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特許7654024電気機器用の筐体のためのブッシングアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】電気機器用の筐体のためのブッシングアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01B 17/58 20060101AFI20250324BHJP
   H01G 9/10 20060101ALI20250324BHJP
   H01G 9/12 20060101ALI20250324BHJP
   H01G 2/10 20060101ALI20250324BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20250324BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20250324BHJP
【FI】
H01B17/58 A
H01G9/10 D
H01G9/12 A
H01G9/12 B
H01G2/10 L
H01G2/10 300
H05K7/00 M
H02G3/22
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023030870
(22)【出願日】2023-03-01
(65)【公開番号】P2023152762
(43)【公開日】2023-10-17
【審査請求日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】22166154
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリク・ニルソン
(72)【発明者】
【氏名】ヨアン・ノルドロフ
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-201719(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0044813(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 17/58
H02G 3/22
H05K 7/00
H01G 9/10
H01G 9/12
H01G 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器用の筐体(4)のパネル(3)の開口部(2)に取り付けるためのブッシングアセンブリ(1)であって、前記ブッシングアセンブリ(1)は、
複数の第1のブッシング部材(5)を備え、各第1のブッシング部材(5)は、前記開口部(2)のうちの対応する開口部(2)に着座するように構成され、前記第1のブッシング部材(5)の中央部分(6)が、前記第1のブッシング部材(5)の長手方向軸(7)に沿って、前記パネル(3)の第1の面(8)から前記パネル(3)の第2の面(9)まで、前記対応する開口部(2)を通って延在し、かつ、前記第1のブッシング部材(5)の1つ以上の突出部(10)が、前記第1のブッシング部材(5)が前記対応する開口部(2)を通って移動するのを防止するために、前記中央部分(6)から、前記長手方向軸(7)に対して径方向に離れるように延在し、
前記ブッシングアセンブリ(1)は第2のブッシング部材(11)をさらに備え、複数の前記第1のブッシング部材(5)は一つの前記第2のブッシング部材(11)に解放可能に装着可能であり、前記第1のブッシング部材(5)の前記1つ以上の突出部(10)は、前記パネル(3)の前記第1の面に配置され、前記第2のブッシング部材(11)は、前記パネル(3)の前記第2の面(9)に配置されている、ブッシングアセンブリ(1)。
【請求項2】
各第1のブッシング部材(5)は第1の接続手段(12)を含み、前記第2のブッシング部材(11)は複数の対応する第2の接続手段(13)を含み、各第1の接続手段(12)は、前記第2の接続手段(13)のうちの対応する第2の接続手段(13)に解放可能に装着可能である、請求項1に記載のブッシングアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記第1の接続手段(12)および前記第2の接続手段(13)は、各第1の接続手段(12)が、対応する前記第1のブッシング部材(5)の前記長手方向軸(7)を中心とする、前記対応する第1のブッシング部材(5)と前記第2のブッシング部材(11)との間の回転相対運動により、前記第2の接続手段(13)に解放可能に装着可能となるように、構成される、請求項2に記載のブッシングアセンブリ(1)。
【請求項4】
各第2の接続手段(13)はねじ切りされた開口部(14)を含み、各第1の接続手段(12)は、対応する前記第1のブッシング部材(5)の前記中央部分(6)に設けられた、対応するねじ山を含む、請求項3に記載のブッシングアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記第1のブッシング部材(5)の前記1つ以上の突出部(10)は、周方向のフランジ、隆起部、または肩部を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のブッシングアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記第1の接続手段(12)および前記第2の接続手段(13)は、前記パネル(3)の前記第2の面(9)で互いに係合するように構成される、請求項2~4のいずれか1項に記載のブッシングアセンブリ(1)。
【請求項7】
筐体(4)とブッシングアセンブリ(1)とを備える筐体アセンブリであって、前記筐体(4)は、前記筐体(4)の内部に電気機器を収容するためのものであり、
前記筐体(4)はパネル(3)を備え、
前記パネル(3)は、前記筐体の外側に面する第1の面(8)と、前記筐体(4)の内側に面する反対側の第2の面(9)とを備え、前記パネル(3)は、前記パネル(3)の前記第1の面(8)と前記第2の面(9)との間の複数の開口部(2)を備え、
前記ブッシングアセンブリ(1)は、
複数の第1のブッシング部材(5)を備え、各第1のブッシング部材(5)は、前記パネル(3)の前記開口部(2)のうちの対応する開口部(2)に着座しており、前記第1のブッシング部材(5)の中央部分(6)が、前記第1のブッシング部材(5)の長手方向軸(7)に沿って、前記パネル(3)の前記第1の面(8)から前記パネル(3)の前記第2の面(9)まで、前記パネル(3)の前記対応する開口部(2)を通って延在し、かつ、前記第1のブッシング部材(5)の1つ以上の突出部(10)が、前記第1のブッシング部材(5)が前記対応する開口部(2)を通って前記パネル(3)の前記第2の面(9)に移動するのを防止するために、前記中央部分(6)から、前記長手方向軸(7)に対して径方向に離れるように延在し、
前記ブッシングアセンブリ(1)は第2のブッシング部材(11)をさらに備え、複数の前記第1のブッシング部材(5)は一つの前記第2のブッシング部材(11)に解放可能に装着され、前記第1のブッシング部材(5)の前記1つ以上の突出部(10)は、前記パネル(3)の前記第1の面(8)に配置され、前記第2のブッシング部材(11)は、前記パネル(3)の前記第2の面(9)に配置されている、筐体アセンブリ。
【請求項8】
前記筐体(4)の内部に設けられた1つ以上のキャパシタ(17)をさらに備え、前記筐体(4)は、前記筐体を開くことができないように密閉されている、請求項7に記載の筐体アセンブリ。
【請求項9】
筐体アセンブリを組み立てる方法であって、前記筐体アセンブリは、筐体(4)とブッシングアセンブリ(1)とを備え、前記筐体(4)は、前記筐体(4)の内部に電気機器を収容するためのものであり、
前記筐体(4)は、筐体本体(16)とパネル(3)とを備え、前記パネル(3)は、前記パネル(3)が前記筐体本体(16)の開口部(18)を覆うように、前記筐体本体(16)の前記開口部(18)に装着可能であり、
前記パネル(3)は、前記筐体の外側に面する第1の面(8)と、前記筐体(4)の内側に面する反対側の第2の面(9)とを備え、前記パネル(3)は、前記パネル(3)の前記第1の面(8)と前記第2の面(9)との間の複数の開口部(2)を備え、
前記ブッシングアセンブリ(1)は、
複数の第1のブッシング部材(5)を備え、各第1のブッシング部材(5)は、前記パネル(3)の前記開口部(2)のうちの対応する開口部(2)に着座するように構成され、前記第1のブッシング部材(5)の中央部分(6)が、前記第1のブッシング部材(5)の長手方向軸(7)に沿って、前記パネル(3)の前記第1の面(8)から前記パネル(3)の前記第2の面(9)まで、前記パネル(3)の前記対応する開口部(2)を通って延在し、かつ、1つ以上の突出部(10)が、前記第1のブッシング部材(5)が前記パネル(3)の前記対応する開口部(2)を通って移動するのを防止するために、前記中央部分(6)から、前記長手方向軸(7)に対して径方向に離れるように延在し、
前記ブッシングアセンブリ(1)は第2のブッシング部材(11)をさらに備え、複数の前記第1のブッシング部材(5)は一つの前記第2のブッシング部材(11)に解放可能に装着可能であり、前記第1のブッシング部材(5)の前記1つ以上の突出部(10)は、前記パネル(3)の前記第1の面(8)に配置され、前記第2のブッシング部材(11)は、前記パネル(3)の前記第2の面(9)に配置され、
前記方法は、
前記第2のブッシング部材(11)を前記パネル(3)の前記第2の面(9)に配置するステップと、
各第1のブッシング部材(5)が前記パネル(3)の前記開口部(2)のうちの対応する開口部(2)に着座するように、前記パネル(3)の前記開口部(2)を通して前記複数の第1のブッシング部材(5)を前記第2のブッシング部材(11)に装着するステップと、
前記パネル(3)が前記筐体本体(16)の前記開口部(18)を覆うように、前記パネル(3)を前記筐体本体(16)に取り外し不能に装着するステップとを含む、方法。
【請求項10】
前記パネル(3)を前記筐体本体(16)に取り外し不能に装着する前に、1つ以上のキャパシタ(19)を前記筐体の内部に取り付けるステップと、電気コネクタを前記第1のブッシング部材(5)および/または前記第2のブッシング部材(11)の中に取り付けるステップと、前記キャパシタからの導体を前記電気コネクタに取り付けるステップとをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電気機器用の筐体に対するブッシングの組み付けに関する。電気機器はキャパシタであってもよい。
【背景技術】
【0002】
背景
キャパシタユニットはキャパシタを収容するキャパシタ筐体を含む。キャパシタへの電気的接続は、キャパシタ筐体の開口部を通して提供され、開口部にはブッシングが設けられ、ブッシングは、電気コネクタを整列させ、電気コネクタと筐体との間の電気的絶縁を提供する。キャパシタユニットの組立中、キャパシタは、キャパシタ筐体内に嵌め込まれ、ブッシングは、キャパシタ筐体の開口部内に取り付けられる。導体が、筐体を通してキャパシタへの外部電気接続を可能にするために、ブッシングとブッシング内の電気コネクタ/端子との間に取り付けられる。すべてが適所に収まると、キャパシタ筐体は、たとえばキャパシタ筐体の蓋をキャパシタ筐体の残りの部分に溶接することによって封止される。その後、ある物質をキャパシタ筐体に導入して構成要素を固定し構成要素間の絶縁を提供してもよい。従来技術のブッシングは外側ブッシング部材を備え、外側ブッシング部材は、キャパシタ筐体の開口部に導入され、その後、筐体の開口部を通ってキャパシタ筐体内に突出する外側ブッシング部材の対応するねじ切りされた部分に、ナットの形態の内側ブッシング部材をねじ込むことにより、適所に固定される。典型的に、キャパシタユニットの開口部にキャパシタ筐体の蓋が設けられる。蓋がキャパシタ筐体の残りの部分に溶接されると、キャパシタ筐体内のナットにアクセスすることができず、このことは、外側ブッシング部材を交換できないことを意味する。そのため、蓋がキャパシタ筐体の残りの部分に溶接された後の外側ブッシング部材へのいかなる損傷も、補修することができず、キャパシタユニット全体を新たなキャパシタユニットと交換しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
概要
したがって、本開示の目的は、キャパシタユニットの密閉後に、ブッシングの損傷した部分を簡単に交換できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1の態様に従うと、この目的および他の目的は、独立請求項1に記載のブッシングアセンブリおよびその従属請求項において規定された代替実施形態により達成される。ブッシングアセンブリは、キャパシタの筐体等の、電気機器用の筐体の、パネルの開口部に取り付けるのに適している。ブッシングアセンブリは、複数の第1のブッシング部材を備え、各第1のブッシング部材は、パネルの開口部のうちの対応する開口部に着座するように構成され、第1のブッシング部材の中央部分が、第1のブッシング部材の長手方向軸に沿って、パネルの第1の面からパネルの第2の面まで、対応する開口部を通って延在する。第1のブッシング部材の1つ以上の突出部が、第1のブッシング部材が対応する開口部を通って移動するのを防止するために、中央部分から、長手方向軸に対して径方向に離れるように延在する。突出部は、周方向のフランジ、隆起部、または肩部等の任意の好適な形状を有し得る。
【0005】
ブッシングアセンブリは、第2のブッシング部材をさらに備え、第1のブッシング部材は、第1のブッシング部材の1つ以上の突出部がパネルの第1の面に位置し第2のブッシング部材がパネルの第2の面に位置する状態で、第2のブッシング部材に解放可能に装着可能である。
【0006】
電気機器用の筐体は、典型的には複数のパネルによって形成され、これらのパネルがともにこの筐体の内部容積を定める。よって、そのようなパネルは、筐体の任意の壁もしくは壁の一部、または筐体の残りの部分に装着可能な蓋であってもよい。電気的接続は、多くの場合、筐体のパネルの開口部を通してなされ、ブッシングを、電気コネクタまたはケーブルを筐体に対して固定し整列させるために、各開口部内に着座させる。ブッシングアセンブリは、電気的筐体を含むデバイス、たとえばキャパシタの組立中に、筐体に装着される。
【0007】
本開示に係るブッシングアセンブリは、好ましくは取り扱いおよび位置合わせを容易にするために専用の治具を使用して、先ず第2のブッシング部材を筐体のパネルの第2の面に配置することにより、パネルに取り付けられる。その後、複数の第1のブッシング部材を、各第1のブッシング部材がパネルの開口部のうちの対応する開口部に挿入された状態で、第2のブッシング部材に装着し、各第1のブッシング部材の中央部分が、パネルの対応する開口部を通ってパネルの第1の面からパネルの第2の面まで延在する。次に、第1のブッシング部材を、パネルの開口部を通して第2のブッシング部材に解放可能に装着する。1つの第1のブッシング部材のみが第2のブッシング部材に装着される場合は、第1のブッシング部材が第2のブッシング部材から取り外されると、第2のブッシング部材は自由に移動するが、複数の第1のブッシング部材が第2のブッシング部材に装着されるので、第2のブッシング部材は固定される。第2のブッシング部材が複数の第1のブッシング部材によって固定されると、第1のブッシング部材のうちの1つを、第1のブッシング部材の検査または交換のために、第2のブッシング部材にアクセスすることなく、第2のブッシング部材から解放することができる。このことは、第2のブッシング部材にアクセスできない場合に、たとえばブッシングアセンブリが閉鎖された筐体のパネルの上に、または第1のブッシング部材の交換中に第2のブッシング部材にアクセスしてこれを手作業で保持して固定できないようなサイズ、位置、および/または形状を有するパネルの上に、取り付けられている場合に、有用である。
【0008】
各第1のブッシング部材は第1の接続手段を備えていてもよく、第2のブッシング部材は複数の対応する第2の接続手段を備える。各第1の接続手段は、第2の接続手段のうちの対応する第2の接続手段に解放可能に装着可能である。
【0009】
第1の接続手段および第2の接続手段は、各第1の接続手段が、対応する第1のブッシング部材の長手方向軸を中心とする、対応する第1のブッシング部材と第2のブッシング部材との間の回転相対運動により、第2の接続手段に解放可能に装着可能となるように、構成されてもよい。
【0010】
各第2の接続手段はねじ切りされた開口部を備えていてもよく、各第1の接続手段は、対応する第1のブッシング部材の中央部分に設けられた、対応するねじ山を含む。
【0011】
第1の接続手段および第2の接続手段は、パネルの第2の面で互いに係合するように構成されてもよい。
【0012】
第1および第2の接続手段がパネルの第2の面で係合するように第1および第2の接続手段を構成することにより、第2のブッシング部材のどの部分もパネルの開口部を通って突出する必要がなく、このことは、第2のブッシング部材のどの部分も筐体の外側に突出する必要がないことを意味する。筐体の外側に突出するいかなる部分も、機械的損傷のリスクが高く、第1のブッシング部材は、多くの場合、筐体を分解せずに交換することができないので、第2のブッシング部材を使用時に筐体の外側に突出しないように設計することによって第2のブッシング部材を損傷から保護することは、好都合である。
【0013】
第2の態様に従うと、上記目的は、筐体と、上記ブッシングアセンブリのようなブッシングアセンブリとを備える筐体アセンブリによっても達成され、筐体は、この筐体の内部に電気機器を収容するためのものである。筐体はパネルを備え、パネルは、筐体の外側に面する第1の面と、筐体の内側に面する反対側の第2の面とを備え、パネルは、パネルの第1の面と第2の面との間の複数の開口部を備える。ブッシングアセンブリは、複数の第1のブッシング部材を備え、各第1のブッシング部材は、パネルの開口部のうちの対応する開口部に着座し、第1のブッシング部材の中央部分が、第1のブッシング部材の長手方向軸に沿って、パネルの第1の面からパネルの第2の面まで、パネルの対応する開口部を通って延在し、かつ、第1のブッシング部材の1つ以上の突出部が、第1のブッシング部材が対応する開口部を通ってパネルの第2の面に移動するのを防止するために、中央部分から、長手方向軸に対して径方向に離れるように延在する。ブッシングアセンブリは第2のブッシング部材をさらに備え、第1のブッシング部材は第2のブッシング部材に解放可能に装着され、第1のブッシング部材の1つ以上の突出部は、パネルの第1の面に配置され、第2のブッシング部材は、パネルの第2の面に配置されている。
【0014】
筐体アセンブリは、筐体の内部に設けられた1つ以上のキャパシタをさらに備え、筐体は、筐体を開くことができないように密閉されている。たとえば、パネルは、例として接着または溶接により、筐体を閉じて封止するために、筐体に取り外し不能に装着された筐体の蓋であってもよい。
【0015】
第3の態様に従うと、上記目的は、筐体アセンブリを組み立てる方法によっても達成される。筐体アセンブリは、筐体と、上記ブッシングアセンブリのうちの1つのようなブッシングアセンブリとを備え、筐体は、この筐体の内部に電気機器を収容するためのものである。筐体は、筐体本体とパネルとを備え、パネルは、パネルが筐体本体の開口部を覆うように、筐体本体の開口部に装着可能である。パネルは、筐体の外側に面する第1の面と、筐体の内側に面する反対側の第2の面とを備え、パネルは、パネルの第1の面と第2の面との間の複数の開口部を備える。ブッシングアセンブリは複数の第1のブッシング部材を備える。各第1のブッシング部材は、パネルの開口部のうちの対応する開口部に着座するように構成され、第1のブッシング部材の中央部分が、第1のブッシング部材の長手方向軸に沿って、パネルの第1の面からパネルの第2の面まで、パネルの対応する開口部を通って延在する。第1のブッシング部材の1つ以上の突出部が、第1のブッシング部材がパネルの対応する開口部を通って移動するのを防止するために、ブッシング部材の中央部分から、長手方向軸に対して径方向に離れるように延在する。
【0016】
ブッシングアセンブリは、第2のブッシング部材をさらに備え、第1のブッシング部材は、第1のブッシング部材の1つ以上の突出部がパネルの第1の面に配置され第2のブッシング部材がパネルの第2の面に配置された状態で、第2のブッシング部材に解放可能に装着可能である。
【0017】
この方法は、第2のブッシング部材をパネルの第2の面に配置するステップと、各第1のブッシング部材がパネルの開口部のうちの対応する開口部に着座するように、パネルの開口部を通して複数の第1のブッシング部材を第2のブッシング部材に装着するステップとを含む。ブッシングアセンブリがパネルに取り付けられる。ブッシングアセンブリがパネルに取り付けられると、パネルは、パネルが筐体本体の開口部を覆うように、筐体本体に取り外し不能に装着される。
【0018】
筐体は組立中に扱われるので、たとえば筐体本体へのパネルの溶接または接着中に、第1のブッシング部材を損傷するリスクがある。従来技術のブッシング設計の場合、交換のために外側ブッシング部材(第1のブッシング部材)の係合を解除するためには筐体の内側のナットを回転させる必要があるが、一旦蓋が筐体に取り外し不能に装着されるとナットにアクセスできないので、それは不可能である。先ず複数の第1のブッシング部材を第2のブッシング部材に装着することにより、第2のブッシング部材は複数の第1のブッシング部材によって適所で固定されるので、第1のブッシング部材のうちの1つを、第2のブッシング部材にアクセスすることなく、かつ第2のブッシング部材を筐体の中に落とすことなく、交換することができる。この方法は、第1のブッシング部材が組立時に損傷したという理由だけで筐体アセンブリを含む製品を廃棄する必要がないので、筐体アセンブリの組立時の成功率を向上させる。
【0019】
この方法は、パネルを筐体本体に取り外し不能に装着する前に、1つ以上のキャパシタを筐体の内部に取り付けるステップと、電気コネクタを第1のブッシング部材および/または第2のブッシング部材の中に取り付けるステップと、キャパシタからの導体を電気コネクタに取り付けるステップとをさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1図3は電気機器用の筐体のための従来技術のブッシングおよび筐体のパネルの一部を示し、図1は、筐体の外側から筐体のパネルの開口部に挿入される従来技術の外側ブッシング部材を示す図である。
図2】従来技術の筐体のパネルの一部を示す図である。
図3図1にも示される外側ブッシング部材と、外側ブッシング部材をパネルに装着するナットの形態の内側ブッシング部材とを備える従来技術のブッシングアセンブリの側断面図を示し、また、電気コネクタが破線で示されている。
図4】本開示の第1の実施形態に係るブッシングアセンブリの分解斜視図を示す。
図5図4にも示されるブッシングアセンブリの側面図を示す。
図6図4および図5にも示されるブッシングアセンブリの側断面図を示す。
図7】本開示の第2の実施形態に係るブッシングアセンブリの側断面図を示す。
図8図5および図6にも示される実施形態に係るブッシングアセンブリを備えるキャパシタユニットの側断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
以下、本開示に係るブッシングアセンブリの実施形態を添付の図面を参照しながら説明する。
【0022】
図8に示されるように、ブッシングアセンブリ1は、キャパシタユニット用の筐体アセンブリの一部として提供されてもよく、この筐体アセンブリは、ブッシングアセンブリ1と筐体4とを備える。電気端子/コネクタ19が、ブッシングアセンブリ1を使用して筐体アセンブリの筐体4に取り付けられる。また、導体20が、電気端子19を、筐体4の内部の1つ以上のキャパシタ17に接続する。筐体4は、筐体4の筐体本体16の開口部18を封止するための蓋として使用されるパネル3を備える。パネル3は溶接によって筐体本体に取り外し不能に装着されるが、接着等の、パネル3を取り外し不能に装着する任意の他の適切な方法を、代わりに使用することが可能である。図8は、ブッシングアセンブリの2つの第1のブッシング部材/外側ブッシング部材5のうちの1つのみが見える視点からブッシングアセンブリ1を示していることが、理解されるはずである。しかしながら、示されているブッシングアセンブリは、図5および図6に示されるものと同じである。
【0023】
図5図6および図8に示されるように、ブッシングアセンブリ1は、複数の第1のブッシング部材5を備え、各第1のブッシング部材5は、パネルの開口部2のうちの対応する開口部に着座するように構成され、第1のブッシング部材5の中央部分6が、第1のブッシング部材5の長手方向軸7に沿って、筐体の外側に面するパネル3の第1の面から、筐体4の内側に面するパネル3の第2の面まで、パネル3の対応する開口部2を通って延在する。第1のブッシング部材5の突出部10が、第1のブッシング部材5が対応する開口部2を通って移動するのを防止するために、中央部分6から、長手方向軸7に対して径方向に離れるように延在する。突出部10は、第1のブッシング部材5をパネル3に締め付けることを可能にする。この実施形態において、突出部10は、周方向の隆起部または肩部であるが、第1のブッシング部材5が開口部2を通って移動するのを防止するために、任意の他の適切な突出部を代わりに使用することが可能である。
【0024】
図8に示されるように、Oリングを設けて周方向の隆起部/肩部10とパネル3との間を封止してもよい。
【0025】
ブッシングアセンブリ1は第2のブッシング部材11をさらに備え、第1のブッシング部材5は第2のブッシング部材11に解放可能に装着可能である。装着されると、第1のブッシング部材5の1つ以上の突出部10は、パネルの第1の面8に配置され、第2のブッシング部材11は、パネルの第2の面9に配置される。
【0026】
各第1のブッシング部材は第1の接続手段を含み、第2のブッシング部材は複数の対応する第2の接続手段を含む。各第1の接続手段は、第2の接続手段のうちの対応する第2の接続手段に解放可能に装着可能である。
【0027】
本実施形態において、第1の接続手段12および第2の接続手段13には対応するねじ山が設けられており、それにより、第1のブッシング部材5は、第1のブッシング部材の長手方向軸を中心とする、この第1のブッシング部材と第2のブッシング部材との間の回転相対運動により、第2のブッシング部材に、解放可能に装着することができる。しかしながら、第2のブッシング部材の中への第1のブッシング部材5の直線的な相対運動によって、または任意の方向の回転相対運動によって接続することが可能な、ツイストロック機構またはスナップロック機構等の任意の他の適切なタイプの接続手段を代わりに提供することも可能である。さらに、接続手段は、第1のブッシング部材と第2のブッシング部材との間の係合をロックおよびロック解除するように操作される1つ以上の追加の可動部材を含み得る。
【0028】
ねじ切りされた接続手段の代替的な実施形態が図7に示されている。
ツイストロックまたは相対回転運動に基づいた接続手段は、接続/解放される第1のブッシング部材によって第2のブッシング部材に加えられる運動量が、第2のブッシング部材と、第2のブッシング部材に装着された複数の第1のブッシング部材との間の係合によって吸収されるという点で、好都合である。
【0029】
また、図2に示される従来技術のパネルとは異なり、本実施形態のパネル3は、丸い開口部2、すなわち、第1のブッシング部材5の回転を可能にするように成形された開口部を備える。
【0030】
図6に示されるように、第1の接続手段12および第2の接続手段13は、パネルの第2の面9で互いに係合し、第2の接続手段11のどの部分もパネル3の開口部2を通って突出していない。そのため、パネル3の第1の面の上の異物によって第2のブッシング部材11が損傷を受けるリスクは低い。
【0031】
第2のブッシング部材11を損傷から保護することは好都合である、なぜなら、封止された筐体4の内側に第2のブッシング部材11が配置された状態で封止された筐体4にパネル3が装着されると、第2のブッシング部材11を簡単に交換することができないからである。
【0032】
上記説明からわかるように、このタイプのブッシングアセンブリ1は、密封された筐体に使用される場合に、特に好都合である、なぜなら、たとえばブッシングを用いてパネルを取り外し不能に装着することによって筐体4が密閉された後に、第1のブッシング部材/外側ブッシング部材5を交換できるようにしているからである。ブッシングアセンブリ1は、筐体4の任意の部分に設けることができ、必ずしも筐体4に装着された蓋パネル3に設けなくてもよい。
【0033】
よって、筐体アセンブリを組み立てる方法も本明細書に記載される。筐体アセンブリは、内部に電気機器を収容するための筐体4と、この例では第1の実施形態に係るブッシングアセンブリ1であるブッシングアセンブリ1とを備えるが、代替的に、特許請求の範囲の中の任意の他のブッシングアセンブリを使用することが可能である。
【0034】
この方法は、第2のブッシング部材11をパネルの第2の面、すなわち筐体4の内側に面するパネルの面に、配置するステップと、各第1のブッシング部材5がパネル3の開口部2のうちの対応する開口部に着座するように、パネル3の開口部2を通して複数の第1のブッシング部材5を第2のブッシング部材11に装着するステップとを含む。ブッシングアセンブリ1がパネル3に取り付けられると、パネル3は、パネル3が筐体本体4の開口部18を覆うように、筐体本体16に取り外し不能に装着される。他の実施形態において、代わりにブッシングアセンブリ1を筐体本体16のパネルに装着することが可能であり、この場合、筐体4は、その後、蓋パネル3を筐体本体16に取り外し不能に装着することによって密閉される。
【符号の説明】
【0035】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8