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特許7654088撮像モジュール、内視鏡、および、撮像モジュールの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】撮像モジュール、内視鏡、および、撮像モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10F 39/12 20250101AFI20250324BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20250324BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20250324BHJP
【FI】
H10F39/12 D
A61B1/04 530
H04N25/70
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023542139
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 JP2021030463
(87)【国際公開番号】W WO2023021669
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直輝
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 考俊
(72)【発明者】
【氏名】小林 慧一
(72)【発明者】
【氏名】下畑 隆博
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/188688(WO,A1)
【文献】特開2021-010056(JP,A)
【文献】国際公開第2009/096460(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/188723(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/170340(WO,A1)
【文献】特開2011-134777(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203797(WO,A1)
【文献】特開2015-087744(JP,A)
【文献】国際公開第2018/134933(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/188687(WO,A1)
【文献】特開2005-006769(JP,A)
【文献】特開2009-076629(JP,A)
【文献】特開2009-147092(JP,A)
【文献】特表2017-505154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10F 39/12
A61B 1/04
H04N 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面と前記第1の主面と反対側の第2の主面と4つの第1の側面とを有するレンズユニットと、
第3の主面と前記第3の主面の反対側の第4の主面と4つの第2の側面とを有し、前記第3の主面が前記第2の主面に接着されており、前記第4の主面に外部電極が配設されている撮像ユニットと、
穴を有し、前記穴の底面である第5の主面に接合電極が配設されている配線板と、
前記接合電極と前記外部電極とを接合している半田と、
前記第4の主面と前記第5の主面との間隔を規定している硬質部材と、
前記4つの第1の側面および前記4つの第2の側面を覆う第1の樹脂からなり、第6の主面と前記第6の主面の反対側の第7の主面と4つの第3の側面とを有する保護部材と、
前記第4の主面と前記第5の主面との間に配設されている第2の樹脂と、
前記保護部材と前記配線板の前記穴の壁面との間を充填している第3の樹脂と、を具備し、
前記硬質部材が、前記第7の主面から突出している突起であることを特徴とする撮像モジュール。
【請求項2】
前記保護部材は、前記4つの第3の側面の少なくともいずれに、前記第6の主面から前記第7の主面に至る溝を有し、前記溝に前記第2の樹脂が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像モジュール。
【請求項3】
前記硬質部材が、前記第4の主面に配設されている金属部材であることを特徴とする請求項1に記載の撮像モジュール。
【請求項4】
撮像モジュールを有し、前記撮像モジュールは、
第1の主面と前記第1の主面と反対側の第2の主面と4つの第1の側面とを有するレンズユニットと、
第3の主面と前記第3の主面の反対側の第4の主面と4つの第2の側面とを有し、前記第3の主面が前記第2の主面に接着されており、前記第4の主面に外部電極が配設されている撮像ユニットと、
穴を有し、前記穴の底面である第5の主面に接合電極が配設されている配線板と、
前記接合電極と前記外部電極とを接合している半田と、
前記第4の主面と前記第5の主面との間隔を規定している硬質部材と、
前記4つの第1の側面および前記4つの第2の側面を覆う第1の樹脂からなり、第6の主面と前記第6の主面の反対側の第7の主面と4つの第3の側面とを有する保護部材と、
前記第4の主面と前記第5の主面との間に配設されている第2の樹脂と、
前記保護部材と前記配線板の前記穴の壁面との間を充填している第3の樹脂と、を具備し、
前記硬質部材が、前記第7の主面から突出している突起であることを特徴とする内視鏡。
【請求項5】
第1の主面と前記第1の主面と反対側の第2の主面と4つの第1の側面とを有するレンズユニットと、第3の主面と前記第3の主面の反対側の第4の主面と4つの第2の側面とを有し、前記第4の主面に外部電極が配設されている撮像ユニットと、穴を有し前記穴の底面である第5の主面に接合電極が配設されている配線板と、を作製する工程と、
前記レンズユニットの前記第2の主面と前記撮像ユニットの前記第3の主面とを接着し積層ユニットを作製する工程と、
第6の主面と前記第6の主面の反対側の第7の主面とを有し、前記第7の主面に突起を有する第1の樹脂からなる保護部材を、前記積層ユニットの前記4つの第1の側面および前記4つの第2の側面を覆うように配設する工程と、
前記接合電極または前記外部電極に半田を配設する工程と、
前記配線板の前記第5の主面に前記積層ユニットの前記第4の主面を配置する工程と、
前記半田を溶融することによって、当接していなかった前記突起と前記第5の主面とが当接する工程と、を具備することを特徴とする撮像モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記穴に前記積層ユニットが配設されていることを特徴とする請求項5に記載の撮像モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記半田を溶融した後に、前記配線板の前記第5の主面と前記積層ユニットの前記第4の主面との間に第2の樹脂を注入する工程と、
前記穴に第3の樹脂を注入する工程と、を更に具備することを特徴とする請求項6に記載の撮像モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像ユニットと配線板とが半田を用いて接合されている撮像モジュール、撮像ユニットと配線板とが半田を用いて接合されている撮像モジュールを含む内視鏡、および、撮像ユニットと配線板とが半田を用いて接合されている撮像モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国特許第4891214号公報には、撮像素子の受光面と反対側の面に半田ボールが配設されている撮像モジュールが開示されている。この撮像モジュールでは、複数のレンズを含むレンズユニットの側面は、遮光部材で覆われている。
【0003】
国際公開第2015/082328号には、成形回路部品(MID:Molded Interconnect Device)に、カメラモジュールを搭載した内視鏡が開示されている。
【0004】
撮像ユニットと配線板とを半田を用いて接合すると、半田が溶融したときに、撮像ユニットが配線板に対して傾いたり、撮像ユニットと配線板との間隔が大きくばらついたりするおそれがある。このため、撮像ユニットと配線板とを半田を用いて接合した撮像モジュールは、接合後に光軸調整等の工程が必要なために、製造が容易ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4891214号公報
【文献】国際公開第2015/082328号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、製造が容易な撮像モジュール、製造が容易な内視鏡、および、製造が容易な撮像モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の撮像モジュールは、第1の主面と前記第1の主面と反対側の第2の主面と4つの第1の側面とを有するレンズユニットと、第3の主面と前記第3の主面の反対側の第4の主面と4つの第2の側面とを有し、前記第3の主面が前記第2の主面に接着されており、前記第4の主面に外部電極が配設されている撮像ユニットと、穴を有し、前記穴の底面である第5の主面に接合電極が配設されている配線板と、前記接合電極と前記外部電極とを接合している半田と、前記第4の主面と前記第5の主面との間隔を規定している硬質部材と、前記4つの第1の側面および前記4つの第2の側面を覆う第1の樹脂からなり、第6の主面と前記第6の主面の反対側の第7の主面と4つの第3の側面とを有する保護部材と、前記第4の主面と前記第5の主面との間に配設されている第2の樹脂と、前記保護部材と前記配線板の前記穴の壁面との間を充填している第3の樹脂と、を具備し、前記硬質部材が、前記第7の主面から突出している突起である。
【0008】
実施形態の内視鏡は、撮像モジュールを有し、前記撮像モジュールは、第1の主面と前記第1の主面と反対側の第2の主面と4つの第1の側面とを有するレンズユニットと、第3の主面と前記第3の主面の反対側の第4の主面と4つの第2の側面とを有し、前記第3の主面が前記第2の主面に接着されており、前記第4の主面に外部電極が配設されている撮像ユニットと、穴を有し、前記穴の底面である第5の主面に接合電極が配設されている配線板と、前記接合電極と前記外部電極とを接合している半田と、前記第4の主面と前記第5の主面との間隔を規定している硬質部材と、前記4つの第1の側面および前記4つの第2の側面を覆う第1の樹脂からなり、第6の主面と前記第6の主面の反対側の第7の主面と4つの第3の側面とを有する保護部材と、前記第4の主面と前記第5の主面との間に配設されている第2の樹脂と、前記保護部材と前記配線板の前記穴の壁面との間を充填している第3の樹脂と、を具備し、前記硬質部材が、前記第7の主面から突出している突起である
【0009】
実施形態の撮像モジュールの製造方法は、第1の主面と前記第1の主面と反対側の第2の主面と4つの第1の側面とを有するレンズユニットと、第3の主面と前記第3の主面の反対側の第4の主面と4つの第2の側面とを有し、前記第4の主面に外部電極が配設されている撮像ユニットと、穴を有し前記穴の底面である第5の主面に接合電極が配設されている配線板と、を作製する工程と、前記レンズユニットの前記第2の主面と前記撮像ユニットの前記第3の主面とを接着し積層ユニットを作製する工程と、第6の主面と前記第6の主面の反対側の第7の主面とを有し、前記第7の主面に突起を有する第1の樹脂からなる保護部材を、前記積層ユニットの前記4つの第1の側面および前記4つの第2の側面を覆うように配設する工程と、前記接合電極または前記外部電極に半田を配設する工程と、前記配線板の前記第5の主面に前記積層ユニットの前記第4の主面を配置する工程と、前記半田を溶融することによって、当接していなかった前記突起と前記第5の主面とが当接する工程と、を具備する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、製造が容易な撮像モジュール、製造が容易な内視鏡、および、製造が容易な撮像モジュールの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の撮像モジュールの斜視図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3】第1実施形態の撮像モジュールの斜視分解図である。
図4】第1実施形態の撮像モジュールの製造方法のフローチャートである。
図5】第1実施形態の撮像モジュールの製造方法を説明するための斜視図である。
図6】第1実施形態の撮像モジュールの製造方法を説明するための斜視図である。
図7】第1実施形態の撮像モジュールの製造方法を説明するための斜視図である。
図8】第1実施形態の撮像モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図9】第1実施形態の撮像モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図10】第1実施形態の撮像モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図11A】第1実施形態の変形例の撮像モジュールの積層ユニットの底面図である。
図11B】第1実施形態の変形例の撮像モジュールの積層ユニットの底面図である。
図11C】第1実施形態の変形例の撮像モジュールの積層ユニットの底面図である。
図11D】第1実施形態の変形例の撮像モジュールの積層ユニットの底面図である。
図11E】第1実施形態の変形例の撮像モジュールの積層ユニットの底面図である。
図11F】第1実施形態の変形例の撮像モジュールの積層ユニットの底面図である。
図12】第1実施形態の変形例の撮像モジュールの保護部材の斜視図である。
図13A】第1実施形態の変形例の撮像モジュールの保護部材の溝の断面図である。
図13B】第1実施形態の変形例の撮像モジュールの保護部材の溝の断面図である。
図13C】第1実施形態の変形例の撮像モジュールの保護部材の溝の断面図である。
図14】第2実施形態の撮像モジュールの断面図である。
図15】第2実施形態の撮像モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図16】第2実施形態の撮像モジュールの積層ユニットの底面図である。
図17】第3実施形態の内視鏡の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
図1図3に示す本実施形態の撮像モジュール1は、レンズユニット10と撮像ユニット20と配線板30と、を含む。
【0013】
なお、以下の説明において、各実施形態に基づく図面は、模式的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、夫々の部分の厚さの比率および相対角度などは現実の構成とは異なる。図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。一部の構成要素の図示を省略する。光が入射する方向を「前」といい、「前」の反対方向を「後」という。
【0014】
複数の光学素子が積層されたレンズユニット10は、第1の主面10SAと第2の主面10SBと4つの第1の側面10SSとを有する略直方体である。第1の主面10SAは入射面である。第1の主面10SAの反対側の第2の主面10SBは出射面である。レンズユニット10の光学素子は、例えば、ガラス基板に樹脂レンズが配設されたハイブリッドレンズ素子、または、赤外線カットフィルタ素子である。
【0015】
撮像ユニット20は、撮像素子21にカバーガラス22が接着層23によって、接着されている。撮像ユニット20は、受光面である第3の主面20SAと第3の主面20SAの反対側の第4の主面20SBと4つの第2の側面20SSを有する略直方体である。シリコンを母材とする撮像素子21は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)受光素子、またはCCD(Charge Coupled Device)である。第4の主面には、複数の外部電極29が配設されている。
【0016】
撮像ユニット20は、撮像素子21を含む撮像信号を処理する複数の半導体素子が積層された積層素子を有していてもよい。
【0017】
レンズユニット10の第2の主面10SBと撮像ユニット20の第3の主面20SAとは接着層25を用いて接着されている。レンズユニット10は被写体像を撮像素子21に結像する。以下、レンズユニット10が接着されている撮像ユニット20を積層ユニット15という。撮像ユニット20の光軸Oは第1の主面10SA、第2の主面10SB、第3の主面20SA、および、第4の主面20SBに対して垂直である。
【0018】
配線板30は、例えば、立体配線板である成形回路部品(MID)である。配線板30は、前面30SAと前面30SAの反対側の後面30SBとを有する。配線板30は、直方体であるが、円柱形でもよい。配線板30は、前面30SAに矩形の開口がある穴H30を有する。穴H30の開口は、角が曲線の略矩形、または、円形でもよい。
【0019】
配線板30は、穴H30の底面H30BSに複数の接合電極33を有する。接合電極33は貫通配線34を経由して後面30SBの電極35と電気的に接続されている。
【0020】
配線板30の穴H30に挿入されている積層ユニット15の複数の外部電極29のそれぞれは、複数の接合電極33のそれぞれと、それぞれの半田40によって接合されている。
【0021】
積層ユニット15の側面、すなわち、レンズユニット10の第1の側面10SSおよび撮像ユニット20の第2の側面20SSは、第1の樹脂からなる保護部材50によって覆われている。保護部材50は、第6の主面50SAと第6の主面50SAの反対側の第7の主面50SBと4つの第3の側面50SSとを有する。第1の樹脂は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂またはポリビニル樹脂等である。
【0022】
第6の主面50SAは、レンズユニット10の第1の主面10SAと略面一である。第7の主面50SBは、撮像ユニット20の第4の主面20SBと面一の仮想面である。すなわち、保護部材50は、仮想的に第7の主面50SBから硬質部材である突起P50が突出していると見なしている。突起P50は、保護部材50の一部であり、撮像ユニット20の第4の主面20SBよりも後方に位置している。額縁状の突起P50の凸面P50SBは、第6の主面50SAの反対側の面である。凸面P50SBは、配線板30の第5の主面である、穴H30の底面H30BSと接している。
【0023】
レンズユニット10の光軸直交方向の断面は、撮像ユニット20の光軸直交方向の断面よりも大きい。このため、レンズユニット10の第1の側面10SSと撮像ユニット20の第2の側面20SSとの間には段差がある。一方、保護部材50の4つの第3の側面50SSのそれぞれは面一である。言い替えれば、第3の側面50SSは段差のない平面である。
【0024】
このため、図2に示すように、積層ユニット15の側面を覆っている保護部材50は、撮像ユニット20を覆う第1の領域の厚さT50Aが、レンズユニット10を覆う第2の領域の厚さT50Bよりも、厚い。保護部材50によって、撮像ユニット20はレンズユニット10よりも強固に保護される。
【0025】
第4の主面20SBと底面H30BSとの間、すなわち、半田40の周囲には、第2の樹脂60が配設されている。このため、半田40による接合部は信頼性が高い。第2の樹脂60は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂またはポリビニル樹脂等である。
【0026】
また、保護部材50の第3の側面50SSと穴H30の壁面H30SSとの間には、第3の樹脂70が充填されている。第3の樹脂70は、積層ユニット15を封止すると同時に、積層ユニット15に印加される応力を緩和する。第3の樹脂70は、第1の樹脂、第2の樹脂60と同じ樹脂でもよいが、第3の樹脂70は、第2の樹脂60よりも軟性であることが応力緩和のため好ましい。また、第2の樹脂60,第3の樹脂70は、積層ユニット15の側面から外光が進入するのを防止するため、遮光粒子を含んでいることなどによって、遮光性を有することが好ましい。
【0027】
後述するように、突起P50は、第4の主面20SBと底面H30BSとの間隔を規定している。撮像モジュール1は、製造時に半田40が溶融した際に、撮像ユニット20が配線板30の穴H30の底面H30BSに対して傾いたり、撮像ユニット20の第4の主面20SBと配線板30の底面H30BSとの間隔が大きくばらついたりするおそれがない。このため、撮像モジュール1は、製造が容易である。
【0028】
<撮像モジュールの製造方法>
図4のフローチャートに沿って、撮像モジュール1の製造方法を説明する。
【0029】
<工程S10>レンズユニット、撮像ユニット、および、MIDの作製
撮像ユニット20は、公知の半導体製造技術を用いて、シリコンウエハに複数の受光回路11が配設された撮像素子ウエハにガラスウエハを接着した撮像積層ウエハを切断することによって製造される。なお、撮像ユニット20は、撮像素子21に替えて、撮像素子21に撮像信号を処理する半導体素子が接合されている積層半導体素子を有していてもよい。
【0030】
レンズユニット10は、それぞれに複数の光学素子がマトリックス状に配設されている複数のレンズウエハを積層した光学積層ウエハを切断することによって製造される。
【0031】
図5に示すように、個片化されたレンズユニット10と個片化された撮像ユニット20とが接着層25を用いて接着される。
【0032】
なお、個片化された複数の撮像素子を、接着層25を用いて光学積層ウエハに接着してから光学積層ウエハを切断してもよい。レンズユニット10の光軸直交方向の外寸は、撮像ユニット20の前記外寸よりも大きい。言い替えれば、レンズユニット10の第1の側面10SSは、撮像ユニット20の第2の側面20SSよりも光軸Oから離れている。
【0033】
穴H30を有する配線板30は、公知のMID製造法によって作製される。例えば、MID樹脂が配線板の形にモールド成形されてから、貫通配線34のための貫通配線が形成される。そして、活性化処理およびめっき処理が行われる。
【0034】
接合電極33が、穴H30の壁面、前面30SA、および、配線板30の側面を経由して電極35と電気的に接続されていてもよい。
【0035】
配線板30は、MIDに限定されず、例えば、3Dプリンタによる加工または切削加工によって作製してもよい。配線板30の材料も樹脂単体には限定されず、セラミックまたはガラスエポキシでもよい。
【0036】
<工程S20>保護部材配設
モールド成形法によって、第1の樹脂からなる保護部材50が配設される。図6に示すように、金型50M(50M1、50M2)の中に、レンズユニット10と撮像ユニット20とが配置され、第1の樹脂が注入される。
【0037】
図7に示すように、保護部材50は、第7の主面50SBから突出している突起P50を有する。突起P50は、外部電極29が配設されている第4の主面20SBよりも後方に位置している領域である。額縁状の突起P50は、切り欠きC50を有する。
【0038】
<工程S30>半田配設
図8に示すように、接合電極33と外部電極29との間に、半田ボールまたは半田ペーストである半田40が配設される。半田40は、工程S10において、配線板30を作製するとき、または、撮像ユニット20を作製するときに、配設されていてもよい。
【0039】
配線板30の穴H30の底面H30BSに積層ユニット15の第4の主面20SBが配置される。半田40は、保護部材50の突起P50の凸面P50SBが、底面H30BSと当接しない厚さ(高さ)を有する。すなわち、配線板30の穴H30に挿入された積層ユニット15の凸面P50SBは、穴H30の底面H30BSとは当接しておらず、両者の間には、長さGのギャップがある。
【0040】
<工程S40>リフロー
図9に示すように、半田40が溶融すると、底面H30BSの接合電極33と第4の主面20SBの外部電極29とはセルフアライメントによって光軸直交方向の位置が正確に規定される。
【0041】
また、半田40が溶融すると、重力によって、第4の主面の外部電極29の光軸方向の位置は、後方(下方)に移動する。すなわち、底面H30BSと第4の主面20SBとの間の距離は、溶融前よりも短くなり、突起P50の突出量と同じになる。
【0042】
言い替えれば、底面H30BSと第4の主面20SBとの間の距離は、硬質部材である突起P20の凸面P20BSBと底面H30BSとが当接した状態によって規定される。例えば、ギャップの長さGが、10μm-50μmであれば、半田40の溶融によって、第4の主面20SBと底面H30BSとの間隔を安定して規定でき、かつ、電極間の短絡が生じることがない。
【0043】
また、額縁状の突起P50の凸面P50SBが底面H30BSと当接することによって、撮像ユニット20の受光面である第3の主面20SAは、配線板30の底面H30BSに対して平行となる。
【0044】
撮像モジュール1では、リフロー後に、積層ユニット15の第1の主面10SAは配線板30の前面30SAと面一となっている。
【0045】
<工程S50>樹脂注入
撮像ユニット20の第4の主面20SBと穴H30の底面H30BSとの間、すなわち、半田40の周囲には、切り欠きC50を経由して、アンダーフィル樹脂である第2の樹脂60が注入される。
【0046】
さらに、保護部材50の第3の側面50SSと穴H30の壁面H30SSとの間に、第3の樹脂70が注入される。第3の樹脂70の厚さ、言い替えれば、穴H30の壁面H30SSと保護部材50の第3の側面50SSとの間の隙間の幅は、例えば、50μm超500μm未満が好ましい。隙間の幅が前記下限超であれば、封止効果および応力緩和効果が顕著である。隙間の幅が前記上限未満であれば、撮像モジュール1のサイズが許容範囲内である。
【0047】
撮像モジュール1の製造方法では、半田40が溶融した際に、撮像ユニット20が配線板30の穴H30の底面H30BSに対して傾いたり、撮像ユニット20の第4の主面20SBと配線板30の底面H30BSとの間隔が大きくばらついたりするおそれがない。このため、撮像モジュール1の製造方法は、光軸調整等が不要であるため、製造が容易である。
【0048】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態の変形例の撮像モジュールは、第1実施形態の撮像モジュールと類似しており、同じ効果を有する。このため、同じ機能の構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0049】
図11A図11Fに、変形例の撮像モジュールの保護部材50の突起P50を示す。
突起P50は半田40が溶融した際に、撮像ユニット20が配線板30に対して傾くことを防止するために、少なくとも2つの凸面P50SBが光軸Oを中心とする回転対称位置にあればよい。第2の樹脂60を注入するために、突起P50は、例えば切り欠きC50によって、第4の主面20SBと底面H30BSとの間の空間を隙間なく囲んでいなければよい。突起P50の高さは、ギャップの長さGが、10μm-50μmであればよい。
【0050】
図12に示す本変形例の撮像モジュール1Aでは、保護部材50Aは、第3の側面50SSに、第6の主面50SAから第7の主面50SBに至る溝T50を有する。溝T50は切り欠きC50とつながっている。
【0051】
穴H30に挿入された積層ユニット15の第4の主面20SBと底面H30BSとの間に第2の樹脂60を注入することは容易ではない。しかし、溝T50を経由して第2の樹脂60を注入できるため、撮像モジュール1Aは製造が容易である。なお、撮像モジュール1Aでは、溝T50の少なくとも一部に、第2の樹脂60が残存する。言い替えれば、溝T50を経由して第2の樹脂60が注入された撮像モジュールでは、溝T50の少なくとも一部にも、第2の樹脂60が配設されている。
【0052】
なお、4つの第3の側面50SSの少なくともいずれが、少なくとも1つの溝T50を有していればよい。また、溝T50の断面形状は矩形に限られるものではなく、図13A図13Cに示すように、V字形、曲面等であってもよい。
【0053】
<第2実施形態>
図14に示す第2実施形態の撮像モジュール1Bは、第1実施形態の撮像モジュール1と類似しており、同じ効果を有する。このため、同じ機能の構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0054】
撮像モジュール1Bの配線板30Bの穴H30Bは壁面H30SSが傾斜している。また、撮像ユニット20の第4の主面20SBと穴H30Bの底面H30BSとの間隔を規定している硬質部材が、第4の主面20SBに配設されている金属部材P20Bである。
【0055】
図15に示すように、半田40の溶融前には、金属部材P20Bの凸面P20BSBは、穴H30の底面H30BSとは当接していない。ギャップの長さGは、10μm-50μmである。
【0056】
図16に示すように、第4の主面20SBに光軸Oを中心に回転対称位置に4つの金属部材P20Bが配設されている。金属部材P20Bは、例えば、めっき法によって配設される銅、ニッケル等からなる。金属部材P20Bの凸面P20BSBが、当接している底面H30BSと、半田によって固定されていてもよい。
【0057】
撮像モジュール1Bでも、積層ユニット15の側面が保護部材50に覆われていてもよいことは言うまでも無い。
【0058】
以上では、立体配線板の穴に積層ユニットが挿入されている撮像モジュールを例に本発明を説明した。しかし、本発明の撮像モジュールの配線板は立体配線板に限られるものではない。すなわち、半田の溶融によって、積層ユニットが配線板に対して傾いたり、積層ユニットと配線板との間隔が大きくばらついたりするおそれがある平板状の配線板を有する撮像モジュールでも、本発明の効果を有することは言うまでも無い。
【0059】
<第3実施形態>
図17に示す本実施形態の内視鏡9は、先端部9Aと、先端部9Aから延設された挿入部9Bと、挿入部9Bの基端側に配設された操作部9Cと、操作部9Cから延出するユニバーサルコード9Dと、を含む。
【0060】
撮像モジュール1(1A、1B)は、先端部9Aに配設されている。撮像モジュール1から出力された撮像信号は、ユニバーサルコード9Dを挿通するケーブルを経由することによってプロセッサ(不図示)に伝送される。また、プロセッサから撮像モジュール1への駆動信号も、ユニバーサルコード9Dを挿通するケーブルを経由することによって伝送される。
【0061】
すでに、説明したように、撮像モジュール1(1A、1B)は、製造が容易である。このため、内視鏡9は、製造が容易である。
【0062】
先端部9Aに配設されている撮像モジュールでは、配線板(MID)は外形が円筒形であることが好ましい。また、配線板に照明ユニットが配設されていたり、配線板に処置具が挿通される貫通孔が形成されていたりしてもよい。
【0063】
内視鏡9は、挿入部9Bが軟性の軟性鏡でも、挿入部9Bが硬性の硬性鏡でもよい。また内視鏡9の用途は、医療用でも工業用でもよい。
【0064】
本発明は、上述した実施形態等に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、組み合わせおよび応用が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1、1A、1B・・・撮像モジュール
9・・・内視鏡
10・・・レンズユニット
10SA・・・第1の主面
10SB・・・第2の主面
10SS・・・第1の側面
15・・・積層ユニット
20・・・撮像ユニット
20SA・・・第3の主面
20SB・・・第4の主面
20SS・・・第2の側面
29・・・外部電極
30・・・配線板
33・・・接合電極
40・・・半田
50・・・保護部材
50M・・・金型
50SA・・・第6の主面
50SB・・・第7の主面
50SS・・・第3の側面
50SS・・・側面
60・・・第2の樹脂
70・・・第3の樹脂
C50・・・切り欠き
H30・・・穴
H30SB・・・底面(第5面)
H30SS・・・壁面
O・・・光軸
P20・・・突起
P20B・・・金属部材
P50・・・突起
P50・・・硬質部材
P50SB・・・凸面
T50・・・溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16
図17