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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】熱管理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20250324BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20250324BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20250324BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H05K7/20 F
G06F1/20 C
G06F1/20 B
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022549819
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 US2021019920
(87)【国際公開番号】W WO2021174006
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-11-10
(31)【優先権主張番号】62/983,243
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517182930
【氏名又は名称】ネオグラフ ソリューションズ,リミティド ライアビリティ カンパニー
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】キーン,リンジー
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン,ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】アレン,ジョン シー.
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニアン,プラシャンス
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-028880(JP,A)
【文献】特開2015-084402(JP,A)
【文献】特開2009-111003(JP,A)
【文献】特開2019-075507(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0270746(US,A1)
【文献】Brett Trimmer,Current Trends inFlexible Graphite for Cooling Advanced Consumer Electronics,Electronics Cooling,米国,2020年02月19日,https://www.electronics-cooling.com/2020/02/current-trends-in-flexible-graphite-for-cooling-advanced-consumer-electronics/#_ednref1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H05K 7/20
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.少なくとも100μmの厚さ、1000W/mKを超える面内熱伝導率、及び6W/mK以下の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイトの第1の要素と、
b.前記第1の要素に隣接する絶縁材料の第2の要素であって、0.05W/mK以下の面貫通熱伝導率を有する、第2の要素と
を含
前記絶縁材料の第2の要素は、エアロゲル及び延伸ポリテトラフルオロエチレンの多孔質ポリマーマトリックスを含む、熱管理システム。
【請求項2】
前記可撓性グラファイトの第1の要素は、モノリシック層を含む、請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項3】
前記絶縁材料の第2の要素の厚さは、2mm未満である、請求項1又は2に記載の熱管理システム。
【請求項4】
記絶縁材料の第2の要素は、アクリル接着剤、シリコーン接着剤、又は両面接着テープによって前記可撓性グラファイトの第1の要素に接着されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱管理システム。
【請求項5】
前記可撓性グラファイトの第1の要素の表面積は、前記絶縁材料の第2の要素の表面積よりも少なくとも1.1倍大きい、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱管理システム。
【請求項6】
前記絶縁材料の第2の要素の厚さは、前記可撓性グラファイトの第1の要素の厚さの10倍以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱管理システム。
【請求項7】
a.熱源と、
b.外部表面と、
c.前記熱源と前記外部表面との間に位置し、前記熱源と熱連通している、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱管理システムと
を含む、電子デバイス。
【請求項8】
前記外部表面又は前記熱源のうちの少なくとも1つと前記熱管理システムとの間に空隙をさらに含む、請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記外部表面の一部は、前記熱管理システムと物理的に接触している、請求項7又は請求項8に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記熱源は、前記熱管理システムの少なくとも一部と物理的に接触している、請求項7~9のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記熱管理システムの前記絶縁材料の第2の要素は、前記熱源に面するように向いている、請求項7~10のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記熱管理システムの前記可撓性グラファイトの第1の要素は、前記熱源に面するように向いている、請求項7~10のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項13】
a.少なくとも100μmの厚さ、少なくとも1000W/mKの面内熱伝導率、及び6W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイトの第1の要素と、
b.前記可撓性グラファイトの第1の要素に隣接する絶縁材料の第2の要素であって、0.05W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する絶縁材料の第2の要素と、
c.少なくとも100μmの厚さ、少なくとも1000W/mKの面内熱伝導率、及び6W/mK以下の面貫通熱伝導率を有する、前記第2の要素に隣接する可撓性グラファイトの第3の要素と
を含
前記絶縁材料の第2の要素は、エアロゲル及び延伸ポリテトラフルオロエチレンの多孔質ポリマーマトリックスを含む、熱管理システム。
【請求項14】
前記可撓性グラファイトの第1の要素又は前記可撓性グラファイトの第3の要素のうちの少なくとも一方又は両方が、モノリシックである、請求項13に記載の熱管理システム。
【請求項15】
前記絶縁材料の第2の要素の厚さは、2mm未満である、請求項13又は請求項14のいずれかに記載の熱管理システム。
【請求項16】
前記絶縁材料の第2の要素は、アクリル接着剤、シリコーン接着剤、又は両面接着テープによって前記可撓性グラファイトの第1の要素に接着されている、請求項13~15のいずれか一項に記載の熱管理システム。
【請求項17】
前記可撓性グラファイトの第1の要素、前記可撓性グラファイトの第3の要素、又はその両方のうちの少なくとも1つの表面積が、前記絶縁材料の第2の要素の表面積よりも少なくとも1.1倍大きい、請求項13~16のいずれか一項に記載の熱管理システム。
【請求項18】
前記絶縁材料の第2の要素の厚さが、前記可撓性グラファイトの第1の要素又は前記可撓性グラファイトの第3の要素のうちの最も厚い厚さの10倍までである、請求項13~17のいずれか一項に記載の熱管理システム。
【請求項19】
a.熱源と、
b.外部表面と、
c.前記熱源と前記外部表面との間に配置される、請求項13~18のいずれか一項に記載の熱管理システムと
を含む、電子デバイス。
【請求項20】
前記熱管理システムの少なくとも一方の側に空隙が存在する、請求項19に記載の電子デバイス。
【請求項21】
前記外部表面は、前記熱管理システムの少なくとも一部と物理的に接触している、請求項19又は請求項20のいずれかに記載の電子デバイス。
【請求項22】
前記熱源は、前記熱管理システムの少なくとも一部と物理的に接触している、請求項19~21のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項23】
前記システムは、少なくとも100μmの厚さ、少なくとも1000W/mKの面内熱伝導率、及び6W/mK以下の面貫通熱伝導率を有し、前記第2の要素に隣接する可撓性グラファイトの第3の要素をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願を相互参照
本出願は、2020年2月28日出願の米国仮出願第62/983,243号の優先権を主張するものであり、内容を参照することにより組み込まれる。
【0002】
本発明は、熱管理システム及び熱管理システムを備えた電子デバイスに関する。具体的には、一実施形態において、本開示は、第1の要素と、第1の要素に隣接する第2の要素と、第2の要素に隣接し、第1の要素に対向する任意の第3の要素とを含む熱管理システムに関する。第1の要素及び任意の第3の要素は、同じ又は異なる物理的特性を有する可撓性グラファイト物品を含む。第2の要素は、限定されるものではないが、エアロゲル等の絶縁材料を含む。
【背景技術】
【0003】
携帯電話、「ネットブック」と呼ばれることもある小型ラップトップコンピュータ、又は「スマートフォン」と呼ばれることもある電子又はデジタルアシスタント等の、処理速度、表示解像度、デバイスフィーチャー(カメラ等)、高周波数を増大させる、高度な電子デバイスの開発に伴って、相対的に、高温となる。実際に、電子及び電気コンポーネント及びシステムにおいて、同様に、高電力光学デバイス等の他のデバイスにおいて、マイクロプロセッサや集積回路等の複雑な電力要件を有し、かつ別の技術的進歩を示す小型デバイスに対する要望に伴って、熱管理はより重要である。マイクロプロセッサ、集積回路、ディスプレイ、カメラ(特に、集積フラッシュを有するもの)、及び他の複雑な電子コンポーネントは、典型的には、ある範囲の閾値温度下でのみ効率的に動作する。これらのコンポーネントの動作中に発生する過剰な熱は、それ自体の性能を損なうだけでなく、他のコンポーネント、特に隣接するコンポーネント、及びシステム全体の性能及び信頼性を低下させる可能性もあり、システム故障を引き起こす可能性さえある。電子システムが動作すると予想される極端な温度を含む、広範囲の環境条件は、これらの悪影響を深刻なものにさせる。
【0004】
加えて、発熱コンポーネントの存在は、ホットスポット、すなわち、周囲の領域よりも高温の領域を作り出す。これは、プラズマディスプレイパネル、OLED、又はLCD等のディスプレイにおいて確かに当てはまり、コンポーネントや生成される画像の性質によって生じる温度差が、熱ストレスを引き起こし、デバイスの所望の動作特性及び寿命を低減する。他の電子デバイスにおいては、ホットスポットが周囲のコンポーネントに悪影響を及ぼす可能性があり、ユーザの膝にあるラップトップケースの底部、キーボード上のタッチポイント、又は携帯電話やスマートフォンの背面等のホットスポット等、ユーザに不快感をもたらす可能性もある。これらの状況では、デバイスによって生成される総熱量は極端ではないので、熱放散は必要とされない場合があるが、ホットスポットからの熱がデバイスに均一に拡散される場合には、ホットスポットを低減又は排除するために、熱拡散が必要とされる場合がある。
【0005】
このように、電子デバイスがより複雑になり、より多くの熱、特にホットスポットを生じるにつれて、熱管理は、電子デバイスの設計のますます重要な要素になっている。従って、当技術分野において、ホットスポットを低減又は排除するために、電子デバイスにおいて、発生する熱を管理するために使用することができる有効な熱管理システムが尚必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第9,267,745号明細書
【文献】米国特許第7,118,801号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書において、熱管理システム、及び熱管理システムを含む電子デバイスが開示される。本発明の熱管理システムは、電子デバイスによって生成される熱を効果的に管理して、ホットスポットを低減又は排除するために使用することができる。
【0008】
本開示の一実施形態によれば、熱管理システムが提供される。熱管理システムは、第1の要素と、第2の要素と、任意の第3の要素とを含む。第1の要素は、65ミクロン~95ミクロンの厚さ、700W/mK~950W/mKの面内熱伝導率、及び6W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む。第2の要素は、第1の要素に隣接し、0.025W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する絶縁材料を含む。任意の第3の要素は、第2の要素に隣接し、第1の要素に対向し、少なくとも65ミクロン~500ミクロンの厚さ、700W/mKを超える面内熱伝導率、及び6W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む。
【0009】
本開示の他の実施形態によれば、熱管理システムが提供される。熱管理システムは、第1の要素と、第2の要素と、任意の第3の要素とを含む。第1の要素は、100ミクロン~500ミクロンの厚さ、1000W/mKを超える面内熱伝導率、及び6W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む。第2の要素は、第1の要素に隣接し、0.025W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する絶縁材料を含む。任意の第3の要素は、第2の要素に隣接し、第1の要素に対向し、100ミクロン~500ミクロンの厚さ、1000W/mKを超える面内熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む。
【0010】
本開示のさらなる実施形態によれば、熱管理システムが提供される。熱管理システムは、第1の要素と、第2の要素と、任意の第3の要素とを含む。第1の要素は、少なくとも100ミクロン~500ミクロンの厚さ、1000W/mKを超える面内熱伝導率、及び6W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む。第2の要素は、第1の要素に隣接し、0.025W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する絶縁材料を含む。任意の第3の要素は、第2の要素に隣接し、第1の要素に対向し、少なくとも100ミクロン~500ミクロンの厚さ及び1000W/mKを超える面内熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む。
【0011】
本開示のさらなる実施形態によれば、熱管理システムが提供される。熱管理システムは、第1の要素と、第2の要素と、任意の第3の要素とを含む。第1の要素は、100ミクロン~500ミクロンの厚さ、1000W/mKを超える面内熱伝導率、及び6W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む。第2の要素は、第1の要素に隣接し、0.05W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する絶縁材料を含む。任意の第3の要素は、第2の要素に隣接し、第1の要素に対向し、少なくとも100ミクロン~500ミクロンの厚さ及び1000W/mKを超える面内熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む。
【0012】
本開示のさらなる追加の実施形態によれば、熱管理システムは、100ミクロン~500ミクロンの厚さ、1000W/mK超の面内熱伝導率、及び6W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する第1の要素と、0.15W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する絶縁要素を含む第2の要素とを含む。第2の要素は、少なくとも第1の要素と等しい厚さ、第1の要素の10倍以下(10x)(好ましくは、7倍(7x)以下)、より好ましくは、5倍(5x)以下、さらに好ましくは、3倍(3x)以下)までの厚さを有していてもよい。
【0013】
本開示の熱管理システムのさらなる実施形態は、少なくとも100ミクロンの厚さ、1000W/mKを超える面内熱伝導率、及び6W/mK以下の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイトの第1の要素を含む。実施形態はまた、第1の要素に隣接する絶縁材料の第2の要素を含み、第2の要素は、0.05W/mK以下の面貫通熱伝導率を有する。
【0014】
本開示の熱管理システムのさらなる実施形態は、少なくとも100ミクロンの厚さ、少なくとも1000W/mKの面内熱伝導率、及び6W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイトの第1の要素を含む。実施形態はまた、可撓性グラファイトの第1の要素に隣接する絶縁材料の第2の要素を含み、第2の要素は、0.05W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する。実施形態はまた、第2の要素に隣接する可撓性グラファイトの第3の要素を含み、第3の要素は、少なくとも100ミクロンの厚さ、少なくとも1000W/mKの面内熱伝導率、及び6W/mK以下の面貫通熱伝導率を有する。
【0015】
本開示によれば、本開示の熱管理システムを含む電子デバイスが提供される。電子デバイスは、熱源と、外部表面と、本開示の熱管理システムとを含む。熱管理システムは、第1の要素又は任意の第3の要素のいずれかは、熱源と動作可能に熱連通し、第1の要素及び任意の第3の要素の他方は、外部表面に面するように、電子デバイス内に配置される。
【0016】
特に添付の図面を参照して読み、以下の詳細な説明を考慮すると、本発明は、よく理解され、その利点がより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の熱管理システムの例示的な実施形態の模式図である。
図1a】本開示の熱管理システムの例示的な実施形態の模式図である。
図2】本開示の熱管理システムを含む電子デバイスの例示的な実施形態の模式図である。
図2a】本開示の熱管理システムを含む電子デバイスの例示的な実施形態の模式図である。
図3】本開示の熱管理システムを含む電子デバイスの例示的な実施形態の模式図である。
図3a】本開示の熱管理システムを含む電子デバイスの例示的な実施形態の模式図である。
図4】本開示の熱管理システムを含む電子デバイスの例示的な実施形態の模式図である。
図5】本開示の熱管理システムの例示的な実施形態の模式図である。
図6a】本開示の熱管理システムを含む電子デバイスの例示的な実施形態の模式図である。
図6b】本開示の熱管理システムを含む電子デバイスの例示的な実施形態の模式図である。
図6c】本開示の熱管理システムを含む電子デバイスの例示的な実施形態の模式図である。
図6d】本開示の熱管理システムを含む電子デバイスの例示的な実施形態の模式図である。
図6e】本開示の熱管理システムを含む電子デバイスの例示的な実施形態の模式図である。
図6f】本開示の熱管理システムを含む電子デバイスの例示的な実施形態の模式図である。
図7】本開示の実施例Iに従って利用される実験セットアップの模式図である。
図8】本開示の実施例Iによるサンプルのサーマルテストのグラフを示す。
図8a】本開示の実施例Iのサンプル2と同様の厚さの比較サンプルとのシミュレーションのグラフを示す。
図9】本開示の実施例IIによるGoogle Pixel 3XLデバイスのスクリーン(A)及び背面カバー(B)のIR画像を示す。無数の温度スケールは、色と温度との間の方向の傾向を示している。表面ホットスポットは、白色領域によって表される。
図10】本開示の実施例IIによる、TIMを介して取り付けられた熱電対を有するGoogle Pixel 3XLデバイスのスクリーン(A)及び背面カバー(B)の画像を示す。熱電対を正確に配置して、表面ホットスポット位置の温度を測定した。
図11】本開示の実施例IIによるコンフォーマブルポリマーによって既存の空隙厚さが測定された7つの番号を付けた位置で背面カバーが取り外されたGoogle Pixel 3XLデバイスの画像を示す。
図12】本開示の実施例IIに従って使用される、物理的材料、材料の例示的構成、及びテスト構成を示す。
図13】本開示の実施例IIによるGoogle Pixel 3XLデバイスの背面カバーの内側の部品配置(A)及び形状(B)の画像を示す。
図14a】本開示の実施例IIによるGoogle Pixel 3XLデバイスにおける断面A-Aの位置を示す。
図14b】Google Pixel 3XLデバイスの厚さ方向の図14aの断面A-Aの模式図を示す。
図15】本開示の実施例IIによるGoogle Pixel 3XLデバイスにおいてテストした全ての構成についての定常状態背面カバーホットスポット温度(上)及びGPU最大温度(下)のグラフを示す。
図16】本開示の実施例IIによる、Google Pixel 3XLデバイスにおいてテストした全ての構成について、背面カバーホットスポット上のズームされたIR画像を示す。
図17】本開示の実施例IIによるGoogle Pixel 3XLデバイスにおける、エアオンリー、アウトオブボックススロットリング(左)、及び構成D5、固定周波数(右)についての過渡的(平滑化された)ベンチマークスコア(上)、CPU周波数(中)、及びGPU周波数(下)のグラフを示す。
図18】本開示の実施例IIによるGoogle Pixel 3XLデバイスにおける、エアオンリー、アウトオブボックススロットリング及び構成D5の固定周波数についての、定常状態の背面カバーホットスポット温度(上)、スリングショットエクストリームベンチマークスコア(中央)、及びフレーム毎秒(下)のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書では、熱管理システム、及び熱管理システムを含む電子デバイスについて説明する。本発明の熱管理システムを用いて、電子デバイスによって生成される熱を効果的に管理して、ホットスポットを低減又は排除することができる。
【0019】
本開示の実施形態のいくつかによれば、熱管理システムは、第1の要素と、第1の要素に隣接する第2の要素と、第2の要素に隣接し、第1の要素に対向する任意の第3の要素とを含む。一般に、第1の要素及び任意の第3の要素は、同じ又は異なる物理的特性を有する可撓性グラファイト物品(本明細書では「可撓性グラファイトの第1の要素」及び「可撓性グラファイトの第3の要素」とも呼ぶ)を含み、第2の要素は、0.05W/mK以下、好ましくは0.025W/mK未満を含む、0.15W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する絶縁材料(本明細書では「絶縁材料第2の要素」とも呼ぶ)を含む。
【0020】
上述のように、本開示のいくつかの実施形態の熱管理システムの第1の要素及び任意の第3の要素は、それぞれ、可撓性グラファイト物品を含む。本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品は、可撓性グラファイトシートである。本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品は、グラファイト材料の1つ以上の層を含む。本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品を形成するために使用されるグラファイト材料は、膨張グラファイトシート(剥離又は膨張グラファイトの圧縮粒子のシートと呼ばれることもある)、合成グラファイト(例えば、熱分解グラファイト、グラファイト化ポリイミド膜)、及びそれらの組み合わせを含む。本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品は、モノリシックである。本明細書で使用するとき、「モノリシック」という用語は、接着剤を含まない単一の一体構造を指す。従って、モノリシック可撓性グラファイト物品は、異なるグラファイト材料を含むグラファイト材料の1層又は複数層(例えば、2、3、4)を含むことができ、これらの層は、接着剤を使用することなく一体構造を形成するように互いに接合される。
【0021】
本開示の熱管理システムでの使用に適した例示的な可撓性グラファイト物品は、特許文献1に記載されており、その内容全体は参照により本明細書に援用される。本開示の発明に従って使用される例示的な市販の可撓性グラファイト物品としては、NeoGraf Solutions、LLC(Lakewood,OH)より入手可能なNEONXGEN(登録商標)可撓性グラファイト材料が挙げられる。本開示の熱管理システムを実施するために使用されるNEONXGEN材料の例示的なグレードとしては、これらに限られるものではないが、N-80、N-100、P-100、N-150、P-150、N-200、P-200、P-250、N-270及びN-300等のNEONXGEN材料のN、P、及びUシリーズが挙げられる。そのような材料の様々な特性としては、(1)70ミクロン~少なくとも300ミクロンまで、例えば、500ミクロンまでの厚さ、(2)800W/mK~1,400W/mKの面内熱伝導率(k||)、(3)3W/mK~6W/mKの面貫通熱伝導率(k)、及び/又は(4)少なくとも1.8g/cm~2.1g/cmの密度が挙げられる。
【0022】
簡単に述べると、本開 示の熱管理システムの第1の要素及び任意の第3の要素は、それぞれ、同じ又は異なる物理的特性を有する可撓性グラファイト物品を含む。例えば、第1の要素及び任意の第3の要素は、これらに限られるものではないが、厚さ、面内熱伝導率、及び面貫通熱伝導率を含む、同じ又は異なる物理的特性を有する可撓性グラファイト物品を含んでもよい。
【0023】
本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品は、少なくとも65ミクロン~500ミクロンの厚さを有する。本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品は、少なくとも65ミクロンの厚さを有し、例えば、65ミクロン~500ミクロン、80ミクロン~450ミクロン、90ミクロン~425ミクロン、100ミクロン~400ミクロン、125ミクロン~300ミクロン、130ミクロン~250ミクロン等である。本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品は、65ミクロン~95ミクロンの厚さを有し、例えば、70ミクロン~90ミクロン、75ミクロン~85ミクロン等である。本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品は、100ミクロンを超える厚さを有し、例えば、100ミクロン~500ミクロン、110ミクロン~400ミクロン、125ミクロン~300ミクロン、130ミクロン~250ミクロン等である。本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品は、少なくとも100ミクロンの厚さを有し、例えば、少なくとも100ミクロン~500ミクロン、110ミクロン~400ミクロン、125ミクロン~300ミクロン、130ミクロン~250ミクロン等である。
【0024】
本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品は、700W/mK~1500W/mKの面内熱伝導率を有する。本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品は、700W/mKを超える面内熱伝導率を有し、例えば、700W/mK~1500W/mK、750W/mK~1400W/mK、800W/mK~1350W/mK、950W/mK~1300W/mK、1000W/mK~1200W/mK等である。本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品は、700W/mKを超える面内熱伝導率を有し、例えば、700W/mK~950W/mK、725W/mK~900W/mK、750W/mK~850W/mK等である。本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品は、1000W/mKを超える面内熱伝導率を有し、例えば、1000W/mK~1500W/mK、1025W/mK~1400W/mK、1050W/mK~1300W/mK、1100W/mK~1200W/mK等である。本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品は、少なくとも1000W/mKの面内熱伝導率を有し、例えば、少なくとも1000W/mK~1500W/mK、1025W/mK~1400W/mK、1050W/mK~1300W/mK、1100W/mK~1200W/mK等である。
【0025】
本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品は、6W/mK未満の面貫通熱伝導率を有し、例えば、0.5W/mK~5.99W/mK、1W/mK~5.75W/mK、2W/mK~5.5W/mK、3W/mK~5W/mK等である。本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品は、6W/mK以下の面貫通熱伝導率を有し、例えば、0.5W/mK~6W/mK、1W/mK~5.75W/mK、2W/mK~5.5W/mK、3W/mK~5W/mK等である。本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品は、4.5W/mK以下の面貫通熱伝導率を有し、例えば、0.5W/mK~4.5W/mK、0.75W/mK~4.25W/mK、1W/mK~4W/mK、1.25W/mK~3.75W/mK、1.5W/mK~3.25W/mK、2W/mK~3W/mK等である。本開示の実施形態において、可撓性グラファイト物品は、好ましくは、3W/mK~5W/mKの面貫通熱伝導率を有する。
【0026】
本開示の種々の実施における熱管理システムの第2の要素は、0.15W/mK以下、例えば、0.05W/mK以下、好ましくは、0.025W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する絶縁材料を含む。本開示のある態様において、第2の要素は、0.05W/mK以下の面貫通熱伝導率、例えば、0.01W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.015W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.02W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.025W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.03W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.035W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.04W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、又は0.045W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率を有する絶縁材料を含む。本開示の特定の態様において、第2の要素は、0.025W/mK以下の面貫通熱伝導率、例えば、0.01W/mK~0.025W/mKの面貫通熱伝導率、0.015W/mK~0.025W/mKの面貫通熱伝導率、0.02W/mK~0.025W/mKの面貫通熱伝導率も有する絶縁材料を含む。
【0027】
本開示の実施形態において、第2の要素は、2mm未満の厚さを有する。本開示の実施形態において、第2の要素は、1ミクロン~2mm、例えば、5ミクロン~2mm、10ミクロン~2mm、20ミクロン~2mm、30ミクロン~2mm、50ミクロン~2mm、70ミクロン~2mm、0.1mm~1.5mm、0.1mm~1mm、0.1mm~0.5mm、0.1mm~0.3mm、0.1mm~0.25mmの厚さを有する。本開示の実施形態において、第2の要素が30ミクロン~2mmの厚さを有する可能性がある。本開示の実施形態において、第2の要素は、1ミクロン、5ミクロン、10ミクロン、20ミクロン、30ミクロン、50ミクロン、70ミクロン、100ミクロン、150ミクロン、200ミクロン、250ミクロン、500ミクロン、750ミクロン、1mm、1.5mm、又は2mmの厚さを有する。
【0028】
特定の実施形態において、第2の要素の厚さは、第1の要素及び任意の第3の要素の最も厚い厚さと少なくとも同じ厚さである。あるいは、第2の要素は、第1の要素又は任意の第3の要素の最も厚い厚さの10倍(10x)以下の厚さを有する。好ましくは、第2の要素は、第1の要素又は任意の第3の要素の最も厚い厚さの7倍(7x)以下の厚さを有する。さらに好ましくは、第2の要素の厚さは、第1の要素又は任意の第3の要素の最も厚い厚さの5倍(5x)以下である。さらに好ましくは、第2の要素は、第1の要素又は任意の第3の要素の最も厚い厚さの3倍(3x)以下の厚さを有する。
【0029】
本開示の実施形態において、絶縁材料は、多孔質ポリマーマトリックスを含む。好適な多孔質ポリマーマトリックスの一例は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜である。実施形態において、ePTFE膜は、0.15W/mK未満、好ましくは、0.05W/mK未満の面貫通熱伝導率を有し、例えば、0.025W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.03W/mK~0.045W/mKの面貫通熱伝導率を有する。実施形態において、ePTFE膜は、0.025W/mK~0.05W/mK以下の面貫通熱伝導率を有し、例えば、0.025W/mK、0.03W/mK、0.035W/mK、0.04W/mK、0.045W/mK、又は0.05W/mKの面貫通熱伝導率を有する。
【0030】
ePTFE膜の好ましい厚さは、100ミクロン以下であり、例えば、1ミクロン~100ミクロン、1ミクロン~90ミクロン、5ミクロン~80ミクロン、10ミクロン~75ミクロン、20ミクロン~60ミクロンである。実施形態において、ePTFE膜は、1ミクロン~50ミクロン、例えば、1ミクロン~40ミクロン、5ミクロン~25ミクロンの厚さを有する。本開示の発明に従って使用される例示の市販のePTFE膜は、W.L.Gore&Associates,Inc.(Newark,Delaware)より入手可能である。
【0031】
適切なePTFE膜の一例は、少なくとも40重量%、80重量%までの空気を含む。ePTFE膜の気孔率は、約40%~約97%の範囲である。気孔率測定機器(「PMI」)を使用して、気孔率は測定される。細孔径の測定は、Coulter Electronics,Inc.(Hialeah,Florida)製Coulter Porometer(登録商標)によって行われる。Coulter Porometerは、液体置換法(ASTM規格E1298-89に記載)を使用して、多孔質媒体中の孔径分布の自動測定を行う機器である。
【0032】
本開示による使用に適した代替の多孔質ポリマーマトリックス材料としては、これらに限られるものではないが、延伸ポリエチレン膜、ポリエチレン(「PE」)、ポリプロピレン(「PP」)及びポリエチレンテレフタレート(「PET」)のうちの1つ以上のポリマーのナノファイバーウェブ、ポリエチレン(「PE」)、ポリプロピレン(「PP」)及びポリエチレンテレフタレート(「PET」)のうちの1つ以上のポリマーの織布又は不織布、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ePTFE膜に関する特性の上記の説明は、代替の多孔質ポリマーマトリックス材料にも同様に適用される。任意で、多孔質ポリマーマトリックス材料は、これらに限定されないが、アクリル及び/又はシリコーンポリマー等の接着剤でコーティングされていてもよい。
【0033】
本開示の実施形態において、絶縁材料は、エアロゲル粒子及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含み、0.025W/mK(大気状態、すなわち、約298.15K及び約101.3kPa)未満の面貫通熱伝導率を有し、例えば、0.025W/mK未満の面貫通熱伝導率、又は0.017W/mK以下の面貫通熱伝導率を有する。本開示の実施形態において、絶縁材料は、エアロゲル粒子及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含み、0.025W/mK以下(大気状態、すなわち、約298.15K及び約101.3kPa)の面貫通熱伝導率、例えば、0.01W/mK~0.025W/mKの面貫通熱伝導率、0.015~0.025W/mKの面貫通熱伝導率、及び0.02W/mK~0.025W/mKの面貫通熱伝導率を有する。本発明の絶縁材料の実施形態での使用に適したエアロゲル粒子としては、無機と有機の両方のエアロゲル、及びその混合物が含まれる。無機エアロゲルには、代替として、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、イットリウム、バナジウム等の無機酸化物から形成されるもの、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、シリカエアロゲルが特に好ましい。有機エアロゲルもまた、本発明の絶縁材料の実施形態での使用に適しており、炭素、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリフルフリルアルコール、フェノールフルフリルアルコール、メラミンホルムアルデヒド、レゾルシノールホルムアルデヒド、クレゾール、ホルムアルデヒド、ポリシアヌレート、ポリアミド、例えば、限定されるものではないが、ポリアクリルアミド、エポキシド、寒天、アガロース等のいずれかから調製することができる。好ましくは、エアロゲル粒子は、70nm未満、例えば、1nm~70nm、5nm~70nm、10nm~60nmの平均細孔径を有する。
【0034】
エアロゲル粒子に加えて、本開示の実施形態による絶縁材料はPTFEを含む。PTFEは、バインダーとして機能し、「バインダー」という用語は、PTFE成分が、エアロゲルの粒子を他のエアロゲル粒子、又は追加の任意の成分と一緒に保持又は凝集させることを意味する。本開示の実施形態において、絶縁材料は、約40wt%以上のエアロゲル、約60wt%以上のエアロゲル、又は約80wt%以上のエアロゲルを含むエアロゲル粒子とPTFE粒子との混合物を含む。
【0035】
エアロゲル粒子とPTFE粒子との好ましい混合物は、約40wt%~約95wt%のエアロゲル、さらに約40wt%~約80wt%のエアロゲルを含む。PTFE粒子は、好ましくは、エアロゲル/PTFE混合物の約60wt%以下、混合物の約40wt%以下、又はエアロゲル/PTFE混合物の約20wt%以下含まれる。
【0036】
好ましい混合物は、約5wt%~約60wt%のPTFE、及び約20wt%~約60wt%のPTFEを含むエアロゲル/PTFE混合物を含む。本開示の発明における使用に適した例示の絶縁材料は、特許文献2に記載されており、その内容全体は参照により本明細書に援用される。
【0037】
本開示の発明に従って使用される例示の市販の絶縁材料は、W.L.Gore&Associates、Inc.(Newark,Delaware)より入手可能である。好ましい実施形態において、エアロゲル/PTFE絶縁物品は、モノリシックである。他の実施形態において、エアロゲル/PTFE絶縁物品は、均質な複合物品である。実施形態において、エアロゲル/PTFE絶縁物品は、ePTFE膜等の多孔質マトリックス、又は上述の代替の多孔質マトリックス材料のうちの1つによって、1つ又は複数の側面にクラッドされてもよい。エアロゲル/PTFE絶縁物品の利点には、その高強度、高負荷及び/又は高温耐性が含まれる。エアロゲル/PTFE絶縁物品は、単位体積又は厚さに基づいて、生の数値に関して、多くの他の選択肢よりも改善された特性を有する。エアロゲル/PTFE絶縁物品の特定の実施形態は、30ミクロン~2mmの厚さを有する。
【0038】
図1を参照すると、本開示の熱管理システム100の実施形態が示されている。熱管理システム100は、第1の要素10と、第1の要素10に隣接する第2の要素20と、第2の要素20に隣接し、第1の要素10に対向する任意の第3の要素30とを含む。従って、熱管理システム100は、第1の要素10と任意の第3の要素30との間に配置された第2の要素20を有するサンドイッチ型構造又は構築物を有する。
【0039】
前述のように、熱管理システム100の第1の要素10及び任意の第3の要素30は、それぞれ、同じ又は異なる物理的特性を有する可撓性グラファイト物品を含み、熱管理システム100の第2の要素20は、0.05W/mK未満、好ましくは、0.025W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する絶縁材料を含む。
【0040】
一実施形態において、本開示の熱管理システム100は、65ミクロン~95ミクロンの厚さ、700W/mK~950W/mKの面内熱伝導率、及び6W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む第1の要素10と、第1の要素10に隣接し、0.025W/mK未満の面内熱伝導率を有する絶縁材料を含む第2の要素20と、第2の要素20に隣接し、第1の要素10に対向し、少なくとも65ミクロンの厚さ、700W/mK超の面内熱伝導率、及び6W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む任意の第3の要素30とを含む。
【0041】
第2の実施形態において、本開示の熱管理システム100は、100ミクロンを超える厚さ及び1000W/mKを超える面内熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む第1の要素10と、第1の要素10に隣接し、0.025W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する絶縁材料を含む第2の要素20と、第2の要素20に隣接し、第1の要素10に対向し、100ミクロンを超える厚さ及び1000W/mKを超える面内熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む任意の第3の要素30とを含む。特定の実施形態において、第1の要素10又は任意の第3の要素30のうちの少なくとも1つの厚さは、少なくとも125ミクロンであり、例えば、少なくとも130ミクロン、少なくとも150ミクロンで、500ミクロンまでであり、第2の要素の厚さは、2mm未満であり、例えば、1mm未満、0.1mm~0.25mmである。
【0042】
他の実施形態において、本開示の熱管理システム100は、少なくとも100ミクロンの厚さ及び1000W/mKを超える面内熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む第1の要素10と、第1の要素10に隣接し、0.025W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する絶縁材料を含む第2の要素20と、第2の要素20に隣接し、第1の要素10に対向し、少なくとも100ミクロンの厚さ及び1000W/mKを超える面内熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む任意の第3の要素30とを含む。特定の実施形態において、第1の要素10又は任意の第3の要素30のうちの少なくとも1つの厚さは、少なくとも125ミクロン、例えば、少なくとも130ミクロン、少なくとも150ミクロンで、500ミクロンまでであり、第2の要素の厚さは、2mm未満、例えば、1mm未満、0.1mm~0.25mmである。
【0043】
さらなる実施形態において、本開示の熱管理システム100は、少なくとも100ミクロンの厚さ及び1000W/mKを超える面内熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む第1の要素10と、第1の要素10に隣接し、0.05W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する絶縁材料を含む第2の要素20と、第2の要素20に隣接し、第1の要素10に対向し、少なくとも100ミクロンの厚さ及び1000W/mKを超える面内熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む任意の第3の要素30とを含む。特定の実施形態において、第1の要素10又は任意の第3の要素30のうちの少なくとも1つの厚さは、少なくとも125ミクロン、例えば、少なくとも130ミクロン、少なくとも150ミクロンで、500ミクロンまでであり、第2の要素の厚さは、2mm未満、例えば、1mm未満、0.1mm~0.25mmである。
【0044】
熱管理システム100の開示された実施形態に一致する、第1の要素10、第2の要素20、及び任意の第3の要素30の前述の材料及び特性の範囲(例えば、厚さ、面内熱伝導率、面貫通熱伝導率)のいずれかが使用される。
【0045】
本開示の実施形態において、熱管理システム100の第1の要素10及び任意の第3の要素30のうちの少なくとも1つはモノリシックである。本開示の実施形態において、熱管理システム100の第1の要素10及び任意の第3の要素30の両方がモノリシックである。
【0046】
本開示の実施形態において、第1の要素10及び任意の第3の要素30は、第2の要素20の対向する表面に接着される。第1の要素10及び任意の第3の要素30は、両面粘着テープを使用して第2の要素20に接着される。好ましくは、両面粘着テープは、20ミクロン未満、例えば、15ミクロン未満、10ミクロン未満の厚さを有する。両面粘着テープは、アクリル又はラテックス接着材料等を含んでいてもよい。本開示の実施形態において、両面粘着テープは、接着剤中に公称空隙又は孔を含む。本開示の実施形態において、両面接着テープの接着材料は、非水系及び非発泡系接着剤である。
【0047】
本開示の実施形態において、熱管理システム100は、第1の要素10及び任意の第3の要素30のうちの少なくとも1つに任意のコーティング層を有していてもよい。特定の実施形態において、コーティング層は、誘電体材料、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)、又はポリイミド)、及び外向き接着材料上に剥離ライナーを有する両面粘着テープのうちの1つ以上を含む。好ましい両面粘着テープは、10ミクロン以下の厚さを有する担体(例えば、樹脂膜)を含む。
【0048】
図1aを参照すると、本開示による熱管理システム150の他の実施形態が示されている。熱管理システム150は、100ミクロンを超える厚さ及び1,000W/mKを超える面内熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む第1の要素10を含む。電子デバイスにおける用途のために、可撓性グラファイト物品は、シートの形態であるのが好ましい。
【0049】
引き続き図1aを参照すると、熱管理システム150は、0.05W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する絶縁材料を含む第2の要素20も含む。第2の要素20の厚さは、第1の要素10の厚さと少なくとも同じ厚さを有し、第1の要素10の厚さの10倍(10x)以下、第1の要素10の厚さの7倍(7x)以下、第1の要素10の厚さの5倍(5x)以下、第1の要素10の厚さの3倍(3x)以下であればよい。第2の要素20に適した材料としては、本明細書に記載のエアロゲル系材料、又は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜等の多孔質ポリマーマトリックスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本実施形態を電子デバイス200に組み込むと、熱管理システム150は、熱源210(すなわち、本明細書に記載されるような電子コンポーネント)と動作可能に熱連通し、熱管理システム150の第2の要素20は、図2aに示されるように、熱源210に隣接して一列に並んでいる。任意で、熱源210及び熱管理システム150は、図3aに示されるように、互いに離間されていてもよい。空隙240は、熱源210と熱管理システム150の第2の要素20との間に配置される。
【0051】
厚さの具体例に目を向けると、熱管理システム150の本実施形態のための第1の要素10の厚さは、100ミクロン~500ミクロンの範囲である。同様に、第2の要素20の厚さは、100ミクロン~約5mmの範囲である。第2の要素20の適切な厚さの他の例は、第1の要素10の厚さの1.1、1.25、1.5、1.75、2、2.25、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、又は10倍である。
【0052】
図2を参照すると、本開示の熱管理システム100を含む電子デバイス200の実施形態が示されている。電子デバイス200は、熱源210と、外部表面220と、熱管理システム100とを含む。熱管理システム100の第1の要素10又は任意の第3の要素30のいずれかは、熱源210と動作可能に熱連通し、第1の要素10及び任意の第3の要素30のうちの他方は外部表面220に面している。図2に示すように、電子デバイス200は、熱管理システム100の第1の要素10が熱源210と動作可能に熱連通し、熱管理システム100の任意の第3の要素30が外部表面220に面して示されている。
【0053】
本明細書で使用される場合、粒子の正味の変位を伴わずに、粒子から粒子への運動エネルギーの伝達によって、熱が一方から他方へ伝導されるときに、2つの材料は、動作可能に熱連通する。動作可能な熱連通には、熱管理システム100、150が熱源210と物理的に接触している実施形態、及び熱管理システム100、150と熱源210の隣接面との間に空隙がある(すなわち、熱管理システム100、150と熱源210が離間している)実施形態が含まれる。同様に、熱管理システム100、150の外側表面に関して、本明細書に開示される実施形態には、電子デバイス200の外部表面220と物理的に接触している熱管理システム100、150の外側表面、又は電子デバイス200の外部表面220から離間している(すなわち、熱管理システム100、150と外部表面220との間に空隙がある)熱管理システム100、150の外部対向面が含まれる。機能的には、動作可能な熱連通には、第1の本体から第2の本体に伝達されて、第2の本体の温度が上昇するような、少なくとも測定可能な熱量が含まれる。第2の本体の温度の上昇は測定可能である。
【0054】
本開示の熱管理システム100、150は、電子デバイス200の外部表面220のホットスポットを低減又は排除するために、電子デバイス200の熱源210によって生成される熱を効果的に管理するために使用される。「ホットスポット」という用語は、一般に、周囲の領域よりも高い温度を有する領域を指す。本開示の熱管理システム100、150は、熱源210によって生成された熱を電子デバイス200により均一に放散及び/又は拡散させて、ホットスポットを低減又は排除する。電子デバイス200で使用される熱管理システム100、150は、本明細書に記載された熱管理システム100、150のいずれか1つである。本開示の電子デバイス200としては、スマートフォン、タブレット、及びラップトップが挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0055】
本開示の実施形態は、電子デバイス200内に配置された熱管理システム100、150を含み、外部表面220と、外部表面220に対向(又は近接する)熱管理システム100、150の要素との間に空隙230がある。図2に示すように、空隙230は、外部表面220と、外部表面220に面する熱管理システム100の任意の第3の要素30の表面との間の距離によって画定される。
【0056】
本開示の実施形態はまた、電子デバイス200と、熱管理システム100、150とを含み、外部表面220の一部が外部表面220に面する熱管理システム100、150の要素と物理的に接触するように構成されている。本開示の実施形態において、外部表面220は、電子デバイス200のケース又は筐体を備えていてもよい。図3に示すように、電子デバイス200の外部表面220の一部は、熱管理システム100の任意の第3の要素30と物理的に接触している。本開示の他の実施形態において、熱管理システム100、150の要素と物理的に接触している外部表面220の一部は、外部表面220に面する熱管理システム100、150の要素と同じ表面積を有し、任意で、熱管理システム100、150の要素と物理的に接触している外部表面220の一部は、空隙が生成されないようにオフセットがない。
【0057】
図2及び図3を参照すると、本開示の電子デバイス200の実施形態において、熱源210(この場合、第1の要素10)と動作可能に熱連通する熱管理システム100の要素の表面積は、要素10と動作可能に熱連通する熱源210の一部の表面積より大きい。このような実施形態は、熱源210の有効表面積を増加させて、熱放散及び拡散を容易にし、それによって、ホットスポットを低減又は排除する。いくつかの実施形態において、熱源210と動作可能に熱連通する熱管理システム100の要素の表面積は、熱管理システム100の要素と動作可能に熱連通する熱源210の一部の表面積よりも少なくとも1.5倍大きい(例えば、1.5倍大きい~5倍大きい)。
【0058】
本開示の実施形態において、熱源210は、電子コンポーネントとすることができる。電子コンポーネントは、ホットスポットを発生させたり、電子コンポーネントの動作を妨害するのに十分な熱を生成する任意のコンポーネント、又は放散されない場合には電子コンポーネントが要素である電子デバイス200を含むことができる。本開示の実施形態において、熱源210は、マイクロプロセッサ又はコンピュータチップ、集積回路、レーザ又は電界効果トランジスタ(FET)等の光学デバイスのための制御電子デバイス、整流器、インバータ、コンバータ、可変速度ドライブ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、サイリスタ、増幅器、インダクタ、キャパシタ、又はそれらのコンポーネント、又は他の同様の電子要素を含む。他の例では、熱源210は、例えば、誘導コイル等のワイヤレス充電コンポーネントである。
【0059】
本明細書に開示された熱管理システムの実施形態は、少なくとも約100ワット(W)までの電力仕様を有する電子デバイスに適用される。家庭用電化製品用の典型的な電力仕様は、約2W又は3W~約100W、約2W~約100W、約10W~約50W、約50W~約100Wの範囲であってよく、約2W~約10Wも含む。
【0060】
特定の実施形態において、熱源210の電源は、10W以下である。特定の実施形態において、熱源210の電源は、5W以下である。特定の実施形態において、熱源210の電源は、1W未満であり、例えば、0.1W~0.95W、0.1W~0.75W、0.1W~0.5Wである。特定の実施形態において、熱源210の電源は、1W未満~10Wであり、例えば、0.1W~10W、0.25W~9W、0.5W~5Wである。
【0061】
図4を参照すると、本開示の電子デバイス200の実施形態の概略図が示されている。図4に示すとおり、熱管理システム100の第1の要素10は、熱源210と動作可能に熱連通し、熱管理システム100の任意の第3の要素30は、電子デバイスの外部表面220に面している。図4に示すように、点T1は、熱源210と動作可能に熱連通する熱管理システム100の第1の要素10の表面上の点における温度を指す。点T1は、ジャンクション温度と呼ばれることもある。図4に示される実施形態に関連して使用されるように、「ホットスポット」という用語は、熱源210と一列に並んでいる(aligned)(典型的には、垂直に一列に並んでいる)熱管理システム100の要素のその部分を指す。電子デバイス200の外部表面220上のユーザインタフェースホットスポットは、典型的には、熱管理システム100のホットスポットの位置と一致する。また、図4に示される点T2は熱源210と一列に並んでおり、電子デバイス200の外部表面220に面する、熱管理システム100の任意の第3の要素30の表面上の点における温度を指し、点T3は、点T2から距離の離れた、電子デバイス200の外部表面220に面する、熱管理システム100の任意の第3の要素30の表面上の点における温度を指す。点T2は、熱源210と一列に並んでいるので、点T2はホットスポットと見なされる。点T3と点T2との間の距離は、x-y面で測定され、x-y面において点T2から延びる半径である。
【0062】
本開示の実施形態において、点T2と点T3が100mm離れているとき、点T2と点T3との間の温度差は2.5℃未満である。本開示の実施形態において、点T2と点T3が100mm離れているとき、点T2と点T3との間の温度差は2℃未満である。本開示の実施形態において、点T2と点T3が60mm~100mm、例えば、60mm~95mm、70mm~90mm、80mmの距離離れているとき、点T2と点T3との間の温度差は2.5℃未満である。本開示の実施形態において、点T2と点T3と60mm~100mm、例えば、60mm~95mm、70mm~90mm、80mmの距離離れているとき、点T2と点T3との間の温度差は2℃未満である。本開示の実施形態において、点T2と点T3とが50mm離れているとき、点T2と点T3との間の温度差は2.5℃未満である。本開示の実施形態において、点T2と点T3とが50mm離れているとき、点T2と点T3との間の温度差は2℃未満である。本開示の実施形態において、点T2と点T3が35mm~50mm離れているとき、点T2と点T3との間の温度差は2.5℃未満である。本開示の実施形態において、点T2と点T3が35mm~50mm離れているとき、点T2と点T3との間の温度差は2℃未満である。
【0063】
再び図4を参照すると、点T1及び点T2は、熱管理システム100の共通軸Caに沿って位置する。本開示の実施形態において、点T1と点T2との間の温度差は1.5℃を超える。本開示の実施形態において、点T1と点T2との間の温度差は少なくとも2℃である。本開示の実施形態において、点T1と点T2との間の温度差は2℃を超える。本開示の実施形態において、点T1と点T2との間の温度差は少なくとも3℃である。本開示の実施形態において、点T1と点T2との間の温度差は1.5℃~6℃であり、例えば、1.5℃~5℃、2℃~4℃である。
【0064】
本明細書に開示される実施形態をさらに考慮すると、接合温度(T)は、熱源と熱管理システムとの間の接合部における熱源の温度であり、皮膚温度(Tsk)は、デバイスの外部表面上の温度である。TとTskの差(Δ)は、60℃、典型的には、10℃~30℃である。図4を参照すると、Δが大きい場合、かかる実施形態では、T2とT3の差も大きくなる。T2とT3の差が大きい場合、10℃~20℃の範囲となる。
【0065】
実際には、本開示の熱管理システムの使用には、任意の特定の電子デバイス内の熱管理システムの向きに関して考慮すべき様々な選択肢がある。選択肢は、デバイスによって、互いに排他的又は包括的であるが、そのような選択肢は、本明細書で開示される全ての実施形態に適用可能である。選択肢には、
a.熱源と熱管理システムとの間の空間(例えば、空隙)、
b.熱管理システムと電子デバイスの外部表面との間の空間(例えば、空隙)、
c.熱源と熱管理システムとの間、及び熱管理システムと電子デバイスの外部表面との間の両方の空間(例えば、空隙)及び/又は
d.熱管理システムは、空間(例えば、空隙)を含んでいてよく、例えば、熱管理システムの一部は、熱源と接触し、熱管理システムの別の部分は、電子デバイスの外部表面と接触することがある。
空間を含む実施形態において、空間は、自然対流放熱のための表面を形成する。
【0066】
他の任意の考慮事項は、熱管理システム100の第1の要素10及び第3の要素30(すなわち、可撓性グラファイト物品)及び第2の要素20(すなわち、絶縁材料)が、同じ熱連通表面積を有する必要がないことである。このような構成の一例を図5に示す。第2の要素20は、第1の要素10及び第3の要素30の熱連通表面積よりも小さい熱連通表面積を有する。図5に示す概念は、図1図4及び図6a~図6fの実施形態にも適用可能である。
【0067】
好ましくは、絶縁体は、熱源の熱連通表面積に少なくとも等しい熱連通表面積を有する。好ましくは、可撓性グラファイトは、熱源の熱連通表面積よりも大きい熱連通表面積を有する。可撓性グラファイトの熱連通表面積対熱源の熱連通表面積の比率の例を挙げると、少なくとも1.1:1、1.25:1、1.5:1、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1、及び100:1である。絶縁体が熱源よりも大きな熱連通表面積を有する場合、同じ比率が適用される。特定の電子デバイス及び特定のモデルでは、可撓性グラファイト(又は絶縁体)の熱連通表面積対熱源の熱連通表面積の比率は、約100:1以下、又は約50:1以下と高くてもよい。携帯電話(「スマートフォン」)では、可撓性グラファイト(又は絶縁体)に対する熱連通表面積対熱源の熱連通表面積の比率は、約30:1以下、又は約15:1以下と高くてもよい。
【0068】
また、熱管理システムは、熱源と対称に一列に並んでいてもよく、又は熱管理システムの1つ以上のコンポーネントは、熱源と非対称であってもよい。図示されていないが、熱管理システムの全てのコンポーネントは、熱源と非対称に一列に並んでいてもよい。この段落に開示される概念は、可撓性グラファイト物品の代わりに熱源と隣接して動作可能に熱連通する熱管理システムの絶縁材料にも同様に適用可能である。
【0069】
検討中の熱管理システムを含むデバイス200a~fの様々な他の実施形態が、図6a~6fに示されている。図6aに図示された熱管理システム100aは、図1に図示された熱管理システム100とは逆の構造となっている。すなわち、前述の可撓性グラファイト物品のうちの1つ以上から構成される第1の要素及び任意の第3の要素の代わりに、第1の要素10a及び任意の第3の要素30aは、前述の絶縁材料のうちの1つ以上から構成される。図6aに示される実施形態において、第1の要素10a及び任意の第3の要素30aは、本明細書に記載されるように、同じ又は異なる絶縁材料から構築されてもよい。図6aの第2の要素20aは、前述の可撓性グラファイト材料のいずれか1つであってもよい。最後に、図示したように、デバイスケース220aと熱管理システム100aとの間に第1の空間230aがあり、熱源210aと熱管理システム100aとの間に第2の空間240aがある。しかしながら、図6aの変形実施形態において、熱管理システムとデバイスケースとの間に空間が存在するように、又は熱管理システムの隣接する要素の間に空間が存在するように、熱管理システムは、デバイスケースの代わりに熱源に接着されてもよい。
【0070】
図6fは、図6aと同様に、図1に示された熱管理システムの実施形態と同様であるが、熱管理システム100fは、可撓性グラファイト物品又は絶縁材料又はその両方の少なくとも1つの追加の要素40fを含むことができる。図示した実施形態は、4つの要素10f、20f、30f、40fを含み、このような実施形態は、3つよりも多ければ、所望の数の要素を含むことができる。従って、図示された以外のさらなる層が、本実施形態及び本明細書に開示される他の実施形態において考えられる。同様に、図6fに示される実施形態の概念には、可撓性グラファイト物品又は熱源210fに隣接する絶縁材料のいずれかを含めることができる。空間240fは、熱源210fと熱管理システム100fとの間に存在する場合(図示されるように)と、存在しない場合がある。さらに、空間230fは、熱管理システム100fとデバイスケース220fとの間に存在する場合(図示されるように(典型的に図示しないオフセットを含む))と、存在しない場合がある。
【0071】
図6b~6eは、2つの要素の熱管理システム150の実施形態の様々な構成を有するデバイス200を示す。図示するように、絶縁材料20は、熱源210に隣接し、可撓性グラファイト物品10は、デバイスケースに隣接している。これらの実施形態は、可撓性グラファイト物品が熱源に隣接し、絶縁材料がデバイスケースに隣接する熱管理システムにも同様に適用可能である。さらに、種々の実施形態は、空間を含んでいても、含んでいなくてもよい。空間245を含む実施形態において、空間245は、(i)図6bに示されるように熱源210に隣接する、(ii)図6cに示されるように熱管理システム150の要素10、20の間にある、又は(iii)図6dに示されるようにデバイスケース220に隣接する等、図示される位置のいずれか1つにあってもよい。図6eに示すように、熱管理システム150、熱源210、又はデバイスケースの間に空間がなくてもよい。図示しない実施形態において、2つの要素の実施形態(すなわち、可撓性グラファイト物品と絶縁材料)は2つの空間を含むことができる。空間のうちの1つは、デバイスケースに隣接し、他の空間は、熱管理システムの要素間又は熱源に隣接する、のいずれかである。
【0072】
前述の可撓性グラファイト物品及び絶縁材料は、図6a~図6fに関して説明した実施形態に等しく適用可能である。
【0073】
以下の実施例は、本開示の様々な実施形態を説明するものである。実施例は、本発明をさらに例示するために示されるものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0074】
実施例
実施例I:本開示の熱管理システムの実施形態を作製し、他の熱管理デバイスと比較して、ホットスポット又はタッチ温度を低減することにおけるそれらの有効性についてテストした。本実施例のための実験セットアップを図7に示す。簡単に説明すると、各サンプルを、サポートのために1mm厚のアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)上に載せ、較正された熱源(0.5W)を有する台座上の静止空気中に懸濁させた。温度センサを使用して、点TC01、TC02、TC03、及びTC04の温度を測定した。温度センサ(TCA)も用いて周囲温度を測定した。点TC01及びTC02は、本明細書に記載のホットスポットに対応する。点TC03は、点TC01から50mm離れていた。同様に、点TC04は、点TC02から50mm離れていた。
【0075】
サンプル1~4は、本開示の熱管理システムを例示するものであり、サンプル5及び6は比較の熱管理デバイスである。
【0076】
サンプル1は、それぞれが約150ミクロンの厚さ、約1100W/mKの面内熱伝導率、及び約4.5W/mKの面貫通熱伝導率を有する2つの可撓性グラファイト物品を含んでいた。2つの可撓性グラファイト物品の間に挟まれていたのは、0.025W/mK未満の面貫通熱伝導率及び約250ミクロンの厚さを有する絶縁材料であった。サンプル1の熱管理システムの全厚は約550ミクロンであった。
【0077】
サンプル2は、それぞれが約100ミクロンの厚さ、約1100W/mKの面内熱伝導率、及び約4.5W/mKの面内熱伝導率を有する2つの可撓性グラファイト物品を含んでいた。2つの可撓性グラファイト物品の間に挟まれたのは、0.025W/mK未満の面貫通熱伝導率及び約100ミクロンの厚さを有する絶縁材料であった。サンプル2の熱管理システムの全厚は約300ミクロンであった。
【0078】
サンプル3は、約150ミクロンの厚さ、約1100W/mKの面内熱伝導率、及び約4.5W/mKの面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含んでいた。可撓性グラファイト物品を、0.025W/mK未満の面貫通熱伝導率及び約250ミクロンの厚さを有する絶縁材料に積層した。サンプル3の熱管理デバイスの全厚は約400ミクロンであった。
【0079】
サンプル4は、約100ミクロンの厚さ、約1100W/mKの面内熱伝導率、及び約4.5W/mKの面内熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含んでいた。可撓性グラファイト物品を、0.025W/mK未満の面貫通熱伝導率及び約100ミクロンの厚さを有する絶縁材料に積層した。サンプル4の熱管理デバイスの全厚は約200ミクロンであった。
【0080】
サンプル5は、約150ミクロンの厚さ、約1100W/mKの面内熱伝導率、及び約4.5W/mKの面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品からなっていた。
【0081】
サンプル6は、約100ミクロンの厚さ、約1100W/mKの面内熱伝導率、及び約4.5W/mKの面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品からなっていた。
【0082】
テストを実施する際に、熱源は定常状態とした。定常状態となった後、各サンプルが受ける様々な温度(すなわち、周囲温度、TC01、TC02、TC03、及びTC04)を測定し、記録した。外部温度による変動を除くために、TC01、TC02、TC03、及びTC04の温度データは、周囲温度を超える温度上昇として報告された。例えば、TC02について報告された温度は、点TC02で測定された温度から、測定された周囲温度を引いたものであった。
【0083】
TC01とTC02との間の温度差(すなわち、TC01-TC02値)は、サンプルがホットスポットを低減することができる有効性を実証するものである。TC02とTC04との間の温度差(すなわち、TC02-TC04値)は、サンプルが熱を拡散することができる有効性を実証するものである。サンプル1~6について収集された温度データを以下の表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
表1のデータから分かるように、サンプル1及び2は、ホットスポットを低減するのに最も有効なサンプルであった。サンプル1は、約4℃で最も高いTC01-TC02値を有し、サンプル2は、約3.7℃で次に高いTC01-TC02値を有していた。同じラインに沿って、サンプル1及び2は、それぞれ約7.5℃及び約7.3℃で最も低いTC02値(ホットスポット又はタッチ温度に対応する)を示した。一方、サンプル6は、約0.5℃未満のTC01-TC02を示し、記録は0.2℃であり、本開示によるサンプル1及び2によって達成されるホットスポット低減の少なくとも10~20倍低い。
【0086】
図8は、上記の表1に示されるデータを可視化するものである。図8に示されるように、本発明による実施形態は、上述したように、TC01とTC02との間で最大の温度差、及びTC02とTC04との間で最も均一な温度を示した。
【0087】
また、上記のデータのシミュレーション結果も、上記の実際のデータと方向性が一致した。上記のサンプル1及び2の有意性を確認するために、サンプル2、同様に、1)全ての可撓性グラファイト物品(N-300と表示)及び2)外部表面に隣接する3分の2の可撓性グラファイト物品と3分の1の絶縁材料を有する比較サンプル(N200-A100と表示)について、同じ厚さの熱管理システムのシミュレーションを行った。上述のように、全てのシミュレーションは、300ミクロンのサンプル厚さを使用した。シミュレーション結果から、図8aに示されるように、サンプル1及び2のサンドイッチ構造が皮膚温度を低下させるのに最良であることが確認された。
【0088】
実施例II Google Pixel3XL3DMarkストレステスト:この実施例では、熱管理システムの第2の要素は、W.L.Gore&Associates、Inc.(Newark,Delaware)製のGORE Thermal Insulationを、薄いシート形態(100μm及び250μm)で、空気より低い超低熱伝導性を示す絶縁材料(「絶縁体」)として含む。NeoGraf Solutions,LLC(Lakewood,OH)からのNEONXGEN可撓性グラファイトは、厚い箔形態(70μm~270μm)の超高固有熱拡散容量(「高性能厚グラファイト」)を有する。
【0089】
絶縁体は、0.020W/mK未満の独特の低い熱伝導率を特徴とする。好ましくは、絶縁材料は、空気の平均自由経路(約70nm)よりも小さい、例えば、70nm未満の平均細孔径を有する。
【0090】
市販のGoogle Pixel 3XL(「Pixel」)スマートフォンを購入し、サーマルスロットリングなしで一定の電力ストレスを可能にするように修正した。ハイエンドスマートフォンのフィジックス(CPU)及びグラフィック(GPU)をスコア化するのに用いられる広く受け入れられているベンチマークであるため、ULの3DMark-スリングショットエクストリームをテスト用に選択した。定常状態のテスト結果を得るために、3DMarkのプロフェッショナル版を購入し、Pixelにインストールして、90秒スリングショットエクストリームベンチマークテストの無限ループを可能にした。全てのテストは、厳密に制御された周囲温度及び湿度の静止空気環境で行った。測定に使用できるパラメータには、熱電対による表面点温度、IRカメラによる画像(Fluke,Model Ti55)、内蔵サーミスタによる内部コンポーネント温度(CPU、GPU等)、CPU及びGPUクロック周波数、及びスリングショットエクストリームベンチマークスコアによるシステムパフォーマンスがある。
【0091】
IR画像化を用いて、アウトオブボックス(out of the box)の状態で、初期ストレステストを実施した(図9)。ホットスポット位置を特定し、TIMを介した熱電対の配置のために選択した(図10)。
【0092】
Pixel背面カバーを、接着剤の加熱及び破壊によって取り除いた。コンフォーマブルポリマーを、システムオンチップ(「SoC」)(図11)付近の7つの異なる位置で背面カバーの内側に配置して、熱管理システムに利用可能な空間を決定し、その後、背面カバーを交換して、ポリマーを各位置で既存の空隙内に圧縮した。背面カバーを再び取り除き、全ての位置での厚さを圧縮ポリマー上のスナップゲージによって測定した。このプロセスを、2回(2x)以上繰り返し、位置毎の全ての厚さ測定値を平均した。厚さの平均を表2に示す。
【0093】
【表2】
【0094】
位置5及び6における機械的圧縮を回避するために、350μmの公称厚さを、全ての熱管理システムに対して選択した。テストのための物理的材料は、110μmの絶縁シート、110μmのグラファイト箔、及び5μmのアクリル両面テープを含んでいた。材料及び実施例の構成を図12に示す。
【0095】
図13に示される部品の幾何学的形状は、内部コンポーネントへの破壊がない、又は最小限である領域を最大化するように選択された。部品領域は、1,825mmと測定された。(図14aの)Pixelの厚さ方向の概略断面図を図14bに示す。シミュレーション結果を分析して、Pixelテストのために選択された材料構成を示した。
【0096】
結果-Google Pixel 3XL 3DMarkストレステスト
背面カバータッチ温度テスト:5つの構成をシミュレーションテストから選択した。構成を図12に示す。Pixelデバイステストのために選択された構成は、上述の物理的材料(110μmサンプル及び両面テープ)で構築された。デバイステスト構成は、D1、D2、D3、D5、及びD6であり、D1は対照であった。CPU及びGPU周波数は、それぞれ、2169.6MHz及び675MHzに設定した。周波数を記録し、各テスト実施の終了時に確認した。ベンチマークスコアを記録して、全てのテスト実施にわたって性能の一貫性を示した。全てのテストにおいて、静止空気環境の周囲温度は、21.6~21.8℃に保たれていた。全ての構成を、ランダム実験で3回、定常状態(>90分)でテストした。各テスト実施の後、Pixelをアイドル動作温度まで冷却し、次のテスト実施をセットアップするために開始した。定常状態の背面カバータッチ温度及びGPU最大温度を図15に示す(1構成あたり3回の測定の平均)。背面カバーのIR画像を図16に示す。全てのテストされた構成についての詳細、厚さ、及び測定された出力(平均及び標準偏差)を表3に示す。
【0097】
【表3】
【0098】
全てのテスト構成は、高精度で独特の背面カバータッチ温度を与え、全て、対照(構成D1)より明らかに低かった。シミュレーションと一致して、構成D5は、対照より3.2℃低い最大背面カバータッチ温度低下を示した。構成D6、D3、及びD2は、背面カバーのタッチ温度を、それぞれ2.7℃、2.1℃、及び1.3℃低下させた。画面温度は、テストされた全ての構成で、対照より1℃未満上昇した。CPUとGPUの温度は、テストされた全ての構成で、対照より1.5℃未満上昇した。Pixel背面カバータッチ温度テストの結果は、シミュレーションテストにおける模擬構造のデバイスカバー表面温度の方向性の傾向を検証する。
【0099】
表3、図15及び図16から、結果はやや直観に反するものである。最も高い絶縁特性を有する構成D1及びD2は、最も高い背面カバー温度(最も高い温度のホットスポット)を示した。従来の考え方は、最大の絶縁特性を有する構成が、ホットスポット温度を最小限に抑えることであり、これは、提示されたデータからすると、明らかに当てはまらない。さらに、対照が最も低いGPU最大温度を有したことが示されている。
【0100】
システム性能及びユーザ快適性テスト:グラファイト-絶縁複合材料によって可能となる許容可能なシステム性能の増加を判断するために継続的にテストをすることとし、このテストのために構成D5が選択された。アウトオブボックススロットリング状態をPixelに対してリストアし、全ての熱管理システムを除去し、空気のみを残した。背面カバータッチ温度を、定常状態電力スロットリング中に測定し、3回のテスト実施について記録した。構成D5を設置し、スロットル対照実施から定常状態カバー温度に一致するように周波数を設定した。テストのための適切な周波数は、CPU及びGPUについてそれぞれ596MHz及び1996.8MHzであると判断された。周波数カバーホットスポット温度、ベンチマークスコア及び1秒当たりのフレームを測定し、2つのテストシナリオ間で比較した。全ての6回のテスト実施についてのベンチマークスコア、CPU周波数及びGPU周波数対実施時間の平滑化されたプロットを、図17に示す(テストシナリオあたり3回の測定の平均)。平均定常状態カバー温度、ベンチマークスコア及び1秒当たりのフレームを図18に示す(テストシナリオ当たり3回の測定の平均)。詳細を表4にまとめてある。
【0101】
【表4】
【0102】
アウトオブボックススロットリング中に得られた平均定常状態カバータッチ温度は、21.7℃の制御されたテスト環境において38.7℃であり、この温度は、長期間のUL 60950-1モバイルエレクロトニクスタッチ(皮膚)温度に関係している。このシナリオでは、平均定常状態ベンチマークスコア及び1秒当たりのフレームは、それぞれ3401及び19.5である。構成D5が背面カバーの内側に配置されると、ベンチマークスコアは3822に増加し、1秒当たりのフレームは21.3に増加し、システム性能が約12.4%増加する。一方、アウトオブボックススロットリング状態に設定された表面温度制限は維持される。
【0103】
結論:超高拡散容量を有するグラファイト箔と超低熱伝導率を有する絶縁シートを、熱ストレスをかけたGoogle Pixel 3XLに組み合わせて、グラファイト、絶縁体及び空気の単一成分のサーマルソリューションと比較して、最大接合部温度(Tj)の<1.2℃増加で、定常状態表面タッチ(皮膚)温度(TS)を3.2℃まで低下させた。COMSOLにおいて軸対称伝導モデルをシミュレートし、同等の厚さ(~350μm)の5つの独特な熱管理システムの表面温度低下の傾向を判断した。これらの熱管理システムのうちの4つは、Google Pixel 3XL熱ストレステストにおいて、製作され、テストされ、実験的に検証された。最大のTS低減をもたらす複合材料を利用して、ユーザの快適性及び安全性に適した表面温度を維持しながら、定常状態システム性能の増加を実証した。定常状態の3DMarkスリングショットエクストリームベンチマークスコアは、3401から3823に増加し、定常状態のシステム性能は、12.4%増加した。
【0104】
記載された成分に関係する重量は全て活性レベルに基づくものであり、商業的に入手可能な物質に含有される溶媒又は副生成物は、特に指定のない限り、含まれない。
【0105】
本開示の単数の特徴又は限定に対する全ての言及は、特に指定のない限り、又は言及される文脈によって逆のことが明確に示唆されない限り、対応する複数の特徴又は限定を含むものとし、逆もまた当てはまる。従って、本開示において、「1つ」という用語は、単数と複数の両方を含むと解釈される。逆に、複数の項目への言及は、適切な場合、単数を含むものとする。
【0106】
特に明記しない限り(例えば、「厳密に」という用語の使用により)、本明細書及び特許請求の範囲で使用される量、特性、例えば、分子量、反応条件等を表す全ての数は、全ての例において、「約」という用語により修飾されるものと理解する。従って、特に明記しない限り、明細書及び特許請求の範囲に記載された数値特性は、本発明の実施形態で得ようとする所望の特性に応じて変化する近似値である。
【0107】
本明細書に記載されていない場合、熱伝導率は、室温及び標準圧力(1気圧)で、あるいは、この代わりに、可撓性グラファイト物品の面貫通伝導率のためのASTM D 5470等の標準テストプロトコルが知られている場合は、適切なテスト条件で提供される。
【0108】
本明細書で使用される方法又はプロセスステップの全ての組み合わせは、参照される組み合わせがなされる文脈によって特に指定がない限り、又は逆に明確に示唆されない限り、任意の順序で実施することができる。
【0109】
本明細書に開示される、これらに限定されるものではないが、パーセンテージ、部、及び比率をはじめとする全ての範囲及びパラメータは、想定され、包含されるあらゆる部分範囲、及び終点間の全ての数を包含するものと理解する。例えば、「1~10」と記載された範囲には、1の最小値と10の最大値との間の(及びそれらを含む)あらゆる部分範囲、すなわち、1以上の最小値(例えば、1~6.1)で始まり、10以下の最大値(例えば、2.3~9.4、3~8、4~7)で終わり、最後に、範囲内に含まれる各数1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10までを含むと考えるものとする。
【0110】
本開示の熱管理システム及び電子デバイスは、本明細書に記載される本開示の必須要素及び限定、ならびに本明細書に記載される任意の付加の又は任意の成分、構成要素、又は限定、あるいは熱管理システム及び/又は電子デバイスにおいて有用なその他を含む、それらからなる、又はそれらから実質的になるものとする。
【0111】
「有する」という用語が本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲で、その用語が特許請求の範囲における移行句として使用されるときに解釈されるとき、「含む」という用語と同様に包括的であることが意図される。さらに、「又は」という用語(例えば、A又はB)が使用される範囲で、「A又はB、又はAとBの両方」を意味することが意図される。本出願人が「A又はBのみであり、両方ではない」ことを示すことを意図する場合、「A又はBのみであり、両方ではない」という用語が使用される。従って、本明細書における「又は」という用語の使用は包括的であり、排他的な使用ではない。
【0112】
いくつかの実施形態において、様々な発明の概念を互いに組み合わせて利用することが可能である。さらに、特定の要素の組み込みが実施形態の明示的な用語と矛盾しない限り、特定の開示された実施形態に関するものとして列挙された任意の特定の要素は、全ての開示された実施形態で使用可能であるものと解釈される。さらなる利点及び修正は、当業者であれば容易に分かる。従って、本開示は、そのより広い態様において、示される特定の詳細、代表的な装置、又は図示及び説明される例示的な実施例に限定されない。従って、一般的発明概念の精神又は範囲から逸脱しない範囲で、そのような詳細から逸脱可能である。
【0113】
本開示の例示的な実施形態
1. a.65ミクロン~95ミクロンの厚さ、700W/mK~950W/mKの面内熱伝導率、及び6W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む第1の要素と、
b.第1の要素に隣接する第2の要素であって、0.025W/mK未満の面貫通熱伝導率、例えば、0.01W/mK~0.0249W/mKの面貫通熱伝導率、0.015W/mK~0.0249W/mKの面貫通熱伝導率、又は0.02W/mK~0.0249W/mKの面貫通熱伝導率を有する絶縁材料を含む第2の要素と、
c.第2の要素に隣接し、第1の要素に対向する任意の第3の要素であって、少なくとも65ミクロン~500ミクロンの厚さ、700W/mK超の面内熱伝導率、及び6W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む第3の要素と、
を含む、熱管理システム。
2. 前記熱管理システムは、前記第3の要素を含む、段落1に記載の熱管理システム。
3. 前記第3の要素は、少なくとも1000W/mKの面内熱伝導率、例えば、1000W/mK~1500W/mKの面内熱伝導率、1025W/mK~1400W/mKの面内熱伝導率、1050W/mK~1300W/mKの面内熱伝導率、又は1100W/mK~1200W/mKの面内熱伝導率を有する、段落2に記載の熱管理システム。
4. 前記第1の要素及び前記第3の要素のうちの少なくとも1つは、モノリシックである、段落1~3のいずれか一つに記載の熱管理システム。
5. 前記第2の要素は、2mm以下の厚さ、例えば、1ミクロン~2mmの厚さ、5ミクロン~2mmの厚さ、10ミクロン~2mmの厚さ、20ミクロン~2mmの厚さ、30ミクロン~2mmの厚さ、50ミクロン~2mmの厚さ、70ミクロン~2mmの厚さ、0.1mm~1.5mmの厚さ、0.1mm~1mmの厚さ、0.1mm~0.5mmの厚さ、0.1mm~0.3mmの厚さ、又は0.1mm~0.25mmの厚さを有する、段落1~4のいずれか一つに記載の熱管理システム。
6. 前記第2の要素は、エアロゲルを含む、段落1~5のいずれか一つに記載の熱管理システム。
7. a.熱源と、
b.外部表面と、
c.前記第1の要素又は前記第3の要素のいずれかは、前記熱源と動作可能に熱連通し、前記第1の要素又は前記第3の要素の他方は、前記外部表面に面している、段落1~6のいずれか一つに記載の熱管理システムと
を含む、電子デバイス。
8. 空隙が、前記外部表面と、前記外部表面に面する前記要素との間にある、段落7に外部の電子デバイス。
9. 前記外部表面の一部が、前記外部表面に面する前記要素と物理的に接触している、段落7に記載の電子デバイス。
10. 前記外部表面の一部は、前記外部表面に面する要素の表面積と同じ表面積を有し、前記外部表面の一部にはオフセットがない、段落9に記載の電子デバイス。
11. 前記熱源と動作可能に熱連通する前記要素の表面積は、前記要素と動作可能に熱連通する前記熱源の表面のその部分の表面積よりも少なくとも1.5倍大きい、段落7~10のいずれか一つに記載の電子デバイス。
12. a.100ミクロン~500ミクロンの厚さ、1000W/mKを超える面内熱伝導率、及び6W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む第1の要素と、
b.前記第1の要素に隣接する第2の要素であって、0.025W/mK未満の面貫通熱伝導率、例えば、0.01W/mK~0.0249W/mKの面貫通熱伝導率、0.015W/mK~0.0249W/mKの面貫通熱伝導率、又は0.02W/mK~0.0249W/mKの面貫通熱伝導率を有する絶縁材料を含む、第2の要素と、
c.前記第2の要素に隣接し、前記第1の要素に対向する任意の第3の要素であって、100ミクロン~500ミクロンの厚さ及び1000W/mKを超える面内熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む第3の要素と
を含む、熱管理システム。
13. 前記第2の要素は、2mm以下の厚さ、例えば、1ミクロン~2mmの厚さ、5ミクロン~2mmの厚さ、10ミクロン~2mmの厚さ、20ミクロン~2mmの厚さ、30ミクロン~2mmの厚さ、50ミクロン~2mmの厚さ、70ミクロン~2mmの厚さ、0.1mm~1.5mmの厚さ、0.1mm~1mmの厚さ、0.1mm~0.5mmの厚さ、0.1mm~0.3mmの厚さ、又は厚さ0.1mm~0.25mmの厚さを有する、段落12に記載の熱管理システム。
14. 前記第1の要素又は前記第3の要素のうちの少なくとも1つは、少なくとも125ミクロンの厚さを有する、段落12又は段落13に記載の熱管理システム。
15. 前記第1の要素及び前記第3の要素のうちの少なくとも1つは、モノリシックである、段落12~14のいずれか一つに記載の熱管理システム。
16. 前記第2の要素は、エアロゲルを含む、段落12~15のいずれか一つに記載の熱管理システム。
17. a.熱源と、
b.外部表面と、
c.前記第1の要素又は前記第3の要素のいずれかは、前記熱源と動作可能に熱連通し、前記第1の要素又は前記第3の要素の他方は、前記外部表面に面している、請求項12~16のいずれか一つに記載の熱管理システムと
を含む、電子デバイス。
18. 空隙が、前記外部表面と、前記外部表面に面する前記要素との間にある、段落17に記載の電子デバイス。
19. 前記外部表面の一部が、前記外部表面に面する前記要素と物理的に接触している、段落17に記載の電子デバイス。
20. 外部表面の一部は、前記外部表面に面する前記要素の表面積と同じ表面積を有し、前記外部表面の一部にはオフセットがない、段落19に記載の電子デバイス。
21. 前記熱源と動作可能に熱連通している前記要素の表面積は、前記要素と動作可能に熱連通している前記熱源の表面のその部分の表面積よりも少なくとも1.5倍大きい、段落17~20のいずれか一つに記載の電子デバイス。
22. 前記外部表面に面する前記要素の表面上の第1の点と、前記外部表面に面する前記要素の表面上の第2の点との間の温度差は、約2.5℃未満であり、前記第1の点と前記第2の点は、50mm以下離れている、段落17~21のいずれか一つに記載の電子デバイス。
23. 前記第1の点と前記第2の点は、少なくとも35mm離れている、段落22に記載の電子デバイス。
24. 前記熱源と動作可能に熱連通する前記要素の表面上の第1の点と、前記外部表面に面する前記要素の表面上の第2の点との間の温度差は、1.5℃を超え、前記第1の点及び前記第2の点は、共通軸上にある、段落17~23のいずれか一つに記載の電子デバイス。
25. a.少なくとも100ミクロン~500ミクロンの厚さ、1000W/mKを超える面内熱伝導率、及び6W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む第1の要素と、
b.前記第1の要素に隣接する第2の要素であって、0.025W/mK未満の面貫通熱伝導率、例えば、0.01W/mK~0.0249W/mKの面貫通熱伝導率、0.015W/mK~0.0249W/mKの面貫通熱伝導率、又は0.02W/mK~0.0249W/mKの面貫通熱伝導率を有する絶縁材料を含む第2の要素と、
c.前記第2の要素に隣接し、前記第1の要素に対向する任意の第3の要素であって、少なくとも100ミクロン~500ミクロンの厚さ及び1000W/mKを超える面内熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む、第3の要素と、
を含む、熱管理システム。
26. 前記第1の要素及び前記第3の要素のうちの少なくとも1つは、モノリシックである、段落25に記載の熱管理システム。
27. 前記第2の要素は、2mm未満の厚さ、例えば、1ミクロン~2mmの厚さ、5ミクロン~2mmの厚さ、10ミクロン~2mmの厚さ、20ミクロン~2mmの厚さ、30ミクロン~2mmの厚さ、50ミクロン~2mmの厚さ、70ミクロン~2mmの厚さ、0.1mm~1.5mmの厚さ、0.1mm~1mmの厚さ、0.1mm~0.5mmの厚さ、0.1mm~0.3mmの厚さ、又は0.1mm~0.25mmの厚さを有する、段落25又は段落26に記載の熱管理システム。
28. 前記第2の要素は、エアロゲルを含む、段落25~27のいずれか一つに記載の熱管理システム。
29. a.熱源と、
b.外部表面と、
c.前記第1の要素又は前記第3の要素のいずれかは、前記熱源と動作可能に熱連通し、前記第1の要素又は前記第3の要素の他方は、前記外部表面に面している、段落25~28のいずれか一つに記載の熱管理システムと
を含む、電子デバイス。
30. 空隙が、前記外部表面と、前記外部表面に面する前記要素との間にある、段落29に記載の電子デバイス
から成る電子デバイス。
31. 前記外部表面の一部が、前記外部表面に面する前記要素と物理的に接触している、段落29に記載の電子デバイス。
32. 前記外部表面の一部は、前記外部表面に面する前記要素の表面積と同じ表面積を有し、前記外部表面の一部にはオフセットがない、段落31に記載の電子デバイス。
33. 前記熱源と動作可能に熱連通している前記要素の表面積は、前記要素と動作可能に熱連通している前記熱源の表面のその部分の表面積よりも少なくとも1.5倍大きい、段落29~32のいずれか一つに記載の電子デバイス。
34. 前記外部表面に面する前記要素の表面上の第1の点と、前記外部表面に面する前記要素の表面上の第2の点との間の温度差は、約2.5℃未満であり、前記第1の点と前記第2の点は、50mm以下離れている、段落29~33のいずれか一つに記載の電子デバイス。
35. 前記第1の点と前記第2の点は、少なくとも35mm離れている、段落34に記載の電子デバイス。
36. 前記熱源と動作可能に熱連通する前記要素の表面上の第1の点と、前記外部表面に面する前記要素の表面上の第2の点との間の温度差は、1.5℃を超え、前記第1の点及び前記第2の点は、共通軸上にある、段落29~35のいずれか一つに記載の電子デバイス。
37. a.100ミクロン~500ミクロンの厚さ、1000W/mK超の面内熱伝導率、及び6W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む第1の要素と、
b. 第1の要素に隣接する第2の要素であって、0.05W/mK未満の面貫通熱伝導率、例えば、0.01W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.015W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.02W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.025W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.03W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.035W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.04W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、又は0.045W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率を有する絶縁材料を含む、第2の要素と、
c.前記第2の要素に隣接し、前記第1の要素に対向する任意の第3の要素であって、100ミクロン~500ミクロンの厚さと、1000W/mKを超える面内熱伝導率とを有する可撓性グラファイト物品を含む第3の要素と、
を含む、熱管理システム。
38. 前記第1の要素及び前記第3の要素のうちの少なくとも1つは、モノリシックである、段落37に記載の熱管理システム。
39. 前記第2の要素は、2mm以下の厚さ、例えば、1ミクロン~2mmの厚さ、5ミクロン~2mmの厚さ、10ミクロン~2mmの厚さ、20ミクロン~2mmの厚さ、30ミクロン~2mmの厚さ、50ミクロン~2mmの厚さ、70ミクロン~2mmの厚さ、0.1mm~1.5mmの厚さ、0.1mm~1mmの厚さ、0.1mm~0.5mmの厚さ、0.1mm~0.3mmの厚さ、又は0.1mm~0.25mmの厚さを有する、段落37又は段落38に記載の熱管理システム。
40. 前記第2の要素は、エアロゲル又は延伸ポリテトラフルオロエチレン膜のうちの少なくとも1つを含む、段落37~39のいずれか一に記載の熱管理システム。
41. a.熱源と、
b.外部表面と、
c.段落37~40のいずれか一つに記載の熱管理システムであって、前記第1の要素又は前記第3の要素のいずれかは、熱源と動作可能に熱連通しており、前記第1の要素又は前記第3の要素の他方は、外部表面に面している、熱管理システムと
を含む、電子デバイス。
42. 空隙が、前記外部表面と、前記外部表面に面する前記要素との間にある、段落41に記載の電子デバイス。
43. 前記外部表面の一部が、前記外部表面に面する前記要素と物理的に接触している、段落41に記載の電子デバイス。
44. 前記外部表面の一部は、前記外部表面に面する前記要素の表面積と同じ表面積を有し、前記外部表面の一部にはオフセットがない、段落43に記載の電子デバイス。
45. 前記熱源と動作可能に熱連通している前記要素の表面積は、前記要素と動作可能に熱連通している前記熱源の表面のその部分の表面積よりも少なくとも1.5倍大きい、段落41~44のいずれか一つに記載の電子デバイス。
46. a.100ミクロン~500ミクロンの厚さ、1000W/mKを超える面内熱伝導率、及び6W/mK未満の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイト物品を含む第1の要素と、
b.0.15W/mK未満の面貫通熱伝導率、例えば、0.01W/mK~0.149W/mKの面貫通熱伝導率、0.015W/mK~0.149W/mKの面貫通熱伝導率、0.02W/mK~0.149W/mKの面貫通熱伝導率、0.025W/mK~0.149W/mKの面貫通熱伝導率、0.03W/mK~0.149W/mKの面貫通熱伝導率、0.035W/mK~0.149W/mKの面貫通熱伝導率、0.04W/mK~0.149W/mKの面貫通熱伝導率、0.045W/mK~0.149W/mKの面貫通熱伝導率、0.05W/mK~0.149W/mKの面貫通熱伝導率、0.06W/mK~0.149W/mKの面貫通熱伝導率、0.07W/mK~0.0.149W/mKの面貫通熱伝導率、0.08W/mK~0.149W/mKの面貫通熱伝導率、0.09W/mK~0.149W/mKの面貫通熱伝導率、0.1W/mK~0.149W/mKの面貫通熱伝導率、0.11W/mK~0.149W/mKの面貫通熱伝導率、0.12W/mK~0.149W/mKの面貫通熱伝導率、0.13W/mK~0.149W/mKの面貫通熱伝導率、又は0.14W/mK~0.149W/mKの面貫通熱伝導率を有する絶縁材料を含む第2の要素であって、前記第2の要素の厚さは、前記第1の要素の厚さと少なくとも同じ~第1の要素の厚さの10倍以下である、第2の要素と
を含む、熱管理システム。
47. 前記絶縁材料は、エアロゲル又は多孔質ポリマーマトリックスのうちの少なくとも1つを含む、段落46に記載の熱管理システム。
48. 前記絶縁材料の面貫通熱伝導率は、0.05W/mK未満、例えば、0.01W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.015W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.02W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.025W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.03W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.035W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、0.04W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率、又は0.045W/mK~0.049W/mKの面貫通熱伝導率である、段落46又は段落47の熱管理システム。
49. 前記第2の要素の厚さは、前記第1の要素の厚さの7倍以下である、段落46~48のいずれか一つに記載の熱管理システム。
50. 前記第2の要素の厚さは、前記第1の要素の厚さの3倍以下である、段落46~48のいずれか一つに記載の電子デバイス。
51. 段落46~50のいずれか一つに記載の熱管理システムと、熱源とを含む電子デバイスであって、前記熱管理システムは、前記熱源と動作可能に熱連通し、前記熱管理システムの前記第1の要素又は前記第2の要素のうちの1つは、前記熱源に隣接して一列に並んでいる、電子デバイス。
52. 前記熱源と前記熱管理システムとの間に空隙をさらに含む、段落51に記載の電子デバイス。
53. a.少なくとも100μmの厚さ、1000W/mKを超える面内熱伝導率、及び6W/mK以下の面貫通熱伝導率を有する可撓性グラファイトの第1の要素と、
b.前記第1の要素に隣接する絶縁材料の第2の要素であって、0.05W/mK以下の面貫通熱伝導率、例えば、0.025W/mK~0.05W/mKの面貫通熱伝導率、0.03W/mK~0.05W/mKの面貫通熱伝導率、0.035W/mK~0.05W/mKの面貫通熱伝導率、0.04W/mK~0.05W/mKの面貫通熱伝導率、又は0.045W/mK~0.05W/mKの面貫通熱伝導率を有する、第2の要素と
を含む、熱管理システム。
図1
図1a
図2
図2a
図3
図3a
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図7
図8
図8a
図9
図10
図11
図12
図13
図14a
図14b
図15
図16
図17
図18