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特許7653977分離された内輪/一体型ベアリングを備えた掘削駆動機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】分離された内輪/一体型ベアリングを備えた掘削駆動機
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/28 20060101AFI20250324BHJP
   F16C 19/08 20060101ALI20250324BHJP
   F16C 19/38 20060101ALI20250324BHJP
   F16C 33/58 20060101ALI20250324BHJP
   F16C 35/07 20060101ALI20250324BHJP
   E02F 3/24 20060101ALI20250324BHJP
   E02F 5/02 20060101ALI20250324BHJP
   E02F 5/08 20060101ALI20250324BHJP
【FI】
F16H1/28
F16C19/08
F16C19/38
F16C33/58
F16C35/07
E02F3/24 C
E02F5/02 N
E02F5/08 A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022515956
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2020075793
(87)【国際公開番号】W WO2021052976
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】202019105230.9
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512197434
【氏名又は名称】リープヘル-コンポーネンツ ビーベラッハ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 重輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213551
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 智貴
(72)【発明者】
【氏名】ローランド ヴィットマン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ハルダー
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-097019(JP,A)
【文献】特開昭61-184253(JP,A)
【文献】特開2007-107647(JP,A)
【文献】国際公開第2018/061134(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03467209(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/28
F16C 19/08
F16C 19/38
F16C 33/58
F16C 35/07
E02F 3/24
E02F 5/02
E02F 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続支持体(20)と車輪支持体(9)とからなる建設機械である掘削機(トレンチカッター)(1)のための駆動装置であり、
該駆動装置は、少なくとも1つの転がり軸受(21、22)を介して、接続支持体(20)に回転可能に支持されており、かつ、少なくとも1つのギア段(24)を介して、駆動モータ(18)により、接続支持体(20)に対して回転駆動可能に構成されており、
前記ギア段(24)の歯車(25)は、可性の軸受要素(26)によって前記接続支持体(20)に対して半径方向に移動可能かつ傾斜可能に支持され、前記接続支持体(20)に回転可能に固定されており、
前記歯車(25)は、接続支持体(20)内に配置され、少なくとも1つの他の歯車と噛み合うか、または転がり係合していることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記歯車(25)の外周と前記接続支持体(20)の内周との間に隙間(27)が設けられている、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記隙間(27)は、前記歯車(25)の軸方向長さの75%以上、または90%以上にわたって延びている、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記歯車(25)は、軸受要素(26)によって一方の端面部で保持され、反対側の端面部に向かって自由に突出するように構成されている、請求項1~3のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項5】
軸受要素(26)が、接続支持体(20)および/または軸受シールド(19)に剛性的に固定されており、軸受要素(26)および/または軸受要素(26)と歯車(25)の間の接続部分が、フレキシブルに、および/または、弾性的に構成されている、請求項1~4のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項6】
前記軸受要素(26)は、歯車(25)上に、同材料で均質に一体形成されている、請求項1~5のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項7】
前記軸受要素(26)が、歯車(25)の本体から半径方向に突出する軸受フランジを形成し、この軸受フランジが、端面および/または周方向側面で、接続支持体(20)および/または軸受シールド(19)上の対向面に、突き当たるように取り付けられる、請求項1~6のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項8】
前記歯車(25)は、軸受シールド(19)に面するその内側端部においてのみ支持され、および/または、軸受要素(26)によって固定されている、請求項1~7のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項9】
前記歯車(25)は、リングギアとして形成され、遊星歯車段の遊星歯車と噛み合っている、請求項1~8のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項10】
前記リングギアは、直列に接続された複数の遊星歯車段の遊星歯車と噛み合っている、請求項9に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記車輪支持体(9)は、最後の遊星歯車段のプラネットキャリアに固定的に接続され、前記プラネットキャリアは、ポット形状の車輪支持体(9)の底部によって形成される、請求項9又は10記載の駆動装置。
【請求項12】
車輪支持体(9)が2つ以上の部品で形成され、歯車段(24)に接続された車輪支持部と、少なくとも1つの転がり軸受(21、22)により接続支持体(20)に回転可能に支持された車輪支持部とからなり、2つの車輪支持部が互いに回転固定式に接続されている、請求項1~11のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項13】
少なくとも1つの転がり軸受(21、22)が、車輪支持(9)または接続支持(20)に組み込まれた少なくとも1つの軌道面(29、30)からなる、請求項1~12のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの転がり軸受(21、22)の内側および外側軌道面(29、30)は、前記車輪支持体(9)および接続支持体(20)に組み込まれており、前記車輪支持体(9)および接続支持体(20)の表面によって形成されている、請求項13に記載の駆動装置。
【請求項15】
前記車輪支持体(9)は、組み込まれた軌道面(29)の領域において表面硬化されており、及び/又は前記接続支持体(20)は、組み込まれた2つの軌道面(30)の領域において軌道面コーティングされている、請求項13又は14記載の駆動装置。
【請求項16】
前記車輪支持体(9)が、2つの転がり軸受(21、22)によって接続支持体(20)に回転可能に取り付けられており、この転がり軸受(21、22)が、XまたはO配置で、半径方向に対して、鋭角に傾斜した主摩耗方向を有する、斜めに設定された軌道面(29、30)を有する、請求項14又は15記載の駆動装置。
【請求項17】
斜めに設置された転がり軸受(21、22)は、車輪支持体(9)上の中心幅が接続支持体(20)上の中心幅よりも小さくなるように斜めに設置されている、請求項16に記載の駆動装置。
【請求項18】
少なくとも1つの転がり軸受(21、22)、全ての転がり軸受(21、22)が、接続支持体(20)の軸心に対して、接続支持体(20)の前端部分に向かってずれて配置されている、請求項16又は17記載の駆動装置。
【請求項19】
転がり軸受(21、22)は、軸受シールド(19)から離れる方向に向いた接続支持体(20)の外側端部分に向かって変位して配置されている、請求項18に記載の駆動装置。
【請求項20】
少なくとも1つの転がり軸受(21)の転動体(28)が、ローラ、および/またはコーン、および/またはボールとして構成されている、請求項18又は19記載の駆動装置。
【請求項21】
少なくとも1つの切削ホイール(3)を駆動するための、請求項1~20のいずれかに記載の駆動装置を備えた掘削機(トレンチカッター)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続支持体と、少なくとも1つの転がり軸受を介して接続支持体に回転可能に支持され、少なくとも1つの歯車段を介して駆動モータにより接続支持体に対して回転駆動可能な車輪支持体とからなる、建設機械用駆動装置、特に掘削機(トレンチカッター)形式の駆動装置に関する。
また、本発明はかかる駆動装置を備えた掘削機(トレンチカッター)に関する。
【背景技術】
【0002】
基礎掘削機や地表掘削機の場合、回転駆動可能な作業工具は、定期的に大きな力や衝撃荷重を受けるが、一方では十分に安定した軸受によって吸収されなければならず、他方では作業工具を回転駆動するための駆動装置の駆動系を損傷しないようにする必要がある。
【0003】
このような建設機械の回転作業工具、例えば掘削機(トレンチカッター)の掘削ホイールや地表掘削機の掘削ドラムは、通常、所望の工具速度で作業工具に必要なトルクを与えることができるように、一つ以上の歯車段(ギア段)を介して駆動モータによって駆動される。
ここで、少なくとも1つのギア段は、接続支持体の内部に少なくとも部分的に配置され、その上に回転可能に取り付けれた車輪支持体を作業工具で回転駆動することができる構成される。
小さな設置スペースで高い昇降比を可能にし、高出力を伝達できるようにするために、変速機は、前記車輪支持体に収容可能な少なくとも1つの平面多段ギア段で構成することができる。
一方、このようなギヤ段を、車輪支持体や、それを回転可能に支持する接続支持体の内部に設けることは、利用可能な設置スペースが非常に限られることを意味している。
他方、作業工具の衝撃荷重、例えば土木工事に岩や石に衝突した場合の衝撃荷重がギア段に伝わり、ギア段を損傷させるという問題が発生する。
【0004】
さらに、掘削機(トレンチカッター)の場合、幅や直径が幾何学的に異なる複数の異なる掘削ホイールを掘削ホイール駆動装置に取り付けなければならないという問題がある。
そのため、歯車(ギア)機構は、最小の掘削ホイールの設置スペースに収まると同時に、最も幅の広い最大の掘削ホイールの荷重に耐えられるように設計しなければならず、設置スペースが限られたり、ギア機構の耐衝撃性が十分でないというさらなる問題がある。
【0005】
掘削機(トレンチカッター)は、一般に、土木の専門家において、土や岩盤、下層土の中に、溝を掘るために使用され、そして溝を掘り、スラリー充填物、例えばコンクリートを、充填して隔壁を形成するために使用される。
掘削壁(トレンチウォール)は、一般的にコンクリートや鉄筋コンクリートなどで、下層土の中に作られる壁である。
このような掘削壁(トレンチウォール)を製造するために、実質的に 上部が開放された垂直な溝を掘削機で切削し、掘削工具は上方から土中に降ろされ、地上に支持されたキャタピラーで走行するクレーン(クローラーショベル)掘削機などの支持装置によって誘導され、好ましくは走行可能な状態にする。
ここでの掘削機(トレンチカッター)は、典型的には、支持装置に垂直方向に走行可能に吊り下げられ、その下端に、それぞれの水平軸を中心として反対方向に駆動可能な複数の掘削ホイールを支持する細長い直立掘削フレームから構成される。
また、掘削ホイールを回転駆動するための駆動装置は、掘削フレームの下部に取り付けられてもよく、例えば、チェーン駆動および/または1つ以上のギア段を介して、掘削ホイールを駆動できる1つ以上の油圧モータで構成されてもよい。
【0006】
このような掘削機の掘削ホイールは、定期的に、比較的頻繁に交換する必要がある。
一方、掘削ホイール上に、円周方向に配置された掘削工具は、激しい摩耗にさらされる。
多くの掘削工具を個別に交換する必要がないように、通常は掘削ホイール全体を分解し、新しい掘削ノミ(カッタチゼル)と一緒に別の掘削ホイールに交換する。
一方、掘削ホイールは、土壌の状態によって最適化されたものが使用されている。他方、異なる土壌の状態に最適化された異なる掘削ホイールが使用されている。
掘削(切削)深度によって土壌の状態が異なるため、1本の溝を掘削する場合でも、掘削深度が深くなるにつれて、土壌の状態が変化する場合は、掘削ホイールを交換することが多い。
さらに、溝の幅や深さに応じて、さまざまな掘削(切削)ホイールを使用するため、掘削機(トレンチカッター)の掘削ホイール全体では、かなり頻繁に交換する必要がある。
【0007】
また、遊星歯車機構の性能は設置スペース、特に直径によって決まるため、幅広で大きな掘削(切削)砥石の駆動ラインを確保するためには、それに応じた歯車機構の設計が必要となり、通常、大きな設置スペースが必要になる。
しかし同時に、小型の掘削(切削)ホイールを設置するためには、設置スペースを小さくする必要があり、空きスペースをできるだけ有効に活用する必要がある。
【0008】
しかし、同時に、運転中に発生する大きな力や衝撃荷重が、歯車機構の早期摩耗につながらないようにする必要がある。
発生した力や衝撃が、直接ギア段の歯に伝わると、寿命が短くなったり、早期の故障が発生したりする。
この点で、高い動作力がギア機構の周囲または隣接する構造部品を過度に変形させる場合、ギアの歯の詰まりにつながり、結果としてギア機構の故障につながる可能性がある。
ジャミングは、例えば遊星歯車機構のリングギヤの歯の周囲の構造部品が変形しすぎて楕円化したり、プラネットキャリアや他の歯車要素の軸方向変位により発生し、歯車のバックラッシュによる補正ができなくなることで起こる。
【0009】
周囲や隣接する構造部品が十分に強固であったり、肉厚が増していれば、そのような変形は制限されるが、例えば、細くて小さな掘削(切削)ホイールを取り付けられるようにするために外形寸法も制限されると、それに伴って内部の取り付けスペースが狭くなる。このような内部設置スペースの減少は、ひいては歯車機構の性能を制限することになる。
【0010】
掘削機(トレンチカッター)の掘削ホイールの駆動装置は、例えばEP 1 666 671 B1に示されており、この装置では、掘削ホイールを担持する車輪支持体は、2つのローラー軸受けを介して、固定接続支持体に回転可能に取り付けられている。
車輪支持体は、取付ビームの内部に収容されたギア段を介して駆動軸(ドライブシャフト)から駆動することができる。
駆動軸は、上方から取付ビームが強固に取り付けられていたベアリングシールドを通り、ギヤ段に至る。
【0011】
掘削機(トレンチカッター)の掘削ホイールのための同様の駆動装置が、EP 2 597 205 B1に示されている。この場合、一種のバヨネットロックが各場合に車輪支持体と切断車輪との間に設けられ、ギア段に利用できる設置スペースがさらに減少している。
【0012】
したがって、本発明の根本的な目的は、改良された駆動装置と、その駆動装置で使用され、従来技術の欠点を回避し、有利な方法で後者をさらに発展させた、最初に名付けた種類の改良型掘削機(トレンチカッター)である。
特に、作業工具から回転式ホイールサポートに作用する荷重を確実に吸収し、ギア段(ステージ)を早期摩耗や故障から保護する必要があるが、ギア段の設置スペースの大きさを妥協して、ギア段の性能を低下させることでこれを達成するべきではない。
【0013】
前記課題は、本発明に係る請求項1に記載の駆動装置と、請求項21に記載の掘削機(トレンチカッター)とによって解決される。
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0014】
したがって、本発明の一態様によれば、車輪支持体を駆動するギアステージ(歯車段)を、隣接または近接する構造部品の大きな衝撃荷重および変形から切り離す。
この場合、隣接する構造部品の変形を防止することも目的とせず、むしろそのような変形を許容し、ギア段(ステージ)をこれと切り離すことによって、ギアステージへの悪影響のみを防止するので、過剰な寸法設定とそれに伴う設置スペースの損失が避けられ、強度アップのための特殊材料や措置が不要になる。
この目的のために、ギア段(ステージ)のギアホイール(当該ホイールは、接続サポート内に配置され、少なくとも1つの他のギアホイールと噛み合うか又は転がり係合する)が、接続支持体(サポート)及び/又はそれに剛に接続されたベアリングシールドに回転可能に固定されているが、柔軟な及び/又は可動のベアリング要素によって接続支持体に対して径方向に移動可能及び/又は傾き可能に支持されていることが、提案されている。
ギアホイールを回転自在に固定することで、駆動力を伝達することができ、半径方向に柔軟かつ/または傾斜可能な軸受要素は、接続支持体の変形および/または衝撃荷重を補償し、ギアホイールから遠ざけることができる。
【0015】
特に、固定的に保持された前記歯車ホイールの外周部と接続支持体の内周部との間に、接続支持体が例えば楕円に変形することを許容し、あるいは、歯車支持体からの衝撃荷重を吸収しつつ、接続支持体からの当該変形および/または衝撃荷重が歯車ホイールに伝達することを防止する隙間を設けることができる。
ギアホイールの外周部と接続支持体の内周部との半径方向の間隔は、ギアホイールまたはこれに接続された軸受要素、例えばプラネットキャリアが噛み合っているか、これと回転係合している場合、前記ギアホイールが接続支持体によって妨げられることなく軸方向変位を受けることができるので、ギアホイールの変形も防ぐことができる。
【0016】
前記固定ギアホイールは、特に、遊星ギアボックスのリングギアであって、遊星キャリアに取り付けられた遊星歯車(ギア)に、噛み合い、および/または、転がり、係合する。
遊星歯車の多段設計において、前記リングギアは、複数の遊星段の遊星歯車セットと同時に噛み合っていてもよいが、複数の別々のリングギアを別々の遊星歯車段に設けてもよい。
【0017】
放射状に伸びるフレキシブルな、および/または、弾性のある、首振り駆動する、軸受要素は、異なる設計にすることができ、例えば、ギアホイールとは別の軸受要素を形成し、ギアホイールに回転自在に接続するように設計できる。
しかし、代わりに、前記軸受要素は、歯車と同質の材質で一体成形することも可能である。
【0018】
特に、前記歯車は、一方の端面が前記軸受要素に保持され、対向配置された他方の端面に向かって自由に突出することができる。
このように固定歯車を片持ち式で取り付けることで、最小限のクリアランスと設置スペースで、半径方向と傾き方向の相対移動が可能となり、設置スペースを損なわずに、切り離し(分離)を実現することができる。
【0019】
例えば、前記軸受要素は、前記歯車本体から半径方向に突出し、前記歯車本体の端面において外側に、又は、必要に応じて内側に突出する軸受フランジを形成してもよい。
この場合、前記軸受フランジの一方の端面は、接続支持体、及び/又は、それに剛性的に接続された軸受シールドに取り付けることができる。
【0020】
このような突出した軸受フランジは、例えば、歯車に一体的に形成され、材料が同質である、接続支持体、及び/又は、軸受シールドの対向する表面に、剛性的に固定され得る軸受肩部を形成することができる。
【0021】
軸受要素(ベアリングエレメント)の所望の柔軟性または弾性は、接続支持体の変形または衝撃荷重が補償されるときに、ベアリングエレメントがそれ自体で変形するように、十分に薄い寸法、または材料の柔らかさ調整、によって達成することができる。
【0022】
このようなフレキシブルな軸受フランジの代わりに、またはこれに加えて、前記歯車は、軸方向オフセットを可能にする同期歯車、例えばインボリュート歯付きシャフト-ハブ接続によって、接続サポートに対して回転方向に固定されて取り付けることもできる。
【0023】
このような同期歯車は、歯車と接続支持体、および/または歯車とベアリングシールドの間に設けることができる。
【0024】
前記同期歯車は、歯車ホイールの全長にわたって設けられるのではなく、歯車ホイールの前端部分においてのみ設けられることが好ましい。
特に、そのような同期歯車がギヤホイールの前端部に設けられている場合でも、前記補償動作を可能にするために、それに隣接するギヤホイール本体の外周部と接続支持体の内周部との間に間隙を設けることができる。
【0025】
アキシャルロックによれば、同期歯車の歯面に沿った歯車の軸方向の望まない振れを防止することができる。
【0026】
前記ギアホイールは、接続支持体が、剛性的に取り付けられているベアリングシールドに面するその内側端部分において、可撓性ベアリング要素によって保持されることが好ましい。
これにより、ホイール支持体からの外力による変形の影響を低減し、対応するてこ棒(レバーアーム)を低減することができる。
前記可撓性、及び/又は、可動性の軸受要素は、固定的に保持された歯車ホイールの軸受シールド側の端面に設けられてもよい。
【0027】
ギアホイールのベアリングを切り離すことで、大きなメリットを得ることができる。
まず、衝撃荷重や部品の変形によるギアステージの歯付き部品への外部衝撃を減らすことができ、ギアの損傷による早期故障のリスクを低減し、ギアボックスの寿命を延ばすことができる。
同時に、接続支持体(サポート)などの隣接する構造部品の弾性変形による部品詰まりも防止することができる。
さらに、ギア段(ステージ)の他の伝達要素における車軸の変位は、フレキシブルまたはデカップリングされたギアステージが降伏することで補うことができる。
【0028】
しかし、一方で、外部からの衝撃や負荷の補正が少ない分、ギア機構の小型化も実現でき、設置スペースだけでなくコストも削減できる。
【0029】
さらに、固定ギアホイールは、接続支持体(サポート)とは独立して交換することができるため、ギアホイールが摩耗した際に接続支持体を高価に交換することを避けることができる。
また、ギアホイールの熱処理は1回で済む場合があるため、製造上のコストダウンも図ることができる。
【0030】
それにもかかわらず、接続支持体及び車輪支持体の内部の利用可能な設置スペースを最大限に利用するために、又は車輪支持体の外形寸法を増加させることなく可能な限り拡大するために、本発明のさらなる態様に従って、車輪支持体が接続支持体に回転可能に取り付けられることによって、少なくとも一つの転がり軸受を、少なくとも部分的に車輪支持体及び/又は軸支持体に統合することができる。
別個の軸受輪の半径方向の設置スペースを節約するために、転がり軸受の転動体が転がる軸受軌道を車輪支持体および/または軌道を接続支持体に一体化することが可能である。
軌道面は、車輪支持体の表面及び/又は接続支持体の表面によって直接形成することができ、又は組み込んで形成することができる。
軌道面は、接続支持体及び/又は回転可能に取り付けられた車輪支持体と、均質に、一体的に形成することができる。
【0031】
特に、通常提供される軸受輪は、当該方法で車輪支持体及び/又は接続支持体の材料と、直接一体的に、均質に形成することができる。
軌道面コーティング、または軸受の設計によっては、軌道面ワイヤまたは軌道面インサートを設けることもできるが、車輪支持体および/または接続支持体の材料に直接埋め込まれるか、コーティングとしてそれに適用されることが好ましい。
【0032】
軌道面硬化は、車輪支持体、及び/又は、車軸支持材の硬化層よって形成されてもよい。
軌道面の統合設計にもかかわらず簡単な組み立てを可能にするために、車輪支持体は2つ以上の部品で設計することができ、及び/又は接続支持体は2つ以上の部品で設計することができる。
ピッチ面は、転動体の列に隣接して走ること、又は配置することが好ましい。
【0033】
複数の軸受列または複数の転がり軸受が設けられている場合、複数の軌道面は、車輪支持体および/または接続支持体の一体型セクションに統合することが好ましい。
この方法では、軌道面、ひいては転動体列の間の位置のばらつきを回避し、軸受力の均一な導入を達成することができる。
【0034】
少なくとも1つの転がり軸受は、転動体の設計と配置に関して、異なる構成を有することができる。
小さな寸法で大きな力を伝達するために、転動体は円筒形または円錐形のローラーとして設計することができるが、少なくとも1列の玉軸受も提供することができる。
代替的または追加的に、自動調心ころ軸受、自動調心ころ軸受又は針状ころ軸受を設けることができる。
【0035】
また、複数の軸受列がある場合は、玉軸受列と、ころ軸受列のように混在した形態も可能である。
【0036】
斜めに設置された転がり軸受の列を設けることができ、その主な摩耗方向は、互いに鋭角に配置することが好ましい。
特に、有効支持幅が内側に増加するように、主摩耗方向は半径方向外側に収束することが好ましい。
特に、転がり軸受の列の傾斜位置は、支持幅が車輪支持体に向かって小さくなり、接続支持体に向かって大きくなるように構成することが好ましい。
【0037】
本発明の有利な更なる実施形態では、少なくとも1つの転がり軸受の配置は、接続支持体の片持ち梁端部に向かって変位し、及び/又は、軸受シールドから離れた接続支持体の端部から変位してもよい。
したがって、転がり軸受は、接続支持体の中心に向かって中心的または対称的に配置されるのではなく、軸受シールドから間隔を置いたその端部部分に向かって偏心的にずらして配置される。
【0038】
転がり軸受を構造部品と一体化させることで、ギアステージの設置スペースを確保できるだけでなく、コストダウンや高定格荷重を実現できる傾向にある。
特に、転動体軸受の軌道面を一体化することで、別々になっていた軸受輪を省略できるため、ホイールサポート軸受の配置をコンパクトに設計することができる。
同時に、軸受輪を省略することで構造部品の肉厚を増加させることができ、他方で、接続サポートはホイールサポートからの距離を必要とせず、したがって大きくすることができるため、同じ設置スペースでより頑丈な構造部品および/またはより大きなギア歯を実現することができる。
【0039】
一方、転がり軸受は必要なサイズ寸法に非常にコストがかかるため、軸受軌道面の統合ソリューションにより、軸受輪のコストを削減できるというコスト面でのメリットもある。
【0040】
また、一般的な転がり軸受と比較して、高い定格荷重を達成できる傾向にある。
【0041】
利用可能な設置スペースを最大限に活用し、高出力を伝達できるようにするために、少なくとも1つのギア段は遊星歯車のギア段とし、接続サポートおよび/またはホイールサポートによって囲まれた内部空間に配置することができる。
このような遊星歯車は、単段設計または多段設計とすることができ、多段設計の場合、複数のプレーンタリーギアセットは、共通のリングギアと噛み合うことができる。
【0042】
回転可能な車輪支持体は、プラネットキャリアによって駆動されるか、または回転固定式に接続することができ、前記プラネットキャリアは、遊星歯車セットを担持している。
【図面の簡単な説明】
【0043】
以下、本発明を好ましい実施形態および関連する図面に関してより詳細に説明する。図面は、以下の通りである。
図1】本発明の好ましい実施形態によるトレンチカッターの概略斜視図である。
図2】切削ホイールと、切削ホイールを支持する車輪支持体と、車輪支持体を支持する接続(連結)支持体とを示す部分断面斜視図であり、部分断面図には、前記構成部品が組み立てられた状態を示している。
図3】切削ホイール、車輪支持体および接続(連結)支持体の部分切断斜視図であり切削ホイールおよび車輪支持体が分解された状態で示されている。
図4図1のトレンチカッターの駆動装置の斜視図であり、接続支持体にそれぞれ取り付けられた2つの車輪支持体と、それらを支持するベアリングシールドと、ベアリングシールドの上端部における駆動モータとを示している。
図5図4の駆動装置を通る断面図を示し、接続支持体に収容されたギア段と、それぞれの接続支持体に屈曲可能に固定されたギア段の内部または中空歯付き歯車とを示している。
図6】ギアステージの前記中空歯付きギアを接続支持体の内部に配置し、弾力的に装着した状態を示す拡大断面図である。
図7図4の駆動装置を通る断面図を図5と同様の表現で示し、接続支持体内の歯車段を省略し、車輪支持体を接続支持体に回転可能に支持するためのローラベアリングを示す図である。
図8】本発明の好ましい実施形態による車輪支持体の回転可能な取付けのための転がり軸受の列を通る拡大断面図を示しており、これによれば、ローラとして設計された転動体の軌道が車輪支持体と連結支持体に一体化されている。
図9図8と同様の転がり軸受列の断面図であり、本実施形態における転がりエレメントは、ボールとして設計されたものである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1に示すように、基礎掘削機の一例として、掘削機(トレンチカッター)1は、細長い直立したカッターフレーム2を有し、このフレーム2は、梁の形態であってよく、及び/又は、横方向に配置された2つの長手ガイドプロファイルから構成されてもよい。
下端部分において、カッターフレーム2は、並んで配置され、それぞれの横たわる回転軸を中心に回転駆動可能な少なくとも2つの切削ホイール3を有しており、切削ホイール3の回転軸は、互いに平行に、特にカッターフレーム2の平坦な側面に対して垂直に延在している。
【0045】
この点、2つの切削ホイール3は、互いに反対方向に駆動することができる。カッター駆動装置4は、カッターフレーム2の下端部分において切削ホイール3の上方に配置されてもよく、例えば、1つ以上の歯車段を介して前記切削ホイール3を駆動することができる1つ以上の油圧モータから構成されてもよい。
【0046】
図1に示すように、切削ホイール3を有するカッターフレーム2は、基本的な機械5によって昇降可能であり、あるいは基本的な機械5から吊り下げられる。前記基本的な機械5は、それぞれの溝が切断されるべき地面上に乗り、移動可能であるように構成されることが好ましい。
特に、基本的な機械5は、シャーシ、例えば追跡シャーシ6を有するケーブル式ショベルであってもよく、カッターフレーム2は、基本機械5のブーム7によって上昇および下降させることができる。
【0047】
図2図5が示すように、各切削ホイール3は、カッターフレーム2に回転可能に取り付けられたカッターハブ8に取り付けられており、カッター駆動装置4によって駆動することができる。
カッターハブ8は、カッター駆動装置4の出力要素または介在する歯車段によって形成することができる。
特に、前記歯車段は、遊星歯車として構成することができ、それによって、カッターハブ8は、例えば、遊星歯車の遊星キャリアによって形成することができる。
【0048】
前記切削機のハブ(中央部分)8は、例えばポット形状の車輪支持体(ホイールサポート)9からなり、この車輪支持体9は、接続支持体20に回転可能に取り付けられ、それぞれの切削ホイール3をクランプすることができる端面10を有している。
【0049】
切削ホイール3は、リムの要領で構成することができ、これとは別に、周壁11を有し、その外側に、例えば刃の厚みが刃幅になる平ノミ型替刃(カッターチゼル)の形態で、1段(列)以上のカッター工具12を配置することができる。
前記周壁11は、ディスクまたはリングの形態であってよく、独立してカッターハブ(切削機の中央部分)8の面10に対して配置可能な面14を有する取り付けフランジ13に剛性的に接続されている。
前記取付フランジ13は、回転軸に垂直な平面内にほぼ延在し、カッターハブ8に面する平坦面14を有していてもよい。
【0050】
前記取り付けフランジ13は、摩耗したときに交換できるように、切削ホイール3の本体の残りの部分に着脱自在に取り付けられていることが好ましい。
例えば、取付けフランジ13は、複数のネジ15によって切削ホイール3の本体に取り付けられてもよい。
【0051】
図3が示すように、互いに対向配置可能な切削機のハブ8と切削ホイール3の面側10、14には、それぞれ面歯16、17が設けられており、切削機のハブ8と切削ホイール3の面側10、14を互いに対向配置した際に、2つの面歯16、17が互いに噛み合わせるように構成・配置される。
この点で、面歯16および17は、切削ホイール3とカッターハブ8を回転軸と平行に軸方向に互いにスライドさせるだけで互いに噛み合うように構成されている。
図5に示すように、2つの面歯16、17が噛み合うように重ねて配置されると、切削ホイール3はカッターハブ8に対して正回転に固定される。
【0052】
切削ホイール3は、それによって、切削ホイール3をカッターハブ8上に固定し、面歯16および17を正の係合状態に保持するために、好ましくは、複数のねじボルトからなる軸方向クランプ手段によって、カッターハブ8に対して軸方向にクランプされる。
図3が示すように、面歯16、17を係合位置に均一に固定するために、複数のスクリューボルトを周方向、特に面歯16、17の領域にアール状に分布させることができる。
【0053】
図3が示すように、面歯16、17は、それぞれ複数(図示のバージョンでは6)歯の群を有することができ、これらの歯群は周方向に互いに間隔をあけて、均等に配置され、あるいは必要に応じて偏在させることができる。
特に、歯群は共通のピッチ円上に配置され、歯のない面によって互いに分離されることが可能である。
【0054】
図3が示すように、各歯群は複数の歯を有することができ、各歯群は直線状の歯面を有することができ、歯群のすべての歯面は互いに平行に配置することができるが、歯群は互いに相対的にねじれるか、異なる方向に整列することができる。
特に、それぞれの歯群のそれぞれの中央の歯は、回転軸に対して半径方向に延び、それぞれの場合において、それと平行に配置された歯によって左右に挟まれることが可能である。
【0055】
図4が示すように、2つの車輪支持体9は、軸受シールド19の対向して配置された側面に配置されてもよく、この軸受シールド19は、車輪支持体9が回転可能に取り付けられる下端部分において、実質的にプレート状の直立シールド部分から構成されてもよい。
なお、軸受けシールド19の上端部には、説明するように、車輪支持体9を回転駆動するための、例えば油圧モータ形式の駆動モータ18を配置してもよい。
【0056】
図5が示すように、接続支持体20は、軸受けシールド19の反対側に剛性的に取り付けられ、実質的にスリーブ状または円筒状であってもよい。
また、図6に示すように、ポット型であってもよい前記車輪支持体9は、前記接続支持体20上で滑らせることができる。
【0057】
図5及び図6に示す前記車輪支持体9は、それによって、より詳細に説明されるように、2つの転がり軸受21、22によって接続支持体20上で回転可能かつ軸方向に固定的に支持されている。
【0058】
一方では軸受けシールド19によって端面が囲まれ、他方ではポット状の車輪支持体9の基部によって端面が囲まれた接続支持体20と、車輪支持体9とによって囲まれた内部空間には、駆動モータ18によって車輪支持体9が回転駆動される歯車機構24が配設されている。
この場合、変速機24は、軸受シールド19を貫通して延び得る駆動軸によってインプット側に駆動され、駆動モータ18と歯車機構24とを接続する。
【0059】
前記歯車機構24は、特に遊星歯車として構成され、図が示すように、多段であってもよい。
この場合、駆動モータ18は、前記駆動軸を介して第1遊星段(ステージ)の太陽歯車(サン・ギア)を駆動することができる。
前記太陽歯車に噛み合う遊星歯車は、遊星キャリアに回転自在に取り付けられているが、説明するように、接続支持体20および/または軸受シールド19に回転自在に固定されながら、径方向および傾動自在に取り付けられた内歯車25に噛み合っていてもよい。
【0060】
前記リングギア25は、同時に第2遊星段のリングギアも形成し、その遊星ギアと噛み合ってもよい。
第2遊星段の遊星歯車キャリアは、車輪支持体9に回転固定的に接続されてもよく、例えば、ポット状の車輪支持体9の底に剛体的に接続されてもよい(図5参照)。
【0061】
歯車24、特にそのリングギア25を接続支持体20の衝撃荷重および変形から切り離すために、前記リングギア25は接続支持体20に回転可能に固定されている。
そして、前記リングギア25を接続支持体20に回転可能に固定すると共に、必要ならば軸受シールド19にも固定することができるが、半径方向の補償運動および/または傾斜運動および/または変形を、リングギア25に伝達せずに、接続支持体20に伝達することにより、柔軟性および/または弾性を、軸受要素26に提供できる。
【0062】
図6が示すように、軸受要素26は、リングギヤ25の前端部分において、例えばそこに一体的に形成された、材料的に均質なリングギヤ25にしっかりと接続され得る。
【0063】
それとは別に、軸受要素26は、半径方向に突出する軸受フランジを形成することができ、これにより、端面上の対向面、および/または、接続支持体20の周方向の対向面に、突き当たり、および/または、軸受シールド19上の一致する対向面に取り付けられる。
【0064】
図6が示すように、フランジ状軸受要素26は、接続支持体20の肩部に着座することができ、例えば、ねじの形態であるクランプ手段を用いて、回転的に固定的に、それに固定することができ、または剛性的にそれに固定される。
軸受要素26と接続支持体20との間の接続は、軸受要素26が本質的に可撓性および/または弾性であり、および/または軸受要素26のリングギア25への接続が可撓性および/または弾性である場合には、それ自体が剛性であってもよい。
【0065】
図6が示すように、リングギア25の外周部と接続支持体20の内周部との間に隙間27を設け、リングギア25と接続支持体20との相対的な径方向移動および/または傾動運動を許容してもよい。
また、接続支持体20は、外部からの負荷により、変形、例えば楕円化することがあるが、このような変形は隙間27により吸収されるため、リングギア25に伝達されることはない。
【0066】
隙間27は、リングギア25の軸方向長さ全体に沿って、および/または半径方向の重なり全体に沿って、すなわち、リングギア25と接続支持体20とが半径方向視方向で重なる領域で、例えば前記軸方向長さの75%以上、または90%以上にわたって実質的に延びているのが好ましい。
【0067】
隙間27の隙間寸法は、例えば、数ミリや10分の1ミリ程度の範囲で、異なる寸法にすることができる。
【0068】
リングギア25は、片持ち梁懸架装置として知られているものと同様に、1つの軸方向端部のみで、支持され、及び/又は接続支持体20又は軸受シールド19に取り付けられ、反対側の端面に向かって自由に突出することが好ましい。
一方の端部に設けられた軸受けによって、リングギア25は、接続支持体に対して半径方向および/または傾斜方向の補償運動を行うことができるのみである。
【0069】
リングギア25の内側端部は、軸受部材26によって支持されてもよく、内側端部は、軸受シールド19に面していることが好ましい。
これにより、関連するレバーアームが短くなり、外側から作用する荷重の影響が低減される。
特に、このようにして、ポットに接続された遊星歯車の遊星キャリアを介してポット型車輪支持体9によって導入される衝撃荷重も、リングギア25によって十分に緩衝されるか、または記載された補償動作によって補償されることが可能である。
【0070】
さらなる態様によれば、車輪支持体9の外形寸法が制限されている場合に設置スペースを獲得し、接続支持体20内の前記内部空間23をできるだけ拡大するために、車輪支持体9が接続支持体20に回転可能に取り付けられる、転がり軸受21および22が、それぞれの車輪支持体9および/またはそれぞれの接続支持体20に組み込まれている。
特に、従来の転がり軸受の軸受輪は不要となり、転動体28は、車輪支持体9と接続支持体20に一体化された軌道面29、30上を走行することが可能である。
必要に応じて、軌道面の一方のみが車輪支持体9または接続支持体20に一体化されていれば、それも有用である。
しかしながら、できるだけ多くの設置スペースを作るために、両方の軌道面29および30、すなわち転がり軸受列の内側および外側軌道面を、車輪支持体9および接続支持体20に組み込まれていることが好ましい(図8および図9参照)。
【0071】
これにより、前記軌道面29及び30は、車輪支持体9又は接続支持体20の表面によって少なくとも部分的に形成され、そこに特殊硬化軌道面コーティングが施され、及び/又は軌道面ワイヤなどの特殊軌道面要素が組み込まれる。
代替として又は追加として、前記軌道面29または30を形成する車輪支持体9および/または接続支持体20の表面は、例えば窒化処理などの表面硬化処理が施されていてもよい。
【0072】
図8が示すように、転動体28は、例えば円柱状のローラであることができる。
あるいは、玉軸受も設けることができ、その溝形状の軌道面は、図9に示すように、車輪および接続支持体9、20にそれぞれ一体化させることができる。
【0073】
軌道面29および30は、ラジアル軸受力だけでなく、アキシャル軸受力も伝達できるように、角度をつけて設定することができることが好ましい。
【0074】
特に、主摩耗方向が半径方向に対して鋭角に傾斜しているX字型(X配置)やO字型(O配置)の傾斜軸受列を2列設けることができる。
例えば、X配置では、車輪支持体9側(外側で支持幅を小さくし、接続支持体20側(内側で支持幅を大きくする、主な取り出し方向の対向傾斜を設けることができる。
また、O配置では、および図に示すように、車輪支持体9側(外側で支持幅を大きくし、接続支持体20側(内側)で支持幅を小さくする、主な取り出し方向の対向傾斜を設けることができる。
【0075】
図8及び図9に示すように、転動体28は、転動体保持器31によって周方向及び/又はその横方向にガイドされてもよい。
【0076】
車輪支持体9は、2分割または複数分割の設計とすることができ、図7から図9を参照すると、分割面32が転がり軸受21および22に隣接して配置されることができる。
分割面32を2つの転がり軸受21、22の外側に配置することが好ましい。これにより、両方の転がり軸受21、22またはその軌道面29が、図8および図9に示すように、車輪支持体9の一体的に形成された部分上に配置される。
必要であれば、分割面32は、2つの転がり軸受21および22の内側に設けられることも可能である。
しかしながら、好ましくは、分割面32は、外側、すなわち、軸受けシールド19から離れる方向に面する2つの転がり軸受21および22の側にあり、これにより、車輪支持体9の外側部分は、歯車24の遊星歯車キャリアによって形成することができ、または前記遊星歯車キャリアおよびそれによって形成される車輪支持体部分は外側に取り外すことができる。これにより、ギア機構の組み立てが非常に容易になる。
【0077】
図7が示すように、2つの転がり軸受21、22は、軸方向中心から偏心して配置されてもよい。
接続支持体20および/または接続支持体20の軸方向の一方の端部部分に、反対側の他方の端部部分よりも近く配置される。
特に、転がり軸受21、22は、図7に示すように、軸受シールド19から離れる方向に向く接続支持体20の外端部分に向かって変位して配置することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9