(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-21
(45)【発行日】2025-03-31
(54)【発明の名称】耳湾曲部に摩擦要素を備える眼鏡ロッド
(51)【国際特許分類】
G02C 5/16 20060101AFI20250324BHJP
G02C 5/18 20060101ALI20250324BHJP
【FI】
G02C5/16
G02C5/18
(21)【出願番号】P 2023567988
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(86)【国際出願番号】 DK2022050090
(87)【国際公開番号】W WO2022233378
(87)【国際公開日】2022-11-10
【審査請求日】2023-11-24
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】500172955
【氏名又は名称】リンドベルイ アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】リンドベルイ ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】ベイヴァド ラース
(72)【発明者】
【氏名】ボイエ-ニールセン ハンス
(72)【発明者】
【氏名】マック トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン クリスティーナ バク
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-510278(JP,A)
【文献】特開2006-317473(JP,A)
【文献】国際公開第2013/002379(WO,A1)
【文献】米国特許第07165838(US,B1)
【文献】中国実用新案第203037941(CN,U)
【文献】中国実用新案第205656381(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 5/14 - 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部要素(4)との結合が意図された第1の端部(22’)と、耳湾曲部(7)を形成するために曲げられることが意図された第2の端部(22)とを有する眼鏡ロッドであって、前記眼鏡ロッドは、長手方向(24)及び横方向(25)を有し、前記眼鏡ロッドは、少なくとも前記眼鏡ロッドの前記第2の端部(22)上で、側面(17)並びに底面及び上面(19、20)を有する板状ロッド(2)によって形成され、弾性柔軟材料から作られる摩擦要素(8)は、使用者の耳の後ろ側での接触のために、前記耳湾曲部(7)の位置で前記板状ロッド(2)に結合され、前記板状ロッド(2)は、第1の横方向の突出部(23)を有し、前記第1の横方向の突出部(23)は、前記
眼鏡ロッドの前記第2の端部
(22)と共に、長手方向に開口する凹部(26)を形成するために、前記横方向(25)に向けられると共に前記長手方向(24)に対して斜めに向けられており、前記摩擦要素の第1の端部(31)において、第1の横方向の孔(33)は、前記板状ロッドの前記第1の横方向の突出部(23)を収容するために設けられており、前記板状ロッドは、金属製ロッドであり、前記摩擦要素(8)は、溝壁(15)及び底部(15’)が前記金属製ロッドの前記側面(
17)及び前記底面(19)を覆うように溝形状であり、前記摩擦要素の前記第1の横方向の孔(33)は、材料(30)
内に形成され、前記金属製ロッドの前記第1の横方向の突出部(23)を収容するために、前記横方向(25)に向けられており、前記摩擦要素の前記第1の端部(31)の弾性材料は、前記金属製ロッドの前記開口する凹部(26)に収容され、それにより、前記第1の横方向の突出部(23)及び前記凹部(26)は、第1の保持手段を形成するようになっており、前記溝の前記溝壁(15)及び前記底部(15’)と、前記金属製ロッドの前記側面(17)との間には、前記金属製ロッドの前記長手方向(24)及び前記横方向(25)における前記摩擦要素の変位を防止する、さらなる保持手段が設けられており、
前記板状ロッド(2)の前記第1の横方向の突出部(23)は、最も外側の第2の端部(22)に設けられており、
前記長手方向に開口する凹部(26)は、前記金属ロッドの前記最も外側の第2の端部(22)と共に形成され、前記長手方向に開口する凹部(26)は、その開口部(27)において前記凹部(26)の中央部(28)よりも小さい断面を有し、
前記摩擦要素(8)は、前記溝(14)の第1の端部において、前記摩擦要素の前記第1の端部(31)で材料(30)によって閉鎖されており、
前記摩擦要素の前記第1の横方向の孔(33)は、前記長手方向(24)に対して斜めに向けられており、
前記摩擦要素の前記第1の端部(31)の弾性材料は、弾性的に圧縮された状態で前記金属製ロッドの前記開口する凹部(26)に収容されている、眼鏡ロッド。
【請求項2】
前記金属製ロッド(2)は、その底面(19)において、前記溝の前記底部(15’)の第2の孔(13)との解除可能なスナップ係合のために横方向の第2の突出部(12)を備え、前記金属製ロッド(2)への結合部での前記第2の突出部(12)は、前記金属製ロッド(2)から離れた位置での前記第2の突出部の断面よりも小さい断面を有し、それにより、前記第2の突出部(12)は、前記摩擦要素(8)材料の弾性柔軟性に起因して、前記溝の前記底部(15’)の前記第2の孔(13)の中に保持される、請求項1に記載の眼鏡ロッド。
【請求項3】
横方向の突出部(29)は、前記凹部(26)の前記開口部(27)に形成され、前記金属製ロッドの前記第1の横方向の突出部(23)上及び/又は前記最も外側の第2の端部(22)上
にある、請求項1又は2に記載の眼鏡ロッド。
【請求項4】
前記摩擦要素(8)の前記第1の孔(33)は、前記金属製ロッドの前記第1の突出部(23)よりも小さいサイズで作られ、前記金属製ロッドの前記第1の突出部(23)は、クランプ作用でその中に収容されるようになっている、請求項1又は2に記載の眼鏡ロッド。
【請求項5】
前記溝(14)は、前記金属製ロッド(2)の厚さよりも小さい幅で形成され、それにより、前記溝側壁(15)は、前記金属製ロッドの前記側面(17)と弾性的に当接するようになっている、請求項1又は2に記載の眼鏡ロッド。
【請求項6】
前記金属製ロッド(2)は、中間部分(43)において、前記金属製ロッドの前記第2の突出部(12)に面する側面に、前記摩擦要素(8)の端面(45)のための当接面(44)を有する、請求項1又は2に記載の眼鏡ロッド。
【請求項7】
前記摩擦要素(8)は、前記金属製ロッドの前記第2の端部(22)の前記最も外側の端面の少なくとも一部を覆う、請求項1又は2に記載の眼鏡ロッド。
【請求項8】
前記金属製ロッド(2)は、チタンで作られている、請求項1又は2に記載の眼鏡ロッド。
【請求項9】
前記摩擦要素の前記溝(14)の前記側壁(15)は、滑らかな移行部を形成するために、前記金属製ロッドの前記側面(17)の方に減少する厚さを有する、請求項1又は2に記載の眼鏡ロッド。
【請求項10】
前記金属製ロッド(2)は、前記最も外側の第2の端部(22)において、前記摩擦要素(8)の端部(36)が当接する、溝部(35)を有する、請求項1又は2に記載の眼鏡ロッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前部要素との結合が意図された第1の端部と、耳湾曲部を形成するために曲げられることが意図された第2の端部とを有する眼鏡ロッドに関し、眼鏡ロッドは、長手方向及び横方向を有し、眼鏡ロッドは、少なくとも眼鏡ロッドの第2の端部上で、側面並びに底面及び上面を有する板状ロッドによって形成され、弾性柔軟材料から作られる摩擦要素は、使用者の耳の後ろ側での接触のために、耳湾曲部の位置で板状ロッドに結合され、板状ロッドは、第1の横方向の突出部を有し、第1の横方向の突出部は、金属製ロッドの第2の端部と共に、長手方向に開口する凹部を形成するために、横方向に向けられると共に長手方向に対して斜めに向けられており、摩擦要素の第1の端部において、第1の横方向の孔は、板状ロッドの第1の横方向の突出部を収容するために設けられており、板状ロッドは、金属製ロッドであり、摩擦要素は、溝壁及び底部が金属製ロッドの側面(20)及び底面を覆うように溝形状であり、摩擦要素の第1の横方向の孔は、材料量に形成され、金属製ロッドの第1の横方向の突出部を収容するために、横方向に向けられており、摩擦要素の第1の端部の弾性材料は、金属製ロッドの開口する凹部に収容され、第1の横方向の突出部及び凹部は、第1の保持手段を形成するようになっており、溝の溝壁及び底部と、金属製ロッドの側面との間には、金属製ロッドの長手方向及び横方向における摩擦要素の変位を防止する、さらなる保持手段が設けられている。
【0002】
底面及び上面は、使用中の眼鏡ロッドの配向を指し、側面は、上面及び底面を結合することになる。
【背景技術】
【0003】
眼鏡ロッドは、前部要素と、好ましくは、それぞれのヒンジを介して、前部要素に結合される2つの眼鏡ロッドとを備える眼鏡フレームに使用され、これにより、眼鏡ロッドは、前部要素に枢動可能に結合される。
【0004】
長年にわたって、眼鏡ロッドをアセテートの形態でプラスチックから製造することが知られている。
【0005】
同様に、長年にわたって、眼鏡ロッドを、チタンを含む金属から製造することが知られている。
【0006】
しかしながら、本発明は、他のタイプの材料から作製された眼鏡ロッドにも適用されるが、以下では、特にチタンに関連して説明される。
【0007】
眼鏡ロッドに摩擦要素を設けることが知られており、この摩擦要素は、好ましくは、使用者によって交換可能である必要がある。この摩擦要素は、使用者の耳の後ろ側での接触のために、耳湾曲部の位置で金属製ロッド上に引き寄せられたチューブである場合が多い。これは、通常、使用者の快適さ考慮して金属製の眼鏡ロッド上で使用されるが、プラスチック製の眼鏡ロッドにも使用される。これにより、プラスチックと、プラスチックを劣化させるような汗、油脂、及び他の排出物との間の直接的な接触が回避される。しかしながら、これらのチューブは、使用者がチューブの端部を不快に感じる場合があるので、快適さの低下を引き起こす場合がある。さらに、チューブには、金属製ロッドに沿って変位し、その結果、耳湾曲部の最適な位置に留まらないというリスクがある。
【0008】
例えば、米国特許第6,045,221号において、前部要素との結合が意図されている金属製ロッドの第1の端部の側面の凹部に、摩擦要素を埋め込み様式で配置することが提案されている。プラスチック、詳細にはアセテートは、ノッチ効果に非常に敏感であり、これは、眼鏡ロッドには、大きな寸法移行部を作ることができないことを意味し、これは、特に、耳湾曲部に当てはまる。これは、プラスチック製ロッド及び支持要素を設計する際の制限につながる。従って、この米国特許の明細書では、耳湾曲部での使用のためのチューブの形態の摩擦要素も示されている。
【0009】
アセテートは、柔軟なプラスチック材料であるので、使用者の耳の後ろ側での配置に適する、耳湾曲部の形成のための平面での曲げ、及び、使用者の頭の形状に応じて適合されるための第2の平面での曲げに適する。従来、アセテートの柔軟性に起因して、眼鏡ロッドは、かなりの大きさを有しており、これは、曲げるのを難しくし、眼鏡を望ましくないほど重くし、耳の後ろ側を満たす。
【0010】
使用者の快適さのために、この重さ及び満たす観点から眼鏡ロッドを最小化することが望まれる。しかしながら、それによって強度及び形状安定性が不十分となる。
【0011】
さらに、米国特許第4,563,066号から、金属製ロッドによって形成された眼鏡ロッドが知られている。耳湾曲部での端部において、金属製ロッドは、金属製ロッド上に固定されたプラスチック製被覆によって覆われる。この領域において、金属製ロッドには、プラスチック製被覆、並びに接着剤の金属製ロッド上での保持を保証するために、鋸歯状の突出部が設けられる。プラスチック製被覆は、耳湾曲部の近くで金属製ロッドに取り付けられたシリコン製被覆の涙型終端で囲まれる。プラスチック製被覆を交換する可能性はない。
【0012】
さらに、韓国実用新案第20200001172号から、最初に言及した形式の眼鏡ロッドが知られている。端部にU字形湾曲端部を有し、第1の横方向の突出部が最も外側の湾曲部分に配置される眼鏡ロッドが記載されている。それによって、U字形湾曲部分は、第1の横方向の突出部を第1の横方向の孔に押し込むのに寄与することになる。摩擦要素は、被覆によって形成され、第1の横方向の孔は、被覆のボア内に形成され、金属製ロッドのU字形湾曲端部全体を包む。
さらに、国際公開第2017/167342号には、本明細書の最初のパラグラフに記載され請求項の前文に定義されるタイプの眼鏡ロッドが開示されている。しかしながら、この文献には、簡単な方法で摩擦要素を金属製ロッド上にしっかり保持することを可能にし、摩擦要素で金属製ロッドの外側端を覆うことを保証する眼鏡ロッドは開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許第6,045,221号
【文献】米国特許第4,563,066号
【文献】韓国実用新案第20200001172号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、眼鏡ロッドを提供することであり、これは公知の眼鏡ロッドの問題を解決し、簡単な方法で金属製ロッド上の摩擦要素のしっかりした保持を可能にし、金属製ロッドの外側端は、摩擦要素によって覆われ、これによって、使用者自身が摩擦要素を簡単かつ容易に交換することができる。
【0015】
追加の態様では、この目的は、金属製眼鏡ロッドを提供することであり、金属製ロッドは、矩形断面を有し、摩擦要素は、摩擦要素の主にU字形溝内に金属製ロッドの小さな側面及び2つの大きな側面を包み込む。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、このことは、請求項1の前文に定義されるような最初に言及した形状の眼鏡ロッドによって達成され、これは、板状ロッドの第1の横方向の突出部は、最も外側の第2の端部に設けられる点、横方向に開口する凹部は、金属ロッドの最も外側の第2の端部と共に形成され、横方向に開口する凹部は、開口部において凹部の中央部よりも小さい断面を有する点、摩擦要素は、溝の第1の端部において、摩擦要素の第1の端部で材料量によって閉鎖される点、摩擦要素の第1の横方向の孔は、長手方向に対して斜めに向けられる点、摩擦要素の第1の端部の弾性材料は、弾性的に圧縮された状態で金属製ロッドの開口する凹部に収容される点を特徴とする。
【0017】
摩擦要素が金属製ロッドに取り付けられる際に、金属製ロッドの第1の横方向の突出部は、摩擦要素の第1の横方向の孔に圧入され、同時に、弾性材料は、長手方向に開口する凹部に圧入されることになる。摩擦部材の弾性柔軟性に起因して、圧入が確立されることになる。これによって、摩擦要素上の金属製ロッドのしっかりした保持が達成される。
【0018】
開口部で開口する凹部は、凹部の中央部よりも小さい断面を有するので、弾性材料は、圧縮されることになり、その結果、摩擦要素は、偶発的に金属製ロッドに対して長手方向に変位できないことが保証される。
【0019】
眼鏡ロッドの第1の横方向の突出部の斜めの配向によって、摩擦要素の第1の端部は、偶発的に金属製ロッドに対して横方向に変位できないことが保証される。
【0020】
従って、突出部及び凹部は、金属製ロッドの少なくとも最外端部での摩擦要素の金属製ロッド上での保持を保証する第1の保持手段と呼ぶことができる。
【0021】
摩擦要素の全長が偶発的に金属製ロッドに対して横方向に変位できないことを保証するために、さらなる保持手段は、これを防止するために設けられる。このような手段は、機械的な係合、接着、又は同様の相互保持とすることができる。接着剤が使用される場合、使用者が摩擦要素を交換できるように、容易に破壊することができるタイプの接着剤である必要がある。
【0022】
摩擦要素の第1の孔は、金属製ロッドの第1の横方向の突出部よりも小さいサイズで製造することができ、金属製ロッドの第1の横方向の突出部は、材料の弾性柔軟性に起因して、クランプ作用でその中に収容されるようになっている。これによって、金属製ロッドに対する摩擦要素の偶発的な変位に対するさらなる安全性がもたらされる。
【0023】
公知のブッシング/被覆の代わりに溝形状の摩擦要素を使用する場合、金属製ロッドの上縁領域は、摩擦要素溝の上側開口縁で見えることになる。また、金属製ロッドの狭い縁部領域は、摩擦要素より上方に位置するので、使用者に見えることになる。これは、眼鏡の望ましいデザイン要素である。
【0024】
摩擦要素の溝より上方に突出する縁部領域は、摩擦要素より上方の範囲は非常に小さいので、使用者と接触するリスクはない。
【0025】
注意する必要があるさらなる側面は、摩擦要素は、経時的に交換する必要がある「サービス要素」である。従って、この要素をユーザーが簡単かつ迅速に交換することができることが重要である。金属製ロッドを摩擦要素の上側の上方に短い距離で伸ばすことによって、使用者が、摩擦要素を金属製ロッドから外すために、摩擦要素の上側を掴んでこれを横方向に引っ張るか又は押すことがより容易になる。
【0026】
摩擦要素が金属製ロッドの上側より上方の又は離れた位置まで伸びる場合、指が金属製ロッドの上側を押すリスクがあり、使用者の指がシリコン要素の横方向の変位のための明確な掴みを確立することができないので、横方向の変位を行うことがより困難になる。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「偶発的」は、眼鏡の通常の使用中、金属製ロッドに対する摩擦要素の長手方向又は横方向の変位にはなり得ないことを意味する。しかしながら、使用者が及ぼすことができる手動力を加える場合、金属製ロッドに対する長手方向又は横方向の摩擦要素の意図的な変位は、摩擦要素の交換を可能にするために行なうことができる。
【0028】
原則として、眼鏡ロッドは、ロッド要素及び摩擦要素を含む。本出願において、種々の説明が行われているが、ロッド要素は、金属製ロッドと呼ばれている。
【0029】
本出願において、板状とは、第2の辺よりも著しく短い第1の辺を有する矩形断面形状を有する金属製ロッドを意味する。例えば、その比率は1:4から1:10、又はそれ以上の場合もある。従って、第1の辺は、板の厚さと呼ぶことができ、第2の辺は、金属製ロッドの高さと呼ぶことができる。一般に、眼鏡ロッドは、使用者の耳の領域で可能な限り小さな厚みを有することが望まれる。
【0030】
従って、金属製ロッドは、第2の端部において、2つの大きな側面と、底面及び上面を形成する2つの小さな側面とを有する。断面は、金属製ロッドの長さにわたって同じとすること又は異なることができる。従って、金属製ロッドは、第1の端部並びに第1及び第2の端部を接続する中間部分において、第2の及びより大きな厚さを有することが可能である。同様に、第1の端部及び中間部分において、金属製ロッドは、矩形以外の断面形状を有することができる。
【0031】
金属製ロッドは、眼鏡ロッドの形状安定性をもたらす。この形状安定性は、耳湾曲部の平面においてもたらされるだけではなく、使用者の頭部形状への適応を確立するために、金属製ロッドが耳湾曲部に垂直な方向に曲げられた場合に形状安定性を確立することができる。
【0032】
一実施形態によれば、本発明の眼鏡ロッドは、金属製ロッドが、底面において、溝の底部の第2の孔との解除可能なスナップ係合のために横方向の第2の突出部を備え、金属製ロッドへの結合部での第2の突出部は、金属製ロッドから離れた第2の突出部の断面よりも小さい断面を有し、第2の突出部は、摩擦要素材料の弾性柔軟性に起因して、溝の底部の第2の孔の中に保持されることを特徴とする。
【0033】
特に簡単なスナップ作用を得るために、摩擦要素は、弾性柔軟材料で作ることが好ましい。このように、使用者は、特に簡単な方法でスナップ作用を確立することができることになる。同時に、摩擦要素の材料の弾性柔軟性は、摩擦要素の安全な保持を保証するのに役立つ。同様に、弾性柔軟性は、硬質材料の摩擦要素と比較して、使用者がスナップ係合を確立することを容易にすることになる。
【0034】
さらなる実施形態によれば、本発明の眼鏡ロッドは、横方向の突出部、好ましくは、フック形状突出部は、第1の横方向の突出部上及び/又は金属製ロッドの最も外側の第2の端部上の凹部の開口部に形成されることを特徴とする。
【0035】
本出願において、「フック形状」とは、外端が180°以上の円弧にわたって延びる範囲を必ずしも有するわけではない突出部を意味する。突出部は、突出部又は金属製ロッドの最も外側の第2の端部に関連して横方向の延長部を有するだけで十分である。従って、フック形状突出部は、90°以下の円弧にわたって延びる形状を有することができる。横方向の突出部は、90°以下の円弧の曲率を有することが好ましい。
【0036】
突出部は、弓形形状を有することができる。あるいは、突出部は、角度付きとすること、及び突出部の直線縁部又は突出部の曲線縁部及び直線縁部の組み合わせによって形成することができる。
【0037】
凹部の開口部に形成されたフック形状突出部を有することによって、金属製ロッドの凹部内の摩擦要素の材料の特に安全な保持が達成される。
【0038】
フック形状によって、摩擦要素の材料を凹部の外に導くのに大きな力が必要となり、これによって、偶発的な分離のリスクが低減される。
【0039】
フック形状突出部は、第1の横方向の突出部に位置することが好ましい。あるいは、フック形状突出部は、金属製ロッドの最も外側の第2の端部上に設けることができる。いずれの場合も、開口部は、より小さい断面を有することになるだけでなく、フック形状が設けられることになり、これによって、弾性材料の凹部の内部での安全な保持がもたらされる。
【0040】
さらなる実施形態によれば、本発明の眼鏡ロッドは、摩擦要素の第1の孔が、金属製ロッドの第1の突出部よりも小さいサイズで製造され、金属製ロッドの第1の突出部が、クランプ作用でその中に収容されることを特徴とする。
【0041】
これによって、金属製ロッドの第1の突出部は、第1の孔に押し込む必要があり、それによって、摩擦要素の弾性材料が圧縮されるので、偶発的な分離に対するよりも大きい安全性が保証される。それによって、摩擦要素は、金属製ロッドの第1の突出部上でクランプ作用を確立することになる。
【0042】
摩擦要素の第1の孔は、金属製ロッドの第1の横方向の突出部よりも小さいサイズで製造することができ、金属製ロッドの第1の横方向の突出部は、材料の弾性柔軟性に起因して、クランプ作用でその中に収容されるようになっている。これによって、金属製ロッドに対する摩擦要素の偶発的な変位に対するさらなる安全性が得られる。
【0043】
さらなる実施形態によれば、本発明の眼鏡ロッドは、溝が、金属製ロッドの厚さよりも小さい幅で形成され、溝側壁が、金属製ロッドの側壁面と弾性的に当接するようになっていることを特徴とする。
【0044】
溝側壁の弾性柔軟性に起因して、金属製ロッドの側壁に対するクランプ作用を確立することが可能である。しかしながら、側壁は、耳湾曲部においてできるだけ少ない材料を保証するために薄いものとなる。しかしながら、溝側壁は、溝が金属製ロッドの厚さよりも小さな幅で製造される場合は金属製ロッドの側壁と弾性的に当接することになる。これは、不純物が金属製ロッドと溝側壁との間の隙間に蓄積するリスクを回避しながら保持を確立する。
【0045】
あるいは、溝は、金属製ロッドの厚さと同じ幅で形成することができるので、溝側壁は、同時の弾性クランプ作用なしで金属製ロッドの側壁と当接するが、それにもかかわらず、これは不純物が金属製ロッドと溝側壁との間の隙間に蓄積するリスクのない取り付けである。これは、例えば、溝側壁を金属製ロッドに接触して保持する接着接合と組み合わせて使用することができる。
【0046】
さらなる実施形態によれば、本発明の眼鏡ロッドは、金属製ロッドが、中間部において、金属製ロッドの第2の突出部に面する側面で、摩擦要素の端面のための当接面を有することを特徴とする。
【0047】
金属製ロッドは、摩擦要素の端面が当接することができる当接面を伴って製造されるので、金属製ロッドの長手方向の変位のリスクが回避される。金属製ロッドの当接面は、好都合には、その底部に凹部を有する金属製ロッドによって提供することができる。従って、金属製ロッドの横方向の第2の突出部は、この凹部の底部に設けられることになる。それによって、凹部の端壁は、摩擦要素の端面に対する当接面としての役割を果たすことができる。
【0048】
さらなる実施形態によれば、本発明の眼鏡ロッドは、摩擦要素が、金属製ロッドの第2の端部の最も外側の端面の少なくとも一部を覆うことを特徴とする。
【0049】
使用者と金属製ロッドとの接触を回避するために、摩擦要素は、溝の一端が閉鎖されるように製造されることになる。溝を閉鎖する摩擦要素のこの最も外側の端部は、同時に、金属製ロッドの第2の端部の最も外側の端面を覆うことができることになる。これによって、使用者と金属製ロッドとの接触のリスクが低減される。さらに、この端部での摩擦要素材料は、材料量を提供することになり、これは、金属製ロッドの第1の横方向の突出部が摩擦要素材料を貫通し、その結果、金属製ロッドの一部が露出するリスクを低減する。
【0050】
さらなる実施形態によれば、本発明の眼鏡ロッドは、金属製ロッドがチタンで作られることを特徴とする。
【0051】
チタンは、非常に軽い材料であるので金属製ロッドの製造に好ましい。しかしながら、金属製ロッドの製造に他の金属を使用することもできる。
【0052】
さらなる実施形態によれば、本発明の眼鏡ロッドは、摩擦要素溝の側壁が、滑らかな移行部を形成するために、金属製ロッドの側面の方に減少する厚さを有することを特徴とする。
【0053】
滑らかな移行部があるので、金属製ロッドが使用者に不快な作用を与えるリスクが回避される。金属製ロッドの側面と摩擦要素との間の滑らかな移行部は、使用者の快適さに寄与する。
【0054】
さらなる実施形態によれば、本発明の眼鏡ロッドは、摩擦要素が、弾性ポリマーから製造されることを特徴とする。
【0055】
様々な弾性材料を使用することができるが、正しい形状で孔を形成する確実性を伴って成形するための良好な特性を有するので、弾性ポリマーを使用することが好ましい。これによって、金属製ロッドからの摩擦要素の偶発的な離脱のリスクのない保持が保証される。
【0056】
さらなる実施形態によれば、本発明の眼鏡ロッドは、長方形の金属製ロッドが、底面に凹部を備え、横方向の第2の突出部が、この凹部の底部に位置することを特徴とする。次に、摩擦要素が凹部の長さに等しい長さを有することが好ましく、凹部の端部には、摩擦要素の端面のための当接面が存在する。これは、摩擦要素が金属製ロッドに対して長手方向に変位できないことを確実性にする。
【0057】
同時に、摩擦要素の一部のみが金属製ロッドによって規定された断面の外側に広がることになるので、耳湾曲部において摩擦要素を有する眼鏡ロッドの範囲は、小さくなることになる。従って、摩擦要素は、金属製ロッドの中に部分的に埋め込まれた状態で位置し、摩擦要素及び金属製ロッドの外周は、金属製ロッドの外周に近づくと言える。これによって、使用者の快適性が高くなる。
【0058】
金属製ロッドは、眼鏡ロッドを前部要素に取り付けるために使用されるヒンジ要素の一体部分を形成することができる。これは、ヒンジ部を形成されるように金属製ロッドの第1の端部を適切に曲げることによって行うことができる。
【0059】
以下、本発明は、添付図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】本発明による眼鏡ロッドを有する眼鏡の部分斜視図を示す。
【
図2】
図1の眼鏡ロッドの一部が断面である側面図を示す。
【
図5A】
図3の矢印A-Aによる拡大断面図を示す。
【
図6】摩擦要素が取り付けられていない
図1の金属製ロッドの側面図を示す。
【
図10】摩擦要素が断面で示される金属製ロッド及び摩擦要素の拡大部分図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、図面の異なる図の同一又は類似の要素には同一の参照符号が付与される。従って、各々のそれぞれの図に関連する全ての詳細の説明は、行われない場合もある。
【0062】
図1は、眼鏡1の部分図を示す。この眼鏡は、金属製ロッドの形態の眼鏡ロッド2を含み、眼鏡ロッド2は、ヒンジ3を介して前部要素4に結合される。前部要素4において、眼鏡レンズ5は、フレーム内に設けられる。前部要素4は、使用者の鼻との当接のために鼻パッド6をさらに備える。
【0063】
金属製ロッド2は、耳湾曲部7を有する。耳湾曲部7において、摩擦要素8は、使用者の耳の後ろ側に接触することになる位置に取り付けられる。摩擦要素8は、弾性柔軟材料、好ましくは、弾性ポリマーから製造される。
【0064】
理解できるように、金属製ロッド2は、板状であり、厚さ10よりもかなり大きな高さ9を有する。
【0065】
図2は、金属製ロッド2を示し、摩擦要素8は断面で示されている。金属製ロッドの底面には凹部11が設けられており、摩擦要素は、凹部11内に部分的に収容される。凹部11において、金属製ロッドは、多数の横方向の第2の突出部12を備える。これらの第2の突出部12は、キノコ形状又は矢印形状であり、第2の突出部12は、金属製ロッドから離れた位置での断面よりも小さい、金属製ロッド2との結合部での断面を有する。突出部12は、摩擦要素8の横方向の第2の孔13にスナップ作用で取り付けられ、その中に、摩擦要素材料の弾性柔軟性に起因してもたらされるクランプ力によって保持されることになる。
【0066】
従って、突出部12が孔1に押し込まれるので、スナップ作用は、それによって達成されると言える。
【0067】
特に
図3から
図5で明らかなように、摩擦要素は、金属製ロッド2を収容するための溝14を備える溝形状を有する。溝は、2つの側壁15及び底部15’を含む。側壁は、金属製ロッド2の側面17と当接する表面16を有する。同様に、底部15’は、金属製ロッド2の底面19と接触する底面18を有する。金属製ロッド2は、摩擦要素8上に広がる上面20を有する。
【0068】
図5A及び
図5Bは、金属製ロッド2上の横方向の突出部12の間の眼鏡ロッドを通る拡大断面を示す。
【0069】
図5A及び
図5Bは、側壁15が、金属製ロッド2の側面17の方向で上向きに減少する厚さを有することをさらに示す。これによって、摩擦要素の外側と金属製ロッド2との間に滑らかな移行部がもたらされる。しかしながら、側壁15には上部21があり、使用者は、摩擦要素8を金属製ロッド2から分離する必要がある場合に上部21を圧力面として使用することができる。
【0070】
図5Aは、溝14が金属製ロッド2の厚さよりも小さい幅で形成される実施形態を示し、溝側壁15は、金属製ロッドの側面17と弾性的に当接するようになっている。
【0071】
図5Bは、溝14が金属製ロッド2の厚さと同じ幅で形成される実施形態を示し。溝側壁15は、弾性クランプ作用なしで金属製ロッドの側壁面17と当接するようになっている。側壁15と側壁17との間には、金属製ロッドの側壁17に対する摩擦要素の保持を保証するために接着接合部46が設けられている。
【0072】
図3は、耳湾曲部7の拡大側面図である。
図3は、
図5の断面図が作成される位置の断面線A-Aを示す。
図3から、金属製ロッド2上の狭い周縁エッジ領域20’(
図5も参照されたい)は、上部21より上方にあることが分かる。従って、使用者は、摩擦要素を交換する必要がある場合に、摩擦要素を突出部12との係合から解放するために上部21を簡単にしっかりつかんで摩擦要素を横方向に引っ張ることができる。
【0073】
図2は、前部要素に取り付けるための第1の端部22’と、前部要素4から最も離れた第2の端部22とを有する金属製ロッド2を示す。最も外側の第2の端部22において、金属製ロッド2は、横方向の第1の突出部23を有する。
【0074】
図6及び
図7は、金属製ロッド2上の第1の突出部23及び第2の突出部12のデザインをより明確に示す。
【0075】
図6及び
図7に示すように、金属製ロッド2は、長手方向24及び横方向25を有する。金属製ロッドの長手方向24及び横方向25は、眼鏡ロッドの長手方向及び横方向に対応する。
【0076】
第1の突出部23は、横方向25に延び、長手方向24において斜めの経路を有する。従って、第1の突出部23は、眼鏡ロッドの最も外側の第2の端部22と共に、長手方向に開口する凹部26を形成する。
【0077】
凹部26は、開口部27を有し、これは、凹部26の中央部28に設けられることになる断面よりも小さい断面を有する。凹部の開口部27において、第1の突出部23は、フック形状の突出部29を備える。このフック形状の突出部29は、より小さな開口部27を形成するのに役立ち、同時に、例えば、
図2及び
図10に示すように、摩擦要素が金属製ロッド上に取り付けられ場合に、摩擦要素の弾性柔軟材料の安全な保持に寄与する。
【0078】
図8及び
図9は、摩擦要素8を通しての断面図である。特に
図9から明らかなように、摩擦要素の溝14は、摩擦要素の第1の端部31において材料量30によって閉鎖される。溝14は、摩擦要素の第2の端部32において開放される。
【0079】
特に
図9から明らかなように、摩擦要素は、第1の端部31において、溝14を閉鎖する材料量30内に第1の横方向の孔33を備える。この孔33は、金属製ロッドの横方向の第1の突出部23を収容する役割を果たす。
【0080】
図10から分かるように、横方向の第1の孔33の範囲を定める材料量34は、金属製ロッド2に取り付けられると変形することになる。これは、摩擦要素8と金属製ロッド2との間の保持グリップを保証し、摩擦要素は、長手方向及び横方向に偶発的に変位することができないようになっている。第1の突出部23と第1の横方向の孔33との間の係合、並びに、材料量34は、第1の保持手段を構成すると言える。
【0081】
第2の突出部12及び第2の孔13は、摩擦要素8と金属製ロッド2との間の第2の保持手段を構成すると言える。
【0082】
図7は、金属製ロッド2が、最も外側の第2の端部22に溝部35を備えることを示す。この溝部35は、摩擦要素8の第1の端部31での突出材料部分36を受け入れる役割を果たす。
【0083】
図10から分かるように、これによって、金属製ロッド2の外端面37が摩擦要素8の外端面38と同じ高さであることが保証され、摩擦要素面39は、溝部35で金属製ロッド2の面40と当接する。
【0084】
図8において、摩擦要素8の第2の孔30は、第2の孔13の中央部42での孔の断面よりも小さな断面を有する開口部41と共に示されている。これによって、横方向の第2の突出部12のしっかりした保持が達成される。特に
図10から明らかなように、横方向の第2の突出部12の導入後、摩擦要素材料の弾性変形がもたらされることになり、これは、第2の突出部12がクランプ作用で第2の孔13に収容する場合に安全な保持に寄与する。
【0085】
同様に、眼鏡ロッドの第1の突出部23は、摩擦要素の横方向の第1の孔33よりも大きなサイズを有するので、ここでも、収容はクランプ作用で行われる。
【0086】
図6は、金属製ロッド2が、中間部43において、凹部11の端部に当接面44を有することを示す。この当接面44は、摩擦要素8が金属製ロッド2に取り付けられる場合に、摩擦要素8の端面45(
図8参照)との当接に役立つ。これによって、金属製ロッド2に対する摩擦要素8の偶発的な変位に対するさらなる安全性が達成される。
【符号の説明】
【0087】
2 板状ロッド
4 前部要素
7 耳湾曲部
8 摩擦要素
15 溝壁
15’ 底部
17 側面
19 底面
20 上面
22 第2の端部
22’ 第1の端部
23 第1の横方向の突出部
24 長手方向
25 横方向
26 凹部
27 開口部
28 中央部
30 材料量
31 第1の端部
33 第1の横方向の孔