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▶ 齋藤 恵美子の特許一覧

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  • 特許-昇降する板が存在する収納ケース。 図1
  • 特許-昇降する板が存在する収納ケース。 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】昇降する板が存在する収納ケース。
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20250324BHJP
【FI】
B65D83/08 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023214308
(22)【出願日】2023-12-01
【審査請求日】2024-07-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508294206
【氏名又は名称】齋藤 恵美子
(74)【代理人】
【識別番号】504382800
【氏名又は名称】齋藤 晴美
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 晴美
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】藤野 梨紗
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-113276(JP,A)
【文献】実開昭49-078330(JP,U)
【文献】特開平10-194366(JP,A)
【文献】中国実用新案第210277023(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第112089352(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ティッシユペーパーを入れる箱状の収納ケースであって、
中央にティッシユペーパーを取り出す開口が設けられた蓋を備え、
上下方向に延びる凹部が設けられており、凹部の底の中心において、上下方向に延び、内外を貫通する開口部が設けられ、
収納ケースの内部に配置され、ティッシュペーパーを乗せて昇降可能な板と、
板と一体化され、凹部と係合する凸部と、
凸部から延び、先端側が開口部から収納ケースの外部に突出する軸部と、
軸部の先端に嵌められるつまみと、を備え、
軸部が、開口部に沿って上下させることで、板が昇降し、つまみを締めることで、板が任意の高さで固定されることを特徴とする収納ケース。
【請求項2】
板は、Lの形をなし、ティッシュペーパーを乗せる面の開口部側側縁から上方に延びる縦部分を有し、
軸部は、縦部分に基端側が固定され、
板は、縦部分の上端が蓋に当たるまで上げることが可能であり、
縦部分の上端が蓋に当たって状態で、蓋と板のティッシュペーパーを乗せる面との間に所定寸法の間隔となることを特徴とする請求項1に記載の収納ケース。
【請求項3】
凸部を凹部に係合する際に指を入れて板を掴むための開口部を、
ティッシュペーパーを乗せる板の面の中央に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
収納ケースの内部で板が昇降する機構に関するもの。
【背景技術】
【0002】
従来、紙箱を持たないティッシュペーパーを収納ケースに入れて使用するときがある。しかしながら、高さのある収納ケースに入れて使用する場合、ティッシュペーパーの残量が少なくなると、収納ケースの取り出し口とティシュペーパーの最上部との間隔が広がるため、前記取り出し口からティシュペーパーが収納ケース内に落下する課題が発生する
【0003】
ティッシュペーパーが落下した場合、収納ケースの取り出し口に指を深く挿入してティッシュペーパーを摘まんで引き出すか、又は、収納ケース内のティッシュペーパーをすべて取り出さなければならない課題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許公開特開2003-327281
【文献】特開平10-194366
【文献】特開平10-167353
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の特開2003-327281の発明は、押し上げ機構にティッシュペーパーを乗せてボックスに収納する手段を用いている。しかしながら、前記ペーパーの残量が少なくなると、ボックスの取り出し口とスプリングが存在する押し上げ機構の間に前記ペーパーが挟まれることによって、前記ペーパーをスムーズに引き出せなくなる課題が発生する。
【0006】
特許文献2に記載の特開平10-194366の発明は、底上げ機構を備える収納ケースである。ケースの内面に沿わせて軸受けに雄ねじを嵌め、雄ねじに螺合したナットに底板を端部付近で固定横設して、底板を前記ケース内で雄ねじの回転に伴い昇降可能にしたものである。
【0007】
しかしながら、装置を構成する部品による重量増の課題がある。それに伴いコストが高くなる課題が発生する。さらに、底上げ機構がケース内で場所をとる課題も発生する。できるならば単純な構造が望ましく、収納ケースはコンパクトで軽量かつ安価が好ましい。
【0008】
特許文献3に記載の特開平10-167353の発明は、底上げ式収納ケースである。前記収納ケースは、ティッシュペーパーなどの収納物の残量が少なくなると、ケースを持ち上げ、底に手を挿入して昇降操作を行う仕組みである。できるならば、ケースを持ち上げることなくケースの外側から昇降操作を行う仕組みとすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、収納ケースの内部に収納物を乗せる板を設けるものであり、前記板を昇降する機構とすることで特許文献と従来の課題を解決する。昇降操作は収納ケースの外側から行う仕組みとし、昇降機構の構造を単純にすると共に軽量を実現する。
【発明の効果】
【0010】
収納ケースに存在するティッシュペーパーを乗せる板を昇降する機構とすることで、収納ケースの蓋の取り出し口と、前記ペーパーの最上部との間隔を、前記ペーパーが引き出し易い距離に設定することを可能にする。これによって、前記ペーパーが蓋の取り出し口から落下するのを防ぐと共に、最後の一枚までスムーズに取り出せる効果が得られる。
【0011】
更に、板が昇降する機構を備えながらも生産コストが低い収納ケースと、紙箱を持たない安価なティッシュペーパーを使用することで、節約とエコロジーにつながる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
図1】本発明の実施形態にかかる直方体をなす収納ケースの斜視図である。
図2】本発明の実施形態にかかる直方体をなす収納ケースの蓋を示す図である。
図3】本発明の実施形態にかかる直方体をなす収納ケースの内面に存在する凹部(おう四角形)を示す図である。
図4】本発明の実施形態にかかる直方体をなす収納ケース内部に存在する、Lの形をなす板を示す図である。
図5】本発明の実施形態にかかるLの形をなす板を、収納ケースに固定するつまみ(中心に雌ネジが存在する)を示す図である。
図6】本発明の実施形態にかかる収納ケースの内面に存在する凹部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を実施するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り様々な変形が可能である。さらに、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付す。
【0013】
<実施形態>
本発明にかかる実施形態を図1から図6に示す。ティッシユペーパーを入れる収納ケースは、蓋は木製であり、ケースと昇降機構の部品は合成樹脂とする。実施形態の収納ケース及び部品は射出成型機にて製造する。尚、ビニル製のソフトパックに入っているティッシュペーパーを例に取り説明するが、以下「ティッシュペーパー」という。
【0014】
図1図6に示す通り、昇降機構を持つ収納ケース1(以下「ケース1」という。)、蓋2、Lの形をなす板3(以下「板3」ともいう。)、凹部5、凸部6、雄ネジ7、中心に雌ネジ8が存在するつまみ4(以下「つまみ4」という。)からなり、ケース1の側面に雄ネジが飛び出る開口部9を設ける。尚、Lの形をなす板3と凸部6と雄ネジ7は一体化している。
【0015】
実施形態は、昇降機構を備えながらも軽量化を実現し、特許文献2の課題である装置の部品による重量増の課題を解決する。さらに、板3と蓋2の間隔をティシュペーパーが取り出しやすい距離に設定することによって、特許文献1と3と従来の課題を解決する。
【0016】
ケース1は直方体をなし、外のり寸法は、縦120ミリ、横210ミリ、高さ90ミリ、厚み2.5ミリとする。蓋2を嵌めるケース1の開口部10の内のり15の寸法は、深さ5ミリ、厚みを1.5ミリとする。ケース1の縦と横の寸法は、市販されているビニル製のソフトパックに入っているティッシュペーパーの寸法を参考に決定した。ケース1を図1に示す。
【0017】
木製の蓋2の寸法は縦119ミリ、横209ミリ、厚み5ミリとする。中央にティッシユペーパーを取り出す開口部(縦35ミリ、横100ミリ)11を設ける。図2に示す通りである。
【0018】
次に、凹部(おう四角形)5を紹介する。前記ケース内の縦面に長さ82.5ミリ、枠幅10ミリ、溝幅30.2ミリ、溝の深さ4ミリの凹部5を設ける。さらに、溝13の底の中心に幅7ミリ、長さ65ミリの開口部9を設ける。
【0019】
開口部9の最上部はケース1の上面から15ミリ下がった所に位置し、下部はケース1の底から10ミリの位置となる。尚、開口部9の長さは少し余裕を持たせた。開口部9から、前記ケース内の板3に存在するティッシュペーパーの残量を、ケース1の外側から確認できることが出来る。凹部5と開口部9を図3図6に示す。
【0020】
開口部9の主な役割を紹介する。板3と雄ネジ7と一体化した凸部(とつ四角形)6が凹部5(おう四角形)に嵌合すると、凸部6の中心に存在する雄ネジ7が開口部9に挿入され、ケース1の外に飛び出て雌ネジを持つ摘まみ4と螺合する仕組みとした。開口部9は、[0022]に紹介するLの形をなす板3がティッシュペーパーを乗せて昇降する通路である。
【0021】
続けて板3を紹介する。Lの形をなす板3の平面は、ティッシユペーパーを乗せる部分であり、寸法は縦90ミリ、横160ミリ、厚み2.5ミリとする。中央に縦30ミリ、横70ミリの開口部12を設ける。開口部12は、板3と一体化した凸部6を凹部5に着脱する際に、指を入れて板3を掴むために設けたもので、板3を取り扱い易くする効果が得られる。
【0022】
次に、本発明の昇降機構の主要部品であるLの形をなす板3のI(縦)を紹介する。I(縦)の高さは30ミリ、長さ160ミリ、厚み2.5ミリとする。I(縦)の中央に存在する凸部(とつ四角形)6は直方体をなし、寸法は縦30ミリ、横30ミリ、厚み4ミリとする。凸部6は、中心に全長7ミリ、M5の雄ネジ7を持つ。板3と一体化した凸部6を図4に示す。
【0023】
ここに、凸部6を直方体にした理由を述べる。凸部と一体化した板3にティシュペーパーを乗せると板3に荷重が掛かる。よって、板3をスムーズに昇降させるためには、凹部5の溝13と接触する凸部6の面積が大きい方が好ましいと考えた。本発明者は、試行錯誤を重ね直方体を採用した。尚、凸部6の縦横の寸法を30ミリとしたが、限定するものではない。
【0024】
最後に、開口部9から飛び出た雄ネジ7をケースの外側から固定するつまみ4を紹介する。つまみ4は円筒形をなし、直径30ミリ、高さ12ミリであり、中心に奥行8ミリ、M5の雌ネジ8を設ける。尚、昇降機構の材質はアルミニウムなどの軽金属でもよく、ケースは木や金属でもよい。また、雄ネジ7と雌ネジ8はM5としたが限定するものではない。
【0025】
それでは、実施形態の使用方法を説明する。ティシュペーパーは、ビニル袋のソフトパックに入っているものを使用する。寸法は、縦110ミリ、横190ミリ、厚みが45ミリである。初めに、板3の開口部12に指を入れて掴みLの形を示すように凸部6を凹部5に嵌める。
【0026】
このとき、凸部6に存在する雄ネジ7は開口部9に挿入され、ケース1の外に4.5ミリ飛び出る。凹部5と嵌合した板3をケース1の底に置き、雄ネジ7につまみ4を嵌める。この後、ソフトパックの取り出し口からティッシュペーパーを1枚引き出して板3に乗せる。
【0027】
次に、ティシュペーパーがスムーズに引き出せる位置に板3を設定し、つまみ4を締めて固定する。最後に、蓋2をケース1に嵌め、蓋2の開口部11からティッシュペーパーを1枚露出させて終了となる。これが最初に行う昇降機構の操作である。上記説明の通り、板が存在する昇降機構は単純な構造となっている。
【0028】
使用中に、開口部9から前記ペーパーを見たときに、残りが半分程度になったら板3を蓋2に当たるまで上げる。この操作を行うと板3の平面と蓋2の間隔は30ミリとなる。
【0029】
いうまでもなく、前記30ミリは、板3のI(縦)の寸法であり、前記ペーパーが落下しない深さである。Lの形をなす板3のI(縦)の先端は板を上昇させたときのストッパーの役割を果たす。尚、昇降機の操作は2回行うだけでよいが、こまめに操作してもよい。
【0030】
本実施形態は、収納ケース内に存在する板3を昇降する機構とすることで、ケース1の蓋2の取り出し口からティッシュペーパーが落下することを防ぐと共に、蓋2の取り出し口から前記ペーパーが引き出し易い距離に設定することを特徴とする。これによって、最後の一枚までスムーズに引き出せる効果が得られる。本発明の収納ケースは他に類を見ない。
【0031】
前記効果を実現するには、Lの形をなす板3と凸部6と雄ネジ7が一体化している事が条件であり、嵌合体の凸部6が直方体で、凹部5はおう四角形であることも条件となる。尚、嵌合体の形状は実施例に限定するものではない。例えば、凸部は円筒形でもよい。
【0032】
昇降手段としてラック&ピニオン式、レールスライド式、歯車式等を採用して試作した結果、いずれも昇降機構としての条件を満たした。しかしながら、凸部と一体化したLの形状をなす板を採用する嵌合方式が優れると判断し、本実施形態に至った。
【0033】
この他、蓋2と板3の間隔を調整する方法として、スプリングを持つ板に雄ネジを取り付け、収納ケースの2面(両面)に縦の開口部を設け、雄ネジを開口部から出して固定する昇降操機構も試作したが[特許文献1]と類似するため本実施形態に至った。
【0034】
本発明により、TVリモコンなどを入れる小物入れが付いている高さのある収納ケースと、昇降機構を組み合わせることで便利な収納ケースとなる。従来、高さのあるケースにティシュペーパーを入れる場合、ケース内部に底上げが必要とされるが実施形態はその必要はない。昇降機構を備えることによって、ケースの高さを数タイプ提供することを可能にする。
【0035】
本発明者は、紙箱に入ってないティシュペーパーを使用することを前提に実施形態を発明した。何故ならば、紙箱を持つティシュペーパーの場合、箱の解体と取り出し口のビニルを分別する手間がかかる課題がある。その必要がない安価な箱無しティッシュペーパーが多くの人に使用され、節約とエコロジーに繋がることを期待するからである。
【符号の説明】
【0036】
1収納ケース 2蓋 3 Lの形をなす板 4つまみ 5凹部(おう四角形)
6凸部(とつ四角形) 7雄ネジ 8雌ネジ 9凹部の開口部 10収納ケースの開口部11蓋の開口部 12Lの形をなす板の開口部 13凹部の溝 14 凹部の枠 15内のり
【要約】
【課題】紙箱に入っていないティッシュペーパーを高さのある収納ケースに入れて使用する場合、前記ペーパーの残量が少なくなると、取り出し口と前記ペーパーの最上部との間隔が広がるため、前記取り出し口から前記ペーパーが落下することがある。こうなると、蓋の取り出し口に指を深く挿入して取り出すか、収納ケースの蓋を外して前記ペーパーを取り出さなければならない課題が発生する。
【解決手段】前記課題を解決するために、収納ケースの内部にティシュペーパーを乗せる板を存在させ、前記板を昇降する仕組みとすることでかかる課題を解決する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6