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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/44 20060101AFI20250324BHJP
【FI】
A47L15/44
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021170876
(22)【出願日】2021-10-19
(65)【公開番号】P2023061094
(43)【公開日】2023-05-01
【審査請求日】2024-07-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 友哉
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-132978(JP,A)
【文献】国際公開第2021/068818(WO,A1)
【文献】実公昭37-013472(JP,Y1)
【文献】欧州特許出願公開第01319360(EP,A1)
【文献】中国実用新案第212118086(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方が開放された筐体開口を有する筐体と、
前記筐体に対して前後方向に移動可能に設けられた移動体とを備え、
前記移動体は、内部に被洗浄物を収容しつつ前記被洗浄物の洗浄を行う洗浄空間が形成された洗浄槽と、
前記洗浄槽に取り付けられて前記洗浄空間の外部に位置し、前記被洗浄物に用いる液状の処理剤を貯蔵する貯蔵タンクと、
前記洗浄槽に取り付けられて前記洗浄空間の外部に位置し、前記貯蔵タンクに貯蔵された前記処理剤を前記洗浄空間内に供給する供給装置とを有し、
前記貯蔵タンクには、前記処理剤の補給を行う補給口と、
前記補給口よりも前記処理剤の流通方向における下流側に位置し、前記補給口から補給された前記処理剤が貯蔵される貯蔵室と、
前記補給口と前記貯蔵室との間に位置し、蛇行しつつ前記補給口と前記貯蔵室とに連通する案内部とが設けられていることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
前方が開放された筐体開口を有する筐体と、
前記筐体に対して前後方向に移動可能に設けられた移動体とを備え、
前記移動体は、内部に被洗浄物を収容しつつ前記被洗浄物の洗浄を行う洗浄空間が形成された洗浄槽と、
前記洗浄槽に取り付けられて前記洗浄空間の外部に位置し、前記被洗浄物に用いる液状の処理剤を貯蔵する貯蔵タンクと、
前記洗浄槽に取り付けられて前記洗浄空間の外部に位置し、前記貯蔵タンクに貯蔵された前記処理剤を前記洗浄空間内に供給する供給装置とを有し、
前記貯蔵タンクには、前記処理剤の補給を行う補給口と、
前記補給口よりも前記処理剤の流通方向における下流側に位置し、前記補給口から補給された前記処理剤が貯蔵される貯蔵室と、
前記補給口と前記貯蔵室との間に位置し、ラビリンス状に延びつつ前記補給口と前記貯蔵室とに連通する案内部とが設けられ、
前記案内部は、前記補給口から補給された処理剤が流通可能な第1案内壁と、
前記第1案内壁と連通し、前記第1案内壁を流通した前記処理剤が流通可能な第1開口と、
前記第1案内壁及び前記第1開口よりも前記流通方向の下流側に位置し、前記第1開口を流通した前記処理剤が流通可能な第2案内壁と、
前記第1案内壁及び前記第1開口よりも前記流通方向の下流側に位置して前記第2案内壁と連通し、前記第2案内壁を流通した前記処理剤が流通可能な第2開口とを有し、
前記移動体の上方から前記貯蔵タンクを見た際、前記第1開口と前記第2開口とは互いに異なる位置に配置されていることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項3】
前記第1案内壁は、前記第1開口に向かって下り傾斜している請求項2記載の食器洗浄機。
【請求項4】
前記第2案内壁は、前記第2開口に向かって登り傾斜している請求項2又は3記載の食器洗浄機。
【請求項5】
前記貯蔵タンクは、前記貯蔵室が設けられ、前記洗浄槽に固定されるタンク本体と、
前記補給口及び前記案内部が設けられ、前記タンク本体に着脱可能に取り付けられる補助タンクとを有している請求項1乃至4のいずれか1項記載の食器洗浄機。
【請求項6】
前記補助タンクには、前記補給口と前記案内部との間及び前記案内部と前記貯蔵室との間の少なくとも一方に位置し、前記貯蔵室への異物の進入を防止するフィルタが設けられている請求項5記載の食器洗浄機。
【請求項7】
前記タンク本体には、前記貯蔵室よりも前記流通方向の上流側に位置し、前記補助タンクを前記タンク本体の内部に進入させる進入口と、
前記貯蔵室よりも前記流通方向の下流側に位置し、前記貯蔵室に貯蔵された前記処理剤を前記供給装置に流通させる供給口とが設けられ、
前記移動体の上方から前記タンク本体を見た際、前記進入口と前記供給口とは互いに異なる位置に配置されている請求項5又は6記載の食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の食器洗浄機が開示されている。この食器洗浄機は、筐体と移動体とを備えている。筐体は、前方が開放された筐体開口を有している。移動体は、筐体に対して前後方向に移動可能に設けられている。
【0003】
移動体は、洗浄槽と、貯蔵タンクと、供給装置とを有している。洗浄槽には洗浄空間が形成されている。洗浄空間は、内部に被洗浄物を収容しつつ被洗浄物の洗浄を行う。貯蔵タンクは洗浄槽に固定されており、洗浄空間の外部に位置している。貯蔵タンクは、被洗浄物に用いる液状の処理剤を貯蔵する。貯蔵タンクには、補給口と貯蔵室とが設けられている。補給口は処理剤の補給を行う。貯蔵室は補給口よりも処理剤の流通方向における下流側に位置しており、補給口から補給された処理剤が貯蔵される。供給装置は貯蔵タンクに固定されており、洗浄空間の外部に位置している。供給装置は、貯蔵タンクに貯蔵された処理剤を洗浄空間内に供給する。なお、この食器洗浄機において処理剤はリンスである。
【0004】
この食器洗浄機では、洗浄空間に収容された被洗浄物の洗浄が行われるのに加えて、貯蔵タンクに貯蔵された処理剤が供給装置によって洗浄空間内に供給される。これにより、この食器洗浄機では、使用者自身が処理剤を洗浄空間に直接供給する必要がなく、被洗浄物に対する処理剤よる処理を容易に行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-180464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、処理剤の種類には、液状の処理剤の他に、粉末状やタブレット状等をなす固体状の処理剤も存在している。ここで、液状の処理剤を用いる食器洗浄機では、貯蔵タンク及び供給装置が液状の処理剤専用に設計されている。このため、このような貯蔵タンクに対して固体状の処理剤を補給した場合、この処理剤は供給装置によって洗浄空間に供給されないだけでなく、貯蔵タンクや供給装置の故障の要因ともなり得る。そこで、誤った種類の処理剤を貯蔵タンクに補給した場合、その処理剤を貯蔵タンクから除去する必要がある。
【0007】
しかし、上記従来の食器洗浄機では、固体状の処理剤を誤って貯蔵タンクに補給した場合であっても、そのことを使用者が気付き難い。また、この食器洗浄機では、補給口から貯蔵室に至った処理剤を除去することも困難である。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、固体状の処理剤が誤って貯蔵タンクに補給された場合であっても、貯蔵タンクや供給装置の故障を防止可能な食器洗浄機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の食器洗浄機は、前方が開放された筐体開口を有する筐体と、
前記筐体に対して前後方向に移動可能に設けられた移動体とを備え、
前記移動体は、内部に被洗浄物を収容しつつ前記被洗浄物の洗浄を行う洗浄空間が形成された洗浄槽と、
前記洗浄槽に取り付けられて前記洗浄空間の外部に位置し、前記被洗浄物に用いる液状の処理剤を貯蔵する貯蔵タンクと、
前記洗浄槽に取り付けられて前記洗浄空間の外部に位置し、前記貯蔵タンクに貯蔵された前記処理剤を前記洗浄空間内に供給する供給装置とを有し、
前記貯蔵タンクには、前記処理剤の補給を行う補給口と、
前記補給口よりも前記処理剤の流通方向における下流側に位置し、前記補給口から補給された前記処理剤が貯蔵される貯蔵室と、
前記補給口と前記貯蔵室との間に位置し、ラビリンス状に延びつつ前記補給口と前記貯蔵室とに連通する案内部とが設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の食器洗浄機では、貯蔵タンクに液状の処理剤が貯蔵され、この処理が供給装置によって洗浄空間に供給される。つまり、貯蔵タンク及び供給装置は、液状の処理剤専用に設計されている。ここで、貯蔵タンクには補給口、貯蔵室及び案内部が設けられており、案内部は、処理剤の流通方向で補給口と貯蔵室との間に位置している。このため、この食器洗浄機では、補給口から補給された処理剤は、直接には貯蔵室に至らずに案内部を通過することになる。
【0011】
ここで、案内部は、ラビリンス状に延びつつ補給口と貯蔵室とに連通する。このため、使用者が液状の処理剤を補給口から補給した場合には、この処理剤は、案内部を通過する過程で一定程度流通が阻害され易くなるものの、貯蔵室まで至ることができる。これに対し、使用者が固体状の処理剤を貯蔵タンクに補給した場合には、この処理剤は、案内部を通過することが困難又は不可能となる。このため、使用者は異変を感じ易く、結果として、固体状の処理剤を誤って貯蔵タンクに補給したことに気が付き易い。
【0012】
また、この食器洗浄機では、使用者が固体状の処理剤を貯蔵タンクに補給した場合には、その処理剤が貯蔵室に至り難く貯蔵室に貯蔵され難い。このため、この食器洗浄機では、固体状の処理剤が既に貯蔵室に到達している場合に比べて、貯蔵タンクから処理剤を除去することも容易となる。
【0013】
したがって、本発明の食器洗浄機によれば、固体状の処理剤が誤って貯蔵タンクに補給された場合であっても、貯蔵タンクや供給装置の故障を防止できる。
【0014】
案内部は、補給口から補給された処理剤が流通可能な第1案内壁と、第1案内壁と連通し、第1案内壁を流通した処理剤が流通可能な第1開口と、第1開口よりも流通方向の下流側に位置し、第1開口を流通した処理剤が流通可能な第2案内壁と、第1案内壁及び第1開口よりも流通方向の下流側に位置して第2案内壁と連通し、第2案内壁を流通した処理剤が流通可能な第2開口とを有し得る。そして、移動体の上方から貯蔵タンクを見た際、第1開口と第2開口とは互いに異なる位置に配置されていることが好ましい。
【0015】
この場合には、案内部の構成を簡素化しつつ、案内部をラビリンス形状に形成することが可能となる。また、移動体の上方から貯蔵タンクを見た際に第1開口と第2開口とが互いに異なる位置となることにより、第1開口を流通した処理剤が第2案内壁を通過せずに第2開口を流通することを好適に防止できる。
【0016】
第1案内壁は、第1開口に向かって下り傾斜していることが好ましい。この場合には、処理剤を自重によって第1開口まで好適に流通させることが可能となる。
【0017】
また、第2案内壁は、第2開口に向かって登り傾斜していることが好ましい。この場合、固体状の処理剤では、第2案内壁を第2開口に向かって流通することがほぼ不可能となるため、固体状の処理剤は第2案内壁で堆積する。これにより、固体状の処理剤を誤って補給口から補給した場合、そのことを使用者がより気付き易くなるとともに、これらの処理剤が貯蔵室に貯蔵されることを確実性高く防止できる。また、固体状の処理剤が第2案内壁で堆積することにより、これらの処理剤を除去することも容易となる。
【0018】
貯蔵タンクは、貯蔵室が設けられ、洗浄槽に固定されるタンク本体と、補給口及び案内が設けられ、ンク本体に着脱可能に取り付けられる補助タンクとを有していることが好ましい。
【0019】
この場合には、固体状の処理剤を誤って補給口から補給した場合であっても、タンク本体から補助タンクを取り外すことによって、補助タンク内の処理剤を容易に除去することが可能となる。
【0020】
補助タンクには、補給口と案内部との間及び案内部と貯蔵室との間の少なくとも一方に位置し、貯蔵室への異物の進入を防止するフィルタが設けられていることが好ましい。
【0021】
この場合には、たとえ処理剤を補給する際に、貯蔵タンクの外部から処理剤とともに異物が補助タンク内に進入した場合であっても、その異物が貯蔵室、ひいては供給装置に至り難くなる。このため、この食器洗浄機では、異物による貯蔵タンクや供給装置の故障についても好適に防止できる。また、タンク本体に対して補助タンクが着脱可能であるため、フィルタに捕獲された異物の除去も容易となる。
【0022】
また、タンク本体には、貯蔵室よりも流通方向の上流に位置し、補助タンクをタンク本体の内部に進入させる進入口と、貯蔵室よりも流通方向の下流側に位置し、貯蔵室に貯蔵された処理剤を供給装置に流通させる供給口とが設けられ得る。そして、移動体の上方からタンク本体を見た際、進入口と供給口とは互いに異なる位置に配置されていることが好ましい。
【0023】
この場合、仮にタンク本体から補助タンクを取り外した状態で固体状の処理剤を誤って進入口から補給した場合であっても、その処理剤が進入口から供給口、ひいては供給装置に直接至ることを好適に防止できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の食器洗浄機によれば、固体状の処理剤が誤って貯蔵タンクに補給された場合であっても、貯蔵タンクや供給装置の故障を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、実施例の食器洗浄機を示す模式断面図である。
図2図2は、実施例の食器洗浄機を示す模式断面図である。
図3図3は、実施例の食器洗浄機に係り、移動体を示す正面図である。
図4図4は、実施例の食器洗浄機に係り、移動体を示す平面図である。
図5図5は、実施例の食器洗浄機に係り、タンク本体及び補助タンク等を示す断面図である。
図6図6は、実施例の食器洗浄機に係り、タンク本体から補助タンクを取り外した状態を示す断面図である。
図7図7は、実施例の食器洗浄機に係り、図6のD1方向からタンク本体を見た際の平面図である。
図8図8は、実施例の食器洗浄機に係り、補給口から液状の処理剤を補給した際のタンク本体及び補助タンク等を示す要部拡大断面図である。
図9図9は、実施例の食器洗浄機に係り、補給口から粉末状の処理剤を補給した際のタンク本体及び補助タンク等を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1及び図2に示すように、実施例の食器洗浄機1は、システムキッチン100に組み込まれており、システムキッチン100の天板CT1の下方に設置されている。食器洗浄機1は、筐体3と移動体5とを備えている。
【0028】
本実施例では、図1及び図2に示す各矢印によって、食器洗浄機1の前後方向及び上下方向を規定している。また、図3では、図1及び図2に対応して食器洗浄機1の前後方向を規定している他、食器洗浄機1の左右方向、すなわち幅方向を規定している。そして、図4以降では、図1図3に対応して、食器洗浄機1の前後方向、上下方向及び左右方向を規定している。前後方向、上下方向及び左右方向は、互いに直交している。
【0029】
図1及び図2に示すように、筐体3は略矩形の箱状に形成されている。筐体3は筐体開口3hを有している。筐体開口3hは筐体3の前部に位置している。筐体開口3hは前方が開放されており、筐体3の内部と外部とを連通させている。
【0030】
筐体3の内部には、蓋部材35、給水管P1、給水電磁弁37及び排水管P2が設けられている。蓋部材35は、筐体3の内部において、移動体5の上方となる位置に配置されている。
【0031】
給水管P1は、食器洗浄機1の外部に設けられた図示しない給水源から供給装置13に水を供給する。給水電磁弁37は、給水管P1を開閉して供給装置13への水の供給と停止とを切り替える。排水管P2は、洗浄槽7内の洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水する。なお、供給装置13及び洗浄槽7の他、洗浄水については後述する。
【0032】
移動体5は、洗浄槽7と、前面パネル9と、上面パネル11と、制御部C1と、供給装置13と、貯蔵タンク15とを有している。
【0033】
洗浄槽7は略矩形状をなしている。洗浄槽7には、洗浄空間7h、排気通路7a及びヒータ室72が形成されている。洗浄空間7hは、洗浄槽7における前後方向及び左右方向の略中央に位置している。洗浄空間7hは上部が開放されており、内部に食器TW1を収容可能であるとともに、収容された食器TW1の洗浄を行う。食器TW1は、例えば、茶碗、皿、グラス等の飲食用器の他、箸、スプーン、フォーク等の飲食用具等であり、本発明における「被洗浄物」の一例である。また、洗浄空間7hの内部には、食器かご70が配置されている。食器かご70には、食器TW1が載置される。
【0034】
また、洗浄空間7hは貯水室71を有している。貯水室71は洗浄槽7の下部に位置している。貯水室71は、洗浄水を貯蔵可能となっている。また、貯水室71は、下部で排水管P2と接続している。ここで、洗浄水は、給水管P1を流通した水のみで構成される場合の他、給水管P1を流通した水に対して液状の洗剤300(図8参照)が混合されることで構成される。洗剤300は、本発明における「処理剤」の一例である。
【0035】
貯水室71には、ノズル73及び貯水室フィルタ74が設けられている。ノズル73は、複数の吐出孔を有しており、各吐出孔から洗浄空間7h内に洗浄水を噴射可能である。ここで、ノズル73における洗浄水の噴射方向は、食器TW1を洗浄可能であるとともに、洗浄空間7hの内壁面や食器かご70を洗浄可能となるように、様々な方向に変化可能となっている。貯水室フィルタ74は、洗浄水に混入した残菜等の異物を除去する。
【0036】
排気通路7aは、後端で洗浄空間7hと連通しつつ、洗浄槽7の内部を前方に向かって延びており、前面パネル9に開口している。これにより、排気通路7aは、洗浄空間7hと洗浄槽7の外部、すなわち食器洗浄機1の外部とを連通している。なお、排気通路7aは、洗浄空間7hと連通しつつ上面パネル11に開口する構成であっても良い。
【0037】
ヒータ室72は、洗浄槽7の後方下部に配置されている。ヒータ室72の内部には、ヒータ72aが設けられている。ヒータ72aは、洗浄水や洗浄空間7h内の空気を所定の温度に加熱可能である。
【0038】
また、洗浄槽7には、ポンプ75及び乾燥ファン77が設けられている他、水位センサ(図示略)が設けられている。ポンプ75は、貯水室71の下部に組み付けられている。ポンプ75は、正転作動時には、貯水室71内で貯水室フィルタ74を通過した洗浄水をノズル73に供給する。そして、ポンプ75は、逆転作動時には、洗浄水を排水管P2に流通させる。
【0039】
乾燥ファン77は、回転作動することにより、食器洗浄機1の外部から空気を導入し、その空気を洗浄空間7h内に供給可能である。乾燥ファン77によって洗浄空間7h内に供給された空気は、食器TW1を乾燥させながら洗浄空間7h内を流通した後、排気通路7aから洗浄槽7の外部に排出される。水位センサは、内部に洗浄水の一部が流入可能となっており、この洗浄水を通じて洗浄空間7h内の洗浄水の水位を検知する。
【0040】
図3に示すように、前面パネル9は、上下方向及び左右方向に延びる矩形の板状に形成されている。前面パネル9は、洗浄槽7の前方に位置しており、洗浄槽7の前部に取り付けられている。この際、図1及び図2に示すように、前面パネル9は、洗浄槽7との間に収容空間90を形成しつつ、洗浄槽7の前部に取り付けられている。こうして、前面パネル9は、移動体5の前面を構成している。なお、図3では、説明を容易にするため、前面パネル9を仮想線で示している。
【0041】
図4に示すように、上面パネル11は、洗浄槽7の前方かつ上方に位置しており、洗浄槽7の上部に取り付けられている。これにより、上面パネル11は、移動体5において、前面パネル9の上方に位置している。上面パネル11は、本体部11aと延在部11bとを有している。本体部11aは、上面パネル11の前端に位置しており、左右方向に略矩形状に延びている。図3に示すように、本体部11aにおける左右方向の略中央には、把持部111が設けられている。
【0042】
延在部11bは、本体部11aと一体をなしており、本体部11aから後方に向かって延びている。これにより、延在部11bは、洗浄槽7の上部に位置して、洗浄空間7hと前後方向で隣接している。また、延在部11bには、連通口112が形成されている。連通口112は、延在部11bを上下方向に貫通する矩形状をなしており、収容空間90と連通している。また、延在部11bには、蓋体112aが揺動可能に取り付けられている。蓋体112aは、図4の実線で示す閉位置と仮想線で示す開位置とに変位可能となっている。蓋体112aは、閉位置では連通口112を上方から覆いつつ連通口112を閉鎖する。一方、蓋体112aは、開位置では、連通口112を移動体5の外部に開放する。
【0043】
さらに、延在部11bには、操作部40及び液晶パネル41が設けられている。操作部40は複数の操作ボタンによって構成されており、食器洗浄機1の使用者が食器洗浄機1の操作を行う。具体的には、使用者は操作部40を通じて、洗浄運転の種類の選択や洗浄運転の時間の選択等を行う。液晶パネル41は、使用者が選択した洗浄運転の種類や時間等を表示する。さらに、液晶パネル41は、貯蔵タンク15に貯蔵された洗剤300の残量を表示する報知装置としても機能する。なお、報知装置として報知ランプ等を採用しても良い。また、液晶パネル41や報知ランプ等を用いずに、使用者の目視によって貯蔵タンク15に貯蔵された洗剤300の残量を確認する構成としても良い。
【0044】
図3に示すように、制御部C1は、洗浄槽7の前部に取り付けられており、収容空間90内に位置している。制御部C1は、食器洗浄機1の作動制御を行うための制御プログラムを記憶している。制御部C1は、操作部40、液晶パネル41、給水電磁弁37、ヒータ72a、ポンプ75及び乾燥ファン77と電気的に接続されている他、供給装置13及び水位センサと電気的に接続されている。制御部C1は、制御プログラムに基づいて供給装置13等の制御を行い、食器洗浄機1を作動させる。
【0045】
供給装置13は、洗浄槽7の前方下部に取り付けられており、収容空間90内において下方に位置している。図1及び図2に示すように、供給装置13は、装置本体13aと、供給通路13bと、接続通路13cとを有している。装置本体13aは、給水管P1と接続している。詳細な図示を省略するものの、装置本体13aには、給水ポンプや給水ポンプを作動させる電動モータの他、供給通路13b及び接続通路13cをそれぞれ開閉可能な電磁弁等が設けられている。供給通路13bは、装置本体13aと洗浄槽7とを接続しており、装置本体13aを貯水室71に連通させている。接続通路13cは、装置本体13aから上方に向かって延びており、貯蔵タンク15と接続可能となっている。
【0046】
供給装置13では、給水管P1から装置本体13aに水が流通する。そして、装置本体13aは、供給通路13bを通じて水を貯水室71、ひいては洗浄空間7hに供給する。また、供給装置13では、接続通路13cを通じて貯蔵タンク15内の洗剤300(図8参照)が装置本体13aに流入する。これにより、装置本体13aは、水とともに洗剤300を貯水室71に供給する。
【0047】
貯蔵タンク15は、タンク本体17と、フロート18と、補助タンク19とを有している。これらのタンク本体17、フロート18及び補助タンク19は、いずれも樹脂製である。貯蔵タンク15は液状の洗剤300を貯蔵する。つまり、貯蔵タンク15は、液状の洗剤300専用に設計されている。また、供給装置13についても、液状の洗剤300専用に設計されている。
【0048】
図5に示すように、タンク本体17は、第1底壁17aと、上壁17bと、第1周壁17cとを有している。第1底壁17aは、タンク本体17の下部に位置している。上壁17bは、タンク本体17の上部に位置している。第1周壁17cは、第1底壁17aと上壁17bとの間に位置している。第1周壁17cは、上下方向に延びるとともに、第1底壁17a及び上壁17bの外周縁に沿って第1底壁17a及び上壁17bの周方向に一周しており、第1底壁17aと上壁17bとに接続している。これらの第1底壁17a、上壁17b及び第1周壁17cにより、タンク本体17は、前後方向、上下方向及び左右方向に延びる略矩形の箱状をなしており、内部に貯蔵室170が設けられている。
【0049】
より具体的には、第1底壁17aは、第1本体部171及び供給口172を有している。第1本体部171は、前後方向及び左右方向に延びる略矩形状をなしている。ここで、第1本体部171は、前後方向の長さに比べて左右方向の長さが長く設計されている。供給口172は、第1本体部171に一体に形成されており、第1本体部171を上下方向に貫通している。供給口172は、第1本体部171において、左右方向の中央よりも左側に配置されている。つまり、供給口172は第1底壁17aにおける左側に位置している。供給口172は、貯蔵室170の下部で貯蔵室170と連通している。供給口172には、接続部位172aが設けられている。供給口172は、接続部位172aを通じて供給装置13の接続通路13cと接続する。
【0050】
上壁17bは、第2本体部173及び保持部174を有している。第2本体部173は、前後方向及び左右方向に延びる略矩形状をなしている。第2本体部173は、第1本体部171の形状に沿うように前後方向の長さに比べて左右方向の長さが長く設計されている。保持部174は、第2本体部173に一体に形成されており、第2本体部173から上方に向かって矩形の筒状に延びている。保持部174は、第2本体部173において、左右方向の中央よりも右側に配置されている。つまり、保持部174は上壁17bにおける右側に位置している。保持部174は、貯蔵室170の上部で貯蔵室170と接続している。
【0051】
また、保持部174の上端には進入口175が形成されている。図7に示すように、進入口175は、略矩形状に形成されており、貯蔵室170を上方に開口させている。ここで、保持部174が上壁17bにおける右側に位置していることから、進入口175についても、上壁17bの右側に位置している。なお、図7では説明を容易にするため、フロート18の図示を省略している他、後述する第1取付ネジ21a及び第2取付ネジ21bの図示を省略している。
【0052】
図5に示すように、第1周壁17cは、第1部位176と第2部位177とからなる。第1部位176は、第1周壁17cの下部を構成している。第1部位176は、第1底壁17aの第1本体部171と接続しつつ、上方に向かって延びている。また、第1部位176には、第1取付フランジ178、第2取付フランジ179及び保持溝701が形成されている。第1取付フランジ178及び第2取付フランジ179は、貯蔵室170の外部に位置しており、それぞれ第1部位176の左端と右端とに配置されている。保持溝701は、第1部位176の右方に位置しており、貯蔵室170内に配置されている。なお、保持溝701は、貯蔵室170内であれば、第1部位176の左方に位置していても良い。
【0053】
第2部位177は、第1周壁17cの上部を構成している。第2部位177は、上壁17bの第2本体部173と接続しつつ、下方に向かって延びている。第2部位177は、貯蔵室170内にフロート18を収容した状態において、第部位17と接合されている。これにより、第2部位177は、第1部位176と一体をなしている。
【0054】
図3に示すように、タンク本体17では、接続部位172a及び接続通路13cを通じて、供給口172を供給装置13の装置本体13aに接続させる。そして、この状態において、第1取付フランジ178が第1取付ネジ21aによって洗浄槽7の前部に固定されているとともに、第2取付フランジ179が第2取付ネジ21bによって洗浄槽7の前部に固定されている。こうして、タンク本体17は、供給装置13と接続した状態で洗浄槽7の前部に固定されている。これにより、タンク本体17では、進入口175が上面パネル11の連通口112(図4参照)の下方に位置しつつ、連通口112に臨んだ状態となる。また、図示を省略するものの、第1底壁17a及び第1周壁17cには、後述する磁石802の磁気を検知可能な検知部材が設けられている。検知部材は、制御部C1に電気的に接続されている。
【0055】
また、上記のように、タンク本体17では、進入口175が上壁17bの右側に配置されている。一方、供給口172は、第1底壁17aの左側に配置されている。このため、図6に示すD1方向からタンク本体17を見た際、すなわち、洗浄槽7の前部に固定された状態でタンク本体17を移動体5の上方から見た際、図7に示すように、進入口175と供給口172とは、左右方向に離隔して配置されている。より具体的には、供給口172は進入口175の真下となる位置には存在しておらず、進入口175と供給口172とは、上下方向で互いの一部が重なることなく、左右方向に完全に離隔した状態で配置されている。
【0056】
図5に示すように、フロート18は、フロート本体18aと、アーム18bと、連結軸18cとを有している。フロート本体18aは略矩形の箱状に形成されており、内部に空気室801が形成されている。空気室801は、フロート本体18aの外部に対して密閉されている。また、空気室801内には磁石802が設けられている。磁石802は、フロート本体18aに固定されている。なお、フロート本体18aの形状は適宜設計可能である。
【0057】
アーム18bは左右方向に延びており、左端でフロート本体18aと接続している。そして、アーム18bは、右方がフロート本体18aから遠ざかりつつ上方に延びている。連結軸18cは、アーム18bの右端に設けられており、アーム18bと一体をなしている。連結軸18cは、前後方向に直線状に延びている。
【0058】
フロート18は、貯蔵室170内に収容された状態で連結軸18cが第1周壁17cの保持溝701に揺動可能に保持されている。これにより、フロート18は、連結軸18cを通じて第1周壁17cに連結されている。また、フロート18は、連結軸18cの軸心を揺動軸心として、貯蔵室170内を揺動軸心周りで上下に揺動可能となっている。
【0059】
補助タンク19は、タンク本体17よりも小型であって、タンク本体17の保持部174に進入可能な大きさに形成されている。補助タンク19は、第2底壁191と第2周壁192とを有している。第2底壁191は、補助タンク19の下部に位置しており、前後方向及び左右方向に延びる矩形状をなしている。第2周壁192は、第2底壁191と接続している。第2周壁192は、第2底壁191の外周縁に沿って第2底壁191の周方向に一周しているとともに、第2底壁191から上方に向かって延びている。図8及び図9に示すように、第2周壁192は、左端に位置する左側面192aと、右端に位置する右側面192bとを有している。左側面192aと右側面192bとは左右方向で対向している。
【0060】
図5及び図6に示すように、補助タンク19はタンク本体17に対して着脱可能に設けられている。具体的には、図5に示すように、補助タンク19は、第2底壁191を下方に向けた状態で進入口175から保持部174の内部に進入する。そして、補助タンク19は、保持部174によって保持されることにより、タンク本体17に取り付けられる。この際、補助タンク19では、第2底壁191の上部がタンク本体17から上方に突出した状態となる。こうして、補助タンク19は、タンク本体17に取り付けられことにより、洗浄槽7の前部に配置される。この際、補助タンク19は、上面パネル11の連通口112(図4参照)の下方に位置する。
【0061】
また、タンク本体17に取り付けられることにより、補助タンク19は、タンク本体17において、貯蔵室170よりも上方に位置する。つまり、補助タンク19は、貯蔵室170よりも洗剤300の流通方向の上流側に位置する。
【0062】
一方、図6の白色矢印で示すように、補助タンク19は、進入口175から上方に引き抜くことにより、保持部174による保持が解除されてタンク本体17から取り外すことが可能となっている。こうして、タンク本体17から取り外された補助タンク19は、図4に示す連通口112を通じて、上面パネル11の外部、ひいては移動体5の外部に取り出すことが可能となっている。ここで、この食器洗浄機1では、補助タンク19を洗浄する場合の他、タンク本体17及び供給装置13等のメンテナンスを行う場合を除いて、補助タンク19は、タンク本体17に取り付けられた状態とされる。
【0063】
また、図8及び図9に示すように、補助タンク19には、補給口19a、案内部19b、第1タンクフィルタ19c及び第2タンクフィルタ19dが設けられている。第1タンクフィルタ19c及び第2タンクフィルタ19dは、本発明における「フィルタ」の一例である。
【0064】
補給口19aは、第2底壁191の上端、すなわち補助タンク19の上端に配置されており、略矩形状に開口している。これらの第2底壁191、第2周壁192及び補給口19aにより、補助タンク19は、上端が開口する有底の筒状をなしている。また、補給口19aは、図5に示すように、補助タンク19がタンク本体17に取り付けられることにより、図3に示す連通口112に対して下方から臨みつつ、連通口112と連通する。そして、補助タンク19では、補給口19aを通じて洗剤300が内部に供給される。
【0065】
案内部19bは、補助タンク19内に配置されており、補給口19aと連通している。図8に示すように、案内部19bは、第1案内壁901と、第1開口902と、第2案内壁903と、第2開口904とで構成されている。
【0066】
第1案内壁901は、第1周壁92の左側面192aに一体に形成されており、補助タンク19内を右方、すなわち右側面192bに向かって延びている。第1案内壁901は、補給口19aから補給された洗剤300を補助タンク19内の右方に向けて案内する。ここで、第1案内壁901は、左側面192aと右側面192bとを左右方向で接続しておらず、右側面192bから離隔している。また、第1案内壁901は、右側面192bに近づくにつれて下方に傾斜している。なお、第1案内壁901が傾斜する角度は適宜設計可能である。
【0067】
第1開口902は、第1案内壁901の右方であって、第1案内壁901と右側面192bとの間に位置している。つまり、第1案内壁901は、第1開口902に向かって下り傾斜している。第1開口902は、第1案内壁901によって案内された洗剤300を第1案内壁901よりも補助タンク19内の下方に流通させる。
【0068】
第2案内壁903は、補助タンク19内において、第1案内壁901及び第1開口902よりも下方、すなわち、第1案内壁901及び第1開口902よりも洗剤300の流通方向の下流側に配置されている。第2案内壁903は、右側面192bに一体に形成されており、補助タンク19内を左方に向かって延びている。第2案内壁903は、第1開口902を流通した洗剤300を補助タンク19内の左方に向けて案内する。ここで、第2案内壁903は、補助タンク19内において、右側面192bと左側面192aとを左右方向で接続しておらず、左側面192aから離隔している。また、第2案内壁903は、左側面192aに近づくにつれて上方に角度θで傾斜している。換言すれば、第2案内壁903は、左右方向に水平に延びる仮想の直線Lに対して角度θで登り傾斜している。この角度θについて、本実施例では約1°に設定している。なお、角度θの値は適宜設計可能である。また、図8及び図9等では、説明を容易にするため、第2案内壁903の傾斜を誇張して図示している。
【0069】
第2開口904は、第2案内壁903の左方であって、第2案内壁903と左側面192aとの間に位置している。つまり、第2案内壁903は、第2開口904に向かって角度θで登り傾斜している。第2開口904は、第2案内壁903によって案内された洗剤300を第2案内壁903よりも補助タンク19内の下方に流通させる。
【0070】
ここで、第1開口902は、第1案内壁901と右側面192bとの間に位置している一方、第2開口904は、第2案内壁903と左側面192aとの間に位置している。これにより、補助タンク19を移動体5の上方から見た際、第1開口902と第2開口904とは、左右方向に離隔して配置されている。より具体的には、第2開口904は、第1開口902の真下となる位置には存在しておらず、第1開口902と第2開口904とは、上下方向で互いの一部が重なることなく、左右方向に完全に離隔した状態で配置されている。
【0071】
これらの第1案内壁901、第1開口902、第2案内壁903及び第2開口904により、案内部19bは、補助タンク19内において、左右方向に蛇行しつつ上下方向に延びて、補給口19aと貯蔵室170とに連通するラビリンス状となっている。
【0072】
第1タンクフィルタ19c及び第2タンクフィルタ19dは、補助タンク19内において、第2開口904、ひいては案内部19bよりも洗剤300の流通方向の下流側に配置されている。これにより、第1タンクフィルタ19c及び第2タンクフィルタ19dは、補助タンク19をタンク本体17に取り付けた際に、案内部19bと貯蔵室170と間に位置する。換言すれば、第1タンクフィルタ19c及び第2タンクフィルタ19dは、洗剤300の流通方向において、案内部19bよりも下流側であって貯蔵室170よりも上流側に位置する。
【0073】
第1タンクフィルタ19cは、第2周壁192に設けられている。ここで、第1タンクフィルタ19cは、第2周壁192の前面と後面とにそれぞれ設けられている。一方、第2タンクフィルタ19dは、第2底壁191に設けられている。これにより、第2タンクフィルタ19dは、第1タンクフィルタ19cよりも洗剤300の流通方向の下流側に位置している。
【0074】
第1タンクフィルタ19c及び第2タンクフィルタ19dは、メッシュ状に形成されている。これにより、第1タンクフィルタ19c及び第2タンクフィルタ19dは、補助タンク19をタンク本体17に取り付けた際に、補助タンク19内を貯蔵室170に連通させる。こうして、補給口19aから補給されて案内部19bを流通した洗剤300は、第1タンクフィルタ19c及び第2タンクフィルタ19dを通過して貯蔵室170に貯蔵される。
【0075】
また、第1タンクフィルタ19c及び第2タンクフィルタ19dは、自己を洗剤300が通過する際、洗剤300とともに補助タンク19内に進入した異物を捕獲可能となっている。なお、異物としては、例えば食器TW1から落下した食材や残菜等の他、図4に示す蓋体112aや連通口112の周囲に付着したゴミ等が挙げられる。なお、第1タンクフィルタ19c又は第2タンクフィルタ19dを省略しても良い。また、第1タンクフィルタ19c及び第2タンクフィルタ19dの両方を省略しても良い。
【0076】
図1及び図2に示すように、この食器洗浄機1において、移動体5は、筐体3の内部に設けられたスライドレール機構(図示略)に連結されており、筐体3に対して前後方向に移動となっている。これにより、移動体5は、図1に示す収納位置と、図2に示す開放位置との間で移動可能となっている。具体的には、図1に示す収納位置は、移動体5が筐体3に対して最も後方に移動した位置である。移動体5が収納位置となることにより、洗浄槽7の洗浄空間7hが全て筐体3の内部に位置する。一方、図2に示す開放位置は、移動体5が筐体3に対して最も前方に移動した位置である。移動体5が開放位置となるとにより、洗浄空間7hの全てが筐体3の外部に位置する他、蓋体112aが筐体3の外部に位置する。
【0077】
また、蓋部材35は、このような筐体3に対する移動体5の前後方向の移動に連動して筐体3の内部で上下に移動する。これにより、図1に示すように、蓋部材35は、移動体5が収納位置にあるときには、下方に移動して洗浄空間7hの上部を閉鎖する。そして、蓋部材35は、移動体5が図2に示す開放位置にあるときを含め、移動体5が収納位置よりも前方に移動することによって、洗浄槽7の上方に移動する。これにより、蓋部材35は、洗浄空間7hの上部を開放するとともに、移動体5の前方への移動を許容する。
【0078】
この食器洗浄機1において食器TW1の洗浄を開始する場合、食器洗浄機1の使用者は、移動体5を図1に示す収位置から、図2に示す開放位置まで移動させる。この状態で使用者は、洗浄空間7h内の食器かご70に食器TW1を収容する。その後、使用者は、操作部40の操作を行うとともに、移動体5を図1に示す収位置に移動させる。これにより、制御部C1は、制御プログラムに基づき、給水電磁弁37及び供給装置13等の各種作動制御を行い、食器TW1の洗浄運転を開始する。
【0079】
食器TW1の洗浄運転を開始が開始されることにより、給水電磁弁37が開弁し、給水管P1及び供給装置13によって貯水室71内に水が供給される。さらに、供給装置13によって、貯蔵室170内に貯蔵された洗剤300が貯水室71内に適宜供給される。これにより、洗浄空間7h内において、洗浄水による食器TW1の洗浄が所定の時間で行われる。また、食器TW1の洗浄が行われている間、水位センサは、洗浄空間7h内の洗浄水の水位を検知する。そして、制御部C1は、水位センサが検知した洗浄水の水位に基づき、給水電磁弁37等の作動制御を適宜行う。
【0080】
食器TW1の洗浄が終了した後には、排水管P2による洗浄水の排水が行われる。また、乾燥ファン77が作動することにより、食器TW1付着した水滴の乾燥が行われる。こうして、食器TW1の洗浄運転が終了する。
【0081】
このように、この食器洗浄機1では、貯蔵室170、ひいては貯蔵タンク15に貯蔵された洗剤300が供給装置13によって貯水室71に自動で供給される。このため、この食器洗浄機1では、食器TW1の洗浄を行う際に、使用者自身で洗剤300を洗浄空間7hに投入する必要がない。また、この食器洗浄機1では、供給装置13によって、適量の洗剤300が貯水室71に自動で供給される。これらにより、この食器洗浄機1では、利便性が高くなっている。
【0082】
また、この食器洗浄機1では、貯蔵室170内にフロート18が設けられているため、使用者は、貯蔵室170に貯蔵された洗剤300の残量を把握し易くなっている。具体的には、貯蔵室170内に貯蔵された洗剤300の残量が多い場合、フロート18では、フロート本体18aが浮力によって貯蔵室170内を上方に移動する。一方、貯蔵室170内に貯蔵された洗剤300の残量が少なくなれば、フロート本体18aが貯蔵室170内を下方に移動する。このようにフロート本体18aが貯蔵室170内を上下に移動することにより、検知部材が検知する磁石802の磁気が変化する。こうして、制御部C1では、液晶パネル41に洗剤300の残量を表示させる。このように、この食器洗浄機1では、使用者が貯蔵室170内を直接目視することなく、洗剤300の残量を把握することが可能となっている。この点においても、この食器洗浄機1では、利便性が高くなっている。
【0083】
そして、貯蔵室170内に貯蔵された洗剤300の残量が少なくなれば、使用者は、貯蔵室170に洗剤300の補充を行う。具体的には、使用者は、移動体5を図2に示す開放位置に移動させる。そして、使用者は、蓋体112aを開位置に変位させる。これにより、貯蔵タンク15では、補給口19aが連通口112を通じて移動体5の外部に連通した状態となる。この状態において、使用者は、連通口112及び補給口19aを通じて補助タンク19内に洗剤300を補給する。ここで、この食器洗浄機1では、貯蔵タンク15及び供給装置13が液状の洗剤300専用に設計されているため、使用者は液状の洗剤300を補充する。
【0084】
補給口19aから補助タンク19内に補給された洗剤300は、図8に示すように、案内部19bを流通する。すなわち、洗剤300は、第1案内壁901によって、補助タンク19内を右方に向かって流通する。さらに、洗剤300は、第1開口902を流通した後、第2案内壁903によって補助タンク19内を方に向かって流通し、第2開口904を流通することで、補助タンク19内において、案内部19bよりも下方に到達する。つまり、洗剤300は、案内部19bを左右方向に蛇行しつつ、補助タンク19内の下方側、つまり、洗剤300の流通方向の下流側に向かって流通する。そして、洗剤300は、第1タンクフィルタ19c及び第2タンクフィルタ19dを通過しつつ、補助タンク19からタンク本体17内に流通することにより、貯蔵室170に貯蔵される。
【0085】
この食器洗浄機1では、案内部19bにおいて、第2案内壁903が第2開口904に向かって登り傾斜しているため、洗剤300の流速は、第2案内壁903において一定程度低下する。つまり、この食器洗浄機1では、補給口19aと貯蔵室170との間に案内部19bが存在しているため、洗剤300が補給口19aから貯蔵室170へ直接流通する場合に比べて、補給口19aから補給された洗剤300は、案内部19bを通過する過程で一定程度流通が阻害されてしまうことになる。
【0086】
しかし、この食器洗浄機1では、補給口から補給された洗剤300が液状であれば、たとえ案内部19bを通過する過程で一定程度流通が阻害されても、洗剤300は、案内部19b、第1タンクフィルタ19c及び第2タンクフィルタ19dを経て、貯蔵室170内まで流通可能となっている。
【0087】
また、この食器洗浄機1では、補給口19aから洗剤300を補給する際、洗剤300とともに異物が補助タンク19内に進入した場合であっても、この異物は、洗剤300が第1タンクフィルタ19c及び第2タンクフィルタ19dを通過する際に、第1タンクフィルタ19cや第2タンクフィルタ19dによって捕獲される。このため、この食器洗浄機1では、貯蔵室170内に異物が進入し難くなっている。
【0088】
ところで、この食器洗浄機1では、貯蔵タンク15及び供給装置13が上記のように液状の洗剤300専用に設計されているものの、洗剤300の種類には、液状の洗剤300の他に、粉末状やタブレット状等をなす固体状の洗剤300も存在している。このため、使用者が誤って固体状の洗剤300を補給口19aから補給する場合があり得る。しかし、固体状の洗剤300が補給されることにより、貯蔵タンク15では、例えば供給口172に詰まりが生じるおそれがある。また、供給装置13では、例えば供給通路13bや接続通路13cに詰まりが生じるおそれがある他、装置本体13aに動作異常が生じるおそれがある。このように、固体状の洗剤300によって、貯蔵タンク15や供給装置13が故障することが懸念される。
【0089】
この点、この食器洗浄機1では、固形状の洗剤300が補給された場合であっても、貯蔵タンク15や供給装置13が故障し難くなっている。この作用について、粉末状の洗剤300が補給された場合を例に具体的に説明する。
【0090】
図9に示すように、粉末状の洗剤300が誤って補給口19aから補助タンク19内に補給された場合であっても、この洗剤300は、案内部19bを通過して貯蔵室170に向かおうとする。ここで、案内部19bでは、第1案内壁901が第1開口902に向かって下り傾斜しているため、洗剤300は粉末状であっても、第1開口902に向かって流通する。そして、この洗剤300は、第1開口902から第2案内壁903上に落下する。しかし、第2案内壁903は第2開口904に向かって登り傾斜しているため、第2案内壁903に落下した洗剤300は、重力に逆らって第2開口904へ流通することが不可能となる。このため、第1開口902から第2案内壁903に落下した洗剤300は、第2案内壁903上で堆積する。この結果、粉末状の洗剤300は、案内部19bをほぼ通過できず、貯蔵室170に到達できなくなる。
【0091】
また、粉末状の洗剤300が第2案内壁903上で堆積することにより、この食器洗浄機1では、案内部19bにおいて、洗剤300の詰まりが生じる。このため、使用者は異変を感じることで、粉末状の洗剤300を誤って補助タンク19内に補給したことに気が付き易くなっている。
【0092】
さらに、貯蔵タンク15では、タンク本体17に対して補助タンク19が着脱可能となっている。このため、粉末状の洗剤300を誤って補給した場合には、図6に示すように、使用者は、タンク本体17から補助タンク19を取り外すことができる。これにより、補助タンク19を洗浄することで、補助タンク19内に存在する粉末状の洗剤300を好適に除去することが可能となっている。
【0093】
こうして、この食器洗浄機1では、粉末状の洗剤300が補給口19aから補給されても、この洗剤300は貯蔵室170内に貯蔵され難くなっている。このため、粉末状の洗剤300は、貯蔵タンク15から供給装置13にも至り難く、供給装置13は、粉末状の洗剤300を洗浄空間7h内に供給し難くなっている。図示を省略するものの、タブレット状の洗剤300を補給口19aから補給した場合であっても同様である。また、タブレット状をなすことで、洗剤300が第1開口902よりも大きくなれば、このような洗剤は第1開口902を通過できなくなる。このため、使用者は異変をより感じ易くなる。また、このような洗剤300は貯蔵室170に貯蔵されることはない。
【0094】
したがって、実施例の食器洗浄機1によれば、固形状の洗剤300が誤って補助タンク19に補給された場合であっても、貯蔵タンク15及び供給装置13の故障を防止できる。
【0095】
また、上記のように、この食器洗浄機1では、タンク本体17に対して補助タンク19が着脱可能となっている。このため、たとえ液状の洗剤300を補給している場合であっても、タンク本体17から補助タンク19を取り外して定期的に補助タンク19の洗浄を行うことにより、第1タンクフィルタ19c及び第2タンクフィルタ19dに捕獲された異物を除去することが可能となる。これにより、この食器洗浄機1では、補助タンク19、ひいては貯蔵タンク15を清潔に保つことが可能となっている。
【0096】
さらに、この食器洗浄機1では、案内部19bが第1案内壁901と、第1開口902と、第2案内壁903と、第2開口904とで構成されている。これにより、案内部19bの構成を簡素化しつつ、案内部19bを補給口19aと貯蔵室170とに連通するラビリンス状とすることが可能となっている。
【0097】
ここで、第1案内壁901は、第1開口902に向かって下り傾斜しているため、洗剤300は、自重によって第1開口902まで好適に流通可能となっている。このため、この食器洗浄機1では、案内部19bにおける洗剤300の流通の阻害を可及的に小さくでき、洗剤300の補充を素早く行うことが可能となっている。また、この食器洗浄機1では、洗剤300を第1開口902まで流通させるための専用の動力も不要となっている。
【0098】
一方、第2案内壁903は、第2開口904に向かって角度θで登り傾斜しており、この食器洗浄機1では、角度θを約1°に設定している。このため、流体の洗剤300については、第2案内壁903を流通する際の流速の低下を可及的に抑制しつつ、第2案内壁903を第2開口904に向かって流通させることが可能となっている。しかし、上記のように、固形状の洗剤300については、第2案内壁903を第2開口904に向かって流通することを好適に阻止することが可能となっている。
【0099】
さらに、第1開口902と第2開口904とは、上下方向で互いの一部が重なることなく、左右方向に完全に離隔した状態で配置されている。このため、第1開口902を流通した洗剤300が第2案内壁903に至ることなく、第2開口904を流通することがない。
【0100】
また、図7に示すように、タンク本体17には、進入口175及び供給口172が設けられており、これらの進入口175と供給口172とは、タンク本体17を移動体5の上方から見た際、上下方向で互いの一部が重なることなく、左右方向に完全に離隔した状態で配置されている。このため、この食器洗浄機1では、たとえタンク本体17から補助タンク19を取り外した状態で連通口112から固形状の洗剤300を誤って補給した場合であっても、この洗剤300が進入口175から供給口172、ひいては供給装置13に直接至ることを好適に防止することができる。
【0101】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0102】
例えば、実施例の食器洗浄機1では、液状の洗剤300を本発明における「処理剤」としているが、これに限らず、液状のリンスを本発明における「処理剤」としても良い。
【0103】
また、貯蔵タンク15及び供給装置13の他に、リンスを貯蔵するリンス用タンクと、リンスを洗浄空間7hに供給するリンス用供給装置とを設けても良い。
【0104】
さらに、実施例の食器洗浄機1では、貯蔵タンク15がタンク本体17及び補助タンク19を有している。しかし、これに限らず、タンク本体17の進入口175を本発明における「供給口」とし、進入口175と貯蔵室170との間に案内部19bを設けることにより、補助タンク19を省略して貯蔵タンク15を構成しても良い。
【0105】
また、実施例の食器洗浄機1では、第2案内壁903が第2開口904に向かって角度θで登り傾斜している。しかし、これに限らず、第2案内壁903は、第2開口904に向かって左右方向に水平に延びていても良い。また、第2案内壁903は、第2開口904に向かって所定の角度で下り傾斜していても良い。
【0106】
さらに、第1タンクフィルタ19c及び第2タンクフィルタ19dについて、補給口19aと案内部19bとの間、すなわち、補給口19aよりも洗剤300の流通方向の下流側であって、第1案内壁901よりも洗剤300の流通方向の上流側となる位置に配置しても良い。
【0107】
また、第1タンクフィルタ19cについては、補給口19aの下流側かつ案内部19bの上流側に設けつつ、第2タンクフィルタ19dについては、案内部19bの下流側かつ貯蔵室170の上流側に設ける構成としても良い。
【0108】
さらに、左右方向に離隔する2つの板材によって第1案内壁901を構成し、両板材の間に第1開口902を配置する構成としても良い。第2案内壁903及び第2開口904についても同様である。
【0109】
また、案内部19bは、補助タンク19内において、上下方向に蛇行しつつ補給口19aと貯蔵室170とに連通するラビリンス状であっても良い。
【0110】
さらに、実施例の食器洗浄機1では、タンク本体17が洗浄槽7の前部に固定されている。しかし、これに限らず、タンク本体17は、洗浄槽7の右側や左側に固定されても良い。この場合、タンク本体17において、進入口175と供給口172とは、タンク本体17を移動体5の上方から見た際に前後方向に離隔して配置されても良い。第1開口902及び第2開口904についても同様である。
【0111】
また、実施例の食器洗浄機1において、タンク本体17を移動体5の上方から見た際に進入口175と供給口172とが左右方向に離隔して配置されていれば、進入口175と供給口172とは、上下方向で互いの一部が重なっていても良い。この場合であっても、タンク本体17から補助タンク19を取り外した状態で連通口112から固形状の洗剤300を誤って補給した際に、洗剤300が進入口175から供給口172に直接至ること一定程度防止することができる。第1開口902及び第2開口904についても同様である。
【0112】
さらに、実施例の食器洗浄機1は、システムキッチン100に組み込まれる場合に限られず、システムキッチン100とは独立していても良い。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、食器洗浄機、食器洗浄乾燥機又は厨房設備等に利用可能である。
【符号の説明】
【0114】
1…食器洗浄機
3…筐体
3h…筐体開口
5…移動体
7…洗浄槽
7h…洗浄空間
13…供給装置
15…貯蔵タンク
17…タンク本体
19…補助タンク
19a…補給口
19b…案内部
19c…第1タンクフィルタ(フィルタ)
19d…第2タンクフィルタ(フィルタ)
170…貯蔵室
172…供給口
175…進入口
300…洗剤(処理剤)
901…第1案内壁
902…第1開口
903…第2案内壁
904…第2開口
TW1…食器(被洗浄物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9