容物(食品)が視認できなくなる、付着した水滴の落下による食品の劣化が生じる等が起こりうることから、防曇剤を用いて食品包装用の高分子フィルムに防曇性を付与することが行われている。
例えば、防曇性と耐油性とに優れた防曇剤として、特定の親水性(メタ)アクリル樹脂と、防曇剤と、親水性高分子と、を含むコーティング剤が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
コーティング剤を高分子フィルム表面に塗布すると、表面の状態が変化するので、ブロッキング性やヒートシール強度が変化する場合がある、食品包装容器の蓋材等に使用する熱融着性の高分子フィルムにおいては、保管時にブロッキング性が、製造時にはヒートシール性が適切なものであることが要求される。そこで、防曇性、ヒートシール強度(易開封性)、及び低ブロッキング性のバランスに優れた熱融着性フィルムが強く求められているが、これらの特性は、樹脂基材の材質やコーティング剤の塗工量により影響を受けるため、独立に制御することは必ずしも容易ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記技術背景に鑑み、本発明は、ポリエステルを含有する熱融着性の高分子フィルム表面に防曇コーティングを塗布してなる熱融着性フィルムにおいて防曇性を適切に制御し、防曇性、ヒートシール強度(易開封性)、及び低ブロッキング性が高いレベルでバランスした熱融着性フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、ポリエステルを含有する熱融着性の高分子フィルム表面に、(a)低分子界面活性剤と、(b)高分子界面活性剤とを含むコーティング層が形成された熱融着性フィルムにおいて、該コーティング層表面の表面自由エネルギー、及び/又は水の接触角を特製範囲に制御することで、高い防曇性を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
[1]
ポリエステルを含有する熱融着性の高分子フィルム表面に、(a)低分子界面活性剤と、(b)高分子界面活性剤とを含むコーティング層が形成された熱融着性フィルムであって、該コーティング層表面の表面自由エネルギーが、50mJ/m2以上、及び/又は水の接触角が50°以下である、熱融着性フィルム、
に、関する。
【0007】
下記、[2]から[7]は、いずれも本発明の好ましい態様又は実施形態である。
[2]
(a)低分子界面活性剤が、非イオン系界面活性剤を含む、[1]に記載の熱融着性フィルム。
[3]
(b)高分子界面活性剤が、アクリル系界面活性剤を含む、[1]又は[2]に記載の熱融着性フィルム。
[4]
前記コーティング層の塗工量が、乾燥後で0.005g/m2以上である、[1]から[3]のいずれか一項に記載の熱融着性フィルム。
[5]
[1]から[4]のいずれか一項に記載の熱融着性フィルからなる熱融着層(A)、中間層(B)、及びラミネート層(C)が、この順に積層されてなる、易開封性フィルム。
[6]
中間層(B)、及び/又はラミネート層(C)が、エチレン系重合体を含有する、[5]に記載の易開封性フィルム。
[7]
[5]又は[6]に記載の易開封性フィルムを有する蓋材と、容器とを有する、易開封性包装。
【発明の効果】
【0008】
本発明の熱融着性フィルムは、防曇性を塗工量等を通じて適切に制御することができるので、防曇性、ヒートシール強度(易開封性)、及び低ブロッキング性、という実用上高い価値を有する性質を、適切にバランスさせることが可能であり、内容物の視認性が求められる食品等の各種商品を収納する、易開封性のプラスチック容器の蓋材をはじめとする各種用途において、好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)は防曇性の評価基準の模式図であり、(b)は実際の防曇評価例の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、ポリエステルを含有する熱融着性の高分子フィルム表面に、(a)低分子界面活性剤と、(b)高分子界面活性剤とを含むコーティング層が形成された熱融着性フィルムであって、該コーティング層表面の表面自由エネルギーが、50mJ/m2以上、及び/又は水の接触角が50°以下である、熱融着性フィルム、である。
すなわち、本発明の熱融着性フィルムは、その構成要素として、ポリエステルを含有する熱融着性の高分子フィルムと、コーティング層とを有し、該コーティング層は、(a)低分子界面活性剤と、(b)高分子界面活性剤とを、所定の割合で含有し、かつ該コーティング層表面は、特定の物性を有する。
【0011】
高分子フィルム
本発明の熱融着性フィルムを構成する高分子フィルムは、熱融着性であり、かつポリエステルを含有していればよく、その層構成は限定されない。したがって、ポリエステルを含有する層(以下、「熱融着層(A)」ともいう。)1層のみからなる単層フィルムであってもよく、また、ポリエステルを含有する層と他の層との積層フィルムであってもよい。
フィルムの機械的特性や、他のフィルムとの積層等を考慮した設計上の自由度の観点からは、表面に熱融着層(A)を有し、これが中間層(B)、ラミネート層(C)等を有する他のフィルムと積層された積層フィルムであることが好ましい。この様な積層フィルムは、易開封性フィルムとして好ましく用いることができる。
【0012】
上述の様に本発明を構成する高分子フィルムは熱融着性を示すものであるが、この熱融着性は、少なくとも部分的に高分子フィルムが含有するポリエステルにより実現されることが好ましい。
非晶質ポリエステル等のポリエステルは一般に低融点であるので、これを含有することで、本発明を構成する高分子フィルムは熱融着性を実現することができる。
但し、本発明を構成する高分子フィルムの熱融着性は他の成分、例えばポリエステル以外の成分によって実現されていてもよい。この場合のポリエステル以外の成分には特に制限はなく、低融点でありしたがって熱融着性を付与できる高分子を適宜使用することができる。
【0013】
熱融着性の高分子として、非晶質ポリエステル等のポリエステル系樹脂、低密度ポリエチレン、エチレン・α-オレフィン共重合体等のポリエチレン系樹脂、等を好ましく用いることができる。
非晶性ポリエチレンテレフタレート等のポリエチレンテレフタレート(PET)容器用の蓋材等として使用する場合には、熱融着性の高分子としてポリエステル系樹脂を特に好ましく使用することができる。
【0014】
本発明を構成する高分子フィルムが含有するポリエステルは、優れた熱融着し得を実現する観点から、非晶性(非晶質)あるいは低結晶性であることが望ましい。ポリエステルとしては、二塩基酸成分として、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバンシン酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-フェニレンジオキシジ酢酸、およびこれらの構造異性体、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等のジカルボン酸またはその誘導体、p-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロキシ安息香酸エステル類、グリコール酸などのオキシ酸またはその誘導体から選択される成分と、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンタメチレングリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールのような脂環式グリコールやさらにはビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物誘導体から選択される成分とから、それぞれ1つ又は複数を選択し組み合わせて、二塩基酸成分とグリコール成分とのエステル交換反応またはエステル化反応を行い、次いで溶融重縮合反応により得られるものを、使用することができる。
【0015】
また、ポリエステルとしては、乳酸系重合体も使用でき、特に限定されないが、ポリ(D-乳酸)と、ポリ(L-乳酸)と、D-乳酸とL-乳酸との共重合体と、D-乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体あるいはL-乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、あるいはこれらのブレンド物、また、ジカルボン酸およびジオールをエステル反応させて得られたポリエステル成分を乳酸成分と共重合させたものが挙げられる。なかでも、主たる構造単位がL-乳酸であるポリ乳酸が成膜安定性の点から特に好ましい。
【0016】
上記ヒドロキシカルボン酸、ジオールおよびジカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシカプロン酸類、カプロラクトン、ブチロラクトン、ラクチド、グリコリド等の環状ラクトン類などのヒドロキシカルボン酸;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオール;テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸等を例示することができる。
【0017】
本実施形態で用いるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートが好ましく、二塩基酸成分とグリコール成分の組み合わせでガラス転移温度Tgが約-20~90℃、好ましくは-15℃~85℃の非晶性共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂が特に適している。
【0018】
熱融着層(A)
融着性を有する熱融着層(A)は、例えば本発明の熱融着性のフィルムを食品等の包装容器の蓋材等として使用する場合に、包装容器本体側に配置して、包装容器本体と融着することができる。
熱融着層(A)の表面には、(a)低分子界面活性剤と(b)高分子界面活性剤とを含有し、かつその表面が特定の物性を有するコーティング層を形成することができる。本実施形態においては、上記特定の熱融着層と、上記特定のコーティング層との組み合わせによって、防曇性、適度なヒートシール性(易開封性)、及び低ブロッキング性、という実用上高い価値を有する性質を従来技術の限界を超えた高いレベルで兼ね備えた熱融着性フィルムを、高い生産性で提供することができる。
【0019】
熱融着層(A)は、上記ポリエステルのみからなっていてもよく、またポリエステルと他の成分、例えばポリエステル以外の熱融着性の高分子や添加剤等との混合物であってもよい。ポリエステル以外の熱融着性の高分子としては、例えば低密度ポリエチレン、エチレン・α-オレフィン共重合体等のポリエチレン系樹脂等を好ましく用いることができる
熱融着層(A)におけるポリエステルの含有量は、50~99.9質量%であることが好ましく、70~99.9質量%であることがより好ましく、90~99.9質量%が特に好ましい。
【0020】
熱融着層(A)には、本発明の目的に反しない限りにおいて、上記熱融着性の高分子以外の、各種添加材、充填材、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、難燃剤、顔料、染料、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、マイカ、タルク、クレー、抗菌剤、防曇剤等を添加することができる。さらにまた、その他の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム類、炭化水素樹脂、石油樹脂等を本発明の目的に反しない範囲で配合してもよい。
【0021】
熱融着層(A)には、上記特定のコーティング層に用いるものと同種の又は異種の防曇剤を添加してもよいが、上記特定のコーティング層の機能を損なわない様留意すべきである。
後述の様に、中間層(B)、ラミネート層(C)等の各層には、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましく、その場合、各層との積層強度の観点などから、上記その他の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。さらに、中間層(B)は、熱融着層(A)との密着性の観点などから酸変性ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。
【0022】
熱融着層(A)の厚みには特に制限はないが、密封性等の観点から、2μm以上であることが好ましく、3μm以上であることが特に好ましい。
一方、易開封性等の観点からは、10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることが特に好ましい。
【0023】
本発明の熱融着性フィルムを構成する高分子フィルムは、上記熱融着層(A)1層のみからなる単層フィルムであってもよいが、複数の層の機能分担により所望の性能を有するフィルムを得る観点からは、融着層(A)と他の層との積層フィルムであってもよい。
フィルムの機械的特性や、他のフィルムとの積層等を考慮した設計上の自由度の観点からは、表面に熱融着層(A)を有し、これが中間層(B)、ラミネート層(C)等の他の層と積層された積層フィルムであることが好ましい。
【0024】
中間層(B)
本実施形態の熱融着性フィルムを構成する中間層(B)の成分には特に制限はないが、熱融着性フィルムの強度、透明性、軽量性等の観点から、ポリオレフィンを含有することが好ましく、エチレン系重合体を含有することが特に好ましい。さらに、熱融着層(A)において用いられるポリエステルとの密着性等の観点から、酸変性ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましいく、酸変性ポリエチレン系樹脂を含むことがさらに好ましい。
エチレン系重合体の好ましい例として、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状中密度ポリエチレン(LMDPE),中密度ポリエチレン(MDPE)等のポリエチレン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられ、単独でも、2種以上を混合して使用しても良い。これらの中でも成膜性等が良好なことからLLDPEが好ましい。
酸変性ポリオレフィンの好ましい例としては、ポリオレフィンを不飽和カルボン酸又はその誘導体と共重合(例えば、グラフト共重合)した変性重合体を挙げることができる。その際のポリオレフィンとしては、オレフィン類の単独重合体、(オレフィン類同士の)相互共重合体、他の共重合可能なモノマー(例えば、他のビニル系モノマー)との共重合体を例示できる。具体的には、例えば、ポリエチレン(LDPE、LLDPEなど)、ポリプロピレン、ポリブテン、これらの相互共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等を例示できる。不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸、その酸無水物、そのエステル又はその金属塩等が例示できる。これらのなかでも、マレイン酸変性ポリオレフィンを用いることが好ましい。
【0025】
LDPEとしては高圧ラジカル重合法で得られる分岐状低密度ポリエチレンであれば良く、好ましくは高圧ラジカル重合法によりエチレンを単独重合した分岐状低密度ポリエチレンである。
【0026】
LLDPEとしては、シングルサイト触媒を用いた低圧ラジカル重合法により、エチレン単量体を主成分として、これにコモノマーとしてブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1、4-メチルペンテン等のα-オレフィンを共重合したものである。LLDPE中のコモノマー含有率としては、0.5~20モル%の範囲であることが好ましく、1~18モル%の範囲であることがより好ましい。
【0027】
前記シングルサイト触媒としては、周期律表第IV又はV族遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウム化合物及び/又はイオン性化合物の組合せ等のメタロセン触媒系などの種々のシングルサイト触媒が挙げられる。また、シングルサイト触媒は活性点が均一であるため、活性点が不均一なマルチサイト触媒と比較して、得られる樹脂の分子量分布がシャープになるため、フィルムに成膜した際に低分子量成分の析出が少なく、ラミネート強度の安定性や耐ブロッキング適性に優れた物性の樹脂が得られるので好ましい。
【0028】
エチレン系重合体の密度は0.880~0.960g/cm3であることが好ましい。密度がこの範囲であれば、適度な剛性を有し、耐ピンホール性等の機械強度も優れ、フィルム成膜性、押出適性が向上する。また、融点は、一般的には60~130℃の範囲であることが好ましく、70~120℃がより好ましい。融点がこの範囲であれば、加工安定性(デッドホールド性)や共押出加工性が向上する。また、前記エチレン系重合体のMFR(190℃、21.18N)は0.1~20g/10分であることが好ましく、0.5~10g/10分であることがより好ましい。MFRがこの範囲であれば、フィルムの押出成形性が向上する。
【0029】
中間層(B)におけるエチレン系重合体の含有量は、50量%以上であることが好ましく、60~100質量%であることがより好ましく、80~100質量%であることが特に好ましい。
中間層(B)に使用可能な添加剤等は、熱融着層(A)に関連して上記で説明したものと同様である。
【0030】
本実施形態の熱融着性フィルムを構成する各層のうち、熱融着層(A)は適切なシール強度等が得られるよう設計することが好ましく、ラミネート層(C)は基材フィルム等との間のラミネート強度等を考慮して設計することが好ましいのに対して、中間層(B)は、熱融着層(A)とラミネート層(C)との密着性が得られる設定とすることが好ましい。
【0031】
中間層(B)の厚みは、2μm以上であることが好ましく、3μm以上であることが特に好ましい。
一方、(B)中間層の厚みは、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることが特に好ましい。
【0032】
ラミネート層(C)
本実施形態の熱融着性フィルムを構成するラミネート層(C)は、必要又は所望に応じて、後述の基材フィルムをはじめとする他の層と積層することができる。
従って、ラミネート層(C)は、基材フィルムをはじめとする他の層との間のラミネート強度等を考慮して設計することが好ましい。例えば、基材フィルムをはじめとする他の層と同種の材料を使用することが好ましく、したがって基材フィルムに好ましく用いられる、PET等のポリエステル系の材料やナイロン等のポリアミド系の材料を使用することができる。また、他の層との間のラミネート強度を更に向上するため、(C)ラミネート層の表面((B)中間層と積層する面とは反対側の面)に、コロナ処理、粗面化処理等の処理を行ってもよい。
【0033】
一方で、(B)中間層との積層強度を向上する観点からは、(B)中間層と同種の材料、より具体的にはポリオレフィン、より好ましくはエチレン系重合体を使用することも好ましい。
ラミネート層(C)に使用可能な添加剤等は、熱融着層(A)に関連して上記で説明したものと同様である。
【0034】
中間層(B)がエチレン系重合体を含有する場合には、中間層(B)との積層強度の観点からラミネート層(C)もエチレン系重合体を含有することが好ましい。
このとき、より具体的には、(C)ラミネート層におけるエチレン系重合体の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60~99.9質量%であることがより好ましく、80~99.9質量%であることが特に好ましい。
【0035】
本実施形態の熱融着性フィルムを保管等する際のブロッキング防止の観点からは、ラミネート(C)層は、ブロキング防止剤を含んでいてもよい。
ブロッキング防止剤としては、粉末状のシリカ、好ましくは合成シリカ、等を好適に使用することができる。粉末状のシリカをラミネート層(C)中に均一に分散させる観点からは、粉末状のシリカを、ラミネート層(C)を構成する材料との混和性に優れた樹脂中、例えば低密度ポリエチレン中に分散してマスターバッチを形成し、次いでマスターバッチをラミネート層(C)を構成する材料中に添加してもよい。
【0036】
(C)ラミネート層の厚みには特に制限はないが、ラミネート強度等の観点から、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。
(C)ラミネート層の厚みは、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることが特に好ましい。
【0037】
本実施形態の熱融着性フィルムは、上述の様に、熱融着層(A)、中間層(B)、及びラミネート層(C)を有する。本実施形態の積層フィルムにおいては、好ましくは中間層(B)を介して、ラミネート層(C)と熱融着層(A)とが積層されるが、それ以外の層が存在していてもよく、例えば熱融着層(A)と中間層(B)との間に接着層が介在していてもよい。
本実施形態の熱融着性フィルムは、易開封性フィルム等の各種用途に好ましく用いることができる。
【0038】
本実施形態の熱融着性フィルムは、種々公知のフィルム成形方法、例えば、予めラミネート層(C)、中間層(B)、及び熱融着層(A)となるフィルムをそれぞれ成形した後、熱融着層(A)上にコーティング層を形成し、これらのフィルムを貼り合せて積層フィルムとする方法、多層ダイを用いて中間層(B)及び熱融着層(A)からなる複層フィルムを得た後、当該中間層(B)面に、ラミネート層(C)を押出して積層フィルムとし、その後熱融着層(A)上にコーティング層を形成する方法、多層ダイを用いてラミネート層(C)及び中間層(B)からなる複層フィルムを得た後、当該中間層(B)面に、熱融着層(A)を押出して積層フィルムとし、その後熱融着層(A)上にコーティング層を形成する方法、あるいは、多層ダイを用いてラミネート層(C)、中間層(B)及び熱融着層(A)からなる積層フィルムを得、その後熱融着層(A)上にコーティング層を形成する方法などを採用することができる。
【0039】
また、フィルム成形方法は、種々公知のフィルム成形方法、具体的には、T-ダイキャストフィルム成形方法、インフレーションフィルム成形方法等を採用し得る。
実施形態の積層フィルム及びそれを構成する各層は、延伸されていないフィルム(無延伸フィルム)であっても、延伸フィルムであってもよい。
【0040】
本実施形態の熱融着性フィルムの厚さには特に限定はされないが、実用的な強度を確保する等の観点から、通常10μm以上であり、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上である。一方、例えば基材フィルム等と積層された後においても実用的な可撓性を有する等の観点からは、通常100μm以下であり、好ましくは80μm以下、より好ましくは70μm以下である。
【0041】
本実施形態の熱融着性フィルムは延伸フィルムであっても無延伸フィルムであってもよいが、機械的物性の向上の観点からは、延伸フィルムであることが好ましく、二軸延伸フィルムであることが特に好ましい。
二軸延伸は、逐次二軸延伸、同時二軸延伸、多段延伸等の方法が適宜採用される。
二軸延伸の条件としては、公知の二軸延伸フィルムの製造条件、例えば、逐次二軸延伸法では、縦延伸温度を100℃~145℃、延伸倍率を4~7倍の範囲、横延伸温度を150~190℃、延伸倍率を8~11倍の範囲とすることが挙げられる。
【0042】
コーティング層
本発明の熱融着性フィルムは、ポリエステルを含有する高分子フィルム表面に、好ましくはその熱融着層(A)上に、コーティング層を有する。
該コーティング層は、(a)低分子界面活性剤と、(b)高分子界面活性剤とを含有し、その表面の表面自由エネルギーが、50mJ/m2以上、及び/又は水の接触角が50°以下である。
【0043】
コーティング層表面の表面自由エネルギーが、50mJ/m2以上であることで、本発明の熱融着性フィルムは、高い防曇性、水の濡れ性等の優れた性能を実現することができる。
コーティング層表面の表面自由エネルギーが、50mJ/m2以上であることで防曇性等が向上するメカニズムは必ずしも明らかではないが、高い表面自由エネルギーが水の濡れ性を上げることで、均一膜を作り、光の乱反射を抑制すること等と何らかの関係が有るものと推定される。
コーティング層表面の表面自由エネルギーは、当該技術分野において従来公知の方法で測定することができ、例えば接触角法等により測定することができる。より具体的には、本願明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0044】
コーティング層表面の表面自由エネルギーは、55mJ/m2以上であることが好ましく、62mJ/m2以上であることがより好ましく、67mJ/m2以上であることが特に好ましい。
防曇性等の観点からコーティング層表面の表面自由エネルギーは高いほど好ましく、特に上限は存在しないが、通常75mJ/m2以下となる。
コーティング層表面の表面自由エネルギーは、コーティング層を構成する材料、特に界面活性剤、の種類及び使用量や、コーティング層の塗工量を調整することで、適宜調整することができる。
例えば後述の様に、界面活性剤として(a)低分子界面活性剤と(b)高分子界面活性剤とを所定の比率で組み合わせたものを使用したり、塗工量を0.005g/m2以上としたりすることで、表面自由エネルギーを好適な値とすることができる。
【0045】
コーティング層表面の水の接触角が50°以下であることで、本発明の熱融着性フィルムは、高い防曇性、水の濡れ性等の優れた性能を実現することができる。
コーティング層表面の水の接触角が50°以下であることで防曇性等が向上するメカニズムは必ずしも明らかではないが、低い水の接触角を有する表面が水の濡れ性を上げることで、均一膜を作り、光の乱反射を抑制すること等と何らかの関係が有るものと推定される。
コーティング層表面の水の接触角は、当該技術分野において従来公知の方法で測定することができ、例えば接触角計により測定することができる。より具体的には、例えば本願明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0046】
コーティング層表面の水の接触角は、45°以下であることが好ましく、38°以下であることがより好ましく、32°以下であることがさらに好ましく、25°以下であることが特に好ましい。
防曇性等の観点からコーティング層表面の水の接触角は低いほど好ましく、特に下限は存在しないが、通常15°以上となる。
コーティング層表面の水の接触角は、コーティング層を構成する材料、特に界面活性剤、の種類及び使用量や、コーティング層の塗工量を調整することで、適宜調整することができる。
例えば後述の様に、界面活性剤として(a)低分子界面活性剤と(b)高分子界面活性剤とを所定の比率で組み合わせたものを使用したり、塗工量を0.005g/m2以上としたりすることで、表面自由エネルギーを好適な値とすることができる。
【0047】
本発明の熱融着性フィルムを構成するコーティング層表面は、表面自由エネルギーが、50mJ/m2以上であること、及び水の接触角が50°以下であること、のうち少なくとも一方の条件が満たされれば足るが、表面自由エネルギー及び水接触角の両方が、上記条件を満たすことが特に好ましい。この時、防曇性、水の濡れ性等の効果が、一層優れたものとなる。
【0048】
コーティング層における(a)低分子界面活性剤と(b)高分子界面活性剤との配合比には特に制限は無いが、質量基準で95/5~5/95であることが好ましい。(a)低分子界面活性剤と(b)高分子界面活性剤との配合比が上記範囲内であると、熱融着性フィルムは、防曇性、ヒートシール強度(易開封性)、低ブロッキング性等の実用上高い価値を有する性質が、一層高いレベルでバランスしたものとなる。
【0049】
(a)低分子界面活性剤と(b)高分子界面活性剤との配合比は、質量基準で75/25~25/75であることがより好ましく、70/30~30/70であることが特に好ましい。
コーティング層における(a)低分子界面活性剤と(b)高分子界面活性剤との配合比は、コーティング層の形成にあたってのコーティング組成物の配合比とほぼ一致する場合が多く、したがってコーティング組成物の配合比を調整することで適宜調整することができる。
(a)低分子界面活性剤及び/又は(b)高分子界面活性剤が揮発性や分解性を有する等の理由で、コーティング層における(a)低分子界面活性剤と(b)高分子界面活性剤との配合比がコーティング組成物の配合比と異なる場合にも、実験的に両配合比の関係を特定する等して、コーティング組成物の配合によって、コーティング層の配合を適宜調整することができる。
【0050】
コーティング層の厚みには特に制限はないが、0.2~0.005μmであることが好ましく、0.1~0.005μmであることが特に好ましい。
また、コーティング層の塗工量(質量)によって特定する場合には、熱融着層(A)の機能を阻害しない等の観点から、コーティング層の塗工量が、乾燥後で0.2g/m2以下であることが好ましい。
一方、コーティングの効果を十分に実現する観点などから、コーティング層の塗工量が、乾燥後で0.005g/m2以上であることが好ましい。
乾燥後のコーティング層の塗工量は、乾燥後で0.2~0.005g/m2であることがより好ましく、0.1~0.005g/m2であることが特に好ましい。
コーティング層の塗工量は、コーティング層形成前の熱融着性フィルムと形成後のフィルムとの質量の差と、熱融着性フィルムの面積とから計算することができる。
【0051】
コーティング層の形成方法には特に制限はないが、生産性等の観点から、(a)低分子界面活性剤と、(b)高分子界面活性剤とを所定の割合で含有するコーティング剤を高分子フィルム上に塗布し、乾燥等により該コーティング剤を硬化させてコーティング層を形成することが好ましい。
コーティング剤は、必要に応じて、水や有機溶媒等の溶剤を含んでいてもよい。
前記溶剤としては、特に制限されないが、水、水溶性溶剤、非水溶性溶媒等を好ましく用いることができる。なお、ここで「水溶性溶剤」とは、1気圧、20℃において、溶剤と、同容量の純水とを穏やかに撹拌し、流動が収まった後に混合液が均一な外観を有するものを意味する。他方、「非水性溶剤」とは、1気圧、20℃において、溶剤と、同容量の純水とを穏やかに撹拌し、流動が収まった後に混合液が均一な外観を維持することができないものを意味する。
【0052】
前記水溶性溶剤としては、特に制限されないが、その好ましい例として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。
【0053】
前記非水溶性溶剤の好ましい例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類が挙げられる。
【0054】
これらの溶剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤の使用量にも特に制限はないが、コーティング剤の全体を100質量部としたとき、(a)低分子界面活性剤及び(b)高分子界面活性剤の合計量が、0.1~15質量部となる様な量使用することが好ましく、0.1~5.0質量部となる様な量使用することが特に好ましい。
【0055】
コーティング剤は、必要に応じて(a)低分子界面活性剤、(b)高分子界面活性剤、及び溶剤以外の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、特に制限されないが、防曇補助剤、スリップ剤(ポリジメチルシロキサンを主体成分とするシリコーンエマルジョン液等)、帯電防止剤、酸化防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤等が例示できる。これらの添加剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
コーティング剤の塗工方法は特に制限されないが、好ましい例としてスプレーコーター、ロールコーター、グラビアロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、ローターダンプニング、アプリケーター方式等が挙げられる。
【0057】
乾燥温度についても、特に制限されないが、高分子フィルムのガラス転移温度(Tg)を超えない温度で乾燥させることが好ましい。
また、乾燥時間についても、特に制限されないが、0.01~10分であることが好ましく、0.05~3分であることがより好ましい。
【0058】
(a)低分子界面活性剤
本発明中のコーティング層において用いられる(a)低分子界面活性剤には特に制限はなく、低分子であって界面活性作用を示す化合物を、(a)低分子界面活性剤として使用することができる。
ここで、「低分子」とは、分子量5,000以下であることを意味する。(a)低分子界面活性剤の分子量は、3,000以下であることが好ましく、1,500以下であることが特に好ましい。
(a)低分子界面活性剤は、アニオン系低分子界面活性剤、カチオン系低分子界面活性剤、非イオン系低分子界面活性剤のいずれであってもよい。
コーティング剤の安定性、防曇性の観点からは、非イオン系低分子界面活性剤であることが好ましく、脂肪酸エステル系の低分子界面活性剤であることが特に好ましい。
【0059】
アニオン系低分子界面活性剤の好ましい例として、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、およびラウリル硫酸カリウム等のアルキル硫酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸等のアルキルアリールスルホン酸、およびその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、および等スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等のスルホコハク酸塩、ラウリルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェ-ト、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルホスフェ-ト、ポリオキシエチレンスチレン化フェノールエーテルサルフェートなどを挙げることができる。
【0060】
カチオン系低分子界面活性剤の好ましい例として、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム等の、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム等のハロゲン化アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、塩化ステアリルペンタエトキシアンモニウム、並びにクロロ-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース等を挙げることができる。
【0061】
非イオン系低分子界面活性剤の好ましい例としては、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、およびポリオキシエチレンステアリン酸アミド等のアルキロールアマイド、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、モノカプリル酸デカグリセリン、モノステアリン酸グリセリン、モノカプリル酸ソルビタン、モノラウリル酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、モノラウリリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、およびトリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、およびテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(ブロック体)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、およびエチレンジアミンテトラポリオキシエチレンポリオキシプロピレン等の、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、並びにポリオキシエチレンスチレン化フェノールエーテルポリマー、などが挙げることができる。
中でも、脂肪酸エステルが好ましく、多価アルコール脂肪酸エステルが特に好ましい。より具体的には、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノラウレート、デカグリセリンオレート、デカグリセリンラウレート等を特に好適に使用することができる。
【0062】
(b)高分子界面活性剤
本発明において用いられる(b)高分子界面活性剤には特に制限はなく、高分子であって界面活性作用を示す化合物を、(b)高分子界面活性剤として使用することができる。
ここで、「高分子」とは、分子量5,000以上であることを意味する。(b)高分子界面活性剤の分子量は、10,000~1,000,000であることが好ましく、10,000~500,000であることが特に好ましい。
【0063】
(b)高分子界面活性剤は、水溶性であることが好ましい。(b)高分子界面活性剤の構造にも特に制限はないが、水に不溶性の高分子主鎖を有し、その側鎖に水溶性の基を有することで、高分子化合物全体として水溶性を示す構造を有することが望ましい。
(b)高分子界面活性剤は、アニオン高分子界面活性剤、カチオン高分子界面活性剤、非イオン高分子界面活性剤のいずれであってもよい。これらのいずれに該当するかは、通常、上記側鎖の基の種類、数、割合等に依存する。
(b)高分子界面活性剤は、天然系高分子界面活性剤、半合成系高分子界面活性剤、合成系高分子界面活性剤のいずれであってもよいが、構造、物性の制御や入手の容易さの観点から、合成系高分子界面活性剤であることが望ましい。
【0064】
アニオン高分子界面活性剤の好ましい例として、(メタ)アクリル酸や、マレイン酸等の(共)重合体、カルボキシメチルセルロース、カルボキシデンプン、(メタ)アクリル酸グラフトデンプン、アルギン酸ナトリウム、ペクチニン酸ナトリウム、キサンタンガム等を挙げることができる。
中でも、アクリル系高分子界面活性剤、すなわち(メタ)アクリル系単量体の(共)重合体が好ましく用いられる。
【0065】
(メタ)アクリル系単量体の(共)重合体において用いられる(メタ)アクリル系単量体の例としては、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、シリル基を有する(メタ)アクリル系単量体、イソシアナート基を有する(メタ)アクリル系単量体等が挙げられる。
【0066】
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、特に制限されないが、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートを用いることが好ましい。
【0067】
カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、特に制限されないが、(メタ)アクリル酸、((メタ)アクリロイルオキシ)酢酸、(メタ)アクリル酸2-カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸3-カルボキシプロピル、コハク酸1-[2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル]、フタル酸1-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)、ヘキサヒドロフタル酸水素2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル、およびこれらのラクトン変性物等の不飽和モノカルボン酸;不飽和ジカルボン酸(マレイン酸等)、酸無水酸(無水コハク酸、無水マレイン酸等)と、水酸基含有多官能(メタ)アクリレート(ペンタエリスリトールトリアクリレート)とを反応させて得られるカルボキシ基含有多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち、酸価の調整が容易である等の観点から、メタクリル酸、(アクリロイルオキシ)酢酸、アクリル酸2-カルボキシエチル、アクリル酸3-カルボキシプロピルを用いることが好ましく、メタクリル酸を用いることがより好ましい。
【0068】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、特に制限されないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、β-(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、N-モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、2-アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等が例示できる。
【0069】
シリル基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、特に制限されないが、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン等が例示できる。
【0070】
イソシアナート基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、特に制限されないが、(メタ)アクリロイルイソシアナート、(メタ)アクリロイルイソシアナートエチルのフェノールまたはメチルエチルケトオキシム付加物等が例示できる。
【0071】
また、前記他の単量体としては、特に制限されないが、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ニトリル基含有エチレン性不飽和単量体、芳香族環を有するビニル化合物、メチロールアミド基またはそのアルコキシ化物含有重合性単量体、シリル基含有重合性単量体、オキサゾリン基含有重合性単量体、アミド基含有重合性単量体、カルボニル基含有重合性単量体、その他の化合物等が例示できる。
他の単量体を使用する場合には、アクリル系高分子界面活性剤に占める他の単量体由来の構成単位の割合は、10~90モル%であることが好ましく、30~70モル%であることが特に好ましい。
【0072】
本発明に適用可能なアクリル系高分子界面活性剤のうち商業的に入手可能なものとしては、例えばデクスノール RS-811(日本乳化剤株式会社製)、BYK-3441(ビックケミー・ジャパン株式会社製)、BYK-350(ビックケミー・ジャパン株式会社製)、BYK-381(ビックケミー・ジャパン株式会社製)、エレカットC048(竹本油脂株式会社製)等を挙げることができる。
【0073】
アニオン高分子界面活性剤の他の好ましい例として、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、カチオンデンプン、キトサン等を挙げることができる。
【0074】
非イオン高分子界面活性剤の好ましい例として、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリアクリルアミド、アルキルフェノールホルムアルデヒド縮合物のエチレンオキシド付加物、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、コーンスターチ、各種デンプン等を挙げることができる。
【0075】
更に、好適な高分子界面活性剤のより具体的な例とし、以下を挙げることができる。
(1)ポリ4-ビニルピリジン型陽イオン界面活性剤
(2)リニア多糖類の陽イオン性誘導体とオレフィン単量体のグラフト共重合体
(3)カチオンモノマーとノニオンモノマーとの共重合物(例えばアルキルビニルピリジニウムとアルキルビニルアルコールのアルキレンオキシド付加物との共重合物)
(4)ポリ2-ヒドロキシ-3-メタクロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド
(5)ポリメタクリル酸ジメチルアミノエチル
(6)アクリル酸重合物のアルカリ金属、アミン、アンモニアとの塩
(7)無水マレイン酸とアクリル酸との共重合物およびこれらのアルカリ金属、アミン、アンモニアとの塩
(8)イタコン酸とアクリル酸との共重合物およびこれらのアルカリ金属、アミン、アンモニアとの塩
(9)スルホン化スチレン-無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩
(10)ポリビニルスルホン酸のアルカリ金属塩
(11)ポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩
(12)ポリメタクリロイルオキシプロピルスルホン酸
(13)ポリエポキシコハク酸のアルカリ金属塩
(14)ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物
(15)メラミン-スルホン酸ホルマリン縮合物
(16)アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸アルキルアクリルアミドもしくはアクリロニトリルとの共重合体
(17)脂肪酸デキストリン
(18)カルボキシメチルセルロース
(19)ポリビニルアルコール
(20)ポリオキシエチレン(以下、POEと略す)-ポリオキシプロピレン(以下、POPと略す)ブロックポリマー
(21)エチレンジアミン-POE・POPブロックポリマー
(22)POE-POPトリブロックポリマー
【0076】
基材フィルム
所望に応じて、本実施形態の熱融着性フィルムを、好ましくはそのラミネート層(C)において、基材フィルムと積層することができる。
【0077】
基材フィルムには特に制限はなく、例えば通常プラスチック包装に使用されるフィルムを、好適に使用することができる。
好ましい基材フィルムの材質としては、例えば、結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレン-エチレン共重合体、結晶性ポリブテン-1、結晶性ポリ4-メチルペンテン-1、低-、中-、或いは高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等のポリオレフィン類;ポリスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン化ビニル重合体;アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体の如きニトリル重合体;ナイロン6、ナイロン66、パラまたはメタキシリレンアジパミドの如きポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル類;各種ポリカーボネート;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂から構成されたプラスチックフィルムを挙げることができる。また、包装する内容物が酸素に敏感なものの場合には、上記フィルムに金属酸化物等を蒸着したフィルム、或いは有機化合物を被覆したフィルムや、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなる層を設けてもよい。
これらの材料からなるプラスチックフィルムは、未延伸、一軸延伸、或いは二軸延伸して用いられる。
【0078】
基材フィルムとして、これらのプラスチックフィルムを単層で、或いは、二種以上を積層したものとして使用することができ、また、これらのプラスチックフィルムの一種、或いは、二種以上と、アルミニウム等の金属箔、紙、セロファン等を貼合わせて構成することもできる。
好ましい基材フィルムとして、例えば、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリエステルフイルムからなる単層フィルム、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルムとPETを積層した二層構成のフィルム、PET/ナイロン/ポリエチレンを積層した三層構成のフィルム等が挙げられる。これらの積層フィルムの製造に際しては、各層間に必要に応じて接着剤、アンカー剤を介在させることもできる。また、デザインを表現するインキ層を設けてもよい。
【0079】
基材層をラミネート層(C)等に積層する方法には特に制限はないが、例えば押出しラミネート等によりラミネート層(C)に基材フィルムを直接積層することができる。また、ドライラミネート等により接着剤を介してラミネート層(C)に基材フィルムを積層してもよい。接着剤としては、ウレタン系接着剤、酸変性ポリオレフィン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリエーテル系接着剤、ポリアミド系接着剤等、通常のものを使用することができる。
基材フィルムの厚さは任意に設定することができるが、通常は、7~500μm、好ましくは7~50μmの範囲から選択することができる。
【0080】
本発明の熱融着性フィルム、及び本実施形態の熱融着性フィルムのラミネート層(C)に基材フィルムを積層した積層フィルムは、各種用途において好ましく使用され、特に易開封性フィルム等の包材として使用するのに適している。
【0081】
その様な包材の好ましい例として、蓋材を挙げることができる。すなわち、本発明の熱融着性フィルム、及び本実施形態の熱融着性フィルムのラミネート層(C)に基材フィルムを積層した積層フィルムは、その易開封性等を活かして、熱融着層(A)を容器側の最内層として用いる容器用の蓋材として用いることができる。
容器蓋材として用いる場合は、本発明の熱融着性フィルムをそのまま蓋材として用いても良いし、印刷して用いても良い。更に印刷されたあるいはされていない基材フィルムと貼り合せて蓋材にしても良い。又、用途によっては予め容器形状に合わせてカットして蓋材にしても良い。容器蓋材とする場合には、基材フィルムと貼り合せて使用するのが好ましい。
上記易開封性フィルムを有する蓋材と容器とを組み合わせることで、易開封性包装を構成することができる。
【0082】
本発明の積層フィルムは、熱融着層(A)において各種被着体に熱融着させることにより熱シール層を形成させることができる。このような被着体としてプロピレン系重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等を例示することができる。これら被着体は、フィルム、シート、トレー、カップ、ボトル等、種々の形状のものであることができる。この中では特にポリエステルを被着体とすると、熱シール層の密封性、易開封性、耐熱性、耐油性などに優れており好ましい。
【0083】
包装容器への収納物には特に制限はないが、食品、医薬品、医療器具、日用品、雑貨等の包装に好ましく用いることができる。本発明の熱融着性フィルムの優れた視認性、防曇性、ヒートシール強度(易開封性)、及び低ブロッキング性を活かして、総菜、サラダ、果物等の包装容器として、特に好適に用いられる。
【実施例】
【0084】
以下、実施例/比較例を参照しながら、本発明を具体的に説明する。なお、本発明はいかなる意味においても、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0085】
実施例/比較例における物性、特性の評価は、以下の方法により行った。
(1)防曇性
透明ビーカーに30mLの精製水を入れ、測定面(コーティング面)を内側(水側)にして試料のフィルムで覆い、冷蔵庫(約5℃に設定)で保管した。24時間の保管の後、冷蔵庫から取り出し、取出し直後のフィルムの曇り具合を目視にて観察して、曇りなしを5点、曇りのため不透明を1点として、5点満点で評価した。
図1(a)に評価基準の模式図を、(b)に実際の防曇評価例の写真を示す。
【0086】
(2)ブロッキング強度
2枚の試料フィルムを、コーティング面と非コーティング面とが接する様に重ね、40℃、4kgの加圧下で24時間保管後、万能型引張試験機(株式会社エー・アンド・ディー製)を用いて該2枚の試料フィルムの剥離強度(N/5.2cm2)を測定した。
【0087】
(3)ヒートシール強度
試料フィルムのコーティング面をA-PETシート(軟化点77℃、結晶化温度126℃)に合わせ、精密ヒートシーラー(テスター産業製)を用いて温度180℃、圧力0.2MPaで幅5mmのシールバーにより、1.0秒間ヒートシールした後、放冷し、次いでヒートシールしたサンプルから15mm幅の試験片を切り取り、23℃、50%RHの恒温室において引張速度 500mm/分の条件で、万能型引張試験機(株式会社エー・アンド・ディー製)で180度方向に剥離して最大荷重を測定した。
【0088】
(4)水の接触角
以下の条件で、接触角計を用いて測定を実施した。
接触角計:協和界面科学社製 DM-701 全自動接触角計
接触角計解析ソフト:同社製 FAMAS
液滴法にて、接触角θを算出した。手順は以下のとおり。
i)短冊上にカットしたサンプルを接触角計にセットした。
ii)シリンジポンプから、約6.1μLの水滴を吐出した。
iii)サンプル上に吐出した液滴の状態を画像撮影した。
iv)サンプルと液滴のなす角を測定し、これを水の接触角(°)とした。
【0089】
(5)表面自由エネルギー
上記(4)記載の水の接触角の測定と同様の装置、条件で、水、ジヨードメタン、1-ブロモナフタレンのサンプルとの接触角を測定した。
上記の接触角計解析ソフトを用いて、得られた各接触角から表面自由エネルギーを算出した。算出にあたっては、北崎―畑、拡張フォークスの式(Kitazaki-Hata式)を使用し、上記3種の液体について測定した固体(サンプル)との接触角(θ)と、既知である各液体の表面自由エネルギーとを下式に入れ、得られた3元1次方程式を解いて、固体(サンプル)の表面自由エネルギー
を得た。
【数1】
【0090】
(6)塗工量
重量測定法によりコーティング層の塗工量を評価した。
コーティング層が形成されたサンプルを10cm×10cmにカットし、重量を測定した。その後、エタノールで湿らせたキムワイプを用いて、コート面の洗浄を行った。洗浄後のサンプル重量を測定し、洗浄前と洗浄後の重量差を塗工量とした。なお、重量差を面積で除してg/m2単位に換算する。
【0091】
実施例/比較例で用いた材料/成分の詳細は、以下のとおりである。
基材フィルム
それぞれ厚み5.1μm/6.3μm/18.6μmの熱融着層/中間層/ラミネート層からなる、3層構成、厚み30μmの積層フィルムを基材フィルムとして使用した。
各層を構成する樹脂は、以下のとおりであった。
・熱融着層
ポリエチレンテレフタレート樹脂(Tg:73℃、密度:1340kg/m3)
・中間層
ポリオレフィン樹脂(MFR(2.16kg190℃):5.6g/10分、密度:903kg/m3)
・ラミネート層
ポリエチレン樹脂(MFR(2.16kg190℃):3g/10分、密度:928kg/m3、融点:114℃)
【0092】
高分子界面活性剤
アクリル系高分子界面活性剤1(固形分15%水溶液、4級アンモニウム塩を含むアクリル系重合体、分子量約26,000、酸価1.0、融点:118℃)を使用した。
【0093】
低分子界面活性剤
低分子界面活性剤1(ジグリセリンモノラウレート、分子量:349)を使用した。
【0094】
(比較例1)
比較対照用として、コーティングを行っていない上記の基材フィルムについて、上記の方法にしたがって防曇性、ブロッキング強度、ヒートシール強度、水の接触角、及び表面自由エネルギーを評価した。
結果を表1に示す。
コーティングを行っていないため、防曇性を実現することができなかった。
【0095】
(実施例1)
高分子界面活性剤1を50質量部に対して、低分子界面活性剤1を50質量部添加して、溶媒(イソプロパノールと水の混合溶媒)中に分散して、濃度2質量%のコーティング剤を製造した。
当該コーティング剤を、基材フィルムの熱融着層側の面にバーコーターを用いて塗工し、80℃に調節された恒温槽にて1分燥させることで基材フィルムのラミネート層上にコーティング層が形成されたフィルムを得た。乾燥後の質量から塗工量を求めたところ0.050g/m2であった。
得られたフィルムについて、上記の方法にしたがって防曇性、ブロッキング強度、ヒートシール強度、水の接触角、及び表面自由エネルギーを評価した。
結果を表1に示す。
防曇性に優れ、適切なヒートシール強度を有し、ブロッキングも比較的抑制されていた。
【0096】
(実施例2~7)
塗工量を表1に示す通り変更したことを除くほか実施例1と同様にして、コーティング層が形成されたフィルムを製造して評価した。
結果を表1に示す。
防曇性、ヒートシール強度、耐ブロッキング性ともに良好であったが、水の接触角の増大、表面自由エネルギーの現象に伴い、防曇性が若干低下する傾向が認められた。
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の熱融着性フィルムは、防曇性を適切に制御することができ、これにより防曇性、ヒートシール強度(易開封性)、及び低ブロッキング性、という実用上高い価値を有する性質を適切にバランスさせることができるものであり、内容物の視認性が求められる食品等の各種商品を収納する、易開封性のプラスチック容器の蓋材をはじめとする各種用途において好適に使用することができ、食品加工業、流通、小売、外食などの産業の各分野において高い利用可能性を有する。