(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】モジュール式内視鏡用のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/008 20060101AFI20250324BHJP
A61B 1/005 20060101ALI20250324BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20250324BHJP
【FI】
A61B1/008 512
A61B1/005 513
A61B1/00 632
A61B1/00 552
(21)【出願番号】P 2022537115
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 US2020066030
(87)【国際公開番号】W WO2021127449
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-12-15
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522237117
【氏名又は名称】ノア メディカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ロモ,エンリケ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジアン
(72)【発明者】
【氏名】ハング,キャロル ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ショーバー,マイケル ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】スラウィンスキー,ピョートル ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ダンナ,カイル ロス
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】アブラハ,リヤ ケー.
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-502709(JP,A)
【文献】特開2015-119839(JP,A)
【文献】特表2017-532171(JP,A)
【文献】実開平02-030302(JP,U)
【文献】実開昭64-009604(JP,U)
【文献】実開昭61-174901(JP,U)
【文献】特開2018-158154(JP,A)
【文献】特開2015-181902(JP,A)
【文献】特開2017-060605(JP,A)
【文献】国際公開第2019/017115(WO,A1)
【文献】特表2020-536608(JP,A)
【文献】国際公開第2013/190910(WO,A1)
【文献】特開2007-082842(JP,A)
【文献】特開2002-323661(JP,A)
【文献】特開2019-136508(JP,A)
【文献】特表2007-530155(JP,A)
【文献】特開2017-113560(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0074383(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0246873(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0325499(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0113875(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0279852(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0206563(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0110843(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0365209(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0070935(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0272917(US,A1)
【文献】国際公開第2008/018256(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/093968(WO,A1)
【文献】特開2006-068393(JP,A)
【文献】特表2019-505245(JP,A)
【文献】特表2018-500054(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0320878(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/008
A61B 1/005
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節式可撓性内視鏡であって、
駆動機構を介して操縦可能である遠位先端部分と、
前記遠位先端部分に
その遠位端で接続され
た屈曲セクションであり且つ
リング構造を有する移行インターフェースでシャフト部分に接続された屈曲セクションであって、前記屈曲セクション
は複数のプルワイヤにより関節運動させる、屈曲セクションと、
前
記複数のプルワイヤを収容
するための複数の荷重伝達管を含む前記シャフト部分と
を含
み、
前記複数の荷重伝達管の遠位端は前記シャフト部分と前記屈曲セクションの接合インターフェースに位置する前記移行インターフェースの前記リング構造に固定され、前記複数の荷重伝達管の近位端は前記シャフト部分の近位端に固定されており、且つ前記荷重伝達管の各々の長さは、前記シャフト部分の遠位端と近位端の間の前記シャフト部分の長さよりも、前記シャフト部分に加わる軸方向圧縮力を低減するために所定の割合だけ長く、それにより前記シャフト部分の安定性を向上させる、関節式可撓性内視鏡。
【請求項2】
前記遠位先端部分は、撮像デバイスと位置センサと照明デバイスとを受け入れるための構造を含む、請求項1に記載の関節式可撓性内視鏡。
【請求項3】
前
記複数のプルワイヤの各々は、前
記複数の荷重伝達管のそれぞれの荷重伝達管の管腔の内部に配置される、請求項1に記載の関節式可撓性内視鏡。
【請求項4】
前記屈曲セクションは、前
記複数のプルワイヤにより2つ以上の方向に屈曲させる、請求項1に記載の関節式可撓性内視鏡。
【請求項5】
前
記複数の荷重伝達管
の各々の長さは
、前記シャフト部分の長さよりも
少なくとも0.01%長い、請求項1に記載の関節式可撓性内視鏡。
【請求項6】
前記シャフト部分は、前記シャフト部分の剛性を変化させるための一体形成構造を備えた管を含む、請求項1に記載の関節式可撓性内視鏡。
【請求項7】
変形可能な作業チャネルを更に含む、請求項1に記載の関節式可撓性内視鏡。
【請求項8】
ハンドル部分を更に含み、前記ハンドル部分は、画像データを処理するように、前記遠位先端部分に位置する1つ又は複数の電子的構成要素に電力を提供するように、又は外部デバイスとの通信を確立するように構成された1つ又は複数の構成要素を含む、請求項1に記載の関節式可撓性内視鏡。
【請求項9】
前記ハンドル部分は、前記ハンドル部分を器具駆動機構に結合するように構成されたインターフェースを含む、請求項
8に記載の関節式可撓性内視鏡。
【請求項10】
前記インターフェースは、電気的インターフェース及び機械的インターフェースである、請求項
9に記載の関節式可撓性内視鏡。
【請求項11】
前記ハンドル部分は、灌注システム又は吸引システムとのインターフェースをとるための機械的制御モジュールを含む、請求項
8に記載の関節式可撓性内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照
[0001] 本出願は、2019年12月19日に出願された、米国仮特許出願第62/950,740号、及び2020年10月13日に出願された、米国仮特許出願第63/091,268号の優先権を主張するものであり、これらの各々が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
[0002] 内視鏡検査処置では、内視鏡を使用して中空臓器又は体腔の内部が検査される。他の多くの医用撮像技術とは異なり、内視鏡は、臓器に直接挿入される。直感的な操縦及び制御を提供できる可撓性内視鏡は、身体のいずれかの自然孔からアクセス可能な疾患の診断及び治療に有用である。臨床的適応に応じて、内視鏡は、気管支鏡、尿管鏡、結腸鏡、胃鏡、耳鼻咽喉内視鏡、及び様々な他のものとして指定され得る。例えば、可撓性内視鏡検査は、患者の身体に開口部を形成する必要なしに消化(GI)管の疾患を検査して治療するために用いられている。内視鏡は、口又は肛門からそれぞれ上部消化管又は下部消化管に導入される。遠位端部における小型カメラは、臨床医が消化管疾患を診断する際に役立つ消化管壁の画像を撮影する。(ポリープ切除及び生検のような)簡単な外科的処置は、作業チャネルを通して可撓性ツールを導入して遠位端部が関心部位に達することにより実施することができる。
【0003】
[0003] 従来、内視鏡は、再使用できるように作製され、各処置後に徹底的な洗浄、消毒及び/又は滅菌を必要とし得る。ほとんどの場合、洗浄、消毒、及び滅菌は、細菌及び/又はバクテリアを死滅させる積極的なプロセスであり得る。そのような処置は、内視鏡自体にも過酷であり得る。それゆえ、そのような再使用可能な内視鏡の設計は、特に、かかる過酷な洗浄、消毒及び滅菌プロトコルに内視鏡が確実に耐えることができるように、多くの場合、複雑になる可能性がある。かかる再使用可能な内視鏡の定期的なメンテナンス及び修理が必要になることが多い。
【0004】
[0004] 1回のみの使用を指定された低コストの使い捨て医療デバイスは、適切に洗浄することが困難な器具の代わりに普及している。1回使い切りの使い捨てデバイスは、HIV、肝炎、及び他の病原体などの疾患の病原性交差汚染のリスクを回避するために、滅菌包装体に包装され得る。病院は一般に、製品の使用年数、過度の使用、破損、故障、滅菌をもはや気にする必要がないので、1回使い切りの使い捨て製品の利便性を歓迎している。従来の内視鏡は、多くの場合、操作者が内視鏡を操作するために使用するハンドルを含む。1回使い切りの内視鏡の場合、ハンドルは通常、映像を送信し、ユーザインターフェースを介してユーザが内視鏡を操作することを可能にするために、カメラと高価な電子機器と機械的構造とを近位端部に封入する。これにより、1回使い切りの内視鏡用のハンドルが高コストになる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の概要
[0005] 本明細書では、改善された成果及びコスト効率を伴う外科的処置又は診断動作を実施することを可能にする内視鏡の必要性が認識されている。また、本明細書では、使い捨てであり得るとともに広範な洗浄手順を必要としない内視鏡を含むデバイス及びシステムが認識されている。本開示は、気管支鏡検査、泌尿器科、婦人科、関節鏡検査、整形外科、耳鼻咽喉科、胃腸内視鏡検査、神経外科、及び様々な他のものなどの様々な用途での診断及び治療のための低コストで1回使い切りの関節運動可能な内視鏡を提供する。提供される内視鏡システムは、心臓、膀胱及び肺組織を含む様々な種類の組織を含む、様々な低侵襲外科的処置、治療処置又は診断処置において、限定されるものではないが、食道、肝臓、胃、結腸、尿路を含む、消化器系、又は限定されるものではないが、気管支、肺、及び様々な他のものを含む、呼吸器系などの患者の身体の他の解剖学的領域で使用できることに留意されたい。
【0006】
[0006] 提供されるモジュール式の内視鏡構成要素及びデバイスの様々な構成要素は、心臓、膀胱及び肺組織を含む様々な種類の組織を含む、様々な低侵襲外科的処置、治療処置又は診断処置において、限定されるものではないが、食道、肝臓、胃、結腸、尿路を含む、消化器系、又は限定されるものではないが、気管支、肺、及び様々な他のものを含む、呼吸器系などの患者の身体の他の解剖学的領域で使用できることに留意されたい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007] 一態様では、関節式可撓性内視鏡が提供される。関節式可撓性内視鏡は、駆動機構を介して操縦可能である遠位先端部分と、第1の端部で遠位先端部分に接続され且つ移行インターフェースでシャフト部分に接続された屈曲セクションであって、屈曲セクションは1つ又は複数のプルワイヤにより関節運動させる、屈曲セクションと、1つ又は複数のプルワイヤを収容し、それによりシャフト部分の安定性を向上させるための1つ又は複数の荷重伝達管を含むシャフト部分とを含む。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態では、遠位先端部分は、撮像デバイスと位置センサと照明デバイスとを受け入れるための構造を含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のプルワイヤの各々は、1つ又は複数の荷重伝達管のそれぞれの荷重伝達管の管腔の内部に配置される。いくつかの実施形態では、屈曲セクションは、1つ又は複数のプルワイヤにより2つ以上の方向に屈曲させる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の荷重伝達管は、移行インターフェースにしっかりと固定され、シャフト部分の長さよりも大きい長さを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の荷重伝達管は、非線形構成を有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の荷重伝達管は、螺旋構成を有する。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態では、シャフト部分は、シャフト部分の剛性を変化させるための一体形成構造を備えた管を含む。いくつかの実施形態では、関節式可撓性内視鏡は、変形可能な作業チャネルを更に含む。いくつかの実施形態では、関節式可撓性内視鏡は、ハンドル部分を更に含み、ハンドル部分は、画像データを処理するように、遠位先端部分に位置する1つ又は複数の電子的構成要素に電力を提供するように、又は外部デバイスとの通信を確立するように構成された1つ又は複数の構成要素を含む。場合により、ハンドル部分は、ハンドル部分を器具駆動機構に結合するように構成されたインターフェースを含む。いくつかの例では、インターフェースは、電気的インターフェース及び機械的インターフェースである。場合により、ハンドル部分は、灌注システム又は吸引システムとのインターフェースをとるための機械的制御モジュールを含む。
【0010】
[0010] 別の態様では、使い捨て内視鏡が提供される。使い捨て内視鏡は、撮像デバイスと位置センサと照明デバイスとを含む遠位先端部分と、第1の端部で遠位先端部分に接続され且つ第2の端部でシャフト部分に接続された屈曲セクションであって、屈曲セクションは1つ又は複数のプルワイヤにより関節運動させる、屈曲セクションと、1つ又は複数のプルワイヤを収容し、それによりシャフト部分の安定性を向上させるための1つ又は複数の荷重伝達管を含むシャフト部分とを含む。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態では、遠位先端部分は、撮像デバイスと位置センサと照明デバイスとを受け入れるための構造を含む。いくつかの実施形態では、撮像デバイス、位置センサ、及び照明デバイスは、コンパクトな構成となるように配置される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の荷重伝達管は、シャフト部分の長さよりも大きい長さを有する。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態では、1つ又は複数のプルワイヤの各々は、1つ又は複数の荷重伝達管のそれぞれの荷重伝達管の管腔の内部に配置される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のプルワイヤは、1つ又は複数の荷重伝達管に対して移動可能である。いくつかの実施形態では、屈曲セクションは、1つ又は複数のプルワイヤにより2つ以上の方向に屈曲させる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の荷重伝達管は、非線形構成を有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の荷重伝達管は、螺旋構成を有する。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態では、シャフト部分は、シャフト部分の剛性を変化させるための一体形成構造を備えた管を含む。いくつかの実施形態では、使い捨て内視鏡は、変形可能な作業チャネルを更に含む。いくつかの実施形態では、使い捨て内視鏡は、ハンドル部分を更に含み、ハンドル部分は、画像データを処理するように、撮像デバイスと位置センサと照明デバイスとに電力を提供するように、又は外部デバイスとの通信を確立するように構成された1つ又は複数の構成要素を含む。場合により、ハンドル部分は、ハンドル部分を器具駆動機構に結合するように構成されたインターフェースを含む。いくつかの例では、インターフェースは、電気的インターフェースと機械的インターフェースを含む。いくつかの例では、機械的インターフェースは、ハンドル部分を器具駆動機構に着脱可能に結合するように構成される。
【0014】
[0014] 本開示の追加の態様及び利点は、本開示の例示的な実施形態のみが示され説明される、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになるであろう。理解されるように、本開示は他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、本開示から全く逸脱することなく、様々な明らかな点において修正が可能である。よって、図面及び説明は、本質的に例示的なものとみなされるべきであり、制限的なものとみなされるべきではない。
【0015】
参照による援用
[0015] 本明細書において言及する全ての刊行物、特許及び特許出願は、あたかも個々の刊行物、特許又は特許出願が参照により援用されるように具体的且つ個別に示されるのと同程度に、参照により本明細書に援用される。参照により援用される刊行物及び特許又は特許出願が本明細書に含まれる開示内容と矛盾する範囲で、本明細書は、そのような矛盾する事項に取って代わる及び/又は優先することが意図されている。
【0016】
図面の簡単な説明
[0016] 本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴及び利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される、例示的な実施形態を明示する以下の詳細な説明と、添付の図面(また、本明細書における「図(Figure)」及び「図(FIG.)」)とを参照することにより得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】[0017]本開示のいくつかの実施形態による、可撓性内視鏡の例を図示する。
【
図2】[0018]本発明のいくつかの実施形態による、関節運動力伝達機構を備えた内視鏡の例を示す。
【
図3A】[0019]屈曲セクションにおける1つ又は複数の荷重伝達管に組み付けられた1つ又は複数のプルワイヤの例を示す。
【
図3B】[0019]屈曲セクションにおける1つ又は複数の荷重伝達管に組み付けられた1つ又は複数のプルワイヤの例を示す。
【
図4】[0020]遠位シャフト領域及び近位シャフト領域で終端された荷重伝達管の例を示す。
【
図5】[0021]遠位シャフト領域及び近位シャフト領域で終端された荷重伝達管の例を示す。
【
図6】[0022]既存の操縦可能なカテーテルの構造の例を示す。
【
図8】[0024]本発明のいくつかの実施形態による、ロボット気管支鏡の例を示す。
【
図9】[0025]本発明のいくつかの実施形態による、ロボット気管支鏡のハンドル部分に対する機械的インターフェースを提供する器具駆動機構の例を示す。
【
図10】[0026]本発明のいくつかの実施形態による、ロボット気管支鏡の例示的なハンドル部分を示す。
【
図11】[0027]本発明のいくつかの実施形態による、例示的な操縦可能なカテーテルを示す。
【
図12】[0028]撮像デバイス及び照明デバイスが一体化されたカテーテルの例示的な遠位部分を示す。
【
図13】[0029]本発明のいくつかの実施形態による、カテーテルの遠位部分に配置された複数の電子的要素のコンパクトな構成の例を示す。
【
図14】[0030]制御リング構造に取り付けられたプルワイヤの従来の構成と本開示の新規な構成の例を示す。
【
図15】[0031]本発明のいくつかの実施形態による、ロボットカテーテルシステム用のプルワイヤの様々な構成を示す。
【
図16】[0032]本発明のいくつかの実施形態による、膨張可能な先端を備えたガイドワイヤの例を示す。
【
図17】[0033]内視鏡先端の設計の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
[0034] 本発明の様々な実施形態が本明細書で示され説明されているが、そのような実施形態が単に例として提供されているにすぎないことは当業者には明らかであろう。数多くの変形形態、変更形態、及び置換形態が、本発明から逸脱することなく、当業者に想到し得る。本明細書で説明する本発明の実施形態の様々な代替案が用いられ得ることが理解されるべきである。
【0019】
[0035] 本明細書に開示する実施形態は、改善された診断及び治療を患者に提供するために、多くの方法のうちの1つ又は複数の方法で組み合わせることができる。開示する実施形態は、例えば、肺診断、外科手術、並びに他の組織及び臓器の外科手術の既知の方法との組み合わせなどの、改善された治療を提供するために、既存の方法及び装置と組み合わせることができる。本明細書で説明する構造及びステップのいずれか1つ又は複数を、本明細書で説明する方法及び装置のいずれか1つ又は複数の追加の構造及びステップと組み合わせることができ、図面及び補足する文章が実施形態による説明を提供することを理解されたい。
【0020】
[0036] 例示的な実施形態は主に気管支鏡検査用のデバイス又はシステムを対象とするが、当業者であれば、これが限定的であるように意図されていないことを理解するであろう。また、本明細書で説明するデバイスは、他の治療処置又は診断処置のために、患者の身体の様々な解剖学的領域で使用され得る。提供されるデバイス又はシステムは、内視鏡、内視鏡と器具とを含む複合デバイス、位置特定機能を備えた内視鏡を用いる、泌尿器科、婦人科、鼻科、耳科、喉頭鏡検査、胃腸科で利用することができる。当業者であれば、これが限定的であるように意図されていないことを理解するであろう。また、本明細書で説明するデバイスは、様々なツール又は器具との組み合わせでの、神経内視鏡、脳鏡、検眼鏡、耳鏡、鼻鏡、咽頭鏡、胃鏡、食道鏡、気管支鏡、胸腔鏡、胸膜鏡、血管鏡、縦隔鏡、腎臓鏡、胃鏡、十二指腸内視鏡、胆道鏡、胆管鏡、腹腔鏡、羊水鏡、尿管鏡、子宮鏡、膀胱鏡、直腸鏡、結腸鏡、関節鏡、唾液管内視鏡、整形外科用内視鏡、及び他のものの形態で、他の治療処置又は診断処置に、脳、心臓、肺、腸、眼、皮膚、腎臓、肝臓、膵臓、胃、子宮、卵巣、精巣、膀胱、耳、鼻、口、骨髄、脂肪組織、筋肉、腺及び粘膜組織、脊髄及び神経組織、軟骨などの軟部組織、歯、骨などの生体硬組織、並びに洞、尿管、結腸、食道、肺通路、血管及び咽頭などの体腔及び通路、及び様々な他のものなどの、患者の身体の他の解剖学的領域で使用され得る。
【0021】
[0037] 本明細書におけるシステム及び装置は、改善された診断及び治療を患者に提供するために、多くの方法のうちの1つ又は複数の方法で組み合わせることができる。本明細書で提供される実施形態は、例えば、肺診断、外科手術、並びに他の組織及び臓器の外科手術の既知の方法との組み合わせなどの、改善された治療を提供するために、既存の方法及び装置と組み合わせることができる。本明細書で説明する構造及びステップのいずれか1つ又は複数を、本明細書で説明する方法及び装置のいずれか1つ又は複数の追加の構造及びステップと組み合わせることができ、図面及び補足する文章が実施形態による説明を提供することを理解されたい。
【0022】
[0038] 「少なくとも」、「よりも大きい」、又は「以上」という用語が一連の2つ以上の数値の最初の数値の前にあるときには常に、「少なくとも」、「よりも大きい」、又は「以上」という用語は、その一連の数値の各数値に適用される。例えば、1、2、又は3以上は、1以上、2以上、又は3以上と同等である。
【0023】
[0039] 「超えない」、「未満」、又は「以下」という用語が一連の2つ以上の数値の最初の数値の前にあるときには常に、「超えない」、「未満」、又は「以下」という用語は、その一連の数値の各数値に適用される。例えば、3、2、又は1以下は、3以下、2以下、又は1以下と同等である。
【0024】
[0040] 本明細書で使用される場合、遠位及び近位という用語は、概して、装置を基準とした位置を指すことがあり、解剖学的基準とは反対であり得る。例えば、主シャフト又はカテーテルの遠位位置は、患者の長尺部材の近位位置に対応し得、主シース又はカテーテルの近位位置は、患者の長尺部材の遠位位置に対応し得る。
【0025】
モジュール式の可撓性内視鏡
[0041] 本発明の一態様では、少ないコストで改善された成果を伴う可撓性内視鏡が提供される。
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、可撓性内視鏡100の例を図示している。
図1に示すように、可撓性内視鏡100は、ハンドル部分109と、対象者の内部に挿入される可撓性長尺部材とを含み得る。いくつかの実施形態では、可撓性長尺部材は、シャフト(例えば、挿入シャフト101)と、操縦可能な先端(例えば、先端105)と、操縦可能なセクション(屈曲セクション103)とを含み得る。内視鏡100は、本明細書の別の箇所で説明するように、操縦可能なカテーテル組立体と称されることもある。場合により、内視鏡100は、1回使い切りのロボット内視鏡であり得る。場合により、カテーテル組立体全体は使い捨てであり得る。場合により、カテーテル組立体の少なくとも一部分は使い捨てであり得る。場合により、内視鏡全体を器具駆動機構から取り外してもよく、廃棄することができる。いくつかの実施形態では、内視鏡は、機能的動作を改善するために、シャフトに沿って様々なレベルの剛性を有し得る。
【0026】
[0042] 内視鏡又は操縦可能なカテーテル組立体100は、画像データを処理するように、電力を提供するように、又は他の外部デバイスとの通信を確立するように構成された1つ又は複数の構成要素を含み得るハンドル部分109を含み得る。例えば、ハンドル部分は、操縦可能なカテーテル組立体100と器具駆動機構(図示せず)及び他の任意の外部システム又はデバイスとの電気的な通信を可能にする回路及び通信要素を含み得る。別の例では、ハンドル部分109は、内視鏡の電子機器(例えば、カメラ、電磁センサ及びLEDライト)に電力を提供するための電源などの回路要素を含み得る。
【0027】
[0043] ハンドルに位置する1つ又は複数の構成要素は、高価で複雑な構成要素がロボット支持システム、手持ち式コントローラ又は器具駆動機構に割り当てられ、それにより、コストが削減され、使い捨て内視鏡の設計が簡略化されるように、最適化され得る。場合により、ハンドル部分は、画像/映像データ及び/又はセンサデータを器具駆動機構の通信モジュールにより受信でき、画像/映像データ及び/又はセンサデータが他の外部デバイス/システムに送信され得るように、電気的インターフェース(例えば、プリント回路基板)を介して器具駆動機構(例えば、
図8、器具駆動機構820)と電気的に通信し得る。場合により、電気的インターフェースは、ケーブル又はワイヤなしに電気的な通信を確立し得る。例えば、インターフェースは、プリント回路基板(PCB)などの電子基板にはんだ付けされたピンを含み得る。例えば、レセプタクルコネクタ(例えば、雌コネクタ)は、嵌合インターフェースとして機器駆動機構に設けられる。これにより、有益には、余分なケーブルを利用せずに内視鏡を器具駆動機構又はロボット支持体に素早く差し込むことが可能となり得る。そのような種類の電気的インターフェースはまた、ハンドル部分が器具駆動機構に差し込まれたときに機械的結合と電気的結合の両方が確立されるように、機械的インターフェースとしての役割も果たし得る。代替として又はそれに加えて、器具駆動機構は、機械的インターフェースのみを提供し得る。ハンドル部分は、センサデータを送信するため及び/又は制御信号を受信するためにモジュール式無線通信デバイス又は他の任意のユーザデバイス(例えば、携帯型/手持ち式デバイス又はコントローラ)と電気的に通信し得る。
【0028】
[0044] 場合により、ハンドル部分109は、灌注システム/吸引システムとのインターフェースをとるためのルアー111などの1つ又は複数の機械的制御モジュールを含み得る。場合により、ハンドル部分は、関節運動制御用のレバー/ノブを含み得る。代替として、関節運動制御は、器具駆動機構を介してハンドル部分に取り付けられた別個のコントローラに位置し得る。
【0029】
[0045] 内視鏡は、器具駆動機構を介してロボット支持システム又は手持ち式コントローラに取り付けられ得る。器具駆動機構は、ロボットシステムを含んでも含まなくてもよい任意の好適なコントローラデバイス(例えば、手持ち式コントローラ)により提供され得る。器具駆動機構は、操縦可能なカテーテル組立体100に対する機械的及び電気的インターフェースを提供し得る。機械的インターフェースは、操縦可能なカテーテル組立体100が器具駆動機構に取り外し可能に結合されることを可能にし得る。例えば、操縦可能なカテーテル組立体のハンドル部分は、磁石、ばね式レベルなどの、迅速取り付け/取り外し手段を介して器具駆動機構に取り付けることができる。場合により、操縦可能なカテーテル組立体は、ツールを使用せずに手動で器具駆動機構に結合され得るか又は器具駆動機構から取り外され得る。器具駆動機構の詳細については、本明細書で後に説明する。
【0030】
[0046] 図示の例では、カテーテル又は内視鏡シャフトの遠位先端は、所望のカメラビューを提供するため又は内視鏡の方向を制御するために2以上の自由度で関節運動/屈曲させられるように構成される。例に図示するように、撮像デバイス(例えば、カメラ)、位置センサ(例えば、電磁センサ)107は、カテーテル又は内視鏡シャフトの先端105に位置する。例えば、カメラの視線は、屈曲セクション103の関節運動を制御することにより制御され得る。いくつかの例では、カメラの角度は、カテーテル又は内視鏡シャフトの遠位先端を関節運動させずに又は関節運動させることに加えて視線を調節できるように、調節可能であり得る。例えば、カメラは、最適な構成要素を用いて、内視鏡の先端の軸方向に対してある角度(例えば、傾斜)をなすように向きが定められ得る。
【0031】
[0047] 遠位先端105は、電磁(EM)センサ、撮像デバイス(例えば、カメラ)及び他の電子的構成要素(例えば、LED光源)が遠位先端に埋め込まれるなどのセンサの位置決めを可能にする剛性構成要素であり得る。
【0032】
[0048] リアルタイムの電磁追跡では、医療器具(例えば、内視鏡ツールの先端)に1つ又は複数の位置及び向きで埋め込まれた1つ又は複数のセンサコイルで構成されたEMセンサは、患者の近傍の位置に位置決めされた1つ又は複数の静電磁場発生器により作り出された電磁場の変動を測定する。EMセンサにより検出された位置情報は、EMデータとして記憶される。電磁場発生器(又は発信器)、埋め込まれたセンサが検出し得る低強度の磁場を作り出すように、患者の近傍に配置され得る。磁場は、EMセンサのセンサコイルに微弱電流を誘導し、この電流は、EMセンサと電磁場発生器との間の距離及び角度を決定するために解析され得る。例えば、電磁場発生器は、EMセンサの位置を3D空間内に位置付けるために、処置中に患者の胴体の近傍に位置決めされ得るか、又はEMセンサの位置及び向きを5D若しくは6D空間内に位置付け得る。これにより、気管支鏡を標的部位に向けて駆動するときに、操作者に視覚的案内が提供され得る。チップ設計及びチップに埋め込まれた複数の構成要素の詳細については、本明細書で後に説明する。
【0033】
[0049] 内視鏡は、シャフト構成要素に独特の設計を有し得る。場合により、内視鏡の挿入シャフトは、向上した可撓性及び望ましい剛性をもたらすように挿入シャフトの長さにわたって一連の切り込み(例えば、起伏、スリット)を組み込んだ単一の管からなり得る。シャフト設計の詳細については、本明細書で後に説明する。
【0034】
[0050] 屈曲セクション103は、2以上の自由度(例えば、関節運動)での屈曲を可能にするように設計され得る。180度及び270度などのより大きな屈曲度(又は臨床的適応の他の関節運動パラメータ)は、屈曲セクションの独特の構造により達成することができる。場合により、屈曲セクションは、モジュール式構成要素として別個に製造され、挿入シャフトに組み付けられ得る。場合により、屈曲セクションには更に、必要最小限の機能が組み込まれ、それにより、コストが削減され、信頼性が向上し得る。例えば、屈曲セクションには、挿入シャフトに対する所望の先端変位を達成するために、より大きな管撓み度を有益にもたらす切り込みパターンが組み込まれ得る。
【0035】
[0051] いくつかの実施形態では、屈曲セクション又は内視鏡は、内視鏡が安定しており且つ屈曲セクションの直感的な応答性を提供することを確実にするための関節運動力伝達機構を含み得る。
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、関節運動力伝達機構201を備えた内視鏡の例を示している。関節運動力伝達機構201は、挿入シャフト/管のボア内に位置する複数の荷重伝達管を含み得る。場合により、屈曲セクションの関節運動中の挿入管203の軸方向の圧縮/伸長(歪み)を低減するために、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の荷重伝達管が含まれ得る。荷重伝達管は、屈曲セクション及び/又はシャフトに加わる関節運動の荷重の少なくとも一部を(例えば、1つ又は複数の関節式プルワイヤを駆動するアクチュエータ又はモータを介して)ハンドルに戻るように伝達し得る。
【0036】
[0052] シャフト部分は、1つ又は複数のプルワイヤを収容するための1つ又は複数の荷重伝達管を含み得る。荷重伝達管は、関節運動の荷重を打ち消して、挿入シャフトの安定性の向上をもたらす。複数の荷重伝達管201は、シャフト管の管腔(すなわち、管のボア)内に存在し、関節運動反力を屈曲セクションからハンドル部分に伝達するように構成され得る。荷重伝達管は、屈曲セクションの関節運動反力をハンドル部分に戻るように伝達し、それにより、挿入シャフト管に加わっている関節運動力を低減するように構成される。そのような設計は、有益には、これらの関節運動力が挿入シャフト管を通して解消されることを防止し、これにより、安定したシャフトを提供し得る。本明細書で説明する伝達モダリティは、挿入シャフト管が最小限の軸方向圧縮又は伸長力しか受けず、それにより屈曲セクションの関節運動中に安定したままであることを確実にし得る。
【0037】
[0053] 荷重伝達機構の好ましい実施形態では、複数の荷重伝達管201は、挿入シャフト管203の長さよりも長くてもよい。複数の荷重伝達管201の長さは、荷重伝達管が軸方向に圧縮された状態あるときに、荷重伝達管の長さが挿入シャフト管203の長さよりも依然として長く、それにより、挿入シャフト管を介しての荷重の伝達が防止されるように決定され得る。例えば、荷重伝達管の長さは、挿入シャフトの長さよりも少なくとも0.01%、0.1%、0.2%、0.3%、1%、5%、10%長くてもよい。荷重伝達管の長さは、シャフトの内径の寸法に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。例えば、荷重伝達管は、荷重を支持/伝達するのに十分な剛性を与える螺旋構成を有し得る。
【0038】
[0054] 荷重伝達管は、シャフト管内での変位に対処できる寸法及び構成を有し得る。例えば、蛇行した解剖学的構造に追従することなどにより、挿入シャフト管203が屈曲したときに、挿入シャフト管は、挿入シャフト管のボア内に収納された構成要素の変位を生じさせ得る。この場合、荷重伝達管の余長は、有益には、シャフトの安定性を向上させる一方で、挿入シャフト管のボア内での変位に対処し得る。ハンドル部分内のコイルパイプ及びサービスループを利用し得る既存の技術と比較して、荷重伝達管のモジュール設計及び組み立てにより、有益には、シャフトの性能を損なわずにコストが削減され得る。プルワイヤがシャフトに組み込まれる他の既存の技法(
図6に示す)と比較して、提供される荷重伝達機構は、有益には、シャフトを圧縮せずに屈曲セクションからハンドルに荷重を伝達し、それにより、シャフトの安定性を向上させ得る。
【0039】
[0055] 複数の荷重伝達管は、挿入シャフト管203の近位端部207及び遠位端部205にしっかりと固定され得る。上記で説明したように、荷重伝達管は挿入シャフト管の長さよりも長いので、荷重伝達管は、屈曲により生じる変位に適応する可撓性をもたらす、非線形/非直線構成を挿入シャフト管のボア内に有し得る。例えば、1つ又は複数の荷重伝達管は、内視鏡が解剖学的構造内に留置される間に蛇行した形状に追従したときのシャフトの長さの形状変化を考慮に入れた内視鏡の主管腔内での移動を可能にする非直線(例えば、螺旋)構成を有し得る。そのような荷重伝達機構は、有益には、外側挿入シャフトからの運動の影響を弱める自然なばねとしての役割を果たし得る。
【0040】
[0056] いくつかの実施形態では、1つ又は複数の荷重伝達管は、1つ又は複数のプルワイヤを取り囲み得る。内視鏡の関節運動は、1つ又は複数のプルワイヤを介して内視鏡の遠位端部に力を加えることにより制御され得る。1つ又は複数のプルワイヤは、内視鏡の遠位端部に取り付けられ得る。複数のプルワイヤの場合、一度に1つのワイヤを引っ張ることにより、遠位先端の向きが上下左右又は必要とされる任意の方向に傾くように変化し得る。場合により、プルワイヤは、内視鏡の遠位先端にしっかりと固定されて、屈曲セクションを貫通して延在し、ハンドル内に入り得、ハンドル内で、プルワイヤは、駆動構成要素(例えば、プーリ)に結合される。このハンドルプーリは、ロボットシステムからの出力シャフトと相互作用し得る。
【0041】
[0057] いくつかの実施形態では、1つ又は複数のプルワイヤは、1つ又は複数の荷重伝達管内に位置するか又は伝達管の内部を貫通して延在し得る。
図3A及び
図3Bは、屈曲セクション301における荷重伝達管307に組み付けられた1つ又は複数のプルワイヤ305の例を示している。
図3Aに示すように、屈曲セクション301は、ステンレス鋼製のリボンで構成され得る。屈曲セクションは、小さな関節運動力に対する所望の軸方向及びねじり剛性を維持しながら所定の曲げ剛性を達成するために、他の好適な構造又は材料で形成され得る。例えば、屈曲セクションは、ねじれ安定性のための編組構造を含み得る。図示の例では、複数のプルワイヤ305は、内視鏡の先端で終端された、荷重伝達管307の管腔及び屈曲セクションを貫通して延在するか又はその内部に配置され得る。
【0042】
[0058] 例えば、駆動機構(例えば、アクチュエータ、モータ)は、屈曲セクションを関節運動させるために、プルワイヤと係合され得る。1つ又は複数の荷重伝達管は、例えば、1つ又は複数のプルワイヤを1つ又は複数の荷重伝達管の内部にそれぞれ配置することにより、関節運動の荷重(例えば、圧縮力)の少なくとも一部を屈曲セクションからハンドル又はモータに戻るように伝達するように構成され得る。関節運動中に、プルワイヤと対応する荷重伝達管との間に相対運動が生じ得る。1つ又は複数の荷重伝達管は、屈曲セクション及び/又はシャフトに加わる関節運動の荷重の少なくとも一部をハンドル(例えば、1つ又は複数の関節式プルワイヤを駆動するモータ)に戻るように伝達し得る。これにより、有益には、屈曲セクション及び/又は挿入シャフトに加わる関節運動力の少なくとも一部が低減され、それにより、挿入シャフトの安定性が向上し得る。
【0043】
[0059] 内視鏡は、屈曲セクションとシャフトとの接合境界に位置する屈曲セクション移行部303を含み得る。屈曲セクション移行部303は、内視鏡の効率的且つ簡便な組み立てを可能にし得る構造を含み得る。例えば、屈曲セクション移行部303は、荷重伝達管(例えば、ハイポチューブ)を挿入シャフトの切り欠き形状部にしっかりと固定するためのスナップ/クリップなどの機械的構成要素を含み得る。
図3Bは、屈曲セクション移行部309の別の例を示している。図示の例では、荷重伝達管は、屈曲セクション移行部309の移行リング構造に溶着することにより、挿入シャフトと屈曲セクションとの間のインターフェースにしっかりと固定され得る。これにより、有益には、シャフト部分と屈曲セクションとの間の急激な剛性変化が低減され、それにより、よじれが防止され得る。
【0044】
[0060]
図4は、遠位シャフト領域403及び近位シャフト領域405で終端された荷重伝達管401の例を示している。上記で説明したように、荷重伝達管は、挿入管のボア内に非線形/非直線構成を有し、それにより、屈曲により生じる変位に適応する可撓性がもたらされ得る。荷重伝達機構は、例に示すように、1つ又は複数の荷重伝達管を含み得る。そのような荷重伝達機構は、有益には、ハンドル部分に追加のサービスループを必要とせずに、外側挿入シャフトからの運動の影響を弱める自然なばねとしての役割を果たし得る。図示の例では、荷重伝達管の端部分は、屈曲セクション移行部407に接続(例えば、溶着)固定され得る。屈曲セクション移行部407は、挿入シャフトへの容易な組み付けのための結合構造409(例えば、スナップ構造)を含み得る。
【0045】
[0061] 場合により、1つ又は複数の荷重伝達管は、金属管材又は金属巻コイルパイプなどの材料で構成され得る。荷重伝達管の幾何学的形状及び/又は材料は、所望の軸方向及び曲げ剛性を提供するように選択/決定され得る。例えば、材料は、ステンレス鋼又はニチノールなどの金属材料、PEEKなどの硬質ポリマー、ガラス又は炭素充填PEEK、ウルテム(Ultem)、ポリスルホン、及び他の好適な材料であり得る。場合により、1つ又は複数の荷重伝達管は、荷重伝達管とプルワイヤとの相対移動(例えば、並進及び/又は回転移動)を可能にするために、プルワイヤの外径よりも大きい内径を有し得る。1つ又は複数の荷重伝達管の壁厚は、屈曲セクションの関節運動の荷重を伝達するのに必要な荷重伝達機能に基づいて決定され得る。
【0046】
[0062]
図5は、遠位シャフト領域503及び近位シャフト領域で終端された荷重伝達管501の例を示している。本明細書の別の箇所で説明するように、荷重伝達管501は、挿入シャフト(図示せず)の管腔内に且つ作業チャネル505の外に位置し得る。
【0047】
[0063]
図6は、既存の操縦可能なカテーテルの構造600の例を示している。荷重伝達管のない、既存のカテーテル設計では、1つ又は複数のプルワイヤ609は通常、挿入シャフト605及び屈曲セクション603の壁に組み込まれた導管607を貫通して延在する。カテーテルシャフトは、中立軸線と同軸の中心ボア/管腔611を有し得る。断面図に示すように、シャフトの壁又は屈曲セクションの壁は、プルワイヤを通過させるための組み込み構造(例えば、管腔、導管)を有し得る。そのような場合、シャフトは、不安定なシャフトをもたらし得る関節運動の荷重を支持し得る。
【0048】
[0064]
図7は、挿入シャフトの設計例を示している。上記で説明したように、内視鏡の挿入シャフトは、シャフト部分の剛性を変化させるための一体形成構造を備えた単一の管から構成され得る。例えば、管は、長さにわたって形成された一連の切り込み(又は起伏、スリットなど)を有し得る。管における切り込みは、遠位領域から近位領域にわたって変化する曲げ剛性を生み出すために、長さに沿って様々な輪郭/パターン701、703及び密度を有し得る。これにより、有益には、挿入シャフトにおける切り込みを制御することにより、曲げ剛性パラメータを制御することが可能となり得る。
【0049】
低コストで1回使い切りのロボット気管支鏡
[0065] 本発明の別の態様では、1回使い切りのロボット気管支鏡を提供する。ロボット気管支鏡は、本明細書の別の箇所で説明したような操縦可能なカテーテル組立体と同じものとすることができる。従来の内視鏡は設計が複雑である可能性があり、通常は、処置後に再使用されるように設計され、それらの処置は、各処置後に徹底的な洗浄、消毒又は滅菌を必要とする。既存の内視鏡は、多くの場合、内視鏡が洗浄、消毒及び滅菌プロセスに耐えることができるように、複雑な構造で設計される。提供されるロボット気管支鏡は、患者間の交差汚染及び感染を有益に抑制し得る1回使い切りの内視鏡とすることができる。場合により、ロボット気管支鏡は、予め滅菌されたパッケージで医師に届けられ、1回の使用後に廃棄されるように意図されている。
【0050】
[0066]
図8~
図10は、本発明のいくつかの実施形態による、ロボット気管支鏡の例を示している。
図8に示すように、ロボット気管支鏡820は、ハンドル部分813と可撓性長尺部材811とを含み得る。いくつかの実施形態では、可撓性長尺部材811は、シャフトと、操縦可能な先端と、操縦可能なセクションとを含み得る。ロボット気管支鏡820は、
図1で説明したような操縦可能なカテーテル組立体と同じものとすることができる。ロボット気管支鏡は、1回使い切りのロボット内視鏡であり得る。場合により、カテーテルのみは使い捨てであり得る。場合により、カテーテルの少なくとも一部分は使い捨てであり得る。場合により、ロボット気管支鏡全体を器具駆動機構から取り外してもよく、廃棄することができる。気管支鏡は、機能的動作を改善するために、気管支鏡のシャフトに沿って様々なレベルの剛性を有し得る。
【0051】
[0067] ロボット気管支鏡は、器具駆動機構820に着脱可能に結合させることができる。器具駆動機構820は、ロボット支持システムのアームに又は本明細書の別の箇所で説明したような任意の作動支持システムに装着され得る。器具駆動機構は、ロボット気管支鏡820に対する機械的及び電気的インターフェースを提供し得る。機械的インターフェースは、ロボット気管支鏡820が器具駆動機構に着脱可能に結合されることを可能にし得る。例えば、ロボット気管支鏡のハンドル部分は、磁石及びばね式レベルなどの、迅速取り付け/取り外し手段を介して器具駆動機構に取り付けることができる。場合により、ロボット気管支鏡は、ツールを使用せずに手動で器具駆動機構に結合され得るか又は器具駆動機構から取り外され得る。
【0052】
[0068]
図9は、ロボット気管支鏡のハンドル部分913に対する機械的インターフェースを提供する器具駆動機構920の例を示している。例に示すように、器具駆動機構920は、カテーテルの1組のプルワイヤを回転駆動するように作動させる1組のモータを含み得る。カテーテル組立体のハンドル部分913は、ハンドル部分913のプーリ組立体が1組のモータにより駆動されるように、器具駆動機構に装着され得る。プーリの数は、プルワイヤの構成によって異なり得る。場合により、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のプルワイヤが、カテーテルを関節運動させるために利用され得る。
【0053】
[0069] ハンドル部分は、ロボット気管支鏡を低コストで使い捨てできるように設計され得る。例えば、従来型の手動及びロボット気管支鏡は、気管支鏡のハンドルの近位端部にケーブルを有し得る。ケーブルは、多くの場合、照明ファイバ、カメラビデオケーブル、他のセンサファイバ又は電磁(EM)センサなどのケーブル、又は形状感知ファイバを含む。このような複雑なケーブルは、気管支鏡のコストに加えてコストがかかる可能性がある。提供されるロボット気管支鏡は、機械的及び電気的機能を保ちながら、簡略化された構造及び構成要素を利用できるように、最適化された設計を有し得る。場合により、ロボット気管支鏡のハンドル部分は、カテーテルに対する機械的/電気的インターフェースを提供する一方で、ケーブルのない設計を採用し得る。
【0054】
[0070]
図10は、本発明のいくつかの実施形態による、ロボット気管支鏡の例示的なハンドル部分1000を示している。場合により、ハンドル部分1000は、ハウジングであり得るか、又は画像データを処理するように、電力を提供するように、若しくは他の外部デバイスとの通信を確立するように構成された構成要素を含み得る。場合により、通信は、無線通信であり得る。例えば、無線通信は、Wi-Fi、電波式通信、Bluetooth、IR通信、又は他の種類の直接通信を含み得る。そのような無線通信能力は、プラグアンドプレイ方式でロボット気管支鏡機能を可能にし、1回の使用後に簡便に廃棄することができる。場合により、ハンドル部分は、ロボット気管支鏡又はカテーテル内に配置された電子機器(例えば、カメラ及びLED光源)に電力を供給するための電源などの回路要素を含み得る。
【0055】
[0071] ハンドル部分は、ケーブル又はファイバを排除できるように、カテーテルと併せて設計され得る。例えば、カテーテル部分は、器具がロボット気管支鏡を通過することを可能にする単一の作業チャネル、並びにチップオンティップ(chip-on-tip)カメラなどの低コストの電子機器、発光ダイオード(LED)などの照明源、及びカテーテルの機械的構造に応じて最適な位置に位置するEMセンサを有する設計を採用し得る。これにより、ハンドル部分の設計の簡略化が可能となり得る。例えば、照明にLEDを使用することにより、ハンドル部分における終端は、電気はんだ付け又はワイヤ圧着のみに基づくことができる。例えば、ハンドル部分は、近位基板がハンドル部分のインターフェースに接続して器具駆動機構への電気的接続を確立する一方で、カメラケーブル、LEDケーブル及びEMセンサケーブルが終端する近位基板を含み得る。上記で説明したように、器具駆動機構は、ロボットアーム(ロボット支持システム)に取り付けられ、ハンドル部分に対する機械的及び電気的インターフェースを提供する。これにより、有利には、組み立て及び実装の効率が改善され、製造プロセス及びコストが簡素化され得る。場合により、ハンドル部分はカテーテルと一緒に、1回の使用後に廃棄され得る。
【0056】
1回使い切りの操縦可能なカテーテル
[0072]
図11は、本発明のいくつかの実施形態による、例示的な操縦可能なカテーテル1100を示している。いくつかの実施形態では、カテーテルは、1つ又は複数の構成要素がカテーテルと一体であり得る実質的に一体の設計を有し得、それにより、操縦可能なカテーテルの運動学的な動的性能を保ちながら、組み立て、製造プロセスを簡略化する。例に示すように、操縦可能なカテーテルは、検査対象の組織及び/又は領域に近接させる長尺部材1101又はプロービング部分を含み得る。長尺部材1101は、場合により、カテーテルと称されることもある。カテーテル1101は、本明細書の別の箇所で説明したようなツールが挿通されることを可能にする作業チャネル1103などの内部構造を含み得る。場合により、作業チャネルは、標準ツールとの適合性を有するように、約2mmの直径などの寸法を有し得る。
【0057】
[0073] カテーテル1101は、所望の可撓性又は曲げ剛性に好適な材料で構成され得る。場合により、カテーテルの材料は、実質的に可撓性を有する(例えば、様々な方向及び向きに屈曲することができる)のみならず内部構造(例えば、作業チャネル)に対する構造的支持も維持し得るように選択され得る。例えば、カテーテルは、プロビスタ 共重合体(Provista Copolymer)、ビニル(ポリ塩化ビニルなど)、ナイロン(ベスタミド、グリルアミドなど)、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、シリコンエラストマー、アセテートなどの任意の好適な材料で作製することができる。場合により、材料は、ポリマー材料、生体適合性ポリマー材料であり得、カテーテルは、対象者に痛みを生じさせることなく曲率の小さな経路を通って前進するのに十分な可撓性を有し得る。場合により、カテーテルは、シースを含み得る。シースは、カテーテルと同じ長さでなくてもよい。シースは、所望の支持を提供するようにカテーテルよりも短くてもよい。代替として、カテーテルは、実質的に単一部品の構成要素であり得る。
【0058】
[0074] 場合により、カテーテルの遠位部分又は先端は、1つ又は複数の方向(例えば、ピッチ、ヨー)に操縦され得るように、実質的に可撓性を有し得る。カテーテルは、
図1~
図5で説明するものと同じ先端部分、屈曲セクション及び挿入シャフトを含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルは、長手軸線方向に沿って変化する曲げ剛性を有し得る。例えば、カテーテルは、異なる曲げ剛性(例えば、可撓性、半剛性、及び剛性)を有する複数のセグメントを含み得る。曲げ剛性は、異なる剛性/硬性を有する材料を選択すること、異なるセグメントにおいて構造を変化させること(例えば、切り込み、パターン)、追加の支持構成要素を加えること、又は上記の任意の組み合わせにより変化させ得る。場合により、カテーテルの近位端部は、大きく曲げる必要がなく、したがって、カテーテルの近位部分は、より大きな曲げ剛性を実現するために追加の機械的構造(例えば、追加の材料層)を用いて補強され得る。そのような設計は、カテーテルに支持及び安定性を提供し得る。場合により、変化する曲げ剛性は、カテーテルの押出成形中に異なる材料を使用することにより実現され得る。押出成形中の異なる材料の使用により、有利には、異なる材料の更なる締結又は組み付けなしに、押出製造プロセスにおいてカテーテルのシャフトに沿って異なる剛性度がもたらされ得る。
【0059】
[0075] カテーテルの遠位部分は、1つ又は複数のプルワイヤ1105により操縦され得る。カテーテルの遠位部分は、プルワイヤにより曲げることができるように、コポリマー、ポリマー、金属、又は合金などの任意の好適な材料で作製され得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のプルワイヤ1105の近位端部又は近位部分は、カテーテル組立体のハンドル部分内の様々な機構(例えば、ギヤ、プーリなど)に動作可能に結合され得る。プルワイヤ1105は、金属ワイヤ、ケーブル若しくは細線であり得るか、又はポリマーワイヤ、ケーブル若しくは細線であり得る。プルワイヤ1105はまた、天然若しくは有機材料又は天然若しくは有機繊維で作製することができる。プルワイヤ1105は、変形、著しい変形又は破損なしに様々な種類の荷重を支持することが可能な任意の種類の好適なワイヤ、ケーブル又は細線とすることができる。1つ又は複数のプルワイヤ1105の遠位端部又は遠位部分は、カテーテルの遠位部分にしっかりと固定されるか又は一体化され得、その結果、制御ユニットによるプルワイヤの操作により、少なくともカテーテルの遠位部分(例えば、可撓性セクション)を(例えば、上、下、ピッチ、ヨー、又はそれらの方向の間の任意の方向に)操縦するか又は関節運動させ得る力又は張力が遠位部分に加わり得る。
【0060】
[0076] 上記で説明したように、プルワイヤは、ステンレス鋼(例えば、SS316)、金属、合金、ポリマー、ナイロン又は生体適合性材料などの任意の好適な材料で作製され得る。プルワイヤは、ワイヤ、ケーブル、又は細線であり得る。いくつかの実施形態では、異なるプルワイヤは、プルワイヤの耐荷重能力に変化させるために異なる材料で作製され得る。いくつかの実施形態では、プルワイヤの異なるセクションは、プルに沿って剛性及び/又は耐荷重性を変化させるために異なる材料で作製され得る。いくつかの実施形態では、プルワイヤは、電気信号の伝送に利用され得る。プルワイヤは、本明細書の別の箇所で説明したように、1つ又は複数の荷重伝達管の管腔を貫通して延在し得る。
【0061】
[0077] カテーテルは、1つ又は複数の電子的構成要素をカテーテルに一体化させることができるような寸法を有し得る。例えば、遠位先端の外径は、約4~4.4ミリメートル(mm)であり得、作業チャネルの直径は、1つ又は複数の電子的構成要素がカテーテルの壁内に埋め込まれ得るように約2mmであり得る。しかしながら、異なる用途に基づいて、外径は、4mmよりも小さい又は4.4mmよりも大きい任意の範囲とすることができ、作業チャネルの直径は、ツールの寸法又は特定の用途に応じて任意の範囲とすることができることに留意されたい。
【0062】
[0078] 1つ又は複数の電子的構成要素は、撮像デバイス、照明デバイス、又はセンサを含み得る。いくつかの実施形態では、撮像デバイスは、ビデオカメラ1113であり得る。撮像デバイスは、画像データを撮影するための光学要素及び画像センサを含み得る。画像センサは、光の波長に応答して画像データを生成するように構成され得る。相補型金属酸化膜半導体(CMOS)又は電荷結合素子(CCD)などの画像データを撮影するために、様々な画像センサが用いられ得る。撮像デバイスは、安価なカメラであり得る。場合により、画像センサは、回路基板上に設けられ得る。回路基板は、撮像プリント回路基板(PCB)であり得る。PCBは、画像信号を処理するための複数の電子的要素を含み得る。例えば、CCDセンサ用の回路は、CCDセンサにより提供されたアナログ信号を増幅及び変換するためのA/D変換器及び増幅器を含み得る。任意選択的に、画像センサは、回路基板が必要でないように、アナログ信号をデジタル信号に変換するための増幅器及び変換器と一体化され得る。場合により、画像センサ又は回路基板の出力は、画像データ(デジタル信号)であり得、カメラ回路又はカメラのプロセッサにより更に処理することができる。場合により、画像センサは、光学センサのアレイを含み得る。
【0063】
[0079] 照明デバイスは、遠位先端に位置決めされた1つ又は複数の光源1111を含み得る。光源は、発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、量子ドット、又は他の任意の好適な光源であり得る。場合により、光源は、コンパクト設計用の小型LED又はデュアルトーンフラッシュLED照明であり得る。
【0064】
[0080] 撮像デバイス及び照明デバイスは、カテーテルに一体化され得る。例えば、カテーテルの遠位部分は、少なくとも撮像デバイス及び照明デバイスの寸法と一致する好適な構造を含み得る。撮像デバイス及び照明デバイスは、カテーテルに埋め込まれ得る。
図12は、撮像デバイス及び照明デバイスが一体化されたカテーテルの例示的な遠位部分を示している。カメラは、遠位部分に位置し得る。遠位先端は、カメラ、照明デバイス及び/又は位置センサを受け入れるための構造を有し得る。例えば、カメラは、カテーテルの遠位先端における空洞1210に埋め込まれ得る。空洞1210は、空洞の遠位部分と一体に形成され得、カメラがカテーテルに対して移動しないように、カメラの長さ/幅と一致する寸法を有し得る。カメラは、組織又は臓器に対する近視野を提供するために、カテーテルの作業チャネル1220に隣接し得る。場合により、撮像デバイスの姿勢又は向きは、カテーテルの回転運動(例えば、ロール)を制御することにより制御され得る。
【0065】
[0081] カメラへの電力は、有線ケーブルにより提供され得る。場合により、ケーブルワイヤは、カテーテルの遠位先端における照明要素又は他の回路のみならず、カメラにも電力を提供するワイヤ束内に位置し得る。カメラ及び/又は光源には、ワイヤ、銅線を介して、又はカテーテルの長さにわたって延在する他の任意の好適な手段を介して、ハンドル部分に位置する電源から電力が供給され得る。場合により、組織又は臓器のリアルタイム画像又は映像は、外部ユーザインターフェース又はディスプレイに無線送信され得る。無線通信は、WiFi、Bluetooth、RF通信、又は他の形式の通信であり得る。場合により、カメラにより撮影された画像又は映像は、複数のデバイス又はシステムにブロードキャストされ得る。場合により、カメラからの画像及び/又は映像データは、ワイヤ、銅線、又は他の任意の好適な手段を介して、カテーテルの長さに沿って、ハンドル部分内に位置するプロセッサに送信され得る。画像又は映像データは、ハンドル部分内の無線通信構成要素を介して外部デバイス/システムに送信され得る。場合により、システムは、ワイヤが視認可能でないように又は操作者に対して露出されないように設計され得る。
【0066】
[0082] 従来の内視鏡検査では、照明光は、内視鏡の近位端部に位置する光源の光をロボット内視鏡の遠位端部に伝送するファイバケーブルにより提供され得る。本開示のいくつかの実施形態では、設計の複雑さを軽減するために、小型LEDライトが用いられ、カテーテルの遠位部分に埋め込まれ得る。場合により、遠位部分は、小型LED光源の寸法と一致する寸法を有する構造1230を含み得る。図示の例に示すように、2つの空洞1230は、2つのLED光源を受け入れるようにカテーテルと一体に形成され得る。例えば、遠位先端の外径は、約4~4.4ミリメートル(mm)であり得、カテーテルの作業チャネルの直径は、2つのLED光源が遠位端部に埋め込まれ得るように約2mmであり得る。外径は、4mmよりも小さい又は4.4mmよりも大きい任意の範囲とすることができ、作業チャネルの直径は、ツールの寸法又は特定の用途に応じて任意の範囲とすることができる。任意の数の光源が含まれ得る。遠位部分の内部構造は、任意の数の光源に適合するように設計され得る。
【0067】
[0083] 場合により、LEDの各々は、近位ハンドルまで延在する電源ワイヤに接続され得る。いくつかの実施形態では、LEDは、後に束になって1本の撚線を形成する別々の電源ワイヤにはんだ付けされ得る。いくつかの実施形態では、LEDは、電力を供給するプルワイヤにはんだ付けされ得る。他の実施形態では、LEDは、1対の電源ワイヤに直接圧着又は接続され得る。場合により、生体適合性接着剤の薄層などの保護層は、光の放出を許容しつつ保護を提供するために、LEDの前面に貼り付けられ得る。場合により、追加のカバー1231は、遠位先端の前端面に配置されて、LEDの正確な位置決めと接着剤のための十分な空間とを提供し得る。カバー1231は、照明光が遮られないように、接着剤の屈折率と一致する透明材料で構成され得る。
【0068】
[0084] いくつかの実施形態では、1つ又は複数のセンサは、カテーテルの遠位部分内に埋め込まれ得る。従来のロボット気管支鏡では、先端位置を追跡するためにセンサが使用される場合があり、これらのセンサは、通常は遠位先端に位置し、それにより、先端の大型化をもたらす。提供される操縦可能なカテーテルは、1つ又は複数の電子的構成要素を束にしてコンパクトな設計を提供し得る。場合により、照明光源及び1つ又は複数の位置センサは、組み合わされて束になり得る。
図13は、遠位部分に位置する電子的要素のコンパクトな構成の例を示している。いくつかの実施形態では、電磁(EM)センサなどの位置センサは、カテーテルの遠位先端の位置を正確に追跡するために使用され得る。例えば、遠位端部に位置する電磁コイル1310は、カテーテルを解剖学的システム(例えば、解剖学的管腔網)内に配置する間にカテーテルの遠位先端の位置及び向きを検出するために、電磁追跡システムとともに使用され得る。場合により、コイルは、異なる軸線に沿った電磁場に対する感度を提供するように角度が付けられ、6自由度(3つの位置自由度及び3つの角度自由度)を測定する能力を開示の誘導案内システムに与え得る。
【0069】
[0085] 場合により、1つ又は複数のEMセンサ1310は、遠位部分に位置し得、照明光源1320(例えば、LED)に隣接して又はその後ろに立体的構成で配置され得る。場合により、EMセンサ及びLED光源は、束1300を形成し得る。EMセンサの電源ケーブルは、LEDのワイヤと束になって、空間の削減と複雑さの軽減とをもたらし得る。場合により、立体的な位置合わせによって、カテーテル遠位先端の正確な位置決め及び向き感知を可能にする示差5D測定又は融合6D測定が行われ得る。処置中に、患者の胴体の隣、下方又は上方に位置決めされた電磁場発生器は、EMセンサの位置を特定し、それにより、カテーテル先端の位置をリアルタイムで追跡し得る。
【0070】
プルワイヤの構成及び設計
[0086] ロボット気管支鏡は、カテーテルの関節運動を制御するための1つ又は複数のプルワイヤを含み得る。従来の内視鏡では、1つ又は複数のプルワイヤの遠位端部又は遠位部分は、制御リングにしっかりと固定されるか又は装着され得、その結果、制御ユニットによるプルワイヤの操作により、カテーテルの特定のセクション又は部分(例えば、遠位セクション)を(例えば、上、下、ピッチ、ヨー、又はそれらの方向の間の任意の方向に)操縦するか又は関節運動させ得る力又は張力が制御リングに加わり得る。
図14は、制御リング構造1411に取り付けられたプルワイヤ1413の従来の構成と本開示の新規な構成1420の例を示している。制御リングは、カテーテル1415の遠位端部に取り付けられ得る。通常、プルワイヤの先端は、制御リング1411に溶着又ははんだ付けされ、制御リングはまた、溶着により遠位先端に取り付けられ得る。溶接プロセスは、コストがかかり、面倒であり、複雑である可能性がある。その上、1つのプルワイヤが断線した又は正常に機能しない場合には、操縦制御機能全体が影響を受ける場合がある。
【0071】
[0087] 提供されるロボット気管支鏡は、個別に制御されるプルワイヤを含み得、プルワイヤの各々は、遠位部分に直接接続される。例1420に示すように、1つ又は複数のプルワイヤ1423は、遠位部分の一体形成構造1421に取り付けられ得る。例えば、一体形成構造1421は、遠位先端と共に成形される溝であり得る。溝は、遠位端部においてプルワイヤを簡便に圧着できるように、プルワイヤの遠位端部1421の寸法と一致する寸法又はサイズを有し得る。これにより、有利には、組み立て効率が改善され得る。いくつかの例では、プルワイヤは、プルワイヤの遠位端部がカテーテルの遠位部分に対して移動できないように、プルワイヤを遠位端部の溝に強固に固定され得る。
【0072】
[0088] プルワイヤ構成はまた、遠位部分を操縦する際の信頼性の向上をもたらし得る。例えば、各プルワイヤは、遠位部分に個別に接続されて個別に制御されるので、関節運動力は、異なるプルワイヤ構成に応じて動的に調節され得る。例えば、関節運動力が再計算され得、プルワイヤを制御するための制御信号は、プルワイヤが断線した場合に、利用可能なプルワイヤに基づいて動的に調節され得る。
【0073】
[0089] また、遠位部分へのプルワイヤの簡便な組み付けにより、プルワイヤ構成を設計する上での自由度が与えられ得る。例えば、プルワイヤの数又は組み合わせは、異なる性能又は設計要件を満たすように動的に選択又は調節することができる。
図15は、ロボットカテーテルシステム用のプルワイヤの様々な構成を示している。いくつかの実施形態では、プルワイヤを受け入れるための一体構造(溝)は、予め加工され得る。例えば、4つの溝がカテーテルと一体に形成され得、1つ又は複数のプルワイヤは、異なる構成1510、1530を形成するために複数の溝から選択された1つ又は複数の溝に固定接続/固定圧着され得る。例に示すように、任意の数の溝/スロット又は任意の所与のサブセットの溝/スロットは、一端部においてプルワイヤを受け入れるか又はプルワイヤに結合するように選択することができる。場合により、スロット/溝の組み合わせが、対応するプルワイヤに結合されるように選択された時点で、プルワイヤ構成パターンが形成され得、選択された溝/スロットとプルワイヤとのマッピング関係が、制御ユニットに送信され得る。次いで、制御信号は、所望の関節運動力を達成するために、マッピング関係に基づいて関節運動中に生成され得る。
【0074】
[0090] 別の例では、予め加工された溝は、様々な構成を有し得る。例えば、3本プルワイヤ構成1520は、約120°離れた3つの溝を有し得る。場合により、仮想マッピングアルゴリズムは、3本ワイヤ構成を4本ワイヤ構成にマッピングし得る。仮想マッピングアルゴリズムはまた、1つ又は複数のプルワイヤが動作中に正常に機能していない/断線した場合に、新たなマッピング関係を更新するために利用することができる。プルワイヤ構成のかかる一体の設計は、有利には、カテーテルの運動学的な動的性能を保ちながら、組み立て、製造プロセスを簡略化する。
【0075】
膨張可能な先端を備えたガイドワイヤ
[0091] いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、気管支鏡検査操作中に使用され得る。ガイドワイヤは通常、まず所望の気道に進入するように気管支鏡の先端をはるかに越えて挿入され、次いで、気管支鏡がガイドワイヤ上を摺動して選択された通路内に入ることを可能にし得る。ガイドワイヤの直径が気管支鏡の直径と比較して小さいので、ガイドワイヤは、ガイドワイヤを気道内にしっかりと固定するのに十分な剛性及び/又は十分な摩擦力を有しない場合がある。
【0076】
[0092] 本開示のガイドワイヤは、拡張可能な外径特徴部を先端に有し得る。
図16は、膨張可能な先端を備えたガイドワイヤ1600の例を示している。ガイドワイヤ1601は、肺内の気道での誘導案内を補助するために、カテーテル/気管支鏡の作業チャネルに挿通され得る。場合により、ガイドワイヤは、カテーテルの先端を越えて所望の気道内まで延出させ得、次いで、カテーテルは、ガイドワイヤ上を摺動して所望の位置に達し得る。膨張可能な先端は、様々な好適な方法を使用して実装することができる。例えば、拡張可能なバルーンなどの追加の構成要素1603は、ガイドワイヤの遠位端部又はその近傍に位置決めされ得る。バルーンは、バルーンの膨張又は収縮のためのバルーン膨張源又はポンプに作業チャネルを通して接続され得る。
【0077】
[0093] 場合により、ガイドワイヤは、穿孔を含み得る。収縮させたバルーンの直径は、長尺アーム(例えば、気管支鏡用カテーテル)の直径と等しくてもよい。場合により、収縮させたバルーンの直径は、長尺アームよりも僅かに大きくてもよい。ガイドワイヤは、遠位側又は近位側に移動することが可能であり得る。ガイドワイヤは、結果として、バルーンをそれぞれ膨張及び収縮させる、ガイドワイヤへの空気の注入及びガイドワイヤからの空気の抜き取りのために、空気ポンプに取り付けられ得る。気道へのガイドワイヤの挿入中に、バルーンは収縮したままであり得る。適切な場所に達する間に、バルーンは、空気を送り込むことにより膨張させる。気管支鏡が所望の前方位置に達した時点で、ガイドワイヤが前方に移動することを可能にし得る、空気の排出によりバルーンを収縮させ得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な先端は、その対応する膨張及び収縮制御機構と共に、形状記憶合金(SMA)、電気活性ポリマー(EAP)、及び強磁性流体などの、材料を使用して折り畳み可能なメッシュ構造で作製することができる。固定要素は、ガイドワイヤのしっかりとした固定を確実にするために他の任意の形態を有することができる。例えば、固定要素は、径方向に拡張又は折り畳み可能である金属ワイヤであり得る。固定要素は、固定要素の位置を変化させるために、特に固定要素を展開させるか又は折り畳み位置に戻すために直線的に摺動させるスライドアクチュエータにより作動させ得る。アクチュエータの摺動動作は、固定要素の位置(状態)の変化に変換され得る(例えば、固定要素は、展開し径方向に拡張して、ガイドワイヤを適所にしっかりと固定する構造を提供するか、又は逆に、固定要素は、径方向に収縮して折り畳み状態に戻される。
【0078】
[0094]
図17は、カテーテル先端設計1701の別の例を示している。図示の例では、先端1701は、屈曲セクション1702及び/又はシャフト1703の直径よりも大きい直径を有し得る。作業チャネル1708は、変形可能(例えば、拡張可能/押し潰し可能)であり得る。作業チャネル1708は、可変寸法を有する器具を収容できる弾性材料(例えば、プラスチック)で形成され得る。例えば、生検器具、治療器具、エネルギーデバイスなどのより大きな器具は、作業チャネル1708に挿通されたときに、作業チャネルの先端部分を拡張させ得る。
【0079】
[0095] 第1の例1710では、LED光源又は導光体は、内視鏡が標的位置に達した後に、取り換えることができる。第2の例1712では、LED光源1711は、先端に埋め込まれ得る。第3の例1713では、LED光源は、導光体が取り外し可能であり得る一方で、先端に埋め込まれ得る。先端は、本明細書の別の箇所で説明したように、カメラ1707などの他の電子的構成要素を含み得る。内視鏡はまた、本明細書の別の箇所で説明したようなハンドルと同様のハンドル部分1704を含み得る。例えば、ハンドル部分は、様々な機能のためのルアー1705及び電気的インターフェース1706を含み得る。
【0080】
[0096] 本発明の好ましい実施形態が本明細書で示され説明されているが、そのような実施形態が単に例として提供されているにすぎないことは当業者には明らかであろう。ここで、数多くの変形形態、変更形態、及び置換形態が、本発明から逸脱することなく、当業者に想到するであろう。本明細書で説明する本発明の実施形態の様々な代替案が、本発明を実施する際に用いられ得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定することと、この特許請求の範囲内の方法及び構造、並びにそれらの同等物が、特許請求の範囲により網羅されることが意図されている。