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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】食品を加熱するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20250324BHJP
【FI】
A47J37/06 371
A47J37/06 321
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022505408
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 US2020044020
(87)【国際公開番号】W WO2021021899
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】62/879,766
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】322006364
【氏名又は名称】ジュリアン ジョンソン
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン ジョンソン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-163611(JP,A)
【文献】実開昭56-173129(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1124661(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0049993(US,A1)
【文献】米国特許第05299492(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0142911(US,A1)
【文献】米国特許第03794952(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込具であって、
ヒンジを中心として開状態から閉状態まで回転可能な一対の構成体を備え、
前記一対の構成体は、互いに対して対称であり、
前記一対の構成体は、前記閉状態において前記差込具が食品を保持する凹部を構成するように、前記差込具の幅にわたって連続する中実材料からなり、
前記閉状態における前記差込具の幅は、前記閉状態における前記差込具が加熱装置のスロット内に配置されたときに前記加熱装置の加熱素子と熱的に係合する構成となるように、前記スロットの幅に基づいており
前記差込具は、前記差込具の底部に前記凹部における排出口を提供する第一開口部を構成し、前記ヒンジは、前記差込具の前記底部に形成されるか、あるいは、
前記閉状態にある前記差込具は、前記ヒンジを備える前記差込具の底部とは反対に位置する前記差込具の上端に第二開口部を構成し、前記第二開口部は、前記凹部と連続する前記差込具の上端の外面にあり、前記差込具が前記閉状態にあるときに食品が前記第二開口部を通じて前記凹部に入れられるように構成されるか、の少なくともどちらか一方である、
ことを特徴とする差込具。
【請求項2】
前記差込具は、焦げ付き防止加工がなされた熱伝導性材料からなる、
ことを特徴とする請求項1記載の差込具。
【請求項3】
前記差込具は、ステンレス鋼及びテフロン(登録商標)加工物のうちの一つからなる、
ことを特徴とする請求項2記載の差込具。
【請求項4】
前記閉状態における前記差込具の幅は、前記閉状態における前記差込具がトースター装置のスロット内に配置されたときに前記トースター装置の加熱素子と熱的に係合する構成となるように、前記スロットの幅に基づいている、
ことを特徴とする請求項1記載の差込具。
【請求項5】
前記差込具の上端にある第二ヒンジを中心に回転可能なクリップを更に備え、
前記クリップは、前記第二開口部が開いている開位置から前記第二開口部が閉じている閉位置まで回転可能である、
ことを特徴とする請求項記載の差込具。
【請求項6】
更に、前記閉状態における差込具の外周に気密シールが提供されるように、前記一対の構成体それぞれの外周に延在するシールを備える、
ことを特徴とする請求項1記載の差込具。
【請求項7】
前記差込具の上端から、前記差込具における対向する両側部に対して直交方向に延在する少なくとも一つの鍔部を更に備える、
ことを特徴とする請求項記載の差込具。
【請求項8】
システムであって
請求項1記載の差込具を備え、
前記加熱装置は、上端部、底部、及び一対の対向する側部を有する筐体を備え、
前記筐体は、前記上端部から前記底部に向かう方向に延在する少なくとも一つのスロットを構成し、
前記少なくとも一つのスロットには一対の加熱素子が隣接し、
前記一対の加熱素子は、前記差込具が前記少なくとも一つのスロット内に配置されたときに、前記差込具の二つの構成体と熱的に結合するように構成されている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記筐体は一対のスロットを構成し、
前記一対のスロットのうちの第一スロットには第一の一対の加熱素子が隣接し、且つ前記一対のスロットのうちの第二スロットには第二の一対の加熱素子が隣接し、
前記筐体の側部の一方に沿って一対のレバーが設けられ、前記一対のレバーのうちの第一レバーは前記第一の一対の加熱素子に動作可能に接続され、前記一対のレバーのうちの第二レバーは前記第二の一対の加熱素子に動作可能に接続される、
ことを特徴とする請求項記載のシステム。
【請求項10】
前記第一の一対の加熱素子及び前記第二の一対の加熱素子は、前記第一スロットと前記第二スロットとの間に配置された共有加熱素子を含む、
ことを特徴とする請求項記載のシステム。
【請求項11】
前記一対の加熱素子は、前記少なくとも一つのスロットの両側に配置され、
前記加熱素子はそれぞれ熱源と、内面が前記熱源に熱的に結合し、且つ外面が前記スロット内における前記差込具の構成体に熱的に係合するように構成されている焦げ付き防止加工がなされた熱伝導体とを備える、
ことを特徴とする請求項記載のシステム。
【請求項12】
前記筐体の側部のうちの一つに沿った少なくとも一つのレバーと、前記少なくとも1つのレバーと同じ側の筐体の側部に沿ったスイッチとをさらに備え、
前記スイッチは、複数の時間及び温度の設定のうち、一つの時間及び温度の設定を調節するように構成され、
前記時間及び温度の設定は、前記差込具の凹部内の食品に基づいて選択される、
ことを特徴とする請求項記載のシステム。
【請求項13】
前記一対の加熱素子の温度を測定するように構成された一対の温度センサーと、
電源と、
前記電源、前記少なくとも一つのレバー、前記スイッチ、前記温度センサー、及び前記加熱素子に動作可能に接続された制御部と、
を更に備え
前記制御部は、前記少なくとも一つのレバー及び前記スイッチから受信した、前記レバーが操作されたこと及び前記スイッチにおける時間及び温度の設定を示すデータに基づいて、前記電源に第一信号を送信するように構成され、
前記加熱素子は、前記電源が前記第一信号を受信すると、第一温度まで温度上昇するように構成され、
前記温度センサーは、前記加熱素子の温度が前記第一温度に達したことを測定すると、第二信号を前記制御部に送信するように構成され、
前記制御部は、前記第二信号を受信すると、前記加熱素子の温度を示す第三信号を前記温度センサーから受信するように構成され、且つ前記時間及び温度の設定に基づいて第一期間にわたって前記加熱素子を前記第一温度に維持するために前記第一信号を前記電源に送信するように構成され、
前記制御部は、前記加熱素子が前記第一期間にわたって前記第一温度を維持したと判定すると、前記レバー及び前記加熱素子に第四信号を送信することで、前記スロット内で可動台を上昇させ、前記加熱素子を停止させるように構成される、
ことを特徴とする請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記差込具の前記構成体は焦げ付き防止加工がなされた熱伝導性材料からなる、
ことを特徴とする請求項記載のシステム。
【請求項15】
前記差込具は、前記差込具の外面にある第二ヒンジを中心に回転可能なクリップを更に備え、
前記クリップは、前記第二開口部が開いているときの開位置から前記第二開口部が閉じているときの閉位置まで回転可能である、
ことを特徴とする請求項10記載のシステム。
【請求項16】
前記差込具は、前記差込具が閉状態にあるときの気密シールを提供するために、前記二つの構成体それぞれの外周にシールを備える、
ことを特徴とする請求項記載のシステム。
【請求項17】
容器内の回転部と係合するように構成されたローターと、
上部に配置された前記容器を加熱するように構成された二次的加熱素子と、
前記二次的加熱素子の温度を測定するように構成された温度センサーと、
複数のモードを示す複数のボタンを含むパネルと、
前記二次的加熱素子、前記ローター、前記温度センサー、及び前記パネルに動作可能に接続された制御部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記ローターに第一信号を送信して前記容器内の回転部を第一速度で回転させ、且つ前記二次的加熱素子に第二信号を送信し、前記二次的加熱素子に前記容器の中身の温度を第二温度まで上昇させるように構成され、
前記第一速度及び前記第二温度は、前記複数のボタンのうちの一つの操作時に前記制御部が前記パネルから受信した信号における前記複数のモードのうちの一つに基づくものである、
ことを特徴とする請求項記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許法第119条(e)のもと、2019年7月29日に出願された米国仮特許出願第62/879,766号の優先権を主張し、その開示内容が、本明細書に完全に記載されるようなかたちで、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
従来より、パニーニ プレス(登録商標)やジョージ フォアマン(登録商標)のグリルなどの食品加熱システムが市販されている。かかるシステムは、通常、焦げ付き防止加工がなされた鋼表面を有し、且つヒンジで回転可能に連結された一対の加熱素子を有している。また、当該システムを電源コンセントに繋げ、加熱素子に電力を供給するための電気コードを有している。ここではサンドイッチなどの食品が、開状態の一対の加熱素子の間に置かれ、その後、加熱素子が回転操作され、開状態から閉状態となる。そして、加熱素子が作動し、その温度が上昇すると、加熱素子間に置かれた食品が加熱される。当該システムにおいては、通常、調理中に出る油が加熱素子から流れ落ちるように、加熱素子が、システムが配置される面に対して斜めに配向されている。
【発明の概要】
【0003】
食品加熱システム及び食品加熱方法の改善を図る技術が提供される。本発明者は、パニーニ プレス(登録商標)やジョージ フォアマン(登録商標)のグリルなどの従来の食品加熱システムがいくつかの欠点を有することに注目した。例えば、従来のシステムは、大きく扱いにくい。したがって、その操作及び使用後の洗浄に、かなりの労力が必要となる。加えて、従来のシステムは、電源コンセントに接続される電気コードを有しており、これはシステムの洗浄中に安全上の問題をもたらしかねない。それ故、本発明の発明者は、汎用性があり、かつ上述の従来システムよりも洗浄がはるかに容易であるシステムを提供する、本明細書記載のシステム及び方法を開発した。
【0004】
加えて、本発明者は、従来のシステムが特定の種類の料理(サンドイッチや鶏の胸肉など)を加熱するのには使用可能だが、他の種類の料理(例えば、オムレツ、ケーキ、一般的な料理の残り物など)の加熱には使用出来ないということを認識した。そこから本発明の発明者が気付いたのは、ユーザーが、通常、これらの他の種類の料理を加熱または調理するため、キッチンに他の器具をいくつか備えなければならないという事である。それ故、本発明の発明者は、上述の従来システムによって加熱される食品の枠を超えて広範囲の食品を加熱可能な単独のシステムを提供する、本明細書記載のシステム及び方法を開発した。
【0005】
さらに発明者が認識したのは、従来システムが、特定の種類の料理(サンドイッチや鶏の胸肉など)を加熱可能であるが、通常これらの料理とともに食される他の付け合わせ料理(例えば、スープ、シロップ、ゆでたまごなど)を同時に準備することは出来ないという事である。それ故、本発明の発明者は、特定の種類の料理(サンドイッチや鶏の胸肉など)と、これらの料理とともに食される他の付け合わせ料理(例えば、スープ、シロップ、ゆでたまごなど)を同時に加熱できるシステムを提供する、本明細書記載のシステム及び方法を開発した。
【0006】
第一実施形態においては、食品を加熱するための差込具が提供される。一実施形態において、かかる差込具は、開状態から閉状態までヒンジを中心に回転可能な一対の構成体を含む。閉状態にある差込具は、食品を保持する凹部を構成し、閉状態にある差込具の幅は、閉状態の差込具が加熱装置のスロットに入れられた際に加熱装置の加熱素子と熱的に係合する構成となるように、加熱装置のスロットの幅に基づいている。
【0007】
第二実施形態においては、食品を加熱するためのシステムが提供される。本システムは上端部、底部、及び対向する一対の側部を有する筐体を含む。また、本システムは、筐体によって構成される少なくとも一つのスロットを含み、このスロットは、上端部から底部に向かう方向(例えば、垂直方向)に延在する。加えて、本システムは、この少なくとも一つのスロットに隣接する一対の加熱素子を含む。更に、本システムは、開状態から閉状態までヒンジを中心に回転可能な二つの構成体を備えた差込具を含み、閉状態における差込具は、食品を保持するための凹部を構成する。閉状態にある差込具の幅は、上記少なくとも一つのスロットの幅に基づいている。一対の加熱素子は、スロットに差込具を入れた際に、差込具の二つの構成体に熱的に係合する構成となっている。
【0008】
他の態様、特徴、および利点は、本発明の実施を意図した最良の形態を含む、複数の特定の実施形態および実装形態を単に例示することによって、以下の詳細な説明から容易に明らかになる。また、他の実施形態は他の異なる特徴および利点を持ち、その詳細は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な自明な点において変更可能である。したがって、かかる図面および説明は、本質的に例示的なものとみなされるべきであり、限定的なものとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面では、実施形態が限定としてではなく一例として記載されており、本図面においては同様の構成要素が同様の参照番号により示されている。
【0010】
図1A図1Aは、一実施形態における食品加熱システムの上面斜視図の一例を示す画像である。
【0011】
図1B図1Bは、一実施形態において、第一差込具がスロット内にある状態の図1A記載の食品加熱システムの断面図の一例を示す画像である。
【0012】
図1C図1Cは、一実施形態において、第二差込具がスロット内にある状態の図1A記載の食品加熱システムの断面図の一例を示す画像である。
【0013】
図1D図1Dは、筐体が取り外された状態の図1A記載のシステムの上面斜視図の一例を示す画像である。
【0014】
図1E図1Eは、一実施形態における図1A記載のシステムの上面斜視図の一例を示す画像である。
【0015】
図1F図1Fは、一実施形態における図1A記載のシステムの側面図の一例を示す画像である。
【0016】
図1G図1Gは、一実施形態において、ドリップトレイが取り外された状態の図1A記載のシステムの上面斜視図の一例を示す画像である。
【0017】
図1H図1Hは、一実施形態において、図1A記載のシステムを用いて卵を蒸すための容器の側面図の一例を示す画像である。
【0018】
図1I図1Iは、一実施形態において、図1A記載のシステムを用いて食材を混ぜ合わせるための容器の側面図の一例を示す画像である。
【0019】
図1J図1Jは、一実施形態において、図1A記載のシステムを用いて温めた飲み物を保持するための容器の側面図の一例を示す画像である。
【0020】
図1K図1Kは、一実施形態において、二次的加熱素子によりコーヒーポットが加熱されている状態の図1A記載のシステムの側面図の一例を示す画像である。
【0021】
図1L図1Lは、一実施形態において、二次的加熱素子により卵蒸し用容器が加熱されている状態の食品加熱システムの側面図の一例を示す画像である。
【0022】
図2図2は、一実施形態における図1A記載の食品加熱システムの一例を示すブロック図である。
【0023】
図3A図3Aは、一実施形態において、図1A記載のシステムで用いられる第三差込具の側面斜視図の一例を示す画像である。
【0024】
図3B図3Bは、一実施形態において、図1A記載のシステムで用いられる第四差込具の側面斜視図の一例を示す画像である。
【0025】
図3C図3Cは、一実施形態において、図1A記載のシステムで用いられる第五差込具の側面斜視図の一例を示す画像である。
【0026】
図3D図3Dは、一実施形態において、図1A記載のシステムで用いられる第四差込具の開口部の上面斜視図の一例を示す画像である。
【0027】
図3E図3Eは、一実施形態において、図1A記載のシステムで用いられる第六差込具の側面斜視図の一例を示す画像である。
【0028】
図3F図3Fは、一実施形態において、図1A記載のシステムで用いられる第四差込具の側面斜視図の一例を示す画像である。
【0029】
図3G図3Gは、一実施形態における図3B記載の第四差込具の側面図の一例を示す画像である。
【0030】
図3H図3Hは、一実施形態における図3B記載の第四差込具の上面斜視図の一例を示す画像である。
【0031】
図3I図3Iは、一実施形態において、開状態にある図3B記載の第四差込具の上面斜視図の一例を示す画像である。
【0032】
図3J図3Jは、一実施形態における図3B記載の第四差込具の上面斜視図の一例を示す画像である。
【0033】
図3K図3Kは、一実施形態において、開状態にある図3J記載の第四差込具の上面斜視図の一例を示す画像である。
【0034】
図3L図3Lは、一実施形態において、クリップが開位置にある図3J記載の第四差込具の上面斜視図の一例を示す画像である。
【0035】
図3M図3Mは、一実施形態における図3J記載の第四差込具の側面図の一例を示す画像である。
【0036】
図3N図3Nは、一実施形態において、図1A記載のシステムで用いられる第八差込具の側面斜視図の一例を示す画像である。
【0037】
図3O図3Oは、一実施形態において、開状態にある図3A記載の第三差込具の側面斜視図の一例を示す画像である。
【0038】
図4図4は、一実施形態における図1A記載のシステムを用いて食品を加熱するための方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
食品を加熱する方法およびシステムについて説明する。本明細書において、「食品を加熱する」とは、調理された食品を再加熱すること、または食品(例えば、未調理の食品)を火が通るまで加熱する(例えば、人間にとって安全に食べられる温度にする)ことを意味するものとして定義される。以下の説明では、本発明の十分な理解を得られるよう、具体的な細部が、例示の目的で数多く示されている。しかしながら、当業者には、本発明がこれらの特定の細部を用いずとも実施され得ることは明らかであろう。それ以外の点については、周知の構造および装置をブロック図の形で示すことで、本発明が不必要に不明瞭なものとならないようにしている。
【0040】
広範囲を示す数値範囲やパラメータは近似値であるが、具体的な非限定例に示される数値については、可能な限り正確なものを報告している。ただし、いずれの数値にも、現時点において試験測定における標準偏差から必然的に生じる一定の誤差が本質的に含まれている。更に言うと、文脈から明らかでない限り、ここに示される数値は、その精度について、最下位の桁で黙示しているものがある。つまり、1.1という値は1.05から1.15までの値を暗に意味している。また、「約」という用語は、特定の値を中心とするより広い範囲を示すために用いられるものであり、文脈から明らかでない限り、最下位の桁がその近辺のより広い範囲を指すことを、暗に意味している。例えば、「約1.1」というのは、1.0から1.2までの範囲を含意している。最下位の桁が不明瞭な場合、「約」という用語は0.5から2までの係数を意味する。すなわち、「約X」は0.5Xから2Xまでの範囲の値を含意している。例えば、「約100」といった場合、50から200までの範囲の値を含意している。さらに、本明細書に開示されるすべての範囲は、そこに包含される全ての部分的範囲を含むと理解されるべきである。例えば、「10未満」の範囲には、最小値0と最大値10との間の部分的範囲(及び当該最大値及び最小値)が全て含まれる。つまり、例えば1から4までなど、最小値が0以上で、最大値が10以下の部分的範囲を全て含む。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態は、例えばホットサンドを作ること、肉(鶏肉、ステーキ、ソーセージなど)を焼くこと、オムレツを作ること、ケーキを焼くこと、ワッフルを作ること、食事の残り物を加熱すること、または消費前の食品を普通に加熱することなど、食品の加熱及び/又は調理に関連して、以下に記載される。他のいくつかの実施形態については、本発明は、食材を混ぜ合わせて加熱又は調理すること(オムレツの材料を混ぜ合わせる事やケーキの生地を混ぜ合わせる事など)に関連して、以下に記載される。更に別のいくつかの実施形態については、本発明は、液体ベースの食品(スープ、だし汁、コーヒー、茶、シロップなど)を加熱及び/又は混合すること、及び/又はシステムで加熱されている食品(ホットサンドイッチなど)に合わせる食品(ゆで卵やたまご焼きなど)を提供することに関連して、以下に記載される。
【0042】
図1Aから図1Cは、食品を加熱するシステム100の斜視図の一例を示す画像である。一実施形態では、本システム100は、上端部109、底部111、及び対向する一対の側部113を有し、且つトースターに類似する筐体101を含む。例示的な実施形態では、本筐体101の長さは、約9インチから10インチ、または約7インチから12インチの範囲の長さである。一実施形態において、本筐体101は、それぞれが上端部109から底部111の方向に延在する一対のスロット104a及び104bを構成する。例示的な実施形態では、各スロット104は、約6インチの長さ又は約4インチから8インチの範囲の長さ、および/もしくは約1.5インチの幅又は約0.5インチから3インチの範囲の幅を有する。なお、図1Aにおいて一対のスロット104a及び104bが記載されているが、他の実施形態においては、1つのスロットのみ、または2つ以上のスロットが提供されてもよい。例示的な実施形態では、取り外し可能なドリップトレイ110が、筐体101の底部111に隣接するスロットに配置されている。この取り外し可能なドリップトレイ110は、取り外して(例えば、筐体101の底部111により構成されるスロットからスライド可能に取り外して)洗浄することができる。なお、図1Aでは、矩形の筐体101が記載されているが、他の実施形態においては、筐体101は、上記スロット及びここに記載の他の特徴を成すものであれば、楕円形、丸形、又は矩形以外の任意の多角形など、任意の形状をとることができる。
【0043】
図1Dは、筐体101が取り外された状態の図1A記載のシステム100の上面斜視図の一例を示す画像である。図1Dは、一実施形態において、筐体101のそれぞれのスロット104a及び104bに配置された2つの差込具306a及び306bを示している。加えて図1Dは、一実施形態におけるドリップトレイ110(例えば、筐体101内において、差込具内で食品を調理している際に油などを回収可能な箇所に位置している)を示している。図1Eは、一実施形態における図1D記載のシステム100の上面斜視図の一例を示す画像である。図1Eのシステム100は、筐体101を含んでいる。図1Fは、当該筐体101を有する図1D記載のシステムの側面図の一例を示す画像である。
【0044】
図1Gは、一実施形態において、ドリップトレイ110が取り外された状態の図1A記載のシステム100の上面斜視図の一例を示す画像である。一実施形態においては、当該システムを1回以上使用した後、ドリップトレイ110をスロット104a及び104bの下から引き出し、手作業で洗うこと及び/又は食洗機に入れること(つまり、ドリップトレイ110が食洗機に対応している)が可能である。これは、ユーザーが電気部品(例えば、システムを電源コンセントに接続するためのケーブル)を水際に持ってくる必要がないので、1回以上使用する間のシステムの洗浄を容易にし、システムの安全性を高めるという点で有益である。
【0045】
図2は、一実施形態における図1A記載の食品加熱システム100の一例を示すブロック図である。一実施形態において、第一の一対の加熱素子206b及び206cが第一スロット104aに隣接し、第二の一対の加熱素子206a及び206cが第二スロット104bに隣接している。例示的な実施形態では、図2に示すように、第一の一対の加熱素子206b及び206cと第二の一対の加熱素子206a及び206cは、第一スロット104aと第二スロット104bとの間に配置された共有加熱素子206cを含んでいる。他の実施形態では、共有加熱素子206cは設けられず、その代わりに各スロットがそれぞれ一対の加熱素子を有する。例示的な実施形態では、各加熱素子206a及び206b、及び206cは、熱源205a、205b、及び205cと、熱源205と熱的に結合され、それぞれのスロット104の内面を構成する加熱面とを含んでいる。この例示的な実施形態では、加熱素子206b及び206cの加熱面は、スロット104aの幅に沿ってその内面を成し、及び/又は加熱素子206a及び206cの加熱面は、スロット104bの幅に沿ってその内面を成している。例示的な実施形態においては、加熱素子206の加熱面は、焦げ付かない熱伝導性材料(ステンレス鋼やテフロン(登録商標)加工材料など)及び/又はパニーニ プレス(登録商標)やジョージ フォアマン(登録商標)のグリルの加熱面で使用される同様の材料から成り、且つ/又は溝が形成されている。
【0046】
図3Aは、一実施形態において、図1A記載のシステム100で用いられる差込具300の側面斜視図の一例を示す画像である。一実施形態では、差込具300は、開状態(図3A)から閉状態(図3D)までヒンジ312を中心に回転可能な2つの構成体310a及び310bを含む。また、一実施形態では、構成体310a及び310bは、加熱素子206と同様の材料で形成される。例示的な実施形態においては、構成体310a及び310bは、焦げ付かない熱伝導性材料(ステンレス鋼やテフロン(登録商標)加工材料など)及び/又はパニーニ プレス(登録商標)やジョージ フォアマン(登録商標)のグリルの加熱面に使用される同様の材料から成り、且つ/又は溝311を含んでいる。例示的な実施形態では、閉状態にある差込具300は、構成体310a及び310bの内面間において、食材を保持するための凹部(図3Aには示されていない)を構成している。図3A記載の差込具300の例示的実施形態では、閉状態における差込具300の凹部は、サンドイッチや肉(鶏の胸肉やステーキなど)といった食品を保持するためのものである。一実施形態において、閉状態にある差込具300の幅(例えば、図3Dにおける差込具300の幅321)は、差込具300がスロット104内に配置された際に加熱素子206と熱的に結合及び/又は係合するように、スロット104の幅に基づいてサイズ決めされている。一例示的実施形態においては、閉状態にある差込具300の幅321は、スロット104の幅とほぼ等しく(例えば、約±10%以内)なるようにサイズ決めされ、それにより閉状態にある差込具300はスロット104内で確実に嵌合することとなる。例示的な実施形態では、閉状態にある差込具300の幅321は、構成体310の外面が加熱素子206と熱的に結合及び/又は係合しないほど狭くはなく(例えばスロット104の幅に対し狭すぎない)、スロット104に嵌らないほどは厚くない(例えばスロット104の幅に対し厚すぎない)。いくつかの実施形態では、凹部内に食品を配置することで、閉状態にある差込具300の幅321に影響が出てしまう(例えば、厚くなってしまう)ことがあるため、食品が凹部に入っている場合の差込具300の幅を採用して、当該幅321がスロット104の幅にほぼ等しくなるようにする。
【0047】
いくつかの実施形態では、一対のレバー106a及び106bが、筐体101の側部113に沿って設けられ、各スロット104a又は104b内の可動台(図示せず)に動作可能に取り付けられる。これらの一対のレバー106a及び106bは、筐体104の側部113に沿って、一対のスリット105内にスライド可能に保持される。他のいくつかの実施形態では、レバー106及びスリット105はなく、手作業で差込具をスロット内に入れ、また手作業でスロットから取り外す。これらの実施形態では、スロットに可動台を設けない。また、別の実施形態では、可動台のスロット104内での移動が、レバー以外の手段(例えば、可動台を上昇/下降させる信号をモータに送る電子手段であって、筐体の側面に設けるボタンや入力装置)を用いて行われる。さらに別の実施形態では、スロット104内に可動台はなく、差込具は、内部で食品が加熱/調理される前後及びその間にそれ自体が動かない(上下移動などしない)態様で、スロット104内に配置される。この実施形態においては、スロットの高さは差込具の高さに基づく(例えば、互いから±10%以内)。
【0048】
スロット104の一つにおいて食品の加熱を開始する際、いくつかの実施形態では、差込具300(当該食品が入っている状態)がスロット104内に配置され、当該スロット104に対応するレバー106がスリット105内で底部位置まで下ろされる。他のいくつかの実施形態では、差込具300が、スロット104内に配置され、その配置時の高さで加熱されるので、レバーは設けられない。また、別の実施形態では、差込具300がスロット104内に配置され、加熱され、その後そこに食品が入れられることとなる。更に別の実施形態では、一対のスイッチ108a及び108bが、筐体101の側部113に沿って設けられる。当該スイッチ108については、複数の設定時間及び設定温度が特徴であり、これらの設定時間及び温度のうちの一つに合致するように各スイッチ108が調節される。一実施形態では、各設定時間及び温度によって、特定の時間、特定の温度まで加熱素子206を加熱することとなる。一例示的実施形態では、差込具300内の特定の種類の食品(鶏の胸肉やステーキなど)に対するものとして第一の設定時間及び温度が提供され、差込具300内の別の種類の食品(ホットサンドなど)に対するものとして第二の設定時間及び温度が提供され、更に別の種類の食品(オムレツやケーキなど)に対するものとして第三の設定時間及び温度が提供されている。
【0049】
いくつかの実施形態では、図1Fに記載されるように、差込具に入れる食品の種類に基づいてユーザーが調理モードを選択できる一以上のボタンが、筐体101の側部113に設けられる。一実施形態では、当該側部113は、特定のスロットの加熱素子を起動にするための一つのボタン108cと、ライトインジケータ108d(例えばトースト、グリル、パニーニ、オムレツ、ワッフル、及びベイクの選択肢がある)の点灯により示される加熱/調理モードを選択するための別のボタン108cとを含む一対のボタン108cを含む。これに関し、一例示的実施形態では、ユーザーがボタン108cを押すことで、システムがライトインジケータ108dを用いながらモードを切り替え(例えば、ボタン108cが押されるたびに、各調理オプションに対応するライトインジケータ108dが点灯する)、それによりモード(調理する食品の種類に基づくモード)が選択される。他の実施形態では、任意のボタン配置(例えば、調理モード毎にボタンを設置)が可能で、ユーザーは、それを用いて、差込具に入れた食品の種類に基づき適切な調理/加熱モードを選択する。例示的な実施形態では、差込具内でオムレツを調理したい場合、ユーザーは、オムレツに対応するライトインジケータ108dが点灯するまでボタン108cを4回押す。システムは、選択されたモードに基づいて、所定の時間(例えば、モード毎に制御部202のメモリに記憶されている時間)、加熱素子を用いて差込具を自動的に加熱してくれる。これは、調理プロセスを単純化し、その結果、ユーザーが調理時間及び温度を確認する必要がないという点で有益である。すなわち、ユーザーは、差込具内で調理する食品の種類に基づいて適切なモードを選ぶだけで良い。
【0050】
加えて、一実施形態では、差込具内の食品の調理時間を手動で調節するための2つのボタン108eが設けられる(例えば、一つのボタン108eは調理時間を増加させ、別のボタン108eは調理時間を減少させる)。例示的な実施形態においては、調節した時間(ボタン108eを用いて調節した時間など)は、当該ボタン108eに隣接するディスプレイに表示される。これにより、ユーザーは、選択した調理モード(例えば、ボタン108c及びインジケータ108dを使用して、食品の種類毎に所定の調理時間に設定)を手動で好適に修正でき、所望の調理時間を手動で選択出来るようになる。一例示的実施形態では、差込具がスロット104の寸法(高さなど)に基づく寸法(高さなど)を有し、スロット内に可動台が設けられていないので、調理中又は調理後に差込具を上下に動かす必要がなく、そのため図1F記載のシステムではレバー106及びスリット105を必要としない。これは、従来のトースター装置と比較して、システム100の構造的特徴を単純化してくれる。
【0051】
一実施形態では、図2に示されるように、システム100が、加熱素子206a及び206bの温度を測定するためのサーモスタット又は温度センサー207a及び207bを含む。一実施形態においては、温度センサー207a及び207bは、スロット104a及び104bの間に位置する共有加熱素子206c以外の加熱素子206a及び206bの温度を測定する。他の実施形態では、温度センサーが加熱素子ごとに設けられる。一実施形態において、システム100は、電源204、電源204に動作可能に接続された制御部202、レバー106a及び106b、スイッチ108a及び108b、温度センサー207a及び207b、並びに加熱素子206a、206b、及び206cを含む。別の実施形態では、電源204はボタン108c及び108eに動作可能に接続され、レバーは存在しない。
【0052】
一例示的実施形態では、食品が差込具300に入れられ、差込具300がスロット104a内に配置されて、加熱素子206b及び206cと熱的に係合する。いくつかの実施形態では、第一レバー106aが操作され、第一スイッチ108aが第一の時間及び温度の設定がなされるように操作されると、当該第一レバー106a(一例においてスロット104aに対応する)が操作され、且つ第一の時間及び温度の設定が当該スイッチ108aによって選択された事を示す信号が制御部202に送信される。他の実施形態では、レバー106が設けられず、差込具が、上下に移動する必要がない態様で、スロット内に配置されることとなる(例えば、差込具の高さがスロットの高さとほぼ同じで、可動台がない)が、この実施形態では、センサー(図示せず)が、スロット内の差込具の存在を検出し、制御部202に信号を送信してスロット内の差込具の存在確認を行う。
【0053】
この例示的実施形態では、次に、制御部202が、加熱素子206b及び206cに電力を供給するため、電源204に第一信号を送信し、加熱素子206b及び206cの温度を第一の温度まで上昇させる(例えば、第一の温度は、第一の時間及び温度の設定から得られ、且つ/又は各調理モードで使用されるものと同じ温度である。これは、例えば、ボタン108cによって指示され、この温度によって調理時間が調理モード間で異なる)。いくつかの実施形態では、制御部202のメモリは、調理モード毎の第一/所望の温度値を記憶しており、ユーザーが調理モードの一つを選択(例えば、ボタン108c及びインジケータ108dを使用して選択)すると、選択されたモードに対応する所望温度が当該制御部202のメモリから読み出され、加熱素子206の加熱に使用される。さらに別の実施形態では、センサー(図示せず)がスロット内の差込具の存在を検出し、このようにスロット内の差込具の存在を検出した際には、制御部202に信号を送信する。この実施形態では、制御部202は、差込具がスロット内にあることを示す信号をセンサーから受信した時のみ、加熱素子に電力を供給するための信号を電源202に送る。発明者が注目したのは、好都合なことに、これによって差込具がスロット内に存在しない限り加熱素子が加熱されないという事について保証ができ、安全機能の提供が出来るということである。
【0054】
この実施形態では、温度センサー207bは、加熱素子206bの温度が第一の温度まで上昇すると、加熱素子206bの温度を示すデータを制御部202に送信するように構成される。制御部202は、加熱素子206bの温度が第一の温度に達した際の決定を下すように構成されている。この決定を下すと、制御部202は、第一の時間(例えば、第一の時間及び温度の設定から得られるか、またはボタン108cを用いて選択された調理モードに基づいて制御部202のメモリから得られる)の経過を判定するためにクロックを起動し、同時に電源204に第二の信号を送信して加熱素子206bへの電力供給を停止する。加熱素子206bの温度が第一の温度を下回ったと判定すると、制御部202は、電源204に第一の信号を再送信し、加熱素子206bを第一の温度まで再加熱する。制御部202は、このパターンを第一の時間にわたって繰り返し、第一の時間中、加熱素子206bの温度を第一の温度に維持する。第一の時間が経過すると、制御部202は、電源204に第二の信号を送り、加熱素子206bをオフにする。いくつかの実施形態では、制御部202は、更にレバー106に信号を送り、レバー106及び可動台をスロット104内で上昇させ、それによって差込具300(可動台の上にある)をスロット104内で上昇させる。また別の実施形態では、レバー106は設けられず、制御部202が自動的にモータ(図示せず)に信号を送り、可動台をスロット104内で上昇させ、それによって差込具300をスロット104内で上昇させるか、又はユーザーがボタン108eの一つを押して差込具をスロット104内で上昇させる(例えば、モータに信号を送り、差込具をスロット内で上昇をさせる)。さらに別の実施形態では、レバー106は設けられず、可動台もスロット104内に配置されず、差込具がこの過程において垂直方向に移動されない(ユーザーは、差込具内の食品が加熱/調理された位置と同じ位置において、差込具をスロットから取り外す)。いくつかの実施形態では、差込具が両方のスロット104a及び104bに配置可能で、制御部202は、上述したのと同様の方法で、スイッチ108a及び108bの時間及び温度の設定(又はボタン108c及び108dを用いて選択されたモードに基づいてメモリに格納された時間)に基づいて、加熱素子206a及び206bの温度を同時に監視する。
【0055】
図3Dは、一実施形態において、図1A記載のシステム100で使用される差込具306の開口部330の上面斜視図の一例を示す画像である。図3Dにおいて、一実施形態の差込具306は閉状態にあり、ヒンジ312(図3A及び図3F)が設けられる差込具300の底部とは反対側の差込具306の上端において、開口部330を構成している。差込具306の上端は、差込具306におけるヒンジ312の反対側の面及び/又は筐体101の上端部109に最も近接する面として形成され、且つ/又は差込具306の下端は、差込具306におけるヒンジ312を構成する面及び/又は差込具300がスロット104に配置されたときに筐体101の底部111に最も近接する面として形成される。一実施形態において、開口部330は、差込具306の上端外面にあり、閉状態において差込具306内の凹部と連続している。他の実施形態では、開口部330は、差込具306が閉状態になったときに各構成体310a及び310bの表面によって構成される。例示的な実施形態では、開口部330は、差込具306が閉状態にあるときに、この開口部330を通じて凹部内に食品を入れる(例えば、液状のミックスや固体の食品を入れる)ために設けられている。別の例示的実施形態では、図3Dに示されるように、開口部330に隣接する差込具306の外面において第二ヒンジ332を中心に回転可能なクリップ320が設けられている。例示的な実施形態においては、クリップ320は、開位置(例えば、食品が開口部330を通る位置)から、開口部330を閉じる閉位置まで回転可能であり、及び/又はリップ318(図3B)に固定されて構成体310a及び310bを合わせて保持し、それにより差込具300を閉状態に保持する。例示的な実施形態では、クリップ320は、システム100のスロット104内において差込具306内の食品を加熱している最中、閉位置まで回転している。
【0056】
図3Bは、一実施形態において、図1A記載のシステムで用いられる差込具306の側面斜視図の一例を示す画像である。一実施形態では、差込具306は、2つの構成体310の各々の外周にシール324(例えばゴムパッキン)を含む。一実施形態におけるシール324は、差込具306が閉状態にあるときに食品が差込具306の凹部から漏れ出てしまわないような気密シールである。例示的な実施形態では、シール324は、シリコン及び/又はゴム材料から作られている。
【0057】
図3Aは、一実施形態において、図1A記載のシステム100で用いられる差込具300の側面斜視図の一例を示す画像である。一実施形態では、差込具300は、その底部に開口部314を含み、その凹部における排出口とする。例示的な実施形態では、ヒンジ312も差込具300の底部に沿って設けられ、差込具300がスロット104内に配置されると、差込具300の底部が筐体101の底部111に近接する。開口部314は、凹部300内で食品の加熱中に出る油などを排出する手段を提供出来るという点で有益である。例示的な実施形態では、これらの排出物は、ドリップトレイ110内に流れ込む。ドリップトレイは、筐体101内のスロットから容易に取り外すことができ、空にして及び/又は洗浄してから、再度スロット内に戻すことができる。
【0058】
図1Bは、一実施形態において、差込具302がスロット104内にある状態の図1A記載の食品加熱システムの断面図の一例を示す画像である。一実施形態では、差込具302は、半円形の構成体310をヒンジ312を挟んで二つ含み、それにより閉状態において構成体310間に半円形の凹部を形成する。また、一実施形態では、差込具302は、自己が閉状態にあるときに凹部に食品を入れる(例えば、容器132及びローター130を使用して作られた卵液などを注ぐ)ための開口部330を有する。例示的な実施形態においては、差込具302は、スロット104内に配置され、システム100が起動されると、オムレツが作られるように構成されている。例示的な実施形態では、差込具302がスロット104内に配置され、差込具302の凹部をオムレツ用の卵液で満たした後、レバー106が引かれる前に(可動台/レバーが設けられない例ではボタン108cが押されて加熱を始める前に)、スイッチ108でオムレツ用の適切な時間及び温度に設定がなされる(またはボタン108cから108dを用いて適切な調理モードが選択される)。
【0059】
図1Cは、一実施形態において、差込具304がスロット104内にある状態の図1A記載の食品加熱システムの断面図の一例を示す画像である。一実施形態では、差込具304は、円形の構成体310をヒンジ312を挟んで二つ含み、それにより閉状態において構成体310間に円形の凹部を形成する。また、一実施形態では、差込具304は、自己が閉状態にあるときに凹部に食品を入れる(例えば、ケーキ生地を注ぐ)ための開口部330を有する。例示的な実施形態においては、差込具304は、スロット104内に配置され、システム100が起動されると、ケーキが焼かれるように構成されている。例示的な実施形態では、差込具304がスロット104内に配置され、差込具304の凹部をケーキ生地で満たした後、レバー106が引かれる前に、スイッチ108でケーキ用の適切な時間及び温度に設定がなされる。別の例示的な実施形態では、ボタン108cおよびインジケータ108dを用いて適切な調理モード(例えば、「焼く」)の選択がなされる。ここでは、レバーは設けられていない。
【0060】
図3Aから図3Oは、一実施形態において、スロット104内に配置される差込具の一例を示す画像である。一実施形態では、差込具は、矩形の構成体310をヒンジ312を挟んで二つ含み、それにより閉状態において構成体310間に矩形の凹部を形成する。また、一実施形態では、差込具は、閉状態にあるときに凹部に食品を入れる(図3B及び図3Fではワッフルミックス、図3Eでは食事の残り物)ための開口部330を有する。別の実施形態では、食品(例えば、図3Aではサンドイッチ又は鶏の胸肉で、図3Cではホットドッグ又はソーセージ)が、開状態にある差込具の構成体310間に入れられる。図3Cに示される例示的実施形態では、差込具の構成体310は、その内面に沿って設けられ、且つ分割領域327を形成するパーティション326を有しており、個別化されている食品(ホットドッグやソーセージなど)が、分割領域327それぞれに配置可能である。また、図3Bに示される別の例示的実施形態では、規則的な間隔の複数の突起322が、構成体310の内面に沿って設けられ、特定の食品(例えば、ワッフル)を形成するようになっている。更に、図3Aに示される別の例示的実施形態では、食品と構成体310との間の表面接触を最小化し、焦げ付きの程度を最小化するため、複数の溝311が構成体310の内面に沿って設けられている。
【0061】
図3Aに示される例示的実施形態では、熱絶縁材(シリコンやゴムなど)から作られた一対の延出部316a及び316bが差込具の上端付近に設けられている。これらは、ユーザーが加熱時間終了時にレバー106及び可動台によりスロット104内で差込具を押し上げた後、差込具を掴んでスロット104から出すのに用いられる。他の実施形態では、延出部316a及び316bは、レバー又は可動台が設けられていない場合に、スロットから差込具を取り出すのに使用される。これらの延出部316a及び316bは、本明細書に開示された差込具のいずれにも利用可能である。例示的な実施形態において、スイッチ108では、差込具がスロット104内に配置され、差込具の凹部が食品で満たされた後、レバー106が引かれる前に、その差込具の凹部内の食品の種類に基づいて適切な時間及び温度の設定がなされる。また、別の実施形態では、ボタン108c及びライトインジケータ108dが、適切な調理モードを選択するのに用いられる(レバーが設けられない例など)。図3Eの例示的実施形態では、差込具は、図3D記載の開口部330よりも大きい開口部330’を有し、且つ/又はヒンジ312を中心に回転可能である一対の構成体310を有さない。この図3Eの差込具は、一体型のものであり、且つ/又は固定断面積を持ち、差込具がスロット104に配置され、システム100が起動されたときに、幅広く食品(残り物や野菜など)を再加熱するために開口部330’を有している。いくつかの実施形態では、この開口部330’は、それを覆うためのクリップを有するが、他の実施形態では、クリップが設けられないため、スロット104内での食品の加熱中、開口部330’は開口したままである。
【0062】
図3Gから図3Hに示される他の例示的実施形態において、一実施形態では、差込具306’は構成体310a及び310bにそれぞれ取り付けられた二次的構成体319a及び319bを含み、それにより構成体310a及び310bが閉状態となった際に、これらの構成体310a及び310bと二次的構成体319a及び319bによって開口部330’が形成される。一実施形態において、クリップ320は、閉位置へ旋回し開口部330’の外側部分を密閉する外側クリップ320bと、閉位置へ旋回し外側クリップ320bによって形成された開口部を密閉する内側クリップ320aとを含む。別の実施形態では、差込具306’は、差込具の上端と略平行に並び、且つ/又は差込具の側部に対して所定の角度(例えば、直交)をもって延びる一対の鍔部317a及び317b(図3G)を含む。例示的な実施形態においては、二次的構成体319a及び319b、内側及び外側クリップ320a及び320b、並びに/又は鍔部317a及び317bは、熱絶縁性の高い延出部316と同様の材料(シリコンやゴムなど)から作られる。鍔部317a及び317bの明確な利点は、鍔部317a及び317bが高温にならないものであり、且つユーザーが持ちやすい一対の面状となっているので、ユーザーがシステム100のスロット104から差込具を容易に取り出すことができるという点である。図3Iに示す一実施形態では、構成体310a及び310b並びに/又は二次的構成体319a及び319bによって形成される開口部330’が、各構成体の上端から基部に向かう方向にテーパ状になっている(一例では拡がっている)ことが示されている。これによる有益な点は、差込具の上端においてより大きな(例えば漏斗状の)開口部が提供され、ユーザーが容易に開口部330’に食材を注げる及び/又は入れられる(こぼすなどの事がない)ということである。
【0063】
さらに別の例示的実施形態では、構成体間に複数の凹部を有する、且つ/又は複数の開口部を有する差込具が提供されている。これらの差込具の一利点は、ユーザーが一つの差込具で複数人分の食事(複数のワッフルや複数のオムレツなど)を同時に調理できるということである。また、別の利点は、多人数分の食事(例えば、差込具の複数の凹部を使用した複数のワッフル)を必要としていない時に、ユーザーがより小人数分の料理(例えば、差込具の複数の凹部の一つを用いた小さなワッフル)を調理できることである。
【0064】
図3Jから図3Mは、実施形態における第四差込具306’’の様々な図の例を示す画像である。一実施形態において、第四差込具306’’は、ここに記載された特徴を除き、図3Gから図3I記載の第四差込具306’と同様である。一実施形態では、差込具306’’は、当該差込具306’’を第一領域362aと第二領域362bとに分割する仕切り壁370(図3K)を有する。この実施形態では、一対の構成体310a及び310bが閉状態となると、一対の構成体310a及び310bの第一領域362aによって第一凹部が形成され、一対の構成体310bの第二領域362bによって第二凹部が形成される。これによる有益な点は、ユーザーが、複数の凹部で多人数分の食事(複数のワッフルや複数のオムレツなど)を調理出来ることである。さらに別の実施形態においては、第四差込具306’’は、複数の開口部330a及び330bを有する(図3K)。例示的な実施形態では、第一開口部330aは第一凹部(閉状態の構成体310a及び310bの第一領域362aによって形成される)と連続し、第二開口部330bは第二凹部(閉状態の構成体310a及び310bの第二領域362bによって形成される)と連続している。さらに別の実施形態において、内側クリップ320aは、複数の開口部360aから360dを形成している。本発明者は、これらの開口部360aから360dが、差込具306内での食品の加熱中に、蒸気及び熱の排出を好都合にも促進するということを認識した。図3Jには4つの開口部が示されているが、他の実施形態では、4つより少なく又は多く開口部が設けられる。例示的な実施形態において、開口部の直径は、閾値の熱及び蒸気を許容出来る程度に大きく、また凹部内の食品加熱が促進されるように、差込具内で発生する熱を十分に閉じ込められる程度に小さい。
【0065】
一実施形態において、図1A及び図2に記載のシステム100は、付属容器132(コップやスープ用マグカップなど)の中身を加熱するための二次的加熱素子115を有し、且つ電源204と通信可能に接続される置台133をさらに含む。
【0066】
一実施形態では、二次的サーモスタット又は温度センサー114も提供され、制御部202と通信可能に接続される。一実施形態において、付属容器132は、その中身を所望の温度に保つために蓋112を有している。更に図1Aに示されるように、回転置台133の複数の動作モードを示す複数のボタン116a、116b、及び116cを有するパネルが提供される。一実施形態において、回転置台133は、付属容器132内の回転部(図示せず)に回転可能に接続されるローター130を含む。なお、このローター130は、いくつかの実施形態では設けられない。このローター130の回転により、回転部が付属容器132内で回転し、容器132の中身が混合又は撹拌される。いくつかの実施形態では、置台133は、筐体101及びシステム100と一体となっている。別の実施形態では、システム100に置台133が設けられない。更に別の実施形態では、容器132が置台133に置かれているか否かを検出するセンサー(図示せず)が設けられ、いくつかの実施形態では、当該センサーは、電力を加熱素子115及び/又はローター130に送るのに必要な信号を制御部202に送る。これは、例えば容器132が置台133に置かれていない時に誰かが加熱素子115に手を置いてしまうというような事を防止する安全機能が提供出来るという点で有益である。
【0067】
一実施形態では、第一ボタン116aが、回転置台133の第一動作モードを示し、この第一ボタン116aを押すと(加えて、例えば置台の上に容器があることを検出すると)、制御部202は、電源204を制御し、ローター130を所定の時間(例えば、約3分、または約1分から5分の範囲の時間)回転させるが、電源204から加熱素子115への電力供給は行わせず、容器132の中身の温度が上昇しないようにする。例示的な実施形態では、第一モードは、差込具に入れられた一以上の材料(ケーキの生地やオムレツミックスなど)を混合するために使用され得る。
【0068】
また、一実施形態では、第二ボタン116bが、回転置台133の第二動作モードを示し、この第二ボタン116bを押すと(加えて、例えば置台の上に容器があることを検出すると)、制御部202は、電源204を制御し、ローター130を所定の時間(例えば、約5分、または約1分から10分の範囲の時間)回転させる。加えて、加熱素子115に電力を送らせ、加熱素子115の温度が所望の温度(例えば、約華氏150度、または約華氏120度から180度の範囲の温度)に達するまで容器132の中身の温度を上昇させる。この実施形態において、温度センサー114は、加熱素子115の温度を示すデータを制御部202に送る。制御部202は、加熱素子115の温度が所望の温度に達し、且つ当該所望温度で所定の時間維持されているという事を示すデータを受信すると、電源204に信号を送り、加熱素子115への電力供給を停止させる。
【0069】
また、一実施形態では、第三ボタン116cが、回転置台133の第三動作モードを示し、この第三ボタン116cを押すと(加えて、例えば置台の上に容器があることを検出すると)、制御部202は、電源204を制御し、ローター130を所定の時間(例えば、約5分、または約1分から10分の範囲の時間)回転させる。加えて、加熱素子115へ電力を送らせ、加熱素子115の温度が所望の温度(例えば、約華氏200度、または約華氏150度から250度の範囲の温度)に達するまで容器132の中身の温度を上昇させる。この実施形態においても、温度センサー114は、加熱素子115の温度を示すデータを制御部202に送る。制御部202は、加熱素子115の温度が所望の温度に達し、且つ当該所望温度で所定の時間維持されているという事を示すデータを受信すると、電源204に信号を送り、加熱素子115への電力供給を停止させる。例示的な実施形態では、第二又は第三モードは、差込具内で加熱された食品の付け合わせ(スープやシロップなど)を用意するために使用され得る。またさらなる実施形態では、上記パネルが、二次的加熱素子115は作動させるがローター130は作動させないボタン(図示せず)を含むが、これはユーザーが容器の中身について加熱はしたいが混合はしたくないという場合などのためである(図1Kに示されるコーヒーポットや図1Lに示される卵蒸し用容器など)。
【0070】
一実施形態では、有益な点として、システム100のスロット内に配置された差込具内で調理される食品と同時に他の様々な種類の食品を加熱/調理することを可能にするため、様々な付属容器が提供される。図1Hは、一実施形態において、図1A記載のシステム100を用いて卵を蒸すための容器の側面図の一例を示す画像である。図1Hに示されるように、この容器137は、卵を入れる複数(例えば7つ)の凹部をそれぞれ有する一対のトレイと、一対のトレイを覆うドーム部分とを含み、熱及び/又は蒸気が容器137内で循環し、両トレイに置かれた卵が固ゆでになるようになっている。例示的な実施形態では、底部トレイに(例えば、底部トレイに形成された凹部に)水が入れられ、この水を加熱(例えば加熱素子115で加熱)すると、蒸気が発生する。この蒸気は、上部トレイに形成された開口部を通じてドーム内で上昇し、上部トレイに配置された卵を包み込む。このプロセスは、卵が固ゆでになるまで所定時間継続される。一実施形態では、当該容器137は、置台133にフィットし、二次的加熱素子115により加熱されるサイズに形成される。
【0071】
図1Iは、システムのローター130によって内部の食材(例えば、オムレツの材料、スープ、シロップなど)を混合する容器132の側面図の一例を示す画像である。一実施形態では、容器132の中身(例えば、スープ)は、システム100の置台133によって混合及び加熱することができる。一実施形態においては、容器132は、置台133にフィットするようなサイズに形成され、二次的加熱素子115によって加熱される。この例示的実施形態では、容器132の底部が、置台133のローター130を構成する第二嵌合部(例えば、メス型)に係合するように構成された第一嵌合部(例えば、オス型)を含む。その結果、ローター130は、容器132内に設けられた第二ローター(図1I)と回転可能に連結する。それにより、ローター130の回転によって、容器132内のローターが回転し、容器132の中身を混合する。
【0072】
図1Jは、一実施形態において、図1A記載のシステム100を用いて温めた飲み物(コーヒーや紅茶など)を保持するための容器135の側面図の一例を示す画像である。一実施形態では、容器135は、二次的加熱素子115によって加熱可能なように、置台133にフィットするサイズに形成されたコーヒーポット(例えばフレンチプレス用)である。例示的な実施形態では、上記パネルは、置台133により容器135の中身を加熱させるボタンを有するが、これは中身を混合させるものではない。
【0073】
図1Kは、一実施形態において、二次的加熱素子115により加熱される容器135(例えば、コーヒーポット)を有する図1A記載のシステムの側面図の一例を示す画像である。図1Lは、一実施形態において、二次的加熱素子115により加熱される容器137(例えば、卵蒸し器)を有する食品加熱システムの側面図の一例を示す画像である。
【0074】
図4において、当該システム100を動作させるための方法400のフローチャートが示される。図4のフローチャートは特定の順序で特定のステップを示すが、いくつかの実施形態では、ステップの順序が異なってもよく、一又は複数のステップが省略されてもよく、且つ/若しくは追加ステップが含まれてもよい。
【0075】
一実施形態において、ステップ401は、ユーザーが差込具の構成体をヒンジを中心に開状態まで回転させることを含む。一実施形態では、ステップ401において、構成体310a及び310b(図3A)が、差込具300が開状態になるように、ヒンジ312を中心に回転されるが、図3Eの差込具を用いた場合など、いくつかの実施形態では、差込具の構成体が開状態へ回転される必要がないので、ステップ401は省略可能である。いくつかの実施形態において、ステップ401で差込具が閉状態にある場合、ステップ401は、構成体310a及び310bをヒンジ312を中心に回転させて差込具306’(図3Gから図3H)を開く前に、内側クリップ320a及び/又は外側クリップ320bを開くことを伴う。
【0076】
一実施形態において、ステップ403は、差込具の2つの構成体の内面に焦げ付き防止物(例えば、食用油)を塗ることを含む。一実施形態では、ステップ403において、食用油が構成体310a及び310b(図3A)の内面に沿って塗られる(一例では、噴霧される)。別の実施形態でも、ステップ403において、差込具302の内面に対し同様の作業が行われるのだが、そこでは2つの半円形構成体が開状態まで回転され、食用油が当該2つの半円形構成体の内面に沿って塗られる。更に別の実施形態でも、ステップ403において、差込具302の内面に対し同様の作業が行われるのだが、そこでは2つの円形構成体が開状態まで回転され、食用油が当該2つの円形構成体の内面に沿って塗られる。更に別の実施形態でも、ステップ403において、差込具306、308、306’、及び306’’の内面に対し同様の作業が行われるのだが、そこでは2つの矩形構成体が開状態まで回転され、食用油が当該2つの矩形構成体の内面に沿って塗られる。
【0077】
一実施形態において、ステップ404は、差込具の2つの構成体の間に食品を配置することを含む。一実施形態では、ステップ404において、差込具300が開状態にあるときに、差込具300の2つの構成体310a及び310bの間に食品が配置される(例えば、サンドイッチや鶏の胸肉を差込具300に入れたり、ソーセージ/ホットドッグを差込具308に入れたりする)が、別の実施形態では、ステップ404において、差込具が閉状態にあるときに、差込具の開口部330(図3D)、開口部330’(図3Gから図3I)、又は開口部330a及び330bを通じて、食品が入れられる(例えば、オムレツミックス又はワッフルミックスを開口部330を通じて差込具302に注ぐ、ケーキ生地を開口部330を通じて差込具304に注ぐ、ワッフルミックスを開口部330を通じて差込具306、306’、又は306’’に注ぐ、若しくはオムレツミックス又はワッフルミックスを開口部330’を通じて差込具306’に注ぐ)。
【0078】
一実施形態において、ステップ406は、差込具の2つの構成体を閉状態まで回転させることを含む。一実施形態では、ステップ406において、2つの構成体310a及び310bが、差込具300が閉状態となるように、ヒンジ312を中心に回転されるが、これはステップ404の後に行われるものである(例えば、サンドイッチや鶏の胸肉を差込具300に入れた後に差込具300を閉じる、又はソーセージ/ホットドッグを差込具308に入れた後に差込具308を閉じる)。別の実施形態でも、ステップ406は、差込具の2つの構成体310a及び310bを閉状態まで回転させることを含むが、これはステップ404の前に行われるものである(例えば、差込具302を閉じた後にオムレツミックスを開口部330を通じて差込具302に注ぐ、差込具304を閉じた後にケーキ生地を開口部330を通じて差込具304に注ぐ、差込具306を閉じた後にワッフルミックスを開口部330を通じて差込具306、306’、又は306’’に注ぐ、差込具306’を閉じた後にオムレツミックス、ワッフルミックス、又はケーキ生地を開口部330’を通じて差込具306’に注ぐ、若しくは差込具306’’を閉じた後にオムレツミックス又はワッフルミックスを一又は複数の開口部330a及び330bを通じて差込具306’’に注ぐ)。
【0079】
一実施形態において、ステップ408は、差込具の構成体がスロットの加熱素子に熱的に結合されるように差込具をシステム100のスロット104に入れることを含む。一実施形態では、ステップ408において、2つの構成体310a及び310bがスロット104の両側の加熱素子206と熱的に結合及び/又は係合する(例えば、物理的に接触するか、又は十分に近接する)ように、差込具300がスロット104に入れられる。このステップ408は、実施形態のそれぞれの差込具に対して、同様の方法で行われるが、いくつかの実施形態では、ステップ406及びステップ408は、ステップ404の前に行われる(例えば、差込具が閉じられ、スロット104に入れられた後に、食品が開口部を通じて差込具に注がれる)。この実施形態では、ステップ404の後、クリップが閉位置にされ、それにより差込具が調理中に閉じられていることとなる。
【0080】
一実施形態において、ステップ410は、筐体101の側部113に沿ってレバー106を操作することで、加熱素子206の温度を上昇させることを含む。なお、レバー106または可動台が設けられない実施形態においては、ステップ410は省略される。更に別の実施形態では、ステップ410は、食品の種類に基づいて適切な調理モードを選択する(例えば、ボタン108cおよび光インジケータ108dを用いて選択する)ことを含む。一実施形態では、ステップ410において、差込具内の食品の種類に基づいて、スイッチ108で適切な時間及び温度を設定する(又はボタン108c及びライトインジケータ108dを用いて適切な調理モードを設定する)。一実施形態においては、ステップ410で、スイッチ108を用いて、第一種類の食品(例えば、サンドイッチ)用に第一の時間及び温度の設定、及び/又は第二種類の食品(例えば、鶏の胸肉やステーキ)用に第二の時間及び温度の設定、及び/又は第三種類の食品(例えば、オムレツやケーキ)用に第三の時間及び温度の設定をセットする。例示的な実施形態では、ステップ410は、ユーザーが、差込具を配置する所望のスロット104に基づいて対応するレバー106を操作すること、且つ/又は差込具内の食品の種類に基づいて、スイッチ108を使用して、適切な時間及び温度の設定を選択することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ410において、ユーザーは、複数のスロット内に複数の差込具を配置するが、その場合、ユーザーは各差込具についてステップ401からステップ408を行い、ステップ410において、食品が加熱される各スロット104a及び104bに対応する各スイッチ108a及び108bで、適切な時間と温度設定を選択する(又は対応するボタン108c及びライトインジケータ108dで、適切な調理モードを選択する)。いくつかの実施形態においては、スロット104は、複数の差込具を一つのスロット104内に配置することができるようなサイズに、形成されている。
【0081】
一実施形態において、ステップ412は、加熱素子の温度上昇及び加熱素子と差込具との熱的結合によって、差込具の2つの構成体間で食品を加熱することを含む。上述したように、各加熱素子206は、両側に配置され、スロット104の内面を構成する。また、上述したように、閉状態にある差込具の幅は、構成体310a及び310bの外面がスロット104の幅方向における両側の加熱素子206と熱的に係合する(例えば、物理的に接触する又は十分に近接する)ように、スロット104の幅に基づいている。一実施形態では、加熱素子206が所望温度に所望時間あったと制御部202が判断(時間及び温度の設定に基づく判断又はボタン108c及び108dを用いて選択された調理モードに基づく判断)するまで、差込具内の食品が加熱素子206により加熱される。この実施形態では、制御部202は、次に、電源204に信号を送信し、加熱素子206をオフにする。別の実施形態では、制御部202は、レバー106に別の信号を送信し、ユーザーがスロット104から差込具を取り出せるように(例えば、フランジ317a及び317bを使用して取り出せるように)、可動台を上げる。更に別の実施形態では、制御部202は、モータ(図示せず)に信号を送信し、ユーザーがスロット104から差込具を取り出せるように(例えば、フランジ317a及び317bを使用して取り出せるように)、可動台を移動させる。別の例示的な実施形態では、ユーザーがパネル上のボタンの一つを押し、制御部202が差込具を押し上げる信号をモータ(図示せず)に送信することで、差込具がスロット104内で押し上げられる。いくつかの実施形態では、スロット内で差込具を押し上げる手段がシステムに設けられないため、ユーザーがスロットから差込具を取り出すこととなる(例えば、フランジ317a及び317bを使用して取り出す)。例示的な実施形態では、ユーザーは、熱絶縁材で作られた延出部316a及び316b(図3A)を持って差込具をスロット104から取り出せる。例示的な実施形態においては、その後、ユーザーは差込具の構成体310a及び310bを開状態となるまで回転させ、そして食品の提供を行う。
【0082】
本明細書において、本発明は、特定の実施形態を参照して説明されてきた。しかしながら、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を加えることが可能なのは明らかであろう。したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的なものと見なされるべきである。本明細書及び特許請求の範囲を通して、文脈上ほかの意味に解すべき場合を除き、「備える」という語句及び「備えている」などの変形語句は、記載された項目、要素、ステップ、又はそれらのグループの包含を意味するが、他の項目、要素、ステップ、又はそれらのグループを除外するものではないと理解されたい。さらに、不定冠詞「a」又は「an」は、その冠詞がかかる項目、要素、又はステップが一以上であることを意味する。また、本明細書にある通り、文脈から明らかでない限り、ある値が他の値の2倍または半分の範囲であれば、その値は他の値の「約」となる。また、例示的な範囲が示されているが、文脈から明らかでない限り、そこに包含される全ての範囲も様々な実施形態において意図されている。したがって、0から10までの範囲は、いくつかの実施形態では、1から4までの範囲を含む。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図1L
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図3M
図3N
図3O
図4