(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】メッシュフィルタおよび流体取扱装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20250324BHJP
【FI】
G01N35/02 A
(21)【出願番号】P 2021575792
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(86)【国際出願番号】 JP2021003638
(87)【国際公開番号】W WO2021157547
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2024-01-10
(31)【優先権主張番号】P 2020016397
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上村 茂
(72)【発明者】
【氏名】野口 幸二
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/210552(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/163747(WO,A1)
【文献】特表2012-529643(JP,A)
【文献】国際公開第2018/042944(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00~35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュと、
前記メッシュを取り囲むように形成され、前記メッシュが接続されたリムと、
前記メッシュ
の表裏いずれか一方に固着した溶液の凍結乾燥物と、
を有する、
メッシュフィルタ。
【請求項2】
前記メッシュの目開きは、500μm以下である、請求項1に記載のメッシュフィルタ。
【請求項3】
前記メッシュは、樹脂製であり、
前記メッシュの目開きは、10~500μmの範囲内である、
請求項1または請求項2に記載のメッシュフィルタ。
【請求項4】
前記リムの前記メッシュからの高さは、前記溶液の凍結乾燥物の厚みよりも大きい、請求項
1に記載のメッシュフィルタ。
【請求項5】
前記リムの内周面に配置された複数の凸部をさらに有する、請求項
1~4のいずれか一項に記載のメッシュフィルタ。
【請求項6】
前記メッシュに取り囲まれた最終充填部をさらに有し、
前記最終充填部は、前記リムの表側に向けて突出した突起を有する、
請求項
1~
5のいずれか一項に記載のメッシュフィルタ。
【請求項7】
有底のケースと、
外周面が前記ケースの内周面に接触しつつ、回転軸を中心として回転可能に前記ケースに収容された収容部と、
前記収容部に対して着脱可能に構成された、請求項1~
6のいずれかに記載のメッシュフィルタと、
を有し、
前記収容部は、
略円筒状に形成された側壁と、
前記側壁の内部に形成された複数のチャンバーと、
前記側壁の外側および前記複数のチャンバーをそれぞれ連通する複数の連通孔と、
を含む、
流体取扱装置。
【請求項8】
有底のケースと、
外周面が前記ケースの内周面に接触しつつ、回転軸を中心として回転可能に前記ケースに収容された収容部と、
前記収容部に対して着脱可能に構成された、メッシュと、前記メッシュに固着した溶液の凍結乾燥物と、を含むメッシュフィルタと、
を有し、
前記収容部は、
略円筒状に形成された側壁と、
前記側壁の内部に形成された複数のチャンバーと、
前記側壁の外側および前記複数のチャンバーをそれぞれ連通する複数の連通孔と、
を含み、
前記メッシュが配置される前記チャンバーは、前記チャンバー内の空間を上部側の空間と下部側の空間とに前記メッシュが区分けするように、前記メッシュフィルタを固定するための固定部を有する、
流体取扱装置。
【請求項9】
前記メッシュフィルタは、前記チャンバー内において、前記メッシュが前記凍結乾燥物よりも前記チャンバーの底部側に位置するように前記固定部で固定され、
前記複数の連通孔は、前記メッシュが配置される前記チャンバー内に液体を充填するための第1連通孔を含み、
前記第1連通孔は、前記チャンバー内において、前記メッシュよりも前記チャンバーの底部側に開口している、
請求項
8に記載の流体取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュフィルタおよび当該メッシュフィルタを有する流体取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、血液、タンパク質、DNAなどの生体物質は、試薬との混合や、加熱、冷却、検出などの工程を行うことで解析される。近年、このような複数の工程を連続して行うためのデバイスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、インサート(収容部)と、インサートを回転可能に収容するカードリッジ本体(ケース)とを有する使い捨てカードリッジ(流体取扱装置)が記載されている。インサートは、内部に形成された複数のチャンバーを有している。インサートの側壁には、各チャンバーに対応して形成された複数の貫通孔がそれぞれ形成されている。カードリッジ本体の側壁には、貫通孔に対応する高さにシリンジを挿入可能な挿入口が形成されている。なお、解析に必要な試薬や検体などの経時的に安定な液体は、予めチャンバー内に充填されている。
【0004】
特許文献1に記載の使い捨てカードリッジでは、例えば、シリンジを挿入口から第1チャンバーに対応した第1貫通孔を介して、第1チャンバーに充填されている検体をシリンジ内に吸引する。次いで、第2チャンバーに対応した第2貫通孔を挿入口に合わせるようにインサートを周方向に回転させ、第2チャンバーに充填されている試薬をシリンジ内に吸引する。これにより、シリンジ内で検体および試薬が混合される。また、検体および試薬の混合液を加熱する場合には、シリンジ内の混合液を加熱用の第3チャンバーに吐出して、第3チャンバーを加熱装置などで加熱することで混合液を加熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、経時的に不安定な試薬などの溶液を用いる場合には、用時調製して当該試薬を準備する必要がある。用時調製が必要な試薬は、一般に凍結乾燥物を使用直前に液体に溶解させて、分析などに使用する。このような凍結乾燥物を特許文献1に記載の使い捨てカードリッジで使用することが考えられる。この場合、凍結乾燥物をチャンバー内に入れて、当該チャンバー内に液体を充填することで、試薬を用時調製することが考えられる。しかしながら、上記の方法では、使い捨てカードリッジ本体の静電気などにより、凍結乾燥物をチャンバーの底部に配置できない場合や、凍結乾燥物が溶解しない場合や、溶解しても溶解時の気泡により効率が低下する場合がある。この場合、チャンバー内に大量の液体を充填しなければならず、所望の濃度の試薬にならないことが考えられる。
また、試薬の凍結乾燥物は、非常に脆いため、凍結乾燥物の製作およびハンドリングが困難であるという課題もある。加えて、凍結乾燥物は、例えば液体窒素中に滴下して製作されるが、定量化が難しく、異物が混入するリスクが高いという課題もある。
【0007】
本発明の目的は、溶液(試薬)の凍結乾燥物のハンドリング性に優れるメッシュフィルタを提供することである。また、本発明の別の目的は、当該メッシュフィルタを有する流体取扱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のメッシュフィルタは、メッシュと、前記メッシュに固着した溶液の凍結乾燥物と、を有する。
【0009】
本発明の流体取扱装置は、有底のケースと、外周面が前記ケースの内周面に接触しつつ、回転軸を中心として回転可能に前記ケースに収容された収容部と、前記収容部に対して着脱可能に構成された、本発明のメッシュフィルタと、を有し、前記収容部は、略円筒状に形成された側壁と、前記側壁の内部に形成された複数のチャンバーと、前記側壁の外側および前記複数のチャンバーをそれぞれ連通する複数の連通孔と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明のメッシュフィルタは、溶液の凍結乾燥物のハンドリング性に優れる。また、本発明のメッシュフィルタを有する液体取扱装置は、凍結乾燥物を溶解しやすく、効率的に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1A、Bは、実施の形態1に係る流体取扱装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2A~Dは、ケースの構成を示す図である。
【
図3】
図3A~Cは、収容部の構成を示す図である。
【
図4】
図4A~Cは、メッシュフィルタの構成を示す図である。
【
図5】
図5A~Cは、凍結乾燥物の溶解方法を説明するための図である。
【
図6】
図6A~Cは、変形例1に係るメッシュフィルタの構成を示す図である。
【
図7】
図7A~Cは、変形例2に係るメッシュフィルタの構成を示す図である。
【
図8】
図8A~Cは、変形例3に係るメッシュフィルタの構成を示す図である。
【
図9】
図9A~Cは、変形例4に係るメッシュフィルタの構成を示す図である。
【
図10】
図10A~Cは、変形例5に係るメッシュフィルタの構成を示す図である。
【
図11】
図11A~Cは、変形例6に係るメッシュフィルタの構成を示す図である。
【
図12】
図12A~Cは、変形例7に係るメッシュフィルタの構成を示す図である。
【
図13】
図13A~Cは、変形例8に係るメッシュフィルタの構成を示す図である。
【
図14】
図14A、Bは、変形例9に係る流体取扱装置における収容部の構成を示す図である。
【
図15】
図15A、Bは、変形例10に係る流体取扱装置における収容部の構成を示す図である。
【
図16】
図16A、Bは、実施の形態2に係る流体取扱装置の構成を示す図である。
【
図17】
図17A~Cは、実施の形態2に係る流体取扱装置における収容部の構成を示す図である。
【
図18】
図18A~Cは、実施の形態2に係る流体取扱装置におけるメッシュフィルタの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態に係る流体取扱装置について、添付した図面を参照して説明する。
【0013】
[実施の形態1]
(流体取扱装置の構成)
図1A、Bは、流体取扱装置100の構成を示す図である。
図1Aは、流体取扱装置100の平面図であり、
図1Bは、
図1Aに示されるA-A線の断面図である。
【0014】
図1A、Bに示されるように、流体取扱装置100は、有底のケース110と、収容部120と、メッシュフィルタ130とを有する。流体取扱装置100は、メッシュフィルタ130が固定された収容部120をケース110内に収容した状態で使用される。このとき、収容部120の外周面の少なくとも一部は、ケース110の内周面の一部に接触している。流体取扱装置100は、回転軸RAを中心として、ケース110に対して収容部120を摺接させながら間欠的に回転させつつ、図外のシリンジを用いて試薬や検体などの液体(溶液)や気体を含む流体を操作して、例えば、検体中の被検出物質を解析するために使用される。なお、ここで「溶液」とは、固体が溶けている状態だけでなく、分散された状態をも意味する。
【0015】
ケース110、収容部120およびメッシュフィルタ130は、それぞれ別体として形成され、組み立てることで流体取扱装置100となる。ケース110、収容部120およびメッシュフィルタ130の製造方法は、特に限定されない。ケース110、収容部120およびメッシュフィルタ130(後述の凍結乾燥物132以外の部分)は、製造コストの観点から、いずれも樹脂材料を用いた射出成形で製造されることが好ましい。ケース110、収容部120およびメッシュフィルタ130の材料は、解析に使用される耐試薬性を有し、かつ解析時の温度で変形しなければ特に限定されない。ケース110、収容部120およびメッシュフィルタ130の材料の例には、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、ポリカーボネート(PC)が含まれる。
【0016】
図2A~Dは、ケース110の構成を示す図である。
図2Aは、ケース110の平面図であり、
図2Bは、右側面図であり、
図2Cは、
図2Aに示されるA-A線の断面図であり、
図2Dは、
図2Cに示されるB-B線の断面図である。
【0017】
前述したように、ケース110は、回転軸RAを中心として収容部120を回転可能に収容する。
図2A~Dに示されるように、ケース110は、台座111と、ケース本体112と、挿入部113と、外側連通孔114とを有する。
【0018】
台座111は、ケース本体112を設置するとともに、加熱冷却装置などの外部機器に対する設置部としても機能する。台座111の上面には、ケース本体112が固定されている。台座111の中心部分には、台座111の表面および裏面にそれぞれ開口した孔115が形成されている。
【0019】
ケース本体112は、回転軸RAを中心として収容部120を回転可能に収容する。ケース本体112は、円筒状に形成されている。ケース本体112には、シリンジを挿入するための挿入部113が配置され、収容部120の第2連通孔142(後述)に連通する外側連通孔114が形成されている。
【0020】
挿入部113は、筒状に形成されている。挿入部113の内面の形状は、シリンジとの外形と略相補的な形状が好ましい。本実施の形態では、挿入部113は、シリンジの先端が挿入部113の内側開口部まで挿入できるように構成されている。挿入部113の外側開口部の形状は、シリンジの外形と相補的な形状である。挿入部113は、収容部120に形成された第1連通孔141(後述)に対応する位置に形成されている。
【0021】
外側連通孔114は、ケース本体112に形成されている。外側連通孔114は、収容部120に形成された少なくとも一部の第2連通孔142(後述)に対応する位置に形成されている。外側連通孔114の数は、特に限定されない。外側連通孔114の数は、単数でもよいし、複数でもよい。本実施の形態では、外側連通孔114は、収容部120に形成された複数の第2連通孔142に対応する高さに1つだけ形成されている。
【0022】
図3A~Cは、収容部120の構成を示す図である。
図3Aは、収容部120の平面図であり、
図3Bは、
図3Aに示されるA-A線の断面図であり、
図3Cは、
図3Bに示されるB-B線の断面図である。
【0023】
収容部120は、ケース110に摺接しつつ、回転軸RAを中心として回転可能に収容される。収容部120は、底部が閉塞された略円筒形状である。回転軸RAに垂直な方向に沿う断面において、収容部120の外形は、円形である。
【0024】
収容部120は、略円筒状の側壁121と、側壁121の内部に形成された複数のチャンバー122と、側壁121の外側および複数のチャンバー122のいずれかを連通する複数の連通孔123と、チャンバー122内に配置され、メッシュフィルタ130を固定するための固定部124と、チャンバー122の開口部を封止する蓋部125を有する。収容部120は、側壁121によりその外形が規定されている。また、収容部120は、内壁126により複数のチャンバー122が区画されているとともに、内壁126により円柱形状の内部孔127が区画されている。
【0025】
チャンバー122は、検体や試薬などの液体(溶液)や気体などの流体を一時的に保管するとともに、流体などを反応させる反応槽としても機能する。チャンバー122の数は、特に限定されない。チャンバー122の数は、解析に必要な工程に応じて適宜設定できる。本実施の形態では、チャンバー122の数は、14個である。各チャンバー122の大きさも特に限定されない。各チャンバー122は、同じ大きさでもよいし、それぞれ異なる大きさでもよい。本実施の形態では、回転軸RAを挟んで対向した2つのチャンバー122は、同じ形状である。すなわち、本実施の形態では、複数のチャンバー122は、回転軸RAを含む断面を境界に対称となるように形成されている。
【0026】
連通孔123は、側壁121に形成されている。連通孔123は、側壁121の外側とチャンバー122を繋いでいる。本実施の形態では、連通孔123の形状は、直線状である。連通孔123の数は、特に限定されない。連通孔123の数は、流体取扱装置100の仕様に応じて適宜設定できる。連通孔123は、第1連通孔141と、第2連通孔142とを含む。
【0027】
第1連通孔141は、チャンバー122に対する流体の出し入れに使用される。本実施の形態では、複数の第1連通孔141は、側壁121の下部に形成されている。第1連通孔141の数は、特に限定されない。第1連通孔141の数は、単数でもよいし、複数でもよい。
【0028】
第2連通孔142は、空気孔などとして使用される。本実施の形態では、複数の第2連通孔142は、側壁121の上部に形成されている。第2連通孔142の数は、チャンバー122の数と同じである。
【0029】
固定部124は、メッシュフィルタ130を所定の位置で固定するとともに、チャンバー122としても機能する。具体的には、固定部124は、メッシュフィルタ130が配置されるチャンバー122内の空間を上部側の空間と下部側の空間とにメッシュフィルタ130のメッシュ131が区分けするように、メッシュフィルタ130を固定する。すなわち、チャンバー122内においてメッシュ131よりも下部に位置する流体はメッシュ131を通らなければメッシュ131よりも上部に移動できず、メッシュ131よりも上部に位置する流体はメッシュ131を通らなければメッシュ131よりも下部に移動できないように、メッシュフィルタ130はチャンバー122内に配置される。固定部124の形状は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。固定部124は、筒状に形成されている。回転軸RAに直交する方向に沿う断面において、固定部124の内周面の形状は、メッシュフィルタ130の外形と相補的な形状である。本実施の形態では、当該断面における固定部124の内周面の形状は、メッシュフィルタ130の外形よりも僅かに小さな円形状である。これにより、固定部124にメッシュフィルタ130を配置したときに、メッシュフィルタ130と固定部124とが液密(気密)な状態で維持される。また、本実施の形態では、固定部124は、底面に接触するように配置されている。固定部124(チャンバー122)の側壁は、挿入部113の内側開口部と通路を介して接続されている。これにより、挿入部113から流入した流体は、チャンバー122の内部に充填される。
【0030】
図4A~Cは、メッシュフィルタ130の構成を示す図である。
図4Aは、メッシュフィルタ130の平面図であり、
図4Bは、
図4Aに示されるA-A線の断面図であり、
図4Cは、底面図および一点鎖線で示される領域の部分拡大図である。なお、
図4Aでは、凍結乾燥物132を省略している。また、
図4Bでは、メッシュ131(第1リブ137および第2リブ138)を網掛けで示している。
【0031】
図4A~Cに示されるように、メッシュフィルタ130は、メッシュ131と、溶液の凍結乾燥物132とを有し、溶液保持部として機能する。メッシュフィルタ130は、リム133、最終充填部134および脚部135を有してもよい。本実施の形態では、メッシュフィルタ130は、リム133、最終充填部134および脚部135をさらに有している。
【0032】
メッシュ131の材料は、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)などの樹脂でもよいし、ステンレス、チタン、アルミニウムなどの金属でもよい。また、メッシュ131は、不織布、紙、布でもよい。本実施の形態では、メッシュ131は、樹脂製であり、射出成形により一体成形されている。
【0033】
メッシュ131には、溶液の凍結乾燥物132が固着している。メッシュ131に液体を通過させることで、凍結乾燥物132が液体に溶解する。メッシュ131は、チャンバー122の底部側に位置するように固定部124に固定されている。メッシュ131は、複数のリブ(第1リブ137および第2リブ138)が格子状に配置されている。メッシュ131の平面視形状は、特に限定されない。本実施の形態では、メッシュ131の平面視形状は、円形状である。メッシュ131には、複数の孔136が形成されている。メッシュ131における複数の孔136の平面視形状は、特に限定されない。孔136の平面視形状は、円形状でもよいし、多角形状でもよい。本実施の形態では、メッシュ131は、複数の第1リブ137および複数の第2リブ138を有する。複数の第1リブ137および複数の第2リブ138により、平面視形状が正方形の複数の孔136が形成されている。孔136の一辺の長さは、溶液の粘度や溶液の種類などにより適宜設定される。孔136の一辺の長さ(メッシュ131の目開き)は、0.1μm~500μmの範囲内が好ましく、0.2~300μmの範囲内がより好ましい。孔136の一辺の長さ(メッシュ131の目開き)が上記の範囲内であれば、容易に製造できるとともに、溶液が表面張力によりメッシュ131を透過することがない。すなわち、メッシュ131の上に溶液を保持させることができる。この状態においても、溶液に力を加えることにより、メッシュ131を透過させることができる。本実施の形態では、メッシュ131は、樹脂製であるため、メッシュ131の目開きは、10~500μmの範囲内が好ましく、20~300μmの範囲内がより好ましい。孔136の数は、特に限定されない。たとえば、孔136は、1~400個/mm2である。
【0034】
第1リブ137は、第1の方向に延在した凸条である。複数の第1リブ137は、第1の方向に直交する第2の方向において、互いに平行に、かつ等間隔に配置されている。本実施の形態では、複数の第1リブ137は、仮想平面の第1面(表側の面)上に配置されている。第1リブ137の延在方向に直交する断面の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、当該断面形状は、1つの頂部が円弧形状の略三角形である。
【0035】
この後説明するように、メッシュ131の中央部分には、最終充填部134が配置されている。したがって、メッシュ131の中央部分を通る第1リブ137については、一端はリム133の内周面に接続されており、他端は最終充填部134の側面に接続されている。メッシュ131の中央部分を通らない第1リブ137については、両端がリム133の内周面に接続されている。
【0036】
第2リブ138は、第2の方向に延在した凸条である。複数の第2リブ138は、第1の方向において、互いに平行に、かつ等間隔に配置されている。本実施の形態では、複数の第2リブ138は、仮想平面の第2面(裏側の面)上に配置されている。第2リブ138の延在方向に直交する断面の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、当該断面形状は、1つの頂部が円弧形状の略三角形である。
【0037】
第1リブ137と同様に、メッシュ131の中央部分を通る第2リブ138については、一端はリム133の内周面に接続されており、他端は最終充填部134の側面に接続されている。メッシュ131の中央部分を通らない第2リブ138については、両端がリム133の内周面に接続されている。
【0038】
複数の第1リブ137と、複数の第2リブ138とは、仮想平面を境に表裏の関係で配置されている。すなわち、複数の第1リブ137および複数の第2リブ138は、リブの高さ方向において互いに異なる位置に配置されている。メッシュ131を平面視したときに、第1リブ137の奥には、複数の第2リブ138が第1の方向において等間隔に配置されている。また、メッシュ131を底面視したときに、第2リブ138の奥には、複数の第1リブ137が第2の方向において等間隔に配置されている。
【0039】
凍結乾燥物132は、メッシュ131に固着している。凍結乾燥物132は、流体取扱装置100に用いられる各種溶液などの凍結乾燥物である。凍結乾燥物132は、メッシュ131の上部側(表側)に固着していてもよいし、下部側(裏側、脚部135側)に固着していてもよいし、上部側および下部側に固着していてもよい。本実施の形態では、凍結乾燥物132は、メッシュ131の上部側に固着している。メッシュ131に固着した凍結乾燥物132の製造方法については、後述する。
【0040】
リム133は、メッシュ131を保持する。リム133は、メッシュ131を取り囲むように配置されている。リム133の平面視形状は、特に限定されない。リム133の平面視形状は、多角形でもよいし、楕円形でもよいし円形でもよい。本実施の形態では、リム133の平面視形状は、円環形状である。リム133の内周面には、複数の第1リブ137および複数の第2リブ138が接続されている。リム133のメッシュ131からの高さは、溶液の凍結乾燥物132の厚みよりも大きいことが好ましい。これにより、凍結乾燥物のハンドリング性を高めることができる。
【0041】
最終充填部134は、リム133内においてメッシュ131の中央部分に配置されている。最終充填部134は、メッシュ131に取り囲まれている。最終充填部134は、射出成形時において、最終的に溶融樹脂が充填される部分であり、溶融樹脂をキャビティー内に充填させるときのガス抜き部として機能するとともに、射出成形体を離型するときのエジェクタピンが当接する部分として機能する場合もある。最終充填部134の形状は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、最終充填部134は、円柱形状である。最終充填部134の側面には、複数の第1リブ137のうちの一部の第1リブ137と、複数の第2リブ138のうちの一部の第2リブ138とが接続されている。
【0042】
脚部135は、リム133の裏面の周方向に沿って、等間隔に配置されている。脚部135の数は、特に限定されない。本実施の形態では、脚部135の数は、3つである。脚部135がチャンバー122の底部に接触するように配置することで、メッシュフィルタ130が固定部124に一定の高さで固定される。
【0043】
蓋部125は、各チャンバー122の開口部の少なくとも一部を塞ぐ。蓋部125の材料は、チャンバー122の開口部を封止し、チャンバー122内の溶液を適切に保存できれば特に限定されない。蓋部125は、溶着性、コストの観点から、フィルム形状が好ましい。蓋部125の材料の例には、PP、PC、ポリエチレンレテフタレート(PET)、アルミニウムなどが含まれる。蓋部125は、溶着性などの観点から、PPフィルムが好ましい。
【0044】
ここで、メッシュ131に固着した溶液の凍結乾燥物132の製造方法について説明する。溶液の凍結乾燥物132は、メッシュ131上に配置された溶液を凍結した後に、減圧によって脱水することで製造できる。まず、溶液をメッシュ131上に供給する。このとき、溶液の表面張力により、溶液がメッシュ131を透過することがない。供給する溶液の量は、流体取扱装置100を用いた分析の種類に応じて適宜設定される。次いで、溶液が供給されたメッシュ131をメッシュ131ごと凍結する。凍結する方法は特に限定されない。溶液を凍結する方法の例には、液体窒素を用いた方法でもよいし、冷凍庫を用いた方法でもよい。最後に、減圧することで溶液中の液体成分を昇華させて凍結乾燥物132を得ることができる。
【0045】
次に、溶液の用時調製方法(凍結乾燥物132の溶解方法)について説明する。
図5A~Cは、凍結乾燥物132の溶解方法を説明するための図である。
【0046】
流体取扱装置100では、挿入部113にシリンジを挿入して、第1連通孔141を介して、チャンバー122内に貯留されていた凍結乾燥物132を溶解するための液体を吸引する。このとき、第2連通孔142は、空気孔として機能する。
【0047】
図5Aに示されるように、ケース110に入っている収容部120を、回転軸RAを中心として回転させ、メッシュフィルタ130が配置されたチャンバー122を第1連通孔141に位置合わせする。そして、シリンジ内の液体をチャンバー122内に吐出する。このように、流体取扱装置100では、液体をチャンバー122に対して出し入れするときに、第2連通孔142が空気孔として機能する。
【0048】
図5Bに示されるように、シリンジ内の液体は、固定部124の底部から徐々に充填される。メッシュ131の高さまで充填された液体は、メッシュ131の孔136を透過して凍結乾燥物132に接触する。凍結乾燥物132に接触した液体は、凍結乾燥物132が溶け込むことで溶液となる。このとき、凍結乾燥物132は、メッシュ131に固着しているため、液体の液面に浮くことがなく、確実に溶解させられる。なお、凍結乾燥物132が液体に溶解しにくい場合には、シリンジにより液体をチャンバー122に対して出し入れすることで、液体を移動させて凍結乾燥物132を溶解させることが好ましい。このとき、凍結乾燥物132または液体に界面活性剤が含まれる場合には、気泡が発生する場合もある。
【0049】
図5Cに示されるように、シリンジで溶液を吸引する。このとき、気泡が発生した場合でも、メッシュ131により気泡を除去できるため、シリンジ内の溶液に気泡が混入することがない。このようにして、溶液を用時調製できる。
【0050】
(効果)
以上のように、本発明では、凍結乾燥物132がメッシュ131に固着しているため、適切に凍結乾燥物132を液体に溶解させて溶液を用事調製できる。
【0051】
(変形例1~8)
次に、変形例1~8に係る流体取扱装置について説明する。変形例1~8に係る流体取扱装置は、メッシュフィルタの構成のみが実施の形態1に係る流体取扱装置100と異なる。そこで、メッシュフィルタの構成についてのみ説明する。また、実施の形態1のメッシュフィルタ130と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
図6A~Cは、変形例1に係るメッシュフィルタ230の構成を示す図である。
図6Aは、変形例1に係るメッシュフィルタ230の平面図であり、
図6Bは、
図6Aに示されるA-A線の断面図であり、
図6Cは、底面図である。
図6Aでは、凍結乾燥物132を省略している。また、
図6Bでは、メッシュ131(第1リブ137および第2リブ138)を網掛けで示している。
【0053】
図6A~Cに示されるように、変形例1に係るメッシュフィルタ230は、脚部135を4つ有する。脚部135は、リム133の裏面の周方向に沿って、等間隔となるように配置されている。
【0054】
図7A~Cは、変形例2に係るメッシュフィルタ330の構成を示す図である。
図7Aは、変形例2に係るメッシュフィルタ330の平面図であり、
図7Bは、
図7Aに示されるA-A線の断面図であり、
図7Cは、底面図である。
図7Aでは、凍結乾燥物132を省略している。また、
図7Bでは、メッシュ131(第1リブ137および第2リブ138)を網掛けで示している。
【0055】
図7A~Cに示されるように、変形例2に係るメッシュフィルタ330は、最終充填部134に突起331を有する。突起331は、凍結乾燥物132のメッシュ131からの離脱を防止する。突起331の形状は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、突起331は、回転軸RAに沿う方向(紙面上下方向)であって、リム133の開口部に向かって形成されている。また、突起331は、最終充填部134からメッシュから遠ざかるにつれて断面積が大きくなるように形成されている。
【0056】
図8A~Cは、変形例3に係るメッシュフィルタ330aの構成を示す図である。
図8Aは、変形例3に係るメッシュフィルタ330aの平面図であり、
図8Bは、
図8Aに示されるA-A線の断面図であり、
図8Cは、底面図である。
図8Aでは、凍結乾燥物132を省略している。また、
図8Bでは、メッシュ131(第1リブ137および第2リブ138)を網掛けで示している。
【0057】
図8A~Cに示されるように、変形例3に係るメッシュフィルタ330aは、最終充填部134に複数の突起331を有する。複数の突起331は、リムの表側に向けて突出しており、最終充填部134に配置されている。突起331の数は、複数であれば限定されない。本変形例における突起331の数は、3個である。複数の突起331は、周方向に配置されている。突起331は、回転軸RAに沿う方向(紙面上下方向)であって、リム133の開口部に向かって形成されている。また、突起331は、最終充填部134からメッシュから遠ざかるにつれて断面積が大きくなるように形成されている。本変形例のメッシュフィルタ330aは、変形例2に係るメッシュフィルタ330よりも効果的に凍結乾燥物132の離脱を防止できる。
【0058】
図9A~Cは、変形例4に係るメッシュフィルタ330bの構成を示す図である。
図9Aは、変形例4に係るメッシュフィルタ330bの平面図であり、
図9Bは、
図9Aに示されるA-A線の断面図であり、
図9Cは、底面図である。
図9Aでは、凍結乾燥物132を省略している。また、
図9Bでは、メッシュ131(第1リブ137および第2リブ138)を網掛けで示している。
【0059】
図9A~Cに示されるように、変形例4に係るメッシュフィルタ330bは、複数の最終充填部134を有する。突起331は、リムの表側に向けて突出しており、最終充填部134に配置されている。本変形例における突起331の数は、最終充填部134あたり1個である。また、突起331は、最終充填部134からメッシュから遠ざかるにつれて断面積が大きくなるように形成されている。さらに本変形例のメッシュフィルタ330bの平面視形状は、楕円形である。本変形例のメッシュフィルタ330bは、変形例2に係るメッシュフィルタ330よりも効果的に凍結乾燥物132の離脱を防止できる。
【0060】
図10A~Cは、変形例5に係るメッシュフィルタ430の構成を示す図である。
図10Aは、変形例5に係るメッシュフィルタ430の平面図であり、
図10Bは、
図10Aに示されるA-A線の断面図であり、
図10Cは、底面図である。
図10Aでは、凍結乾燥物132を省略している。また、
図10Bでは、メッシュ131(第1リブ137および第2リブ138)を網掛けで示している。
【0061】
図10A~Cに示されるように、変形例5に係るメッシュフィルタ430は、リム133の内周面に第1凸部431を有する。第1凸部431は、凍結乾燥物132のメッシュ131からの離脱を防止する。第1凸部431の形状は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、第1凸部431は、リム133の内周面に周方向に沿って形成された突起である。回転軸RAを含む断面における第1凸部431の形状は弓形である。
【0062】
図11A~Cは、変形例6に係るメッシュフィルタ430aの構成を示す図である。
図11Aは、変形例6に係るメッシュフィルタ430aの平面図であり、
図11Bは、
図1Aに示されるA-A線の断面図であり、
図11Cは、底面図である。
図11Aでは、凍結乾燥物132を省略している。
【0063】
図11A~Cに示されるように、変形例6に係るメッシュフィルタ430aは、リム133の内周面に複数の第2凸部431aを有する。第2凸部431aは、リム133の内周面に周方向に沿って形成された突起である。本変形例では、第2凸部431aを複数有するため、リム133の内周面は、回転軸RAに沿う方向(紙面上下方向)において凹部と凸部とが交互に存在する形状となる。
図11Aに示されるA-A線の断面における第2凸部431aの形状は矩形である。言い換えると、本変形例では、リム133の内周面は、複数のアンダーカット部を有する。このように、リム133の内周面は、複数の第2凸部431a(アンダーカット部)を有するため、凍結乾燥物132のメッシュ131からの離脱を防止する。
【0064】
図12A~Cは、変形例7に係るメッシュフィルタ430bの構成を示す図である。
図12Aは、変形例7に係るメッシュフィルタ430bの平面図であり、
図12Bは、
図12Aに示されるA-A線の断面図であり、
図12Cは、底面図である。
図12Aでは、凍結乾燥物132を省略している。また、
図12Bでは、メッシュ131(第1リブ137および第2リブ138)を網掛けで示している。
【0065】
図12A~Cに示されるように、変形例7に係るメッシュフィルタ430bは、リム133の内周面に複数の第2凸部431aを有し、かつ最終充填部134に複数の突起331を有する。本実施の形態では、第2凸部431aの数は3個であり、突起331の数は3個である。本変形例のメッシュフィルタ430bは、変形例3に係るメッシュフィルタ330aおよび変形例6に係るメッシュフィルタ430aよりも凍結乾燥物132のメッシュ131からの離脱を防止できる。
【0066】
図13A~Cは、変形例8に係るメッシュフィルタ530の構成を示す図である。
図13Aは、変形例8に係るメッシュフィルタ530の平面図であり、
図13Bは、
図13Aに示されるA-A線の断面図であり、
図13Cは、底面図である。
図13Aでは、凍結乾燥物132を省略している。また、
図13Bでは、メッシュ131(第1リブ137および第2リブ138)を網掛けで示している。
【0067】
図13A~Cに示されるように、変形例8に係るメッシュフィルタ530は、回転軸RAに沿う方向(紙面上下方向)において、リム133の内周面531がメッシュ131から離れるにつれて、最終充填部134(リム133の中心軸)側に近づくように(抜け止め方向に)傾斜していてもよい。回転軸RAを含む断面における、回転軸RAに対する傾斜角度は、特に限定されない。当該傾斜角度は、0.1~30°の範囲内である。本実施の形態では、当該傾斜角度は、2°程度である。
【0068】
(変形例9、10)
次に、変形例9、10に係る流体取扱装置について説明する。変形例9、10に係る流体取扱装置は、収容部およびメッシュフィルタの構成のみが実施の形態1に係る流体取扱装置100と異なる。そこで、収容部およびメッシュフィルタの構成についてのみ説明する。また、実施の形態1の収容部120およびメッシュフィルタ130と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0069】
図14A、Bは、変形例9に係る流体取扱装置における収容部620およびメッシュフィルタ630の構成を示す図である。
図14Aは、変形例9に係る流体取扱装置における収容部620の平面図であり、
図14Bは、メッシュフィルタ630の平面図である。
【0070】
図14Aに示されるように、変形例9における収容部620は、側壁121と、複数のチャンバー122、623と、複数の連通孔123を有する。本変形例では、チャンバー623がメッシュフィルタ630を直接固定する。また、本変形例では、回転軸RAに直交する方向に沿う断面において、チャンバー623の内周面の形状は、メッシュフィルタ630の外形と同一もしくは外形よりも僅かに小さい、略矩形である。本変形例において、メッシュフィルタ630は、圧入などによりチャンバー623に固定される。これにより、固定部がなくても、メッシュフィルタ630を固定できる。
【0071】
図14Bに示されるように、変形例9に係るメッシュフィルタ630は、メッシュ131と、凍結乾燥物132と、リム633と、最終充填部134と、脚部(図示省略)と、を有する。リム633は、メッシュ131を取り囲むように配置されており、その外形は、略矩形に形成されている。リム633の外形は、チャンバー623の内形と相補的な形状であり、かつチャンバー623の内形よりもわずかに大きく形成されている。
【0072】
図15A、Bは、変形例10に係る流体取扱装置における収容部720およびメッシュフィルタ730の構成を示す図である。
図15Aは、変形例10に係る流体取扱装置における収容部720の平面図であり、
図15Bは、メッシュフィルタ730の平面図である。
【0073】
図15Aに示されるように、変形例10における収容部720は、側壁121と、複数のチャンバー122、723と、複数の連通孔123とを有する。本変形例では、チャンバー723がメッシュフィルタ730を直接固定する。また、本変形例では、回転軸RAに直交する方向に沿う断面においてチャンバー723の内周面の形状は、メッシュフィルタ730の外形よりも僅かに小さく形成されている。また、本変形例では、当該断面におけるチャンバー723の内周面の形状は、釣鐘形である。本変形例において、メッシュフィルタ730は、圧入などによりチャンバー723に固定される。これにより、固定部がなくても、メッシュフィルタ730を固定できる。
【0074】
図15Bに示されるように、変形例10に係るメッシュフィルタ730は、メッシュ131と、凍結乾燥物132と、リム733と、最終充填部134と、脚部(図示省略)と、を有する。リム733は、メッシュ131を取り囲むように配置されており、その外形は、釣鐘形に形成されている。リム733の外形は、チャンバー723の内形と相補的な形状であり、かつチャンバー723の内形よりもわずかに大きく形成されている。
【0075】
[実施の形態2]
次に、実施の形態2に係る流体取扱装置800について説明する。本実施の形態に係る流体取扱装置800は、収容部820およびメッシュフィルタ830の構成が実施の形態1に係る流体取扱装置100と異なる。そこで、実施の形態1に係る流体取扱装置100と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0076】
【0077】
図16A、Bに示されるように、流体取扱装置800は、ケース110と、収容部820と、メッシュフィルタ830とを有する。
【0078】
【0079】
図17A~Cに示されるように、収容部820は、側壁121と、複数のチャンバー822と、複数の連通孔123と、固定部124とを有する。チャンバー822(側壁121)に形成された第1連通孔841は、チャンバー822の底面と、側壁121の外周面とに開口している。また、本実施の形態では、チャンバー822の底面よりも下側に空気層が配置されている。
【0080】
図18A~Cは、メッシュフィルタ830の構成を示す図である。
図18Aは、メッシュフィルタ830平面図であり、
図18Bは、
図18Aに示されるA-A線の断面図であり、
図18Cは、底面図である。
図18Aでは、凍結乾燥物132を省略している。また、
図18Bでは、メッシュ131(第1リブ137および第2リブ138)を網掛けで示している。
【0081】
メッシュフィルタ830は、メッシュ131と、凍結乾燥物132と、リム133と、最終充填部134とを有している。すなわち、本実施の形態におけるメッシュフィルタ830は、脚部135を有していない。
【0082】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る流体取扱装置は、実施の形態1に係る流体取扱装置と同様の効果を有する。
【0083】
本出願は、2020年2月3日出願の特願2020-016397に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の流体取扱装置は、例えば、微量な生体試料などの解析に適用できる。
【符号の説明】
【0085】
100、800 流体取扱装置
110 ケース
111 台座
112 ケース本体
113 挿入部
114 外側連通孔
115 孔
120、620、720、820 収容部
121 側壁
122、623、723、822 チャンバー
123 連通孔
124 固定部
125 蓋部
126 内壁
127 内部孔
130、230、330、330a、330b、430、430a、430b、530、630、730、830 メッシュフィルタ
131 メッシュ
132 凍結乾燥物
133、633、733 リム
134 最終充填部
135 脚部
136 孔
137 第1リブ
138 第2リブ
141、841 第1連通孔
142 第2連通孔
331 突起
431 第1凸部
431a 第2凸部
531 内周面