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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
   G07F 17/20 20060101AFI20250324BHJP
【FI】
G07F17/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021149142
(22)【出願日】2021-09-14
(65)【公開番号】P2023042062
(43)【公開日】2023-03-27
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】埜邨 浩之
(72)【発明者】
【氏名】井口 望
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-147081(JP,U)
【文献】特開平02-277191(JP,A)
【文献】実開昭60-153386(JP,U)
【文献】実開昭59-070277(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器本体と、硬貨処理装置と、を備え、
前記硬貨処理装置は、
硬貨が投入される投入部を備えた筐体と、
投入された硬貨を保管する保管部と、
前記筐体を保持するホルダと、
前記筐体を前記ホルダに締結する第1締結部と、を備え、
前記筐体は、前記保管部を収容する第1収容部を含み、
前記保管部は、前記保管部を前記第1収容部に収容した状態で施錠する施錠部を含み、
前記第1締結部は、前記第1収容部を介して締結及び解除が可能であり、前記保管部が前記第1収容部に収容されている場合、前記保管部に覆われ、前記保管部が前記第1収容部から取り外されている場合、前記第1収容部内に露出され
前記硬貨処理装置は、
前記ホルダを前記電気機器本体に締結する第2締結部をさらに備え、
前記ホルダは、前記筐体を収容する第2収容部を含み、
前記第2締結部は、前記第2収容部を介して締結及び解除が可能であり、前記筐体が前記第2収容部に収容された場合、前記筐体に覆われ、前記筐体が前記第2収容部から取り外された場合、前記第2収容部内に露出される、電気機器
【請求項2】
前記第2締結部は、前記電気機器本体の表面カバーを間に挟んで、前記ホルダと前記電気機器本体の内部構造部品である補強部材とを締結する、請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記硬貨処理装置は、前記電気機器本体の上面に配置され、
前記電気機器本体は、
前記電気機器本体の上面で、かつ前記硬貨処理装置の前方に設けられた開口部と、
前記開口部を開閉する蓋部と、
前記電気機器本体の上面に設けられ、前記蓋部によって前記開口部が閉じられた状態において、前記蓋部の周縁部を囲う隔壁部と、を含み、
前記蓋部は、前記開口部が閉じられた状態において、前記蓋部の後部と対向する前記隔壁部との隙間を埋めるように、前記蓋部の後部から後方に延びるリブを有する、請求項1または請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記硬貨処理装置は、前記電気機器本体の上面に配置され、
前記電気機器本体は、前記電気機器本体の後面カバーから後方に突出し、前記電気機器本体を設置するための当接部をさらに備え、
前記硬貨処理装置の後面は、前記電気機器本体の後面カバーよりも後方で、かつ前記当接部よりも前方に位置する、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の電気機器。
【請求項5】
前記電気機器本体は、洗濯機であって、
前記ホルダは、
前記洗濯機の洗濯槽に洗剤を投入させる洗剤ポンプを収容する、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、洗濯機の制御筐の開口に着脱自在に設けられた蓋板と、蓋板の裏面に取り付けられた硬貨選別装置と、硬貨選別装置を覆い下方に硬貨受部を有するカバーと、を備え、蓋板に取り付けられた施錠装置を鍵で解錠することで、制御筐の開口と蓋体との係着が解除され、蓋板と、硬貨選別装置と、カバーとを一体的に取り出すことができる硬貨投入器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公昭53-045680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の硬貨処理装置(硬貨投入器)では、硬貨が投入される投入部(硬貨選別装置)と保管部(硬貨受部)とが一体的に取り出される構成であるため、例えば、硬貨を回収するときは、保管部だけでなく投入部も取り出す必要があり、その度に投入部への電源や制御線を外すことになるため、作業が煩雑となり、また、信頼性の低下を招く。そこで、投入部と保管部とを別体として、保管部のみを取り出す構成とすることが考えられる。当該構成では、硬貨の盗難対策として、例えば、保管部に施錠部(施錠装置)が取り付けられていたとしても、硬貨処理装置から投入部を取り外して、当該投入部が取り外された空間を通じて保管部に保管される硬貨が取り出されるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明の一態様は、例えば、簡易な構成で、硬貨の盗難防止を図ることができる硬貨処理装置および硬貨処理装置を備えた電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る硬貨処理装置は、硬貨が投入される投入部を備えた筐体と、投入された硬貨を保管する保管部と、前記筐体を保持するホルダと、前記筐体を前記ホルダに締結する第1締結部と、を備え、前記筐体は、前記保管部を収容する第1収容部を含み、前記保管部は、前記保管部を前記第1収容部に収容した状態で施錠する施錠部を含み、前記第1締結部は、前記第1収容部を介して締結及び解除が可能であり、前記保管部が前記第1収容部に収容されている場合、前記保管部に覆われ、前記保管部が前記第1収容部から取り外されている場合、前記第1収容部内に露出される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】電気機器の斜視図である。
図2】硬貨処理装置を示す電気機器の斜視図である。
図3】硬貨処理装置から保管部を外した電気機器の斜視図である。
図4】硬貨処理装置から筐体を外した電気機器の斜視図である。
図5】第2締結部を示す電気機器の上面図である。
図6】第2締結部を示す電気機器の分解斜視図である。
図7】第2締結部を示す電気機器の断面図である。
図8】蓋部のリブを示す電気機器の断面図である。
図9】電気機器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略し、また、本開示に直接関係のない要素は図示を省略する場合がある。
【0009】
本実施形態の電気機器は、洗濯機1と、硬貨処理装置100と、を備える。以下では、洗濯機1において、後述の上蓋30が設けられる側を上側、その反対側を下側と規定し、上蓋30の回動支点側(硬貨処理装置100側)を後側、その反対側を前側と規定して説明する。ただし、これらの方向は、説明のために便宜上規定した方向であって、使用時の方向を規定する趣旨ではない。
【0010】
洗濯機1の概略構成を説明する。図1は、電気機器の斜視図である。図1では、洗濯機1の内部構造を図示するため、洗濯機1の右前部分が取り除かれた縦断面が示されている。
【0011】
図1に示すように、洗濯機1は、外箱10、上面部材20、上蓋30、ベース部材40、駆動機構50等を含む。外箱10の外形は、上下に開口する角筒状である。外箱10の上側に上面部材20が設けられ、外箱10の下側にベース部材40が設けられる。上蓋30は、上面部材20を上下方向に貫通する開口部を開閉可能である。水槽11は、外箱10内に配置され、上方に開口した略有底円筒状である。水槽11の底部には、水槽11内の水を排水するための排水部が設けられている。
【0012】
水槽11内には、被洗濯物である靴が入れられる洗濯槽12が設けられる。洗濯槽12は、水槽11と同様に上方に開口した略有底円筒状であり、水槽11に対して回転可能である。洗濯槽12の回転中心を通る軸線Oは、上下方向に延びる。洗濯槽12の底部には水抜部が形成され、且つ洗濯槽12の周壁には複数の排水孔が形成されている。洗濯槽12の上端開口を介して、洗濯槽12内に上方から靴が出し入れされる。洗濯槽12の上端開口縁に沿って、バランスリング14が設けられる。
【0013】
洗濯機1は、洗濯槽12の底部に配置され、上下方向に延びる軸線を中心に回転する回転体13を含む。例えば回転体13は、洗濯槽12内の水を撹拌するための円盤状のパルセータである。回転体13は、洗濯槽12に対して回転可能である。回転体13の回転中心を通る軸線は、洗濯槽12の軸線Oと略一致している。洗濯槽12の下方には、洗濯槽12と回転体13とを回転駆動する駆動機構50が設けられる。駆動機構50と、洗濯槽12及び回転体13との間には、クラッチ51が設けられている。駆動機構50の動力が洗濯槽12及び回転体13に伝達される状態と、駆動機構50の動力が回転体13のみに伝達される状態とが、クラッチ51によって切り替えられる。
【0014】
図1に示すように、洗濯機1は、ブラシホルダ3を備える。ブラシホルダ3は、回転体13の上側に固定された軸部60と、軸部60から洗濯槽12の内周面12A側に延びるブラシユニット7とを有し、回転体13と共に回転する。ブラシホルダ3の回転中心を通る軸線は、軸部60の中心を通り、洗濯槽12の軸線Oと略一致している。従って、洗濯槽12、回転体13、及びブラシホルダ3は、何れも軸線Oを中心に回転可能である。軸線Oを中心とした回転方向は、洗濯槽12の周方向と略一致する。周方向は、平面視で時計回り方向と反時計回り方向とを含む。
【0015】
ブラシホルダ3には、複数のブラシユニット7が設けられる。各ブラシユニット7の上端は、洗濯槽12の上端開口の下方に位置する。各ブラシユニット7の下端は、回転体13の上面に対して、間隔を空けて上側から対向する。各ブラシユニット7の先端は、洗濯槽12の内周面12Aと間隔を空けて対向する。本例では、二つのブラシユニット7が、平面視で軸部60から互いに反対方向に突出する。ブラシユニット7の数量、位置、形状等は、本実施形態に限定されない。
【0016】
洗濯機1では、洗剤や水が貯められた洗濯槽12内で、靴が洗濯される洗濯運転や、洗剤及び水が排出された洗濯槽12において、靴が脱水される脱水運転等が実行可能である。洗濯運転では、ブラシホルダ3及び回転体13を回転させて、ブラシユニット7が、軸部60の外周側にある靴と接触することで、靴は洗濯される。脱水運転では、ブラシホルダ3及び回転体13が所定時間又は所定回数、交互に正転及び反転させる転がし動作と、洗濯槽12を回転させる槽回転動作とが行われることで、靴は脱水される。
【0017】
硬貨処理装置100の概略構成を説明する。図2は、硬貨処理装置100を示す電気機器の斜視図である。図2では、洗濯機1の一部について、図示を省略している。図3は、硬貨処理装置100から保管部123を取り外した電気機器の斜視図である。図3では、洗濯機1の一部について、図示を省略している。図4は、硬貨処理装置100から筐体120を取り外した電気機器の斜視図である。図4では、洗濯機1の一部について、図示を省略している。図5は、第2締結部140を示す電気機器の上面図である。図5では、第2締結部140を図示するため、ホルダ110の下部フレーム111以外の部材が取り除かれた上面図が示されている。図5では、洗濯機1の一部について、図示を省略している。図6は、第2締結部140を示す電気機器の分解斜視図である。図6では、第2締結部140を図示するため、ホルダ110の下部フレーム111以外の部材が取り除かれた分解斜視図が示されている。図6では、洗濯機1の一部について、図示を省略している。図7は、第2締結部140を示す電気機器の断面図である。図7は、図5のA-A線断面図である。図7では、洗濯機1の一部について、図示を省略している。
【0018】
図2に示すように、硬貨処理装置100は、洗濯機1に取り付けられる。硬貨処理装置100は、洗濯機1の上面の後部に配置される。硬貨処理装置100は、洗濯機1に取り付けられたホルダ110と、ホルダ110に収容される筐体120と、を含む。
【0019】
ホルダ110は、例えば、箱状に形成される。ホルダ110は、例えば、複数のフレームを重ね合わせてリベットを通してかしめたり、特殊ネジを用いて締結したりすることで形成される。ホルダ110の前面には、開口部110a(図4参照)を有する。ホルダ110の内部には、筐体120が保持される。筐体120の前面は、開口部110aを介してホルダ110の外部に露出されている。
【0020】
筐体120は、例えば、前面が開口された箱状に形成される。筐体120には、硬貨が投入される投入部121と、投入部121から投入された硬貨が払い戻される払戻部122と、投入された硬貨が保管される保管部123と、が収容される。投入部121は、硬貨が投入される投入口を有する。また、投入部121は、例えば、投入された硬貨が正貨であるか否かを選別する。投入部121において硬貨が正貨である場合、洗濯機1の動作指示を受け付けると、保管部123に送られ、硬貨の払い戻し指示を受け付けると、払戻部122に送られる。投入部121において硬貨が正貨でない場合や利用者が取消ボタンを押した場合は、払戻部122に送られる。
【0021】
投入部121及び払戻部122は、一体的に成形され、筐体120の上部に配置される。投入部121及び払戻部122は、開口部110aを介してホルダ110の外部に露出されるように、筐体120の上部に固定される。
【0022】
図3に示すように、筐体120の下部には、保管部123を収容する第1収容部120aが設けられる。保管部123は、第1収容部120aに着脱可能に設けられる。保管部123は、投入された硬貨を保管するトレイである。保管部123の前面には、保管部123を第1収容部120aに収容した状態で施錠する施錠部123aが設けられる。保管部123が第1収容部120aに収容された状態では、施錠部123aが、開口部110aを介してホルダ110の外部に露出している。
【0023】
施錠部123aは、例えば、鍵穴である。保管部123が第1収容部120aに収容された状態において、施錠部123aに所定のキーを挿し込んで回転させることで、施錠及び解錠を行うことができる。ユーザによって施錠が行われた場合、筐体120と保管部123とがロックされ、ユーザによって解錠が行われた場合、筐体120と保管部123とのロックを解除して、保管部123を筐体120から取り外すことができる。
【0024】
図3に示すように、硬貨処理装置100は、筐体120をホルダ110に締結する第1締結部130をさらに備える。第1締結部130は、例えば、ねじである。ねじは、例えば、ねじ頭に六角状の溝が切られた特殊ねじである。なお、第1締結部130は、特殊ねじであるが、これに限らず、ねじ頭に十字などの溝が切られたねじであってもよい。
【0025】
図4に示すように、ホルダ110は、その内部空間を仕切る仕切り壁110bを有する。仕切り壁110bは、ホルダ110の底部(後述の下部フレーム111)から上方に延びる。より具体的には、仕切り壁110bは、下部フレーム111の一部を折り曲げて立設している(図6参照)。仕切り壁110bによって、ホルダ110の内部空間は、右側に位置する第2収容部110cと左側に位置する第3収容部110d(図5参照)とに仕切られる。
【0026】
第2収容部110cは、筐体120が収容される空間である。第3収容部110dには、例えば、洗濯機1で使用され、洗濯タンクに収容される洗剤を洗濯槽12に供給するための洗剤ポンプ21と、洗濯槽12への洗剤の供給量を検知するセンサ22と、が収容される(図5参照)。センサ22は、例えば、光センサである。
【0027】
第1締結部130は、筐体120の左側面120b(図4参照)と、仕切り壁110bとを締結する。より具体的には、第1収容部120aに収容された保管部123と左右方向に重なる位置において、筐体120の左側面120b(図4参照)と、仕切り壁110bとを締結する。本実施形態では、第1締結部130は、前後方向に2つ並べて配置される。第1締結部130は、筐体120の左側面120bの貫通孔120cを介して、仕切り壁110bに形成されたねじ孔110eに締結されることで、ホルダ110と筐体120とを締結する。
【0028】
図2に示すように、第1締結部130は、保管部123が第1収容部120aに収容されている場合、保管部123に覆われる。第1締結部130が保管部123に覆われるとは、第1締結部130が露出される部分が覆われる、もしくは、第1締結部130が露出される部分を含む空間(本実施形態では、第1収容部120a)が覆われることを指す。
【0029】
図3に示すように、第1締結部130は、保管部123が第1収容部120aから取り外されている場合、第1収容部120a内に露出される。具体的には、開口部110aを通じて、第1締結部130が露出される。ここでの第1締結部130が露出されるとは、第1締結部130のねじ頭が露出されることを指す。第1締結部130が第1収容部120a内に露出されることで、第1締結部130は、第1収容部120aを介して、締結及び解除が可能である。
【0030】
以上のように、硬貨処理装置100は、保管部123を筐体120から取り外さなければ、第1締結部130が露出されない構成を有することで、硬貨処理装置100を分解するためには、施錠部123aの解錠を行わなければならない。ゆえに、硬貨処理装置100を容易に分解することができないため、硬貨の盗難防止を図ることができる。
【0031】
第3収容部110dには、洗剤ポンプ21やセンサ22などが収容されているため、メンテナンスのためにホルダ110の上部は容易に取り外せることが好ましい。ホルダ110の上部を取り外すと筐体120が露出することになるが、上述の通り、筐体120をホルダ110の仕切り壁110bに固定する第1締結部130は、保管部123に覆われる。このため、保管部123を筐体120から取り外さなければ、第1締結部130が露出されず、筐体120を取り外すことはできない。
【0032】
なお、第3収容部110d側に第1締結部130の先端側が露出している場合は、第1締結部130が仕切り壁110bに締結されたときの第1締結部130のねじ頭と保管部123の壁面との距離は、仕切り壁110bに形成されたねじ孔110eの雌ネジ形成長さよりも短くすることが好ましい。第3収容部110d側に第1締結部130の先端側が露出している場合は、その先端側をペンチなどで掴んで無理やり回すことも考えられるが、第1締結部130がねじ孔110eから外れる前に第1締結部130のねじ頭が第1収容部120a内に突出して保管部123に接触するようにすることで、第3収容部110d側から第1締結部130を外すことを防止できる。
【0033】
図4に示すように、筐体120の右側面120dには、貫通孔120cと対向する位置に、硬貨処理装置100を組み立てる際に使用される工具挿込穴120eが設けられている。工具挿込穴120eから工具を挿し込むことで、屈曲した工具などを用いることなく、硬貨処理装置100の組み立て時に、第1締結部130を容易に締結することを可能としている。
【0034】
図5に示すように、硬貨処理装置100は、ホルダ110を洗濯機1に締結する第2締結部140をさらに備える。第2締結部140は、例えば、ねじである。図5では、第2締結部140を図示するため、ホルダ110の下部フレーム111以外の部材が取り除かれた上面図が示されている。
【0035】
図5に示すように、洗濯機1は、後面カバー23を有する。後面カバー23は、洗濯機1の表面カバーの一部であり、洗濯機1の上面後部から後面上部にかけて湾曲した形状を有する。後面カバー23は、他の表面カバー等に対してねじ等の締結具で締結される。
【0036】
図5に示すように、第2締結部140は、ホルダ110の第2収容部110cにおいて、ホルダ110と洗濯機1とを締結する。より具体的には、第2収容部110cに収容された筐体120と上下方向に重なる位置において、ホルダ110の下部フレーム111と洗濯機1とを締結する。第2締結部140は、例えば、ねじである。ねじは、例えば、ねじ頭に十字などの溝が切られたねじである。本実施形態では、第2締結部140は、2つ設けられる。
【0037】
第2締結部140は、筐体120が第2収容部110cに収容されている場合、筐体120に覆われる。第2締結部140が筐体120に覆われるとは、第2締結部140が露出される部分が覆われる、もしくは、第2締結部140が露出される部分を含む空間(本実施形態では、第2収容部110c)が覆われることを指す。
【0038】
また、第2締結部140は、筐体120が第2収容部110cから取り外されている場合、第2収容部110c内に露出される。具体的には、開口部110aを通じて、第2締結部140が露出される。ここでの第2締結部140が露出されるとは、第2締結部140のねじ頭が露出されることを指す。第2締結部140が第2収容部110c内に露出されることで、第2締結部140は、第2収容部110cを介して、締結及び解除が可能である。
【0039】
以上のように、硬貨処理装置100は、筐体120をホルダ110から取り外さなければ、第2締結部140が露出されない構成を有することで、硬貨処理装置100を分解するためには、保管部123を筐体120から取り外さなければならない。ゆえに、施錠部123aの解錠を行わなければ、硬貨処理装置100を容易に分解することができないため、硬貨の盗難防止を図ることができる。
【0040】
図6及び図7に示すように、第2締結部140は、洗濯機1の後面カバー23を間に挟んで、ホルダ110の下部フレーム111と、洗濯機1の内部構造部品である補強部材24とを締結する。
【0041】
洗濯機1は、内部構造部品として、乾燥ユニット25を備える。乾燥ユニット25は、被洗濯物に温風を送ることで被洗濯物を乾燥させる。乾燥ユニット25の上部には、補強部材24が固定されている。補強部材24は、ホルダ110と洗濯機1とを接続して補強するための部材である。補強部材24は、金属等の導電性材料からなる部材である。補強部材24は、略矩形状の板部24aと、乾燥ユニット25に取り付けるための複数の脚部24bと、を有する。
【0042】
図7に示すように、第2締結部140は、ホルダ110の下部フレーム111と、洗濯機1の後面カバー23を貫通して、補強部材24の板部24aに形成されたねじ孔24cに締結されることで、ホルダ110と洗濯機1とを締結する。後面カバー23を間に挟んで、ホルダ110の下部フレーム111と、洗濯機1の内部構造部品である補強部材24とを締結することで、第2締結部140によるホルダ110と洗濯機1との締結を解除しなければ、洗濯機1から後面カバー23を取り外せないため、硬貨処理装置100を洗濯機1から外すには、施錠部123aの解錠を行わなければならない。ゆえに、硬貨の盗難防止を図ることができる。また、硬貨処理装置100を補強部材24に締結することで、硬貨処理装置100の強度を高めることができる。ゆえに、硬貨処理装置100の重量や、外部からの衝撃によって、洗濯機1に負荷がかかったとしても、洗濯機1にひずみやたわみが生じることを抑制することができ、ひずみやたわみを起因とする共振を抑制することができる。さらに、洗濯機1の補強部材24が導電性を有することで、硬貨処理装置100に必要なアース線の長さを短くすることができる。また、補強部材24が乾燥ユニット25の上部に配置されることで、補強部材24がない場合と比べて、乾燥ユニット25から発する熱が硬貨処理装置100に伝わることを抑制することができる。ゆえに、乾燥ユニット25から発する熱が洗剤ポンプ21やチューブ類に伝わることで、目詰まりの原因となる気泡の発生を抑制することができる。
【0043】
図5から図7までに示すように、硬貨処理装置100は、ホルダ110を洗濯機1に締結する第3締結部150をさらに備える。第3締結部150は、ホルダ110と、洗濯機1の後面カバー23とのみを締結する点において、第2締結部140と異なる。第3締結部150は、例えば、ねじである。ねじは、例えば、ねじ頭に六角状の溝が切られた特殊ねじである。
【0044】
図5及び図6に示すように、第3締結部150は、ホルダ110の下部フレーム111において、左側に前後方向に2つ並べて設けられ、右側に左右方向に2つ並べて設けられる。
【0045】
図7に示すように、第3締結部150は、ホルダ110の下部フレーム111を貫通して、洗濯機1の後面カバー23に形成されたねじ孔23aに締結されることで、ホルダ110と洗濯機1とを締結する。第3締結部150によって、洗濯機1とホルダ110との強度を高めることができる。
【0046】
図5及び図8を用いて、洗濯機1の上蓋30について説明する。図8は、上蓋30のリブ30aを示す電気機器の断面図である。図8は、図5のB-B線断面図である。図8では、洗濯機1の一部及び硬貨処理装置100の一部について、図示を省略している。
【0047】
洗濯機1は、洗濯機1の上面で、かつ硬貨処理装置100の前方に設けられた開口部28と、開口部28を開閉する上蓋30(蓋部)と、洗濯機1の上面に設けられ、上蓋30によって開口部28が閉じられた状態において、上蓋30の周縁部を囲う隔壁部26と、を備える。
【0048】
図1及び図5に示すように、上蓋30は、上面視において、円の一部を弦で切り取った形状を有する。上蓋30の後部は、直線状に形成される。隔壁部26は、上蓋30の形状に応じて、上蓋30の周縁部を囲うように洗濯機1の上面から凹んでいる。
【0049】
図5及び図8に示すように、上蓋30は、開口部28が閉じられた状態において、上蓋30の後部と対向する隔壁部26との隙間を埋めるように、上蓋30の後部から後方に延びるリブ30aを有する。
【0050】
図5に示すように、リブ30aは、上蓋30の後部に、左右方向に間隔をあけて複数並べて設けられる。本実施形態では、リブ30aは、左右方向に間隔をあけて4つ設けられる。リブ30aとリブ30aとの間隔は、硬貨が入らない程度の間隔とすることが好ましい。リブ30aの前後方向の長さは、上蓋30が開口部28を閉じた状態から開いた状態に回動したときに、隔壁部26に接触しない程度の長さとする。
【0051】
以上のように、電気機器は、上蓋30の後部から後方に延びるリブ30aを有することで、仮に、上蓋30と隔壁部26との隙間に硬貨が落下したとしても、当該隙間に硬貨が入り込んで取れなくなることを防止できる。
【0052】
図9を用いて、洗濯機1と硬貨処理装置100との配置について説明する。図9は、電気機器の側面図である。図9では、洗濯機1の一部について、図示を省略している。
【0053】
図9に示すように、洗濯機1は、後面カバー23から後方に突出し、洗濯機1を設置するための当接部27を備える。当接部27は、後面カバー23の所定の高さ位置において、左右に間隔をあけて2つ設けられる。洗濯機1を壁面に沿って配置する際に、当接部27を壁面に当接させることで、壁面に対する設置位置が決定される。
【0054】
図9に示すように、硬貨処理装置100の後面100aは、洗濯機1の後面カバー23よりも後方で、かつ当接部27よりも前方に位置する。硬貨処理装置100の後面100aとは、ホルダ110の後面である。
【0055】
硬貨処理装置100の後面100aが、洗濯機1の最後端に位置する当接部27よりも前方に位置することで、洗濯機1を壁面に沿って配置した場合に、硬貨処理装置100が壁面に衝突することを防止できる。ゆえに、硬貨処理装置100に負荷や衝撃が加わることを回避できる。
【0056】
硬貨処理装置100の後面100aが、洗濯機1の後面カバー23よりも後方に位置することで、硬貨処理装置100の後部下方にスペースSを設けることができる。ゆえに、硬貨処理装置100の内部に収容される洗剤ポンプ21に接続されるチューブ類や、硬貨処理装置100に接続される通信線等をスペースSに向けて下方に引き出す構成にできるため、製品奥行が大きくなったり、チューブや配線等が壁面と硬貨処理装置100との間で押しつぶされたり、硬貨処理装置100から引き出されるチューブや配線等に付着した水が、チューブや配線等を伝って硬貨処理装置100の内部に入り込んだりすることを防止できる。さらに、硬貨処理装置100の後面100aと、洗濯機1の後面カバー23との間に形成される段差を把持部として利用することで、硬貨処理装置100を備えた洗濯機1の移動を容易に行うことができる。
【0057】
以上の構成において、硬貨処理装置100は、硬貨が投入される投入部121を備えた筐体120と、投入された硬貨を保管する保管部123と、筐体120を保持するホルダ110と、筐体120をホルダ110に締結する第1締結部130と、を備える。筐体120は、保管部123を収容する第1収容部120aを含む。保管部123は、保管部123を第1収容部120aに収容した状態で施錠する施錠部123aを含む。第1締結部130は、第1収容部120aを介して締結及び解除が可能であり、保管部123が第1収容部120aに収容されている場合、保管部123に覆われ、保管部123が第1収容部120aから取り外されている場合、第1収容部120a内に露出される。
【0058】
以上のように、硬貨処理装置100は、保管部123を筐体120から取り外さなければ、第1締結部130が露出されない構成を有することで、硬貨処理装置100を分解するためには、施錠部123aの解錠を行わなければならない。ゆえに、硬貨処理装置100を容易に分解することができないため、硬貨の盗難防止を図ることができる。
【0059】
また、硬貨処理装置100を備えた電気機器は、ホルダ110を洗濯機1に締結する第2締結部140をさらに備える。ホルダ110は、筐体120を収容する第2収容部110cを含む。第2締結部140は、第2収容部110cを介して締結及び解除が可能であり、筐体120が第2収容部110cに収容された場合、筐体120に覆われ、筐体120が第2収容部110cから取り外された場合、第2収容部110c内に露出される。
【0060】
以上のように、硬貨処理装置100、筐体120をホルダ110から取り外さなければ、第2締結部140が露出されない構成を有することで、硬貨処理装置100を分解するためには、保管部123を筐体120から取り外さなければならない。ゆえに、施錠部123aの解錠を行わなければ、硬貨処理装置100を容易に分解することができないため、硬貨の盗難防止を図ることができる。
【0061】
また、硬貨処理装置100を備えた電気機器において、第2締結部140は、洗濯機1の後面カバー23を間に挟んで、ホルダ110と洗濯機1の内部構造部品である補強部材24とを締結する。
【0062】
これにより、第2締結部140によるホルダ110と洗濯機1との締結を解除しなければ、洗濯機1から後面カバー23を取り外せないため、硬貨処理装置100を洗濯機1から外すには、施錠部123aの解錠を行わなければならない。ゆえに、硬貨の盗難防止を図ることができる。また、硬貨処理装置100を補強部材24に締結することで、硬貨処理装置100の強度を高めることができる。ゆえに、硬貨処理装置100の重量や、外部からの衝撃によって、洗濯機1に負荷がかかったとしても、洗濯機1にひずみやたわみが生じることを抑制することができ、ひずみやたわみを起因とする共振を抑制することができる。
【0063】
また、硬貨処理装置100を備えた電気機器において、硬貨処理装置100は、洗濯機1の上面に配置される。また、洗濯機1は、洗濯機1の上面で、かつ硬貨処理装置100の前方に設けられた開口部28と、開口部28を開閉する上蓋30と、洗濯機1の上面に設けられ、上蓋30によって開口部28が閉じられた状態において、上蓋30の周縁部を囲う隔壁部26と、を含む。上蓋30は、開口部28が閉じられた状態において、上蓋30の後部と対向する隔壁部26との隙間を埋めるように、上蓋30の後部から後方に延びるリブ30aを有する。
【0064】
以上のように、電気機器は、上蓋30の後部から後方に延びるリブ30aを有することで、仮に、上蓋30と隔壁部26との隙間に硬貨が落下したとしても、当該隙間に硬貨が入り込んで取れなくなることを防止できる。
【0065】
また、硬貨処理装置100を備えた電気機器において、硬貨処理装置100は、洗濯機1の上面に配置される。また、洗濯機1は、洗濯機1の後面カバー23から後方に突出し、洗濯機1を設置するための当接部27をさらに備える。硬貨処理装置100の後面100aは、洗濯機1の後面カバー23よりも後方で、かつ当接部27よりも前方に位置する。
【0066】
硬貨処理装置100の後面100aが、洗濯機1の最後端に位置する当接部27よりも前方に位置することで、洗濯機1を壁面に沿って配置した場合に、硬貨処理装置100が壁面に衝突することを防止できる。また、硬貨処理装置100の後面100aが、洗濯機1の後面カバー23よりも後方に位置することで、硬貨処理装置100の後部下方にスペースSを設けることができる。ゆえに、硬貨処理装置100の内部に収容される洗剤ポンプ21に接続されるチューブ類や、硬貨処理装置100に接続される通信線等をスペースSに向けて下方に引き出す構成にできるため、製品奥行が大きくなったり、チューブや配線等が壁面と硬貨処理装置100との間で押しつぶされたり、硬貨処理装置100から引き出されるチューブや配線等に付着した水が、チューブや配線等を伝って硬貨処理装置100の内部に入り込んだりすることを防止できる。
【0067】
ホルダ110は、洗濯機1の洗濯槽12に洗剤を供給させる洗剤ポンプ21を収容する。これにより、メンテナンス頻度の高い洗剤ポンプ21を、洗濯機1と比較して、アクセスしやすい硬貨処理装置100の内部に収容することで、洗剤ポンプ21のメンテナンス性を向上させることができる。
【0068】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態に夫々開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。更に、各実施形態に夫々開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【0069】
本実施形態の電気機器本体は、洗濯機を例示したが、これに限らず、硬貨を用いて動作させる電気機器本体であればよい。例えば、電気機器本体は、加熱調理器であってもよいし、空気調和機であってもよいし、送風装置であってもよいし、冷蔵庫であってもよい。また、本実施形態の洗濯機1は、ブラシホルダ3や乾燥ユニット25を有する洗濯機を例示したが、ブラシホルダ3や乾燥ユニット25を有する必要はなく、洗濯及び脱水の少なくとも一つが可能でもよい。例えば、被洗濯物は、靴に限定されず、立体形状の有体物であればよい。
【符号の説明】
【0070】
1 洗濯機、21 洗剤ポンプ、23 後面カバー、24 補強部材、26 隔壁部、27 当接部、28 開口部、30 上蓋、30a リブ、100 硬貨処理装置、100a 後面、110 ホルダ、110c 第2収容部、120 筐体、120a 第1収容部、121 投入部、123 保管部、123a 施錠部、130 第1締結部、140 第2締結部
図1
図2
図3
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図5
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図7
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