(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】熱交換器および熱交換器の製造方法
(51)【国際特許分類】
F28F 3/00 20060101AFI20250324BHJP
F28D 9/02 20060101ALI20250324BHJP
【FI】
F28F3/00 301Z
F28D9/02
(21)【出願番号】P 2021180407
(22)【出願日】2021-11-04
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】後藤 功一
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-505743(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0326432(US,A1)
【文献】特開2020-046161(JP,A)
【文献】特開2021-101151(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0238627(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0266770(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D1/00-13/00
F28F3/00-7/02,99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器であって、
熱交換器本体と、
前記熱交換器本体内に並行して設けられ、高温流体が流通する複数の高温流体流路と、
前記熱交換器本体内に並行して設けられ、前記高温流体流路と並行に延び、低温流体が流通する複数の低温流体流路と、
複数の高温流体給排流路と、
複数の低温流体給排流路と、を備え、
前記高温流体流路および前記低温流体流路に垂直な流路断面に沿うX方向およびY方向を定義し、
前記流路断面で見たときに、前記X方向に並ぶ複数の前記高温流体流路がなす複数の高温流体流路列が並行に形成されるとともに、前記X方向に並ぶ複数の前記低温流体流路がなす複数の低温流体流路列が並行に形成され、前記高温流体流路列と前記低温流体流路列は、前記Y方向において交互に配置され、
前記高温流体給排流路は、前記X方向に延びるとともに、対応する一の前記高温流体流路列の前記高温流体流路に対して前記高温流体を供給または排出し、
前記低温流体給排流路は、前記X方向に延びるとともに、対応する一の前記低温流体流路列の前記低温流体流路に対して前記低温流体を供給または排出し、
前記流路断面で見たときに、前記X方向に傾斜する第1方向に交互に並ぶ前記高温流体流路および前記低温流体流路がなす複数の第1方向列が並行に形成されるとともに、前記X方向に傾斜する第2方向であって前記第1方向に交差する第2方向に交互に並ぶ前記高温流体流路および前記低温流体流路がなす複数の第2方向列が並行に形成され、
前記熱交換器本体は、隣り合う2つの前記第1方向列の間に形成された第1隔壁と、隣り合う2つの前記第2方向列の間に形成された第2隔壁と、を含み、
前記第1隔壁は、前記第1方向に延び、
前記第2隔壁は、前記第2方向に延び、
前記高温流体流路のY方向最大寸法は、前記高温流体給排流路のY方向最大寸法よりも大きく、
前記熱交換器は、前記高温流体給排流路と対応する前記高温流体流路列の前記高温流体流路とを接続する複数の高温流体接続流路を備え、
前記高温流体接続流路のY方向最大寸法は、前記高温流体給排流路から前記高温流体流路にわたって徐々に大きくなっている、熱交換器。
【請求項2】
前記低温流体流路のY方向最大寸法は、前記低温流体給排流路のY方向最大寸法よりも大きい、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記低温流体給排流路と対応する前記低温流体流路列の前記低温流体流路とを接続する複数の低温流体接続流路を備え、
前記低温流体接続流路のY方向最大寸法は、前記低温流体給排流路から前記低温流体流路にわたって徐々に大きくなっている、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
熱交換器であって、
熱交換器本体と、
前記熱交換器本体内に並行して設けられ、高温流体が流通する複数の高温流体流路と、
前記熱交換器本体内に並行して設けられ、前記高温流体流路と並行に延び、低温流体が流通する複数の低温流体流路と、
複数の高温流体給排流路と、
複数の低温流体給排流路と、を備え、
前記高温流体流路および前記低温流体流路に垂直な流路断面に沿うX方向およびY方向を定義し、
前記流路断面で見たときに、前記X方向に並ぶ複数の前記高温流体流路がなす複数の高温流体流路列が並行に形成されるとともに、前記X方向に並ぶ複数の前記低温流体流路がなす複数の低温流体流路列が並行に形成され、前記高温流体流路列と前記低温流体流路列は、前記Y方向において交互に配置され、
前記高温流体給排流路は、前記X方向に延びるとともに、対応する一の前記高温流体流路列の前記高温流体流路に対して前記高温流体を供給または排出し、
前記低温流体給排流路は、前記X方向に延びるとともに、対応する一の前記低温流体流路列の前記低温流体流路に対して前記低温流体を供給または排出し、
前記流路断面で見たときに、前記X方向に傾斜する第1方向に交互に並ぶ前記高温流体流路および前記低温流体流路がなす複数の第1方向列が並行に形成されるとともに、前記X方向に傾斜する第2方向であって前記第1方向に交差する第2方向に交互に並ぶ前記高温流体流路および前記低温流体流路がなす複数の第2方向列が並行に形成され、
前記熱交換器本体は、隣り合う2つの前記第1方向列の間に形成された第1隔壁と、隣り合う2つの前記第2方向列の間に形成された第2隔壁と、を含み、
前記第1隔壁は、前記第1方向に延び、
前記第2隔壁は、前記第2方向に延び、
前記低温流体流路のY方向最大寸法は、前記低温流体給排流路のY方向最大寸法よりも大きく、
前記熱交換器は、前記低温流体給排流路と対応する前記低温流体流路列の前記低温流体流路とを接続する複数の低温流体接続流路を備え、
前記低温流体接続流路のY方向最大寸法は、前記低温流体給排流路から前記低温流体流路にわたって徐々に大きくなっている、熱交換器。
【請求項5】
熱交換器であって、
熱交換器本体と、
前記熱交換器本体内に並行して設けられ、高温流体が流通する複数の高温流体流路と、
前記熱交換器本体内に並行して設けられ、前記高温流体流路と並行に延び、低温流体が流通する複数の低温流体流路と、
複数の高温流体給排流路と、
複数の低温流体給排流路と、を備え、
前記高温流体流路および前記低温流体流路に垂直な流路断面に沿うX方向およびY方向を定義し、
前記流路断面で見たときに、前記X方向に並ぶ複数の前記高温流体流路がなす複数の高温流体流路列が並行に形成されるとともに、前記X方向に並ぶ複数の前記低温流体流路がなす複数の低温流体流路列が並行に形成され、前記高温流体流路列と前記低温流体流路列は、前記Y方向において交互に配置され、
前記高温流体給排流路は、前記X方向に延びるとともに、対応する一の前記高温流体流路列の前記高温流体流路に対して前記高温流体を供給または排出し、
前記低温流体給排流路は、前記X方向に延びるとともに、対応する一の前記低温流体流路列の前記低温流体流路に対して前記低温流体を供給または排出し、
前記流路断面で見たときに、前記X方向に傾斜する第1方向に交互に並ぶ前記高温流体流路および前記低温流体流路がなす複数の第1方向列が並行に形成されるとともに、前記X方向に傾斜する第2方向であって前記第1方向に交差する第2方向に交互に並ぶ前記高温流体流路および前記低温流体流路がなす複数の第2方向列が並行に形成され、
前記熱交換器本体は、隣り合う2つの前記第1方向列の間に形成された第1隔壁と、隣り合う2つの前記第2方向列の間に形成された第2隔壁と、を含み、
前記第1隔壁は、前記第1方向に延び、
前記第2隔壁は、前記第2方向に延び、
前記高温流体給排流路と前記低温流体給排流路とのY方向ピッチは、前記高温流体給排流路に対応する前記高温流体流路列と、前記低温流体給排流路に対応する前記低温流体流路列とのY方向ピッチよりも大きい、熱交換器。
【請求項6】
前記高温流体給排流路と対応する前記高温流体流路列の前記高温流体流路とを接続する複数の高温流体接続流路と、
前記低温流体給排流路と対応する前記低温流体流路列の前記低温流体流路とを接続する複数の低温流体接続流路と、を備え、
前記高温流体接続流路のY方向中心位置および前記低温流体接続流路のY方向中心位置は、徐々に変位している、請求項5に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記高温流体流路および前記低温流体流路はそれぞれ、前記第1方向に延びる、前記第1隔壁を画定する第1流路縁と、前記第2方向に延びる、前記第2隔壁を画定する第2流路縁と、を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第2方向は、前記第1方向に直交している、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記流路断面で見たときに、前記X方向で隣り合う2つの前記高温流体流路の間の領域に、前記低温流体流路が部分的に入り込んでいるとともに、前記X方向で隣り合う2つの前記低温流体流路の間の領域に、前記高温流体流路が部分的に入り込んでいる、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の前記熱交換器を製造する熱交換器の製造方法であって、
積層造形技術を用いて製造する、熱交換器の製造方法。
【請求項11】
請求項1~
9のいずれか一項に記載の前記熱交換器を製造する熱交換器の製造方法であって、
拡散接合技術を用いて製造する、熱交換器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、熱交換器および熱交換器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器は、複数の高温流体流路を流通する高温流体と、複数の低温流体流路を流通する低温流体が、熱交換可能に構成されているものが多い。高温流体流路と低温流体流路とは並行に延びており、高温流体と低温流体は、対向してまたは並行して各流路を流れるものが多い。
【0003】
代表的な熱交換器として、プレート式熱交換器が広く普及している。プレート式熱交換器は、流路が形成された複数のプレートを重ね合わせた構成を有しており、各プレートは締め付けられて固定されている。一方、積層造形技術や拡散接合技術によって熱交換器を製作することもできる。この場合、耐圧性に優れた熱交換器を得ることができる。しかしながら、熱交換効率(例えば、容積あたりの熱交換量)を向上させるためには、工夫をしなければ、流路構造が複雑になってしまいかねない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施の形態は、このような点を考慮してなされたものであり、流路構造が複雑になることを防止するとともに熱交換効率を向上させることができる熱交換器および熱交換器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態による熱交換器は、熱交換器本体と、熱交換器本体内に並行して設けられ、高温流体が流通する複数の高温流体流路と、熱交換器本体内に並行して設けられ、高温流体流路と並行に延び、低温流体が流通する複数の低温流体流路と、複数の高温流体給排流路と、複数の低温流体給排流路と、を備えている。高温流体流路および低温流体流路に垂直な流路断面に沿うX方向およびY方向を定義する。流路断面で見たときに、X方向に並ぶ複数の高温流体流路がなす複数の高温流体流路列が並行に形成されるとともに、X方向に並ぶ複数の低温流体流路がなす複数の低温流体流路列が並行に形成されている。高温流体流路列と低温流体流路列は、Y方向において交互に配置されている。高温流体給排流路は、X方向に延びるとともに、対応する一の高温流体流路列の高温流体流路に対して高温流体を供給または排出する。低温流体給排流路は、X方向に延びるとともに、対応する一の低温流体流路列の低温流体流路に対して低温流体を供給または排出する。流路断面で見たときに、X方向に傾斜する第1方向に交互に並ぶ高温流体流路および低温流体流路がなす複数の第1方向列が並行に形成されている。流路断面で見たときに、X方向に傾斜する第2方向であって第1方向に交差する第2方向に交互に並ぶ高温流体流路および低温流体流路がなす複数の第2方向列が並行に形成されている。熱交換器本体は、隣り合う2つの第1方向列の間に形成された第1隔壁と、隣り合う2つの第2方向列の間に形成された第2隔壁と、を含んでいる。第1隔壁は、第1方向に延び、第2隔壁は、第2方向に延びている。
【0007】
実施の形態による熱交換器の製造方法は、上述した熱交換器を、積層造形技術を用いて製造する熱交換器の製造方法である。
【0008】
実施の形態による熱交換器の製造方法は、上述した熱交換器を、拡散接合技術を用いて製造する熱交換器の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
実施の形態によれば、流路構造が複雑になることを防止するとともに熱交換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態による熱交換器を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2の実施の形態による熱交換器を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の第3の実施の形態による熱交換器を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、本発明の第4の実施の形態による熱交換器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本実施の形態による熱交換器および熱交換器の製造方法について説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1~
図6を用いて、本実施の形態による熱交換器および熱交換器の製造方法について説明する。
【0013】
図1および
図2に示すように、本実施の形態による熱交換器1は、熱交換器本体2と、第1ヘッダ3と、第2ヘッダ4と、を備えている。
【0014】
熱交換器本体2は、主として、高温流体と低温流体が熱交換する部分である。熱交換器本体2内に、後述する高温流体流路10および低温流体流路20が形成されている。本実施の形態による熱交換器本体2は、直方体状に形成されている。
【0015】
第1ヘッダ3は、熱交換器本体2に対して高温流体および低温流体を供給または排出する部分である。本実施の形態による第1ヘッダ3は、熱交換器本体2に高温流体を供給するとともに、熱交換器本体2から低温流体を排出するように構成されている。第1ヘッダ3は、直方体状に形成されていてもよい。第1ヘッダ3の高さは、熱交換器本体2の高さと等しくてもよい。この場合、第1ヘッダ3の上面3aと熱交換器本体2の上面2aとは同一平面上に位置していてもよく、第1ヘッダ3の下面3bと熱交換器本体2の下面2bとは同一平面上に位置していてもよい。
【0016】
第2ヘッダ4は、熱交換器本体2に対して高温流体および低温流体を供給または排出する部分である。本実施の形態による第2ヘッダ4は、熱交換器本体2から高温流体を排出するとともに、熱交換器本体2に低温流体を供給するように構成されている。第2ヘッダ4は、直方体状に形成されていてもよい。第2ヘッダ4の高さは、熱交換器本体2の高さと等しくてもよい。この場合、第2ヘッダ4の上面4aと熱交換器本体2の上面2aとは同一平面上に位置していてもよく、第2ヘッダ4の下面4bと熱交換器本体2の下面2bとは同一平面上に位置していてもよい。
【0017】
図3Aに示すように、熱交換器本体2内に、複数の高温流体流路10および複数の低温流体流路20が形成されている。複数の高温流体流路10は、互いに並行して延びており、高温流体が流通するように構成されている。複数の低温流体流路20は、互いに並行して延びており、低温流体が流通するように構成されている。高温流体流路10と低温流体流路20は、互いに並行している。高温流体流路10および低温流体流路20は、後述するZ方向に直線状に延びている。
【0018】
高温流体流路10は、
図3Aに示すように、高温流体流路列11を形成している。高温流体流路列11は、流路断面で見たときに、X方向に並ぶ複数の高温流体流路10がなす列である。一の高温流体流路列11において、複数の高温流体流路10は一列に並んでいる。一の高温流体流路列11をなす高温流体流路10のY方向位置は、同じになっている。
【0019】
本実施の形態においては、流路断面に、複数の高温流体流路列11が並行して形成されている。複数の高温流体流路列11は、Y方向に異なる位置に配置されている。
図2および
図3Aに示す例においては、2つの高温流体流路列11が流路断面に形成されているが、高温流体流路列11の個数は任意である。高温流体流路10は、Y方向にも一列に並んでいる。
【0020】
ここで、流路断面という用語は、高温流体流路10および低温流体流路20に垂直な断面を意味する用語として用いている。流路断面の一例が、
図3A~
図3Cに示す断面である。流路断面に沿って、
図3A~
図3Cに示すように、X方向およびY方向を定義する。X方向は、流路内の流れの方向に直交する方向であって、図中における水平な方向に相当する。Y方向は、X方向に直交する方向であって、上下方向に相当する。Z方向は、X方向に直交するとともにY方向に直交する方向であって、図中における水平な方向に相当する。なお、「水平な方向」とは「下面を水平に置いた場合における水平な方向」の意味である。
【0021】
低温流体流路20は、
図3Aに示すように、低温流体流路列21を形成している。低温流体流路列21は、流路断面で見たときに、X方向に並ぶ複数の低温流体流路20がなす列である。一の低温流体流路列21において、複数の低温流体流路20は一列に並んでいる。一の低温流体流路列21をなす低温流体流路20のY方向位置は、同じになっている。
【0022】
本実施の形態においては、流路断面に、複数の低温流体流路列21が並行して形成されている。複数の低温流体流路列21は、Y方向に異なる位置に配置されている。
図2および
図3Aに示す例においては、2つの低温流体流路列21が流路断面に形成されているが、低温流体流路列21の個数は任意である。低温流体流路20は、Y方向にも一列に並んでいる。
【0023】
高温流体流路列11と低温流体流路列21は、Y方向に異なる位置に配置されている。高温流体流路列11と低温流体流路列21は、Y方向において交互に配置されている。
図2および
図3Aに示す例では、最下段に低温流体流路列21が配置され、最上段に高温流体流路列11が配置されている。
【0024】
高温流体流路10のX方向ピッチp1は、低温流体流路20のX方向ピッチp2と等しくてもよい。高温流体流路10と低温流体流路20は、X方向に、ピッチp1の半分またはピッチp2の半分ずれていてもよい。高温流体流路10のY方向ピッチp3は、低温流体流路20のY方向ピッチp4と等しくてもよい。高温流体流路10と低温流体流路20は、Y方向に、ピッチp3の半分またはピッチp4の半分ずれていてもよい。
【0025】
図3Bに示すように、本実施の形態においては、流路断面で見たときに、X方向で隣り合う2つの高温流体流路10の間の第1領域16に、低温流体流路20が部分的に入り込んでいる。高温流体流路10と低温流体流路20は、X方向で見たときに部分的に重なっている。
図3Bを参照してより具体的に説明すると、低温流体流路20の上端部20aが、当該低温流体流路20の上側に位置する高温流体流路10の下端部10bよりも高い位置に配置されている。同様に、流路断面で見たときに、X方向で隣り合う2つの低温流体流路20の間の第1領域26に、高温流体流路10が部分的に入り込んでいる。高温流体流路10の上端部10aが、当該高温流体流路10の上側に位置する低温流体流路20の下端部20bよりも高い位置に配置されている。
【0026】
本実施の形態においては、流路断面で見たときに、Y方向で隣り合う2つの高温流体流路10の間の第2領域17に、低温流体流路20が部分的に入り込んでいる。高温流体流路10と低温流体流路20は、Y方向で見たときに部分的に重なっている。
図3Bを参照してより具体的に説明すると、低温流体流路20の右端部20cが、当該低温流体流路20に右側で隣り合う高温流体流路10の左端部10dよりも右側に配置されている。同様に、流路断面で見たときに、Y方向で隣り合う2つの低温流体流路20の間の第2領域27に、高温流体流路10が部分的に入り込んでいる。高温流体流路10の右端部10cが、当該高温流体流路10に右側で隣り合う低温流体流路20の左端部20dよりも右側に配置されている。
【0027】
図2に示すように、高温流体流路10のY方向最大寸法は、後述する高温流体入口流路12のY方向最大寸法よりも大きくてもよく、後述する高温流体出口流路のY方向最大寸法よりも大きくてもよい。同様に、低温流体流路20のY方向最大寸法は、後述する低温流体出口流路22のY方向最大寸法よりも大きくてもよく、後述する低温流体入口流路のY方向最大寸法よりも大きくてもよい。
【0028】
図3Cに示すように、流路断面で見たときに、高温流体流路10および低温流体流路20は、第1方向列30および第2方向列40を形成している。
【0029】
第1方向列30は、第1方向D1に交互に並ぶ高温流体流路10および低温流体流路20がなす列である。本実施の形態においては、第1方向列30は、複数の高温流体流路10および複数の低温流体流路20により形成されている。一の第1方向列30において、複数の高温流体流路10および複数の低温流体流路20は一列に並んでいる。流路断面に、複数の第1方向列30が並行して形成されている。ここで、第1方向D1は、流路断面に沿うとともに、X方向に傾斜した方向である。第1方向D1は、Y方向にも傾斜している。
【0030】
第2方向列40は、第1方向D1に交差する第2方向D2に交互に並ぶ高温流体流路10および低温流体流路20がなす列である。本実施の形態においては、第2方向列40は、複数の高温流体流路10および複数の低温流体流路20により形成されている。一の第2方向列40において、複数の高温流体流路10および複数の低温流体流路20は一列に並んでいる。流路断面に、複数の第2方向列40が並行して形成されている。ここで、第2方向D2は、流路断面に沿うとともに、X方向に傾斜した方向である。第2方向D2は、Y方向にも傾斜している。
【0031】
本実施の形態においては、第2方向D2は、第1方向D1に直交している。第1方向D1および第2方向D2はそれぞれ、X方向およびY方向に45°で交差している。
【0032】
図3Cに示すように、熱交換器本体2は、第1隔壁5と、第2隔壁6と、を含んでいる。第1隔壁5は、隣り合う2つの第1方向列30の間に形成されている。第1隔壁5は、第1方向D1に延びている。本実施の形態による第1隔壁5は、隣り合う第1方向列30をなす高温流体流路10の後述する第1流路縁10eと低温流体流路20の後述する第1流路縁20eとにより画定されている。本実施の形態による第2隔壁6は、隣り合う2つの第2方向列40の間に形成されている。第2隔壁6は、第2方向D2に延びている。第2隔壁6は、隣り合う第2方向列40をなす高温流体流路10の後述する第2流路縁10fと低温流体流路20の後述する第2流路縁20fとにより確定されている。
【0033】
高温流体流路10は、2つの第1流路縁10eと、2つの第2流路縁10fと、を含んでいてもよい。低温流体流路20は、2つの第1流路縁20eと、2つの第2流路縁20fと、を含んでいてもよい。第1流路縁10e、20eは第1方向D1に延びている。第1流路縁10e、20eは、第1方向D1に沿って直線状に延びていてもよい。第1流路縁10eと第1流路縁20eとにより、厚さt1を有する第1隔壁5が画定されている。第1隔壁5の厚さt1は、一定であってもよい。第2流路縁10f、20fは、第2方向D2に延びている。第2流路縁10f、20fは、第2方向D2に沿って直線状に延びていてもよい。第2流路縁10fと第2流路縁20fとにより、厚さt2を有する第2隔壁6が画定されている。第2隔壁6の厚さ52は、一定であってもよい。厚さt1と厚さt2は等しくてもよいが、異なっていてもよい。本実施の形態においては、第1流路縁10e、20eおよび第2流路縁10f、20fは垂直になっている。高温流体流路10の断面形状は、矩形であってもよく、三角形であってもよく、
図3A~
図3Cに示すように正方形であってもよい。低温流体流路20も同様である。
【0034】
図3Aに示すように、流路断面で見たときに、熱交換器本体2は、矩形状に形成されている。この流路断面に、同一の断面形状を有する高温流体流路10および低温流体流路20が形成されている。この流路断面のうち、高温流体流路10および低温流体流路20が形成されていない領域には、三角形などの異なる断面形状を有する高温流体流路または低温流体流路が形成されていてもよい。この場合、熱交換効率を向上させることができる。あるいは、流路断面のうち高温流体流路10および低温流体流路20が形成されていない角部などの領域は、切り欠かれていてもよい。この場合、熱交換器1の軽量化を図ることができる。
【0035】
図1および
図2に示すように、上述した第1ヘッダ3内に、高温流体入口流路12および低温流体出口流路22が設けられている。高温流体入口流路12は、一の高温流体流路列11に対して高温流体を供給または排出する高温流体給排流路の一例である。低温流体入口流路および低温流体出口流路22は、一の低温流体流路列21に対して低温流体を供給または排出する低温流体給排流路の一例である。
【0036】
図2~
図4に示すように、高温流体入口流路12は、X方向に延びているとともに、対応する一の高温流体流路列11をなす高温流体流路10に高温流体を供給する。本実施の形態においては、複数の高温流体入口流路12が、第1ヘッダ3に形成されており、Y方向に異なる位置に配置されている。高温流体入口流路12の個数は、高温流体流路列11の個数と等しい。高温流体入口流路12は、X方向で見たときに、Z方向に直線状に延びている。各々の高温流体入口流路12のY方向中心位置は、対応する高温流体流路列11のY方向中心位置と同じであってもよい。
【0037】
図5に示すように、Y方向で見たときに、高温流体入口流路12は、後述する高温流体入口ヘッダ14から後述する高温流体入口接続流路13にわたって、X方向に拡大するように形成されていてもよい。このことにより、複数の高温流体流路10に、高温流体入口接続流路13を介して接続することができる。高温流体入口流路12は、Y方向で見たときに、台形状に形成されていてもよい。
【0038】
図2に示すように、高温流体入口流路12のY方向最大寸法は、高温流体流路10のY方向最大寸法よりも小さくてもよい。高温流体入口流路12のY方向最大寸法は、高温流体入口ヘッダ14から高温流体入口接続流路13にわたって一定であってもよい。高温流体入口流路12の断面が、
図4に示すように、X方向およびY方向に沿う矩形状に形成されている場合には、高温流体入口流路12のY方向最大寸法は、流路の高さ寸法に相当する。なお、最上段に位置する高温流体入口流路12のY方向最大寸法は、他の高温流体入口流路12のY方向最大寸法よりも大きくてもよい。また、高温流体入口流路12内に、機械的強度向上または整流を目的として、隔壁または柱を形成してもよい。
【0039】
図2~
図4に示すように、低温流体出口流路22は、X方向に延びているとともに、対応する一の低温流体流路列21をなす低温流体流路20から低温流体を排出する。本実施の形態においては、複数の低温流体出口流路22が、第1ヘッダ3に形成されており、Y方向に異なる位置に配置されている。低温流体出口流路22の個数は、低温流体流路列21の個数と等しい。低温流体出口流路22は、X方向で見たときに、Z方向に直線状に延びている。各々の低温流体出口流路22のY方向中心位置は、対応する低温流体流路列21のY方向中心位置と同じであってもよい。
【0040】
図5に示すように、Y方向で見たときに、低温流体出口流路22は、後述する低温流体出口ヘッダ24から後述する低温流体出口接続流路23にわたって、X方向に拡大するように形成されていてもよい。このことにより、複数の低温流体流路20に、低温流体出口接続流路23を介して接続することができる。低温流体出口流路22は、Y方向で見たときに、台形状に形成されていてもよい。
【0041】
図2に示すように、低温流体出口流路22のY方向最大寸法は、低温流体流路20のY方向最大寸法よりも小さくてもよい。低温流体出口流路22のY方向最大寸法は、低温流体出口ヘッダ24から低温流体出口接続流路23にわたって一定であってもよい。低温流体出口流路22の断面が、
図4に示すように、X方向およびY方向に沿う矩形状に形成されている場合には、低温流体出口流路22のY方向最大寸法は、流路の高さ寸法に相当する。なお、最下段に位置する低温流体出口流路22のY方向最大寸法は、他の低温流体出口流路22のY方向最大寸法よりも大きくてもよい。また、低温流体出口流路22内に、機械的強度向上または整流を目的として、隔壁または柱を形成してもよい。
【0042】
高温流体入口流路12と低温流体出口流路22は、Y方向において交互に配置されていてもよい。高温流体入口流路12と低温流体出口流路22とのY方向ピッチp6は、対応する高温流体流路列11と対応する低温流体流路列21とのY方向ピッチp5と等しくてもよい。Y方向ピッチp5は、高温流体入口流路12に接続された高温流体流路列11と、低温流体出口流路22に接続された低温流体流路列21とのY方向ピッチである。
【0043】
図2に示すように、上述した熱交換器本体2内に、高温流体入口接続流路13および低温流体出口接続流路23が設けられている。高温流体入口接続流路13は、高温流体入口流路12と対応する高温流体流路列11の高温流体流路10とを接続する高温流体接続流路の一例である。低温流体出口接続流路23は、低温流体出口流路22と対応する低温流体流路列21の低温流体流路20とを接続する低温流体接続流路の一例である。
【0044】
図2に示すように、高温流体入口接続流路13のY方向最大寸法は、高温流体入口流路12から高温流体流路10にわたって徐々に大きくなっていてもよい。例えば、
図6に示すように、高温流体入口接続流路13の断面形状は、高温流体流路10の上端部10aおよび下端部10bが切り欠かれた形状であってもよい。
図2に示す低温流体出口接続流路23のように、この切り欠き量が、高温流体入口流路12から高温流体流路10にわたって徐々に少なくなっていてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、高温流体入口接続流路13のY方向最大寸法は、高温流体入口流路12から高温流体流路10にわたって段階的に大きくなっていてもよい。高温流体入口接続流路13の入口側端部のY方向寸法は、高温流体入口流路12のY方向寸法と等しくてもよいが、高温流体入口流路12のY方向寸法よりも小さくてもよい。高温流体入口接続流路13のX方向最大寸法は、高温流体入口流路12から高温流体流路10にわたって一定であってもよいが、変化していてもよい。なお、最上段に位置する高温流体入口接続流路13のY方向最大寸法は、他の高温流体入口接続流路13のY方向最大寸法よりも大きくてもよい。例えば、最上段に位置する高温流体入口接続流路13の断面形状は、高温流体流路10の下端部10bが切り欠かれるが、上端部10aは切り欠かれない形状であってもよい。
【0045】
図2に示すように、高温流体入口接続流路13のY方向中心位置は、高温流体入口流路12から高温流体流路10にわたって一定であってもよい。この場合、高温流体入口接続流路13の圧力損失を低減することができる。最上段の高温流体入口接続流路13のY方向中心位置は、一定でなくてもよい。
【0046】
図2に示すように、低温流体出口接続流路23のY方向最大寸法は、低温流体出口流路22から低温流体流路20にわたって徐々に大きくなっていてもよい。例えば、
図6に示すように、低温流体出口接続流路23の断面形状は、低温流体流路20の上端部20aおよび下端部20bが切り欠かれた形状であってもよい。
図2に示す低温流体出口接続流路23のように、この切り欠き量が、低温流体出口流路22から低温流体流路20にわたって徐々に少なくなっていてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、低温流体出口接続流路23のY方向最大寸法は、低温流体出口流路22から低温流体流路20にわたって段階的に大きくなっていてもよい。低温流体出口接続流路23の出口側端部のY方向寸法は、低温流体出口流路22のY方向寸法と等しくてもよいが、低温流体出口流路22のY方向寸法よりも小さくてもよい。低温流体出口接続流路23のX方向最大寸法は、低温流体出口流路22から低温流体流路20にわたって一定であってもよいが、変化していてもよい。なお、最下段に位置する低温流体出口接続流路23のY方向最大寸法は、他の低温流体出口接続流路23のY方向最大寸法よりも大きくてもよい。例えば、最下段に位置する低温流体出口接続流路23の断面形状は、低温流体流路20の上端部20aが切り欠かれるが、下端部20bは切り欠かれてない形状であってもよい。
【0047】
図2に示すように、低温流体出口接続流路23のY方向中心位置は、低温流体出口流路22から低温流体流路20にわたって一定であってもよい。この場合、低温流体出口接続流路23の圧力損失を低減することができる。最下段の低温流体出口接続流路23のY方向中心位置は、一定でなくてもよい。
【0048】
上述した第2ヘッダ4内に、図示しない高温流体出口流路および低温流体入口流路が設けられている。高温流体出口流路は、高温流体給排流路の一例であり、一の高温流体流路列11をなす高温流体流路10から高温流体を排出する。高温流体出口流路は、高温流体入口流路12と同様に構成することができるため、高温流体出口流路についての説明は省略する。低温流体入口流路は、低温流体給排流路の一例であり、一の低温流体流路列21をなす低温流体流路20に低温流体を供給する。低温流体入口流路は、低温流体出口流路22と同様に構成することができるため、低温流体入口流路についての説明は省略する。
【0049】
上述した熱交換器本体2内に、図示しない高温流体出口接続流路および低温流体入口接続流路が設けられている。高温流体出口接続流路は、高温流体接続流路の一例であり、上述した高温流体出口流路と対応する高温流体流路列11の高温流体流路10とを接続する。高温流体出口接続流路は、高温流体入口接続流路13と同様に構成することができるため、高温流体出口接続流路についての説明は省略する。低温流体入口接続流路は、低温流体接続流路の一例であり、上述した低温流体入口流路と対応する低温流体流路列21の低温流体流路20とを接続する低温流体接続流路の一例である。低温流体入口接続流路は、低温流体出口接続流路23と同様に構成することができるため、低温流体入口接続流路についての説明は省略する。
【0050】
第1ヘッダ3に、高温流体入口ヘッダ14および低温流体出口ヘッダ24が設けられている。
【0051】
高温流体入口ヘッダ14は、各々の高温流体入口流路12に接続されて、各々の高温流体入口流路12に高温流体を供給する。高温流体入口ヘッダ14は、Y方向に延びており、各々の高温流体入口流路12に接続されている。高温流体入口ヘッダ14に、熱交換器1の外部に位置する他の機器から高温流体が供給される。
【0052】
低温流体出口ヘッダ24は、各々の低温流体出口流路22に接続されて、各々の低温流体出口流路22から低温流体を排出する。低温流体出口ヘッダ24は、Y方向に延びており、各々の低温流体出口流路22に接続されている。低温流体出口ヘッダ24から排出された低温流体は、熱交換器1の外部に位置する他の機器に供給される。
【0053】
第2ヘッダ4に、高温流体出口ヘッダ15および低温流体入口ヘッダ25が設けられている。
【0054】
高温流体出口ヘッダ15は、各々の高温流体出口流路(図示せず)に接続されて、各々の高温流体出口流路から高温流体を排出する。高温流体出口ヘッダ15は、Y方向に延びており、各々の高温流体出口流路に接続されている。高温流体出口ヘッダ15から排出された高温流体は、熱交換器1の外部に位置する他の機器に供給される。
【0055】
低温流体入口ヘッダ25は、各々の低温流体入口流路(図示せず)に接続されて、各々の低温流体入口流路に低温流体を供給する。低温流体入口ヘッダ25は、Y方向に延びており、各々の低温流体入口流路に接続されている。低温流体入口ヘッダ25に、熱交換器1の外部に位置する他の機器から低温流体が供給される。
【0056】
次に、上述した熱交換器1を製造する方法について説明する。本実施の形態による熱交換器1の製造方法は、特に限られることはなく任意である。例えば、熱交換器1は、積層造形技術または拡散接合技術を用いて製造されてもよい。
【0057】
例えば、上述した熱交換器本体2は、積層造形技術を用いた3Dプリンタによって製造されてもよい。この場合、熱交換器本体2を、シームレスに容易に形成することができる。また、上述した高温流体流路10などの各流路も3Dプリンタによって形成することができ、容易に熱交換器本体2を製造することができる。例えば、断面形状が徐々に変化する高温流体入口接続流路13、低温流体出口接続流路23、高温流体出口接続流路および低温流体入口接続流路を、容易に形成することができる。熱交換器本体2は、上述した第1ヘッダ3および第2ヘッダ4と一体に、3Dプリンタによって製造されていてもよい。この場合、熱交換器本体2、第1ヘッダ3および第2ヘッダ4を、1つのブロックとしてシームレスに形成することができる。また、上述した高温流体入口流路12などの各流路、高温流体入口ヘッダ14などの流体入口ヘッダ、および低温流体出口ヘッダ24などの流体出口ヘッダも積層造形技術によって容易に形成することができる。このため、容易に熱交換器1を製造することができる。
【0058】
例えば、上述した熱交換器本体2は、拡散接合技術を用いて製造されてもよい。この場合、熱交換器本体2を容易に形成することができる。拡散接合技術を用いる場合、各々が上述した流路を得ることができるような形状を有する複数の板材を準備し、各板材を積層して拡散接合してもよい。
【0059】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0060】
高温流体入口ヘッダ14に供給された高温流体は分流して、各々の高温流体入口流路12に流入する。高温流体入口流路12から更に分流して、高温流体入口接続流路13を通って、各々の高温流体流路10に流入する。
【0061】
一方、低温流体入口ヘッダ25に供給された低温流体は分流して、各々の低温流体入口流路(図示せず)に流入する。低温流体入口流路から更に分流して、低温流体入口接続流路(図示せず)を通過して、各々の低温流体流路20に流入する。
【0062】
高温流体流路10を流れる高温流体と、低温流体流路20を流れる低温流体とが熱交換する。高温流体と低温流体は、対向流となって各流路を流通し、熱交換効率が高められる。
【0063】
本実施の形態による熱交換器1においては、高温流体流路10の第1流路縁10eと、低温流体流路20の第1流路縁20eとが対向しているとともに、高温流体流路10の第2流路縁10fと、低温流体流路20の第2流路縁20fとが対向している。流路断面において、高温流体流路10の周囲に、4つの低温流体流路20が配置されるとともに、低温流体流路20の周囲に、4つの高温流体流路10が配置されている。このことにより、高温流体流路10を流れる高温流体と、低温流体流路20を流れる低温流体との間の熱移動に関わる伝熱面積が増大し、高温流体と低温流体との熱交換量が増大する。このため、熱交換効率が向上する。
【0064】
高温流体流路10を通過した高温流体は、高温流体出口接続流路(図示せず)を通過して、高温流体出口流路(図示せず)に流入する。高温流体出口流路において、各々の高温流体出口接続流路から流入した高温流体が合流する。高温流体は、高温流体出口流路から高温流体出口ヘッダ15に流入して合流し、高温流体出口流路から排出される。
【0065】
一方、低温流体流路20を通過した低温流体は、低温流体出口接続流路23を通過して、低温流体出口流路22に流入する。低温流体出口流路22において、各々の低温流体出口接続流路23から流入した低温流体が合流する。低温流体は、低温流体出口流路22から低温流体出口ヘッダ24に流入して合流し、低温流体出口流路22から排出される。
【0066】
このように本実施の形態によれば、第1方向列30において高温流体流路10と低温流体流路20が第2隔壁6を介して交互に並び、第2方向列40において高温流体流路10と低温流体流路20が第1隔壁5を介して交互に並んでいる。このことにより、一の高温流体流路10は、4つの低温流体流路20と対向することができ、高温流体と低温流体との間の熱移動に関わる伝熱面積を増大させることができる。同様に、一の低温流体流路20は、4つの高温流体流路10と対向することができ、高温流体と低温流体との間の熱移動に関わる伝熱面積を増大させることができる。このため、構造が複雑になることを防止するとともに熱交換効率を向上させることができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、X方向に並ぶ複数の高温流体流路10がなす複数の高温流体流路列11が並行に形成されるとともに、X方向に並ぶ複数の低温流体流路20がなす複数の低温流体流路列21が並行に形成され、高温流体流路列11と低温流体流路列21が、Y方向において交互に配置されている。高温流体入口流路12が、X方向に延びるとともに、対応する一の高温流体流路列11の高温流体流路10に対して高温流体を供給する。低温流体出口流路22が、X方向に延びるとともに、対応する一の低温流体流路列21の低温流体流路20に対して低温流体を供給する。このことにより、高温流体入口流路12と、対応する一の高温流体流路列11をなす各々の高温流体流路10との接続構造を簡易化させることができる。例えば、高温流体入口流路12と高温流体流路10とを接続する高温流体入口接続流路13の形状が複雑になることを防止できる。これにより高温流体入口ヘッダ14から熱交換器本体2までの接続構造が複雑になることを防止できる。同様に、低温流体出口流路22と、対応する一の低温流体流路列21をなす各々の低温流体流路20との接続構造を簡易化させることができる。例えば、低温流体出口流路22と低温流体流路20とを接続する低温流体出口接続流路23の形状が複雑になることを防止できる。これにより低温流体出口ヘッダ24から熱交換器本体2までの接続構造が複雑になることを防止できる。同様に、高温流体出口流路(図示せず)と、対応する一の高温流体流路列11をなす各々の高温流体流路10との接続構造を簡易化させることができる。例えば、高温流体出口流路と高温流体流路10とを接続する高温流体出口接続流路(図示せず)の形状が複雑になることを防止できる。これにより高温流体出口ヘッダ15から熱交換器本体2までの接続構造が複雑になることを防止できる。同様に、低温流体入口流路(図示せず)と、対応する一の低温流体流路列21をなす各々の低温流体流路20との接続構造を簡易化させることができる。例えば、低温流体入口流路と低温流体流路20とを接続する低温流体入口接続流路(図示せず)の形状が複雑になることを防止できる。これにより低温流体入口ヘッダ25から熱交換器本体2までの接続構造が複雑になることを防止できる。このため、熱交換器1の構造が複雑になることを防止できる。従来、熱交換器本体2の流路構造の工夫により熱交換効率の向上を図ろうとすると、高温流体入口ヘッダ14、高温流体出口ヘッダ15、低温流体入口ヘッダ25、低温流体出口ヘッダ24それぞれから熱交換器本体2までの接続構造は複雑になりやすいが、本実施の形態によれば複雑になることを防止できる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、高温流体流路10および低温流体流路20はそれぞれ、第1方向D1に延びる第1流路縁10e、20eと、第2方向D2に延びる第2流路縁10f、20fと、を含んでいる。第1流路縁10e、20eは、第1隔壁5を画定し、第2流路縁10f、20fは、第2隔壁6を画定する。このことにより、高温流体流路10の第1流路縁10eと低温流体流路20の第1流路縁20eとを対向させることができるとともに、高温流体流路10の第2流路縁10fと、低温流体流路20の第2流路縁20fとを対向させることができる。このため、熱交換効率を向上させることができる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、第2方向D2は第1方向D1に直交している。このことにより、第1隔壁5および第2隔壁6を直交させることができる。このため、第1隔壁5および第2隔壁6が十字の格子状に形成され、熱交換器本体2の機械的強度を向上させることができ、熱交換器1の耐圧性を向上させることができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、流路断面で見たときに、隣り合う2つの高温流体流路10の間の領域16、17に、低温流体流路20が入り込んでいるとともに、隣り合う2つの低温流体流路20の間の領域26、27に、高温流体流路10が入り込んでいる。このことにより、高温流体と低温流体との間の熱移動に関わる伝熱面積を増大させることができる。また、高温流体流路10と低温流体流路20とを近づけることができる。このため、熱交換効率を向上させることができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、高温流体流路10のY方向最大寸法は、高温流体入口流路12のY方向最大寸法よりも大きい。このことにより、高温流体流路10の伝熱面積を増大させることができる。このため、熱交換効率を向上させることができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、高温流体入口流路12と高温流体流路10とを接続する高温流体入口接続流路13のY方向最大寸法が、高温流体入口流路12から高温流体流路10にわたって徐々に大きくなっている。このことにより、高温流体入口接続流路13の圧力損失を低減することができる。また、高温流体入口接続流路13の機械的強度を向上させることができ、熱交換器1の耐圧性を向上させることができる。
【0073】
また、本実施の形態によれば、低温流体流路20のY方向最大寸法は、低温流体出口流路22のY方向最大寸法よりも大きい。このことにより、低温流体流路20の伝熱面積を増大させることができる。このため、熱交換効率を向上させることができる。
【0074】
また、本実施の形態によれば、低温流体出口流路22と低温流体流路20とを接続する低温流体出口接続流路23のY方向最大寸法が、低温流体出口流路22から低温流体流路20にわたって徐々に大きくなっている。このことにより、低温流体出口接続流路23の圧力損失を低減することができる。また、低温流体出口接続流路23の機械的強度を向上させることができ、熱交換器1の耐圧性を向上させることができる。
【0075】
なお、上述した本実施の形態においては、高温流体流路10の断面形状が、矩形である例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、高温流体流路10の断面形状は、円形、楕円形、矩形以外の多角形など任意である。断面形状が円形または楕円形であっても、第1隔壁5は第1方向D1に延びることができ、第2隔壁6は第2方向D2に延びることができる。この場合、第1隔壁5の厚さt1および第2隔壁6の厚さt2はそれぞれ、一定でなくてもよい。例えば、高温流体流路10は、上述した第1流路縁10eと第2流路縁10fとを含むように八角形に形成されていてもよい。また、高温流体流路10に、複数種の断面形状が混在されていてもよい。低温流体流路20の断面形状も同様に任意である。
【0076】
また、上述した本実施の形態においては、第2方向D2が第1方向D1に直交している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、第2方向D2は第1方向D1に直交していなくてもよい。この場合、高温流体流路10の断面形状および低温流体流路20の断面形状は、ひし形であってもよい。
【0077】
また、上述した本実施の形態においては、第1ヘッダ3に、高温流体入口ヘッダ14および低温流体出口ヘッダ24が形成され、第2ヘッダ4に、高温流体出口ヘッダ15および低温流体入口ヘッダ25が形成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、低温流体入口ヘッダ25を第1ヘッダ3に形成し、低温流体出口ヘッダ24を第2ヘッダ4に形成してもよい。この場合、低温流体流路20の流れの向きが変わり、高温流体と低温流体は、並行流の状態で熱交換する。
【0078】
(第2の実施の形態)
次に、
図7~
図10を用いて、第2の実施の形態による熱交換器および熱交換器の製造方法について説明する。
【0079】
図7~
図10に示す第2の実施の形態においては、高温流体入口流路と低温流体出口流路とのY方向ピッチは、対応する高温流体流路列と対応する低温流体流路列とのY方向ピッチよりも大きい点が主に異なる。他の構成は、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図7~
図10において、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0080】
図7および
図8に示すように、本実施の形態においては、高温流体入口流路12と低温流体出口流路22とのY方向ピッチp6(
図10参照)は、対応する高温流体流路列11と、対応する低温流体流路列21とのY方向ピッチp5(
図9参照)よりも大きい。この場合、第1ヘッダ3の高さが、熱交換器本体2の高さよりも高くなっていてもよい。第1ヘッダ3の上面3aが、熱交換器本体2の上面2aよりも高い位置に位置していてもよい。第1ヘッダ3の下面3bと熱交換器本体2の下面2bとは同一平面上に位置していてもよいが、同一平面上に位置していなくてもよい。
【0081】
高温流体入口流路12のY方向最大寸法は、高温流体流路10のY方向最大寸法と等しくてもよい。最上段に位置する高温流体入口流路12を含む各々の高温流体入口流路12のY方向最大寸法は等しくてもよい。
【0082】
図8に示すように、高温流体入口接続流路13のY方向中心位置が、徐々に変位していてもよい。
図8に示す例においては、高温流体入口接続流路13のY方向中心位置が、高温流体流路10から高温流体入口流路12にわたって徐々に上側に変位している。このような高温流体入口接続流路13は、積層造形技術または拡散接合技術によって容易に形成することができる。
【0083】
高温流体入口接続流路13のY方向最大寸法は、高温流体入口流路12から高温流体流路10にわたって一定であってもよい。高温流体入口接続流路13の断面形状は、高温流体流路10の断面形状と同じであってもよい。
【0084】
同様に、低温流体出口流路22のY方向最大寸法は、低温流体流路20のY方向最大寸法と等しくてもよい。最下段に位置する低温流体出口流路22を含む各々の低温流体出口流路22のY方向最大寸法は、等しくてもよい。
【0085】
低温流体出口接続流路23のY方向中心位置が、徐々に変位していてもよい。
図8に示す例においては、低温流体出口接続流路23のY方向中心位置が、低温流体流路20から低温流体出口流路22にわたって徐々に上側に変位している。このような低温流体出口接続流路23は、積層造形技術または拡散接合技術によって容易に形成することができる。なお、最下段に位置する低温流体出口接続流路23のY方向中心位置は、変位することなく、一定であってもよい。
【0086】
低温流体出口接続流路23のY方向最大寸法は、低温流体出口流路22から低温流体流路20にわたって一定であってもよい。低温流体出口接続流路23の断面形状は、低温流体流路20の断面形状と同じであってもよい。
【0087】
高温流体出口流路および低温流体入口流路は、高温流体入口流路12および低温流体出口流路22と同様に構成することができる。高温流体出口接続流路および低温流体入口接続流路は、高温流体入口接続流路13および低温流体出口接続流路23と同様に構成することができる。
【0088】
このように本実施の形態によれば、高温流体入口流路12と低温流体出口流路22とのY方向ピッチp6は、対応する高温流体流路列11と、対応する低温流体流路列21とのY方向ピッチp5よりも大きくなっている。このことにより、高温流体入口流路12と高温流体流路10とを接続する高温流体入口接続流路13のY方向最大寸法を一定にすることができる。このため、高温流体入口接続流路13の圧力損失を低減することができる。
【0089】
また、本実施の形態によれば、高温流体入口接続流路13のY方向位置および低温流体出口接続流路23のY方向位置が、徐々に変位している。このことにより、高温流体入口接続流路13の圧力損失を低減することができるとともに、低温流体出口接続流路23の圧力損失を低減することができる。
【0090】
(第3の実施の形態)
次に、
図11~
図14を用いて、本発明の第3の実施の形態による熱交換器および熱交換器の製造方法について説明する。
【0091】
図11~
図14に示す第3の実施の形態においては、流路断面で見たときに、隣り合う高温流体流路の間の領域に、低温流体流路が入り込んでいないとともに、隣り合う2つの低温流体流路の間の領域に、高温流体流路が入り込んでいない点が主に異なる。他の構成は、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図11~
図14において、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0092】
図11および
図12に示すように、本実施の形態による熱交換器1は、熱交換器本体2と、第1ヘッダ3と、第2ヘッダ4と、を備えている。第1ヘッダ3の高さは、熱交換器本体2の高さと等しくてもよい。第2ヘッダ4の高さは、熱交換器本体2の高さに等しくてもよい。
【0093】
図13Aに示すように、本実施の形態においては、流路断面で見たときに、X方向で隣り合う2つの高温流体流路10の間の第1領域16に、低温流体流路20が入り込んでいない。高温流体流路10と低温流体流路20は、X方向で見たときに重なっていない。
図13Aを参照してより具体的に説明すると、低温流体流路20の上端部20aが、当該低温流体流路20の上側に位置する高温流体流路10の下端部10bよりも低い位置に配置されている。同様に、流路断面で見たときに、Y方向で隣り合う2つの高温流体流路10の間の第2領域17に、低温流体流路20が入り込んでいない。高温流体流路10と低温流体流路20は、Y方向で見たときに重なっていない。
【0094】
同様に、流路断面で見たときに、X方向で隣り合う2つの低温流体流路20の間の第1領域26に、高温流体流路10が入り込んでいない。高温流体流路10の上端部10aが、当該高温流体流路10の上側に位置する低温流体流路20の下端部20bよりも低い位置に配置されている。また、流路断面で見たときに、Y方向で隣り合う2つの低温流体流路20の間の第2領域27に、高温流体流路10が入り込んでいない。
【0095】
上述したように高温流体流路10および低温流体流路20が配置されていることにより、第1隔壁5の厚さおよび第2隔壁6の厚さが厚くなっている。例えば、
図13Bに示す第1隔壁5の厚さt3および第2隔壁6の厚さt4は、
図3A~
図3Cに示す第1隔壁5の厚さt1および第2隔壁6の厚さt2よりも、厚くなっている。厚さt3と厚さt4は等しくてもよいが、異なっていてもよい。
【0096】
図11および
図12に示すように、本実施の形態においては、高温流体流路10のY方向最大寸法は、高温流体入口流路12のY方向最大寸法と等しくてもよい。最上段に位置する高温流体入口流路12を含む各々の高温流体入口流路12のY方向最大寸法は等しくてもよい。同様に、低温流体流路20のY方向最大寸法は、低温流体出口流路22のY方向最大寸法と等しくてもよい。最下段に位置する低温流体出口流路22を含む各々の低温流体出口流路22のY方向最大寸法は、等しくてもよい。なお、
図14に示すように、Z方向で見たときに、高温流体流路10が存在しない領域には、高温流体入口流路12は形成されていなくてもよい。同様に、Z方向で見たときに、低温流体流路20が存在しない領域には、低温流体出口流路22は形成されていなくてもよい。
【0097】
高温流体入口流路12と低温流体出口流路22とのY方向ピッチp6は、対応する高温流体流路列11と対応する低温流体流路列21とのY方向ピッチp5と等しくてもよい。この場合、高温流体入口流路12に、高温流体流路10が直接接続されていてもよい。低温流体出口流路22に、低温流体流路20が直接接続されていてもよい。高温流体流路10のY方向位置は一定であるため、高温流体入口流路12から高温流体流路10に流入する高温流体に圧力損失が生じることを抑制できる。同様に、低温流体流路20のY方向位置は一定であるため、低温流体流路20から低温流体出口流路22に流入する低温流体に圧力損失が生じることを抑制できる。
【0098】
高温流体出口流路および低温流体入口流路は、高温流体入口流路12および低温流体出口流路22と同様に構成することができる。
【0099】
このように本実施の形態によれば、流路断面で見たときに、隣り合う2つの高温流体流路10の間の領域16、17に、低温流体流路20が入り込んでいない。同様に、隣り合う2つの低温流体流路20の間の領域26、27に、高温流体流路10が入り込んでいない。このことにより、第1隔壁5の厚さおよび第2隔壁6の厚さを増大させることができる。このため、熱交換器本体2の機械的強度を向上させることができ、熱交換器1の耐圧性を向上させることができる。
【0100】
また、本実施の形態によれば、高温流体流路10のY方向最大寸法が、高温流体入口流路12のY方向最大寸法と等しくなっているとともに、低温流体流路20のY方向最大寸法が、低温流体出口流路22のY方向最大寸法と等しくなっている。また、高温流体入口流路12と低温流体出口流路22とのY方向ピッチp6は、対応する高温流体流路列11と、対応する低温流体流路列21とのY方向ピッチp5に等しくなっている。このことにより、高温流体流路10を高温流体入口流路12に直接接続することができるとともに、低温流体流路20を低温流体出口流路22に直接接続することができる。このため、高温流体入口流路12から高温流体流路10に流入する高温流体に圧力損失が生じることを抑制できるとともに、低温流体流路20から低温流体出口流路22に流入する低温流体に圧力損失が生じることを抑制できる。
【0101】
(第4の実施の形態)
次に、
図15を用いて、本発明の第4の実施の形態による熱交換器および熱交換器の製造方法について説明する。
【0102】
図15に示す第4の実施の形態においては、低温流体出口ヘッダが設けられていない主に異なる。他の構成は、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図15において、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0103】
図15に示すように、本実施の形態においては、第1ヘッダ3に、低温流体出口ヘッダ24が設けられていない。この場合、第1ヘッダ3のうち、低温流体出口ヘッダ24が配置されていた部分が取り除かれ、第1ヘッダ3は、
図15に示すような形状になる。低温流体出口流路22は、第1ヘッダ3の外部に開口する出口開口22aを含み、低温流体は、出口開口22aから熱交換器1の外部に直接放出される。
【0104】
このように本実施の形態によれば、第1ヘッダ3に、低温流体出口ヘッダ24が設けられていない。このことにより、第1ヘッダ3を小さくすることができ、熱交換器1の軽量化を図ることができる。
【0105】
なお、上述した本実施の形態においては、第1ヘッダ3に、低温流体出口ヘッダ24が設けられていない例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、第2ヘッダ4に、高温流体出口ヘッダ15が設けられていなくてもよい。例えば、高温流体出口流路(図示せず)から熱交換器1の外部に低温流体を直接放出することができる場合には、第2ヘッダ4に高温流体出口ヘッダ15は設けられていなくてもよい。あるいは、第1ヘッダ3に、高温流体入口ヘッダ14が設けられていなくてもよい。例えば、熱交換器1の外部から高温流体を高温流体入口流路12に直接供給できる場合には、第1ヘッダ3に高温流体入口ヘッダ14は設けられていなくてもよい。あるいは、第2ヘッダ4に、低温流体入口ヘッダ25が設けられていなくてもよい。例えば、熱交換器1の外部から低温流体を低温流体入口流路に直接供給できる場合には、第2ヘッダ4に低温流体入口ヘッダ25は設けられていなくてもよい。
【0106】
以上述べた実施の形態によれば、流路構造が複雑になることを防止するとともに熱交換効率を向上させることができる。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0108】
1:熱交換器、2:熱交換器本体、5:第1隔壁、6:第2隔壁、10:高温流体流路、10e:第1流路縁、10f:第2流路縁、11:高温流体流路列、12:高温流体入口流路、13:高温流体入口接続流路、16:第1領域、17:第2領域、20:低温流体流路、20e:第1流路縁、20f:第2流路縁、21:低温流体流路列、22:低温流体出口流路、23:低温流体出口接続流路、26:第1領域、27:第2領域、30:第1方向列、40:第2方向列、D1:第1方向、D2:第2方向